説明

パンタグラフ揚力推定システムおよび推定方法

【課題】 車両の走行時に架線を摺動するパンタグラフの揚力を推定する。
【解決手段】 揚力推定システムは、測定区間(−ε<x<ε)の間に存在する、トロリ線と連結されたハンガのハンガ軸力h(i=1,2,・・・,n)および測定区間の両端における傾斜(∂y/∂xx=+ε、∂y/∂xx=−ε)をそれぞれ示すデータを記憶した記憶装置22と、ハンガ軸力、傾斜を示すデータから接触力f(t)を算出する接触力演算部28と、接触力f(t)の時間平均値M(f(t))を算出し、接触力の時間平均値M(f(t))に基づいて、f=M(f(t))−f(f:パンタグラフの静押上力)により、揚力fを算出する揚力演算部30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンタグラフの揚力を推定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パンタグラフは、車両の移動にともなって架線を接触しつつ移動し、架線から電気を車両に供給する。パンタグラフは、その頂部に架線と接触する舟体を有し、コイルバネなどの力で架線との接触を維持している。
【0003】
パンタグラフの揚力(空気力のうち上下方向の成分)は、集電性能に大きく影響を与える要因である。したがって、風洞試験や現車においてパンタグラフの舟体をワイヤで中腰にする試験などによりパンタグラフの揚力を測定している。
【0004】
たとえば、非特許文献1には、パンタグラフを上げ、かつ、コードによって架線に接触しない状態に維持し、コードの一端につけられたロードセルによって揚力を計測する例が開示されている。また、非特許文献2には、パンタグラフの揚力を含む種々の特性を測定するための風洞実験の例が開示されている。
【非特許文献1】「ERRI A 186/RP 5 Pantograph/overhead line interaction」 European Rail Reseatch Institute、第5頁、第38頁、1996年9月
【非特許文献2】「東北新幹線“はやて”搭載 環境にやさしい静かなパンタグラフ」 柴田勝彦他著、三菱重工技報、Vol.40 No.3、2003年5月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の走行時には、パンタグラフのすり板磨耗による形状変化、舟体迎角の変動、トンネル突入時の流速や風向きの変化などの影響により、パンタグラフの揚力は変化するため、架線を摺動しているパンタグラフに作用する揚力を測定するための効果的な方法が求められているが、そのような効率的な手法が提案されていないのが現状である。
【0006】
そこで、本発明は、車両の走行時に架線を摺動するパンタグラフの揚力を推定するシステムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、測定区間のハンガ軸力および測定区間両端のトロリ線の傾斜から、測定区間を通過するパンタグラフの低周波数の接触力を算出する。パンタグラフ通過時に測定される接触力の平均値から、別途測定しておいたパンタグラフの静押上力(停止時に測定される)を減算することで、パンタグラフの揚力を推定する。
【0008】
より詳細には、本発明の目的は、パンタグラフの揚力を推定する揚力推定システムであって、
少なくとも、測定区間(−ε<x<ε)の間に存在する、前記トロリ線と連結されたハンガのハンガ軸力h(i=1,2,・・・,n)、および、測定区間の両端における傾斜(∂y/∂xx=+ε、∂y/∂xx=−ε)をそれぞれ示すデータを記憶した記憶装置と、
前記ハンガ軸力、傾斜を示すデータから、以下の式
【0009】
【数7】

(T:トロリ線の張力)
に基づいて、接触力f(t)を算出する接触力算出手段と、
前記接触力f(t)の時間平均値M(f(t))を算出する平均値算出手段と、
前記接触力の時間平均値M(f(t))に基づいて、以下の式
=M(f(t))−f
(f:パンタグラフの静押上力)
により、揚力fを算出する揚力算出手段と、
を備えたことを特徴とする揚力推定システムにより達成される。
【0010】
好ましい実施態様においては、前記平均値算出手段が、時間t(j=1,・・・,m)における接触力f(t)に基づいて、以下の式
【0011】
【数8】

により、時間平均値M(f(t))を算出する。
【0012】
別の好ましい実施態様においては、前記平均値算出手段が、時間tの関数である接触力f(t)を、時間的な測定区間0≦t≦Tで積分して積分時間Tで除した以下の式
【0013】
【数9】

により、時間平均値M(f(t))を算出する。
【0014】
また、本発明の目的は、少なくとも、測定区間(−ε<x<ε)の間に存在する、前記トロリ線と連結されたハンガのハンガ軸力h(i=1,2,・・・,n)、および、測定区間の両端における傾斜(∂y/∂xx=+ε、∂y/∂xx=−ε)をそれぞれ示すデータを記憶した記憶装置において、パンタグラフの揚力を推定する揚力推定方法であって、
前記ハンガ軸力、傾斜を示すデータから、以下の式
【0015】
【数10】

(T:トロリ線の張力)
に基づいて、接触力f(t)を算出する接触力算出ステップと、
前記接触力f(t)の時間平均値M(f(t))を算出する平均値算出ステップと、
前記接触力の時間平均値M(f(t))に基づいて、以下の式
=M(f(t))−f
(f:パンタグラフの静押上力)
により、揚力fを算出する揚力算出ステップと、
を備えたことを特徴とする揚力推定方法により達成される。
【0016】
好ましい実施態様においては、前記平均値算出ステップが、時間t(j=1,・・・,m)における接触力f(t)に基づいて、以下の式
【0017】
【数11】

により、時間平均値M(f(t))を算出するステップを含む。
【0018】
別の好ましい実施態様においては、前記平均値算出ステップが、時間tの関数である接触力f(t)を、時間的な測定区間0≦t≦Tで積分して積分時間Tで除した以下の式
【0019】
【数12】

により、時間平均値M(f(t))を算出するステップを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、車両の走行時に架線を摺動するパンタグラフの揚力を推定するシステムおよび方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、架線の構造の一例を概略的に示す図である。図1に示すように、架線1のトロリ線10に、パンタグラフ2の舟体3が接触する。図1の例では、パンタグラフ2を備えた車両(図示せず)は、矢印100の方向に進行する。車両の進行に伴って、パンタグラフ2の舟体3は、トロリ線10を摺動する。
【0022】
図1に示すように、架線を支える支柱(図示せず)の支持点11、12の間に、吊架線13が張設される。また、吊架線13から等間隔でハンガ(たとえば、符号14、15参照)が垂下している。ハンガの下端は、トロリ線10に連結される。
【0023】
本実施の形態では、支持点11、12間の距離は50mであり、その間に5m間隔で10個のハンガが設けられる。本実施の形態においては、支持点11、12の間を測定区間としている。
【0024】
ハンガの各々には、歪ゲージ(たとえば、符号101参照)が取り付けられ、ハンガ軸力(図1のh、h、・・・、h10)を測定できるようになっている。ハンガ軸力は、歪ゲージにより測定されたハンガの伸縮から得ることができる。或いは、ハンガにロードセルを取り付けることにより、ハンガ軸力を直接測定することも可能である。
【0025】
また、トロリ線10上、測定区間の端部の各々に、1組(2つ)の加速度計(符号102−1、102−2参照)が配置される。加速度計102−1、102−2の間の距離はΔxである。
【0026】
以下、本発明にかかるパンタグラフの揚力推定の原理を説明する。まず、パンタグラフと架線との間の接触力を考える。本発明においては、測定区間を通過するパンタフラフの低周波数の接触力をまず算出する。
【0027】
図1において、パンタグラフ2の接触力fは、1箇所に作用しており、n箇所のハンガ軸力h(i=1,2,・・・,n)で支持されている無限長の弦として運動方程式の定式化を行う。δをデルタ関数、ρをトロリ線の線密度、EIをトロリ線の曲剛性、Tをトロリ線の張力、xをi番目のハンガ点のx座標、vを列車速度とすると、トロリ線のy方向の挙動y(x,t)を、(1)式のように表すことができる。
【0028】
【数13】

本発明においては、低周波数での議論のため、主に高周波成分である慣性力((1)式の左辺第2項)およびEIの項((1)式の左辺第3項)を削除する((2)式参照)。さらに、測定区間を「−ε<x<ε」の範囲とし、測定区間にパンタグラフがあると仮定する。この仮定の下で、(2)式を積分すると、(3)式を得ることが出来る。
【0029】
【数14】

(3)式において右辺第1項はハンガ軸力の総和である。また、(3)式において、右辺第2項は、トロリ線張力による鉛直成分(y方向の成分)である。また、∂y/∂xx=+ε、∂y/∂xx=−εは、それぞれ、測定区間の端部における傾斜である。(3)式の右辺第2項は、トロリ線上、測定区間の両端にそれぞれ1組ずつ配置された加速度計(たとえば、符号102−1、102−2参照)を測定することにより得ることができる。
【0030】
上記(3)式にしたがって、低周波数でのパンタグラフと架線との間の接触力f(t)を算出することができる。パンタグラフの揚力fは、接触力の時間平均M(f(t))と、予め測定されているパンタグラフの静押上力fとから、以下の(4)式により求めることができる。
【0031】
=M(f(t))−f ・・・(4)
なお、接触力の時間平均M(f(t))は、(5)式に示すものであるが、離散値として演算する場合には、(6)式に示すように、時間t(j=1,・・・,m)における接触力f(t)の平均として求めることができる。
【0032】
【数15】

【0033】
【数16】

以下、パンタグラフの揚力fを推定するための具体的なシステム構成についてより詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかるパンタグラフ揚力推定システムの構成を示すブロックダイヤグラムである。図2に示すように、本実施の形態にかかるパンタグラフ揚力推定システム20は、種々のデータを記憶する記憶装置22と、インタフェース24と、トロリ線張力による鉛直成分を算出するトロリ線張力演算部26と、記憶装置22に記憶されたデータを用いて、低周波数での接触力を算出する接触力演算部28と、演算された接触力に基づいて、パンタグラフの揚力を算出する揚力演算部30と、を備えている。
【0034】
また、パンタグラフ揚力推定システム20は、入力装置31、表示装置32、CD−ROM、CD−R/W、DVD−RAMなどの可搬記憶媒体35を読み書きするための記憶媒体読み書き装置34を有し、インタフェース24との間でデータを授受する。
【0035】
記憶装置22には、ハンガ軸力データファイル36、トロリ線張力による鉛直成分のデータのデータファイル(以下、「トロリ線張力データファイル」と称する。)38、静押上力データファイル40が記憶される。また、接触力演算部28による演算結果および揚力演算部30の演算結果も、これら演算部による処理の後に、たとえば、演算結果ファイル42として記憶装置22に格納される。また、記憶装置22には、図示しないが演算過程で生じた種々のデータも記憶される。
【0036】
ハンガ軸力データファイル36には、測定区間におけるハンガ軸力h(i=1,2,・・・,n)が格納される。また、トロリ線張力データファイル38には、たとえば、測定区間の両端の測定点にそれぞれ1組ずつ(2つずつ)配置された加速度計による加速度から算出された傾斜に基づくトロリ線張力による鉛直成分データ((3)式右辺第2項)が格納される。或いは、トロリ張力データファイル38には、上記算出された傾斜(∂y/∂xx=+ε、∂y/∂xx=−ε)のデータが格納されていても良い。
【0037】
本実施の形態において、歪ゲージなどのセンサから取得した値を直接演算に利用できる場合には、当該センサから取得した値が、それぞれのファイルのデータとして記憶装置22に格納される。その一方、センサから取得した値に一定の処理を施した後に演算に利用する場合には、データファイル生成部44が、センサから取得した値に必要な演算を施して、ファイルのデータを生成して記憶装置22に格納する。
【0038】
図3は、本実施の形態にかかるパンタグラフ揚力推定システムにおけるデータファイルの生成、接触力の演算および揚力の演算の概略を示すフローチャートである。図3に示すように、パンタグラフ揚力推定システム20のデータファイル生成部44は、ハンガに配置された歪ゲージから取得したデータを、力を示すデータに変換して、変換されたデータを含むハンガ軸力データファイル36を生成して、記憶装置22に格納する(ステップ301)。
【0039】
或いは、ハンガにロードセルが配置されている場合には、ハンガに配置されたロードセルから取得したデータをそのままハンガ軸力として利用できるため、データファイル生成部44は、取得したデータを含むハンガ軸力データファイル36を、記憶装置22に格納する。
【0040】
また、データファイル生成部44は、以下のようなデータに基づいて、トロリ線張力データファイル38のデータ(トロリ線張力による鉛直成分データ)を生成し、トロリ線張力データファイル38を記憶装置22に格納する(ステップ302)。
【0041】
(3)式の右辺第2項において、測定区間の一端の傾斜∂y/∂xx=+εは、次の(7)式のように表すことができる。
【0042】
【数17】

前述したように、本実施の形態においては、測定区間の両端にそれぞれ1組(2つ)の加速度計が、Δxだけ離間して配置されている。(7)式において、y(ε+Δx/2,t)は、測定区間の一端における一方の加速度計の出力を2階積分することにより得られる変位、y(ε−Δx/2,t)は、当該一端における他方の加速度計の出力を2階積分することにより得られる変位である。測定区間の他端の傾斜∂y/∂xx=−εも、同様に求めることができる。データファイル生成部44は、算出された傾斜から、トロリ線張力による鉛直成分のデータT((∂y/∂xx=+ε)−(∂y/∂xx=−ε))を算出する。算出されたトロリ線張力による鉛直成分のデータを含むトロリ線張力データファイル38は、記憶装置22に格納される。
【0043】
接触力演算部38は、ハンガ軸力データファイル36に含まれるハンガ軸力データ、トロリ線張力データファイル38に含まれるトロリ線張力による鉛直成分データに基づいて、上述した(3)式に基づいて接触力f(t)を算出し、記憶装置22に算出された接触力f(t)のデータ(接触力データ)を記憶する(ステップ303)。
【0044】
次いで、揚力演算部30は、記憶装置22から接触力データおよび静押上力ファイル40中の静押上力データを読み出し、接触力データの時間平均値M(f(t))を算出し(ステップ304)、算出された接触力データの時間平均値M(f(t))から静押上力fを減じて、パンタグラフの揚力fを算出し、算出された揚力データfを含む演算結果ファイル42を記憶装置22に格納する(ステップ305)。
【0045】
なお、静押上力ファイル中のデータ(静押上力データ)は、車両基地などにおいてフォースゲージなどを使用して、パンタグラフの静押上力を計測した値(実測値)が利用される。実測値のデータを含む静押上力データファイル40が、予め記憶装置22に格納され、揚力演算部30は、静押上力データファイル40中の静押上力データを読み出して、演算に使用する。
【0046】
ステップ304においては、より具体的に、揚力演算部30は、接触力f(t)という時間の関数を近似等により求め、時間の関数であるf(t)を、時間的な測定区間0≦t≦Tで積分し、積分値を測定区間の長さTで除算することにより、揚力を求めることができる。これは、上記(5)式にしたがった演算である。
【0047】
或いは、揚力演算部30は、離散値として求められた接触力f(t)(j=1,・・・,m)の総和を、そのサンプル数mで除算することによっても、揚力を求めることができる。これは、上記(6)式にしたがった演算である。
【0048】
本実施の形態によれば、低周波数でのパンタグラフと架線との間の接触力の時間平均値と、パンタグラフの静押上力との差をとることによって、パンタグラフの揚力を推定する。したがって、効率よくかつ精度良く、車両の走行時に架線を摺動するパンタグラフの揚力を推定することができる。
【0049】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0050】
たとえば、前記実施の形態においては、測定区間の端部の各々に、1組(2つ)の加速度計を配置し、それぞれの加速度計の値から端部の傾斜を算出しているが、これに限定されるものではない。図4に示すように、測定区間の端部に、加速度計の代わりに、傾斜計(符号110、111参照)を配置すれば、当該測定区間の端部の傾斜を取得することができる。この場合には、測定区間の両端部の傾斜を取得して(たとえば、記憶装置22に記憶しておいた傾斜のデータを読み出して)、当該傾斜から、トロリ線張力による鉛直成分のデータを算出することができる。
【0051】
また、前記実施の形態においては、測定区間を、架線の支持点の間として設定しているが、測定区間はこれに限定されるものではない。
【0052】
さらに、前記実施の形態においては、シンプルカテナリ式の架線におけるパンタグラフの揚力の推定に本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、コンパウンドカテナリ式など他の架線形式でも本発明が適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、架線の構造およびセンサの配置の一例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態にかかるパンタグラフ揚力推定システムの構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図3】図3は、本実施の形態にかかるパンタグラフ揚力推定システムにおけるデータファイルの生成、接触力の演算および揚力の演算の概略を示すフローチャートである。
【図4】図4は、架線の構造およびセンサの配置の他の例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 架線
2 パンタグラフ
10 トロリ線
20 パンタグラフ揚力推定システム
22 記憶装置
26 トロリ線張力演算部
28 接触力演算部
30 揚力演算部
36 ハンガ軸力データファイル
38 トロリ線張力データファイル
40 静押上力データファイル
42 演算結果ファイル
44 データファイル生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンタグラフの揚力を推定する揚力推定システムであって、
少なくとも、測定区間(−ε<x<ε)の間に存在する、前記トロリ線と連結されたハンガのハンガ軸力h(i=1,2,・・・,n)、および、測定区間の両端における傾斜(∂y/∂xx=+ε、∂y/∂xx=−ε)をそれぞれ示すデータを記憶した記憶装置と、
前記ハンガ軸力、傾斜を示すデータから、以下の式
【数1】

(T:トロリ線の張力)
に基づいて、接触力f(t)を算出する接触力算出手段と、
前記接触力f(t)の時間平均値M(f(t))を算出する平均値算出手段と、
前記接触力の時間平均値M(f(t))に基づいて、以下の式
=M(f(t))−f
(f:パンタグラフの静押上力)
により、揚力fを算出する揚力算出手段と、
を備えたことを特徴とする揚力推定システム。
【請求項2】
前記平均値算出手段が、時間t(j=1,・・・,m)における接触力f(t)に基づいて、以下の式
【数2】

により、時間平均値M(f(t))を算出することを特徴とする請求項1に記載の揚力推定システム。
【請求項3】
前記平均値算出手段が、時間tの関数である接触力f(t)を、時間的な測定区間0≦t≦Tで積分して積分時間Tで除した以下の式
【数3】

により、時間平均値M(f(t))を算出することを特徴とする請求項1に記載の揚力推定システム。
【請求項4】
少なくとも、測定区間(−ε<x<ε)の間に存在する、前記トロリ線と連結されたハンガのハンガ軸力h(i=1,2,・・・,n)、および、測定区間の両端における傾斜(∂y/∂xx=+ε、∂y/∂xx=−ε)をそれぞれ示すデータを記憶した記憶装置において、パンタグラフの揚力を推定する揚力推定方法であって、
前記ハンガ軸力、傾斜を示すデータから、以下の式
【数4】

(T:トロリ線の張力)
に基づいて、接触力f(t)を算出する接触力算出ステップと、
前記接触力f(t)の時間平均値M(f(t))を算出する平均値算出ステップと、
前記接触力の時間平均値M(f(t))に基づいて、以下の式
=M(f(t))−f
(f:パンタグラフの静押上力)
により、揚力fを算出する揚力算出ステップと、
を備えたことを特徴とする揚力推定方法。
【請求項5】
前記平均値算出ステップが、時間t(j=1,・・・,m)における接触力f(t)に基づいて、以下の式
【数5】

により、時間平均値M(f(t))を算出するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の揚力推定方法。
【請求項6】
前記平均値算出ステップが、時間tの関数である接触力f(t)を、時間的な測定区間0≦t≦Tで積分して積分時間Tで除した以下の式
【数6】

により、時間平均値M(f(t))を算出するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の揚力推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−230322(P2008−230322A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69928(P2007−69928)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】