説明

ヒンジ

【課題】第二連結対象物を第一連結対象物に対して緩やかかつ確実に閉じることが可能なヒンジを提供する。
【解決手段】ヒンジ100に、第一連結対象物に相当する本体12に固定されるケース部材110と、第二連結対象物に相当する原稿圧着板13に固定されるとともにケース部材110に回動可能に連結される回動部材120と、ケース部材110に摺動可能に支持される第一スライダ140と、第一スライダ140を付勢する第一バネ150と、ケース部材110に摺動可能に支持される第二スライダ160と、第二スライダ160を付勢する第二バネ170と、を具備し、回動部材120には第一スライダ140に当接する第一カム部121bおよび第二スライダ160に当接する第二カム部121cを形成し、第二スライダ160とケース部材110との隙間にグリスを配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば事務機器の本体に事務機器の原稿圧着板を開閉可能に連結する等、第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジに関する。より詳細には、第二連結対象物を第一連結対象物に対して緩やかかつ確実に閉じる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、スキャナー等、オフィスで使用される事務機器の多くは、その本体の上面に原稿読み取り部(コンタクトガラス)が設けられるとともに、当該原稿読み取り部を覆う原稿圧着板が設けられる。
原稿圧着板は、原稿読み取り部に載置された原稿を原稿読み取り部に密着させるとともに原稿読み取り部に対する原稿の位置を保持するものであり、一般的には原稿圧着板の端部がヒンジにより事務機器の本体の上面の端部に回動可能に連結される。
【0003】
このような原稿圧着板は、原稿を原稿読み取り部に密着させるためにある程度の重量を要する。また、原稿圧着板に原稿自動送り装置(Auto Document Feeder;ADF)が設けられている場合、原稿圧着板の重量は更に増大する。
従って、従来の事務機器の本体と原稿圧着板とを連結するヒンジは、事務機器の本体に固定される取り付け部材と原稿圧着板に固定される支持部材との間にバネを介装し、当該バネの付勢力で原稿圧着板の重量を支えることにより、事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度(開閉角度)を任意の角度で保持し、ひいては作業者が原稿圧着板を回動(開閉)させて原稿読み取り部へ原稿を載置する作業を容易にしている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0004】
また、上記ヒンジの多くは事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の閾値以下では回動角度が変化してもバネの圧縮量が同じとなるようにヒンジにおけるバネとの当接部(カム)の形状を工夫することにより、原稿圧着板を完全に閉じる(原稿圧着板を本体の上面に当接させる)ことを可能とする。
しかし、原稿圧着板の重量が大きい場合、事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の値以下となった時点で原稿圧着板が勢いよく落下し、事務機器の本体に衝突するおそれがある。
【0005】
このような問題を解消するヒンジ(原稿圧着板開閉装置)としては、事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の角度以下となった場合に流体ダンパが作用することにより原稿圧着板の落下を緩やかにするものが知られている。例えば、特許文献2に記載の如くである。
しかし、特許文献2に記載のヒンジに設けられる流体ダンパの構造は複雑であり、部品点数も多く、製造コストの観点から見て好ましくない。
【0006】
上記の如き流体ダンパを用いることなく事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の角度以下のときに原稿圧着板の落下を緩やかにするヒンジ(原稿圧着板開閉装置)としては、特許文献3に記載のヒンジが知られている。
特許文献3に記載のヒンジは、事務機器の本体に固定される取り付け部材と、取り付け部材に回動可能に連結されるとともに事務機器の原稿圧着板に固定される支持部材と、一端部が支持部材に固定されるバネと、バネの他端部に固定されるとともに支持部材に摺動可能に支持され、取り付け部材に設けられたカムに当接するスライダと、を具備し、スライダにおいて支持部材に対向する部分に凸条および溝を交互に形成するとともに支持部材においてスライダに対向する部分に凸条および溝を交互に形成し、スライダに形成された凸条を支持部材に形成された溝に収容し、支持部材に形成された凸条をスライダに形成された溝に収容し、これらの凸条と溝との隙間にグリスを充填することによりグリスの粘性抵抗を利用して原稿圧着板の落下を緩やかにする。
【0007】
しかし、特許文献3に記載のヒンジは、事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の角度以下のときには支持部材に対するスライダの移動量(摺動量)がゼロになる、または非常に小さくなるため、原稿圧着板の落下を緩やかにするためにグリスの粘性抵抗を有効に使うことが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−212910号公報
【特許文献2】特開2006−133532号公報
【特許文献3】特開2003−295355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、第二連結対象物を第一連結対象物に対して緩やかかつ確実に閉じることが可能なヒンジを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部を有する第一収容室および第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジである。
【0012】
請求項2においては、
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きいものである。
【0013】
請求項3においては、
前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の周方向に並んで配置され、
前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の周方向に並んで配置されるものである。
【0014】
請求項4においては、
前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に並んで配置され、
前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の軸線方向に並んで配置されるものである。
【0015】
請求項5においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
主開口部を有する主収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
副開口部を有する副収容室が形成され、前記主収容室に収容され、前記主収容室の内周面に当接しつつ前記主開口部から突出する方向および前記主収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記主収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記主開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記副収容室に収容され、前記副収容室の内周面に当接しつつ前記副開口部から突出する方向および前記副収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記副収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記副開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記副収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるものである。
【0016】
請求項6においては、
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一スライド部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きいものである。
【0017】
請求項7においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、
前記第一ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるものである。
【0018】
請求項8においては、
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第二ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きいものである。
【0019】
請求項9においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
主ヒンジ部材と、
前記主ヒンジ部材に対して別体となる副ヒンジ部材と、
を具備し、
前記主ヒンジ部材は、
第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一主ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一主ウイング部材に回動可能に連結される第二主ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
を具備し、
前記第二主ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、
前記副ヒンジ部材は、
第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一副ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一副ウイング部材に回動可能に連結される第二副ウイング部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二副ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジである。
【0020】
請求項10においては、
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一副ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一主ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きいものである。
【0021】
請求項11においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部を有する第一収容室および第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との当接部分には摩擦力が発生するものである。
【0022】
請求項12においては、
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きいものである。
【0023】
請求項13においては、
前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の周方向に並んで配置され、
前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の周方向に並んで配置されるものである。
【0024】
請求項14においては、
前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に並んで配置され、
前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の軸線方向に並んで配置されるものである。
【0025】
請求項15においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
主開口部を有する主収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
副開口部を有する副収容室が形成され、前記主収容室に収容され、前記主収容室の内周面に当接しつつ前記主開口部から突出する方向および前記主収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記主収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記主開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記副収容室に収容され、前記副収容室の内周面に当接しつつ前記副開口部から突出する方向および前記副収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記副収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記副開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との当接部分には摩擦力が発生するものである。
【0026】
請求項16においては、
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一スライド部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きいものである。
【0027】
請求項17においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、
前記第一ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との当接部分には摩擦力が発生するものである。
【0028】
請求項18においては、
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第二ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きいものである。
【0029】
請求項19においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
主ヒンジ部材と、
前記主ヒンジ部材に対して別体となる副ヒンジ部材と、
を具備し、
前記主ヒンジ部材は、
第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一主ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一主ウイング部材に回動可能に連結される第二主ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
を具備し、
前記第二主ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、
前記副ヒンジ部材は、
第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一副ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一副ウイング部材に回動可能に連結される第二副ウイング部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二副ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との当接部分には摩擦力が発生するものである。
【0030】
請求項20においては、
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一副ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一主ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きいものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、第二連結対象物を第一連結対象物に対して緩やかかつ確実に閉じることが可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るヒンジの第一実施形態を備える複合機を示す右側面図。
【図2】本発明に係るヒンジの第一実施形態を示す斜視図。
【図3】本発明に係るヒンジの第一実施形態を示す正面図。
【図4】本発明に係るヒンジの第一実施形態を示す右側面図。
【図5】原稿圧着板が完全に閉じたときの本発明に係るヒンジの第一実施形態を示す右側面断面図。
【図6】本発明に係るヒンジの第一実施形態のケース部材を示す斜視図。
【図7】本発明に係るヒンジの第一実施形態の回動部材を示す斜視図。
【図8】本発明に係るヒンジの第一実施形態の回動ピンを示す斜視図。
【図9】本発明に係るヒンジの第一実施形態の第一スライダを示す斜視図。
【図10】本発明に係るヒンジの第一実施形態の第二スライダを示す斜視図。
【図11】原稿圧着板が開いたときの本発明に係るヒンジの第一実施形態を示す右側面断面図。
【図12】原稿圧着板がフリーストップ領域から落下領域に移行したときの本発明に係るヒンジの第一実施形態を示す右側面断面図。
【図13】本発明に係るヒンジの第一実施形態を備える事務機器の原稿圧着板の落下領域およびフリーストップ領域を示す右側面図。
【図14】本発明に係るヒンジの第一実施形態の回動角度と第一スライダの位置との関係を示す図。
【図15】本発明に係るヒンジの第一実施形態の回動角度と第二スライダの位置との関係を示す図。
【図16】本発明に係るヒンジの第一実施形態の回動角度と第一スライダおよび第二スライダの回動角度当たりの移動量との関係を示す図。
【図17】第二カム部および第二スライド部材の当接の有無と第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度との関係を示す図。
【図18】本発明に係るヒンジの第二実施形態を備える複合機を示す右側面図。
【図19】本発明に係るヒンジの第二実施形態を示す斜視図。
【図20】本発明に係るヒンジの第二実施形態を示す正面図。
【図21】本発明に係るヒンジの第二実施形態を示す平面図。
【図22】本発明に係るヒンジの第二実施形態を示す右側面図。
【図23】図21のX−X矢視断面図。
【図24】図21のY−Y矢視断面図。
【図25】本発明に係るヒンジの第二実施形態のケース部材を示す斜視図。
【図26】本発明に係るヒンジの第二実施形態の回動部材を示す斜視図。
【図27】本発明に係るヒンジの第二実施形態の第一スライダを示す斜視図。
【図28】本発明に係るヒンジの第二実施形態の第二スライダを示す斜視図。
【図29】本発明に係るヒンジの第二実施形態における第二スライダの別実施形態を示す右側面断面図。
【図30】本発明に係るヒンジの第三実施形態を備える複合機を示す右側面図。
【図31】本発明に係るヒンジの第三実施形態を示す斜視図。
【図32】本発明に係るヒンジの第三実施形態を示す正面図。
【図33】本発明に係るヒンジの第三実施形態を示す平面図。
【図34】本発明に係るヒンジの第三実施形態を示す右側面図。
【図35】図33のX−X矢視断面図。
【図36】図33のY−Y矢視断面図。
【図37】本発明に係るヒンジの第三実施形態のケース部材を示す斜視図。
【図38】本発明に係るヒンジの第三実施形態の回動部材を示す斜視図。
【図39】本発明に係るヒンジの第三実施形態の第一スライダを示す斜視図。
【図40】同じく本発明に係るヒンジの第三実施形態の第一スライダを示す斜視図。
【図41】本発明に係るヒンジの第三実施形態の第二スライダを示す斜視図。
【図42】本発明に係るヒンジの第四実施形態を備える複合機を示す右側面図。
【図43】本発明に係るヒンジの第四実施形態を示す斜視図。
【図44】本発明に係るヒンジの第四実施形態を示す正面図。
【図45】本発明に係るヒンジの第四実施形態を示す平面図。
【図46】本発明に係るヒンジの第四実施形態を示す右側面図。
【図47】図45のX−X矢視断面図。
【図48】図45のY−Y矢視断面図。
【図49】本発明に係るヒンジの第四実施形態の第一ケース部材を示す斜視図。
【図50】本発明に係るヒンジの第四実施形態の第二ケース部材を示す斜視図。
【図51】本発明に係るヒンジの第四実施形態の第二スライダを示す斜視図。
【図52】本発明に係るヒンジの第五実施形態を備える複合機を示す右側面図。
【図53】本発明に係るヒンジの第五実施形態を備える複合機を示す正面図。
【図54】本発明に係るヒンジの第五実施形態の主ヒンジ部材を示す斜視図。
【図55】本発明に係るヒンジの第五実施形態の主ヒンジ部材を示す正面図。
【図56】本発明に係るヒンジの第五実施形態の主ヒンジ部材を示す平面図。
【図57】本発明に係るヒンジの第五実施形態の主ヒンジ部材を示す右側面図。
【図58】図56のX−X矢視断面図。
【図59】本発明に係るヒンジの第五実施形態の主ケース部材を示す斜視図。
【図60】本発明に係るヒンジの第五実施形態の主回動部材を示す斜視図。
【図61】本発明に係るヒンジの第五実施形態の副ヒンジ部材を示す斜視図。
【図62】本発明に係るヒンジの第五実施形態の副ヒンジ部材を示す正面図。
【図63】本発明に係るヒンジの第五実施形態の副ヒンジ部材を示す平面図。
【図64】本発明に係るヒンジの第五実施形態の副ヒンジ部材を示す右側面図。
【図65】図63のY−Y矢視断面図。
【図66】本発明に係るヒンジの第五実施形態の副ケース部材を示す斜視図。
【図67】本発明に係るヒンジの第五実施形態の副回動部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では図1から図17を用いて本発明に係るヒンジの第一実施形態であるヒンジ100について説明する。
【0034】
図1および図13に示す如く、ヒンジ100は複合機11の本体12に原稿圧着板13を回動可能に連結する。
複合機11は事務機器の実施の一形態である。複合機11は本体12および原稿圧着板13を具備する。
【0035】
本体12は本発明に係る第一連結対象物の実施の一形態である。
本実施形態の本体12は原稿読み取り装置、制御装置、印刷装置、表示装置および入力装置を具備する。
本実施形態の原稿読み取り装置は本体12の上面に配置される。原稿読み取り装置は本体12の上面に載置された原稿を読み取る(原稿の画像情報を生成する)。
本実施形態の制御装置は複合機11の各部の動作、より詳細には原稿読み取り装置、後述する印刷装置および後述するADFの動作を制御する。
また、制御装置は原稿読み取り装置が生成した画像情報および本体12に接続された回線(インターネット回線等)を通じて取得した画像情報を記憶することが可能である。
本実施形態の印刷装置は原稿読み取り装置の下方に配置される。印刷装置は制御装置が記憶した画像情報に基づいて紙に画像を印刷する。
本実施形態の表示装置は例えば液晶パネルからなり、複合機11の動作状況等に係る情報を表示する。
本実施形態の入力装置は例えばボタン、スイッチ等からなり、作業者が複合機11に対する指示等を入力する際に操作するものである。表示装置および入力装置は本体12の上面前端部に配置される。
【0036】
原稿圧着板13は本発明に係る第二連結対象物の実施の一形態である。
原稿圧着板13は原稿読み取り装置の上に載置された原稿を原稿読み取り装置に向かって押さえつける(圧着する)ことにより、原稿読み取り装置が原稿を読み取る際に原稿が動く(原稿読み取り装置との相対的な位置が変化する)ことを防止する。
本実施形態の原稿圧着板は読取前原稿収容トレイ、ADF(Auto Document Feeder)および読取後原稿収容トレイを具備する。
本実施形態のADFは読取前原稿収容トレイに積層状態で収容された複数枚の原稿を一枚ずつ順に取り出して原稿読み取り装置の上の所定の読取位置に載置し、原稿読み取り装置による原稿の読み取りが終了した後、当該読取位置に載置された原稿を読取後原稿収容トレイに搬送する。
【0037】
「事務機器」は、少なくとも原稿を読み取る(原稿の画像情報を取得する)機能を具備する装置を指す。
事務機器の具体例としては、(a)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る画像情報を他の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信する機能を具備するスキャナー、(b)原稿を読み取る機能、読み取った原稿に係る画像情報を通信回線を介して他の機器に送信する機能および他の機器から取得した画像情報をプリントアウトする機能を具備するファクス、(c)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る画像情報をプリントアウトする機能を具備するコピー機、(d)上記スキャナー、ファクス、およびコピー機としての機能を兼ねる複合機、等が挙げられる。
【0038】
本実施形態のヒンジ100は複合機11の本体12に原稿圧着板13を回動可能に連結する用途に用いられるが、本発明に係るヒンジの用途はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係るヒンジは、「二つの部材の一方(第一連結対象物)に他方(第二連結対象物)を開閉可能に連結する用途」に広く適用可能である。
本発明に係るヒンジが適用される他の用途の具体例としては、事務機器の本体にトナーカートリッジを交換するためのハッチ(蓋)を開閉可能に連結する用途、自動車の車体にボンネットを開閉可能に連結する用途、便器に便座を開閉可能に連結する用途、等が挙げられる。
【0039】
図2から図5に示す如く、ヒンジ100はケース部材110、回動部材120、回動ピン130、第一スライダ140、第一バネ150、第二スライダ160および第二バネ170を具備する。
【0040】
ケース部材110は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態のケース部材110は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図6に示す如く、ケース部材110は前面部111、後面部112、左側面部113、右側面部114、底面部115、仕切部116および突出部117を有する。
【0041】
前面部111、後面部112、左側面部113、右側面部114および底面部115はそれぞれケース部材110の前面、後面、左側面、右側面および底面を成す部分である。
本実施形態の前面部111、後面部112、左側面部113および右側面部114は上下に長く、下方に向かって僅かに先細った細長い四角錐台形状の板であり、底面部115は概ね正方形状の板である。
前面部111の左端部は左側面部113の前端部に繋がっており、前面部111の右端部は右側面部114の前端部に繋がっている。
後面部112の左端部は左側面部113の後端部に繋がっており、後面部112の右端部は右側面部114の後端部に繋がっている。
底面部115の前端部、後端部、左端部および右端部は、それぞれ前面部111の下端部、後面部112の下端部、左側面部113の下端部および右側面部114の下端部に繋がっている。
従って、ケース部材110は上面(天井面)が開口した上下に長い概ね直方体形状の箱を成し、ケース部材110の内部には空間が形成される。
左側面部113の上端部および右側面部114の上端部は、前面部111の上端部および後面部112の上端部よりも上方に突出している。
左側面部113の上端部かつ後端部となる位置には貫通孔113aが形成され、右側面部114の上端部かつ後端部となる位置には貫通孔114aが形成される。
【0042】
仕切部116はケース部材110の内部の空間(前面部111、後面部112、左側面部113、右側面部114および底面部115で囲まれる空間)に配置される上下方向に長い板状の部分である。
仕切部116の左端部は左側面部113の内側の板面(右面)のやや後方寄りとなる位置に繋がっており、仕切部116の右端部は右側面部114の内側の板面(左面)のやや後方寄りとなる位置に繋がっており、仕切部116の下端部は底面部115の内側の板面(上面)のやや後方寄りとなる位置に繋がっている。
従って、ケース部材110の内部の空間は、上方に向かって開口するとともに仕切部116により前後に二分割される。
【0043】
第一収容室118は本発明に係る第一収容室の実施の一形態である。第一収容室118は仕切部116により前後に二分割されたケース部材110の内部の空間のうち、前側の空間である。
第一収容室118の上部は開口しており、当該開口している部分が第一開口部118aを成す。すなわち、第一収容室118は第一開口部118aを有する。第一開口部118aは本発明に係る第一開口部の実施の一形態である。
【0044】
第二収容室119は本発明に係る第二収容室の実施の一形態である。第二収容室119は仕切部116により前後に二分割されたケース部材110の内部の空間のうち、後側の空間である。
第二収容室119の上部は開口しており、当該開口している部分が第二開口部119aを成す。すなわち、第二収容室119は第二開口部119aを有する。第二開口部119aは本発明に係る第二開口部の実施の一形態である。
【0045】
突出部117は板状の部分である。突出部117の一端部は後面部112の外側の板面(後面)に繋がっており、突出部117の他端部は後面部112の外側の板面(後面)の後方に突出している。
突出部117には、突出部117の上下の板面を貫通する貫通孔117aが形成される。
【0046】
本実施形態では、本体12の上面後端部に形成された平面視略正方形状の穴(不図示)にケース部材110を嵌装し、貫通孔117aに貫装されたネジ(不図示)を本体12に形成されたネジ穴に螺装することにより、ケース部材110が本体12に固定される(図1参照)。
【0047】
回動部材120は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の回動部材120は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図5および図7に示す如く、回動部材120は胴体部121および取り付け部122を有する。
【0048】
胴体部121は回動部材120の胴体を成す部分である。本実施形態の胴体部121は前面の上下中途部から下面を経て後面の下端部までを繋ぐ滑らかな曲面が形成された塊状の部分である。
胴体部121には貫通孔121aが形成される。貫通孔121aは胴体部121の左側面の後部から右側面の後部までを貫通する孔である。
胴体部121には第一カム部121bおよび第二カム部121cが形成される。
第一カム部121bは本発明に係る第一カム部の実施の一形態であり、第二カム部121cは本発明に係る第二カム部の実施の一形態である。
第一カム部121bは胴体部121に形成された曲面のうち、下面の前後中央部から下面の後端部までに対応する部分である。
第二カム部121cは胴体部121に形成された曲面のうち、下面の後端部から後面の下端部までに対応する部分である。
【0049】
図5および図7に示す如く、本実施形態では、第一カム部121bの後端部および第二カム部121cの前端部が重複している。すなわち、第一カム部121bの後端部は第二カム部121cの前端部としての機能を兼ねる。
このように、本発明に係る第一ウイング部材および第二ウイング部材の形状によっては、本発明に係る第一カム部および第二カム部が互いに完全に分離されていなくても良い(第一カム部の一部および第二カム部の一部が重複しても良い)。
【0050】
図2および図7に示す如く、取り付け部122は平面視で概ね長方形状の一対の板面を上面および下面として有する板状の部分である。取り付け部122の左右中央部は胴体部121の上端部に繋がっており、取り付け部122の左端部および右端部はそれぞれ胴体部121の左側方および右側方に突出している。
取り付け部122の四隅(左前端部、右前端部、左後端部、右後端部)には貫通孔122a・122a・122a・122aが形成される。
【0051】
本実施形態では、貫通孔122a・122a・122a・122aに下方からネジ(不図示)を貫装し、当該ネジを原稿圧着板13の下面後端部に形成されたネジ穴に螺装することにより、回動部材120が原稿圧着板13に固定される(図1参照)。
【0052】
回動ピン130は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。
図8に示す如く、本実施形態の回動ピン130は胴体部131および頭部132を有する金属製の部材である。
【0053】
胴体部131は回動ピン130の胴体を成す略円柱形状の部分である。胴体部131の一端部(先端部)にはカシメ穴131aが形成される。
カシメ穴131aは胴体部131の一端部(先端部)の端面に形成された穴である。カシメ穴131aが形成されることにより、胴体部131の一端部(先端部)には薄肉の部分(略円筒形状の部分)が形成される。
【0054】
頭部132は胴体部131の他端部(基端部)に繋がる略円盤形状の部分である。頭部132の直径は胴体部131の直径よりも大きい。
【0055】
図2、図3および図5に示す如く、回動ピン130の胴体部131はケース部材110の左側面部113に形成された貫通孔113aに貫装され、回動部材120に形成された貫通孔121aに貫装され、ケース部材110の右側面部114に形成された貫通孔114aに貫装される。
貫通孔121aの直径は胴体部131の直径よりも僅かに大きく、かつ貫通孔113aおよび貫通孔114aの直径は胴体部131の直径よりも僅かに大きいので、回動ピン130は回動部材120に相対回転不能に固定されるとともにケース部材110に回動可能に軸支される。
従って、回動部材120は回動ピン130を介してケース部材110に回動可能に連結され、ひいては、ヒンジ100により原稿圧着板13(の下面後端部)が本体12(の上面後端部)に回動可能に連結される。
【0056】
胴体部131の一端部(先端部)に形成された薄肉の部分を回動ピン130の半径方向に押し広げるようにカシメ加工する(塑性変形させる)ことにより回動ピン130の一端部、すなわちカシメ加工された部分の直径は貫通孔114aの直径よりも大きくなる。
また、頭部132の直径は貫通孔113aよりも大きい。
このように、胴体部131の一端部(先端部)をカシメ加工することにより、回動ピン130をケース部材110に対して脱落不能に固定することが可能である。
【0057】
図5に示す如く、回動部材120が回動ピン130を介してケース部材110に回動可能に連結されたとき、回動部材120の下部(第一カム部121bが形成されている部分および第二カム部121cが形成されている部分を合わせたもの)はケース部材110に形成された第一収容室118の第一開口部118aおよび第二開口部119aに対向する。
【0058】
第一スライダ140は本発明に係る第一スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一スライダ140は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図9に示す如く、第一スライダ140は主板141、左側面板142および右側面板143を有する。
【0059】
主板141は平面視略長方形状の板状の部分である。主板141は一対の板面を上面および下面として有する。主板141には当接突起141aが形成される。当接突起141aは主板141の上面から上方に突出する。
左側面板142は側面視略長方形状の板状の部分である。左側面板142は一対の板面を左側面および右側面として有する。左側面板142の上端部は主板141の左端部に繋がっている。
右側面板143は側面視略長方形状の板状の部分である。右側面板143は一対の板面を左側面および右側面として有する。右側面板143の上端部は主板141の右端部に繋がっている。
【0060】
図5に示す如く、第一スライダ140はケース部材110の第一収容室118に収容される。
第一収容室118に収容された第一スライダ140は第一収容室118の内周面に当接する。また、第一収容室118に収容された第一スライダ140は第一開口部118aから突出する方向および第一収容室118の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。
より詳細には、主板141の前端面、左側面板142の前端面および右側面板143の前端面は前面部111の後面に上下方向に摺動可能に当接し、主板141の後端面、左側面板142の後端面および右側面板143の後端面は仕切部116の前面に上下方向に摺動可能に当接し、左側面板142の左面は左側面部113の右面に上下方向に摺動可能に当接し、右側面板143の右面は右側面部114の左面に上下方向に摺動可能に当接する。
【0061】
第一バネ150は本発明に係る第一付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一バネ150は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図5に示す如く、第一バネ150はケース部材110の第一収容室118に収容される。
第一収容室118に収容された第一バネ150の一端部(下端部)は底面部115の上面に当接し、第一バネ150の他端部(上端部)は第一スライダ140の主板141の下面に当接する。
従って、第一バネ150は第一スライダ140を第一収容室118の第一開口部118aから突出する方向(本実施形態では、上方)に付勢し、第一スライダ140の当接突起141aは回動部材120の第一カム部121bに当接する。
その結果、第一バネ150の付勢力は第一スライダ140を経て回動部材120に伝達されるので、回動部材120はケース部材110に対して右側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板13は本体12に対して開く方向に付勢される(図1参照)。
【0062】
第二スライダ160は本発明に係る第二スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二スライダ160は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図10に示す如く、第二スライダ160は正面視で上下方向に延びた長方形状の一対の板面を前面および後面として有する板状の部材である。
第二スライダ160の上前端部には当接面160aが形成される。当接面160aは第二スライダ160の前面の上端部および第二スライダ160の上端面の前端部に繋がれる前下がりの斜面であり、第二スライダ160の前面および第二スライダ160の上端面に対して傾斜している(第二スライダ160の前面および第二スライダ160の上端面のいずれに対しても平行ではない)。
【0063】
図5に示す如く、第二スライダ160はケース部材110の第二収容室119に収容される。
第二収容室119に収容された第二スライダ160は第二収容室119の内周面に当接する。また、第二収容室119に収容された第二スライダ160は第二開口部119aから突出する方向および第二収容室119の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。
より詳細には、第二スライダ160の前面は仕切部116の後面に上下方向に摺動可能に当接し、第二スライダ160の後面は後面部112の前面に上下方向に摺動可能に当接し、第二スライダ160の左端面は左側面部113の右面に上下方向に摺動可能に当接し、第二スライダ160の右端面は右側面部114の左面に上下方向に摺動可能に当接する。
【0064】
第二スライダ160の外周面(第二スライダ160の前面、後面、左端面および右端面)と第二収容室119の内周面との当接部分には、グリスが塗布される。換言すれば、第二スライダ160と第二収容室119の内周面との隙間にはグリスが配置される。
【0065】
第二スライダ160と第二収容室119の内周面との隙間に配置されるグリスは本発明に係る粘性体の実施の一形態である。
本発明に係る粘性体の具体例としては各種のグリス、液状の樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
すなわち、「粘性体」は流動可能な物質(流体)であって、「粘性体が第二スライド部材と第二収容室の内周面との隙間に配置されたとき、第二スライド部材を第二開口部から突出する方向および第二収容室の内部に没入する方向に移動させるために要する力」が「粘性体が第二スライド部材と第二収容室の内周面との隙間に配置されないとき、第二スライド部材を第二開口部から突出する方向および第二収容室の内部に没入する方向に移動させるために要する力」よりも大きくなる程度の粘性(ニュートン粘性でも非ニュートン粘性でも良い)を有するものであれば良い。
【0066】
第二バネ170は本発明に係る第二付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二バネ170は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図5に示す如く、第二バネ170はケース部材110の第二収容室119に収容される。
第二収容室119に収容された第二バネ170の一端部(下端部)は底面部115の上面に当接し、第二バネ170の他端部(上端部)は第二スライダ160の下端面に当接する。
従って、第二バネ170は第二スライダ160を第二収容室119の第二開口部119aから突出する方向(本実施形態では、上方)に付勢する。
【0067】
以下では、図5、および図11から図16を用いて原稿圧着板13を閉じるときのヒンジ100の挙動について説明する。
図13に示す如く、本実施形態では原稿圧着板13が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板13の下面が本体12の上面に当接しているときの原稿圧着板13の回動角度θ(本体12に対する原稿圧着板13の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板13が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板13の回動角度θを定義する。なお、本実施形態では原稿圧着板13が完全に開いたときの原稿圧着板13の回動角度θは「50°」である。
【0068】
本実施形態では、原稿圧着板13の回動角度θが6°以上(θ≧6°)の場合には原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板13の回動角度θが6°未満(0°≦θ<6°)の場合には原稿圧着板13が「落下領域」に属する。
【0069】
本実施形態における「フリーストップ領域」は、(A1)「原稿圧着板13の重量に起因して回動ピン130を中心として回動部材120に作用する回転力(モーメント)」と(B1)「第一バネ150の付勢力に起因して回動ピン130を中心として回動部材120に作用する回転力(モーメント)」とが平衡する領域である。
【0070】
図11に示す如く、原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材120の第一カム部121bは第一スライダ140の当接突起141aに当接する。
また、原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材120の第二カム部121cは第二スライダ160から離間している(第二スライダ160に当接しない)。
【0071】
原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板13が閉じる方向(原稿圧着板13の回動角度θが小さくなる方向)に回動した場合、(A1)の回転力は増大する。
これは、原稿圧着板13に作用する重力を半径方向(側面視で原稿圧着板13の前端部と回動ピン130を結ぶ方向)の成分および周方向(側面視で半径方向に垂直な方向)の成分に分解した場合、原稿圧着板13の回動角度θが小さくなるほど周方向の成分、すなわち(A1)の回転力が大きくなることによる。
【0072】
一方、原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板13が閉じる方向に回動した場合、回動部材120がケース部材110に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材120の第一カム部121bと第一スライダ140の当接突起141aとの当接部位が変化し、第一スライダ140は押し下げられて下方に移動する(図12および図14参照)。
第一スライダ140が下方に移動することにより、第一バネ150は圧縮され(第一バネ150の全長は小さくなり)、第一バネ150の付勢力が増大し、(B1)の回転力が増大する。
その結果、原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属するとき、原稿圧着板13の回動角度θが変化しても(A1)の回転力と(B1)の回転力とが平衡する。より厳密には、原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属するときには原稿圧着板13の回動角度θが変化しても(A1)の回転力と(B1)の回転力とが平衡するように第一カム部121bおよび当接突起141aの形状が予め設定される。
従って、原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属するときに作業者が原稿圧着板13から手を離した場合、原稿圧着板13の回動角度θは保持される。
【0073】
本実施形態における「落下領域」は(A1)の回転力が(B1)の回転力よりも大きくなる領域である。本実施形態では、落下領域は原稿圧着板13が閉じている状態(θ=0°)から所定の角度(本実施形態ではθ=6°)だけ開いた状態までの範囲に設定される。
原稿圧着板13が「落下領域」に属するときに作業者が原稿圧着板13から手を離した場合、原稿圧着板13は自重(厳密には、(A1)の回転力と(B1)の回転力との差分)により閉じる方向に回動する。
【0074】
図12に示す如く、原稿圧着板13が「落下領域」に属するとき、回動部材120の第一カム部121bは第一スライダ140の当接突起141aに当接する。
しかし、図14に示す如く、原稿圧着板13が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板13の回動角度θが変化してもケース部材110に対する第一スライダ140の位置が変化しない。より厳密には、原稿圧着板13が「落下領域」に属するときには原稿圧着板13の回動角度θが変化してもケース部材110に対する第一スライダ140の位置が変化しないように第一カム部121bおよび当接突起141aの形状が予め設定される。
その結果、原稿圧着板13が「落下領域」に属するときには(B1)の回転力は実質的にゼロとなり、(A1)の回転力が(B1)の回転力よりも大きくなる。
【0075】
図12に示す如く、原稿圧着板13が「落下領域」に属するとき、回動部材120の第二カム部121cは第二スライダ160の当接面160aに当接する。
従って、原稿圧着板13が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板13が閉じる方向に回動した場合、回動部材120がケース部材110に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材120の第二カム部121cと第二スライダ160の当接面160aとの当接部位が変化し、第二スライダ160は押し下げられて下方に移動する(図5、図12および図15参照)。
【0076】
第二スライダ160が下方に移動するとき、第二スライダ160には第二スライダ160の外周面と第二収容室119の内周面との当接部分に塗布されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が作用する。
従って、原稿圧着板13が「落下領域」に属するときには、(A1)の回転力の一部がグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力により相殺され、原稿圧着板13が閉じる方向に回動する速度が遅くなる(緩和される)。
その結果、原稿圧着板13は本体12の上面に柔らかく(強い衝撃を伴わずに)当接するので、原稿圧着板13は緩やかかつ確実に閉じられる。
【0077】
なお、作業者が原稿圧着板13を手で持って原稿圧着板13を開く方向に回動させた場合、第二スライダ160は、第二バネ170の付勢力によりグリスの粘性抵抗に抗して上方に移動するので、原稿圧着板13が「落下領域」に属するときには「回動部材120の第二カム部121cが第二スライダ160の当接面160aに当接した状態」が保持される。
【0078】
以上の如く、ヒンジ100は、
本体12に原稿圧着板13を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部118aを有する第一収容室118および第二開口部119aを有する第二収容室119が形成され、複合機11の本体12に固定されるケース部材110と、
複合機11の原稿圧着板13に固定され、ケース部材110に回動可能に連結される回動部材120と、
第一収容室118に収容され、第一収容室118の内周面に当接しつつ第一開口部118aから突出する方向および第一収容室118の内部に没入する方向に移動可能な第一スライダ140と、
第一収容室118に収容され、第一スライダ140を第一開口部118aから突出する方向に付勢する第一バネ150と、
第二収容室119に収容され、第二収容室119の内周面に当接しつつ第二開口部119aから突出する方向および第二収容室119の内部に没入する方向に移動可能な第二スライダ160と、
第二収容室119に収容され、第二スライダ160を第二開口部119aから突出する方向に付勢する第二バネ170と、
を具備し、
回動部材120には、第一スライダ140(の当接突起141a)に当接する第一カム部121bが形成されるとともに第二スライダ160(の当接面160a)に当接する第二カム部121cが形成され、
第二スライダ160と第二収容室119の内周面との隙間にはグリスが配置される。
このように構成することにより、原稿圧着板13を緩やかかつ確実に閉じることが可能である。
【0079】
また、図5、図11、図12および図16に示す如く、複合機11の原稿圧着板13が「落下領域」に属する状態で(「落下領域」内で)回動するとき、ケース部材110に対する第二スライダ160の回動角度当たりの移動量(図16中の太い実線参照)はケース部材110に対する第一スライダ140の回動角度当たりの移動量(図16中の太い点線参照)よりも大きい。
このように構成することにより、原稿圧着板13が「落下領域」に属する状態では第二スライダ160が第一スライダ140よりも大きく移動することとなり、第二スライダ160と第二収容室119の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A1)の回転力の一部を相殺する力として有効に利用することが可能である。
【0080】
特に、本実施形態では、原稿圧着板13が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板13の回動角度θが小さくなるとき、第二カム部121cは概ね後方に移動するが、第二カム部121cの移動方向に対して緩く傾斜した(第二カム部121cの移動方向に対して垂直でないが垂直に近い角度を成す)当接面160aが第二カム部121cに当接するため、第二スライダ160は第二カム部121cの移動方向に対して概ね垂直となる方向である下方に移動する。
このように構成することにより、原稿圧着板13が「落下領域」に属する状態では第二カム部121cの移動量に比べて第二スライダ160の移動量を大きく設定することが可能であり、第二スライダ160と第二収容室119の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A1)の回転力の一部を相殺する力として更に有効に利用することが可能である。
【0081】
本実施形態では原稿圧着板13が「フリーストップ領域」から「落下領域」に移行するときの原稿圧着板13の回動角度θが「6°」であったが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係るヒンジの第一スライド部材と回動部材の第一カム部との当接部分の形状を適宜設定することにより、第二連結対象物がフリーストップ領域から落下領域に移行するときの第二連結対象物の回動角度を用途等に応じて任意に設定することが可能である。
【0082】
本実施形態では、原稿圧着板13が「フリーストップ領域」に属するときには回動部材120の第二カム部121cと第二スライダ160とが当接せず、原稿圧着板13が「落下領域」に属するときには回動部材120の第二カム部121cと第二スライダ160とが当接するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、図17に示す如く、本発明では以下の四つの構成を採ることが可能である。
(i)「フリーストップ領域」および「落下領域」の全域で第二ウイング部材の第二カム部が第二スライド部材に当接する構成。
(ii)「フリーストップ領域」における「落下領域」寄りの領域および「落下領域」の全域では第二ウイング部材の第二カム部が第二スライド部材に当接し、「フリーストップ領域」において「落下領域」から離れた領域では第二ウイング部材の第二カム部が第二スライド部材に当接しない構成。
(iii)「フリーストップ領域」の全域では第二ウイング部材の第二カム部が第二スライド部材に当接し、「落下領域」の全域では第二ウイング部材の第二カム部が第二スライド部材に当接しない構成(ヒンジ100は当該構成に相当する)。
(iv)「落下領域」において「フリーストップ領域」から離れた領域では第二ウイング部材の第二カム部が第二スライド部材に当接し、「フリーストップ領域」の全域および「落下領域」における「フリーストップ領域」寄りの領域では第二ウイング部材の第二カム部が第二スライド部材に当接しない構成。
【0083】
「フリーストップ領域」において第二連結対象物を閉じる方向に回動させるために作業者が第二連結対象物に作用させる力を小さくする観点からは(iii)および(iv)の構成が(i)および(ii)の構成よりも望ましい。
また、第二連結対象物が「フリーストップ領域」に移行したときに第二連結対象物が閉じる方向に回動する速度を緩やかにする観点からは(i)、(ii)および(iii)の構成が(iv)の構成よりも望ましい。
従って、第二連結対象物を閉じる方向に回動させるために作業者が第二連結対象物に作用させる力を小さくする観点および第二連結対象物が「フリーストップ領域」に移行したときに第二連結対象物が閉じる方向に回動する速度を緩やかにする観点の両方を考慮した場合には、(iii)の構成が最も望ましい。
【0084】
本実施形態は、「落下領域」において第二スライダ160と第二収容室119との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が回動部材120に作用する「原稿圧着板13を閉じる方向の回転力((A1)の回転力)」の一部を相殺するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第二スライダ160と第二収容室119との隙間を更に狭くする(グリスが配置される場合よりも狭くする)ことにより、「落下領域」において第二スライダ160と第二収容室119との隙間(当接部分)に摩擦力を発生させ、当該摩擦力が回動部材120に作用する「原稿圧着板13を閉じる方向の回転力」の一部を相殺しても良い。
【0085】
以下では図18から図28を用いて本発明に係るヒンジの第二実施形態であるヒンジ200について説明する。
【0086】
図18に示す如く、ヒンジ200は複合機21の本体22に原稿圧着板23を回動可能に連結する。
複合機21は事務機器の実施の一形態である。複合機21は本体22および原稿圧着板23を具備する。
複合機21、本体22および原稿圧着板23の基本的な構成および機能は図1に示す複合機11、本体12および原稿圧着板13と概ね同じであることから、説明を省略する。
【0087】
図19から図24に示す如く、ヒンジ200はケース部材210、回動部材220、回動ピン230、第一スライダ240、第一バネ250、第二スライダ260および第二バネ270を具備する。
【0088】
ケース部材210は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態のケース部材210は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図19および図25に示す如く、ケース部材210は概ね薄い直方体形状の部材である。
図25に示す如く、ケース部材210の内部には第一収容室211および第二収容室212の二つの空間が形成される。
【0089】
第一収容室211は本発明に係る第一収容室の実施の一形態である。第一収容室211はケース部材210の内部に形成された二つの空間のうち、左側の空間(ヒンジ200が複合機21の原稿圧着板23を本体22に回動可能に連結したとき、複合機21の左側に位置する空間)である。
第一収容室211はケース部材210の基端部(ケース部材210と回動部材220とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第一開口部211aを成す。すなわち、第一収容室211は第一開口部211aを有する。第一開口部211aは本発明に係る第一開口部の実施の一形態である。
第一収容室211の内周面にはガイド溝211b・211bが形成される。ガイド溝211b・211bは第一収容室211の第一開口部211aから第一収容室211の奥に向かって(ケース部材210の基端部から先端部に向かって)延びた溝である。
【0090】
第二収容室212は本発明に係る第二収容室の実施の一形態である。第二収容室212はケース部材210の内部に形成された二つの空間のうち、右側の空間(ヒンジ200が複合機21の原稿圧着板23を本体22に回動可能に連結したとき、複合機21の右側に位置する空間)である。
第二収容室212はケース部材210の基端部において開口しており、当該開口している部分が第二開口部212aを成す。すなわち、第二収容室212は第二開口部212aを有する。第二開口部212aは本発明に係る第二開口部の実施の一形態である。
第二収容室212の内周面にはガイド突起212b・212b・・・が形成される。ガイド突起211b・211b・・・は第二収容室212の第二開口部212aから第二収容室212の奥に向かって(ケース部材210の基端部から先端部に向かって)延びた突起(凸条)である。
【0091】
ケース部材210には突出部213が形成される。突出部213は板状の部分である。
突出部213の一端部はケース部材210の右側面(ヒンジ200が複合機21の原稿圧着板23を本体22に回動可能に連結したとき、複合機21の右側方に向く面)に繋がっており、突出部213の他端部はケース部材210の右側面の右側方に突出している。
突出部213には貫通孔213a・213bが形成される。貫通孔213a・213bは突出部213の一対の板面を貫通する孔である。
【0092】
ケース部材210には突出部214が形成される。突出部214は板状の部分である。
突出部214の一端部はケース部材210の左側面(ヒンジ200が複合機21の原稿圧着板23を本体22に回動可能に連結したとき、複合機21の左側方に向く面)に繋がっており、突出部214の他端部はケース部材210の左側面の左側方に突出している。
突出部214には貫通孔214aが形成される。貫通孔214aは突出部214の一対の板面を貫通する孔である。
【0093】
ケース部材210の基端部には貫通孔215a・215b・215cが形成される。
貫通孔215a・215b・215cは一直線に並んで配置され、貫通孔215a・215b・215cを合わせたものは実質的にケース部材210の左側面から右側面までを貫通する。
貫通孔215a・215b・215cの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。
【0094】
本実施形態では、貫通孔213a・213bおよび貫通孔214aにネジ(不図示)を貫装し、当該ネジを原稿圧着板23の下面後端部に形成されたネジ穴(不図示)に螺装することにより、ケース部材210が原稿圧着板23に固定される(図18参照)。
【0095】
回動部材220は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の回動部材220は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図19、図22および図26に示す如く、回動部材220は胴体部221および取り付け部222を有する。
【0096】
胴体部221は回動部材220の胴体を成す部分である。図26に示す如く、本実施形態の胴体部221は一対の板面を上面および下面とする概ね板状の部分である。
【0097】
胴体部221には第一カム部221aが形成される。
第一カム部221aは本発明に係る第一カム部の実施の一形態であり、胴体部221の上面の左半部から上方に突出する塊状の部分である。
第一カム部221aには貫通孔221cが形成される。貫通孔221cは第一カム部221aの左側面後部から右側面後部までを貫通する孔である。
【0098】
胴体部221には第二カム部221bが形成される。
第二カム部221bは本発明に係る第二カム部の実施の一形態であり、胴体部221の上面の右半部から上方に突出する塊状の部分である。
【0099】
胴体部221には突起部221dが形成される。突起部221dは一対の板面を左右側面とする板状の部分であり、胴体部221の上面の右端部(第二カム部221bよりも右側となる位置)から上方に突出する
突起部221dには貫通孔221eが形成される。貫通孔221eは突起部221dの左右の板面を貫通する孔である。
第一カム部221aに形成された貫通孔221cおよび突起部221dに形成された貫通孔221eは一直線に並ぶように配置され、貫通孔221cおよび貫通孔221eを合わせたものの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。
【0100】
取り付け部222は回動部材220の下半部を成す部分である。図26に示す如く、本実施形態の取り付け部222は上下方向に延びた概ね直方体形状の部分である。取り付け部222の上端部は胴体部221の下面の左半部に繋がっており、取り付け部222の下端部はやや先細っている。
【0101】
本実施形態では、本体22の上面後端部に形成された平面視略正方形状の穴(不図示)に取り付け部222を嵌装することにより、回動部材220が本体22に固定される(図18参照)。
【0102】
図1に示すヒンジ100の場合、本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態であるケース部材110が本発明に係る第一連結対象物実施の一形態である本体12に固定されるとともに、本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である回動部材120が本発明に係る第二連結対象物実施の一形態である原稿圧着板13に固定される。
これに対して、図18に示すヒンジ200の場合、本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態であるケース部材210が本発明に係る第二連結対象物実施の一形態である原稿圧着板23に固定されるとともに、本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である回動部材220が本発明に係る第一連結対象物実施の一形態である本体22に固定される。
このように、本発明に係る第一ウイング部材および第二ウイング部材のうち、いずれか一方が第一連結対象物に固定され、他方が第二連結対象物に固定されれば良い。
【0103】
回動ピン230は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。
図20および図21に示す如く、本実施形態の回動ピン230は胴体部231および頭部232を有し、胴体部231の一端部(先端部)にカシメ穴231aが形成される金属製の部材である。
本実施形態の回動ピン230の基本的な構成は図8に示す回動ピン130と略同じであるため説明を省略する。
図21に示す如く、回動ピン230の胴体部231を左から順に貫通孔215a、貫通孔221c、貫通孔215b、貫通孔221eおよび貫通孔215cに貫装することにより、回動部材220は回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結され、ひいては、ヒンジ200により原稿圧着板23(の下面後端部)が本体22(の上面後端部)に回動可能に連結される。
【0104】
図23に示す如く、回動部材220が回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されたとき、第一カム部221aはケース部材210に形成された第一収容室211の第一開口部211aに対向する。
図24に示す如く、回動部材220が回動ピン230を介してケース部材210に回動可能に連結されたとき、第二カム部221bはケース部材210に形成された第二収容室212の第二開口部212aに対向する。
【0105】
第一スライダ240は本発明に係る第一スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一スライダ240は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図23および図27に示す如く、第一スライダ240は当接部241、ガイド部242・242および筒部243を有する。
【0106】
図27に示す如く、当接部241は一対の板面を有する薄い直方体部分と、円柱を軸線を通る平面で二分割した形状の半円柱部分と、を有する。
当接部241の半円柱部分が直方体部分の一方の板面の上に積層されることにより、当該半円柱部分が当該薄い直方体から突出した突起を成す。当該半円柱部分の外周面(曲面)に相当する面は当接面241aを成す。
【0107】
ガイド部242・242は概ね角が丸められた直方体形状を有する。ガイド部242・242は当接部241の左右の側面に繋がっている。
【0108】
筒部243は概ね円筒形状を有する。筒部243の一端部は当接部241の他方の板面(二分割された円柱形状の突起が積層されていない方の板面)に繋がっている。
【0109】
図23に示す如く、第一スライダ240はケース部材210の第一収容室211に収容される。
第一収容室211に収容された第一スライダ240は第一収容室211の内周面に当接する。また、第一収容室211に収容された第一スライダ240は第一開口部211aから突出する方向および第一収容室211の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。
より詳細には、第一スライダ240が第一収容室211に収容されたとき、当接部241の薄い直方体部分の四つの端面はそれぞれ第一収容室211の内周面(四つの内壁面)に摺動可能に当接するとともに、ガイド部242・242はガイド溝211b・211bに摺動可能に係合する。
【0110】
第一バネ250は本発明に係る第一付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一バネ250は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図23に示す如く、第一バネ250はケース部材210の第一収容室211に収容される。
第一収容室211に収容された第一バネ250の一端部は第一収容室211の底面に当接し、第一バネ250の他端部は第一スライダ240の筒部243に嵌装されるとともに当接部241の他方の板面(二分割された円柱形状の突起が積層されていない方の板面)に当接する。
従って、第一バネ250は第一スライダ240を第一収容室211の第一開口部211aから突出する方向に付勢し、第一スライダ240の当接部241の当接面241aは回動部材220の第一カム部221aに当接する。
その結果、第一バネ250の付勢力は第一スライダ240を経て回動部材220に伝達されるので、回動部材220はケース部材210に対して右側面視で時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板23は本体22に対して開く方向に付勢される(図18参照)。
【0111】
第二スライダ260は本発明に係る第二スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二スライダ260は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図28に示す如く、第二スライダ260は細長い直方体の一方の端部を当該直方体の長手方向に対して斜めに切除するとともに外周面(四つの側面)に長手方向に延びた溝を形成した形状を有する。
【0112】
第二スライダ260の一端部には当接面261が形成される。当接面261は第二スライダ260の長手方向に対して傾斜した平面(第二スライダ260の長手方向に対して垂直ではなく、かつ平行ではない平面)である。
【0113】
第二スライダ260の外周面にはガイド溝262a・262b・262c・262d・262e・262fが形成される。ガイド溝262a・262b・262c・262d・262e・262fは第二スライダ260の長手方向に延びた溝である。
【0114】
第二スライダ260にはバネ受け穴263が形成される。
バネ受け穴263は第二スライダ260の他端部(当接面261が形成される端部の反対側の端部)に開口する穴である。
【0115】
図24に示す如く、第二スライダ260はケース部材210の第二収容室212に収容される。
第二収容室212に収容された第二スライダ260は第二収容室212の内周面に当接する。また、第二収容室212に収容された第二スライダ260は第二開口部212aから突出する方向および第二収容室212の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。
より詳細には、第二スライダ260の外周面に形成されたガイド溝262a・262b・262c・262d・262e・262fが第二収容室212の内周面に形成されたガイド突起212b・212b・・・に摺動可能に係合する(図25および図28参照)。
【0116】
第二スライダ260の外周面と第二収容室212の内周面との当接部分には、グリスが塗布される。換言すれば、第二スライダ260と第二収容室212の内周面との隙間(ガイド溝262a・262b・262c・262d・262e・262fとガイド突起212b・212b・・・との隙間を含む)にはグリスが配置される。
第二スライダ260と第二収容室212の内周面との隙間に配置されるグリスは本発明に係る粘性体の実施の一形態である。
【0117】
第二バネ270は本発明に係る第二付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二バネ270は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図24に示す如く、第二バネ270はケース部材210の第二収容室212に収容される。
第二収容室212に収容された第二バネ270の一端部は第二収容室212の底面に当接し、第二バネ270の他端部は第二スライダ260のバネ受け穴263に収容されるとともにバネ受け穴263の内部に形成された段差面に当接する。
従って、第二バネ270は第二スライダ260を第二収容室212の第二開口部212aから突出する方向に付勢する。
【0118】
以下では、図18、図23および図24を用いて原稿圧着板23を閉じるときのヒンジ200の挙動について説明する。
本実施形態では原稿圧着板23が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板23の下面が本体22の上面に当接しているときの原稿圧着板23の回動角度θ(本体22に対する原稿圧着板23の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板23が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板23の回動角度θを定義する(図18参照)。
【0119】
本実施形態では、原稿圧着板23の回動角度θが35°以上(θ≧35°)の場合には原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板23の回動角度θが35°未満(0°≦θ<35°)の場合には原稿圧着板23が「落下領域」に属する。
【0120】
本実施形態における「フリーストップ領域」は、(A2)「原稿圧着板23の重量に起因して回動ピン230を中心として回動部材220に作用する回転力(モーメント)」と(B2)「第一バネ250の付勢力に起因して回動ピン230を中心として回動部材220に作用する回転力(モーメント)」とが平衡する領域である。
【0121】
原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材220の第一カム部221aは第一スライダ240の当接部241の当接面241aに当接する。
また、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材220の第二カム部221bは第二スライダ260から離間している(第二スライダ260に当接しない)。
【0122】
原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合、(A2)の回転力は増大する。
一方、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合、ケース部材210が回動部材220に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材220の第一カム部221aと第一スライダ240の当接部241の当接面241aとの当接部位が変化し、第一スライダ240は第一収容室211の内部に没入する方向に移動する。
第一スライダ240が第一収容室211の内部に没入する方向に移動することにより、第一バネ250は圧縮され(第一バネ250の全長は小さくなり)、第一バネ250の付勢力が増大し、(B2)の回転力が増大する。
その結果、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するとき、原稿圧着板23の回動角度θが変化しても(A2)の回転力と(B2)の回転力とが平衡する。より厳密には、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するときには原稿圧着板23の回動角度θが変化しても(A2)の回転力と(B2)の回転力とが平衡するように第一カム部221aおよび当接部241の形状が予め設定される。
従って、原稿圧着板23が「フリーストップ領域」に属するときに作業者が原稿圧着板23から手を離した場合、原稿圧着板23の回動角度θは保持される。
【0123】
本実施形態における「落下領域」は(A2)の回転力が(B2)の回転力よりも大きくなる領域である。
原稿圧着板23が「落下領域」に属するときに作業者が原稿圧着板23から手を離した場合、原稿圧着板23は自重(厳密には、(A2)の回転力と(B2)の回転力との差分)により閉じる方向に回動する。
【0124】
原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、回動部材220の第一カム部221aは第一スライダ240の当接部241の当接面241aに当接する。
しかし、原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板23の回動角度θが変化してもケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化しない。より厳密には、原稿圧着板23が「落下領域」に属するときには原稿圧着板23の回動角度θが変化してもケース部材210に対する第一スライダ240の位置が変化しないように第一カム部221aおよび当接部241の形状が予め設定される。
その結果、原稿圧着板23が「落下領域」に属するときには(B2)の回転力は実質的にゼロとなり、(A2)の回転力が(B2)の回転力よりも大きくなる。
【0125】
原稿圧着板23が「落下領域」に属するとき、回動部材220の第二カム部221bは第二スライダ260の当接面261に当接する。
従って、原稿圧着板23が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板23が閉じる方向に回動した場合、ケース部材210が回動部材220に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材220の第二カム部221bと第二スライダ260の当接面261との当接部位が変化し、第二スライダ260は第二収容室212の内部に没入する方向に移動する。
【0126】
第二スライダ260が第二収容室212の内部に没入する方向に移動するとき、第二スライダ260には第二スライダ260の外周面と第二収容室212の内周面との当接部分に塗布されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が作用する。
従って、原稿圧着板23が「落下領域」に属するときには、(A2)の回転力の一部がグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力により相殺され、原稿圧着板23が閉じる方向に回動する速度が遅くなる(緩和される)。
その結果、原稿圧着板23は本体22の上面に柔らかく当接するので、原稿圧着板23は緩やかかつ確実に閉じられる。
【0127】
なお、作業者が原稿圧着板23を手で持って原稿圧着板23を開く方向に回動させた場合、第二スライダ260は、第二バネ270の付勢力によりグリスの粘性抵抗に抗して第二開口部212aから突出する方向に移動するので、原稿圧着板23が「落下領域」に属するときには「回動部材220の第二カム部221bが第二スライダ260の当接面261に当接した状態」が保持される。
【0128】
以上の如く、ヒンジ200は、
本体22に原稿圧着板23を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部211aを有する第一収容室211および第二開口部212aを有する第二収容室212が形成され、複合機21の原稿圧着板23に固定されるケース部材210と、
複合機21の本体22に固定され、ケース部材210に回動可能に連結される回動部材220と、
第一収容室211に収容され、第一収容室211の内周面に当接しつつ第一開口部211aから突出する方向および第一収容室211の内部に没入する方向に移動可能な第一スライダ240と、
第一収容室211に収容され、第一スライダ240を第一開口部211aから突出する方向に付勢する第一バネ250と、
第二収容室212に収容され、第二収容室212の内周面に当接しつつ第二開口部212aから突出する方向および第二収容室212の内部に没入する方向に移動可能な第二スライダ260と、
第二収容室212に収容され、第二スライダ260を第二開口部212aから突出する方向に付勢する第二バネ270と、
を具備し、
回動部材220には、第一スライダ240(の当接部241の当接面241a)に当接する第一カム部221aが形成されるとともに第二スライダ260(の当接面261)に当接する第二カム部221bが形成され、
第二スライダ260と第二収容室212の内周面との隙間にはグリスが配置される。
このように構成することにより、原稿圧着板23を緩やかかつ確実に閉じることが可能である。
【0129】
また、ヒンジ200は、図1に示すヒンジ100と同様に、複合機21の原稿圧着板23が「落下領域」に属する状態で(「落下領域」内で)回動するとき、ケース部材210に対する第二スライダ260の回動角度当たりの移動量がケース部材210に対する第一スライダ240の回動角度当たりの移動量よりも大きい。
このように構成することにより、原稿圧着板23が「落下領域」に属する状態では第二スライダ260が第一スライダ240よりも大きく移動することとなり、第二スライダ260と第二収容室212の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A2)の回転力の一部を相殺する力として有効に利用することが可能である。
【0130】
本実施形態では原稿圧着板23が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板23の回動角度θが小さくなるとき、第二カム部221bはケース部材210に対して相対的には概ね上方に移動する。
このとき、ケース部材210に対する第二カム部221bの相対的な移動方向に対して緩く傾斜した(ケース部材210に対する第二カム部221bの相対的な移動方向に対して垂直でないが垂直に近い角度を成す)当接面261が第二カム部221bに当接するため、第二スライダ260はケース部材210に対する第二カム部221bの相対的な移動方向に対して概ね垂直な方向である前方に移動する。
このように構成することにより、原稿圧着板23が「落下領域」に属する状態ではケース部材210に対する第二カム部221bの相対的な移動量よりもケース部材210に対する第二スライダ260の移動量を大きく設定することが可能であり、第二スライダ260と第二収容室212の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A2)の回転力の一部を相殺する力として更に有効に利用することが可能である。
【0131】
本実施形態では第二スライダ260の外周面にガイド溝262a・262b・262c・262d・262e・262fを形成するとともに第二収容室212の内周面にガイド突起212b・212b・・・を形成し、これらを摺動可能に係合させるとともにこれらの隙間にグリスを塗布する(グリスを配置する)。
このように構成することにより、第二スライダ260の外周面と第二収容室212の内周面とが当接する面積を大きくし、ひいてはケース部材210に対して第二スライダ260が移動するときに剪断されるグリスの量を多くすることが可能であり、グリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A2)の回転力の一部を相殺する力として更に有効に利用することが可能である。
【0132】
図5に示す如く、ヒンジ100の場合、回動ピン130により回動部材120に回動可能に連結されたケース部材110の第一開口部118aおよび第二開口部119aは回動ピン130の周方向に並んで(回動ピン130の軸線(中心線)を中心とする円周上に)配置される。また、回動ピン130によりケース部材110に回動可能に連結された回動部材120の第一カム部121bおよび第二カム部121cは回動ピン130の周方向に並んで配置される。
【0133】
これに対して、図23および図24に示す如く、ヒンジ200の場合、回動ピン230により回動部材220に回動可能に連結されたケース部材210の第一開口部211aおよび第二開口部212aは回動ピン230の軸線方向(長手方向)に並んで配置される。また、回動ピン230によりケース部材210に回動可能に連結された回動部材220の第一カム部221aおよび第二カム部221bは回動ピン230の軸線方向(長手方向)に並んで配置される。
【0134】
(α)第一開口部および第二開口部を回動軸の周方向に並べて配置するとともに第一カム部および第二カム部を回動軸の周方向に並べて配置した場合と(β)第一開口部および第二開口部を回動軸の軸線方向に並べて配置するとともに第一カム部および第二カム部を回動軸の軸線方向に並べて配置した場合とでは、以下の如き相違を有する。
【0135】
第一に、(β)の場合は、(α)の場合よりも第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度の範囲(第一連結対象物に対する第二連結対象物の回動角度の範囲)、すなわち回動角度の上限値と下限値の差分を大きく設定することが容易であるという利点を有する。これは、(α)の場合には第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度の範囲を大きく設定しようとするほど第一カム部と第二カム部との重複部分が大きくなる傾向があるため、結果としてヒンジを設計する上での制約が厳しくなるのに対して、(β)の場合には第一カム部と第二カム部とを回動軸の軸線方向において容易かつ明確に分離することが可能であることによる。
第二に、(α)の場合は、(β)の場合よりも回動軸の軸線方向においてヒンジを小型化し易いという利点を有する。
従って、上記した作用効果上の相違あるいはヒンジの用途等に応じて、(α)の場合または(β)の場合のいずれを採用するかを適宜選択することが望ましい。
【0136】
本実施形態では、ケース部材210の第二収容室212の内周面にガイド突起212b・212b・・・を形成するとともに第二スライダ260の外周面にガイド溝262a・262b・262c・262d・262e・262fを形成することにより、第二スライダ260の外周面と第二収容室212の内周面との当接部分の面積を大きくし、ひいては第二スライダ260と第二収容室212との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A2)の回転力の一部を相殺する力としてより有効に利用することが可能である。
【0137】
本実施形態は、「落下領域」において第二スライダ260と第二収容室212との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が回動部材220に作用する「原稿圧着板23を閉じる方向の回転力((A2)の回転力)」の一部を相殺するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第二スライダ260と第二収容室212との隙間を更に狭くする(グリスが配置される場合よりも狭くする)ことにより、「落下領域」において第二スライダ260と第二収容室212との隙間(当接部分)に摩擦力を発生させ、当該摩擦力が回動部材220に作用する「原稿圧着板23を閉じる方向の回転力」の一部を相殺しても良い。
【0138】
本実施形態では第二カム部221bと第二スライダ260との当接部分のうち、第二カム部221bにおける当接面は上方に突出した曲面(上に凸の曲面)であり、第二スライダ260における当接面261は概ね平面であるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図29に示す如く、第二カム部221bと第二スライダ260との当接部分のうち、第二カム部221bにおける当接面は概ね平面であり、第二スライダ260における当接面266が曲面であっても良い。
すなわち、「第二連結対象物が「落下領域」に属する状態で(「落下領域」内で)回動するとき、第一ウイング部材に対する第二スライド部材の回動角度当たりの移動量が第一ウイング部材に対する第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きくなる」という要件を満たす第二カム部および第二スライド部材の形状の組み合わせは複数存在し、これらの組み合わせの中から適宜選択することが可能である。
【0139】
以下では図30から図41を用いて本発明に係るヒンジの第三実施形態であるヒンジ300について説明する。
【0140】
図30に示す如く、ヒンジ300は複合機31の本体32に原稿圧着板33を回動可能に連結する。
複合機31は事務機器の実施の一形態である。複合機31は本体32および原稿圧着板33を具備する。
複合機31、本体32および原稿圧着板33の基本的な構成および機能は図1に示す複合機11、本体12および原稿圧着板13と概ね同じであることから、説明を省略する。
【0141】
図31から図36に示す如く、ヒンジ300はケース部材310、回動部材320、回動ピン330、第一スライダ340、第一バネ350、第二スライダ360および第二バネ370を具備する。
【0142】
ケース部材310は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態のケース部材310は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図37に示す如く、ケース部材310は前面部311、後面部312、左側面部313、右側面部314および底面部315を有する。
【0143】
前面部311、後面部312、左側面部313、右側面部314および底面部315はそれぞれケース部材310の前面、後面、左側面、右側面および底面を成す部分である。
本実施形態の前面部311、後面部312、左側面部313および右側面部314は上下に長く、下方に向かって僅かに先細った細長い四角錐台形状の板であり、底面部315は概ね正方形状の板である。
前面部311の左端部は左側面部313の前端部に繋がっており、前面部311の右端部は右側面部314の前端部に繋がっている。
後面部312の左端部は左側面部313の後端部に繋がっており、後面部312の右端部は右側面部314の後端部に繋がっている。
底面部315の前端部、後端部、左端部および右端部は、それぞれ前面部311の下端部、後面部312の下端部、左側面部313の下端部および右側面部314の下端部に繋がっている。
従って、ケース部材310は上面(天井面)が開口した上下に長い概ね直方体形状の箱を成し、ケース部材310の内部にはケース部材310の上方に向かって開口した空間が形成される。
左側面部313の上端部および右側面部314の上端部は、前面部311の上端部および後面部312の上端部よりも上方に突出している。
左側面部313の上端部かつ後端部となる位置には貫通孔313aが形成され、右側面部314の上端部かつ後端部となる位置には貫通孔314aが形成される。
【0144】
主収容室316は本発明に係る主収容室の実施の一形態である。主収容室316はケース部材310の内部に形成された空間(前面部311、後面部312、左側面部313、右側面部314および底面部315により囲まれた空間)である。
主収容室316の上部は開口しており、当該開口している部分が主開口部316aを成す。すなわち、主収容室316は主開口部316aを有する。主開口部316aは本発明に係る主開口部の実施の一形態である。
【0145】
本実施形態では、本体32の上面後端部に形成された平面視略正方形状の穴(不図示)にケース部材310を嵌装することにより、ケース部材310が本体32に固定される(図30参照)。
【0146】
回動部材320は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の回動部材320は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図35、図36および図38に示す如く、回動部材320は胴体部321および取り付け部322を有する。
【0147】
胴体部321は回動部材320の胴体を成す部分である。本実施形態の胴体部321は下部に滑らかな三つの曲面が左右方向に並んで形成された塊状の部分である。
胴体部321には貫通孔321aが形成される。貫通孔321aは胴体部321の左側面の後部から右側面の後部までを貫通する孔である。
胴体部321には第一カム部321b・321bおよび第二カム部321cが形成される。
第一カム部321b・321bは本発明に係る第一カム部の実施の一形態であり、第二カム部321cは本発明に係る第二カム部の実施の一形態である。
第一カム部321b・321bは胴体部321の下部に形成された三つの曲面のうち、左端および右端に配置された曲面に対応する部分である。
第二カム部321cは胴体部321の下部に形成された三つの曲面のうち、中央の曲面(左端および右端に配置された曲面で挟まれた曲面)に対応する部分である。
【0148】
図31および図38に示す如く、取り付け部322は平面視で概ね長方形状の一対の板面を上面および下面として有する板状の部分である。取り付け部322の左右中央部は胴体部321の上端部に繋がっており、取り付け部322の左端部および右端部はそれぞれ胴体部321の左側方および右側方に突出している。
取り付け部322の左端部および右端部には貫通孔322a・322a・322a・322aが形成される。
【0149】
本実施形態では、貫通孔322a・322a・322a・322aに下方からネジ(不図示)を貫装し、当該ネジを原稿圧着板33の下面後端部に形成されたネジ穴(不図示)に螺装することにより、回動部材320が原稿圧着板33に固定される(図30参照)。
【0150】
回動ピン330は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。
図32に示す如く、本実施形態の回動ピン330は胴体部331および頭部332を有し、胴体部331の一端部(先端部)にカシメ穴331aが形成される金属製の部材である。
本実施形態の回動ピン330の基本的な構成は図8に示す回動ピン130と略同じであるため説明を省略する。
図32に示す如く、回動ピン330の胴体部331を左から順に貫通孔313a、貫通孔321aおよび貫通孔314aに貫装することにより、回動部材320は回動ピン330を介してケース部材310に回動可能に連結され、ひいては、ヒンジ300により原稿圧着板33(の下面後端部)が本体32(の上面後端部)に回動可能に連結される。
【0151】
図35に示す如く、回動部材320が回動ピン330を介してケース部材310に回動可能に連結されたとき、第一カム部321bはケース部材310に形成された主収容室316の主開口部316aに対向する。
【0152】
第一スライダ340は本発明に係る第一スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一スライダ340は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図35、図36、図39および図40に示す如く、第一スライダ340は主板341、一対の前面板342・342、一対の後面板343・343、左側面板344、右側面板345および胴体346を有する。
【0153】
主板341は平面視略長方形状の板状の部分である。主板341は一対の板面を上面および下面として有する。主板341の上面には一対の当接突起341a・341aが形成される。一対の当接突起341a・341aはいずれも主板341の上面から上方に突出する。
一対の当接突起341a・341aのうち、一方の当接突起341aは主板141の上面の前後中央部かつ左半部となる位置に配置され、他方の当接突起341aは主板341の上面の前後中央部かつ右半部となる位置に配置される。
従って、一対の当接突起341a・341aは主板341の上面において左右方向に間隔を空けて配置される。
【0154】
一対の前面板342・342はいずれも平面視略長方形状の板状の部分である。一対の前面板342・342はいずれも一対の板面を前面および後面として有する。
一対の前面板342・342のうち、一方の前面板342(左側の前面板342)の上端部は主板341の前端部かつ左半部となる部分に繋がっており、他方の前面板342(右側の前面板342)の上端部は主板341の前端部かつ右半部となる部分に繋がっている。
【0155】
一対の後面板343・343はいずれも平面視略長方形状の板状の部分である。一対の後面板343・343はいずれも一対の板面を前面および後面として有する。
一対の後面板343・343のうち、一方の後面板343(左側の後面板343)の上端部は主板141の後端部かつ左半部となる部分に繋がっており、他方の後面板343(右側の後面板343)の上端部は主板341の後端部かつ右半部となる部分に繋がっている。
【0156】
左側面板344は側面視略長方形状の板状の部分である。左側面板344は一対の板面を左面および右面として有する。
左側面板344の上端部は主板341の左端部に繋がっており、左側面板344の前端部は一方の前面板342の左端部に繋がっており、左側面板344の後端部は一方の後面板343の左端部に繋がっている。
【0157】
右側面板345は側面視略長方形状の板状の部分である。右側面板345は一対の板面を左面および右面として有する。
右側面板345の上端部は主板341の右端部に繋がっており、右側面板345の前端部は他方の前面板342の右端部に繋がっており、右側面板345の後端部は他方の後面板343の右端部に繋がっている。
【0158】
胴体346は概ね円柱形状の部分である。胴体346の上半部は一対の前面板342・342、一対の後面板343・343、左側面板344および右側面板345で囲まれる空間に配置され、胴体346の上端部は主板341の下面中央部に繋がっている。胴体346の下半部は一対の前面板342・342、一対の後面板343・343、左側面板344および右側面板345で囲まれる空間から下方に突出している。
【0159】
図36および図39に示す如く、第一スライダ340には副収容室347が形成される。
副収容室347は本発明に係る副収容室の実施の一形態である。本実施形態の副収容室347は胴体346および主板341にまたがって形成される上下方向に長い空間である。
副収容室347は主板341の上面中央部(一対の当接突起341a・341aで挟まれる部分)に開口し、当該開口している部分は副開口部347aを成す。すなわち、副収容室347は副開口部347aを有する。副開口部347aは本発明に係る副開口部の実施の一形態である。本実施形態の副収容室347の平面視断面形状は前後方向に長い長方形状である。
【0160】
図36に示す如く、第一スライダ340はケース部材310の主収容室316に収容される。
主収容室316に収容された第一スライダ340は主収容室316の内周面に当接する。
また、主収容室316に収容された第一スライダ340は主開口部316aから突出する方向および主収容室316の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。
より詳細には、前面板342・342の前面は前面部311の後面に上下方向に摺動可能に当接し、後面板343・343の後面は後面部312の前面に上下方向に摺動可能に当接し、左側面板344の左面は左側面部313の右面に上下方向に摺動可能に当接し、右側面板345の右面は右側面部314の左面に上下方向に摺動可能に当接する。
【0161】
図36に示す如く、本実施形態の副開口部347aは第一スライダ340の主板341の上面中央部に配置されるため、第一スライダ340がケース部材310の主収容室316に収容されたときには副開口部347aは主開口部316aと同じく上方に向かって開口する。
【0162】
第一バネ350は本発明に係る第一付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一バネ350は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図35および図36に示す如く、第一バネ350はケース部材310の主収容室316に収容される。
主収容室316に収容された第一バネ350の一端部(下端部)は底面部315の上面に当接し、第一バネ350の他端部(上端部)は第一スライダ340の胴体346に嵌装されるとともに主板341の下面に当接する。
従って、第一バネ350は第一スライダ340を主収容室316の主開口部316aから突出する方向(本実施形態では、上方)に付勢し、第一スライダ340の一対の当接突起341a・314aはそれぞれ回動部材320の第一カム部321b・321bに当接する。
その結果、第一バネ350の付勢力は第一スライダ340を経て回動部材320に伝達されるので、回動部材320はケース部材310に対して右側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板33は本体32に対して開く方向に付勢される(図30参照)。
【0163】
第二スライダ360は本発明に係る第二スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二スライダ360は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図41に示す如く、第二スライダ360は上下方向に延びた板状の部材である。
【0164】
第二スライダ360の上前端部には当接面361が形成される。当接面361は第二スライダ360の前面の上端部および第二スライダ360の後面の上端部に繋がれる前下がりの斜面であり、第二スライダ360の前面および第二スライダ360の下端面に対して傾斜している(第二スライダ360の前面および第二スライダ360の下端面のいずれに対しても平行ではない)。
【0165】
第二スライダ360にはバネ受け穴362が形成される。バネ受け穴362は第二スライダ360の下面に開口する平面断面視円形の穴である。
【0166】
図36に示す如く、第二スライダ360は第一スライダ340の副収容室347に収容される。
副収容室347に収容された第二スライダ360は副収容室347の内周面に当接する。
また、副収容室347に収容された第二スライダ360は副開口部347aから突出する方向および副収容室347の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。
【0167】
第二スライダ360の外周面(第二スライダ360の前面、後面、左面および右面)と副収容室347の内周面との当接部分には、グリスが塗布される。換言すれば、第二スライダ360と副収容室347の内周面との隙間にはグリスが配置される。
【0168】
第二スライダ360と副収容室347の内周面との隙間に配置されるグリスは本発明に係る粘性体の実施の一形態である。
【0169】
第二バネ370は本発明に係る第二付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二バネ370は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図36に示す如く、第二バネ370は第一スライダ340の副収容室347に収容される。
副収容室347に収容された第二バネ370の一端部(下端部)は副収容室347の底面に当接し、第二バネ370の他端部(上端部)はバネ受け穴362に収容されるとともにバネ受け穴362の奥面(天井面)に当接する。
従って、第二バネ370は第二スライダ360を副収容室347の副開口部347aから突出する方向(本実施形態では、上方)に付勢する。
【0170】
以下では、図30、図35および図36を用いて原稿圧着板33を閉じるときのヒンジ300の挙動について説明する。
本実施形態では原稿圧着板33が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板33の下面が本体32の上面に当接しているときの原稿圧着板33の回動角度θ(本体32に対する原稿圧着板33の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板33が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板33の回動角度θを定義する(図30参照)。
【0171】
本実施形態では、原稿圧着板33の回動角度θが18°以上(θ≧18°)の場合には原稿圧着板33が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板33の回動角度θが18°未満(0°≦θ<18°)の場合には原稿圧着板33が「落下領域」に属する。
【0172】
本実施形態における「フリーストップ領域」は、(A3)「原稿圧着板33の重量に起因して回動ピン330を中心として回動部材320に作用する回転力(モーメント)」と(B3)「第一バネ350の付勢力に起因して回動ピン330を中心として回動部材320に作用する回転力(モーメント)」とが平衡する領域である。
【0173】
原稿圧着板33が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材320の第一カム部321b・321bは第一スライダ340の主板341の当接突起341a・341aに当接する。
また、原稿圧着板33が「フリーストップ領域」に属するとき、回動部材320の第二カム部321cは第二スライダ360から離間している(第二スライダ360に当接しない)。
【0174】
原稿圧着板33が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板33が閉じる方向に回動した場合、(A3)の回転力は増大する。
一方、原稿圧着板33が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板33が閉じる方向に回動した場合、回動部材320がケース部材310に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材320の第一カム部321b・321bと第一スライダ340の主板341の当接突起341a・341aとの当接部位が変化し、第一スライダ340は主収容室316の内部に没入する方向に移動する。
第一スライダ340が主収容室316の内部に没入する方向に移動することにより、第一バネ350は圧縮され(第一バネ350の全長は小さくなり)、第一バネ350の付勢力が増大し、(B3)の回転力が増大する。
その結果、原稿圧着板33が「フリーストップ領域」に属するとき、原稿圧着板33の回動角度θが変化しても(A3)の回転力と(B3)の回転力とが平衡する。より厳密には、原稿圧着板33が「フリーストップ領域」に属するときには原稿圧着板33の回動角度θが変化しても(A3)の回転力と(B3)の回転力とが平衡するように第一カム部321b・321bおよび当接突起341a・341aの形状が予め設定される。
従って、原稿圧着板33が「フリーストップ領域」に属するときに作業者が原稿圧着板33から手を離した場合、原稿圧着板33の回動角度θは保持される。
【0175】
本実施形態における「落下領域」は(A3)の回転力が(B3)の回転力よりも大きくなる領域である。
原稿圧着板33が「落下領域」に属するときに作業者が原稿圧着板33から手を離した場合、原稿圧着板33は自重(厳密には、(A3)の回転力と(B3)の回転力との差分)により閉じる方向に回動する。
【0176】
原稿圧着板33が「落下領域」に属するとき、回動部材320の第一カム部321b・321bは第一スライダ340の主板341の当接突起341a・341aに当接する。
しかし、原稿圧着板33が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板33の回動角度θが変化してもケース部材310に対する第一スライダ340の位置が変化しない。より厳密には、原稿圧着板33が「落下領域」に属するときには原稿圧着板33の回動角度θが変化してもケース部材310に対する第一スライダ340の位置が変化しないように第一カム部321b・321bおよび当接突起341a・341aの形状が予め設定される。
その結果、原稿圧着板33が「落下領域」に属するときには(B3)の回転力は実質的にゼロとなり、(A3)の回転力が(B3)の回転力よりも大きくなる。
【0177】
原稿圧着板33が「落下領域」に属するとき、回動部材320の第二カム部321cは第二スライダ360の当接面361に当接する。
従って、原稿圧着板33が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板33が閉じる方向に回動した場合、回動部材320がケース部材310に対して右側面視で時計回りに回動し、回動部材320の第二カム部321cと第二スライダ360の当接面361との当接部位が変化し、第二スライダ360は副収容室347の内部に没入する方向(本実施形態では、下方)に移動する。
【0178】
第二スライダ360が副収容室347の内部に没入する方向に移動するとき、第二スライダ360には第二スライダ360の外周面と副収容室347の内周面との当接部分に塗布されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が作用する。
従って、原稿圧着板33が「落下領域」に属するときには、(A3)の回転力の一部がグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力により相殺され、原稿圧着板33が閉じる方向に回動する速度が遅くなる(緩和される)。
その結果、原稿圧着板33は本体32の上面に柔らかく当接するので、原稿圧着板33は緩やかかつ確実に閉じられる。
【0179】
なお、作業者が原稿圧着板33を手で持って原稿圧着板33を開く方向に回動させた場合、第二スライダ360は、第二バネ370の付勢力によりグリスの粘性抵抗に抗して副開口部347aから突出する方向(本実施形態では、上方)に移動するので、原稿圧着板33が「落下領域」に属するときには「回動部材320の第二カム部321cが第二スライダ360の当接面361に当接した状態」が保持される。
【0180】
以上の如く、ヒンジ300は、
本体32に原稿圧着板33を開閉可能に連結するヒンジであって、
主開口部316aを有する主収容室316が形成され、複合機31の本体32に固定されるケース部材310と、
複合機31の原稿圧着板33に固定され、ケース部材310に回動可能に連結される回動部材320と、
副開口部347aを有する副収容室347が形成され、主収容室316に収容され、主収容室316の内周面に当接しつつ主開口部316aから突出する方向および主収容室316の内部に没入する方向に移動可能な第一スライダ340と、
主収容室316に収容され、第一スライダ340を主開口部316aから突出する方向に付勢する第一バネ350と、
副収容室347に収容され、副収容室347の内周面に当接しつつ副開口部347aから突出する方向および副収容室347の内部に没入する方向に移動可能な第二スライダ360と、
副収容室347に収容され、第二スライダ360を副開口部347aから突出する方向に付勢する第二バネ370と、
を具備し、
回動部材320には、第一スライダ340に当接する第一カム部321b・321bが形成されるとともに第二スライダ360に当接する第二カム部321cが形成され、
第二スライダ360と副収容室347の内周面との隙間にはグリスが配置される。
このように構成することにより、原稿圧着板33を緩やかかつ確実に閉じることが可能である。
【0181】
また、ヒンジ300は、複合機31の原稿圧着板33が「落下領域」に属する状態で(「落下領域」内で)回動するとき、第一スライダ340に対する第二スライダ360の回動角度当たりの移動量がケース部材310に対する第一スライダ340の回動角度当たりの移動量よりも大きい。
このように構成することにより、原稿圧着板33が「落下領域」に属する状態では第二スライダ360が第一スライダ340よりも大きく移動することとなり、第二スライダ360と副収容室347の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A3)の回転力の一部を相殺する力として有効に利用することが可能である。
【0182】
本実施形態では、ケース部材310を本体32に固定するとともに回動部材320を原稿圧着板33に固定することによりヒンジ300が本体32に原稿圧着板33を回動可能に連結するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ケース部材310を原稿圧着板33に固定するとともに回動部材320を本体32に固定することによりヒンジ300が本体32に原稿圧着板33を回動可能に連結しても良い。すなわち、本発明に係る第一ウイング部材および第二ウイング部材のうち、いずれか一方が第一連結対象物に固定され、他方が第二連結対象物に固定されれば良い。
【0183】
本実施形態は、「落下領域」において第二スライダ360と副収容室347との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が回動部材320に作用する「原稿圧着板33を閉じる方向の回転力((A3)の回転力)」の一部を相殺するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第二スライダ360と副収容室347との隙間を更に狭くする(グリスが配置される場合よりも狭くする)ことにより、「落下領域」において第二スライダ360と副収容室347との隙間(当接部分)に摩擦力を発生させ、当該摩擦力が回動部材320に作用する「原稿圧着板33を閉じる方向の回転力」の一部を相殺しても良い。
【0184】
以下では図42から図51を用いて本発明に係るヒンジの第四実施形態であるヒンジ400について説明する。
【0185】
図42に示す如く、ヒンジ400は複合機41の本体42に原稿圧着板43を回動可能に連結する。
複合機41は事務機器の実施の一形態である。複合機41は本体42および原稿圧着板43を具備する。
複合機41、本体42および原稿圧着板43の基本的な構成および機能は図1に示す複合機11、本体12および原稿圧着板13と概ね同じであることから、説明を省略する。
【0186】
図43から図48に示す如く、ヒンジ400は第一ケース部材410、第二ケース部材420、回動ピン430、第一スライダ440、第一バネ450、第二スライダ460および第二バネ470を具備する。
【0187】
第一ケース部材410は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一ケース部材410は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図43、図44および図49に示す如く、第一ケース部材410は概ね薄い直方体形状の部材である。
図49に示す如く、第一ケース部材410の内部には第一収容室411が形成される。
【0188】
第一収容室411は本発明に係る第一収容室の実施の一形態である。第一収容室411は第一ケース部材410の内部かつ右半部となる位置に形成された空間である。
第一収容室411は第一ケース部材410の基端部(第一ケース部材410と第二ケース部材420とが回動可能に連結される位置に近い方の端部であり、本実施形態では上端部に相当する)において開口しており、当該開口している部分が第一開口部411aを成す。すなわち、第一収容室411は第一開口部411aを有する。第一開口部411aは本発明に係る第一開口部の実施の一形態である。
第一収容室411の内周面にはガイド溝411b・411bが形成される。ガイド溝411b・411bは第一収容室411の第一開口部411aから第一収容室411の奥に向かって(第一ケース部材410の基端部から先端部(下端部)に向かって)延びた溝である。
【0189】
第一ケース部材410には第二カム部412が形成される。
第二カム部412は本発明に係る第二カム部の実施の一形態である。本実施形態の第二カム部412は第一ケース部材410の基端部(上端部)の左半部かつ前端部となる位置から上方に突出する塊状の部分である。
【0190】
第一ケース部材410の基端部には突起部413・414・415・416が形成される。
本実施形態の突起部413・414・415・416はいずれも第一ケース部材410の基端部から突出する突起である。突起部413は第一収容室411の第一開口部411aの右側方に配置される。突起部414は第一収容室411の第一開口部411aの左側方に配置される。突起部415は突起部414の左側方かつ第二カム部412の右後方となる位置に配置される。突起部416は突起部415の左側方かつ第二カム部412の左後方となる位置に配置される。
突起部413には貫通孔413aが形成され、突起部414には貫通孔414aが形成され、突起部415には貫通孔415aが形成され、突起部416には貫通孔416aが形成される。
貫通孔413a・414a・415a・416aは一直線に並んで配置され、貫通孔413a・414a・415a・416aを合わせたものは実質的に第一ケース部材410の左側面から右側面までを貫通する。
貫通孔413a・414a・415a・416aの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。
【0191】
第一ケース部材410には突出部417が形成される。突出部417は板状の部分である。
本実施形態の突出部417の一端部は第一ケース部材410の右側面に繋がっており、突出部417の他端部は第一ケース部材410の右側面の右側方に突出している。
突出部417には貫通孔417aが形成される。貫通孔417aは突出部417の一対の板面を貫通する孔である。
【0192】
本実施形態では、貫通孔417aにネジ(不図示)を貫装し、当該ネジを本体42に形成されたネジ穴(不図示)に螺装することにより、第一ケース部材410が本体42に固定される(図42参照)。
【0193】
第二ケース部材420は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二ケース部材420は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図43、図46および図50に示す如く、第二ケース部材420は概ね薄い直方体形状の部材である。
図50に示す如く、第二ケース部材420の内部には第二収容室421が形成される。
【0194】
第二収容室421は本発明に係る第二収容室の実施の一形態である。第二収容室421は第二ケース部材420の内部かつ右半部(第二ケース部材420が第一ケース部材410に回動可能に連結されたとき、第一ケース部材410の右半部に対応する部分)となる位置に形成された空間である。
第二収容室421は第二ケース部材420の基端部(第一ケース部材410と第二ケース部材420とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第二開口部421aを成す。すなわち、第二収容室421は第二開口部421aを有する。第二開口部421aは本発明に係る第二開口部の実施の一形態である。
第二収容室421の内周面にはガイド溝421b・421bが形成される。ガイド溝421b・421bは第二収容室421の第二開口部421aから第二収容室421の奥に向かって(第二ケース部材420の基端部から先端部に向かって)延びた溝である。
【0195】
第二ケース部材420には第一カム部422が形成される。
第一カム部422は本発明に係る第一カム部の実施の一形態である。本実施形態の第一カム部422は第二ケース部材420の基端部の右半部から突出する塊状の部分である。
第一カム部422には貫通孔422aが形成される。貫通孔422aは第一カム部422の左端面から右端面まで貫通する孔である。
【0196】
第二ケース部材420の基端部には突起部423・424・425・426が形成される。
本実施形態の突起部423・424・425・426はいずれも第二ケース部材420の基端部から突出する突起である。
より詳細には、突起部423は第一カム部422の左側方となる位置に配置される。突起部424は突起部423の左側方かつ第二収容室421の第二開口部421aの右側方となる位置に配置される。突起部425は第二収容室421の第二開口部421aの左側方となる位置に配置される。突起部426は突起部425の左側方となる位置(第二ケース部材420の基端部かつ左端部となる位置)に配置される。
突起部423には貫通孔423aが形成され、突起部424には貫通孔424aが形成され、突起部425には貫通孔425aが形成され、突起部426には貫通孔426aが形成される。
貫通孔422a・423a・424a・425a・426aは一直線に並んで配置され、貫通孔422a・423a・424a・425a・416aを合わせたものは実質的に第二ケース部材420の左側面から右側面までを貫通する。
貫通孔422a・423a・424a・425a・426aの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。
【0197】
第二ケース部材420には突出部427が形成される。突出部427は板状の部分である。
本実施形態の突出部427の一端部は第二ケース部材420の左側面に繋がっており、突出部427の他端部は第二ケース部材420の左側面の左側方に突出している。
突出部427には貫通孔427a・427b・427cが形成される。貫通孔427a・427b・427cは突出部427の一対の板面を貫通する孔である。
【0198】
本実施形態では、貫通孔427a・427b・427cにネジ(不図示)を貫装し、当該ネジを原稿圧着板43に形成されたネジ穴(不図示)に螺装することにより、第二ケース部材420が原稿圧着板43に固定される(図42参照)。
【0199】
回動ピン430は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。
図44および図45に示す如く、本実施形態の回動ピン430は胴体部431および頭部432を有し、胴体部431の一端部(先端部)にカシメ穴431aが形成される金属製の部材である。
本実施形態の回動ピン430の基本的な構成は図8に示す回動ピン130と略同じであるため説明を省略する。
図43、図45、図49および図50に示す如く、回動ピン430の胴体部431を左から順に貫通孔426a、貫通孔416a、貫通孔425a、貫通孔424a、貫通孔415a、貫通孔423a、貫通孔414a、貫通孔422aおよび貫通孔413aに貫装することにより、第二ケース部材420は回動ピン430を介して第一ケース部材410に回動可能に連結され、ひいては、ヒンジ400により原稿圧着板43(の下面後端部)が本体42(の上面後端部)に回動可能に連結される。
【0200】
図47に示す如く、第二ケース部材420が回動ピン430を介して第一ケース部材410に回動可能に連結されたとき、第一カム部422は第一ケース部材410に形成された第一収容室411の第一開口部411aに対向する。
図48に示す如く、第二ケース部材420が回動ピン430を介して第一ケース部材410に回動可能に連結されたとき、第二カム部412は第二ケース部材420に形成された第二収容室421の第二開口部421aに対向する。
【0201】
第一スライダ440は本発明に係る第一スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一スライダ440は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図47に示す如く、第一スライダ440は当接部441、ガイド部442・442および筒部443を有し、当接部441には当接面441aが形成される。
本実施形態の第一スライダ440の基本的な構成は図27に示す第一スライダ240と略同じであるため説明を省略する。
【0202】
図47に示す如く、第一スライダ440は第一ケース部材410の第一収容室411に収容される。
第一収容室411に収容された第一スライダ440は第一収容室411の内周面に当接する。また、第一収容室411に収容された第一スライダ440は第一開口部411aから突出する方向(本実施形態では、上方)および第一収容室411の内部(奥部)に没入する方向(本実施形態では、下方)に移動可能である。
より詳細には、第一スライダ440が第一収容室411に収容されたとき、当接部441の薄い直方体部分の四つの端面はそれぞれ第一収容室411の内周面(四つの内壁面)に上下方向に摺動可能に当接するとともに、ガイド部442・442はガイド溝411b・411bに上下方向に摺動可能に係合する。
【0203】
第一バネ450は本発明に係る第一付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一バネ450は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図47に示す如く、第一バネ450は第一ケース部材410の第一収容室411に収容される。
第一収容室411に収容された第一バネ450の一端部は第一収容室411の底面に当接し、第一バネ450の他端部は第一スライダ440の筒部443に嵌装されるとともに当接部441の他方の板面(二分割された円柱形状の突起が積層されていない方の板面)に当接する。
従って、第一バネ450は第一スライダ440を第一収容室411の第一開口部411aから突出する方向(上方)に付勢し、第一スライダ440の当接部441の当接面441aは第二ケース部材420の第一カム部422に当接する。
その結果、第一バネ450の付勢力は第一スライダ440を経て第二ケース部材420に伝達されるので、第二ケース部材420は第一ケース部材410に対して右側面視で反計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板43は本体42に対して開く方向に付勢される(図42参照)。
【0204】
第二スライダ460は本発明に係る第二スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二スライダ460は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図51に示す如く、第二スライダ460は細長い直方体の一方の端部を当該直方体の長手方向に対して斜めに切除するとともに四つの側面のうちの一つに当該直方体の長手方向に延びた突起(凸条)を形成した形状を有する。
【0205】
第二スライダ460の一端部には当接面461が形成される。当接面461は第二スライダ460の長手方向に対して傾斜した平面(第二スライダ460の長手方向に対して垂直ではなく、かつ平行ではない平面)である。
【0206】
第二スライダ460の四つの側面のうちの一つにはガイド突起462・462が形成される。ガイド突起462・462は第二スライダ460の長手方向に延びた突起(凸条)である。
【0207】
第二スライダ460にはバネ受け穴463が形成される。
バネ受け穴463は第二スライダ460の他端部(当接面461が形成される端部の反対側の端部)に開口する穴である。
【0208】
図48に示す如く、第二スライダ460は第二ケース部材420の第二収容室421に収容される。
第二収容室421に収容された第二スライダ460は第二収容室421の内周面に当接する。また、第二収容室421に収容された第二スライダ460は第二開口部421aから突出する方向および第二収容室421の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。
より詳細には、第二スライダ460の四つの側面のうちの一つに形成されたガイド突起462・462が第二収容室421の内周面に形成されたガイド溝421b・421bに摺動可能に係合する(図43参照)。
【0209】
第二スライダ460の外周面と第二収容室421の内周面との当接部分には、グリスが塗布される。換言すれば、第二スライダ460と第二収容室421の内周面との隙間(ガイド突起462・462とガイド溝421b・421bとの隙間を含む)にはグリスが配置される。
第二スライダ460と第二収容室421の内周面との隙間に配置されるグリスは本発明に係る粘性体の実施の一形態である。
【0210】
第二バネ470は本発明に係る第二付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二バネ470は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図48に示す如く、第二バネ470は第二ケース部材420の第二収容室421に収容される。
第二収容室421に収容された第二バネ470の一端部は第二収容室421の底面に当接し、第二バネ470の他端部は第二スライダ460のバネ受け穴463に収容されるとともにバネ受け穴463の内部に形成された段差面に当接する。
従って、第二バネ470は第二スライダ460を第二収容室421の第二開口部421aから突出する方向に付勢する。
【0211】
以下では、図42、図47および図48を用いて原稿圧着板43を閉じるときのヒンジ400の挙動について説明する。
本実施形態では原稿圧着板43が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板43の下面が本体42の上面に当接しているときの原稿圧着板43の回動角度θ(本体42に対する原稿圧着板43の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板43が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板43の回動角度θを定義する(図42参照)。
【0212】
本実施形態では、原稿圧着板43の回動角度θが18°以上(θ≧18°)の場合には原稿圧着板43が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板43の回動角度θが18°未満(0°≦θ<18°)の場合には原稿圧着板43が「落下領域」に属する。
【0213】
本実施形態における「フリーストップ領域」は、(A4)「原稿圧着板43の重量に起因して回動ピン430を中心として第二ケース部材420に作用する回転力(モーメント)」と(B4)「第一バネ450の付勢力に起因して回動ピン430を中心として第二ケース部材420に作用する回転力(モーメント)」とが平衡する領域である。
【0214】
原稿圧着板43が「フリーストップ領域」に属するとき、第二ケース部材420の第一カム部422は第一スライダ440の当接部441の当接面441aに当接する(図47参照)。
また、原稿圧着板43が「フリーストップ領域」に属するとき、第一ケース部材410の第二カム部412は第二スライダ460から離間しており、第二スライダ460に当接しない(図48参照)。
【0215】
原稿圧着板43が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板43が閉じる方向に回動した場合、(A4)の回転力は増大する。
一方、原稿圧着板43が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板43が閉じる方向に回動した場合、第二ケース部材420が第一ケース部材410に対して右側面視で時計回りに回動し、第二ケース部材420の第一カム部422と第一スライダ440の当接部441の当接面441aとの当接部位が変化し、第一スライダ440は第一収容室411の内部に没入する方向(下方)に移動する。
第一スライダ440が第一収容室411の内部に没入する方向に移動することにより、第一バネ450は圧縮され(第一バネ450の全長は小さくなり)、第一バネ450の付勢力が増大し、(B4)の回転力が増大する。
その結果、原稿圧着板43が「フリーストップ領域」に属するとき、原稿圧着板43の回動角度θが変化しても(A4)の回転力と(B4)の回転力とが平衡する。より厳密には、原稿圧着板43が「フリーストップ領域」に属するときには原稿圧着板43の回動角度θが変化しても(A4)の回転力と(B4)の回転力とが平衡するように第一カム部422および当接部441の形状が予め設定される。
従って、原稿圧着板43が「フリーストップ領域」に属するときに作業者が原稿圧着板43から手を離した場合、原稿圧着板43の回動角度θは保持される。
【0216】
本実施形態における「落下領域」は(A4)の回転力が(B4)の回転力よりも大きくなる領域である。
原稿圧着板43が「落下領域」に属するときに作業者が原稿圧着板43から手を離した場合、原稿圧着板43は自重(厳密には、(A4)の回転力と(B4)の回転力との差分)により閉じる方向に回動する。
【0217】
原稿圧着板43が「落下領域」に属するとき、第二ケース部材420の第一カム部422は第一スライダ440の当接部441の当接面441aに当接する。
しかし、原稿圧着板43が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板43の回動角度θが変化しても第一ケース部材410に対する第一スライダ440の位置が変化しない。より厳密には、原稿圧着板43が「落下領域」に属するときには原稿圧着板43の回動角度θが変化しても第一ケース部材410に対する第一スライダ440の位置が変化しないように第一カム部422および当接部441の形状が予め設定される。
その結果、原稿圧着板43が「落下領域」に属するときには(B4)の回転力は実質的にゼロとなり、(A4)の回転力が(B4)の回転力よりも大きくなる。
【0218】
原稿圧着板43が「落下領域」に属するとき、第一ケース部材410の第二カム部412は第二スライダ460の当接面461に当接する。
従って、原稿圧着板43が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板43が閉じる方向に回動した場合、第二ケース部材420が第一ケース部材410に対して右側面視で時計回りに回動し、第一ケース部材410の第二カム部412と第二スライダ460の当接面461との当接部位が変化し、第二スライダ460は第二収容室421の内部に没入する方向に移動する。
【0219】
第二スライダ460が第二収容室421の内部に没入する方向に移動するとき、第二スライダ460には第二スライダ460の外周面(四つの側面)と第二収容室421の内周面との当接部分に塗布されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が作用する。
従って、原稿圧着板43が「落下領域」に属するときには、(A4)の回転力の一部がグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力により相殺され、原稿圧着板43が閉じる方向に回動する速度が遅くなる(緩和される)。
その結果、原稿圧着板43は本体42の上面に柔らかく当接するので、原稿圧着板43は緩やかかつ確実に閉じられる。
【0220】
なお、作業者が原稿圧着板43を手で持って原稿圧着板43を開く方向に回動させた場合、第二スライダ460は、第二バネ470の付勢力によりグリスの粘性抵抗に抗して第二開口部421aから突出する方向に移動するので、原稿圧着板43が「落下領域」に属するときには「第一ケース部材410の第二カム部412が第二スライダ460の当接面461に当接した状態」が保持される。
【0221】
以上の如く、ヒンジ400は、
本体42に原稿圧着板43を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部411aを有する第一収容室411が形成され、本体42に固定される第一ケース部材410と、
第二開口部421aを有する第二収容室421が形成され、原稿圧着板43に固定され、第一ケース部材410に回動可能に連結される第二ケース部材420と、
第一収容室411に収容され、第一収容室411の内周面に当接しつつ第一開口部411aから突出する方向および第一収容室411の内部に没入する方向に移動可能な第一スライダ440と、
第一収容室411に収容され、第一スライダ440を第一開口部411aから突出する方向に付勢する第一バネ450と、
第二収容室421に収容され、第二収容室421の内周面に当接しつつ第二開口部421aから突出する方向および第二収容室421の内部に没入する方向に移動可能な第二スライダ460と、
第二収容室421に収容され、第二スライダ460を第二開口部421aから突出する方向に付勢する第二バネ470と、
を具備し、
第二ケース部材420には、第一スライダ440に当接する第一カム部422が形成され、
第一ケース部材410には、第二スライダ460に当接する第二カム部412が形成され、
第二スライダ460と第二収容室421の内周面との隙間にはグリスが配置される。
このように構成することにより、原稿圧着板43を緩やかかつ確実に閉じることが可能である。
【0222】
また、ヒンジ400は、複合機41の原稿圧着板43が「落下領域」に属する状態で(「落下領域」内で)回動するとき、第二ケース部材420に対する第二スライダ460の回動角度当たりの移動量が第一ケース部材410に対する第一スライダ440の回動角度当たりの移動量よりも大きい。
このように構成することにより、原稿圧着板43が「落下領域」に属する状態では第二スライダ460が第一スライダ440よりも大きく移動することとなり、第二スライダ460と第二収容室421の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A4)の回転力の一部を相殺する力として有効に利用することが可能である。
【0223】
本実施形態では原稿圧着板43が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板43の回動角度θが小さくなるとき、第二カム部412は第二ケース部材420に対して相対的には概ね上方に移動する。
このとき、第二ケース部材420に対する第二カム部412の相対的な移動方向に対して緩く傾斜した(第二ケース部材420に対する第二カム部412の相対的な移動方向に対して垂直でないが垂直に近い角度を成す)当接面461が第二カム部412当接するため、第二スライダ460は第二ケース部材420に対する第二カム部412の相対的な移動方向に対して概ね垂直な方向である前方に移動する。
このように構成することにより、第二ケース部材420に対する第二カム部412の相対的な移動量よりも第二ケース部材420に対する第二スライダ460の移動量を大きく設定することが可能であり、第二スライダ460と第二収容室421の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A4)の回転力の一部を相殺する力として更に有効に利用することが可能である。
【0224】
本実施形態では第一ケース部材410を本体42に固定するとともに第二ケース部材420を原稿圧着板43に固定することによりヒンジ400が本体42に原稿圧着板43を回動可能に連結するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第一ケース部材410を原稿圧着板43に固定するとともに第二ケース部材420を本体42に固定することによりヒンジ400が本体42に原稿圧着板43を回動可能に連結しても良い。
【0225】
本実施形態では、第二ケース部材420の第二収容室421の内周面にガイド溝421b・421bを形成するとともに第二スライダ460の外周面にガイド突起462・462を形成することにより、第二スライダ460の外周面と第二収容室421の内周面との当接部分の面積を大きくし、ひいては第二スライダ460と第二収容室421との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A4)の回転力の一部を相殺する力としてより有効に利用することが可能である。
【0226】
本実施形態は、「落下領域」において第二スライダ460と第二収容室421との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が第二ケース部材420に作用する「原稿圧着板43を閉じる方向の回転力((A4)の回転力)」の一部を相殺するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第二スライダ460と第二収容室421との隙間を更に狭くする(グリスが配置される場合よりも狭くする)ことにより、「落下領域」において第二スライダ460と第二収容室421との隙間(当接部分)に摩擦力を発生させ、当該摩擦力が第二ケース部材420に作用する「原稿圧着板43を閉じる方向の回転力」の一部を相殺しても良い。
【0227】
以下では図52から図67を用いて本発明に係るヒンジの第五実施形態であるヒンジ500について説明する。
【0228】
図52および図53に示す如く、ヒンジ500は複合機51の本体52に原稿圧着板53を回動可能に連結する。
複合機51は事務機器の実施の一形態である。複合機51は本体52および原稿圧着板53を具備する。
複合機51、本体52および原稿圧着板53の基本的な構成および機能は図1に示す複合機11、本体12および原稿圧着板13と概ね同じであることから、説明を省略する。
【0229】
図53に示す如く、本実施形態のヒンジ500は、別体となる(分離された)二つの部品である主ヒンジ部材501および副ヒンジ部材502を具備する点において、これまでに説明した四つの実施形態(ヒンジ100、ヒンジ200、ヒンジ300およびヒンジ400)と異なる。
主ヒンジ部材501および副ヒンジ部材502は、互いに所定の間隔を空けて本体52および原稿圧着板53に固定される。
【0230】
以下では、図52から図60を用いて主ヒンジ部材501について説明する。
【0231】
主ヒンジ部材501は本発明に係る主ヒンジ部材の実施の一形態である。
図54から図58に示す如く、主ヒンジ部材501は主ケース部材510、主回動部材520、回動ピン530、第一スライダ540および第一バネ549を具備する。
【0232】
主ケース部材510は本発明に係る第一主ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の主ケース部材510は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図54、図57および図59に示す如く、主ケース部材510は概ね薄い直方体形状の部材である。
図58および図59に示す如く、主ケース部材510の内部には第一収容室511が形成される。
【0233】
第一収容室511は本発明に係る第一収容室の実施の一形態である。第一収容室511は主ケース部材510の内部に形成された空間である。
第一収容室511は主ケース部材510の基端部(主ケース部材510と主回動部材520とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第一開口部511aを成す。すなわち、第一収容室511は第一開口部511aを有する。第一開口部511aは本発明に係る第一開口部の実施の一形態である。
第一収容室511の内周面にはガイド溝511b・511bが形成される。ガイド溝511b・511bは第一収容室511の第一開口部511aから第一収容室511の奥に向かって(主ケース部材510の基端部から先端部に向かって)延びた溝である。
【0234】
図54に示す如く、主ケース部材510には突出部512が形成される。突出部512は板状の部分である。
突出部512の一端部は主ケース部材510の左側面(主ヒンジ部材501が複合機51の原稿圧着板53を本体52に回動可能に連結したとき、複合機51の左側方に向く面)に繋がっており、突出部512の他端部は主ケース部材510の左側面の左側方に突出している。
図54および図56に示す如く、突出部512には貫通孔512a・512b・512cが形成される。貫通孔512a・512b・512cは突出部512の一対の板面を貫通する孔である。
【0235】
図54に示す如く、主ケース部材510には突出部513が形成される。突出部513は板状の部分である。
突出部513の一端部は主ケース部材510の右側面(主ヒンジ部材501が複合機51の原稿圧着板53を本体52に回動可能に連結したとき、複合機51の右側方に向く面)に繋がっており、突出部513の他端部は主ケース部材510の右側面の右側方に突出している。
図54および図56に示す如く、突出部513には貫通孔513a・513b・513cが形成される。貫通孔513a・513b・513cは突出部513の一対の板面を貫通する孔である。
【0236】
図54および図59に示す如く、主ケース部材510の基端部には突起部514および突起部515が形成される。
突起部514は主ケース部材510の基端部かつ第一開口部511aの左側方に配置される突起であり、突起部515は主ケース部材510の基端部かつ第一開口部511aの右側方に配置される突起である。
突起部514には貫通孔514aが形成され、突起部515には貫通孔515aが形成される。
貫通孔514aおよび貫通孔515aは一直線に並んで配置され、貫通孔514aおよび貫通孔515aを合わせたものは実質的に主ケース部材510の左側面から右側面までを貫通する。
貫通孔514aおよび貫通孔515aの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。
【0237】
本実施形態では、貫通孔512a・512b・512cおよび貫通孔513a・513b・513cにネジ(不図示)を貫装し、当該ネジを原稿圧着板53の下面の後右端部に形成されたネジ穴(不図示)に螺装することにより、主ケース部材510が原稿圧着板53の下面において後右端部となる位置に固定される(図52および図53参照)。
【0238】
主回動部材520は本発明に係る第二主ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の主回動部材520は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図54、図57および図60に示す如く、主回動部材520は胴体部521および取り付け部522を有する。
【0239】
胴体部521は主回動部材520の上半部を成す部分である。図60に示す如く、本実施形態の胴体部521は概ね直方体形状の部分である。
【0240】
胴体部521には第一カム部521aが形成される。
第一カム部521aは本発明に係る第一カム部の実施の一形態であり、胴体部521の上面から上方に突出する塊状の部分である。
第一カム部521aには貫通孔521bが形成される。貫通孔521bは第一カム部521aの左側面後部から右側面後部までを貫通する孔である。
【0241】
取り付け部522は主回動部材520の下半部を成す部分である。
図60に示す如く、本実施形態の取り付け部522は上下方向に延びた概ね直方体形状の部分である。取り付け部522の上端部は胴体部521の下面に繋がっている。
【0242】
本実施形態では、本体52の上面において右後端部となる位置に形成された平面視略正方形状の穴(不図示)に取り付け部522を嵌装することにより、主回動部材520が本体52に固定される(図52および図53参照)。
【0243】
回動ピン530は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。
図54および図56に示す如く、本実施形態の回動ピン530は胴体部531および頭部532を有し、胴体部531の一端部(先端部)にカシメ穴531aが形成される金属製の部材である。
本実施形態の回動ピン530の基本的な構成は図8に示す回動ピン130と略同じであるため説明を省略する。
図56に示す如く、回動ピン530の胴体部531を左から順に貫通孔514a、貫通孔521bおよび貫通孔515aに貫装することにより、主回動部材520は回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結され、ひいては、主ヒンジ部材501により原稿圧着板53(の下面において後右端部となる部分)が本体52(の上面において後右端部となる部分)に回動可能に連結される。
【0244】
図54および図58に示す如く、主回動部材520が回動ピン530を介して主ケース部材510に回動可能に連結されたとき、第一カム部521aは主ケース部材510に形成された第一収容室511の第一開口部511aに対向する。
【0245】
第一スライダ540は本発明に係る第一スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一スライダ540は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図58に示す如く、第一スライダ540は当接部541、ガイド部542・542および筒部543を有し、当接部541には当接面541aが形成される。
本実施形態の第一スライダ540の基本的な構成は図27に示す第一スライダ240と略同じであるため説明を省略する。
【0246】
図58に示す如く、第一スライダ540は主ケース部材510の第一収容室511に収容される。
第一収容室511に収容された第一スライダ540は第一収容室511の内周面に当接する。また、第一収容室511に収容された第一スライダ540は第一開口部511aから突出する方向(本実施形態では、上方)および第一収容室511の内部(奥部)に没入する方向(本実施形態では、下方)に移動可能である。
より詳細には、第一スライダ540が第一収容室511に収容されたとき、当接部541の薄い直方体部分の四つの端面はそれぞれ第一収容室511の内周面(四つの内壁面)に摺動可能に当接するとともに、ガイド部542・542はガイド溝511b・511bに摺動可能に係合する。
【0247】
第一バネ549は本発明に係る第一付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第一バネ549は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図58に示す如く、第一バネ549は主ケース部材510の第一収容室511に収容される。
第一収容室511に収容された第一バネ549の一端部は第一収容室511の底面に当接し、第一バネ549の他端部は第一スライダ540の筒部543に嵌装されるとともに当接部541の他方の板面(二分割された円柱形状の突起が積層されていない方の板面)に当接する。
従って、第一バネ549は第一スライダ540を第一収容室511の第一開口部511aから突出する方向に付勢し、第一スライダ540の当接部541の当接面541aは主回動部材520の第一カム部521aに当接する。
その結果、第一バネ549の付勢力は第一スライダ540を経て主回動部材520に伝達されるので、主ケース部材510は主回動部材520に対して右側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着板53は本体52に対して開く方向に付勢される(図52参照)。
【0248】
以下では、図52、図53、および、図61から図67を用いて副ヒンジ部材502について説明する。
【0249】
副ヒンジ部材502は本発明に係る副ヒンジ部材の実施の一形態である。
図53に示す如く、副ヒンジ部材502は主ヒンジ部材501に対して別体となる部材(主ヒンジ部材501と一体ではなく、主ヒンジ部材501から分離された部材)である。
図61から図65に示す如く、副ヒンジ部材502は副ケース部材560、副回動部材570、回動ピン580、第二スライダ590および第二バネ599を具備する。
【0250】
副ケース部材560は本発明に係る第一副ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の副ケース部材560は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図61、図64および図66に示す如く、副ケース部材560は概ね薄い直方体形状の部材である。
図65および図66に示す如く、副ケース部材560の内部には第二収容室561が形成される。
【0251】
第二収容室561は本発明に係る第二収容室の実施の一形態である。第二収容室561は副ケース部材560の内部に形成された空間である。
第二収容室561は副ケース部材560の基端部(副ケース部材560と副回動部材570とが回動可能に連結される位置に近い方の端部)において開口しており、当該開口している部分が第二開口部561aを成す。すなわち、第二収容室561は第二開口部561aを有する。第二開口部561aは本発明に係る第二開口部の実施の一形態である。
図66に示す如く、第二収容室561の内周面にはガイド溝561b・561bが形成される。ガイド溝561b・561bは第二収容室561の第二開口部561aから第二収容室561の奥に向かって(副ケース部材560の基端部から先端部に向かって)延びた溝である。
【0252】
図61に示す如く、副ケース部材560には突出部562が形成される。突出部562は板状の部分である。
突出部562の一端部は副ケース部材560の左側面(副ヒンジ部材502が複合機51の原稿圧着板53を本体52に回動可能に連結したとき、複合機51の左側方に向く面)に繋がっており、突出部562の他端部は副ケース部材560の左側面の左側方に突出している。
図61および図63に示す如く、突出部562には貫通孔562a・562b・562cが形成される。貫通孔562a・562b・562cは突出部562の一対の板面を貫通する孔である。
【0253】
図61に示す如く、副ケース部材560には突出部563が形成される。突出部563は板状の部分である。
突出部563の一端部は副ケース部材560の右側面(副ヒンジ部材502が複合機51の原稿圧着板53を本体52に回動可能に連結したとき、複合機51の右側方に向く面)に繋がっており、突出部563の他端部は副ケース部材560の右側面の右側方に突出している。
図61および図63に示す如く、突出部563には貫通孔563a・563b・563cが形成される。貫通孔563a・563b・563cは突出部563の一対の板面を貫通する孔である。
【0254】
図61および図66に示す如く、副ケース部材560の基端部には突起部564、突起部565、突起部566および突起部567が形成される。
突起部564は副ケース部材560の基端部かつ左端部となる位置に配置される突起であり、突起部565は副ケース部材560の基端部において突起部564の右側方かつ第二開口部561aの左側方となる位置に配置される突起であり、突起部566は副ケース部材560の基端部において第二開口部561aの右側方となる位置に配置される突起であり、突起部567は副ケース部材510の基端部かつ右端部となる位置(突起部566の右側方)に配置される突起である。
突起部564には貫通孔564aが形成され、突起部565には貫通孔565aが形成され、突起部566には貫通孔566aが形成され、突起部567には貫通孔567aが形成される。
貫通孔564a、貫通孔565a、貫通孔566aおよび貫通孔567aは一直線に並んで配置され、貫通孔564a、貫通孔565a、貫通孔566aおよび貫通孔567aを合わせたものは実質的に副ケース部材560の左側面から右側面までを貫通する。
貫通孔564a、貫通孔565a、貫通孔566aおよび貫通孔567aの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。
【0255】
本実施形態では、貫通孔562a・562b・562cおよび貫通孔563a・563b・563cにネジ(不図示)を貫装し、当該ネジを原稿圧着板53の下面の後左端部に形成されたネジ穴(不図示)に螺装することにより、副ケース部材560が原稿圧着板53の下面において後左端部となる位置に固定される(図53参照)。
【0256】
副回動部材570は本発明に係る第二副ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態の副回動部材570は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図61、図64および図67に示す如く、副回動部材570は胴体部571、突起部572、突起部573および取り付け部574を有する。
【0257】
胴体部571は副回動部材570の上半部を成す塊状の部分である。
胴体部571には第二カム部571aが形成される。
第二カム部571aは本発明に係る第二カム部の実施の一形態であり、胴体部571の上面の前端部から上方に向かって突出する塊状の部分である。
【0258】
突起部572・573は胴体部571の基端部に形成される突起状の部分である。
より詳細には、突起部572は胴体部571の上面における左端部から上方に向かって突出する板状の部分であり、突起部573は胴体部571の上面における右端部から上方に向かって突出する板状の部分である。
図67に示す如く、突起部572には貫通孔572aが形成され、突起部573には貫通孔573aが形成される。
貫通孔572aおよび貫通孔573aは一直線に並んで配置され、貫通孔572aおよび貫通孔573aを合わせたものは実質的に副回動部材570の左側面から右側面までを貫通する。
貫通孔572aおよび貫通孔573aの長手方向(軸線方向)は左右方向に対して平行である。
【0259】
取り付け部574は副回動部材570の下半部を成す部分である。
図67に示す如く、本実施形態の取り付け部574は上下方向に延びた概ね直方体形状の部分である。取り付け部574の上端部は胴体部571の下面に繋がっている。
【0260】
本実施形態では、本体52の上面において左後端部となる位置に形成された平面視略正方形状の穴(不図示)に取り付け部574を嵌装することにより、副回動部材570が本体52に固定される(図53参照)。
【0261】
回動ピン580は本発明に係る回動軸の実施の一形態である。
図61および図63に示す如く、本実施形態の回動ピン580は胴体部581および頭部582を有し、胴体部581の一端部(先端部)にカシメ穴581aが形成される金属製の部材である。
本実施形態の回動ピン580の基本的な構成は図8に示す回動ピン130と略同じであるため説明を省略する。
図63に示す如く、回動ピン580の胴体部531を左から順に貫通孔564a、貫通孔572a、貫通孔565a、貫通孔566a、貫通孔573aおよび貫通孔567aに貫装することにより、副回動部材570は回動ピン580を介して副ケース部材560に回動可能に連結され、ひいては、副ヒンジ部材502により原稿圧着板53(の下面において後左端部となる部分)が本体52(の上面において後左端部となる部分)に回動可能に連結される。
なお、主ヒンジ部材501および副ヒンジ部材502が本体52に原稿圧着板53を回動可能に連結したとき、主ヒンジ部材501の回動ピン530の軸線および副ヒンジ部材502の回動ピン580の軸線は一直線となる。
【0262】
図62および図65に示す如く、副回動部材570が回動ピン580を介して副ケース部材560に回動可能に連結されたとき、第二カム部571aは副ケース部材560に形成された第二収容室561の第二開口部561aに対向する。
【0263】
第二スライダ590は本発明に係る第二スライド部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二スライダ590は樹脂製であり、射出成形により製造される。
図61および図65に示す如く、第二スライダ590には当接面591、ガイド突起592・592およびバネ受け穴593が形成される。
本実施形態の第二スライダ590の基本的な構成は図51に示す第二スライダ460と略同じであるため説明を省略する。
【0264】
図65に示す如く、第二スライダ590は副ケース部材560の第二収容室561に収容される。
第二収容室561に収容された第二スライダ590は第二収容室561の内周面に当接する。また、第二収容室561に収容された第二スライダ590は第二開口部561aから突出する方向および第二収容室561の内部(奥部)に没入する方向に移動可能である。
より詳細には、第二スライダ590の四つの側面のうちの一つに形成されたガイド突起592・592が第二収容室561の内周面に形成されたガイド溝561b・561bに摺動可能に係合する(図61および図66参照)。
【0265】
第二スライダ590の外周面と第二収容室561の内周面との当接部分には、グリスが塗布される。換言すれば、第二スライダ590と第二収容室561の内周面との隙間(ガイド突起592・592とガイド溝561b・561bとの隙間を含む)にはグリスが配置される。
第二スライダ590と第二収容室561の内周面との隙間に配置されるグリスは本発明に係る粘性体の実施の一形態である。
【0266】
第二バネ599は本発明に係る第二付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態の第二バネ599は金属製の巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図65に示す如く、第二バネ599は副ケース部材560の第二収容室561に収容される。
第二収容室561に収容された第二バネ599の一端部は第二収容室561の底面に当接し、第二バネ599の他端部は第二スライダ590のバネ受け穴593に収容されるとともにバネ受け穴593の内部に形成された段差面に当接する。
従って、第二バネ599は第二スライダ590を第二収容室561の第二開口部561aから突出する方向に付勢する。
【0267】
以下では、図52、図58および図65を用いて原稿圧着板53を閉じるときのヒンジ500の挙動について説明する。
本実施形態では原稿圧着板53が完全に閉じたとき、すなわち原稿圧着板53の下面が本体52の上面に当接しているときの原稿圧着板53の回動角度θ(本体52に対する原稿圧着板53の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板53が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板53の回動角度θを定義する(図52参照)。
【0268】
本実施形態では、原稿圧着板53の回動角度θが18°以上(θ≧18°)の場合には原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属し、原稿圧着板53の回動角度θが18°未満(0°≦θ<18°)の場合には原稿圧着板53が「落下領域」に属する。
【0269】
本実施形態における「フリーストップ領域」は、(A5)「原稿圧着板53の重量に起因して回動ピン530を中心として主ケース部材510に作用する回転力(モーメント)」と(B5)「第一バネ549の付勢力に起因して回動ピン530を中心として主ケース部材510に作用する回転力(モーメント)」とが平衡する領域である。
【0270】
原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するとき、主回動部材520の第一カム部521aは第一スライダ540の当接部541の当接面541aに当接する(図58参照)。
また、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するとき、副回動部材570の第二カム部571aは第二スライダ590から離間しており、第二スライダ590に当接しない(図65参照)。
【0271】
原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板53が閉じる方向に回動した場合、(A5)の回転力は増大する。
一方、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属する状態で原稿圧着板53が閉じる方向に回動した場合、主ケース部材510が主回動部材520に対して(副ケース部材560が副回動部材570に対して)右側面視で時計回りに回動し、主回動部材520の第一カム部521aと第一スライダ540の当接部541の当接面541aとの当接部位が変化し、第一スライダ540は第一収容室511の内部に没入する方向に移動する。
第一スライダ540が第一収容室511の内部に没入する方向に移動することにより、第一バネ549は圧縮され(第一バネ549の全長は小さくなり)、第一バネ549の付勢力が増大し、(B5)の回転力が増大する。
その結果、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するとき、原稿圧着板53の回動角度θが変化しても(A5)の回転力と(B5)の回転力とが平衡する。より厳密には、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するときには原稿圧着板53の回動角度θが変化しても(A5)の回転力と(B5)の回転力とが平衡するように第一カム部521aおよび当接部541の形状が予め設定される。
従って、原稿圧着板53が「フリーストップ領域」に属するときに作業者が原稿圧着板53から手を離した場合、原稿圧着板53の回動角度θは保持される。
【0272】
本実施形態における「落下領域」は(A5)の回転力が(B5)の回転力よりも大きくなる領域である。
原稿圧着板53が「落下領域」に属するときに作業者が原稿圧着板53から手を離した場合、原稿圧着板53は自重(厳密には、(A5)の回転力と(B5)の回転力との差分)により閉じる方向に回動する。
【0273】
原稿圧着板53が「落下領域」に属するとき、主回動部材520の第一カム部521aは第一スライダ540の当接部541の当接面541aに当接する。
しかし、原稿圧着板53が「落下領域」に属するとき、原稿圧着板53の回動角度θが変化しても主ケース部材510に対する第一スライダ540の位置が変化しない。より厳密には、原稿圧着板53が「落下領域」に属するときには原稿圧着板53の回動角度θが変化しても主ケース部材510に対する第一スライダ540の位置が変化しないように第一カム部521aおよび当接部541の形状が予め設定される。
その結果、原稿圧着板53が「落下領域」に属するときには(B5)の回転力は実質的にゼロとなり、(A5)の回転力が(B5)の回転力よりも大きくなる。
【0274】
原稿圧着板53が「落下領域」に属するとき、副回動部材570の第二カム部571aは第二スライダ590の当接面591に当接する。
従って、原稿圧着板53が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板53が閉じる方向に回動した場合、副ケース部材560が副回動部材570に対して右側面視で時計回りに回動し、副回動部材570の第二カム部571aと第二スライダ590の当接面591との当接部位が変化し、第二スライダ590は第二収容室561の内部に没入する方向に移動する。
【0275】
第二スライダ590が第二収容室561の内部に没入する方向に移動するとき、第二スライダ590には第二スライダ590の外周面(四つの側面)と第二収容室561の内周面との当接部分に塗布されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が作用する。
従って、原稿圧着板53が「落下領域」に属するときには、(A5)の回転力の一部がグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力により相殺され、原稿圧着板53が閉じる方向に回動する速度が遅くなる(緩和される)。
その結果、原稿圧着板53は本体52の上面に柔らかく当接するので、原稿圧着板53は緩やかかつ確実に閉じられる。
【0276】
なお、作業者が原稿圧着板53を手で持って原稿圧着板53を開く方向に回動させた場合、第二スライダ590は、第二バネ599の付勢力によりグリスの粘性抵抗に抗して第二開口部561aから突出する方向に移動するので、原稿圧着板53が「落下領域」に属するときには「副回動部材570の第二カム部571aが第二スライダ590の当接面591に当接した状態」が保持される。
【0277】
以上の如く、ヒンジ500は、
本体52に原稿圧着板53を開閉可能に連結するヒンジであって、
主ヒンジ部材501と、
主ヒンジ部材501に対して別体となる副ヒンジ部材502と、
を具備し、
主ヒンジ部材501は、
第一開口部511aを有する第一収容室511が形成され、原稿圧着板53に固定される主ケース部材510と、
本体52に固定され、主ケース部材510に回動可能に連結される主回動部材520と、
第一収容室511に収容され、第一収容室511の内周面に当接しつつ第一開口部511aから突出する方向および第一収容室511の内部に没入する方向に移動可能な第一スライダ540と、
第一収容室511に収容され、第一スライダ540を第一開口部511aから突出する方向に付勢する第一バネ549と、
を具備し、
主回動部材520には、第一スライダ540に当接する第一カム部521aが形成され、
副ヒンジ部材502は、
第二開口部561aを有する第二収容室561が形成され、原稿圧着板53に固定される副ケース部材560と、
本体52に固定され、副ケース部材560に回動可能に連結される副回動部材570と、
第二収容室561に収容され、第二収容室561の内周面に当接しつつ第二開口部561aから突出する方向および第二収容室561の内部に没入する方向に移動可能な第二スライダ590と、
第二収容室561に収容され、第二スライダ590を第二開口部561aから突出する方向に付勢する第二バネ599と、
を具備し、
副回動部材570には、第二スライダ590に当接する第二カム部571aが形成され、
第二スライダ590と第二収容室561の内周面との隙間にはグリスが配置される。
このように構成することにより、原稿圧着板53を緩やかかつ確実に閉じることが可能である。
【0278】
また、ヒンジ500は、複合機51の原稿圧着板53が「落下領域」に属する状態で(「落下領域」内で)回動するとき、副ケース部材560に対する第二スライダ590の回動角度当たりの移動量が主ケース部材510に対する第一スライダ540の回動角度当たりの移動量よりも大きい。
このように構成することにより、原稿圧着板53が「落下領域」に属する状態では第二スライダ590が第一スライダ540よりも大きく移動することとなり、第二スライダ590と第二収容室561の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A5)の回転力の一部を相殺する力として有効に利用することが可能である。
【0279】
本実施形態では原稿圧着板53が「落下領域」に属する状態で原稿圧着板53の回動角度θが小さくなるとき、第二カム部571aは副ケース部材560に対して相対的には概ね上方に移動する。
このとき、副ケース部材560に対する第二カム部571aの相対的な移動方向に対して緩く傾斜した(副ケース部材560に対する第二カム部571aの相対的な移動方向に対して垂直でないが垂直に近い角度を成す)当接面591が第二カム部571a当接するため、第二スライダ590は副ケース部材560に対する第二カム部571aの相対的な移動方向に対して概ね垂直な方向である前方に移動する。
このように構成することにより、副ケース部材560に対する第二カム部571aの相対的な移動量よりも副ケース部材560に対する第二スライダ590の移動量を大きく設定することが可能であり、第二スライダ590と第二収容室561の内周面との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A5)の回転力の一部を相殺する力として更に有効に利用することが可能である。
【0280】
本実施形態では主ヒンジ部材501の主ケース部材510を原稿圧着板53に固定するとともに主回動部材520を本体52に固定し、かつ副ヒンジ部材502の副ケース部材560を原稿圧着板53に固定するとともに副回動部材570を本体52に固定することによりヒンジ500が本体52に原稿圧着板53を回動可能に連結するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、主ヒンジ部材501の主ケース部材510を原稿圧着板53に固定するとともに主回動部材520を本体52に固定し、かつ副ヒンジ部材502の副ケース部材560を本体52に固定するとともに副回動部材570を原稿圧着板53に固定することによりヒンジ500が本体52に原稿圧着板53を回動可能に連結しても良い。
また、主ヒンジ部材501の主ケース部材510を本体52に固定するとともに主回動部材520を原稿圧着板53に固定し、かつ副ヒンジ部材502の副ケース部材560を原稿圧着板53に固定するとともに副回動部材570を本体52に固定することによりヒンジ500が本体52に原稿圧着板53を回動可能に連結しても良い。
また、主ヒンジ部材501の主ケース部材510を本体52に固定するとともに主回動部材520を原稿圧着板53に固定し、かつ副ヒンジ部材502の副ケース部材560を本体52に固定するとともに副回動部材570を原稿圧着板53に固定することによりヒンジ500が本体52に原稿圧着板53を回動可能に連結しても良い。
【0281】
本実施形態では、副ケース部材560の第二収容室561の内周面にガイド溝561b・561bを形成するとともに第二スライダ590の外周面にガイド突起592・592を形成することにより、第二スライダ590の外周面と第二収容室561の内周面との当接部分の面積を大きくし、ひいては第二スライダ590と第二収容室561との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力を(A5)の回転力の一部を相殺する力としてより有効に利用することが可能である。
【0282】
本実施形態は、「落下領域」において第二スライダ590と第二収容室561との隙間に配置されたグリスの粘性抵抗に起因する抵抗力が主ケース部材510に作用する「原稿圧着板53を閉じる方向の回転力((A5)の回転力)」の一部を相殺するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第二スライダ590と第二収容室561との隙間を更に狭くする(グリスが配置される場合よりも狭くする)ことにより、「落下領域」において第二スライダ590と第二収容室561との隙間(当接部分)に摩擦力を発生させ、当該摩擦力が主ケース部材510に作用する「原稿圧着板53を閉じる方向の回転力」の一部を相殺しても良い。
【0283】
本実施形態のヒンジ500は一つの主ヒンジ部材501および一つの副ヒンジ部材502を具備するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ヒンジ500が二つの主ヒンジ部材501・501および一つの副ヒンジ部材502を具備しても良く、ヒンジ500が一つの主ヒンジ部材501および二つの副ヒンジ部材502・502を具備しても良い。すなわち、本発明に係るヒンジは、主ヒンジ部材を少なくとも一つ(一つ以上)具備し、かつ、副ヒンジ部材を少なくとも一つ(一つ以上)具備すれば良い。
【符号の説明】
【0284】
11 複合機
12 本体(第一連結対象物)
13 原稿圧着板(第二連結対象物)
100 ヒンジ(第一実施形態)
110 ケース部材(第一ウイング部材)
118 第一収容室
118a 第一開口部
119 第二収容室
119a 第二開口部
120 回動部材(第二ウイング部材)
121b 第一カム部
121c 第二カム部
130 回動ピン(回動軸)
140 第一スライダ(第一スライド部材)
150 第一バネ(第一付勢部材)
160 第二スライダ(第二スライド部材)
170 第二バネ(第二付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部を有する第一収容室および第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジ。
【請求項2】
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きい請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の周方向に並んで配置され、
前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の周方向に並んで配置される請求項1または請求項2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に並んで配置され、
前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の軸線方向に並んで配置される請求項1または請求項2に記載のヒンジ。
【請求項5】
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
主開口部を有する主収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
副開口部を有する副収容室が形成され、前記主収容室に収容され、前記主収容室の内周面に当接しつつ前記主開口部から突出する方向および前記主収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記主収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記主開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記副収容室に収容され、前記副収容室の内周面に当接しつつ前記副開口部から突出する方向および前記副収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記副収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記副開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記副収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジ。
【請求項6】
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一スライド部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きい請求項5に記載のヒンジ。
【請求項7】
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、
前記第一ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジ。
【請求項8】
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第二ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きい請求項7に記載のヒンジ。
【請求項9】
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
主ヒンジ部材と、
前記主ヒンジ部材に対して別体となる副ヒンジ部材と、
を具備し、
前記主ヒンジ部材は、
第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一主ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一主ウイング部材に回動可能に連結される第二主ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
を具備し、
前記第二主ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、
前記副ヒンジ部材は、
第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一副ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一副ウイング部材に回動可能に連結される第二副ウイング部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二副ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との隙間には粘性体が配置されるヒンジ。
【請求項10】
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一副ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一主ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きい請求項9に記載のヒンジ。
【請求項11】
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部を有する第一収容室および第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との当接部分には摩擦力が発生するヒンジ。
【請求項12】
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きい請求項11に記載のヒンジ。
【請求項13】
前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の周方向に並んで配置され、
前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の周方向に並んで配置される請求項11または請求項12に記載のヒンジ。
【請求項14】
前記第一開口部および前記第二開口部は前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に並んで配置され、
前記第一カム部および前記第二カム部は前記回動軸の軸線方向に並んで配置される請求項11または請求項12に記載のヒンジ。
【請求項15】
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
主開口部を有する主収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
副開口部を有する副収容室が形成され、前記主収容室に収容され、前記主収容室の内周面に当接しつつ前記主開口部から突出する方向および前記主収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記主収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記主開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記副収容室に収容され、前記副収容室の内周面に当接しつつ前記副開口部から突出する方向および前記副収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記副収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記副開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成されるとともに前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との当接部分には摩擦力が発生するヒンジ。
【請求項16】
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一スライド部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きい請求項15に記載のヒンジ。
【請求項17】
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一ウイング部材と、
第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、
前記第一ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との当接部分には摩擦力が発生するヒンジ。
【請求項18】
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第二ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きい請求項17に記載のヒンジ。
【請求項19】
第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジであって、
主ヒンジ部材と、
前記主ヒンジ部材に対して別体となる副ヒンジ部材と、
を具備し、
前記主ヒンジ部材は、
第一開口部を有する第一収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一主ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一主ウイング部材に回動可能に連結される第二主ウイング部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一収容室の内周面に当接しつつ前記第一開口部から突出する方向および前記第一収容室の内部に没入する方向に移動可能な第一スライド部材と、
前記第一収容室に収容され、前記第一スライド部材を前記第一開口部から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
を具備し、
前記第二主ウイング部材には、前記第一スライド部材に当接する第一カム部が形成され、
前記副ヒンジ部材は、
第二開口部を有する第二収容室が形成され、前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の一方に固定される第一副ウイング部材と、
前記第一連結対象物および前記第二連結対象物の他方に固定され、前記第一副ウイング部材に回動可能に連結される第二副ウイング部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二収容室の内周面に当接しつつ前記第二開口部から突出する方向および前記第二収容室の内部に没入する方向に移動可能な第二スライド部材と、
前記第二収容室に収容され、前記第二スライド部材を前記第二開口部から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備し、
前記第二副ウイング部材には、前記第二スライド部材に当接する第二カム部が形成され、
前記第二スライド部材と前記第二収容室の内周面との当接部分には摩擦力が発生するヒンジ。
【請求項20】
前記第二連結対象物が落下領域内で回動するとき、前記第一副ウイング部材に対する前記第二スライド部材の回動角度当たりの移動量は前記第一主ウイング部材に対する前記第一スライド部材の回動角度当たりの移動量よりも大きい請求項19に記載のヒンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【公開番号】特開2011−112967(P2011−112967A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270780(P2009−270780)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】