説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】触媒の暖機中に、燃焼異常が発生した気筒内の燃焼を改善すると共に、排気特性の悪化を抑制することができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】動力分配機構が設けられたハイブリッド車両に設けられた触媒の暖機中に、ハイブリッドECUは、複数の気筒内の各点火時期を遅角させ(ステップS11)、複数の気筒のなかで何れかの気筒の燃焼行程におけるエンジンの回転速度と基準回転速度との差が閾値以上であることが予め定められた回数以上連続したことを条件として(ステップS9)、複数の気筒内の各点火時期の遅角を中断するようにエンジンECUを制御する(ステップS10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関によって発生された動力を駆動輪側に伝達する動力と回転電機を駆動する動力とに分配する動力分配機構が設けられたハイブリッド車両が知られている。一方、このような車両に搭載される内燃機関には、排気を浄化するための触媒が設けられている。一般的に、触媒は、排気中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)を浄化する三元触媒を有する。
【0003】
三元触媒は、HC、COおよびNOxの間で化学反応を起こさせることにより、HC、COおよびNOxを二酸化炭素、水および窒素といった無害なものに変化させる。このような化学反応を効率よく起こさせるためには、所定範囲の温度まで触媒を暖機する必要がある。
【0004】
触媒を暖機するものとしては、一部の気筒内の空燃比をリーンにするとともに、他の一部の気筒内の空燃比をリッチにし、触媒に流入する排気中の酸素濃度から分かる機関全体としての空燃比が目標値に近づくよう各気筒内の空燃比をフィードバック制御するにあたって、触媒の暖機時に空燃比をリーンにした気筒で空燃比が失火限界を越えると予測されるとき、その気筒での燃料噴射時期と点火時期との少なくとも一方を失火抑制側に補正するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このように、特許文献1に開示されたものは、触媒を暖機しているときに、一部の気筒でリーンな空燃比での成層燃焼を実行する際、空燃比を極力リーンにしつつ、そのリーン気筒での失火に対し必要な安全マージンを確保している。
【0006】
また、空燃比がリーンになったために燃焼異常が発生した気筒を判別するものとして、内燃機関の所定のクランク位置で出力されるクランク角信号を検出し、検出したクランク角信号に基づき、内燃機関の所定気筒の燃焼行程における角加速度瞬時値を算出し、算出した角加速度瞬時値の今回値と気筒の角加速度平均値の前回値とに基づき、当該気筒の角加速度平均値の今回値を算出し、角加速度瞬時値の今回値と角加速度平均値の今回値との偏差が所定の閾値を越えたことを条件として、当該気筒内の空燃比がリーンになったために燃焼異常が発生したと判定し、当該気筒内に噴射する燃料を増量させるものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
このように、特許文献2に開示されたものは、クランク角センサに気筒間のばらつきがあっても、燃焼異常の判定がこれに影響を受けないため、例えば、リーンバーン制御等に適用した場合、煩雑なセグメント補正によらず、安定燃焼限界での燃料噴射制御を高精度で行い、NOx排出量の低減や燃費の向上を図っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−076668号公報
【特許文献2】特開平8−28339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、動力源によって発生された動力を駆動輪側に伝達する動力と回転電機を駆動する動力とに分配する動力分配機構が設けられたハイブリッド車両は、内燃機関に回転電機がギヤを介して直結されているため、悪路走行時に路面からの外乱による共振の影響により、燃焼異常が発生していない気筒の燃焼行程における回転変動が大きくなることがあり、空燃比がリーンになったために燃焼異常が発生した気筒を正確に判別することが困難である。
【0010】
さらに、上述したような従来の技術は、動力分配機構が設けられたハイブリッド車両に適用することに関して何ら考慮されていなかった。このため、従来の技術は、燃焼異常が発生していない気筒に対する燃料噴射量を増加させてしまうことがあり、燃焼異常が発生した気筒内の燃焼を改善することができない上に、排気中のHCが増量してしまうため、排気特性の悪化を抑制することもできなくなってしまうことがあるといった課題があった。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、動力分配機構が設けられたハイブリッド車両に設けられた触媒の暖機中に、燃焼異常が発生した気筒内の燃焼を改善すると共に、排気特性の悪化を抑制することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、上記目的を達成するため、(1)内燃機関と、回転電機と、前記内燃機関によって発生された動力を駆動輪側に伝達する動力と前記回転電機を駆動する動力とに分配する動力分配機構と、前記内燃機関の排気を浄化する触媒と、が設けられたハイブリッド車両の制御装置において、前記内燃機関に形成された複数の気筒内の各点火時期を調整する点火時期調整手段と、前記触媒の暖機中に、前記複数の気筒内の各点火時期を遅角させるように前記点火時期調整手段を制御する点火遅角制御手段と、を備え、前記点火遅角制御手段は、前記複数の気筒のなかで何れかの気筒の燃焼行程における前記内燃機関の回転速度と基準回転速度との差が閾値以上であることが予め定められた回数以上連続したことを条件として、前記複数の気筒内の各点火時期の遅角を中断するように前記点火時期調整手段を制御するように構成されている。
【0013】
この構成により、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、触媒を暖機するために各気筒内の点火時期を遅角させているときに、何れかの気筒の燃焼異常が連続して発生したことを条件として、複数の気筒内の各点火時期の遅角を中断するため、燃焼異常が発生した気筒内の燃焼を改善すると共に、排気特性の悪化を抑制することができる。
【0014】
また、上記(1)に記載のハイブリッド車両の制御装置において、(2)前記点火遅角制御手段は、前記複数の気筒内の各点火時期の遅角を中断するように前記点火時期調整手段を制御している状態で、前記各気筒の燃焼行程における前記内燃機関の回転速度と前記基準回転速度との差が前記閾値未満であることが予め定められた回数以上連続したことを条件として、前記複数の気筒内の各点火時期の遅角を実行するように前記点火時期調整手段を制御するようにしてもよい。
【0015】
この構成により、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、全ての気筒内の燃焼が改善したことを条件として、触媒の暖機を再開することができる。
【0016】
また、上記(1)または(2)に記載のハイブリッド車両の制御装置において、(3)前記点火遅角制御手段は、前記触媒が暖機されている間の前記内燃機関の回転速度が一定であることを条件として、前記基準回転速度を予め定められた一定値として前記点火時期調整手段を制御するようにしてもよい。
【0017】
この構成により、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、各気筒に燃焼異常が発生したか否かを迅速に判断することができる。
【0018】
また、上記(1)ないし(3)のいずれか1の請求項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、(4)前記点火遅角制御手段は、前記触媒が暖機されている間の前記内燃機関の回転速度が一定であることを条件として、前記閾値を予め定められた一定値として前記点火時期調整手段を制御するようにしてもよい。
【0019】
この構成により、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、各気筒に燃焼異常が発生したか否かを迅速に判断することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、動力分配機構が設けられたハイブリッド車両に設けられた触媒の暖機中に、燃焼異常が発生した気筒内の燃焼を改善すると共に、排気特性の悪化を抑制することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載した車両の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示すエンジンの概略断面図である。
【図3】図1に示すクランク角センサを説明するための概念図である。
【図4】図1に示すクランク角センサによって検出されるクランク角とハイブリッド用電子制御ユニットが有するクランクカウンタのカウント値との対応関係の一例を示すタイミング図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両の制御装置の触媒暖機制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両1は、内燃機関を構成するエンジン10と、エンジン10によって発生された動力をドライブシャフト11L、11Rを介して駆動輪12L、12Rに伝達するための動力伝達装置13と、ハイブリッド車両1の各部を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)14と、エンジン10を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)15と、を備えている。
【0024】
エンジンECU15は、図示を省略するが、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリと、入出力ポートと、を備えたマイクロプロセッサによって構成されている。
【0025】
エンジンECU15のROMには、当該マイクロプロセッサをエンジンECU15として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、エンジンECU15のCPUがRAMを作業領域としてROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該マイクロプロセッサは、エンジンECU15として機能する。
【0026】
エンジンECU15は、ハイブリッドECU14と高速CAN(Controller Area Network)を介して通信するようになっており、ハイブリッドECU14から入力される制御信号およびエンジン10の運転状態を検出する各種センサから入力される検出信号等に基づいて、燃料噴射制御、点火制御および吸入空気量調節制御等のエンジン10の運転制御を行うとともに、必要に応じてエンジン10の運転状態に関するデータをハイブリッドECU14に出力するようになっている。なお、本実施の形態において、エンジンECU15は、本発明における点火時期調整手段を構成する。
【0027】
動力伝達装置13は、電力と回転力とを相互に変換するモータジェネレータMG1、MG2、モータジェネレータMG2から伝達された回転を減速して駆動トルクを増幅する減速機17、および、エンジン10によって発生された動力を駆動輪12L、12R側に伝達する動力とモータジェネレータMG1を駆動する動力とに分割する動力分配機構18を備えている。なお、本実施の形態において、モータジェネレータMG1は、本発明における回転電機を構成する。
【0028】
動力分配機構18は、エンジン10の出力軸としてのクランクシャフト19の端部にダンパ20を介して結合された入力軸21と、入力軸21に軸中心が貫通された中空形状のサンギヤ軸22に結合されたサンギヤ23と、サンギヤ23と回転軸が一致するようにサンギヤ23の同心円上に配置されたリングギヤ24と、サンギヤ23およびリングギヤ24に噛み合うようにサンギヤ23とリングギヤ24との間に配置された複数のピニオンギヤ25と、ピニオンギヤ25を自転自在に保持すると共に入力軸21に対して公転自在に保持するキャリア26と、を備えている。
【0029】
このように、動力分配機構18は、サンギヤ23、リングギヤ24、ピニオンギヤ25およびキャリア26を回転要素として、エンジン10によって発生された動力を分割すると共に、モータジェネレータMG1および駆動輪12L、12R側から伝達された動力を統合する遊星歯車機構を構成している。
【0030】
したがって、動力分配機構18は、エンジン10からキャリア26に入力された動力を、サンギヤ23側と、リングギヤ24側と、にそのギヤ比に応じて分割することにより、分割された一方の動力によってモータジェネレータMG1を発電機として機能させるとともに、分割された他方の動力によって駆動輪12L、12Rを回転させるようになっている。
【0031】
また、動力分配機構18は、駆動電力が供給されたモータジェネレータMG1が電動機として機能し、エンジン10が駆動しているときには、エンジン10からキャリア26に入力された動力と、モータジェネレータMG1からサンギヤ23に入力された動力とを統合してリングギヤ24から出力するようになっている。
【0032】
また、動力分配機構18は、駆動電力が供給されたモータジェネレータMG1が電動機として機能し、エンジン10が停止しているときには、モータジェネレータMG1からサンギヤ23に入力された動力をキャリア26に出力することにより、クランクシャフト19を回転させ、エンジン10を始動させるようになっている。このように、モータジェネレータMG1は、動力分配機構18と協働して、スタータとしても機能するようになっている。
【0033】
モータジェネレータMG1は、回転磁界を形成するステータ28と、ステータ28の内部に配置され、複数の永久磁石が埋め込まれているロータ29と、を備えており、ステータ28は、ステータコアおよびステータコアに巻き掛けられた三相コイルを備えている。
【0034】
ロータ29は、動力分配機構18のサンギヤ23と一体に回転するサンギヤ軸22に結合されており、ステータ28のステータコアは、例えば、電磁鋼板の薄板を積層して形成され、本体ケース30の内周部に固定されている。
【0035】
このように構成されたモータジェネレータMG1において、ステータ28の三相コイルに三相交流電力が供給されると、ステータ28によって回転磁界が形成され、この回転磁界にロータ29に埋め込まれた永久磁石が引かれることにより、ロータ29が回転駆動される。このように、モータジェネレータMG1は、電動機として機能するようになっている。
【0036】
また、ロータ29に埋め込まれた永久磁石が回転すると、回転磁界が形成され、この回転磁界によりステータ28の三相コイルに誘導電流が流れることにより、三相コイルの両端に電力が発生する。このように、モータジェネレータMG1は、発電機としても機能するようになっている。
【0037】
モータジェネレータMG2は、回転磁界を形成するステータ32と、ステータ32の内部に配置され複数の永久磁石が埋め込まれたロータ33と、を備えており、ステータ32は、ステータコアおよびステータコアに巻き掛けられた三相コイルを備えている。
【0038】
ロータ33は、減速機17に結合されたロータシャフト34に結合されており、ステータ32のステータコアは、例えば、電磁鋼板の薄板を積層して形成され、本体ケース30の内周部に固定されている。
【0039】
このように構成されたモータジェネレータMG2において、ステータ32の三相コイルに三相交流電力が供給されると、ステータ32によって回転磁界が形成され、この回転磁界にロータ33に埋め込まれた永久磁石が引かれることにより、ロータ33が回転駆動される。このように、モータジェネレータMG2は、電動機として機能するようになっている。
【0040】
また、ロータ33に埋め込まれた永久磁石が回転すると、回転磁界が形成され、この回転磁界によりステータ32の三相コイルに誘導電流が流れることにより、三相コイルの両端に電力が発生する。このように、モータジェネレータMG2は、発電機としても機能するようになっている。
【0041】
減速機17は、モータジェネレータMG2のロータ33に結合されたロータシャフト34に結合されたサンギヤ35と、回転軸がサンギヤ35と一致するようにサンギヤ35の同心円上に配置されたリングギヤ36と、サンギヤ35およびリングギヤ36に噛み合うようにサンギヤ35とリングギヤ36との間に配置された複数のピニオンギヤ37と、一端が本体ケース30に固定され、他端がピニオンギヤ37を自転自在に支持する支持軸を有するキャリア38と、を備えている。
【0042】
このように、減速機17は、サンギヤ35、リングギヤ36およびピニオンギヤ37を回転要素として、モータジェネレータMG2から伝達された回転を減速して駆動トルクを増幅する遊星歯車機構を構成している。
【0043】
したがって、減速機17は、駆動電力が供給されたモータジェネレータMG2が電動機として機能しているときには、モータジェネレータMG2から伝達された回転を減速して駆動トルクを増幅してリングギヤ36から出力するようになっている。
【0044】
また、減速機17は、リングギヤ36に入力された動力による回転を加速して駆動トルクを減衰させてサンギヤ35から出力することにより、モータジェネレータMG2を発電機として機能させるようになっている。
【0045】
減速機17のリングギヤ36および動力分配機構18のリングギヤ24には、リングギヤ36とリングギヤ24とが一体回転するようにカウンタドライブギヤ40が設けられている。カウンタドライブギヤ40は、ギヤ機構41に噛み合わされ、ギヤ機構41は、デファレンシャルギヤ42に噛合されている。カウンタドライブギヤ40に出力された動力は、カウンタドライブギヤ40からギヤ機構41を介して、デファレンシャルギヤ42に伝達されるようになっている。
【0046】
デファレンシャルギヤ42は、ドライブシャフト11L、11Rに接続され、ドライブシャフト11L、11Rは、駆動輪12L、12Rにそれぞれ接続されている。デファレンシャルギヤ42に伝達された動力は、ドライブシャフト11L、11Rを介して、駆動輪12L、12Rに出力される。
【0047】
したがって、駆動電力が供給されたモータジェネレータMG2は、駆動源として機能するようになっており、モータジェネレータMG2によって発生された動力は、駆動輪12L、12Rに伝達されるようになっている。
【0048】
また、駆動電力が供給されていないモータジェネレータMG2は、駆動輪12L、12Rの回転を減速しつつ、その回転力を電力に変換する電力回生器として機能するようになっている。
【0049】
モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2とは、インバータ50およびインバータ51を介してバッテリ52との間で電力のやりとり、すなわち、バッテリ52を充放電させるようになっている。
【0050】
インバータ50およびインバータ51とバッテリ52とを接続する電力ライン53は、インバータ50およびインバータ51が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータジェネレータMG1、MG2のいずれか一方で発電された電力を他方のモータジェネレータで消費することができるようになっている。
【0051】
このようなモータジェネレータMG1、MG2を駆動制御するために、ハイブリッド車両1は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)54を備えている。モータECU54は、図示を省略するが、CPUと、ROMと、RAMと、フラッシュメモリと、入出力ポートと、を備えたマイクロプロセッサによって構成されている。
【0052】
モータECU54のROMには、当該マイクロプロセッサをモータECU54として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、モータECU54のCPUがRAMを作業領域としてROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該マイクロプロセッサは、モータECU54として機能する。
【0053】
モータECU54には、モータジェネレータMG1、MG2を駆動制御するために必要な信号、例えば、モータジェネレータMG1、MG2の回転子の回転位置をそれぞれ検出する回転位置検出センサ55、56の検出信号、および、モータジェネレータMG1、MG2に入力される相電流を検出する図示しない電流センサの検出信号等が入力されるようになっている。
【0054】
モータECU54は、インバータ50およびインバータ51にスイッチング制御信号を出力することにより、モータジェネレータMG1、MG2を駆動制御するようになっている。
【0055】
また、モータECU54は、ハイブリッドECU14と高速CANを介して通信するようになっており、ハイブリッドECU14から入力された制御信号に応じてインバータ50、51を制御することにより、モータジェネレータMG1、MG2をそれぞれ駆動制御するようになっている。また、モータECU54は、必要に応じてモータジェネレータMG1、MG2の駆動状態に関するデータをハイブリッドECU14に出力するようになっている。
【0056】
バッテリ52の蓄電容量や温度等の状態を管理するために、ハイブリッド車両1は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)58を備えている。バッテリECU58は、図示を省略するが、CPUと、ROMと、RAMと、フラッシュメモリと、入出力ポートと、を備えたマイクロプロセッサによって構成されている。
【0057】
バッテリECU58のROMには、当該マイクロプロセッサをバッテリECU58として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、バッテリECU58のCPUがRAMを作業領域としてROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該マイクロプロセッサは、バッテリECU58として機能する。
【0058】
バッテリECU58には、バッテリ52の状態を管理するために必要な信号、例えば、バッテリ52の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧、バッテリ52の出力端子に接続された電力ライン53に取り付けられた電流センサ59によって検出される充放電電流、および、バッテリ52に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度等を表す信号が入力されるようになっている。
【0059】
また、バッテリECU58は、必要に応じてバッテリ52の状態に関するデータをハイブリッドECU14に出力するようになっている。例えば、バッテリECU58は、電流センサ59によって検出された充放電電流の積算値に基づいて、バッテリ52の残容量を表すSOC(State Of Charge)を算出し、算出したSOCをハイブリッドECU14に出力するようになっている。
【0060】
ハイブリッドECU14は、CPU14aと、ROM14bと、RAM14cと、フラッシュメモリ14dと、図示しない入出力ポートと、を備えたマイクロプロセッサによって構成されている。
【0061】
ROM14bには、当該マイクロプロセッサをハイブリッドECU14として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPU14aがRAM14cを作業領域としてROM14bに記憶されたプログラムを実行することにより、当該マイクロプロセッサは、ハイブリッドECU14として機能する。
【0062】
ハイブリッドECU14には、イグニッションスイッチ(IG)60、クランクシャフト19の回転角を検出するクランク角センサ61、および、エンジン10を冷却するための冷却水の温度を検出する水温センサ62等が入力ポートを介して接続されている。
【0063】
ハイブリッドECU14は、エンジンECU15やモータECU54、バッテリECU58と高速CANを介して互いに接続されており、エンジンECU15やモータECU54、バッテリECU58と各種制御信号やデータのやりとりを行うようになっている。
【0064】
例えば、ハイブリッドECU14は、バッテリECU58から送信されたデータが表すSOCに基づいて、モータジェネレータMG1、MG2によって発電された電力をバッテリ52に充電させるか否かを表す制御信号をモータECU54に送信するようになっている。
【0065】
図2に示すように、エンジン10は、シリンダブロック100と、シリンダブロック100の上部に固定されたシリンダヘッド101と、オイルを収納するオイルパン102とを備え、シリンダブロック100と、シリンダヘッド101とによって複数の気筒103が形成されている。
【0066】
なお、本実施の形態において、エンジン10は、直列4気筒のガソリンエンジンによって構成されているものとして説明するが、本発明においては、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、V型12気筒エンジンまたは水平対向6気筒エンジンなどの種々の型式のエンジンによって構成されていてもよい。ここで、図2に示すエンジン10は、直列に配置された4つの気筒のうちの1つ気筒103が図示されている。
【0067】
気筒103には、ピストン104が往復動可能に収納され、シリンダブロック100、シリンダヘッド101およびピストン104によって、各気筒103の燃焼室105が形成されている。
【0068】
本実施の形態において、エンジン10は、ピストン104が2往復する間に吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程からなる一連の4行程を行う、4サイクルのガソリンエンジンによって構成されているものとして説明する。
【0069】
クランクシャフト19は、各気筒103に収納されたピストン104とコネクティングロッド106を介して連結されている。コネクティングロッド106は、ピストン104の往復動をクランクシャフト19の回転運動に変換するようになっている。
【0070】
従って、エンジン10は、燃焼室105で燃料と空気との混合気を燃焼させることによりピストン104を往復動させ、コネクティングロッド106を介してクランクシャフト19を回転させることにより、動力伝達装置13に動力を伝達するようになっている。なお、エンジン10に用いられる燃料は、ガソリンもしくは軽油等の炭化水素系の燃料またはエタノール等のアルコールとガソリンとを混合したアルコール燃料であってもよい。
【0071】
シリンダブロック100には、冷却水が循環するウォータジャケット107が形成されている。水温センサ62は、ウォータジャケット107内を循環する冷却水の水温を検知するようにシリンダブロック100に設けられている。
【0072】
エンジン10には、車外から流入した空気を清浄するエアクリーナ110と、清浄された空気を燃焼室105に導入するためにシリンダヘッド101に連結されている吸気管111と、燃焼室105に導入される空気の流量を調整するためのスロットルバルブ112と、スロットルバルブ112の開度を検出するスロットルセンサ113と、燃焼室105のなかで混合気の燃焼によって発生した排気ガスを車外に排出するためにシリンダヘッド101に連結されている排気管114と、排気ガス中の有害物質を酸化還元浄化するために排気管114に設けられた触媒115と、が設けられている。
【0073】
エアクリーナ110は、例えば、内部に収容した紙または合成繊維の不織布のフィルターにより、吸入空気中の異物を除去するようになっている。
【0074】
スロットルバルブ112は、薄い円板状の弁体によって構成され、この弁体の中央にシャフトを備えている。スロットルバルブ112には、エンジンECU15の制御に応じてシャフトを回動させることによって弁体を回動させ、吸気管111における空気の流量を変更するスロットルバルブアクチュエータ116が設けられている。
【0075】
触媒115は、一般に、排気ガスに含まれる未燃炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)といった有害物質を効率的に除去することができる三元触媒を備えている。この三元触媒は、好ましくはNOx含有率の高い排気ガスからでも、NOxを効率的に除去する機能を有するものが用いられる。
【0076】
シリンダヘッド101には、吸気管111と燃焼室105とを連通させる吸気ポート117と、燃焼室105と排気管114とを連通させる排気ポート118とが形成されている。
【0077】
また、シリンダヘッド101には、吸気管111から燃焼室105への燃焼用空気の導入を制御するための吸気バルブ120と、燃焼室105から排気管114への排気ガスの排出を制御するための排気バルブ121と、燃焼室105内に燃料を噴射するためのインジェクタ122と、燃焼室105内の混合気に点火するための点火プラグ123と、が取り付けられている。
【0078】
インジェクタ122は、エンジンECU15によって制御されるソレノイドコイルおよびニードルバルブを有している。インジェクタ122には、所定の圧力で燃料が供給されている。インジェクタ122は、エンジンECU15によってソレノイドコイルが通電されると、ニードルバルブを開いて、燃焼室105に燃料を噴射するようになっている。
【0079】
点火プラグ123は、プラチナやイリジウム合金製の電極を有する公知の点火プラグによって構成されている。点火プラグ123は、エンジンECU15によって電極が通電されることにより放電し、燃焼室105内の混合気に点火するようになっている。
【0080】
排気管114には、エンジン10全体の空燃比を検知する空燃比センサ124が設けられている。エンジンECU15は、空燃比センサ124によって検知された空燃比が理想空燃比となるように、例えば、インジェクタ122によって噴射される燃料の量を調節するようになっている。
【0081】
図3に示すように、クランクシャフト19の一端部には、クランクシャフト19とともに回転するクランクロータ130が設けられている。クランク角センサ61は、クランクロータ130の回転角を検出するようにハイブリッド車両1に設けられている。
【0082】
クランク角センサ61は、磁気抵抗素子(MRE:Magnetic Resistance Element)を有するMREセンサによって構成されている。クランクシャフト19が回転すると、クランクロータ130に設けられた歯の山と谷により、クランク角センサ61にかかる磁界の方向、すなわち、磁気ベクトルが変化し、内部抵抗値が変化する。
【0083】
クランク角センサ61は、この抵抗値変化を電圧に変換した上で出力される波形と、閾値とを比較することによりHigh状態とLow状態とをとる矩形波に整形したクランク角信号を生成し、生成したクランク角信号をハイブリッドECU14に出力するようになっている。
【0084】
また、クランク角センサ61は、クランクロータ130により、クランクシャフト19の回転角を10°ごとに検出させることができるとともに、クランクロータ130の欠歯した箇所により、クランクシャフト19の回転位置を検出させることができるようになっている。
【0085】
図4に示すように、ハイブリッドECU14は、クランク角センサ61によって検出されたクランクシャフト19の回転角を30°毎にカウントし、クランクシャフト19が720°回転したときにカウント値をリセットするクランクカウンタを有している。
【0086】
例えば、図5に示すように、クランクカウンタのカウント値が0のときに1番目の気筒103内のピストン104が上死点になるものとすると、カウント値が6のときに3番目の気筒103内のピストン104が上死点になり、カウント値が12のときに4番目の気筒103内のピストン104が上死点になり、カウント値が18のときに2番目の気筒103内のピストン104が上死点になる。
【0087】
したがって、ハイブリッドECU14は、CPU14aが有する内部タイマを用いて、カウント値が0になってから6になるまでの時間を計測することにより1番目の気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度を算出することができ、カウント値が6になってから12になるまでの時間を計測することにより3番目の気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度を算出することができ、カウント値が12になってから18になるまでの時間を計測することにより4番目の気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度を算出することができ、カウント値が12になってから18になるまでの時間を計測することにより2番目の気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度を算出することができる。
【0088】
図1において、ハイブリッドECU14は、触媒115を暖機するために、IG60がオンされ、エンジン10が始動し、エンジン10が所定の回転速度(例えば、1300rpm)になってから、触媒115が暖機されたときの冷却水の温度が水温センサ62によって検出されるまでの間、触媒暖機制御を実行するようになっている。
【0089】
触媒暖機制御を実行するにあたって、ハイブリッドECU14は、複数の気筒103内の各点火時期を遅角させるようにエンジンECU15を制御するようになっている。このように、ハイブリッドECU14は、本発明における点火遅角制御手段を構成する。
【0090】
ハイブリッドECU14は、複数の気筒103のなかで何れかの気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度と基準回転速度との差が閾値以上であることが予め定められた回数N1以上連続したことを条件として、複数の気筒103内の各点火時期の遅角を中断するようにエンジンECU15を制御するようになっている。
【0091】
本実施の形態において、ハイブリッドECU14は、触媒暖機制御を実行している間は、エンジン10の回転速度を一定にするようにエンジンECU15を制御するようになっている。このため、ハイブリッドECU14は、基準回転速度および閾値をそれぞれ予め定められた一定値としてエンジンECU15を制御するようになっている。
【0092】
また、ハイブリッドECU14は、複数の気筒103内の各点火時期の遅角を中断するようにエンジンECU15を制御している状態で、各気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度と基準回転速度との差が閾値未満であることが予め定められた回数N2以上連続したことを条件として、複数の気筒103内の各点火時期の遅角を実行するようにエンジンECU15を制御するようになっている。
【0093】
具体的には、ハイブリッドECU14は、複数の気筒103のなかで何れかの気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度と基準回転速度との差が連続して閾値以上となった回数をカウントする異常燃焼カウンタと、各気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度と基準回転速度との差が連続して閾値未満となった正常燃焼カウンタを有する。
【0094】
ハイブリッドECU14は、異常燃焼カウンタのカウント値Ciが回数N1以上となったときに、複数の気筒103内の各点火時期の遅角を中断するようにエンジンECU15を制御し、正常燃焼カウンタのカウント値Crが回数N2以上となったときに、複数の気筒103内の各点火時期の遅角を実行するようにエンジンECU15を制御するようになっている。本実施の形態において、N1およびN2は、それぞれ10とする。
【0095】
次に、ハイブリッドECU14の触媒暖機制御動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図5に示すフローチャートは、触媒暖機制御中に、繰り返し実行される。また、最初に触媒暖機制御動作を実行する前の準備動作として、ハイブリッドECU14は、異常燃焼カウンタのカウント値Ciおよび正常燃焼カウンタのカウント値Crを共に0にリセットしておく。
【0096】
図5において、まず、ハイブリッドECU14は、各気筒103の燃焼行程におけるエンジン10の回転速度と基準回転速度との差(以下、単に「回転変動」という)を算出する(ステップS1)。
【0097】
次に、ハイブリッドECU14は、回転変動が閾値以上となった気筒103があったか否かを判断する(ステップS2)。ここで、回転変動が閾値以上となった気筒103があったと判断した場合には、ハイブリッドECU14は、異常燃焼カウンタのカウント値Ciをインクリメントし(ステップS3)、正常燃焼カウンタのカウント値Crを0にリセットする(ステップS4)。
【0098】
一方、回転変動が閾値以上となった気筒103がなかったと判断した場合には、ハイブリッドECU14は、異常燃焼カウンタのカウント値Ciが予め定められた回数N1以上であるか否か、すなわち、各気筒103内の点火時期の遅角が中断されているか否かを判断する(ステップS5)。
【0099】
ここで、異常燃焼カウンタのカウント値Ciが回数N1以上であると判断された場合には、ハイブリッドECU14は、正常燃焼カウンタのカウント値Crをインクリメントし(ステップS6)、正常燃焼カウンタのカウント値Crが予め定められた回数N2以上であるか否かを判断する(ステップS7)。
【0100】
ここで、正常燃焼カウンタのカウント値Crが回数N2以上であると判断した場合には、ハイブリッドECU14は、異常燃焼カウンタのカウント値Ciを0にリセットする(ステップS8)。
【0101】
また、ステップS5において、異常燃焼カウンタのカウント値Ciが回数N1以上でないと判断された場合には、ハイブリッドECU14は、異常燃焼カウンタのカウント値Ciを0にリセットする(ステップS8)。
【0102】
以上のように、正常燃焼カウンタのカウント値Crおよび異常燃焼カウンタのカウント値Ciの設定が完了すると、ハイブリッドECU14は、異常燃焼カウンタのカウント値Ciが回数N1以上であるか否かを判断する(ステップS9)。
【0103】
ここで、異常燃焼カウンタのカウント値Ciが回数N1以上であると判断した場合には、ハイブリッドECU14は、各気筒103内の点火時期の遅角を中断する(ステップS10)。
【0104】
ここで、異常燃焼カウンタのカウント値Ciが回数N1以上でないと判断した場合には、ハイブリッドECU14は、各気筒103内の点火時期の遅角を実行する(ステップS11)。
【0105】
以上のように、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の制御装置は、触媒115を暖機するために各気筒103内の点火時期を遅角させているときに、何れかの気筒103の異常燃焼が連続して発生したことを条件として、複数の気筒103内の各点火時期の遅角を中断するため、燃焼異常が発生した気筒103内の燃焼を改善すると共に、排気特性の悪化を抑制することができる。
【0106】
なお、本実施の形態においては、ハイブリッドECU14が、触媒暖機制御を実行している間は、エンジン10の回転速度を一定にするようにエンジンECU15を制御することにより、基準回転速度を予め定められた一定値とする例について説明した。
【0107】
これに対し、本発明においては、ハイブリッドECU14がエンジン10の回転速度を一定にするようにエンジンECU15を制御するのに代えて、ROM14b等に基準回転速度とエンジン10の回転速度との対応関係を表すマップを予め格納しておき、ハイブリッドECU14が、このマップに基づいて基準回転速度を導出するようにしてもよい。
【0108】
また、本実施の形態においては、ハイブリッドECU14が、触媒暖機制御を実行している間は、エンジン10の回転速度を一定にするようにエンジンECU15を制御することにより、閾値を予め定められた一定値とする例について説明した。
【0109】
これに対し、本発明においては、ハイブリッドECU14がエンジン10の回転速度を一定にするようにエンジンECU15を制御するのに代えて、ROM14b等に閾値とエンジン10の回転速度との対応関係を表すマップを予め格納しておき、ハイブリッドECU14が、このマップに基づいて閾値を導出するようにしてもよい。
【0110】
以上のように、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、触媒の暖機中に、燃焼異常が発生した気筒内の燃焼を改善すると共に、排気特性の悪化を抑制することができるという効果を奏するものであり、動力分配機構が設けられたハイブリッド車両の制御装置に有用である。
【符号の説明】
【0111】
MG1、MG2 モータジェネレータ
1 ハイブリッド車両
10 エンジン
11L、11R ドライブシャフト
12L、12R 駆動輪
13 動力伝達装置
14 ハイブリッドECU(点火遅角制御手段)
15 エンジンECU(点火時期調整手段)
17 減速機
18 動力分配機構
19 クランクシャフト
40 カウンタドライブギヤ
50、51 インバータ
52 バッテリ
54 モータECU
58 バッテリECU
60 IG
61 クランク角センサ
62 水温センサ
103 気筒
104 ピストン
105 燃焼室
115 触媒
122 インジェクタ
123 点火プラグ
124 空燃比センサ
130 クランクロータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
回転電機と、
前記内燃機関によって発生された動力を駆動輪側に伝達する動力と前記回転電機を駆動する動力とに分配する動力分配機構と、
前記内燃機関の排気を浄化する触媒と、が設けられたハイブリッド車両の制御装置において、
前記内燃機関に形成された複数の気筒内の各点火時期を調整する点火時期調整手段と、
前記触媒の暖機中に、前記複数の気筒内の各点火時期を遅角させるように前記点火時期調整手段を制御する点火遅角制御手段と、を備え、
前記点火遅角制御手段は、前記複数の気筒のなかで何れかの気筒の燃焼行程における前記内燃機関の回転速度と基準回転速度との差が閾値以上であることが予め定められた回数以上連続したことを条件として、前記複数の気筒内の各点火時期の遅角を中断するように前記点火時期調整手段を制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記点火遅角制御手段は、前記複数の気筒内の各点火時期の遅角を中断するように前記点火時期調整手段を制御している状態で、前記各気筒の燃焼行程における前記内燃機関の回転速度と前記基準回転速度との差が前記閾値未満であることが予め定められた回数以上連続したことを条件として、前記複数の気筒内の各点火時期の遅角を実行するように前記点火時期調整手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
前記点火遅角制御手段は、前記触媒が暖機されている間の前記内燃機関の回転速度が一定であることを条件として、前記基準回転速度を予め定められた一定値として前記点火時期調整手段を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
前記点火遅角制御手段は、前記触媒が暖機されている間の前記内燃機関の回転速度が一定であることを条件として、前記閾値を予め定められた一定値として前記点火時期調整手段を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87654(P2013−87654A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226958(P2011−226958)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】