説明

バラ積みピッキング装置および方法

【課題】メッシュボックス等の容器にバラ積みされた複数のワークから、人による重量物のハンドリング作業なしにワークを1つずつピッキングすることができ、かつ容器内のワーク全体を高い位置精度で計測することができ、距離センサと容器及びワークとの干渉を無くすことができ、これによりピッキング時間を短縮し、ピッキングの成功率と装置の稼働率を高めることができるバラ積みピッキング装置および方法を提供する。
【解決手段】ハンド14によりハンドに距離センサ16を取り付け(S1)、ハンドを移動して、距離センサ16によりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データをハンド14で計測し(S2)、かつ計測した3次元形状データからハンド14で把持可能なワーク1の位置と姿勢を認識し(S4)、ハンド14によりハンドから距離センサ16を取り外し、ハンド14により把持可能なワーク1を順に把持して搬送先に搬送する(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ積みされた状態の複数のワークから、ワークを1つずつ取り出すバラ積みピッキング装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、鋳物素形材などのワークは、メッシュボックス等の容器に乱雑にバラ積みされた状態で工場内或いは業者間で搬送される。このように複数のワークがバラ積みされた状態から、ワークを1つずつ取り出すことを、「バラ積みピッキング」または単に「ピッキング」と呼ぶ。
従来、メッシュボックス等の容器にバラ積みされた複数のワークからワークピッキングする場合、作業者による手作業によるか、自動化されていても、ある程度ワークを整列させておく必要があり、いずれの場合も人による重量物のハンドリング作業が発生する。
【0003】
そこで、このような人による重量物のハンドリング作業をなくすために、例えば特許文献1が開示されている。
【0004】
また、バラ積みピッキング装置に関連して、物体の位置と姿勢を認識する手段として、特許文献2〜5が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−69542号明細書、「バラ積みピッキング装置におけるワークピッキング方法」
【特許文献2】特許第3904605号公報、「複合センサーロボットシステム」
【特許文献3】特開2009−128192号明細書、「物体認識装置およびロボット装置」
【特許文献4】特開2009−216480号明細書、「三次元位置姿勢計測方法および装置」
【特許文献5】特開2009−216503号明細書、「三次元位置姿勢計測方法および装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
メッシュボックス等の容器にバラ積みされたワークをロボットを用いてピッキングする場合、個々のワークの位置と姿勢を三次元計測する必要があり、そのセンサとして、カメラ等の撮像装置又はレーザレーダ等の距離センサが用いられる。
【0007】
しかし、カメラ等の撮像装置を用いる場合、撮影された二次元画像から三次元データを得る必要があり、その演算処理が複雑であり、計算負荷が大きく、処理速度が遅い問題点があった。
【0008】
一方、レーザレーダ等の距離センサを用いる場合、直接三次元データが得られるが、高い位置精度を得るためには、ワークに近接する必要があり、メッシュボックス等の容器内の一部しか計測できない問題点があった。
また、レーザレーダ等の距離センサは、カメラ等と比較して大型であり、ロボットのハンド近傍に取り付けると、ピッキング動作の際に、距離センサが容器やワークと干渉して把持できない場合が多く、ピッキングできるワークの個数が少ないという問題点があった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、メッシュボックス等の容器にバラ積みされた複数のワークから、人による重量物のハンドリング作業なしにワークをピッキングすることができ、かつ容器内のワーク全体を高い位置精度で計測することができ、距離センサと容器及びワークとの干渉を無くすことができ、これによりピッキング時間を短縮し、ピッキングできるワークの個数を増やすことができるバラ積みピッキング装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、3次元の作動空間内で手先部の位置と姿勢を制御可能なロボットと、
前記ロボットの手先部に取り付けられワークを把持可能なハンドと、
前記ハンドにより該ハンドに着脱可能でありワークの3次元形状データを取得可能な距離センサと、
前記3次元形状データから把持可能なワークの位置と姿勢を認識する物体認識装置と、
前記ロボットとハンドを制御するロボット制御装置とを備え、
(A)前記ハンドにより該ハンドに距離センサを取り付け、
(B)前記ハンドを移動して、前記距離センサによりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データを計測し、かつ計測した前記3次元形状データからハンドで把持可能なワークの位置と姿勢を認識し、
(C)前記ハンドにより該ハンドから前記距離センサを取り外し、
(D)前記ハンドにより前記把持可能なワークを順に把持して搬送先に搬送する、ことを特徴とするバラ積みピッキング装置が提供される。
【0011】
また本発明によれば、3次元の作動空間内で手先部の位置と姿勢を制御可能なロボットと、
前記ロボットの手先部に取り付けられワークを把持可能なハンドと、
前記ハンドにより該ハンドに着脱可能でありワークの3次元形状データを取得可能な距離センサと、
前記3次元形状データから把持可能なワークの位置と姿勢を認識する物体認識装置と、
前記ロボットとハンドを制御するロボット制御装置とを備え、
(A)前記ハンドにより該ハンドに距離センサを取り付け、
(B)前記ハンドを移動して、前記距離センサによりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データを前記ハンドで計測し、かつ計測した前記3次元形状データからハンドで把持可能なワークの位置と姿勢を認識し、
(C)前記ハンドにより該ハンドから前記距離センサを取り外し、
(D)前記ハンドにより前記把持可能なワークを順に把持して搬送先に搬送する、ことを特徴とするバラ積みピッキング方法が提供される。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記(B)において、
(B1)ワーク全体の3次元形状データを複数の位置から分割して計測し、
(B2)前記計測した複数の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成する。
【0013】
また、前記ワークを加工する加工装置と、前記ワークを複数収容するバッファ装置とを備え、前記搬送先はバッファ装置であり、
前記(C)を前記(B2)と並行しかつこれより優先して実行し、
かつ前記加工装置による加工終了時に、前記(D)に優先して、
(F)加工装置から加工済みのワークを把持して搬出先に搬送し、かつ
(G)バッファ装置からワークを把持して加工装置内に搬入する。
【0014】
前記加工装置内に前記ワークを2つ格納できる(例えばダブルステージ)の場合には、前記(G)の後に、前記(F)を実施する。
【0015】
前記ロボットに前記ハンドを2つ以上有する(例えばダブルハンド)場合には、前記(F)と前記(G)を並行して実施する。
【0016】
また、前記ワークは、その一部に円筒形又は楕円柱の把持内面を有しており、
前記ハンドは、ハンド本体に上端が片持ち支持された単一の固定爪と、
該固定爪に対して開位置と閉位置の間で平行に開閉駆動される平行移動部材と、
該平行移動部材に上端が片持ち支持され、固定爪に対して平行に位置し、互いに間隔を隔てた1対の可動爪とからなり、
平行移動部材を閉位置に移動して、固定爪と可動爪をワークの前記把持内面内に挿入し、次いで固定爪が前記把持内面に近接するようにハンドを移動させながら、平行移動部材を開方向に移動し、ワークを把持内面で把持する。
【0017】
前記距離センサは、前記ハンドの開動作又は閉動作により固定爪および可動爪と係合して、距離センサとハンドの相対的な位置と姿勢を位置決めする着脱機構を備える。
【0018】
前記固定爪と可動爪は、開方向に開口し幅方向に延びるV溝を有しており、
前記着脱機構は、前記固定爪と可動爪の開動作により前記V溝に嵌合してV溝を位置決めする開閉位置決めローラと、前記固定爪と可動爪の幅方向端面と係合して幅方向を位置決めする幅位置決めローラとを有する、ことが好ましい。
【0019】
また、前記(B2)において、ハンドで把持可能なワークが選択されない場合、ワーク全体に対する距離センサの向きを変更して、前記(B1)を再実行する。
【0020】
また、タッチパネルを有し3次元形状データを立体表示する3次元表示装置を備え、
(E)前記3次元形状データから立体表示用データを作成して3次元表示装置により立体表示し、
前記タッチパネルにより、ハンドで把持可能なワーク又はその把持の順を選択する、ことが好ましい。
タッチパネルは、マウス、トラックボール、ジョイスティック等のポインティングデバイスであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記本発明の装置および方法によれば、ハンドに距離センサを取り付け、ハンドを移動して距離センサによりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データをハンドで計測し、物体認識装置により計測した3次元形状データからハンドで把持可能なワークの位置と姿勢を認識し、ハンドにより把持可能なワークを順に把持して搬送先(例えばバッファ装置)に搬送するので、メッシュボックス等の容器に乱雑にバラ積みされたワークを、人による重量物のハンドリング作業なしにピッキングすることができる。
【0022】
また、ハンドを移動して、ワーク全体の3次元形状データを前記位置精度で複数の位置から分割して計測し、計測した複数の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成するので、メッシュボックス等の容器内のワーク全体をハンドで計測することができる。
【0023】
また、ハンドにより該ハンドから距離センサを取り外して、ハンドにより把持可能なワークを順に把持して搬送先に搬送するので、距離センサと容器及びワークとの干渉を本質的に無くすことができる。
【0024】
従って、本発明の装置および方法により、ピッキング時間を短縮し、ピッキングできるワークの個数を増やすことができる。

【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のバラ積みピッキング装置の全体構成図である。
【図2】ハンドとワークの構成図である。
【図3】着脱機構の構成図である。
【図4】本発明によるバラ積みピッキング方法の全体フロー図である。
【図5】3次元表示装置に表示された3次元形状データの説明図である。
【図6】加工装置の作動を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0027】
図1は、本発明のバラ積みピッキング装置の全体構成図である。
【0028】
本発明のバラ積みピッキング装置10は、ロボット12、ハンド14、距離センサ16、物体認識装置18、およびロボット制御装置20を備える。
【0029】
ロボット12は、3次元の作動空間内で手先部11の位置と姿勢を制御可能な3次元ロボットである。この3次元の作動空間は、手先部11が移動可能なワーキングエリアである。
以下、ロボット12が作動する3次元座標系X−Y−Zを「ロボット座標系」と呼ぶ。ロボット座標系の原点は、グローバル座標系における任意の点、例えばロボットの原点に設定される。
この例において、ロボット12は多関節型ロボットである。しかし、本発明はこれに限定されず、3次元の作動空間内、すなわちロボット座標系内で手先部11の位置と姿勢を数値制御で移動できる限りで、その他の形式のロボットであってもよい。
また、ロボット12は車輪、台車等で走行可能なロボットであってもよい。
【0030】
ハンド14は、ロボット12の手先部11に取り付けられワーク1を把持可能に構成されている。以下、ハンド14を基準とする3次元座標系x−y−zを「ローカル座標系」と呼ぶ。ローカル座標系の原点は、手先部11又はハンド14の任意の点(例えばTCP)に設定される。
ローカル座標系の原点位置は、ロボット制御装置20によりロボット座標系において制御される。
【0031】
図2は、ハンド14とワーク1の構成図である。この図において、(A)はハンド14の構成図、(B)(C)はワーク把持動作の説明図である。
【0032】
図2(B)(C)に示すように、この例で、ワーク1は、その一部に円筒形又は楕円柱の把持内面2を有している。ワーク1は、例えば鋳物素形材である。
【0033】
また、図2(A)に示すように、この例で、ハンド14は、ハンド本体14a、単一の固定爪14b、平行移動部材14c、および1対の可動爪14dからなる。
単一の固定爪14bは、ハンド本体14aにこの図で上端が片持ち支持されている。
平行移動部材14cは、固定爪14bに対して開位置Oと閉位置Cの間で図示しない開閉駆動装置(例えばエアーシリンダ)により平行に開閉駆動される。
1対の可動爪14dは、平行移動部材14cに図で上端が片持ち支持され、固定爪14bに対して平行に位置し、開閉方向に直交する向きに互いに中心間隔Dを隔てている。
【0034】
図2(A)(B)(C)に示すように、固定爪14bと可動爪14dは、この例では円筒形部材である。
また、固定爪14bと可動爪14dの先端部(図で下端)は、中空円筒形であり、その内部にリミットスイッチ(図示せず)を内蔵し、それぞれの先端部が他の部材と接触又は衝突したことを検出するようになっている。
さらに、ハンド14は、可動爪14dの開位置Oと閉位置Cを検出するリミットスイッチ(図示せず)を内蔵している。
【0035】
上述した構成のハンド14により、図2(B)に示すように、平行移動部材14cにより可動爪14dを閉位置Cに移動して、固定爪14bと可動爪14dをワーク1の把持内面2内に挿入し、次いで図2(C)に示すように、固定爪14bが把持内面2に近接するようにハンド14全体を移動させながら、平行移動部材14cを開方向に移動し、ワーク1を把持内面2で把持することができる。ワーク1の把持は、例えば開閉駆動装置の負荷により検出することができる。
またこの状態でワーク1を把持して搬送先に搬送し、次いで上記の逆動作により、ワーク1を把持した可動爪14dを閉位置Cに移動させながら、固定爪14bが把持内面2から離れるようにハンド14全体を移動させて、ワーク1の把持を解除し、ワーク1を残してハンド14を移動することができる。
【0036】
図1において、距離センサ16は、例えばレーザレーダであり、レーザ光を2次元的にスキャンすることで、ワーク1の3次元形状データを取得するようになっている。なお、本発明において、距離センサ16はレーザレーダに限定されず、レーザを用いたその他のレーザセンサ、或いはCCDカメラ等の撮像装置であってもよい。
また、この距離センサ16は、バラ積みされた複数のワークからなるワーク全体の3次元形状データをハンド14で把持可能な位置精度で計測するようになっている。
【0037】
「ハンド14で把持可能な位置精度」は、例えば±3mmの3次元精度であり、「この位置精度が得られる位置」は、例えばワークから500〜1000mmの位置である。従って、例えば、メッシュボックス等の容器にバラ積みされたワークに対し、容器の底面から1mの高さから下向きに計測することにより、ワーク全体を上記位置精度で計測することができる。また、この場合に同一位置から距離センサ16で計測できる範囲は、例えば幅400mm×長さ400mmである。
なお、本発明はこれらの精度及び位置に限定されず、対象とするワーク1、及び使用する距離センサ16により適宜変更することができる。
【0038】
距離センサ16は、ロボット12の作動空間内に設けられたセンサ台16aに一定の姿勢で着脱自在に静置されている。「一定の姿勢」は、この例では距離センサ16の計測方向が下向きとなる姿勢である。しかし、この姿勢は任意であり、斜め下向きでも横向きでもよい。
また、センサ台16aは、この例では、作動空間内に固定されているが、移動可能に構成してもよい。
【0039】
距離センサ16は、フレキシブルな信号線16bにより物体認識装置18に接続されており、距離センサ16により計測された3次元形状データは信号線16bを介して物体認識装置18に入力される。
また、この距離センサ16はその上部に、ハンド14によりハンド14に着脱可能な着脱機構17を備える。
【0040】
図3は、着脱機構17の構成図である。
この図において、(A)は距離センサ16にハンド14を取り付ける直前の図であり、(B)は取り付け直後の図である。
この例において、着脱機構17は、ハンド14の開動作により固定爪14bおよび可動爪14dと係合して、距離センサ16とハンド14の相対的な位置と姿勢を位置決めするようになっている。なお、開動作の代わりに閉動作により位置決めしてもよい。
【0041】
図3(A)に示すように、ハンド14の固定爪14bと可動爪14dは、開方向に開口し、幅方向に延びるV溝15を有している。
また、図3(B)に示すように、着脱機構17は、開閉位置決めローラ17aと幅位置決めローラ17bとを有する。
この例において、開閉位置決めローラ17aは、固定爪14bと可動爪14dに対向してそれぞれ幅方向に1対ずつ(合計4つ)が設けられている。またこの例において、幅位置決めローラ17bは、固定爪14bと可動爪14dに対向してそれぞれ幅方向に1対ずつ(合計4つ)が設けられている。
また、開閉位置決めローラ17aと幅位置決めローラ17bは、距離センサ16の上部に固定された連結金具17cに回転可能に固定されている。
【0042】
各開閉位置決めローラ17aは、固定爪14bと可動爪14dの開動作によりそれぞれのV溝15に嵌合してV溝15の開閉方向位置と図で高さ方向位置を位置決めするようになっている。また、各幅位置決めローラ17bは、固定爪14bと可動爪14dの幅方向端面と係合して幅方向を位置決めするようになっている。
【0043】
上述した構成の着脱機構17により、図3(A)に示すように、平行移動部材14cを閉位置Cに移動して、固定爪14bと可動爪14dを開閉位置決めローラ17aと幅位置決めローラ17bの間に挿入し、次いで図3(B)に示すように、固定爪14bが開閉位置決めローラ17aの一方に近接するようにハンド14全体を移動させながら、平行移動部材14cを開方向に移動することにより、距離センサ16とハンド14の相対的な位置と姿勢を位置決めすることができる。
すなわち、開閉位置決めローラ17aを固定爪14bと可動爪14dのV溝15に嵌合させてV溝15の開閉方向位置と図で高さ方向位置を位置決めし、同時に幅位置決めローラ17bを固定爪14bと可動爪14dの幅方向端面に係合させて幅方向を位置決めすることができる。
【0044】
従ってこの構成により、ハンド14の把持動作により距離センサ16をハンド14に着脱可能であり、かつ距離センサ16とハンド14の相対的な位置と姿勢を正確に位置決めすることができる。
【0045】
図1において、物体認識装置18は、例えばプログラムを内蔵したコンピュータであり、距離センサ16により計測した3次元形状データからハンド14で把持可能なワーク1を選択する。
また、距離センサ16によりワーク全体の3次元形状データをハンド14で把持可能な位置精度で複数の位置から分割して計測した場合、計測した複数の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成し、これからハンド14で把持可能なワーク1を選択する。
【0046】
すなわち、物体認識装置18は、距離センサ16により計測した複数の3次元形状データを基に、以下の処理を実行する。
(1)複数の3次元形状データの重複部分を統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成する。
(2)ワーク単体の3次元データを記憶し、この3次元データの特徴点(例えば円形や頂点)と3次元形状データのパターンマッチングにより、3次元形状データ内の複数のワーク1の位置と姿勢を検出する。
(3)検出された各ワーク1の位置関係から、(ア)メッシュボックス等の容器3とハンド14及びロボット12、(イ)ロボット12とハンド14、(ウ)ワーク1とハンド14及びロボット12、及び(エ)ワーク1とワーク1との干渉のチェックをそれぞれ行い、ハンド14により干渉なしで把持し取り出せるワーク1を選択する。
(4)選択したワーク1を色、記号、又は立体表示で表示する。
【0047】
なお、距離センサ16により計測した3次元形状データが単一である場合、すなわち、ワーク全体の3次元形状データを単一の位置から前記位置精度で計測できる場合には、上記(1)の統合処理を省略することができる。
【0048】
ロボット制御装置20は、例えばプログラムを内蔵したコンピュータであり、ロボット12とハンド14を制御し、以下の各動作を実行する。
(1)ハンド14を移動し、ハンド14によりハンド14に距離センサ16を取り付ける。
(2)ハンド14を移動し、距離センサ16によりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データをハンド14で把持可能な位置精度で計測する。
この際、ワーク全体の3次元形状データを単一の位置から前記位置精度で計測できない場合は、複数の位置から分割して計測する。
(3)ハンド14を移動し、ハンド14によりハンド14から距離センサ16を取り外す。
(4)ハンド14により把持可能なワーク1を順に把持して搬送先に搬送する。
【0049】
図1において、本発明のバラ積みピッキング装置10は、さらに、3次元表示装置19、加工装置22、及びバッファ装置24を備える。
【0050】
3次元表示装置19は、表示画面にタッチパネルを有しており、3次元形状データから立体表示用データを作成して立体表示する。立体表示する3次元形状データは、距離センサ16により計測した3次元形状データ、及び物体認識装置18で処理した3次元形状データのいずれでもよい。
また、この3次元表示装置19は、タッチパネルにより、ハンド14で把持可能なワーク1、又は把持可能なワーク1の把持の順を選択するようになっている。
このような3次元表示装置19を備えることにより、物体認識装置18により作成された3次元形状データを立体表示された画像から目視で正確に判断することができる。また、タッチパネルにより、距離センサ16により計測した3次元形状データから、ハンド14で把持可能なワーク1、又は把持可能なワーク1の把持の順を選択することにより、物体認識装置18による演算処理の負荷を軽減することができる。
【0051】
加工装置22は、ワーク1を加工する装置である。なお、加工装置22による加工は、機械加工に限定されず、ワークを1つずつ取り扱う処理であれば、計測、塗装、組立、ラベリング、梱包、等であってもよい。
【0052】
バッファ装置24は、ワーク1を複数収容する。バッファ装置24は、複数のワーク1を順に整列して一定の姿勢で収容することが好ましい。しかし本発明はこれに限定されず、例えばパレット又はトレイ上に複数のワーク1を整列させてもよい。
【0053】
なお、バッファ装置24がワーク1を整列して一定の姿勢で収容するように構成することにより、容器3からワーク1を取り出すときに、ハンド14がワーク1を把持する位置にずれがある場合であっても、ワーク1をバッファ装置24へ搬送することで、バッファ装置24からのワーク1の取り出しを一定の姿勢にすることができる。
【0054】
図4は、本発明によるバラ積みピッキング方法の全体フロー図である。
この図において、本発明のバラ積みピッキング方法は、S1〜S8の各ステップ(工程)からなる。
【0055】
S1(センサ取付けステップA)では、ロボット制御装置20によりハンド14を位置制御し、ハンド14により着脱機構17を介してハンド14に距離センサ16を取り付ける。この取り付けにより、距離センサ16とハンド14の相対的な位置と姿勢が正確に位置決めされる。
【0056】
S2(計測ステップB1)では、ロボット制御装置20によりハンド14を移動して、ハンド14に取り付けられた距離センサ16によりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データをハンド14で把持可能な位置精度で計測する。
この際、ワーク全体の3次元形状データを複数の位置から分割して計測するのがよい。
【0057】
S3(センサ取外しステップC)では、ロボット制御装置20によりハンド14を位置制御し、距離センサ16をセンサ台16aの取外し位置に移動し、ハンド14によりハンド14から距離センサ16を取り外す。取り外した距離センサ16はセンサ台16aに一定の姿勢(例えば下向き)で静置される。
【0058】
S4(認識処理ステップB2)では、S2で計測した3次元形状データからハンド14で把持可能なワーク1を選択する。また、S2でワーク全体の3次元形状データを前記位置精度で複数の位置から分割して計測している場合は、計測した複数の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成した後、ハンド14で把持可能なワーク1を選択する。
S2で計測された3次元形状データはローカル座標系であるが、S4では、これをロボット座標系における3次元形状データに変換する。また、上述したように、(1)重複部分を統合した単一の3次元形状データを作成し、(2)パターンマッチングにより、3次元形状データ内の複数のワークの位置と姿勢を検出し、(3)ハンド14により干渉なしで把持し取り出せるものを選択し、(4)選択したワーク1を色、記号、又は立体表示で表示する。
【0059】
なお、S4のステップには、3次元形状データの大きさにより、10秒以上の時間を必要とする場合がある。そのため、上述したS3のステップをS4、S5のステップと並行しかつこれらより優先して実行するのが好ましい。
【0060】
S2、S4で得られたロボット座標系における3次元形状データは、S5(画像表示ステップE)において、3次元形状データから立体表示用データを作成して3次元表示装置19により立体表示される。
また、この3次元表示装置19のタッチパネルにより、ハンド14で把持可能なワーク1、又は把持可能なワーク1の把持の順を選択してもよい。
【0061】
図5は、3次元表示装置19に表示された3次元形状データの説明図である。この図において、(A)は、S2において9分割した1画面(図で左上)の計測が完了した状態、(B)は、S4において複数(9枚)の3次元形状データを統合して単一の3次元形状データを作成した状態、(C)は、S4においてハンド14で把持可能なワーク1を選択した状態を示している。
【0062】
図5(A)に示すように、本発明では、ハンド14を移動して、距離センサ16によりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データをハンド14で把持可能な位置精度(例えば±3mm)で計測することができる。
また、図5(B)に示すように、本発明では、計測した複数(例えば9個)の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成するので、メッシュボックス等の容器内のワーク全体をハンド14で把持可能な位置精度で計測することができる。
さらに、図5(C)に示すように、本発明では、ハンド14で把持可能なワーク1を選択し、色、記号、或いは3次元表示により、把持可能なワーク1を表示するので、目視により選択の成否を容易に判断でき、ピッキングの成功率と装置の稼働率を高めることができる。
【0063】
また、本発明では、認識ステップS4(図4参照)において、ハンド14で把持可能なワーク1が選択されない場合、次回の計測ステップS2において、複数のワーク全体に対する距離センサ16の向きを変更してS2の計測を再実行する。
この距離センサ16の向きは、例えば最初は下向き(Z方向)であり、次いで、下向き(Z方向)に対し一定の角度で傾斜した向きに再設定する。この傾斜方向は、任意の1方向(例えば、X方向)でも、順に2方向以上を実施してもよい。また、「一定の角度」は、例えば15度であるが、任意に設定することができる。
【0064】
このように、把持可能なワーク1が選択されない場合に、距離センサ16の向きを変更して、S2〜S4の計測、選択を再実行することにより、ワーク1の向きによらず、把持可能なワークの検出率を高め、ピッキングの成功率と装置の稼働率を高めることができる。
【0065】
図4において、S6(ピッキングステップD)では、ロボット制御装置20によりハンド14を移動して、ハンド14により把持可能なワーク1を順に把持して搬送先に搬送する。
S6は、S7において選択された把持可能なワーク1が無くなるまで繰返し実行する。
【0066】
ピッキングステップS6において、ピッキングが失敗する場合は、容器3又はワーク1とハンド14の干渉(衝突)と空振りとがある。
干渉(衝突)の場合は、ロボット12又はハンド14の駆動装置の負荷、又はロボット12又はハンド14に内蔵されたタッチセンサ、力覚センサで検出することができる。
また、空振りの場合は、ハンド14が把持動作(この例では開動作)を実施し、ワーク1の把持が検出されず、開位置Oを検出するリミットスイッチが作動することで検出することができる。
本発明では、ピッキングが失敗(干渉又は空振り)した場合には、再度ピッキングをリトライするようになっている。干渉の場合、このリトライの際に、干渉を避ける方向にハンド14をシフトすることが好ましい。
【0067】
図4のS8において、残りのワーク1の有無を判断する。残りのワーク1がある場合には、S1に戻り、S1〜S7を再度実行する。また、残りのワーク1がない場合には、本発明のバラ積みピッキング方法を終了する。
【0068】
図6は、加工装置22の作動を示すフロー図である。
この図において、加工装置22の作動は、S11〜S13の各ステップ(工程)からなる。なお、上述したように、加工装置22による加工は、機械加工に限定されず、ワークを1つずつ取り扱う工程であれば、計測、塗装、組立、ラベリング、梱包、等であってもよい。
【0069】
S11(ワーク搬出ステップF)では、加工装置22から加工済みのワーク1を把持して搬出先(例えば搬出コンベアの上)に搬送する。
S12(ワーク搬入ステップG)では、バッファ装置24からワーク1を把持して加工装置22内に搬入する。この搬入の際に、ワーク1を位置決めする。
S13(加工ステップ)では、加工装置22により位置決めされたワーク1を加工する。
【0070】
上述した本発明のバラ積みピッキング方法では、上述したピッキングステップS6において、ハンド14によりワーク1を順に把持してバッファ装置24に搬送する。
また、加工装置22による加工終了時に、ピッキングステップS6に優先して、(F)加工装置22から加工済みのワーク1を把持して搬出先(例えば搬出コンベア)に搬送し(S13)、かつ(G)バッファ装置24からワーク1を把持して加工装置22内に搬入する(S11)。
【0071】
この方法により、加工装置22の作動(S11〜S13)の待機時間をなくして加工装置22の稼働率を高め、かつ単一のロボットにより、ピッキング作業と加工装置22への搬入・搬出作業を実行することができる。
【0072】
上述した本発明の装置および方法によれば、ハンド14に距離センサ16を取り付け、ハンド14を移動して距離センサ16によりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データをハンド14で把持可能な位置精度で計測し、物体認識装置18により計測した3次元形状データからハンド14で把持可能なワーク1を選択し、ハンド14により把持可能なワーク1を順に把持して搬送先(例えばバッファ装置)に搬送するので、メッシュボックス等の容器に乱雑にバラ積みされたワーク1を、人による重量物のハンドリング作業なしにピッキングすることができる。
【0073】
また、ハンド14を移動して、ワーク全体の3次元形状データを前記位置精度で複数の位置から分割して計測し、計測した複数の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成するので、メッシュボックス等の容器内のワーク全体をハンド14で把持可能な位置精度で計測することができる。
【0074】
また、ハンド14により該ハンドから距離センサ16を取り外して、ハンド14により把持可能なワーク1を順に把持して搬送先に搬送するので、距離センサ16と容器3及びワーク1との干渉を本質的に無くすことができる。
【0075】
従って、本発明の装置および方法により、ピッキング時間を短縮し、ピッキングできるワークの個数を増やすことができる。
【0076】
さらに、本発明により、以下の効果が得られる。
(1)距離センサ16でバラ積みされた複数のワーク全体を離れた位置から単一の視野で計測する場合に比べて、ワーク1に近接した位置からワーク全体を分割してハンド14で把持可能な位置精度で計測するので、ワーク全体を高い精度で計測することができる。
(2)計測した複数の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成することで、複数回の計測であってもワーク全体のデータサイズを一定に収めることができる。
(3)ハンド14が固定爪14bと可動爪14dからなるので、ハンド14の可動部分を可動爪14dのみにすることができ、これによりハンド14を小型化し、固定爪14bと可動爪14dの剛性を高めて重量物のハンドリングを可能にできる。
(4)また、ハンド14の可動爪14dを閉位置Cに移動して、固定爪14bと可動爪14dをワーク1の把持内面2内に挿入し、次いで固定爪14bが把持内面2に近接するようにハンド14全体を移動させながら、平行移動部材14cを開方向に移動し、ワーク1を把持内面2で把持するので、ワークの把持時(及び開放時)におけるワークの移動を低減できる。
(5)ハンド14の開閉動作のみで、着脱機構17により、距離センサ16とハンド14の相対的な位置と姿勢を正確に位置決めすることができる。
(6)3次元表示装置19を備えることにより、物体認識装置18により作成された3次元形状データを立体表示された画像から目視で正確に判断することができる。また、タッチパネルにより、距離センサ16により計測した3次元形状データから、ハンド14で把持可能なワーク1、又は把持可能なワーク1の把持の順を選択することにより、物体認識装置18による演算処理の負荷を軽減することができる。
(7)把持可能なワーク1が選択されない場合に、距離センサ16の向きを変更して、S2〜S4の計測、選択を再実行することにより、ワーク1の向きによらず、把持可能なワークの検出率を高め、ピッキングできるワークの個数を増やすことができる。
(8)容器3又はワーク1とハンド14の干渉(衝突)と空振りを検出することができ、再度ピッキングをリトライすることができる。
(9)加工装置22による加工終了時に、ピッキングステップS6に優先して、加工装置22から加工済みのワーク1を把持して搬出先(例えば搬出コンベア)に搬送し(S13)、かつバッファ装置24からワーク1を把持して加工装置22内に搬入する(S11)ので、加工装置22の待機時間を減らして加工装置22の稼働率を高め、かつ単一のロボットにより、ピッキング作業と加工装置22への搬入・搬出作業を実行することができる。
(10)容器3からワーク1を取り出すときに、ハンド14がワーク1を把持する位置にずれがある場合であっても、ワーク1をバッファ装置24へ搬送することで、バッファ装置24はワーク1を整列して一定の姿勢で収容するので、バッファ装置24からのワーク1の取り出しを一定の姿勢にすることができる。
【0077】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
例えば、単一のロボットがハンドを2つ以上有する場合には、ハンドの数を上限として同時に把持して搬送先に搬送することができる。
すなわち、本発明は「ワークを1つずつ取り出す」ことに限定されず、2つ以上を同時に取り出してもよい。また、「2つ以上のハンドの把持」は、同時に限定されず、ロボットは同時に稼動しているが、交互に動くことや、相互に協調しあう動作であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 ワーク、2 把持内面、3 容器、
10 バラ積みピッキング装置、
11 手先部、12 ロボット、
14 ハンド、14a ハンド本体、
14b 固定爪、14c 平行移動部材、14d 可動爪、
15 V溝、16 距離センサ(レーザレーダ)、
16a センサ台、16b 信号線、
17 着脱機構、17a 開閉位置決めローラ、
17b 幅位置決めローラ、17c 連結金具、
18 物体認識装置、19 3次元表示装置、
20 ロボット制御装置、
22 加工装置、24 バッファ装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の作動空間内で手先部の位置と姿勢を制御可能なロボットと、
前記ロボットの手先部に取り付けられワークを把持可能なハンドと、
前記ハンドにより該ハンドに着脱可能でありワークの3次元形状データを取得可能な距離センサと、
前記3次元形状データから把持可能なワークの位置と姿勢を認識する物体認識装置と、
前記ロボットとハンドを制御するロボット制御装置とを備え、
(A)前記ハンドにより該ハンドに距離センサを取り付け、
(B)前記ハンドを移動して、前記距離センサによりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データを計測し、かつ計測した前記3次元形状データからハンドで把持可能なワークの位置と姿勢を認識し、
(C)前記ハンドにより該ハンドから前記距離センサを取り外し、
(D)前記ハンドにより前記把持可能なワークを順に把持して搬送先に搬送する、ことを特徴とするバラ積みピッキング装置。
【請求項2】
前記(B)において、
(B1)ワーク全体の3次元形状データを複数の位置から分割して計測し、
(B2)前記計測した複数の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成する、ことを特徴とする請求項1に記載のバラ積みピッキング装置。
【請求項3】
前記ワークを加工する加工装置と、前記ワークを複数収容するバッファ装置とを備え、前記搬送先はバッファ装置であり、
前記(C)を前記(B2)と並行しかつこれより優先して実行し、
かつ前記加工装置による加工終了時に、前記(D)に優先して、
(F)加工装置から加工済みのワークを把持して搬出先に搬送し、かつ
(G)バッファ装置からワークを把持して加工装置内に搬入する、ことを特徴とする請求項2に記載のバラ積みピッキング装置。
【請求項4】
前記ワークは、その一部に円筒形又は楕円柱の把持内面を有しており、
前記ハンドは、ハンド本体に上端が片持ち支持された単一の固定爪と、
該固定爪に対して開位置と閉位置の間で平行に開閉駆動される平行移動部材と、
該平行移動部材に上端が片持ち支持され、固定爪に対して平行に位置し、互いに間隔を隔てた1対の可動爪とからなり、
平行移動部材を閉位置に移動して、固定爪と可動爪をワークの前記把持内面内に挿入し、次いで固定爪が前記把持内面に近接するようにハンドを移動させながら、平行移動部材を開方向に移動し、ワークを把持内面で把持する、ことを特徴とする請求項1に記載のバラ積みピッキング装置。
【請求項5】
前記距離センサは、前記ハンドの開動作又は閉動作により固定爪および可動爪と係合して、距離センサとハンドの相対的な位置と姿勢を位置決めする着脱機構を備える、ことを特徴とする請求項4に記載のバラ積みピッキング装置。
【請求項6】
前記固定爪と可動爪は、開方向に開口し幅方向に延びるV溝を有しており、
前記着脱機構は、前記固定爪と可動爪の開動作により前記V溝に嵌合してV溝を位置決めする開閉位置決めローラと、前記固定爪と可動爪の幅方向端面と係合して幅方向を位置決めする幅位置決めローラとを有する、ことを特徴とする請求項5に記載のバラ積みピッキング装置。
【請求項7】
3次元の作動空間内で手先部の位置と姿勢を制御可能なロボットと、
前記ロボットの手先部に取り付けられワークを把持可能なハンドと、
前記ハンドにより該ハンドに着脱可能でありワークの3次元形状データを取得可能な距離センサと、
前記3次元形状データから把持可能なワークの位置と姿勢を認識する物体認識装置と、
前記ロボットとハンドを制御するロボット制御装置とを備え、
(A)前記ハンドにより該ハンドに距離センサを取り付け、
(B)前記ハンドを移動して、前記距離センサによりバラ積みされたワーク全体の3次元形状データを前記ハンドで計測し、かつ計測した前記3次元形状データからハンドで把持可能なワークの位置と姿勢を認識し、
(C)前記ハンドにより該ハンドから前記距離センサを取り外し、
(D)前記ハンドにより前記把持可能なワークを順に把持して搬送先に搬送する、ことを特徴とするバラ積みピッキング方法。
【請求項8】
前記(B)において、
(B1)ワーク全体の3次元形状データを複数の位置から分割して計測し、
(B2)前記計測した複数の3次元形状データを統合してワーク全体の単一の3次元形状データを作成する、ことを特徴とする請求項7に記載のバラ積みピッキング方法。
【請求項9】
前記ワークを加工する加工装置と、前記ワークを複数収容するバッファ装置とを備え、前記搬送先はバッファ装置であり、
前記(C)を前記(B2)と並行しかつこれより優先して実行し、
かつ前記加工装置による加工終了時に、前記(D)に優先して、
(F)加工装置から加工済みのワークを把持して搬出先に搬送し、かつ
(G)バッファ装置からワークを把持して加工装置内に搬入する、ことを特徴とする請求項8に記載のバラ積みピッキング方法。
【請求項10】
前記(B2)において、ハンドで把持可能なワークが選択されない場合、ワーク全体に対する距離センサの向きを変更して、前記(B1)を再実行する、ことを特徴とする請求項8に記載のバラ積みピッキング方法。
【請求項11】
タッチパネルを有し3次元形状データを立体表示する3次元表示装置を備え、
(E)前記3次元形状データから立体表示用データを作成して3次元表示装置により立体表示し、
前記タッチパネルにより、ハンドで把持可能なワーク又はその把持の順を選択する、ことを特徴とする請求項7に記載のバラ積みピッキング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40669(P2012−40669A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186383(P2010−186383)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】