説明

ハイブリッド車両

【課題】車両の室内外を連通する開閉機構の開閉状態に応じてこもり音が発生しないように内燃機関を制御する。
【解決手段】ECUは、複数の開閉機構の開閉状態に応じて、サンルーフが開状態である場合に対応した第1動作線と、窓が開状態である場合に対応した第2動作線と、ドアが開状態である場合に対応した第3動作線と、荷室扉が開状態である場合に対応した第4動作線とのうちの少なくともいずれか一つの動作線を選択して、エンジンのトルクと回転数との座標平面上におけるエンジンに対する要求パワーに対応した等パワー線上の、選択された動作線との交点および複数の開閉機構のいずれもが閉状態である場合に対応した第5動作線との交点のうちのエンジン回転数が最大となる交点を目標動作点としてエンジンを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に搭載された内燃機関の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関と電動機とを含むハイブリッド車両が公知である。このようなハイブリッド車両においては、内燃機関から出力されるトルクの変動によりこもり音等の騒音が発生するという問題がある。このような問題に対して、特開2008−120177号公報(特許文献1)は、こもり音等の騒音が検出された場合に、当該騒音が発生しないような運転領域になるようにエンジンを制御する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−120177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サンルーフや窓等の車両の室内外を連通する開閉機構の開閉状態によっては、こもり音等の騒音が発生する内燃機関の運転領域は変化する場合がある。そのため、こもり音が発生しないような運転領域を一律に設定した場合には、開閉機構の開閉状態によってはこもり音が発生したり、あるいは、不必要に燃費が悪化する動作線に沿って内燃機関を制御したりする可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両の室内外を連通する開閉機構の開閉状態に応じてこもり音が発生しないように内燃機関を制御するハイブリッド車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に係るハイブリッド車両は、内燃機関と、内燃機関を始動させるための第1回転電機と、駆動輪に連結される第2回転電機と、内燃機関の出力軸、第1回転電機の回転軸および第2回転電機の回転軸の三要素の各々を機械的に連結し、三要素のうちのいずれか一つを反力要素とすることによって、他の2つの要素間での動力伝達が可能な動力伝達装置と、車両に設けられるサンルーフ、窓、ドアおよび荷室扉を含む複数の開閉機構と、内燃機関の回転数とトルクとの座標平面上においてこもり音が発生する運転領域を避けるように規定される動作線にしたがって内燃機関に対する要求パワーを満たすように内燃機関を制御するための制御部とを含む。制御部は、複数の開閉機構の開閉状態に応じて、サンルーフが開状態である場合に対応した第1動作線と、窓が開状態である場合に対応した第2動作線と、ドアが開状態である場合に対応した第3動作線と、荷室扉が開状態である場合に対応した第4動作線とのうちの少なくともいずれか一つの動作線を選択して、座標平面上における要求パワーに対応した等パワー線上の、選択された動作線との交点および複数の開閉機構のいずれもが閉状態である場合に対応した第5動作線との交点のうちの内燃機関の回転数が最大となる交点を動作点として内燃機関を制御する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によると、サンルーフ、窓、ドアおよび荷室扉の各開閉状態に応じた動作線を用いて内燃機関を制御することができるため、こもり音の発生を抑制しつつ、不必要に燃費が悪化することを抑制することができる。したがって、車両の室内外を連通する開閉機構の開閉状態に応じてこもり音が発生しないように内燃機関を制御するハイブリッド車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態に係るハイブリッド車両の全体ブロック図である。
【図2】本実施の形態に係るハイブリッド車両に搭載されたECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャート(その1)である。
【図3】本実施の形態に係るハイブリッド車両に搭載されたECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャート(その2)である。
【図4】エンジンの始動時に実行される第2MGを用いたこもり音低減制御を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】エンジンの停止時に実行される第2MGを用いたこもり音低減制御を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】サンルーフ、窓、ドアおよび荷室扉の各々が開状態である場合にこもり音が発生する運転領域を回避するための動作線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態は、説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返されない。
【0010】
図1を参照して、本実施の形態に係るハイブリッド車両1(以下、単に車両1と記載する)の全体ブロック図が説明される。車両1は、エンジン10と、トランスミッション8と、PCU(Power Control Unit)60と、バッテリ70と、駆動輪80と、ECU(Electronic Control Unit)200とを含む。
【0011】
トランスミッション8は、第1モータジェネレータ(以下、第1MGと記載する)20と、第2モータジェネレータ(以下、第2MGと記載する)30と、動力分割装置40と、減速機58とを含む。
【0012】
この車両1は、エンジン10および第2MG30の少なくとも一方から出力される駆動力によって走行する。エンジン10が発生する動力は、動力分割装置40によって2経路に分割される。2経路のうちの一方の経路は減速機58を経由して駆動輪80へ伝達される経路であり、他方の経路は第1MG20へ伝達される経路である。
【0013】
第1MG20および第2MG30は、たとえば、三相交流回転電機である。第1MG20および第2MG30は、PCU60によって駆動される。
【0014】
第1MG20は、動力分割装置40によって分割されたエンジン10の動力を用いて発電してPCU60を経由してバッテリ70を充電するジェネレータとしての機能を有する。また、第1MG20は、バッテリ70からの電力を受けてエンジン10の出力軸であるクランク軸を回転させる。これによって、第1MG20は、エンジン10を始動するスタータとしての機能を有する。
【0015】
第2MG30は、バッテリ70に蓄えられた電力および第1MG20により発電された電力の少なくともいずれか一方を用いて駆動輪80に駆動力を与える駆動用モータとしての機能を有する。また、第2MG30は、回生制動によって発電された電力を用いてPCU60を経由してバッテリ70を充電するためのジェネレータとしての機能を有する。
【0016】
エンジン10は、たとえば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン10は、複数の気筒102を含む。なお、気筒102は、一つ以上あればよい。
【0017】
さらに、エンジン10のクランク軸に対向した位置には、エンジン回転数センサ11が設けられる。エンジン回転数センサ11は、エンジン10のクランク軸の回転速度(以下、エンジン回転数と記載する)Neを検出する。エンジン回転数センサ11は、検出されたエンジン回転数Neを示す信号をECU200に送信する。
【0018】
動力分割装置40は、エンジン10の出力軸、第1MG20の回転軸および第2MG30の回転軸32の三要素の各々を機械的に連結する動力伝達装置である。動力分割装置40は、上述の三要素のうちのいずれか一つを反力要素とすることによって、他の2つの要素間での動力の伝達を可能とする。動力分割装置40は、第1遊星歯車装置41と、第2遊星歯車装置42とを含む。
【0019】
第1遊星歯車装置41は、第1サンギヤ50と、第1ピニオンギヤ52と、第1キャリア54と、第1リングギヤ56とを含む。第1ピニオンギヤ52は、第1サンギヤ50および第1リングギヤ56の各々と噛み合う。第1キャリア54は、第1ピニオンギヤ52を自転可能に支持するとともに、エンジン10のクランク軸に連結される。第1サンギヤ50は、第1MG20の回転軸に連結される。第1リングギヤ56は、第2遊星歯車装置42の第2リングギヤ256に連結される。第1リングギヤ56の外周部分にはギヤが設けられ、減速機58に含まれるギヤと噛み合う。
【0020】
第2遊星歯車装置42は、第2サンギヤ250と、第2ピニオンギヤ252と、第2キャリア254と、第2リングギヤ256とを含む。第2ピニオンギヤ252は、第2サンギヤ250および第2リングギヤ256の各々と噛み合う。第2キャリア254は、第2ピニオンギヤ252を自転可能に支持するとともに、トランスミッション8の筐体に固定される。第2サンギヤ250は、第2MG30の回転軸32に連結される。
【0021】
減速機58は、動力分割装置40からの動力を駆動輪80に伝達する。また、減速機58は、駆動輪80が受けた路面からの反力を動力分割装置40に伝達する。
【0022】
PCU60は、バッテリ70に蓄えられた直流電力を第1MG20および第2MG30を駆動するための交流電力に変換する。PCU60は、ECU200からの制御信号S2に基づいて制御されるコンバータおよびインバータ(いずれも図示せず)を含む。コンバータは、バッテリ70から受けた直流電力の電圧を昇圧してインバータに出力する。インバータは、コンバータが出力した直流電力を交流電力に変換して第1MG20および/または第2MG30に出力する。これにより、バッテリ70に蓄えられた電力を用いて第1MG20および/または第2MG30が駆動される。また、インバータは、第1MG20および/または第2MG30によって発電される交流電力を直流電力に変換してコンバータに出力する。コンバータは、インバータが出力した直流電力の電圧を降圧してバッテリ70へ出力する。これにより、第1MG20および/または第2MG30により発電された電力を用いてバッテリ70が充電される。なお、コンバータは、省略してもよい。
【0023】
バッテリ70は、蓄電装置であり、再充電可能な直流電源である。バッテリ70としては、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池が用いられる。バッテリ70の電圧は、たとえば200V程度である。バッテリ70は、上述したように第1MG20および/または第2MG30により発電された電力を用いて充電される他、外部電源(図示せず)から供給される電力を用いて充電されてもよい。なお、バッテリ70は、二次電池に限らず、直流電圧を生成できるもの、たとえば、キャパシタ、太陽電池、燃料電池等であってもよい。
【0024】
第1レゾルバ12は、第1MG20に設けられる。第1レゾルバ12は、第1MG20の回転速度Nm1を検出する。第1レゾルバ12は、検出された回転速度Nm1を示す信号をECU200に送信する。
【0025】
第2レゾルバ13は、第2MG30に設けられる。第2レゾルバ13は、第2MG30の回転速度Nm2を検出する。第2レゾルバ13は、検出された回転速度Nm2を示す信号をECU200に送信する。
【0026】
車輪速センサ14は、駆動輪80の回転速度Nwを検出する。車輪速センサ14は、検出された回転速度Nwを示す信号をECU200に送信する。ECU200は、受信した回転速度Nwに基づいて車両1の速度Vを算出する。なお、ECU200は、回転速度Nwに代えて第2MG30の回転速度Nm2に基づいて車両1の速度Vを算出するようにしてもよい。
【0027】
サンルーフ開閉センサ152は、サンルーフ151の開閉状態を検出する。サンルーフ開閉センサ152は、サンルーフ151の開閉状態を示す信号DsをECU200に送信する。サンルーフ開閉センサ152は、たとえば、サンルーフ151が所定量だけ開いた開状態になる場合にオン信号をECU200に送信するスイッチである。
【0028】
窓開閉センサ154は、窓153の開閉状態を検出する。窓開閉センサ154は、窓153の開閉状態を示す信号DwをECU200に送信する。窓開閉センサ154は、たとえば、窓153が所定量だけ開いた状態になる場合にオン信号をECU200に送信するスイッチである。
【0029】
ドア開閉センサ156は、ドア155の開閉状態を検出する。ドア開閉センサ156は、ドア155の開閉状態を示す信号DdをECU200に送信する。ドア開閉センサ156は、たとえば、ドアノブの操作によりドア155の回動が可能となった場合にオン信号をECU200に送信するスイッチである。
【0030】
荷室扉開閉センサ158は、荷室扉157の開閉状態を検出する。荷室扉開閉センサ158は、荷室扉157の開閉状態を示す信号DtをECU200に送信する。なお、荷室扉157は、たとえば、トランク扉やハッチを含む。荷室扉開閉センサ158は、たとえば、荷室扉157の解放操作がなされて荷室扉157の回動が可能となった場合にオン信号をECU200に送信するスイッチである。
【0031】
本実施の形態においては、車両1の室内外を連通する開閉機構として、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157を一例として挙げたが特にこれらに限定されるものではない。
【0032】
アクセルペダル160は、運転席に設けられる。アクセルペダル160には、ペダルストロークセンサ162が設けられる。ペダルストロークセンサ162は、アクセルペダル160のストローク量APを検出する。ペダルストロークセンサ162は、ストローク量APを示す信号をECU200に送信する。なお、ペダルストロークセンサ162に代えてアクセルペダル160に対する乗員の踏力を検出するためのアクセルペダル踏力センサを用いてもよい。
【0033】
ECU200は、エンジン10を制御するための制御信号S1を生成し、その生成した制御信号S1をエンジン10へ出力する。また、ECU200は、PCU60を制御するための制御信号S2を生成し、その生成した制御信号S2をPCU60へ出力する。
【0034】
ECU200は、エンジン10およびPCU60等を制御することによって車両1が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体、すなわち、バッテリ70の充放電状態、エンジン10、第1MG20および第2MG30の動作状態を制御する。
【0035】
ECU200は、運転席に設けられたアクセルペダル160のストローク量APに対応する要求駆動力を算出する。ECU200は、算出された要求駆動力に応じて、第1MG20および第2MG30のトルクと、エンジン10の出力とを制御する。
【0036】
上述したような構成を有する車両1においては、通常走行時には、たとえば動力分割装置40によりエンジン10の動力が2経路の動力に分けられる。一方の動力で駆動輪80が直接的に駆動される。他方の動力で第1MG20を駆動して発電が行なわれる。このとき、ECU200は、発電された電力を用いて第2MG30を駆動させる。このように第2MG30を駆動させることにより駆動輪80の駆動補助が行なわれる。
【0037】
ECU200は、最適な燃費特性が得られるように予め規定された動作線に沿って動作するようにエンジン10を制御する。この動作線は、縦軸をエンジントルクTeとし、横軸をエンジン回転数Neとした座標平面(以下、トルク−回転数平面と記載する)上に予め規定される。この動作線は、トルク−回転数平面上に実験等によって複数の等燃費線を特定した上で、燃費の低い最も内側の領域を通過するように規定される。動作線は、燃費が低い最も内側の領域を可能な限り長い回転数範囲で通過するように規定されることが望ましい。
【0038】
この動作線は、たとえば、所定回転数でエンジントルクTeがピークとなるように規定される。この動作線は、自立回転数(エンジントルクゼロ)から当該所定回転数までは、回転数が増加するほどエンジントルクTeは増加するように規定される。さらに、この動作線は、当該所定回転数を超える場合には、回転数が増加するほどエンジントルクTeは緩やかに低下するように規定される。以下の説明においては、エンジン10の燃費を考慮して規定された動作線を最適燃費動作線と記載する。
【0039】
一方、エンジントルクTeの変動や、排気音、吸気音あるいは車両1に設けられるギヤ機構のギヤノイズによる騒音が車両1の車体に伝達されて車内に放出されることによりこもり音が発生する。こもり音は、20〜250Hzの周波数帯の低周波音である。そのため、動作線は、トルク−回転数平面上における最適燃費動作線において上述のこもり音が発生する領域を回避するように規定される。
【0040】
さらに、ECU200は、エンジン10の始動時あるいは停止時のエンジントルクTeに変動が生じる場合に、エンジントルクTeの変動に起因するこもり音の発生を抑制するように第2MG30のゲインを決定し、決定されたゲインに基づいて第2MG30を制御する。
【0041】
しかしながら、サンルーフ151、窓153、ドア155あるいは荷室扉157など開閉機構が車両1に設けられている場合には、いずれかの開閉機構が開くことによって、車両1に発生するこもり音のレベルが異なる。これは、いずれかの開閉機構が開くことによって、振動の伝達系の剛性が変化することにより感度、音響特性あるいは振動状態が変化するためである。
【0042】
そのため、こもり音が発生する領域の変化を考慮せずに一律に動作線や制御ゲインを決定する場合には、開閉機構の開閉状態によってはこもり音が発生したり、不必要に燃費の悪化する動作線に沿って内燃機関を制御したりする場合がある。
【0043】
そこで、本実施の形態においては、ECU200が、トルク−回転数平面上においてこもり音が発生する運転領域を避けるように規定される動作線にしたがってエンジン10に対する要求パワーを満たすようにエンジン10を制御する点に特徴を有する。
【0044】
より具体的には、ECU200は、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157の開閉状態に応じて、サンルーフ151が開状態である場合に対応した第1動作線と、窓153が開状態である場合に対応した第2動作線と、ドア155が開状態である場合に対応した第3動作線と、荷室扉157が開状態である場合に対応した第4動作線とのうちの少なくともいずれか一つの動作線を選択して、トルク−回転数平面上における要求パワーに対応した等パワー線上の、選択された動作線との交点および上述の開閉機構のいずれもが閉状態である場合に対応した第5動作線との交点のうちのエンジン回転数Neが最大となる交点を目標動作点としてエンジン10を制御する点を特徴とする。
【0045】
図2および図3を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0046】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU200は、エンジン10に対する要求パワーに基づいて、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157が閉状態である場合のベース目標動作点を決定する。ベース目標動作点は、エンジントルクTeの目標値と、エンジン回転数Neの目標値とを含む。
【0047】
ECU200は、たとえば、アクセルペダルの踏み込み量APおよび車速Vに基づいて車両1に対する要求パワーを算出する。ECU200は、算出された車両1に対する要求パワーから第2MG30の負担パワーを減算することによって、エンジン10に対する要求パワーを算出する。
【0048】
ECU200は、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157がいずれも閉状態である場合の、第1こもり音低減ベースマップと、第2こもり音低減ベースマップと、第3こもり音低減ベースマップと、第4こもり音低減ベースマップとに基づいてベース目標動作点を決定する。
【0049】
第1こもり音低減ベースマップは、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157がいずれも閉状態である場合にエンジントルクTeの変動に起因するこもり音が発生する運転領域を避けるようにして規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0050】
第2こもり音低減ベースマップは、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157がいずれも閉状態である場合に、減速機58に含まれるディファレンシャルギヤのバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるようにして規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0051】
第3こもり音低減ベースマップは、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157がいずれも閉状態である場合に、動力分割装置40に含まれる遊星歯車装置のバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるようにして規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0052】
第4こもり音低減ベースマップは、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157がいずれも閉状態である場合の、排気音に起因するこもり音(排気こもり)が発生する運転領域を避けるようにして規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。排気こもりは、排気管やマフラーでの排気の音圧変化により生じるこもり音である。
【0053】
ECU200は、トルク−回転数平面上において、エンジン10に対する要求パワーに対応した等パワー線と、第1こもり音低減ベースマップ、第2こもり音低減ベースマップ、第3こもり音低減ベースマップおよび第4こもり音低減ベースマップの各々の動作線との交点を特定する。ECU200は、特定された4つの交点のうちのエンジン回転数Neが最大となる交点をベース目標動作点として決定する。
【0054】
S102にて、ECU200は、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157が閉状態である場合の、エンジン10の始動時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGaと、エンジン10の停止時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGbとを決定する。
【0055】
ECU200は、エンジン10の始動時において、第2MG30を用いて駆動系の捩れによる共振を低減するように第2MG30のトルクを上昇させる。たとえば、図4の実線に示すように、ECU200は、時間T(0)にて、エンジン10を始動させる場合には、第2MG30のトルクを時間の経過とともに上昇させる。このときの第2MG30のトルクの立ち上がりの急峻の程度は、制御ゲインGaにより定まる。すなわち、制御ゲインGaが大きくなるほど、図4の破線および一点鎖線に示すように、エンジン10の始動時における第2MG30のトルクの上昇は緩やかになる。
【0056】
さらに、ECU200は、エンジン10の停止時において、第2MG30を用いて駆動系の捩れによる共振を低減するように第2MG30のトルクを低下させる。たとえば、図5の実線に示すように、ECU200は、時間T(1)にて、エンジン10を停止させる場合には、第2MG30のトルクを時間の経過とともに低下させる。このときの第2MG30のトルクの立ち下りの急峻の程度は、制御ゲインGbにより定まる。すなわち、制御ゲインGbが大きくなるほど、図5の破線および一点鎖線に示すように、エンジン10の始動時における第2MG30のトルクの低下は緩やかになる。
【0057】
制御ゲインGa,Gbの各々は、たとえば、駆動系の捩れによる共振に起因したこもり音を低減できるように設定された所定値であって実験等によって適合される値である。また、制御ゲインGa,Gbの各々は、たとえば、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157以外の車両1の状態に基づいて設定される値であってもよい。たとえば、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157が閉状態である場合の車両1の状態が、駆動系の捩れによる共振に起因したこもり音の程度が許容値よりも悪化する状態になる場合には、図4の破線または一点鎖線あるいは図5の破線または一点鎖線に示すような変化になるように、制御ゲインGa,Gbが大きくなるように設定されてもよい。以下の説明において、制御ゲインGa,Gbをベース制御ゲインGa,Gbと記載する。
【0058】
S104にて、ECU200は、サンルーフ151が開状態であるか否かを判定する。ECU200は、たとえば、サンルーフ開閉センサ152からのサンルーフ151が開状態であることを示す信号Dsを受信している場合にはサンルーフ151が開状態であると判定する。サンルーフ151が開状態である場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでない場合(S104にてNO)、処理はS114に移される。
【0059】
S106にて、ECU200は、エンジン10に対する要求パワーに基づいて、サンルーフ151が開状態である場合の第1目標動作点を決定する。
【0060】
ECU200は、サンルーフ151が開状態である場合に用いられる、第1こもり音低減マップと、第2こもり音低減マップと、第3こもり音低減マップと、第4こもり音低減マップとに基づいて第1目標動作点を決定する。
【0061】
図6の左端の列には、サンルーフ151が開状態である場合における第1こもり音低減マップと、第2こもり音低減マップと、第3こもり音低減マップと、第4こもり音低減マップとが示される。これらのマップは、サンルーフ151を開状態にして、実験等により適合される。
【0062】
図6の最上段の第1こもり音低減マップは、サンルーフ151が開状態である場合にエンジントルクTeの変動に起因するこもり音が発生する運転領域を避けるようにして規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。なお、図6に示す各マップは、最適燃費線(図6の細線)と異なる部分のみを太線で記載しており、それ以外の回転数領域においては、最適燃費線と同一であるものとする。
【0063】
図6の上から2段目の第2こもり音低減避マップは、サンルーフ151が開状態である場合に、減速機58に含まれるディファレンシャルギヤのバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるようにして規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0064】
図6の下から2段目の第3こもり音低減マップは、サンルーフ151が開状態である場合に、動力分割装置40に含まれる遊星歯車装置のバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるようにして規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0065】
図6の最下段の第4こもり音低減マップは、サンルーフ151が開状態である場合に排気音に起因するこもり音(排気こもり)が発生する運転領域を避けるようにして規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0066】
ECU200は、トルク−回転数平面上において、エンジン10に対する要求パワーに対応した等パワー線と、図6の左端の列に示される第1こもり音低減マップ、第2こもり音低減マップ、第3こもり音低減マップおよび第4こもり音低減マップの各々の動作線との交点を特定する。ECU200は、特定された4つの交点のうちのエンジン回転数Neが最大となる交点を第1目標動作点として決定する。
【0067】
S108にて、ECU200は、サンルーフ151が開状態である場合の、エンジン10の始動時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGa(1)と、エンジン10の停止時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGb(1)とを決定する。制御ゲインGa(1),Gb(1)の各々は、たとえば、所定値である。制御ゲインGa(1),Gb(1)の各々は、ベース制御ゲインGa,Gbと異なる値であってもよいし、同一の値であってもよい。以下の説明において制御ゲインGa(1),Gb(1)を第1制御ゲインGa(1),Gb(1)と記載する。
【0068】
S110にて、ECU200は、第1目標動作点と、S100にて決定されたベース目標動作点とのうちのエンジン回転数Neが大きい方の目標動作点を選択する。S112にて、ECU200は、第1制御ゲインGa(1),Gb(0)と、ベース制御ゲインGa,Gbとをそれぞれ比較して、大きい方の制御ゲインをそれぞれ選択する。
【0069】
S114にて、ECU200は、窓153が開状態であるか否かを判定する。ECU200は、たとえば、窓開閉センサ154からの窓153が開状態であることを示す信号Dwを受信している場合には窓153が開状態であると判定する。窓153が開状態である場合(S114にてYES)、処理はS116に移される。もしそうでない場合(S114にてNO)、処理はS124に移される。
【0070】
S116にて、ECU200は、エンジン10に対する要求パワーに基づいて、窓153が開状態である場合の第2目標動作点を決定する。
【0071】
ECU200は、窓153が開状態である場合に用いられる、第1こもり音低減マップと、第2こもり音低減マップと、第3こもり音低減マップと、第4こもり音低減マップとに基づいて第2目標動作点を決定する。
【0072】
図6の左から2つ目の列には、窓153が開状態である場合における第1こもり音低減マップと、第2こもり音低減マップと、第3こもり音低減マップと、第4こもり音低減マップとが示される。これらのマップは、窓153を開状態にして、実験等により適合される。
【0073】
図6の最上段の第1こもり音低減マップは、窓153が開状態である場合にエンジントルクTeの変動に起因するこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0074】
図6の上から2段目の第2こもり音低減マップは、窓153が開状態である場合に、減速機58に含まれるディファレンシャルギヤのバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0075】
図6の下から2段目の第3こもり音低減マップは、窓153が開状態である場合に、動力分割装置40に含まれる遊星歯車装置のバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0076】
図6の最下段の第4こもり音低減マップは、窓153が開状態である場合に排気音に起因するこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0077】
ECU200は、トルク−回転数平面上において、エンジン10に対する要求パワーに対応した等パワー線と、図6の左から2つ目の列に示される第1こもり音低減マップ、第2こもり音低減マップ、第3こもり音低減マップおよび第4こもり音低減マップの各々の動作線との交点を特定する。ECU200は、特定された4つの交点のうちのエンジン回転数Neが最大となる交点を第2目標動作点として決定する。
【0078】
S118にて、ECU200は、窓153が開状態である場合の、エンジン10の始動時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGa(2)と、エンジン10の停止時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGb(2)とを決定する。制御ゲインGa(2),Gb(2)の各々は、たとえば、所定値である。制御ゲインGa(2),Gb(2)の各々は、ベース制御ゲインGa,Gbと異なる値であってもよいし、同一の値であってもよい。以下の説明において、制御ゲインGa(2),Gb(2)を第2制御ゲインGa(2),Gb(2)と記載する。
【0079】
S120にて、ECU200は、直前の処理(すなわち、S100あるいはS110の処理)にて選択された目標動作点(ベース目標動作点あるいは第1目標動作点)と、S116にて決定された第2目標動作点とのうちのエンジン回転数Neが大きい方の目標動作点を選択する。
【0080】
S122にて、ECU200は、直前の処理(すなわち、S102あるいはS112のの処理)にて決定あるいは選択された制御ゲインと、S118にて決定された第2制御ゲインGa(2),Gb(2)とをそれぞれ比較して、大きい方の制御ゲインをそれぞれ選択する。
【0081】
S124にて、ECU200は、ドア155が開状態であるか否かを判定する。ECU200は、たとえば、ドア開閉センサ156からのドア155が開状態であることを示す信号Ddを受信している場合にはドア155が開状態であると判定する。ドア155が開状態である場合(S124にてYES)、処理はS126に移される。もしそうでない場合(S124にてNO)、処理はS134に移される。
【0082】
S126にて、ECU200は、エンジン10に対する要求パワーに基づいて、ドア155が開状態である場合の第3目標動作点を決定する。
【0083】
ECU200は、ドア155が開状態である場合に用いられる、第1こもり音低減マップと、第2こもり音低減マップと、第3こもり音低減マップと、第4こもり音低減マップとに基づいて第3目標動作点を決定する。
【0084】
図6の右から2つ目の列には、ドア155が開状態である場合における第1こもり音低減マップと、第2こもり音低減マップと、第3こもり音低減マップと、第4こもり音低減マップとが示される。これらのマップは、ドア155を開状態にして、実験等により適合される。
【0085】
図6の最上段の第1こもり音低減マップは、ドア155が開状態である場合にエンジントルクTeの変動に起因するこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0086】
図6の上から2段目の第2こもり音低減マップは、ドア155が開状態である場合に、減速機58に含まれるディファレンシャルギヤのバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0087】
図6の下から2段目の第3こもり音低減マップは、ドア155が開状態である場合に、動力分割装置40に含まれる遊星歯車装置のバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0088】
図6の最下段の第4こもり音低減マップは、ドア155が開状態である場合に、排気音に起因するこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0089】
ECU200は、トルク−回転数平面上において、エンジン10に対する要求パワーに対応した等パワー線と、図6の右から2つ目の列に示される第1こもり音低減マップ、第2こもり音低減マップ、第3こもり音低減マップおよび第4こもり音低減マップの各々の動作線との交点を特定する。ECU200は、特定された4つの交点のうちのエンジン回転数Neが最大となる交点を第3目標動作点として決定する。
【0090】
S128にて、ECU200は、ドア155が開状態である場合の、エンジン10の始動時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGa(3)と、エンジン10の停止時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGb(3)とを決定する。制御ゲインGa(3),Gb(3)の各々は、たとえば、所定値である。制御ゲインGa(3),Gb(3)の各々は、ベース制御ゲインGa,Gbと異なる値であってもよいし、同一の値であってもよい。以下の説明において、制御ゲインGa(3),Gb(3)を第3制御ゲインGa(3),Gb(3)と記載する。
【0091】
S130にて、ECU200は、直前の処理(すなわち、S100、S110あるいはS120の処理)にて選択された目標動作点と、S126にて決定された第3目標動作点とのうちのエンジン回転数Neが大きい方の目標動作点を選択する。
【0092】
S132にて、ECU200は、直前の処理(すなわち、S102、S112あるいはS122の処理)にて決定あるいは選択された制御ゲインと、S128にて決定された第3制御ゲインGa(3),Gb(3)とをそれぞれ比較して、大きい方の制御ゲインをそれぞれ選択する。
【0093】
S134にて、ECU200は、荷室扉157が開状態であるか否かを判定する。ECU200は、たとえば、荷室扉開閉センサ158からの荷室扉157が開状態であることを示す信号Dtを受信している場合には荷室扉157が開状態であると判定する。荷室扉157が開状態である場合(S134にてYES)、処理はS136に移される。もしそうでない場合(S134にてNO)、この処理は終了する。
【0094】
S136にて、ECU200は、エンジン10に対する要求パワーに基づいて、荷室扉157が開状態である場合の第4目標動作点を決定する。
【0095】
ECU200は、荷室扉157が開状態である場合に用いられる、第1こもり音テ源マップと、第2こもり音低減マップと、第3こもり音低減マップと、第4こもり音低減マップとに基づいて第4目標動作点を決定する。
【0096】
図6の右端の列には、荷室扉157が開状態である場合における第1こもり音低減マップと、第2こもり音低減マップと、第3こもり音低減マップと、第4こもり音低減マップとが示される。これらのマップは、荷室扉157を開状態にして、実験等により適合される。
【0097】
図6の最上段の第1こもり音低減マップは、荷室扉157が開状態である場合にエンジントルクTeの変動に起因するこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0098】
図6の上から2段目の第2こもり音低減マップは、荷室扉157が開状態である場合に、減速機58に含まれるディファレンシャルギヤのバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0099】
図6の下から2段目の第3こもり音低減マップは、荷室扉157が開状態である場合に、動力分割装置40に含まれる遊星歯車装置のバックラッシュに起因して生じるこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上のエンジン10の動作線である。
【0100】
図6の最下段の第4こもり音低減マップは、荷室扉157が開状態である場合に、排気音に起因するこもり音が発生する運転領域を避けるように規定されるトルク−回転数平面上の動作線である。
【0101】
ECU200は、トルク−回転数平面上において、エンジン10に対する要求パワーに対応した等パワー線と、図6の右端の列に示される第1こもり音低減マップ、第2こもり音低減マップ、第3こもり音低減マップおよび第4こもり音低減マップの各々の動作線との交点を特定する。ECU200は、特定された4つの交点のうちのエンジン回転数Neが最大となる交点を第4目標動作点として決定する。
【0102】
S138にて、ECU200は、荷室扉157が開状態である場合の、エンジン10の始動時における第2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGa(4)と、エンジン10の停止時におけるだ2MG30を用いたこもり音低減制御の制御ゲインGb(4)とを決定する。制御ゲインGa(4),Gb(4)は、たとえば、所定値である。制御ゲインGa(4),Gb(4)の各々は、ベース制御ゲインGa,Gbと異なる値であってもよいし、同一の値であってもよい。以下の説明においては、制御ゲインGa(4),Gb(4)を第4制御ゲインGa(4),Gb(4)と記載する。
【0103】
S140にて、ECU200は、直前の処理(すなわち、S100、S110、S120あるいはS130の処理)にて選択された目標動作点と、S136にて決定された第4目標動作点とのうちのエンジン回転数Neが大きい方の目標動作点を選択する。
【0104】
S142にて、ECU200は直前の処理(すなわち、S102、S112、S122あるいはS132の処理)にて決定あるいは選択された制御ゲインと、S138にて決定された第4制御ゲインGa(4),Gb(4)とをそれぞれ比較して、大きい方の制御ゲインをそれぞれ選択する。
【0105】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の動作について説明する。
【0106】
たとえば、車両1のサンルーフ151と、窓153とが開いた状態で車両1が走行している場合を想定する。
【0107】
エンジン10に対する要求パワーに基づいて、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157が閉状態である場合のベース目標動作点と、ベース制御ゲインGa,Gbとが決定される(S100,S102)。
【0108】
サンルーフ151が開状態であるため(S104にてYES)、エンジン10に対する要求パワーに基づいて、サンルーフ151が開状態である場合の第1目標動作点および第1制御ゲインGa(1),Gb(1)が決定される(S106,S108)。
【0109】
ベース目標動作点と、第1目標動作点とのうちのエンジン回転数Neが大きい方の動作点が選択される(S110)。さらに、ベース制御ゲインGa,Gbと、第1制御ゲインGa(1),Gb(1)とがそれぞれ比較され、大きい方の制御ゲインが選択される(S112)。
【0110】
さらに、窓153が開状態であるため(S114にてNO)、エンジン10に対する要求パワーに基づいて、窓153が開状態である場合の第2目標動作点および第2制御ゲインGa(2),Gb(2)が決定される(S116,S118)。
【0111】
前処理(S110)にて選択された目標動作点と、窓153が開状態である場合の第2目標動作点とのうちのエンジン回転数Neが大きい方の動作点が選択される(S120)。さらに、前処理(S112)にて選択された制御ゲインと、第2制御ゲインGa(2),Gb(2)とがそれぞれ比較され、大きい方の制御ゲインが選択される(S122)。
【0112】
なお、ドア155と荷室扉157はいずれも閉状態であるため(S124にてNO,S134にてNO)、S120にて選択された目標動作点にしたがって、エンジン10が制御される。さらに、エンジン10の始動時あるいはエンジン10の停止時においては、S122において選択された制御ゲインに基づいて第2MG30を用いたこもり音低減制御が実行される。
【0113】
以上のようにして本実施の形態に係るハイブリッド車両によると、サンルーフ151、窓153、ドア155および荷室扉157の各開閉状態に応じた動作線を用いてエンジン10を制御することができるため、こもり音の発生を抑制しつつ、不必要に燃費が悪化することを抑制することができる。したがって、車両の室内外を連通する開閉機構の開閉状態に応じてこもり音が発生しないように内燃機関を制御するハイブリッド車両を提供することができる。
【0114】
なお、窓153が開状態である場合の第1こもり音低減マップ乃至第4こもり音低減マップは、開状態の窓の枚数毎のマップを用意してもよい。同様に、ドア155が開状態である場合の第1こもり音低減マップ乃至第4こもり音低減マップは、開状態のドアの枚数毎のマップを用意してもよい。
【0115】
また、本実施の形態において、エンジン10に対する要求パワーに対する等パワー線に対して、動作線毎の交点を特定して、特定された交点のうちのエンジン回転数Neが最大となる交点を目標動作線として選択するとして説明したが、たとえば、ECU200は、開閉機構の状態に応じて選択された複数の動作線を重ねあわせて同一のエンジントルクに対するエンジン回転数Neが最も大きい動作線を選択することによって一つの新たな動作線を作成してもよい。この場合、ECU200は、作成された動作線と要求パワーとの交点を目標動作線としてエンジン10を制御してもよい。
【0116】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0117】
1 ハイブリッド車両、8 トランスミッション、10 エンジン、11 エンジン回転数センサ、12,13 レゾルバ、14 車輪速センサ、20,30 MG、22,32 回転軸、40 動力分割装置、41 第1遊星歯車装置、42 第2遊星歯車装置、50,250 サンギヤ、52,252 ピニオンギヤ、54,254 キャリア、56,256 リングギヤ、58 減速機、60 PCU、70 バッテリ、80 駆動輪、102 気筒、151 サンルーフ、152 サンルーフ開閉センサ、153 窓、154 窓開閉センサ、155 ドア、156 ドア開閉センサ、157 荷室扉、158 荷室扉開閉センサ、160 アクセルペダル、162 ペダルストロークセンサ、200 ECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
前記内燃機関を始動させるための第1回転電機と、
駆動輪に連結される第2回転電機と、
前記内燃機関の出力軸、前記第1回転電機の回転軸および前記第2回転電機の回転軸の三要素の各々を機械的に連結し、前記三要素のうちのいずれか一つを反力要素とすることによって、他の2つの要素間での動力伝達が可能な動力伝達装置と、
車両に設けられるサンルーフ、窓、ドアおよび荷室扉を含む複数の開閉機構と、
前記内燃機関の回転数とトルクとの座標平面上においてこもり音が発生する運転領域を避けるように規定される動作線にしたがって前記内燃機関に対する要求パワーを満たすように前記内燃機関を制御するための制御部とを含み、
前記制御部は、
前記複数の開閉機構の開閉状態に応じて、前記サンルーフが開状態である場合に対応した第1動作線と、前記窓が開状態である場合に対応した第2動作線と、前記ドアが開状態である場合に対応した第3動作線と、前記荷室扉が開状態である場合に対応した第4動作線とのうちの少なくともいずれか一つの動作線を選択して、
前記座標平面上における前記要求パワーに対応した等パワー線と選択された前記動作線との交点および前記等パワー線と前記複数の開閉機構のいずれもが閉状態である場合に対応した第5動作線との交点のうちの前記内燃機関の回転数が最大となる交点を目標動作点として前記内燃機関を制御する、ハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47040(P2013−47040A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185752(P2011−185752)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】