説明

バニロイド−1受容体(VR1)の機能を調節するインダゾール−3−オン及びそれらの類似体ならびに誘導体

特に疼痛及びバニロイド−1受容体(VR1)の機能の調節により改善されるその他の状態の治療において、治療用化合物として有用である式(I)の化合物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に疼痛及びバニロイド−1受容体(VR1)の機能の調節により改善される他の症状の治療において、治療用化合物として有用な、1,2−ジヒドロ−2−(パラ−置換アリール/へテロアリール)−5又は6−アリール/へテロアリール−3H−インダゾール−3−オン及びそれらの類似体及び誘導体ならびに医薬適合性のそれらの塩及びプロドラッグに関する。
【背景技術】
【0002】
チリペッパーの薬理活性成分がフェノールアミドカプサイシンであることは、かねてから認識されている。カプサイシンを粘膜に塗布又は皮内注射した場合、ヒトにおいて激しい灼熱痛が生じる。カプサイシンを鎮痛薬として局所塗布すると有益な効果が得られることもよく知られている。しかし、カプサイシンに対するこれらの応答を媒介する基礎となる分子薬理学が理解されるようになったのはごく最近である。
【0003】
バニロイドVR1受容体と呼ばれる、カプサイシンに対する受容体は、1997年、UCSFのCaterinaらによりクローニングされた(Nature,398:816,1997)。VR1受容体は皮膚、内臓、末梢組織及び脊髄を支配する感覚神経で見られる陽イオンチャネルである。VR1の活性化は、知覚繊維の活動電位を誘導し、最終的に疼痛感覚を生じさせる。重要なこととして、VR1受容体は、カプサイシンだけでなく、酸性pHによって、及び有害熱刺激によっても活性化される。これは多数の炎症性メディエーターによっても敏感となり、したがって、疼痛刺激の多モードインテグレーターであると思われる。
【0004】
代表的VR1アンタゴニストはカプサゼピンであり(Walpoleら,J.Med.Chem.,37:1942,1994)、VR1 IC50は420nMである。新規の一連のマイクロモル以下のアンタゴニストも最近報告されている(Leeら,Bioorg.Med.Chem.,9:1713,2001)が、これらの報告はインビボでの効果を証明していない。より非常に親和性の高いアンタゴニストは、「超強力」アゴニストであるレジニフェラトキシン由来である。ヨード−レジニフェラトキシン(Wahlら,Mol.Pharmacol.,59:9,2001)は、VR1のナノモルアンタゴニストであるが、経口薬剤に適した性質を持たない。これは、Garcia−Martinez(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,99:2374,2002)により記載されているマイクロモルペプトイドアンタゴニストにも当てはまる。ごく最近、国際(PCT)特許公開WO02/08221が新規の一連のVR1アンタゴニストを記載しており、多数の動物モデルで効果を示すと述べている。発明者らは、本明細書において、別の一連の新規VR1モジュレーターを記載する。これらには、主に、VR1アンタゴニストが含まれるが、VR1部分アンタゴニスト及びVR1部分アゴニストを包含する。このような化合物が、疼痛の動物モデルにおいて効果的であることが示された。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、式(I)の化合物:
【0006】
【化6】

(式中、X及びYは、それぞれCR又はNであり;
10及びR11のうち1つはRであり、他方はWであり;
各Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル又はハロC1−4アルコキシであり;
Wは、フェニル環又は1、2もしくは3個の窒素原子を含有する6員の芳香族複素環であり、該環は、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシC1−6アルキル又はアミノC1−6アルキルにより場合によっては置換されており;
Zは、フェニル環又は1、2もしくは3個の窒素原子を含有する6員の芳香族複素環であり、該環は、少なくとも、本分子の他の部分への該環の結合に対してパラの位置で、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシC1−6アルキル又はアミノC1−6アルキルにより置換されている。)又は医薬適合性のその塩を提供する。
【0007】
は、好ましくは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル又はハロC1−2アルコキシであり、Rは、より好ましくは、フッ素、メチル又は水素である。Rは、通常、水素である。
【0008】
X及びYは、通常、CRである。
【0009】
Wは、好ましくは、非置換であるか、又はハロゲン、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−2アルキルアミノ、ジ(C1−2アルキル)アミノ、ハロC1−2アルキル、ハロC1−2アルコキシ、ヒドロキシC1−2アルキルもしくはアミノC1−2アルキルから独立に選択される、1、2又は3個の置換基により置換されている。より好ましくは、Wは、水素、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル又はハロC1−2アルコキシにより場合によっては置換されている。最も好ましくは、任意の置換基は、トリフルオロメチル、メチル又はメトキシである。Wは、好ましくは、一置換である。Wは、好ましくは、本分子の他の部分への結合点に対してオルトの位置に置換基を有する。Wは、最も好ましくは、本分子の他の部分への結合点に対してオルトの位置で一置換されている。
【0010】
Wは、好ましくは、フェニル又はピリジル環である。Wの特定の実施形態は、3−トリフルオロメチルピリド−2−イル、3−メチルピリド−2−イル及び2−メトキシフェニルである。
【0011】
Zは、好ましくは、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−2アルキルアミノ、ジ(C1−2アルキル)アミノ、ハロC1−2アルキル、ハロC1−2アルコキシ、ヒドロキシC1−2アルキル及びアミノC1−2アルキルから独立に選択される1個又は2個の置換基により置換されている。より好ましくは、Zは、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はトリフルオロメトキシにより置換されている。最も好ましくは、Zは、トリフルオロメチルにより置換されている。Zは、一置換であり得る。Zは、トリフルオロメチルにより一置換され得る。Zは、好ましくは、置換フェニル又はピリジルであり、特に置換フェニルである。Zの実施形態は、4−トリフルオロメチルフェニルである。
【0012】
好ましくは、R10は、Rであり、R11はWである。
【0013】
本発明の化合物のサブセットは、式IA;
【0014】
【化7】

(式中、Wは、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル又はハロC1−2アルコキシにより場合によっては置換されているフェニル又はピリジルであり;
Zは、本分子の他の部分への結合点に対するパラ位置で、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル又はハロC1−2アルコキシにより置換されているフェニル又はピリジルである。)により表されるか、又は医薬適合性のその塩である。
【0015】
Wは、好ましくは、本分子の他の部分への結合点に対するオルト位置で置換されている。Wは、好ましくは、一置換である。Wにおける置換基は、好ましくは、トリフルオロメチル、メチル、トリフルオロメトキシ又はメトキシである。Wは、最も好ましくは、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシである。
【0016】
Zは、好ましくは、フッ素、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシにより置換されている。Zは、好ましくはトリフルオロメチルである。Zは、好ましくは、置換フェニルである。
【0017】
本発明の特定の実施形態には:
1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−6−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)−3H−インダゾール−3−オン;
1,2−ジヒドロ−6−(3−メチル−2−ピリジニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−インダゾール−3−オン;
1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)−3H−インダゾール−3−オン;
1,2−ジヒドロ−6−(2−メトキシフェニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−インダゾール−3−オン;及び
1,2−ジヒドロ−6−(3−メチル−2−ピリジニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−オン;又は医薬適合性のそれらの塩が含まれる。
【0018】
本明細書中で使用される場合、基又は基の一部としての「アルキル」又は「アルコキシ」という用語は、その基が直鎖又は分枝鎖であることを意味する。適切なアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルが含まれる。適切なアルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ及びt−ブトキシが含まれる。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「ヒドロキシC1−6アルキル」という用語は、1又は複数(特に1個から3個、特に1個)の水素原子がヒドロキシ基で置換されたC1−6アルキル基を意味する。特に好ましいのはヒドロキシC1−3アルキル基、例えば、CHOH、CHCHOH、CH(CH)OH又はC(CHOH、特にCHOHである。「アミノアルキル」は同様の様式で解釈されるものとする。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「ハロC1−6アルキル」及び「ハロC1−6アルコキシ」という用語は、1又は複数(特に1個から3個)の水素原子がハロゲン原子、特にフッ素又は塩素原子で置換されたC1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基を意味する。フルオロC1−6アルキル及びフルオロC1−6アルコキシ基が好ましく、特にフルオロC1−3アルキル及びフルオロC1−3アルコキシ基、例えば、CF、CHCHF、CHCHF、CHCF、OCF、OCHCHF、OCHCHF又はOCHCF、とりわけCF及びOCFである。
【0021】
本明細書中で使用される場合、基又は基の一部としての「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、基が直鎖又は分枝鎖であることを意味する。適切なアルケニル基の例には、ビニル及びアリルが含まれる。適切なアルキニル基は、アセチレン又はプロパルギルである。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。最も好ましいハロゲンはフッ素及び塩素であり、特にフッ素である。
【0023】
6員の複素環の例は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン及びトリアジンである。
【0024】
本発明のさらなる局面において、式Iの化合物は、医薬適合性の塩の形態、特に酸付加塩の形態で調製され得る。
【0025】
医薬品での使用の場合、式(I)の化合物の塩は、医薬適合性の非毒性塩である。しかし、本発明による化合物又は医薬適合性のそれらの非毒性塩の調製において他の塩が有用であり得る。本発明の化合物の適切な医薬適合性の塩には、例えば、塩酸、フマル酸、p−トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸又は硫酸などの医薬適合性の酸の溶液と本発明による化合物の溶液を混合することにより形成され得る酸付加塩が含まれる。さらなる塩は、ベンゼンスルホン酸との酸付加塩である。本発明の化合物の好ましい医薬適合性の塩は、べシル酸塩である。アミン基の塩には、アミノ窒素原子が、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアラルキル部分などの適切な有機基を持つ第四級アンモニウム塩も含まれ得る。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、適切な医薬適合性のその塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩;及びアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩などの金属塩が含まれ得る。
【0026】
塩は、例えば塩が不溶性である溶媒もしくは媒質中、又は真空中もしくは凍結乾燥もしくは存在する塩の陰イオンを適切なイオン交換樹脂上の別の陰イオンと交換することにより除去される水などの媒質中で、適切な酸 1当量以上と、式(I)の化合物の遊離塩基形態を反応させるなどの従来の手段により形成され得る。
【0027】
本発明はまた、上記式(I)の化合物のN−オキシドもその範囲内に含む。一般に、このようなN−オキシドは、利用可能ないずれかの窒素原子において形成され得る。N−オキシドは、式Iの化合物を湿潤アルミナの存在下でオキソンと反応させるなど、従来の手段により形成され得る。
【0028】
本発明は、上記式Iの化合物のプロドラッグもその範囲内に含む。一般に、このようなプロドラッグは、式Iの化合物の機能性誘導体であり、必要な式Iの化合物に容易にインビボ変換可能である。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための従来の方法は、例えば、「Design of Prodrugs」,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0029】
プロドラッグは、活性薬剤を放出するために体内で変換が必要であり、親薬剤分子よりも送達性が優れている、生物活性物質(「親薬剤」又は「親分子」)の薬理的に不活性な誘導体であり得る。インビボ変換は例えば、カルボン酸エステル、リン酸エステルもしくは硫酸エステルの化学的もしくは酵素加水分解又は感受性官能基の還元もしくは酸化など、ある代謝プロセスの結果であり得る。
【0030】
本発明は式Iの化合物及びそれらの塩の溶媒和物、例えば水和物をその範囲内に含む。
【0031】
本発明による化合物は、1又は複数の不斉中心を含み得、従って、エナンチオマー及びジアステレオマーの両者として存在し得る。このような全異性体及びそれらの混合物が本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。さらに、式Iの化合物は、互変異性型でも存在し得、本発明は混合物及び個々の互変異性体の両方をその範囲内に含む。
【0032】
本発明はさらに、医薬適合性の担体又は賦形剤とともに式Iの化合物の1又は複数を含有する医薬組成物を提供する。
【0033】
好ましくは、本発明による組成物は、経口、非経口、髄腔内、鼻腔内、舌下、直腸もしくは局所投与又は吸入もしくは吹送による投与のための、錠剤、ピル、カプセル、粉剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液もしくは懸濁液、定量エアロゾルもしくは液体スプレー、ドロップ、アンプル、自己注射器、座剤、クリーム又はゲルなどの単位剤形である。錠剤、ピル、カプセル又はウエハースなどの経口組成物が特に好ましい。錠剤などの固体組成物の製造の場合、本発明の化合物又は医薬適合性のその塩の均質混合物を含有する固体の予備処方組成物を形成するために、医薬担体、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガムなどの従来の錠剤化成分及び他の医薬希釈剤、例えば水、と、主活性成分を混合する。これらの予備処方組成物を均一という場合、有効性が等しい錠剤、ピル及びカプセルなどの単位剤形に本組成物を容易にさらに細分できるように、活性成分が組成物全体に一様に分散されていることを意味する。次に、この予備処方組成物は、本発明の有効成分 0.1mgから約500mgを含有する前述のタイプの単位剤形にさらに細分される。好ましい単位剤形は、有効成分 1mgから500mg、例えば1、5、10、25、50100、300又は500mgを含有する。長時間作用するという利点がある剤形を提供するために、本新規組成物の錠剤又はピルを被覆するか又は他の方法で調合することができる。例えば、錠剤又はピルが内部投薬成分及び外部投薬成分を含有し、後者が前者を覆う外被の形態になり得る。胃での崩壊を抑え、内部成分を十二指腸までそのまま運ぶか又は放出を遅延させることができる腸溶層により、この2つの成分を隔てることができる。このような腸溶層又はコーティングとして、様々な材料を使用することができるが、このような物質には、多くのポリマー酸及び、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースなどの物質とのポリマー酸の混合物が含まれる。
【0034】
本発明の新規組成物を経口又は注射投与用に組み込み得る液体形態には、水溶液、適切に風味付けしたシロップ、水性又は油性懸濁液、食用油(例えば綿実油、胡麻油、ココナツ油又はピーナツ油)との風味付乳液、ならびにエリキシル剤及び類似の製剤用ビヒクルが含まれる。水性懸濁液に対する適切な分散剤又は懸濁化剤には、合成及び天然ガム(例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチン)が含まれる。
【0035】
以下に挙げるような疼痛症状の治療では、適切な用量レベルは約1.0mgから15g/日、好ましくは約5.0mgから1g/日、より好ましくは約5mgから500mg/日、特に10mgから100mg/日である。本化合物は1日に1回から4回の投与計画で投与し得る。
【0036】
あらゆる治療における使用のために必要な式(I)の化合物の量は、選択する特定化合物又は組成物のみならず、投与経路、治療する症状の種類及び患者の年齢及び状態によっても異なり、最終的に主治医の判断に委ねられることが理解されよう。
【0037】
本発明はさらに、人体又は動物体の治療における使用のための上記で定義したような式Iの化合物又は医薬適合性のその塩を提供する。好ましくは、前記治療は、VR1受容体の調節(好ましくは拮抗作用)により治療することができる状態のためのものである。
【0038】
本発明の化合物は、慢性及び急性疼痛症状を含む疼痛及び/又は炎症を主症状とする疾病及び状態の予防又は治療に使用される。このような症状には、関節リウマチ;骨関節炎;手術後疼痛;特に外傷後の筋骨格痛;脊椎痛;筋筋膜痛症候群;偏頭痛、急性又は慢性緊張性頭痛、群発性頭痛、顎関節痛及び上顎洞痛を含む頭痛;耳痛;会陰切開痛;火傷及び特にそれに伴う一次性痛覚過敏;心臓痛、筋肉痛、眼痛、口腔顔面痛(例えば歯痛)、腹痛、婦人科疼痛、例えば月経困難症、膀胱炎に伴う疼痛及び陣痛、慢性骨盤痛、慢性前立腺炎及び子宮内膜症などの深部及び内蔵痛;末梢神経疾患(例えば、神経絞扼及び腕神経叢剥離、切断、末梢神経障害、疼痛性チック、非定型顔面痛、神経根損傷及びクモ膜炎)に伴う疼痛などの神経及び神経根に関連する疼痛;掻痒症、血液透析による掻痒及び接触皮膚炎などの掻痒症状;粘膜のカプサイシン及び関連刺激剤(例えば催涙ガス、唐辛子又は唐辛子スプレー)への曝露(例えば摂取、吸入、又は眼への接触による)による疼痛(ならびに気管支収縮及び炎症);糖尿病神経障害、化学療法による神経障害及びヘルペス後神経痛などの神経因性疼痛症状;「非疼痛性」神経障害;複合性局所疼痛症候群;癌に伴う疼痛(癌性疼痛と呼ばれることが多い。);脊髄又は脳幹損傷による疼痛、腰痛、座骨神経痛及び強直性脊椎炎などの中枢神経痛;通風;瘢痕痛;過敏性腸症候群;炎症性腸疾患;膀胱排尿筋過反射及び膀胱過敏症を含む尿失禁;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、嚢胞性線維症、喘息及び鼻炎(季節性及び通年性鼻炎などのアレルギー性鼻炎及び非アレルギー性鼻炎及び咳を含む。)を含む呼吸器疾患;自己免疫疾患;及び免疫不全疾患が含まれる。本発明の化合物はまた、うつを治療するために使用され得る。それらはまた、胃食道逆流疾患(GERD)、特にGERDに付随する疼痛の治療にも使用され得る。
【0039】
したがって、さらなる局面により、本発明は、VR1活性を調節することにより改善され得る生理的障害の治療又は予防のための薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物を提供する。
【0040】
本発明はまた、VR1活性の調節により改善され得る生理的障害の治療又は予防を必要とする患者への、式Iの化合物又は式Iの化合物を含有する組成物の有効量の投与を含む、VR1活性の調節により改善され得る生理的障害の治療又は予防のための方法を提供する。
【0041】
本発明の別の局面によると、本発明は、疼痛及び/又は炎症が主症状である疾病又は状態の治療又は予防のための薬品の製造における使用のための、式Iの化合物を提供する。
【0042】
本発明はまた、疼痛及び/又は炎症が主症状である疾病又は状態の治療又は予防を必要とする患者への、式Iの化合物又は式Iの化合物を含有する組成物の有効量の投与を含む、疼痛及び/又は炎症が主症状である疾病又は状態の治療又は予防のための方法も提供する。
【0043】
本発明のさらなる局面によると、本発明による化合物と、特定症状の治療に適した1又は複数の他の薬理活性剤との併用により何らかの上記症状を治療することが望ましいものであり得る。式Iの化合物及び他の薬理活性剤は、患者に同時に、連続して又は組み合わせて投与し得る。従って、例えば疼痛及び/又は炎症の治療又は予防には、アセトアミノフェン(パラセタモール)、アスピリン及び他のNSAID(選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤を含む)、ならびにオピオイド鎮痛薬(特にモルヒネ)、NR2Bアンタゴニスト、ブラジキニンアンタゴニストなどの他の鎮痛薬、偏頭痛薬、抗痙攣薬(例えばオクスカルバゼピン及びカルバマゼピン)、抗うつ剤(例えばTCA、SSRI、SNRI、サブスタンスPアンタゴニストなど)、腰椎麻酔、ガバペンチン、プレガバリン及び喘息治療薬(例えば9−アドレナリン受容体アゴニスト又はロイコトリエンDアンタゴニスト(例えばモンテルカスト))と併せて、本発明の化合物を使用し得る。
【0044】
特定の抗炎症薬には、ジクロフェナック、イブプロフェン、インドメタシン、ナブメトン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム及びスリンダック、エトドラック、メロキシカム、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ及びチリコキシブが含まれる。本発明の化合物と併用するのに適したオピオイド鎮痛薬には、モルヒネ、コデイン、ジヒドロコデイン、ジアセチルモルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、オキシモルホン、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、フェンタニル、スフェンタニル、メペリジン、メタドン、ナルブフィン、プロポキシフェン及びペンタゾシン;又は医薬適合性のそれらの塩が含まれる。本発明の化合物と併用するのに適した偏頭痛薬には、CGRPアンタゴニスト、エルゴタミン又は5−HTアゴニスト、特にスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルマトリプタン又はリザトリプタンが含まれる。
【0045】
従って、本発明のさらなる局面において、少なくとも1つの医薬適合性の担体又は賦形剤と共に本発明の化合物と鎮痛薬とを含有する医薬組成物が提供される。
【0046】
本発明のさらなる、又は代替局面において、疼痛及び/又は炎症が主症状である疾病又は状態の治療又は予防における、同時、別個又は連続使用のための併用製剤としての、本発明の化合物と鎮痛薬とを含有する製品が提供される。
【0047】
式Iの化合物は、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させ:
【0048】
【化8】

(式中、W、X、Y及びZは、式Iに対して定義されるとおりであり、Pは、水素又は保護基であり、R10及びR11のうち1つは、上記で定義されるとおりRであり、他方はLであり、L及びLのうち1つは、Cl又はSn(アルキル)、例えば、Sn(メチル)又はSn(n−ブチル)であり、他方は、臭素又は塩素である。)、次いで、必要であれば、得られた化合物を脱保護することにより調製され得る。L又はLがClである場合、これは、最初に、Suzukiカップリング反応(概説は、例えば、A.Suzuki,Pure Appl.Chem.,1991,63,419−422を参照)に適切な条件下で、エーテル(例えばジメトキシエタン又はジオキサン)又は芳香族炭化水素(例えばトルエン)などの適切な溶媒中で、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム又はジクロロ−(1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン)パラジウムなどのパラジウム触媒存在下、高温にて、及び炭酸ナトリウムなどの塩基存在下で、基B(OH)に変換され得る。L又はLが、Sn(アルキル)である場合、その反応は、都合よく、Stille Coupling Reaction(例えば、概説として、J.K.Stille,Angew.Chem.Int.Ed.,1986,25,508−524を参照)に適切な条件下で、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)又はビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドなどのパラジウム触媒存在下で、のエーテル(例えばジオキサン)又は芳香族炭化水素(例えばトルエン)などの適切な溶媒中で、高温にて、及びLiCl及びCuIなどの触媒存在下で、行われる。この反応は、マイクロ波中で、150℃から160℃にて、10分間から15分間行われ得る。
【0049】
反応中、トリメチルシリルエトキシメチルなどの保護基が存在し得る。この基は、およそ室温において、不活性雰囲気下で、テトラヒドロフランなどの溶媒中にいおて、水酸化ナトリウムなどの強塩基の存在下でその塩化物と反応させることにより挿入することができる。これは、通常約1時間、エタノールなどの溶媒中で塩酸などの酸とともにおよそ還流温度に加熱することにより除去することができる。
【0050】
式IIの化合物は、式IV:
【0051】
【化9】

(式中、X、Y及びZは、式Iに対して定義されるとおりであり、R10及びR11は、上記で定義されるとおりである。)の化合物を、通常約150℃の温度にて、約15分間、マイクロ波中において、メタノールなどの溶媒中で水酸化カリウムなどの塩基と反応させることにより調製することができる。
【0052】
式IVの化合物は、式V:
【0053】
【化10】

(式中、X、Y及びZは、式Iに対して定義されるとおりであり、R10及びR11は、上記で定義されるとおりである。)の化合物を、約24時間、通常は還流温度で、塩化チオニルなどの閉環剤と反応させることにより調製することができる。
【0054】
式Vの化合物は、式VIの化合物を、式VII:
【0055】
【化11】

(式中、X、Y及びZは、式Iに対して定義されるとおりであり、R10及びR11は、上記で定義されるとおりである。)の化合物と、1時間、およそ室温で、ジクロロメタンなどの溶媒中において、通常、4−ジメチルアミノピリジンなどの触媒存在下で反応させることにより調製することができる。
【0056】
式VIの化合物は、式VIII:
【0057】
【化12】

(式中、X及びYは、式Iに対して定義されるとおりであり、R10及びR11は、上記で定義されるとおりである。)の化合物を、通常、還流温度で約2時間の、塩化チオニルなどの塩素化剤と反応させることにより調製することができる。
【0058】
式VIIIの化合物は、式IX:
【0059】
【化13】

(式中、X及びYは、式Iに対して定義されるとおりであり、R10及びR11は、上記で定義されるとおりである。)の化合物を、最初に、塩酸及び亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩の、酸の混合物と、通常、水などの溶媒中で約5℃にて反応させ、次いで、アジ化ナトリウムなどのアジドと、約30分間、およそ室温にて水などの溶媒中において酢酸ナトリウムなどの化合物の存在下で反応させることにより調製することができる。
【0060】
代替的なプロセスにおいて、式Iの化合物は、、Suzuki又はStilleカップリングに対して上記で述べた条件下で、式IVの化合物を式IIIの化合物と反応させ、次いで、マイクロ波中で、約2時間、約160℃にて、メタノールなどの溶媒中で水酸化カリウムなどの塩基と反応させることにより、調製することができる。
【0061】
XがCRであり、YがNであり、R10がRであり、R11がWである式Iの化合物もまた、式Xの化合物を、XIの式:
【0062】
【化14】

(式中、R、W及びZは、式Iに対して定義されるとおりであり、Lは、ジメチルアミノなどの離脱基である。)と反応させることにより調製することができる。この反応は通常、約3時間、およそ還流温度にて、ピリジンなどの溶媒中で、行われる。
【0063】
式XIの化合物は、式XIIの化合物を式XIII:
【0064】
【化15】

(式中、Zは、式Iに対して定義されるとおりである。)の化合物と、通常トルエンなどの溶媒中で、およそ還流温度にて、約1時間反応させることにより調製することができる。
【0065】
式XIIの化合物は、約0℃にて、エーテルなどの溶媒中で炭酸カリウムなどの穏やかな塩基と反応させることにより、前出のエステルから調製することができる。
【0066】
式Iの化合物は、標準的な方法により他の式Iの化合物に変換することができる。
【0067】
中間体及び出発物質の合成が記載されていない場合、これらの化合物は、市販されているか、又は文献において既知であるか、又は、標準的方法により、市販の化合物もしくは文献において既知である化合物から調製することができる。
【0068】
上記の合成手順のいずれかの間に、関心のある分子のいずれかの感受性の高い又は反応性の高い基を保護することが必要であり得る、及び/又は望ましいものであり得る。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie、Plenum Press,1973;及びT.W.Greene及びP.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons,1991で述べられているものなど、従来の保護基を用いて達成することができる。この保護基は、本技術分野からの公知の方法を使用して都合の良い後の段階で除去し得る。
【0069】
次の実施例は、本発明の化合物の調製を説明する目的を果たす。
【実施例1】
【0070】
1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−6−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)−3H−インダゾール−3−オン
段階1:2−アジド−4−ブロモ安息香酸
反応温度が5℃以上に上がらないようにして、濃HCl(70mL)及びHO(100mL)の混合液中の2−アミノ−4−ブロモ安息香酸(8.4g、0.039mol)の溶液に、HO(40mL)中のNaNO(2.8g、0.044mol)の溶液を添加した。添加終了後、得られたスラリーを15分間撹拌し、室温にてHO(80mL)中のNaN(2.5g、0.039mol)及びNaOAc(38g、0.47mol)の溶液に冷混合物を分割して添加した。得られたスラリーを30分間撹拌し、固形物を濾過により回収し、黄褐色の粉末として生成物6.4g(68%回収率)を得た。H NMR(360MHz,DMSO):7.46(1H,dd,J1.4及び7.5Hz),7.57(1H,d,J1.4Hz),7.70(1H,d,J7.5Hz)。
【0071】
段階2:2−アジド−4−ブロモ−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ベンズアミド
段階1の生成物(6.4g、0.026mol)を還流温度で2時間、SOCl(30mL)中で加熱した。次に、過剰な試薬を蒸発させ、トルエン(2x10mL)で除去処理した。ドライCHCl(20mL)に残渣を溶解し、氷中で冷却したCHCl(40mL)中の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(3.2g、0.026mol)及び4−アミノベンゾトリフルオリド(4.3g、0.026mol)の溶液に滴下添加した。添加終了時に(10分)、この混合物を撹拌し、1時間にわたり室温に温め、次に2N HCl(15mL)、2N NaCO溶液(15mL)、食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濃縮し、淡黄色の固体として生成物 8.4g(84% 回収率)を得た。H NMR(360MHz,CDCl):7.40(1H,d,J7.4Hz),7.44(1H,dd,J1.4及び8.5Hz),7.63(2H,d,J8.5Hz),7.80(2H,d,J8.5Hz),8.14(1H,d,J8.5Hz)。
【0072】
段階3:6−ブロモ−3−クロロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2H−インダゾール
SOCl(15mL)中の段階2の生成物(3g、0.0078mol)の溶液を還流温度にて24時間加熱した。次に、その混合物を濃縮し、エーテル(3x20mL)とNaCO溶液(10mL)との間で残渣を分配した。有機相を分離し、乾燥(MgSO)させ、濃縮し、黄褐色の粉末として生成物 2.5g(85% 回収率)を得た。H NMR(360MHz,CDCl):7.25(1H,d,J8.9Hz),7.37(1H,d,J8.9Hz),7.80−7.95(5H,m)。
【0073】
段階4:1,2−ジヒドロ−6−ブロモ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−インダゾール−3−オン
MeOH中1M KOH(16mL)中の段階3の生成物(2.4g、0.0064mol)の溶液を、マイクロ波照射により15分間、密閉試験管中で150℃で加熱した。次に、その混合物を濃縮し、HOで希釈し、1N HClで酸性化し、得られた沈殿物を濾過により回収し、生成物 1.0g(44% 回収率)を得た。H NMR(360MHz,CDCl):7.37(1H,dd,J1.4及び8.5Hz),7.66(1H,d,J1.4Hz),7.73(1H,d,J8.5Hz),7.89(2H,d,J8.5Hz),8.13(2H,d,J8.5Hz),11.0(1H,s)。
【0074】
段階5:6−ブロモ−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)−3H−インダゾール−3−オン
鉱物油中のNaHの懸濁液(60%、0.17g、0.0041mol)を、室温、N下で、ドライTHF(50mL)中の段階4の生成物(1.3g、0.0035mol)の溶液に分割添加した。20分後、THF(15mL)中のSEMクロリド(0.68g、0.0041mol)を添加し、室温にて一晩、得られたスラリーを撹拌した。その混合物を食塩水(10mL)で不活性化し、エーテル(3x20mL)に抽出した。有機相を1N HCl(10mL)、2N NaOH(10mL)、食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、濃縮し、油状物質として未精製生成物を得た。
【0075】
段階6:1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−6−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)−1−(2−(トリメチルシリル)エトキシメチル)−3H−インダゾール−3−オン
段階5の生成物(1.3g、2.6mmol)をジオキサン(10mL)に溶解し、Nでフラッシュした。ビス(ピナコラート)ジボロン(680mg、2.6mmol)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニルパラジウム(II)ジクロリド(60mg)及びKOAc(380mg、3.9mmol)を添加した。100℃にて一晩その混合物を撹拌した。2−クロロ−3−トリフルオロメチルピリジン(470mg、2.6mmol)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニルパラジウム(II)ジクロリド(20mg)及びNaCO飽和溶液(1mL)を添加し、その混合物を還流温度でさらに18時間加熱した。カラムクロマトグラフィーによる精製により、油状物質として生成物 0.2gを得た。MS:(ES(M+1))554。
【0076】
段階7:1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−6−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)−3H−インダゾール−3−オン
濃HCl(2mL)及びEtOH(3mL)の混合液中の段階6の生成物(0.2g)を還流温度で1時間加熱した。その混合物を濃縮し、EtOH/HOから残渣を結晶化し、無色の固体として生成物 70mgを得た。H NMR(360MHz,CDCl):7.33(1H,s),7.39(1H,d,J8.0Hz),7.43(1H,s),7.5−7.55(1H,m),7.73(2H,d,J8.0Hz),7.99(1H,d,J8.0Hz),8.09(2H,d,J8.0Hz),8.14(1H,d,J8.0Hz),8.9(1H,d,J8.0Hz)。
【実施例2】
【0077】
1,2−ジヒドロ−6−(3−メチル−2−ピリジニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−インダゾール−3−オン
マイクロ波照射下で、実施例1、段階4の生成物(0.35g、1mmol)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニルパラジウム(II)ジクロリド0)(40mg)、CuI(19mg、0.1mmol)、LiCl(126mg、3mmol)、3−メチル−2−(トリ−nブチルスタニル)ピリジン(530mg、1.4mmol)及びジオキサン(4mL)を15分間、150℃で加熱した。カラムクロマトグラフィー(シリカ;EtAc:ヘキサン 1:2−>EtAc)により、得られた混合物を精製し、無色の固体として表題化合物 0.2g(54%)を得た。H NMR(360MHz,DMSO):2.5(3H,s),7.30−7.40(2H,m),7.50(1H,m),7.78(1H,d,J7.7Hz),7.85(1H,d,J8.0Hz),7.90(2H,d,J8.5Hz),8.19(2H,d,J8.5Hz),8.53(1H,d,J4.6Hz),10.8(1H,s)。
【実施例3】
【0078】
1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)−3H−インダゾール−3−オン;
この化合物は、段階2において2−アジド−4−ブロモ安息香酸の代わりに2−アジド−5−ブロモ安息香酸を用いて、実施例1に対して述べたようにして調製した。H NMR(360MHz,DMSO):7.52(1H,d,J8.0Hz),7.65−7.75(1H,m),7.76(1H,dd,J1.2及び8.0Hz),7.83(1H,s),7.91(2H,d,J8.0Hz),8.18(2H,d,J8.0Hz),8.34(1H,d,J8.0Hz)8.9(1H,d,J8.0Hz),11.1(1H,s)。
【実施例4】
【0079】
1,2−ジヒドロ−6−(2−メトキシフェニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−インダゾール−3−オン
段階1:3−クロロ−6−(2−メトキシフェニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2H−インダゾール
実施例1、段階3の生成物(100mg、0.26mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸(50mg、0.33mmol)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニルパラジウム(II)ジクロリド0)(20mg)、NaCO飽和溶液(1mL)及びジオキサン(2mL)の混合物を160℃にて10分間、マイクロ波照射により加熱した。次に、シリカでの分取薄層クロマトグラフィーにより、EtAc:ヘキサン 1:5で溶出して表題生成物を精製した。MS:(ES(M+1))403,405。
【0080】
段階2:1,2−ジヒドロ−6−(2−メトキシフェニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−インダゾール−3−オン
段階1の生成物(100mg)をMeOH中の1N KOH(2mL)に溶解し、160℃にて2分間、マイクロ波照射により加熱した。得られた黄色の溶液を濃縮し、水で希釈し、2N HClで酸性化した。沈殿物を回収し、EtOH/HOから再結晶化し、無色の針状物質として生成物 21mgを得た。H NMR(500MHz,DMSO):3.81(3H,s),7.08(1H,t,J7.4Hz),7.18(1H,d,J7.4Hz),7.31(1H,dd,J1.2及び8.0Hz),7.38(1H,dd,J1.2及び8.0Hz),7.39−7.42(1H,m),7.44(1H,s),7.79(1H,d,J8.0Hz).7.89(2H,d,J8.5Hz),8.18(2H,d,J8.5Hz),10.76(1H,s)。
【実施例5】
【0081】
1,2−ジヒドロ−6−(3−メチル−2−ピリジニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−オン
段階1:5−アミノ−2,4−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−ピラゾール−3−オン
エチル3−アミノ−3−エトキシ−2−プロペノエート塩酸塩(10g、0.05mol)を、氷中で冷却した40% KCO水溶液(70mL)及びエーテル(50mL)の混合液に添加した。有機相をエーテル(2x50mL)で抽出し、抽出物を乾燥(KCO)させ濃縮し、粘着性の固体 7gを得た。トルエン(50mL)中の4−トリフルオロメチルフェニルヒドラジン(7.7g、0.043mol)の溶液を添加し、その混合物を還流温度で1時間加熱した。その混合物を濃縮し、残渣を用時調製したEtOH中のNaOEt(Na(1.9g、0.082mol)、EtOH(50mL))で処理し、還流温度で1時間加熱した。濃縮後、エーテル(2x30mL)とHO(50mL)との間で残渣を分配した。水相を酸性化し、エーテルで再抽出し、橙色の固体として生成物 6.0gを得た。H NMR(360MHz,CDCl):3.5(2H,s),4.5(2H,s),7.60(2H,d,J8.5Hz),8.00(2H,d,J8.5Hz)。
【0082】
段階2:1,2−ジヒドロ−6−(3−メチル−2−ピリジニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−オン
ピリジン(20mL)中の段階1の生成物(1.68g、0.0074mol)及び3−(ジメチルアミノ)−1−(3−メチル−2−ピリジニル)−2−プロペン−1−オン(EP−A−0233461)(1.4g、0.0074mol)の混合物を還流温度で3時間加熱した。その混合物を濃縮し、次に摩砕して、固形物を得て、それをiPrOHから再結晶化し、黄色の粉末として生成物 0.64g(23%回収率)を得た。H NMR(360MHz,DMSO):2.6(3H,s),7.45−7.55(1H,m),7.55−7.65(1H,m),7.85−7.95(3H,m),8.20(2H,d,J8.5Hz),8.39(1H,d,J8.0Hz),8.61(1H,d,J4.6Hz)。
【0083】
上記に例示した本発明の化合物を以下のアッセイで試験したところ、一般にIC50<0.5μMであり、殆どの場合、<200nMである。
【0084】
生物学的方法
インビトロ活性の測定
側面を黒に着色した384ウェルプレートに、組換えヒトVR1受容体を安定的に発現するCHO細胞をプレーティングし、アッセイ緩衝液(Hepes緩衝食塩水)で2回洗浄し、次に1μM Fluo−3−AMを添加して60分間暗所でインキュベーションした。細胞をさらに2回洗浄して過剰の色素を除去した後、カプサイシンと試験化合物とを含有するプレートと共にMolecular Device FLIPRに入れた。FLIPRは、同時に、薬剤を自動的に添加し、Fluo−3からの蛍光発光を記録した。全実験において、基底の蛍光を記録した後に試験化合物を加え、続いて、最大応答の80%を誘導する、カプサイシンの予め決定した濃度を添加した。カプサイシンの阻害により生じた細胞内[Ca2+]の増加は、試験化合物の非存在下でカプサイシンを添加した同一プレートのウェルに対して表した。カプサイシン添加前に、試験化合物のみを添加した後に生じる細胞内[Ca2+]の増加から、存在する場合は、固有アゴニスト又は部分アゴニスト活性を測定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

(式中、X及びYは、それぞれCR又はNであり;
10及びR11のうち1つはRであり、他方はWであり;
各Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル又はハロC1−4アルコキシであり;
Wは、フェニル環又は1、2もしくは3個の窒素原子を含有する6員の芳香族複素環であり、該環は、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシC1−6アルキル又はアミノC1−6アルキルにより場合によっては置換されており;
Zは、フェニル環又は1、2もしくは3個の窒素原子を含有する6員の芳香族複素環であり、該環は、少なくとも、本分子の他の部分への該環の結合に対してパラの位置で、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシC1−6アルキル又はアミノC1−6アルキルにより置換されている。)又は医薬適合性のその塩。
【請求項2】
式(IA);
【化2】

(式中、Wは、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル又はハロC1−2アルコキシにより場合によっては置換されているフェニル又はピリジルであり;
Zは、本分子の他の部分へ結合する点に対するパラの位置で、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル又はハロC1−2アルコキシにより置換されているフェニル又はピリジルである。)により表される請求項1に記載の化合物又は医薬適合性のその塩。
【請求項3】
1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−6−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)−3H−インダゾール−3−オン;
1,2−ジヒドロ−6−(3−メチル−2−ピリジニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−インダゾール−3−オン;
1,2−ジヒドロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)−3H−インダゾール−3−オン;
1,2−ジヒドロ−6−(2−メトキシフェニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−インダゾール−3−オン;及び
1,2−ジヒドロ−6−(3−メチル−2−ピリジニル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−オンから選択される化合物又は医薬適合性のその塩。
【請求項4】
医薬適合性の担体又は賦形剤とともに、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物又は医薬適合性のそれらの塩を含む、医薬組成物。
【請求項5】
人体又は動物の身体の治療における使用のための、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化合物又は医薬適合性のその塩。
【請求項6】
VR1活性を調節することにより改善され得る生理的障害の治療又は予防のための医薬の製造における使用のための、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化合物又は医薬適合性のその塩の使用。
【請求項7】
疼痛及び/又は炎症が主症状である疾病又は状態の治療又は予防のための医薬の製造における使用のための、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化合物又は医薬適合性のその塩の使用。
【請求項8】
(A)式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させること:
【化3】

(式中、W、X、Y及びZは、請求項1で定義されるとおりであり、Pは、水素又は保護基であり、R10及びR11のうち1つは、請求項1で定義されるとおりRであり、他方はLであり、L及びLのうち1つは、Cl又はSn(アルキル)であり、他方は、臭素又は塩素である。);
(B)式(IV)の化合物を式(III)の化合物と反応させること:
【化4】

(式中、X、Y及びZは、請求項1で定義されるとおりであり、R10及びR11は、上記で定義されるとおりである。);又は、
(C)XがCRであり、YがNであり、R10がRであり、R11がWである化合物のために、式(X)の化合物を式(XI)の化合物と反応させること:
【化5】

(式中、R、W及びZは、請求項1で定義されるとおりであり、Lは、離脱基である。)
を含む、請求項1に記載の化合物の調製のためのプロセス。
【請求項9】
VR1活性の調節により改善され得る生理的障害の治療又は予防を必要とする患者への、請求項1に記載の化合物又は請求項1に記載の化合物を含む組成物の有効量の投与を含む、VR1活性の調節により改善され得る生理的障害の治療又は予防のための方法。
【請求項10】
疼痛及び/又は炎症が主症状である疾病又は状態の治療又は予防を必要とする患者への、請求項1に記載の化合物又は請求項1に記載の化合物を含む組成物の有効量の投与を含む、疼痛及び/又は炎症が主症状である疾病又は状態の治療又は予防のための方法。

【公表番号】特表2007−511495(P2007−511495A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538958(P2006−538958)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004809
【国際公開番号】WO2005/049601
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】