説明

バルクフィーダ

【課題】所定の円軌道で移動する永久磁石の磁力によって収納室内の部品に不要な変動(取込口への部品流入に関与しない変動)が生じることを防止できるバルクフィーダを提供する。
【解決手段】バルクフィーダは、収納室14と、永久磁石40d付きのロータ40と、取込口15aと、磁力防御用の張り出し部分OPと、を備えている。磁力防御用の張り出し部分OPは、ロータ40の回転に伴って円軌道で移動する各永久磁石40dのうち、取込口15aの右側を通過して下方に移動する永久磁石40dの磁力が収納室14内の電子部品ECに及ぶことを防ぐものであり、該永久磁石40dの移動経路を覆うようにして収納室14内に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ状態の電子部品を所定向きに整列して供給するバルクフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に開示されたバルクフィーダは、後側の壁面と外周の円弧状ガイド面とを有する収納室と、ガイド面の上端に設けられた取入口(以下、取込口と言う)と、取込口から下流に向かって設けられた通路と、収納室の壁面の後方に設けられた回転板と、回転板に設けられた磁石とを備えている。このバルクフィーダでは、回転板を所定方向に回転させることによって、磁石の磁力によって吸引された複数の部品を壁面及びガイド面に沿って上方に移動させ、壁面及びガイド面によって整列された部品のみを取込口へ流入させるようにしている。
【0003】
ところで、前記バルクフィーダは、回転板の回転に伴って所定の円軌道で移動する磁石が上方に移動する過程で取込口に部品を流入させるものであり、磁石が取込口の後側を通過して下方に移動する過程は取込口への部品流入には関与しない。
【0004】
しかしながら、前記バルクフィーダでは、磁石が取込口の後側を通過して下方に移動する過程でも該磁石の磁力が収納室内の部品に及ぶようになっているため、下方移動する磁石の磁力によって収納室内の部品に不要な変動(取込口への部品流入に関与しない変動)が生じてしまう。この不要な変動は部品相互が擦れ合う機会を増す原因となるため、該擦れ合いによって、部品の表面に傷が付く不具合や部品の外部電極が黒化して半田ぬれ性が低下する不具合等を生じてしまう。
【特許文献1】特許第3482324号
【特許文献2】特許第3796971号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、所定の円軌道で移動する永久磁石の磁力によって収納室内の部品に不要な変動(取込口への部品流入に関与しない変動)が生じることを防止できるバルクフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、バラ状態の電子部品を所定向きに整列して供給するバルクフィーダであって、磁力による吸引を可能とした多数の電子部品をバラ状態で収納するための収納室と、少なくとも1つの永久磁石を有し、且つ、該永久磁石が所定の円軌道で移動しその磁力が収納室内の電子部品に及ぶように該収納室の一側面の外側に回転自在に配置されたロータと、収納室内に設けられ、且つ、ロータの回転に伴って永久磁石が上方に移動する過程で所定向きの電子部品を流入させるための取込口と、ロータの回転に伴って永久磁石が取込口の外側を通過して下方に移動する過程で該永久磁石の磁力が収納室内の電子部品に及ぶことを防ぐための磁力防御部と、を備える。
【0007】
このバルクフィーダは、ロータの回転に伴って永久磁石が取込口の外側を通過して下方に移動する過程で該永久磁石の磁力が収納室内の電子部品に及ぶことを防ぐための磁力防御部を備えている。そのため、永久磁石が取込口の外側を通過して下方に移動する過程において、該永久磁石の磁力によって収納室内の電子部品ECに不要な変動(取込口への部品流入に関与しない変動)が生じることは無い。つまり、この不要な変動を原因とした電子部品相互の擦れ合いによって電子部品の表面に傷が付く不具合や電子部品の外部電極が黒化して半田ぬれ性が低下する不具合等を生じることを回避することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定の円軌道で移動する永久磁石の磁力によって収納室内の部品に不要な変動(取込口への部品流入に関与しない変動)が生じることを防止できるバルクフィーダを提供することができる。
【0009】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を以下に説明するが、該説明中に用いた「一致」及び「同一」の用語は寸法上の公差を含むものであり、完全一致及び完全同一を意味するものではない。また、以下の説明では図1(A)の左,右,手前及び奥と他の図のこれらに相当する方向をそれぞれ前,後,左及び右と称する。
【0011】
[第1実施形態]
図1〜図14は本発明の第1実施形態を示す。図1(A)〜図1(C)はバルクフィーダの左面図,右面図及び上面図、図2(A)〜図2(C)は図1に示したバルクフィーダで供給される電子部品の斜視図及び該バルクフィーダで供給可能な電子部品の斜視図、図3(A)〜図3(C)は図1に示したケースを構成する左板の左面図,中央板の左面図及び右板の左面図、図4(A)〜図4(D)は図3(C)の部分拡大断面図,該案内溝の変形例を示す部分拡大断面図及び図2(B)及び図2(C)に示した電子部品を供給対象とする場合の案内溝を示す部分拡大断面図、図5は図3(C)の部分拡大上面図、図6(A)〜図6(D)は図3(C)の部分拡大断面図及び該案内溝を図4(B)〜図4(D)に示した案内溝に置換した構造を示す部分拡大断面図、図7(A)〜図7(C)は図1に示したロータの左面図,上面図及び図7(A)のS3−S3線に沿う断面図、図8は右板の案内溝とロータの永久磁石との位置関係を示す詳細図、図9は図1(C)の部分拡大図、図10は図1(C)のS1−S1線に沿う拡大断面図、図11は図1(C)のS2−S2線に沿う拡大断面図、図12〜図14は図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【0012】
まず、図2を引用して、図1に示したバルクフィーダで供給される電子部品及び該バルクフィーダで供給可能な電子部品について説明する。
【0013】
図2(A)は図1に示したバルクフィーダで供給される電子部品EC1を示す。同図に示した電子部品EC1は、長さL1>幅W1=高さH1の寸法関係を有する直方体形状を成し、長さ方向両端部に外部電極EC1aを有している。この電子部品EC1の代表例は長さL1が1.0mm前後(具体的には1.6mm,1.0mm,0.6mm,0.4mm等)のチップコンデンサである。この電子部品EC1は強磁性体に属する材料を含む外部電極EC1aを有する他、種類によっては強磁性体に属する材料を含む内部導体を有していることから、永久磁石の磁力による吸引が可能である。
【0014】
図2(B)及び図2(C)は後述する案内溝13bの断面形を変更することによって図1に示したバルクフィーダで供給可能な電子部品EC2,EC3を示す。図2(B)に示した電子部品EC2は、長さL2>幅W2>高さH2の寸法関係を有する直方体形状を成し、長さ方向両端部に外部電極EC2aを有していている。この電子部品EC2の代表例は長さL2が1.0mm前後(具体的には1.6mm,1.0mm,0.6mm,0.4mm等)のチップレジスタである。図2(C)に示した電子部品EC3は、長さL3>直径R3の寸法関係を有する円柱形状を成し、長さ方向両端部に外部電極EC3aを有していている。この電子部品EC3の代表例は長さL3が1.0mm前後(具体的には1.6mm,1.0mm,0.6mm,0.4mm等)のチップコンデンサやチップレジスタである。これら電子部品EC2,EC3も強磁性体に属する材料を含む外部電極EC2a,EC3aを有する他、種類によっては強磁性体に属する材料を含む内部導体を有していることから、永久磁石の磁力による吸引が可能である。
【0015】
次に、図1,図3〜図11を引用して、電子部品EC1を供給対象とする図1に示したバルクフィーダの構造について説明する。
【0016】
バルクフィーダは、図1(A)〜図1(C)に示すように、ケース10と、支軸20と、軸受30と、ロータ40と、図示省略のロータ駆動機構とを備えている。
【0017】
ケース10は、図3(A)に示す左板11と、図3(B)に示す中央板12と、図3(C)に示す右板13とから構成されている。
【0018】
左板11は、図3(A)に示すように、左面視輪郭が略矩形を成し、金属またはプラスチックから形成されている。この左板11は、その4隅にネジ挿通孔11aを有している。
【0019】
中央板12は、図3(B)に示すように、左面視輪郭が左板11と同一で、金属またはプラスチックから形成されている。この中央板12は、その4隅にネジ孔12aを有し、左右方向の貫通孔12bを有している。
【0020】
貫通孔12bは、所定の曲率半径を有する第1円弧面12b1と、第1円弧面12b1よりも曲率半径が小さく、且つ、第1円弧面12b1と曲率中心を一致する第2円弧面12b2と、第1円弧面12b1の下端と第2円弧面12b2の下端とを結ぶ平面12b3と、第1円弧面12b1の上端と第2円弧面12b2の上端との間に形成された凹部12b4とを有している。第2円弧面12b2を含む円弧状部分(以下、張り出し部分OPと言う)は、約180度の角度範囲で第1円弧面12b1の延長線(2点鎖線参照)よりも内側に張り出している。後に詳述するが、この張り出し部分OPは請求範囲で言うところの「磁力防御部」として機能する。また、第1円弧面12b1の曲率半径は後述する案内溝13bの外周縁の曲率半径よりも大きい。
【0021】
右板13は、図3(C)に示すように、左面視輪郭が左板11と同一で、永久磁石の磁力が透過可能なアルミニウム等の金属またはプラスチックから形成されている。この右板13は、その4隅にネジ挿通孔11aを有し、左面に円弧状の案内溝13bを有し、上面に取出口形成凹部13cを有している。
【0022】
案内溝13bは下から上に向かって約180度の角度範囲で形成されており、該案内溝13bの外周縁の曲率中心と内周縁の曲率中心は一致し、且つ、外周縁と内周縁の曲率半径の差は後述する幅Wgを規定する。また、案内溝13bの最上点から前側の部分は前方に延びる直線状となっている。図1に示したバルクフィーダの案内溝13bは、図4(A)に示すように、図2(A)に示した電子部品EC1の幅W1または高さH1よりも僅かに大きく、且つ、端面対角寸法D1よりも小さな幅Wg及び深さDgを有している。つまり、図4(A)に示した案内溝13bは、図2(A)に示した電子部品EC1を幅または高さの面が略揃った長さ向きで収容でき、且つ、同向きのまま案内溝13bに沿って移動させることができる。
【0023】
図4(B)〜図4(D)は図4(A)に示した案内溝13bの変形例と図2(B)及び図2(C)に示した電子部品EC2,EC3を供給対象とする場合の案内溝13bを示す。
【0024】
図4(B)に示した案内溝13bは図4(A)に示した案内溝13bの変形例であり、該案内溝13bは図2(A)に示した電子部品EC1の端面対角寸法D1よりも僅かに大きく、且つ、長さL1よりも小さな幅Wg及び深さDgを有している。つまり、図4(B)に示した案内溝13bは、図2(A)に示した電子部品EC1を幅及び高さの面の方向に拘わらずに長さ向きで収容でき、且つ、同向きのまま案内溝13bに沿って移動させることができる。
【0025】
図4(C)に示した案内溝13bは図2(B)に示した電子部品EC2を供給対象とする場合のものであり、該案内溝13bは図2(B)に示した電子部品EC2の高さH2よりも僅かに大きく、且つ、幅W2よりも小さな幅Dgと、図2(B)に示した電子部品EC2の幅W2よりも僅かに大きな深さDgとを有している。つまり、図4(C)に示した案内溝13bは、図2(B)に示した電子部品EC2を幅及び高さの面が略揃った長さ向きで収容でき、且つ、同向きのまま案内溝13bに沿って移動させることができる。
【0026】
図4(D)に示した案内溝13bは図2(C)に示した電子部品EC3を供給対象とする場合のものであり、該案内溝13bは図2(C)に示した電子部品ECの直径R3よりも僅かに大きく、且つ、長さL3よりも小さな幅Wg及び深さDgを有している。つまり、図4(D)に示した案内溝13bは、図2(C)に示した電子部品EC3を長さ向きで収容でき、且つ、同向きのまま案内溝13bに沿って移動させることができる。
【0027】
取出口形成凹部13cは、図5に示すように、右板13の上面一部を左右方向に切り欠くようにして形成されており、案内溝13bに達する所定の深さを有している。つまり、案内溝13bの最上点及びその前後部分は、取出口形成凹部13cを通じ、上方に向けて部分的に開放している。
【0028】
また、右板13の左面には、金属またはプラスチックから成る取込口形成部材13dが止めネジFSを用いて着脱自在に取り付けられている。図示を省略したが、取込口形成部材13dにはネジ挿通孔が形成されており、右板13の左面には止めネジFSがねじ込まれるネジ穴が形成されている。この取込口形成部材13dは、中央板12の凹部12b4の内形に合致した外形を有すると共に、円弧面13d1の分だけ幅が狭くなった狭幅部分13d2を有している。また、取込口形成部材13dの厚さは中央板12の厚さと一致している。さらに、円弧面13d1の曲率半径は案内溝13bの外周縁の曲率半径よりも大きく、該曲率半径は中央板12の第1円弧面12b1の曲率半径と同一か或いは僅かに大きい。つまり、図6(A)に示すように、案内溝13bの左面開口は取込口形成部材13dの狭幅部分13d2によって部分的に閉塞されており、該閉塞部分の後端は後述する取込口15aとなる。
【0029】
図6(B)〜図6(D)は右板13の案内溝13b(図5(A)参照)を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した構造を示す。何れの構造も、図6(A)と同様に、案内溝13bの左面開口は取込口形成部材13dの狭幅部分13d2によって部分的に閉塞され、該閉塞部分の後端は後述する取込口15aとなる。
【0030】
さらに、案内溝13bの前側直線部分には、四角柱形または円柱形を成し、金属またはプラスチックから形成されたストッパ棒13eが嵌め込まれている。このストッパ棒13eは、図5に示すように、その後部を取出口形成凹部13c側に突出しており、該突出部分を取出口形成凹部13cを通じて露出している。つまり、ストッパ棒13eの後部は先に述べた案内溝13bの開放部分に入り込んでいて、該開放部分のうちのストッパ棒13eが存しない領域は後述する上面開口の取出口16となる。
【0031】
さらに、右板13の右面には、支軸20をネジ止めするための複数のネジ穴13fが形成されている。
【0032】
ケース10は、図3(B)に示した中央板12の左面に図3(A)に示した左板11を重ねて止めネジFSを用いて取り付け、且つ、図3(B)に示した中央板12の右面に図3(C)に示した右板13を重ねて止めネジFSを用いて取り付けることによって組み立てられている。
【0033】
この組み立て状態にあっては、中央板12の貫通孔12bの左面開口が、左板11の右面によって閉塞され、且つ、中央板12の貫通孔12bの右面開口が、右板13の左面によって閉塞される。また、中央板12の貫通孔12bの凹部12b4には、右板13の取込口形成部材13dが嵌り込む。さらに、右板13の案内溝13bの左面開口の上部が、取込口形成部材13dの狭幅部分13d2と、中央板12の張り出し部分OPとによって閉塞される。さらに、右板13の取出口形成凹部13cの左面開口が、中央板12の右面によって閉塞される。
【0034】
つまり、ケース10内には、貫通孔12bの第1円弧面12b1,第2円弧面12b2及び平面12b3と、取込口形成部材13dの円弧面13d1及び狭幅部分13d2の後面並びに下面と、左板11の右面の一部と、右板13の左面の一部とによって囲まれた収納室14(図10及び図11参照)が画成される。また、ケース10内には、案内溝13bと同一の断面形を有し、且つ、長さ向きの電子部品EC1を同向きのまま移動可能な供給通路15(図9及び図10参照)が形成されると共に、該供給通路15の後端にその入口となる取込口15a(図10参照)が形成される。さらに、ケース10の上面には、供給通路15の前端に存し、且つ、電子部品EC1を外部に取り出すための上面開口の取出口16(図9〜図11参照)が形成される。
【0035】
要するに、ケース10の右板13の左面に下から上に向かって約180度の角度範囲で形成された案内溝13bのうち、その左面開口が閉塞されていない部分(約150度の角度範囲部分)が実質上の案内溝13bとして機能し、その左面開口が閉塞された部分(約30度の角度範囲部分)が該実質上の案内溝13bの上端(取込口15a)から収納室14の上方まで延設された供給通路15として機能する。
【0036】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図4(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、前記と同様の組み立てによって、各案内溝13bの断面形に応じた実質上の案内溝13b及び該実質上の案内溝13bの上端(取込口15a)から収納室14の上方まで延設された供給通路15を、収納室14及び取出口16と共に形成することができる。
【0037】
支軸20は、図11に示すように、軸本体20aと、該軸本体20aの左端に設けられた鍔部20bとを有しており、金属またはプラスチックから形成されている。この支軸20は、鍔部20bに設けられた複数のネジ挿通孔に止めネジを差し込んで右板13の右面のネジ穴13fにねじ込むことによって右板13の右面中央に取り付けられている。この取り付け状態にあっては、支軸20の軸本体20aの中心は右板13の案内溝13bの曲率中心と一致している。
【0038】
軸受30は、ラジアルタイプのボールベアリングから成り、支軸20の軸本体20aにその内輪を嵌め込んで取り付けられている。
【0039】
ロータ40は、図7(A)〜図7(C)に示すように、円筒部40aと、該円筒部40aの左端に設けられた鍔部40bと、該鍔部40bの左面外周に設けられた環状張出部40cとを有しており、永久磁石の磁力が透過可能なアルミニウム等の金属またはプラスチックから形成されている。また、環状張出部40の左面には、円柱形を成す計8個の永久磁石40dが、ロータ40(円筒部40a)の中心と同心の仮想円VC上に各々の磁力中心が位置するように、且つ、N極面とS極面の一方が露出するように45度間隔で埋設されている。図示した各永久磁石40dは円柱形を成しその両端面に磁極を持つものであるため、その磁力中心(磁力線が最も密集する箇所)は円柱形の端面中心と一致している。
【0040】
このロータ40は、図11に示すように、各永久磁石40dの面(N極面とS極面の一方)が右板13の右面と僅かな間隔をおいて対向するように、円筒部40aの内孔40a1を軸受30の外輪に嵌め込んで取り付けられている。この取り付け状態にあっては、各永久磁石40dの磁力中心が位置する仮想円VCの中心は右板13の案内溝13bの曲率中心と一致しており、ロータ40は支軸30の軸本体20aを中心として回転することでき、該ロータ40の回転に伴って各永久磁石40dは仮想円VCに相当する円軌道で移動することができる。因みに、各永久磁石40dは右板13の外側に存するが、各永久磁石40dには収納室14の右面(右板13の左面の一部)を介して該収納室14内に及ぶ磁力を有するものが使用される。
【0041】
また、図8から分かるように、ロータ40の回転時における永久磁石40dと案内溝13bとの位置関係は、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの磁力中心が該案内溝13b内に向くように、好ましくは永久磁石40dの磁力中心が該案内溝13bの幅Wgの中心と一致するように設定されている。勿論、永久磁石40dと案内溝13bとの位置関係は、永久磁石40dの磁力中心が該案内溝13b内に向いていれば、該永久磁石40dの磁力中心が案内溝13bの幅Wgの中心から内側または外側に多少ずれるように設定されていても良い。因みに、この位置設定は、各永久磁石40dの磁力中心が位置する仮想円VCの曲率半径を変更することによって行える他、右板13の案内溝13bの外周縁及び内周縁の曲率半径を変更することによって行うことができる。
【0042】
さらに、図10から分かるように、ロータ40の回転時における永久磁石40dと収納室14との位置関係は、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面が収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するように、好ましくは案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面の全てが収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するように設定されている。勿論、永久磁石40dと収納室14との位置関係は、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面が収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するようになっていれば、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面の外縁部分を除く部分が収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するように設定されていても良い。因みに、この位置設定は、中央板12の貫通孔12bの第1円弧面12b1の曲率半径を変更することによって行える他、各永久磁石40dの磁力中心が位置する仮想円VCの曲率半径を変更し、且つ、右板13の案内溝13bの外周縁及び内周縁の曲率半径を変更することによって行うことができる。
【0043】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図4(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、前記と同様の位置関係が設定される。
【0044】
図示省略のロータ駆動機構は、ロータ40を所望の方向に回転させ、且つ、停止させるためのものであり、基本的には、モータと、モータ軸に取り付けられた駆動歯車と、モータ制御回路とを有している。ロータ40の外周面等に歯車の代用部分を形成するか、或いは、ロータ40に別部品の歯車を固着し、これら歯車に駆動歯車を噛合させればモータ動作によってロータ40を所望の方向に回転させることができ、且つ、モータ動作の停止によってロータ40の回転を停止させることができる。
【0045】
次に、図12〜図14を引用して、図1に示したバルクフィーダによって電子部品EC1を供給する動作について説明する。
【0046】
部品供給に際しては、図12に示すように、ケース10の収納室14内に多数の電子部品EC1をバラ状態で収納する。この収納は、ケース10に設けられた開閉蓋付きの補充口(図示省略)を通じて行う。電子部品EC1の収納量が多すぎると取込口15aへの電子部品EC1の流入確率が低下するため、電子部品EC1の最大収納レベルは収納室14の高さ寸法の約1/2とすることが好ましい。長さが1.0mm前後の電子部品EC1であれば、図1と同一サイズのケースを形成し、且つ、最大収納レベルを収納室14の高さ寸法の約1/2としても、数万個程度の電子部品EC1を収納することができる。
【0047】
収納室14内に電子部品EC1を収納した後は、図12に示すように、ロータ40を反時計回り方向に数回転させて供給通路15及び取出口16への電子部品EC1の初期供給(所謂、玉詰め)を行う。
【0048】
ロータ40の回転に伴って円軌道で移動する各永久磁石40dのうち、取込口15aの右側を通過して下方に移動する永久磁石40dの左側には、図12に示すように、該永久磁石40dの磁力が収納室14内の電子部品ECに及ぶことを防ぐための張り出し部分OPが、該永久磁石40dの移動経路を覆うようにして設けられている。つまり、永久磁石40dが取込口15aの右側を通過して下方に移動する過程では、該永久磁石40dの磁力が収納室14内の電子部品ECに及ぶことを張り出し部分OPによって防ぐことができるため、該永久磁石40dの磁力によって収納室14内の電子部品ECに不要な変動(取込口15aへの部品流入に関与しない変動)が生じることは無い。
【0049】
また、ロータ40の回転に伴って円軌道で移動する各永久磁石40dのうち、張り出し部分OPの右側を通過して上方に移動する永久磁石40dの左側には右板13が存在するが、該右板13は永久磁石40dの磁力を透過するものであるため、該永久磁石40dの磁力は収納室14内の電子部品EC1に及ぶ。つまり、永久磁石40dが張り出し部分の右側を通過して上方に移動する過程では、図12に示すように、該永久磁石40dの磁力によって複数の電子部品EC1が案内溝13b方向に吸引され、吸引された複数の電子部品EC1は永久磁石40dの上方移動に伴って案内溝13bに沿って上方に移動する。
【0050】
先に述べたように、ロータ40の回転時における永久磁石40dと案内溝13bとの位置関係は案内溝13bと向き合う永久磁石40dの磁力中心が該案内溝13b内に向くように設定され、且つ、ロータ40の回転時における永久磁石40dと収納室14との位置関係は案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面が収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するように設定されている。そのため、図12に示すように、永久磁石40dの磁力によって案内溝13b方向に吸引された複数の電子部品EC1は、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面のうちの対向面を覆うような輪郭で吸引されると共に、該複数の電子部品EC1には案内溝13b内に引き込む力が強く作用して幾つかの電子部品EC1が案内溝13b内に収容される。つまり、永久磁石40dの磁力によってより多くの電子部品EC1を案内溝13b方向に吸引することができると共に、吸引された複数の電子部品EC1を高確率で案内溝13b内に収容することができ、これにより後述する取込口15aへの電子部品EC1の流入確率を高めることができる。因みに、案内溝13b内に収容される電子部品EC1の向きは、長さ向き(図4(A)参照)と長さ向きと90度異なる向き(図13参照)との2パターンとなり、案内溝13b内に収容されない電子部品EC1の向きはランダム(向きがバラバラであることを意味する)となる。
【0051】
案内溝13内に収容された電子部品EC1を含む複数の電子部品EC1は、永久磁石40dの上方移動に伴って案内溝13bに沿ってさらに上方に移動して取込口15aに達する。このとき、案内溝13b内に収容された幾つかの電子部品EC1のうちの最も前側が「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」であるときには、図6(A)に示すように、該電子部品EC1は同向きのまま取込口15aに流入する。また、「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」の後側に存する「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」と「案内溝13b内に収容されない電子部品EC1」は、図13に示すように、取込口15aの左側に存する取込口形成部材13dの狭幅部分13d2の後面に当接し、取込口15aの右側を永久磁石40dが通り過ぎて磁力が及ばなくなったところで下方に落下する。つまり、「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」と「案内溝13b内に収容されない電子部品EC1」は、「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」が取込口15aに流入することを妨げない。
【0052】
一方、案内溝13b内に収容された幾つかの電子部品EC1のうちの最も前側が「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」であるときには、その後側に「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」が存在しても該電子部品EC1の取込口15aへの流入は「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」によって基本的に阻止される。また、「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」と「案内溝13b内に収容されない電子部品EC1」は、図13に示すように、取込口15aの左側に存する取込口形成部材13dの狭幅部分13d2の後面に当接し、取込口15aの右側を永久磁石40dが通り過ぎて磁力が及ばなくなったところで下方に落下する。但し、「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」の後側に「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」が存在し、且つ、「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」が落下する際に「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」の向きに変化が生じないときには該電子部品EC1は取込口15aに流入する。
【0053】
取込口15aに流入した電子部品EC1は、図14に示すように、永久磁石40dの上方移動に伴って供給通路15に沿って長さ向きのままさらに上方に移動し、その先端がストッパ棒13eの後面に当接したところで停止して取出口16に供給される。また、前述の一連の供給作用はロータ40を数回転させる際に繰り返されるため、ストッパ棒13eの後面に当接した先頭の電子部品EC1の後側には複数の電子部品EC1が連なる。
【0054】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図4(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、「案内溝13b内への電子部品EC1〜EC3の収容」と「案内溝13bから取込口15aへの電子部品EC1〜EC3の流入」と「供給通路15内における電子部品EC1〜EC3の移動」は前記と同様に行われる。
【0055】
因みに、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)に示した案内溝13bに置換した場合には、電子部品EC1が幅または高さの面が揃わない長さ向き(図4(B)の破線参照)で案内溝13bに収容され得るが、案内溝13b内を移動する過程や供給通路15内を移動する過程では該電子部品EC1それ自体に姿勢を安定化させる変位が生じるため、該電子部品EC1は幅または高さの面が揃った姿勢で取出口16に供給されることになる。
【0056】
ロータ40を反時計回り方向に数回転させて供給通路15及び取出口16への電子部品EC1の初期供給が終わった後は、図14に示すように、ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側を通り過ぎた位置(待機位置)で該ロータ40を停止させる。
【0057】
図1に示したバルクフィーダからの電子部品EC1の取り出しは図14に示した待機位置で行われる。具体的には、マウンタ(電子部品搭載装置)の吸着ノズル(図示省略)を取出口16に向かって下降させて該取出口16に位置する先頭の電子部品EC1を吸着した後に、該吸着ノズルを上昇させることによって行われる。取出口16が円弧状の供給通路15の最上点に位置していることから、該取出口16に位置する先頭の電子部品EC1の後側に複数の電子部品EC1が連なっていても、該後続の電子部品EC1から先頭の電子部品EC1に対してその取り出しに支障を生じるような負荷(例えば押圧力)が加わることは無い。
【0058】
取出口16に位置する先頭の電子部品EC1が取り出された後は、待機位置にあるロータ40を反時計回り方向に所定角度、例えば45度や90度や135度や180度回転させて該ロータ40を再び前記待機位置で停止させる。因みに、電子部品EC1の取り出しは図示省略のセンサによって簡単に検出できるので、該検出信号に基づいてロータ40の回転を開始することができる。待機位置にあるロータ40を反時計回り方向に所定角度回転する過程では、「案内溝13b内への電子部品EC1の収容」と「案内溝13bから取込口15aへの電子部品ECの流入」と「供給通路15内における電子部品EC1の移動」が前記と同様に行われ、電子部品EC1が再び取出口16に供給される。これ以後も、取出口16に位置する先頭の電子部品EC1が取り出される度に待機位置にあるロータ40は反時計回り方向に所定角度回転する。
【0059】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図4(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、以上と同様の作用が得られる。
【0060】
この第1実施形態のバルクフィーダでは、ロータ40の回転に伴って円軌道で移動する各永久磁石40dのうち、取込口15aの右側を通過して下方に移動する永久磁石40dの左側には、該永久磁石40dの磁力が収納室14内の電子部品ECに及ぶことを防ぐための張り出し部分OPが、該永久磁石40dの移動経路を覆うようにして設けられている。つまり、永久磁石40dが取込口15aの右側を通過して下方に移動する過程では、該永久磁石40dの磁力が収納室14内の電子部品EC1に及ぶことを張り出し部分OPによって防ぐことができるため、該永久磁石40dの磁力によって収納室14内の電子部品EC1に不要な変動(取込口15aへの部品流入に関与しない変動)が生じることは無い。依って、この不要な変動を原因とした電子部品EC1相互の擦れ合いによって電子部品EC1の表面に傷が付く不具合や電子部品EC1の外部電極が黒化して半田ぬれ性が低下する不具合等を生じることを回避することができる。
【0061】
また、第1実施形態のバルクフィーダでは、前記張り出し部分OPが収納室14を構成する部品、即ち、中央板12に設けられているので、該張り出し部分OPの角度範囲や形状等を容易に可変すること、要するに、取込口15aの右側を通過して下方に移動する永久磁石40dの磁力が収納室14内の電子部品EC1に及ばない領域を容易に可変することができる。
【0062】
さらに、第1実施形態のバルクフィーダでは、取込口15aが長さ向きの電子部品ECを同向きのまま移動可能な供給通路15の入口となっており、しかも、供給通路15は収納室14の上方まで延設されていて、且つ、その先端には電子部品ECを外部に取り出すための上面開口の取出口が設けられている。つまり、ケース10の上面に上面開口の取出口16を設けることによってバルクフィーダ自体をコンパクトに形成することができると共、取込口15aから取出口16に至る供給通路15の長さを短くすることによって該供給通路15内における電子部品ECの移動並びに取出口16への電子部品ECの供給をスムースに行うことができる。
【0063】
これら作用,効果は、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した場合でも同様に得られることは言うまでもない。
【0064】
[第2実施形態]
図15及び図16は本発明の第2実施形態を示す。図15はケースを構成する中央板の左側面図、図16は図10に対応する拡大断面図である。
【0065】
この第2実施形態のバルクフィーダが第1実施形態のバルクフィーダと異なるところは、図3(B)に示した中央板12に変えて図15に示す中央板51を用いてケース10を構成した点にある。他の構成は第1実施形態のバルクフィーダと同じであるので、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0066】
中央板51は、左面視輪郭が左板11と同一で、金属またはプラスチックから形成されている。この中央板51は、その4隅にネジ孔51aを有し、左右方向の貫通孔51bを有している。
【0067】
貫通孔51bは、所定の曲率半径を有する円弧面51b1と、円弧面51b1の下端から上方に延びるくの字状の屈曲面51b2と、円弧面51b1の上端と屈曲面51b2の上端との間に形成された凹部51b3とを有している。屈曲面51b2を含む扇状部分(以下、張り出し部分OP1と言う)は、約210度の角度範囲で円弧面51b1の延長線(2点鎖線参照)よりも内側に張り出している。この張り出し部分OP1は請求範囲で言うところの「磁力防御部」として機能する。また、円弧面51b1の曲率半径は案内溝13bの外周縁の曲率半径よりも大きい。
【0068】
ケース10は、図15に示した中央板51の左面に図3(A)に示した左板11を重ねて止めネジFSを用いて取り付け、且つ、図15に示した中央板12の右面に図3(C)に示した右板13を重ねて止めネジFSを用いて取り付けることによって組み立てられている。
【0069】
この組み立て状態にあっては、中央板51の貫通孔51bの左面開口が左板11の右面によって閉塞され、且つ、中央板51の貫通孔51bの右面開口が右板13の左面によって閉塞される。また、中央板51の貫通孔51bの凹部51b3には右板13の取込口形成部材13dが嵌り込む。さらに、右板13の案内溝13bの左面開口の上部は、取込口形成部材13dの狭幅部分13d2と、中央板51の張り出し部分OP1とによって閉塞される。さらに、右板13の取出口形成凹部13cの左面開口が、中央板51の右面によって閉塞される。
【0070】
つまり、ケース10内には、貫通孔51bの円弧面51b1及び屈曲面51b2と、取込口形成部材13dの円弧面13d1及び狭幅部分13d2の後面並びに下面と、左板11の右面の一部と、右板13の左面の一部とによって囲まれた収納室14’(図16参照)が画成される。この収納室14’の容積は第1実施形態のバルクフィーダの収納室14の容積の約1/2となるが、長さが1.0mm前後の電子部品EC1であれば、図1と同一サイズのケースを形成し、且つ、最大収納レベルを収納室14’の高さ寸法の約1/2としても、数万個程度の電子部品ECを収納することができる。また、ケース10内には、案内溝13bと同一の断面形を有し、且つ、長さ向きの電子部品EC1を同向きのまま移動可能な供給通路15(図16参照)が形成されると共に、該供給通路15の後端にその入口となる取込口15a(図16参照)が形成される。さらに、ケース10の上面には、供給通路15の前端に存し、且つ、電子部品EC1を外部に取り出すための上面開口の取出口16(図16参照)が形成される。
【0071】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図4(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、前記と同様の組み立てによって同様の収納室14’,供給通路15,取込口15a及び取出口16を形成することができる。
【0072】
この第2実施形態のバルクフィーダでは、張り出し部分OP1の左面視面積を拡大することによって第1実施形態のバルクフィーダに比べて収納室14’の左面視形状が小さく、且つ、扇状になっているものの、該張り出し部分OP1の存在によって第1実施形態のバルクフィーダと同様の作用,効果を発揮することができる。
【0073】
また、第2実施形態のバルクフィーダでは、中央板51の前側約1/3は収納室14’,供給通路15及び取出口16の形成には関与しない部分であるので、該部分を排除して前後寸法を約2/3としたものを中央板51として用いることも可能である。このようにすれば、中央板51を形成するのに必要な材料の量を減らして該中央板51のコストダウン、ひいてはケース10のコストダウンを図ることができる。
【0074】
これら作用,効果は、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した場合でも同様に得られることは言うまでもない。また、第2実施形態のバルクフィーダで得られる他の作用,効果は、第1実施形態のバルクフィーダで得られる作用,効果と同様である。
【0075】
[第3実施形態]
図17及び図18は本発明の第3実施形態を示す。図17はケースを構成する中央板及び右板の左側面図、図18は図10に対応する拡大断面図である。
【0076】
この第3実施形態のバルクフィーダが前記第1実施形態のバルクフィーダと異なるところは、図3(B)及び図3(C)に示した中央板12及び右板13に変えて図17(A)及び図17(B)に示す中央板52及び右板13’を用いてケース10を構成した点にある。他の構成は第1実施形態のバルクフィーダと同じであるので、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0077】
中央板52は、左面視輪郭が左板11と同一で、金属またはプラスチックから形成されている。この中央板52は、その4隅にネジ孔52aを有し、左右方向の貫通孔52bを有している。
【0078】
貫通孔52bは、所定の曲率半径を有する第1円弧面52b1と、第1円弧面52b1よりも曲率半径が小さく、且つ、第1円弧面52b1と曲率中心を一致する第2円弧面52b2と、第1円弧面52b1の前側上端と第2円弧面52b2の前端とを結ぶ平面52b3と、第1円弧面52b1の後側上端と第2円弧面12b2の後端との間に形成された凹部52b4とを有している。第2円弧面52b2を含む円弧状部分(以下、張り出し部分OP2と言う)は、約60度の角度範囲で第1円弧面52b1の延長線(2点鎖線参照)よりも内側に張り出している。因みに、後述する収納室14”には張り出し部分OP2に達するまで電子部品ECを収納されることは無いため、ここでの張り出し部分OP2は請求範囲で言うところの「磁力防御部」として実質的には機能しない。
【0079】
右板13’の構成は図3(C)に示した右板13と同じであるが、該右板13’の右面前側には右面視形状が矩形状の磁力シールド層53が付設されている。この磁力シールド層53は強磁性体に属する材料、例えばパーマロイ(登録商標)や鉄等から成り、単層または多層構造を有する。また、磁力シールド層53を右板13’に付設する方法としては、予め板状や網状に形成したものを右板13’の右面に貼り付ける方法の他、溶射等の膜形成手法を利用して皮膜を右板13’の右面に形成する方法が採用できる。また、磁力シールド層53には強磁性体に属する材料に代えて、反磁性体(磁力を通さない物質)に属する材料、例えば白金や銅等を利用することも可能である。後に詳述するが、この磁力シールド層53は請求範囲で言うところの「磁力防御部」として機能する。
【0080】
ケース10は、図17(A)に示した中央板52の左面に図3(A)に示した左板11を重ねて止めネジFSを用いて取り付け、且つ、図17(A)に示した中央板52の右面に図17(B)に示した右板13’を重ねて止めネジFSを用いて取り付けることによって組み立てられている。
【0081】
この組み立て状態にあっては、中央板52の貫通孔52bの左面開口が左板11の右面によって閉塞され、且つ、中央板52の貫通孔52bの右面開口が右板13’の左面によって閉塞される。また、中央板52の貫通孔52bの凹部52b3には右板13の取込口形成部材13dが嵌り込む。さらに、右板13の案内溝13bの左面開口の上部が、取込口形成部材13dの狭幅部分13d2と、中央板52の張り出し部分OP2とによって閉塞される。さらに、右板13の取出口形成凹部13cの左面開口が、中央板52の右面によって閉塞される。
【0082】
つまり、ケース10内には、貫通孔52bの第1円弧面52b1,第2円弧面52b2及び平面52b3と、取込口形成部材13dの円弧面13d1及び狭幅部分13d2の後面並びに下面と、左板11の右面の一部と、右板13’の左面の一部とによって囲まれた収納室14”(図18参照)が画成される。また、ケース10内には、案内溝13bと同一の断面形を有し、且つ、長さ向きの電子部品EC1を同向きのまま移動可能な供給通路15(図18参照)が形成されると共に、該供給通路15の後端にその入口となる取込口15a(図18参照)が形成される。さらに、ケース10の上面には、供給通路15の前端に存し、且つ、電子部品EC1を外部に取り出すための上面開口の取出口16(図18参照)が形成される。
【0083】
図示を省略したが、右板13’の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図4(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、前記と同様の組み立てによって同様の収納室14”,供給通路15,取込口15a及び取出口16を形成することができる。
【0084】
このケース10の右側に回転自在に配置されるロータ40は、各永久磁石40dが右板13の右面及び磁力シールド層53と僅かな間隔をおいて向き合うように軸受30の外輪に嵌め込んで取り付けられる。
【0085】
この第3実施形態のバルクフィーダでは、ロータ40の回転に伴って円軌道で移動する各永久磁石40dのうち、取込口15aの右側を通過して下方に移動する永久磁石40dの左側には、該永久磁石40dの磁力が収納室14”内の電子部品ECに及ぶことを防ぐための磁力シールド層53が、該永久磁石40dの移動経路を覆うようにしてケース10の一側面、換言すれば、収納室14”の右面とロータ40との間に設けられている。つまり、永久磁石40dが取込口15aの右側を通過して下方に移動する過程では、該永久磁石40dの磁力が収納室14”内の電子部品EC1に及ぶことを磁力シールド層53によって防ぐことができるため、該永久磁石40dの磁力によって収納室14内の電子部品EC1に不要な変動(取込口15aへの部品流入に関与しない変動)が生じることは無い。依って、この不要な変動を原因とした電子部品EC1相互の擦れ合いによって電子部品EC1の表面に傷が付く不具合や電子部品EC1の外部電極が黒化して半田ぬれ性が低下する不具合等を生じることを回避することができる。
【0086】
また、第3実施形態のバルクフィーダでは、前記磁力シールド層53が収納室14を構成する部品、即ち、右板13に設けられているので、該磁力シールド層53の前後寸法や形状等を容易に可変すること、要するに、取込口15aの右側を通過して下方に移動する永久磁石40dの磁力が収納室14内の電子部品EC1に及ばない領域を容易に可変することができる。
【0087】
これら作用,効果は、右板13の案内溝13b(図4(A)参照)を図4(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した場合でも同様に得られることは言うまでもない。また、第3実施形態のバルクフィーダで得られる他の作用,効果は、第1実施形態のバルクフィーダで得られる作用,効果と同様である。
【0088】
[他の実施形態]
(1)前述の第1〜第3実施形態では、ケース10の右板13,13’の左面に下から上に向かって約180度の角度範囲で案内溝13bを形成したものを示したが、該案内溝13bの角度範囲は多少増減しても構わず、増減した場合でも前記同様の作用,効果を得ることができる。同様に、約30度の角度範囲で供給通路15を形成したものを示したが、該供給通路15の角度範囲は取出口16の位置を変えずに多少増減しても構わず、増減した場合でも前記同様の作用,効果を得ることができる。
【0089】
(2)前述の第1〜第3実施形態では、ロータ40に計8個の永久磁石40dを45度間隔で設けたものを示したが、該永久磁石40dの数はロータ40の回転速度に応じて増減しても構わず、増減した場合でも前記同様の作用効果を得ることができる。例えば、ロータ40の回転速度が1/2の場合には永久磁石40dの数を16個としてこれらを22.5度間隔で配置すれば良く、また、ロータ40の回転速度が8/1の場合には永久磁石40dの数を1個とすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1実施形態を示す、バルクフィーダの左面図,右面図及び上面図である。
【図2】図1に示したバルクフィーダで供給される電子部品の斜視図及び該バルクフィーダで供給可能な電子部品の斜視図である。
【図3】図1に示したケースを構成する左板の左面図,中央板の左面図及び右板の左面図である。
【図4】図3(C)の部分拡大断面図,該案内溝の変形例を示す部分拡大断面図及び図2(B)及び図2(C)に示した電子部品を供給対象とする場合の案内溝を示す部分拡大断面図である。
【図5】図3(C)の部分拡大上面図である。
【図6】図3(C)の部分拡大断面図及び該案内溝を図4(B)〜図4(D)に示した案内溝に置換した構造を示す部分拡大断面図である。
【図7】図1に示したロータの左面図,上面図及び図7(A)のS3−S3線に沿う断面図である。
【図8】右板の案内溝とロータの永久磁石との位置関係を示す詳細図である。
【図9】図1(C)の部分拡大図である。
【図10】図1(C)のS1−S1線に沿う拡大断面図である。
【図11】図1(C)のS2−S2線に沿う拡大断面図である。
【図12】図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【図13】図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【図14】図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【図15】本発明の第2実施形態を示す、ケースを構成する中央板の左側面図である。
【図16】図10に対応する拡大断面図である。
【図17】本発明の第3実施形態を示す、ケースを構成する中央板及び右板の左側面図である。
【図18】図10に対応する拡大断面図である。
【符号の説明】
【0091】
10…ケース、11…左板、12,51,52…中央板、13,13’…右板、13b…案内溝、13c…取出口形成凹部、13d…取込口形成部材、14,14’,14”…収納室、15…供給通路、15a…取込口、16…取出口、20…支軸、30…軸受、40…ロータ、40d…永久磁石、OP,OP1…張り出し部分、53…磁力シールド層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ状態の電子部品を所定向きに整列して供給するバルクフィーダであって、
磁力による吸引を可能とした多数の電子部品をバラ状態で収納するための収納室と、
少なくとも1つの永久磁石を有し、且つ、該永久磁石が所定の円軌道で移動しその磁力が収納室内の電子部品に及ぶように該収納室の一側面の外側に回転自在に配置されたロータと、
収納室内に設けられ、且つ、ロータの回転に伴って永久磁石が上方に移動する過程で所定向きの電子部品を流入させるための取込口と、
ロータの回転に伴って永久磁石が取込口の外側を通過して下方に移動する過程で該永久磁石の磁力が収納室内の電子部品に及ぶことを防ぐための磁力防御部と、を備える。
【請求項2】
請求項1に記載のバルクフィーダにおいて、
磁力防御部は、取込口の外側を通過して下方に移動する永久磁石の移動経路を覆うように収納室内に設けられた張り出し部分から成る。
【請求項3】
請求項1に記載のバルクフィーダにおいて、
磁力防御部は、取込口の外側を通過して下方に移動する永久磁石の移動経路を覆うように収納室の一側面とロータとの間に設けられた磁力シールド層から成る。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のバルクフィーダにおいて、
取込口は所定向きの電子部品を同向きのまま移動可能な供給通路の入口となっており、
供給通路は収納室の上方まで延設されていて、且つ、その先端には電子部品を外部に取り出すための上面開口の取出口が設けられている。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−137973(P2010−137973A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317133(P2008−317133)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】