バルブ装置、および紙葉類取り出し装置
【課題】この発明は、多量の流体を速い応答速度で流通および遮断させることができるバルブ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】バルブ装置20は、負圧チャンバ5に接続した上流側吸気管22aをつないだ第1ブロック24、ポンプ13に接続した下流側吸気管22bをつないだ第2ブロック26、これら第1および第2ブロックの間に回転可能に配置された第1および第2の遮断板31、32、および各遮断板31、32を回転させるサーボモータ33、34を有する。各遮断板31、32には、複数の流通孔31a、32aが形成されており、2枚の遮断板31、32は、逆方向に回転される。
【解決手段】バルブ装置20は、負圧チャンバ5に接続した上流側吸気管22aをつないだ第1ブロック24、ポンプ13に接続した下流側吸気管22bをつないだ第2ブロック26、これら第1および第2ブロックの間に回転可能に配置された第1および第2の遮断板31、32、および各遮断板31、32を回転させるサーボモータ33、34を有する。各遮断板31、32には、複数の流通孔31a、32aが形成されており、2枚の遮断板31、32は、逆方向に回転される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体を流通および遮断するためのバルブ装置に係り、特に、複数枚重なった状態の紙葉類を1枚ずつ取り出しベルトに吸着させて順々に取り出す紙葉類取り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類取り出し装置として、郵便物に沿って孔開きベルトを走行させて、ベルトの裏側に配置した吸引ノズルによってベルトの孔を吸引することで、ベルトの表面に郵便物を吸着させて、郵便物を1通ずつ取り出す装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の装置は、吸引ノズルとバキュームタンクの間にソレノイドバルブを有する。
【0003】
この装置を動作させて郵便物を取り出す際には、ベルトを走行させてソレノイドバルブを開いて吸引ノズルで郵便物をベルトに吸着せしめる。郵便物を連続して取り出す際には、ソレノイドバルブを各郵便物の取り出しタイミングに合せて定期的に閉じ、先行する郵便物と次に取り出す郵便物との間にギャップを形成する。
【0004】
図23および図24には、一般的な従来のソレノイドバルブ100の概略図を示してある。図23にはソレノイドバルブ100を開いた状態を示してあり、図24にはソレノイドバルブ100を閉じた状態を示してある。
【0005】
ソレノイドバルブ100は、一般に、略円筒形のプランジャ102を軸方向に移動させるためのコイル104、プランジャ102を収容する略円筒形のチャンバ106(図23のみに図示)、およびこのチャンバ106の底に2本の配管108、109を接続した2つの孔108a、109aを有する。上述した特許文献1の装置にこのソレノイドバルブ100を使用する場合、2本の配管108、109それぞれに吸引ノズルとバキュームタンクを接続する。
【0006】
このソレノイドバルブ100を開く場合、コイル104に通電してプランジャ102をチャンバ106から引き抜き、チャンバ106を介して2つの孔108a、109aを連通させる。反対に、このソレノイドバルブ100を閉じる際には、コイル104への通電を止めてプランジャ102をチャンバ106内に押し込んで、プランジャ102の底面をチャンバ106の底に密着させる。これにより、2つの孔108a、109aが塞がれて2本の配管108、109をつなぐ流路110が遮断される。
【0007】
しかし、この種のソレノイドバルブ100は、プランジャ102を軸方向に移動させることによって開閉されるため、イナーシャが大きい。特に、ソレノイドバルブ100に接続する配管108、109の径を大きくして空気の流量を多くしようとした場合、孔108a、109aを塞ぐプランジャ102も大径にする必要があり、その分、イナーシャも大きくなる。
【0008】
また、ソレノイドバルブ100を開くとき、コイル104に通電してプランジャ102を移動させた後、空気がチャンバ106内に流入して一定圧力に達するまで時間がかかり、通電した後、空気が流通し始めるまでの応答速度が遅い。さらに、ソレノイドバルブ100を閉じるとき、チャンバ106内の一定圧力の空気を押してプランジャ102がチャンバ106内に押し込まれるため、プランジャ102の移動速度が遅い。つまり、従来のソレノイドバルブ100は、コイル104に通電したとき、および通電を止めたときの応答速度が遅い。
【0009】
このため、特許文献1の郵便物取り出し装置のように吸引ノズルとバキュームタンクの間でソレノイドバルブ100を使用すると、ソレノイドバルブ100自体の応答速度が遅いことに起因して、郵便物の取り出し速度が遅くなってしまう。
【0010】
また、特許文献1の郵便物取り出し装置にソレノイドバルブ100を使用すると、比較的サイズの大きい重い郵便物を孔開きベルトに吸着させることが難しくなる。つまり、ソレノイドバルブ100は、図23に示すように、開状態のとき、その構造上の問題から、複数回折れ曲がった流路を通して空気を流通させる必要があり、通過抵抗が大きく流量を大きくすることが難しい。このため、吸引ノズルを介して比較的多量の空気を吸引することが難しく、重い郵便物を吸着し難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許5,391,051
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明の目的は、比較的多量の流体を速い応答速度で流通および遮断させることができるバルブ装置を提供することにある。
【0013】
また、この発明の目的は、比較的重い紙葉類の取り出しを容易にでき、紙葉類の取り出し速度を高速にできる紙葉類取り出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、この発明のバルブ装置は、流体を流通させる流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第1の流通孔を有する第1の遮断板と、この第1の遮断板に重ねて上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第2の流通孔を有する第2の遮断板と、上記第1および第2の遮断板を協働させて上記流路を遮断および開通させる駆動装置と、を有する。
【0015】
上記発明によると、第1および第2の遮断板を面方向に移動させるだけで、流路を瞬時に開通することができるため、流路を開通した直後から多量の流体の流通を開始できる。このため、応答速度が速く、比較的多量の流体の流通/遮断を瞬時に切り換えできる。
【0016】
また、この発明のバルブ装置は、流体を流通させる第1の流路およびこの第1の流路と離間して並んだ第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第1の流通孔を有する第1の遮断板と、この第1の遮断板に重ねて上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第2の流通孔を有する第2の遮断板と、上記第1および第2の遮断板を協働させて上記第1および第2の流路を遮断および開通させる駆動装置と、を有する。
【0017】
また、この発明の紙葉類取り出し装置は、複数枚の紙葉類を重ねて投入する投入部と、吸着孔を有し、上記投入部に投入された紙葉類のうち重ね方向一端の紙葉類に沿って走行する取り出し部材と、この取り出し部材の裏面側から上記吸着孔を吸引して当該取り出し部材の表面に負圧を発生させ、上記一端の紙葉類を当該取り出し部材の表面に吸着させる負圧発生部と、この負圧発生部に流路を介して接続した吸気装置と、上記流路の途中に設けられたバルブ装置と、を有し、上記バルブ装置は、上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第1の流通孔を有する第1の遮断板と、この第1の遮断板に重ねて上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第2の流通孔を有する第2の遮断板と、上記第1および第2の遮断板を協働させて上記流路を遮断および開通させる駆動装置と、を有する。
【0018】
上記発明によると、紙葉類を取り出す際に負圧チャンバ内の多量の空気を瞬時に吸引することができ、負圧チャンバ内の圧力を瞬時に減圧させることができる。このため、比較的重い紙葉類の取り出しを容易にでき、紙葉類の取り出し速度を高速にできる。
【0019】
さらに、この発明の紙葉類取り出し装置は、複数枚の紙葉類を重ねて投入する投入部と、吸着孔を有し、上記投入部に投入された紙葉類のうち重ね方向一端の紙葉類に沿って走行する取り出し部材と、この取り出し部材の裏面側から上記吸着孔を吸引して当該取り出し部材の表面に負圧を発生させ、上記一端の紙葉類を当該取り出し部材の表面に吸着させる負圧発生部と、この負圧発生部に第1の流路を介して接続した吸気装置と、上記第1の流路の途中に設けられているとともに第1の流路とは別の第2の流路の途中に設けられたバルブ装置と、を有し、上記バルブ装置は、上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第1の流通孔を有する第1の遮断板と、この第1の遮断板に重ねて上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第2の流通孔を有する第2の遮断板と、上記第1および第2の遮断板を協働させて上記第1および第2の流路を遮断および開通させる駆動装置と、を有する。
【発明の効果】
【0020】
この発明のバルブ装置は、上記のような構成および作用を有しているので、比較的多量の流体を速い応答速度で流通および遮断させることができる。
【0021】
また、この発明の紙葉類取り出し装置は、上記のような構成および作用を有しているので、比較的重い紙葉類の取り出しを容易にでき、紙葉類の取り出し速度を高速にできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、この発明の実施の形態に係る紙葉類取り出し装置を上方から見た概略平面図である。
【図2】図2は、図1の取り出し装置の動作を制御する制御系のブロック図である。
【図3】図3は、図1の取り出し装置に組み込まれた取り出しベルトを部分的に示す部分拡大図である。
【図4】図4は、図1の取り出し装置の負圧チャンバとポンプの間に組み込まれた第1の実施の形態に係るバルブ装置を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、図4のバルブ装置を分解した概略斜視図である。
【図6】図6は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図7】図7は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図8】図8は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図9】図9は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図10】図10は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図11】図11は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図12】図12は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図13】図13は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図14】図14は、図6〜図13の動作時における2枚の遮断板の回転速度変化を示すグラフである。
【図15】図15は、図6〜図13の動作時における流路の開口面積の経時変化を示すグラフである。
【図16】図16は、図1の取り出し装置の負圧チャンバとポンプの間に組み込まれた第2の実施の形態に係るバルブ装置を示す分解斜視図である。
【図17】図17は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図18】図18は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図19】図19は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図20】図20は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図21】図21は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図22】図22は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図23】図23は、従来の一般的なソレノイドバルブの開状態を示す概略図である。
【図24】図24は、図23のソレノイドバルブの閉状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る紙葉類取り出し装置1(以下、単に、取り出し装置1と称する)を上方から見た概略平面図を示してある。また、図2には、取り出し装置1の動作を制御する制御系のブロック図を示してある。
【0024】
取り出し装置1は、投入部2、供給機構3、取り出しベルト4(取り出し部材)、負圧チャンバ5(負圧発生部)、吸引チャンバ6、分離ローラ7、搬送ベルト8a、8b、複数のセンサS1〜S6、および装置全体の動作を制御する制御部10などを有する。
【0025】
制御部10には、複数のセンサS1〜S6、供給機構3の図示しないフロアベルトやバックアッププレートを動作させるモータ11、取り出しベルト4を矢印T方向に走行させるモータ12、負圧チャンバ5を真空引きするポンプ13(吸気装置)、吸引チャンバ6を吸引するブロア14、分離ローラ7に分離トルクを付与するモータ15、分離ローラ7の周面に負圧を発生させるためのポンプ16、および搬送ベルト8a、8bを走行させるモータ17が接続されている。
【0026】
投入部2には、複数枚の紙葉類Pが集積状態で且つ立位で投入される。投入部2へ投入された紙葉類Pは、供給機構3によってその集積方向一端側(図1中左側)へ移動されて集積方向一端(図1中左端)の紙葉類Pが取り出し位置Sへ供給される。供給機構3は、取り出し位置Sへ供給した紙葉類Pが取り出される度に動作して、常に集積方向一端にある紙葉類Pを取り出し位置Sへ供給する。
【0027】
取り出しベルト4は、複数のプーリ18に巻回されて無端状に張設されている。取り出しベルト4の一部は、取り出し位置Sに供給された紙葉類Pに接触して、当該紙葉類Pの面方向、すなわち取り出し方向T(図1中上方)に一定速度で走行する。負圧チャンバ5は、この取り出しベルト4の内側(裏面側)で、取り出しベルト4を挟んで取り出し位置Sに対向する位置に配置されている。
【0028】
取り出しベルト4には、図3に示すように、複数の吸着孔4aが形成されている。一方、負圧チャンバ5は、取り出しベルト4の裏面に対向する開口5aを有する。しかして、取り出しベルト4を走行させて負圧チャンバ5を真空引きすると、負圧チャンバ5が減圧されて、負圧チャンバ5の開口5aおよび取り出しベルト4の吸着孔4aを介して取り出し位置Sの紙葉類Pに負圧が作用し、当該紙葉類Pが取り出しベルト4の表面に吸着される。取り出しベルト4に吸着された紙葉類Pは、ベルト4の走行によって取り出し位置Sから取り出される。
【0029】
取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pは、搬送路9を介して図1で上方に搬送され、搬送部8へ受け渡される。搬送路9に沿って設けられた複数のセンサS1〜S6は、透過型(片側図示省略)の光センサであり、センサの光路を紙葉類Pが遮ることを検出(センサ出力;暗)するとともに、光路上に紙葉類Pが存在しないことを検出(センサ出力;明)する。つまり、これら各センサS1〜S6は、それぞれ、紙葉類Pの搬送方向先端および後端通過を検知する。
【0030】
吸引チャンバ6は、紙葉類Pの取り出し方向に沿って取り出しベルト4の上流側(図1中下側)で、取り出し位置Sに開口6aを対向せしめて配置されている。しかして、ブロア14が動作されると、吸引チャンバ6の開口6aから空気が吸引され、取り出し位置Sに空気流が発生する。この空気流は、投入部2に投入された複数枚の紙葉類Pのうち集積方向一端の紙葉類Pを取り出し位置Sへ素早く吸引するよう機能する。
【0031】
分離ローラ7は、取り出し位置Sの取り出し方向下流側(図1中上側)で、搬送路9を挟んで取り出しベルト4とは反対側に配置されている。分離ローラ7は、内部にチャンバ7aを有する略円筒形のコア7b、このコア7bの外周に回転可能に設けられた略円筒形のスリーブ7cを有する。コア7bは、開口7dを搬送路9に向けて固定的に取り付けられている。スリーブ7cは、複数の吸着孔7eを有する。しかして、ポンプ16を動作させてコア7bのチャンバ7aを真空引きすると、チャンバ7aが減圧されて、コア7bの開口7d、およびコア7bの外周を回転するスリーブ7cの複数の吸着孔7eを介して分離ローラ7の周面に負圧が発生する。
【0032】
つまり、モータ15によってスリーブ7cに取り出し方向と逆方向(図1で反時計回り方向)の分離トルクを付与し、ポンプ16によってスリーブ7cの外周面に負圧を発生させることで、取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pに連れ出された2枚目以降の紙葉類Pを分離することができる。
【0033】
また、搬送路9を挟んで分離ローラ7に対向する側(図1中左側)には、無端状の搬送ベルト8aが張設されている。一方、搬送路9を挟んで搬送ベルト8aに対向する位置にも、無端状の搬送ベルト8bが張設されている。すなわち、2本の搬送ベルト8a、8bの間で、分離ローラ7の下流側の搬送路9が規定されている。しかして、取り出しベルト4によって取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pの取り出し方向先端が搬送ベルト8a、8bのニップ8cで挟持され、搬送ベルト8a、8b(搬送部)に受け渡されて下流側(図1中上側)へと搬送される。
【0034】
ここで、投入部2を介して投入された複数枚の紙葉類Pを搬送路9上に1枚ずつ取り出す動作について説明する。
複数枚の紙葉類Pが投入部2を介して取り出し装置1に投入されると、供給機構3によって紙葉類Pが取り出し位置Sへ順次供給され、取り出しベルト4に吸着されて搬送路9上へ取り出される。搬送路9を介して搬送される紙葉類Pは、複数のセンサS1〜S6を介して、制御部10によって、その搬送位置および搬送状態が監視される。
【0035】
紙葉類Pの取り出し時には、ポンプ13によって負圧チャンバ5が真空引きされて、負圧チャンバ5内の圧力が減圧され、この減圧された圧力によって、取り出しベルト4の表面に負圧が発生される。また、投入部2に投入された紙葉類Pのうち集積方向一端の紙葉類Pには、吸引チャンバ6によって常に取り出し位置Sに向かう空気流が作用される。つまり、吸引チャンバ6によって集積方向一端の紙葉類Pが素早く取り出し位置Sに引き寄せられて、取り出しベルト4に吸着されて取り出される。
【0036】
取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pは、搬送ベルト8a、8bのニップ8cに突入し、取り出し方向先端がニップ8cで挟持されて、さらに下流へと搬送される。取り出された紙葉類Pがニップ8cに到達したことは、センサS5の出力が明から暗になったことをもって検知される。このとき、搬送ベルト8a、8bの走行速度は、取り出しベルト4の走行速度より僅かに速い速度に設定されており、当該紙葉類Pは、搬送ベルト8a、8bによって引き抜かれて下流側へと搬送されることになる。
【0037】
取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pに重なった状態で2枚目以降の紙葉類Pが連れ出された場合、2枚目以降の紙葉類Pが分離ローラ7によって分離される。このとき、分離ローラ7の周面には負圧が発生されており、スリーブ7cには取り出し方向と逆方向の分離トルクが付与されている。1枚の紙葉類Pが正常に取り出された際には、分離ローラ7のスリーブ7cが取り出し方向に沿って連れ回り、2枚重なった状態で取り出された場合には、スリーブ7cが逆転する。これにより、2枚目以降の紙葉類Pが逆方向に戻されて1枚目の紙葉類Pと分離される。
【0038】
ところで、上述したように、複数枚重なった状態の紙葉類Pを1枚ずつに分離して搬送路9上に取り出す場合、負圧チャンバ5の負圧をON/OFF制御するか、或いは取り出しベルト4を間歇的に走行させることにより、紙葉類P同士の間にギャップを形成する。これらギャップの大きさは、取り出し装置1の下流の搬送路9に接続された処理装置(ここでは図示および説明を省略する)における紙葉類Pの処理能力に応じて決まる。および/或いは、これらギャップの大きさは、搬送路9の下流に配置された図示しないゲートの切り換え速度に応じて決まる。
【0039】
例えば、下流側の処理装置における処理効率を高めるとともに、十分な処理時間を与えるためには、紙葉類P間のギャップを所望する長さに安定してコントロールすることが望ましい。しかし、取り出しベルト4を間歇的に動作させてギャップを形成する方法では、ベルトの加速および減速に必要とされる時間を高い精度でコントロールすることが難しく、加減速時にベルトと紙葉類Pとの間に滑りを生じる可能性がある。
【0040】
一方、負圧チャンバ5の負圧をON/OFF制御するため、ポンプ13と負圧チャンバ5をつなぐ配管の途中に上述した従来のソレノイドバルブを設けて、このソレノイドバルブを開閉制御することで、紙葉類間のギャップをコントロールする方法が考えられる。しかし、この方法では、上述したように、ソレノイドバルブ自体の応答速度が遅いため、紙葉類P間のギャップを所望する長さに高精度にコントロールすることは難しい。
【0041】
このため、本願発明者等は、応答速度が極めて速く、多量の空気を流通させることができ、空気流を瞬時に流通および遮断できるバルブ装置を開発した。以下、本発明のバルブ装置の実施の形態についていくつかの例を挙げて説明する。
【0042】
図4には、この発明の第1の実施の形態に係るバルブ装置20の概略図を示してある。また、図5には、このバルブ装置20の内部構造を説明するため、図4のバルブ装置20を分解した概略図を示してある。
【0043】
このバルブ装置20は、負圧チャンバ5とポンプ13をつなぐ吸気管22の途中に設けられている。言い換えると、吸気管22は、図示のように、ポンプ13を作動させた際の空気の流れ方向(図中矢印R方向)に沿って、バルブ装置20の上流側の負圧チャンバ5に接続した上流側吸気管22aと、バルブ装置20の下流側のポンプ13に接続した下流側吸気管22bと、に分割されている。
【0044】
バルブ装置20は、図5に示すように、上流側吸気管22aの負圧チャンバ5から離間した側の端部に接続された略円板形状の第1ブロック24、下流側吸気管22bのポンプ13から離間した側の端部に接続された略円板形状の第2ブロック26、これら第1および第2ブロック24、26の間に配置された略円板形状の第1および第2の遮断板31、32、および、各遮断板31、32をそれぞれ独立して回転させる2つのサーボモータ33、34を有する。
【0045】
2つのサーボモータ33、34は、本発明の駆動装置として機能し、上述した取り出し装置1の制御部10に接続されている。また、各サーボモータ33、34は、それぞれ、第1および第2ブロック24、26の外側に配置されている。なお、本実施の形態では、2つの遮断板31、32をそれぞれ独立して回転させる2つのサーボモータ33、34を用いた場合について説明するが、図示しない単一の駆動装置で2枚の遮断板31、32を回転させるようにしても良い。
【0046】
上流側吸気管22aと下流側吸気管22bを含む吸気管22は、図4に示すように、バルブ装置20を通って延びる空気の流路23(図中破線で示す)を規定している。そして、第1ブロック24、第2ブロック26、第1の遮断板31、および第2の遮断板32は、この流路23と略直交する姿勢で、互いに同軸に近接して配置されている。つまり、図5では、説明を分かり易くするため、これら円板形状の4つの部材24、26、31、32は、軸方向に離間した状態で図示してあるが、実際には、図4に示すように互いに軸方向に近接して配置されている。
【0047】
第1および第2の遮断板31、32は、それぞれ、上述した吸気管22を流通する空気の流路23を遮断する面に沿って回転可能(移動可能)に配置されている。また、第1および第2の遮断板31、32は、それぞれ、第1ブロック24および第2ブロック26の中心を貫通して延びたサーボモータ33、34の回転軸33a、34aに同軸に取り付けられている。
【0048】
本実施の形態の第1の遮断板31と第2の遮断板32は、それぞれ対応するサーボモータ33、34によって互いに逆方向(図中矢印方向)に独立して回転される。具体的には、第1の遮断板31は、図5中左側から見て時計回り方向(CW方向)に回転され、第2の遮断板32は、図5中左側から見て反時計回り方向(CCW方向)に回転される。
【0049】
第1ブロック24には、上流側吸気管22aを接続した連通孔24aが形成されている。また、第2ブロック26にも、下流側吸気管22bを接続した連通孔26aが形成されている。これら連通孔24a、26aは、それぞれ、第1および第2ブロック24、26の回転中心から離間した定位置を貫通して形成されている。なお、これら2つの連通孔24a、26aは、上述した流路23と丁度重なる位置に形成されており、互いに対向する位置に同軸に形成されている。
【0050】
一方、2枚の遮断板31、32には、それぞれ、複数(本実施の形態では3つ)の流通孔31a、32a(第1の流通孔、第2の流通孔)が形成されている。これら複数の流通孔31a、32aは、それぞれ、第1および第2の遮断板31、32の回転によって移動(回転)する。本実施の形態では、各流通孔31a、32aは、遮断板31、32の回転方向に沿って湾曲して延びた略扇形状に形成されている。つまり、各流通孔31a、32aは、遮断板31、32の回転の途中で、第1および第2ブロック24、26の連通孔24a、26a、すなわち上述した吸気管22の流路23に重なる時間が比較的長くなるような形状を有する。
【0051】
以下、上述した構造のバルブ装置20の動作について、図6乃至図15を参照して説明する。図6〜図13には、2枚の遮断板31、32を回転させて流路23を開閉制御する場合の動作説明図を示してあり、図14には、図6〜図13の動作に関連して、各遮断板31、32の回転速度変化を説明するためのグラフを示してあり、図15には、図6〜図13の動作に関連した流路23の開口面積の経時変化を示すグラフを示してある。なお、図6乃至図13は、説明を分かり易くするため、バルブ装置20の要部の構成だけを簡略化して図示した。
【0052】
図6には、バルブ装置20で流路23を遮断した状態の一例を示してある。図6〜図13では、流路23が各遮断板31、32と交差する領域23aを二点差線で図示してある。本実施の形態では、2枚の遮断板31、32を、それぞれ図示矢印方向にのみ可変速で回転した。具体的には、図14に示すように、負圧チャンバ5側の第1ブロック24に隣接した第1の遮断板31を図中時計回り方向(CW方向:第1の回転方向)に回転し、ポンプ13側の第2ブロック26に隣接した第2の遮断板32を図中反時計回り方向(CCW方向:第2の回転方向)に回転するようにした。
【0053】
図6に示す状態で、2枚の遮断板31、32の回転は停止されている。この状態を、流路23を開放する前の待機状態とする。図14、15のグラフでは、この図6に図示した待機状態の時刻をゼロとしている。この状態で、流路23は、その断面の約半分の領域が第1の遮断板31によって塞がれており、残りの約半分の領域が第2の遮断板32によって塞がれており、第1および第2の遮断板31、32の協働により流路23が完全に遮断されている。
【0054】
より詳細には、この状態で、第1の遮断板31の1つの流通路31aのCW方向に沿った前端縁311が流路23内にあり、第2の遮断板32の1つの流通路32aのCCW方向に沿った前端縁321が流路23内にある。その上、この状態で、これら2つの流通路31a、32aは、流路23内で重ならないことが必要である。例えば、この状態で、第1の遮断板31の流通路31aの前端縁311と第2の遮断板32の流通路32aの前端縁321が僅かに重なっていても良い。
【0055】
そして、この待機状態から、制御部10の『開』指令に基づいて、図7に示す状態まで各遮断板31、32がそれぞれ矢印方向に回転されて、流路23が開通される。このとき、制御部10は、センサS1〜S6の出力を監視して先行する紙葉類Pが搬送路9上に取り出されたことを判断し、当該紙葉類Pを取り出しベルト4に吸着せしめるための『開』指令を発する。
【0056】
なお、制御部10が図6の待機状態で停止していた各遮断板31、32を回転させるため、各遮断板31、32の角速度は、図14に示すようにゼロから徐々に増加する。図14を見ると、待機状態から2枚の遮断板31、32の回転を始めて、加速している途中で、流路23が全開になっていることがわかる。つまり、図7の状態では、各遮断板31、32は最も早い速度で回転していることになる。
【0057】
このように、2枚の遮断板31、32の加速回転途中で、流路23を全開の状態にすることにより、図15に示すように、極めて短い時間で流路23を閉から開に切り換えることができ、バルブ装置20の応答速度を速くすることができる。このような効果を奏するためには、流路23を開通する前の待機状態で図6に示す状態を作ることが重要であり、図6の待機状態から各遮断板31、32を異なる方向に回転させることが重要である。
【0058】
これに対し、仮に、流路23を開通すると同時に2枚の遮断板31、32を停止させる制御を実施する必要がある場合、停止状態の遮断板31、32を加速した後、遮断板31、32を停止するまで減速のための余分な時間が必要となり、『開』指令から流路23を全開にするまでの時間が長くなってしまう。
【0059】
また、仮に、流通路31aの前端縁311が流路23内に無い状態から第1の遮断板31を回転させるとともに、流通路32aの前端縁321が流路23内に無い状態から第2の遮断板32を回転させて流路23を開通させる場合、流路23を閉から開にするまでの各遮断板31、32の移動距離(回転角度)が長く(大きく)なってしまい、『開』指令から流路23を全開にするまでの時間が長くなってしまう。
【0060】
このため、本実施の形態では、図6に図示した待機位置から各遮断板31、32の回転を開始して、加速の途中で流路23を全開にするようにした。なお、本実施の形態では、各遮断板31、32の加速の途中で流路23を全開にする場合を説明したが、少なくとも流路23を開通する途中で各遮断板31、32を減速させなければ良い。
【0061】
この後、制御部10は、図7に示す状態から図8の状態を経て図9の状態に至る間に、2枚の遮断板31、32の回転を減速して停止する。本実施の形態では、図7の状態から図8の状態の間に2枚の遮断板31、32の回転を減速させて概ね停止させ、図8の状態から図9の状態までの間に、2枚の遮断板31、32をゆっくりと回転させてもう一つの待機状態に移動しておく。つまり、今度は、この図9の状態が、流路23を遮断する前の待機状態となる。
【0062】
より詳細には、図9の待機状態では、第1の遮断板31の1つの流通孔31aのCW方向に沿った後端縁312が流路23(領域23a)の縁に近接し、第2の遮断板32の1つの流通孔32aのCCW方向に沿った後端縁322が流路23(領域23a)の反対側の縁に近接している。また、この状態で、当然のことながら、これら2つの流通孔31a、32aは流路23と重なっている。
【0063】
そして、図9の待機状態から、制御部10の『閉』指令に基づいて、図10に示す状態まで、2枚の遮断板31、32が回転されて、流路23が瞬時に遮断される。この場合においても、図14に示すように、2枚の遮断板31、32の加速の途中で流路23を遮断することが重要であり、遮断板31、32が減速されることはない。また、この際、流路23が完全に遮断されるまでの各遮断板31、32の移動距離(回転角度)は、流通孔31a、32aの後端縁312、322が流路23の縁から略中央に移動するまでのきわめて短い距離(角度)であり、短時間で流路23を遮断できていることが分かる。
【0064】
このように流路23を短時間で遮断するためには、流路23を遮断する前の待機状態で、図9に示す位置に各遮断板31、32を停止させておくことが重要であり、この待機状態を作ることで、バルブ装置20の閉動作の応答速度を速くすることができる。なお、図10に示す状態のとき、各遮断板31、32は、最も速い速度で回転している。
【0065】
さらにこの後、制御部10は、図10に示す状態から図11に示す状態を経て図12の状態に至る間に、2枚の遮断板31、32の回転を減速させて概ね停止させる。そして、この状態から図13に示す待機状態(図6に示す待機状態と同じ姿勢)になるまで遮断板31、32をゆっくり回転させて停止させる。
【0066】
以上、図6〜図13に示す動作を繰り返して、バルブ装置20を開閉制御することによって、吸気管22を開通および遮断し、取り出し位置Sに供給された紙葉類Pに負圧を作用させて取り出しベルト4に吸着せしめ、紙葉類Pを搬送路9上に1枚ずつ間欠的に取り出す。本実施の形態のバルブ装置20を用いた場合、各遮断板31、32をそれぞれ1回転する間に3枚の紙葉類Pを取り出すことができる。
【0067】
本実施の形態のバルブ装置20を用いることにより、上述したように、流路23を短時間で瞬時に開通および遮断することができ、複数枚の紙葉類Pを連続して高速に取り出しできる。また、本実施の形態の取り出し装置1によると、上述したバルブ装置20を用いることで、多量の空気を瞬時に流通および遮断することができ、比較的重い紙葉類Pであっても確実且つ安定して取り出しベルト4に吸着させることができる。
【0068】
これに対し、従来のソレノイドバルブを同じ用途で用いた場合、ソレノイドバルブは、上述したように、流体の通過抵抗が大きいため、多量の空気を一斉に通過させることが難しく、負圧チャンバ5を瞬時に真空引きすることはできない。また、流路自体を太くした場合、その分、プランジャのイナーシャが大きくなって、ソレノイドバルブの応答速度が遅くなってしまう。
【0069】
これに対し、本実施の形態のバルブ装置20は、モータ27を回転させるだけの簡単な制御で流路23を瞬時に開通および遮断させることができ、応答速度を高速にできる。また、本実施の形態のバルブ装置20において、流路23自体の太さも任意に設定でき、より多量の空気を流通および遮断することができる。また、本実施の形態のバルブ装置20は、空気を一直線に通過させる構造を有するため、空気の通過抵抗は殆どなく、多量の空気をスムーズに流通させることができる。
【0070】
図16には、この発明の第2の実施の形態に係るバルブ装置30の分解斜視図を示してある。このバルブ装置30は、上述した第1の実施の形態と同様に負圧チャンバ5とポンプ13をつなぐ吸気管22の途中に設けられているとともに、負圧チャンバ5とポンプ13の排気口13aをつなぐ排気管28の途中に設けられている。言い換えると、本実施の形態のバルブ装置30は、吸気管22と排気管28を交互に開通および遮断するよう動作する。
【0071】
排気管28は、ポンプ13の排気口13aから排気される空気の流れ方向(図中矢印Q方向)に沿ってバルブ装置30の上流側にある上流側排気管28aと、バルブ装置30の下流側にある下流側排気管28bと、を有する。上流側排気管28aは、ポンプ13の排気口13aとバルブ装置30の第2ブロック26の連通孔26bをつなぎ、下流側排気管28bは、バルブ装置30の第1ブロック24の連通孔24bと負圧チャンバ5をつないでいる。排気管28は、後述する流路29を規定している。
【0072】
なお、下流側排気管28bを接続した第1ブロック24の連通孔24bは、遮断板31の回転中心軸に対して連通孔24aと対称となる位置に形成されている。また、上流側排気管28aを接続した第2ブロック26の連通孔26bは、遮断板32の回転中心軸に対して連通孔26aと対称となる位置で且つ第1ブロック24の連通孔24bと同軸になる位置に形成されている。ここまで説明した以外の構造は、上述した第1の実施の形態のバルブ装置20と略同じ構造であるため、ここでは、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0073】
上述した構造のバルブ装置30は、以下のように動作する。
なお、ここでも、図17〜図22では、説明を分かり易くするため、バルブ装置30の要部の構成だけを簡略化して図示した。
【0074】
図17には、吸気管22を遮断し、且つ排気管28を開通した状態の一例を示してある。つまり、図17の状態では、吸気管22で規定した流路23(第1の流路)が遮断されており、排気管28で規定した流路29(第2の流路)が開通されている。言い換えると、図17の状態で、ポンプ13からの排気が負圧チャンバ5へ送り込まれており、負圧チャンバ5が大気圧に戻されている。
【0075】
図17に示す状態で、2枚の遮断板31、32の回転は停止されている。この状態を、流路23を開放する前の待機状態とする。また、この状態は、流路29を遮断する前の待機状態にもなっている。つまり、この状態で、流路23は、その断面の約半分の領域が第1の遮断板31によって塞がれており、残りの約半分の領域が第2の遮断板32によって塞がれており、第1および第2の遮断板31、32の協働により流路23が完全に遮断されている。また、この状態で、流路29には、第1の遮断板31の流通孔31aが重なっているとともに、第2の流通孔32aが重なっており、第1および第2の遮断板31、32の協働により流路29が全開にされている。
【0076】
より詳細には、この状態で、第1の遮断板31の1つの流通路31aのCW方向に沿った前端縁311が流路23内にあり、第2の遮断板32の1つの流通路32aのCCW方向に沿った前端縁321が流路23内にある。その上、この状態で、これら2つの流通路31a、32aは、流路23内で重なっていない。
【0077】
また、同時に、この状態で、第1の遮断板31の別の流通孔31aのCW方向に沿った後端縁312が流路29の縁に近接し、第2の遮断板32の別の流通孔32aのCCW方向に沿った後端縁322が流路29の反対側の縁に近接している。その上、この状態で、これら2つの流通孔31a、32aは、それぞれ、流路29と完全に重なっている。
【0078】
そして、この待機状態から、制御部10の『開』指令に基づいて、図18に示す状態まで各遮断板31、32がそれぞれ矢印方向に回転されて、流路23が開通されると同時に流路29が遮断される。このとき、図17の待機状態で停止していた各遮断板31、32を回転させるため、各遮断板31、32の角速度は、ゼロから徐々に増加する。すなわち、本実施の形態においても、図17から図18の状態に至る各遮断板31、32の加速の途中で、流路23が全開になるとともに流路29が遮断される。
【0079】
このように、2枚の遮断板31、32の加速回転途中で、流路23を全開の状態にすると同時に流路29を遮断することにより、極めて短い時間で流路23を閉から開に切り換えることができ、同時に、極めて短い時間で流路29を開から閉に切り換えることができ、バルブ装置30の応答速度を速くすることができる。このような効果を奏するためには、流路23を開通する前の待機状態および流路29を遮断する前の待機状態で、図17に示す状態を作ることが重要であり、図17の待機状態から各遮断板31、32を異なる方向に回転させることが重要である。
【0080】
この後、制御部10は、図18に示す状態から図19の状態を経て図20の状態に至る間に、2枚の遮断板31、32の回転を減速して停止させる。本実施の形態では、図18の状態から図19の状態の間に2枚の遮断板31、32の回転を減速させて概ね停止させ、図19の状態から図20の状態までの間に、2枚の遮断板31、32をゆっくりと回転させてもう一つの待機状態に移動しておく。つまり、今度は、この図20の状態が、流路23を遮断する前の待機状態になると同時に流路29を開放する前の待機状態となる。
【0081】
より詳細には、図20の待機状態では、第1の遮断板31の1つの流通孔31aのCW方向に沿った後端縁312が流路23(領域23a)の縁に近接し、第2の遮断板32の1つの流通孔32aのCCW方向に沿った後端縁322が流路23(領域23a)の反対側の縁に近接している。また、この状態で、当然のことながら、これら2つの流通孔31a、32aは流路23と完全に重なっている。
【0082】
同時に、この待機状態で、第1の遮断板31の別の流通孔31aのCW方向に沿った前端縁311が流路29内にあり、第2の遮断板32の別の流通路32aのCCW方向に沿った前端縁321が流路29内にある。その上、この状態で、これら2つの流通路31a、32aは、流路29内で重なっていない。
【0083】
そして、図20の待機状態から、制御部10の『閉』指令に基づいて、図21に示す状態まで、2枚の遮断板31、32が回転されて、流路23が瞬時に遮断されると同時に、流路29が瞬時に流通される。この場合においても、2枚の遮断板31、32の加速の途中で流路23を遮断するとともに流路29を流通させることができ、遮断板31、32が減速されることはない。また、この際、流路23が完全に遮断されて流路29が完全に開放されるまでの各遮断板31、32の移動距離(回転角度)は、1つの流通孔31a、32aの後端縁312、322が流路23の縁から略中央に移動するまでのきわめて短い距離(角度)であり、短時間で流路23を遮断(流路29を開放)できていることが分かる。
【0084】
このように流路23を短時間で遮断するとともに流路29を短時間で流通させるためには、流路23を遮断する前の待機状態、すなわち流路29を開放する前の待機状態で、図20に示す位置に各遮断板31、32を停止させておくことが重要であり、この待機状態を作ることで、バルブ装置30の開閉動作の応答速度を速くすることができる。
【0085】
さらにこの後、制御部10は、図21に示す状態から図22に示す状態を経て再び図17の状態に至る間に、2枚の遮断板31、32の回転を減速させて停止させる。
以上、図17〜図22に示す動作を繰り返して、バルブ装置30を開閉制御することによって、吸気管22を開通および遮断すると同時に、排気管28を遮断および開通することができる。これにより、取り出し位置Sに供給された紙葉類Pに負圧を作用させて取り出しベルト4に吸着せしめ、紙葉類Pを搬送路9上に1枚ずつ間欠的に取り出すとともに、各紙葉類Pを取り出した後、負圧チャンバ5を瞬時に大気圧に戻すことができる。本実施の形態のバルブ装置30を用いた場合、各遮断板31、32をそれぞれ1回転する間に3枚の紙葉類Pを取り出すことができる。
【0086】
以上のように、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができ、その上、紙葉類Pの吸着を解除する際には、負圧チャンバ5内に多量の空気を瞬時に送り込むことができる。
【0087】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0088】
例えば、上述した実施の形態では、取り出し位置Sへ供給された紙葉類Pを取り出す取り出し部材として無端状の取り出しベルト4について説明したが、これに限らず、取り出し方向に回転するロータに複数の吸着孔を形成した取り出し部材を使用しても良い。
【0089】
また、上述した実施の形態では、2枚の遮断板31、32を協働させて流路23(29)を開閉制御するバルブ装置20(30)について説明したが、これに限らず、3枚以上の遮断板を重ねて配置して協働させることで複数の流路を開閉制御するようにしても良い。この場合、物理的に、全ての遮断板の回転軸を同軸に配置することが難しいため、回転中心をずらして回転軸を平行に並べるよう遮断板を部分的に重ねる方法が考えられる。
【0090】
また、上述した実施の形態では、1つの流路23、或いは2つの流路23、29を同時に開閉制御するバルブ装置20、30について説明したが、これに限らず、1つのバルブ装置で開閉する流路の本数は任意に設定可能である。
【0091】
さらに、上述した実施の形態では、流路を開通させる前の待機状態において、2枚の遮断板を協働させて流路を完全に塞ぐように2枚の遮断板を停止させたが、必ずしも流路を完全に塞ぐ必要は無く、2枚の遮断板の間に僅かな隙間が空いていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
この発明は、多量の流体を高い応答速度で流通および遮断させることができるバルブ装置、および比較的重い紙葉類の取り出しを容易にでき紙葉類の取り出し速度を高速にできる紙葉類取り出し装置に関する。
【符号の説明】
【0093】
1…紙葉類取り出し装置、4…取り出しベルト、5…負圧チャンバ、10…制御部、13…ポンプ、13a…排気口、20、30…バルブ装置、22…吸気管、23、29…流路、24…第1ブロック、24a…連通孔、26…第2ブロック、26a…連通孔、28…排気管、31…第1の遮断板、31a…第1の流通孔、32…第2の遮断板、32a…第2の流通孔、33、34…サーボモータ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体を流通および遮断するためのバルブ装置に係り、特に、複数枚重なった状態の紙葉類を1枚ずつ取り出しベルトに吸着させて順々に取り出す紙葉類取り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類取り出し装置として、郵便物に沿って孔開きベルトを走行させて、ベルトの裏側に配置した吸引ノズルによってベルトの孔を吸引することで、ベルトの表面に郵便物を吸着させて、郵便物を1通ずつ取り出す装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の装置は、吸引ノズルとバキュームタンクの間にソレノイドバルブを有する。
【0003】
この装置を動作させて郵便物を取り出す際には、ベルトを走行させてソレノイドバルブを開いて吸引ノズルで郵便物をベルトに吸着せしめる。郵便物を連続して取り出す際には、ソレノイドバルブを各郵便物の取り出しタイミングに合せて定期的に閉じ、先行する郵便物と次に取り出す郵便物との間にギャップを形成する。
【0004】
図23および図24には、一般的な従来のソレノイドバルブ100の概略図を示してある。図23にはソレノイドバルブ100を開いた状態を示してあり、図24にはソレノイドバルブ100を閉じた状態を示してある。
【0005】
ソレノイドバルブ100は、一般に、略円筒形のプランジャ102を軸方向に移動させるためのコイル104、プランジャ102を収容する略円筒形のチャンバ106(図23のみに図示)、およびこのチャンバ106の底に2本の配管108、109を接続した2つの孔108a、109aを有する。上述した特許文献1の装置にこのソレノイドバルブ100を使用する場合、2本の配管108、109それぞれに吸引ノズルとバキュームタンクを接続する。
【0006】
このソレノイドバルブ100を開く場合、コイル104に通電してプランジャ102をチャンバ106から引き抜き、チャンバ106を介して2つの孔108a、109aを連通させる。反対に、このソレノイドバルブ100を閉じる際には、コイル104への通電を止めてプランジャ102をチャンバ106内に押し込んで、プランジャ102の底面をチャンバ106の底に密着させる。これにより、2つの孔108a、109aが塞がれて2本の配管108、109をつなぐ流路110が遮断される。
【0007】
しかし、この種のソレノイドバルブ100は、プランジャ102を軸方向に移動させることによって開閉されるため、イナーシャが大きい。特に、ソレノイドバルブ100に接続する配管108、109の径を大きくして空気の流量を多くしようとした場合、孔108a、109aを塞ぐプランジャ102も大径にする必要があり、その分、イナーシャも大きくなる。
【0008】
また、ソレノイドバルブ100を開くとき、コイル104に通電してプランジャ102を移動させた後、空気がチャンバ106内に流入して一定圧力に達するまで時間がかかり、通電した後、空気が流通し始めるまでの応答速度が遅い。さらに、ソレノイドバルブ100を閉じるとき、チャンバ106内の一定圧力の空気を押してプランジャ102がチャンバ106内に押し込まれるため、プランジャ102の移動速度が遅い。つまり、従来のソレノイドバルブ100は、コイル104に通電したとき、および通電を止めたときの応答速度が遅い。
【0009】
このため、特許文献1の郵便物取り出し装置のように吸引ノズルとバキュームタンクの間でソレノイドバルブ100を使用すると、ソレノイドバルブ100自体の応答速度が遅いことに起因して、郵便物の取り出し速度が遅くなってしまう。
【0010】
また、特許文献1の郵便物取り出し装置にソレノイドバルブ100を使用すると、比較的サイズの大きい重い郵便物を孔開きベルトに吸着させることが難しくなる。つまり、ソレノイドバルブ100は、図23に示すように、開状態のとき、その構造上の問題から、複数回折れ曲がった流路を通して空気を流通させる必要があり、通過抵抗が大きく流量を大きくすることが難しい。このため、吸引ノズルを介して比較的多量の空気を吸引することが難しく、重い郵便物を吸着し難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許5,391,051
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明の目的は、比較的多量の流体を速い応答速度で流通および遮断させることができるバルブ装置を提供することにある。
【0013】
また、この発明の目的は、比較的重い紙葉類の取り出しを容易にでき、紙葉類の取り出し速度を高速にできる紙葉類取り出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、この発明のバルブ装置は、流体を流通させる流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第1の流通孔を有する第1の遮断板と、この第1の遮断板に重ねて上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第2の流通孔を有する第2の遮断板と、上記第1および第2の遮断板を協働させて上記流路を遮断および開通させる駆動装置と、を有する。
【0015】
上記発明によると、第1および第2の遮断板を面方向に移動させるだけで、流路を瞬時に開通することができるため、流路を開通した直後から多量の流体の流通を開始できる。このため、応答速度が速く、比較的多量の流体の流通/遮断を瞬時に切り換えできる。
【0016】
また、この発明のバルブ装置は、流体を流通させる第1の流路およびこの第1の流路と離間して並んだ第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第1の流通孔を有する第1の遮断板と、この第1の遮断板に重ねて上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第2の流通孔を有する第2の遮断板と、上記第1および第2の遮断板を協働させて上記第1および第2の流路を遮断および開通させる駆動装置と、を有する。
【0017】
また、この発明の紙葉類取り出し装置は、複数枚の紙葉類を重ねて投入する投入部と、吸着孔を有し、上記投入部に投入された紙葉類のうち重ね方向一端の紙葉類に沿って走行する取り出し部材と、この取り出し部材の裏面側から上記吸着孔を吸引して当該取り出し部材の表面に負圧を発生させ、上記一端の紙葉類を当該取り出し部材の表面に吸着させる負圧発生部と、この負圧発生部に流路を介して接続した吸気装置と、上記流路の途中に設けられたバルブ装置と、を有し、上記バルブ装置は、上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第1の流通孔を有する第1の遮断板と、この第1の遮断板に重ねて上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第2の流通孔を有する第2の遮断板と、上記第1および第2の遮断板を協働させて上記流路を遮断および開通させる駆動装置と、を有する。
【0018】
上記発明によると、紙葉類を取り出す際に負圧チャンバ内の多量の空気を瞬時に吸引することができ、負圧チャンバ内の圧力を瞬時に減圧させることができる。このため、比較的重い紙葉類の取り出しを容易にでき、紙葉類の取り出し速度を高速にできる。
【0019】
さらに、この発明の紙葉類取り出し装置は、複数枚の紙葉類を重ねて投入する投入部と、吸着孔を有し、上記投入部に投入された紙葉類のうち重ね方向一端の紙葉類に沿って走行する取り出し部材と、この取り出し部材の裏面側から上記吸着孔を吸引して当該取り出し部材の表面に負圧を発生させ、上記一端の紙葉類を当該取り出し部材の表面に吸着させる負圧発生部と、この負圧発生部に第1の流路を介して接続した吸気装置と、上記第1の流路の途中に設けられているとともに第1の流路とは別の第2の流路の途中に設けられたバルブ装置と、を有し、上記バルブ装置は、上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第1の流通孔を有する第1の遮断板と、この第1の遮断板に重ねて上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第2の流通孔を有する第2の遮断板と、上記第1および第2の遮断板を協働させて上記第1および第2の流路を遮断および開通させる駆動装置と、を有する。
【発明の効果】
【0020】
この発明のバルブ装置は、上記のような構成および作用を有しているので、比較的多量の流体を速い応答速度で流通および遮断させることができる。
【0021】
また、この発明の紙葉類取り出し装置は、上記のような構成および作用を有しているので、比較的重い紙葉類の取り出しを容易にでき、紙葉類の取り出し速度を高速にできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、この発明の実施の形態に係る紙葉類取り出し装置を上方から見た概略平面図である。
【図2】図2は、図1の取り出し装置の動作を制御する制御系のブロック図である。
【図3】図3は、図1の取り出し装置に組み込まれた取り出しベルトを部分的に示す部分拡大図である。
【図4】図4は、図1の取り出し装置の負圧チャンバとポンプの間に組み込まれた第1の実施の形態に係るバルブ装置を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、図4のバルブ装置を分解した概略斜視図である。
【図6】図6は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図7】図7は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図8】図8は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図9】図9は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図10】図10は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図11】図11は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図12】図12は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図13】図13は、図5のバルブ装置の動作説明図である。
【図14】図14は、図6〜図13の動作時における2枚の遮断板の回転速度変化を示すグラフである。
【図15】図15は、図6〜図13の動作時における流路の開口面積の経時変化を示すグラフである。
【図16】図16は、図1の取り出し装置の負圧チャンバとポンプの間に組み込まれた第2の実施の形態に係るバルブ装置を示す分解斜視図である。
【図17】図17は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図18】図18は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図19】図19は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図20】図20は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図21】図21は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図22】図22は、図16のバルブ装置の動作説明図である。
【図23】図23は、従来の一般的なソレノイドバルブの開状態を示す概略図である。
【図24】図24は、図23のソレノイドバルブの閉状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る紙葉類取り出し装置1(以下、単に、取り出し装置1と称する)を上方から見た概略平面図を示してある。また、図2には、取り出し装置1の動作を制御する制御系のブロック図を示してある。
【0024】
取り出し装置1は、投入部2、供給機構3、取り出しベルト4(取り出し部材)、負圧チャンバ5(負圧発生部)、吸引チャンバ6、分離ローラ7、搬送ベルト8a、8b、複数のセンサS1〜S6、および装置全体の動作を制御する制御部10などを有する。
【0025】
制御部10には、複数のセンサS1〜S6、供給機構3の図示しないフロアベルトやバックアッププレートを動作させるモータ11、取り出しベルト4を矢印T方向に走行させるモータ12、負圧チャンバ5を真空引きするポンプ13(吸気装置)、吸引チャンバ6を吸引するブロア14、分離ローラ7に分離トルクを付与するモータ15、分離ローラ7の周面に負圧を発生させるためのポンプ16、および搬送ベルト8a、8bを走行させるモータ17が接続されている。
【0026】
投入部2には、複数枚の紙葉類Pが集積状態で且つ立位で投入される。投入部2へ投入された紙葉類Pは、供給機構3によってその集積方向一端側(図1中左側)へ移動されて集積方向一端(図1中左端)の紙葉類Pが取り出し位置Sへ供給される。供給機構3は、取り出し位置Sへ供給した紙葉類Pが取り出される度に動作して、常に集積方向一端にある紙葉類Pを取り出し位置Sへ供給する。
【0027】
取り出しベルト4は、複数のプーリ18に巻回されて無端状に張設されている。取り出しベルト4の一部は、取り出し位置Sに供給された紙葉類Pに接触して、当該紙葉類Pの面方向、すなわち取り出し方向T(図1中上方)に一定速度で走行する。負圧チャンバ5は、この取り出しベルト4の内側(裏面側)で、取り出しベルト4を挟んで取り出し位置Sに対向する位置に配置されている。
【0028】
取り出しベルト4には、図3に示すように、複数の吸着孔4aが形成されている。一方、負圧チャンバ5は、取り出しベルト4の裏面に対向する開口5aを有する。しかして、取り出しベルト4を走行させて負圧チャンバ5を真空引きすると、負圧チャンバ5が減圧されて、負圧チャンバ5の開口5aおよび取り出しベルト4の吸着孔4aを介して取り出し位置Sの紙葉類Pに負圧が作用し、当該紙葉類Pが取り出しベルト4の表面に吸着される。取り出しベルト4に吸着された紙葉類Pは、ベルト4の走行によって取り出し位置Sから取り出される。
【0029】
取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pは、搬送路9を介して図1で上方に搬送され、搬送部8へ受け渡される。搬送路9に沿って設けられた複数のセンサS1〜S6は、透過型(片側図示省略)の光センサであり、センサの光路を紙葉類Pが遮ることを検出(センサ出力;暗)するとともに、光路上に紙葉類Pが存在しないことを検出(センサ出力;明)する。つまり、これら各センサS1〜S6は、それぞれ、紙葉類Pの搬送方向先端および後端通過を検知する。
【0030】
吸引チャンバ6は、紙葉類Pの取り出し方向に沿って取り出しベルト4の上流側(図1中下側)で、取り出し位置Sに開口6aを対向せしめて配置されている。しかして、ブロア14が動作されると、吸引チャンバ6の開口6aから空気が吸引され、取り出し位置Sに空気流が発生する。この空気流は、投入部2に投入された複数枚の紙葉類Pのうち集積方向一端の紙葉類Pを取り出し位置Sへ素早く吸引するよう機能する。
【0031】
分離ローラ7は、取り出し位置Sの取り出し方向下流側(図1中上側)で、搬送路9を挟んで取り出しベルト4とは反対側に配置されている。分離ローラ7は、内部にチャンバ7aを有する略円筒形のコア7b、このコア7bの外周に回転可能に設けられた略円筒形のスリーブ7cを有する。コア7bは、開口7dを搬送路9に向けて固定的に取り付けられている。スリーブ7cは、複数の吸着孔7eを有する。しかして、ポンプ16を動作させてコア7bのチャンバ7aを真空引きすると、チャンバ7aが減圧されて、コア7bの開口7d、およびコア7bの外周を回転するスリーブ7cの複数の吸着孔7eを介して分離ローラ7の周面に負圧が発生する。
【0032】
つまり、モータ15によってスリーブ7cに取り出し方向と逆方向(図1で反時計回り方向)の分離トルクを付与し、ポンプ16によってスリーブ7cの外周面に負圧を発生させることで、取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pに連れ出された2枚目以降の紙葉類Pを分離することができる。
【0033】
また、搬送路9を挟んで分離ローラ7に対向する側(図1中左側)には、無端状の搬送ベルト8aが張設されている。一方、搬送路9を挟んで搬送ベルト8aに対向する位置にも、無端状の搬送ベルト8bが張設されている。すなわち、2本の搬送ベルト8a、8bの間で、分離ローラ7の下流側の搬送路9が規定されている。しかして、取り出しベルト4によって取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pの取り出し方向先端が搬送ベルト8a、8bのニップ8cで挟持され、搬送ベルト8a、8b(搬送部)に受け渡されて下流側(図1中上側)へと搬送される。
【0034】
ここで、投入部2を介して投入された複数枚の紙葉類Pを搬送路9上に1枚ずつ取り出す動作について説明する。
複数枚の紙葉類Pが投入部2を介して取り出し装置1に投入されると、供給機構3によって紙葉類Pが取り出し位置Sへ順次供給され、取り出しベルト4に吸着されて搬送路9上へ取り出される。搬送路9を介して搬送される紙葉類Pは、複数のセンサS1〜S6を介して、制御部10によって、その搬送位置および搬送状態が監視される。
【0035】
紙葉類Pの取り出し時には、ポンプ13によって負圧チャンバ5が真空引きされて、負圧チャンバ5内の圧力が減圧され、この減圧された圧力によって、取り出しベルト4の表面に負圧が発生される。また、投入部2に投入された紙葉類Pのうち集積方向一端の紙葉類Pには、吸引チャンバ6によって常に取り出し位置Sに向かう空気流が作用される。つまり、吸引チャンバ6によって集積方向一端の紙葉類Pが素早く取り出し位置Sに引き寄せられて、取り出しベルト4に吸着されて取り出される。
【0036】
取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pは、搬送ベルト8a、8bのニップ8cに突入し、取り出し方向先端がニップ8cで挟持されて、さらに下流へと搬送される。取り出された紙葉類Pがニップ8cに到達したことは、センサS5の出力が明から暗になったことをもって検知される。このとき、搬送ベルト8a、8bの走行速度は、取り出しベルト4の走行速度より僅かに速い速度に設定されており、当該紙葉類Pは、搬送ベルト8a、8bによって引き抜かれて下流側へと搬送されることになる。
【0037】
取り出し位置Sから取り出された紙葉類Pに重なった状態で2枚目以降の紙葉類Pが連れ出された場合、2枚目以降の紙葉類Pが分離ローラ7によって分離される。このとき、分離ローラ7の周面には負圧が発生されており、スリーブ7cには取り出し方向と逆方向の分離トルクが付与されている。1枚の紙葉類Pが正常に取り出された際には、分離ローラ7のスリーブ7cが取り出し方向に沿って連れ回り、2枚重なった状態で取り出された場合には、スリーブ7cが逆転する。これにより、2枚目以降の紙葉類Pが逆方向に戻されて1枚目の紙葉類Pと分離される。
【0038】
ところで、上述したように、複数枚重なった状態の紙葉類Pを1枚ずつに分離して搬送路9上に取り出す場合、負圧チャンバ5の負圧をON/OFF制御するか、或いは取り出しベルト4を間歇的に走行させることにより、紙葉類P同士の間にギャップを形成する。これらギャップの大きさは、取り出し装置1の下流の搬送路9に接続された処理装置(ここでは図示および説明を省略する)における紙葉類Pの処理能力に応じて決まる。および/或いは、これらギャップの大きさは、搬送路9の下流に配置された図示しないゲートの切り換え速度に応じて決まる。
【0039】
例えば、下流側の処理装置における処理効率を高めるとともに、十分な処理時間を与えるためには、紙葉類P間のギャップを所望する長さに安定してコントロールすることが望ましい。しかし、取り出しベルト4を間歇的に動作させてギャップを形成する方法では、ベルトの加速および減速に必要とされる時間を高い精度でコントロールすることが難しく、加減速時にベルトと紙葉類Pとの間に滑りを生じる可能性がある。
【0040】
一方、負圧チャンバ5の負圧をON/OFF制御するため、ポンプ13と負圧チャンバ5をつなぐ配管の途中に上述した従来のソレノイドバルブを設けて、このソレノイドバルブを開閉制御することで、紙葉類間のギャップをコントロールする方法が考えられる。しかし、この方法では、上述したように、ソレノイドバルブ自体の応答速度が遅いため、紙葉類P間のギャップを所望する長さに高精度にコントロールすることは難しい。
【0041】
このため、本願発明者等は、応答速度が極めて速く、多量の空気を流通させることができ、空気流を瞬時に流通および遮断できるバルブ装置を開発した。以下、本発明のバルブ装置の実施の形態についていくつかの例を挙げて説明する。
【0042】
図4には、この発明の第1の実施の形態に係るバルブ装置20の概略図を示してある。また、図5には、このバルブ装置20の内部構造を説明するため、図4のバルブ装置20を分解した概略図を示してある。
【0043】
このバルブ装置20は、負圧チャンバ5とポンプ13をつなぐ吸気管22の途中に設けられている。言い換えると、吸気管22は、図示のように、ポンプ13を作動させた際の空気の流れ方向(図中矢印R方向)に沿って、バルブ装置20の上流側の負圧チャンバ5に接続した上流側吸気管22aと、バルブ装置20の下流側のポンプ13に接続した下流側吸気管22bと、に分割されている。
【0044】
バルブ装置20は、図5に示すように、上流側吸気管22aの負圧チャンバ5から離間した側の端部に接続された略円板形状の第1ブロック24、下流側吸気管22bのポンプ13から離間した側の端部に接続された略円板形状の第2ブロック26、これら第1および第2ブロック24、26の間に配置された略円板形状の第1および第2の遮断板31、32、および、各遮断板31、32をそれぞれ独立して回転させる2つのサーボモータ33、34を有する。
【0045】
2つのサーボモータ33、34は、本発明の駆動装置として機能し、上述した取り出し装置1の制御部10に接続されている。また、各サーボモータ33、34は、それぞれ、第1および第2ブロック24、26の外側に配置されている。なお、本実施の形態では、2つの遮断板31、32をそれぞれ独立して回転させる2つのサーボモータ33、34を用いた場合について説明するが、図示しない単一の駆動装置で2枚の遮断板31、32を回転させるようにしても良い。
【0046】
上流側吸気管22aと下流側吸気管22bを含む吸気管22は、図4に示すように、バルブ装置20を通って延びる空気の流路23(図中破線で示す)を規定している。そして、第1ブロック24、第2ブロック26、第1の遮断板31、および第2の遮断板32は、この流路23と略直交する姿勢で、互いに同軸に近接して配置されている。つまり、図5では、説明を分かり易くするため、これら円板形状の4つの部材24、26、31、32は、軸方向に離間した状態で図示してあるが、実際には、図4に示すように互いに軸方向に近接して配置されている。
【0047】
第1および第2の遮断板31、32は、それぞれ、上述した吸気管22を流通する空気の流路23を遮断する面に沿って回転可能(移動可能)に配置されている。また、第1および第2の遮断板31、32は、それぞれ、第1ブロック24および第2ブロック26の中心を貫通して延びたサーボモータ33、34の回転軸33a、34aに同軸に取り付けられている。
【0048】
本実施の形態の第1の遮断板31と第2の遮断板32は、それぞれ対応するサーボモータ33、34によって互いに逆方向(図中矢印方向)に独立して回転される。具体的には、第1の遮断板31は、図5中左側から見て時計回り方向(CW方向)に回転され、第2の遮断板32は、図5中左側から見て反時計回り方向(CCW方向)に回転される。
【0049】
第1ブロック24には、上流側吸気管22aを接続した連通孔24aが形成されている。また、第2ブロック26にも、下流側吸気管22bを接続した連通孔26aが形成されている。これら連通孔24a、26aは、それぞれ、第1および第2ブロック24、26の回転中心から離間した定位置を貫通して形成されている。なお、これら2つの連通孔24a、26aは、上述した流路23と丁度重なる位置に形成されており、互いに対向する位置に同軸に形成されている。
【0050】
一方、2枚の遮断板31、32には、それぞれ、複数(本実施の形態では3つ)の流通孔31a、32a(第1の流通孔、第2の流通孔)が形成されている。これら複数の流通孔31a、32aは、それぞれ、第1および第2の遮断板31、32の回転によって移動(回転)する。本実施の形態では、各流通孔31a、32aは、遮断板31、32の回転方向に沿って湾曲して延びた略扇形状に形成されている。つまり、各流通孔31a、32aは、遮断板31、32の回転の途中で、第1および第2ブロック24、26の連通孔24a、26a、すなわち上述した吸気管22の流路23に重なる時間が比較的長くなるような形状を有する。
【0051】
以下、上述した構造のバルブ装置20の動作について、図6乃至図15を参照して説明する。図6〜図13には、2枚の遮断板31、32を回転させて流路23を開閉制御する場合の動作説明図を示してあり、図14には、図6〜図13の動作に関連して、各遮断板31、32の回転速度変化を説明するためのグラフを示してあり、図15には、図6〜図13の動作に関連した流路23の開口面積の経時変化を示すグラフを示してある。なお、図6乃至図13は、説明を分かり易くするため、バルブ装置20の要部の構成だけを簡略化して図示した。
【0052】
図6には、バルブ装置20で流路23を遮断した状態の一例を示してある。図6〜図13では、流路23が各遮断板31、32と交差する領域23aを二点差線で図示してある。本実施の形態では、2枚の遮断板31、32を、それぞれ図示矢印方向にのみ可変速で回転した。具体的には、図14に示すように、負圧チャンバ5側の第1ブロック24に隣接した第1の遮断板31を図中時計回り方向(CW方向:第1の回転方向)に回転し、ポンプ13側の第2ブロック26に隣接した第2の遮断板32を図中反時計回り方向(CCW方向:第2の回転方向)に回転するようにした。
【0053】
図6に示す状態で、2枚の遮断板31、32の回転は停止されている。この状態を、流路23を開放する前の待機状態とする。図14、15のグラフでは、この図6に図示した待機状態の時刻をゼロとしている。この状態で、流路23は、その断面の約半分の領域が第1の遮断板31によって塞がれており、残りの約半分の領域が第2の遮断板32によって塞がれており、第1および第2の遮断板31、32の協働により流路23が完全に遮断されている。
【0054】
より詳細には、この状態で、第1の遮断板31の1つの流通路31aのCW方向に沿った前端縁311が流路23内にあり、第2の遮断板32の1つの流通路32aのCCW方向に沿った前端縁321が流路23内にある。その上、この状態で、これら2つの流通路31a、32aは、流路23内で重ならないことが必要である。例えば、この状態で、第1の遮断板31の流通路31aの前端縁311と第2の遮断板32の流通路32aの前端縁321が僅かに重なっていても良い。
【0055】
そして、この待機状態から、制御部10の『開』指令に基づいて、図7に示す状態まで各遮断板31、32がそれぞれ矢印方向に回転されて、流路23が開通される。このとき、制御部10は、センサS1〜S6の出力を監視して先行する紙葉類Pが搬送路9上に取り出されたことを判断し、当該紙葉類Pを取り出しベルト4に吸着せしめるための『開』指令を発する。
【0056】
なお、制御部10が図6の待機状態で停止していた各遮断板31、32を回転させるため、各遮断板31、32の角速度は、図14に示すようにゼロから徐々に増加する。図14を見ると、待機状態から2枚の遮断板31、32の回転を始めて、加速している途中で、流路23が全開になっていることがわかる。つまり、図7の状態では、各遮断板31、32は最も早い速度で回転していることになる。
【0057】
このように、2枚の遮断板31、32の加速回転途中で、流路23を全開の状態にすることにより、図15に示すように、極めて短い時間で流路23を閉から開に切り換えることができ、バルブ装置20の応答速度を速くすることができる。このような効果を奏するためには、流路23を開通する前の待機状態で図6に示す状態を作ることが重要であり、図6の待機状態から各遮断板31、32を異なる方向に回転させることが重要である。
【0058】
これに対し、仮に、流路23を開通すると同時に2枚の遮断板31、32を停止させる制御を実施する必要がある場合、停止状態の遮断板31、32を加速した後、遮断板31、32を停止するまで減速のための余分な時間が必要となり、『開』指令から流路23を全開にするまでの時間が長くなってしまう。
【0059】
また、仮に、流通路31aの前端縁311が流路23内に無い状態から第1の遮断板31を回転させるとともに、流通路32aの前端縁321が流路23内に無い状態から第2の遮断板32を回転させて流路23を開通させる場合、流路23を閉から開にするまでの各遮断板31、32の移動距離(回転角度)が長く(大きく)なってしまい、『開』指令から流路23を全開にするまでの時間が長くなってしまう。
【0060】
このため、本実施の形態では、図6に図示した待機位置から各遮断板31、32の回転を開始して、加速の途中で流路23を全開にするようにした。なお、本実施の形態では、各遮断板31、32の加速の途中で流路23を全開にする場合を説明したが、少なくとも流路23を開通する途中で各遮断板31、32を減速させなければ良い。
【0061】
この後、制御部10は、図7に示す状態から図8の状態を経て図9の状態に至る間に、2枚の遮断板31、32の回転を減速して停止する。本実施の形態では、図7の状態から図8の状態の間に2枚の遮断板31、32の回転を減速させて概ね停止させ、図8の状態から図9の状態までの間に、2枚の遮断板31、32をゆっくりと回転させてもう一つの待機状態に移動しておく。つまり、今度は、この図9の状態が、流路23を遮断する前の待機状態となる。
【0062】
より詳細には、図9の待機状態では、第1の遮断板31の1つの流通孔31aのCW方向に沿った後端縁312が流路23(領域23a)の縁に近接し、第2の遮断板32の1つの流通孔32aのCCW方向に沿った後端縁322が流路23(領域23a)の反対側の縁に近接している。また、この状態で、当然のことながら、これら2つの流通孔31a、32aは流路23と重なっている。
【0063】
そして、図9の待機状態から、制御部10の『閉』指令に基づいて、図10に示す状態まで、2枚の遮断板31、32が回転されて、流路23が瞬時に遮断される。この場合においても、図14に示すように、2枚の遮断板31、32の加速の途中で流路23を遮断することが重要であり、遮断板31、32が減速されることはない。また、この際、流路23が完全に遮断されるまでの各遮断板31、32の移動距離(回転角度)は、流通孔31a、32aの後端縁312、322が流路23の縁から略中央に移動するまでのきわめて短い距離(角度)であり、短時間で流路23を遮断できていることが分かる。
【0064】
このように流路23を短時間で遮断するためには、流路23を遮断する前の待機状態で、図9に示す位置に各遮断板31、32を停止させておくことが重要であり、この待機状態を作ることで、バルブ装置20の閉動作の応答速度を速くすることができる。なお、図10に示す状態のとき、各遮断板31、32は、最も速い速度で回転している。
【0065】
さらにこの後、制御部10は、図10に示す状態から図11に示す状態を経て図12の状態に至る間に、2枚の遮断板31、32の回転を減速させて概ね停止させる。そして、この状態から図13に示す待機状態(図6に示す待機状態と同じ姿勢)になるまで遮断板31、32をゆっくり回転させて停止させる。
【0066】
以上、図6〜図13に示す動作を繰り返して、バルブ装置20を開閉制御することによって、吸気管22を開通および遮断し、取り出し位置Sに供給された紙葉類Pに負圧を作用させて取り出しベルト4に吸着せしめ、紙葉類Pを搬送路9上に1枚ずつ間欠的に取り出す。本実施の形態のバルブ装置20を用いた場合、各遮断板31、32をそれぞれ1回転する間に3枚の紙葉類Pを取り出すことができる。
【0067】
本実施の形態のバルブ装置20を用いることにより、上述したように、流路23を短時間で瞬時に開通および遮断することができ、複数枚の紙葉類Pを連続して高速に取り出しできる。また、本実施の形態の取り出し装置1によると、上述したバルブ装置20を用いることで、多量の空気を瞬時に流通および遮断することができ、比較的重い紙葉類Pであっても確実且つ安定して取り出しベルト4に吸着させることができる。
【0068】
これに対し、従来のソレノイドバルブを同じ用途で用いた場合、ソレノイドバルブは、上述したように、流体の通過抵抗が大きいため、多量の空気を一斉に通過させることが難しく、負圧チャンバ5を瞬時に真空引きすることはできない。また、流路自体を太くした場合、その分、プランジャのイナーシャが大きくなって、ソレノイドバルブの応答速度が遅くなってしまう。
【0069】
これに対し、本実施の形態のバルブ装置20は、モータ27を回転させるだけの簡単な制御で流路23を瞬時に開通および遮断させることができ、応答速度を高速にできる。また、本実施の形態のバルブ装置20において、流路23自体の太さも任意に設定でき、より多量の空気を流通および遮断することができる。また、本実施の形態のバルブ装置20は、空気を一直線に通過させる構造を有するため、空気の通過抵抗は殆どなく、多量の空気をスムーズに流通させることができる。
【0070】
図16には、この発明の第2の実施の形態に係るバルブ装置30の分解斜視図を示してある。このバルブ装置30は、上述した第1の実施の形態と同様に負圧チャンバ5とポンプ13をつなぐ吸気管22の途中に設けられているとともに、負圧チャンバ5とポンプ13の排気口13aをつなぐ排気管28の途中に設けられている。言い換えると、本実施の形態のバルブ装置30は、吸気管22と排気管28を交互に開通および遮断するよう動作する。
【0071】
排気管28は、ポンプ13の排気口13aから排気される空気の流れ方向(図中矢印Q方向)に沿ってバルブ装置30の上流側にある上流側排気管28aと、バルブ装置30の下流側にある下流側排気管28bと、を有する。上流側排気管28aは、ポンプ13の排気口13aとバルブ装置30の第2ブロック26の連通孔26bをつなぎ、下流側排気管28bは、バルブ装置30の第1ブロック24の連通孔24bと負圧チャンバ5をつないでいる。排気管28は、後述する流路29を規定している。
【0072】
なお、下流側排気管28bを接続した第1ブロック24の連通孔24bは、遮断板31の回転中心軸に対して連通孔24aと対称となる位置に形成されている。また、上流側排気管28aを接続した第2ブロック26の連通孔26bは、遮断板32の回転中心軸に対して連通孔26aと対称となる位置で且つ第1ブロック24の連通孔24bと同軸になる位置に形成されている。ここまで説明した以外の構造は、上述した第1の実施の形態のバルブ装置20と略同じ構造であるため、ここでは、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0073】
上述した構造のバルブ装置30は、以下のように動作する。
なお、ここでも、図17〜図22では、説明を分かり易くするため、バルブ装置30の要部の構成だけを簡略化して図示した。
【0074】
図17には、吸気管22を遮断し、且つ排気管28を開通した状態の一例を示してある。つまり、図17の状態では、吸気管22で規定した流路23(第1の流路)が遮断されており、排気管28で規定した流路29(第2の流路)が開通されている。言い換えると、図17の状態で、ポンプ13からの排気が負圧チャンバ5へ送り込まれており、負圧チャンバ5が大気圧に戻されている。
【0075】
図17に示す状態で、2枚の遮断板31、32の回転は停止されている。この状態を、流路23を開放する前の待機状態とする。また、この状態は、流路29を遮断する前の待機状態にもなっている。つまり、この状態で、流路23は、その断面の約半分の領域が第1の遮断板31によって塞がれており、残りの約半分の領域が第2の遮断板32によって塞がれており、第1および第2の遮断板31、32の協働により流路23が完全に遮断されている。また、この状態で、流路29には、第1の遮断板31の流通孔31aが重なっているとともに、第2の流通孔32aが重なっており、第1および第2の遮断板31、32の協働により流路29が全開にされている。
【0076】
より詳細には、この状態で、第1の遮断板31の1つの流通路31aのCW方向に沿った前端縁311が流路23内にあり、第2の遮断板32の1つの流通路32aのCCW方向に沿った前端縁321が流路23内にある。その上、この状態で、これら2つの流通路31a、32aは、流路23内で重なっていない。
【0077】
また、同時に、この状態で、第1の遮断板31の別の流通孔31aのCW方向に沿った後端縁312が流路29の縁に近接し、第2の遮断板32の別の流通孔32aのCCW方向に沿った後端縁322が流路29の反対側の縁に近接している。その上、この状態で、これら2つの流通孔31a、32aは、それぞれ、流路29と完全に重なっている。
【0078】
そして、この待機状態から、制御部10の『開』指令に基づいて、図18に示す状態まで各遮断板31、32がそれぞれ矢印方向に回転されて、流路23が開通されると同時に流路29が遮断される。このとき、図17の待機状態で停止していた各遮断板31、32を回転させるため、各遮断板31、32の角速度は、ゼロから徐々に増加する。すなわち、本実施の形態においても、図17から図18の状態に至る各遮断板31、32の加速の途中で、流路23が全開になるとともに流路29が遮断される。
【0079】
このように、2枚の遮断板31、32の加速回転途中で、流路23を全開の状態にすると同時に流路29を遮断することにより、極めて短い時間で流路23を閉から開に切り換えることができ、同時に、極めて短い時間で流路29を開から閉に切り換えることができ、バルブ装置30の応答速度を速くすることができる。このような効果を奏するためには、流路23を開通する前の待機状態および流路29を遮断する前の待機状態で、図17に示す状態を作ることが重要であり、図17の待機状態から各遮断板31、32を異なる方向に回転させることが重要である。
【0080】
この後、制御部10は、図18に示す状態から図19の状態を経て図20の状態に至る間に、2枚の遮断板31、32の回転を減速して停止させる。本実施の形態では、図18の状態から図19の状態の間に2枚の遮断板31、32の回転を減速させて概ね停止させ、図19の状態から図20の状態までの間に、2枚の遮断板31、32をゆっくりと回転させてもう一つの待機状態に移動しておく。つまり、今度は、この図20の状態が、流路23を遮断する前の待機状態になると同時に流路29を開放する前の待機状態となる。
【0081】
より詳細には、図20の待機状態では、第1の遮断板31の1つの流通孔31aのCW方向に沿った後端縁312が流路23(領域23a)の縁に近接し、第2の遮断板32の1つの流通孔32aのCCW方向に沿った後端縁322が流路23(領域23a)の反対側の縁に近接している。また、この状態で、当然のことながら、これら2つの流通孔31a、32aは流路23と完全に重なっている。
【0082】
同時に、この待機状態で、第1の遮断板31の別の流通孔31aのCW方向に沿った前端縁311が流路29内にあり、第2の遮断板32の別の流通路32aのCCW方向に沿った前端縁321が流路29内にある。その上、この状態で、これら2つの流通路31a、32aは、流路29内で重なっていない。
【0083】
そして、図20の待機状態から、制御部10の『閉』指令に基づいて、図21に示す状態まで、2枚の遮断板31、32が回転されて、流路23が瞬時に遮断されると同時に、流路29が瞬時に流通される。この場合においても、2枚の遮断板31、32の加速の途中で流路23を遮断するとともに流路29を流通させることができ、遮断板31、32が減速されることはない。また、この際、流路23が完全に遮断されて流路29が完全に開放されるまでの各遮断板31、32の移動距離(回転角度)は、1つの流通孔31a、32aの後端縁312、322が流路23の縁から略中央に移動するまでのきわめて短い距離(角度)であり、短時間で流路23を遮断(流路29を開放)できていることが分かる。
【0084】
このように流路23を短時間で遮断するとともに流路29を短時間で流通させるためには、流路23を遮断する前の待機状態、すなわち流路29を開放する前の待機状態で、図20に示す位置に各遮断板31、32を停止させておくことが重要であり、この待機状態を作ることで、バルブ装置30の開閉動作の応答速度を速くすることができる。
【0085】
さらにこの後、制御部10は、図21に示す状態から図22に示す状態を経て再び図17の状態に至る間に、2枚の遮断板31、32の回転を減速させて停止させる。
以上、図17〜図22に示す動作を繰り返して、バルブ装置30を開閉制御することによって、吸気管22を開通および遮断すると同時に、排気管28を遮断および開通することができる。これにより、取り出し位置Sに供給された紙葉類Pに負圧を作用させて取り出しベルト4に吸着せしめ、紙葉類Pを搬送路9上に1枚ずつ間欠的に取り出すとともに、各紙葉類Pを取り出した後、負圧チャンバ5を瞬時に大気圧に戻すことができる。本実施の形態のバルブ装置30を用いた場合、各遮断板31、32をそれぞれ1回転する間に3枚の紙葉類Pを取り出すことができる。
【0086】
以上のように、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができ、その上、紙葉類Pの吸着を解除する際には、負圧チャンバ5内に多量の空気を瞬時に送り込むことができる。
【0087】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0088】
例えば、上述した実施の形態では、取り出し位置Sへ供給された紙葉類Pを取り出す取り出し部材として無端状の取り出しベルト4について説明したが、これに限らず、取り出し方向に回転するロータに複数の吸着孔を形成した取り出し部材を使用しても良い。
【0089】
また、上述した実施の形態では、2枚の遮断板31、32を協働させて流路23(29)を開閉制御するバルブ装置20(30)について説明したが、これに限らず、3枚以上の遮断板を重ねて配置して協働させることで複数の流路を開閉制御するようにしても良い。この場合、物理的に、全ての遮断板の回転軸を同軸に配置することが難しいため、回転中心をずらして回転軸を平行に並べるよう遮断板を部分的に重ねる方法が考えられる。
【0090】
また、上述した実施の形態では、1つの流路23、或いは2つの流路23、29を同時に開閉制御するバルブ装置20、30について説明したが、これに限らず、1つのバルブ装置で開閉する流路の本数は任意に設定可能である。
【0091】
さらに、上述した実施の形態では、流路を開通させる前の待機状態において、2枚の遮断板を協働させて流路を完全に塞ぐように2枚の遮断板を停止させたが、必ずしも流路を完全に塞ぐ必要は無く、2枚の遮断板の間に僅かな隙間が空いていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
この発明は、多量の流体を高い応答速度で流通および遮断させることができるバルブ装置、および比較的重い紙葉類の取り出しを容易にでき紙葉類の取り出し速度を高速にできる紙葉類取り出し装置に関する。
【符号の説明】
【0093】
1…紙葉類取り出し装置、4…取り出しベルト、5…負圧チャンバ、10…制御部、13…ポンプ、13a…排気口、20、30…バルブ装置、22…吸気管、23、29…流路、24…第1ブロック、24a…連通孔、26…第2ブロック、26a…連通孔、28…排気管、31…第1の遮断板、31a…第1の流通孔、32…第2の遮断板、32a…第2の流通孔、33、34…サーボモータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させる流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第1の流通孔を有する第1の遮断板と、
この第1の遮断板に重ねて上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第2の流通孔を有する第2の遮断板と、
上記第1および第2の遮断板を協働させて上記流路を遮断および開通させる駆動装置と、
を有することを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
上記駆動装置は、上記第1の流通孔が上記流路を横切る第1の移動方向に上記第1の遮断板を移動させるとともに、上記第2の遮断板を上記第1の移動方向と逆の第2の移動方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
上記駆動装置は、上記流路を開通させる前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の移動方向に沿った前端縁が上記流路内で、且つ上記第2の流通孔の上記第2の移動方向に沿った前端縁が上記流路内に存在するように、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の移動を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記流路を全開にさせることを特徴とする請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
上記駆動装置は、上記流路を遮断する前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の移動方向に沿った後端縁が上記流路の縁に近接し、上記第2の流通孔の上記第2の移動方向に沿った後端縁が上記流路の反対側の縁に近接し、且つ上記第1および第2の流通孔が上記流路に重なる位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項6】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の移動を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記流路を遮断することを特徴とする請求項5に記載のバルブ装置。
【請求項7】
流体を流通させる第1の流路およびこの第1の流路と離間して並んだ第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第1の流通孔を有する第1の遮断板と、
この第1の遮断板に重ねて上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第2の流通孔を有する第2の遮断板と、
上記第1および第2の遮断板を協働させて上記第1および第2の流路を遮断および開通させる駆動装置と、
を有することを特徴とするバルブ装置。
【請求項8】
上記駆動装置は、上記複数の第1の流通孔が上記第1および第2の流路を横切る第1の回転方向に上記第1の遮断板を回転させる第1のモータと、上記第2の遮断板を上記第1の回転方向と逆の第2の回転方向に回転させる第2のモータと、を有することを特徴とする請求項7に記載のバルブ装置。
【請求項9】
上記駆動装置は、上記第1の流路を開通させる前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の回転方向に沿った前端縁が上記流路内に存在し、上記第2の流通孔の上記第2の回転方向に沿った前端縁が上記流路内に存在し、且つ上記第2の流路を他の上記第1および第2の流通孔が開通する位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項8に記載のバルブ装置。
【請求項10】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の回転を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記第1の流路を全開にさせると同時に上記第2の流路を遮断することを特徴とする請求項9に記載のバルブ装置。
【請求項11】
上記駆動装置は、上記第1の流路を遮断する前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の回転方向に沿った後端縁が上記第1の流路の縁に近接し、上記第2の流通孔の上記第2の回転方向に沿った後端縁が上記第1の流路の反対側の縁に近接し、上記第1および第2の流通孔が上記第1の流路に重り、且つ上記第2の流路を遮断する位置であって、他の上記第1の流通孔の上記第1の回転方向に沿った前端縁が上記第2の流路内にあり、他の上記第2の流通孔の上記第2の回転方向に沿った前端縁が上記第2の流路内にあり、上記他の第1および第2の流通孔が上記第2の流路内で重なることがない位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項8に記載のバルブ装置。
【請求項12】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の回転を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記第1の流路を遮断すると同時に上記第2の流路を開通させることを特徴とする請求項11に記載のバルブ装置。
【請求項13】
複数枚の紙葉類を重ねて投入する投入部と、
吸着孔を有し、上記投入部に投入された紙葉類のうち重ね方向一端の紙葉類に沿って走行する取り出し部材と、
この取り出し部材の裏面側から上記吸着孔を吸引して当該取り出し部材の表面に負圧を発生させ、上記一端の紙葉類を当該取り出し部材の表面に吸着させる負圧発生部と、
この負圧発生部に流路を介して接続した吸気装置と、
上記流路の途中に設けられたバルブ装置と、を有し、
上記バルブ装置は、
上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第1の流通孔を有する第1の遮断板と、
この第1の遮断板に重ねて上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第2の流通孔を有する第2の遮断板と、
上記第1および第2の遮断板を協働させて上記流路を遮断および開通させる駆動装置と、
を有することを特徴とする紙葉類取り出し装置。
【請求項14】
上記駆動装置は、上記第1の流通孔が上記流路を横切る第1の移動方向に上記第1の遮断板を移動させるとともに、上記第2の遮断板を上記第1の移動方向と逆の第2の移動方向に移動させることを特徴とする請求項13に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項15】
上記駆動装置は、上記流路を開通させる前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の移動方向に沿った前端縁が上記流路内に、上記第2の流通孔の上記第2の移動方向に沿った前端縁が上記流路内にそれぞれ存在する位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項14に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項16】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の移動を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記流路を全開にさせることを特徴とする請求項15に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項17】
上記駆動装置は、上記流路を遮断する前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の移動方向に沿った後端縁が上記流路の縁に近接し、上記第2の流通孔の上記第2の移動方向に沿った後端縁が上記流路の反対側の縁に近接し、且つ上記第1および第2の流通孔が上記流路に重なる位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項14に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項18】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の移動を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記流路を遮断することを特徴とする請求項17に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項19】
複数枚の紙葉類を重ねて投入する投入部と、
吸着孔を有し、上記投入部に投入された紙葉類のうち重ね方向一端の紙葉類に沿って走行する取り出し部材と、
この取り出し部材の裏面側から上記吸着孔を吸引して当該取り出し部材の表面に負圧を発生させ、上記一端の紙葉類を当該取り出し部材の表面に吸着させる負圧発生部と、
この負圧発生部に第1の流路を介して接続した吸気装置と、
上記第1の流路の途中に設けられているとともに第1の流路とは別の第2の流路の途中に設けられたバルブ装置と、を有し、
上記バルブ装置は、
上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第1の流通孔を有する第1の遮断板と、
この第1の遮断板に重ねて上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第2の流通孔を有する第2の遮断板と、
上記第1および第2の遮断板を協働させて上記第1および第2の流路を遮断および開通させる駆動装置と、
を有することを特徴とする紙葉類取り出し装置。
【請求項20】
上記第2の流路は、上記吸気装置の排気口と上記負圧発生部とを連絡して延設されていることを特徴とする請求項19に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項1】
流体を流通させる流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第1の流通孔を有する第1の遮断板と、
この第1の遮断板に重ねて上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第2の流通孔を有する第2の遮断板と、
上記第1および第2の遮断板を協働させて上記流路を遮断および開通させる駆動装置と、
を有することを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
上記駆動装置は、上記第1の流通孔が上記流路を横切る第1の移動方向に上記第1の遮断板を移動させるとともに、上記第2の遮断板を上記第1の移動方向と逆の第2の移動方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
上記駆動装置は、上記流路を開通させる前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の移動方向に沿った前端縁が上記流路内で、且つ上記第2の流通孔の上記第2の移動方向に沿った前端縁が上記流路内に存在するように、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の移動を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記流路を全開にさせることを特徴とする請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
上記駆動装置は、上記流路を遮断する前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の移動方向に沿った後端縁が上記流路の縁に近接し、上記第2の流通孔の上記第2の移動方向に沿った後端縁が上記流路の反対側の縁に近接し、且つ上記第1および第2の流通孔が上記流路に重なる位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項6】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の移動を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記流路を遮断することを特徴とする請求項5に記載のバルブ装置。
【請求項7】
流体を流通させる第1の流路およびこの第1の流路と離間して並んだ第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第1の流通孔を有する第1の遮断板と、
この第1の遮断板に重ねて上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第2の流通孔を有する第2の遮断板と、
上記第1および第2の遮断板を協働させて上記第1および第2の流路を遮断および開通させる駆動装置と、
を有することを特徴とするバルブ装置。
【請求項8】
上記駆動装置は、上記複数の第1の流通孔が上記第1および第2の流路を横切る第1の回転方向に上記第1の遮断板を回転させる第1のモータと、上記第2の遮断板を上記第1の回転方向と逆の第2の回転方向に回転させる第2のモータと、を有することを特徴とする請求項7に記載のバルブ装置。
【請求項9】
上記駆動装置は、上記第1の流路を開通させる前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の回転方向に沿った前端縁が上記流路内に存在し、上記第2の流通孔の上記第2の回転方向に沿った前端縁が上記流路内に存在し、且つ上記第2の流路を他の上記第1および第2の流通孔が開通する位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項8に記載のバルブ装置。
【請求項10】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の回転を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記第1の流路を全開にさせると同時に上記第2の流路を遮断することを特徴とする請求項9に記載のバルブ装置。
【請求項11】
上記駆動装置は、上記第1の流路を遮断する前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の回転方向に沿った後端縁が上記第1の流路の縁に近接し、上記第2の流通孔の上記第2の回転方向に沿った後端縁が上記第1の流路の反対側の縁に近接し、上記第1および第2の流通孔が上記第1の流路に重り、且つ上記第2の流路を遮断する位置であって、他の上記第1の流通孔の上記第1の回転方向に沿った前端縁が上記第2の流路内にあり、他の上記第2の流通孔の上記第2の回転方向に沿った前端縁が上記第2の流路内にあり、上記他の第1および第2の流通孔が上記第2の流路内で重なることがない位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項8に記載のバルブ装置。
【請求項12】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の回転を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記第1の流路を遮断すると同時に上記第2の流路を開通させることを特徴とする請求項11に記載のバルブ装置。
【請求項13】
複数枚の紙葉類を重ねて投入する投入部と、
吸着孔を有し、上記投入部に投入された紙葉類のうち重ね方向一端の紙葉類に沿って走行する取り出し部材と、
この取り出し部材の裏面側から上記吸着孔を吸引して当該取り出し部材の表面に負圧を発生させ、上記一端の紙葉類を当該取り出し部材の表面に吸着させる負圧発生部と、
この負圧発生部に流路を介して接続した吸気装置と、
上記流路の途中に設けられたバルブ装置と、を有し、
上記バルブ装置は、
上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第1の流通孔を有する第1の遮断板と、
この第1の遮断板に重ねて上記流路を遮断する面に沿って移動可能に設けられ、移動の途中で上記流路に重なる第2の流通孔を有する第2の遮断板と、
上記第1および第2の遮断板を協働させて上記流路を遮断および開通させる駆動装置と、
を有することを特徴とする紙葉類取り出し装置。
【請求項14】
上記駆動装置は、上記第1の流通孔が上記流路を横切る第1の移動方向に上記第1の遮断板を移動させるとともに、上記第2の遮断板を上記第1の移動方向と逆の第2の移動方向に移動させることを特徴とする請求項13に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項15】
上記駆動装置は、上記流路を開通させる前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の移動方向に沿った前端縁が上記流路内に、上記第2の流通孔の上記第2の移動方向に沿った前端縁が上記流路内にそれぞれ存在する位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項14に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項16】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の移動を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記流路を全開にさせることを特徴とする請求項15に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項17】
上記駆動装置は、上記流路を遮断する前の待機状態のとき、上記第1の流通孔の上記第1の移動方向に沿った後端縁が上記流路の縁に近接し、上記第2の流通孔の上記第2の移動方向に沿った後端縁が上記流路の反対側の縁に近接し、且つ上記第1および第2の流通孔が上記流路に重なる位置に、上記第1および第2の遮断板を停止させておくことを特徴とする請求項14に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項18】
上記駆動装置は、上記待機状態から上記第1および第2の遮断板の移動を開始して、上記第1および第2の遮断板の加速途中で上記流路を遮断することを特徴とする請求項17に記載の紙葉類取り出し装置。
【請求項19】
複数枚の紙葉類を重ねて投入する投入部と、
吸着孔を有し、上記投入部に投入された紙葉類のうち重ね方向一端の紙葉類に沿って走行する取り出し部材と、
この取り出し部材の裏面側から上記吸着孔を吸引して当該取り出し部材の表面に負圧を発生させ、上記一端の紙葉類を当該取り出し部材の表面に吸着させる負圧発生部と、
この負圧発生部に第1の流路を介して接続した吸気装置と、
上記第1の流路の途中に設けられているとともに第1の流路とは別の第2の流路の途中に設けられたバルブ装置と、を有し、
上記バルブ装置は、
上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第1の流通孔を有する第1の遮断板と、
この第1の遮断板に重ねて上記第1および第2の流路を遮断する面に沿って回転可能に設けられ、回転の途中で上記第1の流路に重なるとともに回転の途中で上記第2の流路に重なる複数の第2の流通孔を有する第2の遮断板と、
上記第1および第2の遮断板を協働させて上記第1および第2の流路を遮断および開通させる駆動装置と、
を有することを特徴とする紙葉類取り出し装置。
【請求項20】
上記第2の流路は、上記吸気装置の排気口と上記負圧発生部とを連絡して延設されていることを特徴とする請求項19に記載の紙葉類取り出し装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−43183(P2011−43183A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190308(P2009−190308)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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