説明

パターン化コーティングの作製方法

パターン化物品が、剥離ポリマーを基材に所望のパターンで適用する工程と、基材付着性ポリマーを前記パターンおよび基材の上に適用する工程と、溶剤を必要とせずに前記基材付着性ポリマーを前記パターンから機械的に除去する工程とによって作製され得る。適した機械的除去方法が、接着テープを前記基材付着性ポリマーに適用する工程と、前記テープおよび基材付着性ポリマーを前記パターンから剥離する工程と、衝撃媒体を用いて前記基材付着性ポリマーを前記パターンから研磨除去する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン化コーティングの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途、特に、電子装置を必要とする用途において、パターン化コーティングは、基材上に1つまたは複数の層に形成されなければならない。有効なパターン形成方法には、基材をテープでマスキングすること、および光画像形成がある。マスキングにおいて、テープを基材の一部分の上にあるパターンで適用する。いずれかの便利な方法(例えば、スピンコーティング)を用いて基材をコーティングし、コーティングを乾燥または硬化させた後、テープを手で除去し、パターン化コーティングを残すことができる。しかしながら、コーティングの付着またはエッジの変形がパターンの境界付近に生じることがあり、テープの適用および除去が面倒になることがある。光画像形成において、光硬化性ポリマーを基材に適用し、(例えば部分的に透明および部分的に遮断されたマスクおよび紫外線またはより短い波長の光を用いて)あるパターンで画像形成し、次いで適した溶剤を用いて、画像形成されない領域から除去する(「リフトオフ」と呼ばれることがある工程において)。適した光画像形成樹脂の選択は、多くの除去溶剤が、光硬化されたポリマーコーティングに悪影響を及ぼすことがあるので、ある程度制限されることがある。また、除去溶剤は、環境上および他の有害な要因となることがある。
【0003】
パターン化コーティングまたは印刷回路の形成について記載する文献には、米国特許第3,931,454号明細書、米国特許第5,121,134号明細書、米国特許第5,145,717号明細書、米国特許第5,165,962号明細書、米国特許第5,658,469号明細書、米国特許第5,759,625号明細書、米国特許第6,300,042B1号明細書、米国特許第6,329,227B2号明細書、米国特許第6,498,114B1号明細書、および米国特許第6,559,474B1号明細書などがある。米国特許第5,468,324号明細書には、データ記録の複製およびミクロ構造物の作製方法が記載されている。米国特許第6,352,758B1号明細書には、パターン化物品が記載されている。マスキングを含めた文献には、米国特許第5,104,711号明細書、および米国特許第5,165,962号明細書などがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、1つの態様において、
a)剥離ポリマーを基材の一部に所望のパターンで適用する工程と、
b)基材付着性ポリマーを前記パターンの上におよび前記基材の少なくとも一部の上に前記基材に対して実質上一定の高さを有する連続した層で適用する工程と、
c)前記基材付着性ポリマーを前記パターンから機械的に除去する工程と、を含むパターン化物品の作製方法を提供する。
【0005】
本発明は、別の態様において、
a)剥離ポリマーを基材の一部に所望のパターンで適用する工程と、
b)基材付着性ポリマーの連続した層を前記パターンの上におよび前記基材の少なくとも一部の上に適用する工程と、
c)接着テープを前記基材付着性ポリマーに適用する工程と、
d)前記基材付着性ポリマーの一部が前記パターンのネガ(negative)において前記基材に付着されたまま、前記接着テープおよび前記テープに付着された基材付着性ポリマーを除去する工程と、を含むパターン化物品の作製方法を提供する。
【0006】
本発明は、さらに別の態様において、
a)サブミクロン厚の剥離ポリマー層を基材の一部に所望のパターンで適用する工程と、
b)連続したサブミクロン厚のポリイミド層を前記パターンの上におよび前記基材の少なくとも一部の上に適用する工程と、
c)前記ポリイミド層の他の部分が前記パターンのネガにおいて前記基材に付着されたまま、前記ポリイミド層の一部を前記剥離ポリマーから除去する工程と、を含むパターン化物品の作製方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
用語「ポリマー(polymer)」を用いることによって、ホモポリマーおよびコポリマー、ならびに、例えば、同時押出によるかまたは例えば、エステル交換などの反応によって混和性ブレンドに形成される場合があるホモポリマーまたはコポリマーを指す。用語「コポリマー(copolymer)」には、ランダムおよびブロックコポリマーの両方を含める。
【0008】
用語「フィルム形成剤(film former)」を用いることによって、適した支持体上に(例えば、約0.05mmの)薄いフィルムにコーティングしてほぼ連続したコーティングを形成することができる材料を指す。
【0009】
物品の様々な要素の位置のために「上に(atop)」、「上に(on)」、「最上に(uppermost)」などの向きの語句を用いることによって、水平支持体または基準面に対する要素の相対位置を指す。かかる要素または物品が、それらの製造中かまたは後に空間にいずれかの特定の向きを有さなくてはならないことを意図するものではない。
【0010】
用語「上塗りされた(overcoated)」を用いて物品中の基材または他の要素(例えば、下にある層)に対する層の位置を表すことによって、基材または他の要素の上にあるが基材または他の要素に必ずしも接触していない説明された上塗りされた層を指す。用語「によって隔てられた(separated by)」を用いて2つの他の要素に対する第1の要素の位置を表すことによって、他の要素の間にあるがどちらの他の要素にも必ずしも接触していない第1の要素を指す。
【0011】
ポリマーに関して用語「表面エネルギー(surface energy)」を用いることによって、D.K.オーエンズ(D.K.Owens)およびR.C.ウェント(R.C.Wendt)著、J.Appl Polym.Sci.13、1741(1969年)に記載されているように接触角測角器および2つの試験液体を用いて測定されたポリマーの薄いフィルムの表面エネルギーの測定値を指す。
【0012】
ポリマー層に関して用語「機械的に除去する(mechanically removing)」を用いることによって、ポリマー層への付着性、磨耗、物理的衝撃(空気、水または水を含有する溶液の噴射からの衝撃など)に依存すると共にポリマー層に有機溶剤を適用することを必要としない(が必要ならばそれによって増大され得る)除去方法を指す。
【0013】
図1を参照すると、パターン化物品10は、その上面13の一部の上に剥離ポリマー14で上塗りされたガラス基材12を有する。剥離ポリマー14は、例えば、回路トレース、電気接続、電極等を表す、上面13の上のパターン(図1に示されない)を形成する。剥離ポリマー14の上面15は好ましくは、上面13よりも低い表面エネルギーを有する。
【0014】
図2は、基材付着性ポリマー22をパターン化物品10の上に適用することによって製造された中間物品20を示す。基材付着性ポリマー22は、基材12に対してほとんど一定の高さhを有する、剥離ポリマー14の上の連続した層を形成する。剥離ポリマー14は好ましくは、十分に低い表面エネルギーを有し、以下により詳細に記載された機械的処置を用いて脱接着され得る剥離ポリマー14に対して良くてもあまり強くない接着を基材付着性ポリマー22が形成する。基材付着性ポリマー22は、剥離ポリマー14に対してよりも基材12に対して大きな付着性を有する。
【0015】
図3は、接着テープ32を物品20の上に取り付けることによって製造された中間物品30を示す。接着テープ32は、裏材34および接着剤層36を有する。基材付着性ポリマー22は、剥離ポリマー14に対してよりも接着剤層36に対して大きな付着性を有するが、基材12に対してよりも接着剤層36に対して低い付着性を有する。
【0016】
図4は、基材付着性ポリマー22を基材12上のパターンから機械的に除去するための1つの方法を示す。図4の矢印によって示されるように、基材付着性ポリマー22がパターンのネガ(pattern negative)において基材12に付着されたまま、テープ32を基材12から剥離して、テープ32に付着された基材付着性ポリマー42を除去することができる。この工程はパターン化物品40を提供し、その上面は、剥離ポリマー14で覆われた領域によって形成されたパターンと基材付着性ポリマー22で覆われた領域によって形成されたパターンのネガとで覆われる。
【0017】
図5は、適した溶剤を用いて剥離ポリマー14を洗浄除去することによって製造することができるパターン化物品50を示す。この洗浄工程は任意選択であり、すべての用途において必要とされるかまたは望ましいわけではない。物品50の上面は、露出した、覆われていない領域(前には剥離ポリマー14によって覆われた)によって形成されたパターンと基材付着性ポリマー22で覆われた領域によって形成されたパターンのネガとを有する。
【0018】
図6は、基材付着性ポリマー22を基材12上のパターンから機械的に除去するための別の方法を示す。この方法は、図2に示された物品20を用いて行なわれてもよい。衝撃研磨装置66のオリフィス64を通して発射された衝撃媒体62が、剥離ポリマー14の上の基材付着性ポリマー22の一部を研磨除去する。必要ならば、衝撃媒体62をさらに適用して剥離ポリマー14も研磨除去することができる。
【0019】
様々な基材を本発明において使用することができる。適した基材には、石英、ガラス、シリカなどの無機基材の他、アルミナ、インジウムスズ酸化物、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ガリウムヒ素(GaAs)、炭化ケイ素(SiC)、ランガサイト(LGS)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(Si34)、およびチタン酸ジルコン酸鉛(「PZT」)などの他の酸化物またはセラミックス、アルミニウム、銅、金、銀および鋼などの金属または合金、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート)、ポリアクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレートまたは「PMMA」)、ポリ(ビニルアセテート)(「PVAC」)、ポリ(ビニルブチラール)(「PVB」)、ポリ(エチルアクリレート)(「PEA」)、ポリ(ジフェノキシホスファゼン)(「PDPP」)、ポリカーボネート(「PC」)、ポリプロピレン(「PP」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、ポリスルホン(「PS」)、ポリエーテルスルホン(「PES」)、ポリウレタン(「PUR」)、ポリアミド(「PA」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリフッ化ビニリデン(「PVdF」)、ポリスチレンおよびポリエチレンスルフィドなどの熱可塑性樹脂、およびセルロース誘導体、ポリイミド、ポリイミドベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾールなどの熱硬化性物質などがあるがそれらに限定されない。好ましくは、基材と基材付着性ポリマーとの間に十分な程度の付着性があるように基材を選択する時に注意を払う。必要ならば、基材を適した溶剤で洗浄して剥離ポリマーまたは基材付着性ポリマーもしくは両方の付着性を増強することができる。代わりにまたはさらに、基材を予備処理してかかる付着性を増強することができる。好ましい予備処理には、適した反応性または非反応性雰囲気の存在下での電気放電(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電バリア放電または大気圧放電)、化学予備処理(例えば、ポリビニリデンジクロリドの低固形分溶液によるかまたはポリエステル樹脂とアジリジン架橋剤との溶剤系混合物による)、火炎予備処理、オゾン予備処理を使用または使用しない紫外線予備処理、およびポリマー基材が使用される時に官能性ポリマーを基材中に混入すること、などがあるがそれらに限定されない。
【0020】
様々な剥離ポリマーを使用することができる。好ましい剥離ポリマーには、シリコーンポリマー、フルオロケミカルポリマーおよび長いアルキル側鎖を含有するポリマーなどがあるがそれらに限定されない。適したシリコーンポリマーには、米国特許第4,728,571号明細書、米国特許第5,032,460号明細書、米国特許第5,202,190号明細書、米国特許第5,214,119号明細書、米国特許第5,290,615号明細書、米国特許第5,356,706号明細書および米国特許第5,750,630号明細書に記載されているような、シリコーンポリウレタン、シリコーンポリ尿素、シリコーンポリウレタン/尿素およびシリコーンアクリレートグラフト化コポリマーなどがある。適したフルオロケミカル含有ポリマーには、米国特許第3,318,852号明細書に記載されているようなフルオロケミカル含有ポリマーがある。長いアルキル側鎖を含有する適したポリマーには、ポリビニルN−オクタデシルカルバメートなどのポリビニルN−アルキルカルバメート、およびオクタデシルアクリレート、ステアリルメタクリレートまたはベヘニルアクリレートなどの高級アルキルアクリレートまたはメタクリレートを含有するコポリマー、例えば、米国特許第2,532,011号明細書、米国特許第2,607,711号明細書、米国特許第3,502,497号明細書および米国特許第4,241,198号明細書に記載されているようなコポリマーがある。長いアルキル側鎖を含有するポリマーにおいて、側鎖は好ましくは、約16〜22個の炭素原子を含有する。剥離ポリマーには、充填剤、顔料、湿潤剤、粘度調整剤、安定剤、酸化防止剤または架橋剤などの添加剤が含まれる。剥離ポリマーをインサイチュ(in situ)形成するか、または適した溶剤中に保持された予備形成されたポリマーとして適用することができる。必要ならば前記剥離ポリマーを架橋させることができる。上記のように、前記剥離ポリマーは好ましくは、十分に低い表面エネルギーを有し、基材付着性ポリマーが前記剥離ポリマーに対して良くてもあまり強くない接着を形成する。これは、剥離ポリマーが基材付着性ポリマーよりも低い表面エネルギーを有することを必要としない。剥離ポリマーおよび基材付着性ポリマーのそれぞれの化学組成およびそれらのそれぞれの表面トポロジーなど、表面エネルギー以外の様々な要因が、剥離ポリマーと基材付着性ポリマーとの間の付着性の程度を決定することがある。しかしながら、好ましくは剥離ポリマーは、基材付着性ポリマーの表面エネルギーより小さい表面エネルギーを有する。剥離ポリマーは好ましくは、適用して乾燥または硬化された時に厚さが約3μmより小さい、より好ましくは約2μmより小さい、いくつかの用途については好ましいサブミクロン厚であるコーティングを形成することができるフィルム形成剤である。綿棒で塗布、浸漬コーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、吹付けコーティング、ダイコーティング、インクジェットコーティング、スクリーン印刷(例えば、回転スクリーン印刷)、グラビア印刷およびフレキソ印刷などの様々なコーティング技術を使用して前記剥離ポリマーを適用することができる。前記剥離ポリマーがインサイチュ(in situ)形成される場合、熱、紫外線、電子線またはレーザーエネルギーへの露光、適した遮断薬または封入剤を用いることによって早期の硬化を防ぐ二液型化学硬化系、一液型化学硬化系、および当業者に周知の他の技術など、様々な技術を使用して前記剥離ポリマーを形成することができる。
【0021】
様々な基材付着性ポリマーを使用することができる。好ましい基材付着性ポリマーには、PMMA、PVAC、PVB、PEA、PDPP、フルオロポリマー、エポキシ、ポリヘキサメチルジシロキサン(「HMDSO」)、ポリイミドおよびポリスチレンなどがあるがそれらに限定されない。基材付着性ポリマーには、充填剤、顔料、湿潤剤、粘度調整剤、安定剤、酸化防止剤または架橋剤などの添加剤が含まれる。基材付着性ポリマーをインサイチュ(in situ)形成するか、または適した溶剤中に保持された予備形成されたポリマーとして適用することができる。必要ならば基材付着性ポリマーを架橋させることができる。好ましくは基材付着性ポリマーは、剥離ポリマーの表面エネルギーより大きい表面エネルギーを有する。また、一般的基準として、基材付着性ポリマーは好ましくは、基材の表面エネルギーより大きい表面エネルギーを有する。必要ならば、基材付着性ポリマーには、小粒子充填剤、表面活性剤、紫外線吸収剤、光開始剤、着色剤および指示薬などの様々な補助剤が含まれる。基材付着性ポリマーは好ましくは、剥離ポリマーの厚さより大きい厚さで適用されるが、基材付着性ポリマーをパターンから除去するのを難しくするほど大きくはない。一般的基準として、基材付着性ポリマーの厚さは好ましくは、剥離ポリマーの厚さの約2〜約10倍であり、より好ましくは剥離ポリマーの厚さの約3〜約7倍である。さらに別の一般的基準として、基材付着性ポリマーは好ましくは、適用して乾燥または硬化された時に基材に対して厚さが約3μm〜約15μm、より好ましくは約3〜約10μm、最も好ましくは約3〜約5μmであるコーティングを形成することができるフィルム形成剤である。
【0022】
基材付着性ポリマーは、パターンの上に連続した層で適用される。これは好ましくは、基材に対してほとんど一定の高さを有する平滑な、連続した基材付着性ポリマーコーティングを提供する。基材付着性ポリマーコーティングが剥離ポリマーのパターンを覆うのに十分に厚くない場合、基材に対してほとんど一定の高さを有する剥離ポリマーのパターンの上の連続した層を提供せず、パターンの凹型の最終エッジまたは辺縁が不均一であるかまたはさもなければ不十分に画定されることがあるか、もしくはパターンがエッジの人為的影響を示すことがある。
【0023】
前記剥離ポリマーに関して上述した技術などの様々なコーティング技術を使用して基材付着性ポリマーを適用することができる。基材付着性ポリマーがインサイチュ(in situ)形成される場合、前記剥離ポリマーに関して上述した技術などの様々な重合技術を使用することができる。
【0024】
様々な機械的方法を用いて基材付着性ポリマーをパターンから除去することができる。適した機械的除去方法には、上述したような接着テープまたは衝撃媒体の使用、ならびにサンドペーパー、バフ研磨パッド、加圧空気および超音波ホーンなどの低衝撃性または高衝撃性コーティング除去助材の使用などが挙げられるがそれらに限定されない。機械的除去は、鮮明に画定されたエッジを有するパターンの形成を容易にすることがある。基材付着性ポリマーを除去した後、前記剥離ポリマーは基材の上に残されてもよいが、もしくは必要ならば除去されてもよく、それによって基材の一部を露出させる。上述したような溶剤または衝撃媒体の使用、ならびに基材付着性ポリマーの除去について記載されたような他のコーティング除去助材などが挙げられるがそれらに限定されない様々な除去技術を使用することができる。溶剤が使用されるとき、溶剤の選択は、一つには、選択された剥離ポリマーに依存する。フルオロポリマーについては、ヒドロフルオロエーテルが特に好ましい除去溶剤である。
【0025】
本発明を使用してプリント回路基板、電気コネクタ、情報ディスプレイ、電子部品、不動態化層および誘電層などの様々なパターン化物品を作製することができる。
【0026】
本発明は、以下の具体的な実施例においてさらに説明されるが、特に記載しない限り、全ての部およびパーセンテージは重量に基づいている。
【実施例】
【0027】
実施例1
手に持って使うコットン綿棒を用いてフルオラド(FLUORAD)(登録商標)FC−722フルオロ脂肪族コポリマーコーティング(以前はミネソタ州、オークデールのダイネオンLLC(Dyneon LLC Oakdale,MN)から市販されていた)の略C形および略直線の縞を50mm×75ガラススライドの表面の上に形成した。テンコール(TENCOR)(登録商標)プロフィルメーター(カリフォルニア州、サンノゼのKLA−テンコール・コーポレーション(KLA−Tencor Corporation,SanJose,CA)から市販されている)を用いて測定された時に約0.1μmの剥離ポリマーのコーティング厚さを得るために急速な適用速度を使用した。図7は、プロフィルメーターの走査を示す。断面において、剥離ポリマーコーティングは図1のコーティング14のように見えた。
【0028】
6000rpmにおいて作動されるスピンコーティング装置を用いて、No.PI2579Bポリイミド(ニュージャージー州、パーリンのHD・マイクロシステムズ・LLC(HD Microsystems LLC,Parlin,N.J.)から市販されている)をパターンの上におよび基材の他の部分の上にコーティングして、基材に対して約0.3μmのほとんど一定の高さを有する基材付着性ポリマーコーティングを形成した。断面において、得られた物品は、図2の物品20のように見えた。一片のスコッチ・トランスペアレント・テープ(Scotch Transparent Tape)600(ミネソタ州、セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)から市販されている)をパターンの上のポリイミドコーティングの上に置き、所定の位置に加圧して断面において図3の物品30のように見える物品を形成した。図4に示されたようにテープを基材から剥離し、それによって基材付着性ポリマーを剥離ポリマーのパターンの上から除去し、断面において図4の物品40のように見えるパターン化物品を形成した。図8は、パターン化物品のプロフィルメーターの走査を示す。図8に示されたように、パターンの凹型のエッジは鮮明に画定され、各側壁の主露出部分が基材に略垂直であり、剥離ポリマーの公称コーティング厚さと基材付着性ポリマーの公称コーティング厚さとの両方が、剥離ポリマーと基材付着性ポリマーとの間の境界付近で概して変化していなかった。
【0029】
フルオロポリマー層をパターン化物品から除去するために、ノヴェック(NOVEC)(登録商標)エンジニアド・フルイド(Engineered Fluid)HFE−7200ヒドロフルオロエーテル(ミネソタ州、セントポールの3M社から市販されている)で洗浄し、断面において図5の物品50のように見えるパターン化物品を形成した。図9は、パターン化物品のプロフィルメーターの走査を示す。パターンの凹型のエッジは鮮明に画定されたままであり、各側壁の主露出部分が、基材に略垂直のままである。
【0030】
実施例2
実施例1の一般方法を用いて、フルオロポリマー剥離ポリマーのパターンをガラススライド上に形成した。剥離ポリマーが、浸漬コーティングによって適用された溶剤系インクで覆われ、厚さ0.5μmの基材付着性ポリマーコーティングを形成した。基材付着性ポリマーの一部をテープを用いて除去し、下にある剥離ポリマーを、HFE−7200ヒドロフルオロエーテルを用いて除去した。図10および図11は、剥離ポリマーを除去する前および後のパターン化物品のプロフィルメーターの走査を示す。図10および図11に示されたように、基材付着性ポリマーエッジが鮮明に画定され、各側壁の主露出部分が基材に略垂直である。
【0031】
本発明の範囲および精神から逸脱せずに本発明の様々な変更および変形を行なえることは当業者には明らかであろう。本発明は、あくまで例示目的で本明細書において示された実施例に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】剥離ポリマーで部分的にコーティングされた基材の断面図である。
【図2】基材付着性ポリマーで上塗りされた図1の物品の断面図である。
【図3】接着テープで覆われた図2の物品の断面図である。
【図4】接着テープが剥離されている時の図3の物品の断面図である。
【図5】接着テープが剥離された後の図3の物品の断面図である。
【図6】基材付着性ポリマーの一部を前記剥離ポリマーから機械的に除去するための衝撃媒体技術の断面図である。
【図7】プロフィルメーターのグラフである。
【図8】プロフィルメーターのグラフである。
【図9】プロフィルメーターのグラフである。
【図10】プロフィルメーターのグラフである。
【図11】プロフィルメーターのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)剥離ポリマーを基材の一部に所望のパターンで適用する工程と、
b)基材付着性ポリマーを前記パターンの上におよび前記基材の少なくとも一部の上に前記基材に対して実質上一定の高さを有する連続した層で適用する工程と、
c)前記基材付着性ポリマーを前記パターンから機械的に除去する工程と、を含むパターン化物品の作製方法。
【請求項2】
前記剥離ポリマーが、前記基材付着性ポリマーの表面エネルギーより小さい表面エネルギーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剥離ポリマーがフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基材付着性ポリマーがポリイミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記実質上一定の高さが約15μmより小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記実質上一定の高さが約3μm〜約5μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記実質上一定の高さが約3μmより小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記剥離ポリマーのパターンがある厚さを有し、前記実質上一定の高さが、前記剥離ポリマーのパターンの厚さの約2〜約10倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記剥離ポリマーが、インクジェットコーティング、ダイコーティングまたはスクリーンコーティングを用いて適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基材付着性ポリマーが、スピンコーティング、浸漬コーティング、ダイコーティングまたはカーテンコーティングを用いて適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基材付着性ポリマーが、衝撃媒体を用いて前記パターンから除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記基材付着性ポリマーを前記パターンから除去した後、前記パターンが、主露出部分が前記基材に実質上垂直である少なくとも1つの側壁を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記パターン化物品が、プリント回路基板、電気コネクタ、情報ディスプレイまたは電子部品を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
a)剥離ポリマーを基材の一部に所望のパターンで適用する工程と、
b)基材付着性ポリマーの連続した層を前記パターンの上におよび前記基材の少なくとも一部の上に適用する工程と、
c)接着テープを前記基材付着性ポリマーに適用する工程と、
d)前記基材付着性ポリマーの一部が前記パターンのネガにおいて前記基材に付着されたまま、前記接着テープおよび前記テープに付着された基材付着性ポリマーを除去する工程と、を含むパターン化物品の作製方法。
【請求項15】
前記剥離ポリマーが、前記基材付着性ポリマーの表面エネルギーより小さい表面エネルギーを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記剥離ポリマーがフルオロポリマーを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基材付着性ポリマーがポリイミドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記連続した層が、前記基材に対して実質上一定の高さを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記実質上一定の高さが約15μmより小さい、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記実質上一定の高さが約3μm〜約5μmである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記実質上一定の高さが約3μmより小さい、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記剥離ポリマーのパターンがある厚さを有し、前記実質上一定の高さが、前記剥離ポリマーのパターンの厚さの約2〜約10倍である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記テープを除去した後、前記パターンが、主露出部分が前記基材に実質上垂直である少なくとも1つの側壁を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記パターン化物品が、プリント回路基板、電気コネクタ、情報ディスプレイまたは電子部品を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
a)サブミクロン厚の剥離ポリマー層を基材の一部に所望のパターンで適用する工程と、
b)連続したサブミクロン厚のポリイミド層を前記パターンの上におよび前記基材の少なくとも一部の上に適用する工程と、
c)前記ポリイミド層の残りの部分が前記パターンのネガにおいて前記基材に付着されたまま、前記ポリイミド層の一部を前記剥離ポリマーから除去する工程と、を含むパターン化物品の作製方法。
【請求項26】
前記剥離ポリマーがフルオロポリマーを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリイミド層の厚さが、前記剥離ポリマー層の厚さの約2〜約10倍である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリイミド層を前記剥離ポリマーから除去した後、前記パターンが、主露出部分が前記基材に実質上垂直である少なくとも1つの側壁を有する、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−526622(P2007−526622A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517189(P2006−517189)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/017941
【国際公開番号】WO2005/000593
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】