説明

パワーウインドウ装置

【課題】本発明は、運転席のウインドウの瞬時の開閉動作が必要な場合に、煩雑さや誤操作なく開閉動作を行うことができるパワーウインドウ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】動作させるウインドウを選択する選択スイッチ10と、該選択スイッチにより選択されたウインドウを昇降させる機能を有する単一の昇降スイッチ20とを有するパワーウインドウ装置であって、
前記選択スイッチが選択されていない状態で、前記昇降スイッチが操作されたときには、運転席のウインドウを昇降させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーウインドウ装置に関し、特に、ウインドウを選択する選択スイッチと、選択されたウインドウを昇降させる単一の昇降スイッチとを有するパワーウインドウ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の各ウインドウガラスを開閉又は上昇下降するためのパワーウインドウコントロールスイッチにおいて、各々のウインドウガラスを選択操作するための選択スイッチと、各ウインドウガラスを上昇又は下降するための1つの共用のコントロールスイッチとを具備した自動車用パワーウインドウスイッチ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭63−189909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、ウインドウガラスの選択操作が常に必要となり、例えば、ドライブスルーや有料駐車場の料金所等で、とっさに運転者が運転席のウインドウを開閉したい場合には、ウインドウガラスの選択操作が煩雑となり、また誤操作で他席のウインドウを開けてしまうことがあるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、運転席のウインドウの瞬時の開閉動作が必要な場合に、煩雑さや誤操作なく開閉動作を行うことができるパワーウインドウ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明に係るパワーウインドウ装置は、動作させるウインドウを選択する選択スイッチと、該選択スイッチにより選択されたウインドウを昇降させる機能を有する単一の昇降スイッチとを有するパワーウインドウ装置であって、
前記選択スイッチが選択されていない状態で、前記昇降スイッチが操作されたときには、運転席のウインドウを昇降させることを特徴とする。
【0006】
これにより、運転者が瞬時に運転席のウインドウを開閉したい場合には、選択操作を行うことなく運転席のウインドウを開閉させることができ、煩わしさを伴わず、迅速に開閉操作を行うことができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に係るパワーウインドウ装置において、
前記選択スイッチは、前記ウインドウの各々に対応して複数設けられていることを特徴とする。
【0008】
これにより、動作させるウインドウの選択操作を行うときには、実際のウインドウの配置を同じイメージを持ちながら容易に操作対象のウインドウを選択することができる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明に係るパワーウインドウ装置において、
前記選択スイッチは、モーメンタリスイッチであることを特徴とする。
【0010】
これにより、ワンプッシュで容易に開閉対象のウインドウを選択することができるとともに、異物の挟み込み防止機能等を有するマイコン等を併せて搭載することが可能となる。
【0011】
第4の発明は、第2の発明に係るパワーウインドウ装置において、
前記選択スイッチは、プッシュロックスイッチであることを特徴とする。
【0012】
これにより、マイコン制御の不要な簡素なスイッチを用いて、低コストでパワーウインドウ装置を構成することができる。
【0013】
第5の発明は、第1の発明に係るパワーウインドウ装置において、
前記選択スイッチは、単一の切替スイッチであることを特徴とする。
【0014】
これにより、選択スイッチの数を1個にすることができ、低コストでパワーウインドウ装置を構成することができる。
【0015】
第6の発明は、第5の発明に係るパワーウインドウ装置において、
前記切替スイッチは、押す度に選択される前記ウインドウが切り替わるモーメンタリスイッチであることを特徴とする。
【0016】
これにより、運転者は選択スイッチの存在位置を容易に見付けて容易に選択ウインドウの切替操作を行うことができるとともに、選択スイッチの数を1個として低コストのパワーウインドウ装置とすることができる。
【0017】
第7の発明は、第3又は第6の発明に係るパワーウインドウ装置において、
前記選択スイッチにより選択されている前記ウインドウを表示するインジケータを更に備えたことを特徴とする。
【0018】
これにより、選択されているウインドウを容易かつ客観的に認識することができ、ウインドウ選択時の誤操作を低減させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、運転者が運転席のウインドウを開閉する際の操作の煩わしさと誤操作を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明を適用した実施例1に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50を示した正面図である。図1において、実施例1に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50は、選択スイッチ10と、昇降スイッチ20とを有する。また、パワーウインドウ装置のスイッチ部50は、必要に応じて、インジケータ30を備えてよく、ウインドウロックスイッチ40も備えてもよい。
【0022】
パワーウインドウ装置のスイッチ部50は、運転席に設けられ、運転席から車両に設けられた総てのウインドウの各々が操作可能に構成される。
【0023】
選択スイッチ10は、開閉動作させるウインドウを選択するためのスイッチである。図1においては、選択スイッチ10は、運転席、助手席、運転席側後部座席、助手席側後部座席の各々に設けられた複数のウインドウに対応して設けられている。具体的には、運転席、助手席、運転席側後部座席及び助手席側後部座席のウインドウの各々に対応して、運転席ウインドウ選択スイッチ11、助手席ウインドウ選択スイッチ12、運転席側後部座席ウインドウ選択スイッチ13及び助手席側後部座席ウインドウ選択スイッチ14が各々設けられている。つまり、4つのウインドウに対応して、4つの選択スイッチ11〜14が備えられている。このように、実施例1に係るパワーウインドウ装置は、ウインドウの数に対応した複数の選択スイッチ11〜14を有する。
【0024】
選択スイッチ10は、様々な種類のスイッチが適用されてよいが、実施例1においては、モーメンタリスイッチが適用された例を挙げて説明する。モーメンタリスイッチは、押すとオンし、指を離すとオフして初期状態に戻るプッシュスイッチであるが、本実施例に係るモーメンタリスイッチは、押してオンとしてから、例えば10〜20秒程度オン状態が持続するスイッチが適用されてもよい。
【0025】
昇降スイッチ20は、各ウインドウに昇降動作を行わせるためのスイッチである。昇降スイッチ20は、選択スイッチ10が、各々のウインドウに対応して個別に複数設けられているのに対し、共通の単一の昇降スイッチ20が設けられている点で異なっている。昇降スイッチ20は、車両に設けられた複数のウインドウに対し、共通に昇降(開閉)動作を行わせることができる。そして、昇降スイッチ20は、選択スイッチ10で開閉対象となるウインドウが選択されている場合には、開閉対象となっているウインドウのみを昇降させる動作を行う。これにより、昇降スイッチ20を共通の1つとしてスイッチの原価を低減できるとともに、昇降操作時は常に1つの昇降スイッチ20を操作すれば良いことになり、昇降操作の煩雑さを低減することができる。
【0026】
なお、昇降スイッチ20は、種々の形態のスイッチが適用されてよいが、例えば、ノブのように突起形状を有し、指でつまんで上下動操作し易い形態のスイッチが適用されてもよい。
【0027】
昇降スイッチ20は、選択スイッチ10で開閉対象となるウインドウが選択されていない状態で上下動操作されたときには、運転席のウインドウを昇降動作させる。つまり、昇降スイッチ20のデフォルト状態は運転席のウインドウが選択された状態であり、選択スイッチ10による選択が無ければ、自動的に運転席のウインドウを昇降させるように構成されている。これにより、運転者は、運転席のウインドウを開閉する場合には、選択スイッチ10を選択する選択動作を行わず、直接的に運転席のウインドウの開閉を行うことができる。例えば、高速道路の料金所、ドライブスルー、駐車場の料金所等で並んでいる車両が無く、直ちにウインドウを開けることが必要となった場合にも、運転者は、昇降スイッチ20を下降させるだけで、即座に運転席のウインドウを開くことができる。
【0028】
その際、従来の個々のウインドウに対応して複数配列された昇降スイッチを操作する方式では、同じようなスイッチが並んで配置されているため、慌てると選択を誤ってしまい、他席のウインドウを開けてしまうという誤操作が起こりがちであった。しかしながら、本実施例に係るパワーウインドウ装置においては、昇降スイッチ20を1個としているため、そのような誤操作を防ぐことができる。そして、運転席のウインドウを開閉する場合には、選択スイッチ10の選択動作も不要であるため、選択時の誤操作のおそれも無くすことができる。
【0029】
なお、選択スイッチ10は、運転席ウインドウ選択スイッチ11も備えているので、運転席ウインドウ選択スイッチ11を選択操作してから、昇降スイッチ20を動作させるようにしてもよい。例えば、運転席以外の他席も同時に開閉を行うような場合には、選択スイッチ10で開閉動作させる座席のウインドウを運転席も含めて選択し、その後昇降スイッチ20でウインドウの昇降動作を行うようにすれば、運転席と他席を同時に開閉操作することができる。
【0030】
また、選択スイッチ10により一旦開閉対象のウインドウが選択されても、その後一定時間昇降スイッチ20の操作が無い場合には、初期状態に戻し、選択されているウインドウがない状態としてもよい。これにより、とっさの運転席のウインドウの開閉が必要となったときには、適切にウインドウを開閉させることができる。
【0031】
インジケータ30は、操作対象中のウインドウを表示するためのスイッチである。選択スイッチ10がモーメンタリスイッチの場合には、選択スイッチ10を押している指を離すと、選択スイッチ10は元の状態に戻ってしまい、どの選択スイッチ11〜14を選択中なのか分からなくなるので、インジケータ30を用いて、選択中の選択スイッチ10を表示するようにしてもよい。よって、インジケータ30は、運転席ウインドウ選択スイッチ11に対応した運転席ウインドウ用インジケータ31、助手席ウインドウ選択スイッチ12に対応した助手席ウインドウ用インジケータ32、運転席側後部座席ウインドウ選択スイッチ13に対応した運転席側後部座席ウインドウ用インジケータ33及び助手席側後部座席ウインドウ選択スイッチ14に対応した助手席側後部座席ウインドウ用インジケータ34が各ウインドウ及び各選択スイッチ11〜14に対応して設けられる。なお、インジケータ30は、必須ではなく、必要に応じて設けられてよい。
【0032】
インジケータ30は、例えば、発光ダイオードが用いられて、発光により選択されているウインドウを示すようにしてもよい。モーメンタリスイッチを制御するマイコンが、インジケータ30の発光も併せて制御するように構成すれば、選択スイッチ10の選択と同期してインジケータ30を制御することができる。
【0033】
ウインドウロックスイッチ40は、運転席以外の各パワーウインドウの操作を禁止してロックするためのスイッチである。本実施例に係るパワーウインドウ装置においては、ウインドウロックスイッチ40は、必要に応じて備えられてよい。運転席のウインドウロックスイッチ40をオンとすることにより、運転席以外のパワーウインドウ操作を総て禁止することができる。
【0034】
なお、実施例1に係るパワーウインドウ装置においては、必要に応じて、異物の挟み込みを検知し、挟み込みを検知した場合にはウインドウを開く動作を行う挟み込み防止装置が搭載されてもよい。一般的に、モーメンタリスイッチを用いる場合には、マイコンが搭載されるので、当該マイコンに異物の挟み込み防止機能のプログラムを実行させることにより、パワーウインドウ装置全体としての信頼性を更に高めることができる。
【0035】
次に、図2を用いて、実施例1に係るパワーウインドウ装置の処理フローについて説明する。図2は、実施例1に係るパワーウインドウ装置の処理フロー図である。なお、今まで説明した構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0036】
ステップ100では、開閉動作させるウインドウの選択があったか否かが判定される。具体的には、選択スイッチ10のうちのいずれかの選択スイッチ11〜14がオンとなっているか否かが判定される。
【0037】
ステップ100において、開閉動作させるウインドウの選択があった場合にはステップ110に進み、選択が無かった場合には、ステップ120に進む。
【0038】
ステップ110では、一定時間内に昇降スイッチ20の操作があったか否かが判定される。一定時間は、例えば10〜15秒程度、又は10〜20秒程度でもよいし、もっと長い時間の設定でもよい。一定時間内に昇降スイッチ20の操作があれば、運転者は選択したウインドウの開閉動作を行いたい状態であると判断し、ステップ140に進む。
【0039】
ステップ140では、選択されたウインドウを、昇降スイッチ20の操作に従って昇降動作し、処理フローを終了する。そして、図2の処理フローを最初から繰り返す。
【0040】
一方、ステップ110において、一定時間内に昇降スイッチ20の操作が無かった場合には、ステップ130に進む。
【0041】
ステップ130では、選択スイッチ10をリセットし、選択が無かった初期状態に戻して処理フローを終了する。そして、最初から図2の処理フローを繰り返す。
【0042】
一方、ステップ100に戻り、選択スイッチ10によるウインドウの選択が無い場合には、ステップ120に進む。
【0043】
ステップ120では、昇降スイッチ20の昇降操作があったか否かが判定される。昇降スイッチ20の操作が無い場合には、ステップ100に戻り、処理フローを最初から繰り返す。つまり、待機状態は、ステップ100とステップ120を循環することになる。
【0044】
一方、ステップ120で、昇降スイッチ20の操作があった場合には、ステップ150に進む。
【0045】
ステップ150では、運転席のウインドウの開閉動作を、昇降スイッチ20の昇降操作に従って行う。これにより、例えば運転席のウインドウを開にしたいときには、選択スイッチ10による選択が無くても、昇降スイッチ20を下降操作することにより、運転席のウインドウを下降させて開くことができる。例えば、料金所やドライブスルー等でとっさにウインドウを開きたい場合には、簡単な操作で即座に開くことができる。また、料金等の支払いを終え、例えば高速走行に素早く切り換えたい場合にも、昇降スイッチ20のみを上昇操作させることにより、素早く運転席のウインドウを閉じることができる。なお、ステップ150の終了後は、処理フローを終了し、最初から処理フローを繰り返す。
【0046】
このように、実施例1に係るパワーウインドウ装置によれば、昇降スイッチ20を単一とし、動作させる対象ウインドウの選択を誤ってしまう誤操作を防ぐとともに、運転席のウインドウについては選択スイッチ10の操作を不要とし、とっさの開閉が必要な場合にも対応できる。また、昇降スイッチ20を単一としたことにより、スイッチ数を減らし、原価を低減することができる。
【実施例2】
【0047】
図3は、本発明を適用した実施例3に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50aを示した正面図である。実施例3に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50aは、各ウインドウに対応した複数の選択スイッチ11a〜14aを備え、単一の昇降スイッチ20を備える点で実施例1に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50と共通するが、選択スイッチ10aに、モーメンタリスイッチ10ではなくプッシュロックスイッチ10aが適用されている点で、実施例1に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50と異なっている。また、実施例2に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50aには、インジケータ30が設けられていない点においても、実施例1に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50と異なっている。
【0048】
このように、選択スイッチ10aを、プッシュロックスイッチで構成するようにしてもよい。プッシュロックスイッチは、押すとオンし、押した指を離してもオンのままの状態をロックして維持するスイッチである。そして、もう1回プッシュロックスイッチを押すと、オフの初期状態に戻る。このような性質のスイッチを用いても、選択スイッチ10aを構成することができる。
【0049】
選択スイッチ10aは、実施例1に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50と同様に、複数の各ウインドウに対応して、運転席ウインドウ選択スイッチ11a、助手席ウインドウ選択スイッチ12a、運転席側後部座席ウインドウ選択スイッチ13a及び助手席側後部座席ウインドウ選択スイッチ14aを備える。各選択スイッチ11a〜14aは、一旦押し込まれて選択されると、もう1度押し込まれるまで、選択状態を維持する。
【0050】
プッシュロックスイッチは、必ずしもマイコンに制御される必要が無いので、パワーウインドウ装置を低コストで構成することができる。この場合は、パワーウインドウ装置に挟み込み防止機能が搭載されない場合も多い。マイコンが搭載されていないため、実施例2に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50aには、インジケータ30は設けられていない。このように、低コスト指向の車両にも、本実施例に係るパワーウインドウ装置を適用することができる。
【0051】
なお、選択スイッチ10aにより開閉対象となるウインドウが選択されていない状態で、昇降スイッチ20が操作された場合には、デフォルトで運転席のウインドウを昇降動作させる点は、実施例1に係るパワーウインドウ装置と同様である。これにより、運転席のウインドウの瞬時の開閉が必要となった場合にも、誤操作なく即座に対応することができる。昇降スイッチ20の機能は、実施例1と同様であるため、同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
また、運転席以外の各パワーウインドウ操作を禁止するウインドウロックスイッチ40は、実施例1における説明と同様であり、実施例2においても、必要に応じて備えられてよい。ウインドウロックスイッチ40についても、実施例1と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
次に、図4を用いて、実施例2に係るパワーウインドウ装置の処理フローについて説明する。図4は、実施例2に係るパワーウインドウ装置の処理フロー図である。
【0054】
ステップ200では、昇降スイッチ20の操作があったか否かが判定される。操作が無い場合には、最初から処理フローを繰り返す。一方、昇降スイッチ20の操作があった場合には、ステップ210に進む。
【0055】
ステップ210では、選択スイッチ10aにより動作させるウインドウの選択操作があったか否かが判定される。昇降スイッチの操作があった段階で、ウインドウの選択がなされている場合には、ステップ220に進む。一方、ウインドウの選択がなされていない場合には、ステップ230に進む。
【0056】
ステップ220では、選択スイッチ10aの選択状態に従い、選択されているウインドウを、ステップ200の昇降スイッチ20の昇降操作に従って開閉し、処理フローを終了する。これにより、開閉動作を行わせるウインドウが既に選択されていた場合には、選択に従って通常のパワーウインドウ装置の開閉動作を実行することができる。処理フローを終了した後は、最初から処理フローを繰り返す。
【0057】
一方、ステップ210に戻り、開閉させるウインドウが選択スイッチ10aにより選択されていない場合には、ステップ230に進む。
【0058】
ステップ230では、運転席のウインドウを、ステップ200における昇降スイッチ20の昇降操作に従って開閉し、処理フローを終了する。これにより、ステップ210でウインドウの選択がなされていない場合には、デフォルトとして運転席のウインドウを昇降動作させ、即座に運転席のウインドウを開閉させることができる。これにより、運転者はとっさのウインドウの開閉対応が必要な場合にも瞬時に誤動作なく対応させることができる。処理フロー終了後は、図4の処理フローを最初から繰り返す。
【0059】
このように、実施例2に係るパワーウインドウ装置においては、昇降スイッチ20の操作があったときの選択スイッチ10aの選択の有無に従って、ウインドウの開閉動作を行うようにしてよい。図4の処理フローにおいては、選択スイッチ10aがリセットされるステップは記載されていないが、運転者は、必要に応じて、ウインドウの開閉動作終了後に、リセット操作を行うようにしてよい。装置側の処理としては、昇降スイッチ20の操作があったときの状態に従い、選択されているウインドウがあれば選択されているウインドウを昇降させ、選択されているウインドウが無ければ、運転席のウインドウを昇降させるという簡素な処理フローとすることができる。
【0060】
実施例2に係るパワーウインドウ装置によれば、簡素な構成と処理フローを用いて、運転者が誤動作なくとっさの運転席のウインドウの開閉を行うことが可能なパワーウインドウ装置とすることができる。
【実施例3】
【0061】
図5は、本発明を適用した実施例3に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50bの構成を示した正面図である。図5において、実施例3に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50bは、単一の昇降スイッチ20のみを有する点では、実施例1に係るパワーウインドウ装置と共通するが、選択スイッチ10bも単一となっている点で、複数の選択スイッチ11〜14を備えていた実施例1に係るパワーウインドウ装置と異なっている。
【0062】
このように、選択スイッチ10bも1つとしてパワーウインドウ装置を構成してもよい。選択スイッチ10bの数も少なくできるので、パワーウインドウ装置の更なる原価低減を図ることができる。
【0063】
実施例3に係るパワーウインドウ装置においては、1つの選択スイッチ10bに、モーメンタリスイッチを適用している。実施例3に係るパワーウインドウ装置の選択スイッチ10bは、押し込む度に選択されるウインドウが切り替わる切替スイッチとしての機能を有する。つまり、選択スイッチ10bを押す度に、選択されるウインドウが例えば運転席ウインドウ、助手席ウインドウ、運転席側後部座席ウインドウ、助手席側後部座席ウインドウというように、順次切り替わって選択される。選択スイッチ10bを、このような切替式とすれば、図5に示すように、選択スイッチ10bを1つとして構成することができる。
【0064】
インジケータ30bは、実施例1に係るパワーウインドウ装置と同様に、ウインドウの数に対応して複数設けられ、運転席ウインドウ用インジケータ31b、助手席ウインドウ用インジケータ32b、運転席側後部座席ウインドウ用インジケータ33b及び助手席側後部座席ウインドウ用インジケータ34bが各々のウインドウに対応して備えられる。これにより、ユーザは現在選択されている動作対象のウインドウが何であるかを知ることができる。
【0065】
なお、選択スイッチ10bによる選択状態は、実施例1に係るパワーウインドウ装置と同様に、所定時間継続するように構成してもよい。例えば、選択スイッチ10bが複数回押し込まれて選択ウインドウが切り替わり、最後に選択されたウインドウで一定時間選択状態を維持し、所定時間が経過したら選択を解除するように構成してもよい。このように構成すれば、最後の選択スイッチ10bの操作から所定時間内に昇降スイッチ20による昇降操作があれば、選択されたウインドウを昇降させて通常の開閉動作を行わせ、所定時間内に昇降操作が無ければ、選択の無い初期状態に戻すことができる。そして、動作対象ウインドウの選択が無い状態で、昇降スイッチ20の昇降操作があった場合には、運転席のウインドウを昇降スイッチ20の操作に従って昇降させ、とっさの運転席ウインドウの開閉にも対応することができる。
【0066】
なお、選択スイッチ10bの押し下げ操作により選択ウインドウが切り替わる順序は、例えば反時計回り、時計回りというように、回転する順序で切り替わってもよく、用途に応じて種々の切り替わり順序とすることができる。
【0067】
また、ウインドウロックスイッチ40は、実施例1及び実施例2に係るパワーウインドウ装置と同様に、運転席以外の各パワーウインドウの個別操作を禁止するためのスイッチであり、必要に応じて設けられてよい。
【0068】
なお、実施例3に係るパワーウインドウ装置の処理フローは、実施例1の図2において説明した処理フローと同様の処理フローとすることができる。図2の処理フローにおいて、ステップ100のウインドウの選択の方式が異なるだけであり、処理フロー上は実施例1に係るパワーウインドウ装置と同様に処理することができる。よって、実施例3に係るパワーウインドウ装置も、実施例1に係るパワーウインドウ装置と同様に、異物の挟み込み防止機能等を搭載するのに適した構成とすることができる。
【0069】
実施例3に係るパワーウインドウ装置によれば、昇降スイッチ20のみならず、選択スイッチ10bも単一とすることができ、コスト低減を図ることができるとともに、操作を容易にして誤操作を発生させ難くすることができる。また、とっさに運転席のウインドウを開閉したい場合には、昇降スイッチ20の操作のみで良いので、選択動作なく迅速に運転席ウインドウの開閉を行うことができる。
【実施例4】
【0070】
図6は、本発明を適用した実施例4に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50cを示した正面図である。図6において、実施例4に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50cは、昇降スイッチ20が単一に共通に設けられている点と、選択スイッチ10cが単一に構成されている点で、実施例3に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50bと共通するが、選択スイッチ10cがモーメンタリスイッチではなくロータリスイッチとなっている点で実施例3に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50bと異なっている。
【0071】
このように、選択スイッチ10cにロータリスイッチを適用するようにしてもよい。実施例4に係るパワーウインドウ装置においても、選択スイッチ10cは、実施例3と同様に、切替スイッチとしての機能を有している。つまり、運転者は、ロータリスイッチを回転させることにより、動作させたい所望のウインドウを選択する。図6に示されるように、ロータリスイッチを所定の選択位置に合わせることにより、開閉対象となるウインドウを選択できる。従って、選択スイッチ10cの選択位置がいずれのウインドウの選択位置にも無い場合には、無選択状態となる。また、例えば、無選択の初期状態を、ロータリスイッチが12時の方向を指している状態と定めておき、特に選択するウインドウが無い場合には、運転者が12時の方向に戻すような操作をしてもよい。これにより、選択されているウインドウが無く、初期状態にあるときに、とっさに昇降スイッチ20を操作した場合には、運転席のウインドウが作動することになり、瞬時の開閉操作が要求された場合にも即座に対応することが可能となる。
【0072】
なお、昇降スイッチ20及びウインドウロックスイッチ40については、今までの実施例と同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0073】
また、実施例4に係るパワーウインドウ装置の処理フローは、実施例2に係るパワーウインドウ装置の図4において説明した処理フローと同様となるので、その説明を省略する。
【0074】
実施例4に係るパワーウインドウ装置によれば、とっさの運転席のウインドウの開閉要求に応えつつ、昇降スイッチ20のみならず、選択スイッチ10cを単一にして構成できるので、コスト低減を図ることができる。また、選択スイッチ10c自体も接点切替スイッチの簡素な構成のロータリスイッチであるので、関連部品も含めてパワーウインドウ装置全体を簡素に構成でき、更なる原価低減を図ることができる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0076】
特に、実施例1乃至4においては、運転席が前方右側座席の国産車の場合を例に挙げて説明したが、運転席が前方左側座席の外国車の場合にも、同様に本発明を適用することができる。この場合には、実施例1乃至4において、運転席と助手席を読み替えれば、そのまま本実施例を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例1に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50を示した正面図である。
【図2】実施例1に係るパワーウインドウ装置の処理フロー図である。
【図3】実施例3に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50aを示した正面図である。
【図4】実施例2に係るパワーウインドウ装置の処理フロー図である。
【図5】実施例3に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50bを示した正面図である。
【図6】実施例4に係るパワーウインドウ装置のスイッチ部50cを示した正面図である。
【符号の説明】
【0078】
10、10a、10b、10c 選択スイッチ
11、11a 運転席ウインドウ選択スイッチ
12、12a 助手席ウインドウ選択スイッチ
13、13a 運転席側後部座席ウインドウ選択スイッチ
14、14a 助手席側後部座席ウインドウ選択スイッチ
20 昇降スイッチ
30、30b、31〜34、31a〜34b インジケータ
40 ウインドウロックスイッチ
50、50a、50b、50c スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作させるウインドウを選択する選択スイッチと、該選択スイッチにより選択されたウインドウを昇降させる機能を有する単一の昇降スイッチとを有するパワーウインドウ装置であって、
前記選択スイッチが選択されていない状態で、前記昇降スイッチが操作されたときには、運転席のウインドウを昇降させることを特徴とするパワーウインドウ装置。
【請求項2】
前記選択スイッチは、前記ウインドウの各々に対応して複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパワーウインドウ装置。
【請求項3】
前記選択スイッチは、モーメンタリスイッチであることを特徴とする請求項2に記載のパワーウインドウ装置。
【請求項4】
前記選択スイッチは、プッシュロックスイッチであることを特徴とする請求項2に記載のパワーウインドウ装置。
【請求項5】
前記選択スイッチは、単一の切替スイッチであることを特徴とする請求項1に記載のパワーウインドウ装置。
【請求項6】
前記切替スイッチは、押す度に選択される前記ウインドウが切り替わるモーメンタリスイッチであることを特徴とする請求項5に記載のパワーウインドウ装置。
【請求項7】
前記選択スイッチにより選択されている前記ウインドウを表示するインジケータを更に備えたことを特徴とする請求項3又は6に記載のパワーウインドウ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−24663(P2010−24663A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185158(P2008−185158)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】