パノラマ・ディスプレイのための広角スキャナ
広角度表示システム(10)は、リニア・アレイ・プロジェクタ・プロジェクタ(12)と、湾曲表示面(14)と、2つの側面を有する実質的に平坦な走査ミラー(16)とを有する。プロジェクタは、映像を光軸(26)に沿って走査ミラーに投影するように構成されている。走査ミラーは、実質的にこのミラーの面内にある軸(18)を中心にして連続的に回転し、表示曲面の上に映像を反射させる
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、パノラマ式の視覚的ディスプレイ・システムに関する。更に詳しくは、本発明は、単一のプロジェクタを用いて非常に広角のディスプレイを提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パノラマ・ディスプレイ(panoramic display)とは、水平方向の寸法が垂直方向の寸法よりもはるかに大きく、少なくとも部分的には視点の周囲を水平方向に包囲するものであると考えられる。パノラマ・ディスプレイ・システムは、多くの応用例において望ましい。幅の広い視野を必要とする特定の応用例として、フライト・シミュレーション及びトレーニングがある。これまでは、パノラマ・フライト・シミュレータのディスプレイ・システムは、典型的には、複数のプロジェクタを用い、その別個の映像(イメージ)をエッジ部分でモザイク状に合成することにより、外見的には連続した幅の広い視野を生じさせていた。3個から10個程度あるいは更に多くの個別のプロジェクタが用いられるのが一般的であり、64個以上の個別のプロジェクタを有する複数プロジェクタ型のディスプレイが、非常に幅の広い視野にわたる高解像度の映像に対する必要性を満たすために提案されている。
【0003】
そのようなディスプレイの中で、2つのタイプがシミュレータ及びトレーニングにおいて頻繁に用いられてきた。図13に示されている第1のタイプは、パノラマ式の実映像ディスプレイ・システム100で構成され、投影された実映像102が、この場合はドームである湾曲した前方映写スクリーン108の中心近くに位置する視点106から観察者によって見られることになる。このようなシステムでは、複数のプロジェクタ110が、見る者の上方及び/又は背後に配置されるのが典型的であり、視野の外部に配置されるのが好ましい。図示されているように、非常に大きな視野のために、ほぼ完全なドーム式のディスプレイ・ディスプレイ・スクリーンが用いられる。しかし、視野が拡大するにつれて、一様の照明及び解像度を提供しながら依然として視野から隠されている位置にプロジェクタを配置することが、ますます困難になる。更に、隣接するプロジェクタからの映像のエッジを合成する現行の方法は、映像の間の継ぎ目(シーム)を隠すことに関して必ずしも有効ではないし、複数のプロジェクタからの隣接する映像の色を整合させるのは非常に困難である。結局、一般的な結果としては、映像の部分ごとに継ぎ目が目立ち色が不統一な複合映像が得られるのである。
【0004】
もう1つの頻繁に用いられるディスプレイのタイプに、図14及び図15に示されている広角の仮想ディスプレイ112がある。このタイプのディスプレイは、民間の航空シミュレータのために頻繁に用いられる。このタイプのディスプレイでは、観察者は、背面投影スクリーン116に投影された映像の反射を提供する凹型ミラー114を見る。コリメート・ミラー(平行光線ミラー、collimating mirror)の目的は、複数のプロジェクタ118によって実映像が投影されることである。このシステムでは、プロジェクタと視点120(シミュレータ・コックピット122の内部にある)との両方が、スクリーンの曲率中心126とミラーの曲率中心124とからずれている(オフセットしている)。
【0005】
図14及び図15に示されている幾何学的関係は、一般的にはプロジェクタに関し、特に複数のプロジェクタを有するパノラマ・ディスプレイに関する問題を生じさせる。図15に図解されているように、空間内には単一の点130があり、この点は、最大量の光を視点の位置120に向けることに関して光学投影システムにとって好適である。この点からすべての光が下向きに拡がって映写スクリーン116のすべての領域に投影されるのが理想的である。しかし、複数のプロジェクタを空間内の1つの点に配置することは不可能である。更に、通常用いられるCRTプロジェクタに必要なf数(f-number)が小さなレンズは、好適位置130への配置を許容するのに十分な焦点深度を有さない。また、これらの位置における大型のプロジェクタは、モーション・ベースを用いるトレーニングのための応用例では、問題である。スクリーンの上方の高い位置に質量の大きな複数のプロジェクタを配置すれば、シミュレータやモーション・システムを組み入れているそれ以外の応用例にとっては、受け入れることが不可能なほど大きな慣性モーメントを生じさせる。このような理由から、図14に示されているような現行の広角仮想システムでは、理想的な位置よりも低く後方にある妥協的な位置にプロジェクタを配置するのである。
【0006】
レーザ・プロジェクタは、スクリーンの相当上方にある理想位置から投影を行うのに十分な焦点深度を有することができるが、スクリーンの垂直軸に対して相当に下向きに傾斜して走査されなければならない。これまでレーザ・プロジェクタと共に用いられてきたスキャナのタイプでは、広角の仮想ディスプレイとパノラマ式の実映像表示との両方に要求される広角で傾斜した走査が不可能である。
【0007】
パノラマ・スキャナが、直線状(リニア)の検出器アレイのために開発されている。従来のシステムでは、センサ又は光変調器の直線状の(又は二次元的な)アレイの広角走査は、センサの軸(又は平面)に垂直な回転軸に対して45度のミラー又はプリズムを用いてなされるのが通常である。そのような構成では、投影された又は感知された映像は、走査要素の各回転に対して360度回転するので、そのようなスキャナは、スキャナの半分の速度で回転する2倍反射ミラー・システム又はプリズムを組み込み映像を適切な向き修復するのが通常である。これらのシステムは、完全な360度の走査を提供するが、走査速度の半分で連続的に回転する映像デローテータ(derotator)を必要とする。そのようなシステムでは、複数の反射にわたる正確な光学的アライメントを維持しながら、異なる複数の速度で回転する2つの要素を動的に同期させることが必要となるので、作成コストが高く、精度の問題があり、重く、バランスをとるのが困難である。結果的に、そのようなシステムは、高速の走査システムでは、ほとんど用いられない。
【0008】
従来は、レーザ・プロジェクタは、小さな角度にわたって単一の光ビームを走査し、同時に、それを一度に1ピクセルずつ変調して投影されるラスタを生じさせることしかできなかった。単一のビームをラスタ形式に走査するレーザ・プロジェクタには多くの種類があり、例えば、高速軸には回転する多角形ホイールを用い、低速軸には検流計(ガルバノメータ)を用いるものがある。このタイプのプロジェクタは、映像サイズ及び映写距離の点で制約があり、従って、狭い映像を生じる。これらのタイプのプロジェクタは、ときには、照射距離を短縮するために拡大レンズを用いることがある。しかし、この方法はパノラマ・ディスプレイには適さない。というのは、それでは、ピクセルが水平及び垂直の両方向に拡大されるからである。更に、帯域の制約のために、単一のレーザ・ビームを変調する単一のプロジェクタからの高解像度パノラマ・ディスプレイの開発が、妨げられてきた。
【0009】
リニア・アレイを走査して映像を形成するある1つの方法では、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いて、リニア・アレイをフラット・スクリーン上の狭い視野に投影する。しかし、不運にも、単にGLVを用いるだけでは、湾曲したスクリーンの上にパノラマ・ディスプレイを生じさせるという問題の解決にはならない。広角の映像投影のための従来のシステムは、また、ライン・スキャナを組み入れたヘッド・マウント・レーザ・プロジェクタを含む。このタイプのシステムは、比較的制約された視野にわたり一次元の映像を走査する。オフセットが存在しないために、スキャナは、見る位置(例えば、ヘルメットの上に)設置されなければならない。
【発明の開示】
【0010】
一様な表示により適切に最適化された単一の投影位置から広い視野を投影可能であり、的確な色の整合を提供し、継ぎ目を生じさせないような直接視野ディスプレイ・システム(direct view display system)を開発することに意味があることが認識されてきている。
【0011】
本発明は、リニア・アレイ・プロジェクタと湾曲した表示面と実質的に平坦な走査ミラーとを含む広角表示システムを提供する。リニア・アレイ・プロジェクタは、光軸に沿った映像を走査ミラーに向けて投影する。走査ミラーは、実質的にこのミラーの面内にある軸を中心にして連続的に回転し、映像を表示表面の上に反射する。
【0012】
本発明の別の更に詳細な特徴によると、走査ミラーは、平行で対向する2つの反射側面を含み、プロジェクタのリフレッシュ・レートの半分で回転する。
【0013】
本発明の別の更に詳細な特徴によると、リニア・アレイ・プロジェクタは、ピクセルで構成される一連の直線群からなる映像を投影し、走査ミラーの回転軸は、ピクセルによって構成される直線群と平行である。走査ミラーは、ピクセルによって構成される直線群を、湾曲した表示表面の上に反射し、湾曲した表示表面の全体にわたって映像を走査する。
【0014】
本発明の別の実施例では、本発明による広角表示システムは、走査ミラーにおいて映像を投影することにより表示表面上の複合的なパノラマ・映像を生じさせる複数のリニア・アレイ・プロジェクタを備えていることがある。
【0015】
本発明の更に別の実施例では、本発明による広角表示システムは、垂直方向の複数の反射面を有し複数のリニア・アレイ・プロジェクタからの映像を反射する多角形型の走査ミラーを備えていることがある。
【0016】
本発明のこれ以外の特徴及び効果は、後述の詳細な説明から明らかになるはずである。なお、後述の詳細な説明では、添付の図面を参照しながら、本発明の特徴を、例を挙げることにより説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、図面に図解された実施例を参照し、具体的な表現を用いてそれらの実施例を説明する。しかし、そのような具体的表現によって発明の範囲を制限することは意図されていないことを理解すべきである。ここで説明する発明の特徴を変更及び修正すること、ここで説明する発明の原理を追加的に応用することは、この技術分野の当業者であり湖の出願の開示を有している者にとって可能であり、従って、本発明の技術範囲に含まれると考えるべきである。
【0018】
発明者たちは、観測者をパノラマ映像で包囲する新しいタイプのレーザ・スキャナを開発した。ここでの説明では、「パノラマ映像」及び「パノラマ・ディスプレイ」という用語は、水平方向の寸法が垂直方向の寸法よりもはるかに大きなディスプレイ又は映像を指すものとして用いられる。「水平方向」と「垂直方向」とは相対的な用語であることは明らかであろう。これらの用語は、地球の水平線に対する特定の関係を意味するものではなく、任意の直交する軸を意味する。水平方向に対する垂直方向の重要性は、以下の議論からより明らかになるはずである。
【0019】
直接視野ディスプレイ・システムのためには、共通の位置から広い視野を投影することが望ましいが、この共通の位置は、一様な表示のためにより適切に最適化されており、継ぎ目がなく的確な色の一様性を提供する。図13に示されているようなシステムでは、このような要件を満足する好適なプロジェクタ位置は、ドームのほぼ中心であるが、視点106よりも後方で上方となる。視点120がスクリーン及びミラーの光軸からずれている図14及び図15に示されているような広角仮想システムでも、類似のシステムが望ましい。
【0020】
本発明は、映像源としてリニア・アレイ空間光変調器によって生じるピクセルの垂直方向のコラムを投影することによって、これらの問題に対応する。ピクセルからなるこのコラムは、広角にわたって走査されてパノラマ式の視野を生じ、その際、スキャナは視点の上方かつ後方に配置されている。このようなオフセット式の幾何学的配置は、一般にプロジェクタに関する問題を生じさせ、特に複数のプロジェクタを用いるパノラマ・ディスプレイに関する問題を生じさせる。一般に、プロジェクタは、最良の明るさとコントラストとのためには、視点に近い位置に配置されるべきである。しかし、図13及び図14に示されているように、これは、プロジェクタが複数個用いられる場合には困難となる。本発明による広角スキャナが、これらの問題を解決する。
【0021】
図1及び図2には、発明者らが本発明に従って作成したパノラマ式の実映像ディスプレイ・システムの1つの実施例が示されている。このシステムは、リニア・アレイ・プロジェクタ12(例えば、GLVプロジェクタ)と、湾曲したディスプレイ・スクリーン14と、ミラーの平面内に回転軸18を有し平面状の(すなわち、実質的に平坦な)走査ミラー16とを備えている。湾曲したディスプレイ・スクリーンは、曲率軸すなわち曲率中心20を有する。回転軸は、曲率軸に平行であり、好ましくは同一線上にある。
【0022】
一次観測者位置又は視点22は走査ミラー16の下方にあり、ほぼ回転軸/曲率軸18/20の上にあり、スクリーン14の凹側を見ることになる。しかし、ディスプレイ・スクリーンは、背面投影スクリーンであることもあって、その場合、湾曲したスクリーンの凸側を見る二次観測者位置24を生じることになる。図1及び図2に示されたスクリーンは単一の軸の周囲で湾曲している(すなわち、スクリーンは円筒の一部を形成する)が、本発明のこの実施例は、図3及び図4に示されているように、二重湾曲スクリーン(すなわち、スクリーンは球の一部を形成する)と共に用いることもできる。
【0023】
リニア・アレイ・プロジェクタ12は、映像を、光軸26に沿って走査ミラー16の方向に投影し、走査ミラー16はその映像をスクリーン14の上に反射する。光軸は走査ミラーの回転軸18に対して斜めになっている。視点22を包囲する投影フィールドを走査するには、投影方向は、スキャナの回転軸に対して斜めの角度でなければならない。これは、走査ミラーからの光が連続的な視野を走査する際にプロジェクタの上に再び反射しないようにするために必要である。そうでなければ、プロジェクタの本体そのものが、スクリーンの一部の上に影を生じさせることがあり得る。これにより、スキャナが、パノラマ実映像ディスプレイの視点以外の位置に配置されることが可能になる。
【0024】
また、本発明は、これを、別個のデローテート要素(derotating element)なしでこれをなし得る。代わりに、本発明は、素長とは異なる速度で回転する第2のデローテート要素なしで、パノラマ型の視野にわたってリニア・アレイを走査する。プロジェクタは、ピクセル28の(水平ではなく)垂直ラインを連続的に走査することによって映像を生じる。「垂直」という指定は、走査ミラーの回転軸18の方向との関係におけるものであり、これは、上述したように、パノラマ映像の垂直方向の次元に対応する。投影されたピクセルのラインは、走査ミラーの回転軸に平行である。
【0025】
走査ミラー16は、回転軸18を中心にして連続的に回転し、映像をスクリーン14の上に反射するように構成されている。GLVプロジェクタ12によって生じる映像は、例えば60Hzのリフレッシュ・レートで連続的に走査される。それぞれのリフレッシュ・レートの間には、平坦な走査ミラーは半回転をして、映像の走査された垂直ライン28のそれぞれをスクリーンの上の適切な位置に反射して全体の映像を再生する。ミラーの角度方向の振動(スウィング)により、映像は、非常に幅広い弧にわたって投影されることが可能になり、結果的に広いパノラマ映像を生じる。ある実施例では、走査ミラーは2つの反射側面16a、16bを有し、リフレッシュ・レートの半分(すなわち30Hz)の速度で回転する。これが可能であるのは、ミラーのそれぞれの側面がプロジェクタの1リフレッシュ・サイクルの間にスクリーン全体で映像を走査して次のサイクルの間に遠ざかるからである。
【0026】
プロジェクタ12は、外部瞳孔(external pupil)を有する投影レンズ30を有し、ピクセル28の垂直コラムの映像を投影する。ここでの説明のために、この点での実映像は、スキャナが回転してスクリーン14上に二次元映像を形成する際に変調されうるピクセルの垂直コラムから構成されているものと仮定する。走査ミラー16は、好ましくは、外部瞳孔32の位置に配置されている。これがなされることにより、走査ミラー上に生じた映像は可能な限り小さくなり、従って、より小さなミラーを用いることが可能になる。投影レンズは、光軸26と走査ミラーの回転軸18との間に角度Φを生じるように向けられる。角度Φは、実映像ディスプレイ・システムに対する視点22に対して投影点(すなわち、投影レンズの位置)が適切なオフセットを生じるように選択される。Φ=55度の角度がこのシステムでは用いられた。ただし、他の角度を用いることもできる。
【0027】
走査ミラー16は、典型的には60Hzであるプロジェクタ12の映像更新速度に位相ロックされたサーボモータ(図示せず)によって連続的に駆動される主な走査機構である。ある実施例では、走査ミラー・アセンブリの連続的な360度の回転の中の110度がミラー・アセンブリのそれぞれの側に対して用いられ、ミラーのそれぞれの回転に対して見るためのスクリーン14上の視点22に対して連続的な220度の2つの走査を生じさせる。このためには、30Hz(1800RPM)という走査ミラーの回転速度が要求される。
【0028】
走査ミラー16が回転することにより、その回転とその幾何学的配置とにより、いくらかの技術的考察が生じる。これらのいくつかは、図7から図9に示されている。1つの考察は、ミラーの回転運動である。図9に示されているように、回転するミラーの上への投影された映像(ピクセルのライン)28の斜めの入射により、波線34で示されているように、投影された映像が回転するのが通常である。しかし、GLVによって形成された映像は本質的には厚さがゼロであるピクセルの垂直コラムであるから、ピクセルのラインが走査ミラーの回転軸18と平行であり、走査ミラーの回転軸と垂直のライン映像の構成要素が存在しない限りは、映像の回転は生じない。
【0029】
別の考察は、ミラーの厚さである。上述したように、走査ミラー・アセンブリ16は、2つの側面を有するミラーである。このミラーの厚さがゼロということはあり得ないのだから、それぞれの走査ミラーの表面は、図7及び図8に示されている通り、回転軸18からの小さなオフセット(ずれ)T(ミラーの厚さ全体の半分に等しい)を有する。このオフセットにより、映像は、走査ミラーが回転するにつれて水平及び垂直方向の両方で僅かに偏向される。図7に示されているように、走査ミラーのそれぞれのミラー表面16a、16bが回転軸から距離Tだけオフセットしている場合には、映像源は、ミラーが通常位置から回転するにつれて、ミラーを距離ΔTだけより近くで捕らえる。図8の側方図で見えるように、これにより、映像は、スクリーンの上方に距離ΔPだけ変位し、スクリーンの水平方向の中心の左右に変位する。発明者らは、様々な条件でΔTの大きさを計算し、それが、コリメート及び直接視野ディスプレイの両方の応用例について、十分に想定される誤差の範囲内であることを見いだした。
【0030】
回転軸からの僅かなオフセットにより、回転に伴い、映像の水平方向の変位が生じる。図7に示されているように、映像源は、回転軸から距離Tにおいてミラー表面16a、16bを捕らえ、ミラーが回転するにつれて、この距離はΔTだけ増加する。発明者らは、厚さが0.5”のミラーと、半径が48”であるスクリーンとについて、角度誤差Eは0.7度未満であることを見いだした。このレベルの誤差は、ほとんどの応用例において許容範囲内である。水平及び垂直の両方の方向の誤差は、前方視野においてゼロに設定することができ、+/90度の方位角で指示される値に向かって増加する。より大きな幾何学的精度が要求される場合には、映像生成器において非線形映像マッピング(NLIM)を実行することにより、得られる。
【0031】
投影スクリーンの上への入射角度が斜めであることにより、映像の頂部から底部への焦点ぼけが生じる。当業者であれば、これは、GLVのシャインプルーフ(scheimpflug)傾斜によって修正可能であることを認識するはずである。球形スクリーンへの映像のキーストーン及び投影は、映像生成器におけるNLIMによっても実行されうる。
【0032】
本発明による広角ディスプレイの追加的な実施例が、図3から図5に示されている。広角仮想ディスプレイ50(図14の構成に類似する)が、図3に示されている。同じタイプの投影システムを用いた広角実映像ディスプレイ60が図4に示されており、図5にはこのシステムの平面図が示されている。投影システムのこの実施例は、ただ1つではなく2つのミラーを用いるパノラマ・ディスプレイを提供する。この実施例では、GLVプロジェクタ52及び投影レンズ54は、本質的に図1の実施例と同一である。プロジェクタは、映像を光軸55に沿って平坦な折り畳みミラー56の方向に向ける。折り畳みミラー56は映像を走査ミラー58に反射し、走査ミラー58は映像を湾曲した投影スクリーン62に反射する。図1及び図2の実施例でのように、プロジェクタの投影レンズ54は、外部瞳孔76を有しており、走査ミラー58は外部瞳孔76の位置に配置されることによってミラー上の投影された光線のサイズが可能な限り小さくなる。外部瞳孔が好ましいのであるが、内部瞳孔を有するレンズを用いることも可能であり、その場合には、単により大きなミラーが必要なだけである。
【0033】
走査ミラー58は、その回転軸64が、湾曲した投影スクリーン62の垂直軸66(すなわち曲率軸)と平行であり、好ましくは同一線上にあるように、配置される。図3に示されているような二重曲面(double-curved surface)が無限の数の曲率軸を有していることは明らかであろう。しかし、パノラマ映像の向きに関して、水平曲率軸である公的な曲率軸が存在する。換言すると、映像の垂直方向の寸法と平行でありスクリーンの水平曲率中心を表す軸が、望ましい曲率軸である。
【0034】
走査ミラーは、相互に対応しており回転軸に関して対象な2つの平行側面58a、58bを有する。走査ミラーは、矢印68の方向に連続的に回転し、規則的に更新された映像をスクリーンの上に走査する。走査ミラーの回転軸は、折り畳みミラーの垂直軸70に平行であり、垂直軸70から距離Δの位置にある。距離Δと両方のミラーの高さとは、投影される光線のすべてが走査ミラーによって受け取られ、走査ミラーからの反射の際に折り畳みミラーをクリアするように選択される。結果的に得られる映像は、走査ミラーの下方にある一次視点72、又は、(背面投影スクリーンを用いている際に)スクリーンの曲率の外部にある二次視点72aのいずれか一方から直接に見られ得る。あるいは、図4に示されているように、映像は、図3に示されているように、図15に示されている幾何学的配置に従って、後方投影スクリーンの前方に配置された大きなコリメート・ミラー74からの反射を介して見ることができる。図3の実施例は、本質的には、図14及び図15の複数のプロジェクタ110を、単一のプロジェクタとそれと同じ位置若しくはより適切な位置な位置又はそれらの近くにある走査ミラーとによって、置き換えることにより、同じパノラマ映像を提供している。
【0035】
図1の実施例の場合と同じように、光軸55は、下向きの傾斜角度Φに置かれており、この角度は、実映像ディスプレイ又はコリメートされた広角仮想ディスプレイのいずれか一方のためによりよい位置にプロジェクタを配置するように選択される。光軸は、走査ミラーの軸に対して斜めになっていることにより、図4のパノラマ実映像ディスプレイの視点又は一次観測者位置72とは別の位置にスキャナを配置することができ、また、背面投影スクリーンからの光の主なローブが図3の仮想ディスプレイにおける視点の方向にほぼ向けることが可能になる。図3ないし図5に示された実施例では、ディスプレイ・スクリーン62は、二重湾曲型(doubly-curved)に示されている。しかし、これらの実施例のディスプレイ・システムは、図1の実施例に示されているような単一湾曲型(singly-curved)の曲面と共に用いることもできる。同様に、スクリーンは、図1、2、4及び5の実映像ディスプレイにおける前方又は後方投影スクリーンでもあり得る。
【0036】
折り畳みミラー56は固定されているのが通常であるが、図6a−図6dに図解されているように、より広い視野を得るためにその垂直軸70を中心として配置される又は振動されることが可能である。単一のミラーは反射の際の光の入射角を2倍にすると理解される。2つのミラーが連続して配置されると、追加的な走査インクリメントが達成されるのであるが、これは、いくつかの非常に広角の応用例において必要になる場合がある。図6aから図6dまでの折り畳みミラー56と走査ミラー58の上からの図示を見ると、ミラーから反射した光の束80は、スクリーン62上の1つの直線に収束しているが、ミラーにおいてかなりの断面積を有している。小さな投影角度については、すべての光が、図6aに示されているように、走査ミラーによって収集され反射されることがあり得る。それよりも大きな角度の場合には、走査ミラーのエッジ82は、図6bに示されるように、光の一部をブロックし始める。しかし、図6cに示されるように、折り畳みミラーが走査ミラーに対していくらかでも回転していると、すべての光を、より広角の投影角度が得られるようにスクリーンに対して方向付けることが可能である。
【0037】
走査ミラー58が単一の走査サイクル(すなわち、半回転)を通じて回転すると、折り畳みミラー56は、走査ミラーの動きに従って、反対の方向へいくらか回転する。これにより、映像の光束80の全体が、図6cに示されるようにサイクルのもっとも最初において、そして、図6dに示されるようにサイクルのもっとも最後においてミラーに衝突することが可能となる。走査ミラーが単一の走査サイクルの最後に到達すると、折り畳みミラーは、走査サイクルの最初における位置に迅速に戻らないとならないし、そして、このプロセスを反復しなければならない。この構成では、折り畳みミラーは、図6cに示された位置と図6dに示された位置との間を、走査ミラーの回転周波数の2倍の速度で、高速で振動することが要求される。この振動は、図3及び図5の2つの方向付きの矢印84によって指示される。折り畳みミラーの回転軸70が走査ミラーの回転軸64と平行であるので、折り畳みミラーの振動によっては映像の回転は生じないことが明らかである。このような構成により、このシステムがより範囲の広い投影を生じることが可能になる。発明者らは、この構成によれば、単一のプロジェクタを用いて270度のパノラマ映像を生じさせられることを見いだした。
【0038】
更に、本発明の広角表示システムは、複数のプロジェクタを用いて構成することも可能であり、その場合には、360度の走査が可能であり、及び/又は、様々な制約を有するプロジェクタ又はシステムを提供することが可能である。例えば、図10に示されているように、複数のプロジェクタ型のシステム90を提供して、2つのプロジェクタ92を単一の二面型の平坦走査ミラー94の対向する側面に向けるようにすることができる。ミラーが回転すると、それぞれのプロジェクタからのピクセルの垂直線は、完全な円形のスクリーン96の半分の範囲で走査され、完全に包囲する形式のパノラマ映像を与えることができる。一方のプロジェクタ92aは点Aから点Bに向かってスクリーンの半分にわたる映像98aを投影し、他方で、他方のプロジェクタは点Bから点Aに向かってスクリーンの半分にわたる映像98bを走査する。上述した従来技術によるシステムでは、このシステムは、単一又は二重湾曲型、前方又は後方投影型のスクリーンと共に用いることができる。
【0039】
図10の構成は2つのプロジェクタに限定されることはなく、任意の数のプロジェクタと共に用いることができる。例えば、追加的なプロジェクタ98c、98dを、単一のプロジェクタによって提供される映像の部分を更に分割するように配置することができる。追加のプロジェクタを組み入れることは、映像全体の解像度を向上させるには望ましいことであり得る。例えば、それぞれのプロジェクタが水平方向の次元において最大のピクセル密度を提供する場合には、全体の合成映像のピクセル密度は、複数のプロジェクタを用いることによって向上させることができる。この手法は、完全包囲型の映像を望まない場合にも用いることができる。例えば、図1の実施例では、2つのプロジェクタが、それぞれのプロジェクタが相互からある程度の角度距離だけずれて配置され、それぞれがパノラマ映像の半分を提供することにより、完全に視点を包囲する合成映像を作成しなくても、同じ走査ミラーの方向を向くことが可能である。
【0040】
複数型のプロジェクタは、映像生成器(IG)における帯域幅の制約を克服するために用いることもできる。1つのIGチャネルが所望のリフレッシュ・レートでは比較的狭い又は低い解像度の映像を走査する能力だけしか有していない場合には、複数のIGチャネルを用いて、複数のプロジェクタからの映像の合成として所望の高解像度の映像を提供することができる。
【0041】
複数のプロジェクタを用いるパノラマ投影システム140の別の実施例が、図11に示されている。この構成では、多角形型の走査ミラー142を用いて、円形スクリーン144全体で映像を走査する。示されているように、走査ミラーは三角形の形状を有し、3つの垂直方向の反射側面146を有する。これ以外の形状を用いることも可能である。ミラーは、その垂直軸148を中心として完全な円の分だけ回転すると、それぞれのプロジェクタ150a−150cからの映像を、スクリーンの一部の上にシーケンシャルに反射する。
【0042】
図10及び図11の実施例は、それぞれが、複数のプロジェクタと単一の走査ミラーとを有している。しかし、折り畳みミラーの性質を複数プロジェクタ型のシステムに組み入れることもできる。図12を参照すると、複数プロジェクタ型のパノラマ・ディスプレイ・システム160は、複数のプロジェクタ164から単一の走査ミラー166へ映像を反射するように向けられた複数の折り畳みミラー162を有している。図示されている例では、走査ミラーは4つの側を有する多角形であり、複数のプロジェクタは走査ミラーの直接に上方に配置された単一のハウジング168の中に置かれている。この構成によれば、比較的かさばるプロジェクタをそれほどには目立たない位置に配置し、しかし、依然として映像をパノラマ・スクリーン170に走査することが可能である。
【0043】
本発明は、ずれたプロジェクタ位置からの広角走査という特徴を提供する。このシステムによれば、単一の投影源を用いて160度を超える円弧にわたる映像の投影が可能である。上述したように、パノラマ・スキャナの様々な実施例を、単一湾曲又は二重湾曲である前方又は後方投影スクリーンを用いて、実映像及び仮想投影の両方のシステムに用いることができる。本発明は、民間及び軍備の両方の訓練のための広角仮想ディスプレイに用いることができ、また、配備可能な軍事的なトレーナのための直接視野パノラマ・ディスプレイとして用いることもできる。また、コマンド・コントロール型のディスプレイや、人間の乗っていない航空機又は地上車両の遠隔制御のためのディスプレイへの応用も可能である。本発明は、ヘルメット・マウント型のディスプレイとしても同様に適応させることができる。多くのこれ以外のしようが可能である。例えば、後方映像後方投影パノラマ・ディスプレイは、トレード・ショーにおける広告や情報ブース、ショッピング・モール、空港、博物館などに用いることが可能である。気象衛星からの地球の合成リアルタイム映像を背面投影スクリーンの内側に投影して、それを外部から見て、地球の気象及び沈黙領域の全体像を提供することが可能である。
【0044】
更に、本発明によれば、非常に単純で逸脱のない光学要素(フラット・ミラー)の機械的な回転により、特殊で高価なアナモルフィック投影レンズが必要とすることなく、水平方向の拡大が達成される。本発明は、また、ヘッド・マウント型のレーザ・プロジェクタの場合とは異なり、観察者の位置から離れて配置しながら、大きな視野にわたる走査が可能である。また、他のパノラマ式の走査システムとは異なり、本発明によるシステムは、デローテータ(derotator)として作用する第2の回転要素を必要としない。
【0045】
以上で言及した構成は、本発明の原理の応用例を例示する目的であることを理解してほしい。本発明は添付の図面や以上の説明において実施例との関係で示されているのであるが、多数の修正や改変が可能である。この技術分野の当業者にとっては、冒頭の特許請求の範囲の原理及び概念から逸脱することなく、多くの修正が可能であることは容易であるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による広角スキャナのある実施例の全体図である。
【図2】図1の広角スキャナの立体図である。
【図3】本発明による広角スキャナの別の実施例を組み入れた広角仮想表示フライト・シミュレータの全体図である。
【図4】図3のものと類似する広角スキャナを組み入れた広角実映像ディスプレイの立体図である。
【図5】図4の広角スキャナの上からの図である。
【図6】図6aから図6dは、平面走査ミラーと折り畳みミラーとの上からの図であり、折り畳みミラーのアーティキュレーションの相対的な効果を示している。
【図7】平面走査ミラーと湾曲したスクリーンとの上方からの誇張した図であり、ディスプレイ・スクリーン上の投影位置に対するミラーの厚さの効果を示している。
【図8】平面走査ミラー誇張した側面図であり、外見上のピクセル・サイズに対するミラーの厚さの効果を示している。
【図9】垂直方向からのピクセル・ラインのずれの効果を示す図である。
【図10】2つのプロジェクタと平面走査ミラーとを組み入れて350度の映像を生じさせるパノラマ・スキャナ・システムの平面図である。
【図11】3つのプロジェクタと多角形型の走査ミラーとを組み入れてパノラマ・ディスプレイを生じさせるパノラマ・スキャナ・システムの平面図である。
【図12】単一ユニットの中にそれぞれが折り畳みミラーを有する複数のプロジェクタと単一の多角形型走査ミラーとを組み入れたパノラマ・スキャナ・システムの平面図である。
【図13】複数のプロジェクタを用いる実映像ディスプレイを備えドーム型の表示面の内部にパノラマ映像を生じさせる従来技術によるフライト・シミュレータの概観である。
【図14】複数のプロジェクタを用いてパノラマ仮想映像を生じさせる従来技術によるフライト・シミュレータの概観である。
【図15】図14のフライト・シミュレータの立体図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、パノラマ式の視覚的ディスプレイ・システムに関する。更に詳しくは、本発明は、単一のプロジェクタを用いて非常に広角のディスプレイを提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パノラマ・ディスプレイ(panoramic display)とは、水平方向の寸法が垂直方向の寸法よりもはるかに大きく、少なくとも部分的には視点の周囲を水平方向に包囲するものであると考えられる。パノラマ・ディスプレイ・システムは、多くの応用例において望ましい。幅の広い視野を必要とする特定の応用例として、フライト・シミュレーション及びトレーニングがある。これまでは、パノラマ・フライト・シミュレータのディスプレイ・システムは、典型的には、複数のプロジェクタを用い、その別個の映像(イメージ)をエッジ部分でモザイク状に合成することにより、外見的には連続した幅の広い視野を生じさせていた。3個から10個程度あるいは更に多くの個別のプロジェクタが用いられるのが一般的であり、64個以上の個別のプロジェクタを有する複数プロジェクタ型のディスプレイが、非常に幅の広い視野にわたる高解像度の映像に対する必要性を満たすために提案されている。
【0003】
そのようなディスプレイの中で、2つのタイプがシミュレータ及びトレーニングにおいて頻繁に用いられてきた。図13に示されている第1のタイプは、パノラマ式の実映像ディスプレイ・システム100で構成され、投影された実映像102が、この場合はドームである湾曲した前方映写スクリーン108の中心近くに位置する視点106から観察者によって見られることになる。このようなシステムでは、複数のプロジェクタ110が、見る者の上方及び/又は背後に配置されるのが典型的であり、視野の外部に配置されるのが好ましい。図示されているように、非常に大きな視野のために、ほぼ完全なドーム式のディスプレイ・ディスプレイ・スクリーンが用いられる。しかし、視野が拡大するにつれて、一様の照明及び解像度を提供しながら依然として視野から隠されている位置にプロジェクタを配置することが、ますます困難になる。更に、隣接するプロジェクタからの映像のエッジを合成する現行の方法は、映像の間の継ぎ目(シーム)を隠すことに関して必ずしも有効ではないし、複数のプロジェクタからの隣接する映像の色を整合させるのは非常に困難である。結局、一般的な結果としては、映像の部分ごとに継ぎ目が目立ち色が不統一な複合映像が得られるのである。
【0004】
もう1つの頻繁に用いられるディスプレイのタイプに、図14及び図15に示されている広角の仮想ディスプレイ112がある。このタイプのディスプレイは、民間の航空シミュレータのために頻繁に用いられる。このタイプのディスプレイでは、観察者は、背面投影スクリーン116に投影された映像の反射を提供する凹型ミラー114を見る。コリメート・ミラー(平行光線ミラー、collimating mirror)の目的は、複数のプロジェクタ118によって実映像が投影されることである。このシステムでは、プロジェクタと視点120(シミュレータ・コックピット122の内部にある)との両方が、スクリーンの曲率中心126とミラーの曲率中心124とからずれている(オフセットしている)。
【0005】
図14及び図15に示されている幾何学的関係は、一般的にはプロジェクタに関し、特に複数のプロジェクタを有するパノラマ・ディスプレイに関する問題を生じさせる。図15に図解されているように、空間内には単一の点130があり、この点は、最大量の光を視点の位置120に向けることに関して光学投影システムにとって好適である。この点からすべての光が下向きに拡がって映写スクリーン116のすべての領域に投影されるのが理想的である。しかし、複数のプロジェクタを空間内の1つの点に配置することは不可能である。更に、通常用いられるCRTプロジェクタに必要なf数(f-number)が小さなレンズは、好適位置130への配置を許容するのに十分な焦点深度を有さない。また、これらの位置における大型のプロジェクタは、モーション・ベースを用いるトレーニングのための応用例では、問題である。スクリーンの上方の高い位置に質量の大きな複数のプロジェクタを配置すれば、シミュレータやモーション・システムを組み入れているそれ以外の応用例にとっては、受け入れることが不可能なほど大きな慣性モーメントを生じさせる。このような理由から、図14に示されているような現行の広角仮想システムでは、理想的な位置よりも低く後方にある妥協的な位置にプロジェクタを配置するのである。
【0006】
レーザ・プロジェクタは、スクリーンの相当上方にある理想位置から投影を行うのに十分な焦点深度を有することができるが、スクリーンの垂直軸に対して相当に下向きに傾斜して走査されなければならない。これまでレーザ・プロジェクタと共に用いられてきたスキャナのタイプでは、広角の仮想ディスプレイとパノラマ式の実映像表示との両方に要求される広角で傾斜した走査が不可能である。
【0007】
パノラマ・スキャナが、直線状(リニア)の検出器アレイのために開発されている。従来のシステムでは、センサ又は光変調器の直線状の(又は二次元的な)アレイの広角走査は、センサの軸(又は平面)に垂直な回転軸に対して45度のミラー又はプリズムを用いてなされるのが通常である。そのような構成では、投影された又は感知された映像は、走査要素の各回転に対して360度回転するので、そのようなスキャナは、スキャナの半分の速度で回転する2倍反射ミラー・システム又はプリズムを組み込み映像を適切な向き修復するのが通常である。これらのシステムは、完全な360度の走査を提供するが、走査速度の半分で連続的に回転する映像デローテータ(derotator)を必要とする。そのようなシステムでは、複数の反射にわたる正確な光学的アライメントを維持しながら、異なる複数の速度で回転する2つの要素を動的に同期させることが必要となるので、作成コストが高く、精度の問題があり、重く、バランスをとるのが困難である。結果的に、そのようなシステムは、高速の走査システムでは、ほとんど用いられない。
【0008】
従来は、レーザ・プロジェクタは、小さな角度にわたって単一の光ビームを走査し、同時に、それを一度に1ピクセルずつ変調して投影されるラスタを生じさせることしかできなかった。単一のビームをラスタ形式に走査するレーザ・プロジェクタには多くの種類があり、例えば、高速軸には回転する多角形ホイールを用い、低速軸には検流計(ガルバノメータ)を用いるものがある。このタイプのプロジェクタは、映像サイズ及び映写距離の点で制約があり、従って、狭い映像を生じる。これらのタイプのプロジェクタは、ときには、照射距離を短縮するために拡大レンズを用いることがある。しかし、この方法はパノラマ・ディスプレイには適さない。というのは、それでは、ピクセルが水平及び垂直の両方向に拡大されるからである。更に、帯域の制約のために、単一のレーザ・ビームを変調する単一のプロジェクタからの高解像度パノラマ・ディスプレイの開発が、妨げられてきた。
【0009】
リニア・アレイを走査して映像を形成するある1つの方法では、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いて、リニア・アレイをフラット・スクリーン上の狭い視野に投影する。しかし、不運にも、単にGLVを用いるだけでは、湾曲したスクリーンの上にパノラマ・ディスプレイを生じさせるという問題の解決にはならない。広角の映像投影のための従来のシステムは、また、ライン・スキャナを組み入れたヘッド・マウント・レーザ・プロジェクタを含む。このタイプのシステムは、比較的制約された視野にわたり一次元の映像を走査する。オフセットが存在しないために、スキャナは、見る位置(例えば、ヘルメットの上に)設置されなければならない。
【発明の開示】
【0010】
一様な表示により適切に最適化された単一の投影位置から広い視野を投影可能であり、的確な色の整合を提供し、継ぎ目を生じさせないような直接視野ディスプレイ・システム(direct view display system)を開発することに意味があることが認識されてきている。
【0011】
本発明は、リニア・アレイ・プロジェクタと湾曲した表示面と実質的に平坦な走査ミラーとを含む広角表示システムを提供する。リニア・アレイ・プロジェクタは、光軸に沿った映像を走査ミラーに向けて投影する。走査ミラーは、実質的にこのミラーの面内にある軸を中心にして連続的に回転し、映像を表示表面の上に反射する。
【0012】
本発明の別の更に詳細な特徴によると、走査ミラーは、平行で対向する2つの反射側面を含み、プロジェクタのリフレッシュ・レートの半分で回転する。
【0013】
本発明の別の更に詳細な特徴によると、リニア・アレイ・プロジェクタは、ピクセルで構成される一連の直線群からなる映像を投影し、走査ミラーの回転軸は、ピクセルによって構成される直線群と平行である。走査ミラーは、ピクセルによって構成される直線群を、湾曲した表示表面の上に反射し、湾曲した表示表面の全体にわたって映像を走査する。
【0014】
本発明の別の実施例では、本発明による広角表示システムは、走査ミラーにおいて映像を投影することにより表示表面上の複合的なパノラマ・映像を生じさせる複数のリニア・アレイ・プロジェクタを備えていることがある。
【0015】
本発明の更に別の実施例では、本発明による広角表示システムは、垂直方向の複数の反射面を有し複数のリニア・アレイ・プロジェクタからの映像を反射する多角形型の走査ミラーを備えていることがある。
【0016】
本発明のこれ以外の特徴及び効果は、後述の詳細な説明から明らかになるはずである。なお、後述の詳細な説明では、添付の図面を参照しながら、本発明の特徴を、例を挙げることにより説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、図面に図解された実施例を参照し、具体的な表現を用いてそれらの実施例を説明する。しかし、そのような具体的表現によって発明の範囲を制限することは意図されていないことを理解すべきである。ここで説明する発明の特徴を変更及び修正すること、ここで説明する発明の原理を追加的に応用することは、この技術分野の当業者であり湖の出願の開示を有している者にとって可能であり、従って、本発明の技術範囲に含まれると考えるべきである。
【0018】
発明者たちは、観測者をパノラマ映像で包囲する新しいタイプのレーザ・スキャナを開発した。ここでの説明では、「パノラマ映像」及び「パノラマ・ディスプレイ」という用語は、水平方向の寸法が垂直方向の寸法よりもはるかに大きなディスプレイ又は映像を指すものとして用いられる。「水平方向」と「垂直方向」とは相対的な用語であることは明らかであろう。これらの用語は、地球の水平線に対する特定の関係を意味するものではなく、任意の直交する軸を意味する。水平方向に対する垂直方向の重要性は、以下の議論からより明らかになるはずである。
【0019】
直接視野ディスプレイ・システムのためには、共通の位置から広い視野を投影することが望ましいが、この共通の位置は、一様な表示のためにより適切に最適化されており、継ぎ目がなく的確な色の一様性を提供する。図13に示されているようなシステムでは、このような要件を満足する好適なプロジェクタ位置は、ドームのほぼ中心であるが、視点106よりも後方で上方となる。視点120がスクリーン及びミラーの光軸からずれている図14及び図15に示されているような広角仮想システムでも、類似のシステムが望ましい。
【0020】
本発明は、映像源としてリニア・アレイ空間光変調器によって生じるピクセルの垂直方向のコラムを投影することによって、これらの問題に対応する。ピクセルからなるこのコラムは、広角にわたって走査されてパノラマ式の視野を生じ、その際、スキャナは視点の上方かつ後方に配置されている。このようなオフセット式の幾何学的配置は、一般にプロジェクタに関する問題を生じさせ、特に複数のプロジェクタを用いるパノラマ・ディスプレイに関する問題を生じさせる。一般に、プロジェクタは、最良の明るさとコントラストとのためには、視点に近い位置に配置されるべきである。しかし、図13及び図14に示されているように、これは、プロジェクタが複数個用いられる場合には困難となる。本発明による広角スキャナが、これらの問題を解決する。
【0021】
図1及び図2には、発明者らが本発明に従って作成したパノラマ式の実映像ディスプレイ・システムの1つの実施例が示されている。このシステムは、リニア・アレイ・プロジェクタ12(例えば、GLVプロジェクタ)と、湾曲したディスプレイ・スクリーン14と、ミラーの平面内に回転軸18を有し平面状の(すなわち、実質的に平坦な)走査ミラー16とを備えている。湾曲したディスプレイ・スクリーンは、曲率軸すなわち曲率中心20を有する。回転軸は、曲率軸に平行であり、好ましくは同一線上にある。
【0022】
一次観測者位置又は視点22は走査ミラー16の下方にあり、ほぼ回転軸/曲率軸18/20の上にあり、スクリーン14の凹側を見ることになる。しかし、ディスプレイ・スクリーンは、背面投影スクリーンであることもあって、その場合、湾曲したスクリーンの凸側を見る二次観測者位置24を生じることになる。図1及び図2に示されたスクリーンは単一の軸の周囲で湾曲している(すなわち、スクリーンは円筒の一部を形成する)が、本発明のこの実施例は、図3及び図4に示されているように、二重湾曲スクリーン(すなわち、スクリーンは球の一部を形成する)と共に用いることもできる。
【0023】
リニア・アレイ・プロジェクタ12は、映像を、光軸26に沿って走査ミラー16の方向に投影し、走査ミラー16はその映像をスクリーン14の上に反射する。光軸は走査ミラーの回転軸18に対して斜めになっている。視点22を包囲する投影フィールドを走査するには、投影方向は、スキャナの回転軸に対して斜めの角度でなければならない。これは、走査ミラーからの光が連続的な視野を走査する際にプロジェクタの上に再び反射しないようにするために必要である。そうでなければ、プロジェクタの本体そのものが、スクリーンの一部の上に影を生じさせることがあり得る。これにより、スキャナが、パノラマ実映像ディスプレイの視点以外の位置に配置されることが可能になる。
【0024】
また、本発明は、これを、別個のデローテート要素(derotating element)なしでこれをなし得る。代わりに、本発明は、素長とは異なる速度で回転する第2のデローテート要素なしで、パノラマ型の視野にわたってリニア・アレイを走査する。プロジェクタは、ピクセル28の(水平ではなく)垂直ラインを連続的に走査することによって映像を生じる。「垂直」という指定は、走査ミラーの回転軸18の方向との関係におけるものであり、これは、上述したように、パノラマ映像の垂直方向の次元に対応する。投影されたピクセルのラインは、走査ミラーの回転軸に平行である。
【0025】
走査ミラー16は、回転軸18を中心にして連続的に回転し、映像をスクリーン14の上に反射するように構成されている。GLVプロジェクタ12によって生じる映像は、例えば60Hzのリフレッシュ・レートで連続的に走査される。それぞれのリフレッシュ・レートの間には、平坦な走査ミラーは半回転をして、映像の走査された垂直ライン28のそれぞれをスクリーンの上の適切な位置に反射して全体の映像を再生する。ミラーの角度方向の振動(スウィング)により、映像は、非常に幅広い弧にわたって投影されることが可能になり、結果的に広いパノラマ映像を生じる。ある実施例では、走査ミラーは2つの反射側面16a、16bを有し、リフレッシュ・レートの半分(すなわち30Hz)の速度で回転する。これが可能であるのは、ミラーのそれぞれの側面がプロジェクタの1リフレッシュ・サイクルの間にスクリーン全体で映像を走査して次のサイクルの間に遠ざかるからである。
【0026】
プロジェクタ12は、外部瞳孔(external pupil)を有する投影レンズ30を有し、ピクセル28の垂直コラムの映像を投影する。ここでの説明のために、この点での実映像は、スキャナが回転してスクリーン14上に二次元映像を形成する際に変調されうるピクセルの垂直コラムから構成されているものと仮定する。走査ミラー16は、好ましくは、外部瞳孔32の位置に配置されている。これがなされることにより、走査ミラー上に生じた映像は可能な限り小さくなり、従って、より小さなミラーを用いることが可能になる。投影レンズは、光軸26と走査ミラーの回転軸18との間に角度Φを生じるように向けられる。角度Φは、実映像ディスプレイ・システムに対する視点22に対して投影点(すなわち、投影レンズの位置)が適切なオフセットを生じるように選択される。Φ=55度の角度がこのシステムでは用いられた。ただし、他の角度を用いることもできる。
【0027】
走査ミラー16は、典型的には60Hzであるプロジェクタ12の映像更新速度に位相ロックされたサーボモータ(図示せず)によって連続的に駆動される主な走査機構である。ある実施例では、走査ミラー・アセンブリの連続的な360度の回転の中の110度がミラー・アセンブリのそれぞれの側に対して用いられ、ミラーのそれぞれの回転に対して見るためのスクリーン14上の視点22に対して連続的な220度の2つの走査を生じさせる。このためには、30Hz(1800RPM)という走査ミラーの回転速度が要求される。
【0028】
走査ミラー16が回転することにより、その回転とその幾何学的配置とにより、いくらかの技術的考察が生じる。これらのいくつかは、図7から図9に示されている。1つの考察は、ミラーの回転運動である。図9に示されているように、回転するミラーの上への投影された映像(ピクセルのライン)28の斜めの入射により、波線34で示されているように、投影された映像が回転するのが通常である。しかし、GLVによって形成された映像は本質的には厚さがゼロであるピクセルの垂直コラムであるから、ピクセルのラインが走査ミラーの回転軸18と平行であり、走査ミラーの回転軸と垂直のライン映像の構成要素が存在しない限りは、映像の回転は生じない。
【0029】
別の考察は、ミラーの厚さである。上述したように、走査ミラー・アセンブリ16は、2つの側面を有するミラーである。このミラーの厚さがゼロということはあり得ないのだから、それぞれの走査ミラーの表面は、図7及び図8に示されている通り、回転軸18からの小さなオフセット(ずれ)T(ミラーの厚さ全体の半分に等しい)を有する。このオフセットにより、映像は、走査ミラーが回転するにつれて水平及び垂直方向の両方で僅かに偏向される。図7に示されているように、走査ミラーのそれぞれのミラー表面16a、16bが回転軸から距離Tだけオフセットしている場合には、映像源は、ミラーが通常位置から回転するにつれて、ミラーを距離ΔTだけより近くで捕らえる。図8の側方図で見えるように、これにより、映像は、スクリーンの上方に距離ΔPだけ変位し、スクリーンの水平方向の中心の左右に変位する。発明者らは、様々な条件でΔTの大きさを計算し、それが、コリメート及び直接視野ディスプレイの両方の応用例について、十分に想定される誤差の範囲内であることを見いだした。
【0030】
回転軸からの僅かなオフセットにより、回転に伴い、映像の水平方向の変位が生じる。図7に示されているように、映像源は、回転軸から距離Tにおいてミラー表面16a、16bを捕らえ、ミラーが回転するにつれて、この距離はΔTだけ増加する。発明者らは、厚さが0.5”のミラーと、半径が48”であるスクリーンとについて、角度誤差Eは0.7度未満であることを見いだした。このレベルの誤差は、ほとんどの応用例において許容範囲内である。水平及び垂直の両方の方向の誤差は、前方視野においてゼロに設定することができ、+/90度の方位角で指示される値に向かって増加する。より大きな幾何学的精度が要求される場合には、映像生成器において非線形映像マッピング(NLIM)を実行することにより、得られる。
【0031】
投影スクリーンの上への入射角度が斜めであることにより、映像の頂部から底部への焦点ぼけが生じる。当業者であれば、これは、GLVのシャインプルーフ(scheimpflug)傾斜によって修正可能であることを認識するはずである。球形スクリーンへの映像のキーストーン及び投影は、映像生成器におけるNLIMによっても実行されうる。
【0032】
本発明による広角ディスプレイの追加的な実施例が、図3から図5に示されている。広角仮想ディスプレイ50(図14の構成に類似する)が、図3に示されている。同じタイプの投影システムを用いた広角実映像ディスプレイ60が図4に示されており、図5にはこのシステムの平面図が示されている。投影システムのこの実施例は、ただ1つではなく2つのミラーを用いるパノラマ・ディスプレイを提供する。この実施例では、GLVプロジェクタ52及び投影レンズ54は、本質的に図1の実施例と同一である。プロジェクタは、映像を光軸55に沿って平坦な折り畳みミラー56の方向に向ける。折り畳みミラー56は映像を走査ミラー58に反射し、走査ミラー58は映像を湾曲した投影スクリーン62に反射する。図1及び図2の実施例でのように、プロジェクタの投影レンズ54は、外部瞳孔76を有しており、走査ミラー58は外部瞳孔76の位置に配置されることによってミラー上の投影された光線のサイズが可能な限り小さくなる。外部瞳孔が好ましいのであるが、内部瞳孔を有するレンズを用いることも可能であり、その場合には、単により大きなミラーが必要なだけである。
【0033】
走査ミラー58は、その回転軸64が、湾曲した投影スクリーン62の垂直軸66(すなわち曲率軸)と平行であり、好ましくは同一線上にあるように、配置される。図3に示されているような二重曲面(double-curved surface)が無限の数の曲率軸を有していることは明らかであろう。しかし、パノラマ映像の向きに関して、水平曲率軸である公的な曲率軸が存在する。換言すると、映像の垂直方向の寸法と平行でありスクリーンの水平曲率中心を表す軸が、望ましい曲率軸である。
【0034】
走査ミラーは、相互に対応しており回転軸に関して対象な2つの平行側面58a、58bを有する。走査ミラーは、矢印68の方向に連続的に回転し、規則的に更新された映像をスクリーンの上に走査する。走査ミラーの回転軸は、折り畳みミラーの垂直軸70に平行であり、垂直軸70から距離Δの位置にある。距離Δと両方のミラーの高さとは、投影される光線のすべてが走査ミラーによって受け取られ、走査ミラーからの反射の際に折り畳みミラーをクリアするように選択される。結果的に得られる映像は、走査ミラーの下方にある一次視点72、又は、(背面投影スクリーンを用いている際に)スクリーンの曲率の外部にある二次視点72aのいずれか一方から直接に見られ得る。あるいは、図4に示されているように、映像は、図3に示されているように、図15に示されている幾何学的配置に従って、後方投影スクリーンの前方に配置された大きなコリメート・ミラー74からの反射を介して見ることができる。図3の実施例は、本質的には、図14及び図15の複数のプロジェクタ110を、単一のプロジェクタとそれと同じ位置若しくはより適切な位置な位置又はそれらの近くにある走査ミラーとによって、置き換えることにより、同じパノラマ映像を提供している。
【0035】
図1の実施例の場合と同じように、光軸55は、下向きの傾斜角度Φに置かれており、この角度は、実映像ディスプレイ又はコリメートされた広角仮想ディスプレイのいずれか一方のためによりよい位置にプロジェクタを配置するように選択される。光軸は、走査ミラーの軸に対して斜めになっていることにより、図4のパノラマ実映像ディスプレイの視点又は一次観測者位置72とは別の位置にスキャナを配置することができ、また、背面投影スクリーンからの光の主なローブが図3の仮想ディスプレイにおける視点の方向にほぼ向けることが可能になる。図3ないし図5に示された実施例では、ディスプレイ・スクリーン62は、二重湾曲型(doubly-curved)に示されている。しかし、これらの実施例のディスプレイ・システムは、図1の実施例に示されているような単一湾曲型(singly-curved)の曲面と共に用いることもできる。同様に、スクリーンは、図1、2、4及び5の実映像ディスプレイにおける前方又は後方投影スクリーンでもあり得る。
【0036】
折り畳みミラー56は固定されているのが通常であるが、図6a−図6dに図解されているように、より広い視野を得るためにその垂直軸70を中心として配置される又は振動されることが可能である。単一のミラーは反射の際の光の入射角を2倍にすると理解される。2つのミラーが連続して配置されると、追加的な走査インクリメントが達成されるのであるが、これは、いくつかの非常に広角の応用例において必要になる場合がある。図6aから図6dまでの折り畳みミラー56と走査ミラー58の上からの図示を見ると、ミラーから反射した光の束80は、スクリーン62上の1つの直線に収束しているが、ミラーにおいてかなりの断面積を有している。小さな投影角度については、すべての光が、図6aに示されているように、走査ミラーによって収集され反射されることがあり得る。それよりも大きな角度の場合には、走査ミラーのエッジ82は、図6bに示されるように、光の一部をブロックし始める。しかし、図6cに示されるように、折り畳みミラーが走査ミラーに対していくらかでも回転していると、すべての光を、より広角の投影角度が得られるようにスクリーンに対して方向付けることが可能である。
【0037】
走査ミラー58が単一の走査サイクル(すなわち、半回転)を通じて回転すると、折り畳みミラー56は、走査ミラーの動きに従って、反対の方向へいくらか回転する。これにより、映像の光束80の全体が、図6cに示されるようにサイクルのもっとも最初において、そして、図6dに示されるようにサイクルのもっとも最後においてミラーに衝突することが可能となる。走査ミラーが単一の走査サイクルの最後に到達すると、折り畳みミラーは、走査サイクルの最初における位置に迅速に戻らないとならないし、そして、このプロセスを反復しなければならない。この構成では、折り畳みミラーは、図6cに示された位置と図6dに示された位置との間を、走査ミラーの回転周波数の2倍の速度で、高速で振動することが要求される。この振動は、図3及び図5の2つの方向付きの矢印84によって指示される。折り畳みミラーの回転軸70が走査ミラーの回転軸64と平行であるので、折り畳みミラーの振動によっては映像の回転は生じないことが明らかである。このような構成により、このシステムがより範囲の広い投影を生じることが可能になる。発明者らは、この構成によれば、単一のプロジェクタを用いて270度のパノラマ映像を生じさせられることを見いだした。
【0038】
更に、本発明の広角表示システムは、複数のプロジェクタを用いて構成することも可能であり、その場合には、360度の走査が可能であり、及び/又は、様々な制約を有するプロジェクタ又はシステムを提供することが可能である。例えば、図10に示されているように、複数のプロジェクタ型のシステム90を提供して、2つのプロジェクタ92を単一の二面型の平坦走査ミラー94の対向する側面に向けるようにすることができる。ミラーが回転すると、それぞれのプロジェクタからのピクセルの垂直線は、完全な円形のスクリーン96の半分の範囲で走査され、完全に包囲する形式のパノラマ映像を与えることができる。一方のプロジェクタ92aは点Aから点Bに向かってスクリーンの半分にわたる映像98aを投影し、他方で、他方のプロジェクタは点Bから点Aに向かってスクリーンの半分にわたる映像98bを走査する。上述した従来技術によるシステムでは、このシステムは、単一又は二重湾曲型、前方又は後方投影型のスクリーンと共に用いることができる。
【0039】
図10の構成は2つのプロジェクタに限定されることはなく、任意の数のプロジェクタと共に用いることができる。例えば、追加的なプロジェクタ98c、98dを、単一のプロジェクタによって提供される映像の部分を更に分割するように配置することができる。追加のプロジェクタを組み入れることは、映像全体の解像度を向上させるには望ましいことであり得る。例えば、それぞれのプロジェクタが水平方向の次元において最大のピクセル密度を提供する場合には、全体の合成映像のピクセル密度は、複数のプロジェクタを用いることによって向上させることができる。この手法は、完全包囲型の映像を望まない場合にも用いることができる。例えば、図1の実施例では、2つのプロジェクタが、それぞれのプロジェクタが相互からある程度の角度距離だけずれて配置され、それぞれがパノラマ映像の半分を提供することにより、完全に視点を包囲する合成映像を作成しなくても、同じ走査ミラーの方向を向くことが可能である。
【0040】
複数型のプロジェクタは、映像生成器(IG)における帯域幅の制約を克服するために用いることもできる。1つのIGチャネルが所望のリフレッシュ・レートでは比較的狭い又は低い解像度の映像を走査する能力だけしか有していない場合には、複数のIGチャネルを用いて、複数のプロジェクタからの映像の合成として所望の高解像度の映像を提供することができる。
【0041】
複数のプロジェクタを用いるパノラマ投影システム140の別の実施例が、図11に示されている。この構成では、多角形型の走査ミラー142を用いて、円形スクリーン144全体で映像を走査する。示されているように、走査ミラーは三角形の形状を有し、3つの垂直方向の反射側面146を有する。これ以外の形状を用いることも可能である。ミラーは、その垂直軸148を中心として完全な円の分だけ回転すると、それぞれのプロジェクタ150a−150cからの映像を、スクリーンの一部の上にシーケンシャルに反射する。
【0042】
図10及び図11の実施例は、それぞれが、複数のプロジェクタと単一の走査ミラーとを有している。しかし、折り畳みミラーの性質を複数プロジェクタ型のシステムに組み入れることもできる。図12を参照すると、複数プロジェクタ型のパノラマ・ディスプレイ・システム160は、複数のプロジェクタ164から単一の走査ミラー166へ映像を反射するように向けられた複数の折り畳みミラー162を有している。図示されている例では、走査ミラーは4つの側を有する多角形であり、複数のプロジェクタは走査ミラーの直接に上方に配置された単一のハウジング168の中に置かれている。この構成によれば、比較的かさばるプロジェクタをそれほどには目立たない位置に配置し、しかし、依然として映像をパノラマ・スクリーン170に走査することが可能である。
【0043】
本発明は、ずれたプロジェクタ位置からの広角走査という特徴を提供する。このシステムによれば、単一の投影源を用いて160度を超える円弧にわたる映像の投影が可能である。上述したように、パノラマ・スキャナの様々な実施例を、単一湾曲又は二重湾曲である前方又は後方投影スクリーンを用いて、実映像及び仮想投影の両方のシステムに用いることができる。本発明は、民間及び軍備の両方の訓練のための広角仮想ディスプレイに用いることができ、また、配備可能な軍事的なトレーナのための直接視野パノラマ・ディスプレイとして用いることもできる。また、コマンド・コントロール型のディスプレイや、人間の乗っていない航空機又は地上車両の遠隔制御のためのディスプレイへの応用も可能である。本発明は、ヘルメット・マウント型のディスプレイとしても同様に適応させることができる。多くのこれ以外のしようが可能である。例えば、後方映像後方投影パノラマ・ディスプレイは、トレード・ショーにおける広告や情報ブース、ショッピング・モール、空港、博物館などに用いることが可能である。気象衛星からの地球の合成リアルタイム映像を背面投影スクリーンの内側に投影して、それを外部から見て、地球の気象及び沈黙領域の全体像を提供することが可能である。
【0044】
更に、本発明によれば、非常に単純で逸脱のない光学要素(フラット・ミラー)の機械的な回転により、特殊で高価なアナモルフィック投影レンズが必要とすることなく、水平方向の拡大が達成される。本発明は、また、ヘッド・マウント型のレーザ・プロジェクタの場合とは異なり、観察者の位置から離れて配置しながら、大きな視野にわたる走査が可能である。また、他のパノラマ式の走査システムとは異なり、本発明によるシステムは、デローテータ(derotator)として作用する第2の回転要素を必要としない。
【0045】
以上で言及した構成は、本発明の原理の応用例を例示する目的であることを理解してほしい。本発明は添付の図面や以上の説明において実施例との関係で示されているのであるが、多数の修正や改変が可能である。この技術分野の当業者にとっては、冒頭の特許請求の範囲の原理及び概念から逸脱することなく、多くの修正が可能であることは容易であるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による広角スキャナのある実施例の全体図である。
【図2】図1の広角スキャナの立体図である。
【図3】本発明による広角スキャナの別の実施例を組み入れた広角仮想表示フライト・シミュレータの全体図である。
【図4】図3のものと類似する広角スキャナを組み入れた広角実映像ディスプレイの立体図である。
【図5】図4の広角スキャナの上からの図である。
【図6】図6aから図6dは、平面走査ミラーと折り畳みミラーとの上からの図であり、折り畳みミラーのアーティキュレーションの相対的な効果を示している。
【図7】平面走査ミラーと湾曲したスクリーンとの上方からの誇張した図であり、ディスプレイ・スクリーン上の投影位置に対するミラーの厚さの効果を示している。
【図8】平面走査ミラー誇張した側面図であり、外見上のピクセル・サイズに対するミラーの厚さの効果を示している。
【図9】垂直方向からのピクセル・ラインのずれの効果を示す図である。
【図10】2つのプロジェクタと平面走査ミラーとを組み入れて350度の映像を生じさせるパノラマ・スキャナ・システムの平面図である。
【図11】3つのプロジェクタと多角形型の走査ミラーとを組み入れてパノラマ・ディスプレイを生じさせるパノラマ・スキャナ・システムの平面図である。
【図12】単一ユニットの中にそれぞれが折り畳みミラーを有する複数のプロジェクタと単一の多角形型走査ミラーとを組み入れたパノラマ・スキャナ・システムの平面図である。
【図13】複数のプロジェクタを用いる実映像ディスプレイを備えドーム型の表示面の内部にパノラマ映像を生じさせる従来技術によるフライト・シミュレータの概観である。
【図14】複数のプロジェクタを用いてパノラマ仮想映像を生じさせる従来技術によるフライト・シミュレータの概観である。
【図15】図14のフライト・シミュレータの立体図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広角度表示システムであって、
映像を光学軸に沿って投影するように構成された直線状のアレイ・プロジェクタと、
表示曲面と、
平面を画定し光軸に沿って配置された実質的に平坦な走査ミラーであって、実質的にこのミラーの面内にある回転軸を中心にして連続的に回転し前記表示曲面の上に前記映像を反射させる走査ミラーと、
を備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、
前記走査ミラーは、2つの実質的に平坦で対向する反射側面を備えていることを特徴とする広角表示表示システム。
【請求項3】
請求項2記載の広角表示システムにおいて、前記直線状アレイ・プロジェクタは2つの直線状アレイ・プロジェクタを備えており、前記2つの直線状アレイ・プロジェクタは前記走査ミラーの対向する側面からの映像を実質的に前記走査ミラーの位置にある収束点に向かって投影するように構成され、前記走査ミラーはそれぞれのプロジェクタからの映像を前記表示面の上に反射するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項4】
請求項3記載の広角表示システムにおいて、この表示システムは、映像を前記表示曲面の360度の円弧全体に投影するように構成されたことを特徴とする広角表示システム。
【請求項5】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記プロジェクタはリフレッシュ・レートを有しており、前記走査ミラーは前記リフレッシュ・レートの半分の速度で回転するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項6】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記直線状アレイ・プロジェクタは前記回転軸と実質的に平行なピクセルのアレイを投影するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項7】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記光軸は前記走査ミラーの回転軸に対して斜めであることを特徴とする広角表示システム。
【請求項8】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記光軸に沿って配置され前記走査ミラーの軸と実質的に平行な軸を有し前記映像を前記走査ミラーに反射するように構成された実質的に平坦な折り畳みミラーを更に備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項9】
請求項8記載の広角表示システムにおいて、前記折り畳みミラーはその軸を中心に振動することにより前記映像の投影範囲を増加させることを特徴とする広角表示システム。
【請求項10】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記表示曲面は前記走査ミラーの回転軸と実質的に平行な曲率軸を有することを特徴とする広角表示システム。
【請求項11】
請求項10記載の広角表示システムにおいて、前記表示曲面の曲率軸は前記走査ミラーの回転軸と実質的に同一直線上にあることを特徴とする広角表示システム。
【請求項12】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記映像は90度を超える円弧にわたって前記表示曲面上に投影される。
【請求項13】
請求項12記載の広角表示システムにおいて、前記映像は270度を超える円弧にわたって前記表示曲面上に投影される。
【請求項14】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記映像は前記表示曲面の凹側で見ることができることを特徴とする広角表示システム。
【請求項15】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記映像は前記表示曲面の凸側で見ることができることを特徴とする広角表示システム。
【請求項16】
広角表示システムであって、
ピクセルの一連の線を有する映像を投影するように構成されている直線状のアレイ・プロジェクタと、
前記映像を走査ミラーに向けて反射するように構成された折り畳みミラーと、
2つの平行で実質的に平坦な対向する反射側面と前記対向する反射側面と平行でありかつ前記ピクセルの線に平行な回転軸とを有し、前記回転軸を中心にして連続的に回転することにより前記ピクセルの線を表示曲面上に反射して前記映像を前記表示曲面の全体にわたって走査するように構成された走査ミラーと、
を備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項17】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記ピクセルの線は垂直方向の線を有し、前記映像は前記スクリーンの全体に水平方向に走査されることを特徴とする広角表示システム。
【請求項18】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記回転軸は前記表示曲面の焦点軸と実質的に同一直線上にあることを特徴とする広角表示システム。
【請求項19】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記走査ミラーは視聴者の位置よりも上方に配置されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項20】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記表示曲面は複曲面であることを特徴とする広角表示システム。
【請求項21】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記直線状のアレイ・プロジェクタはグレーティング・ライト・バルブを含むことを特徴とする広角表示システム。
【請求項22】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記折り畳みミラーは、
平面を定義する反射表面と、
前記平面と実質的に平行であり前記ピクセルの線と実質的に平行な軸と、
を更に備えており、前記折り畳みミラーは、前記軸を中心にして振動することにより前記映像の投影範囲を拡大するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項23】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記走査ミラーは、前記プロジェクタがピクセルの前記線を生じるリフレッシュ・レートの半分の速度で回転するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項24】
広角表示システムであって、
曲率中心を有する表示曲面と、ピクセルの一連の線を有する映像を投影するように構成された直線状のアレイ・プロジェクタと、
前記映像を走査ミラーに向けて反射するように構成された折り畳みミラーと、
2つの平行で実質的に平坦な対向する反射側面と前記対向する反射側面と平行でありかつ曲率中心と同一線上にある回転軸とを有し、前記回転軸を中心にして連続的に回転することにより前記ピクセルの線を表示曲面上に反射して前記映像を前記表示曲面の全体にわたって走査するように構成された走査ミラーと、
を備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項25】
パノラマ式映像を投影する方法であって、
a)表示曲面の曲率中心と実質的に平行な回転軸を中心にして走査ミラーを連続的に回転させるステップと、
b)グレーティング・ライト・バルブ・プロジェクタを用いて、前記回転軸と実質的に平行であるピクセルの線を含む映像を前記走査ミラーの上に投影することにより、前記映像を前記表示曲面上に反射するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、
c)前記映像を、前記映像を前記走査ミラーに反射する折り畳みミラーの上に投影するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、
d)前記走査ミラーの回転軸と実質的に平行な軸を中心にして前記折り畳みミラーを振動させることにより前記映像の投影範囲を拡大するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項25記載の方法において、ステップa)は、前記プロジェクタのリフレッシュ・レートの半分の周波数で前記走査ミラーを回転させることにより前記映像を前記走査ミラーの2つの実質的に平坦で平行な対向する反射側面の上に投影するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
広角表示システムであって、
それぞれのプロジェクタが垂直方向の線状のピクセルを含む映像を一意的な光軸に沿って収束点に向かって投影するように構成された少なくとも2つの直線状のアレイ・プロジェクタと、
表示曲面と、
実質的に収束点に配置され少なくとも2つの実質的に平坦な垂直方向の反射側面を有しており垂直軸を中心にして連続的に回転しそれぞれのプロジェクタからの映像を前記表示曲面の上に反射するように構成されている走査ミラーと、
を備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項30】
請求項29記載の広角表示システムにおいて、前記直線状の少なくとも2つのアレイ・プロジェクタは直線状の2つのアレイ・プロジェクタを含み、前記走査ミラーは2つの対向する垂直側面を有する実質的に平坦な筐体を有することを特徴とする広角表示システム。
【請求項31】
請求項30記載の広角表示システムにおいて、前記直線状の2つのアレイ・プロジェクタは前記走査ミラーに対して実質的に直接に対向して配置され、それぞれのプロジェクタは360度の曲面状のスクリーンのほぼ半分の上に映像を投影するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項32】
請求項29記載の広角表示システムにおいて、前記走査ミラーは、多数の直線状アレイ・プロジェクタと等しい多数の反射垂直側面を有する多面体を含むことを特徴とする広角表示システム。
【請求項33】
請求項32記載の広角表示システムにおいて、それぞれの直線状アレイ・プロジェクタは360度の曲面状スクリーンの異なる部分の上に映像を投影するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項34】
請求項29記載の広角表示システムにおいて、前記表示曲面の曲率中心は実質的に垂直方向であり、前記走査ミラーの垂直軸は前記表示曲面の曲率中心と実質的に同一線上にあることを特徴とする広角表示システム。
【請求項1】
広角度表示システムであって、
映像を光学軸に沿って投影するように構成された直線状のアレイ・プロジェクタと、
表示曲面と、
平面を画定し光軸に沿って配置された実質的に平坦な走査ミラーであって、実質的にこのミラーの面内にある回転軸を中心にして連続的に回転し前記表示曲面の上に前記映像を反射させる走査ミラーと、
を備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、
前記走査ミラーは、2つの実質的に平坦で対向する反射側面を備えていることを特徴とする広角表示表示システム。
【請求項3】
請求項2記載の広角表示システムにおいて、前記直線状アレイ・プロジェクタは2つの直線状アレイ・プロジェクタを備えており、前記2つの直線状アレイ・プロジェクタは前記走査ミラーの対向する側面からの映像を実質的に前記走査ミラーの位置にある収束点に向かって投影するように構成され、前記走査ミラーはそれぞれのプロジェクタからの映像を前記表示面の上に反射するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項4】
請求項3記載の広角表示システムにおいて、この表示システムは、映像を前記表示曲面の360度の円弧全体に投影するように構成されたことを特徴とする広角表示システム。
【請求項5】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記プロジェクタはリフレッシュ・レートを有しており、前記走査ミラーは前記リフレッシュ・レートの半分の速度で回転するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項6】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記直線状アレイ・プロジェクタは前記回転軸と実質的に平行なピクセルのアレイを投影するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項7】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記光軸は前記走査ミラーの回転軸に対して斜めであることを特徴とする広角表示システム。
【請求項8】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記光軸に沿って配置され前記走査ミラーの軸と実質的に平行な軸を有し前記映像を前記走査ミラーに反射するように構成された実質的に平坦な折り畳みミラーを更に備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項9】
請求項8記載の広角表示システムにおいて、前記折り畳みミラーはその軸を中心に振動することにより前記映像の投影範囲を増加させることを特徴とする広角表示システム。
【請求項10】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記表示曲面は前記走査ミラーの回転軸と実質的に平行な曲率軸を有することを特徴とする広角表示システム。
【請求項11】
請求項10記載の広角表示システムにおいて、前記表示曲面の曲率軸は前記走査ミラーの回転軸と実質的に同一直線上にあることを特徴とする広角表示システム。
【請求項12】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記映像は90度を超える円弧にわたって前記表示曲面上に投影される。
【請求項13】
請求項12記載の広角表示システムにおいて、前記映像は270度を超える円弧にわたって前記表示曲面上に投影される。
【請求項14】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記映像は前記表示曲面の凹側で見ることができることを特徴とする広角表示システム。
【請求項15】
請求項1記載の広角表示システムにおいて、前記映像は前記表示曲面の凸側で見ることができることを特徴とする広角表示システム。
【請求項16】
広角表示システムであって、
ピクセルの一連の線を有する映像を投影するように構成されている直線状のアレイ・プロジェクタと、
前記映像を走査ミラーに向けて反射するように構成された折り畳みミラーと、
2つの平行で実質的に平坦な対向する反射側面と前記対向する反射側面と平行でありかつ前記ピクセルの線に平行な回転軸とを有し、前記回転軸を中心にして連続的に回転することにより前記ピクセルの線を表示曲面上に反射して前記映像を前記表示曲面の全体にわたって走査するように構成された走査ミラーと、
を備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項17】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記ピクセルの線は垂直方向の線を有し、前記映像は前記スクリーンの全体に水平方向に走査されることを特徴とする広角表示システム。
【請求項18】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記回転軸は前記表示曲面の焦点軸と実質的に同一直線上にあることを特徴とする広角表示システム。
【請求項19】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記走査ミラーは視聴者の位置よりも上方に配置されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項20】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記表示曲面は複曲面であることを特徴とする広角表示システム。
【請求項21】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記直線状のアレイ・プロジェクタはグレーティング・ライト・バルブを含むことを特徴とする広角表示システム。
【請求項22】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記折り畳みミラーは、
平面を定義する反射表面と、
前記平面と実質的に平行であり前記ピクセルの線と実質的に平行な軸と、
を更に備えており、前記折り畳みミラーは、前記軸を中心にして振動することにより前記映像の投影範囲を拡大するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項23】
請求項16記載の広角表示システムにおいて、前記走査ミラーは、前記プロジェクタがピクセルの前記線を生じるリフレッシュ・レートの半分の速度で回転するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項24】
広角表示システムであって、
曲率中心を有する表示曲面と、ピクセルの一連の線を有する映像を投影するように構成された直線状のアレイ・プロジェクタと、
前記映像を走査ミラーに向けて反射するように構成された折り畳みミラーと、
2つの平行で実質的に平坦な対向する反射側面と前記対向する反射側面と平行でありかつ曲率中心と同一線上にある回転軸とを有し、前記回転軸を中心にして連続的に回転することにより前記ピクセルの線を表示曲面上に反射して前記映像を前記表示曲面の全体にわたって走査するように構成された走査ミラーと、
を備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項25】
パノラマ式映像を投影する方法であって、
a)表示曲面の曲率中心と実質的に平行な回転軸を中心にして走査ミラーを連続的に回転させるステップと、
b)グレーティング・ライト・バルブ・プロジェクタを用いて、前記回転軸と実質的に平行であるピクセルの線を含む映像を前記走査ミラーの上に投影することにより、前記映像を前記表示曲面上に反射するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、
c)前記映像を、前記映像を前記走査ミラーに反射する折り畳みミラーの上に投影するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、
d)前記走査ミラーの回転軸と実質的に平行な軸を中心にして前記折り畳みミラーを振動させることにより前記映像の投影範囲を拡大するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項25記載の方法において、ステップa)は、前記プロジェクタのリフレッシュ・レートの半分の周波数で前記走査ミラーを回転させることにより前記映像を前記走査ミラーの2つの実質的に平坦で平行な対向する反射側面の上に投影するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
広角表示システムであって、
それぞれのプロジェクタが垂直方向の線状のピクセルを含む映像を一意的な光軸に沿って収束点に向かって投影するように構成された少なくとも2つの直線状のアレイ・プロジェクタと、
表示曲面と、
実質的に収束点に配置され少なくとも2つの実質的に平坦な垂直方向の反射側面を有しており垂直軸を中心にして連続的に回転しそれぞれのプロジェクタからの映像を前記表示曲面の上に反射するように構成されている走査ミラーと、
を備えていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項30】
請求項29記載の広角表示システムにおいて、前記直線状の少なくとも2つのアレイ・プロジェクタは直線状の2つのアレイ・プロジェクタを含み、前記走査ミラーは2つの対向する垂直側面を有する実質的に平坦な筐体を有することを特徴とする広角表示システム。
【請求項31】
請求項30記載の広角表示システムにおいて、前記直線状の2つのアレイ・プロジェクタは前記走査ミラーに対して実質的に直接に対向して配置され、それぞれのプロジェクタは360度の曲面状のスクリーンのほぼ半分の上に映像を投影するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項32】
請求項29記載の広角表示システムにおいて、前記走査ミラーは、多数の直線状アレイ・プロジェクタと等しい多数の反射垂直側面を有する多面体を含むことを特徴とする広角表示システム。
【請求項33】
請求項32記載の広角表示システムにおいて、それぞれの直線状アレイ・プロジェクタは360度の曲面状スクリーンの異なる部分の上に映像を投影するように構成されていることを特徴とする広角表示システム。
【請求項34】
請求項29記載の広角表示システムにおいて、前記表示曲面の曲率中心は実質的に垂直方向であり、前記走査ミラーの垂直軸は前記表示曲面の曲率中心と実質的に同一線上にあることを特徴とする広角表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−503020(P2007−503020A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523897(P2006−523897)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/025576
【国際公開番号】WO2005/019931
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506058369)エヴァンス・アンド・サザーランド・コンピューター・コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/025576
【国際公開番号】WO2005/019931
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506058369)エヴァンス・アンド・サザーランド・コンピューター・コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
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