説明

パワー半導体モジュールと端子コネクタとの配置装置

【課題】外部導線路が、簡単な方式で、バネ接触要素として形成されている端子要素と接続され得る、パワー半導体モジュールとの配置装置を紹介する。
【解決手段】パワー半導体モジュール(1)が、ハウジング(3)と、負荷端子(4)及び補助端子(5)用の端子要素とを有し、これらの補助端子が、少なくとも部分的に、ハウジングから外に通じてゆくバネ接触要素(5)として形成されていて、ハウジングが、端子コネクタ(6)と接続するための第1接続装置(32、34)を有し、端子コネクタが、パワー半導体モジュールのハウジングと接続するための第2接続装置(62、64)を有し、並びにパワー半導体モジュールのバネ接触要素と接触するための少なくとも1つの接触面(72)を備えた少なくとも1つの金属成形体(7)と、外部端子接触のための少なくとも1つの接触要素(70)とを有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バネとして形成されている接触要素を備えたパワー半導体モジュールとこれらの接触要素用の少なくとも1つの端子コネクタとの配置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1から知られているような、その構成サイズと関連して高出力のパワー半導体モジュールの現代の形態が本発明の出発点である。
【0003】
特許文献1は、冷却装置上に取り付けるパワー半導体モジュールを開示し、このパワー半導体モジュールは、ハウジングと、負荷端子及び補助端子用の接続要素とを備えている。負荷端子要素は、この際、捩込み接続部用の孔を備えた金属成形体として形成されている。補助端子は、パワー半導体モジュールの上方に配置される導体プレート(プリント回路板)と押付け接触するためのバネ接触要素として形成されている。この導体プレートは、好ましくは負荷端子及び補助端子の全外部導線路(全外部リード)を形成している。
【0004】
この種の形態は、例えば、パワー半導体モジュール内に配置されているパワー半導体素子の制御端子、それらの補助エミッタ端子、及び追加的なセンサ端子のための多数の補助接触部にとって特に適している。例えばダイオードとサイリスタの直列回路から成るハーフコントロール式の整流器モジュールにおけるように少数の補助接触部では、導体プレートを用いた接続部は、特に外部負荷導線路が同じ導体プレートを用いて形成されていない場合、手間と費用がかかりすぎる。
【0005】
更に例えば特許文献2からは、少数の補助接触要素を有するパワー半導体モジュールが知られていて、この際、それらの補助接触要素は差込みコネクタとして形成されている。パワー半導体モジュールの以前から知られているこの構成における短所は、このモジュールが外部導線路の柔軟(フレキシブル)な形態を備えていないということである。パワー半導体モジュールの前記の形態の柔軟性はここでは提供されていない。
【0006】
【特許文献1】DE102004025609A1
【特許文献2】DE10100460
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎を成す課題は、外部導線路が、簡単な方式で、バネ接触要素として形成されている端子要素、好ましくは補助端子要素と接続され得る、パワー半導体モジュールとの配置装置を紹介することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題は、本発明に従い、請求項1に記載した配置装置により解決され、特別な形態は下位請求項に記載されている。本発明の思想は、絶縁式のハウジングと、有利にはこのハウジングと一体式で接続されているカバーとを備えたパワー半導体モジュールから出発する。このパワー半導体モジュールはその外部端子のためにパワー端子と補助端子とを有する。本発明に従い、これらの補助端子は、少なくとも部分的に、ハウジングから外に通じてゆくバネ接触要素として形成されている。配置装置は更に端子コネクタを有し、この端子コネクタはパワー半導体モジュールのハウジングと接続されている。そのためにハウジングは第1接続装置を有し、端子コネクタは第2接続装置を有する。端子コネクタは、少なくとも部分的にこの端子コネクタ内に埋設されている金属成形体を備えた絶縁材料成形体として形成されている。この金属成形体は、パワー半導体モジュールのバネ接触要素と接触するための少なくとも1つの接触面と、外部端子接触のための少なくとも1つの接触要素とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に図1〜図3と関連する実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1はパワー半導体モジュール(1)との配置用の端子コネクタ(6)を示し、この際、図1aは端子コネクタ(6)を3次元図として斜め上方から示し、図1bは端子コネクタ(6)を下方から示している。ここでは、各々、絶縁材料成形体(60)が描かれていて、この絶縁材料成形体(60)は好ましくはプラスチックから成り、固定ネジを通過させるための孔(62)を備えている。更に絶縁材料成形体(60)は、ロックノーズ(64)として形成されている3つの突起部を有する。これらのロックノーズ(64)は端子コネクタ(6)においてパワー半導体モジュール(1)の方を向いた側に配置されている。
【0011】
ここで絶縁材料成形体(60)には2つの金属成形体(7)が射出(注入成形)により導入されていて、これらの金属成形体(7)は端子コネクタ(6)の上側で絶縁材料成形体(60)から突出し、各々、プラグ(70)を形成している。選択的に差込みスリーブやロウ付けラグやロウ付けピンもこれらの接触要素の好ましい実施形態である。更に、端子コネクタ(6)の接触要素(70)を複数配置する場合、これらの接触要素が異なって形成されていると有利である。このことは例えば様々な幅のプラグにより実現され得る。それにより接触要素が取り違いの危険性なく形成されている。
【0012】
端子コネクタ(6)の下側では金属成形体(7)が、バネ接触要素(50)と接触するための接触面(72)をそれぞれ形成している。絶縁材料成形体(60)は、端子コネクタ(6)の下側において、それらの接触面(72)が端子コネクタ(6)の下境界部を超えて突出するのではなく、好ましくはこの境界部よりも元に戻されているように形成されている。金属成形体(7)は絶縁材料成形体(60)内での互いの絶縁のために及びまたそれを上回るように互い十分に離間されている。
【0013】
図2は、本発明に従い構成されている、ベースプレート(2)とプラスチックハウジング(3)とを備えたパワー半導体モジュール(1)の形態を示していて、プラスチックハウジング(3)はこの中に配置されているパワー半導体素子を包囲している。外部電気接続のためにこのパワー半導体モジュール(1)は負荷端子(4)及び補助端子(5)を有する。負荷端子要素(4)は捩込み端子用の孔を備えた金属成形体として形成されていて、それに対し、パワー半導体モジュール(1)の上側に配置されている補助端子(5)は、接触バネ(50)、ここでは樽形コイルバネとして形成されている。これらの樽形コイルバネ(50)は、これらの樽形コイルバネ(50)を位置決めするためにドームを備えた孔(30)を通じ、ハウジング(3)から出てゆき、それにより外部接触が可能とされている。従来技術に応じ、このハウジングは他の4つの孔(36)を有し、これらの孔(36)は、パワー半導体モジュール81)の上方に配置される導体プレート(プリント回路板)を固定するために用いられる。
【0014】
本発明に従い、ハウジング(3)は、少なくとも1つの端子コネクタ(6)を配置するための接続装置を有する。これらの接続装置は補助接触端子(50)に隣接して配置されていて、ここでは他の孔(32、34)として形成されている。孔の2つのバリエーションが描かれている。第1形態は、ドームとして構成されている突起部を備えた孔(32)を有し、その突起内にネジが配置され、その中で固定される。第2形態は複数の孔(34)であり、これらの孔(34)はロックノーズ(64)用の通過部として用いられ、この際、これらの孔(34)の周辺のハウジング(3)の領域はその内側でそれらのロックノーズ(64)用の対抗支持部として作用する。
【0015】
図3は、図2に従うパワー半導体モジュール(1)と図1に従う端子コネクタ(6)との本発明に従う配置装置を示している。この際、端子コネクタ(6)のロックノーズ(64)は、パワー半導体モジュール(1)のハウジング(3)の対応する孔(34)内に配置されている。それにより樽形コイルバネ(50)と端子コネクタ(6)の接触面(72)との間の確実な電気接続が達成されている。外部導線路用の本発明に従う配置装置により、パワー半導体モジュール(1)における差込み接触部(70)が提供されている。
【0016】
更に、非図示のネジを用い、端子コネクタ(6)はパワー半導体モジュール(1)と接続され得る。このことはスナップ・ロック・接続部(34、64)に対する選択肢を意味するが、これと組み合すことも可能である。捩込み接続部がバネ接触要素(50)に対する端子コネクタ(6)を介した唯一の力導入部である場合、端子コネクタ(6)は好ましくは少なくとも1つのピン状の突起部を有し、これはロックノーズに類似するものであり、またパワー半導体モジュール(1)のハウジング(3)上に端子コネクタ(6)を回り止めして配置するためのものである。同様に、端子コネクタの対応する孔を備えたハウジングのピン状の突起部も適している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】パワー半導体モジュールとの配置用の端子コネクタを上方から示す図である。
【図1b】パワー半導体モジュールとの配置用の端子コネクタを下方から示す図である。
【図2】パワー半導体モジュールの形態を示す図である。
【図3】パワー半導体モジュールと端子コネクタとの本発明に従う配置装置を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 パワー半導体モジュール
2 ベースプレート
3 プラスチックハウジング
30 孔
32 孔(接続装置)
34 孔(接続装置)
36 孔
4 負荷端子(負荷ターミナル)
5 補助端子(補助ターミナル)
50 バネ接触要素
6 端子コネクタ(ターミナルコネクタ)
60 絶縁材料成形体
62 孔
64 ロックノーズ
7 金属成形体
70 プラグ(接触要素)
72 接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネ接触要素を有するパワー半導体モジュール(1)と、端子コネクタ(6)との配置装置において、パワー半導体モジュール(1)が、ハウジング(3)と、負荷端子(4)及び補助端子(5)用の端子要素とを有し、これらの補助端子が、少なくとも部分的に、ハウジング(3)から外に通じてゆくバネ接触要素(5)として形成されていて、ハウジング(3)が、端子コネクタ(6)と接続するための第1接続装置(32、34)を有し、端子コネクタ(6)が、パワー半導体モジュール(1)のハウジング(3)と接続するための第2接続装置(62、64)を有し、並びにパワー半導体モジュール(1)のバネ接触要素(5)と接触するための少なくとも1つの接触面(72)を備えた少なくとも1つの金属成形体(7)と、外部端子接触のための少なくとも1つの接触要素(70)とを有することを特徴とする配置装置。
【請求項2】
パワー半導体モジュール(1)及び端子コネクタ(6)の接続装置(34、64)が共同で少なくとも1つのスナップ・ロック・接続部を形成し、パワー半導体モジュール(1)のハウジング(3)における孔(34)が端子コネクタ(6)のロックノーズ(64)の対抗支持部を形成することを特徴とする、請求項1に記載の配置装置。
【請求項3】
パワー半導体モジュール(1)と端子コネクタ(6)との間の接続装置(32、62)が少なくとも1つの捩込み接続部であり、パワー半導体モジュール(1)のハウジング(3)も端子コネクタ(6)もそれぞれ孔(32、62)を有し、ネジが端子コネクタ(6)の孔(62)を通じて入れられていて、このネジがハウジング(3)の孔(32)内で固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の配置装置。
【請求項4】
端子コネクタ(6)が、射出により導入された少なくとも1つの金属成形体(7)を備えた絶縁材料成形体(60)として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の配置装置。
【請求項5】
外部端子接触のための少なくとも1つの接触要素(70)がプラグ又は差込みスリーブとして形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の配置装置。
【請求項6】
接触要素(70)が複数の場合にこれらの接触要素(70)が取り違いの危険性なく形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の配置装置。
【請求項7】
外部端子接触のための少なくとも1つの接触要素(70)がロウ付けラグ又はロウ付けピンとして形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の配置装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−59393(P2007−59393A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221518(P2006−221518)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(592221975)ゼミクロン エレクトローニク ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (97)
【Fターム(参考)】