説明

パターン

【課題】 簡単に形成することができて損傷し難いパターンを提供する提供する。
【解決手段】 ガラス基板2の裏面2bにはドットパターン10が形成されている。パターン形成領域Z1のドットDが形成されていない部分には、ドットDと認識されない第1保護用ドットDP1が形成されている。パターン形成領域Z1の外側の余白領域Z2には、ドットDと認識されない第2保護用ドットDP2が形成されている。さらに、余白領域Z2に隣接する外側には、第3保護用ドットDP3が形成されている。そして、第1保護用ドットDP1、第2保護用ドットDP2及び第3保護用ドットDP3は、ドットDより高く形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)等の電気光学装置は、基板上に複数の電気光学素子を形成している。一般に、この種の基板には、品質管理・製品管理等の目的で、製造番号、又は製造番号をコード化した2次元コード等の固有の識別コードが描画されている。この識別コードは、認識手段としての専用のコードリーダによって読み取られ、解読される。
【0003】
この基板に識別コードを描画する方法として、基板(ガラス基板)に金属箔付きフィルムを対面させレーザ光を照射して、金属膜を基板に転写させて基板にマークを形成したり、また、研磨材を含んだ水を基板等に噴射し、基板に番号等を刻印する方法が提案されている((特許文献1、特許文献2)。
【0004】
ところで、上記各描画方法は、描画工程が多く、装置も高価で大型化する問題があった。そこで、装置も安価で小型であって、描画も短時間で容易なインクジェット法がある。インクジェット法は、液滴吐出装置を用いて、吐出ノズルから機能液(インク液滴)を基板に対して吐出させて2次元バーコード等の識別コードのパターンを形成する。
【特許文献1】特開平11−77340号公報
【特許文献2】特開2003−127537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インクジェット法は、基板に付着したインクの密着力が弱く剥離し易かった。特に、パターン(識別コード)を形成した後、ワークステージや搬送ライン等でパターンの表面が擦れてパターンを構成するパターン形成要素としてのドット(インク)が剥離してコードリーダによる解読が困難になることが多々生じる問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、簡単に形成することができて損傷し難いパターンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパターンは、基板に形成され、所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成させるパターン形成要素を、前記基板に応じて配列形成されるパターンにおいて、前記液状体が吐出されない前記パターン形成要素の非形成領域又は前記基板上のパターン形成領域の外に、前記基板からの高さが前記パターン形成要素より高く、しかも前記パターン形成要素とは認識されない保護要素を形成した。
【0008】
本発明のパターンによれば、パターン形成領域に形成されるパターン形成要素より高く、しかも、そのパターン形成要素と認識されない保護要素を、非形成領域又はパターン形成領域の外に形成した。従って、例えば、基板に形成したパターンが何かに物理的接触する前に、保護要素が接触するので、パターン形成要素が擦れて損傷することが防止される。その結果、確実にパターンを読み取ることができる。
【0009】
このパターンにおいて、前記保護要素は、液滴吐出装置から保護用液状体を、前記非形成領域又は前記基板上の前記パターン形成領域の外に、吐出し形成してもよい。
このパターンによれば、保護要素は、液滴吐出装置から保護用液状体を吐出させて形成されるため、簡単かつ短時間で精度の高いパターンを形成することができる。
【0010】
このパターンにおいて、前記保護要素は、前記パターン形成要素を認識する認識手段が前記パターン形成要素と認識されない色又は透明であってもよい。
この発明によれば、保護要素はパターン形成要素と異なる色又は透明であるため、認識手段はパターン形成要素と認識されない。
【0011】
このパターンにおいて、前記保護要素は、非導電性の材質で形成してもよい。
この発明によれば、保護要素を非導電性の材質で形成したため、万が一剥がれてその破片や微粒子がその他の製造工程において製品の表面に付着しても、表面の電気的絶縁性が保持される。
【0012】
このパターンにおいて、前記パターンは識別コードでもよい。
このパターンによれば、パターンは識別コードであるため、識別コードを形成するためのパターン形成領域を小さくすることができる。
【0013】
このパターンにおいて、前記基板は表示装置の表示用基板であってもよい。
このパターンによれば、表示用基板に形成されたパターンは確実に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のパターンを具体化した実施形態を図1〜図9に従って説明する。
まず、本発明のパターンとしてのドットパターンが形成された、液晶表示装置の表示モジュールについて説明する。図1は液晶表示装置の液晶表示モジュールの正面図、図2は液晶表示モジュールの裏面に形成されたドットパターンの正面図、図3は液晶表示モジュールの裏面に形成されたドットパターンの側面図である。
【0015】
図1において、液晶表示モジュール1は、光透過性の表示用基板としてのガラス基板2を備えている。そのガラス基板2の表面2aの略中央位置には、液晶を封入した四角形状の表示部3が形成され、その表示部3の外側には走査線駆動回路4及びデータ線駆動回路5が形成されている。
【0016】
ガラス基板2の裏面2bの右隅には、該表示モジュール1の識別コードとしての複数のパターン形成要素としてのドットDで構成されたパターンとしてのドットパターン10が形成されている。ドットパターン10は、図2に示すように、パターン形成領域Z1内に形成される複数のドットDにて構成されている。このパターン形成領域Z1の外周には予め定めた余白領域Z2が形成されている。そして、パターン形成領域Z1に形成されたドットパターン10は、本実施形態では2次元コードであって、認識手段としての2次元コードリーダで読み取られる。また、余白領域Z2は、前記ドットDが形成されない領域であって、2次元コードリーダがパターン形成領域Z1を特定し同パターン形成領域Z1内のドットパターン10を誤検出するのを防止するための領域である。
【0017】
パターン形成領域Z1は、1〜2mm角の正方形の領域であって、図4に示すように、16行×16列の各セルSに仮想分割され、その分割された各セルSに対して選択的にドットDが形成される。なお、その分割されたセルS内にドットDが形成されるセルSを黒セルS1と、セルS内にドットDが形成されないセルSを白セルS0(非形成領域)という。そして、16行×16列の各セルSに対して選択的にドットDが形成され、その各ドットDで構成する該表示モジュール1の識別するためのドットパターン10(2次元コード)が形成される。
【0018】
黒セルS1(ドット領域)に形成されるドットDは、図2及び図3に示すように、半球状にガラス基板2に密着して形成されている。このドットDの形成方法は、本実施形態ではインクジェット法で行う。詳述すると、ドットDは、後記する液滴吐出装置20の吐出ノズル(第1ノズル28)からマンガン微粒子を含む機能液の液滴31(図8参照)を液状体としてセルS(黒セルS1)に吐出させる。次に、その黒セルS1に着弾した液滴31を、乾燥し焼結させてマンガン微粒子を互いに結合させて硬化させることによって、ガラス基板2に密着したマンガンよりなる半球状のドットDが形成される。
【0019】
図2及び図3に示すように、パターン形成領域Z1内の白セルS0には、正確には、点在する白セルS0が複数連続している各空間の一部には、保護要素としての第1保護用ドットDP1が形成されている。第1保護用ドットDP1は、半球状にガラス基板2に密着して形成されている。第1保護用ドットDP1は、2次元コードリーダが前記ドットDと認識しない微粒子を固化させて形成されている。第1保護用ドットDP1は、ガラス基板2からの高さh1が、ドットDの基板2からの高さh2より高くなるように形成されている。この第1保護用ドットDP1の形成方法は、本実施形態では前記と同様にインクジェット法で行う。詳述すると、第1保護用ドットDP1は、液滴吐出装置20の液滴吐出ノズル(第2ノズル29)から前記ドットDと認識しない微粒子(例えば、ドットDを形成するマンガン微粒子と異なる色に微粒子)を含む機能液の液滴を保護用液状体として前記空間(非形成領域)に吐出させる。次に、その前記空間(非形成領域)に着弾した液滴32(図8参照)を、乾燥し焼結させて前記ドットDと認識しない微粒子を互いに結合させて硬化させることによって、ガラス基板2に密着した半球状の第1保護用ドットDP1が形成される。
【0020】
従って、パターン形成領域Z1内には、ドットパターン10を構成する各ドットDよりも突出し、しかも、ドットパターン10の読み取りに影響を与えない色の第1保護用ドットDP1が形成される。
【0021】
図2に示すように、余白領域Z2内であってその左隅には、保護要素としての第2保護用ドットDP2が形成されている。第2保護用ドットDP2は、半球状にガラス基板2に密着して形成されている。第2保護用ドットDP2は、第1保護用ドットDP1と同じ2次元コードリーダが前記ドットDと認識しない微粒子を固化させて形成させている。第2保護用ドットDP2は、その基板2からの高さh3が、第1保護用ドットDP1の高さh1と同じに(ドットDの高さh2より高く)なるように形成されている。この第2保護用ドットDP2の形成方法は、本実施形態では第1保護用ドットDP1と同じ方法で形成される。即ち、前記した同じ液滴吐出装置20が使用され、ドットDと認識しない微粒子を含む機能液の液滴32(図8参照)を保護用液状体として液滴吐出ノズル(第2ノズル29)から余白領域Z2内の左隅に吐出させる。そして、その左隅に着弾した液滴32を、乾燥し焼結させてドットDと認識しない微粒子を互いに結合させて硬化させることによって、ガラス基板2に密着した半球状の第2保護用ドットDP2が形成される。そして、本実施形態は、この第2保護用ドットDP2を、第1保護用ドットDP1を形成するとき併せて形成させるようにしている。
【0022】
図2に示すように、余白領域Z2に隣接する外側には、保護要素としての第3保護用ドットDP3が形成されている。第3保護用ドットDP3は、半球状にガラス基板2に密着して形成されている。第3保護用ドットDP3は、ドットDと同じマンガン微粒子を固化させて形成させている。第3保護用ドットDP3は、その基板2からの高さh4が、第1及び第2保護用ドットDP1,DP2の高さh1,h3と同じに(ドットDの高さh2より高く)なるように形成されている。
【0023】
この第3保護用ドットDP3の形成方法は、本実施形態ではドットパターン10を構成す
るドットDを形成する際と同じ方法で形成される。即ち、ドットパターン10を形成したときの液滴吐出装置20が使用され、液滴吐出装置20の液滴吐出ノズル(第1ノズル28)からマンガン微粒子を含む機能液の液滴31を保護用液状体として余白領域Z2に隣接する外側の所定に箇所(本実施形態では6箇所)それぞれ吐出させる。次に、その所定の箇所にそれぞれ着弾した液滴を、乾燥し焼結させてマンガン微粒子を互いに結合させて硬化させることによって、ガラス基板2に密着したマンガンよりなる半球状の第3保護用ドットDP3が所定の箇所に形成される。第3保護用ドットDP3は、ドットDと同じマンガンで形成されるが、余白領域Z2の外側に形成されるため、ドットパターン10を構成するドットDとは認識されず2次元コードリーダによるドットパターン10の読み取りに影響を与えることはない。
【0024】
次に、ガラス基板2の裏面2bのドットパターン10を形成するために使用される液滴吐出装置20について説明する。
図5及び図6に示すように、液滴吐出装置20は、支持台21を有し、その支持台21には、搬送台22が設けられている。搬送台22は、支持台21に対して図示しないY軸駆動機構により、Y矢印方向及び反Y矢印方向に沿って往復移動するようになっている。
【0025】
この搬送台22には、ガラス基板2がその裏面2bを上側にして戴置され、ガラス基板2を、Y矢印方向及び反Y矢印方向に搬送するようになっている。そして、搬送台22によって搬送されるガラス基板2は、その裏面2bのパターン形成領域Z1にドットパターン10を形成するための液滴31,32が吐出されるようになっている。
【0026】
支持台21には門形の支持フレーム23が、Y矢印方向(反Y矢印方向)に移動する搬送台22を跨ぐように立設されている。支持フレーム23は、X矢印方向に沿って、支持台21に架設されている。この支持フレーム23には、X矢印方向に延びるガイドレール24が配設されている。
【0027】
ガイドレール24には、キャリッジ25が摺動可能に設けられている。このキャリッジ25は、X軸駆動機構により、ガイドレール24に沿って往復移動可能になっている。
またキャリッジ25には、液滴吐出ヘッド26が一体に設けられている。図7は、液滴吐出ヘッド26の下面を上方に向けた場合の斜視図を示す。液滴吐出ヘッド26は、その下面にノズルプレート27を備え、ノズルプレート27には、本実施形態ではドットパターン10及び第3保護用ドットDP3を形成するための16個の第1ノズル28がX矢印方向に一列となって等間隔に貫通形成されている。また、ノズルプレート27には、本実施形態では16個の第1及び第2保護用ドットDP1,DP2を形成するための第2ノズル29がX矢印方向に一列となって等間隔に貫通形成されている。16個の第1ノズル28からなる第1ノズル列と16個の第2ノズル29からなる第2ノズル列は、併設されていて、両ノズル列の各ノズル間の間隔は共に同じになるように形成されている。
【0028】
さらに、液滴吐出ヘッド26は、第1及び第2ノズル28,29に対応して圧電素子42(図9参照)がそれぞれ備えられ、その圧電素子に対して印加電圧を制御ことにより、液滴吐出ヘッド26内に一時貯留されている各機能液をそれぞれ液滴31,32にして吐出するようになっている。つまり、液滴吐出ヘッド26は、マンガン微粒子を含む機能液と、ドットDと認識しない微粒子を含む機能液を貯留している。そして、図8に示すように、第1ノズル列の各第1ノズル28からはマンガン微粒子を含む機能液の液滴31が吐出される。また、第2ノズル列の各第2ノズル29からはドットDと認識しない微粒子を含む機能液の液滴32が吐出される。
【0029】
次に、上記のように構成した液滴吐出装置20の電気的構成を図9に従って説明する。
図9において、制御部40は、CPU、RAM、ROM等を備え、ROM等に格納され
た制御プログラム、識別コード(二次元コード)作成プログラムに従って、搬送台22を移動させてガラス基板2の搬送処理動作及び液滴吐出ヘッド26(圧電素子42)を駆動させて液滴吐出処理動作を行う。また、ROMには、ガラス基板2に二次元コードを作成するためのビットマップデータBMDが予め格納されている。このビットマップデータBMDは、製造番号、ロット番号等の文字列、数字列等からなる各識別データを、各識別データ毎に公知の方法で2次元コード(ドットパターン10)化し、さらにビットマップ化した(16行×16列のセルSからなるパターン形成領域Z1中のどのセルS(黒セルS1)にドットDを形成するための液滴31をどのノズルを使ってどのタイミングで吐出させるかを決定する)データである。
【0030】
尚、このビットマップデータBMDには、各ドットパターン10毎にパターン形成領域Z1内に点在する白セルS0が複数連続している複数の空間中のどの空間に対して第1保護用ドットDP1を形成するための液滴32を吐出させるかを決定するデータも一緒に記憶されている。さらに、このビットマップデータには、本実施形態では、一義的に決まった位置に形成される第2保護用ドットDP2及び第3保護用ドットDP3を形成するための液滴31,32を吐出させるかを決定するデータも一緒に記憶させている。
【0031】
制御部40は、ノズル駆動回路41が接続され、ノズル駆動回路41にノズル駆動信号を出力する。ノズル駆動回路41は、制御部40からのノズル駆動信号に基づいて、液滴吐出ヘッド26に設けた各圧電素子42のうち、ノズル駆動信号に応じた圧電素子42を通電して駆動させる。そして、その圧電素子42に対応する各ノズル28,29から液滴31,32をガラス基板2に向かって吐出させる。
【0032】
また、制御部40は、X軸モータ駆動回路43が接続され、X軸モータ駆動回路43にX軸モータ駆動制御信号を出力するようになっている。X軸モータ駆動回路43は、制御部40からのX軸モータ駆動制御信号に応答して、前記キャリッジ25を往復移動させるX軸駆動機構中のX軸モータMXを正転又は逆転させるようになっている。そして、例えば、X軸モータMXを正転させると、キャリッジ25はX矢印方向に移動し、逆転させるとキャリッジ25は反X矢印方向に移動するようになっている。
【0033】
また、制御部40は、Y軸モータ駆動回路44が接続され、Y軸モータ駆動回路44にY軸モータ駆動制御信号を出力するようになっている。Y軸モータ駆動回路44は、制御部40からのY軸モータ駆動制御信号に応答して、前記搬送台22を往復移動させるY軸駆動機構中のY軸モータMYを正転又は逆転させるようになっている。例えば、Y軸モータMYを正転させると、搬送台22はY矢印方向に移動し、逆転させると搬送台22は反Y矢印方向に移動する。
【0034】
さらに、制御部40には、基板検出装置45が接続されている。基板検出装置45は、ガラス基板2の端縁を検出し、制御部40によって吐出ヘッド26の直下を通過するガラス基板2の位置を算出する際に利用される。
【0035】
また、制御部40は、X軸モータ回転検出器46が接続され、X軸モータ回転検出器46からの検出信号が入力される。制御部40は、この検出信号に基づいて、X軸モータMXの回転方向及び回転量を検出し、液滴吐出ヘッド26(キャリッジ25)のX矢印方向の移動量と、移動方向とを演算するようになっている。また、制御部40は、Y軸モータ回転検出器47が接続され、Y軸モータ回転検出器47からの検出信号が入力される。制御部40は、Y軸モータ回転検出器47からの検出信号に基づいて、Y軸モータMYの回転方向及び回転量を検出し、液滴吐出ヘッド26に対するガラス基板2のY矢印方向の移動方向及び移動量を演算する。
【0036】
また、制御部40には、入力装置48が接続されている。入力装置48は、起動スイッチ、停止スイッチ等の操作スイッチを有し、各スイッチの操作による操作信号を制御部40に出力する。
【0037】
次に、液滴吐出装置20を使ってドットパターン10をガラス基板2の裏面2bに形成する方法について説明する。
まず、図5及び図6に示すように、ガラス基板2を、裏面2bが上側になるように搬送台22に配置固定する。このとき、ガラス基板2の反Y矢印側の辺は、支持フレーム23よりY矢印側に配置されている。また、キャリッジ25(液滴吐出ヘッド26)は、ガラス基板2が反Y矢印方向に移動したとき、その直下を、ドットパターン10を形成する位置(パターン形成領域Z1)が通過する位置にセットされている。
【0038】
この状態から、制御部40は、Y軸モータMYを駆動制御して搬送台22を介してガラス基板2を反Y矢印方向に搬送させる。やがて、基板検出装置45がガラス基板2の反Y矢印側の端縁を検出すると、制御部40は、コード作成プログラムに従って、ROMに格納した当該ガラス基板2に対するビットマップデータを読み出す。そして、このビットマップデータを、液滴吐出ヘッド26の第1及び第2ノズル28,29を駆動させるための液滴吐出データに変換して吐出タイミングを待つ。
【0039】
制御部40は、Y軸モータ回転検出器47からの検出信号に基づいてガラス基板2がドットパターン10を形成する位置まで搬送されたかどうか演算する。そして、ガラス基板2がドットパターン10を形成する位置まで搬送されると、制御部40は、ガラス基板2を反Y矢印方向に移動させながら、作成した液滴吐出データとその吐出タイミングに基づいてノズル駆動回路41にノズル駆動信号を出力する。
【0040】
詳述すると、液滴吐出ヘッド26の各ノズル28,29に対応する圧電素子42を液滴吐出データと吐出タイミングに基づいて順次駆動する。このとき、ガラス基板2には、ドットパターン10を構成するドットD及び第1〜第3保護用ドットDP1〜DP3を形成するための液滴31,32が吐出される。なお、圧電素子42は、第1〜第3保護用ドットDP1〜DP 3を形成するための液滴31,32を吐出させるとき、第1〜第3保護用ドット
DP1〜DP3を形成するために吐出される液滴31,32の吐出量が、ドットDを形成するために吐出される液滴31の吐出量より多く吐出するように、駆動制御されるようになっている。
【0041】
そして、パターン形成領域Z1にドットDを形成するための液滴31と第1保護用ドットDP1を形成するための液滴32が吐出され、余白領域Z2に第2保護用ドットDP2を形成するための液滴32が吐出され、余白領域Z2の外に第3保護用ドットDP3を形成するための液滴32が吐出されると、液滴吐出装置20によるドットパターン10形成のための液滴吐出動作を終了する。そして、制御部40は、Y軸モータMYを制御して、ガラス基板2を液滴吐出ヘッド26の下方位置から退出させる。
【0042】
ドットパターン10を形成作成するための液滴吐出工程が終了したガラス基板2は、固化処理される。すなわち、ガラス基板2は、加熱工程に移る。これにより、ガラス基板2に吐出されたドットD及び第1〜第3保護用ドットDP1〜DP3を形成するための液滴31,32の分散媒が蒸発し、液滴31,32に含まれていた微粒子がガラス基板2に固着される。ガラス基板2に固着された各微粒子は、焼結されて互いに接合し硬化状態となる。そして、図3に示すように、半球状のドットD及び第1〜第3保護用ドットDP1〜DP3がガラス基板2上に形成される。このとき、第1〜第3保護用ドットDP1〜DP3は、ドットDより突出して形成される。つまり、ガラス基板2に、ドットパターン10とともに第1〜第3保護用ドットDP1〜DP3が形成される。
【0043】
次に本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態では、ドットパターン10を形成するパターン形成領域Z1に、ドットDより高く、しかも、コードリーダがドットDと認識しない第1保護用ドットDP1を形成した。従って、例えば、ガラス基板2に形成したドットパターン10が何かに物理的接触する前に、第1保護用ドットDP1が接触するので、ドットパターン10を構成するドットDが擦れて損傷することが防止される。その結果、コードリーダは確実にドットパターン10(識別コード)を読み取ることができる。
【0044】
(2)本実施形態では、パターン形成領域Z1の外側の余白領域Z2に、ドットDより高く、しかも、コードリーダがドットDと認識しない第2保護用ドットDP2を形成した。従って、例えば、ガラス基板2に形成したドットパターン10が何かに物理的接触する前に、第2保護用ドットDP2が接触するので、ドットパターン10を構成するドットDが擦れて損傷することが防止される。その結果、コードリーダは確実にドットパターン10(識別コード)を読み取ることができる。
【0045】
(3)本実施形態では、余白領域Z2に隣接する外側に、ドットDより高い第3保護用ドットDP3を形成した。従って、例えば、ガラス基板2に形成したドットパターン10が何かに物理的接触する前に、第3保護用ドットDP3が接触するので、ドットパターン10を構成するドットDが擦れて損傷することが防止される。その結果、コードリーダは確実にドットパターン10(識別コード)を読み取ることができる。
【0046】
(4)本実施形態では、第1保護用ドットDP1、第2保護用ドットDP2及び第3保護用ドットDP3を、ドットDとともに液滴吐出装置20を使って形成したため、簡単かつ短時間で精度の高く損傷し難いドットパターン10を形成することができる。
【0047】
(5)本実施形態では、ドットDをマンガンで形成した。従って、導電性の低いマンガンでドットDを形成したため、万が一、ドットDが擦れて剥がれて他の装置等に付着しても、装置の故障等を招く原因となることを防止できる。また、製造工程においてガラス基板2に形成された絶縁膜中にマンガンが微量混入するようなことがあっても、絶縁膜の絶縁性を保持することができる。
【0048】
また、液滴31に含まれる微粒子が導電率の低いマンガンの微粒子であるため、液滴31を吐出する際に液滴31のミストが電子装置等に付着しても、装置の故障等を招く原因となることを防止できる。
【0049】
(6)上記実施形態では、液滴吐出装置20を使用して、ドットパターン10を形成するようにした。このため、レーザ照射、研磨等による刻印のように、ガラス基板2を変形させることなく、耐久性の高いドットパターン10を作成することができる。従って、表示モジュール1の設計の自由度を妨げることなく、パターン形成領域Z1(ドットパターン10)の形成可能な領域を拡大することができる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、ドットパターン10とともに、第1保護用ドットDP1、第2保護用ドットDP2及び第3保護用ドットDP3を形成した。これを、第1保護用ドットDP1、第2保護用ドットDP2及び第3保護用ドットDP3のうち少なくともいずれか1つを形成して実施してもよい。
【0051】
○上記実施形態では、ドットDをマンガンで形成したが、コードリーダで読み取ることができるものであるならば、その他金属、顔料で形成して実施してもよい。
○上記実施形態では、第1保護用ドットDP1、第2保護用ドットDP2及び第3保護用ドットDP3は、同じ高さで形成したが、ドットDより高ければそれぞれ相違させて実施してもよい。
【0052】
○上記実施形態では、第1保護用ドットDP1及び第2保護用ドットDP2は、コードリーダによってドットDと認識しない色で、すなわち、ドットDを形成するマンガン微粒子と異なる色に微粒子を含んだ機能液を吐出して形成した。これを、樹脂材料で透明な第1保護用ドットDP1及び第2保護用ドットDP2で実施してもよい。この場合、透明な樹脂材料で形成してもよい。
【0053】
また、第3保護用ドットDP3は、ドットDと同じ機能液で同じ色に形成した。これを異なる色で形成したり、透明にして実施してもよい。
さらに、コードリードで認識されない第1保護用ドットDP1、第2保護用ドットDP2及び第3保護用ドットDP3を、非導電性の材質で形成してもよい。従って、例えば、ガラス基板2に形成したドットパターン10が何かに物理的接触する前に、第1〜第3保護用ドットDP1,DP2,DP3が接触して、第1〜第3保護用ドットDP1,DP2,DP3が擦れてその破片や微粒子がその他の製造工程において製品の表面に付着しても、表面の電気的絶縁性が保持される。
【0054】
○上記実施形態では、パターン形成要素を半球状のドットDで具体化したが、その形状は限定されるものではなく、例えば、その平面形状が楕円形のドットであったり、バーコードを構成するバーのように線状であったりしてもよい。同様に、保護要素を半球状の第1保護用ドットDP1及び第2保護用ドットDP2で具体化したが、その形状は限定されるものではなく、例えば、その平面形状が楕円形のドットであったり、バーコードを構成するバーのように線状であったりしてもよい。
【0055】
○上記実施形態では、パターンは2次元コードの識別コードであったが、これに限定されるものではなく、例えばバーコードであってもよい。さらに、パターンは、文字、数字、記号等であってもよい。
【0056】
○上記実施形態では、ドットパターン10をガラス基板2に形成したが、これを、シリコンウェハ、樹脂フィルム、金属板等でもよい。
○上記実施形態では、液晶表示モジュール1に具体化した。これに限らず、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示装置の表示モジュールであってもよく、あるいは平面状の電子放出素子を備え、同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型装置(FEDやSED等)を備えた表示モジュールであってもよい。また、ドットパターン10が形成されたガラス基板2等は、これらの表示装置のみでなく、他の電子機器に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】液晶表示装置の液晶表示モジュールの正面図。
【図2】液晶表示モジュールの裏面に形成されたドットパターンの正面図。
【図3】液晶表示モジュールの裏面に形成されたドットパターンの側面図。
【図4】ドットパターンの構成を説明するための説明図。
【図5】本実施形態の液滴吐出装置の要部正面図。
【図6】同液滴吐出装置の平面図。
【図7】液滴吐出ヘッドを説明するための斜視図。
【図8】液滴吐出ヘッドの第1及び第2ノズルの関係を示す要部側面図。
【図9】液滴吐出装置の電気的構成を説明するための電気ブロック回路図。
【符号の説明】
【0058】
1…表示モジュール、2…基板又は表示用基板としてのガラス基板、10…パターンとしてのドットパターン、20…液滴吐出装置、26…液滴吐出ヘッド、28…液滴吐出ノズルとしての第1ノズル、28…液滴吐出ノズルとしての第2ノズル、31…液状体又は保護用液状体としての液滴、32…保護用液状体としての液滴、40…制御部、42…圧電素子、Z1…パターン形成領域、Z2…余白領域、S…セル、S…黒セル、S0…非形成領域としての白セル、D…パターン形成要素としてのドット、DP1…保護要素としての第1保護用ドット、DP2…保護要素としての第2保護用ドット、DP3…保護要素としての第3保護用ドット、h1,h2,h3,h4…高さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成され、所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成させるパターン形成要素を、前記基板に応じて配列形成されるパターンにおいて、
前記液状体が吐出されない前記パターン形成要素の非形成領域又は前記基板上のパターン形成領域の外に、前記基板からの高さが前記パターン形成要素より高く、しかも前記パターン形成要素とは認識されない保護要素を形成したことを特徴とするパターン。
【請求項2】
請求項1に記載のパターンにおいて、
前記保護要素は、液滴吐出装置から保護用液状体を、前記非形成領域又は前記基板上の前記パターン形成領域の外に、吐出し形成したことを特徴とするパターン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパターンにおいて、
前記保護要素は、前記パターン形成要素を認識する認識手段が前記パターン形成要素と認識されない色又は透明であることを特徴とするパターン。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターンにおいて、
前記保護要素は、非導電性の材質で形成されていることを特徴とするパターン。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターンにおいて、
前記パターンは、識別コードであることを特徴とするパターン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターンにおいて、
前記基板は、表示装置の表示用基板であることを特徴とするパターン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−192322(P2006−192322A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3428(P2005−3428)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】