説明

バッテリー装置

【課題】温度に応じて充電電流を調整することで充電時間の短縮しつつ十分な容量まで充電を行う上で有利なバッテリー装置を提供する。
【解決手段】バッテリーセル16の温度が充電に適した所定温度範囲から外れていることが検出された場合に、外部供給充電電流から分流した第2の電流I2をヒーター32を含む温度調整部に供給することで、バッテリーセル16の温度を所定温度範囲内に保ちつつ、外部供給充電電流から分流された第1の電流I1をバッテリーセル16に供給して充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池で構成されたバッテリーセル(素電池)を有したバッテリー装置(バッテリーパック)がある。
バッテリーセルは、所定の温度範囲よりも高い温度、あるいは、低い温度で放電すると、バッテリーセルの劣化が促進され寿命が短縮してしまうといった現象が生じる。
そこで、多くの場合、バッテリー装置には、サーミスターなどの温度検出部と、この温度検出部によって検出される温度に応じてバッテリー装置の電極端子から出力される出力電流を遮断する制御回路とが組み込まれ、所定の温度範囲よりも高い温度、あるいは、低い温度での放電を回避し、バッテリーセルの劣化を防止するようにしている。
また、このようなバッテリー装置を使用する電子機器に、バッテリー装置から供給される電流によって発熱する発熱手段を設けることで、低温使用時にバッテリー装置を発熱手段で加温することが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−30719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、このようなバッテリー装置を、例えば0度以下といった低温の環境下で充電するには、一般的なバッテリーセルの特性上、バッテリーセルの劣化が促進されることから、バッテリーセルに供給することができる充電電流をバッテリーセルの劣化が生じない程度の小さな電流としなくてはない。
また、このようなバッテリー装置を、例えば45度以上といった高温の環境下で充電するには、一般的なバッテリーセルの特性上、低温の環境下で充電する場合と同様に、バッテリーセルの劣化が促進されることから、低温時と同様にバッテリーセルに供給する充電電流をバッテリーセルの劣化が生じない程度の小さな所定の充電−電流としなくてはならない。
そのため、低温時や高温時には、バッテリー装置の充電に長時間を要し、あるいは、最適な充電条件ではない為、セルが本来もつ容量まで充電が行えない不都合が生じる。
また、これらの動作を行っているのは充電器側であり、充電器内の回路で充電量の制御を行う為に充電器が複雑になっている。更に劣化したバッテリーと新品のバッテリーで厳密には、それぞれで最適な条件は異なるが、それを充電器側で1個1個に合わせる事は困難である。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、その目的は、バッテリー装置内部でセルの温度に応じて充電電流を調整すると共に、充電に最適な温度に調節する事で充電時間を短縮しつつ、十分な容量まで充電を行う上で有利なバッテリー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明は、二次電池で構成されるバッテリーセルと、前記バッテリーセルを収容するケースと、前記ケースに設けられ前記バッテリーセルに電気的に接続されたバッテリー側正極端子およびバッテリー側負極端子とを有するバッテリー装置であって、前記バッテリーセルの温度を検出する温度検出部と、電流が供給されることで前記バッテリーセルを加温および/または冷却する温度調整部と、外部から前記バッテリー側正極端子および前記バッテリー側負極端子を介して供給される外部供給充電電流を、前記温度検出部によって検出された温度に応じて、前記バッテリーセルに供給する第1の電流と、前記温度調整部に供給する第2の電流とに分ける電流制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のバッテリー装置によれば、バッテリーセルの温度が充電に適した所定温度範囲から外れていることが検出された場合に、外部供給充電電流から分流した第2の電流を温度調整部に供給することでバッテリーセルの温度を所定温度範囲内に調整でき、これによりバッテリーセルに十分な大きさの充電電流を供給できるので、充電時間を短縮しつつ十分な容量まで充電を行う上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態のバッテリー装置10について図面を参照して説明する。
図1(A)はバッテリー装置10の斜視図、(B)はバッテリー装置10から上ケース1204を取り除いた斜視図である。
図2はバッテリー装置10の構成を示すブロック図である。
図3はバッテリー装置10が充電器50に装着され充電されている状態を示すブロック図である。
図1(A)に示すように、バッテリー装置10はケース12を有し、ケース12は、矩形板状を呈する下ケース1202と、下ケース1202の4辺に接続される4つの側面とそれら4つの側面の上部を接続する上面とを有する上ケース1204とが結合されることで構成されている。
下ケース1202の1つの側面には、電子機器の正極端子、負極端子、通信用端子のそれぞれに接続される、あるいは、図3に示すように、充電器50の充電器側正極端子54A、充電器側負極端子54B、充電器側通信用端子54Cのそれぞれに接続される、バッテリー側正極端子14A、バッテリー側負極端子14B、バッテリー側通信用端子14Cが設けられている。
図1(B)に示すように、バッテリー装置10は、本実施の形態では、二次電池からなる2つのバッテリーセル(素電池)16と、制御基板18とを備え、バッテリーセル16と制御基板18は下ケース1202と上ケース1204の間に形成される収容空間に収容される。
バッテリーセル16を構成する二次電池としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池など従来公知の様々な二次電池が採用可能である。
【0007】
図2に示すように、バッテリー装置10は、2つのバッテリーセル16に加えて、制御IC20、充電制御SW22、放電制御SW24、マイクロコンピュータ26、電流検出抵抗28、温度検出部30、ヒーター32(図1(B)参照)、制御回路34などを備えている。
制御IC20、充電制御SW22、放電制御SW24、マイクロコンピュータ26、電流検出抵抗28、温度検出部30、制御回路34は制御基板18に実装されている。
2つのバッテリーセル16は直列接続されており、一方のバッテリーセル16Aのセル側正極端子はバッテリー側正極端子14Aに接続され、バッテリーセル16Aのセル側負極端子は他方のバッテリーセル16Bのセル側正極端子に接続され、他方のバッテリーセル16Bのセル側負極端子は、電流検出抵抗28、放電制御SW24、充電制御SW22を介してバッテリー側負極端子14Bに接続されている。
【0008】
電流検出抵抗28は、例えば数十mΩの抵抗値を有し、電流検出抵抗28を流れる電流の電圧降下によってバッテリーセル16の充電電流および放電電流を制御IC20で検出するためのものである。
充電制御SW22と放電制御SW24は直列に接続され、制御IC20からの制御信号によってオン、オフ動作が制御される。
充電制御SW22の両端にはダイオード2202が接続され、放電制御SW24の両端にはダイオード2402が接続されている。
充電制御SW22、放電制御SW24は、一般的にトランジスターが用いられる。特に、充電制御SW22、放電制御SW24にFETを用い、それぞれダイオード2202、2402と一体にした複合部品を使われる事が多い。更にSW60、62、2つのダイオードを一体にした複合部品を使われる事もある。
【0009】
温度検出素子30は、バッテリーセル16の温度を検出するものであり、例えば、温度変化に応じて抵抗値が変化するサーミスターによって構成されている。バッテリーセル16の温度を正確に検出するために温度検出素子30はバッテリーセル16に近接あるいは接触して設けることが好ましい。本実施の形態では、温度検出素子30の一端はマイクロコンピュータ26に接続され他端は電流検出抵抗28を介してバッテリーセル16Bの負極(GND)に接続されている。なお、温度検出素子30は、従来から低温時あるいは高温時においてバッテリーセル16の劣化を防止するために充電電流あるいは放電電流を遮断させる目的でバッテリー装置に設けられている様々な公知の素子が利用可能である。
ヒーター32は、電流が供給されることで発熱しバッテリーセル16を加温する発熱素子であり、本実施の形態では、温度調整部はヒーター32を含んで構成されている。
本実施の形態では、図1(B)に示すように、ヒーター32は可撓性を有する線状を呈し2つのバッテリーセル16の外周に巻回されて配置されている。本実施の形態では、ヒーター32の一端は制御回路34を介してバッテリー側正極端子14Aに接続され他端は電流検出抵抗28を介してバッテリーセル16Bの負極(GND)に接続されている。なお、温度調整部は、このような線状のヒーター32からなる発熱素子を含む構成に限定されるものではなく電流によって発熱する従来公知の様々な発熱素子を含む構成が採用可能である。
制御回路34は、バッテリー側正極端子14Aおよびバッテリー側負極端子14Bを介して外部から供給される充電電流(以下ではバッテリーセル16に流れる充電電流と区別するために外部供給充電電流という)を、マイクロコンピュータ26からの指令に基づいて、バッテリーセル16に供給する第1の電流I1と、ヒーター32に供給する第2の電流I2とに分ける(分流する)と共に、電流消費用の負荷抵抗回路を持つ事で、バッテリーセル16やヒーター32への電流量を調節するものである。
【0010】
制御IC20は、バッテリーセル16の過充電や過放電を防止し、これによりバッテリーセル16を保護する機能を有し、バッテリーセル16の個々の電気的特性(仕様)に合わせて設計されている。
制御IC20は、電流検出抵抗28の電圧降下に基づいてバッテリー装置10(バッテリーセル16)の充電電流および放電電流を監視しており、充電時には、充電電流の値に応じて充電制御SW22をオフすることでバッテリーセル16への過充電を防止し、また、放電時には、放電電流の値に応じて放電制御SW24をオフすることでバッテリーセル16の過放電、あるいは、バッテリー側正極端子14A、負極端子14Bの短絡等の過電流を防止している。
【0011】
マイクロコンピュータ26は、何れも不図示のCPU、メモリ、周辺インターフェースを備え、メモリに格納されたプログラムを実行することで動作するものである。
マイクロコンピュータ26は、制御IC20によって検出される充電電流および放電電流に基づいてバッテリーセル16の電池残量、言い換えると、使用できる電気量や充電された電気量を計算するように構成されている。本実施の形態では、マイクロコンピュータ26は、充電電流および放電電流を積分することで電池残量(充電されている容量)を検出する。
また、マイクロコンピュータ26は、温度検出素子30によって検出されたバッテリーセル16の温度が、バッテリーセル16が正常な充電動作および放電動作に支障をきたす異常な高温あるいは異常な低温であると判断した場合には、制御IC20を介して充電制御SW22および放電制御SW24をオフさせ、これにより充電動作および放電動作を強制的に中止させることでバッテリーセル16の劣化を防止する従来公知の機能を有している。
また、マイクロコンピュータ26は、温度検出素子30によって検出されたバッテリーセル16の温度に基づいて制御回路34を制御することで、制御回路34によって分けられる第1、第2の電流I1、I2の電流値を前記検出された温度に応じて調整する。
したがって、本実施の形態では、制御回路34とマイクロコンピュータ26によって特許請求の範囲の電流制御部が構成されている。
また、マイクロコンピュータ26は、制御IC20とバッテリー側通信端子14Cを介してバッテリー装置10が装着された電子機器あるいは充電器50(図3参照)との間でデータ通信を行う。
このデータ通信では、バッテリー装置10内部の状態を示すデータである「バッテリーデータ」が電子機器あるいは充電器50に送信される。バッテリーデータとしては、バッテリー装置10が充電(放電)している電流、電圧などのデータ、バッテリーセル16の電池残量を示す残量データ、バッテリー装置10の充電回数(放電回数)を示す使用回数データ、バッテリー装置10に固有に割り当てられ、電子機器あるいは充電器50(図3参照)がバッテリー装置10の種類、特性を識別する為のバッテリー識別データなどが挙げられる。
【0012】
次に図3を参照してバッテリー装置10を充電する充電器50について説明する。
充電器50はケース52を有し、ケース52には、バッテリー装置10のバッテリー側正極端子14A、バッテリー側負極端子14B、バッテリー側通信用端子14Cのそれぞれに接続される充電器側正極端子54A、充電器側負極端子54B、充電器側通信用端子54Cが設けられている。
充電器50は、AC/DCコンバータ56、マイクロコンピュータ58、充電制御SW60、62、電流検出抵抗64などを含んでいる。
AC/DCコンバータ56は、商用の交流電源から直流電圧を生成するものであり、正極出力端子56Aと負極出力端子56Bを有している。
正極出力端子56Aは、充電制御FET60、62、電流検出抵抗64を介して充電器側正極端子54Aに接続されている。
負極出力端子56Bは、充電器側負極端子54Bに接続されている。
電流検出抵抗64は、例えば数十mΩの抵抗値を有し、この電流検出抵抗64を流れる電流の電圧降下によって、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流をマイクロコンピュータ58で検出するためのものである。
充電制御SW60、62は直列に接続され、各SW60、62にはダイオードが接続されることでスイッチ回路66が構成され、マイクロコンピュータ58からの制御信号によってスイッチ回路66のオン、オフ動作が制御される。
SW60、62は、一般的にトランジスターが用いられる。特に、SW60、62にFETを用い、それぞれダイオードと一体にした複合部品を使われる事が多い。更に、SW60、62、2つのダイオードを一体にした複合部品を使われる事もある。
マイクロコンピュータ58は、電流検出抵抗64の電圧降下に基づいてバッテリー装置10への外部供給充電電流を監視しており、外部供給充電電流が所定値を以下になるとバッテリー装置10への充電が終了したものと判断してスイッチ回路66をオフすることでバッテリーセル16への充電動作を終了させる。また、過大な外部供給充電電流が流れた場合には、充電動作の異常が生じたものと判断してスイッチ回路66をオフすることでバッテリーセル16への充電動作を中止する。
マイクロコンピュータ58は、バッテリー側通信用端子14Cを通じて、バッテリー装置10のマイコン26と通信を行っている。この通信による充電電流データによっても充電電流を監視しており、充電電流データの値が所定値を以下になるとバッテリー装置10への充電が終了したものと判断してスイッチ回路66をオフすることでバッテリーセル16への充電動作を終了させる。また、マイクロコンピュータ58は、バッテリー側通信用端子14Cを通じて、バッテリー装置10のマイコン26と通信によって、充電電流データの値が過大の場合には、充電動作の異常が生じたものと判断してスイッチ回路66をオフすることでバッテリーセル16への充電動作を中止する。
【0013】
次に、バッテリー装置10の充電動作について説明する。
まず、常温時の充電動作、言い換えると、バッテリー装置10を充電する際に適した温度環境下での充電動作について説明する。
図4(A)は常温でバッテリーセル16に最適な条件での充電時における、供給される充電電流(第1の電流I1)とバッテリーセル16の正極端子および負極端子間の電圧Vb(以下バッテリーセル電圧Vbという)の関係(変化)を示す線図、(B)はその時のバッテリーセル16の温度変化を示す線図である。
なお、図4以降の図において、Vcはバッテリーセル16が満充電に到達した場合におけるバッテリーセル電圧(満充電時バッテリーセル電圧)を示し、Icは常温時における標準的な充電電流、すなわちバッテリーセル16に対して供給できる最大の充電電流を示す。
また、図4以降の図において、T1、T2はバッテリー装置10を充電する際に適した所定温度範囲の下限値、上限値をそれぞれ示す。
図4(B)に示すように、温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度TがT1以上T2以下の所定温度範囲内にある状態で、バッテリー装置10が充電器50に装着されると、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御することによって、バッテリーセル16の状態に適応した充電電流をバッテリーセル16へ供給する。バッテリーセル16が異常な過放電や劣化等のない通常の状態であれば、図4(A)の様に、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流(標準電流Ic)の100%を第1の電流I1としてバッテリーセル16に供給させ、ヒーター32には第2の電流I2を供給させない。
したがって、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流がそのままバッテリーセル16に供給され充電が行われる。
バッテリーセル16に充電される容量が増大するにつれてバッテリーセル電圧Vbが上昇するとともに第1の電流I1が次第に低下し、やがて時点t1で満充電に対応する電流値に到達したならば、充電器50は充電動作を停止する。この際、バッテリーセル電圧Vbは満充電時バッテリーセル電圧Vcに到達している。
図4(B)に示すように、充電の過程において、バッテリーセル16の温度は、充電電流の供給に伴って徐々に上昇するが、時点t1で外部供給充電電流が停止することにより、徐々に低下していく。
上述した常温時の充電動作では、バッテリーセル16に対する充電電流の供給がなされている間、バッテリーセル16の温度は所定温度範囲内に収まっている。
なお、ここでは、説明を簡素化するために、第1の電流I1が外部供給充電電流(標準電流Ic)の100%に設定されるものとして説明した。しかしながら、実際には、マイクロコンピュータ26によってバッテリーセル16のその時点での容量(残量)や劣化状態(使用回数など)を計測(監視)し、その結果に応じて、第1の電流I1を外部供給充電電流(標準電流Ic)の100%あるいは100%よりも小さい電流値に調整して供給するようにしており、このような充電電流の調整を行う回路は従来公知の様々な回路を採用可能である。
【0014】
次に、所定温度範囲よりも低い低温時の充電動作の第1の動作例について説明する。
この第1の動作例では、ヒーター32を用いてバッテリーセル16を所定温度範囲まで加温し、バッテリーセル16が所定温度範囲に到達した後、ヒーター32による加温を停止するとともに標準の充電電流で充電を行う(図7、図8参照)。
図5(A)は低温での充電時におけるバッテリーセル16に供給される充電電流(第1の電流I1)とバッテリーセル電圧Vbの変化を示す線図、(B)はバッテリーセル16の温度変化を示す線図である。
図5(A)に示すように、温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の下限値T1を下回る状態で、バッテリー装置10が充電器50に装着されると、マイクロコンピュータ26は制御回路34を制御して、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流(標準電流Ic)をバッテリーセル16には供給せず、外部供給充電電流(標準電流Ic)をバッテリーセル16の温度に応じて調整した電流を第2の電流I2としてヒーター32のみに供給する。
したがって、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流がヒーター32に供給されることによってヒーター32が発熱しバッテリーセル16が加温される。
温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の下限値T1を上回ると(時点t0)、マイクロコンピュータ26は制御回路34を制御して、ヒーター32への第2の電流I2の供給を停止すると共に、バッテリーセル16に最適な電流を外部供給充電電流から調整して第1の電流I1として供給する。
以降は常温時同様に、バッテリーセル16に充電される容量が増大するにつれてバッテリーセル電圧Vbが上昇するとともに第1の電流I1が次第に低下し、やがて時点t3で満充電に対応する電流値に到達したならば、充電器50は充電動作を停止する。この際、バッテリーセル電圧Vbは満充電時バッテリーセル電圧Vcに到達している。
すなわち、第1の動作例では、電流制御部は、温度検出部によって検出される温度がバッテリーセル16を充電するために適した所定温度範囲を下回った場合に、第1の電流を停止して第2の電流のみを温度調整部に供給し、温度検出部によって検出される温度が所定温度範囲内に到達した場合に、第1の電流をバッテリーセルに供給すると共に第2の電流の温度調整部への供給を停止するようにしている。
【0015】
なお、図5(A)において、破線で示す第1の電流I1は図4(A)の第1の電流I1と同じものを示しており、時点t0は破線で示す第1の電流I1が満充電に対応する電流値に到達した時点を示しており、比較のために示したものである。
図5(B)に示すように、充電の過程において、バッテリーセル16の温度は、ヒーター32に第2の電流I2が供給されることによって上昇するが、第2の電流I2の供給が時点t0で停止することにより温度上昇の勾配が緩やかになる。そして、時点t3で充電電流が停止することにより、徐々に低下していく。
なお、充電中に温度が再び所定温度範囲外に下がった場合は、最初の説明と同様に外部供給充電電流から電流を第1の電流I1と第2の電流I2に分流し、バッテリーセル16に充電する第1の電流I1を制限すると共に、第2の電流I2を再度ヒーター32に供給することで温度を制御する。この様にして、バッテリーセル16にとって最適な温度、最適な電流で充電することができる。
【0016】
上述した低温時の充電動作においては、バッテリーセル16に対する充電電流の供給がなされている間、マイクロコンピュータ26および制御回路34によってバッテリーセル16の温度が所定温度範囲内に保たれている。
なお、第1の動作例では、バッテリーセル16の温度が所定温度範囲内に到達した時点で第1の電流I1が外部供給充電電流の0%から100%にステップ状に変化し、かつ、第2の電流I2が外部供給充電電流の100%から0%にステップ状に変化する場合について説明したが、第1、第2の電流I1、I2がゆるやかに変化するようにしてもよいことは無論である。
【0017】
次に、所定温度範囲よりも低い低温時の充電動作の第2の動作例について説明する。
この第2の動作例では、ヒーター32を用いてバッテリーセル16を加温すると同時にバッテリーセル16を劣化させることなく充電できる所定の充電電流で充電し、バッテリーセル16が所定温度範囲に到達した後、バッテリーセル16の加温を停止して標準の充電電流で充電を行う(図7参照)。
図6(A)は低温での充電時におけるバッテリーセル16に供給される充電電流(第1の電流I1)とバッテリーセル電圧Vbの変化を示す線図、(B)はバッテリーセル16の温度変化を示す線図である。
図6(A)に示すように、温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の下限値T1を下回る状態で、バッテリー装置10が充電器50に装着されると、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御して、第1の電流I1をバッテリーセル16を劣化させることなく充電できる所定の充電電流Ic´としてバッテリーセル16に供給させ、外部供給充電電流(標準電流Ic)から所定の充電電流Ic´を除いた電流をもとに第2の電流I2としてヒーター32に供給させる。
したがって、第2の電流I2がヒーター32に供給されることでヒーター32が発熱されてバッテリーセル16が加温されると同時に、標準電流Icよりも小さい所定の充電電流Ic´によってバッテリーセル16が充電される。したがって、所定温度範囲の下限値T1を下回る状態での充電にも拘わらずバッテリーセル16の劣化が抑制されている。
温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の下限値T1よりもやや低い温度T1’を上回ると(時点t01)、マイクロコンピュータ26は制御回路34を制御して、ヒーター32へ供給する第2の電流I2を徐々に低下させると共に、バッテリーセル16に供給する第1の電流I1を徐々に増加させる。
バッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の下限値T1を上回ると(時点t02)、ヒーター32へ供給する第2の電流I2がゼロとされ、ヒーター32によるバッテリーセル16に対する加温が停止されると共に、外部供給充電電流は殆ど、バッテリーセル16を充電する第1の電流I1となる。
以降は常温時同様に、バッテリーセル16に充電される容量が増大するにつれてバッテリーセル電圧Vbが上昇するとともに第1の電流I1が次第に低下し、やがて時点t4で満充電に対応する電流値に到達したならば、充電器50は充電動作を停止する。この際、バッテリーセル電圧Vbは満充電時バッテリーセル電圧Vcに到達している。
なお、充電中に温度が再び所定温度範囲外に下がった場合は、最初の説明同様に外部供給充電電流から電流を第1の電流I1と第2の電流I2に分流し、バッテリーセル16に充電する第1の電流I1を制限すると共に、第2の電流I2を再度ヒーター32に供給することで温度を制御する。この様にして、バッテリーセル16にとって最適な温度、最適な電流で充電することができる。
【0018】
なお、図6(A)において、破線で示す第1の電流I1は図4(A)の第1の電流I1であり、時点t0は破線で示す第1の電流I1が満充電に対応する電流値に到達した時点を示しており、比較のために示したものである。
図6(B)に示すように、充電の過程において、バッテリーセル16の温度は、ヒーター32に第2の電流I2が供給されることによって上昇するが、第2の電流I2の供給が時点t4で停止することにより徐々に低下している。
上述した低温時の充電動作においては、バッテリーセル16に対する充電電流の供給が開始された当初はバッテリーセル16の温度は所定温度範囲の下限値T1を下回っているが、その後、ヒーター32による加温によってバッテリーセル16の温度がいったん所定温度範囲内に移行すると、その後、バッテリーセル16に対する充電電流の供給がなされている間、マイクロコンピュータ26および制御回路34によってバッテリーセル16の温度が所定温度範囲内に保たれている。
なお、第2の動作例では、バッテリーセル16の温度が所定温度範囲内に到達した時点で第1の電流I1が所定の充電電流Ic´から次第に外部供給充電電流(標準電流Ic)に至るまでゆるやかに増加し、かつ、第2の電流I2が緩やかに減少する場合について説明したが、第1、第2の電流I1、I2がステップ状に変化するようにしてもよいことは無論である。
【0019】
次に、充電動作についてフローチャートを参照してさらに説明する。
図7は充電動作の全体を説明するフローチャート、図8は第1の動作例に対応するフローチャートである。
まず、図7を参照して充電動作の全体について説明する。
バッテリー装置10が充電器50に装着されると初期充電が行われる(ステップS100)。初期充電は、充電器50からバッテリー装置10に対して比較的小さな値の充電電流を供給することによって、バッテリー装置10のマイクロコンピュータ26と充電器50のマイクロコンピュータ58との間でデータ通信が正常に行われるかなど、バッテリー装置10が正常に動作するかをテストするためになされるものである。
次いで、バッテリー装置10のマイクロコンピュータ26は温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが動作温度範囲内か否かを判定する(ステップS101)。バッテリー装置10は、この動作温度範囲を外れた高温、あるいは、低温では正常に動作することができない。したがって、動作温度範囲を外れていると判定された場合には、マイクロコンピュータ26は異常処理を行って(制御IC20を介してSW22、24を制御して)充電動作を禁止する(ステップS105)。なお、バッテリーセル16の温度Tが動作温度範囲を外れたと判定される場合としては、環境温度が動作温度範囲を外れている場合と、バッテリー装置10(バッテリーセル16)の故障によってバッテリーセル16が例えば発熱し動作温度範囲を外れている場合などがある。
動作温度範囲内であれば、マイクロコンピュータ26は電池容量が十分か否かを判定する(ステップS102)。電池容量が大きければ、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御して、最大充電電流をI1−1とし、電池容量が小さければ最大充電電流をI1−1よりも大きなI1−2として決定する(ステップS103、S104)。
次いで、マイクロコンピュータ26は後述する温度制御を実行して充電を行い(ステップS106)、満充電となったか否かを判定する(ステップS107)。
満充電ならば充電を終了し、満充電に達していなければステップS102に戻る。
【0020】
次に図8を参照して第1の動作例に対応する温度制御の動作について詳細に説明する。
まず、バッテリー装置10のマイクロコンピュータ26は温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲外か否かを判定する(ステップS200)。
所定温度範囲内であればバッテリーセル16の温度制御を行う必要が無いので、ステップS107に移行する。
所定温度範囲外であれば、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御して、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流(標準電流Ic)をバッテリーセル16には供給せず、温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tに応じて調整し第2の電流I2として温度調整部(ヒーター32)に供給する(ステップS201)。また、ステップS201の開始から所定の設定時間が経過したか否かを判定するためのタイマーを動作させる。
バッテリー装置10のマイクロコンピュータ26はバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲に到達したか否かを判定する(ステップS202)。
温度Tが所定温度範囲に到達したならば、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御して、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流(標準電流Ic)をヒータ32には供給せず(ヒーター32への第2の電流I2の供給を停止し)、バッテリーセル16に最適な電流を外部供給充電電流から調整して第1の電流I1として供給する(ステップS204)。より詳細には、ステップS103、S104で設定された最大充電電流I1−1またはI1−2をバッテリーセル16に供給する。
温度Tが所定温度範囲に到達していないならば、前記タイマーの計時時間が前記所定の設定時間を超過したか否かを判定し(ステップS203)、超過していなければステップS202に戻り、超過していれば温度調整部(ヒーター32)による温度調整が不能と判断し、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御して、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流(標準電流Ic)の温度調整部(ヒーター32)への供給を停止し、バッテリーセル12にバッテリーセル16の温度Tに応じて調整された電流を第1の電流I1として供給する(ステップS205)。この場合の第1の電流I1は最大充電電流I1−1、I1−2よりも小さい電流である。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態のバッテリー装置10によれば、バッテリーセル16の温度が充電に適した所定温度範囲から外れていることが検出された場合に、外部供給充電電流から分流した第2の電流I2を温度調整部(ヒーター32)に供給することで、バッテリーセル16の温度を所定温度範囲内に保ちつつ、外部供給充電電流から分流された第1の電流I1をバッテリーセル16に供給して充電するため、バッテリーセル16に十分な大きさの充電電流を供給できるので、バッテリーセル16の温度が所定温度範囲から外れしたがってバッテリーセル16を劣化させることなく充電できる所定の充電電流で充電する場合に比較して、充電時間の短縮しつつ十分な容量まで充電を行うことができ、しかも、バッテリーセル16の劣化を抑制する上でも有利となる。
また、バッテリーセル16の温度検出に用いる温度検出素子は従来から設けられているものを用いることができるので、部品点数やコストの増加を抑制する上で有利となる。
また、バッテリー装置10に供給する充電電流を環境温度に応じて調整する構成を充電器50に設ける必要が無いので、充電器50の回路構成の簡素化が図れ、小型化、軽量化け、低コスト化を図る上でも有利となる。
【0022】
次に、比較例として従来のバッテリー装置について説明する。
図16は従来のバッテリー装置の構成を示すブロック図、図17は従来のバッテリー装置が充電器に装着され充電されている状態を示すブロック図、図18(A)は低温での充電時におけるバッテリーセル16に供給される充電電流(第1の電流I1)とバッテリーセル電圧Vbの変化を示す線図、(B)はバッテリーセル16の温度変化を示す線図である。なお、従来のバッテリー装置を示す図16、図17、図18、および、後述する各実施の形態において第1の実施の形態と同一または同様の箇所、部材には同一の符号を付して説明する。
【0023】
図16に示すように、従来のバッテリー装置10´は、図2に示す第1の実施の形態のバッテリー装置10と異なり、ヒーター32と制御回路34が設けられていない。
図17に示すように、従来の充電器50´は、図3の充電器50と異なり、温度検出素子68と定電流回路70とスイッチ72とが設けられている。
【0024】
図18(A)に示すように、温度検出素子68で検出される充電器50´の環境温度が所定温度範囲の下限値T1を下回る状態で、バッテリー装置10´が充電器50´に装着されると、マイクロコンピュータ26は、スイッチ72をオンして定電流回路70を機能させることでバッテリー装置10´に供給する充電電流を標準電流Icよりも小さいバッテリーセル16を劣化させることなく充電できる所定の充電電流Ic´とする。
所定の充電電流Ic´によってバッテリーセル16が充電され、バッテリーセル16に充電される容量が増大するにつれてバッテリーセル電圧Vbが上昇するとともに充電電流I´が次第に低下し、やがて時点t2で満充電に対応する電流値に到達したならば、充電器50´は充電動作を停止する。この際、バッテリーセル電圧Vbは満充電時バッテリーセル電圧Vcに到達している。
なお、図18(A)において、破線で示す充電電流I´は温度検出素子68で検出される充電器50´の環境温度が所定温度範囲にあり、充電電流I´が標準電流Icである場合の充電過程を示しており、その際には時点t1でバッテリーセル電圧Vbが満充電時バッテリーセル電圧Vcに到達する。
【0025】
したがって、第1の動作例を示す図5(A)で充電が完了する時点t3および第2の動作例を示す図6(A)で充電が完了する時点t4と、図18(A)で充電が完了する時点t2とを比較して明らかなように、本実施の形態のバッテリー装置10によれば、バッテリーセル16の温度が充電に適した所定温度範囲を外れている場合、従来に比較してバッテリーセル16を満充電にするために要する充電時間が大幅に短縮されている。
また、従来のバッテリー装置10´を充電する充電器50´は、温度検出素子68、定電流回路70、スイッチ72などを設ける必要があるのに対して、本実施の形態のバッテリー装置10を充電する充電器50はそのような部品が不要で回路構成が簡素化され有利となる。
【0026】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、高温時にバッテリーセル16を冷却するようにした点が第1の実施の形態と異なっている。
図9(A)は第2の実施の形態のバッテリー装置10の斜視図、(B)はバッテリー装置10から上ケース1204を取り除いた斜視図である。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態のヒーター32に代えて、電流が供給されることで吸熱しバッテリーセル16を冷却する吸熱素子であるペルチェ素子74を設けている。すなわち、本実施の形態では、温度調整部はペルチェ素子74を含んで構成されている。
図9(B)に示すように、ペルチェ素子74は2つのバッテリーセル16の外周を覆うように設けられている。バッテリーセル16本実施の形態では、図2に示すように、ペルチェ素子74の一端は制御回路34を介してバッテリー側正極端子14Aに接続され他端は電流検出抵抗28を介してバッテリーセル16Bの負極(GND)に接続されている。
なお、ペルチェ素子74の表面を熱伝導性の高い金属板で覆うことによってペルチェ素子74によるバッテリーセル16の吸熱効果を高めてもよい。なお、温度調整部は、このようなペルチェ素子74からなる吸熱素子を含む構成に限定されるものではなく電流によって吸熱する従来公知の様々な吸熱素子を含む構成が採用可能である。
また、吸熱素子はペルチェ素子74に限定されるものではなく電流によって吸熱する従来公知の様々な吸熱素子が採用可能である。
【0027】
次に、図2を流用して第2の実施の形態における動作例について説明する。
所定温度範囲よりも高い高温時の充電動作の第1の動作例について説明する。
この第1の動作例では、ペルチェ素子74を用いてバッテリーセル16を所定温度範囲まで冷却し、バッテリーセル16が所定温度範囲に到達した後、ペルチェ素子74による冷却を停止するとともに標準の充電電流で充電を行う。
温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の上限値T2を上回る状態で、バッテリー装置10が充電器50に装着されると、マイクロコンピュータ26は、バッテリーセル16には充電器50からのバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流(標準電流Ic)は供給せず、第2の電流I2をペルチェ素子74に温度に応じた電流で供給する。
したがって、充電器50からバッテリー装置10に供給される外部供給充電電流がペルチェ素子74に供給されることによってペルチェ素子74が吸熱しバッテリーセル16が冷却される。
温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の上限値T2を下回ると、マイクロコンピュータ26は制御回路34を制御して、ペルチェ素子74への第2の電流I2の供給を停止すると共に、バッテリーセル16に最適な電流を外部供給充電電流から調整して第1の電流I1として供給する。
以降は常温時同様に、バッテリーセル16に充電される容量が増大するにつれてバッテリーセル電圧Vbが上昇するとともに第1の電流I1が次第に低下し、やがて満充電に対応する電流値に到達したならば、充電器50は充電動作を停止する。この際、バッテリーセル電圧Vbは満充電時バッテリーセル電圧Vcに到達している。
すなわち、第1の動作例では、電流制御部は、温度検出部によって検出される温度がバッテリーセル16を充電するために適した所定温度範囲を上回った場合に、第1の電流を停止して第2の電流のみを温度調整部に供給し、温度検出部によって検出される温度が所定温度範囲内に到達した場合に、第1の電流をバッテリーセルに供給すると共に第2の電流の温度調整部への供給を停止するようにしている。
なお、充電中に温度が再び所定温度範囲外に上がった場合は、最初の説明同様に外部供給充電電流から電流を第1の電流と第2の電流に分流し、バッテリーセル16に充電する電流を制限すると共に、再度ペルチェ素子74を動作させて温度を制御する。この様にして、バッテリーセル16にとって最適な温度、最適な電流で充電することができる。
上述した高温時の充電動作において、バッテリーセル16に対する充電電流の供給がなされている間、マイクロコンピュータ26および制御回路34によってバッテリーセル16の温度が所定温度範囲内に保たれている。
なお、この第1の動作は図8に示すフローチャートによっても同様に説明できるものである。
【0028】
次に、所定温度範囲よりも高い高温時の充電動作の第2の動作例について説明する。
この第2の動作例では、ペルチェ素子74を用いてバッテリーセル16を冷却すると同時にバッテリーセル16を所定の充電電流で充電し、バッテリーセル16が所定温度範囲に到達した後、バッテリーセル16の冷却を停止して標準の充電電流で充電を行う。
温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の上限値T2を上回る状態で、バッテリー装置10が充電器50に装着されると、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御して、第1の電流I1をバッテリーセル16を劣化させることなく充電できる所定の充電電流Ic´としてバッテリーセル16に供給させ、外部供給充電電流(標準電流Ic)から所定の充電電流Ic´を除いた電流をもとに第2の電流I2としてペルチェ素子74に供給させる。
したがって、第2の電流I2がペルチェ素子74に供給されることでペルチェ素子74が吸熱してバッテリーセル16が冷却されると同時に、標準電流Icよりも小さい所定の充電電流Ic´によってバッテリーセル16が充電される。したがって、所定温度範囲の上限値T2を上回る状態での充電にも拘わらずバッテリーセル16の劣化が抑制されている。
温度検出素子30で検出されるバッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の上限値T2をやや上回るT2’を下回ると、マイクロコンピュータ26は制御回路34を制御して、バッテリーセル16に供給する第1の電流I1を徐々に増加させるとともに、ペルチェ素子74へ供給する第2の電流I2を徐々に低下させる。
バッテリーセル16の温度Tが所定温度範囲の上限値T2を下回ると、ペルチェ素子74へ供給する第2の電流I2がゼロとされ、ペルチェ素子74によるバッテリーセル16に対する冷却が停止されると共に、外部供給充電電流は殆ど、バッテリーセル16を充電する第1の電流I1となる。
以降は常温時同様に、バッテリーセル16に充電される容量が増大するにつれてバッテリーセル電圧Vbが上昇するとともに第1の電流I1が次第に低下し、やがて満充電に対応する電流値に到達したならば、充電器50は充電動作を停止する。この際、バッテリーセル電圧Vbは満充電時バッテリーセル電圧Vcに到達している。
なお、充電中に温度が再び所定温度範囲外に上がった場合は、最初の説明同様に外部供給充電電流から電流を第1の電流と第2の電流に分流し、バッテリーセル16に充電する電流を制限すると共に、再度ペルチェ素子74を動作させて温度を制御する。この様にして、バッテリーセル16にとって最適な温度、最適な電流で充電することができる。
上述した低温時の充電動作において、バッテリーセル16に対する充電電流の供給が開始された当初はバッテリーセル16の温度は所定温度範囲の上限値T2を下回っているが、その後、ペルチェ素子74による冷却によってバッテリーセル16の温度がいったん所定温度範囲内に移行すると、その後、バッテリーセル16に対する充電電流の供給がなされている間、マイクロコンピュータ26および制御回路34によってバッテリーセル16の温度が所定温度範囲内に保たれている。
【0029】
したがって、第2の実施の形態のバッテリー装置10によれば、第1の実施の形態と同様に、バッテリーセル16の温度が充電に適した所定温度範囲から外れていることが検出された場合に、外部供給充電電流から分流した第2の電流I2を温度調整部(ペルチェ素子74)に供給することで、バッテリーセル16の温度を所定温度範囲内に保ちつつ、外部供給充電電流から分流された第1の電流I1をバッテリーセル16に供給して充電するため、バッテリーセル16に最適な大きさの充電電流を供給できるので、バッテリーセル16の温度が所定温度範囲から外れ、したがってバッテリーセル16を劣化させることなく充電できる所定の充電電流で充電する場合に比較して、適切な容量まで充電を行いつつ、充電時間の短縮もでき、しかも、バッテリーセル16の劣化を抑制する上でも有利となる。
また、第1の実施の形態と同様に、バッテリー装置10に供給する充電電流を環境温度に応じて調整する構成を充電器50に設ける必要が無いので、充電器50の回路構成の簡素化を図る上でも有利となる。
【0030】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、第1、第2の実施の形態のバッテリー装置を組み合わせたものである。
図10(A)は第3の実施の形態のバッテリー装置10の斜視図、(B)はバッテリー装置10から上ケース1204を取り除いた斜視図、図11は第3の実施の形態のバッテリー装置10の構成を示すブロック図である。
図10(B)に示すように、バッテリーセル16の外周にペルチェ素子74を設け、さらにペルチェ素子74の外周にヒーター32を巻回して設けている。したがって、ヒーター32(発熱素子)およびペルチェ素子74(吸熱素子)によって温度調整部が構成されている。
図11に示すように、制御回路34は、外部供給充電電流からヒーター32に第2の電流I2を分流する第1の制御回路34Aと、外部供給充電電流からペルチェ素子74に第2の電流I2を分流する第2の制御回路34Bとを含んで構成されている。
低温時には、第1の実施の形態と同様に、マイクロコンピュータ26によって第1の制御回路34Aが制御されることでヒーター32が用いられてバッテリーセル16の加温が行われる。
高温時には、第2の実施の形態と同様に、マイクロコンピュータ26によって第2の制御回路34Bが制御されることでペルチェ素子74が用いられてバッテリーセル16の冷却が行われる。
このような第3の実施の形態によれば、第1、第2の実施の形態の効果が共に奏され、低温時および高温時の何れの温度環境においても充電時間の短縮しつつ十分な容量まで充電を行うことができ、しかも、バッテリーセル16の劣化を抑制する上で有利となる。
【0031】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、バッテリーセル16に対する温度調整の実行、非実行を手動操作で選択できるようにした点が第1の実施の形態と異なっている。
図12(A)は第4の実施の形態のバッテリー装置10の斜視図、(B)はバッテリー装置10から上ケース1204を取り除いた斜視図、図13は第4の実施の形態のバッテリー装置10の構成を示すブロック図である。
図12に示すように、ケース12の側面に押圧操作される自動温度調整スイッチ76が設けられている。自動温度調整スイッチ76は例えば押しボタンスイッチで構成され、操作部材76Aを押圧する度にオン状態とオフ状態を繰り返す。
図13に示すように、自動温度調整スイッチ76はマイクロコンピュータ26に接続され、マイクロコンピュータ26は自動温度調整スイッチ76がオン状態とされると第1充電モードとなり、オフ状態となされると第2充電モードとなる。
第1充電モードでは、マイクロコンピュータ26は、第1の実施の形態と同様にバッテリーセル16の温度に応じてヒーター32に第2の電流I2を供給することでバッテリーセル16を加温して最適温度領域に温度調整する。
第2充電モードでは、マイクロコンピュータ26は、バッテリーセル16の温度に応じた温度調整を行わず、温度検出素子30によって検出される温度に拘わらず外部供給充電電流の全てがセル16に供給されるように制御回路34を制御する。
言い換えると、マイクロコンピュータ26および制御回路34を含む電流制御部は、該電流制御部の動作を許容する第1の充電動作モードと、温度検出部30の温度検出結果に拘わらず外部供給充電電流の全てをバッテリーセル16に供給する第2の充電動作モードとの何れかに設定可能に構成されている。
【0032】
したがって、第4の実施の形態のバッテリー装置10によれば、自動温度調整スイッチ76を操作して第2充電モードに設定すれば、図16に示すように温度環境に応じて所定の充電電流(バッテリーセルの劣化が生じない程度の小さな充電電流)を用いて充電する充電器50´にバッテリー装置10を装着することで、前記所定の充電電流によって満充電まで充電させることができ、言い換えると、バッテリー装置10を従来のバッテリー装置と同じように使用できる。
また、自動温度調整スイッチ76を操作して第1充電モードに設定すれば、バッテリー装置10を第1の実施の形態と同様の動作で充電させることができる。
これによりユーザーの希望で、特に急いで充電する必要が無く、ゆっくり充電したい場合など、従来通りの充電で構わない場合には、バッテリー装置10の充電方法を選択することができる。
なお、第4の実施の形態では、温度調整部がヒーター32(発熱素子)を含んで構成されている場合について説明したが、温度調整部がペルチェ素子74(吸熱素子)を含んで構成されている場合であっても同様の効果が奏されることは無論である。
また、この自動温度調整スイッチ76の代りに、通信端子14Cを用いたバッテリー装置10内のマイコン26と、通信端子54Cを用いた充電器50内のマイコン58の通信を用いて、充電器側のマイコン58の信号によってバッテリー側のモードを切り替える事でも同様の効果が奏されることは無論である。
【0033】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態は、放電時におけるバッテリーセル16の温度調整を可能としたものである。
第5の実施の形態においてバッテリー装置10の構成は、図2と同様である。
図14は第5の実施の形態のバッテリー装置10の放電時の動作を示すフローチャートである。
マイクロコンピュータ26はバッテリー側通信用端子14Cを用いた通信等により使用される電子機器に接続された事を検出すると、温度検出素子30の検出温度がバッテリーセル16から充電電流を良好に取り出せる所定の温度範囲にあるかどうかを判断し、バッテリーセル16を温度調整する(加温または冷却する)必要があるか否かを判別する(ステップS10)。
温度調整する必要が無ければマイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御することにより、ヒーター側には電流を供給せず、バッテリーセル16の放電電流の全てをバッテリー側正極端子14Aとバッテリー側負極端子14Bを介して外部に供給する通常放電モードに移行する(ステップS26)。
温度調整する必要があれば、放電時における放電電流が所定値を下回っており(ステップS14)、バッテリーセル16にヒーター32に電流を供給するに足る十分な容量が残っているか否かを判別し(ステップS16)、放電電流が所定値を上回っているか、残っていなければ通常放電モードに移行する。放電電流は前述したように電流検出抵抗28を用いて制御IC20によって算出することで得られる。
ステップS16が肯定ならば、ヒーター32に電流を供給させてバッテリーセル16を加温する温度調整放電モードに移行する(ステップS18)。すなわち、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御することにより、バッテリーセル16の放電電流を、バッテリー側正極端子14Aとバッテリー側負極端子14Bを介して外部に供給する第1放電電流と、ヒーター32に供給する第2放電電流とに分け、これにより、ヒーター32を発熱させてバッテリーセル16を加温する。
次に、温度検出素子30の検出温度が前記所定の温度範囲内に到達したか否かを判別し(ステップS20)、第2の放電電流の供給時間が所定時間を超えたか否かを判別する(ステップS22)。ヒーター32で動作させることはバッテリーの容量を消費している事になるので、使用時間が短くする事になる為、いたずらに長時間動作させることはむしろ逆効果となる。この為、所定の時間を設ける事で一定時間動作させて希望の温度にならない場合は、ヒーター32への電流供給を停止することができ、電池容量の浪費を防止できる。
更にヒーター32動作中に電池容量が基準以下、もしくは電池電圧が下がったか判別する(ステップS24)。
ステップS18、S20、S24の何れかの条件が満たされたならば、マイクロコンピュータ26は、ヒーター32に供給する第2の放電電流を停止させてバッテリーセル16の加温を終了する(ステップS26)。すなわち、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御することにより、バッテリーセル16の放電電流の全てを第1放電電流とする。
ステップS24が否定ならばステップS18に戻る。
【0034】
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、バッテリー装置10の放電時においてもバッテリーセル16の温度調整を行うので、環境温度が低温な場合であっても十分な放電電流を取り出すことができ、バッテリー装置10の使い勝手を高める上で有利となる。
なお、第5の実施の形態では、温度調整部がヒーター32(発熱素子)を含んで構成されている場合について説明したが、温度調整部がペルチェ素子74(吸熱素子)を含んで構成されていてもよくその場合には環境温度が高温な場合であっても十分な放電電流を取り出すことができ(良好な放電特性を得ることができ)、バッテリー装置10の使い勝手を高める上で有利となる。また、発熱素子と吸熱素子の双方を設ければ環境温度が低温であっても高温であっても十分な放電電流を取り出すことができ、バッテリー装置10の使い勝手を高める上でさらに有利となる。
【0035】
また、第5の実施の形態では、通常放電モードと温度調整放電モードとを温度検出素子30の検出温度に基づいてマイクロコンピュータ26で判別したが、手動操作可能な自動温度調整スイッチを設け、そのスイッチの操作をトリガーとして通常放電モードと温度調整放電モードとを選択できるようにしてもよい。
すなわち、図15のフローチャートに示すように、使用される電子機器に接続された状態で、自動温度調整スイッチがオンされているか否かを判定し(ステップS30)、オンでなければヒーター側には電流を供給せず、バッテリーセル16の放電電流の全てをバッテリー側正極端子14Aとバッテリー側負極端子14Bを介して外部に供給する通常放電モードに移行する(ステップS48)。
自動温度調整スイッチがオンと判定すると、温度検出素子30の検出温度がバッテリーセル16から充電電流を良好に取り出せる所定の温度範囲にあるかどうかを判断し、バッテリーセル16を温度調整する必要があるか否かを判別する(ステップS32)。
温度調整する必要が無ければマイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御することにより、不図示のLEDなどの表示部を点滅させるなどしてエラー表示を行い(ステップS46)、ヒーター側には電流を供給せず、バッテリーセル16の放電電流の全てをバッテリー側正極端子14Aとバッテリー側負極端子14Bを介して外部に供給する通常放電モードに移行する(ステップS48)。
温度調整する必要があれば、放電時における放電電流が所定値を下回っており(ステップS34)、バッテリーセル16にヒーター32に電流を供給するに足る十分な容量が残っているか否かを判別し(ステップS36)、放電電流が所定値を上回っているか、残っていなければ通常放電モードに移行する。放電電流は前述したように電流検出抵抗28を用いて制御IC20によって算出することで得られる。
ステップS36が肯定ならば、ヒーター32に電流を供給させてバッテリーセル16を加温する温度調整放電モードに移行する(ステップS38)。すなわち、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御することにより、バッテリーセル16の放電電流を、バッテリー側正極端子14Aとバッテリー側負極端子14Bを介して外部に供給する第1放電電流と、ヒーター32に供給する第2放電電流とに分け、これにより、ヒーター32を発熱させてバッテリーセル16を加温し、同時に温度制御中であることを前記表示部を点灯させるなどして表示する。
次に、温度検出素子30の検出温度が前記所定の温度範囲内に到達したか否かを判別し(ステップS40)、第2の放電電流の供給時間が所定時間を超えたか否かを判別する(ステップS42)。ヒーター32で動作させることはバッテリーの容量を消費している事になるので、使用時間が短くする事になる為、いたずらに長時間動作させることはむしろ逆効果となる。この為、所定の時間を設ける事で一定時間動作させて希望の温度にならない場合は、ヒーター32への電流供給を停止することができ、電池容量の浪費を防止できる。
更にヒーター32動作中に電池容量が基準以下、もしくは電池電圧が下がったか判別する(ステップS44)。本例では電池容量が25%以下になったか、もしくは、出力電圧が6.5V以下になったかを判断基準としている。ここでは、バッテリーセル16はリチウムイオン電池のセルが2つ直列に接続された場合を例示しており、その場合、出力電圧は代表値が7.2Vであり、最低値6V、最高値8.4Vである。
ステップS40、S42、S44の何れかの条件が満たされたならば、マイクロコンピュータ26は、ヒーター32に供給する第2の放電電流を停止させてバッテリーセル16の加温を終了する(ステップS48)。すなわち、マイクロコンピュータ26は、制御回路34を制御することにより、バッテリーセル16の放電電流の全てを第1放電電流とする。
ステップS42が否定ならばステップS40に戻る。
【0036】
なお、第1乃至第4の形態において、通常の充電電流によってバッテリーセル16が充電されておらず、外部供給充電電流から分流された第2の電流I2が温度調整部に供給されている状態、あるいは、所定の充電電流(例えばバッテリーセルの劣化が生じない程度の小さな充電電流)でバッテリーセル16が充電されている状態、すなわち、通常の充電動作に比較して少ない充電電流で充電を行っている状態を使用者に報知することが必要な場合には、バッテリー装置10のケース12にLEDなどの表示部を設け、LEDの点灯や点滅によってその旨を表示させるようにしてもよいし、マイクロコンピュータ26からバッテリー側通信用端子14Cを介して充電器50側にその旨を示すデータを送信し充電器50に設けられた表示器によって表示させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(A)はバッテリー装置10の斜視図、(B)はバッテリー装置10から上ケース1204を取り除いた斜視図である。
【図2】バッテリー装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】バッテリー装置10が充電器50に装着され充電されている状態を示すブロック図である。
【図4】(A)は常温での充電時におけるバッテリーセル16に供給される充電電流(第1の電流I1)とバッテリーセル16の正極端子および負極端子間の電圧Vb(以下バッテリーセル電圧Vbという)の変化を示す線図、(B)はバッテリーセル16の温度変化を示す線図である。
【図5】(A)は低温での充電時におけるバッテリーセル16に供給される充電電流(第1の電流I1)とバッテリーセル電圧Vbの変化を示す線図、(B)はバッテリーセル16の温度変化を示す線図である。
【図6】(A)は低温での充電時におけるバッテリーセル16に供給される充電電流(第1の電流I1)とバッテリーセル電圧Vbの変化を示す線図、(B)はバッテリーセル16の温度変化を示す線図である。
【図7】充電動作の全体を説明するフローチャートである。
【図8】第1の動作例に対応するフローチャートである。
【図9】(A)は第2の実施の形態のバッテリー装置10の斜視図、(B)はバッテリー装置10から上ケース1204を取り除いた斜視図である。
【図10】(A)は第3の実施の形態のバッテリー装置10の斜視図、(B)はバッテリー装置10から上ケース1204を取り除いた斜視図である。
【図11】第3の実施の形態のバッテリー装置10の構成を示すブロック図である。
【図12】(A)は第4の実施の形態のバッテリー装置10の斜視図、(B)はバッテリー装置10から上ケース1204を取り除いた斜視図である。
【図13】第4の実施の形態のバッテリー装置10の構成を示すブロック図である。
【図14】第5の実施の形態のバッテリー装置10の放電時の動作を示すフローチャートである。
【図15】第5の実施の形態バッテリー装置10の変形例における放電時の動作を示すフローチャートである。
【図16】従来のバッテリー装置の構成を示すブロック図である。
【図17】従来のバッテリー装置が充電器に装着され充電されている状態を示すブロック図である。
【図18】(A)は低温での充電時におけるバッテリーセル16に供給される充電電流(第1の電流I1)とバッテリーセル電圧Vbの変化を示す線図、(B)はバッテリーセル16の温度変化を示す線図である。
【符号の説明】
【0038】
10……バッテリー装置、12……ケース、14A……バッテリー側正極端子、14B……バッテリー側負極端子、16……バッテリーセル、26……マイクロコンピュータ、30……温度検出素子、32……ヒーター、34……制御回路、74……ペルチェ素子、I1……第1の電流、I2……第2の電流。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池で構成されるバッテリーセルと、
前記バッテリーセルを収容するケースと、
前記ケースに設けられ前記バッテリーセルに電気的に接続されたバッテリー側正極端子およびバッテリー側負極端子と、
を有するバッテリー装置であって、
前記バッテリーセルの温度を検出する温度検出部と、
電流が供給されることで前記バッテリーセルを加温および/または冷却する温度調整部と、
外部から前記バッテリー側正極端子および前記バッテリー側負極端子を介して供給される外部供給充電電流を、前記温度検出部によって検出された温度に応じて、前記バッテリーセルに供給する第1の電流と、前記温度調整部に供給する第2の電流とに分ける電流制御部と、
を備えることを特徴とするバッテリー装置。
【請求項2】
前記温度調整部は前記電流が供給されることで発熱して前記バッテリーセルを加温する発熱素子を含んで構成され、
前記電流制御部は、前記温度検出部によって検出される温度が前記バッテリーセルを充電するために適した所定温度範囲を下回った場合に、前記第1の電流を停止して前記第2の電流のみを前記温度調整部に供給し、前記温度検出部によって検出される温度が所定温度範囲内に到達した場合に、前記第1の電流をバッテリーセルに供給するとともに前記第2の電流の前記温度調整部への供給を停止する、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記温度調整部は前記電流が供給されることで発熱して前記バッテリーセルを加温する発熱素子を含んで構成され、
前記電流制御部は、前記温度検出部によって検出される温度が前記バッテリーセルを充電するために適した所定温度範囲を下回った場合に、前記第1の電流を前記バッテリーセルを劣化させることなく充電できる所定の充電電流とし、かつ、前記第2の電流を前記外部供給充電電流から前記所定の充電電流を除いた電流とし、
前記温度検出部によって検出される温度が前記所定温度範囲内に到達した場合に、前記第2の電流の前記温度調整部への供給を停止する、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリー装置。
【請求項4】
前記温度調整部は前記電流が供給されることで吸熱して前記バッテリーセルを冷却する吸熱素子を含んで構成され、
前記電流制御部は、前記温度検出部によって検出される温度が前記バッテリーセルを充電するために適した所定温度範囲を上回った場合に、前記第1の電流を停止して前記第2の電流のみを前記温度調整部に供給し、前記温度検出部によって検出される温度が所定温度範囲内に到達した場合に、前記第1の電流をバッテリーセルに供給するとともに前記第2の電流の前記温度調整部への供給を停止する、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリー装置。
【請求項5】
前記温度調整部は前記電流が供給されることで吸熱して前記バッテリーセルを冷却する吸熱素子を含んで構成され、
前記電流制御部は、前記温度検出部によって検出される温度が前記バッテリーセルを充電するために適した所定温度範囲を上回った場合に、前記第1の電流を前記バッテリーセルを劣化させることなく充電できる所定の充電電流とし、かつ、前記第2の電流を前記外部供給充電電流から前記所定の充電電流を除いた電流とし、
前記温度検出部によって検出される温度が前記所定温度範囲内に到達した場合に、前記第2の電流の前記温度調整部への供給を停止する、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリー装置。
【請求項6】
前記電流制御部は、該電流制御部の動作を許容する第1の充電動作モードと、前記温度検出部の温度検出結果に拘わらず前記外部供給充電電流の全てを前記バッテリーセルに供給する第2の充電動作モードとの何れかの動作モードが選択可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリー装置。
【請求項7】
前記バッテリーセルの放電電流を、前記バッテリー側正極端子とバッテリー側負極端子を介して外部に供給する第1放電電流と、前記温度調整部に供給する第2放電電流とに分ける放電制御部を設けた、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリー装置。
【請求項8】
前記バッテリーセルはリチウムイオン電池またはニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池であることを特徴とする請求項1記載のバッテリー装置。
【請求項9】
前記発熱素子はヒーターであることを特徴とする請求項2または3記載のバッテリー装置。
【請求項10】
前記吸熱素子はペルチェ素子であることを特徴とする請求項4または5記載のバッテリー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−41614(P2008−41614A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218285(P2006−218285)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】