説明

パルス変調型光検出装置及び電子機器

【課題】被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作が生じないパルス変調型光検出装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】パルス変調型光検出装置50は、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期するか否かを判定し、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していないと判定したとき、同期タイミングパルス信号S2の生成を停止させる停止信号S501を同期タイミング回路5へ出力する外乱光検知部200を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子からパルス変調された光を発光し物体の有無を検出するパルス変調型検出装置及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機及びプリンタ等のFA及びOA機器、並びにゲーム機といったアミューズメント機器等の電子機器では、所定通路において記録紙、コイン及び玉等の物体の有無を検出する事が必要となる場合がある。このような物体の有無の検出には、物体に対して非接触型であるという理由から、光を用いて物体の有無を検出する光検出装置が好適に使用されている。
【0003】
図11は、従来のパルス変調型光検出装置100のブロック図である。パルス変調型光検出装置100は、定電圧回路101、電源端子102、GND端子103、発振回路104、同期タイミング回路105、発光素子駆動回路106、発光素子107、受光素子108、アンプ109、コンパレータ110、信号処理回路111、出力回路112、出力端子113、及び、電源115を備えている。負荷114は、一端が、電源端子102に接続され、他端が、出力端子113に接続される。パルス変調型光検出装置100の動作について、以下に説明する。
【0004】
電源115のプラス端子は、電源端子102を介して、定電圧回路101の入力端子に接続されている。電源115のマイナス端子は、GND端子103を介して、定電圧回路101のGND端子に接続されている。これにより、定電圧回路101は、電源115を用いて定電圧Vを生成し、パルス変調型光検出装置100が備える各回路に、定電圧Vを供給する。
【0005】
パルス変調型光検出装置100では、発振回路104で生成された基本クロック(CLK)信号S101が、同期タイミング回路105にて同期タイミングパルス信号S102に変調される。発光素子駆動回路106は、同期タイミング回路105から発光素子駆動回路106に伝送される同期タイミングパルス信号S102がHiであるときに、発光素子107へ、発光パルス信号S103を出力する。発光素子107は、発光素子駆動回路106から入力された発光パルス信号S103に基づいて、パルス変調されたパルス光L2を、所定の位置へ向かって投射する。
【0006】
パルス変調型光検出装置100が、発光素子107及び受光素子108から+X方向に距離a離れた上記所定の位置を、+Y方向に通過する物体Bの有無を検出する場合を考える。パルス光L2は、発光素子107から上記所定の位置へ投射される。
【0007】
まず、物体Bが、上記所定の位置を通過する前は、パルス光L2が物体Bにより反射していないので、パルス光L2の反射光は、受光素子108には入射していない。
【0008】
次に、物体Bが上記所定の位置を通過して、パルス光L2を横切る時、パルス光L2は物体Bにより反射され、反射光L3は、受光素子108に入射する。
【0009】
このように、物体Bからの反射光L3を受光しているか否かにより、上記所定の位置を通過する物体Bの有無を検出するパルス変調型光検出装置100は、反射型パルス変調型光検出装置と称される。
【0010】
従って、周囲に外乱光等がなければ、受光素子108に入射する反射光L3は、パルス光L2を横切る物体Bの有無により、その有無が切り替わることになる。そして、受光素子108へ入射された反射光L3を、受光素子108により光電変換して、受光パルス信号S104を得る。
【0011】
受光パルス信号S104は、アンプ109で、電流電圧変換及び増幅を行われて増幅パルス信号S105となる。コンパレータ110の一方の入力端子(例えばプラス端子)に入力される増幅パルス信号S105は、コンパレータ110の他方の入力端子(例えばマイナス端子)に入力される判定レベルSthと比較され、波形を整形され、コンパレータ出力パルス信号S106として出力される。
【0012】
即ち、コンパレータ110は、受光パルス信号S104を増幅して生成された増幅パルス信号S105が、予め設定された判定レベルSthを超えたタイミングで、コンパレータ出力パルス信号S106を出力する。
【0013】
コンパレータ出力パルス信号S106は、信号処理回路111において同期タイミングパルス信号S102と比較される。これにより、受光素子108に入射する反射光L3が、発光素子107から上記所定の位置へ投射されるパルス光L2と同期した光であることを確認された上で、コンパレータ出力パルス信号S106に信号処理が施される。信号処理後のコンパレータ出力パルス信号S106は、信号処理回路出力信号S107として、出力回路112へ出力される。
【0014】
図12は、図11のパルス変調型光検出装置100におけるパルス信号の一例を示すタイミングチャートである。発振回路104から出力される基本クロック信号S101(矩形波パルス信号)は、16個のセグメントに分割された1周期の間で、HiとLowとが規則的に切り替わる。切り替わる回数は、1周期につき16回であり、基本クロック信号S101では、1周期につき8個のパルスが生成されている。1つのセグメントの時間を3μsecとした場合、1周期は、3μsec×16=48μsecになる。
【0015】
同期タイミング回路105から出力される同期タイミングパルス信号S102は、同期光を検知するセグメント位置を示す。図12に示す例の場合、2番目のセグメント位置で、同期タイミングパルス信号S102がLowからHiへと変化する。これにより、同期タイミングパルス信号S102に同期する光を、2番目のセグメント位置で検知することが設定される。これとともに、2番目のセグメント位置でLowからHiへと変化する矩形波の発光パルス信号S103が、発光素子駆動回路106から発光素子107へ出力されるので、発光素子107が発光する。
【0016】
反射物(物体B)が有る場合、受光素子108が反射光L3を受光する。受光素子108が出力する受光パルス信号S104は、アンプ109とコンパレータ110とを経由する。これにより、2番目のセグメント位置において、増幅パルス信号S105及びコンパレータ出力パルス信号S106が出力される。
【0017】
信号処理回路111では、2番目のセグメント位置において、同期タイミングパルス信号S102と、コンパレータ出力パルス信号S106との比較が行われる。比較された2つの信号が一致した場合は、16番目のセグメント位置において、同期タイミングパルス信号S102に同期する光(同期光)が検知されたと判定される。
【0018】
また、図12に示す例の場合、4番目のセグメント位置から14番目のセグメント位置までの間に、同期タイミングパルス信号S102に同期しない光(非同期光)の検知が行われる。非同期光が検知されたか否かの判定は、同期光が検知されたか否かの判定と同様に、16番目のセグメント位置で行われる。
【0019】
図11の従来のパルス変調型光検出装置100の場合、同期光が検知され、非同期光が検知されない場合、物体Bが有ると判定される。また、同期光が検知されるとともに、非同期光も検知された場合は、物体Bの有無の検知について判定しない(例えば、物体Bが無いという判定のまま固定する)。
【0020】
非同期光の検知では、4番目のセグメント位置から14番目のセグメント位置までの間に、1回でもパルス信号を検知した場合、非同期光が有ると判定される。非同期光が入力された回数が、1回でも複数回でも、それぞれの非同期光に対して同一の検知が行われる。
【0021】
さらに、誤動作防止のために、例えば以下に示す判定を行う。即ち、複数の周期で連続して同じ判定が得られた場合、最終的な物体の有無の検知についての判定は、同じ判定が得られた複数の周期における最後の周期で行っている。図12に示す例の場合、第1周期から第3周期まで同じ判定が得られたので、最後の第3周期において最終的な判定を行っている。
【0022】
図11の従来のパルス変調型光検出装置100と同様に、物体の有無を検出するものとして、特許文献1では、光の投射前に受光素子が光を検知した場合に、光の投射を中断し、受光素子が光を検知しなくなったら光の投射を再開する物体検出装置が開示されている。また、特許文献2では、受光素子にて検知されたパルス光のパルス幅が、発光素子から照射されるパルス幅に一致するか否かをパルス幅検知回路によって判定する物体検出回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】実開平6−18983号公報(1994年3月11日公開)
【特許文献2】特開2008−267884号公報(2008年11月6日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
図11の従来のパルス変調型光検出装置100では、同期光をデジタル信号へ変換することと、非同期光をデジタル信号へ変換することとを、同一のコンパレータ110で行っている。このため、増幅パルス信号S105と比較される判定レベルSthも同一となり、下記で述べる誤動作の要因となりやすい。
【0025】
上記に記載の通り、図11の従来のパルス変調型光検出装置100は、同期タイミングパルス信号S102と同期した光を検知したとしても、非同期光を検知した場合は、物体Bの有無の検知について判定しない(判定結果を固定するか判定そのものを中断する)。このことにより、外乱光による誤動作を防止している。
【0026】
しかしながら、図11のパルス変調型光検出装置100において、被検出対象でない物体からの微小な反射光と外乱光とが共に存在し、これらの光が混在して受光素子108へ入力された場合に、誤動作が生じる可能性がある。
【0027】
上記誤動作の概念を、図13及び図14に示す。図13は、図11の従来のパルス変調型光検出装置100を筐体120に収めた電子機器121の一部を示すブロック図である。図14は、従来のパルス変調型光検出装置100を備える電子機器121における、正常動作時及び誤動作時の各波形を示す波形図である。
【0028】
通常、被検出対象である物体が無い場合には、受光素子108への光の入射は無い。よって、アンプ109は増幅パルス信号S105を出力せず、コンパレータ110はコンパレータ出力パルス信号S106を出力しない。
【0029】
ここで、検出されるべき物体B以外からの微小な反射光L3’、例えばパルス変調型光検出装置100内での反射光(迷光成分も含まれる)や、パルス変調型光検出装置100が設置される電子機器121の筐体120等からによる反射光が存在する場合を考える。この場合、同期タイミングパルス信号S102がHiになるタイミングで、判定レベルSthに達しないような反射光L3’が、受光素子108に入射する。
【0030】
さらに、外乱光L3’’、例えばインバータ蛍光灯122の光が、受光素子108へ入力された場合を考える。この場合、筐体120等からによる反射光L3’に外乱光L3’’が重畳された重畳光L3’+L3’’が、同期タイミングパルス信号S102がHiになるタイミングで、判定レベルSthを超える。このため、コンパレータ110は、同期タイミングパルス信号S102がHiになるタイミングでコンパレータ出力パルス信号S106’(図14参照)を生成し、被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作を生じることとなる。
【0031】
このような誤動作を防止するものとして、以下に示す3つの対策が挙げられる。第1の対策では、同期タイミングパルス信号S102に同期した外乱光を検知した場合に、同期光を検出するための判定レベル(スレッシュ)を高くする。第2の対策では、同期タイミングパルス信号S102に同期していない外乱光のレベルを計測し、計測した値に応じて、同期光を検出するための判定レベルを高くする。第3の対策では、同期光を検知している期間においてパルスが複数検知された場合に、外乱光による誤動作であると判定する。
【0032】
しかしながら、第1の対策及び第2の対策における判定レベルの変更には限界があり、判定レベルを変更させるための回路の追加によって回路規模も大きくなる。また、第1の対策及び第2の対策は、非同期の外乱光に同期した迷光が重畳することで起きる誤動作を防止するものであり、実際には、同期した迷光が無い場合、または極端に小さい場合でも、非同期の外乱光による誤動作が確認されている。このため、光が重畳しない場合の誤動作についても防止する必要がある。
【0033】
同期した迷光が重畳していない場合の誤動作の概念図を図15に示す。図15に示すように、発光素子駆動回路106は、定電流回路201と、スイッチSW202とからなり、同期タイミングパルス信号S102によってスイッチSW202がON/OFFされる。これにより、発光素子107に流れる駆動電流がON/OFFされて、発光素子107の発光/非発光が行われる。
【0034】
上記駆動電流として、100mA程度の電流が必要であり、スイッチSW202のON/OFFによる電流I100の変動、特に、スイッチSW202がONした時に流れる突入電流I100’により、アンプ109のGND側の電位が不安定となる。
【0035】
ここで、設計者の意図しない寄生抵抗RPAなどに、突入電流I100’が流れることにより、アンプ109のGND側にノイズ電圧V100が発生する。これにより、アンプ109のGND電位が変化する結果、電流I100の変動による信号が、アンプ109から出力される。ノイズ電圧V100により生成される、電流I100の変動による信号と、非同期の外乱光L3’’による信号とが重畳し、誤動作を引き起こす。
【0036】
一般的に、GND電位の変動の抑制は、電源とGNDとの間に接続されたバイパスコンデンサによって行うが、実装上/コスト面より難しい場合がある。また、受光素子108のために設けられる回路の構成として、アンプ109以外に、アンプ109と構成が同一であるリファレンス回路を有する方法が用いられる。しかし、アンプ109とリファレンス回路とを全く同一の配置にすることは難しく、配置の差によって信号の重畳が起こり、誤動作が引き起こされる場合がある。
【0037】
従って、発光素子を駆動する電流がONした時の電流変動による、アンプ109のGND電位の変動を確実に抑制することが、確実な誤動作防止手段となり、判定レベルの変更だけでは不十分である。
【0038】
また、特許文献1の物体検出装置は、まず、光の投射が無い状態で受光素子が検知を行い、受光素子が光を検知しなくなったら初めて光を投射するものである。よって、複写機などのように、ある程度の輝度を有していて検知されるべきでない光が常に存在する場合、ほとんど動作することができない。
【0039】
また、特許文献2では、コンパレータ出力からの信号(G)におけるパルス幅またはパルス数をカウントして、同期信号(I)のパルス幅またはパルス数と比較することによって、誤動作を防止する方法が提案されている。しかし、発光素子が出力するパルス光と同期していない外乱光による信号と、発光素子がONした時に生じる突入電流によるノイズ信号とが重畳した場合は、誤動作を防止することが出来ない。
【0040】
以上のように、従来のパルス変調型光検出装置100は、以下の(a)〜(c)の内いずれか1つの現象が起こると、物体B(被検出対象)が無いにも関わらず、受光素子108がパルス光L2と同期した外光を受光して誤動作が生じる可能性がある。
【0041】
即ち、(a)物体B以外の物体からの反射光L3’(パルス変調型光検出装置100内部の反射光やパルス変調型光検出装置100の筐体120による反射光)による信号と、インバータ蛍光灯光等の外乱光L3’’による信号とが重畳する場合、(b)発光素子107がONした時に生じる突入電流I100’によるノイズ信号と、外乱光L3’’による信号とが重畳する場合、または、(c)パルス変調型光検出装置100を用いた複写機などにおいて、ある程度の輝度を有していて検知されるべきでない光が常に存在する場合には、物体Bが無いにも関わらず、受光素子108がパルス光L2と同期した外光を受光して誤動作が生じる可能性がある。
【0042】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作が生じないパルス変調型光検出装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0043】
パルス変調型光検出装置は、上記課題を解決するために、入力されたクロック信号を変調して、アクティブレベルと非アクティブレベルとからなるパルス信号を生成するパルス信号生成回路と、上記アクティブレベルの期間では電流が流れ、上記非アクティブレベルの期間では電流が流れないように駆動される発光素子であって、上記パルス信号が上記アクティブレベルである期間に同期したパルス光を、所定の空間に発光する発光素子と、上記所定の空間を通過する被検出対象により反射された上記パルス光を受光可能に配置され、受光光に応じた電流信号を生成する受光素子と、電流電圧変換及び増幅を上記電流信号に対して行うことにより、電圧信号を生成するアンプと、上記電圧信号と所定の基準値とを比較して、上記電圧信号が上記基準値より高いことを示す第1比較信号と上記電圧信号が上記基準値以下であることを示す第2比較信号とからなる比較信号を生成するコンパレータと、上記第1比較信号と上記パルス信号とが同期しているとともに、上記パルス信号が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されなければ、上記被検出対象が有ると判定し、一方、上記第2比較信号が生成されるか、上記パルス信号が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されれば、上記被検出対象が無いと判定する判定回路とを備えるパルス変調型光検出装置であって、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定したとき、上記パルス信号の生成を停止させる停止信号を上記パルス信号生成回路へ出力する停止回路を備えることを特徴とする。
【0044】
まず、以下の(a)〜(c)の内いずれか1つの現象が起こると、上記被検出対象が無いにも関わらず、上記受光素子が上記パルス光と同期した外光を受光する。即ち、(a)被検出対象以外の物体からの反射光(パルス変調型光検出装置内部の反射光やパルス変調型光検出装置の筐体による反射光)による信号と、インバータ蛍光灯光等の外乱光による信号とが重畳する場合、(b)上記発光素子がONした時に生じる突入電流によるノイズ信号と、上記外乱光による信号とが重畳する場合、または、(c)上記パルス変調型光検出装置を用いた複写機などにおいて、ある程度の輝度を有していて検知されるべきでない光が常に存在する場合には、被検出対象が無いにも関わらず、上記受光素子が上記パルス光と同期した上記外光を受光する。また、この場合に、上記パルス光と同期しない外光も受光する。
【0045】
これにより、被検出対象が無いにも関わらずあたかも被検出対象が有るかのような同期光の検知が行われる一方、以下の(1)及び(2)の現象が起こる。即ち、(1)上記パルス信号と同期していない上記電圧信号が出力されるとともに、(2)上記パルス信号が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成される。
【0046】
ここで、上記発明によれば、(1)上記パルス信号と同期していない上記電圧信号が出力されると、上記停止回路は、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定して、上記パルス信号の生成を停止させる。
【0047】
よって、(2)上記パルス信号が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成される場合は、上記発光素子をOFFすることができる。
【0048】
上記発光素子がOFFされるので、上記判定回路は、上記パルス信号が出力されていないときに上記比較信号が出力されることにより、上記被検出対象が無いと判定する。
【0049】
従って、被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作が生じないパルス変調型光検出装置を提供することができる。
【0050】
上記パルス変調型光検出装置では、上記停止回路は、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを複数回判定してもよい。これにより、インバータ光の様な一様な非同期の外乱光を検知することができる。
【0051】
上記パルス変調型光検出装置では、上記停止回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定すれば、誤動作を引き起こすノイズ光を検知したと判定してもよい。
【0052】
また、上記パルス変調型光検出装置では、上記停止回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定すれば、上記停止信号を上記パルス信号生成回路へ出力し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記停止信号を上記パルス信号生成回路へ出力せずに通常動作を行ってもよい。
【0053】
誤動作を引き起こす可能性が大きい外乱光は、例えばインバータ蛍光灯の光などの一様に発生する光であり、頻度の小さい単発パルス光のみの場合は、誤動作の可能性が小さい。
【0054】
従って、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定した時の、一様に発生する外乱光を、非同期の外乱光(誤動作を引き起こすノイズ光)として扱う。また、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記停止信号を上記パルス信号生成回路へ出力せず通常動作を行う。これにより、誤動作を引き起こす可能性を小さくすることができる。
【0055】
上記パルス変調型光検出装置では、上記停止回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記クロック信号の周波数をより高くしてもよい。
【0056】
上記停止回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、本来検知されるべき、インバータ光等の一様な非同期の外乱光が検知できていないと判定する。この原因は、一様な非同期の外乱光の周波数と、外乱光の検知に用いる上記クロック信号の周波数とがずれていることである。
【0057】
よって、一様ではない単発の外乱光が検知されるか否かを判断する前に、上記クロック信号の周波数をより高くして、外乱光の検知を再度行うことで、より高い精度で外乱光を検知することが可能となり、より高い精度で誤動作を防止することができる。
【0058】
上記パルス変調型光検出装置では、上記停止回路による判定は周期的に行われ、上記停止回路が、上記パルス信号生成回路へ上記停止信号を出力した後に、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していない状態が解消されたと判定すれば、上記停止信号の出力を停止してもよい。これにより、上記所定の空間を通過する被検出対象を継続して検知することが可能となる。
【0059】
パルス変調型光検出装置は、上記課題を解決するために、入力されたクロック信号を変調して、アクティブレベルと第1の非アクティブレベルとからなるパルス信号を生成するとともに、上記第1の非アクティブレベルと第2の非アクティブレベルとからなる信号である第1の信号を生成するパルス信号生成回路と、上記パルス信号のレベルに応じた電流と、上記第1の信号のレベルに応じた電流との和の電流が流れ、上記パルス信号が上記アクティブレベルである期間では、上記パルス信号のレベルに応じた電流として第1電流が供給され、上記第1の信号が上記第2の非アクティブレベルである期間では、上記第1の信号のレベルに応じた電流として上記第1電流よりも小さい電流である第2電流が供給されるように駆動される発光素子であって、上記和の電流に応じたパルス光を、所定の空間に発光する発光素子と、上記所定の空間を通過する被検出対象により反射された上記パルス光を受光可能に配置され、受光光に応じた電流信号を生成する受光素子と、電流電圧変換及び増幅を上記電流信号に対して行うことにより、電圧信号を生成するアンプと、上記電圧信号と所定の基準値とを比較して、上記電圧信号が上記基準値より高いことを示す第1比較信号と上記電圧信号が上記基準値以下であることを示す第2比較信号とからなる比較信号を生成するコンパレータと、上記第1比較信号と上記パルス信号とが同期しているとともに、上記パルス信号が上記第1の非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されなければ、上記被検出対象が有ると判定し、一方、上記第2比較信号が生成されるか、上記パルス信号が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されれば、上記被検出対象が無いと判定する判定回路とを備えるパルス変調型光検出装置であって、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定した後に、上記パルス信号が上記アクティブレベルになるまでは、上記第2の非アクティブレベルである上記第1の信号を上記パルス信号生成回路に生成させるために、上記第1の信号を上記パルス信号生成回路に生成させるための信号である生成信号を、上記パルス信号生成回路に出力する生成回路を備えることを特徴とする。
【0060】
上記発明によれば、上記生成回路は、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定した後に、上記パルス信号が上記アクティブレベルになるまでは、上記第2の非アクティブレベルである上記第1の信号を上記パルス信号生成回路に生成させるために、上記第1の信号を上記パルス信号生成回路に生成させるための信号である生成信号を、上記パルス信号生成回路に出力する生成回路を備える。
【0061】
これにより、上記発光素子は、上記パルス信号に応じた上記第1電流が流れる前に、上記第1の信号に応じた上記第2電流が流れる。
【0062】
上記第2電流は、上記第1電流よりも小さいので、上記発光素子に流れる電流がゼロから上記第1電流に変化する場合よりも、上記発光素子に流れる電流の変動を小さくすることができる。電流の変動を小さくすることで、上記電流が流れる時にGNDに流れる突入電流を低減することができるので、上記突入電流による誤動作((b)上記発光素子がONした時に生じる突入電流によるノイズ信号と、上記外乱光による信号とが重畳する場合の誤動作)を防止することが出来る。
【0063】
従って、被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作が生じないパルス変調型光検出装置を提供することができる。
【0064】
上記パルス変調型光検出装置では、上記生成信号は、直流信号であってもよい。
【0065】
また、上記パルス変調型光検出装置では、上記生成信号は、パルスからなる信号であってもよい。
【0066】
これらの構成により、上記発光素子に流れる電流がゼロから上記第1電流に変化する場合よりも、上記発光素子に流れる電流の変動を小さくすることができる。よって、上記突入電流による誤動作防止することが出来、被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作が生じないパルス変調型光検出装置を提供することができる。
【0067】
上記パルス変調型光検出装置では、上記生成回路は、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを複数回判定してもよい。これにより、インバータ光の様な一様な非同期の外乱光を検知することができる。
【0068】
上記パルス変調型光検出装置では、上記生成回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定すれば、誤動作を引き起こすノイズ光を検知したと判定してもよい。
【0069】
また、上記パルス変調型光検出装置では、上記生成回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定すれば、上記生成信号を上記パルス信号生成回路へ出力し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記生成信号を上記パルス信号生成回路へ出力せずに通常動作を行ってもよい。
【0070】
誤動作を引き起こす可能性が大きい外乱光は、例えばインバータ蛍光灯の光などの一様に発生する光であり、頻度の小さい単発パルス光のみの場合は、誤動作の可能性が小さい。
【0071】
従って、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定した時の、一様に発生する外乱光を、非同期の外乱光(誤動作を引き起こすノイズ光)として扱う。また、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記生成信号を上記パルス信号生成回路へ出力せず通常動作を行う。これにより、誤動作を引き起こす可能性を小さくすることができる。
【0072】
上記パルス変調型光検出装置では、上記生成回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記クロック信号の周波数をより高くしてもよい。
【0073】
上記生成回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、本来検知されるべき、インバータ光等の一様な非同期の外乱光が検知できていないと判定する。この原因は、一様な非同期の外乱光の周波数と、外乱光の検知に用いる上記クロック信号の周波数とがずれていることである。
【0074】
よって、一様ではない単発の外乱光が検知されるか否かを判断する前に、上記クロック信号の周波数をより高くして、外乱光の検知を再度行うことで、より高い精度で外乱光を検知することが可能となり、より高い精度で誤動作を防止することができる。
【0075】
上記パルス変調型光検出装置では、上記生成回路による判定は周期的に行われ、上記生成回路が、上記パルス信号生成回路へ上記生成信号を出力した後に、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していない状態が解消されたと判定すれば、上記生成信号の出力を停止してもよい。これにより、上記所定の空間を通過する被検出対象を継続して検知することが可能となる。
【0076】
本発明の電子機器は、上記いずれかのパルス変調型光検出装置を備えているので、被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作が生じない。
【発明の効果】
【0077】
本発明のパルス変調型光検出装置は、以上のように、電圧信号とパルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定したとき、上記パルス信号の生成を停止させる停止信号を上記パルス信号生成回路へ出力する停止回路を備えるものである。
【0078】
また、本発明のパルス変調型光検出装置は、以上のように、電圧信号とパルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定した後に、上記パルス信号がアクティブレベルになるまでは、第2の非アクティブレベルである第1の信号をパルス信号生成回路に生成させるために、上記第1の信号を上記パルス信号生成回路に生成させるための信号である生成信号を、上記パルス信号生成回路に出力する生成回路を備えるものである。
【0079】
それゆえ、被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作が生じないパルス変調型光検出装置及び電子機器を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係るパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図2】図1のパルス変調型光検出装置における各パルス信号のタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る他のパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図4】図3のパルス変調型光検出装置が有する発光素子駆動回路を示す回路図である。
【図5】図3のパルス変調型光検出装置において、定電流源を直流電流源として使用した場合の、各パルス信号のタイミングチャートである。
【図6】図3のパルス変調型光検出装置において、前電流を流すための電流源として定電流源を使用した場合の、各パルス信号のタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るさらに別のパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図8】図7のパルス変調型光検出装置における各パルス信号のタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るさらに別のパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図10】図9のパルス変調型光検出装置における各パルス信号のタイミングチャートである。
【図11】従来のパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図12】図11のパルス変調型光検出装置におけるパルス信号の一例を示すタイミングチャートである。
【図13】図11の従来のパルス変調型光検出装置を筐体に収めた電子機器の一部を示すブロック図である。
【図14】従来のパルス変調型光検出装置を備える電子機器における、正常動作時及び誤動作時の各波形を示す波形図である。
【図15】同期した迷光が重畳していない場合の誤動作の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明の一実施形態について図1〜図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置の基本構成について、図1に基づいて説明する。
【0082】
〔パルス変調型光検出装置50の基本構成〕
図1は、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50のブロック図である。パルス変調型光検出装置50は、定電圧回路1、電源端子2、GND端子3、発振回路4、同期タイミング回路5(パルス信号生成回路)、発光素子駆動回路6、発光素子7、受光素子8、アンプ9、コンパレータ10、信号処理回路11(判定回路)、出力回路12、出力端子13、電源15、及び、外乱光検知部200を備えている。負荷14は、一端が、電源端子2に接続され、他端が、出力端子13に接続される。まずは、パルス変調型光検出装置50の、外乱光検知部200を除く部分の動作について、以下に説明する。
【0083】
電源15のプラス端子は、電源端子2を介して、定電圧回路1の入力端子に接続されている。電源15のマイナス端子は、GND端子3を介して、定電圧回路1のGND端子に接続されている。これにより、定電圧回路1は、電源15を用いて定電圧Vを生成し、パルス変調型光検出装置50が備える各回路に、定電圧Vを供給する。
【0084】
パルス変調型光検出装置50では、発振回路4で生成された基本クロック(CLK)信号S1が、同期タイミング回路5にて、アクティブレベルと非アクティブレベルとからなる同期タイミングパルス信号S2(パルス信号)に変調される。発光素子駆動回路6は、同期タイミング回路5から発光素子駆動回路6に伝送される同期タイミングパルス信号S2がHiであるとき(期間sect_1と称する)に、発光素子7へ、発光パルス信号S3を出力する。発光素子7は、発光素子駆動回路6から入力された発光パルス信号S3に基づいて、パルス変調されたパルス光L2を、所定の位置(所定の空間)へ向かって投射する。
【0085】
パルス光L2は、同期タイミングパルス信号S2が上記アクティブレベルである期間に投射され、同期タイミングパルス信号S2が上記非アクティブレベルである期間には投射されない。
【0086】
パルス変調型光検出装置50が、発光素子7及び受光素子8から+X方向に距離a離れた上記所定の位置を、+Y方向に通過する物体Bの有無を検出する場合を考える。パルス光L2は、発光素子7から上記所定の位置へ投射される。
【0087】
まず、物体Bが、上記所定の位置を通過する前は、パルス光L2が物体Bにより反射していないので、パルス光L2の反射光は、受光素子8には入射していない。
【0088】
次に、物体Bが上記所定の位置を通過して、パルス光L2を横切る時、パルス光L2は物体Bにより反射される。受光素子8は、パルス光L2の反射光L3を受光可能に配置されており、反射光L3は受光素子8に入射する。受光素子8は、受光光に応じた電流信号を生成する。
【0089】
このように、物体Bからの反射光L3を受光しているか否かにより、上記所定の位置を通過する物体Bの有無を検出するパルス変調型光検出装置50は、反射型パルス変調型光検出装置と称される。
【0090】
従って、周囲に外乱光等がなければ、受光素子8に入射する反射光L3は、パルス光L2を横切る物体Bの有無により、その有無が切り替わることになる。そして、受光素子8へ入射された反射光L3を、受光素子8により光電変換して、電流信号である受光パルス信号S4を得る。
【0091】
受光パルス信号S4は、アンプ9で、電流電圧変換及び増幅を行われて、電圧信号である増幅パルス信号S5(電圧信号)となる。コンパレータ10の一方の入力端子(例えばプラス端子)に入力される増幅パルス信号S5は、コンパレータ10の他方の入力端子(例えばマイナス端子)に入力される判定レベルSth(所定の基準値)と比較され、波形を整形され、コンパレータ出力パルス信号S6(比較信号)として出力される。
【0092】
即ち、コンパレータ10は、受光パルス信号S4を増幅して生成された増幅パルス信号S5が、予め設定された判定レベルSthを超えたタイミングで、コンパレータ出力パルス信号S6を出力する。
【0093】
コンパレータ出力パルス信号S6は、信号処理回路11において同期タイミングパルス信号S2と比較される。これにより、受光素子8に入射する反射光L3が、発光素子7から上記所定の位置へ投射されるパルス光L2と同期した光であることを確認された上で、コンパレータ出力パルス信号S6に信号処理が施される。信号処理後のコンパレータ出力パルス信号S6は、信号処理回路出力信号S7として、出力回路12へ出力される。信号処理回路出力信号S7のレベルは、上記所定の位置を通過する物体Bの有無に応じて、HiまたはLowとなる。例えば、信号処理回路出力信号S7は、物体Bが上記所定の位置を通過する場合にHiになり、物体Bが上記所定の位置を通過しない場合にLowになる。
【0094】
アンプ9は、電流電圧変換及び増幅を受光パルス信号S4に対して行うことにより、増幅パルス信号S5を生成する。
【0095】
コンパレータ10は、増幅パルス信号S5が判定レベルSthより高いことを示す第1比較信号と増幅パルス信号S5が判定レベルSth以下であることを示す第2比較信号とからなるコンパレータ出力パルス信号S6を生成する。
【0096】
信号処理回路11は、上記第1比較信号と、同期タイミングパルス信号S2とが同期しているとともに、同期タイミングパルス信号S2が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されなければ、物体Bが有ると判定し、一方、上記第2比較信号が生成されるか、同期タイミングパルス信号S2が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されれば、物体Bが無いと判定する。
【0097】
〔パルス信号のタイミングチャート〕
図2は、図1のパルス変調型光検出装置50における各パルス信号のタイミングチャートである。発振回路4から出力される基本クロック信号S1(矩形波パルス信号)は、16個のセグメントに分割された1周期の間で、HiとLowとが規則的に切り替わる。切り替わる回数は、1周期につき16回であり、基本クロック信号S1では、1周期につき8個のパルスが生成されている。1つのセグメントの時間を3μsecとした場合、1周期は、3μsec×16=48μsecになる。
【0098】
同期タイミング回路5から出力される同期タイミングパルス信号S2は、同期光を検知するセグメント位置を示す。図2に示す例の場合、2番目のセグメント位置で、同期タイミングパルス信号S2がLowからHiへと変化する。これにより、同期タイミングパルス信号S2に同期する光を、2番目のセグメント位置で検知することが設定される。これとともに、2番目のセグメント位置でLowからHiへと変化する矩形波の発光パルス信号S3が、発光素子駆動回路6から発光素子7へ出力されるので、発光素子7が発光する。
【0099】
反射物(物体B)が有る場合、受光素子8が反射光L3を受光する。受光素子8が出力する受光パルス信号S4は、アンプ9とコンパレータ10とを経由する。これにより、2番目のセグメント位置において、増幅パルス信号S5及びコンパレータ出力パルス信号S6が出力される。
【0100】
信号処理回路11では、2番目のセグメント位置において、同期タイミングパルス信号S2と、コンパレータ出力パルス信号S6との比較が行われる。比較された2つの信号が一致した場合は、16番目のセグメント位置において、同期タイミングパルス信号S2に同期する光(同期光)が検知されたと判定される。
【0101】
また、図2に示す例の場合、4番目のセグメント位置から14番目のセグメント位置までの間に、同期タイミングパルス信号S2に同期しない光(非同期光)の検知が行われる。非同期光が検知されたか否かの判定は、同期光が検知されたか否かの判定と同様に、16番目のセグメント位置で行われる。
【0102】
図1のパルス変調型光検出装置50の場合、同期光が検知され、非同期光が検知されない場合、物体Bが有ると判定される。また、同期光が検知されるとともに、非同期光も検知された場合は、後述する外乱光検知部200によりパルス光の投射を停止する。
【0103】
非同期光の検知では、4番目のセグメント位置から14番目のセグメント位置までの間に、1回でもパルス信号を検知した場合、非同期光が有ると判定される。非同期光が入力された回数が、1回でも複数回でも、それぞれの非同期光に対して同一の検知が行われる。
【0104】
さらに、誤動作防止のために、例えば以下に示す判定を行う。即ち、複数の周期で連続して同じ判定が得られた場合、最終的な物体の有無の検知についての判定は、同じ判定が得られた複数の周期における最後の周期で行っている。図2に示す例の場合、第1周期から第3周期まで同じ判定が得られたので、最後の第3周期において最終的な判定を行っている。
【0105】
〔外乱光検知部200〕
本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50では、図11のパルス変調型光検出装置100と比較すると、外乱光検知部200(停止回路)が追加されている。外乱光検知部200の動作を、以下に説明する。
【0106】
増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが入力される外乱光検知部200は、同期タイミングパルス信号S2がLowであるとき(期間sect_2と称する)における増幅パルス信号S5を検知する。期間sect_2において増幅パルス信号S5を検知すると、通常時はLowレベルであり、同期タイミング回路5へ出力される停止信号S501に、Hiレベルのパルスを生じさせる。
【0107】
同期タイミング回路5は、Hiレベルのパルス信号である停止信号S501が、外乱光検知部200から入力されると、同期タイミングパルス信号S2をOFFする(例えばLowレベルに固定する)。これにより、同期タイミングパルス信号S2にパルス信号(後述する同期信号P1)が含まれなくなる。
【0108】
本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50では、外乱光などの非同期光(同期タイミングパルス信号S2と同期していない光)が検知されるまでは、Hiレベルのパルス信号である同期信号P1が、1周期につき1回出力される。同期信号P1は、増幅パルス信号S5に含まれる信号である。
【0109】
ここで、第1周期において、非同期光により生じ、かつ、増幅パルス信号S5の中に含まれる非同期信号N1を検知した場合を考える。この場合、外乱光検知部200から同期タイミング回路5へ出力される停止信号S501に、Hiレベルのパルスが生じる。同期タイミング回路5は、Hiレベルのパルス信号である停止信号S501が入力されると、同期タイミングパルス信号S2をOFFし、第2周期以降の同期タイミングパルス信号S2には、同期信号P1が含まれなくなる。
【0110】
同期タイミングパルス信号S2がOFFされることにより、発光素子駆動回路6は、発光素子7を駆動する電流信号である発光パルス信号S3をOFFする。これにより、発光素子7はOFFし、発光、即ちパルス光L2の投射を停止する。
【0111】
ここで、非同期光の検知する方式として、非同期光信号を積分して得る方式、及び、非同期光のピークを検知する方式を採用しても問題はない。但し、同期光のピークを検知する方法を採用する場合は、同期光よりも非同期光を低い光量レベルで検知するため、コンパレータのスレッシュを低めに設定するのが望ましい。
【0112】
図1のパルス変調型光検出装置50について総括すると、以下の通りである。まず、以下の(a)〜(c)の内いずれか1つの現象が起こると、物体Bが無いにも関わらず、受光素子8がパルス光L2と同期した外光を受光する。即ち、(a)物体B以外の物体からの反射光(パルス変調型光検出装置50内部の反射光やパルス変調型光検出装置50の筐体による反射光)による信号と、インバータ蛍光灯光等の外乱光による信号とが重畳する場合、(b)発光素子7がONした時に生じる突入電流によるノイズ信号と、上記外乱光による信号とが重畳する場合、または、(c)パルス変調型光検出装置50を用いた複写機などにおいて、ある程度の輝度を有していて検知されるべきでない光が常に存在する場合には、被検出対象が無いにも関わらず、受光素子8がパルス光L2と同期した上記外光を受光する。また、この場合に、パルス光L2と同期しない外光も受光する。
【0113】
これにより、物体Bが無いにも関わらずあたかも被検出対象が有るかのような同期光の検知が行われる一方、以下の(1)及び(2)の現象が起こる。即ち、(1)同期タイミングパルス信号S2と同期していない増幅パルス信号S5が出力されるとともに、(2)同期タイミングパルス信号S2が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成される。
【0114】
ここで、上記構成によれば、(1)同期タイミングパルス信号S2と同期していない増幅パルス信号S5が出力されると、外乱光検知部200は、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していないと判定して、同期タイミングパルス信号S2の生成を停止させる(例えばLowに固定する)。具体的には、外乱光検知部200から同期タイミング回路5へ停止信号S501を出力することにより、同期タイミングパルス信号S2の生成を停止させる。
【0115】
よって、(2)同期タイミングパルス信号S2が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成される場合は、発光素子7をOFFすることができる。
【0116】
発光素子7がOFFされるので、信号処理回路11は、同期タイミングパルス信号S2が出力されていないときにコンパレータ出力パルス信号S6が出力されることにより、物体Bが無いと判定する。
【0117】
従って、物体Bが無いにも関わらず、物体Bが有ると誤って判定される誤動作が生じないパルス変調型光検出装置50を提供することができる。
【0118】
図1のパルス変調型光検出装置50は、非同期光を検知した場合、発光素子7をOFFすることにより同期光をOFFして誤動作を防止するものであるが、発光素子7に流れる電流を完全にOFFする。このため、発光素子7がONする時に遅延が生じて、早い反応が難しくなる可能性がある。この問題点を解決するのが、以下に示すパルス変調型光検出装置51である。
【0119】
〔パルス変調型光検出装置51〕
図3は、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置51のブロック図である。パルス変調型光検出装置51は、図1のパルス変調型光検出装置50と同様に外乱光検知部201(生成回路)を有している。また、図3のパルス変調型光検出装置51は、アンプ9の出力に結合容量C1が設けられている。結合容量C1が設けられていることにより、コンパレータ10及び外乱光検知部201に出力される増幅パルス信号S5には、交流成分のみが含まれることとなる。
【0120】
結合容量C1から出力される増幅パルス信号S5と、同期タイミング回路705(パルス信号生成回路)から出力される同期タイミングパルス信号S702とが入力される外乱光検知部201は、同期タイミングパルス信号S702がLowである期間sect_2における増幅パルス信号S5を検知する。期間sect_2において増幅パルス信号S5を検知すると、通常時はLowレベルであり、同期タイミング回路705へ出力される生成信号S701に、Hiレベルのパルスを生じさせる。
【0121】
同期タイミング回路705は、Hiレベルのパルス信号である生成信号S701が、外乱光検知部201から入力されると、同期タイミングパルス信号S702に加えて、前段信号S703(第1の信号)を、発光素子駆動回路706に出力する。
【0122】
図4は、図3のパルス変調型光検出装置51が有する発光素子駆動回路706を示す回路図である。図4の発光素子駆動回路706は、発光素子7を駆動するための、電流I1(第1電流)及び電流I2(第2電流)を、発光素子7に流すものであり、定電流源701(第1電流源)と、スイッチSW701と、定電流源702と、スイッチSW702とを備えている。発光素子7は、同期タイミングパルス信号S702のレベルに応じた電流と、前段信号S703のレベルに応じた電流との和の電流が流れる。
【0123】
図4において、発光素子駆動回路706の電源電圧入力端子と、発光素子7の電源電圧入力端子とは、定電圧Vが入力される。スイッチSW701の制御入力には、同期タイミングパルス信号S702が入力される。スイッチSW702の制御入力には、前段信号S703が入力される。前段信号S703は、外乱光検知部201が、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S702とが同期していないと判定した後に、同期タイミングパルス信号S702が上記アクティブレベルになるまでは、電流I2を発光素子7に流すための信号である。
【0124】
定電流源701の入力と、定電流源702の入力とは、発光素子7の入力に接続されている。発光素子7の入力には、発光素子7を駆動する電流信号である発光パルス信号S707が入力される。
【0125】
定電流源701の出力は、スイッチSW701の一端に接続されている。定電流源702の出力は、スイッチSW702の一端に接続されている。
【0126】
そして、スイッチSW701の他端、スイッチSW702の他端、及び、発光素子7の他端は、電気的に接地されている。
【0127】
スイッチSW701は、同期タイミングパルス信号S702によりON/OFFを制御され、スイッチSW702は、前段信号S703によりON/OFFを制御される。
【0128】
定電流源701の電流I1は、同期タイミングパルス信号S702に同期したパルス光L2を投射するための電流である。定電流源702の電流I2は、定電流源701の電流I1を発光素子7に流す前に発光素子7に流れる電流(前電流と称する)として使用される。定電流源702の電流I2は、定電流源701の電流I1よりも小さいとともに、定電流源702の電流I2が発光素子7に流れても、発光素子7からパルス光L2は投射されない。
【0129】
定電流源702は、直流電流源として使用することが可能であり、上記前電流を流すための電流源として使用することも可能である。いずれの場合も、前段信号S703によりスイッチSW702がON/OFFを制御される点は同じである。
【0130】
図5は、図3のパルス変調型光検出装置51において、定電流源702を直流電流源として使用した場合の、各パルス信号のタイミングチャートである。本実施形態に係るパルス変調型光検出装置51では、外乱光などの非同期光(同期タイミングパルス信号S702と同期していない光)が検知されるまでは、Hiレベルのパルス信号である同期信号P1が、1周期につき1回出力される。同期信号P1は、増幅パルス信号S5に含まれる信号である。同期信号P1が出力される時は、発光素子7に電流I1が流れている。
【0131】
ここで、第1周期において、非同期光により生じ、かつ、増幅パルス信号S5の中に含まれる非同期信号N1を検知した場合を考える。この場合、直流信号である生成信号S701により、同期タイミング回路705は、第2周期から、直流の前段信号S703を出力する。これによりスイッチSW702がONされ、定電流源702は、発光素子7に直流の電流I2を流す。
【0132】
パルス光L2を投射するために必要な電流I1を発光素子7に流す前に、電流I1よりも小さい直流の電流I2を発光素子7に流す。これにより、発光素子7に流れる電流がゼロからI1に変化する場合よりも、発光素子7に流れる電流の変動を小さくすることができる。電流の変動を小さくすることで、電流I1が流れる時にGNDに流れる突入電流を低減することができるので、上記突入電流による誤動作を防止することができる。
【0133】
図6は、図3のパルス変調型光検出装置51において、前電流を流すための電流源として定電流源702を使用した場合の、各パルス信号のタイミングチャートである。本実施形態に係るパルス変調型光検出装置51では、外乱光などの非同期光(同期タイミングパルス信号S702と同期していない光)が検知されるまでは、Hiレベルのパルス信号である同期信号P1が、1周期につき1回出力される。同期信号P1は、増幅パルス信号S5に含まれる信号である。同期信号P1が出力される時は、発光素子7に電流I1が流れている。
【0134】
ここで、第1周期において、非同期光により生じ、かつ、増幅パルス信号S5の中に含まれる非同期信号N1を検知した場合を考える。この場合、生成信号S701により、同期タイミング回路705は、第2周期から、第1セグメント位置においてHiレベルである、パルス状の前段信号S703(パルスからなる信号)を出力する。これにより、第1セグメント位置において、パルス状の電流I2が流れる(この電流I2が前電流である)。
【0135】
パルス光L2を投射するために必要な電流I1を発光素子7に流す前に、電流I1よりも小さいパルス状の電流I2を発光素子7に流す。これにより、発光素子7に流れる電流がゼロからI1に変化する場合よりも、発光素子7に流れる電流の変動を小さくすることができる。電流の変動を小さくすることで、電流I1が流れる時にGNDに流れる突入電流を低減することができるので、上記突入電流による誤動作を防止することができる。
【0136】
図3のパルス変調型光検出装置51について総括すると、以下の通りである。上記構成によれば、外乱光検知部201は、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S702とが同期するか否かを判定し、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S702とが同期していないと判定した後に、同期タイミングパルス信号S702が上記アクティブレベルになるまでは、上記第2の非アクティブレベルである前段信号S703を同期タイミング回路705に生成させるために、前段信号S703を同期タイミング回路705に生成させるための信号である生成信号S701を、同期タイミング回路705に出力する。
【0137】
これにより、発光素子7は、同期タイミングパルス信号S702に応じた電流I1が流れる前に、前段信号S703に応じた電流I2が流れる。
【0138】
電流I2は、電流I1よりも小さいので、発光素子7に流れる電流がゼロから電流I1に変化する場合よりも、発光素子7に流れる電流の変動を小さくすることができる。電流の変動を小さくすることで、上記電流が流れる時にGNDに流れる突入電流を低減することができるので、上記突入電流による誤動作((b)発光素子7がONした時に生じる突入電流によるノイズ信号と、外乱光L3’’による信号とが重畳する場合の誤動作)を防止することができる。
【0139】
従って、物体Bが無いにも関わらず、物体Bが有ると誤って判定される誤動作が生じないパルス変調型光検出装置51を提供することができる。
【0140】
次に非同期光の検知方法であるが、誤動作を引き起こす可能性が大きい外乱光は、例えば図13に示したようなインバータ蛍光灯の光などの一様に発生する光であり、頻度の小さい単発パルス光のみの場合は、誤動作の可能性が小さい。従って、一様に発生する外乱光を非同期の外乱光(誤動作を引き起こすノイズ光)として扱うだけで、誤動作を引き起こす可能性を小さくすることができる。
【0141】
上記非同期の外乱光を検出する方法として、非同期光により生成された信号を積分する方法が挙げられる。生成された信号を積分することで、一様な外乱光と頻度の小さいパルス光とを切り分けることが可能である。但し、積分回路が必要になることや、判定する積分値の設定が難しいことを考慮する必要がある。
【0142】
以下に示す、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置52,53では、インバータ光などの一様に発生する外乱光と、頻度の小さい単発的な外乱光とを区別することができる。それぞれのパルス変調型光検出装置について説明する。
【0143】
〔パルス変調型光検出装置52〕
図7は、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置52のブロック図である。図7のパルス変調型光検出装置52は、図1のパルス変調型光検出装置50にレジスタ800を追加したものである。レジスタ800は、外乱光検知部200の内部に設けられている。
【0144】
図8は、図7のパルス変調型光検出装置52における各パルス信号のタイミングチャートである。図8のS1は発振回路4のパルス信号であり、S2は同期タイミング回路5から出力される同期タイミングパルス信号である。また、発光パルス信号S3により発光素子7が駆動されるとともに、受光素子8により受信した信号がアンプ9により増幅され、増幅パルス信号S5としてコンパレータ10に出力される。そして、コンパレータ10よりコンパレータ出力パルス信号S6が信号処理回路11に出力され、信号処理回路11において、同期タイミングパルス信号S2とコンパレータ出力パルス信号S6とが比較される。
【0145】
図7のパルス変調型光検出装置52の信号処理回路11が有する非同期光検知部は、1周期中に、非同期光の検知(即ち、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期するか否かの判定)を複数回(M回)行う。レジスタ800は、非同期光の検知回数Mが格納される。検知回数Mは、信号処理回路11からレジスタ800に出力される。
【0146】
パルス変調型光検出装置52における非同期光の検知について、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが入力される外乱光検知部200は、同期タイミングパルス信号S2がLowである期間sect_2における増幅パルス信号S5(即ち非同期光)をM回検知する。期間sect_2において増幅パルス信号S5(即ち非同期光)を所定の回数以上検知すると、一様な非同期の外乱光を検知したと判定する(即ち、誤動作を引き起こすノイズ光を検知したと判定する)。
【0147】
外乱光検知部200は、一様な非同期の外乱光の検知結果に応じた停止信号S501を、同期タイミング回路5に出力する。同期タイミング回路5は、停止信号S501が非同期光を所定の回数以上検知したことを示していれば、同期タイミングパルス信号S2を停止する。これに対して、停止信号S501が、非同期光の検知回数が所定の回数未満であることを示していれば、誤動作の可能性が低い。従って、同期タイミング回路5は、通常の検知状態を維持する。
【0148】
図7のパルス変調型光検出装置52について総括する。上述したように、誤動作を引き起こす可能性が大きい外乱光は、例えばインバータ蛍光灯の光などの一様に発生する光であり、頻度の小さい単発パルス光のみの場合は、誤動作の可能性が小さい。
【0149】
従って、図7のパルス変調型光検出装置52では、上記複数回の判定において、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していないことを所定の回数以上判定した時の、一様に発生する外乱光を、非同期の外乱光(誤動作を引き起こすノイズ光)として扱う。また、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、同期タイミングパルス信号S2の生成を停止させる停止信号S501を、同期タイミング回路5へ出力せず通常動作を行う。これにより、誤動作を引き起こす可能性を小さくすることができる。
【0150】
なお、インバータ光の様な一様な非同期の外乱光を検知しようとする場合、外乱光検知部200において、期間sect_2において増幅パルス信号S5(即ち非同期光)をM回検知した時に、誤動作を引き起こすノイズ光を検知したと判定することが望ましい。
【0151】
また、図7のパルス変調型光検出装置52では、図1のパルス変調型光検出装置50の外乱光検知部200にレジスタ800を含めたが、図3のパルス変調型光検出装置51の外乱光検知部201にレジスタ800を含めてもよい。これにより、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S702とが同期するか否かの判定を複数回(M回)行うことができるので、インバータ光の様な一様な非同期の外乱光を検知することができる。
【0152】
〔パルス変調型光検出装置53〕
図9は、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置53のブロック図である。図10は、図9のパルス変調型光検出装置53における各パルス信号のタイミングチャートである。図9のパルス変調型光検出装置53では、外乱光などの非同期光が検知されるまでは、図1のパルス変調型光検出装置50と同様に、同期タイミングパルス信号S2により、同期光が1周期につき1回発光される。
【0153】
ここで、図10に示すように、第1周期の間に非同期信号N1が入力された回数が、所定の回数以下であった場合を考える。この場合、外乱光検知部200は、本来検知されるべき、インバータ光等の一様な非同期の外乱光が検知できていないと判定するとともに、発振回路4へ周波数変更信号S901を出力する。発振回路4は、周波数変更信号S901に基づいて、基本クロック信号S1の周波数を変更する。図14では、基本クロック信号S1の周波数が第3周期から変更されたことに伴い、第1周器及び第2周期の48μsecに対して、第3周期が36μsecに変更されている。
【0154】
このように、1周期中において所定回数検知されるべき、一様な非同期の外乱光が、所定回数検知されなかった場合は、一様な非同期の外乱光の周波数と、外乱光の検知に用いる基本クロック信号S1の周波数とがずれている。
【0155】
よって、一様ではない単発の外乱光が検知されるか否かを判断する前に、基本クロック信号S1の周波数(検知周波数)をより高くして、外乱光の検知を再度行うことで、より高い精度で外乱光を検知することが可能となり、より高い精度で誤動作を防止することができる。
【0156】
〔物体Bの検知の継続〕
本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50,52,53では、外乱光検知部200による判定は周期的に行われ、同期タイミング回路5へ停止信号S501を出力して同期タイミングパルス信号S2を停止した後に、非同期光が検知されない状態になれば(即ち、外乱光検知部200が、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していない状態が解消されたと判定すれば)、停止信号S501の出力を停止して、同期タイミングパルス信号S2の出力を再開すればよい。同様に、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置51では、外乱光検知部201による判定は周期的に行われ、同期タイミング回路5へ生成信号S701を出力した後に、非同期光が検知されない状態になれば(即ち、外乱光検知部201が、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していない状態が解消されたと判定すれば)、生成信号S701の出力を停止すればよい。これにより、継続して物体Bを検知することが可能となる。
【0157】
〔電子機器〕
本発明の電子機器は、パルス変調型光検出装置50〜53のいずれか1つを備えているので、物体Bが無いにも関わらず、物体Bが有ると誤って判定される誤動作が生じない。
【0158】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明のパルス変調型光検出装置は、発光素子がONすることで生じる突入電流(変異電流)による誤動作を防止することができるので、複写機及びプリンタ等のFA及びOA機器、並びにゲーム機といったアミューズメント機器等の電子機器に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0160】
50〜53 パルス変調型光検出装置
1 定電圧回路
2 電源端子
3 GND端子
4 発振回路
5,705 同期タイミング回路(パルス信号生成回路)
6 発光素子駆動回路
7 発光素子
8 受光素子
9 アンプ
10 コンパレータ
11 信号処理回路(判定回路)
12 出力回路
13 出力端子
14 負荷
15 電源
200 外乱光検知部(停止回路)
201 外乱光検知部(生成回路)
701 定電流源
702 定電流源
706 発光素子駆動回路
800 レジスタ
B 物体
C1 結合容量
I1 電流(第1電流)
I2 電流(第2電流)
L2 パルス光
L3 反射光
M 検知回数
N1 非同期信号
P1 同期信号
S1 基本クロック信号
S2,S702 同期タイミングパルス信号(パルス信号)
S3 発光パルス信号
S4 受光パルス信号
S5 増幅パルス信号(電圧信号)
S6 コンパレータ出力パルス信号(比較信号)
S7 信号処理回路出力信号
S501 停止信号
S701 生成信号
S703 前段信号(第1の信号)
S707 発光パルス信号
S901 周波数変更信号
SW701 スイッチ
SW702 スイッチ
Sth 判定レベル(所定の基準値)
V 定電圧
sect_1 期間
sect_2 期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたクロック信号を変調して、アクティブレベルと非アクティブレベルとからなるパルス信号を生成するパルス信号生成回路と、
上記アクティブレベルの期間では電流が流れ、上記非アクティブレベルの期間では電流が流れないように駆動される発光素子であって、上記パルス信号が上記アクティブレベルである期間に同期したパルス光を、所定の空間に発光する発光素子と、
上記所定の空間を通過する被検出対象により反射された上記パルス光を受光可能に配置され、受光光に応じた電流信号を生成する受光素子と、
電流電圧変換及び増幅を上記電流信号に対して行うことにより、電圧信号を生成するアンプと、
上記電圧信号と所定の基準値とを比較して、上記電圧信号が上記基準値より高いことを示す第1比較信号と上記電圧信号が上記基準値以下であることを示す第2比較信号とからなる比較信号を生成するコンパレータと、
上記第1比較信号と上記パルス信号とが同期しているとともに、上記パルス信号が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されなければ、上記被検出対象が有ると判定し、一方、上記第2比較信号が生成されるか、上記パルス信号が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されれば、上記被検出対象が無いと判定する判定回路とを備えるパルス変調型光検出装置であって、
上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定したとき、上記パルス信号の生成を停止させる停止信号を上記パルス信号生成回路へ出力する停止回路を備えることを特徴とするパルス変調型光検出装置。
【請求項2】
上記停止回路は、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを複数回判定することを特徴とする請求項1に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項3】
上記停止回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定すれば、誤動作を引き起こすノイズ光を検知したと判定することを特徴とする請求項2に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項4】
上記停止回路は、上記複数回の判定において、
上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定すれば、上記停止信号を上記パルス信号生成回路へ出力し、
上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記停止信号を上記パルス信号生成回路へ出力せずに通常動作を行うことを特徴とする請求項2または3に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項5】
上記停止回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記クロック信号の周波数をより高くすることを特徴とする請求項3または4に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項6】
上記停止回路による判定は周期的に行われ、上記停止回路が、上記パルス信号生成回路へ上記停止信号を出力した後に、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していない状態が解消されたと判定すれば、上記停止信号の出力を停止することを特徴とする請求項1に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項7】
入力されたクロック信号を変調して、アクティブレベルと第1の非アクティブレベルとからなるパルス信号を生成するとともに、上記第1の非アクティブレベルと第2の非アクティブレベルとからなる信号である第1の信号を生成するパルス信号生成回路と、
上記パルス信号のレベルに応じた電流と、上記第1の信号のレベルに応じた電流との和の電流が流れ、上記パルス信号が上記アクティブレベルである期間では、上記パルス信号のレベルに応じた電流として第1電流が供給され、上記第1の信号が上記第2の非アクティブレベルである期間では、上記第1の信号のレベルに応じた電流として上記第1電流よりも小さい電流である第2電流が供給されるように駆動される発光素子であって、上記和の電流に応じたパルス光を、所定の空間に発光する発光素子と、
上記所定の空間を通過する被検出対象により反射された上記パルス光を受光可能に配置され、受光光に応じた電流信号を生成する受光素子と、
電流電圧変換及び増幅を上記電流信号に対して行うことにより、電圧信号を生成するアンプと、
上記電圧信号と所定の基準値とを比較して、上記電圧信号が上記基準値より高いことを示す第1比較信号と上記電圧信号が上記基準値以下であることを示す第2比較信号とからなる比較信号を生成するコンパレータと、
上記第1比較信号と上記パルス信号とが同期しているとともに、上記パルス信号が上記第1の非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されなければ、上記被検出対象が有ると判定し、一方、上記第2比較信号が生成されるか、上記パルス信号が上記非アクティブレベルである期間に上記第1比較信号が生成されれば、上記被検出対象が無いと判定する判定回路とを備えるパルス変調型光検出装置であって、
上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定した後に、上記パルス信号が上記アクティブレベルになるまでは、上記第2の非アクティブレベルである上記第1の信号を上記パルス信号生成回路に生成させるために、上記第1の信号を上記パルス信号生成回路に生成させるための信号である生成信号を、上記パルス信号生成回路に出力する生成回路を備えることを特徴とするパルス変調型光検出装置。
【請求項8】
上記生成信号は、直流信号であることを特徴とする請求項7に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項9】
上記生成信号は、パルスからなる信号であることを特徴とする請求項7に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項10】
上記生成回路は、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを複数回判定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項11】
上記生成回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定すれば、誤動作を引き起こすノイズ光を検知したと判定することを特徴とする請求項10に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項12】
上記生成回路は、上記複数回の判定において、
上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことを所定の回数以上判定すれば、上記生成信号を上記パルス信号生成回路へ出力し、
上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記生成信号を上記パルス信号生成回路へ出力せずに通常動作を行うことを特徴とする請求項10または11に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項13】
上記生成回路は、上記複数回の判定において、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないことの判定回数が、上記所定の回数未満であれば、上記クロック信号の周波数をより高くすることを特徴とする請求項11または12に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項14】
上記生成回路による判定は周期的に行われ、上記生成回路が、上記パルス信号生成回路へ上記生成信号を出力した後に、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していない状態が解消されたと判定すれば、上記生成信号の出力を停止することを特徴とする請求項7に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のパルス変調型光検出装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−90156(P2012−90156A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236402(P2010−236402)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】