説明

ヒドロキシアセトンまたはプロピレングリコールを調製するための方法

本発明は、ヒドロキシアセトンまたは1,2−プロピレングリコールを調製するための方法に関する。より詳細には、本発明は、ヒドロキシアセトンまたは1,2−プロピレングリコールをグリセロールによって調製するための方法に関する。さらに、本方法は、グリセロールからヒドロキシアセトン(アセトール)または1,2−プロピレングリコール(1,2−PG)への変換に対して80〜100%の選択性を生じさせる金属触媒によって触媒される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシアセトンまたはプロピレングリコールを調製するための方法に関する。より詳細には、本発明は、ヒドロキシアセトンまたは1,2−プロピレングリコールをグリセロールによって調製するための方法に関する。さらに、本方法は、グリセロールからヒドロキシアセトン(アセトール)または1,2−プロピレングリコール(1,2−PG)への変換に対して80〜100%の選択性を生じさせる金属触媒によって触媒される。
【背景技術】
【0002】
グリセロールの水素化分解が、アセトールを生じさせる最初の脱水、およびその後のアセトールから1,2−プロピレングリコール(1,2−PG)への水素化反応を含むことは公知である。直接水素化経路ではこれらの工程は一緒に実施されるが、しかしながら脱水工程は水素を必要とせず、さらにこれら双方の工程の反応速度論は異なるので、数種の副生成物が形成される。これは単一工程水素化経路の主要な欠点である。
【0003】
「Method of producing lower alcohols from glycerol」と題する国際公開第2005/095536号パンフレットおよびMohanprasad A.Dasariによる「Catalytic conversion of glycerol and sugar alcohols to value−added products」と題する論文の「Dehydration of glycerol,to acetol via catalytic reactive distillation」と題する第4章は、水の存在下で銅、ニッケル、アルミナなどを含む金属触媒を使用する、グリセロールからの相対的に純粋なヒドロキシアセトンの調製法を開示しているが、この方法のヒドロキシアセトンへの選択性は65%に過ぎない。
【0004】
Masaki Akiyama,Ryoji Takahashi,Takayoshi Hara,Kanichiro Inui および Masahiro Yokotaは、論文「Vapor−phase reaction of polyols over copper catalysts」において、銅金属触媒上方でのトリオール類およびジオール類の蒸気相反応について記載している。トリオール類、例えば1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)ならびに1,2,3−ブタントリオールおよび1,2,4−ブタントリオールは、対応するヒドロキシケトンへ脱水され、その間に1,2−プロピレングリオールが脱水素化されてヒドロキシアセトンが形成される。担持銅ならびに純粋銅金属は、不活性条件下でヒドロキシアセトンを製造するためにグリセロールを脱水するための効果的な触媒であった。アルミナ担持銅は、窒素雰囲気圧および250℃で、>90モル%のヒドロキシアセトン選択性を伴って最高触媒活性を示した。
【0005】
先行技術を検索した結果から、これまでにヒドロキシアセトンへの100%の選択性を生じさせるグリセロールからヒドロキシアセトンへの液相選択脱水が試みられてきたが、成果が得られていないことは明白である。さらに、水の存在下でのグリセロールの脱水がグリセロールの選択的脱水によってヒドロキシアセトンへの100%の選択性を達成することについては立証されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主要な目的は、ヒドロキシアセトンおよび1,2−プロピレングリコールをグリセロールによって調製するための方法を提供することである。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、ヒドロキシアセトンをグリセロールの脱水によって調製するための方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、1,2−プロピレングリコールをグリセロールの水素化によって調製するための方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、一段階法において、Cu、Cr、Al、Ba、Mg、Zr、Zn、Siまたはそれらの組み合わせから選択される触媒の存在下で、グリセロールからヒドロキシアセトンまたは1,2−プロピレングリコールへの転換に対して80〜100%の選択性を示す調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、グリセロールからヒドロキシアセトンまたはプロピレングリコールへ80〜100%の選択性で変換させるための触媒方法であって、a)グリセロール、溶媒および前還元された触媒を15〜500の範囲内のモル比で、水素を含むかまたは含まないオートクレーブ内に装填する工程と、b)工程(a)で得られた反応混合物を窒素でフラッシングし、続いて同一物を180℃〜240℃の範囲内の温度で1〜24時間の範囲内の時間にわたり300〜1,700rpmの範囲内の速度で攪拌しながら加熱して、ヒドロキシアセトンまたはプロピレングリコールを得る工程と、c)工程(b)で得られた反応混合物からヒドロキシアセトンを分別蒸留によって分離して、純粋ヒドロキシアセトンを得る工程とを含み、前記触媒は溶媒の存在下でCu、Cr、Al、Ba、Mg、Zr、Zn、Siまたはそれらの組み合わせから選択される、触媒方法に関する。
【0011】
好ましい態様では、本方法は、10〜80重量%のグリセロール、より好ましくは20〜60重量%のグリセロールを含有する原材料を、窒素雰囲気圧下、180〜220℃の温度範囲内で、金属触媒とともに加熱する工程を含む。上記の方法のための溶媒は、水、アルコール類、および好ましくは脂肪族アルコール類から、単独またはそれらの組み合わせで選択される。
【0012】
本発明のまた別の態様では、20%のCuCrと80%のSiO/Al/ゼオライト担体とを備える触媒組成物が、グリセロールからヒドロキシアセトンへの選択的変換のために使用される。
【0013】
さらに別の態様では、脱水生成物であるヒドロキシアセトンが水素化のための出発化合物となり、選択的に1,2−プロピレングリコールを生じさせる。
【0014】
本発明のまた別の態様では、20%のCuCrと80%のSiO/Al/ゼオライト担体とを備える触媒組成物が、グリセロールから1,2−プロピレングリコールへの選択的変換のために使用される。
【0015】
本発明のまた別の態様では、ナノ構造のCu、Al、Cr触媒が、7〜80nm、より好ましくは7〜50nmの範囲内の粒径を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】67%のCu+33%のCr触媒のXRDパターンを示す図である。
【図2】50%のCu+50%のAlのナノ触媒のXRDパターンを示す図である。
【図3】50%のCu+50%のAlのナノ触媒のTEM画像を示す図である。
【図4】20%のCuCr/H−βゼオライト触媒のXRDパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は様々な修飾および代替形態を受け入れる余地があるが、それらの特定の態様を実施例および図面によって示し、下記で詳述する。しかし、本発明を本明細書に開示した特定の形態に限定することは意図しておらず、むしろ本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲内に含まれる全ての修飾、同等物および代替物を含んでいると理解されたい。
【0018】
本出願人らは、図面は、本明細書に記載の利点を有する当業者には容易に明白となる詳細によって本開示を不明瞭にすることがないように、本発明の態様の理解に関係する特定の詳細だけを示すために描出されていることを述べておきたいと考える。
【0019】
用語「含む」、「含んでいる」またはその他の任意の変形は、非排他的な包含を含むことを意図し、これにより、リストに記載の成分を含む触媒組成物はそれらの成分だけを含むのではなく、そのような方法に対して明示的に列挙されていない、または固有ではない他の成分を含むことができる。言い換えると、「〜を含む」によって規定される装置または方法における1つ以上の要素は、それ以上の制約を伴わず、該装置または方法における他の要素または追加の要素の存在を排除しない。
【0020】
本発明の態様についての下記の詳細な説明では、その一部を形成し、本発明を実施できる特定の態様の例示によって示されている添付の図面およびグラフを参照されたい。これらの態様は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分な詳細で記載され、他の態様を利用できること、そして本発明の範囲から逸脱せずに実施できることが理解されなければならない。このため下記の説明は、狭い意味で考えるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0021】
したがって、本発明は、グリセロールからヒドロキシアセトンまたはプロピレングリコールへ80〜100%の選択性で変換させるための触媒方法であって、a)グリセロール、溶媒および前還元された触媒を15〜500の範囲内のモル比で、水素を含むかまたは含まないオートクレーブ内に装填する工程と、b)工程(a)で得られた反応混合物を窒素でフラッシングし、続いて同一物を180℃〜240℃の範囲内、より好ましくは200℃〜220℃の範囲内の温度で、1〜24時間、より好ましくは1〜12時間の範囲内の時間にわたり、300〜1,700rpm、より好ましくは500〜100rpmの範囲内の速度で攪拌しながら加熱して、ヒドロキシアセトンまたはプロピレングリコールを得る工程と、c)工程(b)で得られた反応混合物からヒドロキシアセトンを分別蒸留によって分離して、純粋ヒドロキシアセトンを得る工程とを含む触媒方法に関する。
【0022】
本発明の1つの態様では、工程(a)における前記触媒は、Cu、Cr、Al、Ba、Zn、Si、Zr、Mgの群またはそれらの組み合わせから選択される。
【0023】
本発明のまた別の態様では、工程(a)における前記触媒は、水、アルコール類、好ましくは脂肪族アルコール類から、単独またはそれらの組み合わせで選択される。
【0024】
本発明のまた別の態様では、工程(a)における前記触媒は、任意選択的にナノサイズである。
【0025】
本発明のまた別の態様では、工程(a)における前記触媒は、リサイクル可能である。
【0026】
本発明のまた別の態様では、溶媒としての2−プロパノール中において、50%のCuおよびCr、30%のAl、20%のZnを有する触媒組成物が、80〜100%の選択性でヒドロキシアセトンを産生する。
【0027】
本発明のまた別の態様では、溶媒としての2−プロパノール中において、13%のCu、7%のCr、80%のSiOを有する触媒組成物が、100%の選択性でヒドロキシアセトンを産生する。
【0028】
本発明のまた別の態様では、水中において、50%のCu、50%のAlのナノサイズの触媒組成物が、95〜100%の選択性でヒドロキシアセトンを産生し、このとき前記触媒は7〜80nm、好ましくは7〜13nmの範囲内のナノサイズを有する。
【0029】
本発明のさらにまた別の態様では、前記触媒方法は液相中で実施される。
【0030】
本発明のまた別の態様では、前記方法は、バッチまたは連続モードで実施される。
【0031】
本発明のまた別の態様では、1,2−プロピレングリコールへの80〜97%の選択性を伴う、グリセロールから1,2−プロピレングリコールへの触媒変換を含み、前記触媒はナノ構造のCu、Al、Crならびに担持Cu−CrおよびPtから選択され、a)グリセロール、溶媒および触媒の混合物を100〜1,500psi、より好ましくは300〜1,000psiの範囲内のH圧で加圧する工程と、b)工程(a)の混合物を180℃〜250℃の範囲内の温度で1〜9時間の範囲内の時間にわたり、300〜1,700rpm、好ましくは500〜1,000rpmの範囲内の速度で攪拌しながら加熱して、1,2−プロピレングリコールを得る工程とを含んでいる。
【0032】
本発明のまた別の態様では、前記担持のための担体は、アルミナ、シリカ、ゼオライトおよび活性炭から選択されるが、それらに限定されない。
【0033】
本発明のまた別の態様では、前記ナノ構造のCu、Al、Cr触媒は、7〜80nmの範囲内の粒径を有する。
【0034】
本発明のまた別の態様では、使用されるグリセロールの濃度は、10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%の範囲内にある。
【0035】
本発明のまた別の態様では、前記方法は、バッチまたは連続モードで実施される。
【0036】
本発明のまた別の態様では、前記触媒は、リサイクル可能である。
【0037】
本発明のまた別の態様では、達成された触媒寿命は、ヒドロキシアセトンおよび1,2−PGを得るためのグリセロールの連続変換に対して、400時間であった。
【0038】
本発明のまた別の態様では、1,2−プロピレングリコールへの少なくとも50%の選択性を伴う、アセトールから1,2−プロピレングリコールへの触媒変換を含んでいる。
【0039】
より詳細には、本発明では、ヒドロキシアセトンへの80〜100%の選択性で、Cu、Cr、Al、Ba、Zn、Siまたはそれらの組み合わせから選択される金属によって触媒される、グリセロールからヒドロキシアセトンへの選択的脱水のための一段階法が開示される。本方法のために使用される溶媒は、水、アルコール類、および好ましくは脂肪族アルコール類から、単独またはそれらの組み合わせで選択される。グリセロールの脱水は、窒素雰囲気圧および180〜220℃の温度範囲内で行われる。
【0040】
バルク形ならびにナノサイズ形である本発明の触媒は、公知の方法によって調製される。バルク触媒は40〜200μmの粒径範囲内にあり、ナノ触媒は5〜100nmの粒径範囲を有する。
【0041】
Cu−Crのバルク触媒の調製は、蒸留水中に溶解させた硝酸銅および硝酸アルミニウムの混合液への、クロム酸アンモニウム溶液の添加を含む。攪拌は、赤褐色の沈降物が得られるまで継続する。異なる組成の他の銅クロマイト触媒もまた、例えば硝酸塩の形態にある亜鉛、バリウムまたはアルミニウムなどの促進剤を添加することによって調製される。生じた沈降物は、濾過し、110℃のオーブン内で乾燥させる。次に、乾燥させた沈降物はマッフル炉内で100℃で1時間、その後に200℃で1時間、300℃で1時間、および400℃で2時間焼成し、200℃で12時間、40〜50mL/分のH流量下で活性化させる。
【0042】
ナノサイズのCu−Al触媒は、Cu(NO・3HO水溶液およびAl(NO・9HO各々の混合液を、KCO水溶液に加えることによって調製される。混合液は、同時の共沈降/分解技術を含む任意のテンプレートまたはキャッピング剤を使用せずに6時間にわたり室温で同時に攪拌される。完全分解後、沈降した触媒を濾過し、洗浄し、100℃で8時間、静的空気乾燥器内で乾燥させる。触媒をさらに400℃で焼成し、200℃で12時間、1.4Mpaでの40〜50mL/分のH流量下で活性化させる。
【0043】
触媒は、本明細書に例示したようにリサイクル可能である。
【0044】
本発明の方法は、バッチまたは連続モードで実施される。本方法のリサイクル実験は、連続モードで実施される。
【0045】
以下の実施例は、本発明の方法を例示するために提示するものであり、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【0046】
[実施例1]
(触媒の調製)組成 50%のCu+Cr、30%のAl、20%のZn
22.9gの硝酸銅(0.095モルの銅)、41.26gの硝酸アルミニウム(0.110モルのアルミニウム)および23.5gの硝酸亜鉛(0.079モルの亜鉛)の混合物を200mLの蒸留水中に溶解させた。クロム酸アンモニウムの溶液は、23.69gの重クロム酸アンモニウムを150mLの蒸留水中に溶解させ、およそ22mLの30%アンモニア水溶液を滴下することによって調製した。硝酸塩の溶液を攪拌し、その間にクロム酸アンモニウムの溶液を薄流(thin stream)内に注入した。添加が完了するまで攪拌を継続すると、その後に赤褐色の沈降物が得られた。この沈降物を濾過し、8時間にわたって110℃のオーブン内で乾燥させた。次に、この乾燥させた沈降物をマッフル炉内で焼成した。
焼成プログラム:100℃で1時間
200℃で1時間
300℃で1時間
400℃で2時間
活性化プログラム:42.5mL/分のH流量下、473Kで12時間
【0047】
(特性解析)
1.表面積 51.58m/g
2.NH温度プログラム脱着法(TPD) 0.985mmol/g
【0048】
[実施例2]
(触媒の調製)組成 71%のCu+Cr、19%のAl、10%のBa
40.25gの硝酸銅(0.168モルの銅)、30.98gの硝酸アルミニウム(0.082モルのアルミニウム)および10.44gの硝酸バリウム(0.041モルのバリウム)の混合物を405mLの蒸留水中に溶解させた。クロム酸アンモニウム(0.129モルのクロム)の溶液は、32.7gの重クロム酸アンモニウムを158mLの蒸留水中に溶解させ、およそ25mLの30%アンモニア水溶液を滴下することによって調製した。硝酸塩の溶液を攪拌し、その間にクロム酸アンモニウムの溶液を薄流内に注入した。添加が完了するまで攪拌を継続すると、その後に赤褐色の沈降物が得られた。この沈降物を濾過し、110℃のオーブン内で乾燥させた。次に、この乾燥させた沈降物を下記に規定したプログラムにしたがってマッフル炉内で焼成した。
焼成プログラム:100℃で1時間
200℃で1時間
300℃で1時間
400℃で2時間
焼成した触媒は、12時間にわたり200℃で、48mL/分のH流量下で活性化し、表面積およびNH TPDについて特性解析した。
【0049】
(特性解析)
1.表面積 54.67m/g
2.NH TPD 0.1538mmol/g
【0050】
[実施例3]
(触媒の調製)組成 67%のCu、33%のCr
50gの硝酸銅(0.2069モルの銅)を165mLの蒸留水中に溶解させた。クロム酸アンモニウム(0.1039モルのCr)の溶液は、26.18gの重クロム酸アンモニウムを123mLの蒸留水中に溶解させ、およそ18.158mLの30%アンモニア水溶液を滴下することによって調製した。硝酸塩の溶液を攪拌し、その間にクロム酸アンモニウムの溶液を薄流内に注入した。攪拌を添加が完了するまで継続すると、その後に赤褐色の沈降物が得られた。この沈降物を濾過し、110℃のオーブン内で乾燥させた。次に、この乾燥させた沈降物を下記に規定したプログラムにしたがってマッフル炉内で焼成した。
焼成プログラム:100℃で1時間
200℃で1時間
300℃で1時間
400℃で2時間
焼成した触媒は、12時間にわたり200℃で、43mL/分のH流量下で活性化し、表面積およびNH TPDについて特性解析した。
【0051】
(特性解析)
1.表面積 47.63m/g
2.NH TPD 0.3414mmol/g
3.図1における調製および活性化されたCu−Cr触媒のXRDパターンは、金属銅に指定された43.27°および50.4°の2θ値でのピークとともにCu2+およびCr3+の混合相に対応する35.55°および74.01°の2θ値でのピークを示している。XRDパターンにおける銅およびクロムの双方の存在は、Cu−Cr触媒形成を確証する。
4.表1.活性化された50%のCu+Cr、30%のAl、20%のZnの元素組成を示しているEDX分析。
【0052】
【表1】

【0053】
[実施例4]
(触媒の調製)組成 50%のCu、50%のAl(ナノサイズ、7〜11nm)
ナノ構造のCu:Al触媒は、各0.05MのCu(NO・3HO水溶液、Al(NO・9HOおよび0.2MのKCO(6.91g)水溶液の混合液を250mLの蒸留水中に同時に添加することによって調製した。この混合液は、同時の共沈降/分解技術を含む任意のテンプレートまたはキャッピング剤を使用せずに、6時間にわたり30℃で同時に攪拌した。完全分解後、沈降した触媒を濾過し、洗浄し、8時間かけて100℃の静的空気乾燥器内で乾燥させた。触媒は400℃で焼成し、12時間にわたり200℃で、1.4Mpaでの44.5mL/分のH流量下で活性化させた。
【0054】
(特性解析)
1.表面積 31.36m/g
2.NH TPD 0.4513mmol/g
3.図2における活性化された50%のCuおよび50%のAlのナノ触媒のXRDパターンは、36.54°および43.36°の2θ値での2つの広範な回折ピークを示し、これはCuおよび金属Cu各々に指定することができた。シェラー(Scherrer)方程式を使用することによって、得られた結晶サイズは7nmであり、これは調製された触媒がナノ触媒であることを確証した。
4.ナノ触媒の推定粒径は、図3に示した触媒のTEM画像から7〜11nmであった。これはさらにこの触媒がナノ触媒であることを確証している。
5.表2.活性化されたCu(50%)、Al(50%)のナノ触媒の元素組成を示すEDX分析。
【0055】
【表2】

【0056】
[実施例5]
(触媒の調製)組成 70%のCu、30%のAl(ナノサイズ、7〜12nm)
12.74gの硝酸銅(0.0527モルの銅)および8.37gの硝酸アルミニウム(0.0223モルのアルミニウム)を250mLの蒸留水中に溶解させた。0.7023MのKCO溶液は24.26gのKCOを250mLの蒸留水中に溶解させることによって調製した。硝酸塩およびKCOの溶液を25〜30℃で分液漏斗に通して同時に加えた。完全沈降後、本装置が25〜30℃で6時間にわたり同一条件下で分解するに任せた。この沈降物を濾過し、100℃のオーブン内で8時間にわたって乾燥させた。次に、この乾燥させた沈降物を400℃で4時間にわたりマッフル炉内で焼成し、200℃で12時間にわたり、44.5mL/分のH流量下で活性化させた。
【0057】
(特性解析)
1.表面積 31.36m/g
2.NH TPD 0.2359mmol/g
3.ナノ触媒の推定粒径は、触媒のTEM画像から7〜12nmであった。
【0058】
[実施例6]
(触媒の調製)組成 20%のCu/C
20%のCu/C触媒は、含浸法によって調製した。Cu(NO・3HO(水10mL中で7.6046g)の溶液を攪拌しながら水中で作製された高温炭素スラリー(8g)に加えた。この混合液を6時間にわたり攪拌した。6時間後に、この溶液にpHが9に達するまで一定速度で攪拌しながら10%炭酸アンモニウム溶液を加えた。生じたスラリーを濾過して固体ケーキを得て、これを100℃のオーブン内で6時間かけて乾燥させた。次に、この乾燥させた沈降物を500℃で10時間かけてマッフル炉内で焼成し、40mL/分のH流量下で、12時間にわたり300℃で活性化させた。
【0059】
(特性解析)
1.表面積 20%のCu/C 700m/g
【0060】
[実施例7]
(触媒の調製)組成 SiO、AlおよびH−βゼオライト上の20%のCuCr
0.2069モルの銅に対応する計量した量の硝酸銅を165mLの蒸留水中に溶解させた。0.1039モルのCrに対応するクロム酸アンモニウムの溶液は、123mLの蒸留水中でおよそ18.158mLの30%アンモニア水溶液を滴下することによって調製した。硝酸塩の溶液を攪拌し、その間にクロム酸アンモニウム溶液を薄流内に注入した。攪拌を添加が完了するまで継続すると、その後に赤褐色の沈降物が得られた。同時に20重量%のCu−Cr触媒に対応する計量した量の各担体を上述の溶液に攪拌下で加え、攪拌を6時間にわたり継続した。固体の形態にある担持触媒を濾過し、110℃のオーブン内で乾燥させた。次に、乾燥させたこの触媒を下記に規定したプログラムにしたがってマッフル炉内で焼成した。
焼成プログラム:100℃で1時間
200℃で1時間
300℃で1時間
400℃で2時間
焼成した触媒は、12時間にわたり200℃で43mL/分のH流量下で活性化し、表面積について特性解析した。
【0061】
(特性解析)
1.表面積 a.CuCr/Al 377.35m/g
b.CuCr/SiO 168.50m/g
c.CuCr/H−βゼオライト 180m/g
2.図4に示した、調製および活性化された20%のCuCr/H−βゼオライト触媒のXRDパターンは、金属銅に指定された43.27°の2θ値でのピークとともに、Cu2+およびCr3+の混合相に対応する34.55°および70.01°の2θ値でのピークを示している。XRDパターンにおける銅およびクロムの双方の存在は、担持Cu−Cr触媒の形成を確証している。
【0062】
[グリセロールの脱水の実施例]
[実施例8]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。0.01g/mLの67%のCuおよび33%のCrが、この反応を5時間にわたり触媒すると、ヒドロキシアセトンへの86%の選択性、1,2−プロピレングリコールへの10%の選択性、エチレングリコールへの4%の選択性および他の生成物への<0.01%の選択性を伴って、37%のグリセロール変換を生じさせた。
【0063】
[実施例9]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。0.01g/mLの50%のCu+Cr、30%のAl、20%のZnが、5時間にわたりこの反応を触媒すると、ヒドロキシアセトンへの100%の選択性を伴って32%のグリセロール変換が得られた。
【0064】
[実施例10]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。0.01g/mLの71%のCu+Cr、19%のAl、10%のBaが、この反応を3時間にわたり触媒すると、ヒドロキシアセトンへの90%の選択性、1,2−プロピレングリコールへの8%の選択性、エチレングリコールへの<2%の選択性および他の生成物への<0.01%の選択性を伴って、34%のグリセロール変換を生じさせた。
【0065】
[実施例11]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。0.01g/mLの13%のCu+7%のCr+80%のSiOが、この反応を3時間にわたり触媒すると、ヒドロキシアセトンへの100%の選択性、1,2−プロピレングリコールへの<0.01%の選択性、エチレングリコールへの<0.01%の選択性および他の生成物への<0.01%の選択性を伴って、8%のグリセロール変換を生じさせた。
【0066】
[実施例12]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの水を使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。ナノサイズの0.8gの50%のCu+50%のAl触媒がこの反応を触媒すると、ヒドロキシアセトンへの100%の選択性を伴って17%のグリセロール変換が得られた。
【0067】
[実施例13]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの水を使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。ナノサイズの0.8gの70%のCu+30%のAl触媒がこの反応を触媒すると、ヒドロキシアセトンへの89%の選択性および1,2−プロピレングリコールへの11%の選択性を伴って、23%のグリセロール変換が得られた。
【0068】
[実施例14]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの水を使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。ナノサイズの1gの50%のCu+50%のMg触媒がこの反応を触媒すると、ヒドロキシアセトンへの79%の選択性、1,2−プロピレングリコールへの20%の選択性およびエチレングリコールへの1%の選択性を伴って、24%のグリセロール変換が得られた。
【0069】
[実施例15]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの水を使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。ナノサイズの1gの50%のCu+50%のZr触媒がこの反応を触媒すると、ヒドロキシアセトンへの87%の選択性および1,2−プロピレングリコールへの13%の選択性を伴って、20%のグリセロール変換が得られた。
【0070】
[実施例16]
30重量%のグリセロールは、溶媒としての70gの水を使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。ナノサイズの0.01g/mLの50%のCu+50%のAl触媒がこの反応を3時間にわたり触媒すると、ヒドロキシアセトンへの91%の選択性、1,2−プロピレングリコールへの8%の選択性およびエチレングリコールへの1%の選択性を伴って、23%のグリセロール変換が得られた。
【0071】
[実施例17]
60重量%のグリセロールは、溶媒としての40gの水を使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。ナノサイズの0.01g/mLの50%のCu+50%のAl触媒がこの反応を3時間にわたり触媒すると、ヒドロキシアセトンへの92%の選択性、1,2−プロピレングリコールへの7%の選択性およびエチレングリコールへの1%の選択性を伴って、17%のグリセロール変換が得られた。
【0072】
[実施例18]
5時間にわたる、0.01g/mLの67%のCu+33%のCr触媒を使用した、溶媒としての水20g中での220℃での単一工程における80重量%のグリセロールの脱水、その後のアセトール水素化は、1,2−プロピレングリコールへの69%の選択性およびヒドロキシアセトンへの31%の選択性を伴って、グリセロールの21%の変換を生じさせた。
【0073】
[実施例19]
20重量%のグリセロールは、溶媒としての80gの水を使用して220℃の窒素雰囲気圧下で脱水した。ナノサイズの0.8gの50%のCu+50%のAl触媒がこの反応を触媒すると、ヒドロキシアセトンへの95%の選択性および1,2−プロピレングリコールへの5%の選択性を伴って、7時間で21%のグリセロール変換が得られた。
【0074】
[実施例20]
水80g中での20重量%のグリセロールの連続脱水を、220℃、20gのナノサイズの50%のCu+50%のAl触媒、2MPaのN圧力、GHSV、513h−1およびLHSV、1.53h−1の条件下で実施した。各5時間後の液体分析は、アセトールへの50〜54%の選択性および1,2−PGへの30〜35%の選択性を伴って、グリセロールの変換率が>95%であることを示した。
【0075】
本発明者らの触媒は、1,2−PGもまた主要生成物であるグリセロールの連続脱水に対して、400時間まで安定性を示した。
【0076】
[実施例21]
グリセロール水素化分解反応のための触媒の再利用可能性を立証するために、触媒を反応後に濾過し、溶媒を用いて洗浄した。次にこの触媒を383Kのオーブン内で乾燥させ、水素(45mL/分)下で還元させることによって再生させ、その後の反応のために使用した。この方法をその後2回の水素化分解反応において実施し、結果を表3に示した。表3から明らかなように、バルク触媒の活性は実質的に低下したが、ナノ触媒はh−1として表示したターンオーバー数(TOF)に関して第2リサイクル後でさえ相当に大きな活性を示した。
【0077】
【表3】

【0078】
[実施例22]
(反応混合物からのアセトールの分離)
反応混合物からのアセトールの分離は、真空下での分別蒸留によって実施した。グリセロールの沸点は、アセトールの沸点、つまり145℃より高い290℃である。グリセロールおよびアセトールの沸点に大きな差があるために、アセトールは、第1画分として反応混合物から容易に分離され、残留物は未反応グリセロールを含有する。
【0079】
[実施例23]
(実験ステップアップ)
I.バッチ法
グリセロール水素化分解反応は、スターラー、ヒーター、自動温度調節装置および液体サンプリングのためのサンプルポートを装備した容量300mLのオートクレーブ(Parr Instruments社、アメリカ合衆国)内で実施した。必要な量の希釈グリセロールおよび前還元触媒をオートクレーブ内に導入した。内容物を最初に窒素および次に水素を用いてフラッシングした。次に反応装置を反応温度220℃へ加熱し、本装置を750psiのH圧で加圧した。反応は、全反応を通して1,000rpmで反応装置内容物を攪拌することによって開始させた。H圧力を使用せずに、N雰囲気圧下の同一実験方法による、グリセロールの脱水も実施した。
【0080】
II.連続法
連続反応は、容量40mLの単一チューブSS反応装置、高圧液体供給ポンプ、質量流量制御装置、ガスセンサー、ガス流量計およびコンデンサーを装備した固定床反応装置内で実施した。グリセロール溶液および水素ガスは、所望の気体および液体流量で反応装置を通して触媒床の上方へ下降するように同時に導入した。反応装置からの下向きの流れは、過剰な水素ガスを分離するため、および定期的分析のための粗反応生成物を収集するために、最初に気液分離装置および次にコンデンサーを通過させた。
【0081】
[グリセロールを水素化分解するための担持触媒の実施例]
[実施例24]
20重量%のグリセロールを、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して220℃で750psiの水素圧下で水素化した。0.01g/mLの銅およびクロム(67%のCu+33%のCr)がこの反応を5時間にわたり触媒すると、以下の分析を伴い、16%のグリセロール変換率が得られた。91%の1,2−プロピレングルコール、8%のアセトール、1%のエチレングリコールおよび<0.01%の他の生成物。
【0082】
[実施例25]
20重量%のグリセロールを、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して1,000psiの水素圧および220℃で水素化した。0.01g/mLの20%のCuCr/SiO触媒が5時間にわたりこの反応を触媒すると、1,2−PGへの97%の選択性、アセトールへの2%の選択性およびエチレングリコール(EG)への1%の選択性を伴う、20%のグリセロール変換率が得られた。
【0083】
[実施例26]
20重量%のグリセロールを、溶媒としての80gの水を使用して500psiの水素圧および220℃で水素化した。0.01g/mLの20%のCuCr/Al触媒が5時間にわたりこの反応を触媒すると、1,2−PGへの45%の選択性、アセトールへの55%の選択性を伴う、13%のグリセロール変換率が得られた。
【0084】
[実施例27]
20重量%のグリセロールを、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して500psiの水素圧および220℃で水素化した。0.01g/mLの20%のCuCr/H−βゼオライト触媒がこの反応を5時間にわたり触媒すると、1,2−PGへの96%の選択性およびアセトールへの4%の選択性を伴う、33%のグリセロール変換率が生じた。
【0085】
[実施例28]
55重量%のグリセロールを、溶媒としての45gの水を使用して500psiの水素圧および220℃で水素化した。0.01g/mLの活性化した20%のCu/C触媒がこの反応を5時間にわたり触媒すると、1,2−PGへの46%の選択性およびアセトールへの54%の選択性を伴う、20%のグリセロール変換率が生じた。
【0086】
[実施例29]
20重量%のグリセロールを、溶媒としての80gの水を使用して500psiの水素圧および220℃で水素化した。0.01g/mLの3%のPt/C触媒が5時間にわたりこの反応を触媒すると、1,2−プロピレングルコールへの91%の選択性、アセトールへの2%の選択性、エチレングリコールへの7%の選択性および<0.01%の他の生成物への選択性を伴う、32%のグリセロール変換率が得られた。
【0087】
[アセトールから1,2−PGへの水素化の実施例]
[実施例30]
20重量%のアセトールを、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して300psiの水素圧および220℃で水素化した。0.01g/mLの67%のCu+33%のCr触媒がこの反応を5時間にわたり触媒すると、1,2−PGへの78%の選択性および他の生成物への22%の選択性を伴う、97%のアセトール変換率が生じた。
【0088】
[実施例31]
20重量%のアセトールを、溶媒としての80gの2−プロパノールを使用して1,000psiの水素圧および220℃で水素化した。0.01g/mLの67%のCu+33%のCr触媒がこの反応を5時間にわたり触媒すると、1,2−PGへの92%の選択性、EGへの0.5%の選択性および他の生成物への7.5%の選択性を伴う、97%のアセトール変換率が生じた。
【0089】
[実施例32]
20重量%のアセトールを、溶媒としての80gの水を使用して1,000psiの水素圧および220℃で水素化した。0.008g/mLの50%のCu+50%のAl触媒がこの反応を5時間にわたり触媒すると、1,2−PGへの52%の選択性および他の生成物への48%の選択性を伴う、75%のアセトール変換率が生じた。
【0090】
[実施例33]
実施例13から得られた20重量%のアセトールを、溶媒としての80gの水を使用して1,000psiの水素圧および220℃で水素化した。0.01g/mLの50%のCu+50%のAl触媒がこの反応を5時間にわたり触媒すると、1,2−PGへの93%の選択性を伴う95%のアセトール変換率が生じた。
【0091】
[本発明の利点]
ヒドロキシアセトンへの100%の選択性を備える、グリセロールの脱水によるヒドロキシアセトンまたはPGを調製するための改良された方法。
・グリセロールを用いてヒドロキシアセトンまたはPGを製造するための一段階法。
・グリセロール水素化分解反応における副生成物、例えばエチレングリコール、プロパノールの形成を最小限に抑える。
・ナノ触媒は、本発明において極めて高い性能を示し、かつ任意のテンプレートおよび/またはキャッピング剤を使用せずに単純な共沈降および分解法によって調製された。
・温和な反応条件(脱水のための雰囲気圧)。
・触媒の再使用可能性。
・水素を添加せずに、脱水条件下で1,2−PGを形成する。これは、グリセロール改質反応による水素のin−situ生成のためである。
・達成された触媒寿命は、脱水条件下でヒドロキシアセトンおよび1,2−PGの双方を生成する連続操作に対して400時間であった。
【0092】
このように、本明細書に開示した利点は、経済的、実用的および簡便な様式で達成される。好ましい態様および実施例の構成を示して記載したが、当業者には様々な別の修飾および追加の構成は明白になることを理解されたい。本明細書に開示した特定の実施形態および構成は、本発明の好ましい性質および最良実施モードを反映していることが意図され、本発明の範囲の制限であると見なすべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセロールからヒドロキシアセトンへ80〜100%の選択性で変換させるための触媒方法であって、
a)グリセロール、溶媒および前還元された触媒を15〜500の範囲内のモル比でオートクレーブ内に装填する工程と、
b)工程(a)で得られた反応混合物を窒素でフラッシングする工程と、
c)工程(b)で得られた反応混合物を6.8〜100barの範囲内の窒素圧で加圧し、続いて前記反応混合物を180℃〜240℃の範囲内の温度で1〜9時間の範囲内の時間にわたり300〜1,700rpmの範囲内の速度で攪拌しながら加熱して、ヒドロキシアセトンを得る工程と、
d.工程(c)で得られた反応混合物から分別蒸留によってヒドロキシアセトンを分離して、純粋ヒドロキシアセトンを得る工程と
を含む触媒方法。
【請求項2】
工程(a)における前記触媒が、Cu、Cr、Al、Ba、Zn、Si、Zr、Mgの群またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)における前記溶媒が、水、アルコール類、好ましくは脂肪族アルコール類から、単独またはそれらの組み合わせで選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)における前記触媒が、任意選択的にナノサイズである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)における前記触媒が、リサイクル可能である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
溶媒としての2−プロパノール中における、50モル%のCuおよびCr、30モル%のAl、20モル%のZnを有する触媒組成物が、80〜100%の選択性でヒドロキシアセトンを産生する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
溶媒としての2−プロパノール中における、13モル%のCu、7モル%のCr、80モル%のSiOの触媒組成物が、100%の選択性でヒドロキシアセトンを産生する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
水中における、50モル%のCu、50モル%のAlのナノサイズの触媒組成物が、95〜100%の選択性でヒドロキシアセトンを産生し、このとき前記触媒は7〜80nm、好ましくは7〜13nmの範囲内のナノサイズを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
液相中で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
バッチまたは連続モードで実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
達成される触媒寿命が、グリセロールからヒドロキシアセトンへの連続変換に対して400時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
1,2−プロピレングリコールへの80〜97%の選択性を伴うグリセロールから1,2−プロピレングリコールへの触媒変換を含み、前記触媒はナノ構造のCu、Al、Crならびに担持Cu−CrおよびPtから選択され、
a)グリセロール、溶媒および触媒の混合物を6.8〜100barの範囲内のHで加圧する工程と、
b)工程(a)の混合物を180℃〜250℃の範囲内の温度で1〜9時間の範囲内の時間にわたり300〜1,700rpmの範囲内の速度で攪拌しながら加熱して、1,2−プロピレングリコールを得る工程と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記担持のための担体が、アルミナ、シリカ、ゼオライトおよび活性炭から選択されるがそれらに限定されない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノ構造のCu、Al、Cr触媒が、7〜80nmの範囲内の粒径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
使用されるグリセロールの濃度が、20〜60重量%の範囲内である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
バッチまたは連続モードで実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記触媒が、リサイクル可能である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
達成される触媒寿命が、1,2−プロピレングリコールを得るためのグリセロールの連続変換に対して400時間である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
1,2−プロピレングリコールへの少なくとも50%の選択性を伴うアセトールから1,2−プロピレングリコールへの触媒変換をさらに含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520486(P2013−520486A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554439(P2012−554439)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000395
【国際公開番号】WO2011/138643
【国際公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(511110762)カウンシル・オヴ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ (7)
【Fターム(参考)】