説明

ヒートシンクおよびそれを搭載した情報処理装置

【課題】ヒートシンクに関し、送風機のケーシングの外周または外周の一部に渡って伝熱部材を固着することにより、風圧の高いケーシング部で空気との熱交換面積を大きくできるため、冷却性能の向上が可能とする。
【解決手段】ケーシング(60)外周でかつ、羽根と同じ高さに固着され、発熱部品からの熱を伝える熱輸送部材(62)と、羽根と駆動モータを有するカバーおよび良熱伝導材料で作られるケーシングを持った遠心式送風機部で構成され、ヒートシンク部の底面のベース厚さを熱輸送部材(62)との熱交換部付近を厚くし、遠ざかるに従い薄く変化させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクに関し、詳しくは、主としてノートブック型コンピュータ等の携帯用電子機器等で使用されているマイクロプロセッサ等の集積回路パッケージやハードディスク装置からの熱を逃がすために使用されるヒートシンクに関するものである。
【0002】
近年の携帯用電子機器等においては処理速度の高速化,および処理能力のアップのために高性能のマイクロプロセッサが搭載されており、このマイクロプロセッサから発生する熱も他の電子部品から発生される熱に比べ高い。このため、ヒートシンクを用いて発熱量の高いマイクロプロセッサを主として部分的に空冷する局所冷却が行われている。
【背景技術】
【0003】
その局所冷却を行うためのヒートシンクとして、冷却能力のアップのために自然空冷によるヒートシンクの上に強制空冷を行うための冷却ファンを積み重ねたものがあり、また装置のダウンサイジングに伴って、特開平6−268125号公報(特許文献1)に示されるように、ヒートシンクの中に冷却ファンを埋め込んだものもある。
【0004】
しかし、特許文献1で示される従来技術では、発熱部品の上にファンが内蔵されたヒートシンクを取り付けているので、高さが高くなる欠点があった。
このため、ヒートシンクから離れた位置に実装された発熱部品をヒートパイプでつないで、このヒートパイプを使って発熱部品から発生された熱を伝熱し、ヒートシンクで冷却するヒートパイプを使った技術が知られている。この場合では、発熱部品とヒートシンクを例えば横並び配置とすることができるので、高さを低くすることができる。
【0005】
このヒートパイプを用いた従来技術においても、近年の発熱部品の高発熱に対処するために、高冷却性能を有するヒートシンクの改良が要求されており、ヒートシンクに冷却ファンを組み合わせて、ヒートシンクを自然空冷から強制空冷で冷却する技術が知られている。この従来技術におけるヒートシンクと冷却ファンとの組み合わせ方は、既存のヒートシンクの先端に既存の冷却ファンを積み重ねるように取り付けられたものであった。そして、ヒートシンクから離れた位置に実装された発熱部品をヒートパイプでつないで、この伝熱部材を使って発熱部品から発生された熱を伝熱し、冷却ファンにより強制空冷となったヒートシンクで冷却を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−268125
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このヒートパイプを用いた従来技術では、ヒートシンクに冷却ファンを積み重ねて配置するために、冷却ファンを搭載するためのスペースをヒートシンクの他に設ける必要があった。
更に、このヒートパイプを用いた例では、ヒートパイプの全周をヒートシンクの底板で囲んでいたこと、およびヒートシンクの底板の厚みよりヒートパイプの直径が大きかったとの理由により、ヒートシンクの高さ内でのヒートパイプの取り付けのためのスペースが大きくなり、ヒートシンク内に埋設する冷却ファンの設置スペースを確保することが難しくなる。この冷却ファンの設置スペースがヒートシンク内に確保できないことはヒートシンクの高さを超えて冷却ファンが設置されることとなり、ヒートシンクの薄型に悪影響を及ぼすと共に、装置の薄型化を実現できないものである。
【0008】
仮に、ヒートシンクの高さを高くして冷却ファンを埋設したとしても、近年ますます薄型化されつつある携帯用情報処理装置で規格されている定められた高さ制限に対応することができない。
また、発熱部品の上に冷却ファンが埋め込まれたヒートシンクを搭載するのでは、発熱部品の上に必ずヒートシンク分のスペースが必要となる。更に、発熱部品が実装されたプリント基板上にヒートシンクを実装しようにも、近年の装置の薄型化に伴った部品実装の高密度化によりヒートシンク実装のためのスペースを確保することが難しい状況にある。
【0009】
従って、本発明はヒートシンクの薄型化を実現することを目的とするものである。また、本発明の別の目的は装置の薄型化も実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ケーシング外周またはケーシング外周の一部でかつ、羽根と同じ高さに固着され、発熱部品からの熱を伝える熱輸送部材と、羽根と駆動モータを有するカバーおよび良熱伝導材料で作られるケーシングを持った遠心式送風機部で構成され、ヒートシンク部の底面のベース厚さを熱輸送部材との熱交換部付近を厚くし、遠ざかるに従い薄く変化させたことを特徴とするヒートシンクが提供される。すなわち、この発明によれば、送風機のケーシングの外周または外周の一部に渡って伝熱部材を固着することにより、風圧の高いケーシング部で空気との熱交換面積を大きくできるため、冷却性能の向上が可能となる。また、高温の熱交換部の熱を他方への拡散、伝導が行なえるため、冷却効率の向上が可能となる。
【0011】
また、本発明によれば、ケーシング外周またはケーシング外周の一部でかつ、羽根と同じ高さに固着され、発熱部品からの熱を伝える熱輸送部材と、羽根と駆動モータおよび良熱伝導材料で作られるケーシングを持った横流式送風機部で構成され、ヒートシンク部の底面のベース厚さを熱輸送部材との熱交換部付近を厚くし、遠ざかるに従い薄く変化させたことを特徴とするヒートシンクが提供される。すなわち、この発明によれば、横流式の送風機を採用したため、風の吸排気が側面で行えるため、薄型化が可能となる。また、高温の熱交換部の熱を他方への拡散、伝導が行なえるため、冷却効率の向上が可能となる。
【0012】
送風機の吐き出し口部を除くケーシングの内周の側面およびヒートシンク部の外郭内面部に凹凸形状の放熱部を設けたことを特徴とする。これによれば、送風機の風圧が最も高いところと高温の熱交換部に最も近いところで、凹凸状の放熱部によって乱流を発生するので冷却効率の向上が可能となる。
【0013】
送風機の吐き出し口近傍に吐き出し風の方向に対しフィン間を結んだ線が平行になるようにフィンを配設したヒートシンク部を備えたことを特徴とする。これによれば、風の流れに対してフィンによる抵抗が小さくなるため通風量が増えることにより冷却効率の向上が可能となる。
【0014】
送風機の吐き出し口近傍に吐き出し風の方向に対しランダムにフィンを配設したヒートシンク部を備えたことを特徴とする。これによれば、風がランダムに配置したフィンに当たるため、冷却効率の向上が可能となる。
【0015】
送風機の吸い込み口に、外部空気と内部空気の吸い込み割合を決めるためのガイドを設けたことを特徴とする。これによれば、比較的温度の低い外部空気を取り入れることで冷却効率を上げ、また、機器内部の電子部品やユニットの発熱によって高温になった内部空気を排出できるため、機器の冷却効率の向上が可能となる。
【0016】
送風機の吐き出し口付近にあるヒートシンク部の送風機の低風圧側の側面に風の通過する孔を配設したことを特徴とする。これによれば、熱交換に関係のない場所で送風機からの風が通過する開口面積を大きくすることができるため冷却性能の向上が可能となる。
【0017】
更に、本発明によれば、上記のヒートシンクを搭載した情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、送風機のケーシングの外周に熱輸送部材を固着したことにより風圧の高いケーシング部で空気との熱交換面積を大きくできるため冷却性能の向上が可能となる。また、請求項2に係る発明によれば、ケーシングの外周に熱輸送部材を固着した送風機に横流式を採用したことにより風の吸排気が側面部で行えるため、薄型化が可能となる。また、これらの請求項1又は請求項2に係る発明によれば、熱交換部のベース厚さを傾斜させたことにより、熱交換部の高温の熱を他方へ拡散、伝導ができ、冷却効率の向上が可能となる。
【0019】
また、請求項3に係る発明によれば、送風機のケーシングの内面に凹凸状の放熱部を設けたことにより、該凹凸状の放熱部で乱流を発生するため、冷却効率の向上が可能となる。また、請求項4に係る発明によれば、送風機の吐き出し口近傍に設けられた放熱フィンを、その放熱フィン間を結んだ線が吐き出し風の方向と平行になるように配置したことにより、通風量が増え、冷却効率の向上が可能となる。また、請求項5に係る発明によれば、送風機の吐き出し口近傍に設けられた放熱フィンをランダムに配置したことにより、乱流が発生し、冷却効率の向上が可能となる。
【0020】
また、請求項6に係る発明によれば、送風機の吸い込み口に、外部空気と内部空気の吸い込み割合をきめるためのガイドを設けたことにより、比較的温度の低い筐体外部の空気を取り入れることで、機器の冷却効率の向上が可能となる。
【0021】
また、請求項7に係る発明によれば、送風機の吐き出し口付近にある冷却フィン形成部の送風機の低風圧側の側面に風の通過する孔を設けたことにより、熱交換に関係のない場所で送風機からの風が通過する開口面積を大きくすることができるため冷却効率の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は側面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は図(a)のb−b線における断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態を示す図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態を示す図である。
【図8】本発明の第8の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は分解斜視図、(c)はベンチュリの他の例の斜視図である。
【図9】本発明の第9の実施の形態を示す図で、(a)はヒートシンク本体の正面図、(b)は図(a)のZ矢視図、(c)は(b)のY矢視図である。
【図10】本発明の第9の実施の形態を示す図で、(a)はカバーの上面図、(b)正面図、(c)は側面図、(d)は組立斜視図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態の使用状態を示す図である。
【図12】本発明の第10の実施の形態を示す図である。
【図13】本発明の第11の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は使用状態を示す図である。
【図14】本発明の第12の実施の形態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は使用状態を示す図、(c)は組立断面図である。
【図15】本発明の第13の実施の形態を示す図で、(a)はカバーを除いた状態の斜視図、(b)は組立斜視図、(c)は動作説明図である。
【図16】本発明の第14の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)〜(d)は(a)の変形例を示す図である。
【図17】本発明の第15の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は(a)図の断面図、(c)は(a)図の変形例をを示す図である。
【図18】本発明の第16の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は(a)図のa−a線における断面図である。
【図19】本発明の第17の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は(a)図のb−b線における断面図、(c)は変形例を示す斜視図である。
【図20】本発明の第18の実施の形態を示す斜視図である。
【図21】本発明の第19の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はケーシングの斜視図、(c)は(a)図の一部断面図である。
【図22】本発明の第20の実施の形態を示す図であり、(a)〜(e)は第12,14,15,16,19の各実施の形態のケーシングまたは熱交換部材を示す図である。
【図23】本発明の第21の実施の形態を示す図である。
【図24】本発明の第22の実施の形態を示す図である。
【図25】本発明の第23の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はカバーを除去して示した斜視図である。
【図26】本発明の第24の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は作用説明図である。
【図27】本発明の第25の実施の形態を示す図であり、(a)はカバーを除去して示した斜視図、(b)は側面図である。
【図28】本発明の第26の実施の形態を示す断面図である。
【図29】本発明の第27の実施の形態を示す図であり、(a)はカバーを除去して示した斜視図、(b)は一部拡大図である。
【図30】本発明の第28の実施の形態をカバーを除去して示した平面図である。
【図31】本発明の第29の実施の形態をカバーを除去して示した平面図である。
【図32】本発明の第30の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は使用状態を示す図である。
【図33】本発明の第30の実施の形態の使用方法を説明するための図である。
【図34】本発明の第31の実施の形態をカバーを除去して示した斜視図である。
【図35】本発明の第32の実施の形態をカバーを除去して示した斜視図である。
【図36】本発明の第33の実施の形態を示す斜視図である。
【図37】本発明の第34の実施の形態を示す斜視図である。
【図38】本発明の第35の実施の形態を示す斜視図である。
【図39】本発明の第36の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はファンの斜視図、(c)は断面図、(d)はフィンの他の例を示す図である。
【図40】本発明の第37の実施の形態を示す図で、(a)はカバーを除去した状態の斜視図、(b)はカバーを除去した状態の平面図、(c)は機器内での実装位置を説明するための図である。
【図41】本発明の第38の実施の形態を示す図で、(a)はカバーを除去した状態の斜視図、(b)は(a)図のb−b線における断面図、(c)はフィン高さと性能の関係図である。
【図42】本発明の第39の実施の形態を示す斜視図である。
【図43】本発明の第40の実施の形態を示す斜視図である。
【図44】本発明の第41の実施の形態を示す図で、(a)は裏面から見た斜視図、(b)は(a)図のb−b線における断面図、(c)はすきまの大小と性能の関係を示した性能曲線図である。
【図45】本発明の第42の実施の形態を示す図で、(a)および(b)はそれぞれ分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の第1の実施の形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は側面図である。同図において10はヒートシンク本体、11は特許請求の範囲における伝熱部材に対応したヒートパイプ、12は冷却ファンである。そして、ヒートシンク本体は矩形板状をなし、その上方に冷却ファン12が例えばヒートシンク本体10の上に搭載されるカバーに軸を固定されることで支持された状態で空間10a内に埋設されている。また、ヒートシンク本体10の対向する2辺を横切ってヒートパイプ11が挿入されるトンネル状のヒートパイプ収容部13が形成されている。このヒートパイプ収納部13が特許請求の範囲における保持部に対応する。
【0024】
冷却ファン12がヒートシンク本体10に埋設される部分に相当する空間10aの下に位置するヒートパイプ収納部13はヒートパイプ11が露出するようにトンネル状部分が部分的に削除されている。更に、その削除された部分および冷却ファン12を埋設するための空間10aを除いたヒートシンク本体の表面上にはピン状の多数のフィン14が立設されている。
【0025】
このヒートパイプ11を収納するトンネル状部分が部分的に削除されていることにより、ヒートシンク本体10内に埋設される冷却ファンを削除したトンネル状部分の厚み分だけ深く埋設することができる。この厚み分がネックとなって従来冷却ファンが埋め込まれたヒートシンクを装置に実装することが難しかったが、冷却ファンをより深く埋設することができる本発明によれば、冷却ファンの表面より突出するフィンを削ることでヒートシンクをより薄型にすることが可能となり、あらかじめ規格化された実装上の高さ方向の制限に対応して装置に実装することができる。
【0026】
ヒートパイプ11にはMPUやハードディスク等の発熱部品が接続されており、その接続はヒートパイプ11に発熱部品の放熱形状に応じた形状を有する熱伝導製に優れた金属等で形成されたプレートを接続し、発熱部品からの熱はそのプレートを介してヒートパイプ11に伝熱される。また、発熱部品とヒートシンクは例えばプリント基板上で離れた位置に実装されており、発熱部品から離れた位置にヒートシンクを実装することによって互いの設置位置の自由度が高くなる。ヒートパイプ11を経由して発熱部品から発生された熱がヒートシンクへと伝わり、そして、冷却ファン12を駆動することにより冷却ファン12からの風がヒートシンク本体10およびフィン14を冷却し、同時にヒートパイプ収納部13から露出しているヒートパイプ11に直接冷却ファン12からの風を当てることができる。しかも発熱部品とヒートシンクを接続するヒートパイプ11においてもその途中で放熱作用が期待できる。このようにして発熱部品を効率良く冷却することができる。
【0027】
なおヒートシンク本体10はアルミニュウム等の高熱伝導材料または熱伝導性の良い樹脂(例えば、ウエイクフィールドエンジニアリング(株)製の商品名Amoco Xydar樹脂にカーボンファイバを混入したもの)を用い、金属の場合はダイカスト、鍛造、押し出し等の加工方法により、樹脂の場合は射出成形により形成される。また、フィン14の形状は図においては円柱状であるが、角柱状またはその他の形状であってもよい。
【0028】
図2は本発明の第2の実施の形態を示す斜視図である。本第2の実施の形態は、高熱伝導材料または熱伝導性の良い樹脂で形成された箱15の対向する側面にヒートパイプ挿通用の孔16と、冷却ファン12の風の吸い込みまたは吐き出し用のスリット17を設けている。そして、箱15に前述の第1の実施の形態のヒートシンク本体10を収容してヒートパイプ11を保持している。
【0029】
なお、図2に示すように箱15に収納されるヒートシンク10’にヒートパイプ収納部13は交差する形で設けておき、ヒートパイプ11を交差してヒートシンク本体10’に取り付けても良い。その場合は、箱15にもヒートパイプ11を交差して収納するための孔16を対向する側面に追加しておく必要がある。そして、ヒートシンク10’において、ヒートパイプ11が交差する部分は冷却ファン12を埋設するための空間10’aを第1の実施の形態と同様に設けておき、更に、ヒートパイプ収納部13が交差する部分で冷却ファン12の下に位置する部分は部分的に切除しておく必要がある。
【0030】
箱15が金属で形成された場合は板金プレスまたは曲げ加工により、樹脂で形成された場合は射出形成により形成される。また、ヒートパイプ11の保持は圧入、圧着、接着等により確実に行われ、圧着,接着等の機械的な固定ではサーマルグリースをヒートパイプとヒートシンク本体、箱の隙間に充填することが好ましい。また、冷却ファン12の風の吸い込み、または吐き出し用のスリット17は冷却性能または騒音のバランスの良い形状のスリットとし、箱の1面でもあるいは2〜4面に設けても良い。
【0031】
ヒートシンク本体10を箱15に収納することにより、設計者はヒートシンクを一つのユニットとして捉えることができるため、装置に搭載するときのレイアウトとしてのイーメジをつかみやすい。また、箱15に設けられるスリット17は、ヒートシンクの周辺に設けられるその他の発熱部品に対して風を意図的に送ることができ、装置全体しての冷却効率がアップする。
【0032】
図3は本発明の第3の実施の形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)図のb−b線における断面図である。上述した第1の実施の形態では冷却ファン12をカバーにて支持するとして説明したが、第3の実施の形態では本来冷却ファン12内に搭載されていたファンモータ駆動用のプリント基板を冷却ファン12の外部に出し、そして、このプリント基板18に冷却ファン12を支持するようにしている。
【0033】
プリント基板18は風の通過する通風用の孔19をブレード12aの円周に沿って設け、且つその内側に2本以上のリブ20によりプリント基板18の一部(島状部分21)を残し、該島状部分21の上面に、ファンモータ24の駆動回路の一部24および軸受ハウジング25を保持させ、下面にファンモータ24のコイル22および磁石23を保持させたものである。
【0034】
第3の実施の形態では、冷却ファン12を支持するカバーをプリント基板と兼用しているため、冷却ファン内の従来プリント基板を配置する部分のスペースをも削除することができ、冷却ファンを含めたヒートシンクの更なる薄型化も可能である。
カバーと兼用しているプリント基板18に冷却ファン12を支持させるだけでは空きスペースが発生するので、その空きスペースを有効利用するために、従来ファンモータの中に搭載されていた駆動回路の一部をプリント基板の上面に配置することができる。ファンモータを駆動する回路をファンモータ内とプリント基板の上面とに分散して配置することにより、冷却ファンの薄型化も可能である。なおこのプリント基板はヒートシンク本体を収納する箱15の上蓋としても使われる。
【0035】
図4は本発明の第4の実施の形態を示す斜視図である。本第4の実施の形態ではファンモータの駆動回路の一部をその上面に搭載したプリント基板18’に空きスペースがあれば、その空きスペースに冷却ファンの駆動回路の一部27と、冷却ファンの各種制御用回路28とを配置することもできる。更に空きスペースがあるのであれば冷却対象装置の回路29、ファンの駆動電源、制御信号等の授受のためのコネクタ30等を配置してもよい。これら回路は本来はマザーボード上に実装されていたものであり、プリント基板18’上に配置することでその分マザーボードを小さくすることができ、装置の小型化が期待できる。
【0036】
図5は本発明の第5の実施の形態を示す斜視図である。本第5の実施の形態は、図3で示した第3の実施の形態のプリント基板18の上にカバー31を設けたものである。このカバー31はプリント基板18上に搭載された各種回路部品を保護するため、プラスチック、または表面に絶縁処理を施した板金、または絶縁処理を施したダイキャスト等で形成される。また該カバー31はプリント基板18に支持される軸受ハウジング26をさらに強固に支持するための孔32が設けられ、且つ冷却ファン12の風の吸い込みまたは吐き出しのためのエアギャップを確保するように四隅にスペーサ33が設けられている。
【0037】
このスペーサ33はプリント基板18の上面に例えば接着剤等で固定され、スペーサ33の高さ分がエアギャップの高さとなる。装置にヒートシンクを搭載する際に、装置の小型化および高密度実装によりヒートシンクの周辺にその他の部品が配置されたとしても、このエアギャップを確保しておくことで、冷却ファン12に対する風の吸い込みまたは吐き出しが十分に行われる。また、カバー31に設けられた孔32に支持される軸受ハウジング26はほぼこのエアギャップ以上の突出長を有している。
【0038】
図6は本発明の第6の実施の形態を示す斜視図である。本第6の実施の形態は、第5の実施の形態でのスペーサの形状の変形例を示すものであり、折曲部33aまたは円柱33b等である。特に折曲部33aとすることで、冷却ファン12に対する風の吸い込みまたは吐き出しに方向性を持たせることが可能である。すなわち図6に示すように箱15に形成されたスリット17の壁に対応した壁を折曲部33aによって塞ぐことで、吸い込み側と吐き出し側とをずらすことができ、風の回り込みを防止することができる。
【0039】
図7は本発明の第7の実施の形態を示す斜視図である。この箱型カバー31はプリント基板18に対して伏せた状態で取り付けられ、スリット17が形成された箱15の面と異なる一面以上に長孔34を設けたものである。スリット17と長孔34が形成された面を互いにずらすことにより、吸い込み側と吐き出し側とをずらすことができ、風の回り込みを防止することができる。
【0040】
図8は本発明の第8の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は分解斜視図、(c)はベンチュリの他の例を示す斜視図である。プリント基板18に支持された冷却ファン12のブレード深さ方向の円周に沿って、且つそのブレードを囲むようにベンチュリ35が設けられている。このベンチュリ35は冷却ファン12の静圧を高めるためのもので、風の流れを整え、渦流損失を減らして冷却ファンを効率よく駆動させることができる。
【0041】
ベンチュリ35は、リング36に形成された溝36aに、プリント基板18に設けられた通風用の孔19の内側に設けられた複数の突起37を嵌合させることで構成される。なお、ベンチュリ35とは、ブレードの深さ方向の円周に位置するリング36のブレード側の内側の部分を呼ぶ。ベンチュリを構成する別の手段として、リング36をプリント基板18と一体化して構成してもよい。
【0042】
図9および図10は本発明の第9の実施の形態を示す図で、図9はヒートシンク本体を示し、同図(a)は正面図、(b)は(a)図のZ矢視図、(c)は(b)のY矢視図であり、図10はカバーを示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は組立斜視図である。
【0043】
本第9の実施の形態はヒートシンク本体40とカバー47とから構成され、ヒートシンク本体40はアルミニュウム等の高熱伝導材料または熱伝導性の良い樹脂(例えば、ウエイクフィールドエンジニアリング(株)製の商品名Amoco Xydar樹脂にカーボンファイバを混入したもの)で形成された矩形板状のヒートシンクベース41に多数の角柱状のフィン42が立設されている。そして、ヒートシンク本体40の中央部には冷却ファンを埋設する空間が設けられ、且つその空間に対応して冷却ファンのブレード深さ方向の円周を囲んで位置されるような配置でベンチュリ44が形成されている。ベンチュリ44の先端には冷却ファンに対する通風孔が形成されており、その通風孔を所定の間隔を残して部分的に塞ぐ棒状フィン45が形成されている。
【0044】
ヒートシンクベース41には(c)に示すように、フィン42の隙間を縫ってヒートパイプ11が挿入保持され、本例ではその両側からヒートパイプ11が突き合わせられ、且つ挿入保持されている。なお、ヒートシンクベース41にはカバーとの結合のために複数のねじ孔46が設けられている。
カバー47はヒートシンクベースと同様の材料を用いて、図10に示すようにヒートシンクベース41の背部を覆うことができるように断面コの字形に形成され、冷却ファンがヒートシンク本体40内に埋設される位置に対応した部分に通風孔48および冷却ファンを固定するファン固定部49が設けられている。また、複数の結合用孔50がヒートシンクベース41のねじ孔46に対応して設けられ、図10(d)の如くヒートシンク本体40にねじ51で結合される。
【0045】
図10(d)のように構成されたヒートシンク52は、図11に示される位置に配置される。つまり、ノートブック型コンピュータ等の筺体の54のフレーム(側壁)に、補助ヒートシンク43が露出するようにして配置される。このとき、冷却ファンが埋設されることで突出した補助ヒートシンク43の高さ分は、装置のフレームの厚さにオーバーラップした状態で収納されていることから、発熱部品の上または近傍で必要であったヒートシンクの搭載場所が制限されることがなく、その実装部品のレイアウトに応じて自由に設置場所を選ぶことができる。またヒートシンク設置のための自由度が増すと共に、装置の小型化が可能である。
【0046】
またヒートシンク52に接続された2本のヒートパイプ11はそれぞれ先端で発熱部品と熱伝導性に優れたプレートを介して接続され、発熱部品からの熱がこのヒートパイプ11を経由してヒートシンク52に伝わる。ヒートパイプ11に接続される発熱部品の種類としてマイクロプロセッサであったり、ハードディスクであったりする。あるヒートパイプはマイクロプロセッサに接続され、残りのヒートパイプはハードディスクに接続されるように発熱部品の種類を変えてヒートパイプで接続してもよい。
【0047】
図11にて示されるヒートシンク52は冷却ファン12を駆動することで、ヒートシンク52の背面(発熱部品側に位置する面)に通風孔48が形成されているため、この通風孔48から風を吸い込み、ヒートパイプ11にて伝導された熱をヒートシンク52内で冷却することができる。また、ヒートシンク52の通風孔48に到るまでのその流路途中にある装置内に実装された発熱ユニット53を始めとするその他の発熱部品をも空冷することができる。この場合は装置内を冷却するための冷却ファンとヒートシンク52内の冷却ファンとを共用することができ、より装置の小型化を実現できる。
【0048】
図12は本発明の第10の実施の形態を示す図である。このヒートシンク52は背面(発熱部品側に位置する面)に通風孔48が設けられていない。この場合は、ヒートシンク52のヒートパイプ11が挿入された両端から風を吸い込む。但し両端から風を吸い込む場合はヒートシンク52内のフィンによる風の流れの負荷が大きいのでフィンを間引く等の加工を行う必要がある。
【0049】
図13は本発明の第11の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は使用状態を示す図である。本第11の実施の形態は、ヒートシンク本体41の前部左右に通気用の孔55を設け、且つこの通風用の孔55に対応する位置、つまりヒートシンク52を装置のフレームに埋め込んだときに通風用の孔55と接する位置のフレームに、ヒートシンク本体への吸気孔を設けている。従って、ヒートシンク52には装置の外部より常に新鮮な風を取り込むことができ、冷却効率が向上する。
【0050】
図14は本発明の第12の実施の形態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は使用状態を示す図、(c)は組立断面図である。本第12の実施の形態は、ケーシング60とカバー61と熱輸送部材62とより構成されている。そしてケーシング60はアルミまたはアルミ合金等の熱伝導の良好な金属を用いてダイキャスト、冷間鍛造により形成されるか、または板金或いは熱伝導の良好な樹脂により形成され、内部には通風用の空間60aが、外周には熱輸送部材62を収容する溝60bが形成されている。
【0051】
また、カバー61は駆動モータ63aと羽根63bとよりなる遠心式送風機63を有しており、ねじまたはカシメ等によりケーシング60に取り付けられる。また熱輸送部材62は例えば熱伝導性の良い銅等の金属またはヒートパイブが用いられ、ケーシングの溝60bに圧入または熱伝導性接着材で固着される。なお、圧入の場合には溝との隙間にサーマルグリースを充填してもよい。
【0052】
そして、熱輸送部材62の一端がMPU等の発熱部品64にアルミ板64a等を用いて接着またはカシメ等により固定される。このように構成された本実施の形態は、上部から空気を吸い込み側面から吐き出すようになっており、風圧の高いケーシング部60で空気との熱交換面積を大きくできるため冷却性能が向上される。
【0053】
図15は本発明の第13の実施の形態を示す図で、(a)はカバーを除いた状態の斜視図、(b)は組立斜視図、(c)は動作説明図である。本第13の実施の形態は、ケーシング60と横流式送風機65とカバー61と熱輸送部材62とより構成されている。そしてケーシング60はアルミまたはアルミ合金等の熱伝導の良好な金属を用いてダイキャスト、冷間鍛造により形成されるか、または熱伝導の良好な樹脂により形成され、横流式送風機65を保持したベース60cの一辺に該横流式送風機65に沿う曲面を持つ壁体60dが立設され、該壁体60dの外側に熱輸送部材62を収容する溝60bが形成され、該溝60bに熱輸送部材62が圧入または熱伝導性接着材で固着される。なお60eは通風用のガイドである。
【0054】
そして、(c)図の如く、横流式送風機65は3面から空気を吸い込みこの3面の内の1面より吐き出すようになっている。このように本実施の形態は風の吸排気が側面部で行えるため、薄型化が可能となり,また前実施の形態と同様な効果を有する。
【0055】
図16は本発明の第14の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)〜(d)は(a)の変形例を示す図である。本第14の実施の形態は、ケーシング60を有する軸流式送風機66と、該ケーシング60の上に設けられた熱交換部67と熱輸送部材62とより構成されている。そして、ケーシング60および熱交換部67はアルミまたはアルミ合金等の熱伝導の良好な金属を用いてダイキャスト、冷間鍛造により形成されるか、または熱伝導の良好な樹脂により形成され、熱交換部67は送風機66の高さ方向に通風路68が形成され、また該通風路68の周囲に熱輸送部材62を収容する溝67aが形成され、該溝67aに熱輸送部材62が圧入または熱伝導性接着材で固着される。
【0056】
なお、熱交換部67は(b)図または(c)図の如く外周縁部を切り落として小型化しても良く、あるいは(d)図の如く熱輸送部材62を一周させても良い。このように構成された本実施の形態は熱交換部67の内部に通風路を持つため、送風能力の低下を最小限にとどめ、機器内部の排気と熱輸送部材62からの発熱を放熱できるため、機器の冷却効率の向上が可能となる。
【0057】
図17は本発明の第15の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は(a)図の断面図、(c)は(a)図の変形例をを示す図である。本第15の実施の形態は、軸流式送風機66のケーシング60を高さ方向に延長して熱交換部67を形成し、この熱交換部67の上面または側面に(b)図または(c)図に示すように通風路68の外周に沿って溝を形成し、該溝に熱輸送部材62を圧入または熱伝導性接着材で固着したものである。なお、ケーシング60および熱交換部67は前実施の形態と同様な材料で形成される。このように構成された本実施の形態は、熱交換部67が送風機のケーシング60と一体に形成されているため、接触熱抵抗がなくなり、冷却効率の向上が可能になる。
【0058】
図18は本発明の第16の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は(a)図のa−a線における断面図である。本実施の形態は、前実施の形態の熱交換部を廃止して、軸流式送風機66のケーシング60の外周に溝60bを形成して該溝60bに熱輸送部材62を圧入または熱伝導性接着材で固着したものである。なお、ケーシング60は前実施の形態と同様な材料で形成される。このように構成された本実施の形態は、ケーシング60の外周に熱輸送部材62が固着されているため、高さを低くできる効果がある。
【0059】
図19は本発明の第17の実施の形態を示す図で、(a)は組立斜視図、(b)は(a)図のb−b線における断面図、(c)は変形例を示す斜視図である。本実施の形態は、軸流式送風機66のケーシング60を断面が偏平な熱輸送部材62により形成し、軸流式送風機66のカバー61の通風路に冷却効果を向上するための凹凸69を設けたものである。また(c)図はカバー61を4角形としてその4隅をケーシング60に嵌合させたものである。このように構成された本実施の形態は熱輸送部材62がファンのケーシングを兼ねているため小型化が可能になる。
【0060】
図20は本発明の第18の実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態は、放熱フィン70を有するケーシング60とファンを持ったファン内蔵ヒートシンク71の側面に溝を設けて、該溝に熱輸送部材62を固着したものである。このように構成された本実施の形態はファン内蔵ヒートシンク71の側面に熱輸送部材62が固着されているため、接触熱抵抗を低減でき、冷却効率の向上が可能となる。
【0061】
図21は本発明の第19の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はケーシングの斜視図、(c)は(a)図の一部断面図である。本実施の形態は、第12,13,16の各実施の形態のケーシング60を、溝部分において水平に2分割したもので、他は同様である。本実施の形態は熱輸送部材62の組付けが容易となり、製造性、組立性が向上し低コスト化に寄与することができる。
【0062】
図22は本発明の第20の実施の形態を示す図であり、(a)〜(e)は第12,14,15,16,19の各実施の形態のケーシングまたは熱交換部材を示す図である。本実施の形態は第12,14,15,16,19の各実施の形態において、(a)図の如く、熱輸送部材62を予め円形または円形の一部となるように形成しておき、ケーシングまたは熱交換部材に固着したものである。本実施の形態によれば熱交換の面積が向上するため、冷却効率の向上が可能となる。
【0063】
図23は本発明の第21の実施の形態を示す図である。本実施の形態は、前記第13〜17および19〜21の実施の形態において、その熱輸送部材62を固着するケーシング60または熱交換部材67の溝の断面を(a),(b)または(c)図に示すように半円形にしたものである。本実施の形態によれば熱交換の面積が向上するため、冷却効率の向上が可能となる。
【0064】
図24は本発明の第22の実施の形態を示す図である。本実施の形態は、前記第13〜17および19〜21の実施の形態において、その熱輸送部材62の断面を矩形とし、ケーシング60または熱交換部材67の溝の断面を(a),(b)または(c)図に示すように熱輸送部材62の断面に沿う形状としたものであり、本実施の形態によれば熱交換の面積が向上するため、冷却効率の向上が可能となる。
【0065】
図25は本発明の第23の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はカバーを除去して示した斜視図である。本実施の形態は、第12,13の実施の形態において、送風機の吐き出し口近傍にケーシング60と同材料で放熱フィン70を形成したものである。本実施の形態によれば、吐き出し風を放熱フィン70に当てることができるため冷却効率の向上が可能となる。
【0066】
図26は本発明の第24の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は作用説明図である。本実施の形態は、第12,13,23の各実施の形態において、送風機の風圧の高い方のケーシングとそれに続く部分の側面だけに熱輸送部材62との熱交換部を設け、反対側の側面をカットしたもので或る。本実施の形態によれば、送風機の風圧が高く、冷却効率の高い部分に熱輸送部材62との熱交換部を設けることで、性能の低下を最小限に抑えながら小型化が可能となる。
【0067】
図27は本発明の第25の実施の形態を示す図であり、(a)はカバーを除去して示した斜視図、(b)は側面図である。本実施の形態は、第12,23,24の各実施の形態において、放熱フィン70の高さを要求する吸い込み部71のエアギャップAが確保できる高さまで高くしたものである。本実施の形態によれば、風の吸い込みに必要な部分のみ開放し、不要な部分を放熱面積の増加に利用できるため冷却効率の向上が可能となる。
【0068】
図28は本発明の第26の実施の形態を示す断面図である。本実施の形態は、第24,25の各実施の形態において、放熱フィン70を設けた部分の底面のベース厚さを熱輸送部材62との熱交換部付近を厚くし、遠ざかるにしたがって薄く変化させたものである。本実施の形態によれば、高温の熱交換部の熱を他方への拡散、伝導が行えるため冷却効率の向上が可能となる。
【0069】
図29は本発明の第27の実施の形態を示す図であり、(a)はカバーを除去して示した斜視図、(b)は一部拡大図である。本実施の形態は、第23〜26の各実施の形態において、送風機の吐き出し口部を除くケーシング60の内周の側面および放熱フィンを設けた部分の外郭内面部に凹凸状の放熱部72を設けたものである。(b)図は放熱部72の他の例である。本実施の形態によれば、送風機の風圧が最も高いところと高温の熱交換部に最も近いところで、凹凸状の放熱部によって乱流を発生するので冷却効率の向上が可能となる。
【0070】
図30は本発明の第28の実施の形態をカバーを除去して示した平面図である。本実施の形態は、第23〜27の各実施の形態において、送風機の吐き出し口近傍に吐き出し風の方向に対してフィン間を結んだ線が平行となるように放熱フィン70を配設したものである。本実施の形態によれば、風の方向に対して抵抗が小さくなるため通風量が増えることにより冷却効率の向上が可能となる。
【0071】
図31は本発明の第29の実施の形態をカバーを除去して示した平面図である。本実施の形態は、第23〜27の各実施の形態において、送風機の吐き出し口近傍に吐き出し風の方向に対して放熱フィン70をランダムに配設したものである。本実施の形態によれば、風の流れに対して抵抗は増えるが乱流により冷却効率の向上が可能となる。
【0072】
図32は本発明の第30の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は使用状態を示す図である。本実施の形態は、第23〜28の各実施の形態において、(a)図の如く送風機の吸い込み口に、機器筐体の外部空気と内部空気の吸い込み割合をきめるため外部空気吸い込み用口73aと内部空気吸い込み用口73bとを有するガイド73を設けたもので、(b)図の如く機器筐体74に取り付けられて用いられる。
【0073】
本実施の形態によれば、図33(a)に示すように、MPU等の発熱部品の発熱が大きく、筐体内部の温度が低い場合は、(b)図に示すように外気の吸い込み量を多くし、筐体内部からの吸い込み量を少なくし、反対に(c)図の如くMPU等の発熱部品の発熱が少なく、筐体内部の温度が高い場合は、(d)図に示すように外気の吸い込み量を少なくし、筐体内部からの吸い込み量を多くすることにより、比較的温度の低い外部空気を取り入れることで冷却効率を上げ、機器の冷却効率の向上が可能となる。
【0074】
図34は本発明の第31の実施の形態をカバーを除去して示した斜視図である。本実施の形態は、第23〜29の実施の形態において、送風機の吐き出し口付近にある放熱フィン70形成部の送風機の高風圧側に、風の方向に沿って縁を内側に張出した形状74としたものである。本実施の形態によれば、送風機の風の弱い場所(デッドゾーン)に張り出し部を形成したため送風能力の低下を最小限にしながら該部にねじ孔75等を設けてカバーの固定が可能となる。
【0075】
図35は本発明の第32の実施の形態をカバーを除去して示した斜視図である。本実施の形態は、第23〜30の実施の形態において、送風機の吐き出し口付近にある放熱フィン70形成部の送風機の低風圧側の側面に風の通過する孔76を設けたものである。本実施の形態によれば、熱交換に関係のない場所で送風機からの風が通過する開口面積を大きくすることができるため冷却効率の向上が可能となる。
【0076】
図36は本発明の第33の実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態は、情報処理機器の実装構造に関し、機器77のコーナ部の一方の面にヒートシンク78の吸い込み口79を配設し、他方の面に吐き出し口80を配設したものである。本実施の形態によれば、ヒートシンクを筐体のコーナに配置しているためエアダクトが不要になり、機器の低コスト化に寄与できる。
【0077】
図37は本発明の第34の実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態は、第15の実施の形態において、熱交換部67の近傍の縁に放熱用の放熱フィン70を配設したものである。本実施の形態によれば高温の熱交換部67に最も近いところに、放熱用のフィン70があり、送風機の近傍の渦状の風(旋回流)が当たるため冷却効率の向上が可能となる。
【0078】
図38は本発明の第35の実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態は、第14,15の実施の形態において、送風機部の羽根81から熱交換部67までの間にエアギャップAを設けたものである。本実施の形態によれば送風機部の羽根81から熱交換部67までの間にエアギャップAを設けているため、低騒音化が可能となる。
【0079】
図39は本発明の第36の実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はファンの斜視図、(c)は断面図、(d)はフィンの他の例を示す図である。本実施の形態は、発熱部品からの熱を伝える熱輸送部材62を固着して熱交換を行う熱交換部67および軸流式送風機66で構成され、送風機66の側面に熱交換部67の一部を配置し、同じく熱交換部67の放熱フィン70を送風機66の吸い込み口または吐き出し口80に配置させたものである。本実施の形態によれば熱交換部67の内部に通風路を持つため、送風能力の低下を最小限に、機器内部の排気と熱輸送部材62からの発熱を放熱できるため、機器の冷却効率の向上が可能となる。
【0080】
図40は本発明の第37の実施の形態を示す図であり、(a)はカバーを除去した状態の斜視図、(b)はカバーを除去した状態の平面図、(c)は機器内での実装位置を説明するための図である。本実施の形態は、(a)および(b)図に示すように熱伝導の良好な樹脂または金属で形成されたケーシング60の長手方向左右に壁が設けられ、その間に横流式送風機65が配置され、一方の壁の内側に送風機の羽根に近接した導風用の突起60fが設けられ、且つ左右の壁に溝60bが設けられて熱輸送部材62が圧入または接着されている。
【0081】
そして、横流式送風機65は矢印Aの如く空気を吸い込み他方より矢印Bの如く吐き出す。このように本実施の形態のヒートシンク90は空気を吸い込み方向と吐き出し方向が一直線となっているため、(c)図に示すように機器内の内壁に沿っていれば何処にでも設置可能であり、機器91内での実装位置の制限が少なくなる。
【0082】
図41は本発明の第38の実施の形態を示す図であり、(a)はカバーを除去した状態の斜視図、(b)は断面図、(c)は性能曲線図である。本実施の形態は、図25で説明した第23の実施の形態のとほぼ同様であり、異なるところは、放熱フィン70を直線状とし、且つその放熱フィン70の高さを低くしフィン70の上部に空間を設けたものである。
【0083】
そして(b)図の如く、ケーシング60内の空間高さをH、フィン70の高さをhとして、(c)図の如く、フィン70の高さhを横軸に、性能を縦軸にとると性能曲線は曲線Aの如くになり、フィン70の上部にある程度の空間を設けた方が空間が無い場合より性能が向上する。これは空気の流量が増加するためである。
【0084】
図42は本発明の第39の実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態は、図25で説明した第23の実施の形態とほぼ同様であり、異なるところは、ケーシング60の外側に沿わしてパイプ状の熱輸送部材62を設けるとき、該熱輸送部材62の加工可能な最小曲率半径となるようにケーシング60を形成したことである。これにより熱輸送部材62とケーシング60との接触面積が増大し、冷却性能が向上する。
【0085】
図43は本発明の第40の実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態は図14で説明した第12の実施の形態とほぼ同様であり、異なるところは、ケーシング60の底部を除去しファンの羽根径より大きい穴60gを設け、該穴にファンの羽根の一部が挿入されるようにしたことである。そして、ケーシング60の底部を除去したことによりその分ケーシング60の高さを低くでき薄型化が可能となる。
【0086】
図44は本発明の第41の実施の形態を示す図であり、(a)は裏面から見た斜視図、(b)は(a)図のb−b線における断面図、(c)はすきまの大小と性能の関係を示した性能曲線図である。本実施の形態は前実施の形態とほぼ同様であり、異なるところはケーシング60の底面に複数の突起60hを設けたことである。なお、この突起60hはケーシング60と一体に形成されたものでも、別体のスペーサを接着したものでも良い。そして(b)図の如く、構造体92の上に搭載したときすきまwが生じ、空気が流通するため(c)図の如く、すきまwがある程度までは性能が向上する。
【0087】
図45は本発明の第42の実施の形態を示す図である。本実施の形態は図43で説明した第40の実施の形態とほぼ同様であり、異なるところは、第40の実施の形態のパイプ状熱輸送部材62をフラット型熱輸送部材62′に変えたことである。そして、フラット型熱輸送部材62′は(a)図の如く、ケーシング60の底部左右に嵌合溝93,93′を形成し、この嵌合溝93,93′にフラット型熱輸送部材62′を挿入し結合するか、または(b)図に示すように、フラット型熱輸送部材62′左右に立ち上がり部94,94′を設けて熱輸送領域93を形成し、この熱輸送領域95にケーシング60を装着したものである。これにより、熱輸送部材がフラットであるためケーシングとの接触面積が大となり、従って熱輸送部材の熱輸送量も大となり冷却性能は向上する。
【符号の説明】
【0088】
10 ヒートシンク本体
11 ヒートパイプ
12 冷却ファン
13 ヒートパイプ収納部
14 フィン
15 箱
18 プリント基板
26 軸受ハウジング
31,47 カバー
35,44 ベンチュリ
36 リング
40 ヒートシンク本体
41 ヒートシンクベース
42 フィン
45 棒状フィン
52 ヒートシンク
54 フレーム
60 ケーシング
61 カバー
62 熱輸送部材
63 遠心式送風機
64 発熱部品
65 横流式送風機
66 軸流式送風機
67 熱交換部
68 通風路
69 凹凸
70 放熱フィン
73 ガイド
79 吸い込み口
80 吹き出し口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング外周またはケーシング外周の一部でかつ、羽根と同じ高さに固着され、発熱部品からの熱を伝える熱輸送部材と、羽根と駆動モータを有するカバーおよび良熱伝導材料で作られるケーシングを持った遠心式送風機部で構成され、ヒートシンク部の底面のベース厚さを熱輸送部材との熱交換部付近を厚くし、遠ざかるに従い薄く変化させたことを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
ケーシング外周またはケーシング外周の一部でかつ、羽根と同じ高さに固着され、発熱部品からの熱を伝える熱輸送部材と、羽根と駆動モータおよび良熱伝導材料で作られるケーシングを持った横流式送風機部で構成され、ヒートシンク部の底面のベース厚さを熱輸送部材との熱交換部付近を厚くし、遠ざかるに従い薄く変化させたことを特徴とするヒートシンク。
【請求項3】
送風機の吐き出し口部を除くケーシングの内周の側面およびヒートシンク部の外郭内面部に凹凸形状の放熱部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
送風機の吐き出し口近傍に吐き出し風の方向に対しフィン間を結んだ線が平行になるようにフィンを配設したヒートシンク部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンク。
【請求項5】
送風機の吐き出し口近傍に吐き出し風の方向に対しランダムにフィンを配設したヒートシンク部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンク。
【請求項6】
送風機の吸い込み口に、外部空気と内部空気の吸い込み割合を決めるためのガイドを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンク。
【請求項7】
送風機の吐き出し口付近にあるヒートシンク部の送風機の低風圧側の側面に風の通過する孔を配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンク。
【請求項8】
発熱部品と、該発熱部品からの熱を伝える熱輸送部材と、該熱輸送部材を保持する保持部と、前記発熱部品とは実装位置の異なっている請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒートシンクを搭載した情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2010−177680(P2010−177680A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58409(P2010−58409)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2009−63639(P2009−63639)の分割
【原出願日】平成9年11月4日(1997.11.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】