説明

バリア層、その使用およびその作製方法

本発明は、基材上に蒸着されたメラムの、高湿度に対する耐性が求められる用途(レトルト処理もしくは金属堆積を含むさらなる処理等)または太陽電池やディスプレイ等の用途における使用に関する。バリア層のメラム対メラミン比(w/w)は、3:1〜50:1の範囲にある。レトルト耐性を有する積層体は、2枚のプラスチックフィルムとその間に結晶性メラム層とを有し、積層体の、90°引張試験で30mm/分で測定されたラミネート強度は約2N/インチ以上である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、バリア性を有する層の使用に関する。さらに本発明は、それを作製するための方法および装置ならびにバリア性を有するこのような層を有する物品に関する。
【0002】
積層体は、包装、電子、および他の産業において用いられている。積層体には、酸素または水蒸気透過度が低いなどの良好なバリア性が求められる場合が多い。プラスチックフィルムまたは薄い紙には、バリア性を改善するための1種またはそれ以上の層を塗布することが必要である。さらに、フィルム間の接着を十分に高くすることが必要である。例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属または金属酸化物を、基材、例えば、ポリオレフィンまたはポリエステルフィルムに、場合によりメラミンと一緒に塗布するかまたはメラミンをそのまま塗布したものが周知である。通常、バリア性を有するフィルムは、例えばさらなるポリオレフィンフィルムと接着剤を使用するかまたは押出ラミネートを用いてさらに積層される。このような積層体は、例えば、包装または電子産業に使用される。このような積層体は良好なバリア性を示すことができる。しかしながら、バリア性を高めるために使用される金属層は不透明であり、これらの再生処理が困難であることから環境問題の原因となり、そしてその内容物は電子レンジ適性を有していない。バリア性を向上させるために使用される金属酸化物層は損傷を受けやすく、高価であり、かつ積層体を確実に製造するためには高水準の作業者が必要である。PVDC系のバリアフィルムは塩素を含有するため環境問題の原因となる。EVOH系のバリアフィルムは水分の影響を非常に受けやすい。
【0003】
メラミンは、トリアジンであり、酸素バリア層として使用されている。米国特許第6632519号明細書、独国特許出願公開第19917076号明細書、および国際公開第2004/101662号パンフレットには、メラミンをバリア層として使用することが記載されている。さらにJahromi(Macromolecules ACS、2000年10月1日、pp.7582〜7587)は、PETまたはOPP基材上に堆積されたメラミンの結晶粒構造を示している。メラミンに由来する層は水分の影響を受けやすく、60%RHを超えると酸素バリア性が低下し、メラミンは水分バリア性を示さなくなる。本特許出願の優先日後に公開された国際公開第2008/083934号パンフレットにおいては、メラミンに保護被膜を適用することが提案されている。こうすることによりバリア性の感湿性はある程度改善されるものの、依然としてかなりの感湿性が存在する。
【0004】
特定の積層体を包装体に使用する1つの具体例が、いわゆるレトルト包装である。この包装体は、最終的な内容物と一緒に滅菌条件(例えば、水蒸気雰囲気中、通常は10バールを超える圧力下で、121℃をわずかに超えて30分間〜例えば130℃で3時間まで)に付される。例えばPEはこのような温度に耐えられないことから、この種の積層体には特殊なプラスチックフィルムおよび特殊な接着剤が必要である。さらに、このような包装体には透明性が求められる場合が多く、アルミナを使用することができない。このような積層体の使用の他の例としては、熱間充填用途および包装食品を常圧で煮沸する用途が挙げられる。
【0005】
[目的]
本発明の目的は、高湿度および場合により高温に耐えることができる被膜を蒸着するための材料を提供することにある。
【0006】
本発明のさらなる目的は、良好なバリア性および良好なラミネート強度を有し、電子レンジ耐性およびレトルト耐性を有する、すなわちレトルト処理後もバリア性を保持している積層体を提供することにある。
【0007】
本発明のさらなる目的は、良好なバリア性および良好なラミネート強度を有し、熱間充填および/または煮沸に適した、すなわちこのような処理後もバリア性を保持している積層体を提供することにある。
【0008】
本発明のさらなる他の目的は、良好なバリア性を有するインラインコートされた層を有する、金属コート紙(metal coated paper)またはカートン紙をベースとする包装体(carton based package)を提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる目的は、金属酸化物を塗布したバリア性が改善されたプラスチックフィルムを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、電子用途に用いられる積層体を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、湿気等の外部環境から十分に保護されたディスプレイや太陽電池セル等の剛性または可撓性を有する電子デバイスを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、好適な誘電体層を提供することにある。
【0013】
[概要]
上の目的の1つまたはそれ以上は、高湿度に耐えるバリア性が求められる用途における蒸着されたメラムの使用を提供する本発明により達成される。
【0014】
さらに本発明は、メラミンを劣化させる環境負荷に曝される物品中における、基材および結晶性メラム化合物の薄層を提供する。
【0015】
結晶性メラム層が連続した結晶層であることが明らかとなったことから、本発明は、薄層蒸着におけるメラムの使用にも関する。これとは対照的に、メラミンまたはメレムは結晶化すると粒状構造になる。メラムがメラミンやメレムと異なる形で結晶化することは予期せぬことであった。
【0016】
予期せぬことに、結晶性メラム層を有する基材を本発明の積層体の作製に使用することが可能であり、これは、電子レンジ対応食品用途に用いられる包装に使用することができ、かつ容易に再生処理することができる。
【0017】
さらに予期せぬことに、メラムを用いることによって、AlOやSiO等の金属酸化物被膜の酸素および蒸気バリア性を、熱間充填または包装体のレトルト処理後においても改善することができた。
【0018】
さらに予期せぬことに、アルミニウムや金属酸化物被膜(AlOやSiO等)等の蒸着被膜に対するメラムの接着力はメラミンよりもはるかに強力である。
【0019】
メラムが金属層に適切に接着することによって、メラムの薄層が2種の堆積された金属層間の絶縁層として非常に適したものとなる。
【0020】
米国特許第6632519号明細書、独国特許出願公開第19917076号明細書、および国際公開第2004/101662号パンフレットには、トリアジン、特にメラミンをバリア層として使用することが記載されている。メラムは可能性のあるトリアジンであると述べられているものの、メラムの使用、処理、装置、または利点に関する具体的な教示は明示されていない。本特許出願の優先日後に公開された国際公開第2008/083934号パンフレットにおいても同様のことが言える。
【0021】
メラムを適用する際に、メラミンに関し記載された方法を用いて、蒸発装置の温度をより高いメラムの昇華点に調節すると、メラムがほとんど含まれない層が得られることが分かった。
【0022】
本発明の他の目的は、約70重量%を超えるメラムを含むトリアジン層を得るための方法および装置を提供することにある。
【0023】
さらに本発明は、メラムを適用するための設備および方法に関し、この設備は、真空チャンバと、塗布すべき基材の全長に亘る発熱体およびシャッターを備えるオーブンを有する蒸発装置とを備えており、この発熱体はオーブンの内容物を310〜390℃まで加熱することができ、高温に長時間曝されたことによるメラムの分解を防ぐ手段を含む。
【0024】
本発明の好ましい実施形態においては、基材上のメラムの層は、メラムおよびメラミンを3:1〜50:1(w/w)の比で含む。
【0025】
[詳細な説明]
メラム層は、通常はメラムを約40重量%以上、好ましくはメラムを約50重量%以上、より好ましくは約70重量%以上、よりさらに好ましくはメラムを約90重量%以上から構成される。より少量で存在していてもよい他の化合物は、メラミン、アルミナ、および基材に由来する他の添加剤である。メラムの量は、メラミンの約98%以下かつ2%以上であり、好ましくは、メラミンの約95%以下および5%以上である。
【0026】
一般に、15または20分間を超えて塗布を行うロールツーロールまたは他の(半回分式)方式においてメラムを高比率で連続的に堆積させることは非常に困難であることが分かっている。温度を比較的低くすることが必要となるかまたはメラムの加熱時間を比較的短くすることが必要となるかのいずれかである。したがって、本発明においては、通常は、被膜がメラミンを約5重量%以上、多くの場合はメラミンを約10重量%以上の量で含む。メラム/メラミン比(w/w)が約3:1以上、例えば約5:1等であれば、高湿度下において低い水蒸気透過および酸素透過値を達成できることが分かった。
【0027】
本発明者らは、メラムを適用する場合、高温で比較的短時間が経過するとメラムが蒸発装置内で分解を開始してメラミンを形成させることを確認している。メラミンも同様に蒸発(蒸気圧がより低いので、優先的にさえ)し、プラスチックフィルムの表面上に、同様に除去された層を形成する。メラミンはメラム層の性質を著しく損なわせる。
【0028】
したがって、さらに本発明は、プラスチックのロールが真空チャンバ内で20分間を超えるロールツーロール塗布工程に付される、メラムが塗布されたフィルムの作製方法を提供し、この方法は、フィルム上にメラム対メラミンの比(w/w)が3超:1かつ50未満:1、好ましくは4超:1かつ20未満:1のメラムの層が得られるように、メラムの分解を防ぐ手段を含む。
【0029】
さらに本発明は、別個の基材が連続的に真空チャンバ内で20分間を超える塗布工程に付される、メラムが塗布された基材の作製方法を提供し、この方法は、基材上にメラム対メラミンの比(w/w)が3超:1かつ50未満:1、好ましくは4超:1かつ20未満:1であるメラムの層が得られるように、メラムの分解を防ぐ手段を含む。
【0030】
実際、長尺のロール(>10,000メートル)に高速(>5m/秒)で塗布できる能力は重要である。このロールには100〜400nmの厚みで塗布することが必要である。温度、結晶の種類、および蒸発装置の設計という観点での塗布条件は、上の特徴を有するメラムが塗布されたロールの製造が可能になるように選択すべきである。
【0031】
メラムのメラミンへの分解を防ぐための幾つかの方策が利用可能である。まず第1に、蒸発装置内を比較的低温に維持することが可能であり、こうすることによって蒸発速度が比較的遅くなるであろう。これは、メラム層が薄くても十分である場合は許容することができる。他の場合においては、連続した複数の蒸発装置を使用することが好ましい可能性がある。第2に、分解した物質を定期的に除去することが可能である。第3に、オーブンをより高温にし、オーブンにある程度のメラムを定期的に追加することが可能である。このようなオーブンは、断面積を比較的小さくすることができ、メラム粉末の量に対する加熱面積を高くすることができる。
【0032】
堆積したトリアジン材料の層の組成はHPLCで測定することができる。
【0033】
蒸着ステップにおいて基材上に形成される結晶性メラム層の厚みはその意図された目的に依存し、したがって、幅広い範囲内で変化させることができる。好ましくは、層の厚みは約2μm以下、より好ましくは約0.5μm以下、よりさらに好ましくは約0.2μm以下であり、その理由は、このように厚みがより薄くなると透明性が改善されるためである。厚みは、例えば約200nm以下であるかまたはコスト上の理由で100nm以下であってもよい。最小の厚みは、好ましくは、約2nm以上、より好ましくは約10nm以上、よりさらに好ましくは約15nm以上であり、その理由は、このような厚みによって保護性が改善されるためである。例えば、厚みは、約20または30nm以上であってもよい。
【0034】
結晶性メラム層は単層であってもよいが、結晶層上にさらなる層、例えば、さらなるトリアジンの層、印刷、さらなるポリマーの層、および/または硬化した樹脂層を存在させることも可能である。
【0035】
本発明のさらなる実施形態は、硬化した樹脂層をさらに含む、結晶性メラム層を含む積層体に関し、硬化前の樹脂は、アジン−ホルムアルデヒドまたはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含んでいる。
【0036】
本発明の代替的な実施形態においては、結晶性メラム層を含む積層体は、硬化前にアジン−ホルムアルデヒドまたはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む樹脂を硬化させた樹脂層を含まない。メラミンと異なり、このようなさらなる被膜は、特性を実質的に改善しないことが分かった。したがって、コストを下げるという観点では、このようなさらなる層を適用しないことが好ましい。
【0037】
メラム層は、単独のバリア層としてプラスチックフィルム等の基材上に直接適用してもよいが、金属や金属酸化物層等の他のバリア層上の層として用いてもよい。さらに、金属層上で使用する場合、メラムは良好な接着および絶縁性を有し、それによってさらなる金属層を適用することが可能になる。
【0038】
極端に高いバリア性が求められる場合は、平坦化層によって分離されていてもよい複数のメラム層を適用することが有利な場合がある。好適な平坦化層は、通常、流体の硬化型被膜である。好ましくは、この被膜は、UVおよびEB硬化型被膜等の放射線硬化型である。好適な平坦化層は、例えば、硬化したアクリル酸エステルの被膜、エポキシド被膜、ビニルエーテル等である。
【0039】
メラム層は基材に直接適用してもよいが、基材を被膜、例えば、高弾性率を有し、かつ/またはゼロおよび高湿度下(0および100%RHまたは乾燥および水中浸漬等)で比較した場合の膨張が小さい被膜で前処理してもよい。好適な被膜は、ナノシリカをベースとする架橋被膜、高度に架橋したアクリル酸エステルの被膜等である。このような被膜は、湿潤条件下における膨張が大きい基材の場合に特に有利である。ナノ粒子の充填量は、好ましくは10容量%を超え、より好ましくは15容量%を超える。
【0040】
メラムをレトルト耐性を有する積層体中に使用することが好ましく、積層体中の結晶性メラム層が(保護被膜を有しない場合でさえも)レトルト処理条件に耐えられることは予期せぬことであった。
【0041】
他の実施形態においては、高湿度(>80%RH)下におけるバリア性が必要とされる包装に積層体を使用することが好ましい。
【0042】
本発明のさらなる実施形態においては、製品は、メラム層およびプラスチックフィルムの間に接着層を含む積層体である。
【0043】
さらなる実施形態においては、積層体は、メラム層上に模様または図形を含む。
【0044】
さらなる実施形態においては、印刷されていてもよいメラム層上にフィルムが直接押し出される。
【0045】
さらなる実施形態においては、包装は、PET基材、メラム層、ポリオレフィン層、紙または板紙層、およびさらなるポリオレフィン層を含む。
【0046】
さらなる実施形態においては、積層体は、レトルト耐性を有する積層体であり、基材は、PP、PET、およびポリアミドから独立に選択される1種またはそれ以上のプラスチック層を含む。
【0047】
他の実施形態においては、基材は、AlOやSiO等の金属酸化物が塗布されたプラスチック基材である。このような基材により、極めて優れた酸素および水蒸気バリアを有する透明な高バリアフィルムにおいて金属酸化物およびメラムのバリア性を組み合わせることが可能になる。
【0048】
他の実施形態においては、基材は、例えばアルミナ等の金属層が塗布されたプラスチック基材である。国際公開第2009/012878号パンフレットに記載されているように、堆積した金属または金属酸化物層およびメラミン層の間の接着は許容できるものではない。予期せぬことに、金属または金属酸化物層およびメラムの間の接着は良好であり、それによって接着助剤が不要となり、バリア性をより適切に組み合わせることが可能となることが分かった。
【0049】
予期せぬことに、さらなる他の実施形態においては、結晶性メラム層は、軟包装に用いるためのバリアが非常に高い(極度に高いものでさえも)層に使用するのに十分に適している。紙に適用する場合と同様に、プラスチックフィルム/メラム/酸化物(AlO、SiO、AlO−SiO)/メラム、または別法として、プラスチックフィルム/酸化物/メラムを重ねることにより、レトルト処理に耐える非常に良好なバリアを有する軟包装を与えることが可能になる。この場合も同様に、すべての層がインラインで適用される。メラムは高温耐性に極めて優れているため、このようなメラム層上にAlOおよび/またはSiO層を適用することが可能である。
【0050】
さらなる実施形態においては、印刷されていてもよい結晶性メラム層上にフィルムが直接押出される。メラムを使用することには、通常適用される温度(400℃まで)をそのまま用いることができるという利点がある。これとは対照的に、トリアジンとしてメラミンを使用する場合は積層温度をより低くすることが必要である。
【0051】
さらなる実施形態においては、金属または金属酸化物層が直接メラム層上に堆積される。これらを組み合わせた構造体は酸素および水バリア性が改善されている。メラミンの場合、メラミンの上面に本来の純粋な金属または金属酸化物層を堆積させることは不可能であり、その理由は、金属または金属酸化物層を堆積させると金属または金属酸化物層の熱による加熱によってメラミンが昇華する傾向にあるためである。メラムは蒸気圧がより低く、かつ昇華温度がより高いことから、金属または金属酸化物層を蒸着する際にも昇華することがなく、その結果としてメラムの上面に本来の純粋な層が形成される。
【0052】
さらなる実施形態においては、メラム層は、2つの金属層(通常はプラスチックフィルムまたは剛性基材上に堆積されている)の間に挟持されるように適用される。結果として得られる積層体において、メラムは誘電体絶縁層として作用する。
【0053】
さらなる実施形態においては、本発明は、PP、PET、およびポリアミドから独立に選択されるプラスチック層ならびに結晶性メラム層を含むレトルト耐性を有する積層体である積層体に関する。好ましくは、メラム層は、メラムと反応した保護被膜を有しない。この積層体は、レトルト処理条件に耐えるのに適した接着剤をさらに含むであろう。レトルト用途に典型的な積層構造は、PET/メラム/印刷層/接着剤/OPA(延伸ポリアミド)/CPP(キャストポリプロピレン)からなる。
【0054】
本発明の好ましい実施形態においては、レトルト耐性を有する積層体は、シール可能である。
【0055】
好ましくは、この複合層は、結晶性メラム層側に接着剤およびプラスチックフィルムを積層した場合、引張試験装置を用いて30mm/分、90°で測定すると、約2.5N/インチ以上、より好ましくは約3N/インチ以上、よりさらに好ましくは約3.5N/インチ以上のラミネート強度を示すことができる。一般に、ラミネート強度の上限は重要ではないが、通常は約20N/インチ以下であろう。試験用の複合層の積層は、好ましくは適切なウレタン接着剤を用いて実施され、厚みが10μmのポリエチレンフィルムに積層される。その後、2枚のフィルムのラミネート強度を測定することができ、破壊様式を観察することができる。適切な接着剤は、接着剤層上に破壊様式が認められないような接着強度を有する接着剤である。接着は、プラスチックフィルムが破壊するほど高くてもよい。この場合、フィルムを破壊するのに要する力の値は、接着の値と解釈することができる。
【0056】
基材は、担体としての役割を果たす材料を含み、これは、通常、フィルムまたはウェブの形態のプラスチックまたは紙であろう。
【0057】
軟包装材は、通常、フィルムまたはシート様材料(以下、フィルムと称する)をベースとする。
【0058】
本発明による複合層、特に基材としてフィルムを有するものは、そのまま使用することもできるが、プラスチック、紙、板紙、スチール等の上に適用することもできる。
【0059】
本発明の一実施形態においては、層は、食品および飲料製品の包装体の一部である。好適な食品および飲料製品としては、これらに限定されるものではないが、コーヒー豆または挽いたコーヒー豆、ビール、果汁、トマトケチャップ、乳、チーズ、加工食品等が挙げられる。この包装はまた、パーソナルケア製品や医薬品等の他の製品にも使用することができる。
【0060】
本発明の他の実施形態においては、基材は、熱可塑性ポリマーから作製されたプラスチック容器である。好適な熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリ塩化ビニルが挙げられる。
【0061】
プラスチック容器は、ボトル、大樽、小樽、バッグインボックス、および液体を保持することができる他の形態であってもよい。内容物の一部は、オリーブ、チーズ、タマネギ、ピクルス、香辛料、柑橘類、他の果実等の固体であってもよい。本発明の好ましい実施形態においては、容器はボトルである。本発明の他の実施形態においては、容器は大樽である。
【0062】
本発明の一実施形態においては、ポリマーは熱可塑性ポリエステルおよび場合により他のポリマーであり、ポリエステルは熱可塑性材料の少なくとも80重量%で存在する。ポリエステルは、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートを少なくとも80%含み、PETとブレンドしてもよい他のポリマーは、ポリエチレンナフタレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等である。好ましくは、PET容器は、PETを約90%以上からなる。PET容器は、単層ボトルまたは多層容器であってもよい。多層体は、好ましくは、再生PETを外層として使用し、バージンPETを内層に使用したものである。
【0063】
本発明の他の実施形態においては、容器は、ポリ乳酸ポリエステル等の天然の材料をベースとする材料から作製される。
【0064】
例えばPETボトルは、プリフォームを射出成形した後、プリフォームを実際のボトル形状にブロー成形することによって作製してもよい。
【0065】
ポリオレフィンから得られる容器としては、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンから形成されるボトル、大樽、および他の形態が挙げられる。このような容器は、通常、ブロー成形により作製される。
【0066】
上述した容器は液体を保持している。本発明の一実施形態においては、容器は、強化部材に(場合により一部分が)保持されている。好適な強化部材としては、これらに限定されるものではないが、板紙もしくは木の箱または追加された底部が挙げられる。
【0067】
バリア性を有する容器は、このような包装を使用することができる食品および飲料、パーソナルケア、医薬、ならびに他の用途に用いることができる。一般に、内容物は、ビール、果汁、油、軟膏等の流体の性質を有するものであろう。しかしながら、医薬品等の固体の内容物も同様に酸素バリアを必要とする場合がある。
【0068】
容器の内容量は、0.05以上、例えば0.2リットル(L)以上が有用である可能性がある。容量の好適な例としては、0.05L、0.1L、0.2L、0.25L、0.33L、0.5L、1パイント、1L、1.5L、2L、2.5L、3L、1ガロン、5L、10L等が挙げられる。より大きな容量も同様に好適な場合があり、上限は重要ではない。好ましくは、飲食物提供および工業用途用のビール、ワイン、または液体食品成分に用いるのに好適な50L〜100L、最大で2000、5000、10,000または50,000リットルの容量の大樽、子樽、またはバッグインボックスが想定できるであろう。
【0069】
好ましくは、メラムは、容器の表面に堆積され、これは内面、外面、または両面であってもよい。さらなる好ましい実施形態においては、堆積層は、熱可塑性収縮フィルム、熱硬化性樹脂(被膜等)等であってもよい保護層によって物理的に保護されている。
【0070】
予期せぬことに、他の実施形態においては、結晶性メラム層は、プレコートおよびトップコートされた包装用金属蒸着紙に使用するのに十分に適している。現在の蒸着用紙は特殊な種類の紙であり、紙/クレーコート/プレコート/アルミナ/トップコートという構造を有する。この紙は、通常、表面を平滑にするためにカレンダにかけられる。次いで、紙製造業者によりクレーコートが紙に適用され、表面が一層平滑になる。次いで、この紙が蒸着に使用される。まず最初に、Al層の接着を高めるためのプレコートが適用され、次いで、アルミナ層が適用され、その後、印刷適性を生じさせるためのトップコートが適用される。プレコートおよびトップコートは両方ともオフラインで適用され、これは非常に費用がかかる。メラム等の特殊なトリアジン被膜は、プレコートとしてもトップコートとしてもインラインで適用することが可能であることが分かった。このために、3つの蒸発源を有するウェブコーターを使用することができる。まず最初に、トリアジン蒸発装置(プレコート)からメラム被膜を、次いで、アルミニウム源、次いで、再びトリアジン蒸発装置からトップコートを適用する。メラムは理想的な材料である。その理由は、蒸気圧が高い、すなわち、Al堆積の際に、Alとトリアジン蒸気の混合を引き起こす昇華が起こらないことにある。もしメラミンを使用した場合は、トリアジン層が蒸発してしまうであろう。このようにして、本来の純粋なAl層をインラインプレコート上に適用することができる。その利点は、Alのバリアがより高いことと、非常に時間および費用がかかるオフラインのプレコートおよびトップコートが不要になることとにある。トップコートにはメラミンを使用することができる。その理由は、この被膜はさほど高温負荷に曝されないためである。
【0071】
予期せぬことに、他の実施形態においては、結晶性メラム層は、ソーラーシステムに使用するのに適している。その理由は、無機(結晶性および非晶質)または有機材料(色素増感)はどちらも酸素および水から保護しなければならないためである。メラムは、用途に応じたガラス、プラスチック、または金属を基材とする高剛性およびフレキシブル薄膜太陽電池用のバリアおよび封止材として理想的である。特に、結晶性メラムは、これらに限定されるものではないが、光起電化合物(photovoltaic compound)として以下の材料を使用することを含む、様々な薄膜技術に基づく太陽電池セルの製造に適している:カドミウムテルリド、銅−インジウムセレニド(CIS)、銅インジウムガリウムジセレニド(CIGS)、ガリウムヒ素(GaAs)多接合型、ハイブリッド電池、光吸収色素(DSSC)、有機/ポリマー太陽電池セル、シリコン薄膜(アモルファスシリコン、プロトクリスタルシリコン、およびナノ結晶シリコン)、およびナノ結晶太陽電池セル。現在は、バリア層として酸化ケイ素またはアルミナが使用される場合が多い。しかしながら、これらは技術が複雑であり、かつ非常にまたは極めて高い真空を用いるため、費用がかかり過ぎる。さらに、この層は脆い。
【0072】
下層および/または最上層としての1つ以上のメラム層を1つ以上の金属酸化物層と組み合わせることによって確実により適切な解決策が得られることが分かった。
【0073】
本発明の他の実施形態においては、メラム層を重ねることによって損傷を受けやすい装置を効果的に保護することができる。好ましくは、メラム層は、例えばアクリル酸エステル系被膜等の中間平坦化層と一緒に積層される。同様に、メラム被膜はフレキシブル太陽電池(flexible solar)用途に非常に好適である。
【0074】
例えば、色素増感型太陽電池セルは、透明導電性基板上に形成されたナノ粒子チタニア(二酸化チタン)層を備え、色素の単層により光増感されている。ヨウ化物イオン−三ヨウ化物イオン酸化還元系に基づく電極が、光増感されたチタニアの層および第2の導電性触媒基材の間に配される。この方法は、柔軟な鋼を基材として用いたフレキシブル太陽電池の製造に使用することができる。活性な太陽電池構成要素(active solar component)(光起電性)を有する積層体を柔軟な鋼の上に積層することができる。別法として、この光起電性構成要素を、バリア層としてのメラム(おそらく金属酸化物をベースとするものなどの他の透明バリア層と併用される)を有する鋼基材の上面に直接印刷してもよい。最終層として、鋼基材に最上保護層としての層状被膜を塗布してもよい。
【0075】
一実施形態においては、メラムは、フレキシブル太陽電池用途におけるバリア層として、好ましくは中間平坦化層と重ねて使用される。
【0076】
他の実施形態においては、メラムは、高剛性太陽電池用途におけるバリア層として、好ましくは中間平坦化層と重ねて使用される。
【0077】
予期せぬことに、他の実施形態においては、結晶性メラム層は、所望の光学特性を有するバリア被膜としての用途に使用するのに十分に適している。すなわち、このトリアジン化合物は、長波長(>500nm)を吸収しない。このことは、無機透明バリア材料よりも有利である。電子デバイスにおける用途に用いることが可能である。
【0078】
予期せぬことに、さらなる他の実施形態においては、結晶性メラム層は、場合によりメラム層を分離するためのアクリル酸エステル等の層と組み合わせて、液晶ディスプレイ(LCD)または有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)または高分子発光ダイオード(PLED)または電気泳動ディスプレイまたはエレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)または燐光発光ディスプレイ等のフレキシブルディスプレイを封止するためのバリア層として重ねて使用するのに十分に適している。無機または有機半導体デバイスに関わらず半導体回路が(例えば、個々の表示要素(ピクセルまたはサブピクセル)を駆動するために)埋め込まれたこのようなフレキシブルディスプレイにおいては、これらの半導体デバイスを封止するためにこの種のメラムバリア層を分離層と組み合わせて使用することもできる。フレキシブルディスプレイの場合、可撓性基材(これらに限定されるものではないが、PET、PEN、PES等)に、メラムの層および分離層(これらに限定されるものではないが、有機ポリマー、無機ポリマー、有機金属ポリマー、無機/有機ポリマーハイブリッド系、ケイ酸塩等)を繰り返し塗布してもよい。さらに、積層されたメラムバリアに隣接して、損傷を受けやすい表示装置または任意的な半導体デバイスが適用されるであろう。任意的な半導体デバイスを封止するために、他のメラムバリアがこの半導体デバイスの上面に積層され、その上面に表示装置が適用される。これを封止するために、積層されたメラムバリアを有する他の可撓性基材が表示装置の上面に装着される。表示装置を封止するための第2の可撓性基材を省略することができるOLED、PLED、EL、燐光発光性ディスプレイ等の場合は、損傷を受けやすい表示装置を湿気および酸素から保護するために、メラムバリアをその上面にインライン(真空中)で直接積層することができる。
【0079】
OLEDまたはPLEDディスプレイがガラスまたは金属封止を用いずに単一の硬質ガラス基材上に構築される他の実施形態においては、封止として1つ以上のメラム層を1つ以上の前記分離層と組み合わせて、他のOLEDディスプレイ積層体の上面にインライン(真空中)で直接塗布することができる。例えば、水バリアをさらに改善するための、フッ素化合物をベースとするさらなる層もインラインで塗布することができる。より高い保護を得るためにさらなる層をオフラインで塗布することができる。
【0080】
予期せぬことに、さらなる他の実施形態においては、結晶性メラム層は、液晶化合物に基づく(フレキシブル)ディスプレイまたは有機発光ダイオード(OLED)を製造するために、場合により金属酸化物をベースとする他の層と組み合わせて、バリア層として使用するのに十分に適している。フレキシブルディスプレイの場合、PET等の可撓性基材に、メラムの層および金属酸化物(酸化ケイ素または酸化アルミニウムまたはこれらの組合せ等)の層を繰り返し塗布することができる。高剛性OLEDディスプレイの場合、メラム層を保護層として他のOLED分子の上面にインライン(真空中)で直接塗布してもよい。例えば、水バリアをさらに改善するためのフッ素化合物をベースとするさらなる層もインラインで塗布してもよい。より高い保護を得るためにさらなる層をオフラインで塗布してもよい。さらに、積層されたメラム層は、損傷を受けやすい装置を効果的に保護できることが分かった。好ましくは、メラム層は、例えばアクリル酸エステル系被膜等の中間平坦化層と積層される。
【0081】
同様に、メラム被膜は、フレキシブルエレクトロニクスにも非常に好適である。
【0082】
本発明の他の実施形態においては、積層体または複合層がディスプレイまたは他のエレクトロニクス製品、好ましくはフレキシブルエレクトロニクス製品の内部または表面上で使用される。フレキシブルエレクトロニクス製品の一例としては、フレキシブルディスプレイがある。
【0083】
他の実施形態においては、ディスプレイ(フレキシブルおよび高剛性の両方)を基礎とする有機発光ダイオード(OLED)および液晶ディスプレイにおいてメラムがバリア層として適用される。OLED化合物は、特に湿度および酸素の作用による影響を受けやすい。高剛性ディスプレイの現在の製造方法においては、OLED分子が真空蒸着される。最終的な高剛性ディスプレイは、酸素および湿気がディスプレイ装置内に拡散するのを防ぐために真空下で封止される。この方法は非常に費用および時間がかかる。驚くべきことに、本発明者らは、OLED分子の上面にメラムを最上層として直接適用すると、様々な種類の封止機構の適用を必要とすることなくこのようなディスプレイの寿命が大幅に延長されることを見出した。湿気バリアを増大させるためにメラム層に様々な種類のフッ素系化合物等の蒸着可能な化合物を塗布することも可能である。蒸着可能な化合物の最終積層体(OLED/トリアジン/フッ素化合物)の上面に、保護トップコートを様々な湿式方法を用いてオフラインで適用することができる。
【0084】
他の実施形態においては、2つの金属層、例えば蒸着されたクロム、銅、銀、アルミニウム、または金層等の間の誘電体被膜にメラム層が使用される。
【0085】
基材をまず最初に下塗り層で処理すると、メラム層のバリア性および/または接着を改善することができる。下塗りとしては様々な種類の化合物を使用することができる。その例としては、アクリル酸エステルやエポキシ等のUV硬化型モノマーならびにエポキシ、イソシアネート、またはポリエステルをベースとする接着剤等の様々な種類の熱硬化型樹脂が挙げられる。パリレン等の下塗りを適用するために化学気相合成(CVD)法を用いることも可能である。
【0086】
好ましい実施形態においては、85%RH等の高湿度条件下において高弾性率および/または低膨張係数を有する下塗りが適用される。好適な下塗りは、ポリウレタン等のアクリレート官能基を有するオリゴマーをベースとするUV硬化型被膜、湿気硬化型シリカ系被膜等である。好ましくは、硬化後の下塗りのTgは50℃以上である。
【0087】
下塗りの適用は、メラム化合物を堆積させる前にインライン(真空チャンバ内)でまず最初に下塗りを、例えば、蒸発、霧化、もしくはCVDにより適用するか、またはオフラインで、すなわち下塗りを真空チャンバ外で適用することによって実施することができる。異なる種類の下塗りおよび接着剤を用いてインラインおよびオフライン法を併用することも可能である。より高いバリア性を達成するために、この工程を何度も繰り返すことによって、ベース基材(例えば、PET)、下塗り、メラム層、下塗り、メラム層、下塗り等からなる複合構造を生成させてもよい。メラム層の上面に下塗りを適用する場合は、この層を湿度の作用および機械的摩耗から保護するためのさらなる機能を有するものであってもよい。予期せぬことに、メラムの場合、このトリアジンが良好な耐水性を示すことがわかった。
【0088】
基材フィルムは、均質な材料からなるものであってもよいし、あるいはそれ自体が均質でないかまたは複合材料であってもよい。基材フィルムは様々な層を備えていてもよい。好ましくは、フィルムは、高分子材料を含む。高分子化合物の例は、熱可塑性化合物および熱硬化性化合物である。熱可塑性化合物の好適な例としては、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエステル、およびポリアミドが挙げられる。このようなポリマーの好適な例としては、HDまたはLDポリエチレン(PE)、LLDポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等の高温安定性を有するポリマー、液晶ポリマー(LCP)、ならびにポリエーテルスルホン(PES)が挙げられる。これらの熱可塑性化合物は、そのまままたは延伸のいずれかのフィルム形態で使用される場合が多く、このような延伸は、二軸性であってもよく、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)や二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)等である。フィルムはまた、紙の層を含んでいてもよい。
【0089】
プラスチックフィルムにAl等の金属またはAlO、SiO、もしくはこれらの混合物等の金属酸化物を塗布してもよい。メラムのさらなる層は、水蒸気透過と同様に酸素透過に関してもバリア性を増大させる。これは、メラム被膜が(機械的に弱い)金属(酸化物)フィルムを保護することおよび/またはその固有のバリア性のいずれかによって達成されている可能性がある。さらに予期せぬことに、この系は完全なレトルト耐性も有していた。金属酸化物の層は透明であるという利点があり、(さらなる層としてのメラムと一緒にしても)電子レンジ耐性を得ることを可能にする。
【0090】
結晶性メラム層を有する基材は、例えば、フレキソ印刷、グラビアまたは活版印刷等の当該技術分野において周知の方法で印刷することができる。例えば、溶剤またはUV硬化型インク等の好適なインクを使用してもよい。印刷は、積層体上で実施することもできる。
【0091】
結晶性メラム層を有する基材はさらに加工されて積層体となるであろう。さらなる積層ステップは、接着剤を適用し、さらにフィルムを適用することによって実施することができるか、または直接押出ラミネートすることによって実施することができる。
【0092】
接着剤として、溶剤系接着剤または無溶剤系を使用してもよい。本発明の好ましい実施形態においては、接着剤は、メラム層に適切に接着し、高い強度を示し、それによって結晶性メラム層の密着性を促進するものである。好適には、接着剤は、低膨張、高Tg、高架橋密度、および本質的に高い水分バリアを有する。接着剤の例としては、アクリル酸エステル、エポキシ、イソシアネート、ポリエステル、およびメラミンホルムアルデヒド樹脂をベースとする様々な種類のUVまたは熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0093】
本発明のさらなる実施形態においては、直接押出ラミネートは、その通常温度である約400℃で実施される。このような処理で昇華するメラミンとは異なり、メラム層がこのような高温に耐えられることは有利である。
【0094】
本発明の他の実施形態においては、直接押出ラミネートは比較的低温で実施される。低温にすることによりエネルギーが節減され、バリア特性が改善される可能性がある。一般に、押出ラミネートは、他の系の接着を改善することを目的として押出フィルムを酸化させるために約400℃で実施される。このような高温は必ずしも必要ではないことが分かっているので、好ましくは、押出ラミネートは約300℃以下の温度で実施される。
【0095】
本発明による複合層は、好ましいバリア性、例えば、低い酸素透過度(OTR)および低い水蒸気透過度(WVTR)を有しており、かつ十分な耐摩耗性を有している。したがって、本発明の複合層は、そのまま印刷および積層に使用することができる。
【0096】
OTRは、通常、20〜30℃および0%〜85%RHの雰囲気中で測定される。一般に、好ましい値は、基材に応じて異なる。基材が二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)である場合、OTRは、通常、約400cc/m・24h以下、好ましくは約300cc/m・24h以下、よりさらに好ましくは約200cc/m・24h以下であろう。通常、BOPPの場合、OTRは約5cc/m・24h以上であろう。これは、例えば、約50cc/m・24h以上であってもよい。OTRは、好適な装置、例えばモダン・コントロール・コーポレーション(Modern Control Co.)製のオキシトラン(OXTRAN)2/20等で測定することができる。基材がPETフィルムの場合、OTRは通常、約50cc/m・24h以下、好ましくは約30cc/m・24h以下、よりさらに好ましくは約10cc/m・24h以下であろう。通常、PETおよびOPAの場合、OTRは約0.3cc/m・24h以上であろう。これは、例えば、約0.5または1cc/m・24h以上であってもよい。
【0097】
水蒸気透過度(WVTR)は、モダン・コントロール・コーポレーション製のパーマトラン(PERMATRAN)3/31を用いて、25〜40℃、50〜90%RHの雰囲気中で測定することができる。好ましい値は基材に応じて異なるであろう。例えばBOPPの場合、WVTRは、通常は約3g/m・24h以下、好ましくは約2g/m・24h以下、より好ましくは約1g/m・24h以下である。通常、水蒸気透過度は約0.1g/m・24h以上、例えば約0.2g/m・24h以上であろう。例えば、PETの場合、WVTRは、通常は約10g/m・24h以下、好ましくは8g/m・24h以下、好ましくは約7g/m・24h以下、より好ましくは約4g/m・24h以下である。通常、水蒸気透過度は、約0.5g/m・24h以上、例えば約2g/m・24h以上であろう。
【0098】
好ましくは、積層体のOTRおよびWVTRは、他の基材を用いた場合も、前の2つの段落で示した値に一致する。
【0099】
場合により例えば印刷および積層によってさらに加工された複合層は、あらゆる種類の包装材(例えば、紙、シート、およびフィルム)として用いるかまたはそれらに適用することができる。包装材は、その内容物を例えば酸素から非常に適切に保護し、このようにして例えば食品またはパーソナルケア製品の貯蔵寿命を延長するかまたは電子部品を酸素の攻撃から保護する。
【0100】
一実施形態においては、積層体は、基材としてのPETまたはBOPPフィルム、バリア層としての結晶性メラム層を備え、さらにこの積層体は、結晶性メラム層上に模様または図形および接着剤を有し、その上にポリオレフィンフィルム(好ましくはPEフィルム等)であってもよいさらなるフィルムを有する。他の好ましい実施形態においては、メラム層に直接印刷することに替えてポリオレフィンフィルムが反転印刷されている。
【0101】
蒸着自体は当業者に周知の方法である。蒸着ステップは、減圧下、すなわち大気圧未満で実施される場合が多い。本発明による方法においては、圧力は、好ましくは約1000Pa(10ミリバール)未満、好ましくは約100Pa(1ミリバール)未満、よりさらに好ましくは約10Pa(0.1ミリバール)未満である。メラムの堆積が、Alまたは金属酸化物を堆積させる器具内で実施される場合は、蒸着ステップを実施する圧力をさらに減圧することも同様に可能であるが、約1×10−2ミリバール未満の圧力がより好ましい。メラムは、金属(酸化物)と同じチャンバ内で、または金属(酸化物)に替えて堆積させることができる。金属(酸化物)およびメラムの両方を堆積させる場合、金属(酸化物)の堆積およびメラムの堆積は別々のチャンバで行うことが好ましい。通常、蒸着ステップは、約10−4ミリバール以上、好ましくは約10−3ミリバール以上で実施される。
【0102】
好ましくは、メラムを蒸発させる温度は約300℃以上、好ましくは330℃以上である。温度が高過ぎる、かつ/または滞留時間が長過ぎるとメラムが劣化する可能性があるので、蒸発温度は約460℃以下、好ましくは440℃以下である。しかしながら、このような高温によって時間をごく短時間にすることが可能になることが分かった。メラムの加熱を20分以下等の比較的短時間のみで行う場合、好ましくは、メラムは、360℃以上、最も好ましくは370℃以上の温度で塗布される。温度は、好ましくは、約390℃以下、最も好ましくは380℃以下である。
【0103】
好ましい実施形態においては、メラム粉末は、真空チャンバ内に配置された蒸発装置内で蒸発される。蒸発装置は加熱を行うことができる容器であり、メラムの蒸気を容器から放出することができる1つ以上の細穴を有する。蒸着工程は、粉末の温度プロファイル、蒸発装置外部の真空引き、および粉末の性質によって制御される。粉末は高い蒸発速度を得るのに十分に微細であるべきである。しかしながら、非常に微細な粉末は取扱いが難しく、塗布工程中に(望ましくない)粉塵が発生し得る。粉末のd50は、好ましくは、200ミクロン未満、より好ましくは100ミクロン未満、最も好ましくは60〜10ミクロンである(乾燥粉末に適用されるシンパテック(Sympatec)レーザー回折法)。
【0104】
蒸発装置で高い蒸発効率を得るためには、蒸発装置外部の圧力を、好ましくは蒸発装置内の最低温度における粉末の平衡蒸気圧よりもはるかに低くする。発熱体間の距離がより長くなると、同じ壁面温度においては温度がより低くなるため、蒸発装置内の所要の真空はより高くなるであろう。好ましくは、蒸発装置外部の圧力は、蒸発装置内の粉末の最低温度におけるメラムの平衡蒸気圧の50%未満、より好ましくは、蒸発装置内の粉末の最低温度におけるメラムの平衡蒸気圧の25%未満とするべきである。蒸発装置外部の蒸気圧は、好ましくは、3×10−2ミリバール未満、より好ましくは10−2ミリバール未満、最も好ましくは3×10−3ミリバール未満である。実際の粉末蒸着の範囲内におけるメラムの平衡蒸気圧は3×10−3ミリバール〜10−1ミリバールである。
【0105】
粉末をより高温にすることによってより高い蒸発速度を得ることができる。しかしながら、メラムはより高温で分解するので、蒸発速度およびメラムの分解の間で経済的な最適条件を見出すべきである。メラム粉末の温度は、好ましくは390℃〜290℃である。蒸発装置内の滞留時間がより短い場合は、滞留時間がより長い場合よりもより高温にすることが可能である。所要の滞留時間は、蒸発装置が所要の性能を発揮するはずの時間である。蒸発装置内の所要の滞留時間が2時間を超える場合は、メラム粉末の温度は好ましくは310℃〜370℃、より好ましくは320℃〜360℃である。蒸発装置内の所要の滞留時間が5時間を超える場合は、メラム粉末の温度は好ましくは300℃〜360℃、より好ましくは350℃未満である。塗布時間をより長くするために、順次運転される一連の蒸発装置を使用することができる。より厚肉の堆積層を得るために一連の蒸発装置を同時に運転することができる。メラムの蒸発装置への(半)連続式供給および副生成物の除去も適用することができる。この方法は、メラムの温度がより高い(>360℃)場合に特に好適である。
【0106】
最適な結果を得るためには、かなり純度の高いメラムを使用することが好ましい。不純物を含むメラムは、メラムおよび他の成分の一層早い劣化、黄色変化、または不均一な堆積を招く可能性がある。
【0107】
純度が約80%以上、好ましくは90%以上の等級のメラムを使用することが好ましい。不純物は、メラミンまたはメレムの可能性がある。堆積時のメラミンの量は、約5%以下であることが特に好ましい。これは、メラムをロールツーロール蒸発装置に加える前または分解を開始する前にメラムを200〜250℃の減圧下で予備加熱してメラミンを蒸発させることによって初期段階で達成することができる。さらにこの工程が15または20分間を超える場合は、温度および/またはメラムが高温に曝される時間を慎重に制御することが必要である。
【0108】
蒸着ステップの際の基材の温度は約−60℃以上、好ましくは約−20℃以上、最も好ましくは約0℃以上である。基材の温度は、通常、約+125℃以下、好ましくは約+80℃以下、最も好ましくは約30℃以下であろう。
【0109】
好ましくは、蒸着の際の基材の温度は約50℃以下に維持される。
【0110】
本明細書において、基材の温度は、基材の蒸着されていない部分の温度と定義される。例えば、蒸着ステップが、温度制御された塗布ドラム上に誘導されるフィルム上で実施される場合、基材の温度は、塗布ドラムが制御される温度、したがって、塗布ドラムに直に接触するフィルムの表面部分の温度である。このような場合、堆積すべき化合物が125℃よりもはるかに高い温度を有する場合が多いという事実を鑑みると、典型的には(周知のことであるが)、基材の堆積される面の温度が堆積されない面の温度より高くなるであろう。
【0111】
一実施形態においては、さらに本発明は、本発明の方法において使用するための装置に関する。メラムを適用するための設備は、真空チャンバと、塗布すべき基材の全長に亘る発熱体およびシャッターを備えるオーブンを有する蒸発装置とを備え、この発熱体は、オーブンの内容物を370〜450℃まで加熱することができる。
【0112】
他の実施形態においては、さらに本発明は、メラムの分解を防ぐ方策がとられている本発明の方法に使用するための装置に関する。このメラムの蒸着用設備は、真空チャンバと、塗布すべき基材の全長に亘る発熱体およびシャッターを備えるオーブンを有する蒸発装置とを備え、この発熱体は、オーブンの内容物を310〜420℃まで加熱することができ、この装置は、この方法を実施する間、真空中で粉末を発熱体に供給する手段を含む。
【0113】
他の実施形態においては、上述の実施形態を組み合わせてもよく、蒸発装置はメラム粉末および最も近くの発熱体との距離が10cm未満、好ましくは8cm未満、より好ましくは6cm未満、最も好ましくは4cm未満になるように配置された発熱体を有する。蒸発装置は、例えば、銅またはステンレス鋼から作製されており、オーブンの全長に亘る発熱体を有する。オーブンは、仕切りの中央部からもメラムを加熱するための例えば4×4cmの正方形の金属板を有していてもよい。他の実施形態においては、オーブンは、オーブンの中央部が1つ以上の板で仕切られており、これを加熱することができ、加熱された板の距離は例えば2cmである。オーブンはまた、メラムを加熱するための中央部を貫通したスパイラルコードを有していてもよい。粉末と発熱体との距離が長くなるほど、発熱体に最も近い粉末の温度との粉末の温度差が大きくなるであろう。発熱体は任意の形状、例えば、平坦、湾曲、円筒、らせん形を有していてもよい。蒸発装置は、1つ以上の発熱体を含んでいてもよい。発熱体は、容器内または容器側面に配置することができる。温度プロファイルは、粉末の性状、粒度、嵩密度、熱伝導度に依存する。より均一な温度を達成するために、メラムを、例えば、ゆっくりと前後に回転するスクリューミキサーで連続的または間欠的にかき混ぜることが可能である。
【0114】
高い蒸発効率を得るためには、蒸発装置のメラム蒸気を流出させるための細穴を十分な大きさにすべきである。細穴の開口面積は、好ましくは、蒸発装置内のメラム1kg当たり0.003mを超え、より好ましくは、蒸発装置内のメラム1kg当たり0.006mを超える。メラム粉末から最も近い細穴までの距離は、好ましくは0.3m未満、より好ましくは0.2m未満、最も好ましくは0.15m未満である。
【0115】
蒸気排出用の細穴と塗布すべきフィルムとの距離は、通常、0.01〜0.15mである。細穴を通過する蒸気の流速がより速ければ、フィルムまでの距離をより長くすることができる。蒸発装置の圧力が真空チャンバの少なくとも2倍高ければ速い流速に到達する。
【0116】
この設備は、好ましくは、ウェブコーター内に取り付けられており、ロールツーロールとしても周知の(半)連続式工程でプラスチック基材に塗布することができる。例えば、アルミナの堆積に使用されるウェブコーターに、メラムの加熱および堆積に好適なオーブンを後付けすることができる。
【0117】
この設備はまた、ソーラーパネルまたはディスプレイパネルを作製するための塗布装置にも取り付けることができる。このような装置においては、通常、平坦化層およびバリア層(本件の場合においては、1つ以上のメラム層等)が剛性基材に半連続的に塗布される。
【0118】
以下の非限定的な実施例により本発明をさらに説明する。
【0119】
[実施例1および比較実験A]
ボックスコーター(box coater)内で塗布実験を実施する。12ミクロンのPETフィルムをプラズマ処理し、10−4ミリバールの真空下でメラムを塗布した。オーブンを10分間加熱し、その後、シャッターを開放位置にする。塗布時間は1分間とする。メラムの蒸発温度は370℃である。ラミネート強度を測定するために、ウレタン接着剤、酢酸エチルを溶剤とした溶剤系を用いて(レトルト耐性を有する接着剤を使用する)、フィルムをさらなるプラスチックフィルム(OPAおよびCPPフィルム)と積層する。
【0120】
JIS Z0238に従い、ラミネート強度を、テンシロンインストロン(Tensilon instron)試験機で速度を30mm/分とし、2枚のフィルムの角度を90°として測定した。
【0121】
酸素透過度(OTR)を、23℃および0%RHの雰囲気中、モダン・コントロール・コーポレーション製のオキシトラン2/20を用いて測定した。
【0122】
蒸気透過度を、40℃、90%RHの雰囲気中、モダン・コントロール・コーポレーション製のパーマトラン3/31で測定した。結果を表1に示す。
【0123】
【表1】



【0124】
これらの実験から、レトルト処理条件でメラミンバリア層のバリアおよび接着性は確実に大幅に低下するが、メラムはごくわずかな影響しか受けないことが明らかである。
【0125】
[実施例2]
同様にして、12ミクロン(PET)のポリエチレンテレフタレートフィルムをメラム(300nm)で処理する。次いで、メラム層に印刷を行っても透過度が増大することはない。印刷された層は、PEを400℃で直接押出することによりさらに積層される。結晶性メラム層は、こうして作製されたフィルム(15〜35ミクロン)による加熱に耐えることができ、良好なラミネート強度を示した。OTRは0.5であり、WVTRは2であった。
【0126】
[実施例3]
同様にして、PETフィルムに結晶性メラム層を付与した。初期OTRは0%RHで0.61であった。OTRが0.78に上昇した85%RHで2日間のエージングを行った後、再び0%RHで測定したOTRはわずか0.51であった。
【0127】
[実施例4]
SiOを塗布した12μmのPETフィルムに、さらにロールツーロール塗布によってメラムを塗布した。塗布速度を20m/分とし、メラム蒸発装置の側壁内の発熱体の温度を350℃とした。適用した被膜は、約20分間の立ち上げ段階の後、連続的に肉厚が約12nmとなり、HPLCで測定したメラム/メラミン比(w/w)は5.1であった。酢酸エチル中のリグニンフェノールホルムアルデヒド(LPF)接着剤を用いて、OPA/CPPを最上層として積層体を作製した。以下の特性を測定した:
【0128】
【表2】



【0129】
積層体を水蒸気環境下で30分間121℃で加熱することによってレトルト処理を適用した。
【0130】
ゲルボ80は、条件D Full Flexで80サイクルのゲルボ試験を意味する。
【0131】
上の実験から、SiOを塗布し、メラムでトップコートしたPETから高品質のフィルムが得られ、SiOがさらに活性なバリア層で保護されることがわかった。
【0132】
[実施例5]
BOPPを100nmのメラムで塗布した。比率(w/w)は4.7(メラム:メラミン)であった。CPPとの積層体のOTRは約20であり、レトルト処理後は26(0%RH)であった。
【0133】
[実施例6]
PETにNanotool湿気硬化型シラノール被膜を塗布した。メラムを堆積させた。塗布後のフィルムの水蒸気透過は約8であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に蒸着されたメラムの、高湿度に耐えるバリア性が必要とされる用途における使用。
【請求項2】
レトルト耐性を有する積層体におけるバリア層としての、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
金属コート紙におけるアンダーコートおよび/またはトップコートとしての、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
太陽電池またはディスプレイ用途におけるバリア層としての、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
PP、PA、またはPETフィルムのうちの1種またはそれ以上、メラムバリア層、および接着剤を含み、レトルト処理条件(121℃の水蒸気環境下で30分間)に耐えることができる積層体。
【請求項6】
前記PP、PA、またはPETフィルムおよび前記メラム層の間に金属酸化物層を含む、請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
レトルト処理後の接着力が、少なくとも2.5N/インチである、請求項5〜6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
カレンダ紙、クレー、アンダーコート、金属層、およびトップコートを含み、前記コートの一方または両方がメラムである、金属コート紙構造体。
【請求項9】
前記層が、メラムおよびメラミンを、メラム/メラミン比(w/w)が約3以上かつ約20以下で含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製品の使用。
【請求項10】
基材としてのプラスチックフィルムおよび結晶性トリアジンバリア層を含み、前記トリアジン層が、メラムおよびメラミンを、メラム/メラミン比(w/w)が約3以上かつ約20以下で含む、積層体。
【請求項11】
前記プラスチックフィルムが金属または金属酸化物層をさらに含む、請求項10に記載の積層体。
【請求項12】
高弾性率または低膨張係数を有する被膜層をさらに含む前記プラスチックフィルムが、85%RHに曝される、請求項10に記載の積層体。
【請求項13】
前記メラム層の厚みが約10nm〜200nmである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製品の使用。
【請求項14】
メラムを適用するための設備であって、真空チャンバと、塗布すべき基材の全長に亘る発熱体およびシャッターを備えるオーブンを有する蒸発装置とを備え、前記発熱体が、前記オーブンの内容物を310〜390℃まで加熱することができ、かつメラムの分解を防ぐ手段を備える、設備。
【請求項15】
メラムが塗布されたフィルムを作製するための方法であって、前記フィルム上にメラム対メラミン比(w/w)が3超:1であるメラムの層が得られるように、プラスチックのロールを真空チャンバ内でロールツーロール塗布工程に付す、方法。
【請求項16】
メラムが塗布された基材を作製するための方法であって、前記基材上にメラム対メラミン比(w/w)が3超:1であるメラムの層が得られるように、基材を真空チャンバ内で塗布工程に付す、方法。
【請求項17】
前記メラムの分解を防ぐ手段を含む、請求項16〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記メラムが約310〜390℃の温度に加熱される、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記メラム対メラミンの比(w/w)が約50:1以下である、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−527248(P2011−527248A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517148(P2011−517148)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058634
【国際公開番号】WO2010/003965
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】