説明

パルス生成方法、パルス生成回路およびそのハードマクロ

【課題】SRラッチによってパルス幅変調信号を生成する際に、SRラッチの入力信号幅の最小スペック値に影響されずに、パルス幅変調信号を微細化できるようにする。
【解決手段】1つのパルス幅変調信号を作成するためのセット信号とリセット信号の組を複数組入力して、複数のパルス幅変調信号からなるパルス列を生成するパルス生成方法において、前記組を時間軸上の奇数番目と偶数番目に分離し、奇数番目の前記組により第1のSRラッチでパルス幅変調信号を作成し、偶数番目の前記組により第2のSRラッチでパルス幅変調信号を作成し、第1のSRラッチで作成したパルス幅変調信号と第2のSRラッチで作成したパルス幅変調信号を時間軸上で合成して前記複数のパルス幅変調信号のパルス列信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望のパルス幅をもつパルス列を生成するパルス生成方法、パルス生成回路およびそのハードマクロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ラスタスキャンによるディスプレイやレーザビームプリンタにおいて、走査線上の画素を形成するパルス幅変調信号を生成する際、SRラッチにセット信号およびリセット信号を入力して、そのパルス幅を制御することができる。例えば、リセット優先のSRラッチを使用する場合は、セット信号を入力してからリセット信号を入力するまでの時間をパルス幅とするパルス幅変調信号を生成することができる。このような技術は例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平6−37608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、SRラッチを用いる場合は、そのセット信号とリセット信号のパルス幅の最小スペック値を満足させる必要がある。つまり、セット信号およびリセット信号にはある程度のパルス幅を持たせなければならないため、生成するパルス幅を微細化する際に制約が生じていた。
【0004】
例えば、図3に示すようなSRラッチSR3にセット信号SPとリセット信号RSを入力してパルス幅変調信号PWMOを生成させるとき、画素クロックVCLKに応じて、図4に示すようなタイミングで、そのセット信号SPとリセット信号RSを入力させると、そのSRラッチSR3がリセット優先で動作するタイプの場合は、区間I,II,III,VIIにおいては適正なパルス幅のパルスA,B,C,Eを得ることができる。
【0005】
しかし、区間IVにおいては、区間III用のリセット信号RSが次のセット信号SPに対して一部が時間的に重なっているため、当該区間IVにおいて、セット信号SPが前回のリセット信号RSによって一部がマスクされ、区間IV−VのパルスDのパルス幅が意図した値よりも狭くなる。
【0006】
本発明の目的は、SRラッチによってパルス幅変調信号を生成する際に、SRラッチの入力信号幅の最小スペック値に影響されずに、パルス幅変調信号を微細化できるようにしたパルス生成方法、パルス生成回路およびそのハードマクロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明のパルス生成方法は、1つのパルス幅変調信号を作成するためのセット信号とリセット信号の組を複数組入力して、複数のパルス幅変調信号からなるパルス列を生成するパルス生成方法において、前記組を時間軸上の奇数番目と偶数番目に分離し、奇数番目の前記組により第1のSRラッチでパルス幅変調信号を作成し、偶数番目の前記組により第2のSRラッチでパルス幅変調信号を作成し、第1のSRラッチで作成したパルス幅変調信号と第2のSRラッチで作成したパルス幅変調信号を時間軸上で合成して前記複数のパルス幅変調信号のパルス列信号を生成することを特徴とする。
請求項2にかかる発明のパルス生成回路は、複数のパルス幅変調信号からなるパルス列を生成するパルス生成回路において、前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち上がりタイミングを設定するセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるセット信号入力端子と、前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを設定するリセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるリセット信号入力端子と、前記セット信号を、入力された順に交互に、奇数セット信号と偶数セット信号とに分離するとともに、前記リセット信号を、入力された順に交互に、奇数セット信号と偶数リセット信号とに分離する分離回路と、前記奇数セット信号と奇数リセット信号とが入力されて奇数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第1のSRラッチと、前記偶数セット信号と偶数リセット信号とが入力されて偶数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第2のSRラッチと、前記奇数番目のパルス幅変調信号と前記偶数番目のパルス幅変調信号とを合成し、前記パルス列として出力する出力回路とを有することを特徴とする。
請求項3にかかる発明のパルス生成回路は、走査線上のそれぞれの画素の階調を表現するようにパルス幅が調整された、複数のパルス幅変調信号からなるパルス列を生成するパルス生成回路において、前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち上がりタイミングを設定するセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるセット信号入力端子と、前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを設定するリセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるリセット信号入力端子と、前記セット信号を、前記走査線の開始を示す開始信号の受信後、入力された順に交互に、奇数セット信号と偶数セット信号とに分離するとともに、前記リセット信号を、前記開始信号の受信後、入力された順に交互に、奇数リセット信号と偶数リセット信号とに分離する分離回路と、前記奇数セット信号と奇数リセット信号とが入力されて奇数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第1のSRラッチと、
前記偶数セット信号と偶数リセット信号とが入力されて偶数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第2のSRラッチと、前記奇数番目のパルス幅変調信号と前記偶数番目のパルス幅変調信号とを合成し、前記パルス列として出力する出力回路とを有することを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項2又は3に記載のパルス生成回路において、前記分離回路が、前記セット信号がクロック端子に入力され、該セット信号の入力毎に第1レベルと第2レベルとの間にトグルするセットマスク信号を生成する第1のフリップフロップと、前記リセット信号がクロック端子に入力され、該リセット信号の入力毎に第1レベルと第2レベルとの間にトグルするリセットマスク信号を生成する第2のフリップフロップと、前記セット信号およびリセット信号を、前記第1のフリップフロップに前記セット信号が入力されてから前記セットマスク信号がトグルするまでの遅れ時間と、前記第2のフリップフロップに前記リセット信号が入力されてから前記リセットマスク信号がトグルするまでの遅れ時間との内の、長い方の時間以上の、互いに等しい時間だけ遅延させて遅延セット信号および遅延リセット信号を生成する第1および第2の遅延素子と、前記遅延セット信号と前記セットマスク信号とが入力され、該セットマスク信号が前記第1レベルである期間に前記遅延セット信号を通過させて前記奇数セット信号を生成する第1のゲート回路と、前記遅延リセット信号と前記リセットマスク信号とが入力され、該リセットマスク信号が前記第1レベルである期間に前記遅延リセット信号を通過させて前記奇数リセット信号を生成する第2のゲート回路と、前記遅延セット信号と前記セットマスク信号とが入力され、該セットマスク信号が前記第2レベルである期間に前記遅延セット信号を通過させて前記偶数セット信号を生成する第3のゲート回路と、前記遅延リセット信号と前記リセットマスク信号とが入力され、該リセットマスク信号が前記第2レベルである期間に前記遅延リセット信号を通過させて前記偶数リセット信号を生成する第4のゲート回路とからなることを特徴とする。
請求項5にかかる発明のハードマクロは、前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち上がりタイミングを設定するセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるセット信号入力端子と、前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを設定するリセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるリセット信号入力端子と、前記セット信号を、入力された順に交互に、奇数セット信号と偶数セット信号とに分離するとともに、前記リセット信号を、入力された順に交互に、奇数リセット信号と偶数リセット信号とに分離する分離回路と、前記奇数セット信号と奇数リセット信号とが入力されて奇数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第1のSRラッチと、前記偶数セット信号と偶数リセット信号とが入力されて偶数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第2のSRラッチと、前記奇数番目のパルス幅変調信号および偶数番目のパルス幅変調信号を合成し、前記パルス列として出力する出力回路とからなるパルス生成回路のレイアウトデータを含むことを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載のハードマクロにおいて、前記分離回路が、前記セット信号がクロック端子に入力され、該セット信号の入力毎に第1レベルと第2レベルとの間にトグルするセットマスク信号を生成する第1のフリップフロップと、前記リセット信号がクロック端子に入力され、該リセット信号の入力毎に第1レベルと第2レベルとの間にトグルするリセットマスク信号を生成する第2のフリップフロップと、前記セット信号およびリセット信号を、前記第1のフリップフロップに前記セット信号が入力されてから前記セットマスク信号がトグルするまでの遅れ時間と、前記第2のフリップフロップに前記リセット信号が入力されてから前記リセットマスク信号がトグルするまでの遅れ時間との内の、長い方の時間以上の、互いに等しい時間だけ遅延させて遅延セット信号および遅延リセット信号を生成する第1および第2の遅延素子と、前記遅延セット信号と前記セットマスク信号とが入力され、該セットマスク信号が前記第1レベルである期間に前記遅延セット信号を通過させて前記奇数セット信号を生成する第1のゲート回路と、前記遅延リセット信号と前記リセットマスク信号とが入力され、該リセットマスク信号が前記第1レベルである期間に前記遅延リセット信号を通過させて前記奇数リセット信号を生成する第2のゲート回路と、前記遅延セット信号と前記セットマスク信号とが入力され、前記セットマスク信号が前記第2レベルである期間に前記遅延セット信号を通過させて前記偶数セット信号を生成する第3のゲート回路と、前記遅延リセット信号と前記リセットマスク信号とが入力され、該リセットマスク信号が前記第2レベルである期間に前記遅延リセット信号を通過させて前記偶数リセット信号を生成する第4のゲート回路とからなることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のハードマクロにおいて、前記セット信号入力端子と前記第1の遅延素子との間の配線長と、前記リセット信号入力端子と前記第2の遅延素子との間の配線長とが互いに等しく、前記第1の遅延素子と前記第1のゲート回路との間の配線長と、前記第1の遅延素子と前記第3のゲート回路との間の配線長と、前記第2の遅延素子と前記第2のゲート回路との間の配線長と、前記第2の遅延素子と前記第4のゲート回路との間の配線長とが互いに等しく、前記第1のゲート回路と前記第1のSRラッチとの間の配線長と、前記第2のゲート回路と前記第1のSRラッチとの間の配線長と、前記第3のゲート回路と前記第2のSRラッチのセット入力側との間の配線長と、前記第2のゲート回路と前記第2のSRラッチのリセット入力側との間の配線長とが互いに等しく、前記第1のSRラッチと前記出力回路との間の配線長と、前記第2のSRラッチと前記出力回路との間の配線長とが互いに等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、セット信号とリセット信号の組が奇数番目と偶数番目で分離されるので、奇数番目の組のリセット信号と偶数番目の組のセット信号、もしくは、偶数番目の組のリセット信号と奇数番目の組のセット信号が時間的に一部が重なっていても、相互間の干渉はなくなる。したがって、SRラッチによってパルス幅変調信号を生成する際に、SRラッチのセット信号とリセット信号のパルス幅の最小スペック値に影響されずに、パルス幅変調信号を微細化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明をレーザプリンタ用に適用した場合は、走査線上の1個の画素は、1個のパルス幅変調信号により形成され、1個の走査線は複数のパルス幅変調信号により構成される。本実施例では、この1走査線の画素を構成する複数のパルス幅変調信号のパルス列の奇数番目のパルスと偶数番目のパルスを分離して作成し、後にこれを合成して1本の走査線とする。
【0010】
図1に本発明の1つの実施例のパルス生成回路の回路図を示す。1はライン開始リセット回路であり、D型フリップフロップFF1,FF2、アンド回路AND1、およびオア回路OR1(機能的にはアンド回路)からなり、システムリセット信号RSTLが“L”になったとき、又は走査線同期信号BDが“H”になったときに、走査線リセット信号L_RSTLを“L”にする。VCLKは画素クロックである。
【0011】
2はセット信号SPとリセット信号RSの組を時間軸上で奇数番目と偶数番目に分離する分離回路であり、トグル型フリップフロップFF3,FF4、同一遅延時間をもつ遅延素子DL1,DL2、およびアンド回路AND2〜AND5からなる。請求項との関係では、フリップフロップFF3,FF4が第1および第2のフリップフロップに対応し、遅延素子DL1,DL2が第1および第2の遅延素子に対応し、アンド回路AND2〜AND5が第1ゲート回路〜第4ゲート回路に対応する。
【0012】
フリップフロップFF3はセット信号SPからセットマスク信号SP_MASKを生成してアンド回路AND2,AND4にゲート信号として入力させ、フリップフロップFF4はリセット信号RSからリセットマスク信号RS_MASKを生成してアンド回路AND3,AND5にゲート信号として入力させる。
【0013】
遅延素子DL1,DL2は、フリップフロップFF3にセット信号SPが入力されてからセットマスク信号SP_MASKがトグルするまでの遅れ時間と、フリップフロップFF4にリセット信号RSが入力されてからリセットマスク信号RS_MASKがトグルするまでの遅れ時間との内の、長い方の時間以上の、互いに等しい時間だけ、セット信号SPおよびリセット信号RSを遅延させる。
【0014】
遅延素子DL1で遅延されたセット信号SPは、セットマスク信号SP_MASKが“H”のときにアンド回路AND2を通過し、セットマスク信号SP_MASKが“L”のときにアンド回路AND4を通過する。また、遅延素子DL2で遅延されたリセット信号RSは、リセットマスク信号RS_MASKが“H”のときにアンド回路AND3を通過し、リセットマスク信号SP_MASKが“L”のときにアンド回路AND5を通過する。
【0015】
SR1は奇数番目のセット信号とリセット信号の組からパルス幅変調信号を生成するSRラッチ、SR2は偶数番目のセット信号とリセット信号の組からパルス幅変調信号を生成するSRラッチ、OR2は両SRラッチSR1,SR2から出力するパルス幅変調信号を時間軸上で合成して出力するオア回路である。請求項との関係では、SRラッチSR1,SR2が第1および第2のSRラッチに対応し、オア回路OR2が出力回路に対応する。
【0016】
前記分離回路2のアンド回路AND2の出力odd_spはSRラッチSR1のセット信号となり、アンド回路AND3の出力odd_rsはSRラッチSR1のリセット信号となって、このSRラッチSR1のQ出力には走査線上の奇数番目の画素のパルス幅変調信号odd_pixが出力する。
【0017】
また、アンド回路AND4の出力even_spはSRラッチSR2のセット信号となり、アンド回路AND5の出力even_rsはSRラッチSR2のリセット信号となって、このSRラッチSR2のQ出力には走査線上の偶数番目の画素のパルス幅変調信号odd_pixが出力する。、
【0018】
オア回路OR2は、SRラッチSR1から出力する奇数番目のパルス幅変調信号odd_pixとSRラッチSR2から出力する偶数番目のパルス幅変調信号even_pixを交互に合成して、走査線上の画素信号としてのパルス幅変調信号PWMOを出力する。
【0019】
なお、セット信号SPの入力端子と遅延素子DL1の入力側との間の配線長と、リセット信号RSの入力端子と遅延素子DL2の入力側との間の配線長とは互いに等しい。また、遅延素DL1の出力側とアンド回路AND2の入力側との間の配線長と、遅延素子DL1の出力側とアンド回路AND4の入力側との間の配線長と、遅延素子DL2の出力側とアンド回路AND3の入力側との間の配線長と、遅延素子DL2の出力側とアンド回路AND5の入力側との間の配線長とは互いに等しい。さらに、アンド回路AND2の出力側とSRラッチSR1のセット入力側との間の配線長と、アンド回路AND3の出力側とSRラッチSR1のリセット入力側との間の配線長と、アンド回路AND4の出力側とSRラッチSR2のセット入力側との間の配線長と、アンド回路AND5の出力側とSRラッチSR2のリセット入力側との間の配線長とは互いに等しい。さらに、SRラッチSR1の出力側とオア回路OR2の入力側との間の配線長と、SRラッチSR2の出力側とオア回路OR2の入力側との間の配線長も等しい。アンド回路AND2〜AND5が互いに等しい特性で、SRラッチSR1,SR2も互いに等しい特性であれば、パルス幅変調信号が高速信号の場合でも、上記した等長配線によって、セット信号SPとリセット信号RSの組を奇数番目と偶数番目に分離しているにもかかわらず、それを合成するとき、そのタイミングのズレを防止できる。現実には、それぞれの配線長を完全に同一にすることは困難であることが多いし、また、必ずしも必須ではない。奇数番目と偶数番目のパルス幅変調信号のタイミングのズレに対する仕様値を満たすことができる範囲での等長配線が実現できればよい。
【0020】
図2は図1のパルス生成回路の動作のタイミングチャートである。ここでは、SRラッチSR1,SR2がリセット優先で動作する場合を示した。本実施例では、区間I,II,III,VIIのセット信号SPとリセット信号RSにより生成されるパルス幅変調信号PWMO−A、B,C,Eは、遅延素子DL1,DL2による遅延を受けているものの、当該区間内又はそこから若干遅れて生成されている。
【0021】
区間III用のリセット信号RSが次の区間IV用のセット信号SPに一部が重なる場合は、従来では図4に示したように、生成されるパルス幅変調信号PWMO−Dのパルス幅が狭くなっていたが、本実施例では、分離回路2によって区間III用のリセット信号RSと区間IV用のセット信号SPが分離され、相互干渉が防止されているので、当該区間IV−Vに対応するパルス幅変調信号Dは正規のパルス幅となる。このように、本実施例では、SRラッチSR1,SR2のセット信号SPとリセット信号RSのパルス幅の最小スペック値に影響されずに、パルス幅変調信号を微細化できる。
【0022】
以上説明したパルス生成回路は、分離回路2、RSラッチSR1,SR2、およびオア回路OR2を、1つの機能ブロックとしてマクロの形態にしておけば、設計資産として活用できる。特に、各回路およびSRラッチと、その間を前述のような等長配線で接続したレイアウトをハードマクロの形態にしておくことが好ましい。これにより、奇数番目と偶数番目のパルス幅変調信号のタイミングのズレに対する仕様値を満たすことが保証された設計資産として、再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1つの実施例のパルス生成回路の回路図である。
【図2】図1のパスル生成回路のタイミングチャートである。
【図3】従来のパルス生成回路の回路図である。
【図4】図3のパルス生成回路のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1:ライン開始リセット回路
2:分離回路
FF1,FF2:Dフリップフロップ
FF3,FF4:トグルフリップフロップ
SR1,SR2,SR3:SRラッチ
AND1〜AND5:アンド回路
OR1,OR2:オア回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのパルス幅変調信号を作成するためのセット信号とリセット信号の組を複数組入力して、複数のパルス幅変調信号からなるパルス列を生成するパルス生成方法において、
前記組を時間軸上の奇数番目と偶数番目に分離し、奇数番目の前記組により第1のSRラッチでパルス幅変調信号を作成し、偶数番目の前記組により第2のSRラッチでパルス幅変調信号を作成し、第1のSRラッチで作成したパルス幅変調信号と第2のSRラッチで作成したパルス幅変調信号を時間軸上で合成して前記複数のパルス幅変調信号のパルス列信号を生成することを特徴とするパルス生成方法。
【請求項2】
複数のパルス幅変調信号からなるパルス列を生成するパルス生成回路において、
前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち上がりタイミングを設定するセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるセット信号入力端子と、
前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを設定するリセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるリセット信号入力端子と、
前記セット信号を、入力された順に交互に、奇数セット信号と偶数セット信号とに分離するとともに、前記リセット信号を、入力された順に交互に、奇数セット信号と偶数リセット信号とに分離する分離回路と、
前記奇数セット信号と奇数リセット信号とが入力されて奇数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第1のSRラッチと、
前記偶数セット信号と偶数リセット信号とが入力されて偶数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第2のSRラッチと、
前記奇数番目のパルス幅変調信号と前記偶数番目のパルス幅変調信号とを合成し、前記パルス列として出力する出力回路とを有することを特徴とするパルス生成回路。
【請求項3】
走査線上のそれぞれの画素の階調を表現するようにパルス幅が調整された、複数のパルス幅変調信号からなるパルス列を生成するパルス生成回路において、
前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち上がりタイミングを設定するセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるセット信号入力端子と、
前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを設定するリセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるリセット信号入力端子と、
前記セット信号を、前記走査線の開始を示す開始信号の受信後、入力された順に交互に、奇数セット信号と偶数セット信号とに分離するとともに、前記リセット信号を、前記開始信号の受信後、入力された順に交互に、奇数リセット信号と偶数リセット信号とに分離する分離回路と、
前記奇数セット信号と奇数リセット信号とが入力されて奇数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第1のSRラッチと、
前記偶数セット信号と偶数リセット信号とが入力されて偶数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第2のSRラッチと、
前記奇数番目のパルス幅変調信号と前記偶数番目のパルス幅変調信号とを合成し、前記パルス列として出力する出力回路とを有することを特徴とするパルス生成回路。
【請求項4】
前記分離回路が、
前記セット信号がクロック端子に入力され、該セット信号の入力毎に第1レベルと第2レベルとの間にトグルするセットマスク信号を生成する第1のフリップフロップと、
前記リセット信号がクロック端子に入力され、該リセット信号の入力毎に第1レベルと第2レベルとの間にトグルするリセットマスク信号を生成する第2のフリップフロップと、
前記セット信号およびリセット信号を、前記第1のフリップフロップに前記セット信号が入力されてから前記セットマスク信号がトグルするまでの遅れ時間と、前記第2のフリップフロップに前記リセット信号が入力されてから前記リセットマスク信号がトグルするまでの遅れ時間との内の、長い方の時間以上の、互いに等しい時間だけ遅延させて遅延セット信号および遅延リセット信号を生成する第1および第2の遅延素子と、
前記遅延セット信号と前記セットマスク信号とが入力され、該セットマスク信号が前記第1レベルである期間に前記遅延セット信号を通過させて前記奇数セット信号を生成する第1のゲート回路と、
前記遅延リセット信号と前記リセットマスク信号とが入力され、該リセットマスク信号が前記第1レベルである期間に前記遅延リセット信号を通過させて前記奇数リセット信号を生成する第2のゲート回路と、
前記遅延セット信号と前記セットマスク信号とが入力され、該セットマスク信号が前記第2レベルである期間に前記遅延セット信号を通過させて前記偶数セット信号を生成する第3のゲート回路と、
前記遅延リセット信号と前記リセットマスク信号とが入力され、該リセットマスク信号が前記第2レベルである期間に前記遅延リセット信号を通過させて前記偶数リセット信号を生成する第4のゲート回路とからなることを特徴とする請求項2または3に記載のパルス生成回路。
【請求項5】
前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち上がりタイミングを設定するセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるセット信号入力端子と、
前記複数のパルス幅変調信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを設定するリセット信号が、対応するパルス幅変調信号の前記パルス列の中での順に入力されるリセット信号入力端子と、
前記セット信号を、入力された順に交互に、奇数セット信号と偶数セット信号とに分離するとともに、前記リセット信号を、入力された順に交互に、奇数リセット信号と偶数リセット信号とに分離する分離回路と、
前記奇数セット信号と奇数リセット信号とが入力されて奇数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第1のSRラッチと、
前記偶数セット信号と偶数リセット信号とが入力されて偶数番目の前記パルス幅変調信号を生成する第2のSRラッチと、
前記奇数番目のパルス幅変調信号および偶数番目のパルス幅変調信号を合成し、前記パルス列として出力する出力回路とからなるパルス生成回路のレイアウトデータを含むことを特徴とするハードマクロ。
【請求項6】
前記分離回路が、
前記セット信号がクロック端子に入力され、該セット信号の入力毎に第1レベルと第2レベルとの間にトグルするセットマスク信号を生成する第1のフリップフロップと、
前記リセット信号がクロック端子に入力され、該リセット信号の入力毎に第1レベルと第2レベルとの間にトグルするリセットマスク信号を生成する第2のフリップフロップと、
前記セット信号およびリセット信号を、前記第1のフリップフロップに前記セット信号が入力されてから前記セットマスク信号がトグルするまでの遅れ時間と、前記第2のフリップフロップに前記リセット信号が入力されてから前記リセットマスク信号がトグルするまでの遅れ時間との内の、長い方の時間以上の、互いに等しい時間だけ遅延させて遅延セット信号および遅延リセット信号を生成する第1および第2の遅延素子と、
前記遅延セット信号と前記セットマスク信号とが入力され、該セットマスク信号が前記第1レベルである期間に前記遅延セット信号を通過させて前記奇数セット信号を生成する第1のゲート回路と、
前記遅延リセット信号と前記リセットマスク信号とが入力され、該リセットマスク信号が前記第1レベルである期間に前記遅延リセット信号を通過させて前記奇数リセット信号を生成する第2のゲート回路と、
前記遅延セット信号と前記セットマスク信号とが入力され、前記セットマスク信号が前記第2レベルである期間に前記遅延セット信号を通過させて前記偶数セット信号を生成する第3のゲート回路と、
前記遅延リセット信号と前記リセットマスク信号とが入力され、該リセットマスク信号が前記第2レベルである期間に前記遅延リセット信号を通過させて前記偶数リセット信号を生成する第4のゲート回路とからなることを特徴とする請求項5記載のハードマクロ。
【請求項7】
前記セット信号入力端子と前記第1の遅延素子との間の配線長と、前記リセット信号入力端子と前記第2の遅延素子との間の配線長とが互いに等しく、
前記第1の遅延素子と前記第1のゲート回路との間の配線長と、前記第1の遅延素子と前記第3のゲート回路との間の配線長と、前記第2の遅延素子と前記第2のゲート回路との間の配線長と、前記第2の遅延素子と前記第4のゲート回路との間の配線長とが互いに等しく、
前記第1のゲート回路と前記第1のSRラッチとの間の配線長と、前記第2のゲート回路と前記第1のSRラッチとの間の配線長と、前記第3のゲート回路と前記第2のSRラッチのセット入力側との間の配線長と、前記第2のゲート回路と前記第2のSRラッチのリセット入力側との間の配線長とが互いに等しく、
前記第1のSRラッチと前記出力回路との間の配線長と、前記第2のSRラッチと前記出力回路との間の配線長とが互いに等しいことを特徴とする、請求項6記載のハードマクロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−109419(P2008−109419A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290610(P2006−290610)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(501285133)川崎マイクロエレクトロニクス株式会社 (449)
【Fターム(参考)】