説明

ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル:神経に対する作用と皮膚及び粘膜皮膚の器官又は部位への利用法

美容状態、皮膚兆候、歯の兆候、及びその他の状態の少なくとも一つに関連する対象体の神経に対して有益な作用を作り出す組成物と方法。組成物は、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを含み、有益な作用を作り出すために対象体に対する製品の局所投与用に調製される。方法は、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを、有益な作用を作り出すのに有効な量、対象体の有益な作用が望まれる領域に局所投与する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年10月17日出願の米国仮特許出願No.60/727,419、及び2006年1月17日出願の米国仮特許出願No.60/759,525に対する優先権を主張するものである。
本出願は、神経系、特に感覚及び中度麻酔特性に対する作用が、有益であり得る美容状態、歯の状態、皮膚兆候、及びその他の状態を軽減又は改善するための局所投与用のヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを含む組成物の利用法に関する。
【背景技術】
【0002】
「両性組成物及びポリマー形態のアルファヒドロキシ酸及びそれらの治療利用法」と題する米国特許No.5,091,171は、ヒドロキシ酸、アルファ・ケト酸関連化合物、又はポリマー形態のヒドロキシ酸を含有する両性組成物による美容状態及び皮膚障害の兆候を軽減するための予防及び治療処理法について記載している。「グリコール酸、乳酸、又はクエン酸による皮膚老齢化兆候の軽減」と題する米国特許No.5,547,988は、内因性又は外因性老齢化に関連する皮膚、爪、毛髪変化の兆候を軽減又は改善するためのアルファ-ヒドロキシ酸の使用法について記載している。「しわのトリートメントのためにグリコール酸を使用する方法」と題する米国特許No.5,385,938は、しわの局所トリートメントのためのグリコール酸の使用について記載している。「フェニルアルファアシルオキシアルカン酸、誘導体及びそれらの治療用利用法」と題する米国特許No.5,258,391は、爪、皮膚、唇、及びその他粘膜の角質化を促進するためのフェニルアルファアシルオキシアルカン酸を含有する局所組成物の使用について記載している。
【0003】
「治療剤の局所的作用を増進する添加物」と題する米国特許No.5,665,776は、美容又は薬用剤の治療作用を高めるためのヒドロキシオリゴカルボキシ酸の使用について記載している。「皮膚老齢化用アルファヒドロキシ酸エステル」と題する米国特許No.5,686,489は、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチンなどの皮膚組成物の生合成を刺激することによって皮膚の厚みを増加させるため、そして、ソバカス、皮膚線、しわ、紫外線による劣化、及び老齢化皮膚を含む老齢化関連外皮変化を治療するためのアルファ-ヒドロキシ酸エステルの利用法について記載している。「しわを治療するためのベータヒドロキシ酸の利用法」と題する米国特許No.5,889,054は、老齢化に関連する皮膚の変化の局所的治療のためのベータ-ヒドロキシ酸を含む組成物の使用について記載している。「内因性及び外因性老齢化に関連する皮膚の変化を治療するためにヒドロキシカルボキシ酸又はその関連化合物を使用する方法」と題する米国特許No.6,060,512は、内因性及び外因性老齢化に関連する皮膚の変化の局所的治療のためのヒドロキシカルボキシ酸を含む組成物の使用について記載している。「オリゴ糖アルドン酸及びそれらの局所使用」と題する米国特許No.6,335,023とNo.6,740,327とは、美容状態及び皮膚障害の局所治療のためのオリゴ糖アルドン酸を含む組成物の使用について記載している。「内因性及び外因性老齢化に関連する皮膚変化を治療するためにヒドロキシカルボキシ酸又はその関連組成物を使用する方法」と題する米国特許No.6,767,924は、内因性及び外因性老齢化に関連する皮膚変化の局所治療のための両性系中にポリヒドロキシ酸を含む組成物の使用について記載している。
【0004】
【特許文献1】米国特許No.5,091,171
【特許文献2】米国特許No.5,547,988
【特許文献3】米国特許No.5,385,938
【特許文献4】米国特許No.5,258,391
【特許文献5】米国特許No.5,665,776
【特許文献6】米国特許No.5,686,489
【特許文献7】米国特許No.5,889,054
【特許文献8】米国特許No.6,060,512
【特許文献9】米国特許No.6,335,023
【特許文献10】米国特許No.6,740,327
【特許文献11】米国特許No.6,767,924
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許のいずれも、ヒドロキシジカルボン酸エステル又はヒドロキシトリカルボン酸エステルなどのヒドロキシオリゴカルボン酸エステルの局所投与による神経又は神経群に対する作用又は効果について記載も示唆もしていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ヒドロキシモノカルボン酸エステルは神経に対してなんら作用を及ぼすものではないが、本発明の一態様は、唇などの粘膜皮膚の器官又は部位に局所投与した後に、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルによって作り出される感覚及び中度麻酔作用の発見と、神経系に対する作用が有益であり得る美容又は歯の状態、皮膚兆候、又はその他の状態のためのその利用法の発見とに基づくものである。
【0007】
本発明のもう一つの態様は、痛み、かゆみ、炎症、紅斑、皮膚炎、湿疹、乾癬を含む神経、皮膚又は歯組織に関連する、及び創傷治癒における、障害、兆候、又は症候群を軽減又は改善するための局所投与用のヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを含む組成物を使用する方法に関する。このヒドロキシオリゴカルボン酸エステルは、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルであるが、例えば、酒石酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピルなどを含む酸化防止中性化合物である。
【0008】
本発明の更に別の態様は、美容状態、皮膚兆候及び歯兆候及びその他の状態の少なくとも1つに関連する対象体の神経に対する有益な作用を作り出す方法に関し、この方法は、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを、前記有益な作用を作り出すのに有効な量、前記対象体の前記有益な作用が望まれる領域に、局所投与する工程を含む。
【0009】
本発明の更に別の態様は、美容状態、皮膚兆候及び歯兆候及びその他の状態の少なくとも1つに関連する対象体の神経に対する有益な作用を作り出す方法に関し、この方法は、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを、前記有益な作用を作り出すのに有効な量、前記対象体の前記有益な作用が望まれる領域に、局所投与する工程を含み、前記有益な作用は、神経に対する感覚作用又は中度麻酔作用の少なくとも一つである。
【0010】
(定義)
ここでの使用において、単数形は特に明記されない限り、複数を含むものとする。例えば、ある障害、状態、兆候、又は症候群は単数又は複数のそのような障害、状態、兆候、又は症候群を意味する。
【0011】
ここでの使用において、「有益な作用」という用語は、ある状態を防止又は軽減する抑制作用であれ、又は、増進され典型的には快適な感覚、又は感覚或いは覚醒的作用などの所望の肯定的な作用であれ、意図される利点にとって望ましい作用を意味する。
【0012】
ここでの使用において、「中度麻酔作用」とは、麻酔された神経、器官又は組織がまだある程度の感覚を有しており、その感覚の程度が有益な作用を有するような作用である。
【0013】
ここでの使用において、「感覚的な作用」とは、感覚を覚醒させる、又は感覚の満足が支配的な感覚の作用であって、その感覚の程度が有益な作用を有することを意味する。
【0014】
ここでの使用において、「治療」、「治療する」などの用語は、薬学的、生理学的、皮膚学的、又は感覚的作用でありうる所望の有益な作用を得ることを意味する。前記有益作用は、状態又は疾患又は症候群を完全又は部分的に防止する意味において予防的であることができ、又、状態又は疾患又は有害な作用の部分的又は完全な治療の意味において治療的であることができ、及び/又は、感覚治療の場合には感覚作用の増大を意味することができる。従って、「治療」や「治療する」という用語は、動物、好ましくは哺乳類、より好ましくは人間における状態又は疾患の任意の治療を含み、(a)その状態又は疾患にかかり易いが、まだそれを有しているとは診断されていない対象体においてその状態又は疾患が発生することの防止、(b)その発達を妨げること、などの状態又は疾患の抑制、そして(c)その状態又は疾患の退縮などの状態又は疾患の緩和、軽減又は改善、を含み、これらはすべて前記有益作用が所望の抑制作用である場合を意味する。「治療」及び「治療する」という用語は、更に、前記有益作用が感覚、感覚又は覚醒作用の望ましい肯定的な増進である感覚状態の存在の創出も意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはクエン酸トリプロピルなどのヒドロキシトリカルボン酸エステルを局所に塗布することによって、唇、口、歯肉、鼻の穴、乳首、外陰部、膣、陰茎、肛門などの粘膜皮膚の器官又は部位に対して感覚作用、感覚的及び中度麻酔作用を作り出すことが可能であるという発見に基づいている。われわれは、又、その反対に、グリコール酸エチルや乳酸エチルなどのヒドロキシモノカルボン酸エステルは同じ条件下において感覚的又は中度麻酔作用を作り出さないということも見出した。ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルによって生み出される感覚、及び感覚的な作用は、リドカイン及びプロカインなどの局所麻酔剤によって導かれる麻痺させる作用とはまったく異なっている。本発明のヒドロキシオリゴカルボン酸エステルによって生み出される感覚、感覚的及び中度麻酔作用の持続時間は、一般に数分から数時間である。そのような神経作用感覚又は作用は、多くの美容、歯科、及び皮膚科用途を有する。例えば、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルを含む口紅やリップクリームは、ヒト対象体の唇への局所投与後、感覚又は刺激的感覚を提供することができる。ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルによって作り出されるそのような神経系に対する感覚的作用及びある種の麻酔作用は、歯肉、鼻の穴、乳首、外陰部、膣、陰茎、及び肛門の痒み又は痛みを軽減するため、及び、湿疹、痔疾、乾燥、又は外陰部と膣の加齢に伴う変化に関連する状態に有益な用途を有することができる。
【0016】
本発明の一態様は、美容状態、皮膚兆候、歯の兆候、及びその他の状態の少なくとも一つに関連する対象体の神経に対して有益な作用を作り出す方法であって、この方法は、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを、有益な作用を作り出すのに有効な量、前記対象体の有益な作用が望まれる領域に、局所投与する工程を含む。
【0017】
本発明の別の態様は、美容状態、皮膚兆候、歯の兆候、及びその他の状態の少なくとも一つに関連する対象体の神経に対して有益な作用を作り出す方法であって、この方法は、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを、有益な作用を作り出すのに有効な量、前記対象体の有益な作用が望まれる領域に、局所投与する工程を含み、有益な作用は、感覚作用と神経に対する中度の麻酔作用の少なくとも一つである。
【0018】
前記ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルは、リンゴ酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、ジエチルグルケート(glucate)とジプロピルグルケート(glucate)、及びこれらの任意の組み合わせの少なくとも一つを含む。
【0019】
本発明の別の態様は、創傷治癒及び口内炎や歯痛などの粘膜皮膚の器官又は部位の障害に関連する痛み、乾癬、炎症を治癒及び軽減するためのヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルの利用に関する。口内疾患用に、前記ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルは口洗浄、うがい、又はマッサージ用の溶液又はゲルとして調製される。
【0020】
本発明のヒドロキシオリゴカルボン酸エステルは、抗酸化中性化合物である。本発明の更に別の態様は、抗酸化ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくは、ヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルの太陽光、化学物質、レーザ治療、フリーラジカル、電磁波、アルファ波、ベータ波、X線、γ線などのイオン化電磁波、及びその他の酸化性損傷によって引き起こされる粘膜皮膚の器官又は部位、皮膚、毛髪又は爪の損傷、刺すような痛み又はひりひりする痛みのための予防処置又は治療としての利用に関する。
【0021】
本発明の更に別の態様は、にきび;酒さ;傷ついた皮膚;セルライト;皮膚疾患;皮膚炎;皮膚や爪の感染症;ふけ;乾燥肌;乾皮症;湿疹;ヘルペス;魚鱗癬;偽性毛嚢炎毛そう;掻痒症;乾癬;皮膚線条;イボ;口内又は歯肉疾患;ひりひりして炎症を起こしている不健康な損傷した又は異常な粘膜皮膚、爪、鼻孔、耳道、肛門又は膣状態;皮膚、爪及び毛髪の不均一で荒れた表面;反応性、ひりひりする又は毛細血管拡張性皮膚から成るグループから選択される美容状態又は皮膚兆候の局所的予防又は治療、及び皮膚脱色と美白、及び創傷治癒のための皮膚又は粘膜皮膚の器官、部位又は損傷部に対するヒドロキシオリゴカルボン酸エステルの使用に関する。
【0022】
本発明の前記ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルは、分子中に一つ以上の水酸基と2〜10のカルボキシル基とを有する一群の有機化合物をあらわす。好適なヒドロキシオリゴカルボン酸エステルは、分子中に一つ以上の水酸基と2〜10のカルボキシル基とを含有する。最も好適なヒドロキシオリゴカルボン酸エステルは、クエン酸トリエチルやクエン酸トリプロピルなどの分子中に単数又は複数の水酸基と3つのカルボキシル基とを含有する。
【0023】
本発明の前記ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを以下のように記載することができる。
【0024】
(A)ヒドロキシジカルボン酸エステル
ヒドロキシジカルボン酸エステルは二つのグループに分けることができる。すなわち、一方はモノヒドロキシジカルボン酸エステルであり、他方はジヒドロキシジカルボン酸エステルである。
【0025】
(1)モノヒドロキシジカルボン酸エステル
モノヒドロキシジカルボン酸エステルは、1つの水酸基と2つのカルボキシル基とを含む。その一般構造は以下の式Iとしてあらわすことができる。
【0026】
【化1】

ここで、R及びR3はそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル基又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合しているHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素原子を有するアルコキシ基によって置換可能である。モノヒドロキシジカルボン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0027】
式Iの一般構造が特定のモノヒドロキシジカルボン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0028】
以下はヒドロキシジカルボン酸エステルを代表するものである。
2−ヒドロキシブタン−1,4−ジカルボン酸エステル(リンゴ酸エステル):リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジイソプロピル、リンゴ酸ジアミル、リンゴ酸ジオクチル、リンゴ酸ジイソオクチル、及びリンゴ酸ジベンジル。
【0029】
2−ヒドロキシ−2−メチル−ブタン−1,4−ジカルボン酸エステル(シトラリンゴ酸):シトラリンゴ酸ジメチル、シトラリンゴ酸ジエチル、シトラリンゴ酸ジプロピル、シトラリンゴ酸ジイソプロピル、シトラリンゴ酸ジアミル、シトラリンゴ酸ジオクチル、シトラリンゴ酸ジイソオクチル、及びシトラリンゴ酸ジベンジル。
【0030】
(2)ジヒドロキシジカルボン酸エステル
ジヒドロキシジカルボン酸エステルは、2つの水酸基と2つのカルボキシル基とを含む。その一般構造は以下の式IIとしてあらわすことができる。
【0031】
【化2】

ここで、R及びR3はそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル基又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合しているHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素原子を有するアルコキシ基によって置換可能である。ジヒドロキシジカルボン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0032】
式IIの一般構造が特定のモノヒドロキシジカルボン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0033】
以下はジヒドロキシジカルボン酸エステルを代表するものである。
2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−ジカルボン酸エステル(酒石酸エステル):酒石酸ジメチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジプロピル、酒石酸ジイソプロピル、酒石酸ジアミル、酒石酸ジオクチル、酒石酸ジイソオクチル、及び酒石酸ジベンジル。
【0034】
(B)ヒドロキシトリカルボン酸エステル
ヒドロキシトリカルボン酸エステルは三つのグループに分けることができる。すなわち、(1)モノヒドロキシトリカルボン酸エステル、(2)ジヒドロキシトリカルボン酸エステル、及び(3)トリヒドロキシトリカルボン酸エステルである。
【0035】
(1)モノヒドロキシトリカルボン酸エステル
モノヒドロキシトリカルボン酸エステルは、1つの水酸基と3つのカルボキシル基とを含み、(a)クエン酸エステル、(b)イソクエン酸エステル、(c)ホモクエン酸エステル、及び(d)ホモイソクエン酸エステルの4つのグループに分けることができる。
【0036】
(a)クエン酸エステル
クエン酸エステルの一般構造は以下の式IIIとしてあらわすことができる。
【0037】
【化3】

ここで、R、R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。クエン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0038】
式IIIの一般構造が特定のクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0039】
以下はクエン酸エステルを代表するものである。
3−ヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,5−ジカルボン酸エステル(クエン酸エステル):クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリアミル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソオクチル、クエン酸トリベンジル、及びクエン酸トリニコチニル。
【0040】
2−n−ヘキサデシル−3−ヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,5−ジカルボン酸エステル(アガリシン酸エステル,n−ヘキサデシルクエン酸エステル):アガリシン酸トリメチル、アガリシン酸トリエチル、アガリシン酸トリプロピル、アガリシン酸トリイソプロピル、アガリシン酸トリアミル、アガリシン酸トリオクチル、アガリシン酸トリイソオクチル、アガリシン酸トリベンジル、及びアガリシン酸トリニコチニル。
【0041】
(b)イソクエン酸エステル
イソクエン酸エステルの一般構造は以下の式IVとしてあらわすことができる。
【0042】
【化4】

ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。イソクエン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0043】
式IVの一般構造が特定のイソクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0044】
以下はイソクエン酸エステルを代表するものである。
2−ヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,5−ジカルボン酸エステル(イソクエン酸エステル):イソクエン酸トリメチル、イソクエン酸トリエチル、イソクエン酸トリプロピル、イソクエン酸トリイソプロピル、イソクエン酸トリアミル、イソクエン酸トリオクチル、イソクエン酸トリイソオクチル、イソクエン酸トリベンジル、及びイソクエン酸トリニコチニル。
【0045】
(c)ホモクエン酸エステル
ホモクエン酸エステルの一般構造は以下の式Vとしてあらわすことができる。
【0046】
【化5】

ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ホモクエン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0047】
式Vの一般構造が特定のホモクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0048】
以下はホモクエン酸エステルを代表するものである。
3−ヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,6−ジカルボン酸エステル(ホモクエン酸エステル):ホモクエン酸トリメチル、ホモクエン酸トリエチル、ホモクエン酸トリプロピル、ホモクエン酸トリイソプロピル、ホモクエン酸トリアミル、ホモクエン酸トリオクチル、ホモクエン酸トリイソオクチル、ホモクエン酸トリベンジル、及びホモクエン酸トリニコチニル。
【0049】
(d)ホモイソクエン酸エステル
ホモイソクエン酸エステルの一般構造は以下の式VIとしてあらわすことができる。
【0050】
【化6】

ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ホモイソクエン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0051】
式VIの一般構造が特定のホモイソクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0052】
以下はホモイソクエン酸エステルを代表するものである。
2−ヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステル(ホモイソクエン酸エステル):ホモイソクエン酸トリメチル、ホモイソクエン酸トリエチル、ホモイソクエン酸トリプロピル、ホモイソクエン酸トリイソプロピル、ホモイソクエン酸トリアミル、ホモイソクエン酸トリオクチル、ホモイソクエン酸トリイソオクチル、ホモイソクエン酸トリベンジル、及びホモイソクエン酸トリニコチニル。
【0053】
(2)ジヒドロキトリカルボン酸エステル
ジヒドロキトリカルボン酸エステルは、2つの水酸基と3つのカルボキシル基とを含む。ジヒドロキトリカルボン酸エステルには、5つのサブグループがある。すなわち(a)ヒドロキシクエン酸エステル、(b)ヒドロキシイソクエン酸エステル、(c)ヒドロキシホモクエン酸エステル、(d)ヒドロキシホモイソクエン酸エステル、(e)4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステル。
【0054】
(a)ヒドロキシクエン酸エステル
その一般構造は以下の式VIIとしてあらわすことができる。
【0055】
【化7】

ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ヒドロキシクエン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0056】
VIIの一般構造が特定のヒドロキシクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0057】
以下はヒドロキシクエン酸エステルを代表するものである。
2,3−ジヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,5−ジカルボン酸エステル(ヒドロキシクエン酸エステル):ヒドロキシクエン酸トリメチル、ヒドロキシクエン酸トリエチル、ヒドロキシクエン酸トリプロピル、ヒドロキシクエン酸トリイソプロピル、ヒドロキシクエン酸トリアミル、ヒドロキシクエン酸トリオクチル、ヒドロキシクエン酸トリイソオクチル、ヒドロキシクエン酸トリベンジル、及びヒドロキシクエン酸トリニコチニル。
【0058】
2−n−ヘキサデシル−2,3−ジヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,5−ジカルボン酸エステルと4−n−ヘキサデシル−2,3−ジヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,5−ジカルボン酸エステル(ヒドロキシアガリシン酸エステル,n−ヘキサデシルヒドロキシクエン酸エステル):ヒドロキシアガリシン酸トリメチル、ヒドロキシアガリシン酸トリエチル、ヒドロキシアガリシン酸トリプロピル、ヒドロキシアガリシン酸トリイソプロピル、ヒドロキシアガリシン酸トリアミル、ヒドロキシアガリシン酸トリオクチル、ヒドロキシアガリシン酸トリイソオクチル、ヒドロキシアガリシン酸トリベンジル、及びヒドロキシアガリシン酸トリニコチニル。
【0059】
(b)ヒドロキシイソクエン酸エステル
その一般構造は以下の式VIIIとしてあらわすことができる。
【0060】
【化8】

ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ヒドロキシイソクエン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0061】
VIIIの一般構造が特定のヒドロキシイソクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0062】
以下はヒドロキシイソクエン酸エステルを代表するものである。
2,4−ジヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,5−ジカルボン酸エステル(ヒドロキシクエン酸エステル):ヒドロキシクエン酸トリメチル、ヒドロキシクエン酸トリエチル、ヒドロキシクエン酸トリプロピル、ヒドロキシクエン酸トリイソプロピル、ヒドロキシクエン酸トリアミル、ヒドロキシクエン酸トリオクチル、ヒドロキシクエン酸トリイソオクチル、ヒドロキシクエン酸トリベンジル、及びヒドロキシクエン酸トリニコチニル。
【0063】
(c)ヒドロキシホモクエン酸エステル
第2ヒドロキシ基の位置により、下記の式IX,X,及びXIとしてあらわすことが可能な三つの一般構造がある。
【0064】
【化9】

ここで、式IX,X,及びXIのそれぞれにおいて、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ヒドロキシホモカルボン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0065】
IX,X及びXIの一般構造が特定のヒドロキシホモクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0066】
以下はヒドロキシホモクエン酸エステルを代表するものである。
2,3−ジヒドロキシ−3−カルボキヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステル(ヒドロキシホモクエン酸エステル):ヒドロキシホモクエン酸トリメチル、ヒドロキシホモクエン酸トリエチル、ヒドロキシホモクエン酸トリプロピル、ヒドロキシホモクエン酸トリイソプロピル、ヒドロキシホモクエン酸トリアミル、ヒドロキシホモクエン酸トリオクチル、ヒドロキシホモクエン酸トリイソオクチル、ヒドロキシホモクエン酸トリベンジル、及びヒドロキシホモクエン酸トリニコチニル。
【0067】
(d)ヒドロキシホモイソクエン酸エステル
第2ヒドロキシ基の位置により、下記の式XII及びXIIIとしてあらわすことが可能な二つの一般構造がある。
【0068】
【化10】

ここで、式XII,XIIIのそれぞれにおいて、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ヒドロキシホモイソカルボン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0069】
XII,XIIIの一般構造が特定のヒドロキシホモイソクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0070】
以下はヒドロキシホモイソクエン酸エステルを代表するものである。
2,4−ジヒドロキシ−3−カルボキヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステルと2,5−ジヒドロキシ−3−カルボキヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステル(ヒドロキシホモイソクエン酸エステル):ヒドロキシホモイソクエン酸トリメチル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリエチル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリプロピル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリイソプロピル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリアミル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリオクチル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリイソオクチル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリベンジル、及びヒドロキシホモイソクエン酸トリニコチニル。
【0071】
(e)4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステル
その一般構造は下記の式XIVとしてあらわすことが可能である。
【0072】
【化11】

ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0073】
XIVの一般構造が特定の4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0074】
以下は4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステルを代表するものである。4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリメチル、4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリエチル、4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリプロピル、4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリイソプロピル、4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリアミル、4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリオクチル、4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリイソクチル、4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリベンジニル、及び4,5−ジヒドロキシ−3−カルボキシヘキサン−1,6−ジカルボン酸トリニコチニル。
【0075】
(3)トリヒドロキシトリカルボン酸エステル
トリヒドロキトリカルボン酸エステルは、3つの水酸基と3つのカルボキシル基とを含む。トリヒドロキトリカルボン酸エステルには、3つのサブグループがある。すなわち(a)ジヒドロキシクエン酸エステル、(b)ジヒドロキシホモクエン酸エステル、及び(c)ジヒドロキシホモイソクエン酸エステル。
【0076】
(a)ジヒドロキシクエン酸エステル
その一般構造は以下の式XVとしてあらわすことができる。
【0077】
【化12】

ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ジヒドロキシクエン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0078】
XVの一般構造が特定のジヒドロキシクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0079】
以下はジヒドロキシクエン酸エステルを代表するものである。2,3,4−トリジヒドロキシ−3−カルボキシペンタン−1,5−ジカルボン酸エステル(ジヒドロキシクエン酸エステル):ジヒドロキシクエン酸トリメチル、ジヒドロキシクエン酸トリエチル、ジヒドロキシクエン酸トリプロピル、ジヒドロキシクエン酸トリイソプロピル、ジヒドロキシクエン酸トリアミル、ジヒドロキシクエン酸トリオクチル、ジヒドロキシクエン酸トリイソオクチル、ジヒドロキシクエン酸トリベンジル、及びジヒドロキシクエン酸トリニコチニル。
【0080】
(b)ジヒドロキシホモクエン酸エステル
第2及び第3水酸基の位置により、下記の式XVI,XVII及びXVIIIによってあらわすことができる三つの一般的構造がある。
【0081】
【化13】

ここで、式XVI,XVII,XVIIIのそれぞれにおいて、ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ジヒドロキシホモイソカルボン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0082】
XVI,XVII,XVIIIの一般構造が特定のジヒドロキシホモイソクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0083】
以下はジヒドロキシホモイソクエン酸エステルを代表するものである。
2,3,4−トリヒドロキシ−3−カルボキヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステル及び2,3,5−トリヒドロキシ−3−カルボキヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステル(ジヒドロキシホモイソクエン酸エステル):ジヒドロキシホモイソクエン酸トリメチル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリエチル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリプロピル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリイソプロピル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリアミル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリオクチル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリイソオクチル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリベンジル、及びジヒドロキシホモイソクエン酸トリニコチニル。
【0084】
(c)ジヒドロキシホモイソクエン酸エステル
その一般構造は下記の式XIXによってあらわすことができる。
【0085】
【化14】

ここで、ここで、R,R及びRはそれぞれ独立に、1〜19の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基、R,R,R及びRはそれぞれ独立に、H、1〜19炭素原子を有するアルキル基、又は6〜19の炭素原子を有するアラルキル又はアリール基であり、いずれの炭素原子に結合したHも、I,F,Cl,Br、又は1〜19の炭素を有するアルコキシ基によって置換可能である。ジヒドロキシホモイソクエン酸エステルは、飽和又は不飽和、立体異性又は非立体異性、直鎖又は分岐鎖又は環状の形態で存在することができる。
【0086】
XIXの一般構造が特定のジヒドロキシホモイソクエン酸エステルをカバーできない場合は、前記化合物はその化学名によって表される。
【0087】
以下はジヒドロキシホモイソクエン酸エステルを代表するものである。2,4,5−トリヒドロキシ−3−カルボキヘキサン−1,6−ジカルボン酸エステル(ジヒドロキシホモイソクエン酸エステル):ジヒドロキシホモイソクエン酸トリメチル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリエチル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリプロピル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリイソプロピル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリアミル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリオクチル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリイソオクチル、ジヒドロキシホモイソクエン酸トリベンジル、及びジヒドロキシホモイソクエン酸トリニコチニル。
【0088】
一般に、われわれは、ヒドロキシトリカルボン酸エステルによって作り出される感覚及び刺激的作用は、ヒドロキシジカルボン酸エステルによって作り出されるものよりも遥かに強力でかつ長く持続するということを見出した。われわれは、更に、ヒドロキシトリカルボン酸エステルの同じグループ内においては、長い鎖のエステルによって作り出される感覚及び刺激的作用は、短い鎖のエステルによって作り出されるものよりも遥かに強力でかつ長く持続するということをも見出した。例えば、クエン酸トリプロピルは、クエン酸トリメチルよりも遥かに極力で長く持続する感覚及び刺激的作用を作り出す。
【0089】
シナジー又は相乗作用のために、本発明の組成物に更に、美容、薬用その他の局所薬を組み込むことも可能である。局所薬としては、非限定的に、ヒドロキシ酸、ケト酸、及びその関連化合物、フェニルアルファアシロキシアルカノ酸とその誘導体、N−アシルアルドサミン、N−アシルアミノ酸及びその関連N−アシル化合物。局所鎮痛薬と麻酔薬。抗にきび剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗感染剤、抗ふけ剤、抗皮膚炎剤、抗湿疹剤、抗ヒスタミン剤、抗痒疹剤、鎮吐薬、抗乗り物酔い剤、抗炎症剤、抗角化症剤、制汗薬、抗乾癬剤、抗酒さ剤、抗脂漏症剤、ヘア・コンディショナーとヘアトリートメント剤、アンチエイジングとしわ取り剤、抗不安症剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、日焼け止めと日焼け止め剤、美白剤、脱色剤、収斂剤、クレンジング剤、肌引き締め剤、マトリクス・メタロプロテイナーゼ(MMP)抑制剤、局所心血管剤、外傷治療剤、歯肉疾患又はオーラルケア剤、アミノ酸、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、グルタチオンとその誘導体、オリゴペプチド、ポリペプチド、炭水化物、アミノ炭水化物、ビタミン、副腎皮質ホルモン、日焼け剤、ホルモンとレチノイドが含まれる。
【0090】
シナジー又は相乗作用のために、前記美容、薬用及びその他の局所薬は、非限定的に、アバカビル、アセブトロール、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセタゾールアミド、アセトヒドロキサム酸、アセチルサリチル酸、N−アシルグルタチオンエステル、アシトレチン、アクロベート、アクリバスチン、アクティック、アシクロビル、アダリムマブ、アダパレン、アデフォビル・ジピボキシル、アデノシン、アルブテロール、アルフゾシン、アロプリノール、アロキサンチン、アルモトリプタン、アルプラゾラム、アルプレノロール、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドロオキシド、水酸化アルミニウム、アマンタジン、アミロリド、アミナクリン、パラアミノ酸、アミノカプロン酸、アミノレブリン酸、アミノサリチル酸、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモカージン、アモジアキン、アモロルフィン、アモキサピン、アンフェタミン、アンピシリン、アナグレライド、アナストロゾール、アントラリン、アポモルヒネ、アプレピタント、アルブチン、アリピプラゾール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アタザナビル、アテノロール、アトモキセチン、アトロピン、アザサイオプリン、アゼライン酸、アゼラスチン、アジスロマイシン、バシトラシン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベメグリド、ベナゼプリル、ベンドロフルメチアジド、ベンゾカイン、ベンゾナテート、ベンゾフェノン、過酸化ベンゾイル、ベンズトロピン、ベプリジル、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ブリモニジン、ブロムフェニラミン、ブピバカイン、ブプレノルフィン、ブプロピオン、ブリマミド、ブテナフィン、ブトコナゾール、カベルゴリン、カフェ酸、カフェイン、カルシポトリエン、樟脳、カンデサルタンシレキセチル、カプサイシン、カルバマゼピン、カルバミド過酸化物、セフジトレン ピボキシル、セフェピム、セフポドキシムプロキセチル、セレコキシブ、セチリジン、セビメリン、キトサン、クロルジアゼポキシド、クロルヘキシジン、クロロキン、クロロチアジド、クロロキシレノール、クロルフェニラミン、クロルプロマジン、クロルプロパミド、シクロピロクス、シロスタゾール、シメチジン、シナカルセット、シプロフロキサシン、シタロプラム、クエン酸、クラドリビン、クラリスロマイシン、クレマスチン、クリンダマイシン、クリオキノール、プロピオン酸クロベタゾール、ピバル酸クロコルトロン、クロミフェン、クロニジン、クロピドグレル、クロトリマゾール、クロザピン、コールタール、コールタール抽出物(LCD)、コカイン、コデイン、クロモリン、クロタミトン、シクリジン、シクロベンザプリン、サイクロセリン、シタラビン、ダカルバジン、ダルホプリスチン、ダプソン、ダプトマイシン、ダウノルビシン、デフェロキサミン、デヒドロエピアンドロステロン、デラビルジン、デシプラミン、デスロラタジン、デスモプレシン、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デクスメデトミジン、デクスメチルフェニデート、デクスラゾキサン、デクストロアンフェタミン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジサイクロミン、ディダノシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジルチアゼム、6,8−ジメルカプトオクタノ酸(ジヒドロリポ酸)、ジフェンヒドラミン、ジフェノキシレート、ジピリダモール、ジソピラミド、ドブタミン、ドフェチリド、ドラセトロン、ドネペジル、ドーパエステル、ドーパミド、ドーパミン、ドルゾラミド、ドクセピン、ドキソルビシン、ドキシサイクリン、ドキシラミン、ドキシピン、デュロキセチン、ディクロニン、エコナゾール、エファリズマブ、エフロールニチン、エレトリプタン、エムトリシタビン、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エピニン、エピルビシン、エプチフィバチド、エルゴタミン、エリスロマイシン、エスシタロプラム、エスモロル、エソメプラゾール、エスタゾラム、エストラジオール、エタネルセプト、エタクリン酸、エチニルエストラジオール、エチドカイン、エトミデイト、ファムシクロビル、ファモチジン、フェロジピン、フェンタニル、フェルラ酸、アレグラ、フレカイニド、フルコナゾール、フルシトシン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド外用、5−フルオロウウラシル、フルオキセチン、フルフェナジン、フルラゼパム、プロピオン酸フルチカゾン、フルボキサミン、フォルモテロール、フロセミド、ガラクタロラクトン、ガラクトン酸、ガラクトノラクトン、ガランタミド、ガチフロキサシン、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲミフロキサシン、グルカロラクトン、グルコン酸、グルコノラクトン、グルクロン酸、グルクロノラクトン、グリコール酸、グリセオフルビン、グアイフェネシン、グアネチジン、N−グアニルヒスタミン、ハロペリドール、ハロプロジン、ヘキシルレソルシノール、ホマトロピン、ホモサレート、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコルチゾン、21−酢酸ヒドロコルチゾン、17−酪酸ヒドロコルチゾン、17−吉草酸ヒドロコルチゾン、過酸化水素、ヒドロモルフォン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル、ヒドロキシジン、ヒヨスチアミン、ヒポキサンチン、イブプロフェン、イクタモール、イダルビシン、イマチニブ、イミプラミン、イミクイモド、インディナビル、インドメタシン、インフリキシマブ、イルベサルタン、イリノテカン、イソエタリン、イソプロテレノール、イトラコナゾール、カナマイシン、ケタミン、ケタンセリン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、コウジ酸、ラベタロール、乳酸、ラクトビオン酸、ラミブジン、ラモトリジン、ランソプラゾール、レトロゾール、ロイプロリド、レバルブテロール、レポフロキサシン、リドカイン、リネゾリド、ロベリン、クラリチン、ロペラミド、ロサルタン、ロキサピン、リセルグジエチルアミド、マフェナイド、リンゴ酸、マルトビオン酸、マンデル酸、マプロチリン、メベンダゾール、メカミラミン、メクリジン、メクロシクリン、メマンチン、メントール、メペリジン、メピバカイン、 メクイノール、メルカプトプリン、メスカリン、メタネフリン、メタプロテレノール、メタラミノール、メトホルミン、メタドン、メタンフェタミン、メトトレキサート、メトキサミン、メチルドーパエステル、メチルドーパミド、3,4−メチレンジオキシメタンフェタミン、メチル乳酸、ニコチン酸メチル、メチルフェニダート、サルチル酸メチル、メチアミド、メトラゾン、メトプロロール、メトロニダゾール、メキシレチン、ミコナゾール、ミダゾラム、ミドドリン、ミグラスタット、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミルタザピン、ミトキサントロン、モエキシプリラット、モリンドン、モノベンゾン、モルヒネ、モキシフロキサシン、モクソニジン、ムピロシン、ナドロール、ナフチフィン、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナプロキセン、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネオマイシン、ネビラピン、ニカルジピン、ニコチン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトロフラントイン、ニザチジン、ノルエピネフリン、ニスタチン、オクトパミン、オクトレオチド、オクチルメトキシシンナメート、サリチル酸オクチル、オフロキサシン、オランザピン、オルメサルタンメドキソミル、オロパタジン、オメプラゾール、オンダンセトロン、オキシコナゾール、オキソトレモリン、オキシベンゾン、オキシブチニン、オキシコドン、オキシメタゾリン、パディメートO、パロノセトロン、パントテン酸、パントイル基ラクトン、パロキセチン、ペモリン、ペンシクロビル、ペニシラミン、ペニシリン、ペンタゾシン、ペントバルビタールは、ペントスタチン、ペントキシフィリン、ペルゴリド、ペリンドプリル、ペルメトリン、フェンシクリジン、フェネルジン、フェニラミン、フェンメトラジン、フェノバルビタール、フェノール、フェノキシベンザミン、フェントラミン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニトイン、フィソスチグミン、ピロカルピン、ピメクロリムス、ピモジド、ピンドロール、ピオグリタゾン、ピパマジン、ピペロニルブトキシド、ピレンゼピン、ポドフィロックス、ポドフィリン、ポビドンヨード、塩酸プラミペキソール、プラモキシン、プラゾシン、プレドニゾン、プレナルテロール、プリロカイン、プロカインアミド、プロカイン、プロカルバジン、プロマジン、プロメタジン、プロピオン酸プロメタジン、プロパフェノン、プロポキシフェン、プロプラノロール、プロピルチオウラシル、プロトリプチリン、プソイドエフェドリン、ピレトリン、ピリラミン、ピリメタミン、クエチアピン、キナプリル、キネタゾン、キニジン、キヌプリスチン、ラベプラゾール、レセルピン、レゾルシン、レチナール、13−シスレチノイン酸、レチノイン酸、レチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、リバビリン、リボン酸、ロボノラクトン、リファムピン、リファペンチン、リファキシミン、リルゾール、リマンタジン、リセドロン酸、リスペリドン、リトドリン、リバスティグミン、リザトリプタン、ロピニロール、ロピバカイン、サリチルアミド、サリチル酸、サルメテロール、スコポラミン、セレギリン、硫化セレン、セロトニン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルトラリン、頁岩タール、シブトラミン、シルデナフィル、ソタロール、ストレプトマイシン、ストリキニーネ、スルコナゾール、スルファセタミド、スルファベンズ、スルファベンズアミド、スルファブロモメタジン、スルファセタミド(スルファセタミドナトリウム)、スルファクロロピリダジン、スルファシチン、スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファグアノール、スルファレン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルアミド、スルファピラジン、スルファピリジン、スルファサラジン、スルファチアゾール、スルファソミゾール、スルファチアゾール、スルフィソキサゾール、硫黄、タクロリムス、タダラフィル、タムスロシン、酒石酸、タザロテン、テガセロール、テリスロマイシン、テルミサルタン、テモゾロマイド、テノホビルジソプロキシル、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルコナゾール、テルフェナジン、テトラカイン、テトラサイクリン、テトラヒドロゾリン、サリドマイド、テオブロミン、テオフィリン、チアベンダゾール、チオクト酸(リポ酸)、チオリダジン、チオチキセン、チモール、チアガビン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チロフィバン、チザニジン、トブラマイシン、トカイニド、トラゾリン、トルブタミド、トルナフテート、トルテロジン、トラマドール、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリアムシノロンアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサセトニド、トリアムテレン、トリアゾラム、トリクロサン、トリフルプロマジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリペレナミン、トリプロリジン、トロメタミン、トロパ酸、チラミン、ウンデシレン酸、尿素、ウロカニン酸、ウルソジオール、バルデナフル、ベンラファクシン、ベラパミル、ビタミンE酢酸、ボリコナゾール、ワルファリン、木タール、キサンチン、ザフィルルカスト、ザレプロン、亜鉛ピリチオン、ジプラシドン、ゾルミトリプタン、及びゾルピデムを含む。
【0091】
一般的調製
本発明のヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくは、ヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルを含む組成物は、溶液、ゲル、ローション、クリーム、軟膏、シャンプー、スプレー、スティック、パッド、パウダー、マスク、マウスリンス又はウォッシュ、調製物、その他、口粘膜、唇、鼻の穴、外陰部、膣、陰茎、肛門、乳首などの粘膜皮膚の器官又は部位に対して許容可能な形態で調製することができる。
【0092】
溶液組成物を作るには、少なくとも一種類のヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルを、水、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及び/又はその他の局所的に許容可能な媒体に溶解する。前記ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルの濃度は、組成物全体の重量に対して約0.1%〜約100%とすることができ、好適な濃度は組成物全体の重量に対して約1%〜約40%であり、より好適な濃度は組成物全体の重量に対して約2%〜約20%である。
【0093】
ローション、クリーム又は軟膏形態の溶液組成物を調製するには、液体状のヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを、直接に所望のベースと混合してもよいし、あるいは、まず、エタノール、プロピレングリコール、及び/又はその他の溶媒に溶解し、これによって得られた溶液を所望のベース又は薬用的に許容可能な媒体と混合気してローション、クリーム又は軟膏を作ることもできる。その濃度は上述したものと同じである。
【0094】
本発明の局所組成物は、ゲル形態としても調製可能である。典型的なゲル組成物は、キトサン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリクオタニウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、アンモニア化グリチルリジン酸塩などのゲル化剤を、本発明のヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを含む溶液に添加することによって調整できる。前記ゲル剤の好適な濃度は組成物全体の重量に対して約0.2%〜約2%である。
【0095】
本発明の化合物を送達するための組成物のその他の形態は、本発明に鑑みて、当業者によって容易に、ブレンド、調製又は調合することができるであろう。
【0096】
ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルを含む組成物は、通常、感覚的、刺激的作用のために粘膜皮膚の器官又は部位に局所塗布することができる。前記粘膜皮膚の器官又は部位は、唇、口、歯肉、鼻の穴、乳首、外陰部、膣、陰茎、肛門を含む。上述したように、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルによって作り出される感覚的、刺激的作用は、リドケインやプロケインといった局所麻酔剤によって誘発される麻痺作用とは極めて異なったものである。ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルによって作り出される感覚的、刺激的作用は、通常、数分間から数時間持続する。例えば、ヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルを含む口紅又はリップバームは、ヒト対象体の唇に局所塗布された後、感覚的、刺激的作用を与えることができる。例えば、10%のクエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、又はクエン酸トリイソプロピルを含有するクリーム又は軟膏を唇に対して局所塗布することができる。1〜2分後、唇は非常にマイルドな麻酔作用で感覚的、刺激的快感を受けて、対象体は、唇のサイズが膨らんでいるように感じる。そのような感覚は通常、約10分間から2時間持続する。
【0097】
神経系に対するそのような作用は、唇、口、歯肉、鼻の穴、乳首、外陰部、膣、陰茎、肛門の痒み又は痛みの軽減、そして湿疹、痔疾、外陰部と膣の乾燥や加齢に伴う状態など、多くのその他の美容、歯、皮膚兆候にとって有益である。
【0098】
ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルを含む組成物は、粘膜皮膚又は皮膚外傷に対して局所塗布することもできる。例えば、10%クエン酸トリプロピル又はクエン酸ドリイソプロピルを含有するクリーム又は軟膏を、湿疹、痔疾外傷に対して、一日二回、4〜16週間、局所塗布することができる。湿疹、痔疾に関連する痒みは、通常、局所塗布の数分間以内に消える。
【0099】
本発明の別の態様は、口内炎や歯痛などの外傷治癒、粘膜皮膚の器官又は部位の障害に関連する痛み、感染及び/又は炎症を軽減するための、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルの利用法に関する。そのような口疾患用に、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルはマウスウォッシュ、うがい、又はマッサージのための溶液又はゲルとして調製される。
【0100】
ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルの抗酸化特性に鑑みて、本発明の更に別の態様は、抗酸化剤ヒドロキシオリゴカルボン酸エステル、好ましくはヒドロキシジカルボン酸エステル、より好ましくはヒドロキシトリカルボン酸エステルの太陽光、化学物質、レーザ治療、フリーラジカル、電磁波、アルファ波、ベータ波、X線、γ線などのイオン化電磁波、及びその他の酸化性損傷によって引き起こされる粘膜皮膚の器官又は部位、皮膚、毛髪又は爪の損傷、刺すような痛み又はひりひりする痛みのための予防処置又は治療としての利用に関する。
【0101】
次に、本発明の好適実施例を、下記の特定の非限定的な例を参照して更に詳細に説明する。
【0102】
例1
グリコール酸エチル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏(水−洗浄不能軟膏)中に10%のグリコール酸エチルを含有していた。
【0103】
73歳の男性対象体が、上記10%のグリコール酸エチル軟膏をその唇に局所塗布した。その後の30分間になんら感覚又は刺激的感覚はなかった。この結果は、ヒドロキシモノカルボン酸エステルは粘膜皮膚部位の神経に対してなんら作用を与えないということを示している。
【0104】
例2
L−乳酸エチル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏(水-洗浄不能軟膏)中に10%のL−乳酸エチルを含有していた。73歳の男性対象体が、上記10%のL−乳酸エチル軟膏をその唇に局所塗布した。その後の30分間になんら感覚又は刺激的感覚はなかった。この結果は、別のヒドロキシモノカルボン酸エステルも粘膜皮膚部位の神経に対してなんら作用を与えないということを示している。
【0105】
例3
DL−リンゴ酸ジエチル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏(水-洗浄不能軟膏)中に10%のDL−リンゴ酸ジエチルを含有していた。
【0106】
73歳の男性対象体が、上記10%のDL−リンゴ酸ジエチルをその唇に局所塗布した。その1〜2分後、その唇は感覚的なふくらみ感を感じ、これは約10〜20分間続いた。唇の神経に対するそのような感覚は、ヒドロキシジカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0107】
例4
D−酒石酸ジエチル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏(水-洗浄不能軟膏)中に10%のD−酒石酸ジエチルを含有していた。
【0108】
73歳の男性対象体が、上記10%のD−酒石酸ジエチルをその唇に局所塗布した。その1〜2分後、その唇は軽い感覚的でふくらみ感を感じ、これは約10〜20分間続いた。唇の神経に対するそのような感覚は、ヒドロキシジカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0109】
例5
L−酒石酸ジエチル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏(水-洗浄不能軟膏)中に10%のL−酒石酸ジエチルを含有していた。73歳の男性対象体が、上記10%のL−酒石酸ジエチルをその唇に局所塗布した。その1〜2分後、その唇は軽い感覚的なふくらみ感を感じ、これは約10〜20分間続いた。唇の神経に対するそのような感覚は、ヒドロキシジカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0110】
例6
クエン酸トリエチル10gとプロピレングリコール10mlとを水中疎水性軟膏又はオイルエマルジョン80gと混合した。これによって調製された組成物は、水中水溶性オイルエマルジョン中に10%のクエン酸トリエチル10%を含有していた。
73歳の男性対象体が、上記10%のクエン酸トリエチルクリームをその唇に局所塗布した。その1〜2分後、その唇は感覚的なふくらみ感を感じ、これは約20〜30分間続いた。唇の神経に対するそのような感覚は、ヒドロキシジカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0111】
例7
クエン酸トリエチル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏(水−洗浄不能軟膏)中に10%のクエン酸トリエチルを含有していた。
4名の男性と3名の女性との7名の志願者が、上記10%のクエン酸トリエチル軟膏をその唇に局所塗布した。その1〜2分後、その唇は感覚的なふくらみ感を感じ、これは約20〜30分間続いた。唇の神経に対するそのような感覚は、例6と異なる調合物で複数の対象体によって使用されたモノヒドロキシトリカルボン酸エステルは、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0112】
例8
クエン酸トリエチル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏(水−洗浄不能軟膏)中に10%のクエン酸トリエチルを含有していた。
強度の皮膚の痒みを伴うアトピー性湿疹を有する73歳の男性対象体が、上記10%のクエン酸トリエチル軟膏をその左下肢の痒みのある皮膚に局所塗布した。数分後、痒みは止まり、皮膚の痒みの無い状態は4時間持続した。この結果は、モノヒドロキシトリカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0113】
例9
クエン酸トリエチル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏中に10%のクエン酸トリエチルを含有していた。
73歳の男性対象体が、上記10%のクエン酸トリエチル軟膏をその唇に局所塗布した。その1〜2分後、その唇は非常に僅かな感覚的なふくらみ感を感じ、これは約20〜30分間続いた。唇の神経に対するそのような感覚は、別のモノヒドロキシトリカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0114】
例10
リドカイン5gを、暖かいプロピレングリコール20ml中に溶解させ、これによって得た溶液を、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された75gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏中に5%のリドカインを含有していた。
73歳の男性対象体が、上記5%のリドカイン軟膏をその唇に局所塗布した。その1〜2分後、その唇は麻痺感を感じ、この無感覚化作用は数時間続いた。そのような麻痺、麻酔作用は、ヒドロキシオリゴカルボン酸エステルによって作り出される感覚、刺激的作用と完全に異なったものであった。
【0115】
例11
クエン酸トリプロピル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏中に10%のクエン酸トリプロピルを含有していた。
73歳の男性対象体が、上記10%のクエン酸トリプロピル軟膏をその唇に局所塗布した。その数分後、その唇は感覚的、刺激的な感覚を感じ、これは約1.5〜2時間続いた。唇の神経に対するそのような感覚は、別のモノヒドロキシトリカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0116】
例12
クエン酸トリプロピル10gとプロピレングリコール20mlとを、水中親水性軟膏又は油エマルジョン70gと混合した。これによって調製した組成物は、水溶性水中油エマルジョン中に10%のクエン酸トリプロピルを含有していた。
強度の皮膚の痒みを伴うアトピー性湿疹を有する73歳の男性対象体が、上記10%のクエン酸トリエチル軟膏をその右脚の痒みのある皮膚に局所塗布した。数分後、痒みは完全に消え去り、皮膚の痒みの無い状態は4時間持続した。この結果は、別の調剤の別のモノヒドロキシトリカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0117】
例13
クエン酸トリイソプロピル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏中に10%のクエン酸トリイソプロピルを含有していた。
74歳の男性対象体が、上記10%のクエン酸トリイソプロピル軟膏をその唇に局所塗布した。その数分後、その唇は感覚的、刺激的な感覚を感じ、これは約1時間続いた。この結果は、別のモノヒドロキシトリカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0118】
例14
クエン酸トリベンジル10gを、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏中に10%のクエン酸トリベンジルを含有していた。
74歳の男性対象体が、上記10%のクエン酸トリベンジル軟膏をその唇に局所塗布した。その数分後、その唇は感覚的、刺激的感覚を感じた。この結果は、別の芳香性モノヒドロキシトリカルボン酸エステルが、種々の美容状態及び皮膚兆候に対するその他の有益な作用を代表する有益な作用を提供することができるということを示している。
【0119】
例15
典型的な組み合わせ組成物を以下のようにして調製した。17−吉草酸ヒドロコルチゾン0.2gを液体クエン酸トリエチル15gとプロピレングリコール10ml中に溶解させた。このようにして調製した溶液を、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏中に0.2%の17−吉草酸ヒドロコルチゾンを含有していた。
74歳の男性対象体が、上記軟膏をその痒みのある湿疹性皮膚に局所塗布した。その数分後、痒みは消えるとともに、その組成物は更に、抗炎症作用を有していた。この結果は、前記組成物が、掻痒、湿疹、その他の炎症性皮膚疾患の局所治療のために有益であろうということを示している。
【0120】
例16
別の典型的な組み合わせ組成物を以下のように調製した。メタノール1gを液体クエン酸トリイソプロピル10gとプロピレングリコール10ml中に溶解させた。このようにして調製した溶液を、白色ワセリン50部、鉱油40部、白ロウ10部とから調製された90gの軟膏と混合した。これによって調製された組成物は、水で洗浄されない疎水性軟膏中に10%のクエン酸トリイソプロピルと1%のメタノールとを含有していた。
74歳の男性対象体が、上記軟膏をその痒みのある湿疹性皮膚に局所塗布した。その数分後、痒みは消え、その組成物は更に、湿疹損傷部に対する鎮静作用を有していた。この結果は、前記組成物が、掻痒、湿疹、その他の炎症性皮膚疾患の局所治療のために有益であろうということを示している。
【0121】
例17
別の典型的な組み合わせ組成物を以下のように調製した。塩酸ジフェンヒドラミン58g(0.2モル)を、100mlの水に溶解し、5NのNaOH40ml(0.2モル)を攪拌しながらゆっくりと添加した。ジフェンヒドラミン遊離塩基が油性白色析出物として形成された。前記遊離塩基を分離することなく、N−アセチル−L−プロリン48g(0.3モル)とN−アセチル−D−グルコサミン44g(0.2モル)とをその油性混合物中に攪拌しながら添加したところ、その混合物は透明な溶液になった。プロピレングリコール100mlと水50mlとを添加して400ml(444g)の総量とした。この調製物は、プロピレングリコール/水溶液中に、ジフェンヒドラミン14.5%、N−アセチル−L−プロリン12%、N−アセチル−D−グルコサミン11%を含有していた。前記調整物22gとクエン酸トリベンジル10gとを疎水性軟膏又は水中油クリーム68gと混合した。このようにして得られた促成物は、pH3.8で、10%のクエン酸トリベンジルと、3%のジフェンヒドラミンと、2.6%のN−アセチル−L−プロリンと、2.4%のN−アセチル−D−グルコサミンとを含有していた。
74歳の男性対象体が、上記軟膏をその痒みのある湿疹性皮膚に局所塗布した。その数分後、痒みは消えた。この結果は、前記組成物が、掻痒、湿疹、その他の炎症性皮膚疾患の局所治療のために有益であろうということを示している。
【0122】
当業者は、その広い発明の概念から逸脱することなく、上述した実施例に変更を加えることが可能であることを理解するであろう。従って、本発明は開示した特定の実施例に限定されるものではなく、添付のクレームによって定義される本発明の要旨及び範囲内での改造も含むものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体の唇に対して感覚的な作用又は中度の麻酔作用を作り出す方法であって、クエン酸エステル、イソクエン酸エステル、ホモクエン酸エステル、ホモイソクエン酸エステル、ヒドロキシクエン酸エステル、ヒドロキシイソクエン酸エステル、ヒドロキシホモクエン酸エステル、及びヒドロキシホモイソクエン酸エステルから成るグループから選択されるヒドロキシオリゴカルボン酸エステルを、前記作用を作り出すのに十分な量、前記唇に対して局所投与する工程を含む方法。
【請求項2】
前記クエン酸エステルは、クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリアミル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソオクチル、クエン酸トリベンジル、及びクエン酸トリニコチニルから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イソクエン酸エステルは、イソクエン酸トリメチル、イソクエン酸トリエチル、イソクエン酸トリプロピル、イソクエン酸トリイソプロピル、イソクエン酸トリアミル、イソクエン酸トリオクチル、イソクエン酸トリイソオクチル、イソクエン酸トリベンジル、及びイソクエン酸トリニコチニルから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ホモクエン酸エステルは、ホモクエン酸トリメチル、ホモクエン酸トリエチル、ホモクエン酸トリプロピル、ホモクエン酸トリイソプロピル、ホモクエン酸トリアミル、ホモクエン酸トリオクチル、ホモクエン酸トリイソオクチル、ホモクエン酸トリベンジル、及びホモクエン酸トリニコチニルから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ホモイソクエン酸エステルは、ホモイソクエン酸トリメチル、ホモイソクエン酸トリエチル、ホモイソクエン酸トリプロピル、ホモイソクエン酸トリイソプロピル、ホモイソクエン酸トリアミル、ホモイソクエン酸トリオクチル、ホモイソクエン酸トリイソオクチル、ホモイソクエン酸トリベンジル、及びホモイソクエン酸トリニコチニルから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒドロキシクエン酸エステルは、ヒドロキシクエン酸トリメチル、ヒドロキシクエン酸トリエチル、ヒドロキシクエン酸トリプロピル、ヒドロキシクエン酸トリイソプロピル、ヒドロキシクエン酸トリアミル、ヒドロキシクエン酸トリオクチル、ヒドロキシクエン酸トリイソオクチル、ヒドロキシクエン酸トリベンジル、及びヒドロキシクエン酸トリニコチニルから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒドロキシイソクエン酸エステルは、ヒドロキシイソクエン酸トリメチル、ヒドロキシイソクエン酸トリエチル、ヒドロキシイソクエン酸トリプロピル、ヒドロキシイソクエン酸トリイソプロピル、ヒドロキシイソクエン酸トリアミル、ヒドロキシイソクエン酸トリオクチル、ヒドロキシイソクエン酸トリイソオクチル、ヒドロキシイソクエン酸トリベンジル、及びヒドロキシイソクエン酸トリニコチニルから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロキシホモクエン酸エステルは、ヒドロキシホモクエン酸トリメチル、ヒドロキシホモクエン酸トリエチル、ヒドロキシホモクエン酸トリプロピル、ヒドロキシホモクエン酸トリイソプロピル、ヒドロキシホモクエン酸トリアミル、ヒドロキシホモクエン酸トリオクチル、ヒドロキシホモクエン酸トリイソオクチル、ヒドロキシホモクエン酸トリベンジル、及びヒドロキシホモクエン酸トリニコチニルから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒドロキシホモイソクエン酸エステルは、ヒドロキシホモイソクエン酸トリメチル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリエチル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリプロピル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリイソプロピル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリアミル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリオクチル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリイソオクチル、ヒドロキシホモイソクエン酸トリベンジル、及びヒドロキシホモイソクエン酸トリニコチニルから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記対象体はヒトである請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−511630(P2009−511630A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536701(P2008−536701)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/040179
【国際公開番号】WO2007/047486
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(507222572)
【出願人】(504199116)
【Fターム(参考)】