説明

ハイブリッド車用動力表示装置

【課題】1つの指示表示構造でハイブリッド車の動力状態を表示する。
【解決手段】予め定められた指示範囲E内で指示表示を行う表示手段2を有し、表示手段2の指示範囲E内の所定指示範囲をハイブリッド車の全動力パワーの動力指示範囲E1として割り振って、ハイブリッド車のエンジンパワーと電動パワーとの比率を表示手段2に指示表示するハイブリッド車用動力表示装置1であって、ハイブリッド車のエンジンパワー及び電動パワーの動力情報を取得する動力情報取得手段11aと、全動力パワーにおけるエンジンパワー又は電動パワーの比率を前記動力情報に基づいて算出する比率算出手段11bと、該比率を表示手段2が動力指示範囲E1内で指示表示するように制御する表示制御手段11cと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車の動力状態を表示するハイブリッド車用動力表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車は、内燃機関により駆動力を発生するエンジンと、電力により駆動力を発生する電気モーターなどの電動機とを併用して動く自動車である。ハイブリッド車は、いくつかの動力源を組み合わせて、それぞれの利点を活かしながら低燃費と低排出を実現した環境にやさしい自動車であり、ガソリンだけで走る場合より燃費が向上し、二酸化炭素、黒鉛などの排出を減らしている。
【0003】
ハイブリッド車は、発進時に電動機を使用し、加速時にエンジンと電動機を併用し、一定走行時にエンジンで走りながら、余剰の動力を発電機を作動させて充電する。そして、減速時に電動機による回生発電で充電を行う。このように、エンジンの苦手な走行条件で巧みに電動機を使い、エンジンを働かせているときは効率よく運転して余剰の駆動力を充電に回している。
【0004】
特許文献1に示すハイブリッド電気自動車用表示装置は、エンジンから出力するエンジンパワーと電動機から出力する電動パワーとを加算した合計パワーを表示する第1表示器と、エンジンパワーと電動パワーの少なくとも一方を表示する第2表示器とを備え、第1,第2表示器が、共通の指標または共通の単位に基づいて表示を行うように構成され、且つ、第1,第2表示器の各表示が並列するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−237970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のハイブリッド電気自動車用表示装置では、動力量(kW等)を指針で表示する指針式表示器と、エンジンパワーとモータパワーとの両方をバーグラフで表示するバーグラフ表示器と、を組み合わせなければならず、運転している運転者にとっては、視認し難いという問題があった。一方、製造側にとっては、2つ以上の表示器を組み合わせる必要があるため、装置構造が複雑化し、コストダウンを図ることが困難であるという問題があった。また、視認性の向上のために、上述した指針式表示器とバーグラフ表示器を分離することも考えられるが、自動車には速度計、回転計、燃料計、温度計、等の複数の計器が搭載されているため、そこに2つの指針式表示器とバーグラフ表示器を追加するのは困難であった。
【0007】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、安価かつ省スペースの1つの指示表示構造でハイブリッド車の動力状態を表示することができるハイブリッド車用動力表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載のハイブリッド車用動力表示装置は、図1の基本構成図に示すように、予め定められた指示範囲E内で指示表示を行う表示手段2を有し、前記表示手段2の指示範囲E内の所定指示範囲をハイブリッド車の全動力パワーの動力指示範囲E1として割り振って、前記ハイブリッド車のエンジンパワーと電動パワーとの比率を前記表示手段2に指示表示するハイブリッド車用動力表示装置1であって、前記ハイブリッド車のエンジンパワー及び電動パワーの動力情報を取得する動力情報取得手段11aと、前記全動力パワーにおける前記エンジンパワー又は前記電動パワーの比率を前記取得した動力情報に基づいて算出する比率算出手段11bと、前記算出した比率を前記表示手段2が前記動力指示範囲E1内で指示表示するように制御する表示制御手段11cと、を有することを特徴とする。
【0009】
上記請求項1に記載した本発明のハイブリッド車用動力表示装置によれば、表示手段2の指示範囲E内の所定指示範囲がハイブリッド車の全動力パワーの動力指示範囲E1として割り振られる。そして、動力情報取得手段11aによってハイブリッド車のエンジン出力、モータ駆動電力、等を示す動力情報が取得されると、ハイブリッド車の全動力パワーにおけるエンジンパワー又は電動パワーの比率が比率算出手段11bによって前記動力情報に基づいて算出される。そして、該算出した比率が動力指示範囲E1内で指示表示されるように表示手段2が表示制御手段11cによって制御されることから、エンジンパワーと電動パワーの比率を動力指示範囲E1の指示表示で認識することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載のハイブリッド車用動力表示装置1において、前記表示手段2は、前記動力指示範囲E1における前記エンジンパワーの比率の少ない予め定められた所望範囲が前記ハイブリッド車のエコノミー運転表示領域E11となっていることを特徴とする。
【0011】
上記請求項2に記載した本発明のハイブリッド車用動力表示装置によれば、動力指示範囲E1内のエンジンパワーの比率が少ない所望範囲がハイブリッド車のエコノミー運転表示領域E11となっていることから、表示手段2がエコノミー運転表示領域E11を指示表示していれば、エコノミー運転と判断することができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載のハイブリッド車用動力表示装置1において、前記表示手段2の指示範囲Eは、前記動力指示範囲E1と、前記動力指示範囲E1に連なり且つ前記ハイブリッド車の充電状態を指示表示する充電指示範囲E2と、を有して構成し、前記ハイブリッド車の充電状態情報を取得する充電状態情報取得手段11dと、前記取得した充電状態情報に基づいて前記ハイブリッド車が充電中であるか否かを判定する充電判定手段11eと、を有し、前記表示制御手段11cは、前記充電判定手段11eが充電中であると判定した場合に、前記充電状態を前記充電指示範囲E2内で指示表示するように前記表示手段2を制御する手段であることを特徴とする。
【0013】
上記請求項3に記載した本発明のハイブリッド車用動力表示装置によれば、表示手段2の指示範囲Eは、動力指示範囲E1と充電指示範囲E2とが連なって構成されている。そして、電状態情報取得手段11dによって充電状態情報が取得されると、充電判定手段11eによってハイブリッド車が充電中であるか否かが判定される。そして、充電中であると判定された場合、その充電状態を充電指示範囲E2内で指示表示するように表示手段2が表示制御手段11cによって制御される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1に記載した本発明によれば、表示手段の指示範囲内で動力指示範囲を割り振り、該動力指示範囲内でハイブリッド車の全動力パワーにおけるエンジンパワー又は電動パワーの比率を指示表示するようにしたことから、1つの表示手段の指示範囲内で、ハイブリッド車におけるエンジンパワーとモータパワーの動力状態を指示表示することができる。従って、従来のようにハイブリッド車の動力状態を表示するために複数の表示器を組み合わせる必要がないため、安価かつ省スペースでハイブリッド車の動力状態を表示することができる。また、複数の表示器を参照する必要がないことから、運転中の運転者でも咄嗟に動力状態を認識することができるため、視認性の向上を図ることができる。さらに、表示手段として指針式表示装置を用いることができるため、液晶ディスプレイ装置を用いるよりもコストを抑えることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、動力指示範囲内におけるエンジンパワーの比率が少ない所望範囲をエコノミー運転表示領域としたことから、1つの表示手段の指示範囲内で、ハイブリッド車におけるエンジンパワーとモータパワーの動力状態を指示表示することができると共に、エコノミー運転を指示表示することができる。従って、動力状態を全動力パワーに対する比率で指示表示するようにしたことから、エンジンパワーの比率が少ない所望範囲をエコノミー運転表示領域とできるため、1つの動力指示範囲内でエコノミー運転も表示することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、表示手段の指示範囲を動力指示範囲と充電指示範囲とし、ハイブリッド車の動力状態を表示する必要のないハイブリッド車が充電中の場合は、充電指示範囲で充電状態を指示表示するようにしたことから、1つの表示手段の指示範囲内における充電指示範囲で充電状態を指示表示できるため、複数の表示器を組み合わせる必要がなく、1つの表示手段を無駄なく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るハイブリッド車用動力表示装置の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係るハイブリッド車用動力表示装置の表示形態の一例を示す正面図である。
【図3】図2のハイブリッド車用動力表示装置の概略構成を示す構成図である。
【図4】図3中のCPUが実行する本発明に係る動力表示制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るハイブリッド車用動力表示装置の一実施形態を、図1〜図4の図面を参照して以下に説明する。なお、ハイブリッド車は動力源を2つ以上搭載している自動車であり、本実施形態では、ガソリンエンジンと電気モーターとの2つの動力源を搭載しているハイブリッド車を前提に説明する。
【0019】
図2において、ハイブリッド車用動力表示装置(以下、動力表示装置とも言う)1は、ハイブリッド車に搭載されて、ハイブリッド車のエンジンパワーと電動パワーとの比率を1つの表示領域内で指示表示する。そして、動力表示装置1は、ハイブリッド車の車両ネットワークに通信可能に接続されている。なお、本実施形態では車両ネットワークにおける通信プロトコルを、公知であるCAN(Controller Area Network)とする場合について説明するが、例えばLIN(Local Interconnect Network)等の各種通信プロトコルを採用することができる。
【0020】
動力表示装置1は、図2,3に示すように、1つの表示手段2と、該表示手段2を制御する制御部10と、を有して構成している。
【0021】
まず、表示手段2は、指針20と、文字板30と、を有する指針式計器(メータ)となっている。そして、指針20は、公知であるように、文字板30の表面側に配置され、指針本体21と、該指針本体21の回動中心を覆う指針キャップ22と、を有している。指針本体21は、指針の回動中心から先端に向かって延びる指示部を有している。指針本体21は、内機の出力軸の先端に固着されており、計測量に応じて出力軸が回動されることで、指針本体21は計測量に応じた指示位置を指示する。
【0022】
文字板30は、例えば、ポリカーボネイト等の透光性の合成樹脂で略円板状に形成されている。文字板30は、図2に示すように、指針20に対応して予め定められた指示範囲Eに対応した周縁部寄りの表面に、目盛及び数字、文字または記号等の指標31が付されている。指標31は、その周りの文字板30の表面に、非透過性部材の印刷等によって文字板30の生地色等に抜いて形成されている。即ち、文字板30は、指標31の部分が透過性、その周りが非透過性となっているため、文字板30の裏面側に配置した光源を点灯させることで、運転者等に指標31を発光視認させることができる。
【0023】
文字板30の予め定められた指示範囲Eは、指針20によって指示表示可能な範囲であり、文字板30の周縁部寄りの蹄状の部分となっている。文字板30の指示範囲Eは、動力指示範囲E1と、該動力指示範囲E1に連なり且つハイブリッド車の充電状態を指示表示する充電指示範囲E2と、を有している。そして、本実施形態の動力指示範囲E1は、ハイブリッド車の全動力パワーのうちのエンジンパワーの比率を示すための指示範囲となっている。
【0024】
なお、全動力パワーは、電動パワーとエンジンパワーとを加算した合計パワーであり、一例としては、モータ電力値とエンジン出力値とを共通単位(例えば[W]等)で計算し、パーセント換算して求める。そして、比率はエンジン出力値/(モータ電力値+エンジン出力値)の算出式から算出する。なお、ハイブリッド車の動力が3種類以上の場合は、その全てのパワーを加算した結果が全動力パワーとすることが可能であり、任意のパワーのみを加算した結果を全動力パワーとすることもできる。
【0025】
動力指示範囲E1は、0〜100までの間で比率を指示表示する範囲であり、その単位は[POWER%]としている。指標31は、その範囲中の0,20,40,60,80,100に対応した文字板30の指示位置の各々に設けられている。そして、動力指示範囲E1は、エンジンパワーの比率が少ない予め定められた0〜20[POWER%]の所望範囲であるハイブリッド車のエコノミー運転表示領域E11と、それ以外の21〜100[POWER%]の範囲である通常時の動力表示領域E12と、に区分している。なお、エコノミー運転表示領域E11については、その範囲を任意に設定することができる。
【0026】
充電指示範囲E2は、指示範囲Eから動力指示範囲E1を差し引いた範囲であり、動力指示範囲E1の0より下側に連なって割り振られている。充電指示範囲E2は、ハイブリッド車のバッテリーのフル充電からバッテリーなしまでを指示表示するための範囲となっている。なお、充電指示範囲E2は、動力指示範囲E1の100より上側に連なって割り振ってもよいが、本実施形態のように、動力指示範囲E1の0より下側に割り振ることで、動力指示範囲E1から充電指示範囲E2に指針20をスムーズに移行させることができる。また、充電指示範囲E2の単位は、電流値[A]、電力値[kW]、などを任意に設定することができる。
【0027】
文字板30の表面には、エコノミー運転表示領域E11と充電指示範囲E2の各々を示す領域名33と、エコノミー運転表示領域E11に対応したエコノミー帯部34と、充電指示範囲E2に対応した充電帯部35と、が印刷等によって付されている。そして、領域名33は、エコノミー運転表示領域E11を“ECO”、充電指示範囲E2を“CHG”として各々の近傍に設けられている。
【0028】
エコノミー帯部34は、エコノミー運転表示領域E2にわたって帯状に所望の表示色で形成されている。充電帯部35は、エコノミー帯部35から連なった充電指示範囲E2にわたって帯状に形成されおり、表示色はエコノミー帯部34とは異なった表示色となっている。なお、エコノミー帯部34と充電帯部35は、文字板30の表面に透光性着色部材で形成して、文字板30の裏側に配置した光源からの光によって光輝させる実施形態とすることもできる。
【0029】
次に、制御部10は、図3に示すように、CPU(central processing unit)11と、ROM(read only memory)12と、RAM(random access memory)13と、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)14と、通信部15と、を有している。
【0030】
CPU11は、メータECU1全体の制御を司り、ROM12に記憶されているプログラムに従った制御を行う。CPU11は、電源回路11bを介して車両のバッテリーから供給される電力によって動作する。CPU11は、インタフェース(I/F)11iを介して車両のイグニッションスイッチ(IGN+)のOFF状態からON状態への変化に応じて起動し、IGN+のON状態からOFF状態への変化に応じて動作を終了する。
【0031】
ROM12は、図1に示す請求項中の動力情報取得手段11a、比率算出手段11b、表示制御手段11c、充電状態取得手段11d、充電判定手段11e、等の各種手段としてCPU11を機能させるための動力表示制御プログラム、等を記憶している。CPU11は、動力表示制御プログラムを実行することで、動力情報取得手段11a、比率算出手段11b、表示制御手段11c、充電状態取得手段11d、充電判定手段11e、等の各種手段として機能することになる。
【0032】
RAM13は、各種のデータを格納するとともにCPU11の処理作業に必要なエリアを有している。そして、EEPROM14は、電気的消去/書き換え可能な読み出し専用のメモリであり、CPU11に電気的に接続されている。EEPROM14は、CPU11が取得したハイブリッド車のエンジン出力量、モータ駆動電力、バッテリー電流値、等を示す動力情報を時系列的に複数記憶することが可能な記憶領域を有している。動力情報は、データの種類毎に設けてもよいし、複数種類のデータを有する構成としてもよい。
【0033】
通信部15は、車両に構築されているCAN等の車載ネットワークにI/F11iを介して通信可能に接続され、CAN等の通信プロトコルで車載ネットワーク3に接続された他の電子機器と通信を行う。通信部15は、CPU11から入力される情報を送信先に送信すると共に、他の電子機器から受信した情報をCPU11に出力する。そして、本実施形態では、上述した動力情報を、CAN通信により通信部15を介して取得する場合について説明する。
【0034】
また、CPU11にはモータドライバ16と電気的に接続されている。そして、モータドライバ16は、上記表示手段2の内機等と電気的に接続しており、CPU11の制御により各表示手段2の内機(モータ)を計測量に応じて駆動させる。これにより、各表示手段2は指針20を計測量に応じた指示位置まで回動させ、文字板30の指標31と協働して計測量を表示する。
【0035】
次に、上述したCPU11が実行する動力表示制御処理の一例を、図4のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0036】
CPU11は、上記動力表示制御プログラムを実行すると、ステップS11(動力情報取得手段及び充電状態情報取得手段に相当)において、通信部15を介して動力情報及び充電状態情報を取得してEEPROM14に時系列的に記憶し、その後ステップS12の処理に進む。なお、動力情報の取得方法の一例としては、エンジン出力量、モータ駆動電力、バッテリー電流値をそれぞれに対応するECU等から取得する方法や、エンジン出力量、モータ駆動電力を1つの動力情報として取得する方法、バッテリー電流値を示す充電状態情報のみをバッテリーや受電プラグから取得する方法、等の各種取得方法を用いることができる。
【0037】
CPU11は、ステップS12(充電判定手段に相当)において、取得した動力情報が示すバッテリー電流値に基づいて、ハイブリッド車のバッテリーが充電状態であるか否かを判定する。なお、充電状態であるか否かの判定方法は、例えば、バッテリーの電流値がマイナスであるか否かに基づいて判定する。そして、CPU11は、充電状態ではないと判定した場合(S12でN)、ステップS13の処理に進む。
【0038】
CPU11は、ステップS13(比率算出手段に相当)において、ステップS11で取得した動力情報に基づいて、モータ電力値とエンジン出力値とを換算して単位を合致させ、エンジン出力値を(モータ電力値+エンジン出力値)の合計値で除算し、該算出結果をパーセント換算して、ハイブリッド車における全動力におけるエンジンパワーの比率を求め、該比率を表示手段2の動力指示範囲E1における指示位置に換算してRAM13等に記憶し、その後ステップS15の処理に進む。
【0039】
一方、CPU11は、ステップS12で充電状態であると判定した場合(S12でY)、ステップS14において、ステップS11で取得した動力情報が示すバッテリー電流値が、上述した表示手段2の充電指示範囲E2における指示位置に換算されてRAM13等に記憶され、その後ステップS15の処理に進む。
【0040】
CPU11は、ステップS15(表示制御手段に相当)において、RAM13等に記憶している表示手段2における指示位置に基づいて、該指示位置までの指針20の回動をモータドライバ16に要求することで、表示手段2の指示表示を制御し、その後ステップS16の処理に進む。この処理により、モータドライバ16は、指針20の現在の指示位置から要求された指示位置まで指針20を回動するように前記内機に電力を印加して駆動させ、指針20を回動させる。
【0041】
CPU11は、ハイブリッド車のアクセサリースイッチのOFF等に応じた終了要求を受けているか否かを判定する。CPU11は、終了要求を受けていないと判定した場合(S16でN)、ステップS11の処理に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、CPU11は、終了要求を受けていると判定した場合(S16でY)、図4に示す動力表示制御処理を終了する。
【0042】
以上説明した図4に示す動力表示制御処理をCPU11が実行することで、上述した図1に示す請求項中の動力情報取得手段11a、比率算出手段11b、表示制御手段11c、充電状態取得手段11d、充電判定手段11e、等としてCPU11が機能することになる。
【0043】
次に、上述した動力表示装置1の本発明に係る動作(作用)の一例を、図2の図面を参照して以下に説明する。
【0044】
動力表示装置1は、ハイブリッド車のアクセサリースイッチのON等に応じて起動されると、通信部15を介して動力情報及び充電状態情報を取得し、該充電状態情報に基づいてハイブリッド車が充電状態であるか否かを判定する。そして、動力表示装置1は、充電状態でないと判定した場合、ハイブリッド車の全動力におけるエンジンパワーの比率を算出し、該比率を表示手段2に指示表示させる。
【0045】
その結果、エンジンパワーの比率を、表示手段2の動力指示範囲E1内で指針20によって指示表示する。そして、動力表示装置1は、エンジンパワーの比率が多い場合、表示手段2の動力指示範囲E1における動力表示領域E12内で指示表示する。また、動力表示装置1は、エンジンパワーの比率が少ない場合、即ち、ハイブリッド車が電動パワーで動作している場合は、表示手段2のエコノミー運転表示領域E11内で指示表示する。よって、運転者は、表示手段2の動力指示範囲E1内の指針20の指示位置を認識することで、ハイブリッド車の動力状態を咄嗟に認識することができる。そして、運転者がエコノミー運転を心がける場合、指針20の指示位置がエコノミー運転表示領域E11内に位置するように運転すれば良いため、エコノミー運転を支援することができる。
【0046】
また、ハイブリッド車が充電中である場合、エンジンパワーと電動パワーの比率は0となるが、動力表示装置1は、表示手段2の動力指示範囲E1の0以下の部分が充電指示範囲E2となっているため、充電指示範囲E2内でバッテリーの充電状態を指示表示する。よって、運転者等は、充電指示範囲E2内の指針20の指示位置を認識することで、バッテリーの充電状態を認識することができる。
【0047】
以上説明した動力表示装置1によれば、表示手段2の指示範囲E内で動力指示範囲E1を割り振り、該動力指示範囲E1内でハイブリッド車の全動力パワーにおけるエンジンパワー又は電動パワーの比率を指示表示するようにし、該エンジンパワーの比率が少ない所望範囲をエコノミー運転表示領域E11としたことから、1つの表示手段2の指示範囲E内で、ハイブリッド車におけるエンジンパワーとモータパワーの動力状態を指示表示することができると共に、エコノミー運転を指示表示することができる。従って、従来のようにハイブリッド車の動力状態を表示するために複数の表示器を組み合わせる必要がないため、安価かつ省スペースでハイブリッド車の動力状態を表示することができる。また、複数の表示器を参照する必要がないことから、運転中の運転者でも咄嗟に動力状態を認識することができるため、視認性の向上を図ることができる。さらに、動力状態を全動力パワーに対する比率で指示表示するようにしたことから、エンジンパワーの比率が少ない所望範囲をエコノミー運転表示領域とできるため、1つの動力指示範囲内でエコノミー運転も表示することができる。
【0048】
また、表示手段2の指示範囲Eを動力指示範囲E1と充電指示範囲E2とし、ハイブリッド車の動力状態を表示する必要のないハイブリッド車が充電中の場合は充電指示範囲E2で充電状態を指示表示するようにしたことから、1つの表示手段2の指示範囲E内における充電指示範囲E2で充電状態を指示表示できるため、複数の表示器を組み合わせる必要がなく、1つの表示手段2を無駄なく利用することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、表示手段2の動力指示範囲E1がハイブリッド車の全動力のうちのエンジンパワーの比率を指示表示する場合について説明した。これに代えて、全動力に対する電動パワーの比率を表示することが可能であり、この場合は、図2に示す動力指示範囲E1の例えば80〜100の範囲がエコノミー運転表示領域E11となる。
【0050】
また、表示手段2の動力指示範囲E1と充電指示範囲E2は、操作スイッチの操作によって表示範囲を切り替える実施形態とすることもできる。さらに、上述した表示手段2は、指針20を回動させる場合場合について説明したが、これに代えて、指針20を直線的に移動させる実施形態とすることもできる。
【0051】
さらに、上述した実施形態では、動力表示装置1の動力指示範囲E1におけるエンジンパワーの比率が少ない所望範囲をエコノミー運転表示領域E11とした場合について説明した。これに代えて、表示手段2の動力指示範囲E1に上述したエコノミー運転表示領域E11を設けずに、動力状態を単に表示する実施形態とすることもできる。
【0052】
また、上述した実施形態では、表示手段2を指針式計器とした場合について説明したが、これに代えて、例えば全面又は一部が液晶ディスプレイのグラフィックメータを表示手段2に適用することもできる。
【0053】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ハイブリッド車用動力表示装置(動力表示装置)
2 表示手段
11a 動力情報取得手段(CPU)
11b 比率算出手段(CPU)
11c 表示制御手段(CPU)
11d 充電状態情報取得手段(CPU)
11e 充電判定手段(CPU)
E 指示範囲
E1 動力指示範囲
E2 充電指示範囲
E11 エコノミー運転表示領域
E12 動力表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた指示範囲E内で指示表示を行う表示手段を有し、前記表示手段の指示範囲内の所定指示範囲をハイブリッド車の全動力パワーの動力指示範囲として割り振って、前記ハイブリッド車のエンジンパワーと電動パワーとの比率を前記表示手段に指示表示するハイブリッド車用動力表示装置であって、
前記ハイブリッド車のエンジンパワー及び電動パワーの動力情報を取得する動力情報取得手段と、
前記全動力パワーにおける前記エンジンパワー又は前記電動パワーの比率を前記取得した動力情報に基づいて算出する比率算出手段と、
前記算出した比率を前記表示手段が前記動力指示範囲内で指示表示するように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とするハイブリッド車用動力表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記動力指示範囲における前記エンジンパワーの比率の少ない予め定められた所望範囲が前記ハイブリッド車のエコノミー運転表示領域となっていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車用動力表示装置。
【請求項3】
前記表示手段の指示範囲は、前記動力指示範囲と、前記動力指示範囲に連なり且つ前記ハイブリッド車の充電状態を指示表示する充電指示範囲と、を有して構成し、
前記ハイブリッド車の充電状態情報を取得する充電状態情報取得手段と、
前記取得した充電状態情報に基づいて前記ハイブリッド車が充電中であるか否かを判定する充電判定手段と、を有し、
前記表示制御手段は、前記充電判定手段が充電中であると判定した場合に、前記充電状態を前記充電指示範囲内で指示表示するように前記表示手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド車用動力表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−213311(P2011−213311A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85663(P2010−85663)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】