説明

バックグラインド用研削テープの製造方法及びバックグラインド用研削テープの製造装置

【課題】金網と金属不織布とを積層構成したフィルタを使用し、フィッシュアイの原因となる溶融樹脂中のゲルを広範囲で且つ効率的に濾過精製することにより、フィッシュアイを格段に低減したバックグラインド用研削テープを製造可能なバックグラインド用研削テープの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】2つの金網を有し、2つの金網の内下流側に配置される金網は500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網フィルタと、金網フィルタの下流側で金網フィルタに積層され、濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタとからフィルタ5を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融樹脂から半導体ウェハのバックグラインド用研削テープを製造するについて、溶融樹脂に含有されフィッシュアイの原因となるゲル成分等を効率的に濾過精製することにより、フィッシュアイを格段に低減したバックグラインド用研削テープを製造可能なバックグラインド用研削テープの製造方法、及び、その製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂押出機より押し出された溶融樹脂を樹脂体成形装置に供給し、樹脂ペレットや樹脂フィルム等の各種形態の樹脂体を製造するに際して、樹脂押出機と樹脂体成形装置とを連結する樹脂供給路に溶融樹脂の濾過精製を行うフィルタを配設し、かかるフィルタを介して溶融樹脂の濾過精製を行うことにより、樹脂体成形装置にて成形される樹脂体におけるフィッシュアイを低減するように構成された各種の樹脂製造方法が提案されている。
【0003】
例えば、特開2003−342318号公報には、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造するに際して、溶融樹脂温度を少なくとも230℃以上に保持しつつ、溶融樹脂を造粒成形する造粒押出機に微細フィルタを設けたエチレン共重合体樹脂の製造方法が記載されている。
【0004】
前記エチレン共重合体樹脂の製造方法に使用される微細フィルタとしては、例えば、200メッシュ以上の金網フィルタや濾過精度が50μm以上の金属繊維焼結フィルタが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−342318号公報(第1ページ〜第4ページ、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたエチレン共重合体樹脂の製造方法に使用されている微細フィルタを構成する金網フィルタや金属繊維焼結フィルタは、いずれも単独で使用されるものである。かかる場合、各フィルタの特性に基づきフィッシュアイの原因となる架橋ゲルが濾過精製されるものであるが、その濾過精製能力は、金網フィルタ又は金属繊維焼結フィルタの単独による濾過精製能力に限定される。
【0007】
これよりすれば、前記したエチレン共重合体樹脂の製造方法に使用されている微細フィルタによっては、濾過精製能力の飛躍的向上を望むことはできず、更なるフィッシュアイの低減を図ることはできない。
【0008】
本発明は前記従来技術における問題点を解消するためになされたものであり、金網と金属不織布とを積層構成したフィルタを使用し、フィッシュアイの原因となる溶融樹脂中のゲルを広範囲で且つ効率的に濾過精製することにより、フィッシュアイを格段に低減したバックグラインド用研削テープを製造可能なバックグラインド用研削テープの製造方法、及び、その製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため請求項1に係るバックグラインド用研削テープの製造方法は、高圧で押し出された溶融樹脂をフィルタに供給するとともに、フィルタを通過した溶融樹脂からバックグラインド用研削テープを製造するバックグラインド用研削テープの製造方法において、前記フィルタは、2つの金網を有し、2つの金網の内下流側に配置される金網は500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網フィルタと、前記金網フィルタの下流側で金網フィルタに積層され、濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係るバックグラインド用研削テープの製造方法は、請求項1に記載のバックグラインド用研削テープの製造方法において、前記溶融樹脂はエチレン共重合樹脂であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係るバックグラインド用研削テープの製造方法は、請求項2に記載のバックグラインド用研削テープの製造方法において、前記エチレン共重合樹脂はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係るバックグラインド用研削テープの製造装置は、樹脂押出機と、前記樹脂押出機から押し出された溶融樹脂を案内供給する樹脂供給路と、前記樹脂供給路から案内供給された溶融樹脂からバックグラインド用研削テープを成形するバックグラインド用研削テープ成形装置と、前記樹脂供給路に配設され、樹脂押出機から押し出された溶融樹脂の濾過精製を行うフィルタとを備え、前記フィルタは、2つの金網を有し、2つの金網の内下流側に配置される金網は500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網フィルタと、前記金網フィルタの下流側で金網フィルタに積層され、濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係るバックグラインド用研削テープの製造方法では、溶融樹脂を濾過精製するフィルタが、2つの金網を有し、2つの金網の内下流側に配置される金網は500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網フィルタと、金網フィルタの下流側で金網フィルタに積層され、濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタを備えており、溶融樹脂がフィルタを通過する際に先ず金網フィルタを構成する2つの金網の内1つの金網により補強された500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網を介して溶融樹脂中に含有される繊維・粉塵等の異物が捕集されるとともに架橋ゲルの細分化が行われ、続いて濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタを介して金網フィルタにより細分化された架橋ゲルが効率的に捕集される。
このように、金網フィルタと金属不織布フィルタとを積層することによりフィルタが構成されているので、金網フィルタによるフィルティング効果と金属不織布フィルタのフィルティング効果とを相乗的に発現して、フィッシュアイの原因となる溶融樹脂中の架橋ゲルを広範囲で且つ効率的に濾過精製することが可能となり、フィッシュアイを格段に低減したバックグラインド用研削テープを製造することができる。
【0014】
また、請求項2に記載されているように、前記製造方法で使用される溶融樹脂としてはエチレン共重合樹脂が使用され、特に、請求項3に記載されているようにエチレン共重合樹脂としてはエチレン酢酸ビニル共重合樹脂が望ましい。
【0015】
請求項4に係るバックグラインド用研削テープの製造装置では、樹脂押出機と、樹脂押出機から押し出された溶融樹脂を案内供給する樹脂供給路と、樹脂供給路から案内供給された溶融樹脂からバックグラインド用研削テープを成形するバックグラインド用研削テープ成形装置と、樹脂供給路に配設され、樹脂押出機から押し出された溶融樹脂の濾過精製を行うフィルタとを備え、フィルタが2つの金網を有し、2つの金網の内下流側に配置される金網は500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網フィルタと、金網フィルタの下流側で金網フィルタに積層され、濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタを備えており、溶融樹脂がフィルタを通過する際に先ず金網フィルタを構成する2つの金網の内1つの金網により補強された500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網を介して溶融樹脂中に含有される繊維・粉塵等の異物が捕集されるとともに架橋ゲルの細分化が行われ、続いて濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタを介して金網フィルタにより細分化された架橋ゲルが効率的に捕集される。
このように、金網フィルタと金属不織布フィルタとを積層することによりフィルタが構成されているので、金網フィルタによるフィルティング効果と金属不織布フィルタのフィルティング効果とを相乗的に発現して、フィッシュアイの原因となる溶融樹脂中の架橋ゲルを広範囲で且つ効率的に濾過精製することが可能となり、フィッシュアイを格段に低減したバックグラインド用研削テープを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係るバックグラインド用研削テープとして使用される樹脂フィルムを製造する樹脂フィルム製造装置を模式的に示す説明図である。
【図2】フィルタリングユニットに内蔵されるフィルタの構成を模式的に示す模式断面図である。
【図3】金網フィルタにおける金網のメッシュサイズと金属不織布フィルタの濾過精度とを種々変更して成形されたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルムについてカウントされたフィッシュアイの数を金網メッシュサイズと金属不織布の濾過精度のマトリックスで示す説明図である。
【図4】フィルタを使用することなく成形した樹脂フィルムにてカウントされたフィッシュアイの個数、及び、金網フィルタのみを使用して溶融樹脂の濾過精製を行って成形した樹脂フィルムにてカウントされたフィッシュアイの個数を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るバックグラインド用研削テープとして使用される樹脂フィルムの製造方法、製造装置及びこれらの製造方法、製造装置に使用される樹脂フィルタについて、本発明を具体化して示す実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るバックグラインド用研削テープとして使用される樹脂フィルムを製造する樹脂フィルム製造装置について、図1に基づき簡単に説明する。図1は樹脂フィルム製造装置を模式的に示す説明図である。
【0018】
図1において、樹脂フィルム製造装置1は、基本的に、押出機2、フィルタリングユニット6及びダイス4から構成されている。
ここに、押出機2は、エチレン共重合樹脂、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂を溶融するとともに、窒素ガスをパージしながら高圧で溶融樹脂を押し出す。
【0019】
押出機2には、導管3が接続されており、かかる導管3はフィルタリングユニット6に接続されている。また、フィルタリングユニット6は導管3を介してダイス4に接続されている。
【0020】
前記構成において、押出機2から押し出された溶融状態のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂は、導管3を介してフィルタリングユニット6に供給されるとともに、フィルタリングユニット6にてエチレン酢酸ビニル共重合樹脂の濾過精製が行われ、この後、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂は、導管3を介してダイス4に供給される。
【0021】
ダイス4にて窒素ガスをパージしつつ押し出されたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂は、フィルム成型機(図示せず)に供給され、フィルム成形機にて所定の均一な膜厚を有するエチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルムに成形される。
【0022】
ここで、フィルタリングユニット6の構成例について、図2に基づき説明する。図2はフィルタリングユニットに内蔵されるフィルタの構成を模式的に示す模式断面図である。図2において、上側は押出機2側(上流側)を示し、また、下側はダイス4側(下流側)を示す。フィルタ5は、図2に示すように、上流側から金網フィルタ8、金属不織布フィルタ9及び金網フィルタ10を相互に積層することにより構成されている。
【0023】
ここに、上流側金網フィルタ8は、メッシュサイズの異なる2つの金網8A、8Bから構成されている。これらの金網8A、8Bは、それぞれのメッシュサイズに対応する規則的な開口が形成されており、例えば、金網8Aがメッシュサイズ50を有し、金網8Bがメッシュサイズ500を有している場合、金網8Aは主として金網8Bが変形しないように補強する作用を行い、金網8Bは溶融状態のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂中に含有される繊維・粉塵等の異物を捕集し、また、フィッシュアイの原因となる大きな架橋ゲルをそのメッシュサイズに応じて細分化する作用を行う。
【0024】
尚、上流側金網フィルタ8を構成する金網の数は、2つに限定されることなく、必要に応じて金網の数を任意の数にすることができる。このとき、最もメッシュサイズが大きい(規則的な開口サイズが小さい)金網が、溶融状態のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂中に含有される繊維・粉塵等の異物を捕集し、また、フィッシュアイの原因となる大きな架橋ゲルをそのメッシュサイズに応じて細分化する作用を行う。金網としては、各種メッシュサイズを有するものが使用されており、例えば、100メッシュ、200メッシュ、300メッシュ、400メッシュ、500メッシュ、635メッシュの金網が一般に入手容易であり、且つ、汎用されている。
【0025】
また、金属不織布フィルタ9は、ステンレス銅繊維のように金属繊維を焼結して形成された金属繊維焼結フィルタであり、その内部に形成された不規則な形状を有する多数の空間により、不定形で柔軟性を有する架橋ゲルを捕集する作用を行う。金属不織布フィルタ9には、その有する不定形空間のサイズに応じて、各種の濾過精度を有するものが存在する。例えば、濾過精度が80μm、60μm、40μmの金属不織布フィルタが一般に入手容易であり、且つ、汎用されている。
【0026】
尚、金属不織布フィルタ9の数は、1つに限定されることなく、必要に応じて任意の数にすることができる。この場合においても、前記金網フィルタ8の場合と同様、最も濾過精度が大きい(不定形空間が小さい)金属不織布フィルタが、その内部に形成された不規則な形状を有する多数の空間により、不定形で柔軟性を有する架橋ゲルを捕集する作用を行う。
【0027】
また、金属不織布フィルタ9の下流側に配設された金網フィルタ10は、前記金網フィルタ8と同一の構成を有する金網から構成されており、メッシュサイズの異なる2つの金網10A、10Bから構成されている。これらの金網10A、10Bは、それぞれのメッシュサイズに対応する規則的な開口が形成されているが、一般に、金属不織布フィルタ9の変形を防止して適正な濾過精度を保持するように、金属不織布フィルタ9を補強するために設けられている。
【0028】
続いて、フィルタ5における金網フィルタ8のメッシュサイズと金属不織布フィルタ9の濾過精度を種々変更して、押出機2から押し出された溶融状態のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂の濾過精製を行うとともに、かかるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂からダイス4、フィルム成形ローラ、フィルム成形機を介して樹脂フィルムを成形し、その樹脂フィルムに残存するフィッシュアイの数をカウントした結果について、図3に基づき説明する。図3は、金網フィルタにおける金網のメッシュサイズと金属不織布フィルタの濾過精度とを種々変更して成形されたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルムについてカウントされたフィッシュアイの数を金網メッシュサイズと金属不織布の濾過精度のマトリックスで示す説明図である。図3における横欄は金網のメッシュサイズ、縦欄は金属不織布の濾過精度を示す。尚、フィッシュアイの数は、レーザ式フィッシュアイカウンタ(OCS社製FS−5、測定感度:レベル75、測定条件:ライン速度4m/min、検出幅60mm、フィルム厚さ50μm、測定時間15min、測定面積3.6m2、N=2)で測定し、1
2当たりのフィッシュアイ数として求めた。
【0029】
図3において、金網フィルタ8を構成する金網の内、メッシュサイズが最も大きい金網のメッシュサイズ値が横欄に示されている。本実施形態で使用された金網としては、100メッシュ、200メッシュ、300メッシュ、400メッシュ、500メッシュ及び635メッシュの6種類の金網が使用された。また、図3において、本実施形態で使用された金属不織布フィルタとしては、濾過精度が80μm、60μm及び40μmの3種類の金属不織布フィルタが使用された。
尚、メッシュサイズと濾過精度のマトリックスで示される各欄において、上段の値は、1m2当たりで測定された50μm以下のフィッシュアイの数と50μmより大きいフィッシュアイの数とを合計したフィッシュアイの数を示す。また、中段の値は、1m2当たりで測定された50μm以下のフィッシュアイの数を示す。更に、下段の値は、1m2当たりで測定された50μm以上のフィッシュアイの数を示す。
【0030】
因みに、樹脂供給する導管3にフィルタを介装させることなくブランク状態で溶融状態のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂をダイ4に供給し、フィルム成形ローラ、フィルム成形機を介して樹脂フィルムを成形した場合には、図4に示すように、フィッシュアイカウンタで測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり6413個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり1195個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は7608個であった。
【0031】
また、導管3に従来の金網フィルタを積層したもの(最大メッシュサイズ:500mesh)を介装し、溶融状態のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂をダイ4に供給して、フィルム成形ローラ、フィルム成形機を介して樹脂フィルムを成形した場合には、図4に示すように、フィッシュアイカウンタで測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり4362個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり877個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は5239個であった。
【0032】
ここに、前記したように、樹脂フィルム製造装置1により製造されるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルムは、各種の用途に使用することが可能であるが、特に、半導体ウエハのバックグラインド用研削テープとして使用する場合には、一定高さ以上のフィッシュアイが存在しているとウエハの変形や割れを引き起こしてしまう原因となり、また、フィッシュアイの個数が多くなる程一定高さ以上のフィッシュアイが発生する虞が高くなることから、フィッシュアイのトータル個数としては、4600個以下に抑制することが望ましい。
尚、フィッシュアイのトータル個数が4600個を超える場合であっても、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルムは、その使用目的・特性に応じて各種表面保護フィルムに適用することができる。
【0033】
図3において、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが100メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が80μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり4648個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり998個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は5546個であった。
【0034】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが100メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり5333個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり996個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は6329個であった。
【0035】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが200メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり5060個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり982個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は6042個であった。
【0036】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが300メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり4788個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり966個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は5754個であった。
【0037】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが300メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が40μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり3983個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり779個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は4762個であった。
【0038】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが400メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり4286個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり1022個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は5308個であった。
【0039】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが500メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が80μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり4139個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり807個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は4946個であった。
【0040】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが500メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり3830個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり770個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は4600個であった。
【0041】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが500メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が40μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり3828個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり742個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は4570個であった。
【0042】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが635メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が80μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり4819個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり921個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は5740個であった。
【0043】
また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが635メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μmである場合、フィッシュアイカウンタにより測定された50μm以下のフィッシュアイの数は1m2当たり3785個、50μm以上のフィッシュアイの数は1m2当たり785個であり、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は4570個であった。
【0044】
前記にて説明したように、本実施形態に係る樹脂フィルム製造装置1では、溶融状態のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂の濾過精製するフィルタ5が金網フィルタ8と金属不織布フィルタ9とを積層することにより構成されており、溶融エチレン酢酸ビニル共重合樹脂がフィルタ5を通過する際に先ず金網フィルタ8を介して溶融エチレン酢酸ビニル共重合樹脂中に含有される繊維・粉塵等の異物が捕集されるとともに架橋ゲルの細分化が行われ、続いて金属不織布フィルタ9を介して金網フィルタ8により細分化された架橋ゲルが効率的に捕集される。
このように、金網フィルタ8と金属不織布フィルタ9とを積層することによりフィルタ5が構成されているので、金網フィルタ8によるフィルティング効果と金属不織布フィルタ9のフィルティング効果とを相乗的に発現して、フィッシュアイの原因となる溶融樹脂中の架橋ゲルを広範囲で且つ効率的に濾過精製することが可能となり、フィッシュアイを格段に低減した樹脂フィルムを製造することができる。
【0045】
また、樹脂フィルム製造装置1により製造されるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルムを半導体ウエハのバックグラインド用研削テープとして使用する場合には、ウエハの変形や割れを防止すべく、フィッシュアイのトータル個数としては、4600個以下に抑制することが望ましいところ、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが500メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μmである場合には、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は4600個であり、また、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが500メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が40μmである場合には、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は4570個であり、更に、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが635メッシュ、及び、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μmである場合には、1m2当たりのフィッシュアイのトータル個数は4570個であることから、金網フィルタ8の金網のメッシュサイズが500メッシュ以上で、且つ、金属不織布フィルタ9の濾過精度が60μm以下であれば、半導体ウエハのバックグラインド用研削テープとして使用可能なエチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルムを製造することができる。
【0046】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、前記実施形態に係る樹脂フィルム製造装置1では、各押出機2から押し出された溶融樹脂を各樹脂供給管3中を搬送する過程でフィルタ5を介して溶融樹脂の濾過精製を行った後、ダイ4、フィルム成形ローラ、フィルム成形機を介して樹脂フィルムを成形するように構成しているが、フィルタ5を介して濾過精製された溶融樹脂をペレタイザ(単軸造粒押出機)に供給し、ペレタイザにて樹脂ペレットを製造するように構成してもよい。
【0047】
かかる場合においても、前記したように、金網フィルタ8によるフィルティング効果と金属不織布フィルタ9のフィルティング効果とを相乗的に発現して、フィッシュアイの原因となる溶融樹脂中の架橋ゲルが広範囲で且つ効率的に濾過精製されているので、フィッシュアイを格段に低減した樹脂ペレットを製造することができる。従って、前記のように製造された樹脂ペットを使用してフィルム成形した場合においても、前記したように、フィッシュアイを格段に低減した樹脂フィルムを製造することができるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 樹脂フィルム製造装置
2 押出機
3 導管
4 ダイス
5 フィルタ
6 フィルタリングユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧で押し出された溶融樹脂をフィルタに供給するとともに、フィルタを通過した溶融樹脂からバックグラインド用研削テープを製造するバックグラインド用研削テープの製造方法において、
前記フィルタは、
高圧で押し出された溶融樹脂をフィルタに供給するとともに、フィルタを通過した溶融樹脂からバックグラインド用研削テープを製造するバックグラインド用研削テープの製造方法において、
前記フィルタは、
2つの金網を有し、2つの金網の内下流側に配置される金網は500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網フィルタと、
前記金網フィルタの下流側で金網フィルタに積層され、濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタを備えたことを特徴とするバックグラインド用研削テープの製造方法。
【請求項2】
前記溶融樹脂はエチレン共重合樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のバックグラインド用研削テープの製造方法。
【請求項3】
前記エチレン共重合樹脂はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のバックグラインド用研削テープの製造方法。
【請求項4】
樹脂押出機と、
前記樹脂押出機から押し出された溶融樹脂を案内供給する樹脂供給路と、
前記樹脂供給路から案内供給された溶融樹脂からバックグラインド用研削テープを成形するバックグラインド用研削テープ成形装置と、
前記樹脂供給路に配設され、樹脂押出機から押し出された溶融樹脂の濾過精製を行うフィルタとを備え、
前記フィルタは、
2つの金網を有し、2つの金網の内下流側に配置される金網は500メッシュ以上のメッシュサイズに形成された金網フィルタと、
前記金網フィルタの下流側で金網フィルタに積層され、濾過精度が60μm以下の金属不織布から形成された金属不織布フィルタを備えたことを特徴とするバックグラインド用研削テープの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−254642(P2012−254642A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202845(P2012−202845)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2007−258433(P2007−258433)の分割
【原出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】