説明

パネル型スピーカ用エキサイタ

【課題】 給電手段のバネの接点部の消耗を防止する。
【解決手段】 パネル型スピーカ用エキサイタ10はバイモルフ1を保持しているバイモルフ保持部2に給電用のU字状バネ6が挿入されている。バネ6は先端部に近いところに2つの接点部6aを有し、2つの先端部にはT字形状の案内部6bが形成されている。バネ保持部7にはテーパー形状の斜面部7aが形成されており、バネ6の案内部6bは案内受部である斜面部7aに乗り上げて互いに開く。バネ保持部7には逃げ部8が形成されており、ここではバネ6の案内部6bが接触しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話等の小型携帯機器に用いるパネル型スピーカ用エキサイタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子は圧電効果を利用した受動素子の一つであり、例えばパネル型スピーカ用のエキサイタとして用いられている。エキサイタへ給電するためにはバネが用いられ、このバネが圧電素子であるバイモルフの両面の電極に接続され、更に外部へ取り出す手段として用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図9はこのような従来のパネル型スピーカ用エキサイタを示す平面図である。図10は図9のA−A断面を示す断面図である。図9において、50はパネル型スピーカ用のエキサイタを示している。1は金属板の表裏両面に給電を要する圧電素子等から成る圧電体層を形成したバイモルフを示している。51はバイモルフ1を保持する保持部を示している。3は駆動信号の一方の入力端子を示している。56は先端に2つの接点部56aを有する断面U字状の二股の給電用バネを示しており、バネ56には駆動信号の他方の入力端子としてのタブ56bが形成されている。57は保持部51に形成されたバネ保持部を示しており、バネ保持部57においてバイモルフ1の電極面1aがバネ56と接触する。バイモルフ1には信号入力端子3及びタブ56bを通して交流信号が供給されると、圧電体層がバイモルフ1の長手方向に伸縮して撓み信号が励振される。
【0004】
ここで、バネ56の組立状態について説明する。図11はバネの組立前の状態を示すエキサイタ50の断面図である。図11において、バネ56を挿入するときに先端部はバイモルフ1の先端部の形状によって開き、接点部56aはバイモルフ1の電極面1aに沿って摺動し、図10の位置に固定される。
【特許文献1】特開平6−338752号公報(図1−2、段落番号0013−016)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このバネ56をバネ保持部57のバイモルフ1に挿入する際に、バネ56の接点部56aがバイモルフ1の表面を摺動するために、その接点部56aが消耗して接点としての性能を損なう可能性がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、給電手段のバネの接点部が消耗しないパネル型スピーカ用エキサイタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するための本発明の手段は、両面に給電を要する圧電素子等からなるバイモルフを用い、該バイモルフを固定するための樹脂成形された保持部と該保持部に形成されたバネ保持部を持ち、断面U字状の二股の板バネから成る給電用バネをこのバネ保持部に挿入する構造から成るパネル型スピーカ用エキサイタにおいて、前記バネの先端に案内部を設け、前記バネ保持部に前記案内部を受ける案内受部を設け、前記バネの挿入開始段階においては、前記案内部と前記案内受部とが接触して前記バネが開き、前記バネの挿入終了段階においては、前記案内部と前記案内受部とが接触しないで前記バネが閉じることを特徴とする。
【0008】
また、前記バネの前記案内部は前記バネの先端にT字状に形成されており、前記案内部を受ける案内受部はバネ挿入方向に沿って設けた前記バネの案内部と接触する斜面部並びにこの斜面部に連続する平坦部並びに前記バネの案内部と接触しない逃げ部からなることを特徴とする。
【0009】
また、前記バネの前記案内部は中央に長穴又は凹部を持つ板バネの先端に形成されており、前記案内部を受ける案内受部はバネ挿入方向に沿って設けた斜面部並びに前記長穴又は凹部と嵌合する突起部並びに前記バネの案内部と接触しない逃げ部からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、両面に給電を要する圧電素子等からなるバイモルフを用い、該バイモルフを固定するための樹脂成形された保持部と該保持部に形成されたバネ保持部を持ち、断面U字状の二股の板バネから成る給電用バネをこのバネ保持部に挿入する構造から成るパネル型スピーカ用エキサイタにおいて、前記バネの先端に案内部を設け、前記バネ保持部に前記案内部を受ける案内受部を設け、前記バネの挿入開始段階においては、前記案内部と前記案内受部とが接触して前記バネが開き、前記バネの挿入終了段階においては、前記案内部と前記案内受部とが接触しないで前記バネが閉じるので、バネ挿入中においては、接点部は開いていて、挿入の完結時には接点部が初めて電極面に接触するために、バネの接点部が摩耗することがない。従って接点としての性能を損なうことのないエキサイタが得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施の形態であるパネル型スピーカ用エキサイタについて図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態であるパネル型スピーカ用エキサイタを示す平面図である。図2は図1のA−A断面を示す断面図である。図3及び図4は給電用バネを組み立てる動作を示す断面図である。
【0012】
まず、本発明の第1の実施の形態であるパネル型スピーカ用エキサイタの構成について説明する。図1において、10はパネル型スピーカ用エキサイタを示している。2はバイモルフ1を保持している樹脂成形されたバイモルフ保持部を示している。6は断面U字状の二股の板バネから成る給電用のバネを示している。バネ6は先端部に近いところに2つの互いに対向する接点部6aを有し、2つの先端部にはT字形状の案内部6bが形成されている。7はバネ6を組み込み保持するバネ保持部を示しており、バネ保持部7にはバネ6の進入方向に沿って案内部6bを受ける案内受部としてのテーパー形状の斜面部7aと斜面部7aに続く平坦部7b並びに後述の逃げ部が形成されている。8はバネ保持部7に形成された案内部6bを逃がす逃げ部を示しており、逃げ部8には案内部6bが接触しない。その他の構成は従来のエキサイタ50と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号と名称とを付して詳細な説明を省略する。
【0013】
次に、図3及び図4によりバネを組み立てる順序を説明する。バネ6をパネル型スピーカ10のバネ保持部7に挿入する際、挿入の初期段階においては、バネ6と保持部2に形成したバネ保持部7の斜面部7aに沿ってバネ6の案内部6bが摺動してバネ6を開き、挿入中には案内部6bはバネ保持部7の平担部7bを摺動しており接点部6aはバイモルフ1に接触しない。挿入の最終段階においては、案内部6bが逃げ部8に入り込むため、バネ6は自由となり付勢力が働いて閉じることによって接点部6aがバイモルフ1に接触する。
【0014】
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について説明する。バネの挿入中においては接点部6aは開いており、挿入の完結時に接点部6aが初めてバイモルフ1に接触するために、接点部6aが挿入のストローク中に摩耗することがない。従って接点としての性能を損なうことのないエキサイタが得られる。
【0015】
次に、本発明の第2の実施の形態であるパネル型スピーカ用エキサイタについて図面を参照して詳細に説明する。図5は本発明の第2の実施の形態であるパネル型スピーカ用エキサイタを示す断面図である。図6は図5のA−A断面を示す断面図である。図7及び図8は給電用バネを組み立てる動作を示す断面図である。
【0016】
図5において、20は本発明の第2の実施の形態であるパネル型スピーカ用エキサイタを示している。12はバイモルフ1の樹脂成形された保持部を示している。16は給電用バネを示している。バネ16には2つの板バネ部が断面U字状に形成されており、板バネ部は接点部16aにおいて互いに最も近接しており、接点部16aから先端部にかけて互いに開いている。板バネ部の中央に接点部16aを含み、先端の案内部16bを除いて長穴16cが形成されている。17はバイモルフ1の保持部12に形成されたバネ保持部を示している。バネ保持部17にはバネ16の長穴16cの幅より狭い幅を有する案内部16bを受ける案内受部としての突起部17c及び逃げ部8が形成されている。突起部17cはバネ16の進入方向に沿ってテーパー形状の斜面部17a並びに斜面部17aに続く平坦部17bから成っている。その他の構成は第1の実施の形態であるエキサイタ10と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号と名称とを付して詳細な説明を省略する。
【0017】
次に、図7及び図8により給電用バネを組み立てる順序を説明する。バネ16を挿入する際、挿入の初期段階においては、バネ16の案内部16bは突起部17cに乗り上げながら摺動するので、接点部16aはバイモルフ1に接触しない。挿入の最終段階において案内部16bが突起部17cを越えて逃げ部8に入り込み、突起部17cが長穴16cに入るので、バネ16は自由となり付勢力が働いて閉じることにより接点部16aがバイモルフ1に接触する。
【0018】
次に、本発明の第2の実施の形態の効果について説明する。バネ16の挿入中においては、接点部16aは開いていて、挿入の完結時に接点部16aが初めてバイモルフ1に接触するために、バネ16の接点部16aが摩耗することがない。従って接点としての性能を損なうことのないエキサイタが得られる。なお、長穴16cは突起部17cが収まるような凹部であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のパネル型スピーカ用エキサイタは、携帯電話、ノート型PC、PDA等に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるパネル型スピーカ用エキサイタを示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態であるバネの組立順序を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態であるバネの組立順序を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態であるパネル型スピーカ用エキサイタを示す平面図である。
【図6】図5のA−A断面を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態であるバネの組立順序を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態であるバネの組立順序を示す断面図である。
【図9】従来のパネル型スピーカ用エキサイタを示す平面図である。
【図10】図9のA−A断面を示す断面図である。
【図11】従来のバネの組立順序を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 バイモルフ
2、12 保持部
6、16 給電用バネ
6a、16a 接点部
6b、16b 案内部
7、17 バネ保持部
7a、17a 斜面部
7b、17b 平坦部
8 逃げ部
10、20 エキサイタ
16c 長穴
17c 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に給電を要する圧電素子等からなるバイモルフを用い、該バイモルフを固定するための樹脂成形された保持部と該保持部に形成されたバネ保持部を持ち、断面U字状の二股の板バネから成る給電用バネをこのバネ保持部に挿入する構造から成るパネル型スピーカ用エキサイタにおいて、前記バネの先端に案内部を設け、前記バネ保持部に前記案内部を受ける案内受部を設け、前記バネの挿入開始段階においては、前記案内部と前記案内受部とが接触して前記バネが開き、前記バネの挿入終了段階においては、前記案内部と前記案内受部とが接触しないで前記バネが閉じることを特徴とするパネル型スピーカ用エキサイタ。
【請求項2】
前記バネの前記案内部は前記バネの先端にT字状に形成されており、前記案内部を受ける案内受部はバネ挿入方向に沿って設けた前記バネの案内部と接触する斜面部並びにこの斜面部に連続する平坦部並びに前記バネの案内部と接触しない逃げ部からなることを特徴とする請求項1記載のパネル型スピーカ用エキサイタ。
【請求項3】
前記バネの前記案内部は中央に長穴又は凹部を持つ板バネの先端に形成されており、前記案内部を受ける案内受部はバネ挿入方向に沿って設けた斜面部並びに前記長穴又は凹部と嵌合する突起部並びに前記バネの案内部と接触しない逃げ部からなることを特徴とする請求項1記載のパネル型スピーカ用エキサイタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−19672(P2007−19672A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196892(P2005−196892)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】