説明

バッテリ搭載装置

【課題】 車両の傾斜に係らずバッテリを着脱可能なバッテリ搭載装置を提供すること。
【解決手段】 バッテリを載置して固定するバッテリ固定手段の傾斜状態を調整し、この調整された傾斜状態で車両の下面からバッテリを取り付けることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の下面からバッテリを取り付けるバッテリ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の下面よりバッテリを取り付けるバッテリ搭載装置として、特許文献1に記載の技術が知られている。この公報には、バッテリを保持する交換テーブルと、この交換テーブルを昇降する昇降装置を備え、車両の下面からバッテリの着脱を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−262951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術にあっては、単に上下に昇降させるのみであるため、乗員やバッテリといった車載重量物の影響により車体フロアが傾斜している状態では、うまく着脱を行えないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、車体フロアの傾斜に係らずバッテリを着脱可能なバッテリ搭載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、バッテリを載置して固定するバッテリ固定手段の傾斜状態を調整し、この調整された傾斜状態で車両の下面からバッテリを取り付けることとした。
【発明の効果】
【0007】
これにより、車載重量物の影響等により車体フロアが傾斜している状態であっても、安定したバッテリ搭載を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1のバッテリ交換装置を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の多面体治具の概要を表す拡大図である。
【図3】実施例1の多面体治具の概要を表す拡大図である。
【図4】実施例1の第1傾斜状態調整処理を表す概略図である。
【図5】実施例1の第2傾斜状態調整処理を表す概略図である。
【図6】実施例1のバッテリ交換システムの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1のバッテリ搭載装置を表す全体システム図である。尚、実施例1では、電動車両の車体フロアの下面側からバッテリを交換するバッテリ交換スタンドについて説明する。電動車両は、車両の下面に搭載された大容量バッテリを動力源として電動機のみで走行する車両である。バッテリBATの電力量が所定量以下になると(以下、使用済みバッテリと記載する)、ドライバはバッテリ交換スタンドにおいて、満充電されたバッテリ(以下、充電済みバッテリと記載する)と交換する。この交換作業の概要について説明すると、ドライバがバッテリ交換スタンドに入り、下面を洗浄する洗浄エリアを経由して交換エリアに自走して入る。この交換エリアの断面概要を示すのが図1であり、バッテリ交換の詳細については後述する。交換エリアでは、車種を識別する車種認識センサ1により車種が認識され、認識された車種に応じて完全自動化された交換システムによってバッテリ交換が実行される。
【0010】
次に交換エリアに設置されたバッテリ交換装置について説明する。交換エリアには、車両用基台10が設けられている。この車両用基台10は、前輪を前方から固定する前方ストッパ11と、前輪を外側側面から固定する側方ストッパ12と、後輪を外側側面から固定する側方ストッパ13とを有し、これら各ストッパは車両用基台10から出没自在とされている。また、車両の正確な位置や傾きを検出する複数の位置検出センサ14(状態検出手段に相当)を有する。位置検出センサ14は、車体フロアまでの距離を測定するレーザーセンサであり、対応箇所と車両用基台10との間の距離を高い精度で測定可能としている。そして、位置検出センサ14により車両が所定位置に進入したことを確認すると、前方ストッパ11及び側方ストッパ12,13が自動的に車輪を係止する。また、車両用基台10の車体フロアと面する位置には開閉部が形成され、車両が係止されたことを確認すると開閉部が開口し、地下から昇降するバッテリ交換装置が車体フロアに対してアクセス可能となる。
【0011】
〔バッテリ交換装置の構成〕
バッテリ交換装置は地下に配置されており、図外のバッテリ保管庫から車両に適合する種類の満充電された充電済みバッテリを搬入するための搬入用ベルトコンベア20と、車両から取り外した使用済みバッテリを搬出するための搬出用ベルトコンベア21とを有する。搬入用ベルトコンベア20の終端から所定距離πr(m)付近には、充電済みバッテリの位置を検出する位置センサ15が取り付けられている。搬入用ベルトコンベア20は、図外の保管庫から車種認識センサ1により認識された対応する充電済みバッテリを搬送する。実施例1ではABAT,BBAT,CBAT,DBATの4種類のバッテリが保管されている。搬出用ベルトコンベア21は、取り外した使用済みバッテリを図外の充電エリアに搬送する。充電エリアで充電されたバッテリは保管庫の対応箇所に保管される。
【0012】
搬入用ベルトコンベア20と搬出用ベルトコンベア21との間にはバッテリ交換機構が配置されている。バッテリ交換機構は、各種バッテリA〜Dに対応した複数種の固定用治具A1,B1,C1,D1(バッテリ固定手段に相当)が配置された回転体である多面体治具30を有する。また、車幅方向に延びる第1回転軸(図5参照)と、車両進行方向に延び第1回転軸(図4参照)の向きを回動する第2回転軸とにより、多面体治具30を所定位置及び所定傾斜状態に駆動する回転駆動アクチュエータ50を有する。また、車幅方向運転席側に配置された一本の支柱を有し、支柱内に収容された回転駆動アクチュエータ50を支持すると共に、回転駆動アクチュエータ50を介して支持された多面体治具30を片持ち支持する昇降アクチュエータ40(図5等参照)を有する。
【0013】
回転駆動アクチュエータ50には各回転軸の回転角を検出する回転角センサ50aが備えられ、昇降アクチュエータ40には高さ位置を検出する高さ位置センサ40aが備えられている。また、各センサ14,15,40a,50aにより検出された信号を入力とし、後述する固定用治具に備えられた各種アクチュエータ,回転駆動アクチュエータ50及び昇降アクチュエータ40に対して指令信号を出力する制御ユニット100が備えられている。制御ユニット100は、各アクチュエータに対し、フィードバック制御により作動量を制御する。
【0014】
尚、バッテリは車体フロアに対し図外の係合手段により取り付けられており、昇降アクチュエータ40と共に昇降する図外のアクチュエータによって自動的に係合手段の解放、係合が行われる。このアクチュエータは各固定用治具に設けられている。
【0015】
(多面体治具の特徴)
実施例1の多面体治具30は立方体形状とされ、回転軸の外周となる4つの側面に固定用治具A1,B1,C1,D1が設置されている。ここで、多面体治具30を採用した理由について補足説明する。一車種もしくは単一バッテリにのみ対応する場合には何ら問題ないが、実際には複数種が想定されるため、各種に対応した交換装置が必要となる。固定用治具と昇降アクチュエータを備えた交換システム全体を複数種毎に準備することが考えられるが、昇降自体はどの車種でも同じであり、同じ機能を持つものをいくつも準備するのは無駄である。また、バッテリ交換スタンドを想定した場合、限られた土地(スペース)に効率よく配置することが求められる。言い換えると、地下を深く掘ることで高さ方向のスペースには余裕があるが、広さ方向のスペースには余裕が無い。円盤状の回転体の上面円周方向に複数種の固定用治具を配置し、円盤を回転させて対応することも考えられる。しかし、円盤自体の面積が大きくなり、広さ方向のスペースとして制限があると、好ましくない。また、円盤全体を持ち上げる構成となると、車両の車輪が邪魔になり、対応する種類数が限られる。これに対し、多面体治具30を実施例1に示す第1回転軸周りに回転させると、縦方向には若干スペースを取るものの、広さ方向にスペースを取ることがない。また、多面体治具30全体を持ち上げる構成としても、車輪が邪魔になることがなく、対応する種類数にさほど制限はかからない。つまり、省スペースで素早い対応が可能となる。
【0016】
(昇降アクチュエータの特徴)
ここで、昇降アクチュエータ40を一本の支柱から構成し、運転席側に配置した理由について説明する。まず、昇降アクチュエータ40を2本の支柱から構成し、多面体治具30を両持ち支持することが考えられる。しかし、昇降アクチュエータ自身が大型化すると共に、コストアップの要因となるため、片持ち支持とすることが望ましい。この場合、支柱をどの位置に配置することが有利であるかを検討する。実際に車両がバッテリ交換スタンドで交換を行う際、運転者のみが乗車して交換する場合が最も多いと想定される。このことは、車両は若干運転席側に傾いた状態で交換されることが多いことを表す。
【0017】
以下、説明のため、多面体治具30と昇降アクチュエータ40との結合点(図5参照)に着目して説明する。この結合点の位置が昇降アクチュエータ40によって移動する位置を表す。仮に、支柱を助手席側に配置した場合、多面体治具30を下方に傾かせた状態で昇降アクチュエータ40を昇降させる必要があり、上記結合点を昇降アクチュエータ40によって高い位置まで上昇させなければならず、時間的なロスを伴う。これに対し、支柱を運転席側に配置した場合、多面体治具30を上方に傾かせた状態で昇降アクチュエータ40を昇降させるため、上記結合点を昇降アクチュエータ40によって上昇させる場合も、より低い位置まで上昇させればよいことになり、時間的に有利である。以上より、運転席側に一本の支柱を配置することで、交換時間の短縮を図ることができるものである。
【0018】
〔固定用治具の構成〕
図2及び図3は多面体治具30の概要を表す拡大図である。尚、固定用治具A1〜D1は、それぞれ寸法構成等は異なるものの、基本的な機能は同じであるため固定用治具A1についてのみ説明する。図2(a)に示すように、固定用治具A1には、バッテリを固定するための固定部a1が平面状に複数形成されている。また、バッテリを適正な位置まで移動するためのベルトa2と、ベルトa2の外周に設けられバッテリ先端及び後端の下面に設けられた凹部b1と係合する突起a3と、ベルトa2を駆動する駆動ローラa4とを有する。また、図2(b)に示すように、バッテリの先端を係止する出没自在の位置決めストッパa4と、図3に示すように、載置されたバッテリの移動を規制するラチェット機構a5と、を有する。ラチェット機構a5は搬入用ベルトコンベア20側に斜面を有し、搬出用ベルトコンベア21側に鉛直の縦壁を有するラチェット部材と、このラチェット部材を上方に付勢するスプリングから構成され、バッテリ搬入時はバッテリ自身によってラチェット部材が押し下げられ、バッテリがラチェット部材を通り過ぎるとスプリングによりラチェット部材が押し上げられて縦壁によりバッテリの搬入用ベルトコンベア側への移動を禁止する。
【0019】
〔固定用治具の作用〕
まずバッテリ搬入時の固定用治具の作用について説明すると、図2(a)に示すように、固定用治具A1に搬入用ベルトコンベア20から充電済みバッテリが送られてくると、固定用治具A1の端部に充電済みバッテリの先端が載置される程度に配置される。この状態で図2(b)に示すように、駆動ローラa4を駆動してベルトa2を作動させると、突起a3がバッテリ先端側下面の凹部b1と係合し、ベルトの作動に伴ってバッテリを適正位置まで移動する。
【0020】
一方、使用済みバッテリを取り外した後のバッテリ搬出時では、位置決めストッパa4が固定用治具A1内に収納される。そして、駆動ローラa4を駆動してベルトa2を作動させると、突起a3がバッテリ下面の凹部b1(この場合は後端側の凹部)と係合し、ベルトの作動に伴ってバッテリを搬出用ベルトコンベア21上に載置する。その後、搬出用ベルトコンベア21の作動によって使用済みバッテリは図外の充電設備へ搬出される。
【0021】
〔回転駆動アクチュエータによる制御〕
次に、回転駆動アクチュエータ50による制御処理について説明する。
(最短回転制御処理)
最短回転制御処理とは、車種に適合したバッテリに対応する固定用治具を素早く選択するために行われる制御処理であり、回転駆動アクチュエータ50において行われる。具体例を用いて説明すると、図1に示すように、多面体治具30が固定用治具A1を上面として静止している状態を初期状態とする。BBATを適合バッテリとする車両がバッテリ交換のために進入してくると、回転駆動アクチュエータ50は、該当する固定用治具Bとなるように回転駆動する。このとき、図1中時計回りによって回転させるか、反時計回りによって回転させるか否かが問題となる。
【0022】
反時計回りに回転させる場合には、多面体治具30を90度回転させるだけでよい。しかし、仮に、時計回りでBに移動させるとすると、多面体治具30を270度回転させる必要があり、迅速に対応する固定治具を準備することができない。そこで、現在の固定用治具から対応する固定用治具まで回転させるに当たり、時計回りと反時計回りとでどちらの回転量が少ないかを判断し、少ないほうに回転させる(最短回転制御処理)。
【0023】
具体的には、現在の固定用治具から対応する固定用治具まで時計回りしたときの成す角を算出し、この成す角が180度以下なら反時計回りさせることとし、それ以上の角度すなわち270度なら時計回りさせ、成す角が0のときは回転させないこととする。多面体治具30が更に多くの面を有している場合には、成す角が180度以下なら反時計回り、180度よりも大きく360度よりも小さいなら時計回り、一致している場合は回転させないこととすればよい。これにより、迅速に対応する固定治具を準備することができる。
【0024】
(傾斜状態調整処理)
車両からバッテリを取り外す際、もしくは車両にバッテリを取り付ける際、上述のように対応する固定用治具を昇降アクチュエータ40によって昇降させて車体フロアにアクセスする。車体フロアは常に水平状態であればよいが、重量物の積載(乗員や荷物等)によって、もしくは、各部品の経時変化によっても水平状態が常時得られるとは限らない。特に、電動車両のバッテリは数百キロ単位の重量物であり、取り外すときと、取り付けるときとでは、車両に作用する重量が異なり、傾きが生じる。また、左右にバランスよく乗員が登場していればロール方向の傾斜はさほど生じないが、実際には運転者のみが搭乗、もしくは、運転者と後席乗員が共に一方側に搭乗している場合があり、特に運転者のみが搭乗していることが多い。そこで、傾斜状態調整処理を実行する。傾斜状態調整については二つの第1と第2の処理を行う。以下、詳述する。
【0025】
(i)第1傾斜状態調整処理
位置検出センサ14により車体フロアのピッチ方向の傾きを検出し、その傾きに応じて回転駆動アクチュエータ50の第1回転軸周りの回転量を補正し、傾斜状態を調整する。本明細書ではピッチ方向の傾斜状態調整処理を第1傾斜状態調整処理と記載する。図4は、第1傾斜状態調整処理を表す概略図である。図4(a)に示すように、車両が進入してきたとき、使用済みバッテリを取り外して搬出するとき、充電済みバッテリを搬入するときは、いずれも多面体治具30は対応する固定用治具が水平状態となるように制御する。一方、車体フロアにアクセスするときは、図4(b)に示すように、車体フロアのピッチ方向の傾きと平行となるように回転量を補正し、平行な状態で車体フロアにアクセスさせる。
【0026】
(ii)第2傾斜状態調整処理
位置検出センサ14により車体フロアのロール方向の傾きを検出し、その傾きに応じて回転駆動アクチュエータ50の第2回転軸周りの回転量を補正し、傾斜状態を調整する。本明細書ではロール方向の傾斜状態調整処理を第2傾斜状態調整処理と記載する。図5は、第2傾斜状態調整処理を表す概略図である。図5(a)に示すように、車両が進入してきたとき、使用済みバッテリを取り外して搬出するとき、充電済みバッテリを搬入するときは、いずれも多面体治具30は対応する固定用治具が水平状態となるように制御する。一方、車体フロアにアクセスするときは、図5(b)に示すように、車体フロアのロール方向の傾きと平行となるように回転量を補正し、平行な状態で車体フロアにアクセスさせる。
【0027】
(位置決め処理)
充電済みバッテリを搬入用ベルトコンベア20から固定用治具に供給し、バッテリを適正位置まで移動した後、最終的な位置決めは回転駆動アクチュエータ50による回転作動により行われる。具体的には図3に示すように、搬出用ベルトコンベア21側に所定量傾斜させ、バッテリの自重を利用してスライドさせ、位置決めストッパa4と当接させる。このとき、所定位置に設置されると、ラチェット機構a5によりバッテリの移動が両側から規制されることとなる。このときの回転角は、予め設定された所定回転角としてもよいし、バッテリの形状や重量等に応じた回転角としてもよいし、バッテリがラチェット部材を通り過ぎるまで断続的に回転角を増大させるように制御してもよく、特に限定しない。
【0028】
〔バッテリ交換システムの作用〕
次に、上記各構成及び制御等を用いたバッテリ交換システムの全体の流れについて説明する。図6はバッテリ交換システムの流れを示すフローチャートである。
ステップS1では、車種認識センサ1により車種を検知する。車種認識センサ1としては撮像カメラ等から車両の外形を認識して車種を特定するようにしてもよいし、車両に予め車種信号を発信させるようにしておいて、その信号を受信して車種を特定するようにしてもよい。
ステップS2では、検知された車種に対応する固定用治具となるように多面体治具30の上述の最短回転制御処理を実行する。
ステップS3では、位置検出センサ14により車両が所定位置に到達したことを確認し、所定位置に到達したと確認されると各ストッパ11,12,13により車輪を固定する。
ステップS4では、車体の傾きを検出して第1及び第2傾斜状態調整処理を実行する。
ステップS5では、昇降アクチュエータ40を上昇させて固定用治具を車体フロアにアクセスさせ、アクチュエータにより係合手段を解放して使用済みバッテリを固定用治具に載置して取り外す。
ステップS6では、使用済みバッテリを取り外した後、多面体治具30を回転させて補正された回転量を水平状態に戻し、昇降アクチュエータ40を降下させる。
ステップS7では、ストッパa4を埋没させ、駆動ローラa4によりベルトa2を作動させ使用済みバッテリを固定用治具から搬出用ベルトコンベア21に排出する。
【0029】
ステップS8では、対応する充電済みバッテリを搬入用ベルトコンベア20により所定位置まで搬入する。
ステップS9では、ストッパa4を突出させ、駆動ローラa4によりベルトを作動させ充電済みバッテリを搬入用ベルトコンベア20から固定用治具に供給する。
ステップS10では、回転駆動アクチュエータ50により位置決め処理を実行する。
ステップS11では、車体の傾きを検出して第1及び第2傾斜状態調整処理を実行する。
ステップS12では、昇降アクチュエータ40を上昇させて充電済みバッテリを車体フロアにアクセスさせ、アクチュエータにより係合手段を係合させて充電済みバッテリを取り付ける。
ステップS13では、昇降アクチュエータ40を降下させ、各ストッパ11,12,13を解除する。
【0030】
以上説明したように、実施例1にあっては下記の作用効果を得ることができる。
(1)バッテリを載置して固定する固定用治具A1〜D1(バッテリ固定手段)と、固定用治具A1〜D1の傾斜状態を調整する回転駆動アクチュエータ50(傾斜状態調整手段)と、固定用治具A1〜D1を昇降し、回転駆動アクチュエータ50により調整された傾斜状態で車両の下面からバッテリを取り付ける昇降アクチュエータ40(昇降手段)と、を備えた。よって、車載重量物の影響等により車体フロアが傾斜している状態であっても、安定したバッテリ搭載を実現できる。
【0031】
(2)回転駆動アクチュエータ50は、第1回転軸(車幅方向に延びる回転軸)と、第2回転軸(車両進行方向に延びる回転軸)の2軸を有する。よって、あらゆる傾斜に対応することができる。
【0032】
(3)昇降アクチュエータ40は、一本の支柱から固定用治具A1〜D1を片持ち支持で上下に昇降させ、この支柱は、運転席側に配置される。よって、バッテリ交換時間の短縮化を図ることができる。
【0033】
(他の実施例)
以上、実施例1について説明したが、本発明は上記構成に限られず、他の構成を採用してもよい。
例えば、実施例1はバッテリ交換スタンドに適用した例を示したが、本発明は製造ライン等でバッテリを取り付ける際に用いてもよい。
また、車両用基台10の車体フロアと面する位置には開閉部が形成され、車両が係止されたことを確認すると開閉部が開口する構成としたが、最初から開口していてもよい。
実施例1では、係合手段を解放、係合するアクチュエータを固定用治具それぞれに設けたが、多面体治具30に設けられてもよいし、昇降アクチュエータ40に設けられてもよい。また、係合手段は、ボルト締結でもよいし、カム機構等を利用したレバー操作でもよい。
実施例1では4種類のバッテリに対応すべく4つの治具を備えているが、更に多種類の治具が必要な場合は、断面5角形、6角形というように複数の面を備えた多面体とすればよい。
実施例1ではラチェット部材が出没することでバッテリを固定したが、アクチュエータによって固定部材を作動させるようにしてもよい。
実施例1では、多面体治具の回転軸は、地平面に対し略平行かつ車両進行方向に対し略直行した回転軸を持つこととしたが、地平面に対し略平行かつ車両進行方向に対し略平行な回転軸としてもよいし、地平面に対し直交する回転軸を持つこととしてもよい。また、地平面や車両進行方向に直行もしくは平行の関係だけでなく、交差する関係を持つようにしてもよい。また、実施例1では支柱を1本として表記したが、運転席側に複数の支柱が立設されていても同様の作用効果を奏する。
実施例1では、電動車両について説明したが、エンジンを備えたハイブリッド車両に適用してもよい。
【符号の説明】
【0034】
14 位置検出センサ(状態検出手段)
30 多面体治具(回転体)
40 昇降アクチュエータ(昇降手段)
50 回転駆動アクチュエータ(傾斜状態調整手段)
A1,B1,C1,D1 固定用治具(バッテリ固定手段)
BAT バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを載置して固定するバッテリ固定手段と、
前記バッテリ固定手段の傾斜状態を調整する傾斜状態調整手段と、
前記バッテリ固定手段を昇降し、前記傾斜状態調整手段により調整された傾斜状態で車両の下面からバッテリを取り付ける昇降手段と、
を備えたことを特徴とする車両のバッテリ搭載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のバッテリ搭載装置において、
前記傾斜状態調整手段は、車幅方向に延びる回転軸と、車両進行方向に延びる回転軸の2軸を有することを特徴とする車両のバッテリ搭載装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両のバッテリ搭載装置において、
前記昇降手段は、一本の支柱から前記固定手段を片持ち支持で上下に昇降させる手段であり、
前記支柱は、運転席側に配置されることを特徴とする車両のバッテリ搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−173364(P2010−173364A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15597(P2009−15597)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】