ハンドルのストッパ機構
【課題】設計上の制約を生ずることなく容易に構成することのできる、2重ハウジング構造の混合水栓におけるハンドルのストッパ機構を提供する。
【解決手段】筒形の内ハウジング32の、外ハウジング30から軸方向に突出した端部262にストッパ部材220を取り付けて、そのストッパ部224,226,260に対し、ハンドル側に備えた当接部を当接させることでハンドルの回転規制を行うようにする。その際、内ハウジング32の突出した端部262の外面に溝266を設けて、そこにストッパ取付部材222を嵌め込んで装着し、そのストッパ取付部材222に対してストッパ部材220を回転方向に固定状態に軸方向に嵌め合せて端部262に取り付けるようにする。
【解決手段】筒形の内ハウジング32の、外ハウジング30から軸方向に突出した端部262にストッパ部材220を取り付けて、そのストッパ部224,226,260に対し、ハンドル側に備えた当接部を当接させることでハンドルの回転規制を行うようにする。その際、内ハウジング32の突出した端部262の外面に溝266を設けて、そこにストッパ取付部材222を嵌め込んで装着し、そのストッパ取付部材222に対してストッパ部材220を回転方向に固定状態に軸方向に嵌め合せて端部262に取り付けるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は筒形をなす外ハウジングの内側に内ハウジングを挿入した形態の混合水栓に関し、特に外ハウジングから軸方向に突出した内ハウジングの端部にストッパ部材を取り付けて、そのストッパ部材に備えたストッパ部に対し、ハンドルに備えた当接部を当接させることでハンドルの回転規制を行うハンドルのストッパ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、湯水混合水栓は水栓本体の本体ボデーをなすハウジングを金属の鋳物にて一体に構成し、その内壁面に水側,湯側の1次側流路や2次側の混合水の流路等を形成する流路壁を一体に設け、そしてその内部に、湯水の混合比率を変化させて混合水の温度調節を行う混合弁ユニットや、流路切替えをなす切替弁ユニット等を納めた構造のものが一般的であった。
【0003】
しかしながらこの湯水混合水栓の場合、金属製のハウジングを製造する際に複雑な構造の流路壁を内壁面に一体に設けなければならず、製造の工程数が多くなり、また技術的にも多くの困難を伴うといった問題がある。
【0004】
このような事情の下で、水栓本体のハウジングを筒形の外ハウジングと内ハウジングとの2重ハウジング構造となして、それらハウジング間に1次側流路としての水側流路,湯側流路及び2次側流路として混合水の流路を、シール部材の配置パターンによって形成するようになした混合水栓が下記特許文献1に提案されている。
【0005】
ところで水栓本体のハウジングをこのように2重ハウジング構造とした場合、ハンドル(例えば温調ハンドル)の回転規制をなすストッパ機構をどのようにして構成するかが問題となる。
上記のように水栓のハウジングが金属製の単一の鋳物製の場合、従来、その金属の鋳物製のハウジング自体に径方向(軸直角方向)外方に凸部を有するストッパ取付部を切削加工にて直接形成して、そこにハンドル側のストッパ部材を嵌合状態に組み付けるようにしているが、この場合、ストッパ取付部を切削加工で形成するために全体のコストが高くなってしまう。
【0006】
これに対し、水栓本体が外ハウジングと内ハウジングとの2重ハウジング構造をなす混合水栓の場合、外ハウジングから軸方向に突出した内ハウジングの端部に、径方向(軸直角方向)外方への凸部を有するストッパ取付部を一体に形成して、そこにハンドル側のストッパ部材を嵌合状態に組み付けるようになすことが考えられるが、この場合、軸方向の端部を外ハウジングから外部に突き出す位置まで内ハウジングを外ハウジングに挿入する際に、ストッパ取付部の凸部が外ハウジングに対して干渉しないように設計しなければならず、設計上の制約が大きくなる。
特にストッパ取付部の凸部が外ハウジング内面の最小径部よりも大径である場合には、内ハウジングの軸方向端部が外ハウジングから突き出す位置まで、内ハウジングを外ハウジング内に挿入することができなくなる。
【0007】
尚、本発明に関連する先行技術として下記特許文献2に開示されたものがある。
但しこの特許文献2に開示のものは、外ハウジングから突き出した内ハウジングの端部の外面に溝を設けて、そこにストッパ取付部材を取り付けるといったものではない点で本発明とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2695364号公報
【特許文献2】特開平9−60060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、水栓本体が外ハウジングと内ハウジングとを有する2重ハウジング構造をなす混合水栓において、特に設計上の制約を生ずることなく容易に構成することのできるハンドルのストッパ機構を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、筒形の外ハウジングの内側に軸方向に挿入した筒形の内ハウジングの、該外ハウジングから軸方向に突出した端部にストッパ部材を取り付けて、該ストッパ部材のストッパ部に対しハンドルを当接させることで該ハンドルの回転規制を行う構造の混合水栓におけるハンドルのストッパ機構であって、前記内ハウジングの前記突出した端部の外面に周方向に沿って溝を設け、前記ストッパ部材に備えた回転方向の位置決用の第1の位置決凹部又は凸部と軸方向に嵌り合って該回転方向に係合する、第2の位置決凸部又は凹部を有するストッパ取付部材を、前記溝に軸直角方向に嵌め込んで前記内ハウジングの端部に回転方向及び軸方向に固定され、該端部の外面から径方向外方に突出する状態に装着し、該ストッパ取付部材に対して前記ストッパ部材を回転方向に固定状態に軸方向に嵌め合せて、前記内ハウジングの前記突出した端部に取り付けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記溝には前記ストッパ取付部材を前記内ハウジングの前記突出した端部に対し回転方向に位置決めするための第3の位置決凸部又は凹部が設けられる一方、該ストッパ取付部材には対応する第4の位置決凹部又は凸部が設けられていて、それら第3の位置決凸部又は凹部と、第4の位置決凹部又は凸部との凹凸係合により、前記ストッパ取付部材が前記内ハウジングの前記端部に対して回転方向に固定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材は、前記ストッパ部材に対する内嵌部を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記内ハウジングの前記端部には、該内ハウジングの内部に納められる部品を該内部に固定状態とする、外径が前記端部と同等以上の固定ナットがねじ結合されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5のものは、請求項4において、前記ストッパ部材は筒状をなしており、前記固定ナットよりも内径が大きいものであることを特徴とする。
【0015】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材と前記ストッパ部材との一方には爪が、他方には該爪を軸方向に掛止させる掛止部が設けてあり、該掛止部に対する該爪の掛止にて前記ストッパ部材が前記ストッパ取付部材から軸方向に分離防止されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材が、周方向の一部が開口形状の部分環状をなす部材であって、前記ストッパ部材の正,逆両方向の何れの方向の回転時においても、該ストッパ取付部材の前記第2の位置決凸部又は凹部における、前記ストッパ部材の第1の位置決凹部又は凸部への当り面のうち、該ストッパ取付部材の周方向端に背を向けた側の当り面に対して、該ストッパ部材の該第1の位置決凹部又は凸部の対応する当り面が当るようになしてあり、前記周方向端を向いた側の当り面に対しては、該ストッパ部材の該第1の位置決凹部又は凸部の前記対応する当り面が当らないように、前記第2の位置決凸部又は凹部及び対応する前記第1の位置決凹部又は凸部の寸法及び形状が定めてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0017】
以上のように本発明は、外ハウジングから軸方向外部に突出した内ハウジングの端部の外面に周方向に沿って溝を設け、その溝に対しストッパ取付部材を嵌め込んで、内ハウジングの端部に回転方向及び軸方向に固定され、径方向外方に突出する状態にストッパ取付部材を装着し、そのストッパ取付部材に対し、ストッパ部材をストッパ取付部材と一体回転状態に軸方向に嵌め合せ、以て内ハウジングの上記突出した端部にこれを取り付けるようになしたものである。
ここでストッパ取付部材は、外ハウジングの内面の最小内径よりも外径を大径となしておくことができる。
【0018】
本発明によれば、ストッパ取付部材を内ハウジングとは別体として、これを内ハウジングの、外ハウジングから突出した端部の溝に嵌め込んで、そこにストッパ部材を設けるようになしているため、内ハウジングに凸部を有するストッパ取付部材を設けることによって、内ハウジングや外ハウジングの設計上の自由が制約されるといったことがなく、任意形状でそれらを設計することが可能となる。
【0019】
本発明では、内ハウジングを外ハウジングに挿入し、その端部を外ハウジングから外部に突出した後において、後付けでストッパ取付部材をその端部から径方向外方に突出した形態で設けることができる。
そして更にそのストッパ取付部材に対しストッパ部材を軸方向に嵌め合せることで、ストッパ部材を取り付けることができる。
このようにすることでストッパ取付部材,ストッパ部材を大径に構成することができ、ストッパ強度を高強度となすことができる。
【0020】
本発明では、上記溝の側に、ストッパ取付部材を内ハウジングの上記の突出した端部に対し回転方向に位置決めするための第3の位置決凸部又は凹部を設ける一方、ストッパ取付部材の側に対応する第4の位置決凹部又は凸部を設けて、それらの凹凸係合によりストッパ取付部材を内ハウジングの端部に対し回転方向に固定するようになすことができる(請求項2)。
このようにすれば簡単な構成でストッパ取付部材を内ハウジングの上記の端部に対し、回転方向に固定状態に設けることができる。
【0021】
またストッパ取付部材は、ストッパ部材に対する内嵌部を備えておくことができる(請求項3)。
このようにしておけば、ストッパ取付部材の内嵌部がストッパ部材に内嵌した状態となるため、ストッパ取付部材が内ハウジングの突出した端部及びストッパ部材から外れるのが有効に防止される。
【0022】
本発明は、請求項4に従い内ハウジングの端部に、内ハウジングの内部に納められる部品をその内部に固定状態とする、外径が内ハウジングの上記端部と同等以上の固定ナットがねじ結合されているものに適用して効果が大である。
【0023】
組付けの関係上、固定ナットが予め内ハウジングの端部にねじ結合されている状態で、上記のストッパ部材をストッパ取付部材に対し軸方向に嵌め合せるようになすのが好都合であるが、このときストッパ取付部材の外径が内ハウジングの端部の外径と同等以下であると、かかるストッパ取付部材に対し、筒状をなすストッパ部材を軸方向に嵌め合せるといったことが難しい。
【0024】
しかるに本発明では、ストッパ取付部材を内ハウジングの端部よりも容易に大径となし得、この場合、請求項5に従いストッパ部材を筒状の部材となした場合でも、これを固定ナットよりも内径を大きくしておくことで、固定ナットを取り付けた状態の下でも、ストッパ部材を内ハウジングの端部に外嵌状態に嵌合して、ストッパ取付部材に対し容易に軸方向に嵌め合せることができる。
【0025】
請求項6は、ストッパ取付部材とストッパ部材との一方に爪を、他方にその爪を軸方向に掛止させる掛止部を設け、掛止部に対する爪の掛止にてストッパ部材をストッパ取付部材から軸方向に分離防止するようになしたもので、このようにしておけば、ストッパ部材がストッパ取付部材に対し軸方向にも固定状態となり、従ってストッパ部材がストッパ部材から軸方向に離れてハンドル操作時にハンドルと擦り、そこで異音を発生させたりするといった不都合を有効に防止することができる。
【0026】
次に請求項7は、ストッパ取付部材を、周方向の一部が開口形状の部分環状をなす部材となし、そしてこの場合においてストッパ部材の正,逆両方向の何れの方向の回転時においても、常にストッパ取付部材に対し、これを内ハウジングの端部に軸直角方向に、より強く嵌り込む側に力が作用するようになしたもので、この請求項7によれば、ストッパ部材からの力を受けてストッパ取付部材がその開口形状に起因して、内ハウジングの端部から軸直角方向の外方に離脱しようとするのを有効に防止することができる。
【0027】
即ち、ストッパ取付部材を部分環状となすことにより、開口形状を通じ容易にこれを内ハウジングの端部に軸直角方向に嵌め合せることが可能となる一方、開口形状に起因してストッパ取付部材が内ハウジングの端部から軸直角方向に離脱してしまうのを確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態のハンドルのストッパ機構を備えた混合水栓の斜視図である。
【図2】図1の混合水栓の一部を水平方向で切り欠いて示した部分断面図である。
【図3】図1の混合水栓の垂直方向の断面図である。
【図4】図3の混合弁ユニットを周辺部とともに拡大して示した図である。
【図5】図4の混合弁ユニットの一部を分解して示した図である。
【図6】図4の混合弁ユニットと温調ハンドルとの接続部分を分解して示した図である。
【図7】同実施形態におけるハンドルのストッパ機構の組付手順を示した図である。
【図8】(A)同実施形態におけるストッパ部材を安全ボタンとともに示した図である。(B)図4のアーア断面図である。
【図9】同実施形態におけるストッパ取付部材を示した図である。
【図10】同実施形態におけるストッパ取付部材及びストッパ部材を分解して示した斜視図である。
【図11】同実施形態におけるハンドルのストッパ機構の効果を説明する図4のイーイ断面図である。
【図12】同実施形態におけるストッパ取付部材及びストッパ部材の変形例を示した図である。
【図13】図3の切替弁ユニットを周辺部とともに拡大して示した図である。
【図14】同実施形態における内ハウジングの図である。
【図15】同実施形態における外ハウジングと内ハウジングとを分解して示した断面図である。
【図16】同実施形態の外ハウジング側の湯流入用開口と内ハウジング側の湯流入用開口との接続部分の分解斜視図である。
【図17】同実施形態における要部としての、外ハウジング側の湯流入用開口と内ハウジングの湯流入用開口との接続部分の断面図である。
【図18】同実施形態におけるスペーサ部材の図である。
【図19】同実施形態における接続部材の図である。
【図20】同実施形態における固定クリップの図である。
【図21】同実施形態の混合水栓の組付手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の壁付きの混合水栓で、図中左右方向に長手形状をなす水栓本体12を有している。
水栓本体12の下面からは、先端に吐水口14を備えた略L字状をなす吐水管16が延び出しており、また背面からはシャワー側の流出口部76が後方に突出して、そこにシャワーエルボ20が接続されている。
このシャワーエルボ20には、図示を省略するシャワーヘッドが可撓性のシャワーホースを介して接続される。
【0030】
水栓本体12の長手方向の一端側(図中左端側)には、温調ハンドル(温度調節ハンドル)22が設けられており、また他端側(図中右端側)には、吐水管16の側とシャワー側とで流路の切替えを行い、且つ吐水の流量調節を行う切替ハンドル24が設けられている。
ここで切替ハンドル24は吐水から止水若しくはその逆への切替えも行う。
【0031】
水栓本体12からはまた、給水管を兼ねた水側のクランク脚26、及び給湯管を兼ねた湯側のクランク脚28がそれぞれ後方に延び出している。
本実施形態の混合水10は、これら一対のクランク脚26,28によって後方の壁に取り付けられている。
【0032】
図2に示しているように、水栓本体12は横断面の内面形状が円形をなす略円筒状の金属製の外ハウジング30を本体ボデーとして有しており、またその内側において、同じく横断面の内面形状が円形をなす樹脂製の略円筒状の内ハウジング32を有している。
即ちこの実施形態の水栓10は、水栓本体12が2重ハウジング構造をなしている。
ここで外ハウジング30の内面は、図15(A)に示すように基本的に凹凸を有しない平滑な面とされていて、そこには複数の流路を区画形成するための流路壁は突出形成されていない。
【0033】
またこの実施形態において、外ハウジング30と内ハウジング32との間の空間は、軸方向の両端部で弾性を有する環状のシール部材34でシールされているが、軸方向の中間部ではシール部材によるシールはなされておらず、外ハウジング30と内ハウジング32との間に形成される空間は、基本的に軸方向の一端から他端にかけて単一の空間を形成している。
この実施形態では、これら外ハウジング30と内ハウジング32との間に形成される空間はその全体が単一の流路、ここでは1次側の水側流路36を形成している。
【0034】
尚、外ハウジング30には軸方向の位置決凸部250が設けられ、また内ハウジング32には対応する軸方向の位置決凸部252が設けられ、それらの軸方向の当接により内ハウジング32の外ハウジング30に対する軸方向(図中左方向)の挿入量が規定されている。
また内ハウジング32の図中右端側には、径方向外方に環状に突出したシール保持部254が設けられていて、そのシール保持部254がシール部材34を介して外ハウジング30の図中右端の円筒内面に水密に嵌合せしめられている。
更に内ハウジング32の図中左端側にも、径方向外方に突出した環状のシール保持部256が設けられていて、そこにシール部材34が保持され、このシール保持部256がシール部材34を介して、外ハウジング30の図中左端側の径方向内向きの環状の内フランジ部258に水密に嵌合せしめられている。
【0035】
外ハウジング30の背面(図2中上面)且つ図中右端側には、水を外ハウジング30の内部、つまり外ハウジング30と内ハウジング32との間の水側流路36に流入させる水流入用開口(外ハウジング側開口)38が設けられており、そしてこの水流入用開口38から、外ハウジング30に一体に構成された筒形(円筒形)の水流入口部40が後方(図中上方)に突出していて、この水流入口部40に対し、給水管を兼ねた水側のクランク脚26が締結ナット46にてねじ結合されている。
【0036】
クランク脚26を通じて供給された水は、この水流入口部40,水流入用開口38を通じて上記の水側流路36へと流入する。
尚、クランク脚26と水流入口部40との接続部の内部には、クランク脚26から水流入用開口38に向けての水の流れのみを許容し、逆方向の流れを阻止する、弁体42を備えた一方向性の逆止弁44が設けられている。
【0037】
一方内ハウジング32の図中左端側の前面(図中下面)には、水側流路36に流入した水を内ハウジング32内に流入させる、内ハウジング32側の水流入用開口(内ハウジング側開口)48が筒壁を貫通して設けられている。
クランク脚26を通じて供給された水は、外ハウジング30の内側の水側流路36に流入した後、この内ハウジング32側の水流入用開口48を通じて内ハウジング32内に流入する。
【0038】
図中左端側において、内ハウジング32には背面側(図中上面側)に、湯流入用開口(内ハウジング側開口)50が筒壁を貫通して設けられている。
またこれに対し径方向に対向する位置において、外ハウジング30には湯流入用開口(外ハウジング側開口)52が設けられて、それらが後に詳述する接続部材54にて水密に接続されている。
【0039】
この外ハウジング30側の湯流入用開口52からは、円筒形状をなす湯流入口部55が外ハウジング30から一体に突出しており、そしてその湯流入口部55に対し、湯側のクランク脚28が締結ナット46にてねじ結合されている。
この湯流入口部55の側においても、これとクランク脚28との接続部の内部に、弁体42を有する逆止弁44が設けられている。
この湯側の逆止弁44は、クランク脚28から湯流入用開口52に向けての湯の流れのみを許容し、逆方向の流れを阻止する。
【0040】
而してクランク脚28から外ハウジング30の湯流入用開口52に流入した湯は、接続部材54による連絡によって、そのまま外ハウジング30と内ハウジング32との間の水側流路36を横切って、内ハウジング32側の湯流入用開口50へと到り、更にこれを通過して内ハウジング32内部へと流入する。
【0041】
そして内ハウジング32の内部に流入した水と湯とは、図3に示しているように内ハウジング32の内部に軸方向に挿入されて組み付けられた混合弁ユニット56により、温調ハンドル22の操作により設定された比率で混合されて設定温度の混合水とされ、続いて同じく内ハウジング32の内部に軸方向に挿入されて組み付けられた切替弁ユニット58による流路切替えによって、図1の吐水管16側又はシャワー側へと案内されて、そこから外部に流出せしめられる。
【0042】
詳しくは、図3及び図13に示しているように内ハウジング32の軸方向中間部の下面には、内ハウジング32内の混合水を流出させるための流出用開口(内ハウジング側開口)60と、図14に示すように筒壁の外面から突出して流出用開口60を取り囲む環状壁から成る連結口部62が設けられている。
【0043】
一方外ハウジング30側には、流出用開口60及び連結口部62に対し径方向に対向する位置に、混合水を外部に流出させる流出用開口(外ハウジング側開口)64が設けられおり、内ハウジング32側の流出用開口60が、連結口部62において、外ハウジング30側の流出用開口64に筒形の流出口部66にて水密に接続されている。
【0044】
ここで流出口部66は、流出用開口60と64とを接続する接続部材を兼ねており、外ハウジング30の流出用開口64への差込みにより、外ハウジング30に取り付けられている。
流出口部66は、外ハウジング30から下向きに突出しており、そしてその突出した部分に対して、図1に示す吐水管16が締結ナット68により回転可能にねじ結合されている。
【0045】
内ハウジング32にはまた、軸方向のほぼ同じ位置において、図2に示しているようにシャワー側の混合水の流出用開口(内ハウジング側開口)70が、筒壁を貫通して設けられており、更に内ハウジング32には、図2及び図13に示すように筒壁の外面から環状に突出して流出用開口70を取り囲む環状壁から成る連結口部72が設けられている。
【0046】
更にこれら流出用開口70及び連結口部72に対し径方向に対向する位置において、外ハウジング30には対応する流出用開口(外ハウジング側開口)74が設けられており、そして内ハウジング32側の流出用開口70と、外ハウジング30側の流出用開口74とが、外ハウジング30とは別体をなして筒形をなす流出口部76にて水密に接続されている。
尚、流出口部76は流出用開口74に対し、全周に亘りシール部材を介し水密に内嵌状態に嵌合せしめられており、また先端部が連結口部72に対し、全周に亘りシール部材を介し水密に且つ内嵌状態に嵌合せしめられている。
【0047】
このシャワー側の流出口部76もまた、流出用開口70と74とを水密に接続する接続部材を兼ねて構成されており、外ハウジング30側の流出用開口74への差込みにより、外ハウジング30から突出する状態に外ハウジング30に取り付けられている。
そしてこの流出口部76の外ハウジング30から突出した部分に対して、シャワーエルボ20が嵌入部80をシール部材を介し嵌入させる状態に、水密にねじ結合され、接続されている。
【0048】
図3,図4の混合弁ユニット56から図13の切替弁ユニット58に到った混合水は、切替弁ユニット58の流路切替作用により、内ハウジング32側の流出用開口60から流出口部66内へと流出して流出口部66の内部流路を流通した後、吐水口16から外部に流出するか、又は同じく内ハウジング32側の流出開口70から流出口部76内へと到って、その内部流路を通じた後シャワーエルボ20を経てシャワーヘッドへと送られ、そこから外部へと流出(吐水)せしめられる。
【0049】
内ハウジング32に設けた上記の湯流入用開口50は、図14及び図16に示しているように平面展開形状が周方向に長い矩形状をなしている。即ち全体として周方向に長い大きな開口をなしており、その周方向長は、後述する円筒形状の接続部材54の内径よりも大きなものとされている。
【0050】
但し、湯流入用開口50の位置で接続部材54の先端を内ハウジング32の筒壁の外面に直接当てるようにすると、湯流入用開口50の有効な流路面積が、接続部材54の先端で囲まれた内側の部分の面積だけとなり、必然的に湯流入用開口50の有効面積が小さいものとなって、十分な流量を確保することが難しい。
そこでこの実施形態では、湯流入用開口50を大きな開口となした上で、接続部材54を次のようにして湯流入用開口50に接続するようになしている。
【0051】
即ちこの実施形態では、内ハウジング32の筒壁の外面から環状(平面視矩形状)に突出して、湯流入用開口50を取り囲む環状壁を設けて、これを連結口部82と成し、そして接続部材54の内ハウジング32側の端部をこの連結口部82に対して、リング状のスペーサ部材84を介して内嵌させるようにしている。そしてこのようにすることで、接続部材54の内ハウジング32側の端部及びスペーサ部材84と、内ハウジング32の筒壁外面との間にスペース形成するようになしている。
【0052】
詳しくは、図17に示しているように連結口部82には周方向両端の付根位置に段付部86を設けて、そこにリング状のスペーサ部材84を当接させる状態に、スペーサ部材84を連結口部82に対して内嵌状態に嵌合させ、更にそのスペーサ部材84に対し、円筒形状をなす接続部材54の先端部を同じく内嵌状態に嵌合させることにより、それら接続部材54及びスペーサ部材84と内ハウジング32の筒壁外面との間にスペース形成する状態に、接続部材54を組み付け、以て内ハウジング側開口としての湯流入用開口50と外ハウジング側開口としての湯流入用開口52とを、スペーサ部材84及び連結口部82を介して接続部材54にて水密に接続するようになしている。
尚、周方向長の長い上記の湯流入用開口50は、図17に示しているように連結口部82に到るまで周方向に延びている。
【0053】
上記リング状をなすスペーサ部材84は、図18(A)に示しているように平面視形状が4角形状で、円形の嵌合孔99を有しており、また図18(B)の側面視における下面形状が図中上向きに凹の湾曲形状をなしている。
更に外周面には環状溝88を有していて、そこに弾性を有するOリングから成るシール部材90を保持している。
スペーサ部材84は、その外面(外周面)をこのシール部材90を介して連結口部82の内面(内周面)に水密に嵌合させている。
【0054】
一方円筒形状をなす接続部材54は、図19に示しているように軸方向の各端部の外面(外周面)に環状溝92,94を有していて、それら環状溝92,94においてOリングから成るシール部材96,98を保持している。
【0055】
接続部材54は、シール部材96を介して軸方向の端部(図17中下端部)を、スペーサ部材84の内面に嵌合状態に水密結合し、またシール部材98を介しその外面を、外ハウジング30側開口である湯流入用開口52の内面に嵌合状態に水密結合し、以て外ハウジング30側の湯流入用開口52と、内ハウジング32側の湯流入用開口50とをスペーサ部材84,連結口部82を介して水密接続している。
【0056】
即ち外ハウジング30と内ハウジング32との間に形成される水側流路36を横切る状態に、湯流入用開口52と50とを連絡してその内部に、クランク脚28から送られて来た湯を内ハウジング32内に流入させるための、独立した1次側流路としての湯側流路を形成している。
【0057】
図17において、100は接続部材54を抜止状態に固定する固定クリップ(固定部材)で、図20に示しているように全体としてCリング状をなしていて、径方向に弾性変形能を有している。
図17に示しているように、この実施形態ではクランク脚28からの湯を流入させる筒状の湯流入口部55が外ハウジング30に一体に構成されており、上記の接続部材54は、この湯流入口部55の開口部からその内部に差し込まれて内ハウジング32側の湯流入用開口50、具体的には連結口部82と外ハウジング30側の湯流入用開口52とを水密接続している。
【0058】
而して湯流入口部55の内面には、環状の嵌込凹部102が設けられており、そこに固定クリップ100を縮径状態で挿入した後これを拡径して嵌込凹部102に嵌め込むことで、固定クリップ100の接続部材54に対する当接作用により、接続部材54が図中上向きに抜け防止されている。
【0059】
尚図20に示しているように、固定クリップ100は周方向両端部が径方向内方の突出部とされて、そこに凹部106が設けられている。
この凹部106は治具を係合させるための部分であって、この固定クリップ100は、凹部106に治具を係合させて縮径させることで、湯流入口部55から取出可能である。
尚接続部材54は、これを図17中下向きに押し込むと先端が内ハウジング32の筒壁の外面に当接し、そこで押込量が規定される。
【0060】
図21及び図16は、図17におけるスペーサ部材84,接続部材54及び固定クリップ100等の組付けの手順を示している。
図に示しているように、ここでは先ず内ハウジング32を外ハウジング30に挿入する前において、連結口部82にスペーサ部材84を内嵌状態に装着してそこに保持させておく。
そしてその状態で、図16(A)に示しているように内ハウジング32を外ハウジング30の内部に軸方向に挿入する。図21(III)はこのときの状態を表している。
【0061】
その後、図16(A)に示しているように先ず接続部材54を外ハウジング30における湯流入口部55の内部に差し込み、しかる後、固定クリップ100を縮径変形させた状態で同じく湯流入口部55内部に押し込み、これを湯流入口部55内部の嵌込凹部102に嵌め込む。
このとき固定クリップ100は蓄えられていた弾性力で拡径して嵌込凹部102に嵌り込み、接続部材54の図中上向きの抜けを防止する。
即ち接続部材54をその軸方向に固定状態とする。
【0062】
本実施形態においては、図2及び図17における接続部材54によって、外ハウジング30の湯流入用開口52と連結口部82、つまり内ハウジング32の湯流入用開口50が接続されることで、また図13に示す内ハウジング32側の混合水の流出用開口60と外ハウジング30側の流出用開口64とが、接続部材を兼ねた流出口部66にて接続されることで、更には図2に示すように混合水を流出させる内ハウジング32側の流出用開口70と外ハウジング30の流出用開口74とが、接続部材を兼ねた流出口部76にて接続されることで、外ハウジング30と内ハウジング32とが固定状態とされる。
【0063】
図3における上記の混合弁ユニット56が、周辺部とともに図4に拡大して詳しく示してあり、また切替弁ユニット58が周辺部とともに図13に拡大して詳しく示してある。
本実施形態の混合弁ユニット56はサーモスタット式(自動温度調節機能付)のもので、弁ケース112を有しており、その弁ケース112ごと、上記の内ハウジング32の内部に軸方向に挿入されて組み付けられている。
【0064】
図4において、110は段付きの円筒形状をなす固定ナットで、内ハウジング32内部に挿入された混合弁ユニット56は、この固定ナット110を内ハウジング32の端部にねじ結合することで、内ハウジング32から抜止めされ、内ハウジング32内部に固定される。
【0065】
弁ケース112には、軸方向に互いに離隔した位置に水流入口116,湯流入口118が形成されており、これら水流入口116,湯流入口118を通じて水,湯が弁ケース112内部に流入する。
流入した水と湯とは混合室120で混合された後、その混合水が流出口122から図中右向きに流出する。
【0066】
124,126はそれぞれ水流入口116,湯流入口118から流入する水,湯の流入量を調節する水側弁部,湯側弁部で、水流入口116,湯流入口118からの水と湯の流入量は、それぞれ水側弁部124,湯側弁部126の弁開度に応じて大小変化する。即ち混合室120での水と湯との混合比率が変化し、混合水温度が高低変化する。
【0067】
弁ケース112の内部には、弁体ユニット128が図中左右方向(軸方向)に移動可能に設けられている。
この弁体ユニット128は、軸方向に離隔して設けられた水側弁体130と湯側弁体132、及びそれらを軸方向に連繋する連繋部134を有している。
【0068】
ここで水側弁体130及び湯側弁体132はそれぞれ円筒形状(環状)をなしており、それぞれの外周面の軸方向中間位置に断面U字形状をなすシール部材136,138が保持されていて、それらシール部材136,138により水側弁体130及び湯側弁体132と弁ケース112との間が水密にシールされている。
【0069】
連繋部134は湯側弁体132と一体に構成されている。
この連繋部134は、図5にも示しているように湯側弁体132の内側位置において十字状をなすように中心部から放射状に延びる複数(ここでは4つ)の補強板140と、この補強板140から軸方向且つ図中右方向に突き出した円筒部142とを一体に有している。
ここで補強板140は湯側弁体132を内側から補強する働きをなすもので、板面が軸方向に延びており、そして外周端が湯側弁体132に一体化されている。
この実施形態では、水流入口116,湯流入口118から流入した水と湯とが図中右向きに流れて混合室120に到り、そこで水と湯とが混合される。
【0070】
混合室120には、形状記憶合金製のコイル形状の感温ばね(付勢部材)144が収容されており、その付勢力を軸方向の押圧力として弁体ユニット128に対し図中左向きに、即ち湯側弁体132を閉弁させ、水側弁体130を開弁させる方向に及ぼしている。
この形状記憶合金製の感温ばね144は混合室120内部の混合水温度に応じて伸縮し、混合水温度が設定温度となるように図中左向きの付勢力を変化させて、弁体ユニット128の位置を自動的に微調節する。
【0071】
146は混合室120を形成するとともに感温ばね144の一端を当接させるばね受で、図中左端に外向きの係合爪148を有し、その係合爪148を弁ケース112の係合孔150に係合させることで、弁ケース112に組み付けられている。
【0072】
上記水側弁体130は、湯側弁体132及び連繋部134とは別体に構成されている。
この水側弁体130には、図5にも明らかに示しているように内側が段付形状をなす円筒形状の嵌合部152が形成されており、その嵌合部152が、段付部154を円筒部142の先端面に当接させる状態に、円筒部142に外嵌状態に嵌合され組み付けられている。
詳しくは、円筒部142の内側には雌ねじ部156が形成されていて、そこに後述の弁軸206の先端部に形成された雄ねじ部158がねじ込まれている。
【0073】
この弁軸206には押え部材としての止め輪160が装着されており、弁軸206の雄ねじ部158が円筒部142の内側の雌ねじ部156にねじ込まれることで、水側弁体130が止め輪160にてばね162を介し円筒部142に図中右向きに押し付けられ、連繋部134に組付固定されている。
ここでばね162は通常の金属製でコイル形状をなしている。
【0074】
図4に示しているように弁ケース112には、水側弁体130,湯側弁体132のそれぞれの軸方向の内側位置に、水側弁部124における水側弁座164,湯側弁部126における湯側弁座166が設けられており、それらに対し水側弁体130,湯側弁体132が軸方向に当接するようになっている。
詳しくは水側弁座164,湯側弁座166におけるそれぞれの弁座面168,170に対して水側弁体130,湯側弁体132が当接するようになっている。
【0075】
この実施形態において、弁体ユニット128は通常の金属製のコイルばねから成るバイアスばね(付勢部材)172にて図中右向き、即ち湯側弁体132を開弁させ、水側弁体130を閉弁させる方向に付勢(押圧)されており、また混合室120内に設けられた感温ばね144にてこれとは逆方向の図中左向き、即ち湯側弁体132を閉弁させ、水側弁体130を開弁させる方向に付勢されている。
弁体ユニット128は、感温ばね144による図中左向きの付勢力と、バイアスばね172による図中右向きの付勢力とが釣合う位置に保持される。
【0076】
図4に示しているように、弁ケース112には回転操作軸174が組み付けられている。
この回転操作軸174は、弁体ユニット128を弁ケース112の内部で軸方向、即ち図中左右方向に移動させて混合水温度を設定操作するためのもので、嵌合軸部176と、ハンドル連結部178とを有しており、その嵌合軸部176が弁ケース112の嵌合孔180に回転可能に内嵌されている。
ここで嵌合軸部176と弁ケース112の嵌合孔180との間はOリング182にて水密にシールされている。
また弁ケース112から軸方向の左方に突き出したハンドル連結部178には、セレーション部184において温調ハンドル22が一体回転状態に連結されるようになっている。
【0077】
回転操作軸174は、弁ケース112の内部において大径の円筒部185を有しており、その円筒部185の図中左端の肩部と、回転操作軸174に装着された径方向に弾性を有する止め輪186にて、弁ケース112に軸方向に固定されている。
この円筒部185の内周面には雌ねじ部188が形成され、そこに円筒形状をなす駆動部材190が、外周面の雄ねじ部192において螺合されている。
この駆動部材190は、回転操作軸174の回転操作によってねじ送りで軸方向即ち図中左右方向に進退移動させられる。
【0078】
この駆動部材190と弁体ユニット128との間には、ストッパリング194,ばね受196を介して通常の金属製のコイルばねからなる上記のバイアスばね172が介在させられており、バイアスばね172の図中右向きの付勢力が弁体ユニット128に対し図中右向きに及ぼされている。
尚、ばね受196には図中右端と左端とに内向きのフランジ部198,200が設けられている。
【0079】
一方、駆動部材190の図中右端には外向きのフランジ部202が設けられ、この外向きのフランジ部202が、一対のフランジ部198,200の間においてばね受196内部を図中左右方向に相対移動可能とされている。
また駆動部材190には、内向きに突出した段付部204が図中左端に設けられていて、そこにストッパリング194が図中右向きに当接させられている。
【0080】
上記のように弁体ユニット128からは図中左向きに弁軸206が延び出している。
弁軸206の左端側はストッパリング194を貫通して図中左向きに突出しており、その突出した端部に、ストッパリング194の内径よりも大径の頭部208が設けられている。
この頭部208には、弁軸206における上記の雄ねじ部158を連繋部134の雌ねじ部156にねじ込む際に工具掛け部となる係合溝が形成されている。
【0081】
この実施形態では、回転操作軸174を正方向に回転操作すると、駆動部材190がねじ送り作用で図中右向きに前進させられ、これによりストッパリング194を介してバイアスばね172が圧縮せしめられ、弁体ユニット128に対する図中右向きの付勢力を増大させる。
また回転操作軸174を逆方向に回転操作すると、駆動部材190が図中左向きに後退移動させられて、バイアスばね172が延びる方向に変位し、弁体ユニット28に対する図中右向きの付勢力を弱くする。
【0082】
この例の混合弁ユニット56では、このようにして回転操作軸174を正方向又は逆方向に回転操作することで、弁体ユニット128に対するバイアスばね172の図中右向きの付勢力と、感温ばね144の図中左向きの付勢力との釣合位置が図中左右方向に変化し、これに伴って弁体ユニット128が図中左右方向にシフトせしめられる。即ち混合弁ユニット56における混合水の温度が設定ないし設定変更される。
【0083】
この混合弁ユニット56では、弁体ユニット128が図中右向きに一杯まで移動して水側弁体130が水側弁座164の弁座面168に当接することで水流入口116が全閉、湯流入口118が全開となり、弁体ユニット128が逆方向に一杯まで移動して湯側弁体132が湯側弁座166の弁座面170に当接することで湯流入口118が全閉、水流入口116が全開状態となる。
またそれらの中間位置において水流入口116及び湯流入口118を開き、且つその開度を感温ばね144の温度感知に基づいて自動的に変化させ、水,湯の流入量を変化させて混合水温度を自動的に設定温度に調節する。
【0084】
図13に示すように、本実施形態において切替弁ユニット58はシリンダ式の弁体ユニットであって、切替ハンドル24と一体回転する回転操作軸228と、回転操作軸228に対し同じく一体回転状態に連結されたシリンダ弁体230及び弁ケース232を備えて構成されている。
【0085】
弁ケース232は、シリンダ弁体230に直接嵌合してこれを保持するインナケース234と、インナケース234の外側のアウタケース236とを有しており、そのアウタケース236が、内ハウジング32の内部に軸方向に挿入され、組み付けられている。
【0086】
弁ケース232は、更にアウタケース236の回止めをなす回止め部材238を有しており、その回止め部材238の部分において、固定ナット240により内ハウジング32の端部に回止め状態に固定されている。
シリンダ弁体230には、送られて来た混合水を吐水管16側に流出させる開口242と、シャワー側に流出させる開口244とが設けられている。
【0087】
一方弁ケース232は、開口242に対応する開口246と、開口244に対応する図示を省略する開口とを備えており、切替ハンドル24にてシリンダ弁体230を回転させ、開口242を弁ケース232の開口246に合致させた状態の下では、混合水を開口242,246から流出させて、これを内ハウジング32の流出用開口60へと流動させる。
流出用開口60に到った混合水は、先に述べたように吐水管16へと流れ込んで、先端の吐水口14から外部に流出(吐水)する。
【0088】
一方シリンダ弁体230の開口244を、図示を省略する弁ケース232の別の開口に合致させると(このとき開口242は開口246に対して不一致の状態にあって、開口242は閉鎖された状態にある)、開口244から流出した混合水が、シャワー側の流出口部76へと流れ込んでシャワーヘッドへと送られ、そこからシャワー吐水される。
【0089】
図6は、上記の混合弁ユニット56と温調ハンドル22との組付構造を示している。
図示のように温調ハンドル22には、内周面に雌セレーション部を有するセレーション部材212が一体回転状態に装着されており、このセレーション部材212が、混合弁ユニット56における上記のセレーション部184、詳しくは雄セレーション部にセレーション結合されることで、温調ハンドル22が混合弁ユニット56における回転操作軸174に一体回転状態に連結されている。
【0090】
214は、温調ハンドル22に備えられた安全ボタンで、ばね216により図中上向きの外向きに突出する側に付勢されている。
この安全ボタン214には、後述のストッパ部材220におけるストッパ部224,226,260に当接する当接部218が備えられている。
220は、この当接部218を当接させることによって温調ハンドル22の回転規制をなすストッパ部材で、222はストッパ部材220を内ハウジング32に取り付けるためのストッパ取付部材である。
【0091】
この実施形態では、温調ハンドル22を高温側に回転させると、あるところで安全ボタン214の当接部218が、ストッパ部材220の第1ストッパ部224に当接するに到る。ここにおいて温調ハンドル22が、より高温側に回転操作されるのが規制される。
【0092】
この段階で使用者が更に混合水の温度を高温側に設定変更したいときは、安全ボタン214をばね216の付勢力に抗して図中下向き(内向き)に押すと、当接部218と第1ストッパ部224との当接が解除され、ここにおいて温調ハンドル22が更なる高温側に回転操作可能となる。
そしてその状態で一杯まで温調ハンドル22を高温側に回転操作すると、最終的に第2ストッパ部226に対して当接部218が当接し、それ以上の回転操作が禁止される。
他方、温調ハンドル22を低温側に一杯まで回転させると、当接部218が第3ストッパ部260に当接して、温調ハンドル22のそれ以上の低温側への回転が規制される。
【0093】
図6において、262は外ハウジング30から軸方向に突出した内ハウジング32の端部であって、外面に雄ねじ264が設けられ、そこに上記の固定ナット110がねじ込まれることで、混合弁ユニット56が内ハウジング32の内部に固定されている。
ここで固定ナット110は、図4及び図7に示しているように、内ハウジング32における上記の突出した端部262の外面よりも僅かに大径をなしている。
固定ナット110はまた、図2の外ハウジング30における内面の最小径部である上記の内フランジ部258の内径よりも大径をなしている。
【0094】
図6及び図7に示しているように、外ハウジング30から軸方向に突出した内ハウジング32の端部262には、その外面に周方向に沿って略半環状の溝266が設けられ、そこに溝266とほぼ同等幅(僅かに小寸法)のストッパ取付部材222が嵌め込まれ、取り付けられている。
【0095】
ストッパ取付部材222は、ストッパ部材220を内ハウジング32の端部262に取り付けるための部材であって、図7及び図9に示しているように全体として略U字状の部分環状をなし、周方向の一部が開口部268とされている。
【0096】
ストッパ取付部材222は、周方向の両端側にストレート形状で互いに平行に延びる一対の脚部270を有し、また脚部270を除いた部分において、ストッパ部材220に内嵌する略半円形状ないし円弧形状の内嵌部272を有している。
また外周側の面には、ストッパ部材220との回転方向の位置決用の位置決凸部(第2の位置決凸部)274-1,274-2,274-3,274-4,274-5を有している。
更に内周側の面の周方向中央部には、回転方向の位置決凹部(第4の位置決凹部)276を有している。
【0097】
一方、端部262に設けられた上記の溝266は、略U字状をなすストッパ取付部材222に対応した溝形状をなしており、この溝266には、ストッパ取付部材222の上記の位置決凹部276に対応した、位置決凹部276に嵌り合う回転方向の位置決凸部(第3の位置決凸部)278が設けられている。
またストッパ取付部材222における一対の脚部270に嵌り合う部分が、平面視形状で脚部270と同一形状とされ、そしてその溝底面が脚部270に対応したストレート形状の面とされている。
【0098】
この実施形態では、略U字状をなすストッパ取付部材222を、内ハウジング32の端部262に設けられた上記の溝266に軸直角方向に嵌め込むと、ここにおいてストッパ取付部材222が、端部262に対して回転方向にも、また軸方向にも位置決めされた状態でそこに固定される。
このときストッパ取付部材222は、端部262の外面及び図2の外ハウジング30の内フランジ部258の内面よりも径方向外方に突出した状態となる。
【0099】
このようなストッパ取付部材222の有する形状を、予め内ハウジング32の端部に一体に形成しておくと、内ハウジング32を外ハウジング30に対し軸方向に挿入して、端部262を外ハウジング30から軸方向に突出させることができないが、この実施形態では、ストッパ取付部材222が内ハウジング32と別体に構成されていて、後付けで端部262に取り付けられる形態であるために、後述のストッパ部材220を取り付けるための取付部分を端部262の外面から径方向外方に突出する形態に容易に構成することができる。
【0100】
上記ストッパ部材220は、以上のようにしてストッパ取付部材222を端部262に取り付けた状態の下で、図7(II)に示すようにこれを軸方向に押し込むことで、かかるストッパ取付部材222を介して端部262に固定状態に取り付けられる。即ち回転方向に固定状態に取り付けられる。
ここでストッパ部材220は、図8に示しているように全体として円筒形状をなしており、その内径は上記の固定ナット110の外径よりも僅かに大径をなしている。従って固定ナット110を組み付けた状態のまま、ストッパ取付部材222に対し軸方向に嵌め合せることが可能である。
【0101】
ストッパ部材220は、図7,図8,図10に示しているように円筒形状の周壁部280と、その軸方向の一端に設けられた径方向内方向きのフランジ部282とを有している。
周壁部280の、フランジ部282とは反対側の端部には、周方向に沿って回転方向の位置決凹部(第1の位置決凹部)284-1,284-2,284-3,284-4,284-5が設けられている。
ここで位置決凹部284-1,284-2,284-3,284-4,284-5は、それぞれストッパ取付部材222の上記の位置決凸部(第2の位置決凸部)274-1,274-2,274-3,274-4,274-5に対応した位置で、且つ対応した形状で設けられている。
【0102】
この実施形態では、ストッパ部材220における位置決凹部284-1〜284-5を、ストッパ取付部材222における位置決凸部274-1〜274-5に対して回転方向に位置を合せた状態で、ストッパ部材220を図7(II)において軸方向に押し込んで行くと、ストッパ部材220の位置決凹部284-1〜284-5が、ストッパ取付部材222の位置決凸部274-1〜274-5に対してそれぞれ嵌り合った状態となり、またストッパ取付部材222の内嵌部272が、ストッパ部材220に内嵌した状態となる。
ここにおいてストッパ部材220がストッパ取付部材222に対して回転方向に位置決めされた状態、つまり内ハウジング32の端部262に対して回転方向に固定状態で取り付けられる。
【0103】
尚図12の変形例に示しているように、ストッパ取付部材222に突起形状の爪286を設ける一方、ストッパ部材220の側に舌片288を設けて、そこに掛止孔290を設けておき、爪286を掛止孔290に掛止させることで、ストッパ取付部材222に組み付けたストッパ部材220を軸方向に離脱防止するようになしても良い。
このようにしておけば、ストッパ部材220がストッパ取付部材222から軸方向に離れて、温調ハンドル22の回転操作時に温調ハンドル22に対して擦れを生じ、異音を発生させたりする問題を防止できて望ましい。
【0104】
図11は、ストッパ取付部材222における第2の位置決凸部274-1〜274-5の当り面と、ストッパ部材220における第1の位置決凹部284-1〜284-5の当り面との位置関係を示している。
ここでは温調ハンドル22即ちストッパ部材220が高温側,低温側の何れの方向(図11中P1,P2の何れの方向)に回転したときにおいても、ストッパ取付部材222における当り面A-1,A-2のうち、ストッパ取付部材222の周方向端に背を向けた側の当り面A-1に対して、ストッパ部材220の当り面Bが当るように、また周方向端を向いた側の当り面A-2に対して、ストッパ部材220の側の当り面Bが当らないように、ストッパ取付部材222における位置決凸部274-1〜274-5、及びストッパ部材220における位置決凹部284-1〜284-5の寸法及び形状が予め定めてある。
【0105】
このようにしておくと、ストッパ部材220が温調ハンドル22と一体に回転して、ストッパ部材220からストッパ取付部材222に力が加わったとき、ストッパ取付部材222に対して、これを内ハウジング32の端部262に対し開口部268の側から軸直角方向により深く嵌め込もうとする力が作用し、ストッパ取付部材222に対して、これを端部262から軸直角方向に引き離す方向の力が働かないため、ストッパ部材220からの回転力の作用により、ストッパ取付部材222が端部262から軸直角方向に離脱してしまうのを確実に防止することができる利点が得られる。
【0106】
以上のような本実施形態では、ストッパ取付部材222を内ハウジング32とは別体として、これを内ハウジング32の、外ハウジング30から突出した端部262の溝266に嵌め込んでそこに取り付けるようになしているため、内ハウジング32の端部に直接ストッパ取付部を設けることによって、内ハウジング32や外ハウジング30の設計上の自由が制約されてしまう問題を解消し、任意形状でそれらを設計することが可能となる。
【0107】
また本実施形態では、後付けでストッパ取付部材222を内ハウジング32の端部262に取り付けるようになしているため、ストッパ取付部材222,ストッパ部材220を大径に構成することができ、ストッパ強度を高強度となすことができる。
【0108】
またストッパ取付部材222にはストッパ部材220に対する内嵌部272を備えてあるため、ストッパ取付部材222が内ハウジング32の突出した端部262及びストッパ部材220から外れるのを有効に防止できる。
【0109】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明では第1の位置決凹部を位置決凸部となし、第2の位置決凹部を位置決凸部となすことも可能である。
更に第3の位置決凸部を位置決凹部となし、第4の位置決凹部を位置決凸部となすことも可能である。
また上記実施形態は本発明を温調ハンドルのストッパ機構に適用した場合の例であるが、本発明は場合によって切替ハンドルのストッパ機構として、或いはその他の形態の混合水栓において他の種類のハンドルのストッパ機構として適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0110】
10 混合水栓
30 外ハウジング
32 内ハウジング
110 固定ナット
218 当接部
220 ストッパ部材
222 ストッパ取付部材
224,226,260 ストッパ部
262 端部
266 溝
272 内嵌部
274-1,274-2,274-3,274-4,274-5 位置決凸部(第2の位置決凸部)
276 位置決凹部(第4の位置決凹部)
278 位置決凸部(第3の位置決凸部)
284-1,284-2,284-3,284-4,284-5 位置決凹部(第1の位置決凹部)
286 爪
290 掛止孔
【技術分野】
【0001】
この発明は筒形をなす外ハウジングの内側に内ハウジングを挿入した形態の混合水栓に関し、特に外ハウジングから軸方向に突出した内ハウジングの端部にストッパ部材を取り付けて、そのストッパ部材に備えたストッパ部に対し、ハンドルに備えた当接部を当接させることでハンドルの回転規制を行うハンドルのストッパ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、湯水混合水栓は水栓本体の本体ボデーをなすハウジングを金属の鋳物にて一体に構成し、その内壁面に水側,湯側の1次側流路や2次側の混合水の流路等を形成する流路壁を一体に設け、そしてその内部に、湯水の混合比率を変化させて混合水の温度調節を行う混合弁ユニットや、流路切替えをなす切替弁ユニット等を納めた構造のものが一般的であった。
【0003】
しかしながらこの湯水混合水栓の場合、金属製のハウジングを製造する際に複雑な構造の流路壁を内壁面に一体に設けなければならず、製造の工程数が多くなり、また技術的にも多くの困難を伴うといった問題がある。
【0004】
このような事情の下で、水栓本体のハウジングを筒形の外ハウジングと内ハウジングとの2重ハウジング構造となして、それらハウジング間に1次側流路としての水側流路,湯側流路及び2次側流路として混合水の流路を、シール部材の配置パターンによって形成するようになした混合水栓が下記特許文献1に提案されている。
【0005】
ところで水栓本体のハウジングをこのように2重ハウジング構造とした場合、ハンドル(例えば温調ハンドル)の回転規制をなすストッパ機構をどのようにして構成するかが問題となる。
上記のように水栓のハウジングが金属製の単一の鋳物製の場合、従来、その金属の鋳物製のハウジング自体に径方向(軸直角方向)外方に凸部を有するストッパ取付部を切削加工にて直接形成して、そこにハンドル側のストッパ部材を嵌合状態に組み付けるようにしているが、この場合、ストッパ取付部を切削加工で形成するために全体のコストが高くなってしまう。
【0006】
これに対し、水栓本体が外ハウジングと内ハウジングとの2重ハウジング構造をなす混合水栓の場合、外ハウジングから軸方向に突出した内ハウジングの端部に、径方向(軸直角方向)外方への凸部を有するストッパ取付部を一体に形成して、そこにハンドル側のストッパ部材を嵌合状態に組み付けるようになすことが考えられるが、この場合、軸方向の端部を外ハウジングから外部に突き出す位置まで内ハウジングを外ハウジングに挿入する際に、ストッパ取付部の凸部が外ハウジングに対して干渉しないように設計しなければならず、設計上の制約が大きくなる。
特にストッパ取付部の凸部が外ハウジング内面の最小径部よりも大径である場合には、内ハウジングの軸方向端部が外ハウジングから突き出す位置まで、内ハウジングを外ハウジング内に挿入することができなくなる。
【0007】
尚、本発明に関連する先行技術として下記特許文献2に開示されたものがある。
但しこの特許文献2に開示のものは、外ハウジングから突き出した内ハウジングの端部の外面に溝を設けて、そこにストッパ取付部材を取り付けるといったものではない点で本発明とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2695364号公報
【特許文献2】特開平9−60060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、水栓本体が外ハウジングと内ハウジングとを有する2重ハウジング構造をなす混合水栓において、特に設計上の制約を生ずることなく容易に構成することのできるハンドルのストッパ機構を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、筒形の外ハウジングの内側に軸方向に挿入した筒形の内ハウジングの、該外ハウジングから軸方向に突出した端部にストッパ部材を取り付けて、該ストッパ部材のストッパ部に対しハンドルを当接させることで該ハンドルの回転規制を行う構造の混合水栓におけるハンドルのストッパ機構であって、前記内ハウジングの前記突出した端部の外面に周方向に沿って溝を設け、前記ストッパ部材に備えた回転方向の位置決用の第1の位置決凹部又は凸部と軸方向に嵌り合って該回転方向に係合する、第2の位置決凸部又は凹部を有するストッパ取付部材を、前記溝に軸直角方向に嵌め込んで前記内ハウジングの端部に回転方向及び軸方向に固定され、該端部の外面から径方向外方に突出する状態に装着し、該ストッパ取付部材に対して前記ストッパ部材を回転方向に固定状態に軸方向に嵌め合せて、前記内ハウジングの前記突出した端部に取り付けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記溝には前記ストッパ取付部材を前記内ハウジングの前記突出した端部に対し回転方向に位置決めするための第3の位置決凸部又は凹部が設けられる一方、該ストッパ取付部材には対応する第4の位置決凹部又は凸部が設けられていて、それら第3の位置決凸部又は凹部と、第4の位置決凹部又は凸部との凹凸係合により、前記ストッパ取付部材が前記内ハウジングの前記端部に対して回転方向に固定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材は、前記ストッパ部材に対する内嵌部を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記内ハウジングの前記端部には、該内ハウジングの内部に納められる部品を該内部に固定状態とする、外径が前記端部と同等以上の固定ナットがねじ結合されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5のものは、請求項4において、前記ストッパ部材は筒状をなしており、前記固定ナットよりも内径が大きいものであることを特徴とする。
【0015】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材と前記ストッパ部材との一方には爪が、他方には該爪を軸方向に掛止させる掛止部が設けてあり、該掛止部に対する該爪の掛止にて前記ストッパ部材が前記ストッパ取付部材から軸方向に分離防止されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材が、周方向の一部が開口形状の部分環状をなす部材であって、前記ストッパ部材の正,逆両方向の何れの方向の回転時においても、該ストッパ取付部材の前記第2の位置決凸部又は凹部における、前記ストッパ部材の第1の位置決凹部又は凸部への当り面のうち、該ストッパ取付部材の周方向端に背を向けた側の当り面に対して、該ストッパ部材の該第1の位置決凹部又は凸部の対応する当り面が当るようになしてあり、前記周方向端を向いた側の当り面に対しては、該ストッパ部材の該第1の位置決凹部又は凸部の前記対応する当り面が当らないように、前記第2の位置決凸部又は凹部及び対応する前記第1の位置決凹部又は凸部の寸法及び形状が定めてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0017】
以上のように本発明は、外ハウジングから軸方向外部に突出した内ハウジングの端部の外面に周方向に沿って溝を設け、その溝に対しストッパ取付部材を嵌め込んで、内ハウジングの端部に回転方向及び軸方向に固定され、径方向外方に突出する状態にストッパ取付部材を装着し、そのストッパ取付部材に対し、ストッパ部材をストッパ取付部材と一体回転状態に軸方向に嵌め合せ、以て内ハウジングの上記突出した端部にこれを取り付けるようになしたものである。
ここでストッパ取付部材は、外ハウジングの内面の最小内径よりも外径を大径となしておくことができる。
【0018】
本発明によれば、ストッパ取付部材を内ハウジングとは別体として、これを内ハウジングの、外ハウジングから突出した端部の溝に嵌め込んで、そこにストッパ部材を設けるようになしているため、内ハウジングに凸部を有するストッパ取付部材を設けることによって、内ハウジングや外ハウジングの設計上の自由が制約されるといったことがなく、任意形状でそれらを設計することが可能となる。
【0019】
本発明では、内ハウジングを外ハウジングに挿入し、その端部を外ハウジングから外部に突出した後において、後付けでストッパ取付部材をその端部から径方向外方に突出した形態で設けることができる。
そして更にそのストッパ取付部材に対しストッパ部材を軸方向に嵌め合せることで、ストッパ部材を取り付けることができる。
このようにすることでストッパ取付部材,ストッパ部材を大径に構成することができ、ストッパ強度を高強度となすことができる。
【0020】
本発明では、上記溝の側に、ストッパ取付部材を内ハウジングの上記の突出した端部に対し回転方向に位置決めするための第3の位置決凸部又は凹部を設ける一方、ストッパ取付部材の側に対応する第4の位置決凹部又は凸部を設けて、それらの凹凸係合によりストッパ取付部材を内ハウジングの端部に対し回転方向に固定するようになすことができる(請求項2)。
このようにすれば簡単な構成でストッパ取付部材を内ハウジングの上記の端部に対し、回転方向に固定状態に設けることができる。
【0021】
またストッパ取付部材は、ストッパ部材に対する内嵌部を備えておくことができる(請求項3)。
このようにしておけば、ストッパ取付部材の内嵌部がストッパ部材に内嵌した状態となるため、ストッパ取付部材が内ハウジングの突出した端部及びストッパ部材から外れるのが有効に防止される。
【0022】
本発明は、請求項4に従い内ハウジングの端部に、内ハウジングの内部に納められる部品をその内部に固定状態とする、外径が内ハウジングの上記端部と同等以上の固定ナットがねじ結合されているものに適用して効果が大である。
【0023】
組付けの関係上、固定ナットが予め内ハウジングの端部にねじ結合されている状態で、上記のストッパ部材をストッパ取付部材に対し軸方向に嵌め合せるようになすのが好都合であるが、このときストッパ取付部材の外径が内ハウジングの端部の外径と同等以下であると、かかるストッパ取付部材に対し、筒状をなすストッパ部材を軸方向に嵌め合せるといったことが難しい。
【0024】
しかるに本発明では、ストッパ取付部材を内ハウジングの端部よりも容易に大径となし得、この場合、請求項5に従いストッパ部材を筒状の部材となした場合でも、これを固定ナットよりも内径を大きくしておくことで、固定ナットを取り付けた状態の下でも、ストッパ部材を内ハウジングの端部に外嵌状態に嵌合して、ストッパ取付部材に対し容易に軸方向に嵌め合せることができる。
【0025】
請求項6は、ストッパ取付部材とストッパ部材との一方に爪を、他方にその爪を軸方向に掛止させる掛止部を設け、掛止部に対する爪の掛止にてストッパ部材をストッパ取付部材から軸方向に分離防止するようになしたもので、このようにしておけば、ストッパ部材がストッパ取付部材に対し軸方向にも固定状態となり、従ってストッパ部材がストッパ部材から軸方向に離れてハンドル操作時にハンドルと擦り、そこで異音を発生させたりするといった不都合を有効に防止することができる。
【0026】
次に請求項7は、ストッパ取付部材を、周方向の一部が開口形状の部分環状をなす部材となし、そしてこの場合においてストッパ部材の正,逆両方向の何れの方向の回転時においても、常にストッパ取付部材に対し、これを内ハウジングの端部に軸直角方向に、より強く嵌り込む側に力が作用するようになしたもので、この請求項7によれば、ストッパ部材からの力を受けてストッパ取付部材がその開口形状に起因して、内ハウジングの端部から軸直角方向の外方に離脱しようとするのを有効に防止することができる。
【0027】
即ち、ストッパ取付部材を部分環状となすことにより、開口形状を通じ容易にこれを内ハウジングの端部に軸直角方向に嵌め合せることが可能となる一方、開口形状に起因してストッパ取付部材が内ハウジングの端部から軸直角方向に離脱してしまうのを確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態のハンドルのストッパ機構を備えた混合水栓の斜視図である。
【図2】図1の混合水栓の一部を水平方向で切り欠いて示した部分断面図である。
【図3】図1の混合水栓の垂直方向の断面図である。
【図4】図3の混合弁ユニットを周辺部とともに拡大して示した図である。
【図5】図4の混合弁ユニットの一部を分解して示した図である。
【図6】図4の混合弁ユニットと温調ハンドルとの接続部分を分解して示した図である。
【図7】同実施形態におけるハンドルのストッパ機構の組付手順を示した図である。
【図8】(A)同実施形態におけるストッパ部材を安全ボタンとともに示した図である。(B)図4のアーア断面図である。
【図9】同実施形態におけるストッパ取付部材を示した図である。
【図10】同実施形態におけるストッパ取付部材及びストッパ部材を分解して示した斜視図である。
【図11】同実施形態におけるハンドルのストッパ機構の効果を説明する図4のイーイ断面図である。
【図12】同実施形態におけるストッパ取付部材及びストッパ部材の変形例を示した図である。
【図13】図3の切替弁ユニットを周辺部とともに拡大して示した図である。
【図14】同実施形態における内ハウジングの図である。
【図15】同実施形態における外ハウジングと内ハウジングとを分解して示した断面図である。
【図16】同実施形態の外ハウジング側の湯流入用開口と内ハウジング側の湯流入用開口との接続部分の分解斜視図である。
【図17】同実施形態における要部としての、外ハウジング側の湯流入用開口と内ハウジングの湯流入用開口との接続部分の断面図である。
【図18】同実施形態におけるスペーサ部材の図である。
【図19】同実施形態における接続部材の図である。
【図20】同実施形態における固定クリップの図である。
【図21】同実施形態の混合水栓の組付手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の壁付きの混合水栓で、図中左右方向に長手形状をなす水栓本体12を有している。
水栓本体12の下面からは、先端に吐水口14を備えた略L字状をなす吐水管16が延び出しており、また背面からはシャワー側の流出口部76が後方に突出して、そこにシャワーエルボ20が接続されている。
このシャワーエルボ20には、図示を省略するシャワーヘッドが可撓性のシャワーホースを介して接続される。
【0030】
水栓本体12の長手方向の一端側(図中左端側)には、温調ハンドル(温度調節ハンドル)22が設けられており、また他端側(図中右端側)には、吐水管16の側とシャワー側とで流路の切替えを行い、且つ吐水の流量調節を行う切替ハンドル24が設けられている。
ここで切替ハンドル24は吐水から止水若しくはその逆への切替えも行う。
【0031】
水栓本体12からはまた、給水管を兼ねた水側のクランク脚26、及び給湯管を兼ねた湯側のクランク脚28がそれぞれ後方に延び出している。
本実施形態の混合水10は、これら一対のクランク脚26,28によって後方の壁に取り付けられている。
【0032】
図2に示しているように、水栓本体12は横断面の内面形状が円形をなす略円筒状の金属製の外ハウジング30を本体ボデーとして有しており、またその内側において、同じく横断面の内面形状が円形をなす樹脂製の略円筒状の内ハウジング32を有している。
即ちこの実施形態の水栓10は、水栓本体12が2重ハウジング構造をなしている。
ここで外ハウジング30の内面は、図15(A)に示すように基本的に凹凸を有しない平滑な面とされていて、そこには複数の流路を区画形成するための流路壁は突出形成されていない。
【0033】
またこの実施形態において、外ハウジング30と内ハウジング32との間の空間は、軸方向の両端部で弾性を有する環状のシール部材34でシールされているが、軸方向の中間部ではシール部材によるシールはなされておらず、外ハウジング30と内ハウジング32との間に形成される空間は、基本的に軸方向の一端から他端にかけて単一の空間を形成している。
この実施形態では、これら外ハウジング30と内ハウジング32との間に形成される空間はその全体が単一の流路、ここでは1次側の水側流路36を形成している。
【0034】
尚、外ハウジング30には軸方向の位置決凸部250が設けられ、また内ハウジング32には対応する軸方向の位置決凸部252が設けられ、それらの軸方向の当接により内ハウジング32の外ハウジング30に対する軸方向(図中左方向)の挿入量が規定されている。
また内ハウジング32の図中右端側には、径方向外方に環状に突出したシール保持部254が設けられていて、そのシール保持部254がシール部材34を介して外ハウジング30の図中右端の円筒内面に水密に嵌合せしめられている。
更に内ハウジング32の図中左端側にも、径方向外方に突出した環状のシール保持部256が設けられていて、そこにシール部材34が保持され、このシール保持部256がシール部材34を介して、外ハウジング30の図中左端側の径方向内向きの環状の内フランジ部258に水密に嵌合せしめられている。
【0035】
外ハウジング30の背面(図2中上面)且つ図中右端側には、水を外ハウジング30の内部、つまり外ハウジング30と内ハウジング32との間の水側流路36に流入させる水流入用開口(外ハウジング側開口)38が設けられており、そしてこの水流入用開口38から、外ハウジング30に一体に構成された筒形(円筒形)の水流入口部40が後方(図中上方)に突出していて、この水流入口部40に対し、給水管を兼ねた水側のクランク脚26が締結ナット46にてねじ結合されている。
【0036】
クランク脚26を通じて供給された水は、この水流入口部40,水流入用開口38を通じて上記の水側流路36へと流入する。
尚、クランク脚26と水流入口部40との接続部の内部には、クランク脚26から水流入用開口38に向けての水の流れのみを許容し、逆方向の流れを阻止する、弁体42を備えた一方向性の逆止弁44が設けられている。
【0037】
一方内ハウジング32の図中左端側の前面(図中下面)には、水側流路36に流入した水を内ハウジング32内に流入させる、内ハウジング32側の水流入用開口(内ハウジング側開口)48が筒壁を貫通して設けられている。
クランク脚26を通じて供給された水は、外ハウジング30の内側の水側流路36に流入した後、この内ハウジング32側の水流入用開口48を通じて内ハウジング32内に流入する。
【0038】
図中左端側において、内ハウジング32には背面側(図中上面側)に、湯流入用開口(内ハウジング側開口)50が筒壁を貫通して設けられている。
またこれに対し径方向に対向する位置において、外ハウジング30には湯流入用開口(外ハウジング側開口)52が設けられて、それらが後に詳述する接続部材54にて水密に接続されている。
【0039】
この外ハウジング30側の湯流入用開口52からは、円筒形状をなす湯流入口部55が外ハウジング30から一体に突出しており、そしてその湯流入口部55に対し、湯側のクランク脚28が締結ナット46にてねじ結合されている。
この湯流入口部55の側においても、これとクランク脚28との接続部の内部に、弁体42を有する逆止弁44が設けられている。
この湯側の逆止弁44は、クランク脚28から湯流入用開口52に向けての湯の流れのみを許容し、逆方向の流れを阻止する。
【0040】
而してクランク脚28から外ハウジング30の湯流入用開口52に流入した湯は、接続部材54による連絡によって、そのまま外ハウジング30と内ハウジング32との間の水側流路36を横切って、内ハウジング32側の湯流入用開口50へと到り、更にこれを通過して内ハウジング32内部へと流入する。
【0041】
そして内ハウジング32の内部に流入した水と湯とは、図3に示しているように内ハウジング32の内部に軸方向に挿入されて組み付けられた混合弁ユニット56により、温調ハンドル22の操作により設定された比率で混合されて設定温度の混合水とされ、続いて同じく内ハウジング32の内部に軸方向に挿入されて組み付けられた切替弁ユニット58による流路切替えによって、図1の吐水管16側又はシャワー側へと案内されて、そこから外部に流出せしめられる。
【0042】
詳しくは、図3及び図13に示しているように内ハウジング32の軸方向中間部の下面には、内ハウジング32内の混合水を流出させるための流出用開口(内ハウジング側開口)60と、図14に示すように筒壁の外面から突出して流出用開口60を取り囲む環状壁から成る連結口部62が設けられている。
【0043】
一方外ハウジング30側には、流出用開口60及び連結口部62に対し径方向に対向する位置に、混合水を外部に流出させる流出用開口(外ハウジング側開口)64が設けられおり、内ハウジング32側の流出用開口60が、連結口部62において、外ハウジング30側の流出用開口64に筒形の流出口部66にて水密に接続されている。
【0044】
ここで流出口部66は、流出用開口60と64とを接続する接続部材を兼ねており、外ハウジング30の流出用開口64への差込みにより、外ハウジング30に取り付けられている。
流出口部66は、外ハウジング30から下向きに突出しており、そしてその突出した部分に対して、図1に示す吐水管16が締結ナット68により回転可能にねじ結合されている。
【0045】
内ハウジング32にはまた、軸方向のほぼ同じ位置において、図2に示しているようにシャワー側の混合水の流出用開口(内ハウジング側開口)70が、筒壁を貫通して設けられており、更に内ハウジング32には、図2及び図13に示すように筒壁の外面から環状に突出して流出用開口70を取り囲む環状壁から成る連結口部72が設けられている。
【0046】
更にこれら流出用開口70及び連結口部72に対し径方向に対向する位置において、外ハウジング30には対応する流出用開口(外ハウジング側開口)74が設けられており、そして内ハウジング32側の流出用開口70と、外ハウジング30側の流出用開口74とが、外ハウジング30とは別体をなして筒形をなす流出口部76にて水密に接続されている。
尚、流出口部76は流出用開口74に対し、全周に亘りシール部材を介し水密に内嵌状態に嵌合せしめられており、また先端部が連結口部72に対し、全周に亘りシール部材を介し水密に且つ内嵌状態に嵌合せしめられている。
【0047】
このシャワー側の流出口部76もまた、流出用開口70と74とを水密に接続する接続部材を兼ねて構成されており、外ハウジング30側の流出用開口74への差込みにより、外ハウジング30から突出する状態に外ハウジング30に取り付けられている。
そしてこの流出口部76の外ハウジング30から突出した部分に対して、シャワーエルボ20が嵌入部80をシール部材を介し嵌入させる状態に、水密にねじ結合され、接続されている。
【0048】
図3,図4の混合弁ユニット56から図13の切替弁ユニット58に到った混合水は、切替弁ユニット58の流路切替作用により、内ハウジング32側の流出用開口60から流出口部66内へと流出して流出口部66の内部流路を流通した後、吐水口16から外部に流出するか、又は同じく内ハウジング32側の流出開口70から流出口部76内へと到って、その内部流路を通じた後シャワーエルボ20を経てシャワーヘッドへと送られ、そこから外部へと流出(吐水)せしめられる。
【0049】
内ハウジング32に設けた上記の湯流入用開口50は、図14及び図16に示しているように平面展開形状が周方向に長い矩形状をなしている。即ち全体として周方向に長い大きな開口をなしており、その周方向長は、後述する円筒形状の接続部材54の内径よりも大きなものとされている。
【0050】
但し、湯流入用開口50の位置で接続部材54の先端を内ハウジング32の筒壁の外面に直接当てるようにすると、湯流入用開口50の有効な流路面積が、接続部材54の先端で囲まれた内側の部分の面積だけとなり、必然的に湯流入用開口50の有効面積が小さいものとなって、十分な流量を確保することが難しい。
そこでこの実施形態では、湯流入用開口50を大きな開口となした上で、接続部材54を次のようにして湯流入用開口50に接続するようになしている。
【0051】
即ちこの実施形態では、内ハウジング32の筒壁の外面から環状(平面視矩形状)に突出して、湯流入用開口50を取り囲む環状壁を設けて、これを連結口部82と成し、そして接続部材54の内ハウジング32側の端部をこの連結口部82に対して、リング状のスペーサ部材84を介して内嵌させるようにしている。そしてこのようにすることで、接続部材54の内ハウジング32側の端部及びスペーサ部材84と、内ハウジング32の筒壁外面との間にスペース形成するようになしている。
【0052】
詳しくは、図17に示しているように連結口部82には周方向両端の付根位置に段付部86を設けて、そこにリング状のスペーサ部材84を当接させる状態に、スペーサ部材84を連結口部82に対して内嵌状態に嵌合させ、更にそのスペーサ部材84に対し、円筒形状をなす接続部材54の先端部を同じく内嵌状態に嵌合させることにより、それら接続部材54及びスペーサ部材84と内ハウジング32の筒壁外面との間にスペース形成する状態に、接続部材54を組み付け、以て内ハウジング側開口としての湯流入用開口50と外ハウジング側開口としての湯流入用開口52とを、スペーサ部材84及び連結口部82を介して接続部材54にて水密に接続するようになしている。
尚、周方向長の長い上記の湯流入用開口50は、図17に示しているように連結口部82に到るまで周方向に延びている。
【0053】
上記リング状をなすスペーサ部材84は、図18(A)に示しているように平面視形状が4角形状で、円形の嵌合孔99を有しており、また図18(B)の側面視における下面形状が図中上向きに凹の湾曲形状をなしている。
更に外周面には環状溝88を有していて、そこに弾性を有するOリングから成るシール部材90を保持している。
スペーサ部材84は、その外面(外周面)をこのシール部材90を介して連結口部82の内面(内周面)に水密に嵌合させている。
【0054】
一方円筒形状をなす接続部材54は、図19に示しているように軸方向の各端部の外面(外周面)に環状溝92,94を有していて、それら環状溝92,94においてOリングから成るシール部材96,98を保持している。
【0055】
接続部材54は、シール部材96を介して軸方向の端部(図17中下端部)を、スペーサ部材84の内面に嵌合状態に水密結合し、またシール部材98を介しその外面を、外ハウジング30側開口である湯流入用開口52の内面に嵌合状態に水密結合し、以て外ハウジング30側の湯流入用開口52と、内ハウジング32側の湯流入用開口50とをスペーサ部材84,連結口部82を介して水密接続している。
【0056】
即ち外ハウジング30と内ハウジング32との間に形成される水側流路36を横切る状態に、湯流入用開口52と50とを連絡してその内部に、クランク脚28から送られて来た湯を内ハウジング32内に流入させるための、独立した1次側流路としての湯側流路を形成している。
【0057】
図17において、100は接続部材54を抜止状態に固定する固定クリップ(固定部材)で、図20に示しているように全体としてCリング状をなしていて、径方向に弾性変形能を有している。
図17に示しているように、この実施形態ではクランク脚28からの湯を流入させる筒状の湯流入口部55が外ハウジング30に一体に構成されており、上記の接続部材54は、この湯流入口部55の開口部からその内部に差し込まれて内ハウジング32側の湯流入用開口50、具体的には連結口部82と外ハウジング30側の湯流入用開口52とを水密接続している。
【0058】
而して湯流入口部55の内面には、環状の嵌込凹部102が設けられており、そこに固定クリップ100を縮径状態で挿入した後これを拡径して嵌込凹部102に嵌め込むことで、固定クリップ100の接続部材54に対する当接作用により、接続部材54が図中上向きに抜け防止されている。
【0059】
尚図20に示しているように、固定クリップ100は周方向両端部が径方向内方の突出部とされて、そこに凹部106が設けられている。
この凹部106は治具を係合させるための部分であって、この固定クリップ100は、凹部106に治具を係合させて縮径させることで、湯流入口部55から取出可能である。
尚接続部材54は、これを図17中下向きに押し込むと先端が内ハウジング32の筒壁の外面に当接し、そこで押込量が規定される。
【0060】
図21及び図16は、図17におけるスペーサ部材84,接続部材54及び固定クリップ100等の組付けの手順を示している。
図に示しているように、ここでは先ず内ハウジング32を外ハウジング30に挿入する前において、連結口部82にスペーサ部材84を内嵌状態に装着してそこに保持させておく。
そしてその状態で、図16(A)に示しているように内ハウジング32を外ハウジング30の内部に軸方向に挿入する。図21(III)はこのときの状態を表している。
【0061】
その後、図16(A)に示しているように先ず接続部材54を外ハウジング30における湯流入口部55の内部に差し込み、しかる後、固定クリップ100を縮径変形させた状態で同じく湯流入口部55内部に押し込み、これを湯流入口部55内部の嵌込凹部102に嵌め込む。
このとき固定クリップ100は蓄えられていた弾性力で拡径して嵌込凹部102に嵌り込み、接続部材54の図中上向きの抜けを防止する。
即ち接続部材54をその軸方向に固定状態とする。
【0062】
本実施形態においては、図2及び図17における接続部材54によって、外ハウジング30の湯流入用開口52と連結口部82、つまり内ハウジング32の湯流入用開口50が接続されることで、また図13に示す内ハウジング32側の混合水の流出用開口60と外ハウジング30側の流出用開口64とが、接続部材を兼ねた流出口部66にて接続されることで、更には図2に示すように混合水を流出させる内ハウジング32側の流出用開口70と外ハウジング30の流出用開口74とが、接続部材を兼ねた流出口部76にて接続されることで、外ハウジング30と内ハウジング32とが固定状態とされる。
【0063】
図3における上記の混合弁ユニット56が、周辺部とともに図4に拡大して詳しく示してあり、また切替弁ユニット58が周辺部とともに図13に拡大して詳しく示してある。
本実施形態の混合弁ユニット56はサーモスタット式(自動温度調節機能付)のもので、弁ケース112を有しており、その弁ケース112ごと、上記の内ハウジング32の内部に軸方向に挿入されて組み付けられている。
【0064】
図4において、110は段付きの円筒形状をなす固定ナットで、内ハウジング32内部に挿入された混合弁ユニット56は、この固定ナット110を内ハウジング32の端部にねじ結合することで、内ハウジング32から抜止めされ、内ハウジング32内部に固定される。
【0065】
弁ケース112には、軸方向に互いに離隔した位置に水流入口116,湯流入口118が形成されており、これら水流入口116,湯流入口118を通じて水,湯が弁ケース112内部に流入する。
流入した水と湯とは混合室120で混合された後、その混合水が流出口122から図中右向きに流出する。
【0066】
124,126はそれぞれ水流入口116,湯流入口118から流入する水,湯の流入量を調節する水側弁部,湯側弁部で、水流入口116,湯流入口118からの水と湯の流入量は、それぞれ水側弁部124,湯側弁部126の弁開度に応じて大小変化する。即ち混合室120での水と湯との混合比率が変化し、混合水温度が高低変化する。
【0067】
弁ケース112の内部には、弁体ユニット128が図中左右方向(軸方向)に移動可能に設けられている。
この弁体ユニット128は、軸方向に離隔して設けられた水側弁体130と湯側弁体132、及びそれらを軸方向に連繋する連繋部134を有している。
【0068】
ここで水側弁体130及び湯側弁体132はそれぞれ円筒形状(環状)をなしており、それぞれの外周面の軸方向中間位置に断面U字形状をなすシール部材136,138が保持されていて、それらシール部材136,138により水側弁体130及び湯側弁体132と弁ケース112との間が水密にシールされている。
【0069】
連繋部134は湯側弁体132と一体に構成されている。
この連繋部134は、図5にも示しているように湯側弁体132の内側位置において十字状をなすように中心部から放射状に延びる複数(ここでは4つ)の補強板140と、この補強板140から軸方向且つ図中右方向に突き出した円筒部142とを一体に有している。
ここで補強板140は湯側弁体132を内側から補強する働きをなすもので、板面が軸方向に延びており、そして外周端が湯側弁体132に一体化されている。
この実施形態では、水流入口116,湯流入口118から流入した水と湯とが図中右向きに流れて混合室120に到り、そこで水と湯とが混合される。
【0070】
混合室120には、形状記憶合金製のコイル形状の感温ばね(付勢部材)144が収容されており、その付勢力を軸方向の押圧力として弁体ユニット128に対し図中左向きに、即ち湯側弁体132を閉弁させ、水側弁体130を開弁させる方向に及ぼしている。
この形状記憶合金製の感温ばね144は混合室120内部の混合水温度に応じて伸縮し、混合水温度が設定温度となるように図中左向きの付勢力を変化させて、弁体ユニット128の位置を自動的に微調節する。
【0071】
146は混合室120を形成するとともに感温ばね144の一端を当接させるばね受で、図中左端に外向きの係合爪148を有し、その係合爪148を弁ケース112の係合孔150に係合させることで、弁ケース112に組み付けられている。
【0072】
上記水側弁体130は、湯側弁体132及び連繋部134とは別体に構成されている。
この水側弁体130には、図5にも明らかに示しているように内側が段付形状をなす円筒形状の嵌合部152が形成されており、その嵌合部152が、段付部154を円筒部142の先端面に当接させる状態に、円筒部142に外嵌状態に嵌合され組み付けられている。
詳しくは、円筒部142の内側には雌ねじ部156が形成されていて、そこに後述の弁軸206の先端部に形成された雄ねじ部158がねじ込まれている。
【0073】
この弁軸206には押え部材としての止め輪160が装着されており、弁軸206の雄ねじ部158が円筒部142の内側の雌ねじ部156にねじ込まれることで、水側弁体130が止め輪160にてばね162を介し円筒部142に図中右向きに押し付けられ、連繋部134に組付固定されている。
ここでばね162は通常の金属製でコイル形状をなしている。
【0074】
図4に示しているように弁ケース112には、水側弁体130,湯側弁体132のそれぞれの軸方向の内側位置に、水側弁部124における水側弁座164,湯側弁部126における湯側弁座166が設けられており、それらに対し水側弁体130,湯側弁体132が軸方向に当接するようになっている。
詳しくは水側弁座164,湯側弁座166におけるそれぞれの弁座面168,170に対して水側弁体130,湯側弁体132が当接するようになっている。
【0075】
この実施形態において、弁体ユニット128は通常の金属製のコイルばねから成るバイアスばね(付勢部材)172にて図中右向き、即ち湯側弁体132を開弁させ、水側弁体130を閉弁させる方向に付勢(押圧)されており、また混合室120内に設けられた感温ばね144にてこれとは逆方向の図中左向き、即ち湯側弁体132を閉弁させ、水側弁体130を開弁させる方向に付勢されている。
弁体ユニット128は、感温ばね144による図中左向きの付勢力と、バイアスばね172による図中右向きの付勢力とが釣合う位置に保持される。
【0076】
図4に示しているように、弁ケース112には回転操作軸174が組み付けられている。
この回転操作軸174は、弁体ユニット128を弁ケース112の内部で軸方向、即ち図中左右方向に移動させて混合水温度を設定操作するためのもので、嵌合軸部176と、ハンドル連結部178とを有しており、その嵌合軸部176が弁ケース112の嵌合孔180に回転可能に内嵌されている。
ここで嵌合軸部176と弁ケース112の嵌合孔180との間はOリング182にて水密にシールされている。
また弁ケース112から軸方向の左方に突き出したハンドル連結部178には、セレーション部184において温調ハンドル22が一体回転状態に連結されるようになっている。
【0077】
回転操作軸174は、弁ケース112の内部において大径の円筒部185を有しており、その円筒部185の図中左端の肩部と、回転操作軸174に装着された径方向に弾性を有する止め輪186にて、弁ケース112に軸方向に固定されている。
この円筒部185の内周面には雌ねじ部188が形成され、そこに円筒形状をなす駆動部材190が、外周面の雄ねじ部192において螺合されている。
この駆動部材190は、回転操作軸174の回転操作によってねじ送りで軸方向即ち図中左右方向に進退移動させられる。
【0078】
この駆動部材190と弁体ユニット128との間には、ストッパリング194,ばね受196を介して通常の金属製のコイルばねからなる上記のバイアスばね172が介在させられており、バイアスばね172の図中右向きの付勢力が弁体ユニット128に対し図中右向きに及ぼされている。
尚、ばね受196には図中右端と左端とに内向きのフランジ部198,200が設けられている。
【0079】
一方、駆動部材190の図中右端には外向きのフランジ部202が設けられ、この外向きのフランジ部202が、一対のフランジ部198,200の間においてばね受196内部を図中左右方向に相対移動可能とされている。
また駆動部材190には、内向きに突出した段付部204が図中左端に設けられていて、そこにストッパリング194が図中右向きに当接させられている。
【0080】
上記のように弁体ユニット128からは図中左向きに弁軸206が延び出している。
弁軸206の左端側はストッパリング194を貫通して図中左向きに突出しており、その突出した端部に、ストッパリング194の内径よりも大径の頭部208が設けられている。
この頭部208には、弁軸206における上記の雄ねじ部158を連繋部134の雌ねじ部156にねじ込む際に工具掛け部となる係合溝が形成されている。
【0081】
この実施形態では、回転操作軸174を正方向に回転操作すると、駆動部材190がねじ送り作用で図中右向きに前進させられ、これによりストッパリング194を介してバイアスばね172が圧縮せしめられ、弁体ユニット128に対する図中右向きの付勢力を増大させる。
また回転操作軸174を逆方向に回転操作すると、駆動部材190が図中左向きに後退移動させられて、バイアスばね172が延びる方向に変位し、弁体ユニット28に対する図中右向きの付勢力を弱くする。
【0082】
この例の混合弁ユニット56では、このようにして回転操作軸174を正方向又は逆方向に回転操作することで、弁体ユニット128に対するバイアスばね172の図中右向きの付勢力と、感温ばね144の図中左向きの付勢力との釣合位置が図中左右方向に変化し、これに伴って弁体ユニット128が図中左右方向にシフトせしめられる。即ち混合弁ユニット56における混合水の温度が設定ないし設定変更される。
【0083】
この混合弁ユニット56では、弁体ユニット128が図中右向きに一杯まで移動して水側弁体130が水側弁座164の弁座面168に当接することで水流入口116が全閉、湯流入口118が全開となり、弁体ユニット128が逆方向に一杯まで移動して湯側弁体132が湯側弁座166の弁座面170に当接することで湯流入口118が全閉、水流入口116が全開状態となる。
またそれらの中間位置において水流入口116及び湯流入口118を開き、且つその開度を感温ばね144の温度感知に基づいて自動的に変化させ、水,湯の流入量を変化させて混合水温度を自動的に設定温度に調節する。
【0084】
図13に示すように、本実施形態において切替弁ユニット58はシリンダ式の弁体ユニットであって、切替ハンドル24と一体回転する回転操作軸228と、回転操作軸228に対し同じく一体回転状態に連結されたシリンダ弁体230及び弁ケース232を備えて構成されている。
【0085】
弁ケース232は、シリンダ弁体230に直接嵌合してこれを保持するインナケース234と、インナケース234の外側のアウタケース236とを有しており、そのアウタケース236が、内ハウジング32の内部に軸方向に挿入され、組み付けられている。
【0086】
弁ケース232は、更にアウタケース236の回止めをなす回止め部材238を有しており、その回止め部材238の部分において、固定ナット240により内ハウジング32の端部に回止め状態に固定されている。
シリンダ弁体230には、送られて来た混合水を吐水管16側に流出させる開口242と、シャワー側に流出させる開口244とが設けられている。
【0087】
一方弁ケース232は、開口242に対応する開口246と、開口244に対応する図示を省略する開口とを備えており、切替ハンドル24にてシリンダ弁体230を回転させ、開口242を弁ケース232の開口246に合致させた状態の下では、混合水を開口242,246から流出させて、これを内ハウジング32の流出用開口60へと流動させる。
流出用開口60に到った混合水は、先に述べたように吐水管16へと流れ込んで、先端の吐水口14から外部に流出(吐水)する。
【0088】
一方シリンダ弁体230の開口244を、図示を省略する弁ケース232の別の開口に合致させると(このとき開口242は開口246に対して不一致の状態にあって、開口242は閉鎖された状態にある)、開口244から流出した混合水が、シャワー側の流出口部76へと流れ込んでシャワーヘッドへと送られ、そこからシャワー吐水される。
【0089】
図6は、上記の混合弁ユニット56と温調ハンドル22との組付構造を示している。
図示のように温調ハンドル22には、内周面に雌セレーション部を有するセレーション部材212が一体回転状態に装着されており、このセレーション部材212が、混合弁ユニット56における上記のセレーション部184、詳しくは雄セレーション部にセレーション結合されることで、温調ハンドル22が混合弁ユニット56における回転操作軸174に一体回転状態に連結されている。
【0090】
214は、温調ハンドル22に備えられた安全ボタンで、ばね216により図中上向きの外向きに突出する側に付勢されている。
この安全ボタン214には、後述のストッパ部材220におけるストッパ部224,226,260に当接する当接部218が備えられている。
220は、この当接部218を当接させることによって温調ハンドル22の回転規制をなすストッパ部材で、222はストッパ部材220を内ハウジング32に取り付けるためのストッパ取付部材である。
【0091】
この実施形態では、温調ハンドル22を高温側に回転させると、あるところで安全ボタン214の当接部218が、ストッパ部材220の第1ストッパ部224に当接するに到る。ここにおいて温調ハンドル22が、より高温側に回転操作されるのが規制される。
【0092】
この段階で使用者が更に混合水の温度を高温側に設定変更したいときは、安全ボタン214をばね216の付勢力に抗して図中下向き(内向き)に押すと、当接部218と第1ストッパ部224との当接が解除され、ここにおいて温調ハンドル22が更なる高温側に回転操作可能となる。
そしてその状態で一杯まで温調ハンドル22を高温側に回転操作すると、最終的に第2ストッパ部226に対して当接部218が当接し、それ以上の回転操作が禁止される。
他方、温調ハンドル22を低温側に一杯まで回転させると、当接部218が第3ストッパ部260に当接して、温調ハンドル22のそれ以上の低温側への回転が規制される。
【0093】
図6において、262は外ハウジング30から軸方向に突出した内ハウジング32の端部であって、外面に雄ねじ264が設けられ、そこに上記の固定ナット110がねじ込まれることで、混合弁ユニット56が内ハウジング32の内部に固定されている。
ここで固定ナット110は、図4及び図7に示しているように、内ハウジング32における上記の突出した端部262の外面よりも僅かに大径をなしている。
固定ナット110はまた、図2の外ハウジング30における内面の最小径部である上記の内フランジ部258の内径よりも大径をなしている。
【0094】
図6及び図7に示しているように、外ハウジング30から軸方向に突出した内ハウジング32の端部262には、その外面に周方向に沿って略半環状の溝266が設けられ、そこに溝266とほぼ同等幅(僅かに小寸法)のストッパ取付部材222が嵌め込まれ、取り付けられている。
【0095】
ストッパ取付部材222は、ストッパ部材220を内ハウジング32の端部262に取り付けるための部材であって、図7及び図9に示しているように全体として略U字状の部分環状をなし、周方向の一部が開口部268とされている。
【0096】
ストッパ取付部材222は、周方向の両端側にストレート形状で互いに平行に延びる一対の脚部270を有し、また脚部270を除いた部分において、ストッパ部材220に内嵌する略半円形状ないし円弧形状の内嵌部272を有している。
また外周側の面には、ストッパ部材220との回転方向の位置決用の位置決凸部(第2の位置決凸部)274-1,274-2,274-3,274-4,274-5を有している。
更に内周側の面の周方向中央部には、回転方向の位置決凹部(第4の位置決凹部)276を有している。
【0097】
一方、端部262に設けられた上記の溝266は、略U字状をなすストッパ取付部材222に対応した溝形状をなしており、この溝266には、ストッパ取付部材222の上記の位置決凹部276に対応した、位置決凹部276に嵌り合う回転方向の位置決凸部(第3の位置決凸部)278が設けられている。
またストッパ取付部材222における一対の脚部270に嵌り合う部分が、平面視形状で脚部270と同一形状とされ、そしてその溝底面が脚部270に対応したストレート形状の面とされている。
【0098】
この実施形態では、略U字状をなすストッパ取付部材222を、内ハウジング32の端部262に設けられた上記の溝266に軸直角方向に嵌め込むと、ここにおいてストッパ取付部材222が、端部262に対して回転方向にも、また軸方向にも位置決めされた状態でそこに固定される。
このときストッパ取付部材222は、端部262の外面及び図2の外ハウジング30の内フランジ部258の内面よりも径方向外方に突出した状態となる。
【0099】
このようなストッパ取付部材222の有する形状を、予め内ハウジング32の端部に一体に形成しておくと、内ハウジング32を外ハウジング30に対し軸方向に挿入して、端部262を外ハウジング30から軸方向に突出させることができないが、この実施形態では、ストッパ取付部材222が内ハウジング32と別体に構成されていて、後付けで端部262に取り付けられる形態であるために、後述のストッパ部材220を取り付けるための取付部分を端部262の外面から径方向外方に突出する形態に容易に構成することができる。
【0100】
上記ストッパ部材220は、以上のようにしてストッパ取付部材222を端部262に取り付けた状態の下で、図7(II)に示すようにこれを軸方向に押し込むことで、かかるストッパ取付部材222を介して端部262に固定状態に取り付けられる。即ち回転方向に固定状態に取り付けられる。
ここでストッパ部材220は、図8に示しているように全体として円筒形状をなしており、その内径は上記の固定ナット110の外径よりも僅かに大径をなしている。従って固定ナット110を組み付けた状態のまま、ストッパ取付部材222に対し軸方向に嵌め合せることが可能である。
【0101】
ストッパ部材220は、図7,図8,図10に示しているように円筒形状の周壁部280と、その軸方向の一端に設けられた径方向内方向きのフランジ部282とを有している。
周壁部280の、フランジ部282とは反対側の端部には、周方向に沿って回転方向の位置決凹部(第1の位置決凹部)284-1,284-2,284-3,284-4,284-5が設けられている。
ここで位置決凹部284-1,284-2,284-3,284-4,284-5は、それぞれストッパ取付部材222の上記の位置決凸部(第2の位置決凸部)274-1,274-2,274-3,274-4,274-5に対応した位置で、且つ対応した形状で設けられている。
【0102】
この実施形態では、ストッパ部材220における位置決凹部284-1〜284-5を、ストッパ取付部材222における位置決凸部274-1〜274-5に対して回転方向に位置を合せた状態で、ストッパ部材220を図7(II)において軸方向に押し込んで行くと、ストッパ部材220の位置決凹部284-1〜284-5が、ストッパ取付部材222の位置決凸部274-1〜274-5に対してそれぞれ嵌り合った状態となり、またストッパ取付部材222の内嵌部272が、ストッパ部材220に内嵌した状態となる。
ここにおいてストッパ部材220がストッパ取付部材222に対して回転方向に位置決めされた状態、つまり内ハウジング32の端部262に対して回転方向に固定状態で取り付けられる。
【0103】
尚図12の変形例に示しているように、ストッパ取付部材222に突起形状の爪286を設ける一方、ストッパ部材220の側に舌片288を設けて、そこに掛止孔290を設けておき、爪286を掛止孔290に掛止させることで、ストッパ取付部材222に組み付けたストッパ部材220を軸方向に離脱防止するようになしても良い。
このようにしておけば、ストッパ部材220がストッパ取付部材222から軸方向に離れて、温調ハンドル22の回転操作時に温調ハンドル22に対して擦れを生じ、異音を発生させたりする問題を防止できて望ましい。
【0104】
図11は、ストッパ取付部材222における第2の位置決凸部274-1〜274-5の当り面と、ストッパ部材220における第1の位置決凹部284-1〜284-5の当り面との位置関係を示している。
ここでは温調ハンドル22即ちストッパ部材220が高温側,低温側の何れの方向(図11中P1,P2の何れの方向)に回転したときにおいても、ストッパ取付部材222における当り面A-1,A-2のうち、ストッパ取付部材222の周方向端に背を向けた側の当り面A-1に対して、ストッパ部材220の当り面Bが当るように、また周方向端を向いた側の当り面A-2に対して、ストッパ部材220の側の当り面Bが当らないように、ストッパ取付部材222における位置決凸部274-1〜274-5、及びストッパ部材220における位置決凹部284-1〜284-5の寸法及び形状が予め定めてある。
【0105】
このようにしておくと、ストッパ部材220が温調ハンドル22と一体に回転して、ストッパ部材220からストッパ取付部材222に力が加わったとき、ストッパ取付部材222に対して、これを内ハウジング32の端部262に対し開口部268の側から軸直角方向により深く嵌め込もうとする力が作用し、ストッパ取付部材222に対して、これを端部262から軸直角方向に引き離す方向の力が働かないため、ストッパ部材220からの回転力の作用により、ストッパ取付部材222が端部262から軸直角方向に離脱してしまうのを確実に防止することができる利点が得られる。
【0106】
以上のような本実施形態では、ストッパ取付部材222を内ハウジング32とは別体として、これを内ハウジング32の、外ハウジング30から突出した端部262の溝266に嵌め込んでそこに取り付けるようになしているため、内ハウジング32の端部に直接ストッパ取付部を設けることによって、内ハウジング32や外ハウジング30の設計上の自由が制約されてしまう問題を解消し、任意形状でそれらを設計することが可能となる。
【0107】
また本実施形態では、後付けでストッパ取付部材222を内ハウジング32の端部262に取り付けるようになしているため、ストッパ取付部材222,ストッパ部材220を大径に構成することができ、ストッパ強度を高強度となすことができる。
【0108】
またストッパ取付部材222にはストッパ部材220に対する内嵌部272を備えてあるため、ストッパ取付部材222が内ハウジング32の突出した端部262及びストッパ部材220から外れるのを有効に防止できる。
【0109】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明では第1の位置決凹部を位置決凸部となし、第2の位置決凹部を位置決凸部となすことも可能である。
更に第3の位置決凸部を位置決凹部となし、第4の位置決凹部を位置決凸部となすことも可能である。
また上記実施形態は本発明を温調ハンドルのストッパ機構に適用した場合の例であるが、本発明は場合によって切替ハンドルのストッパ機構として、或いはその他の形態の混合水栓において他の種類のハンドルのストッパ機構として適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0110】
10 混合水栓
30 外ハウジング
32 内ハウジング
110 固定ナット
218 当接部
220 ストッパ部材
222 ストッパ取付部材
224,226,260 ストッパ部
262 端部
266 溝
272 内嵌部
274-1,274-2,274-3,274-4,274-5 位置決凸部(第2の位置決凸部)
276 位置決凹部(第4の位置決凹部)
278 位置決凸部(第3の位置決凸部)
284-1,284-2,284-3,284-4,284-5 位置決凹部(第1の位置決凹部)
286 爪
290 掛止孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形の外ハウジングの内側に軸方向に挿入した筒形の内ハウジングの、該外ハウジングから軸方向に突出した端部にストッパ部材を取り付けて、該ストッパ部材のストッパ部に対しハンドルを当接させることで該ハンドルの回転規制を行う構造の混合水栓におけるハンドルのストッパ機構であって、
前記内ハウジングの前記突出した端部の外面に周方向に沿って溝を設け、
前記ストッパ部材に備えた回転方向の位置決用の第1の位置決凹部又は凸部と軸方向に嵌り合って該回転方向に係合する、第2の位置決凸部又は凹部を有するストッパ取付部材を、前記溝に軸直角方向に嵌め込んで前記内ハウジングの端部に回転方向及び軸方向に固定され、該端部の外面から径方向外方に突出する状態に装着し、
該ストッパ取付部材に対して前記ストッパ部材を回転方向に固定状態に軸方向に嵌め合せて、前記内ハウジングの前記突出した端部に取り付けたことを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項2】
請求項1において、前記溝には前記ストッパ取付部材を前記内ハウジングの前記突出した端部に対し回転方向に位置決めするための第3の位置決凸部又は凹部が設けられる一方、該ストッパ取付部材には対応する第4の位置決凹部又は凸部が設けられていて、それら第3の位置決凸部又は凹部と、第4の位置決凹部又は凸部との凹凸係合により、前記ストッパ取付部材が前記内ハウジングの前記端部に対して回転方向に固定されていることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材は、前記ストッパ部材に対する内嵌部を備えていることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記内ハウジングの前記端部には、該内ハウジングの内部に納められる部品を該内部に固定状態とする、外径が前記端部と同等以上の固定ナットがねじ結合されていることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項5】
請求項4において、前記ストッパ部材は筒状をなしており、前記固定ナットよりも内径が大きいものであることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材と前記ストッパ部材との一方には爪が、他方には該爪を軸方向に掛止させる掛止部が設けてあり、該掛止部に対する該爪の掛止にて前記ストッパ部材が前記ストッパ取付部材から軸方向に分離防止されていることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材が、周方向の一部が開口形状の部分環状をなす部材であって、
前記ストッパ部材の正,逆両方向の何れの方向の回転時においても、
該ストッパ取付部材の前記第2の位置決凸部又は凹部における、前記ストッパ部材の第1の位置決凹部又は凸部への当り面のうち、
該ストッパ取付部材の周方向端に背を向けた側の当り面に対して、該ストッパ部材の該第1の位置決凹部又は凸部の対応する当り面が当るようになしてあり、
前記周方向端を向いた側の当り面に対しては、該ストッパ部材の該第1の位置決凹部又は凸部の前記対応する当り面が当らないように、前記第2の位置決凸部又は凹部及び対応する前記第1の位置決凹部又は凸部の寸法及び形状が定めてあることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項1】
筒形の外ハウジングの内側に軸方向に挿入した筒形の内ハウジングの、該外ハウジングから軸方向に突出した端部にストッパ部材を取り付けて、該ストッパ部材のストッパ部に対しハンドルを当接させることで該ハンドルの回転規制を行う構造の混合水栓におけるハンドルのストッパ機構であって、
前記内ハウジングの前記突出した端部の外面に周方向に沿って溝を設け、
前記ストッパ部材に備えた回転方向の位置決用の第1の位置決凹部又は凸部と軸方向に嵌り合って該回転方向に係合する、第2の位置決凸部又は凹部を有するストッパ取付部材を、前記溝に軸直角方向に嵌め込んで前記内ハウジングの端部に回転方向及び軸方向に固定され、該端部の外面から径方向外方に突出する状態に装着し、
該ストッパ取付部材に対して前記ストッパ部材を回転方向に固定状態に軸方向に嵌め合せて、前記内ハウジングの前記突出した端部に取り付けたことを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項2】
請求項1において、前記溝には前記ストッパ取付部材を前記内ハウジングの前記突出した端部に対し回転方向に位置決めするための第3の位置決凸部又は凹部が設けられる一方、該ストッパ取付部材には対応する第4の位置決凹部又は凸部が設けられていて、それら第3の位置決凸部又は凹部と、第4の位置決凹部又は凸部との凹凸係合により、前記ストッパ取付部材が前記内ハウジングの前記端部に対して回転方向に固定されていることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材は、前記ストッパ部材に対する内嵌部を備えていることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記内ハウジングの前記端部には、該内ハウジングの内部に納められる部品を該内部に固定状態とする、外径が前記端部と同等以上の固定ナットがねじ結合されていることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項5】
請求項4において、前記ストッパ部材は筒状をなしており、前記固定ナットよりも内径が大きいものであることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材と前記ストッパ部材との一方には爪が、他方には該爪を軸方向に掛止させる掛止部が設けてあり、該掛止部に対する該爪の掛止にて前記ストッパ部材が前記ストッパ取付部材から軸方向に分離防止されていることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記ストッパ取付部材が、周方向の一部が開口形状の部分環状をなす部材であって、
前記ストッパ部材の正,逆両方向の何れの方向の回転時においても、
該ストッパ取付部材の前記第2の位置決凸部又は凹部における、前記ストッパ部材の第1の位置決凹部又は凸部への当り面のうち、
該ストッパ取付部材の周方向端に背を向けた側の当り面に対して、該ストッパ部材の該第1の位置決凹部又は凸部の対応する当り面が当るようになしてあり、
前記周方向端を向いた側の当り面に対しては、該ストッパ部材の該第1の位置決凹部又は凸部の前記対応する当り面が当らないように、前記第2の位置決凸部又は凹部及び対応する前記第1の位置決凹部又は凸部の寸法及び形状が定めてあることを特徴とするハンドルのストッパ機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−172773(P2012−172773A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35936(P2011−35936)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]