説明

パーキング機構付電動式ブレーキ装置

【課題】電動モータの出力軸をロックする際の衝撃を吸収して、耐久性の向上、及び、衝撃の際の衝突音の発生の防止を図る事ができる構造を実現する。
【解決手段】パーキングロック装置は、前記電動モータ8aへの通電に伴って回転する回転軸35の一部に固定された回転側係合部材27と、この回転側係合部材27に対し遠近動する方向の変位を可能に、前記回転軸35を中心とする回転を阻止された状態で支持された前記抑止側係合部材28と、この抑止側係合部材28の一部に設けた弾性部材29とにより構成する。パーキングブレーキの作動時に、前記抑止側係合部材28と前記回転側係合部材27とが係合する前に、前記弾性部材29とこの回転側係合部材27とを当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動モータを駆動源として制動力を発生させ、しかも、この電動モータへの通電を停止した後も制動力を維持したままの状態にできる、パーキング機構付電動式ブレーキ装置の改良に関する。具体的には、パーキングブレーキの制動力を維持する為に、前記電動モータの出力軸の回転をロックする際の衝撃、及び、衝撃音の低減を図る事ができる構造の実現を図るものである。
【背景技術】
【0002】
電動モータを駆動源とする電動式ディスクブレーキは、従来から広く実施されている油圧式のディスクブレーキに比べて、配管が不要になり、製造の容易化、低コスト化を図れるだけでなく、用済のブレーキ液が生じず環境負荷が少ない、ブレーキ液の移動がない分応答性の向上を図れる等、多くの利点がある為、研究が進められている。この様な電動式ディスクブレーキとして、電動モータの出力を増力機構に入力し、この増力機構により、この電動モータの回転運動を増力しつつ直線運動に変換し、一対のパッドをロータの両側面に強く押し付ける構造のものが、従来から各種提案されている。又、電動モータへの通電を停止した後も制動力を維持したままの状態にできる、パーキング機構付電動式ブレーキ装置も、例えば特許文献1〜3に記載される等により、従来から知られている。これら各特許文献に記載された発明は、何れも、それぞれが制動用摩擦部材である一対のパッドを、車輪と共に回転する、制動用回転体であるブレーキロータの軸方向両側面に押圧する、ディスクブレーキを対象としている。
【0003】
この為、前記各特許文献に記載された何れのパーキング機構付電動式ブレーキ装置も、電動モータの出力軸の回転運動を直線運動に変換して前記両パッドを前記ブレーキロータに押圧する電動式押圧装置と、前記電動モータへの通電停止後にもこれら両パッドをこのブレーキロータに押し付けたままの状態に維持する為のパーキング用ロック装置とを備えている。このうちのパーキング用ロック装置には、前記電動モータへの通電停止後の状態でも、前記両パッドを前記ブレーキロータに押圧し続けられる機能が要求される。
【0004】
図11、12は、特許文献4に記載されている、パーキング用ロック装置を備えたパーキング機構付の電動式ディスクブレーキ装置の構造を示している。
この駐車ブレーキ付き電動式ディスクブレーキ装置1は、サービスブレーキとパーキングブレーキとの両方の機能を電気式に発揮させるものである。
この電動式ディスクブレーキ装置1は、キャリパ2と、支持部材であるサポート3と、ピストン4と、車輪と共に回転する制動用回転体であるブレーキロータ5と、このブレーキロータ5を軸方向両側から挟む状態で設けられた一対のパッド6a、6bと、電動式押圧装置であるボールランプ機構7と、電動モータ8と、減速機構9と、ロック機構12とを備える。このうちの、ロック機構12は、ソレノイド13(図12参照)と、係合爪部材14と、爪車15とを備える。又、この爪車15は、互いに同心に設けられた内側部材16及び外側部材17と、これら両部材16、17の周面同士の間に設けられた弾性部材18とから構成されている。そして、この内側部材16を、前記電動モータ8のモータロータ10の後端部に外嵌固定している。
【0005】
この様な電動式ディスクブレーキ装置1で、サービスブレーキ装置を作動させる場合には、運転手のブレーキ操作に基づいて、電動モータ8に所定の電流を供給して、この電動モータ8のモータロータ10を制動方向へ回転させる。このモータロータ10の回転は、減速機構9によって所定の減速比で減速されると共にトルクを増大されてから、前記ボールランプ機構7により直線運動に変換されて、前記ピストン4を前記ブレーキロータ5側へ変位させる。そして、前記一対のブレーキパッド6a、6bのうちのインナ側のパッド6aを前記ブレーキロータ5のインナ側面に押し付ける。すると、この押し付け力の反作用として前記キャリパ2のキャリパ爪11が、アウタ側のパッド6bを、前記ブレーキロータ5のアウタ側面に押し付ける。
又、制動解除時には、前記モータロータ10を逆回転させる事によって前記ピストン4を、前記ブレーキロータ5から離れる方向へ変位させ、前記両ブレーキパッド6a、6bを前記ブレーキロータ5から離す。
【0006】
又、前記電動式ディスクブレーキ装置1のうちのパーキングブレーキ装置を作動する場合、運転手のスイッチなどの操作に基づき、前記モータロータ10を制動方向に回転させて前記ブレーキパッド6a、6bを前記ブレーキロータ5に押し付ける。この状態で、前記ロック機構12を構成する、ソレノイド13を作動させて前記係合爪部材14の係合爪部19を前記爪車15の外周面の全周に亙り形成された爪部20と係合させる。この様にして、前記電動モータ8のモータロータ10の回転を規制する事で、前記電動モータ8及びソレノイド13への通電を停止した状態で制動状態を保持する。
【0007】
この様に作動する、前記パーキングブレーキ装置の場合、前記爪車15の爪部20と、前記係合爪部材14の係合爪部19とが係合する際、前記モータロータ10等の慣性によって発生する衝撃を、前記爪車15の内側部材16と外側部材17との間に設けた弾性部材18により吸収する事ができる。ただし、この弾性部材18が損傷、劣化した場合、前記内側部材16と外側部材17との回転方向の係合状態にガタが生じ、制動状態を保持する為の軸力が低下してしまう事が考えられる。又、前記爪車15の爪部20と係合爪部材14の係合爪部19とが直接係合する為、この係合の際に衝突音が発生する事が考えられる。
【0008】
又、特許文献2には、電動モータの回転軸に形成されたフランジ部と、このフランジ部と係合する爪車との間に、弾性部材を設ける事で、電動モータの残留回転エネルギーを吸収する構造が記載されている。ただし、この構造の場合にも、前記特許文献1と同様の問題が考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、電動モータの出力軸をロックする際の衝撃を吸収して、耐久性の向上、及び、衝撃の際の衝突音の防止を図る事ができるパーキング機構付電動式ブレーキ装置を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置は、従来から知られているパーキング機構付電動式ブレーキ装置と同様に、制動用回転体と、支持部材と、制動用摩擦部材と、電動式押圧装置と、パーキング用ロック装置とを備える。
このうちの制動用回転体は、車輪と共に回転するもので、ディスクブレーキ装置を構成するブレーキロータ、又は、ドラムブレーキ装置を構成するドラムが相当する。
又、前記支持部材は、前記制動用回転体に隣接した状態で、回転しない部分に支持されたもので、ディスクブレーキ装置を構成するサポート(フローティングキャリパ型ディスクブレーキの場合)或はキャリパ(対向ピストン型ディスクブレーキ装置の場合)、又は、ドラムブレーキ装置を構成するバックプレートが相当する。
又、前記制動用摩擦部材は、前記支持部材の一部に、前記制動用回転体の一部(ブレーキロータの軸方向両側面、ドラムの内周面)に対向した状態で、この制動用回転体に対する遠近動を可能に支持されている。
又、前記電動式押圧装置は、電動モータを駆動源とし、減速機を介して前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に近づく方向に移動させる。
更に、前記パーキング用ロック装置は、前記電動モータへの通電停止後にも、前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けたままの状態に維持する。
【0011】
特に、本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置に於いては、前記パーキングロック装置は、回転側係合部材と、抑止側係合部材と、電動式のアクチュエータと、緩衝機構とを備える。
このうちの回転側係合部材は、前記電動モータへの通電に伴って回転する回転軸の一部に固定されたもので、この回転軸と同心の回転側係合面を有する。又、前記回転側係合部材は、前記電動式押圧装置により前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けて制動力を生じさせた状態で、この制動力の反作用に基づいて所定方向に回転しようとするトルクが付与される。
又、前記抑止側係合部材は、前記支持部材に直接又は他の部材を介して、この回転側係合面に対し遠近動する方向の変位を可能に、前記回転軸を中心とする回転を阻止された状態で支持されたもので、前記回転側係合面と係脱可能な形状としている。
又、前記電動式のアクチュエータは、通電に基づき前記抑止側係合部材に対して、前記回転側係合部材に遠近動する方向の力を付与する為のもので、例えば、直動式のソレノイド等を利用できる。
更に、前記緩衝機構は、前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材とのうちの少なくとも一方の係合部材若しくはこの一方の係合部材と同期して変位する部材の一部に、当該係合部材が遠近動する相手部材との間に設けられたもので、前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材とが係合する前に、前記当該部材と前記相手部材との相対変位速度を遅くすべく作用する事で、この係合の際の衝撃を緩和する。
【0012】
前述の様な本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置を実施する場合に、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記回転側係合部材が固定される回転軸を、前記電動モータの出力軸とする。
又、上述の様な本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置を実施する場合の具体的構造として、例えば請求項3〜6に記載した発明の様な構造を採用できる。
【0013】
このうちの請求項3に記載した発明の構造の場合には、前記抑止側係合部材を、前記回転側係合部材に対して軸方向に変位可能、且つ、回転不能な状態で同心に設ける。
又、前記緩衝機構を、この抑止側係合部材と前記回転側係合部材とのうちの少なくとも一方の部材の一部で、相手部材と対向する部分に設けられた弾性部材により構成する。
そして、前記抑止側係合部材と回転側係合部材とが係合する前に、前記弾性部材を前記相手部材の一部に当接させる。
【0014】
又、請求項4に記載した発明の構造の場合には、前記抑止側係合部材を、前記回転側係合部材に対して軸方向に変位可能、且つ、回転不能な状態で、この回転側係合部材と同心に設ける。
又、前記緩衝機構を、これら抑止側係合部材、又は、回転側係合部材のどちらか一方の部材に設けられた凹部と、他方の部材に設けられた凸部とで構成されたエアダンパ機構とする。
そして、前記抑止側係合部材と回転側係合部材とが係合する前に、前記凸部と凹部とが係合して、この凹部内に空気を閉じ込める。
【0015】
又、請求項5に記載した発明の構造の場合には、前記回転側係合部材の、外周面の全周に亙り歯車状の凹凸部を形成する。
又、前記抑止側係合部材を、この回転側係合部材の凹凸部のうちの凹部と係合する係合凸部を備え、前記回転側係合部材の中心軸に直交する方向に存在する仮想平面上に設ける。
又、前記緩衝機構を、前記抑止側係合部材の係合凸部の先端部と前記凹凸部の凹部の底部とのうちの少なくとも一方に設けられた弾性部材で構成する。
そして、前記抑止側係合部材の係合凸部と前記回転側係合部材の凹凸部の凹部とが係合する前に、前記弾性部材をこの凹部とこの係合凸部の先端部との間で挟持する。
【0016】
更に、請求項6に記載した発明の構造の場合には、前記アクチュエータを、通電に基づいてプランジャに直線運動させるソレノイドとする。
このソレノイドは、コイルと、ケースと、プランジャとを備える。
このうちの、プランジャは、前記ケースに軸方向の変位可能、且つ、回転不能に支持されている。又、一端部及び他端部をケースの両端部に互いに同心に設けられた一対の通孔からこのケースの外部に突出させている。又、中間部をケースの内部に配置し、この中間部の一部を、前記通孔の内径よりも大きな外径を有する大径部としている。
又、前記抑止側係合部材を、前記プランジャの一端部に回転不能、且つ、このプランジャと共に軸方向への変位可能に設ける。
又、このプランジャの他端部には、前記緩衝機構を構成する弾性部材を設ける。
そして、前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材とが係合する前に、この弾性部材を、受面であるこのケースの端部外面に当接させる。
【0017】
又、上述の請求項1〜6に記載した様なパーキング機構付電動式ブレーキ装置を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した様に、前記アクチュエータを、通電に基づいてプランジャに直線運動させるソレノイドとする。
このソレノイドは、コイルと、ケースと、プランジャとを備える。
このうちの、プランジャは、前記ケースに軸方向の変位可能、且つ、回転不能に支持されている。又、一端部及び他端部をケースの両端部に互いに同心に設けられた一対の通孔からこのケースの外部に突出させている。そして、中間部をケースの内部に配置し、この中間部の一部を、前記通孔の内径よりも大きな外径を有する大径部としている。
又、前記抑止側係合部材を、前記プランジャの一端部に回転不能、且つ、このプランジャと共に軸方向への変位可能に設ける。
又、このプランジャの他端部には、弾性部材を設ける。
そして、前記大径部の他端縁が前記ケースの内面に当接する前に、この弾性部材をこのケースと対向する部分に存在する第2の受面に当接させる。
【発明の効果】
【0018】
上述の様な本発明のディスク式電動駐車ブレーキ装置の場合、前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材との間に、これら抑止側係合部材と回転側係合部材とが係合する前に、この係合の際の衝撃を緩和する緩衝機構を設けている。この為、この係合の際の衝撃を緩和し、前記抑止側係合部材、及び、回転側係合部材の耐久性の向上を図り、衝撃音の発生を防止できる。
又、前記弾性部材が劣化した場合にも、この弾性部材の劣化が、回転方向に関する前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材との係合に影響する事がなく、この回転方向にガタが生じる事がない。
【0019】
又、請求項3〜4、6に記載した発明の様に、前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材とを同心に配置すれば、この回転側係合部材の径方向に関する小型化を図る事ができる。
又、請求項5に記載した発明の様に、前記抑止側係合部材を、前記回転側係合部材の中心軸に直交する方向に存在する仮想平面上に配置すれば、この回転側係合部材の軸方向に関して小型化を図る事ができる。
この様に、パーキング機構付電動式ブレーキ全体としての設計等の条件に合わせて、前記請求項3〜4、6に記載した発明の構造、又は、前記請求項5に記載した発明の構造を適宜選択する事で、設計の自由度の向上を図る事ができる。
【0020】
又、請求項7に記載した発明の様に、前記アクチュエータであるソレノイドを構成するプランジャの他端部に弾性部材を設ければ、前記抑止側係合部材による前記回転側係合部材のロック状態を解除する方向へ、前記プランジャが変位した場合に、このプランジャの中間部に形成した大径部が、前記ソレノイドのケースの内面に当接する前に、前記弾性部材がこのケースと対向する部分に存在する第二の受面に当接して、前記プランジャが、前記ソレノイドのケースの内面に当接する際の衝撃を緩和する。この為、これらプランジャ、及び、ソレノイドの耐久性の向上を図り、当接の際の衝撃音の発生を抑える事もできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す模式図。
【図2】同じく、具体的構造を示す、左下部は図3のイ−イ断面を、右上部は同ロ−ロ断面を、それぞれ表す断面図。
【図3】図2のハ−ハ断面図。
【図4】図2のX部拡大図であり、(A)はパーキングロック機構が非作動時の状態を、(B)は同じく作動時の状態を、それぞれ示している。
【図5】図2のY部拡大図であり、(A)は第二の弾性部材が第二の受面に当接する前の状態を、(B)は第二の弾性部材が第二の受面に当接した状態を、(C)はこの当接後に第二の弾性部材が弾性変形して衝撃を吸収する状態を、それぞれ示している。
【図6】増力機構及び軸力センサを組み合わせたユニットを取り出して、キャリパに組み付けた状態で示す断面図(A)及び組み付ける以前の状態で示す断面図(B)。
【図7】本発明の実施の形態の第2例を示す断面図で、(A)はエアダンパ機構が未作動時の状態を、(B)は同じく作動時の状態を、それぞれ示している。
【図8】本発明の実施の形態の第3例を示す模式図。
【図9】同じく、図8のニ−ニ断面図。
【図10】本発明の実施の形態の第4例で、(A)は弾性部材が受面に当接する前の状態を、(B)は弾性部材が受面に当接した状態を、(C)はこの当接後に弾性部材が弾性変形して衝撃を吸収する状態を、それぞれ示す断面図である。
【図11】従来構造の1例を示す、ディスク式電動駐車ブレーキの断面図。
【図12】図11のホ−ホ断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施の形態の第1例]
図1〜6は、請求項1〜3、7に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の構造は、本発明を、フローティング型ディスクブレーキに適用した場合に就いて示している。
このパーキング機構付電動式ブレーキ装置は、制動用回転体であるブレーキロータ5と、支持部材であるサポート(図示省略)と、それぞれが制動用摩擦部材である、インナパッド6a及びアウタパッド6bと、電動式押圧装置21と、パーキング用ロック装置22とを備える。
このうちのブレーキロータ5は、図示しない車輪と同心に固定されて、この車輪と共に回転する。
又、前記サポートは、前記ブレーキロータ5の円周方向の一部を跨ぐ状態で、このブレーキロータ5に隣接して設けられ、懸架装置を構成するナックル等の、回転しない部分に支持固定される。この様なフローティング型ディスクブレーキを構成するサポートの構造及び機能に就いては、従来から一般的に実施されている油圧式のディスクブレーキで周知であるから、図示並びに詳しい説明は省略する。
【0023】
又、前記インナ、アウタ両パッド6a、6bは、前記サポートの一部で前記ブレーキロータ5の円周方向の一部を軸方向両側から挟む部分に、このブレーキロータ5の軸方向両側面に対向した状態で、このブレーキロータ5に対する遠近動を可能に、即ち、このブレーキロータ5の軸方向の変位を可能に支持されている。
【0024】
又、前記電動式押圧装置21は、駆動源である電動モータ8aと、歯車式減速機の如き、動力の伝達方向に関して可逆性を有する減速機9aと、送りねじ機構23とボールランプ機構24との組み合わせにより構成され、回転運動を直線運動に変換する推力発生機構25とを備えている。尚、この様な電動式押圧装置21は、図1に示すようにキャリパ2a内に設置する構造や、図2に示すようにキャリパ2aに固定したケーシング26内に収納する構造とする事ができる。
又、このキャリパ2aは前記サポートに対し、前記ブレーキロータ5の軸方向の変位を可能に支持されている。本例の場合に前記推力発生機構25は、前記インナパッド6aを前記ブレーキロータ5のインナ側面に押し付ける様にしている。この推力発生機構25に関しても、力の伝達方向に関して、可逆性を持たせている。そして、この推力発生機構25による押し付けの反作用として前記キャリパ2aが前記サポートに対してインナ側に変位し、このキャリパ2aのアウタ側端部に設けたキャリパ爪11aが前記アウタパッド6bを、前記ブレーキロータ5のアウタ側面に押し付ける。この状態でこのブレーキロータ5が、このアウタパッド6bと前記インナパッド6aとで軸方向両側から強く挟持され、制動が行われる。
尚、本例の場合、前記推力発生機構25を、送りねじ機構23とボールランプ機構24との組み合わせにより構成している。この様な推力発生機構25の構造及び作用は、基本的には、特許文献6に記載された従来構造と同様である。但し、本発明を実施する場合、推力発生機構25は、図示の様な送りねじ機構23とボール・ランプ機構24とを組み合わせた構造に限らず、カム・ローラ機構等、回転方向の力を増力しつつ軸力に変換する、各種機械的な増力機構を採用できる。
【0025】
更に、前記パーキング用ロック装置22は、前記電動モータ8aへの通電停止後にも、前記インナ、アウタ両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5の軸方向両側面に押し付けたままの状態に維持する為に設けている。この様な役目を持つ、前記パーキングロック装置22は、電動式のアクチュエータであるソレノイド13aと、回転側係合部材27と、抑止側係合部材28と、第一の弾性部材29と、第二の弾性部材30とを備える。
【0026】
このうちのソレノイド13aは、コイル(図示省略)と、ケース31(図5参照)と、プランジャ32とを備える。又、このプランジャ32は、中間部をこのケースの内部に配置している。又、一端部及び他端部をケースの両端部に互いに同心に設けられた一対の通孔33、33からこのケース31の外部に突出する状態で、軸方向の変位可能、且つ、回転不能に支持している。この為に、例えば前記プランジャ32の一部と前記ケース31の一部とを、スプライン係合、或いはキー係合させている。又、このプランジャ32の中間部は、このプランジャ32と共に軸方向への変位を可能で、前記両通孔33、33の内径よりも大きな外径を有する、大径部34としている。
この様なソレノイド13aのプランジャ32の一端部には、前記抑止側係合部材28を固定している。又、このプランジャ32の他端部には、前記第二の弾性部材30を装着している。
【0027】
又、前記回転側係合部材27は、前記電動モータ8aの出力軸35のうちの前記減速機9aと反対側(図1、2、4の左側)に突出した部分の先端部に、この出力軸35と共に回転する状態で固定している。
この様な回転側係合部材27は、傘歯車状であり、この回転側係合部材27の先端面(前記電動モータ8aの本体部分と反対側の面で、図1、2、4の左側面)の外径寄り部分を、前記出力軸35と同心の回転側係合部36としている。又、この回転側係合部36の外周面には、全周に亙り歯車状の回転側凹凸部37を形成している。
【0028】
又、前記抑止側係合部材28は、先端部に、前記回転側係合部材27の回転側係合部36と係合する為の、抑止側係合凹部38を形成している。又、この抑止側係合凹部38の内周面には、前記回転側係合部材28の外周面に形成した回転側凹凸部37と係合可能な、抑止側凹凸部39を形成している。この様な抑止側係合部材28の材料は、金属、合成樹脂等、十分な強度及び剛性を確保できる限り問わない。この様な抑止側係合部材28は、回転を阻止された状態で、前記ソレノイド13aにより、前記回転側係合部材27に対して遠近動する方向、即ち、前記電動モータ8aの出力軸35の軸方向の変位を可能に支持している。
【0029】
又、前記第一の弾性部材29は、前記抑止側係合部材28の抑止側係合凹部38の底面の中央部に形成した係止凹部40に、先端部が、この底面から前記回転側係合部材27の方向へ突出する状態で装着されている。この様な第一の弾性部材29は、ばねや、ゴム等のエラストマーとする事ができる。
【0030】
更に、前記第二の弾性部材30は、ゴムの如きエラストマーにより一体に造られたもので、一対の側板41、41と連結板42とを備えたH形状を成している。このうちの一対の側板41、41は、前記プランジャ32の他端部を挟んだ状態で、このプランジャ32の中心軸と平行に配置している。又、前記連結板42は、このプランジャ32の中心軸に直交する方向に存在する仮想平面上に設けられており、前記側板41、41同士を連結している。又、前記連結版42の中央部には、この連結板を前記プランジャ32の他端部外周面に固定する為の通孔(図示省略)を形成している。尚、この連結板42をこのプランジャ32に固定する方法は、例えば、このプランジャ32の他端部外周面に全周に亙り係止溝を形成し、前記通孔の内周面をこの係止溝に外嵌固定等する。この他にも、接着等により固定する事もできる。
【0031】
又、この様な第二の弾性部材30は、この第二の弾性部材30の他端縁(前記一対の側板41、41の他端縁)と、特許請求の範囲の第二の受面43であり、この他端縁と対向する前記キャリパ2a、又は、前記ケーシング26(図2参照)等の内面との距離L43(図5参照)を、前記大径部34の他端面(図5の左側端面)と、前記ケース31の内面のうちの、この前記大径部34の他端面と対向する面との距離L31よりも小さく(L43<L31)なる様に配置している。
尚、前記ソレノイド13aは、制御装置等の信号に基づいて、作動方向を変える事ができる2WAY方式のソレノイド等を採用する。
【0032】
本例のパーキング機構付ディスクブレーキ装置の場合、前述した如く、図1に示す様に、前記電動モータ8aと、前記減速機9aと、パーキングロック装置22とを、前記キャリパ2a内に収納した構造や、図2に示す様に、前記電動モータ8aと、前記減速機9aと、パーキングロック装置22とを、前記キャリパ2a内に固定したケーシング26内に収納した構造とする事ができる。以下に、本発明を適用したパーキング機構付ディスクブレーキ装置の具体的構造、及び、作用、効果に就いて、図2を用いて説明する。
【0033】
この図2に示すパーキング機構付ディスクブレーキ装置の場合、前記電動モータ8aの出力軸35の先端部(図2の右側端部)に減速小歯車44を、この出力軸35と同心に外嵌固定し(スプライン係合させ)ている。又、前記減速機9aは、前記減速小歯車44と、前記推力発生機構25の中心部に設けた駆動スピンドル45の基端部に外嵌固定した減速大歯車46との間に、図3に示す様に複数個の歯車を配置する事により、前記出力軸35の回転を、増力(トルクを増大)して、前記駆動スピンドル45に伝達し、この駆動スピンドル45を大きなトルクで回転駆動する様にしている。
【0034】
前記推力発生機構25を構成する為に、前記駆動スピンドル45の軸方向中間部に外向フランジ状の鍔部47を形成し、この鍔部47のインナ側面をスラスト転がり軸受48により支承している。この構成により前記駆動スピンドル45を、インナ側に向いたスラスト荷重を支承しつつ、回転駆動自在としている。又、本例の場合には、前記鍔部47と前記スラスト転がり軸受48とを、軸力センサ49、及び、波板ばね、圧縮コイルばね、ゴム等、軸方向に関して弾性変形自在な弾性部材50と共に、ケースユニット51内に収納している。このケースユニット51は、インナ側ケース52とアウタ側ケース53とを組み合わせて成る。このケースユニット51は、これらインナ側、アウタ側両ケース52、53を、軸方向に関する若干の相対変位を可能に、且つ、非分離に組み合わせて成る。
【0035】
このうちのインナ側ケース52は、中心部に円形の通孔54を有する円輪形の底板部55の外周縁からアウタ側に向け、円筒状の固定側周壁部56を設けている。この固定側周壁部56の基半寄り部分(インナ寄り部分)の円周方向1箇所位置に、前記軸力センサ49の測定信号を取り出すコネクタ57の端部を露出させる為の取り出し孔58を形成している。又、前記固定側周壁部56の先半寄り部分(アウタ寄り部分)の円周方向複数箇所(例えば、円周方向等間隔の2〜3箇所位置)に、軸方向に長い係止孔59、59を形成している。尚、前記コネクタ57の端部を露出させる為の構造は、前記取り出し孔58に代えて、前記固定側周壁部56の先端縁(アウタ側端縁)に開口する切り欠きとしても良い。但し、この場合には、この切り欠きと前記各係止孔59、59との円周方向に関する位相をずらせる(円周方向に隣り合う係止孔59、59同士の間に切り欠きを設ける)。
【0036】
一方、前記アウタ側ケース53は、中心部に円形の通孔60を有する円輪形の底板部61の外周縁からインナ側に向け、円筒状の変位側周壁部62を設けている。そして、この変位側周壁部62の先端縁(インナ側端縁)の円周方向複数箇所位置に形成した各係合片63、63を前記各係止孔59、59に、軸方向の変位を可能に係合させて、前記ケースユニット51を構成している。このケースユニット51の軸方向寸法は、前記各係止孔59、59内で前記各係合片63、63が変位できる範囲で、伸縮可能になる。又、前記変位側周壁部62の円周方向複数箇所(例えば、円周方向等間隔の2〜3箇所位置)に、この変位側周壁部62の外周面から、前記ケースユニット51の径方向外方に突出する状態で、それぞれ係止片64、64を、突出形成している。
【0037】
この様なケースユニット51内に、前記駆動スピンドル45の中間部に設けた鍔部47と、前記軸力センサ49と、前記スラスト転がり軸受48と、前記弾性部材50とを組み込んで、図6に示す様な軸力測定ユニット65とする。そして、この軸力測定ユニット65を、図2に示す様に、前記キャリパ2aのインナ側部分に設けたシリンダ空間66の奥端部(インナ側端部)に組み付けている。このシリンダ空間66の奥端部のうちで前記コネクタ57の端部に整合する部分には、このシリンダ空間66の内径側及びアウタ側に開口する凹溝67を形成して、前記コネクタ57の端部との干渉防止を図っている。又、前記シリンダ空間66の中間部奥端寄り部分に係止凹部68を、前記凹溝67部分を除き、ほぼ全周に亙って形成している。
【0038】
前記軸力測定ユニット65は前記シリンダ空間66の奥端部に、前記弾性部材50を軸方向に、前記各係止片64、64を径方向内方に、それぞれ弾性的に圧縮しつつ押し込む。そして、押し込み完了後の状態で、前記弾性部材50の弾力により、前記各係止片64、64の先端縁を前記係止凹部68のアウタ側内側面に突き当てる。この状態で、前記アウタ側ケース53が前記シリンダ空間66から抜け出る方向(アウタ側)に変位する事はなくなり、前記軸力センサ49に、測定精度を確保する為に十分な予圧が付与された状態となる。そこで、前記キャリパ2aに形成した接続孔69を通じて前記シリンダ空間66内に、ハーネス70の端部に設けたプラグ71を差し込んで、このプラグ71と前記コネクタ57とを接続し、前記軸力センサ49の測定信号を取り出し可能とする。
【0039】
この様にして、前記シリンダ空間66の奥端部に組み付けた前記軸力測定ユニット65とインナパッド6aとの間に、前記送りねじ機構23と前記ボールランプ機構24とを組み合わせた、前記推力発生機構25を設けている。このうちの送りねじ機構23は、前記駆動スピンドル45のアウタ側半部(図2の左半部)に設けた雄ねじ部72に、駆動側ロータ73の中心部に設けたねじ孔74を螺合させる事により構成している。又、前記ボール・ランプ機構24は、前記駆動側ロータ73と、被駆動側ロータ75と、複数個のボール76、76とを備える。これら両ロータ73、75の互いに対向する面の円周方向複数箇所には、それぞれ複数箇所(例えば3〜4箇所)に、それぞれが軸方向に見た形状が円弧形である、駆動側ランプ部77、77と被駆動側ランプ部78、78とを設けている。
【0040】
これら各ランプ部77、78の、軸方向に関する深さは、円周方向に関して漸次変化しているが、変化の方向は前記各駆動側ランプ部77、77と前記各被駆動側ランプ部78、78とで、互いに逆方向としている。従って、前記両ロータ73、75を相対回転させ、前記各ボール76、76を前記各ランプ部77、77に沿って転動させると、前記両ロータ73、75同士の間隔が大きな力で拡縮される。又、このうちの被駆動側ロータ75と前記インナパッド6aとの間には、この被駆動側ロータ75と球面係合した間座79を挟持している。更に、この被駆動側ロータ75の一部外周縁から突出した係合突片80と前記凹溝67の一部とが、スリーブ92を介して係合し、この被駆動側ロータ75を前記駆動スピンドル45の先端部周囲に、回転を阻止した状態で、軸方向の変位を可能に支持している。
【0041】
上述の様に構成する本例のパーキング機構付電動式ブレーキ装置による制動時には、前記電動モータ8aに通電する事により、前記出力軸35を回転させ、前記減速機9aを介して前記推力発生機構25の駆動スピンドル45を回転駆動させる。この回転駆動の初期段階では前記駆動側ロータ73が、付勢ばね81等の抵抗により回転せず、前記雄ねじ部72と前記ねじ孔74との螺合に基づいて、前記駆動スピンドル45の先端側に平行移動(前記ブレーキロータ5に向けて、回転せずに移動)する。この平行移動により、前記ブレーキロータ5の軸方向両側面と、前記インナパッド6a及びアウタパッド6bとの間の隙間が詰められる。この様な平行移動の間、前記各ボール76、76は、前記各ランプ部77、78のうちで最も深くなった側の端部に位置している。
【0042】
前記平行移動の結果、前記各部の隙間が喪失し、前記駆動側ロータ73がそれ以上前記ブレーキロータ5に向けて移動する事に対する抵抗が大きくなると、この駆動側ロータ73が前記駆動スピンドル45と共に回転し、この駆動側ロータ73と前記被駆動側ロータ78とが相対回転する。すると、前記各ボール76、76が、転動しながら、前記各ランプ部77、78のうちで浅い側に移動し、前記両ロータ73、78同士の間隔が拡がる。これら各ランプ部77、78の傾斜角度は緩いので、これら両ロータ73、78同士の間隔を拡げる力は大きくなり、前記インナ、アウタ両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5の両側面に、前記間座79及びキャリパ爪11aにより、大きな力で押し付けて、制動を行える。
制動力の大きさは、前記電動モータ8aへの通電量を規制して、前記出力軸35から前記減速機9aを介して前記推力発生機構25に入力するトルクを調節する事により調節する。この様なサービスブレーキの作動時には、前記抑止側係合部材28を、図4の(A)に示す様に、その先端部を前記回転側係合部材27から退避させておく。従って、前記抑止側係合部材28が、前記電動モータ8aを含む電動式押圧装置21の作動に影響を及ぼす事はない。
又、この様にして制動を行うべく、前記インナ、アウタ両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5の両側面に押し付ける力の大きさの調節は、前記電動モータ8aへの通電量を調節するフィードフォワード制御により行える他、前記軸力センサ49の測定信号に基づくフィードバック制御によっても行える。
【0043】
又、車両を停止状態に維持する為のパーキング機構の作動時には、前記電動式押圧装置21により前記インナ、アウタ両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5の両側面に押し付けて制動力を発生させた状態で、前記ソレノイド13aに通電する。この通電に基づいて、前記抑止側係合部材28が、前記回転側係合部材27に近付く方向に変位する。そして、図4の(B)に示す様に、前記抑止側係合部材28の抑止側係合凹部38の抑止側凹凸部39と、前記回転側係合部材27の回転側係合部36の回転側凹凸部37とを、この回転側係合部材27の回転方向に関して係合させる。
【0044】
本例の場合、前記抑止側係合部材28の抑止側係合凹部38の底面の中央部に形成した係止凹部40に、先端部がこの底面から前記回転側係合部材27の方向へ突出する状態で前記第一の弾性部材29を装着している。この為、前記抑止側凹凸部39と、前記回転側凹凸部37とが係合する前に、前記第一の弾性部材29の先端面と、前記抑止側係合部材28の回転側係合部36の先端面とが当接する。更に、前記抑止側係合部材28が、前記方向に変位すると、前記第一の弾性部材29が前記図4の(B)に示す様に弾性変形して、前記係合の際の衝撃を吸収し、衝突音の発生を防止しつつ、前記抑止側、回転側両凹凸部39、37同士を係合させる。この為に、前記第一の弾性部材29の弾力は、前記ソレノイド13aの推力よりも小さくしておく。
前記第一の弾性部材29が劣化した場合には、前記衝突音を抑える効果は劣化するが、この場合でも、この第一の弾性部材29の劣化が、前記抑止側係合部材28と前記回転側係合部材27の回転方向に関する係合に影響する事はない。この為、この回転方向にガタが生じる事はなく、パーキング機構本来の性能が劣化する事はない。
【0045】
前記パーキング機構の作動時には、前記ソレノイド13aに通電した状態のまま、前記電動式押圧装置21を構成する電動モータ8aへの通電を停止する。この電動モータ8aの出力軸35の回転に基づいて、前記インナ、アウタ両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5の両側面に押圧して制動力を発生させる為の、前記推力発生機構25及び前記減速機9aは、前述の様に、力の伝達に関して可逆性を有するものであるから、前記電動モータ8aへの通電を停止した状態では、前記制動力の反作用に基づいて前記回転側係合部材27が所定方向に回転する傾向になるが、前述の様に、前記抑止側凹凸部39と前記回転側凹凸部37とが係合した状態では、この回転側係合部材27が制動力を低下させる方向に回転する事がない。そして、前記抑止側凹凸部39と、前記回転側凹凸部37とが係合した状態で、前記ソレノイド13aへの通電を停止する。このソレノイド13aへの通電を停止した状態で、前記抑止側係合部材28は、軸方向に変位する事なく、そのままの位置に{図4の(B)に示した状態}止まる。従って、前記抑止側、回転側両凹凸部39、37は、係合したままの状態となる。
【0046】
この様に、これら抑止側凹凸部39と回転側凹凸部37とを係合させた状態では、何れの部分にも通電する事なく、前記インナ、アウタ両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5の軸方向両側面に押し付けたままにできる為、バッテリー等の電源を消耗する事なく、制動力を確保できる。
パーキングブレーキの作動を解除する為には、前記ソレノイド13aに通電する事で、前記抑止側係合部材28を、図4の(A)に示す様に、前記回転側係合部材27から遠ざかる方向に変位させる。すると、前記抑止側、回転側凹凸部39、37同士の係合が外れて、前記回転側係合部材27が回転可能となり、前記両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5の軸方向両側面に押し付けていた力が喪失する。
【0047】
又、本例の場合、前記ソレノイド13aのプランジャ32の他端部に、H形状の第二の弾性部材30を設けている。この第二の弾性部材30は、この第二の弾性部材30の他端縁(この第二の弾性部材30を構成する前記一対の側板41、41の他端縁)とこの他端縁と対向する前記ケーシング26の内面である第二の受面43との距離L43(図5参照)を、前記プランジャ32の大径部34の他端面(図5の左側端面)と、前記ケースの内面のうちの、この前記大径部34の他端面と対向する面との距離L31よりも小さく(L43<L31)なる様に配置を規制している。この為、前記抑止側係合部材28の変位に伴い前記プランジャ32が前記方向に変位し、前記大径部34の他端面が前記ケース31の内面に当接する前に、図4の(B)に示す様に、この第二の弾性部材30を構成する前記一対の側板41、41の他端縁が前記第二の受面43に当接する。この状態から更に、前記プランジャ32が前記方向へ変位すると、図4の(C)に示す様に、前記第二の弾性部材30を構成する前記連結板42が弾性変形する。この様にして、前記プランジャ32の大径部34と前記ケース31の内面との衝突の際の衝撃を吸収し、パーキング機構を解除する際に於ける、衝突音の発生を抑える。
【0048】
[実施の形態の第2例]
図7は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。
本例の場合、抑止側係合部材28aを、回転側係合部材27aに対して軸方向に変位可能、且つ、回転不能な状態で、この回転側係合部材27aと同心に設けている。又、抑止側係合部材28aの抑止側係合凹部38aの底面に、係止凹部40aを形成している。
又、前記回転側係合部材27aの回転側係合部36aの先端面の中央部に、係止凸部82を形成している。この係止凸部82の外径D82は、前記係止凹部40aの内径D40aと同じか、この内径D40aよりも僅かに小さく(D82≦D40a)している。そして、係止凹部40aと係止凸部82との嵌合により、この係止凹部40a内に空気を閉じ込めるエアダンパ機構83を構成している。
【0049】
車両を停止状態に維持する為のパーキング機構の作動時には、電動式押圧装置21(図2参照)により前記インナ、アウタ両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5の両側面に押し付けて制動力を発生させた状態で、ソレノイド13a(図2参照)に通電する。この通電に基づいて、前記抑止側係合部材28aが、前記回転側係合部材27aに近付く方向に変位する。そして、前記抑止側係合部材28aの抑止側係合凹部38aの抑止側凹凸部39aと、前記回転側係合部材27aの回転側係合部36aの回転側凹凸部37aとを、この回転側係合部材27aの回転方向に関して係合させる。
【0050】
本例の場合、前記抑止側係合部材28aの抑止側係合凹部38aの底面の中央部に形成した係止凹部40aと、前記回転側係合部材27aの回転側係合部36aの先端面の中央部に設けられた係止凸部82とでエアダンパ機構83を構成している。このエアダンパ機構83では、前記抑止側係合部材28aの抑止側係合凹部38aの抑止側凹凸部39aと、前記回転側係合部材27aの回転側係合部36aの回転側凹凸部37aとが係合する前に、図7の(B)に示す様に、前記係止凸部82の先端部が、前記係止凹部40aに挿入される。そして、この係止凹部40a内に空気を閉じ込める。更に、前記抑止側係合部材28aが、前記方向に変位すると、係止凹部40a内に空気が僅かずつ、この係止凹部40aの内周面と前記係止凸部82の外周面との間の隙間から漏れ出す。この為、前記抑止側、回転側両凹凸部39a、37a同士の係合が緩徐に行われて、この係合の際の衝撃を吸収し、衝突音の発生を防止できる。
回転側、抑止側両係合部材27a、28aの形状、構造の相違点以外は、前述の実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
【0051】
[実施の形態の第3例]
図8、9は、請求項1、2、5、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、回転側係合部材27bの外周面に、全周に亙り、歯車状の凹凸部84を形成している。
又、抑止側係合部材28bは、前記回転側係合部材27bの中心軸に直交する方向に存在する仮想平面上に、この回転側係合部材27bの径方向の変位を可能に設けている。又、前記抑止側係合部材28bは、先端部にこの回転側係合部材27bの凹凸部84のうちの凹部85、85と係合する(何れかの凹部85内に進入可能な)係合凸部86を設けている。又、この係合凸部86の先端部に、弾性部材87を設けている。尚、この弾性部材87は、前記凹凸部84を構成する、前記各凹部85、85の底部に設ける事もできる。
【0052】
車両を停止状態に維持する為のパーキングブレーキの作動時には、電動式押圧装置21によりインナ、アウタ両パッド6a、6bをブレーキロータ5(図2参照)の両側面に押し付けて制動力を発生させた状態で、ソレノイド13aに通電する。この通電に基づいて、前記抑止側係合部材28bが、前記回転側係合部材27bに近付く方向(図8、9の下方向)に変位する。そして、前記抑止側係合部材28bの係合凸部86と、前記回転側係合部材27bの凹凸部84を構成する何れかの凹部85とが係合する。
【0053】
本例の場合、前記抑止側係合部材28bの係合凸部86の先端部に、弾性部材87を設けている。この為、前記抑止側係合部材28bの係合凸部86と、前記回転側係合部材27bの凹凸部84の何れかの凹部85とが係合する前に、前記弾性部材87の先端面と、当該凹部85の底部とが当接する。更に、前記抑止側係合部材28bが当該凹部85内に進入する過程で、前記弾性部材87が弾性変形して、前記係合の際の衝撃を吸収し、衝突音の発生を防止できる。
尚、本例の様に、前記抑止側係合部材28bを、前記回転側係合部材27bの中心軸に直交する方向に存在する仮想平面上に配置すれば、この回転側係合部材の軸方向に関するスペースを少なくする事ができる。
回転側、抑止側両係合部材27b、28aの形状、構造、配置の相違点以外は、前述の実施の形態の第1、2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
【0054】
[実施の形態の第4例]
図10は、請求項1、2、6、7に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合、ソレノイド13aを構成するプランジャ32の他端部に弾性部材88を装着している。尚、この弾性部材88は、前記図5に示した第二の弾性部材30と同様の構造であり、この図5に示した第一の弾性部材29、及び、第二の弾性部材30の機能を兼ね備える様に、前記弾性部材88の配置を工夫している。
この様な弾性部材88は、この弾性部材88の一端縁(この弾性部材88を構成する一対の側板90、90の一端縁)とこの一端縁と対向するソレノイド13aのケース31の外面である受面89との距離L89を、抑止側係合部材28cの抑止側係合凹部38cと回転側係合部材27cとが係合し切るまでのストロークL27よりも小さく(L89<L27)している。
【0055】
車両を停止状態に維持する為のパーキングブレーキの作動時には、電動式押圧装置21によりインナ、アウタ両パッド6a、6bを前記ブレーキロータ5(図2参照)の両側面に押し付けて制動力を発生させた状態で、前記ソレノイド13aに通電する。この通電に基づいて、前記抑止側係合部材28cが、前記回転側係合部材27cに近付く方向(図10の右方向)に変位する。そして、前記抑止側係合部材28cの抑止側係合凹部38cの抑止側凹凸部39cと、前記回転側係合部材27cの回転側係合部36cの回転側凹凸部37cとを、この回転側係合部材27cの回転方向に関して係合させる。
【0056】
本例の場合、前記弾性部材88を構成する一対の側板90、90の一端縁とこの一端縁と対向する前記ソレノイド13aのケース31の外面である受面89との距離L89を、抑止側係合部材28cの抑止側係合凹部38cと前記回転側係合部材27cとが係合し切るまでのストロークL27よりも小さく(L89<L27)している。この為、前記抑止側係合部材28cの抑止側係合凹部38cの抑止側凹凸部39cと、前記回転側係合部材27c回転側係合部36cの回転側凹凸部37cとが当接する前に、図10の(B)に示す様に、前記弾性部材88の側板の一端縁(前記一対の側板90、90の一端縁)が前記受面89に当接する。更に、前記抑止側係合部材28c、及び、前記プランジャ32が、前記抑止側、回転側両凹凸部39c、37cを係合し切るまで変位する過程で、前記弾性部材88を構成する前記連結板91が図10の(C)に示す様に弾性変形する。この結果、前記両凹凸部39c、37c同士が緩徐に係合して、これら両凹凸部39c、37c同士が係合する際の衝撃を吸収し、衝突音の発生も防止する。
【0057】
又、本例の場合、前記図5に示した構造と同様に、前記弾性部材88の他端縁(前記一対の側板90、90の他端縁)と、特許請求の範囲の第二の受面43であり、この他端縁と対向する前記キャリパ2a、又は、前記ケーシング26等の内面との距離L43を、前記プランジャ32の大径部34の他端面(図10の左側端面)と、ソレノイド13aのケース31の内面のうちの、この大径部34の他端面と対向する面との距離L31よりも小さく(L43<L31)なる様に規制している。この為、前記プランジャ32の大径部34と前記ケース31の内面との衝突の際の衝撃を吸収し、且つ、衝突音の発生も防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
前記各実施例の構造はディスク式の電動パーキング機構に本発明を適用した構造であるが、ドラム式の電動パーキング機構に適用する事もできる。即ち、電動モータを駆動源として制動力を発生させ、この制動力を維持する為に、前記電動モータの出力軸等の回転をロックする各種構造に適用する事ができる。
【符号の説明】
【0059】
1 電動式ディスクブレーキ
2、2a キャリパ
3 サポート
4 ピストン
5 ブレーキロータ
6a、6b パッド
7 ボールランプ機構
8、8a 電動モータ
9、9a 減速機構
10 モータロータ
11、11a キャリパ爪
12 ロック機構
13、13a ソレノイド
14 係合爪部材
15 爪車
16 内側部材
17 外側部材
18 弾性部材
19 係合爪部
20 爪部
21 電動式押圧装置
22 パーキング用ロック装置
23 送りねじ機構
24 ボールランプ機構
25 推力発生機構
26 ケーシング
27、27a、27b、27c 回転側係合部材
28、28a、28b、28c 抑止側係合部材
29 第一の弾性部材
30 第二の弾性部材
31 ケース
32 プランジャ
33 通孔
34 大径部
35 出力軸
36、36a、36b、36c 回転側係合部
37、37a、37b、37c 回転側凹凸部
38、38a、38b、38c 抑止側係合凹部
39、39a、39b、39c 抑止側凹凸部
40、40a 係止凹部
41 側板
42 連結板
43 第二の受面
44 減速小歯車
45 駆動スピンドル
46 減速大歯車
47 鍔部
48 スラスト転がり軸受
49 軸力センサ
50 弾性部材
51 ケースユニット
52 インナ側ケース
53 アウタ側ケース
54 通孔
55 底板部
56 固定側周壁部
57 コネクタ
58 取り出し孔
59 係止孔
60 通孔
61 底板部
62 変位側周壁部
63 係合片
64 係止片
65 軸力測定ユニット
66 シリンダ空間
67 凹溝
68 係止凹部
69 接続孔
70 ハーネス
71 プラグ
72 雄ねじ部
73 駆動側ロータ
74 ねじ孔
75 被駆動側ロータ
76 ボール
77 駆動側ランプ部
78 被駆動側ランプ部
79 間座
80 係合突片
81 付勢ばね
82 係止凸部
83 エアダンパ機構
84 凹凸部
85 凹部
86 係合凸部
87 弾性部材
88 弾性部材
89 受面
90 側板
91 連結板
92 スリーブ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2003−307240号公報
【特許文献2】特開2008−275053号公報
【特許文献3】特表2001−524647号公報
【特許文献4】特開2007−321862号公報
【特許文献5】特開2003−104179号公報
【特許文献6】特開2004−169729号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転する制動用回転体と、この制動用回転体に隣接した状態で、回転しない部分に支持された支持部材と、この支持部材の一部にこの制動用回転体の一部に対向した状態で、この制動用回転体に対する遠近動を可能に支持された制動用摩擦部材と、電動モータを駆動源とし、減速機を介してこの制動用摩擦部材を前記制動用回転体に近づく方向に移動させる電動式押圧装置と、前記電動モータへの通電停止後にも前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けたままの状態に維持する為のパーキング用ロック装置とを備えたパーキング機構付電動式ブレーキ装置に於いて、
前記パーキングロック装置は、前記電動モータへの通電に伴って回転する回転軸の一部に固定された、この回転軸と同心の回転側係合面を有する回転側係合部材と、前記支持部材に直接又は他の部材を介して、この回転側係合面に対し遠近動する方向の変位を可能に、前記回転軸を中心とする回転を阻止された状態で支持された、前記回転側係合面と係脱可能な形状とした抑止側係合部材と、通電に基づきこの抑止側係合部材に対して、前記回転側係合部材に近づく方向の力を付与する電動式のアクチュエータとを備えたものであり、
前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材とのうちの少なくとも一方の係合部材若しくはこの一方の係合部材と同期して変位する部材の一部に、当該部材が遠近動する相手部材との間に設けられて、前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材とが係合する前に、前記当該部材と前記相手部材との相対変位速度を遅くするべく作用する事により、前記係合の際の衝撃力を緩和する緩衝機構を設けた事を特徴とするパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項2】
前記回転側係合部材が固定される回転軸が、前記電動モータの出力軸である、請求項1に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項3】
前記抑止側係合部材が、前記回転側係合部材に対して軸方向に変位可能、且つ、回転不能な状態で同心に設けられており、前記緩衝機構が、この抑止側係合部材と前記回転側係合部材とのうちの少なくとも一方の部材の一部で、相手部材と対向する部分に設けられた弾性部材により構成されたものであり、前記抑止側係合部材と回転側係合部材とが係合する前に、前記弾性部材が前記相手部材の一部に当接する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項4】
前記抑止側係合部材が、前記回転側係合部材に対して軸方向に変位可能、且つ、回転不能な状態で、この回転側係合部材と同心に設けられており、前記緩衝機構が、これら抑止側係合部材、又は、回転側係合部材のどちらか一方の部材に設けられた凹部と、他方の部材に設けられた凸部とで構成されたエアダンパ機構であり、前記抑止側係合部材と回転側係合部材とが係合する前に、前記凸部と凹部とが係合してこの凹部内に空気を閉じ込める、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項5】
前記回転側係合部材は、外周面の全周に亙り歯車状の凹凸部を形成されており、前記抑止側係合部材は、この回転側係合部材の凹凸部のうちの凹部と係合する係合凸部を備え、前記回転側係合部材の中心軸に直交する方向に存在する仮想平面上に設けられており、前記緩衝機構が、前記抑止側係合部材の係合凸部の先端部と前記凹凸部の凹部の底部とのうちの少なくとも一方に設けられた弾性部材で構成されており、前記抑止側係合部材の係合凸部と前記回転側係合部材の凹凸部の凹部とが係合する前に、前記弾性部材がこの凹部と前記係合凸部の先端部との間で挟持される、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項6】
前記アクチュエータが、通電に基づいてプランジャに直線運動させるソレノイドであり、このソレノイドは、コイルと、ケースと、プランジャとを備え、このうちのプランジャはこのケースに軸方向の変位可能、且つ、回転不能に支持されており、一端部及び他端部をケースの両端部に互いに同心に設けられた一対の通孔からこのケースの外部に突出させており、中間部の一部を前記通孔の内径よりも大きな外径を有する大径部としており、
前記抑止側係合部材は、前記プランジャの一端部に回転不能、且つ、このプランジャと共に軸方向への変位可能に設けられており、このプランジャの他端部には、前記緩衝機構を構成する弾性部材が設けられており、前記抑止側係合部材と前記回転側係合部材とが係合する前に、この弾性部材が受面であるこのケースの端部外面に当接する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項7】
前記アクチュエータが、通電に基づいてプランジャに直線運動させるソレノイドであり、このソレノイドは、コイルと、ケースと、プランジャとを備え、このうちのプランジャはこのケースに軸方向の変位可能、且つ、回転不能に支持されており、一端部及び他端部をケースの両端部に互いに同心に設けられた一対の通孔からこのケースの外部に突出させており、中間部の一部を前記通孔の内径よりも大きな外径を有する大径部としており、
前記抑止側係合部材は、前記プランジャの一端部に回転不能、且つ、このプランジャと共に軸方向への変位可能に設けられており、このプランジャの他端部には、弾性部材が設けられており、前記大径部の他端縁が前記ケースの他端部内面に当接する前に、この弾性部材がこのケースと対向する部分に存在する第2の受面に当接する、請求項1〜6の何れか1項に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−193802(P2012−193802A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58733(P2011−58733)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】