説明

ヒートポンプシステム

【課題】運転負荷の変化に対応して快適な空調を提供できるヒートポンプシステムを提供するできる空気調和機を提供する。
【解決手段】ヒートポンプシステム1は、水系媒体を環状の温水回路の内部で循環させる容量可変型の循環ポンプ43aと、利用側熱交換器41aの出口の水系媒体の温度が目標の第1目標温度Twlsとなるように冷媒回路における冷媒側循環量を制御するとともに、利用側熱交換器41aの出口と入口の水系媒体の媒体温度差ΔTwが目標の第2目標温度差ΔTwsとなるように循環ポンプ43aの運転容量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系媒体を循環させるヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1(特開2003−314838号公報)に記載されるように、ヒートポンプ式の温水暖房装置が知られている。この温水暖房装置は、ヒートポンプ式の室外機と、冷媒と水とを熱交換させる水冷媒用熱交換器と、水冷媒用熱交換器と温水配管で接続された床暖房パネルや暖房用熱交換器と、温水配管の温水を循環させる循環ポンプとを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような従来のヒートポンプ式の温水暖房装置では、室内を暖房する床暖房パネルや暖房用熱交換器等の負荷が減少した場合、水冷媒熱交換器の出入口温度差が小さくなり、床暖房パネルや暖房用熱交換器等に供給される水の過度な温度上昇が生じて、機器の発停やエネルギー効率の悪化を招き、さらには快適性が損なわれるという問題がある。
【0004】
本発明の課題は、運転負荷の変化に対応して快適な空調を提供できるヒートポンプシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明のヒートポンプシステムは、冷媒回路と、利用側熱交換器における水系媒体の熱交換器入口温度を測定する入口温度センサと、利用側熱交換器における水系媒体の熱交換器出口温度を測定する出口温度センサと、水系媒体を環状の温水回路の内部で循環させる容量可変型の循環ポンプと、制御手段とを備えている。冷媒回路は、圧縮機と、冷媒と水系媒体との間で熱交換を行う利用側熱交換器と、膨張弁と、熱源側熱交換器が環状に接続された回路である。制御手段は、利用側熱交換器の出口の水系媒体の温度が目標の第1目標温度となるように冷媒回路における冷媒側循環量を制御するとともに、利用側熱交換器の出口と入口の水系媒体の媒体温度差が目標の第2目標温度差となるように循環ポンプの運転容量を制御する。
【0006】
すなわち、このヒートポンプシステムでは、第1の制御として、利用側熱交換器の出口の水系媒体の温度が目標の第1目標温度となるように冷媒回路における冷媒側循環量を制御して、利用側熱交換器の出口側の水温が所定の温度に維持するように制御する。それとともに、第2の制御として、利用側熱交換器の出口と入口の水系媒体の媒体温度差が目標の第2目標温度差となるように循環ポンプの運転容量を制御して、出入口の温度差を所定の温度差になるように制御する。これにより、利用側熱交換器の負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度変化を確実に防ぐことができる。
【0007】
第2発明のヒートポンプシステムは、第1発明のヒートポンプシステムであって、制御手段は、現時点の媒体温度差を第2目標温度差へ近づけるようにPI制御を行うことによって、ポンプの運転容量を制御する。
【0008】
ここでは、PI制御によって現時点の媒体温度差を第2目標温度差へ近づけて偏差を無くすように温度制御できるので、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0009】
第3発明のヒートポンプシステムは、第1発明または第2発明のヒートポンプシステムであって、利用側熱交換器における冷媒の凝縮によって生成された温水を用いて、対象空間の暖房を行う。
【0010】
ここでは、利用側熱交換器における冷媒の凝縮によって生成された温水を用いて、対象空間の暖房を行うことにより、対象空間の室温が高くなり利用側熱交換器の負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0011】
第4発明のヒートポンプシステムは、第3発明のヒートポンプシステムであって、制御手段は、媒体温度差が第2目標温度差より小さく、かつ利用側熱交換器の出口の水系媒体の温度が第1目標温度以上の場合には、ポンプの運転容量を減少させる制御を行い、一方、媒体温度差が第2目標温度差より大きい場合には、ポンプの運転容量を増加させる制御を行う。
【0012】
ここでは、媒体温度差が第2目標温度差より小さく、かつ利用側熱交換器の出口の水系媒体の温度が第1目標温度以上の場合には、ポンプの運転容量を減少させる制御を行い、一方、媒体温度差が第2目標温度差より大きい場合には、ポンプの運転容量を増加させる制御を行うことにより、媒体温度差が第2目標温度差より小さく、かつ利用側熱交換器の出口の水系媒体の温度が第1目標温度以上の場合には利用側熱交換器の負荷が減少したと判断して、水系媒体の過度な温度上昇をより確実に防ぐことができる。
【0013】
第5発明のヒートポンプシステムは、第4発明のヒートポンプシステムであって、暖房を行う対象空間の空気温度を設定する空気温度設定手段と、空気温度を検知する空気温度検知手段とをさらに備えている。制御手段は、空気温度検知手段によって検知された検知空気温度と空気温度設定手段によって設定された設定空気温度との空気温度差が所定の第3目標温度差よりも大きい場合には、媒体温度差が小さくなる方向に第2目標温度差を変更する。
【0014】
ここでは、空気温度検知手段によって検知された検知空気温度と空気温度設定手段によって設定された設定空気温度との空気温度差が所定の第3目標温度差よりも大きい場合には、媒体温度差が小さくなる方向に第2目標温度差を変更するので、室温と連動した水媒体の流量制御をすることができ、利用側熱交換器の負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度上昇をより確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
第1発明によれば、利用側熱交換器の負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度変化を確実に防ぐことができる。
【0016】
第2発明によれば、PI制御によって現時点の媒体温度差を前記第2目標温度差へ近づけて偏差を無くすように温度制御できるので、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0017】
第3発明によれば、利用側熱交換器における冷媒の凝縮によって生成された温水を用いて、対象空間の暖房を行うことにより、対象空間の室温が高くなり利用側熱交換器の負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0018】
第4発明によれば、媒体温度差が第2目標温度差より小さく、かつ利用側熱交換器の出口の水系媒体の温度が第1目標温度以上の場合には利用側熱交換器の負荷が減少したと判断して、水系媒体の過度な温度上昇をより確実に防ぐことができる。
【0019】
第5発明によれば、室温と連動した水媒体の流量制御をすることができ、利用側熱交換器の負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度上昇をより確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係わるヒートポンプシステムの回路図。
【図2】図1のヒートポンプシステムによる水媒体の流量制御のフローチャート。
【図3】図1のヒートポンプシステムによる室温と水媒体の流量の連動制御のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに本発明のヒートポンプシステムの実施形態を図面を参照しながら説明する。
〔実施形態〕
【0022】
−全体−
図1は、本発明の実施形態にかかるヒートポンプシステム1の概略構成図である。ヒートポンプシステム1は、蒸気圧縮式のヒートポンプサイクルを利用して水媒体を加熱する運転等を行うことが可能な装置である。
【0023】
ヒートポンプシステム1は、主として、熱源ユニット2と、利用ユニット4aと、液冷媒連絡管13と、ガス冷媒連絡管14と、温水暖房ユニット9aと、水媒体連絡管15aと、水媒体連絡管16aとを備えており、熱源ユニット2と利用ユニット4aが冷媒連絡管13、14を介して接続されることによって、熱源側冷媒回路20を構成し、利用ユニット4aと温水暖房ユニット9aとが水媒体連絡管15a、16aを介して接続されることによって、水媒体回路80aを構成している。熱源側冷媒回路20には、HFC系冷媒の一種であるHFC−410Aが熱源側冷媒として封入されており、また、HFC系冷媒に対して相溶性を有するエステル系又はエーテル系の冷凍機油が熱源側圧縮機21(後述)の潤滑のために封入されている。また、水媒体回路80aには、水媒体としての水が循環するようになっている。
【0024】
このヒートポンプシステム1では、熱源側圧縮機21と、冷媒と水系媒体との間で熱交換を行う利用側熱交換器41aと、膨張弁25、42aと、熱源側熱交換器24が環状に接続されることにより、一つの熱源側冷媒回路20を構成している。
【0025】
また、図1のヒートポンプシステム1は、温水暖房ユニット9aが配置された部屋Rに設けられた室温コントローラ202と、空気温度センサ203と、水温コントローラ204と、これら室温コントローラ202、空気温度センサ203、および水温コントローラ204、その他各センサ類(水媒体入口温度センサ51a、水媒体出口温度センサ52aその他)からの信号に基づいて、ヒートポンプシステム1の運転を制御する制御部201とをさらに備えている。
【0026】
制御部201は、主として、熱源ユニット2側では、熱源側圧縮機21および熱源側膨張機構25など、および利用ユニット4a側では、利用側流量調節弁42a、循環ポンプ43aなどの運転を制御する。
【0027】
室温コントローラ202は、部屋Rの室温について希望温度を設定するためのコントローラであり、既存のリモコン等に設けられる。室温コントローラ202は、制御部201に設定温度の信号を送信する。
【0028】
空気温度センサ203は、部屋Rの室温を検出し、検出された室温の信号を制御部201に送信する。
【0029】
水温コントローラ204は、温水暖房ユニット9aに供給される温水の水温を測定し、所定の設定水温に設定するコントローラである。水温コントローラ204は、制御部201に現在の水温の信号および設定水温の信号を送信する。
【0030】
−熱源ユニット−
熱源ユニット2は、屋外に設置されており、冷媒連絡管13、14を介して利用ユニット4aに接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。
【0031】
熱源ユニット2は、主として、熱源側圧縮機21と、油分離機構22と、熱源側切換機構23と、熱源側熱交換器24と、熱源側膨張機構25と、吸入戻し管26と、過冷却器27と、熱源側アキュムレータ28と、液側閉鎖弁29と、ガス側閉鎖弁30と、吐出側閉鎖弁31とを有している。
【0032】
熱源側圧縮機21は、熱源側冷媒を圧縮する機構であり、ここでは、ケーシング(図示せず)内に収容されたロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が、同じくケーシング内に収容された熱源側圧縮機モータ21aによって駆動される密閉式圧縮機が採用されている。この熱源側圧縮機21のケーシング内には、圧縮要素において圧縮された後の熱源側冷媒が充満する高圧空間(図示せず)が形成されており、この高圧空間には、冷凍機油が溜められている。熱源側圧縮機モータ21aは、インバータ装置(図示せず)によって、その回転数(すなわち、運転周波数)を可変でき、これにより、熱源側圧縮機21の容量制御が可能になっている。
【0033】
油分離機構22は、熱源側圧縮機21から吐出された熱源側冷媒中に含まれる冷凍機油を分離して熱源側圧縮機の吸入に戻すための機構であり、主として、熱源側圧縮機21の熱源側吐出管21bに設けられた油分離器22aと、油分離器22aと熱源側圧縮機21の熱源側吸入管21cとを接続する油戻し管22bとを有している。油分離器22aは、熱源側圧縮機21から吐出された熱源側冷媒中に含まれる冷凍機油を分離する機器である。油戻し管22bは、キャピラリチューブを有しており、油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油を熱源側圧縮機21の熱源側吸入管21cに戻す冷媒管である。
【0034】
熱源側切換機構23は、熱源側熱交換器24を熱源側冷媒の放熱器として機能させる熱源側放熱運転状態と熱源側熱交換器24を熱源側冷媒の蒸発器として機能させる熱源側蒸発運転状態とを切り換え可能な四路切換弁であり、熱源側吐出管21bと、熱源側吸入管21cと、熱源側熱交換器24のガス側に接続された第1熱源側ガス冷媒管23aと、ガス側閉鎖弁30に接続された第2熱源側ガス冷媒管23bとに接続されている。そして、熱源側切換機構23は、熱源側吐出管21bと第1熱源側ガス冷媒管23aとを連通させるとともに、第2熱源側ガス冷媒管23bと熱源側吸入管21cとを連通(熱源側放熱運転状態に対応、図1の熱源側切換機構23の実線を参照)したり、熱源側吐出管21bと第2熱源側ガス冷媒管23bとを連通させるとともに、第1熱源側ガス冷媒管23aと熱源側吸入管21cとを連通(熱源側蒸発運転状態に対応、図1の熱源側切換機構23の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。尚、熱源側切換機構23は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の熱源側冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
【0035】
熱源側熱交換器24は、熱源側冷媒と室外空気との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器であり、その液側に熱源側液冷媒管24aが接続されており、そのガス側に第1熱源側ガス冷媒管23aが接続されている。この熱源側熱交換器24において熱源側冷媒と熱交換を行う室外空気は、熱源側ファンモータ32aによって駆動される熱源側ファン32によって供給されるようになっている。
【0036】
熱源側膨張弁25は、熱源側熱交換器24を流れる熱源側冷媒の減圧等を行う電動膨張弁であり、熱源側液冷媒管24aに設けられている。
【0037】
吸入戻し管26は、熱源側液冷媒管24aを流れる熱源側冷媒の一部を分岐して熱源側圧縮機21の吸入に戻す冷媒管であり、ここでは、その一端が熱源側液冷媒管24aに接続されており、その他端が熱源側吸入管21cに接続されている。そして、吸入戻し管26には、開度制御が可能な吸入戻し膨張弁26aが設けられている。この吸入戻し膨張弁26aは、電動膨張弁からなる。
【0038】
過冷却器27は、熱源側液冷媒管24aを流れる熱源側冷媒と吸入戻し管26を流れる熱源側冷媒(より具体的には、吸入戻し膨張弁26aによって減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。
【0039】
熱源側アキュムレータ28は、熱源側吸入管21cに設けられており、熱源側冷媒回路20を循環する熱源側冷媒を熱源側吸入管21cから熱源側圧縮機21に吸入される前に一時的に溜めるための容器である。
【0040】
液側閉鎖弁29は、熱源側液冷媒管24aと液冷媒連絡管13との接続部に設けられた弁である。ガス側閉鎖弁30は、第2熱源側ガス冷媒管23bとガス冷媒連絡管14との接続部に設けられた弁である。
【0041】
また、熱源ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、熱源ユニット2には、熱源側圧縮機21の吸入における熱源側冷媒の圧力である熱源側吸入圧力Ps1を検出する熱源側吸入圧力センサ33と、熱源側圧縮機21の吐出における熱源側冷媒の圧力である熱源側吐出圧力Pd1を検出する熱源側吐出圧力センサ34と、熱源側熱交換器24の液側における熱源側冷媒の温度である熱源側熱交換器温度Thxを検出する熱源側熱交温度センサ35と、外気温度Toを検出する外気温度センサ36とが設けられている。
【0042】
−液冷媒連絡管−
液冷媒連絡管13は、液側閉鎖弁29を介して熱源側液冷媒管24aに接続されており、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態において熱源側冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器24の出口から熱源ユニット2外に熱源側冷媒を導出することが可能で、かつ、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態において熱源ユニット2外から熱源側冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器24の入口に熱源側冷媒を導入することが可能な冷媒管である。
【0043】
−ガス冷媒連絡管−
ガス冷媒連絡管14は、ガス側閉鎖弁30を介して第2熱源側ガス冷媒管23bに接続されており、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態において熱源ユニット2外から熱源側圧縮機21の吸入に熱源側冷媒を導入することが可能で、かつ、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態において熱源側圧縮機21の吐出から熱源ユニット2外に熱源側冷媒を導出することが可能な冷媒管である。
【0044】
−利用ユニット−
利用ユニット4aは、屋内に設置されており、冷媒連絡管13を介して熱源ユニット2に接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。また、利用ユニット4aは、水媒体連絡管15a、16aを介して温水暖房ユニット9aに接続されており、水媒体回路80aの一部を構成している。
【0045】
利用ユニット4aは、主として、利用側熱交換器41aと、利用側流量調節弁42aと、循環ポンプ43aとを有している。
【0046】
利用側熱交換器41aは、熱源側冷媒と水媒体との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器として機能する熱交換器であり、その熱源側冷媒が流れる流路の液側には、利用側液冷媒管45aが接続されており、その熱源側冷媒が流れる流路のガス側には、利用側ガス冷媒管54aが接続されており、その水媒体が流れる流路の入口側には、利用側水入口管47aが接続されており、その水媒体が流れる流路の出口側には、利用側水出口管48aが接続されている。利用側液冷媒管45aには、液冷媒連絡管13が接続されており、利用側ガス冷媒管54aには、ガス冷媒連絡管14が接続されており、利用側水入口管47aには、水媒体連絡管15aが接続されており、利用側水出口管48aには、水媒体連絡管16aが接続されている。
【0047】
利用側流量調節弁42aは、開度制御を行うことで利用側熱交換器41aを流れる熱源側冷媒の流量を可変することが可能な電動膨張弁であり、利用側液冷媒管45aに設けられている。
【0048】
循環ポンプ43aは、水媒体の昇圧を行う機構であり、ここでは、遠心式や容積式のポンプ要素(図示せず)が循環ポンプモータ44aによって駆動されるポンプが採用されている。循環ポンプ43aは、利用側水出口管48aに設けられている。循環ポンプモータ44aは、インバータ装置(図示せず)によって、その回転数(すなわち、運転周波数)を可変でき、これにより、循環ポンプ43aの容量制御が可能になっている。
【0049】
これにより、利用ユニット4aは、利用側熱交換器41aを冷媒連絡管14から導入される熱源側冷媒の放熱器として機能させることで、利用側熱交換器41aにおいて放熱した熱源側冷媒を液冷媒連絡管13に導出し、利用側熱交換器41aにおける熱源側冷媒の放熱によって水媒体を加熱する給湯運転を行うことが可能になっている。
【0050】
また、利用ユニット4aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、利用ユニット4aには、利用側熱交換器41aの液側における熱源側冷媒の温度である利用側冷媒温度Tsc1を検出する利用側熱交温度センサ50aと、利用側熱交換器41aの入口における水媒体の温度である水媒体入口温度Twrを検出する水媒体入口温度センサ51aと、利用側熱交換器41aの出口における水媒体の温度である水媒体出口温度Twlを検出する水媒体出口温度センサ52aとが設けられている。
【0051】
−温水暖房ユニット−
温水暖房ユニット9aは、屋内に設置されており、水媒体連絡管15a、16aを介して利用ユニット4aに接続されており、水媒体回路80aの一部を構成している。
【0052】
温水暖房ユニット9aは、主として、熱交換パネル91aを有しており、ラジエータや床暖房パネル等を構成している。
【0053】
熱交換パネル91aは、ラジエータの場合には、室内の壁際等に設けられ、床暖房パネルの場合には、室内の床下等に設けられており、水媒体回路80aを循環する水媒体の放熱器として機能する熱交換器であり、その入口には、水媒体連絡管16aが接続されており、その出口には、水媒体連絡管15aが接続されている。
【0054】
−水媒体連絡管−
水媒体連絡管15aは、温水暖房ユニット9aの熱交換パネル91aの出口に接続されている。水媒体連絡管16aは、温水暖房ユニット9aの熱交換パネル91aの入口に接続されている。
【0055】
なお、水媒体連絡管15a、16aには、温水暖房ユニット9aと並列に貯湯ユニットを接続することも可能である。
【0056】
−温水暖房運転−
次に、ヒートポンプシステム1の温水暖房運転について説明する。
【0057】
利用ユニット4aの温水暖房運転を行う場合には、熱源側冷媒回路20においては、熱源側切換機構23が蒸発運転状態(図1の熱源側切換機構23の破線で示された状態)に切り換えられ、吸入戻し膨張弁26aが閉止された状態になる。
【0058】
このような状態の熱源側冷媒回路20において、冷凍サイクルにおける低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、熱源側圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に、熱源側吐出管21bに吐出される。熱源側吐出管21bに吐出された高圧の熱源側冷媒は、油分離器22aにおいて冷凍機油が分離される。油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油は、油戻し管22bを通じて、熱源側吸入管21cに戻される。冷凍機油が分離された高圧の熱源側冷媒は、第2熱源側ガス冷媒管23b及びガス側閉鎖弁30を通じて、熱源ユニット2から冷媒連絡管14に送られる。
【0059】
冷媒連絡管14に送られた高圧の熱源側冷媒は、利用ユニット4aに送られる。利用ユニット4aに送られた高圧の熱源側冷媒は、利用側熱交換器41aに送られる。利用側熱交換器41aに送られた高圧の熱源側冷媒は、利用側熱交換器41aにおいて、循環ポンプ43aによって水媒体回路80aを循環する水媒体と熱交換を行って放熱する。利用側熱交換器41aにおいて放熱した高圧の熱源側冷媒は、利用側流量調節弁42a及び利用側液冷媒管45aを通じて、利用ユニット4aから液冷媒連絡管13に送られる。
【0060】
液冷媒連絡管13に送られた熱源側冷媒は、熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた熱源側冷媒は、液側閉鎖弁29を通じて、過冷却器27に送られる。過冷却器27に送られた熱源側冷媒は、吸入戻し管26に熱源側冷媒が流れていないため、熱交換を行うことなく、熱源側膨張弁25に送られる。熱源側膨張弁25に送られた熱源側冷媒は、熱源側膨張弁25において減圧されて、低圧の気液二相状態になり、熱源側液冷媒管24aを通じて、熱源側熱交換器24に送られる。熱源側熱交換器24に送られた低圧の冷媒は、熱源側熱交換器24において、熱源側ファン32によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。熱源側熱交換器24において蒸発した低圧の熱源側冷媒は、第1熱源側ガス冷媒管23a及び熱源側切換機構23を通じて、熱源側アキュムレータ28に送られる。熱源側アキュムレータ28に送られた低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、再び、熱源側圧縮機21に吸入される。
【0061】
一方、水媒体回路80aにおいては、利用側熱交換器41aにおける熱源側冷媒の放熱によって水媒体回路80aを循環する水媒体が加熱される。利用側熱交換器41aにおいて加熱された水媒体は、利用側水出口管48aを通じて、循環ポンプ43aに吸入され、昇圧された後に、利用ユニット4aから水媒体連絡管16aに送られる。水媒体連絡管16aに送られた水媒体は、温水暖房ユニット9aに送られる。
【0062】
温水暖房ユニット9aに送られた水媒体は、熱交換パネル91aにおいて放熱し、これにより、室内の壁際等を加熱したり室内の床を加熱する。
【0063】
−水媒体回路を循環する水媒体の流量制御−
上述の温水暖房運転における水媒体回路80aを循環する水媒体の流量制御について、図2〜3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0064】
本実施形態のヒートポンプシステム1では、まず、制御部201は、利用側熱交換器41aの出口の水系媒体出口温度Twlが目標の第1目標温度Twlsになるように圧縮機21の運転周波数を変えて冷媒循環量を制御する。なお、冷媒循環量の制御は、以下の水媒体の流量制御中も並行して行われる。
【0065】
それとともに、制御部201は、利用側熱交換器41aの出口と入口の水系媒体の出入口温度差ΔTw(=Twl−Twr)が目標の第2目標温度差である目標水媒体出入口温度差ΔTwsになるように循環ポンプ43aの運転容量を制御する。
【0066】
具体的には、図2のステップS1では、まず、循環ポンプモータ44aの回転数R(すなわち、運転周波数)を、初期値R0に設定する。
【0067】
ついで、ステップS2では、制御部201は、循環ポンプモータ44aの回転数RをR0に維持して、循環ポンプ43aを一定時間運転するように制御する。
【0068】
ついで、ステップS3では、制御部201は、利用側熱交換器41aの出口と入口の水系媒体の出入口温度差ΔTwが目標水媒体出入口温度差ΔTwsよりも大きいか否か判定する。
【0069】
水媒体出入口温度差ΔTwが目標水媒体出入口温度差ΔTwsよりも大きい状態を所定時間維持している場合には(ステップS3がYESのとき)、水媒体回路80aを循環する水媒体の流量が少ないものと判定して、循環ポンプモータ44aの回転数(すなわち、運転周波数)を大きくすることで循環ポンプ43aの運転容量が大きくなるように制御する(ステップS4〜5)。本実施形態では、制御部201は、現時点の出入口温度差ΔTwを目標水媒体出入口温度差ΔTwsへ近づけるようにPI制御を行うことによって、循環ポンプ43aの運転容量を制御する。
【0070】
ここで、PI制御は、いわゆる比例積分制御であり、入出力関係は一般的に以下の式(1)で示される。
u(t)=kp{e(t)+(1/Ti)∫e(t)dt} 式(1)
ここで、
u(t):時間tに対する操作量の関数
kp:比例ゲイン
e(t):時間tに対する偏差の関数
Ti:積分時間
である。
【0071】
PI制御は、目標値の変更や定常的な 外乱があっても偏差(誤差)を生じさせないという特長がある。
【0072】
上記のPI制御の基本式(1)に基づいて、目標の温度差ΔTwsと、利用側熱交換器の出入口の温度差ΔTwとの偏差EF(=ΔTws―ΔTw)をゼロにするPI制御を行う。この場合の循環ポンプモータ44aの回転数Rの補正値であるα値は、以下の式(2)の通りである。
α=α#+Kc×{(EF―EF#)+Kic×(EF+EF#)Δtc/2Tic} 式(2)
α#:前回のα
EF:今回の偏差
EF#:前回の偏差
Kc、Kic:ゲイン
Δtc:サンプリング時間
Tic:積分定数
【0073】
具体的には、ステップS4において、制御部201は、上の式(2)に基づいて、αを算出する。
【0074】
ついで、ステップS5において、制御部201は、循環ポンプモータ44aの回転数Rを現在の回転数からα値を加えた回転数になるように補正し、循環ポンプ43aの運転容量を制御する。その後、ステップS2へ戻る。
【0075】
一方、水媒体出入口温度差ΔTwが目標水媒体出入口温度差ΔTwsよりも小さい場合には(ステップS3がNOのとき)であり、かつ、水媒体出口温度Twlが目標の第1目標温度Twls以上のとき(ステップS6がYESのとき)には、水媒体回路80aを循環する水媒体の流量が多いものと判定して、循環ポンプモータ44aの回転数(すなわち、運転周波数)を小さくすることで循環ポンプ43aの運転容量が小さくなるように、前述と同様にPI制御を行う(ステップS7〜8)。
【0076】
具体的には、ステップS7において、制御部201は、上の式(2)に基づいて、αを算出する。
【0077】
ついで、ステップS8において、制御部201は、循環ポンプモータ44aの回転数Rを現在の回転数からα値を引いた回転数になるように補正し、循環ポンプ43aの運転容量を制御する。その後、ステップS2へ戻る。
【0078】
以上のような水媒体の流量制御により、水媒体回路80aを循環する水媒体の流量が適切に制御することが可能である。尚、目標水媒体出入口温度差ΔTwsは、利用側熱交換器41aの熱交換能力の設計条件等を考慮して設定されている。
【0079】
<室温と水媒体の流量の連動制御>
また、制御部201は、空気温度センサ203によって検知された部屋Rの内部の室温である検知空気温度Tdと室温コントローラ202によって設定された設定空気温度Tsとの空気温度差ΔTa(=Ts−Td)が所定の第3目標温度差ΔTcsよりも大きい場合には、水媒体出入口温度差ΔTwが小さくなる方向に目標水媒体出入口温度差ΔTwsを変える制御を行う。
【0080】
具体的には、図3のフローチャートに示されるように、まず、制御部201は、ステップS31において、目標水媒体出入口温度差ΔTwsを初期値T0に設定する。
【0081】
ついで、ステップS32において、制御部201は、検知空気温度Tdと室温コントローラ202によって設定された設定空気温度Tsとの空気温度差ΔTaが所定の第3目標温度差ΔTcsよりも大きいか否か判定する。
【0082】
ΔTaがΔTcsよりも大きい状態が所定時間維持されている場合には(ステップS32がYESのとき)、ステップS33において、制御部201は、目標水媒体出入口温度差ΔTwsから所定の補正値Tδを引いた値を、新たな目標水媒体出入口温度差ΔTwsとして、水媒体出入口温度差ΔTwが小さくなる方向に運転制御、すなわち、水媒体の循環量を増やす方向に循環ポンプ43aの運転容量を制御する。
【0083】
一方、ΔTaがΔTcsよりも大きい状態が所定時間維持されていない場合には(ステップS32がNOのとき)、目標水媒体出入口温度差ΔTwsを初期値T0に設定する。
【0084】
このような室温と連動した水媒体の流量制御をすることにより、温水暖房ユニット9aや他の暖房用熱交換器の負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0085】
<実施形態の特徴>
(1)
実施形態のヒートポンプシステム1では、2つの制御を並行して行っている。第1の制御として、利用側熱交換器41aの出口の水系媒体の温度Twlが目標の第1目標温度Twlsとなるように熱源側冷媒回路20における冷媒側循環量を制御して、利用側熱交換器41aの出口側の水温が所定の温度に維持するように制御する。それとともに、第2の制御として、利用側熱交換器41aの出口と入口の水系媒体の媒体温度差ΔTwが目標の第2目標温度差ΔTwsとなるように循環ポンプ43aの運転容量を制御して、従来のヒートポンプシステムでは据付時などの手動調整により固定されていた出入口の温度差を所定の温度差になるように自動的に制御する。これにより、利用側熱交換器41aの負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度変化を確実に防ぐことができる。
【0086】
(2)
したがって、利用側の負荷が減少した場合でも、第2目標温度差ΔTwsに向かって利用側熱交換器41aの出入り口温度差である媒体温度差ΔTwを大きくするPI制御することにより、温水暖房ユニット9aなどの利用側機器の中間水温設備設計温度よりも上昇することを防ぎ、暖めすぎや機器の発停も防ぐことができる。その結果、エネルギー効率が向上し、快適性も向上する。さらに、循環ポンプ43aの水量調節を自動的に行うので、温水流量の管理および調整が容易である。
【0087】
(3)
また、実施形態のヒートポンプシステム1では、制御部201は、現時点の出入口温度差ΔTwを目標水媒体出入口温度差ΔTwsへ近づけるようにPI制御を行うことによって、循環ポンプ43aの運転容量を制御する。
【0088】
したがって、本実施形態のヒートポンプシステム1では、このようなPI制御によって、現時点の出入口温度差ΔTwと目標水媒体出入口温度差ΔTwsとの偏差を無くすように温度制御できるので、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0089】
(4)
さらに、実施形態のヒートポンプシステム1では、利用側熱交換器41aにおける冷媒の凝縮によって生成された温水を用いて、部屋Rの暖房を行う。これにより、部屋Rの室温が高くなり利用側熱交換器41aの負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0090】
(5)
実施形態のヒートポンプシステム1では、制御部201は、出入口温度差ΔTwが目標水媒体出入口温度差ΔTwsより小さく、かつ利用側熱交換器41aの出口の水系媒体の温度度Twlが目標の第1目標温度Twls以上の場合には、循環ポンプ43aの運転容量を減少させる制御を行い、一方、出入口温度差ΔTwが目標水媒体出入口温度差ΔTwsより大きい場合には、循環ポンプ43aの運転容量を増加させる制御を行う。
【0091】
これにより、出入口温度差ΔTwが目標水媒体出入口温度差ΔTwsより小さく、かつ利用側熱交換器41aの出口の水系媒体の温度度Twlが目標の第1目標温度Twls以上の場合には、利用側熱交換器41aの負荷が減少したと判断して、水系媒体の過度な温度上昇をより確実に防ぐことができる。
【0092】
(6)
実施形態のヒートポンプシステム1では、制御部201は、空気温度センサ203によって検知された検知空気温度Tdと室温コントローラ202によって設定された設定空気温度Tsとの差ΔTa(=Ts−Td)が所定の第3目標温度差ΔTcsよりも大きい場合には、出入口温度差ΔTwが小さくなる方向に目標水媒体出入口温度差ΔTwsを変える。
【0093】
このような室温と連動した水媒体の流量制御をすることにより、室温が設定温度よりも十分高くなって利用側熱交換器41aの負荷が減少した場合には、出入口温度差ΔTwが小さくなる方向に目標水媒体出入口温度差ΔTwsを変えて、循環ポンプ43aの運転容量を増加させる制御を行うので、水系媒体の過度な温度上昇をより確実に防ぐことができる。
【0094】
したがって、例えば、ヒートポンプシステム1のウォーミングアップ時などに能力が不足している場合には、目標水媒体出入口温度差ΔTwsを自動的に変更することにより、循環ポンプ43aの運転容量を変更することが可能である。したがって、室温コントローラ202を用いて設定空気温度Tsを変更する必要がなくなる。
【0095】
<変形例>
(A)
なお、上記実施形態では、本発明のヒートポンプシステム1の一例として、発明の理解を容易にするために、利用側に1基の利用ユニット4aが設けられている例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、液冷媒連絡管13およびガス冷媒連絡管14には、利用ユニット4aと並列に他の利用ユニット(室内空調ユニット等)を接続することも可能である。この場合も、上記実施形態の運転制御を行うことにより、利用側熱交換器41aの負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0096】
(B)
さらに、上記実施形態のヒートポンプシステム1では、利用ユニット4aとして、利用側熱交換器41aにより熱源側冷媒回路20の冷媒と水媒体回路80aの水との間で直接熱交換を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱源側冷媒回路20と水媒体回路80aとの間に別の冷媒回路を介在させてカスケード式のヒートポンプシステムを構成してもよい。この場合も、上記実施形態の運転制御を行うことにより、利用側熱交換器41aの負荷が減少した場合であっても、水系媒体の過度な温度上昇を確実に防ぐことができる。
【0097】
(C)
また、上記実施形態のヒートポンプシステム1では、温水床暖房を行うヒートポンプシステムを礼に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ヒートポンプシステム1における熱源側切換機構23を切り換えて熱源側冷媒回路20における冷媒の流れを逆転し、利用側熱交換器41aにおける冷媒の蒸発によって生成された冷水を用いて部屋Rの冷房を行ってもよい。この場合には、上記の運転制御を行うことにより、利用側熱交換器41aの負荷が減少した場合に、水系媒体の過度な温度低下を確実に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、水系媒体を循環するヒートポンプシステムに種々適用することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 ヒートポンプシステム
2 熱源ユニット
4a 利用ユニット
12 吐出冷媒連絡管
13 液冷媒連絡管
14 ガス冷媒連絡管
20 熱源側冷媒回路
21 熱源側圧縮機
23 熱源側切換機構
24 熱源側熱交換器
41a 利用側熱交換器
42a 利用側流量調節弁
43a 循環ポンプ
80a 水媒体回路
201 制御部
202 室温コントローラ
203 空気温度センサ
204 水温コントローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開2003−314838号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(21)と、冷媒と水系媒体との間で熱交換を行う利用側熱交換器(41a)と、膨張弁(25、42a)と、熱源側熱交換器(24)が環状に接続された冷媒回路(20)と、
前記利用側熱交換器(41a)における水系媒体の熱交換器入口温度を測定する入口温度センサ(51a)と、
前記利用側熱交換器(41a)における水系媒体の熱交換器出口温度を測定する出口温度センサ(52a)と、
前記水系媒体を環状の温水回路の内部で循環させる容量可変型の循環ポンプ(43a)と、
前記利用側熱交換器(41a)の出口の水系媒体の温度が目標の第1目標温度(Twls)となるように前記冷媒回路における冷媒側循環量を制御するとともに、前記利用側熱交換器(41a)の出口と入口の水系媒体の媒体温度差(ΔTw)が目標の第2目標温度差(ΔTws)となるように前記循環ポンプ(43a)の運転容量を制御する制御部(201)と
を備えているヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記制御部(201)は、現時点の前記媒体温度差(ΔTw)を前記第2目標温度差(ΔTws)へ近づけるようにPI制御を行うことによって、前記循環ポンプ(43a)の運転容量を制御する
請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記利用側熱交換器(41a)における冷媒の凝縮によって生成された温水を用いて、対象空間の暖房を行う
請求項1または2に記載のヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記制御部(201)は、前記媒体温度差(ΔTw)が前記第2目標温度差(ΔTws)より小さく、かつ前記利用側熱交換器(41a)の出口の水系媒体の温度が前記第1目標温度(Twls)以上の場合には、前記ポンプの運転容量を減少させる制御を行い、一方、前記媒体温度差(ΔTw)が前記第2目標温度差(ΔTws)より大きい場合には、前記循環ポンプ(43a)の運転容量を増加させる制御を行う
請求項3に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
暖房を行う前記対象空間の空気温度を設定する空気温度設定手段(202)と、
前記空気温度を検知する空気温度検知手段(203)と
をさらに備えており、
前記制御部(201)は、前記空気温度検知手段(203)によって検知された検知空気温度と前記空気温度設定手段(202)によって設定された設定空気温度との空気温度差(ΔTa)が所定の第3目標温度差(ΔTcs)よりも大きい場合には、前記媒体温度差(ΔTw)が小さくなる方向に前記第2目標温度差(ΔTws)を変更する
請求項4に記載のヒートポンプシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−196946(P2010−196946A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40980(P2009−40980)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(510048875)ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ. (4)
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
【Fターム(参考)】