説明

バーチカルプローブおよびそれを用いたプローブヘッド

【課題】 屈曲部に柔軟性を持たせたバーチカルプローブと、このバーチカルプローブを備えた狭小ピッチ対応のプローブヘッドを提供する。
【解決手段】 プローブヘッド1は、プローブハウジング2と、傾斜して配置されたバーチカルプローブ3とを備え、プローブハウジング2の上面2aには複数の第1のスルーホール2b、2b…が設けられて、底面2fには第2のスルーホール2e、2e…が設けられ、第1のスルーホールおよび第2のスルーホール間に空洞部2mが形成され、これらの間にバーチカルプローブが挿着され、プローブ上部3aおよびプローブ下部3bの幅より狭くなった屈曲部3eが設けられ、プローブ下部にはプローブ先端3d側に向かって幅3gを更に狭くする段差3fを備え、段差がプローブハウジングの第2のスルーホールの淵部2gに係止され、バーチカルプローブは屈曲方向に変形して上下に伸縮して良好な電気的接続をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルやカメラモジュール、IC、LSI等の多電極半導体デバイスの検査用のプローブ、およびこのプローブを用いたプローブヘッドに関し、特に、垂直方向に沿って屈曲部を有するバーチカルプローブを挿着した極小狭ピッチ対応のプローブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルやカメラモジュール、IC、LSI等の半導体デバイスは一般に矩形に形成され、その縁辺およびエリアに配列された多数の端子電極(以下、単に「電極」と略す)を設けている。
このようなデバイスは製造中の検査工程において、単品毎またはウエハ全体での動作試験などが行われ、大量生産品から不良品を排除するように品質管理される。その際、各半導体デバイス毎に専用のプローブカードが用いられる。このプローブカードにはプローブヘッドが備えられ、プローブヘッドに備えられたプローブの先端が半導体デバイスなどの電子デバイスの電極であるテスト端子に接触することによって検査がなされる。
【0003】
図9は、従来のバーチカルプローブおよびプローブヘッドの概略を示し、(a)はバーチカルプローブがコンタクトする前のプローブヘッドを示す斜視図、(b)はバーチカルプローブがコンタクトしたときのプローブヘッドを示す斜視図である。
図9の(a)に示すように、プローブヘッド101は、バーチカルプローブ102、プローブハウジング103、およびインターポーザ104を備えている。
このバーチカルプローブ102は、被検査対象である電子デバイス105のテスト端子105aに接触して電気的に導通を有するプローブ先端102aと、電気信号測定装置(図略)に電気信号を伝達するインターポーザ104と接触して電気的に導通を有するプローブ後端102bとを備えている。そして、プローブ先端102aを含む直線部で形成された部分をプローブ下部102cと称し、プローブ後端102bを含んで垂直に延びたバーチカルプローブ102の垂直軸芯に向かって延出した形状に形成された部分をプローブ上部102dと称したとき、この延出して形成された長さはバーチカルプローブ102の自然長における屈曲方向の投影長さに形成され、さらに第1の開口103aに隙間を有して摺動可能に形成されている。そして、プローブ下部102cとプローブ上部102dとの間にバーチカルプローブ102の長手方向に沿って左右に屈曲する屈曲部102eを備えている。このバーチカルプローブ102のプローブ後端102bには凸形状の導電端子102fを形成している。
【0004】
図9の(b)に示すように、図中に示す矢印はバーチカルプローブ102が伸縮するときの屈曲方向を示している。このバーチカルプローブ102の屈曲部102eは、複数の曲点を有して形成されている。この複数の曲点の数は4つとし、その形状は、例えば、4つの曲点を有するS字状に屈曲したS字状屈曲部である。プローブハウジング103は、バーチカルプローブ102をプローブ先端102a側から挿入可能な第1の開口103aを有する上部スルーホール103cと、プローブ先端102aを電子デバイス105側に突出させる第2の開口103bを有する下部スルーホール103dとを備えている。さらにプローブハウジング103は、上部スルーホール103cを有する上部シリコン基板103eと、下部スルーホール103dを有する下部シリコン基板103fとを備えている。上部スルーホール103cは、上部シリコン基板103eの上方に形成されており、かつ、下部スルーホール103dは、下部シリコン基板103fの下方に形成されている。そして上部スルーホール103cと下部スルーホール103dとの間には屈曲部103eの非屈曲方向の位置を支持する空洞部103gを備えている。さらに下部スルーホール103dの下部シリコン基板103fには、入り勝手部103hが形成されている。この入り勝手部103hはカーブを描いて形成されたバーチカルプローブ102を上方から挿入するときに、所定の下部スルーホール103dに容易に挿着できるようにしたものであり、かつ、バーチカルプローブ102を下方にずれ落ちないように支える箇所である。第1の開口103aは、バーチカルプローブ102をそのまま上方から挿入脱着可能に形成され、その一辺の長さはバーチカルプローブ102の屈曲方向の投影長さ103aa、他辺の長さはバーチカルプローブ102の非屈曲方向の断面長さ103abであり、屈曲した形状を備えたバーチカルプローブ102を第1の開口103aからそのまま自然落下させるように挿入できる。また、第2の開口103bはバーチカルプローブ102を摺動可能に形成されている。これによって、複数のバーチカルプローブ102の屈曲部102eは、互いに干渉せずに屈曲可能に並設され、屈曲するときに互いに接触を避ける方向に逃げ、互いに独立した電気信号の導通を可能とする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2010―238795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液晶パネルやカメラモジュール、IC、LSI等の半導体デバイスを検査する場合、これらの半導体デバイスは微細化が進むとプロービングのZストロークおよび狭小ピッチを確保するのが益々厳しくなっている。そのため、1)プローブをプローブハウジングに挿入し易く交換が容易な点、2)プローブが座屈によるストレスを生じることなく互いに干渉せずに屈曲可能に並設される点、3)プローブのプローブ先端位置の精度が容易に維持される点、4)プローブ後端の導電端子によって多点接触構造の安定が図れる点、5)電気信号を取り出す複数の導電端子の間隔を広げることでファンアウト構造が図れる点、6)プローブ先端を微小間隔にすることによって正味の抵抗値を正確に測定可能なケルビンコンタクトにできる点、7)パワーデバイス対応のプローブ針を形成できる点、8)シールドコンタクトに対応できる点などの効果を有するプローブヘッドが開示されている。
本発明は、さらに前記課題を解決するために創案されたものであり、屈曲部に更なる柔軟性を持たせたバーチカルプローブと、このバーチカルプローブを備えた更なる狭小ピッチのプローブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明のバーチカルプローブは、被検査対象である電子デバイスのテスト端子に接触して電気的に導通を有するプローブ先端と、電気信号測定装置に信号を伝達するインターポーザの接続端子に接触して電気的に導通を有するプローブ後端と、を備えるバーチカルプローブにおいて、前記プローブ先端を含む直線部で形成された部分をプローブ下部と称し、前記プローブ後端を含む直線部で形成された部分をプローブ上部と称したとき、前記プローブ下部と前記プローブ上部との間に屈曲部を備え、この屈曲部は、前記バーチカルプローブを伸縮させる方向である前記バーチカルプローブの長手方向を垂直方向と称し、この垂直方向に対して直角な水平方向に突出して屈曲した屈曲部であって、前記屈曲した前記水平方向を前記バーチカルプローブの幅方向、前記屈曲部の横断面の屈曲しない方向を厚さ方向と称したとき、前記屈曲部の屈曲方向の幅は、前記プローブ上部および前記プローブ下部の前記幅より狭くなっていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバーチカルプローブであって、前記屈曲部の幅の変化は、前記プローブ上部、前記屈曲部、および前記プローブ下部へ曲線的に変化していることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のバーチカルプローブであって、前記プローブ下部には前記プローブ先端側に向かって前記幅を狭くする段差を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のバーチカルプローブであって、前記プローブ下部には前記厚さ方向に突起した凸部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明のプローブヘッドは、請求項1に係る前記バーチカルプローブおよび請求項4に係る前記凸部を前記プローブ先端側から挿入可能な第1のスルーホールと、前記プローブ先端を前記電子デバイス側に突出させる第2のスルーホールとを有するプローブハウジングを備え、前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホールとの間に前記屈曲部の非屈曲方向の位置を摺動可能に支持する空洞部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のプローブヘッドであって、前記プローブハウジングは、前記第1のスルーホールを有する上部シリコン基板と、前記第2のスルーホールを有する下部シリコン基板とを備え、前記第1のスルーホールは、前記上部シリコン基板の上方に形成され、かつ、前記第2のスルーホールは、前記下部シリコン基板の下方に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載のプローブヘッドであって、前記上部シリコン基板と前記下部シリコン基板には、前記第1のスルーホール、前記空洞部、および前記第2のスルーホールまで連続した溝状の凹部を備え、この凹部に前記凸部を嵌合させることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載のプローブヘッドであって、前記電子デバイスには縦横に配置されたテスト端子が備えられ、前記テスト端子に対応して配置された前記バーチカルプローブを挿入する前記第1のスルーホールおよび第2のスルーホールは、前記縦横に配置された前記テスト端子の位置に対して傾斜して配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプローブヘッドであって、前記傾斜した角度は、45°および63°のいずれか一方であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、バーチカルプローブにおいて、プローブ下部とプローブ上部との間に設けられた屈曲部の屈曲方向の幅を、プローブ上部およびプローブ下部の幅より狭くすることによって、屈曲部に更なる柔軟性を持たせたバーチカルプローブと、このバーチカルプローブを備えた更なる狭小ピッチのプローブヘッドを提供することができる。また、上部スルーホールおよび下部スルーホールの側壁は、それぞれのスルーホールの間隔が被検査デバイスの電極配置に従って決定され、アイソレーションの仕切りとなり、電位差をシリコン絶縁膜で防ぐことができる。また、バーチカルプローブが垂直方向に対して伸縮するバネであり弾性変形するため、座屈によるストレスを生じさせることなく、隣接するバーチカルプローブが互いに干渉せずに屈曲可能に並設されており、バーチカルプローブをプローブハウジングに挿入し易く、バーチカルプローブの交換が容易で、バーチカルプローブを支持する縦方向、横方向、および垂直方向の位置精度が一定に保たれてプローブ先端位置の精度が容易に維持される。
【0017】
また、バーチカルプローブを第1のスルーホールから挿入脱着可能で、バーチカルプローブを第2のスルーホールへ摺動可能に嵌着させることによって、座屈によるストレスを生じさせることなく、隣接するバーチカルプローブが互いに干渉せずに屈曲可能に並設され、バーチカルプローブをプローブハウジングに挿入し易く、バーチカルプローブの交換が容易で、バーチカルプローブを支持する縦方向、横方向、および垂直方向の位置精度が一定に保たれてプローブ先端位置の精度が容易に維持される。そして、バーチカルプローブの屈曲部は、複数の曲点を有して形成されており、この複数の曲点の数は3つとし、その形状は、例えば、3つの曲点を有するS字状に屈曲したS字状屈曲部である。また、同じく3つの曲点を有するくの字状に屈曲した、くの字状屈曲部としても構わない。これはバーチカルプローブが曲点を支点にしてカーブして全長を縮めてバネとして働くもので座屈によるものではない。また、複数の曲点を有して形成されておれば良く、このように3つの曲点に限定することなく、4つでもそれ以上であっても構わない。これに伴って形成される形状もこれらに限定するものではない。このバーチカルプローブの屈曲部によって、バーチカルプローブは第1のスルーホールから第2のスルーホールへ通じる空洞部の側壁で支持されて摺動可能に嵌着されているので、バーチカルプローブはその軸中心に回動することはなく、垂直方向の位置も一定に支持されている。すなわち、プローブ先端位置は一定で、ぶら下がっていないため、垂直方向への位置ずれもない。しかも、強制せずにフリーで支持されている。また、複数のバーチカルプローブの屈曲部は、互いに干渉せずに屈曲可能に並設されているため、屈曲するときに互いに接触を避ける方向に逃げ、互いに独立した電気信号の導通を可能とする。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、屈曲部の幅がプローブ上部、屈曲部、およびプローブ下部へ曲線的に変化していることによって、応力の集中もなく滑らかに狭幅部を得ることができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、プローブ下部にプローブ先端側に向かって幅を狭くする段差を備えることによって、この段差がプローブハウジングの第2のスルーホールの淵部に掛り、垂直方向である上下位置を一定に維持することができて、抜け落ちることが無い。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、プローブ下部に、バーチカルプローブの屈曲部の横断面の非屈曲方向の厚さ方向に突起した凸部を備えることによって、この凸部がプローブハウジングに設けられた溝状の凹部に嵌合して、バーチカルプローブをプローブハウジングに挿入し易く、バーチカルプローブの交換が容易である。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、第1のスルーホールと第2のスルーホールとの間に屈曲部の非屈曲方向の位置を支持する空洞部を備えることによって、互いのバーチカルプローブ間の前後位置を一定に維持することができ、接触することがないため安定したプロービングが可能となる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、第1のスルーホールが上部シリコン基板の上方に形成され、かつ、第2のスルーホールが下部シリコン基板の下方に形成されていることによって、その間に、バーチカルプローブが伸縮可能な空洞部を確保することができる。また、上部シリコン基板と下部シリコン基板との間に1層、または複数層の中間部シリコン基板を積層してプローブハウジングを形成しても構わない。また、上部シリコン基板の下面と下部シリコン基板の上面とが、面接触により分子間で直接接合されることによって、接着材を用いることなく、上部シリコン基板と下部シリコン基板を容易に接合することができる。なお、接着材を用いて接合するようにしても構わない。さらに、中間部シリコン基板が、上部シリコン基板、および下部シリコン基板にそれぞれ面接触により分子間で直接接合される。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、プローブヘッドが、上部シリコン基板と下部シリコン基板に、第1のスルーホール、空洞部、および第2のスルーホールまで連続した溝状の凹部を備えることによって、この凹部が、バーチカルプローブに設けられた凸部と嵌合して、バーチカルプローブをプローブハウジングに挿入し易く、バーチカルプローブの交換が容易である。
【0024】
請求項8および請求項9に係る発明によれば、電子デバイスのテスト端子に対応してバーチカルプローブが傾斜して配置されることによって、さらに狭小ピット化が可能となった。45°傾斜させることによって従来に比べて50%のエリアに同一数のバーチカルプローブを配置させることができ狭小ピッチとすることができた。また63°傾斜させることによって従来に比べて40%のエリアに同一数のバーチカルプローブを配置させることができ狭小ピッチとすることができた。
【0025】
また、バーチカルプローブと接触するシリコン基板の表面に、酸化膜を形成することによって、それぞれのバーチカルプローブは互いに独立した電気信号の導通を可能とし、そしてプローブハウジングは電気的に絶縁されているため、絶縁コーティング処理をしないバーチカルプローブを用いることができる。また、プローブハウジングが絶縁コーティング処理を施されない場合は、プローブ先端を除いてバーチカルプローブを絶縁コーティング処理する必要がある。この場合は、プローブハウジングのSiO2処理またはDLCコーティング処理が不要となりコスト低減ができる。また、このとき、プローブハウジングを金属(メタル)で形成することも可能である。バーチカルプローブを絶縁コーティング処理しない場合、プローブハウジングに酸化膜またはDLCコーティングが施されて絶縁膜を形成している。このように、シリコン基板の表面に酸化膜を形成することによって、面接触により分子間で直接接合され、接着材を用いることなく、上部シリコン基板、中間部シリコン基板、および下部シリコン基板を容易に接合することができるとともに、このときプローブハウジングは電気的に絶縁されているため、絶縁コーティング処理をしないバーチカルプローブを用いることができる。
【0026】
プローブ上部は、プローブ先端を含むバーチカルプローブの垂直軸芯から離れた側の第1のスルーホールの一端に接触し、バネ性を有するバーチカルプローブを付勢して装着したとき、およびバーチカルプローブが収縮したときの少なくとも一方のときに第1のスルーホールの一端を押圧するように接触するため、バーチカルプローブは第1のスルーホールの側壁に押圧されて、ずれ落ちることもなく位置決め精度も良い。また、横断面矩形状のバーチカルプローブのプローブ上部は周囲全体が第1のスルーホールとの摩擦接触で支持されるため固定できる。また、バネ性を有するバーチカルプローブを付勢して挿着するとしたが、付勢せずに挿着しても良い。この場合、プローブ上部は必ずしも第1のスルーホールの側壁に押圧されることはないが、主に第2のスルーホールの淵で支持されており、プローブハウジングから抜け落ちることもなくプロービングの位置精度も良い。
【0027】
また、上部シリコン基板と下部シリコン基板とを含んだ組み立て後のプローブハウジング全面にDLC(Diamond Like Carbon)コーティングを施すことによって、プローブハウジングは電気的に絶縁されているため、絶縁性が向上するとともに、摩擦が小さくなるため摺動性がアップする。また、絶縁コーティング処理をしないバーチカルプローブを用いることができる。
【0028】
また、MEMS技術によって、形成されているため、従来のシリコンプロセスのエッチング又はレーザー加工技術により、容易にマイクロ機械構造を形成でき、機械的要素と電子回路要素を融合したシステムを構築できる。特に、精密加工性などの優れた特徴があり、小型化、高精度化、高信頼性化、低消費電力化、および経済性向上などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態のプローブヘッドの構成を説明するための概略図であり、(a)はバーチカルプローブを備えたプローブヘッドの上面図、(b)は(a)に示すA―A線の断面図、(c)は(b)に示すC―C線の端面図、(d)(e)は(b)に示すB部の変形例を説明するための拡大図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプローブハウジングの概略図であり、(a)は正面図であり、図1に示すA―A線のプローブハウジングの断面図、(b)は(a)の側面断面図、(c)は(a)に示すE―E線の断面図、(d)は(a)に示すF―F線の断面図、(e)は(a)に示すG―G線の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るバーチカルプローブの概略図であり、(a)は正面図であり、図1の(b)に示すバーチカルプローブの断面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)に示すR部の拡大図、(d)は(c)の側面図、(e)は(d)に示すS矢視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るバーチカルプローブの動作を説明するための概略図であり、(a)はコンタクト前を示すプローブヘッドの断面図、(b)はコンタクト後を示すプローブヘッドの断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るプローブハウジングの形成タイプを示す概略図であり、(a)はウエハ全面が一つのプローブハウジングを示す平面図、(b)はウエハ上に複数配置されたプローブハウジングを示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るバーチカルプローブをプローブハウジングに挿着する配置を示す概略図であり、(a)はバーチカルプローブを縦横に配置した上面図、(b)はバーチカルプローブを45°傾斜して配置した上面図、(c)はバーチカルプローブを63°傾斜して配置した上面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るプローブハウジングに配置したバーチカルプローブの配置形態を示し、隣接ピッチの比較を説明する概略図であり、(a)は隣接するピッチを縦横に配置した上面図、(b)は隣接するピッチを45°傾斜させた上面図、(c)は隣接するピッチを63°傾斜させた上面図、(d)は傾斜角度を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係るプローブハウジングに装着された、偏心量の大きなバーチカルプローブを示し、(a)はバーチカルプローブを備えたプローブヘッドの上面図、(b)は(a)に示すA´―A´線の断面図である。
【図9】従来のバーチカルプローブおよびプローブヘッドを説明するための概略図であり、(a)は横断面が矩形状に形成されたバーチカルプローブがコンタクトする前のプローブヘッドを示す斜視図、(b)はバーチカルプローブがコンタクトしたときのプローブヘッドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の構成を説明するための概略図であり、(a)はバーチカルプローブを備えたプローブヘッドの上面図、(b)は(a)に示すA―A線の断面図、(c)は(b)に示すC―C線の端面図、(d)(e)は(b)に示すB部の変形例を説明するための拡大図である。
図1の(a)に示すように、プローブヘッド1はプローブハウジング2とバーチカルプローブ3とを備えている。プローブハウジング2の上面2aには複数の第1のスルーホール2b、2b…が設けられている。この第1のスルーホール2b、2b…は矩形状の縦横に配置されている。そしてこの第1のスルーホール2bにはそれぞれバーチカルプローブ3が摺動可能に嵌着されている。実線はバーチカルプローブ3の上面部を示している。プローブハウジング2の上面2aには、隣接するバーチカルプローブ3にそれぞれ第1のスルーホール2b、2b…を設けて行く。そして、複数の第1のスルーホール2b、2b…が配設されるピッチは、プローブハウジング2に配置する傾斜角度によって決まるので適宜変更可能である。例えばバーチカルプローブ3の全長は1〜3mm、バーチカルプローブ間のピッチは、0.05〜0.15mmである。なお、これに限定するものではない。
【0031】
図1の(b)に示すように、バーチカルプローブ3は、被検査対象である電子デバイス5(図4参照)のテスト端子5a(図4参照)に接触して電気的に導通を有するプローブ先端3dと、電気信号測定装置(図略)に信号を伝達するインターポーザ4(図4参照)の接続端子に接触して電気的に導通を有するプローブ後端3cとを備える。プローブ先端3dを含む直線部で形成された部分をプローブ下部3bと称し、プローブ後端3cを含む直線部で形成された部分をプローブ上部3aと称したとき、プローブ下部3bとプローブ上部3aとの間に屈曲部3eを備え、この屈曲部3eは、バーチカルプローブ3を伸縮させる方向である垂直な長手方向に対して直角な水平方向に突出して屈曲した屈曲部3eであって、この屈曲部3eの屈曲方向の幅3gは、プローブ上部3aおよびプローブ下部3bの幅より狭くなっている。また、幅3gは、プローブ上部3a、屈曲部3e、およびプローブ下部3bへと連続して曲線的に変化している。これによれば、幅がプローブ上部、屈曲部、およびプローブ下部へ曲線的に変化していることによって、応力の集中もなく滑らかに狭幅部3gを得ることができる。
【0032】
このバーチカルプローブ3は、プローブハウジング2の上面2aからプローブ後端3cがわずかに突出している。これは後記(図4参照)するインターポーザ4の電極端子4aによって、プローブ後端3cが押圧されてプローブハウジング2の上面2aに対して面位置に付勢されて位置決めされ、そのバネ力によって電気的に良好な導通が図れるようにしている。プローブハウジング2の上方には第1のスルーホール2bが設けられているとともに、下方には第2のスルーホール2eが設けられている。また、プローブ下部3bにはプローブ先端3d側に向かってプローブ下部3bの最大幅部3hを狭くする段差3fを備えている。これによれば、段差3fが第2のスルーホール2eの淵部2gに係止され、プローブ先端3dは第2のスルーホール2eから底面2fに突出して、プローブ先端3dがプローブハウジング2から抜け落ちることはない。そして、プローブ先端3dと段差3fとの間のプローブ先端3d寄りに凸部3jが設けられている。
【0033】
また、プローブハウジング2はシリコン基板で形成されており、第1のスルーホール2bを有する上部シリコン基板2jと、第2のスルーホール2eを有する下部シリコン基板2kとを備え、第1のスルーホール2bは、上部シリコン基板2jの上方に形成されており、かつ、第2のスルーホール2eは、下部シリコン基板2kの下方に形成されている。そして、接合部2hのところで上部シリコン基板2jと下部シリコン基板2kに分割されている。この接合部2hは面接触により分子間で直接接合されている。また、上部シリコン基板2jに設けられた第1のスルーホール2bと、下部シリコン基板2kに設けられた第2のスルーホール2eとの間には、屈曲部3eの非屈曲方向の位置を支持する空洞部2mが形成されている。このバーチカルプローブ3の屈曲部3eによって、バーチカルプローブ3の厚さ方向は、第1のスルーホール2bから第2のスルーホール2eへ通じる空洞部2mの側壁2nで支持されて摺動可能に嵌着されているので、バーチカルプローブ3はその軸中心に回動することはなく、併設されたバーチカルプローブの屈曲方向の間隔を一定に維持することができ、互いに干渉せずに屈曲可能に並設されているため、屈曲するときに互いに接触を避ける方向に逃げ、互いに独立した電気信号の導通を可能とする安定したプロービングが可能となる。また、バーチカルプローブ3は、図1の(a)に示すA―A線における断面で示されているようにピッチP1で配設されている。
【0034】
また、上部シリコン基板2jと下部シリコン基板2kとの間に1層の中間部シリコン基板を設けても構わないし、複数層の中間部シリコン基板(図略)を積層してプローブハウジングを形成しても構わない。また、上部シリコン基板2jの下面と下部シリコン基板2kの上面とが、面接触により分子間で直接接合されることによって、接着材を用いることなく、上部シリコン基板2jと下部シリコン基板2kを容易に接合することができる。なお、接着材を用いて接合するようにしても構わない。なお、中間部シリコン基板は、上部シリコン基板、および下部シリコン基板にそれぞれ面接触により分子間で直接接合される。
【0035】
また、バーチカルプローブと接触するシリコン基板の表面に、酸化膜を形成することによって、絶縁コーティング処理をしないバーチカルプローブを用いることができる。そしてバーチカルプローブは互いに独立した電気信号の導通を可能とする。また、プローブハウジングに絶縁コーティング処理を施さない場合は、プローブ先端を除いてバーチカルプローブを絶縁コーティング処理する必要がある。この場合は、プローブハウジングのSiO2処理またはDLCコーティング処理が不要となりコスト低減ができる。また、プローブハウジングを金属(メタル)で形成することも可能である。また、バーチカルプローブを絶縁コーティング処理しない場合、プローブハウジングに酸化膜またはDLCコーティング処理を施して絶縁膜を形成している。このように、シリコン基板の表面に酸化膜を形成することによって、面接触により分子間で直接接合され、接着材を用いることなく、上部シリコン基板、中間部シリコン基板、および下部シリコン基板を容易に接合することができる。
【0036】
これによれば、バーチカルプローブ3において、プローブ下部3bとプローブ上部3aとの間に設けられた屈曲部3eの屈曲方向の幅3gは、プローブ上部3aおよびプローブ下部3bの幅より狭くすることによって、屈曲部3eに更なる柔軟性を持たせたバーチカルプローブ3と、このバーチカルプローブ3を備えた更なる狭小ピッチのプローブヘッドを提供することができる。さらに、上部スルーホール2bおよび下部スルーホール2eの間の側壁2nは、それぞれのスルーホールの間隔が被検査デバイスの電極配置に従って決定され、アイソレーションの仕切りとなり、電位差をシリコン絶縁膜で防ぐことができる。また、バーチカルプローブ3が垂直方向に対して伸縮するバネであり弾性変形するため、バーチカルプローブ3に座屈によるストレスを生じさせることはない。また、バーチカルプローブ3は第1のスルーホール2bに挿入脱着可能で、第2のスルーホール2eをバーチカルプローブ3が摺動可能に嵌着させることによって、隣接するバーチカルプローブ3が互いに干渉せずに屈曲可能に並設されており、バーチカルプローブ3をプローブハウジング2に挿入し易く、バーチカルプローブ3の交換が容易で、バーチカルプローブ3を支持する縦方向、横方向、および垂直方向の位置精度が一定に保たれてプローブ先端位置の精度が容易に維持される。
【0037】
次に、図1の(c)に示すように、図1の(b)に示すC―C線の端面図において、バーチカルプローブ3は側壁2nを挟んでピッチP2で配置され、側壁2nは絶縁の仕切りとなっている。厚さ方向とはバーチカルプローブ3の厚さであり一定である。この場合、バーチカルプローブ3の屈曲部3eの幅と厚さを同じサイズにしている。
また、図1の(d)(e)に示すように、図1の(b)に示すB部は、プローブ先端3dの変形例であり、プローブ先端3da、およびプローブ先端3dbのような形状をしている。そして(d)に示すように、プローブ先端3daがセンター軸から図中左方向にずれて形成されている。また、(e)に示すように、プローブ先端3dbがセンター軸から図中右方向にずれて形成されている。これらは用途に応じて適宜応用可能である。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に係るプローブハウジングの概略図であり、(a)は正面図であり、図1に示すA―A線のプローブハウジングの断面図、(b)は(a)の側面断面図、(c)は(a)に示すE―E線の断面図、(d)は(a)に示すF―F線の断面図、(e)は(a)に示すG―G線の断面図である。
図2の(a)に示すように、プローブハウジング2の上面2aには複数の第1のスルーホール2b、2b…が設けられている。この第1のスルーホール2bは上面2aの縦横に配置されている。そして、プローブハウジング2の底面2fには複数の第2のスルーホール2e、2e…が設けられている。また、図2の(b)に示す図は、後記する図2の(d)に示すH―H線の断面図であり、上面2aと底面2fとの間には側壁2nで仕切られた空洞部2mが形成されている。側壁2n、2n間にはピッチP2が設けられている。
【0039】
図2の(c)に示すように、第1のスルーホール2bと凹部2pが示され、第1のスルーホール2b、2b間のピッチを図中に示すようにピッチP2としている。
図2の(d)に示すように、空洞部2mと凹部2pが示されている。
図2の(e)に示すように、第2のスルーホール2eと凹部2pが示されている。
このように、第1のスルーホール2bと第2のスルーホール2eとの間に屈曲部3eの非屈曲方向の位置を支持する空洞部2mを備えることによって、互いのバーチカルプローブ3、3間の幅方向の前後位置をほぼ等間隔に維持することができ、接触することがないため安定したプロービングが可能となる。
【0040】
図3は、本発明の実施形態に係るバーチカルプローブの概略図であり、(a)は正面図であり、図1の(b)に示すバーチカルプローブの断面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)に示すR部の拡大図、(d)は(c)の側面図、(e)は(d)に示すS矢視図である。
図3の(a)(b)に示すように、このバーチカルプローブ3の屈曲部3eは、複数の曲点を有して形成されており、この複数の曲点の数は3つとし、その形状は、例えば、3つの曲点を有するS字状に屈曲したS字状屈曲部である。また、同じく3つの曲点を有するくの字状に屈曲した、くの字状屈曲部としても構わない。そしてこのバーチカルプローブ3が曲点を支点にしてカーブして全長を伸縮させてバネとして働くもので座屈によるものではない。また、複数の曲点を有して形成されておれば良く、このように3つの曲点に限定することなく、これに伴って形成される形状もこれらに限定するものではない。図3の(c)(d)に示すように、この凸部3jはメッキ層を突起状に積層させることによって形成している。これは凸部が形成されていれば良く他の方法でも構わない。この凸部3jは、プローブハウジング2の溝状の凹部2pと嵌合して、バーチカルプローブ3をプローブハウジング2に挿着する場合に、凸部3jを凹部2pに沿って摺動させることによって容易に挿入することができ、組み立てや修理に効果的である。
【0041】
図4は、本発明の実施形態に係るバーチカルプローブの動作を説明するための概略図であり、(a)はコンタクト前を示すプローブヘッドの断面図、(b)はコンタクト後を示すプローブヘッドの断面図である。
図4の(a)に示すように、インターポーザ4がプローブハウジング2の上面2aに接触して設けられている。このインターポーザ4には複数の接続端子4aが設けられている。この接続端子4aは配線4bで電気的測定回路(図略)に接続されている。図1の(b)に示すプローブハウジング2から突出したプローブ後端3cは、接続端子4aに押圧されて第2のスルーホール2eとの間に付勢されて固定されている。なお、プローブ先端3dは、電子デバイス5のテスト端子5aの真上で接触を待機している。
【0042】
次に、図4の(b)に示すように、電子デバイス5が不図示の昇降装置によって上昇してテスト端子5aがバーチカルプローブ3のプローブ先端3dと接触する。これによって、バーチカルプローブ3は収縮してプローブ先端3dは押込み量だけ上方に移動している。このとき複数のバーチカルプローブ3は互いに接触することなく独立して伸縮するため、プローブ先端3dやテスト端子5aの平坦性のバラツキが吸収され、良好な電気導電性を得ることができる。
【0043】
図5は、本発明の実施形態に係るプローブハウジングの形成タイプを示す概略図であり、(a)はウエハ全面が一つのプローブハウジングを示す平面図、(b)はウエハ上に複数配置されたプローブハウジングを示す平面図である。
図5の(a)(b)に示すように、複数の第1のスルーホール2b、2b…を備えた上面2aにおいて、バーチカルプローブ3は、図中の「バーチカルプローブの取付方向」と表示されている矢印方向に挿入されている。この「バーチカルプローブの取付方向」はこれに限るものではなく、バーチカルプローブ3の断面形状によって取付方向は異なっても構わない。このプローブハウジング2はウエハ6にMEMS技術によって形成されている。これらのプローブハウジング2およびバーチカルプローブ3は、MEMS技術によって形成することができるため、従来のシリコンプロセスのエッチング又はレーザー加工技術により、容易にマイクロ機械構造を形成でき、機械的要素と電子回路要素を融合したシステムを構築できる。特に、精密加工性などの優れた特徴があり、小型化、高精度化、高信頼性化、低消費電力化、および経済性向上などの優れた効果がある。
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係るバーチカルプローブをプローブハウジングに挿着する配置を示す概略図であり、(a)はバーチカルプローブを縦横に配置した上面図、(b)はバーチカルプローブを45°傾斜して配置した上面図、(c)はバーチカルプローブを63°傾斜して配置した上面図である。
また図7は、本発明の実施形態に係るプローブハウジングに配置したバーチカルプローブの配置形態を示し、図6に示すバーチカルプローブの隣接ピッチの比較を説明する概略図であり、(a)は隣接するピッチを縦横に配置した上面図、(b)は隣接するピッチを45°傾斜させた上面図、(c)は隣接するピッチを63°傾斜させた上面図、(d)は傾斜角度を説明する説明図である。
図6の(a)(b)(c)に示すように、プローブハウジング12、22、22´において、第1のスルーホール12b、22b、22b´が配置されている。このような配置も可能である。このように、バーチカルプローブ3の傾斜角度や第1のスルーホール12b、22b、22b´の配置は、適宜変更しても構わない。
【0045】
詳細には、図6の(a)に示すように、バーチカルプローブ3は、縦に8個、横に8個の計64個を配置した例で示している。図6の(b)(c)に示すように、バーチカルプローブ3間のピッチを同一としたまま、電子デバイス5のテスト端子5aに対応してバーチカルプローブ3が傾斜して配置されることによって、狭小ピット化が可能となった。図6の(b)においては、45°傾斜させることによって従来の縦横に配置した場合と比べて50%のエリアに同一数のバーチカルプローブを配置させることができ狭小ピッチとすることができた。また図6の(c)に示すように、63°傾斜させることによって従来に比べて40%のエリアに同一数のバーチカルプローブを配置させることができ狭小ピッチとすることができた。この詳細を次に説明する。
【0046】
図7の(a)に示すように、バーチカルプローブ3間の近接間隔Qが電気特性上必要な距離であり、xy縦横に配置されたバーチカルプローブ3の配置をピッチ1Pとしている。図7の(b)に示すように、バーチカルプローブ3を45°傾斜させて近接間隔Qを確保して配置した場合、バーチカルプローブ3の配置は1/√2ピッチP×1/√2ピッチPとすることができる。さらに、図7の(c)に示すように、バーチカルプローブ3を63°傾斜させて近接間隔Qを確保して配置した場合、バーチカルプローブ3の配置は1/√5ピッチP×2/√5ピッチPとすることができる。図7の(d)に示すように、傾斜する角度を45°および63°とした理由は、縦横のxyの長さを1、1、√2、および1、2、√5としたことによる。
このように、傾斜角度を45°として配置した場合、従来のxyピッチPを1/√2ピッチP×1/√2ピッチPとすることができ、50%のエリアとすることができた。また、傾斜角度を63°として配置した場合、従来のxyピッチPを1/√5ピッチP×2/√5ピッチPとすることができ、40%のエリアとすることができた。
【0047】
図8は、本発明の実施形態に係るプローブハウジングに装着された、偏心量の大きなバーチカルプローブを示した変形例であり、(a)はバーチカルプローブを備えたプローブヘッドの上面図、(b)は(a)に示すA´―A´線の断面図である。
図8の(a)(b)に示すように、バーチカルプローブ33のプローブ後端33c側の軸芯と、プローブ先端33d側の軸芯が、大きく変位した変形例を示している。これによって、第2のスルーホール32eの配置を適宜変更可能である。つまり、セルエリア32cはバーチカルプローブ33を上方から投影したエリアである。実線はバーチカルプローブ33の上方の断面部を示し、下方の断面部は、バーチカルプローブ33が途中で屈曲しているため鎖線のようにずれて示されている。プローブハウジング32の上面32aには、隣接するセルエリア32cにそれぞれ第1のスルーホール32b、32b…を設けて行く。
【0048】
以上、好ましい実施の形態を説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することの無い範囲内において適宜変更が可能なものである。例えば、プローブ針は、4つの曲点を有するS字状屈曲部や、くの字状屈曲部として説明したが、座屈しない形状であればその他の形状でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、液晶パネルやカメラモジュール、IC、LSI等の多電極半導体デバイスの検査用のプローブカードに備えられたプローブヘッド、特に、垂直方向に沿って屈曲部を有するプローブをプローブヘッドに挿着する構造を備えたプローブヘッドに適用される。
【符号の説明】
【0050】
1 プローブヘッド
2、12、22、32 プローブハウジング
2a 上面
2b、12b、22b、32b 第1のスルーホール
2c、32c セルエリア
2d、32d 全セルエリア
2e、32e 第2のスルーホール
2f 底面
2g 淵部
2h 接合部
2j 上部シリコン基板
2k 下部シリコン基板
2m、32m 空洞部
2n 側壁
2p 凹部、溝
3、13、23 バーチカルプローブ
3a プローブ上部
3b プローブ下部
3c、33c プローブ後端
3d、3da、3db プローブ先端
3e、33e 屈曲部
3f 段差
3g 屈曲部の幅
3h プローブ下部の最大幅
3j 凸部、突起
4 インターポーザ
4a 接続端子
4b 配線
5 電子デバイス
5a テスト端子
6 ウエハ
Q 近接間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象である電子デバイスのテスト端子に接触して電気的に導通を有するプローブ先端と、電気信号測定装置に信号を伝達するインターポーザの接続端子に接触して電気的に導通を有するプローブ後端と、を備えるバーチカルプローブにおいて、前記プローブ先端を含む直線部で形成された部分をプローブ下部と称し、前記プローブ後端を含む直線部で形成された部分をプローブ上部と称したとき、前記プローブ下部と前記プローブ上部との間に屈曲部を備え、
この屈曲部は、前記バーチカルプローブを伸縮させる方向である前記バーチカルプローブの長手方向を垂直方向と称し、この垂直方向に対して直角な水平方向に突出して屈曲した屈曲部であって、
前記屈曲した前記水平方向を前記バーチカルプローブの幅方向、前記屈曲部の横断面の屈曲しない方向を厚さ方向と称したとき、
前記屈曲部の屈曲方向の幅は、前記プローブ上部および前記プローブ下部の前記幅より狭くなっていることを特徴とするバーチカルプローブ。
【請求項2】
前記屈曲部の幅の変化は、前記プローブ上部、前記屈曲部、および前記プローブ下部へ曲線的に変化していることを特徴とする請求項1に記載のバーチカルプローブ。
【請求項3】
前記プローブ下部には前記プローブ先端側に向かって前記幅を狭くする段差を備えることを特徴とする請求項1に記載のバーチカルプローブ。
【請求項4】
前記プローブ下部には前記厚さ方向に突起した凸部を備えることを特徴とする請求項1に記載のバーチカルプローブ。
【請求項5】
請求項1に係る前記バーチカルプローブおよび請求項4に係る前記凸部を前記プローブ先端側から挿入可能な第1のスルーホールと、前記プローブ先端を前記電子デバイス側に突出させる第2のスルーホールとを有するプローブハウジングを備え、
前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホールとの間に前記屈曲部の非屈曲方向の位置を摺動可能に支持する空洞部を備えることを特徴とするプローブヘッド。
【請求項6】
前記プローブハウジングは、前記第1のスルーホールを有する上部シリコン基板と、前記第2のスルーホールを有する下部シリコン基板とを備え、
前記第1のスルーホールは、前記上部シリコン基板の上方に形成され、かつ、前記第2のスルーホールは、前記下部シリコン基板の下方に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のプローブヘッド。
【請求項7】
前記上部シリコン基板と前記下部シリコン基板には、前記第1のスルーホール、前記空洞部、および前記第2のスルーホールまで連続した溝状の凹部を備え、この凹部に前記凸部を嵌合させることを特徴とする請求項5に記載のプローブヘッド。
【請求項8】
前記電子デバイスには縦横に配置されたテスト端子が備えられ、
前記テスト端子に対応して配置された前記バーチカルプローブを挿入する前記第1のスルーホールおよび第2のスルーホールは、前記縦横に配置された前記テスト端子の位置に対して傾斜して配置されていることを特徴とする請求項5に記載のプローブヘッド。
【請求項9】
前記傾斜した角度は、45°および63°の何れか一方であることを特徴とする請求項8に記載のプローブヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−242178(P2012−242178A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110705(P2011−110705)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(501348955)株式会社アドバンストシステムズジャパン (56)
【Fターム(参考)】