説明

パターン形成方法

【課題】有機溶剤現像を用いて形成されるネガ型レジストパターンの形成方法として最適なパターン形成方法の提供。
【解決手段】少なくとも、ケイ素含有膜形成用組成物を用いて被加工体上にケイ素含有膜を形成する工程(B)と、該ケイ素含有膜上に化学増幅型レジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成する工程(C)と、加熱処理後に高エネルギー線で前記フォトレジスト膜を露光する工程(D)と、有機溶剤の現像液を用いて前記フォトレジスト膜の未露光部を溶解させることによりネガ型のパターンを得る工程(F)を含むパターン形成方法において、前記ケイ素含有膜形成用組成物として、前記フォトレジスト膜が露光された時に、該露光部に対応する前記ケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が35度以上70度未満となるものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶剤の現像液を用いてネガ型レジストパターンを形成するためのパターン形成プロセスを含むパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)又はi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。
【0003】
しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのFリソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、Fリソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0005】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0006】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LER)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0007】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0008】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、例えば特許文献1〜3にパターン形成方法が示されている。
【0009】
これらの出願において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレート、環状の酸安定基エステルを有するメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0010】
このようにして形成されたパターンを基板に転写する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この方法は、フォトレジスト膜、即ちレジスト上層膜とエッチング選択性が異なる中間膜、例えばケイ素含有レジスト下層膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、上層レジストパターンをドライエッチングマスクとして、ドライエッチングによりレジスト下層膜にパターンを転写し、更にレジスト下層膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0011】
この様な多層レジスト法で使用されるケイ素含有レジスト下層膜としては、CVDによるケイ素含有無機膜、例えばSiO膜(例えば、特許文献4等)やSiON膜(例えば、特許文献5等)、回転塗布により膜を得られるものとしては、SOG(スピンオンガラス)膜(例えば、特許文献6等)や架橋性シルセスキオキサン膜(例えば、特許文献7等)等が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281980号公報
【特許文献3】特開2009−53657号公報
【特許文献4】特開平7−183194号公報
【特許文献5】特開平7−181688号公報
【特許文献6】特開2007−302873号公報
【特許文献7】特表2005−520354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、このような有機溶剤現像を用いたネガ型レジストのパターン形成方法においては、アルカリ現像液に溶解しない疎水性化合物からなるレジストパターンが形成されるポジ型現像(アルカリ現像)と異なり、ネガ型現像(有機溶剤現像)では脱保護反応によって酸性のカルボキシル基等を高濃度で有する親水性有機化合物からなるレジストパターンが形成されるため、従来のアルカリ現像用の下層膜材料等を用いたパターン形成方法では上層のフォトレジストの性能を十分には発揮できない可能性があった。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、有機溶剤現像を用いて形成されるネガ型レジストパターンの形成方法として最適なパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は、少なくとも、ケイ素含有膜形成用組成物を用いて被加工体上にケイ素含有膜を形成する工程と、該ケイ素含有膜上に化学増幅型レジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成する工程と、加熱処理後に高エネルギー線で前記フォトレジスト膜を露光する工程と、有機溶剤の現像液を用いて前記フォトレジスト膜の未露光部を溶解させることによりネガ型のパターンを得る工程を含むパターン形成方法において、
前記ケイ素含有膜形成用組成物として、前記フォトレジスト膜が露光された時に、該露光部に対応する前記ケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が35度以上70度未満となるものを用いることを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0016】
このようなパターン形成方法であれば、現像後のネガ型のパターンとケイ素含有膜の密着性が向上し、細線パターンであってもパターンの倒れが発生せず、有機溶剤現像を用いて形成されるネガ型レジストパターンの形成方法として最適である。
【0017】
また、前記ケイ素含有膜形成用組成物として、少なくとも、下記一般式(A−1)で示される繰り返し単位を含むケイ素含有化合物(A)を含む組成物を用いることができる。
【化1】

[式中、Xは下記一般式(A−1−1)、(A−1−2)、及び(A−1−3)のいずれかで示される酸素含有官能基である。Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は下記一般式(A−1−4)もしくは下記一般式(A−1−5)で示される繰り返し単位である。
【化2】

(式中、n1は1又は2である。Rは単結合であるか、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基であり、Rは水素原子であるか、炭素数1〜10の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基であり、R及びRは酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれか1種以上を含んでもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化3】

(式中、n2は1又は2である。R、Rはそれぞれ独立に、単結合であるか、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基である。ただし、同時に単結合ではない。Rは水素原子であるか、炭素数1〜10の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基、アシル基であり、R、R、及びRは酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれか1種以上を含んでもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化4】

(式中、n3は0、1又は2である。R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の有機基であり、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれかを含んでもよく、R、R、Rのうちいずれか2つ以上が結合して環状有機基を形成してもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化5】

【化6】

(式中、Xは上記と同じである。)]
【0018】
このような組成物を用いてケイ素含有膜を形成すれば、本発明におけるケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角を達成することができ、現像後のレジストパターンの密着性が良好でラフネスの少ないパターン形成方法を提供できる。
【0019】
また、前記ケイ素含有膜形成用組成物として、露光光によりフォトレジスト膜中に発生した酸により、前記一般式(A−1)で示される繰り返し単位が下記一般式(A−2)、(A−3a)、及び(A−3b)で示される繰り返し単位のいずれかに変化するケイ素含有化合物(A’)を含む組成物を用いることができる。
【化7】

[式中、Xは下記一般式(A−2−1)又は(A−2−2)で示される酸素含有官能基である。Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は前記一般式(A−1−4)、(A−1−5)、もしくは下記一般式(A−2−3)で示される繰り返し単位である。
【化8】

(式中、n1、Rは上記と同じである。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化9】

(式中、n2、R、Rは上記と同じである。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化10】

(式中、Xは上記と同じである。)]
【化11】

(式中、Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は前記一般式(A−1−4)、(A−1−5)、(A−2−3)、下記一般式(A−3a−1)、もしくは(A−3b−1)で示される繰り返し単位である。)
【化12】

【0020】
露光時にフォトレジスト膜中で発生した酸により、前記一般式(A−1)で示される繰り返し単位が前記一般式(A−2)、(A−3a)、及び(A−3b)で示される繰り返し単位のいずれかに変化すると、それにより、現像後のレジストパターンとの間に水素結合が生じ、より一層の密着性向上が見られるため、このようなケイ素含有化合物(A’)を含む組成物を用いれば、より細線のパターンにおいてもパターン倒れの発生しないパターン形成方法を提供できる。
【0021】
また、前記ケイ素含有膜形成用組成物として、前記ケイ素含有化合物(A’)を含む組成物から得られるケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が、露光前の純水に対する接触角よりも低いものを用いることが好ましい。
【0022】
ネガ型のパターンを得る工程では、露光部のフォトレジストは光酸発生剤により発生した酸により酸脱離基が外れ、親水性のカルボキシル基やフェノール性水酸基を含むポリマー構造に変化して、露光前のフォトレジスト膜に比べて接触角が低下する。前記ケイ素含有膜形成用組成物として、前記ケイ素含有化合物(A’)を含む組成物から得られるケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が、露光前の純水に対する接触角よりも低いものを用いることで、ケイ素含有膜も、フォトレジスト膜と同様に露光前(塗布、焼成時)の接触角より露光後の接触角を低下させると、フォトレジスト塗布時の膜厚の均一性を保ちながら、露光後はパターンの接触角に合わせることができるため、より密着性が向上し、倒れのないパターンを形成できる。
【0023】
また、前記フォトレジスト膜のパターン形成方法を、波長が10nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、及びナノインプリンティングのいずれか、あるいはこれらの組み合わせによるパターン形成とすることができる。
【0024】
本発明のパターン形成方法を用いる場合、このような方法で上層のフォトレジストをパターニングしてネガパターンを形成すると、従来のポジパターンと同様の性能でネガパターンを形成することができる。
【0025】
また、前記現像液として、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸−2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を成分として含む現像液を使用することができる。
【0026】
この場合、前記現像液成分1種又は2種以上の合計が、50質量%以上である現像液を使用することが好ましい。
【0027】
本発明のパターン形成方法のネガ型のパターンを得る工程において、上記のような成分を含む現像液を使用すると、ラインパターンではパターン倒れがなく、ホールパターンでは真円性の良好なホールパターンを形成できる。
【0028】
また、被加工体上に有機下層膜又は有機ハードマスクを形成した後、該有機下層膜又は有機ハードマスクの上に前記ケイ素含有膜を形成することができる。
更に、前記ネガ型のパターンを得た後に、該パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記ケイ素含有膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有膜をマスクにして前記有機下層膜又は有機ハードマスクにドライエッチングでパターン転写し、さらに該パターンが転写された有機下層膜又は有機ハードマスクをマスクにして被加工体にドライエッチングでパターンを転写することができる。
【0029】
本発明のパターン形成方法を用いると、上記のように、塗布による有機下層膜やCVD法による有機ハードマスク等の組み合わせを最適化することで、サイズ変換差を生じさせることなく、上層のフォトレジストで形成されたパターンを基板上に形成できる。
【0030】
また、前記被加工体として、半導体基板に、金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものを用いることができる。
【0031】
この場合、前記被加工体を構成する金属が、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、及び鉄のいずれか、あるいはこれらの合金であることが好ましい。
【0032】
本発明のパターン形成方法を用いると、上記のような被加工体を加工してパターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明のパターン形成方法によれば、形成されたネガ型フォトレジストパターンは密着性が良好でパターン倒れが発生せず、表面ラフネスも良好なパターン形成が可能である。また、形成されたフォトレジストパターンを、ケイ素含有レジスト下層膜、有機下層膜又はCVDカーボン膜へと順にドライエッチングプロセスを用いて転写可能である。特に、ネガ現像で得られるパターンは、酸脱離基が外れているため、フォトレジストの膜厚が薄くなり、従来のケイ素含有レジスト下層膜へのパターン転写が困難になるが、本発明のパターン形成方法を用いると、ネガ現像で薄膜化したフォトレジストをエッチングマスクとして使用しても、ドライエッチング中のフォトレジストパターンの変形を抑え、このパターンを基板に高い精度で転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のパターン形成方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明について説明する。
前述のように、有機溶剤による現像を利用したパターン形成方法が近年再び脚光を浴びているが、このような有機溶剤現像を用いたネガ型レジストのパターン形成方法においては、アルカリ現像液に溶解しない疎水性化合物からなるレジストパターンが形成されるポジ型現像(アルカリ現像)と異なり、ネガ型現像(有機溶剤現像)では脱保護反応によって酸性のカルボキシル基等を高濃度で有する親水性有機化合物からなるレジストパターンが形成されるため、従来のアルカリ現像用の下層膜材料等を用いたパターン形成方法では上層レジストの性能を十分には発揮できない可能性があった。
【0036】
従来のポジ型フォトレジストのポジ現像(アルカリ現像)では、塗布時のフォトレジストの構成成分(露光前の塗布膜を形成する膜質)と露光後にパターンとして残留する成分(露光後のパターンを形成する膜質)はほぼ同一のため、レジスト下層膜成膜時の純水に対する接触角(以下接触角とする)をフォトレジストとほぼ同一の接触角に合わせることで、パターンの密着性が向上し、パターン倒れを防止することができ、ラフネスの低減にも効果があることが本発明者らの検討で得られていた。
【0037】
ところが、有機溶剤を用いたネガ型現像で得られるネガパターンでは、露光前のフォトレジスト塗布膜と露光後のパターンを形成する膜質を比較すると、露光後のパターンは露光で発生した酸により保護基が外れ、カルボキシル基やフェノール水酸基等の親水性基の量が多くなり、レジストパターンの接触角が、成膜直後より親水性側、即ちより低い方向に変化していること、そのため、露光前のフォトレジスト膜の接触角に合わせた従来のポジ型用のレジスト下層膜では、ネガ型パターンとの接触角に乖離が生じ、パターンの倒れやラフネスに影響が発生することが、本発明者らの鋭意研究により判明した。
【0038】
これをもとに更なる検討を行った結果、塗布、焼成による成膜時より、有機溶剤を用いて現像される直前のレジスト下層膜の接触角がネガ型パターン形成プロセスでは重要であること、即ち、有機溶剤現像時に適切な接触角を有するレジスト下層膜、即ちネガ型のパターンの膜質に合わせた接触角を有するレジスト下層膜を使用すると、上記有機溶剤現像で得られるレジストパターンの再現性や密着性に優れ、細線パターンであってもパターンの倒れが発生せず、更に現像液として使用される有機溶剤に対する耐性に優れ、パターンラフネスに優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0039】
本発明のパターン形成方法は、少なくとも、ケイ素含有膜形成用組成物を用いて被加工体上にケイ素含有膜を形成する工程と、該ケイ素含有膜上に化学増幅型レジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成する工程と、加熱処理後に高エネルギー線で前記フォトレジスト膜を露光する工程と、有機溶剤の現像液を用いて前記フォトレジスト膜の未露光部を溶解させることによりネガ型のパターンを得る工程を含むパターン形成方法において、
前記ケイ素含有膜形成用組成物として、前記フォトレジスト膜が露光された時に、該露光部に対応する前記ケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が35度以上70度未満となるものを用いることを特徴とするパターン形成方法である。
【0040】
本発明のパターン形成方法に使用されるケイ素含有膜形成用組成物としては、少なくとも、下記一般式(A−1)で示される繰り返し単位を含むケイ素含有化合物(A)を含む組成物を用いることができる。
【化13】

[式中、Xは下記一般式(A−1−1)、(A−1−2)、及び(A−1−3)のいずれかで示される酸素含有官能基である。Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は下記一般式(A−1−4)もしくは下記一般式(A−1−5)で示される繰り返し単位である。
【化14】

(式中、n1は1又は2である。Rは単結合であるか、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基であり、Rは水素原子であるか、炭素数1〜10の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基であり、R及びRは酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれか1種以上を含んでもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化15】

(式中、n2は1又は2である。R、Rはそれぞれ独立に、単結合であるか、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基である。ただし、同時に単結合ではない。Rは水素原子であるか、炭素数1〜10の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基、アシル基であり、R、R、及びRは酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれか1種以上を含んでもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化16】

(式中、n3は0、1又は2である。R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の有機基であり、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれかを含んでもよく、R、R、Rのうちいずれか2つ以上が結合して環状有機基を形成してもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化17】

【化18】

(式中、Xは上記と同じである。)]
【0041】
上記一般式(A−1−1)で示される構造として以下のものを挙げることができる。
【化19】

【0042】
【化20】

【0043】
上記一般式(A−1−2)で示される構造として以下のものを挙げることができる。
【化21】

【0044】
【化22】

【0045】
【化23】

【0046】
上記一般式(A−1−3)で示される構造として以下のものを挙げることができる。
【化24】

【0047】
尚、上記一般式(A−1)で示される繰り返し単位を得るためのモノマー(A−1−0)としては、例えば上記一般式(A−1−1)〜(A−1−3)の具体例で示した基が結合するケイ素(上記構造式中の(Si))に、加水分解性基として、2個又は3個のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が結合したもの等を使用できる。
【0048】
本発明のパターン形成方法においては、フォトレジストの下層となるケイ素含有膜を形成する組成物として、フォトレジスト膜が露光された時に、該露光部に対応するケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が35度以上70度未満となる組成物を用いることで、ネガ現像(有機溶剤現像)でも、良好なパターンが得られる等の効果が期待できる。
【0049】
更に、ケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が、露光前の純水に対する接触角よりも低いものとし、特に、ケイ素含有膜形成時には露光前のフォトレジストの接触角(70〜80度)と類似した接触角とし、露光後には形成されるネガパターン(接触角は約50〜60度)と類似した接触角にすると、ケイ素含有膜上にフォトレジストを塗布する際にもレジストパターン形成時にも密着性を保つことができる。
【0050】
そこで、前記ケイ素含有膜形成用組成物として、露光光によりフォトレジスト膜中に発生した酸により、前記一般式(A−1)で示される繰り返し単位が下記一般式(A−2)、(A−3a)、及び(A−3b)で示される繰り返し単位のいずれかに変化、即ち有機官能基の一部が外れ、シラノール等のより親水性の高い官能基に変換されるケイ素含有化合物(A’)を含む組成物を用いることが好ましい。
【化25】

[式中、Xは下記一般式(A−2−1)又は(A−2−2)で示される酸素含有官能基である。Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は前記一般式(A−1−4)、(A−1−5)、もしくは下記一般式(A−2−3)で示される繰り返し単位である。
【化26】

(式中、n1、Rは上記と同じである。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化27】

(式中、n2、R、Rは上記と同じである。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化28】

(式中、Xは上記と同じである。)]
【化29】

(式中、Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は前記一般式(A−1−4)、(A−1−5)、(A−2−3)、下記一般式(A−3a−1)、もしくは(A−3b−1)で示される繰り返し単位である。)
【化30】

【0051】
上記一般式(A−2−1)及び(A−2−2)の具体例としては、上記一般式(A−1−1)〜(A−1−3)で示される構造として具体的に例示したもののうち、末端に−OHを有するものが挙げられる。
【0052】
このような組成物を用いてケイ素含有膜を形成すれば、ケイ素含有膜形成時は、カルボキシル基や水酸基に置換基が結合しているため、ケイ素含有膜の接触角は約70〜80度となる。そのため、フォトレジストの塗布時は、フォトレジストと同様の接触角であるため、欠陥の原因の一つとして危惧される塗布時の不均一性を防止することができる。そして、露光時にフォトレジスト内で発生した酸により、ケイ素含有膜表面の酸分解性基に作用して、ケイ素含有膜表面にも親水性のカルボキシル基や水酸基を発生させることにより、露光後のケイ素含有膜の接触角をネガ現像用フォトレジストパターンに合わせるようにしている。これにより、ネガ現像レジストパターンとケイ素含有膜の間の接触角が近似して、レジストパターンの倒れを防止することができる。
一方、35度未満の接触角において、フォトレジストとの接触角との乖離が大きいため、好ましくない。
【0053】
このようなケイ素化合物(A’)を形成するための、酸脱離基を有する化合物(モノマー)としては、上述のモノマー(A−1−0)の中でも、3級アルキルエステル化合物、3級アルキルフェニルエーテル化合物又はアセタール化合物等が好ましい。
【0054】
例えば、上記の3級アルキルフェニルエーテル化合物のうち、フェニル基とケイ素原子が直結しケイ原子に対して適切な位置に3級アルキルエーテル基がある場合は、特に、露光時に発生した酸により3級アルキル基が脱離してヒドロキシフェニル基に変化し、添加物として適切な求電子試薬が存在すると、ベンゼン環上のケイ素のipso位においてSi−C結合の開裂が起こり、シラノール基に変化してしまうことが知られている(非特許文献:Saul Patai and Zvi Rappoport, “The chemistry of organic silicon compounds”,John Wiley & Sons, 909−916(1989))。
【化31】

【0055】
本発明において、この反応を利用すれば、反応前は比較的親水性が低く、露光前のレジスト組成物との構成が類似している3級アルキルフェニルエーテル含有組成物でケイ素含有膜を成膜することができる。また、露光後はネガ現像レジストパターンとの密着性が高く親水性も高い、即ち接触角の低いシラノール基に変換されるため、これにより、ネガ現像されたレジストパターンの倒れを防止することができる。
【0056】
このような化合物としては、3級アルキルフェニルエーテル含有化合物が特に好ましい。
【0057】
本発明において用いられるケイ素含有膜形成用組成物中のケイ素含有化合物(A)は、更に下記一般式(A−3)、(A−4−1)、(A−4−2)で示される加水分解性モノマーを含んでいてもよい。
【0058】
(R12m12(OR13(3−m12)Si−R11−Si(R14m14(OR15(3−m14) (A−3)
21m2122m2223m23Si(OR24(4−m21−m22−m23) (A−4−1)
U(OR31m31(OR32m32(O)m33/2 (A−4−2)
(式中、R11は単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基、R12及びR14は水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基であり、R12、R14はそれぞれ同じでも異なっても良い。R13、R15は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、m12、m14は0≦m12+m14≦2を満たす整数である。
21、R22、R23はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基であり、m21、m22、m23は0又は1であり、0≦m21+m22+m23≦3である。R24は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。
31、R32水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、m31+m32+m33/2はUの種類により決まる価数であり、m31、m32、m33は0以上の整数、Uは周期律表のIII族、IV族、又はV族の元素であり、炭素とケイ素を除く。)
【0059】
上記一般式(A−3)で示される化合物として、以下のものを挙げることができる。
【化32】

【0060】
特に好ましくは以下のものを挙げることができる。
【化33】

【0061】
上記一般式(A−4−1)で示される化合物として以下のものを挙げることができる。
m21+m22+m23=0のテトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等を例示できる。
【0062】
m21+m22+m23=1のトリアルコキシシランとして、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリプロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリプロポキシシラン、t−ブチルトリイソプロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピルトリプロポキシシラン、シクロプロピルトリイソプロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチルトリプロポキシシラン、シクロブチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリプロポキシシラン、シクロペンチルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリイソプロポキシシラン、シクロオクチルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリエトキシシラン、シクロオクチルトリプロポキシシラン、シクロオクチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリイソプロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチルトリプロポキシシラン、アダマンチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリプロポキシシラン、ベンジルトリイソプロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリプロポキシシラン、トリルトリイソプロポキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、アニシルトリプロポキシシラン、アニシルトリイソプロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリプロポキシシラン、フェネチルトリイソプロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン、ナフチルトリイソプロポキシシラン等を例示できる。
【0063】
m21+m22+m23=2のジアルコキシシランとして、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルジイソプロポキシシラン、ジsec−ブチルジメトキシシラン、ジsec−ブチルジエトキシシラン、ジsec−ブチルジプロポキシシラン、ジsec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジt−ブチルジメトキシシラン、ジt−ブチルジエトキシシラン、ジt−ブチルジプロポキシシラン、ジt−ブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロプロピルジメトキシシラン、ジシクロプロピルジエトキシシラン、ジシクロプロピルジプロポキシシラン、ジシクロプロピルジイソプロポキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジプロポキシシラン、ジシクロブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジプロポキシシラン、ジシクロペンチルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジイソプロポキシシラン、ジシクロオクチルジメトキシシラン、ジシクロオクチルジエトキシシラン、ジシクロオクチルジプロポキシシラン、ジシクロオクチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジイソプロポキシシラン、ジアダマンチルジメトキシシラン、ジアダマンチルジエトキシシラン、ジアダマンチルジプロポキシシラン、ジアダマンチルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン等を例示できる。
【0064】
m21+m22+m23=3のモノアルコキシシランとして、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等を例示できる。
【0065】
好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン等を例示できる。
【0066】
上記一般式(A−4−2)で表す化合物としては、以下のような化合物を例示できるが、これに限られるものではない。
例えば、Uがホウ素の場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、ボロンメトキシド、ボロンエトキシド、ボロンプロポキシド、ボロンブトキシド、ボロンアミロキシド、ボロンヘキシロキシド、ボロンシクロペントキシド、ボロンシクロヘキシロキシド、ボロンアリロキシド、ボロンフェノキシド、ボロンメトキシエトキシド、ホウ酸、酸化ホウ素等をモノマーとして例示できる。
【0067】
Uがアルミニウムの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムアミロキシド、アルミニウムヘキシロキシド、アルミニウムシクロペントキシド、アルミニウムシクロヘキシロキシド、アルミニウムアリロキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムメトキシエトキシド、アルミニウムエトキシエトキシド、アルミニウムジプロポキシエチルアセトアセテート、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウム2,4−ペンタンジオネート、アルミニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0068】
Uがガリウムの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、ガリウムメトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムプロポキシド、ガリウムブトキシド、ガリウムアミロキシド、ガリウムヘキシロキシド、ガリウムシクロペントキシド、ガリウムシクロヘキシロキシド、ガリウムアリロキシド、ガリウムフェノキシド、ガリウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシエトキシド、ガリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、ガリウムジブトキシエチルアセトアセテート、ガリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、ガリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、ガリウム2,4−ペンタンジオネート、ガリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0069】
Uがイットリウムの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムプロポキシド、イットリウムブトキシド、イットリウムアミロキシド、イットリウムヘキシロキシド、イットリウムシクロペントキシド、イットリウムシクロヘキシロキシド、イットリウムアリロキシド、イットリウムフェノキシド、イットリウムメトキシエトキシド、イットリウムエトキシエトキシド、イットリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、イットリウムジブトキシエチルアセトアセテート、イットリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、イットリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、イットリウム2,4−ペンタンジオネート、イットリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0070】
Uがゲルマニウムの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムプロポキシド、ゲルマニウムブトキシド、ゲルマニウムアミロキシド、ゲルマニウムヘキシロキシド、ゲルマニウムシクロペントキシド、ゲルマニウムシクロヘキシロキシド、ゲルマニウムアリロキシド、ゲルマニウムフェノキシド、ゲルマニウムメトキシエトキシド、ゲルマニウムエトキシエトキシド等をモノマーとして例示できる。
【0071】
Uがチタンの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアミロキシド、チタンヘキシロキシド、チタンシクロペントキシド、チタンシクロヘキシロキシド、チタンアリロキシド、チタンフェノキシド、チタンメトキシエトキシド、チタンエトキシエトキシド、チタンジプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンジブトキシビスエチルアセトアセテート、チタンジプロポキシビス2,4−ペンタンジオネート、チタンジブトキシビス2,4−ペンタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0072】
Uがハフニウムの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムプロポキシド、ハフニウムブトキシド、ハフニウムアミロキシド、ハフニウムヘキシロキシド、ハフニウムシクロペントキシド、ハフニウムシクロヘキシロキシド、ハフニウムアリロキシド、ハフニウムフェノキシド、ハフニウムメトキシエトキシド、ハフニウムエトキシエトキシド、ハフニウムジプロポキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジプロポキシビス2,4−ペンタンジオネート、ハフニウムジブトキシビス2,4−ペンタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0073】
Uがスズの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、メトキシスズ、エトキシスズ、プロポキシスズ、ブトキシスズ、フェノキシスズ、メトキシエトキシスズ、エトキシエトキシスズ、スズ2,4−ペンタンジオネート、スズ2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0074】
Uがヒ素の場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、メトキシヒ素、エトキシヒ素、プロポキシヒ素、ブトキシヒ素、フェノキシヒ素等をモノマーとして例示できる。
【0075】
Uがアンチモンの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、メトキシアンチモン、エトキシアンチモン、プロポキシアンチモン、ブトキシアンチモン、フェノキシアンチモン、酢酸アンチモン、プロピオン酸アンチモン等をモノマーとして例示できる。
【0076】
Uがニオブの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、メトキシニオブ、エトキシニオブ、プロポキシニオブ、ブトキシニオブ、フェノキシニオブ等をモノマーとして例示できる。
【0077】
Uがタンタルの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、メトキシタンタル、エトキシタンタル、プロポキシタンタル、ブトキシタンタル、フェノキシタンタル等をモノマーとして例示できる。
【0078】
Uがビスマスの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、メトキシビスマス、エトキシビスマス、プロポキシビスマス、ブトキシビスマス、フェノキシビスマス等をモノマーとして例示できる。
【0079】
Uがリンの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリプロピルフォスファイト、トリメチルフォスフェイト、トリエチルフォスフェイト、トリプロピルフォスフェイト、五酸化ニリン等をモノマーとして例示できる。
【0080】
Uがバナジウムの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、バナジウムオキシドビス(2、4−ペンタンジオネート)、バナジウム2、4−ペンタンジオネート、バナジウムトリブトキシドオキシド、バナジウムトリプロポキシドオキシド等をモノマーとして例示できる。
【0081】
Uがジルコニウムの場合、上記一般式(A−4−2)で示される化合物として、メトキシジルコニウム、エトキシジルコニウム、プロポキシジルコニウム、ブトキシジルコニウム、フェノキシジルコニウム、ジルコニウムジブトキシドビス(2、4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムジプロポキシドビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)等をモノマーとして例示できる。
【0082】
本発明で用いられるケイ素含有膜形成用組成物に含まれるケイ素含有化合物(A)は、上述のモノマー(A−1−0)1種以上、必要であれば上記一般式(A−3)、(A−4−1)、及び(A−4−2)の群から選ばれる化合物1種以上を選択して、反応前又は反応中に混合してケイ素含有化合物(A)を形成する反応原料とすることができる。
【0083】
ケイ素含有化合物(A)の製造方法としては、具体的には以下の方法が挙げられるが、この方法に限られるものではない。
ケイ素含有化合物(A)は、上記反応原料(以下、便宜上「モノマー」と呼ぶこともある)を、好ましくは無機酸、脂肪族スルホン酸及び芳香族スルホン酸から選ばれる一種以上の化合物を酸触媒として用いて、加水分解縮合を行うことで製造することができる。
【0084】
このとき使用される酸触媒は、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。酸触媒の使用量は、モノマー1モルに対して10−6〜10モル、好ましくは10−5〜5モル、より好ましくは10−4〜1モルである。
【0085】
また、これらのモノマーから加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜100モル、より好ましくは0.05〜50モル、更に好ましくは0.1〜30モルを添加することが好ましい。このような添加量であれば、反応に使用する装置が過大になることもなく、経済的である。
【0086】
操作方法として、酸触媒と水を混合した酸触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、酸触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は通常0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。モノマーの滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0087】
酸触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン及びこれらの混合物等が好ましい。
【0088】
これらの溶剤の中でより好ましいものは水溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0089】
尚、有機溶剤の使用量は、経済的に反応を行えるため、モノマー1モルに対して0〜1,000ml、特に0〜500mlが好ましい。
【0090】
その後、必要であれば酸触媒の中和反応を行う。このとき、中和に使用することのできるアルカリ性物質の量は、触媒として使用された酸に対して0.1〜2当量が好ましい。このアルカリ性物質は水中でアルカリ性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0091】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコール等の副生物を減圧除去等により取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコール等の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコール等の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコール等のおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0092】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した酸触媒を除去してもよい。酸触媒を除去する方法として、水とケイ素含有化合物を混合し、ケイ素含有化合物を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、ケイ素含有化合物を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0093】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール+酢酸エチル、エタノール+酢酸エチル、1−プロパノール+酢酸エチル、2−プロパノール+酢酸エチル、ブタンジオールモノメチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノエチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、メタノール+メチルイソブチルケトン、エタノール+メチルイソブチルケトン、1−プロパノール+メチルイソブチルケトン、2−プロパノール+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、メタノール+シクロペンチルメチルエーテル、エタノール+シクロペンチルメチルエーテル、1−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、2−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、メタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の組み合わせが好ましいが、組み合わせはこれらに限定されることはない。
【0094】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部、好ましくは1〜500質量部、更に好ましくは2〜100質量部である。
【0095】
続いて、中性水で洗浄してもよい。この中性水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この中性水の量は、反応混合物溶液1Lに対して、通常0.01〜100L、好ましくは0.05〜50L、より好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、反応混合物と中性水の両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上行えばよく、効率よく洗浄効果を得るには、1〜5回程度行うことが好ましい。
【0096】
ただ、このときの水洗操作により、反応混合物の一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は酸触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0097】
その他に酸触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物で中和したのち除去する方法を挙げることができる。これらの方法は、反応に使用された酸触媒に合わせて適宜選択することができる。
【0098】
酸触媒が残留している反応混合物及び酸触媒が除去された反応混合物溶液、いずれの場合においても、最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することでケイ素含有化合物溶液を得る。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき反応溶剤や抽出溶剤の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0099】
このとき、溶剤が変わることによりケイ素含有化合物が不安定になる場合がある。これは最終的な溶剤とケイ素含有化合物との相性により発生するが、これを防止するため、溶剤交換前の溶液に安定剤として、後述する(C)成分を加えてから、溶剤交換操作を行ってもよい。
加える量としては溶剤交換前の溶液中のケイ素含有化合物100質量部に対して0〜25質量部、好ましくは0〜15質量部、より好ましくは0〜5質量部であるが、添加する場合は0.5質量部以上が好ましい。
【0100】
ケイ素含有化合物は、ある濃度以上に濃縮すると縮合反応が進行し、有機溶剤に対して再溶解不可能な状態に変化してしまう恐れがあるため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが好ましい。また、経済面からも、このときの濃度は0.1〜20質量%が好ましい。
【0101】
ケイ素含有化合物溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール等のモノアルキルエーテル誘導体である。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0102】
これらの溶剤が主成分であれば、補助溶剤として、非アルコール系溶剤を添加する事も可能である。この補助溶剤としては、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等を例示できる。
【0103】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき酸触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0104】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0105】
有機溶剤の使用量は、前記の量と同様でよい。得られた反応混合物の後処理は、前記の方法と同様で後処理し、ケイ素含有化合物を得る。
【0106】
また、ケイ素含有化合物(A)は、モノマーを塩基触媒の存在下、加水分解縮合を行うことでも製造することができる。
このとき使用される塩基触媒は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
【0107】
塩基触媒の使用量は、ケイ素モノマー1モルに対して10−6モル〜10モル、好ましくは10−5モル〜5モル、より好ましくは10−4モル〜1モルである。
【0108】
これらのモノマーから加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.1〜50モルを添加することが好ましい。このような量であれば、反応に使用する装置が過大になることもなく、経済的である。
【0109】
操作方法として、塩基触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、塩基触媒水溶液に有機溶媒を加えてもよいし、モノマーを有機溶媒で希釈しておいてもよいし、両方行っても良い。反応温度は0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。モノマーの滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0110】
塩基触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶媒としては、酸触媒水溶液に加えることのできるものとして例示した有機溶剤と同様のものが好ましく用いられる。
尚、有機溶媒の使用量は、経済的に反応を行えるため、モノマー1モルに対して0〜1,000mlが好ましい。
【0111】
その後、必要であれば塩基触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできる酸性物質の量は、触媒として使用された塩基性物質に対して0.1〜2当量が好ましい。この酸性物質は水中で酸性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0112】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコール等の副生物を取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶媒と反応で発生したアルコールの種類に依るが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコールの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0113】
次に加水分解縮合に使用した塩基触媒を除去するため、ケイ素含有化合物を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、ケイ素含有化合物を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。
【0114】
塩基触媒を除去する際に用いられる有機溶剤の具体例は、酸触媒を除去する際に用いられるものとして具体的に例示した上述の有機溶剤や、水溶性有機溶剤と水難性有機溶剤の混合物と同様のものを用いることができる。
【0115】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部、好ましくは1〜500質量部、更に好ましくは2〜100質量部である。
【0116】
続いて、中性水で洗浄する。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、ケイ素含有化合物溶液1Lに対して、0.01〜100L、好ましくは0.05〜50L、より好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1〜5回程度である。
【0117】
洗浄済みのケイ素含有化合物溶液に最終的な溶媒を加え、減圧で溶媒交換することでケイ素含有化合物溶液を得る。このときの溶媒交換の温度は、除去すべき抽出溶剤の種類に依るが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0118】
ケイ素含有化合物溶液に加える最終的な溶媒として好ましいものはアルコール系溶媒であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のモノアルキルエーテルである。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0119】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶媒を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき塩基触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加しても良いし、水又は含水有機溶媒に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0120】
有機溶媒を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0121】
得られるケイ素含有化合物の分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量が100,000を超えるものを用いると、ケースによっては異物の発生や塗布斑が生じることがあり、100,000以下、より好ましくは200〜50,000、更には300〜30,000のものを用いることが好ましい。尚、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0122】
尚、モノマーの組成が異なるものや、組成が同一でも異なる条件下で得られたケイ素含有化合物を2種類以上混合することにより、目的とするケイ素含有化合物(A)を得ることもできる。
【0123】
本発明においては、上記ケイ素含有化合物(A)に、好ましくは熱架橋促進剤(B)、有機酸(C)及び有機溶剤(D)を配合したケイ素含有膜形成用組成物を用いることができる。
【0124】
熱架橋促進剤(B)として、下記一般式(B−1)又は(B−2)で示される化合物を挙げることができる。
X (B−1)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウム、Xは水酸基、又は炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは前記Xにより決まる価数である。)
a’b’A (B−2)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウム又はアンモニウムであり、好ましくは三級スルホニウム、二級ヨードニウム又は四級アンモニウムであり、特に光分解性のもの、即ちトリアリールスルホニウム化合物、ジアリールヨードニウム化合物が好ましい。Aは上記X又は非求核性対向イオンであり、a’は1以上の整数、b’は0又は以上の整数で、a’+b’は前記Aにより決まる価数である。)
【0125】
上記一般式(B−1)で示される化合物として、アルカリ金属有機酸塩を例示できる。
例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化物塩、硝酸塩、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブタン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、ノナン酸塩、デカン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、モノクロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩等の1価の塩、1価又は2価のシュウ酸塩、マロン酸塩、メチルマロン酸塩、エチルマロン酸塩、プロピルマロン酸塩、ブチルマロン酸塩、ジメチルマロン酸塩、ジエチルマロン酸塩、コハク酸塩、メチルコハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、イタコン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シトラコン酸塩、クエン酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩等が挙げられる。
【0126】
具体的には、特開2009−126940号公報(0126)段落に記載の化合物等を挙げることができる。
【0127】
上記一般式(B−2)で示される化合物として、下記一般式(Q−1)、(Q−2)及び(Q−3)で示されるスルホニウム化合物、ヨードニウム化合物、アンモニウム化合物を挙げることができる。
【化34】

(式中、R204、R205、R206はそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R205とR206とはこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R205、R206はそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。Aは非求核性対向イオンを表す。R207、R208、R209、R210は、R204、R205、R206と同様であるが、水素原子であってもよい。R207とR208、R207とR208とR209とはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R207とR208及びR207とR208とR209は炭素数3〜10のアルキレン基を示す。)
【0128】
上記R204、R205、R206、R207、R208、R209、R210は互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−t−ブトキシフェニル基、m−t−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。
【0129】
としては水酸化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、p−メチル安息香酸イオン、p−t−ブチル安息香酸イオン、フタル酸イオン、イソフタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、モノクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、メチルマロン酸イオン、エチルマロン酸イオン、プロピルマロン酸イオン、ブチルマロン酸イオン、ジメチルマロン酸イオン、ジエチルマロン酸イオン、コハク酸イオン、メチルコハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、イタコン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シトラコン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン等が挙げられる。
【0130】
具体的には、スルホニウム化合物として、特開2009−126940号公報(0130)段落に記載のスルホニウム化合物等を、また、ヨードニウム化合物として、同(131)段落に記載のヨードニウム化合物等を、また、アンモニウム化合物として、同(0132)段落に記載のアンモニウム化合物等を例示することができる。
【0131】
尚、上記熱架橋促進剤(B)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱架橋促進剤(B)の添加量は、ベースポリマー(上記方法で得られた(A)成分のケイ素含有化合物)100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部である。
【0132】
本発明で使用されるケイ素含有膜形成用組成物の安定性を向上させるため、(C)成分として炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸を添加することが好ましい。このとき添加する酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クエン酸等を例示することができる。特にシュウ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等が好ましい。また、安定性を保つため、2種以上の酸を混合して使用してもよい。
【0133】
添加量は組成物に含まれるケイ素100質量部に対して0.001〜25質量部、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
あるいは、上記有機酸を組成物のpHに換算して、好ましくは0≦pH≦7、より好ましくは0.3≦pH≦6.5、更に好ましくは0.5≦pH≦6となるように配合することがよい。
【0134】
有機溶剤(D)としては、前記ケイ素含有化合物(A)の製造時に使用したものと同様の有機溶剤、好ましくは水溶性有機溶剤、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等のモノアルキルエーテルを使用することができる。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等から選ばれる有機溶剤を使用することができる。
【0135】
本発明のパターン形成方法で用いる組成物には、水を添加してもよい。水を添加すると、ケイ素含有化合物が水和されるため、リソグラフィー性能が向上する。組成物の溶剤成分における水の含有率は0質量%を超え50質量%未満であり、特に好ましくは0.3〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。それぞれの成分は、添加量が多すぎると、塗布膜の均一性が悪くなり、最悪の場合はじきが発生してしまう。一方、添加量が少ないとリソグラフィー性能が低下するため好ましくない。
水を含む全溶剤の使用量は、(A)成分であるベースポリマー100質量部に対して100〜100,000質量部、特に200〜50,000質量部が好適である。
【0136】
本発明のパターン形成方法で用いるケイ素含有膜形成用組成物には、光酸発生剤を添加してもよい。本発明で使用される光酸発生剤として、具体的には、特開2009−126940(0160)から(0179)段落に記載されている材料を添加することができる。
【0137】
更に、安定剤として環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール、特に以下の構造で示されるエーテル化合物を添加するとケイ素含有膜形成用組成物の安定性を向上させることができる。このようなものとして、具体的には、特開2009−126940(0180)から(0184)段落に記載されている材料を添加することができる。
【0138】
更に、本発明で用いる組成物には、必要に応じて界面活性剤を配合することが可能である。このようなものとして、具体的には、特開2009−126940(0185)段落に記載されている材料を添加することができる。
【0139】
本発明のパターンの形成方法に使用されるケイ素含有膜は、ケイ素含有膜形成用組成物からフォトレジスト膜と同様にスピンコート法等で被加工体上に作製することが可能である。スピンコート後、溶剤を蒸発させ、上層レジスト膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は50〜500℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。特に好ましい温度範囲は、製造されるデバイスの構造にもよるが、デバイスへの熱ダメージを少なくするため、400℃以下が好ましい。
【0140】
ここで、被加工体は、半導体基板に、被加工層(被加工部分)として、金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたもの等を用いることができる。
【0141】
半導体基板としては、シリコン基板が一般的に用いられるが、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α−Si)、p−Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものが用いられてもよい。
被加工体を構成する金属としては、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、及び鉄のいずれか、あるいはこれらの合金であるものを用いることができ、このような金属を含む被加工層としては、例えば、Si、SiO、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nmの厚さに形成し得る。
【0142】
本発明のパターン形成方法において、上層のフォトレジスト膜は、化学増幅型であり、有機溶剤の現像液を用いた現像によりネガ型のパターンを形成できるものであれば、特に限定されない。
例えば、本発明における露光工程を、ArFエキシマレーザー光による露光プロセスとする場合、上層のフォトレジスト膜としては、通常のArFエキシマレーザー光用レジスト組成物はいずれも使用可能である。
【0143】
このようなArFエキシマレーザー光用レジスト組成物は多数の候補がすでに公知であり、すでに公知の樹脂を大別すると、ポリ(メタ)アクリル系、COMA(Cyclo Olefin Maleic Anhydride)系、COMA−(メタ)アクリルハイブリッド系、ROMP(Ring Opening Methathesis Polymerization)系、ポリノルボルネン系等があるが、このうち、ポリ(メタ)アクリル系樹脂を使用したレジスト組成物は、側鎖に脂環式骨格を導入することでエッチング耐性を確保しているため、解像性能は、他の樹脂系に比較して優れる。
【0144】
本発明のパターン形成方法においては、ケイ素含有膜層を作製した後、その上にフォトレジスト組成物溶液を用いてフォトレジスト層を作製するが、ケイ素含有膜層と同様にスピンコート法が好ましく用いられる。レジスト組成物をスピンコート後、プリベークを行うが、80〜180℃で10〜300秒の範囲が好ましい。その後露光を行い、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、有機溶剤現像を行い、ネガ型のレジストパターンを得る。
【0145】
有機溶剤の現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸−2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を成分として含む現像液等を使用することができ、現像液成分1種又は2種以上の合計が、50質量%以上である現像液を使用することが、パターン倒れ改善等の観点から好ましい。
【0146】
尚、本発明のパターン形成方法においては、被加工体上に有機下層膜又は有機ハードマスク等を形成し、その上に前記ケイ素含有膜を形成してもよい。
【0147】
本発明のパターン形成方法は、このようにして得られたネガ型のレジストパターンをマスクにして前記ケイ素含有膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有膜をマスクにして被加工体にドライエッチングでパターンを転写することもできる(所謂「多層レジスト法」)。
【0148】
本発明のパターン形成方法において、ケイ素含有膜をエッチングする場合、フロン系ガス等のフッ素を含有したガスを主成分としたガスを使ってエッチングを行う。上層のレジスト膜の膜減りを小さくするため、ケイ素含有膜は前記ガスに対するエッチング速度が速いことが好ましい。
【0149】
このような多層レジスト法において、ケイ素含有膜と被加工体との間に下層膜を設けて、下層膜を被加工体のエッチングマスクとする場合には、下層膜は芳香族骨格を有する有機膜であることが好ましいが、下層膜が犠牲膜である場合等は、有機膜だけではなく、ケイ素含量が15質量%以下のものであればケイ素含有材料であってもよい。
【0150】
このような下層膜としての有機膜は既に3層レジスト法用、あるいはシリコンレジスト組成物を使用した2層レジスト法用の下層膜として多数公知であり、特開2005−128509号公報記載の4,4’−(9−フルオレニリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂が、2層レジスト法や3層レジスト法のレジスト下層膜材料として公知であり、それらをいずれも使用することができる。また、通常のノボラックよりも耐熱性を上げたい場合には、6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)ノボラック樹脂のような多環式骨格を入れることもでき、更にポリイミド系樹脂を選択することもできる(例えば、特開2004−153125号公報)。
【0151】
上記有機膜は、組成物溶液を用い、フォトレジスト組成物と同様にスピンコート法等で基板上に形成することが可能である。スピンコート法等でケイ素含有膜を形成した後、有機溶剤を蒸発させるためベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜300℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。
【0152】
尚、特に限定されるものではないが、エッチング加工条件により異なるが、下層膜の厚さは5nm以上、特に20nm以上であり、50,000nm以下であることが好ましく、本発明に係るケイ素含有膜の厚さは1nm以上500nm以下であり、好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下である。また、フォトレジスト膜の厚さは1nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0153】
このような3層レジスト法による本発明のパターン形成方法は次の通りである(図1参照)。
このプロセスにおいては、まず被加工体1上に有機ハードマスク2をスピンコート法で作製する(図1(A))。この有機ハードマスク2は、被加工体1をエッチングするときのマスクとして作用するので、エッチング耐性が高いことが望ましく、上層のケイ素含有膜とミキシングしないことが求められるため、スピンコートした後に熱あるいは酸によって架橋することが望ましい。
【0154】
その上にケイ素含有膜3、フォトレジスト膜4をスピンコート法で成膜する(図1(B)、(C))。尚、ケイ素含有膜3は、フォトレジスト膜4が露光された時に、該露光部に対応する前記ケイ素含有膜3の露光後の純水に対する接触角が35度以上70度未満となる組成物を用いて形成する。
【0155】
フォトレジスト膜4は、定法に従い、フォトレジスト膜4に応じた光源、例えばKrFエキシマレーザー光や、ArFエキシマレーザー光、Fレーザー光、あるいはEUV光を用いたパターン露光により、好ましくは、波長が10nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、及びナノインプリンティングのいずれか、あるいはこれらの組み合わせによりパターン形成し(図1(D))、個々のフォトレジスト膜に合わせた条件による加熱処理の後(図1(E))、有機現像液による現像操作、その後必要に応じてリンスを行うことで、ネガ型のレジストパターン4aを得ることができる(図1(F))。
【0156】
次に、このレジストパターン4aをエッチングマスクとして、フォトレジスト膜に対し、ケイ素含有膜のエッチング速度が優位に高いドライエッチング条件、例えばフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングでのエッチングを行う。結果としてレジスト膜のサイドエッチングによるパターン変化の影響を殆ど受けずに、ケイ素含有膜パターン3aを得ることができる(図1(G))。
【0157】
次に、上記で得たレジストパターンが転写されたケイ素含有膜パターン3aを持つ基板に対し、有機ハードマスクのエッチング速度が優位に高いドライエッチング条件、例えば酸素を含有するガスプラズマによる反応性ドライエッチングや、水素−窒素を含有するガスプラズマによる反応性ドライエッチングを行い、有機ハードマスクをエッチング加工する。このエッチング工程により有機ハードマスクパターン2aが得られるが、同時に最上層のレジスト層は、通常失われる(図1(H))。更に、ここで得られた有機ハードマスクパターン2aをエッチングマスクとして、被加工体のドライエッチング、例えば、フッ素系ドライエッチングや塩素系ドライエッチングを使用することで、被加工体を精度よくエッチング加工し、被加工体にパターン1aを転写することができる(図1(I))。
【0158】
尚、上記の3層レジスト法によるプロセスにおいて、有機ハードマスク2の代わりに有機下層膜やCVD法によるアモルファスカーボン膜を適用することも可能である。その場合も、上記と同様の手順で被加工体の加工が可能である。
【実施例】
【0159】
以下、合成例、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
尚、下記例で%は質量%を示し、分子量測定はGPCによった。
【0160】
ケイ素含有化合物の合成
[合成例1]
メタノール120g、メタンスルホン酸1g及び脱イオン水60gの混合物に2−(4−メトキシカルボニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(モノマー10)42.7g、メチルトリメトキシシラン(モノマー2)13.6g、及びテトラエトキシシラン(モノマー4)52.0gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。
反応終了後、プロピレングリコールメチルエーテル100gを加え、副生アルコールを減圧で留去した。そこに、酢酸エチル1000ml及びプロピレングリコールメチルエーテル300gを加え、水層を分液した。残った有機層に、イオン交換水100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを3回繰り返した。残った有機層を減圧で濃縮してケイ素含有化合物1のプロピレングリコールメチルエーテル溶液300g(ポリマー濃度10%)を得た。
得られた溶液をイオンクロマトグラフでメタンスルホン酸イオンを分析したが、検出されなかった。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,400であった。
【0161】
[合成例2]〜[合成例72]
合成例1と同様の条件で表1−1〜1−4に示してあるモノマーを使用してそれぞれ目的物(ケイ素含有化合物2〜72)を得た。
【表1−1】

【0162】
【表1−2】

【0163】
【表1−3】

【0164】
【表1−4】

【0165】
尚、表1−1〜1−4中のモノマー1〜47は、表2−1〜2−3に示すモノマーである。
【表2−1】

【0166】
【表2−2】

【0167】
【表2−3】

【0168】
[実施例、比較例]
上記合成例で得られたケイ素含有化合物1〜72、有機酸、熱架橋促進剤、溶剤、添加剤を表3−1〜3−5に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素含有膜形成用組成物溶液をそれぞれ調製し、それぞれSol.1〜91とした。
【0169】
【表3−1】

【0170】
【表3−2】

【0171】
【表3−3】

【0172】
【表3−4】

【0173】
【表3−5】

【0174】
TPSOH :水酸化トリフェニルスルホニウム
TPSHCO :炭酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSOx :シュウ酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSTFA :トリフルオロ酢酸トリフェニルスルホニウム
TPSOCOPh :安息香酸トリフェニルスルホニウム
TPSHPO :リン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSMA :マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSNf :ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
QMAMA :マレイン酸モノ(テトラメチルアンモニウム)
QMATFA :トリフルオロ酢酸テトラメチルアンモニウム
QBANO :硝酸テトラブチルアンモニウム
PhICl :塩化ジフェニルヨードニウム
PGME :プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0175】
接触角の測定
シリコンウエハー上に、ケイ素含有膜形成用組成物溶液Sol.1〜91を塗布して240℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのケイ素含有膜Film1〜91を作製し、純水との接触角を測定した(表4)。
更にその上に表7記載のArFレジスト溶液を塗布し、100℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト層を形成した。次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610Cで全面露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、30rpmで回転させながら現像ノズルから現像液として酢酸ブチルを3秒間吐出し、その後回転を止めてパドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。残ったレジスト膜を全てPGMEでリンス除去した後、ケイ素含有膜の露光後の膜を得た。これらについても、純水との接触角を測定した(表5)。
【0176】
また、表7記載のArFレジスト溶液をシリコンウエハーに塗布し、100℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を作製し、純水との接触角を測定した(表6)。次いで、同じレジスト膜をArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C)で全面露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)して酸脱離基が外れたArFレジスト膜を作製し、純水との接触角を測定した(表6)。
【0177】
【表4】

【0178】
【表5】

【0179】
【表6】

【0180】
本発明の露光後のケイ素含有化合物から得られたケイ素含有膜は、接触角が35度以上70度未満であった。露光後のArFレジストの接触角は、露光前のレジスト膜に比べ約20度低下し50〜60度の間であった。
【0181】
パターニング試験
シリコンウエハー上に、信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボン含有量80質量%)を膜厚200nmで形成した。その上にケイ素含有膜形成用組成物溶液Sol.1〜91を塗布して240℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのケイ素含有膜Film1〜91を作製した。
【0182】
更にその上に表7−1記載のArFレジスト溶液を塗布し、100℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト層を形成した。フォトレジスト膜上に表7−2に示された組成の液浸保護膜(TC−1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポール偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、30rpmで回転させながら現像ノズルから現像液として酢酸ブチルを3秒間吐出し、その後回転を止めてパドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
このパターニングにより、43nm 1:1のネガ型のラインアンドスペースパターンを得た。この寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(S−9380)で寸法を測定した。測定結果を表8−1〜8−4に示した。
【0183】
【表7−1】

【0184】
ArFレジストポリマー1:
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化35】

【0185】
ArFレジストポリマー2:
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化36】

【0186】
酸発生剤:PAG1
【化37】

【0187】
塩基:Quencher
【化38】

【0188】
液浸保護膜(TC−1)としては、表7−2に示す組成の樹脂を溶媒中に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【表7−2】

【0189】
保護膜ポリマー:
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化39】

【0190】
【表8−1】

【0191】
【表8−2】

【0192】
【表8−3】

【0193】
【表8−4】

【0194】
表8−1〜8−4に示すように、接触角が35度以上70度未満のケイ素含有膜を使用した実施例1−1〜1−89では、垂直形状のレジスト断面を得ることができた。そして、パターン倒れのないことが認められた。
一方、接触角が70度以上の比較例1−1〜1−2では、レジスト断面がアンダーカット形状やネガティブ形状となり、パターン倒れも起こってしまった。
【0195】
パターニング試験:現像液
上記の実施例1で示された現像液(酢酸ブチル)の代わりに、以下に示した現像液を用いて実施例1と同様手順で、43nm 1:1のネガ型のラインアンドスペースパターンを得た。結果を表9に示す。
【0196】
【表9】

【0197】
表9に示すように、各種現像液を用いても断面が垂直形状を有するレジストパターンを得ることができた。
【0198】
パターンエッチング試験
シリコンウエハー上に、信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボン含有量80質量%)を膜厚200nmで形成した。その上にケイ素含有膜形成用組成物溶液Sol.11〜80、90及び91を塗布して240℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのケイ素含有膜Film11〜80、90及び91を作製した。
【0199】
更にその上に表7記載のArFレジスト溶液を塗布し、100℃で60秒間ベークして膜厚100nmの上層フォトレジスト膜を形成した。フォトレジスト膜上に表7−2に示された液浸保護膜(TC−1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポール偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、30rpmで回転させながら現像ノズルから現像液として酢酸ブチルを3秒間吐出し、その後回転を止めてパドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。このパターニングにより、43nm 1:1のネガ型のラインアンドスペースパターンを得た。
【0200】
続いて、レジストパターンをマスクにしてケイ素含有膜の加工を条件(1)でドライエッチングし、次いで条件(2)でドライエッチングしスピンオンカーボン膜にパターンを転写した。得られたパターンの断面形状を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−9380)で、パターンラフネスを(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)でそれぞれ形状を比較し表10−1〜10−3にまとめた。
【0201】
(1)CHF/CF系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(1):
チャンバー圧力 10Pa
Upper/Lower RFパワー 500W/300W
CHFガス流量 50ml/min
CFガス流量 150ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 40sec
【0202】
(2)O/N系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(2):
チャンバー圧力 2Pa
Upper/Lower RFパワー 1000W/300W
ガス流量 300ml/min
ガス流量 100ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 30sec
【0203】
【表10−1】

【表10−2】

【表10−3】

【0204】
本発明では、表10−1〜10−3に示すように現像後のレジスト形状、スピンオンカーボン膜加工後の断面形状及びパターンラフネスも良好であることが認められた。一方、比較例では、スピンオンカーボン膜エッチング時にパターンよれが発生し、その結果、エッチング後のスピンオンカーボン膜パターンラフネスが大きく悪化した。
【0205】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0206】
1…被加工体、 2…有機ハードマスク、 3…ケイ素含有膜、
4…フォトレジスト膜、 1a…パターン、 2a…有機ハードマスクパターン、
3a…ケイ素含有膜パターン、 4a…レジストパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ケイ素含有膜形成用組成物を用いて被加工体上にケイ素含有膜を形成する工程と、該ケイ素含有膜上に化学増幅型レジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成する工程と、加熱処理後に高エネルギー線で前記フォトレジスト膜を露光する工程と、有機溶剤の現像液を用いて前記フォトレジスト膜の未露光部を溶解させることによりネガ型のパターンを得る工程を含むパターン形成方法において、
前記ケイ素含有膜形成用組成物として、前記フォトレジスト膜が露光された時に、該露光部に対応する前記ケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が35度以上70度未満となるものを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記ケイ素含有膜形成用組成物として、少なくとも、下記一般式(A−1)で示される繰り返し単位を含むケイ素含有化合物(A)を含む組成物を用いることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【化1】

[式中、Xは下記一般式(A−1−1)、(A−1−2)、及び(A−1−3)のいずれかで示される酸素含有官能基である。Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は下記一般式(A−1−4)もしくは下記一般式(A−1−5)で示される繰り返し単位である。
【化2】

(式中、n1は1又は2である。Rは単結合であるか、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基であり、Rは水素原子であるか、炭素数1〜10の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基であり、R及びRは酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれか1種以上を含んでもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化3】

(式中、n2は1又は2である。R、Rはそれぞれ独立に、単結合であるか、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基である。ただし、同時に単結合ではない。Rは水素原子であるか、炭素数1〜10の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基、アシル基であり、R、R、及びRは酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれか1種以上を含んでもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化4】

(式中、n3は0、1又は2である。R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の有機基であり、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子のいずれかを含んでもよく、R、R、Rのうちいずれか2つ以上が結合して環状有機基を形成してもよい。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化5】

【化6】

(式中、Xは上記と同じである。)]
【請求項3】
前記ケイ素含有膜形成用組成物として、露光光によりフォトレジスト膜中に発生した酸により、前記一般式(A−1)で示される繰り返し単位が下記一般式(A−2)、(A−3a)、及び(A−3b)で示される繰り返し単位のいずれかに変化するケイ素含有化合物(A’)を含む組成物を用いることを特徴とする請求項2に記載のパターン形成方法。
【化7】

[式中、Xは下記一般式(A−2−1)又は(A−2−2)で示される酸素含有官能基である。Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は前記一般式(A−1−4)、(A−1−5)、もしくは下記一般式(A−2−3)で示される繰り返し単位である。
【化8】

(式中、n1、Rは上記と同じである。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化9】

(式中、n2、R、Rは上記と同じである。尚、破線はSiとの結合位置を示す。)
【化10】

(式中、Xは上記と同じである。)]
【化11】

(式中、Yは水素原子であるか、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリル基のいずれか、又は前記一般式(A−1−4)、(A−1−5)、(A−2−3)、下記一般式(A−3a−1)、もしくは(A−3b−1)で示される繰り返し単位である。)
【化12】

【請求項4】
前記ケイ素含有膜形成用組成物として、前記ケイ素含有化合物(A’)を含む組成物から得られるケイ素含有膜の露光後の純水に対する接触角が、露光前の純水に対する接触角よりも低いものを用いることを特徴とする請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記フォトレジスト膜のパターン形成方法が、波長が10nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、及びナノインプリンティングのいずれか、あるいはこれらの組み合わせによるパターン形成であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記現像液として、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸−2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を成分として含む現像液を使用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記現像液成分1種又は2種以上の合計が、50質量%以上である現像液を使用することを特徴とする請求項6に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
被加工体上に有機下層膜又は有機ハードマスクを形成した後、該有機下層膜又は有機ハードマスクの上に前記ケイ素含有膜を形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記ネガ型のパターンを得た後に、該パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記ケイ素含有膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有膜をマスクにして前記有機下層膜又は有機ハードマスクにドライエッチングでパターン転写し、さらに該パターンが転写された有機下層膜又は有機ハードマスクをマスクにして被加工体にドライエッチングでパターンを転写することを特徴とする請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記被加工体として、半導体基板に、金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものを用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記被加工体を構成する金属が、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、及び鉄のいずれか、あるいはこれらの合金であることを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−237975(P2012−237975A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59691(P2012−59691)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】