説明

ビアリール化合物の製造方法

【課題】触媒の再利用が可能であり、有機溶媒を要しないビアリール化合物の製造プロセスを提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される第1の芳香族化合物と、下記一般式(2)で表される第2の芳香族化合物とを、パラジウム触媒、有機第4級アンモニウム塩及び水の共存下にクロスカップリング反応させる、下記一般式(3)で表されるビアリール化合物の製造方法。


(式中、環A及び環Bは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を示し、Xはボロン酸若しくはそのエステルの残基又は3置換シリル基を示し、Yは−COOH、−R−COOH(Rは炭素数1〜6の置換又は非置換の2価の炭化水素基)又は−SO3Hを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビアリール化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビアリール化合物は、抗肥満薬、抗腫瘍薬、抗炎症薬、血圧降下薬などの医薬中間体やシントンとして利用価値の高い化合物であり、一般に鈴木カップリング反応や、ハロゲン化ビアリール化合物へのカルボキシル基の導入等により製造されている。ビアリール化合物の製造においては、通常、反応基質を溶解させるために、メタノール等のアルコール類、トルエン等の炭化水素類、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、THF等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類などの有機溶媒が使用されている(特許文献1)。
しかしながら、有機溶媒は人や環境に有害であるだけなく、工業的生産では大量に使用されるためコスト的に不利となる。
【0003】
このような問題を解決すべく、Pd−C存在下、リン酸水素二ナトリウムを溶解した弱酸性水溶液中にて鈴木カップリング反応によりビアリール化合物を製造する方法(特許文献2)や、炭酸カリウム、水酸化カリウム等の無機塩基及び固定化Pd触媒の存在下、水溶媒中にて鈴木カップリング反応によりビアリール化合物を製造する方法が提案されている(非特許文献1〜4)。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/029045号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/113258号パンフレット
【非特許文献1】Y. Uozumi et.al., J. Org. Chem., 1999, 64, 3384
【非特許文献2】Y. Uozumi et.al., Org. Lett., 2002, 17, 2997
【非特許文献3】D. N. Korolev et.al., Tetrahedron Lett., 2005, 46, 5751
【非特許文献4】M. L. Kantam et.al., Tetrahedron, 2007, 63, 8002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水を溶媒として使用すると、生成物が反応液中に析出するため反応後において生成物とPd触媒を分離し難く、有機溶媒による抽出や洗浄が不可欠となることから、真の環境調和型反応プロセスとは言い難い。また、固定化Pd触媒は高価であり、しかも工業的生産では使用量が多くなるため、触媒の再利用が求められるが、水を使用しない製造プロセスにおいてはその実用化の障害になってしまう。
【0006】
このように、従来の製造方法においては、有機溶媒を使用しないと、パラジウム触媒のリサイクルが課題となるが、環境保全の立場から有機溶媒を使用しない製造プロセスの創製が期待されている。
したがって、本発明は、触媒の再利用が可能であり、有機溶媒を要しないビアリール化合物の製造プロセスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる実情において、本発明者は鋭意検討した結果、異種の芳香族化合物を用いたクロスカップリング反応を、パラジウム触媒、有機第4級アンモニウム塩及び水の共存下に行うことで、パラジウム触媒の再利用が可能であり、有機溶媒を要しないビアリール化合物の製造プロセスが構築されることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される第1の芳香族化合物と、下記一般式(2)で表される第2の芳香族化合物とを、パラジウム触媒、有機第4級アンモニウム塩及び水の共存下にクロスカップリング反応させる、下記一般式(3)で表されるビアリール化合物の製造方法を提供するものであり、具体的には下記のスキーム1に表すことができる。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、環Aは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を示し、環Bは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を示し、Xはボロン酸若しくはそのエステルの残基又は3置換シリル基を示し、Yは−COOH、−R−COOH(Rは炭素数1〜6の置換又は非置換の2価の炭化水素基)又は−SO3Hを示し、Zはアニオン性脱離基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に置換又は非置換の1価の基を示し、m及びnはそれぞれ独立に0〜9の整数を示す。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法においては、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応において有機第4級アンモニウム塩を共存させることで、溶媒として水のみを使用する反応条件でも生成物が反応液中に析出することがないため、反応後の後処理において有機溶媒を用いずに生成物とパラジウム触媒を容易に分離してパラジウム触媒を回収し、それを再利用することが可能である。したがって、本発明の製造方法は、製造に要する労力(工程数、時間等)及びコストを大幅に軽減することができるだけでなく、環境保全に資することができるため、工業的規模でのビアリール化合物の製造に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本明細書において使用する、各式中の記号の定義を説明する。
環A及び環Bは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であるが、これらは単環、縮合環及び鎖状多環のいずれであってよい。芳香族炭化水素環としては、例えば、炭素数6〜14の芳香族炭化水素環が例示され、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環等が例示される。また、芳香族複素環としては、例えば、1〜3個の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む総員数5〜14の芳香族複素環が例示され、具体的には、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環等が例示される。
環A及び環Bとしてはベンゼン環、ナフタレン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環が好適であり、特に環Bとしてはベンゼン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環が好適である。
【0013】
Xにおけるボロン酸又はそのエステルの残基としては、式−B(OR02で表される基が好適である。ここで、R0は水素原子、アルキル基、又は2つのR0が一緒になってそれぞれ隣接する酸素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を示すが、当該アルキル基としては、例えば、炭素数1〜8の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロへキシル等が例示される。中でも、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好適であり、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好適である。また、2つのR0が一緒になってそれぞれ隣接する酸素原子とともに形成される複素環基としては、4〜8員環が好適であり、特に5〜6員環が好適である。なお、複素環基は、例えば、上記したアルキル基、後述するアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されていてもよく、置換基の位置及び数は任意であって特に限定されるものではない。2個以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
また、Xにおける三置換シリル基としては、例えば、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基、アルキルジアリールシリル基、アリールジアルキルシリル基、トリアリールシリル基等が例示される。トリアルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が例示され、またトリアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリt−ブトキシシリル基等が例示される。アルキルジアリールシリル基としては、例えば、t−ブチルジフェニルシリル基等が例示され、またアリールジアルキルシリル基としては、例えば、フェニルジメチルシリル基等が例示され、更にトリアリールシリル基としては、例えば、トリフェニルシリル基等が例示される。中でも、トリアルコキシシリル基が好適であり、特にトリC1-4アルコキシシリル基が好適である。
【0014】
Yは−COOH、−R−COOH又は−SO3Hであり、−R−COOHにおけるRは炭素数1〜6の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示すが、かかる2価の炭化水素基としては炭素数1〜6であれば飽和又は不飽和でも、直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、更にハロゲン原子、水酸基又は後述するアルコキシ基で置換されていてもよい。2価の炭化水素基としては、炭素数が1〜4のものが好適であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、ビニレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、1−プロペニレン基、テトラメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−メチルトリメチレン基、1−ブテニレン基等が例示される。中でも、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、テトラメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−メチルトリメチレン基が好適である。
【0015】
Zにおけるアニオン性脱離基としては、例えば、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキルスルホン酸基、置換又は非置換のアリールスルホン酸基等が例示される。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好適であり、その置換位置は環Bがベンゼン環であるとき3位又は4位が好適である。なお、環Bがハロゲン原子で置換されている場合、反応選択性の点から、R2よりもZのハロゲン原子の方が強い活性を有することが望ましい。
また、アルキルスルホン酸基としては、例えば、C1-16アルキルスルホン酸基が例示される。C1-12アルキルスルホン酸基としては、例えば、メタンスルホン酸基、エタンスルホン酸基、プロパンスルホン酸基、イソプロピルスルホン酸基、ブタンスルホン酸基、オクチルスルホン酸基、ヘキサデカンスルホン酸基等が例示される。また、置換アルキルスルホン酸基としては、例えば、ハロゲン置換アルキルスルホン酸基等が例示される。ハロゲン置換アルキルスルホン酸基としては、トリフルオロメタンスルホン酸基、トリクロロメタンスルホン酸基、クロロエタンスルホン酸基、トリフルオロエタンスルホン酸基、パーフルオロブタンスルホン酸基、パーフルオロオクタンスルホン酸基等が例示される。
中でも、ハロゲン化アルキルスルホン酸基が好適であり、特にトリフルオロメタンスルホン酸基が好適である。
更に、アリールスルホン酸基としては、例えば、ベンゼンスルホン酸基、ナフタレンスルホン酸基等が例示される。置換アリールスルホン酸基としては、ハロゲン置換アリールスルホン酸基、アルキル置換アリールスルホン酸基、ハロゲン化アルキル置換アリールスルホン酸基、ニトロ置換アリールスルホン酸基等が例示される。ハロゲン置換アリールスルホン酸基としては、例えば、フルオロベンゼンスルホン酸基、クロロベンゼンスルホン酸基、ブロモベンゼンスルホン酸基、ヨードベンゼンスルホン酸基、ジクロロベンゼンスルホン酸基、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸基等が例示され、またアルキル置換アリールスルホン酸基としては、例えば、p−トルエンスルホン酸基、tert−ブチルベンゼンスルホン酸基、トリイソプロピルベンゼンスルホン酸基等が例示される。ハロゲン化アルキル置換アリールスルホン酸基としては、例えば、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸基等が例示され、またニトロ置換アリールスルホン酸基としては、例えば、ニトロベンゼンスルホン酸基等が例示される。
中でも、ハロゲン化アルキル置換アリールスルホン酸基が好適であり、特にトリフルオロメチルベンゼンスルホン酸基が好適である。
【0016】
1及びR2おける1価の基としては、R3及びR5、すなわち、1価の炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、ニトロ基、チオール基、シアノ基、アミノ基又は水酸基等が好適である。
1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖状、分枝状又は環状の炭素数1〜20、特に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が好適である。直鎖状又は分枝状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が例示され、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好適である。また、環状アルキル基としては、例えば、炭素数3〜10、特に炭素数3〜6の環状アルキル基が好適である。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が例示される。中でも、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が好適である。炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。1価の炭化水素基は、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基で置換されていてもよく、例えば、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基等が例示され、中でもトリフルオロメチル基、ブロモメチル基が好適である。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6、特に炭素数1〜4のアルコキシ基が好適である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が例示され、中でもメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好適である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
なお、R4における、置換若しくは非置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、ニトロ基、チオール基、シアノ基フェニル基、アミノ基又は水酸基は上記と同義である。
また、X、Y、Z、R1、R2、R3、R4及びR5の芳香環上の置換位置は任意であり、更にR1〜R5が2個以上有する場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0017】
m及びnは0〜9の整数であるが、0〜3の整数、更に0〜2の整数、特に0又は1が好適である。
aは0〜5の整数であるが、0〜2の整数、特に0又は1が好適である。
bは0〜4の整数であるが、0〜2の整数、特に0又は1が好適である。
cは0〜4の整数であるが、0又は1が好適である。
【0018】
次に、本発明のビアリール化合物の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、第1の芳香族化合物と第2の芳香族化合物とをクロスカップリン反応により炭素−炭素結合を形成させてビアリール化合物を得るものであるが、このクロスカップリング反応をパラジウム触媒、有機第4級アンモニウム塩及び水の共存下に行うことを特徴とする。
【0019】
本発明で使用する第1の芳香族化合物は上記一般式(1)で表されるものであるが、下記一般式(4)で表されるものが好適である。
【0020】
【化2】

【0021】
一般式(4)中、Q1は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、−CH2=CH2−又は下記式(5)で表される2価の芳香族炭化水素基を示し、X、R3、R4、a及びbの定義は上記のとおりである。
【0022】
【化3】

【0023】
また、第2の芳香族化合物は上記一般式(2)で表されるものであるが、下記一般式(6)で表されるものが好適であり、特に下記一般式(8)で表されるものが好適である。
【0024】
【化4】

【0025】
【化5】

【0026】
一般式(8)及び(9)中、Q2は窒素原子、酸素原子、硫黄原子又は−CH2=CH2−を示し、Q1、Y、Z、R5及びcの定義は上記のとおりである。
【0027】
これら芳香族化合物から得られるビアリール化合物としては、下記一般式(7)で表されるものが好適であり、特に下記一般式(9)で表されるものが好適である。
【0028】
【化6】

【0029】
【化7】

【0030】
一般式(7)及び(9)中、Q1、Q2、Y、R3、R5、a及びcの定義は上記のとおりである。
【0031】
本発明において好適な化合物の組み合わせの具体例に下表に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表中の略号は、次のとおりである。
Me:メチル基、Tf:トリフルオロメタンスルホニル基
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【0038】
【表7】

【0039】
本発明で使用するパラジウム触媒としては、担体にパラジウムが固定化されているものが好適である。担体としては、活性炭、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、ゼオライト、高分子化合物等が例示される。高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリスチレン−ポリエチレングリコール共重合体等が例示される。これら中で、活性炭、シリカ又は高分子化合物にPdを担持させた触媒が好適である。具体的には、パラジウム−炭素、パラジウム−シリカ、ポリアニリン−パラジウムが好適であり、特にパラジウム−炭素がコストの点から好適である。
パラジウムの担持量は特に制限されないが、担体の質量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは3〜7質量%である。
パラジウム触媒の使用量の下限は、第1の芳香族化合物の質量に対して、好ましくは0.5質量%、特に好ましくは2.0質量%であり、他方上限は好ましくは10質量%、特に好ましくは5質量%である。このような使用量とすることで、反応を促進させて副生成物の生成を抑制することができる。
【0040】
有機第4級アンモニウム塩としては、有機第4級アンモニウムヒドロキシド、第4級アンモニウム含有陰イオン交換樹脂等が好適である。
有機第4級アンモニウムヒドロキシドとしては、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、グリシジルトリアルキルアンモニウムヒドロキシド、クロロヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリアルキルアンモニウムヒドロキシド等が例示される。中でも、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好適である。なお、窒素原子に結合したアルキル基は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、更に炭素数1〜8の直鎖アルキル基、特に炭素数1〜6の直鎖アルキル基が好適である。
【0041】
テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジエチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等が例示され、中でもテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
グリシジルトリアルキルアンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが例示され、クロロヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、クロロヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが例示される。また、ベンジルトリアルキルアンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシドが例示される。
第4級アンモニウム含有陰イオン交換樹脂としては、例えば、ベンゼン環にトリメチルアンモニウム基を有するポリスチレン樹脂(強塩基性陰イオン交換樹脂)、ベンゼン環にジメチルエタノールアンモニウム基を有するポリスチレン樹脂(強塩基性陰イオン交換樹脂)が例示される。
【0042】
有機第4級アンモニウム塩の使用量の下限は、第1の芳香族化合物1当量に対して、好ましくは1.5当量、特に好ましくは2.25当量であり、他方上限は好ましくは10当量、更に好ましくは7当量、特に好ましくは5当量である。このような使用量とすることで、生成物が反応液中に析出し難くなり、反応後においてパラジウム触媒の分離、回収を容易に行うことができる。
【0043】
本発明においては溶媒として水を使用するが、水としては水道水、蒸留水、イオン交換水等が例示され、中でも水道水がコストの点から好適である。
水の使用量の下限は、第1の芳香族化合物の質量に対する容量比で、好ましくは4倍量(v/w、以下同様)、特に好ましくは10倍量であり、他方上限は好ましくは100倍量、特に好ましくは30倍である。このような使用量とすることで、副生成物の生成を抑制することができる。
【0044】
各試薬の添加順序は特に限定はなく、順次又は同時に添加することができるが、第1及び第2の芳香族化合物に、有機第4級アンモニウム塩及びパラジウム触媒を添加するのが好ましい。
第2の芳香族化合物の使用量は、第1の芳香族化合物1当量に対して、好ましくは0.5〜2当量、更に好ましくは0.6〜1.5当量、特に好ましくは0.67〜1.1当量である。このような配合割合とすることで、クロスカップリング反応をより一層促進させることができる。
【0045】
反応温度は、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜90℃であり、また反応時間は、好ましくは0.5〜50時間、特に好ましくは1〜10時間である。
【0046】
反応終了後、反応液を冷却し濾過することで、パラジウム触媒を反応系外に除去し回収する。次いで、濾液に酸を添加して中和し晶析させた後、濾過することでビアリール化合物を単離することができる。中和に使用する酸としては、無機酸が好適に使用され、特に塩酸が好ましい。
また、基Yが−SO3Hである化合物の場合、結晶性を高めるために、反応液を濾過して得られた濾液にアルカリ金属の水酸化物又は炭酸化物等の水溶液を添加し、スルホン酸をアルカリ金属塩の形態にして晶析させた後、濾過することで目的物を単離することが好ましい。
なお、回収されたパラジウム触媒は、本発明の製造方法にそのまま再利用することが可能である。
【0047】
このように、本発明の製造方法においては、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応において有機第4級アンモニウム塩を使用することで、クロスカップリング反応のみならず反応後の後処理においても有機溶媒を全く使用する必要がなく、しかもパラジウム触媒を簡便な手段により回収し再利用することができるため、真の環境調和型反応プロセスとして極めて有用である。
【0048】
また、本発明の製造方法においては、上記のとおり、原料化合物及び生成物が水に溶解し、パラジウム触媒の再利用が可能であることから、次のフロー式合成法によりビアリール化合物を連続的に製造することができる。すなわち、第1の芳香族化合物と、第2の芳香族化合物と、有機第4級アンモニウム塩と、水を含む溶液を、パラジウム触媒を充填したカラムリアクターに通過させて連続的に反応させる。なお、各試薬の使用量、反応温度等の反応条件は、上記において説明したとおりである。
【0049】
図1は、フロー式合成装置の一例を示す模式図である。なお、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
フロー式合成装置10は、原料溶液1を送液するための送液ポンプ2と、原料溶液1を予備加熱するための予備加熱部3と、クロスカップリング反応させるためのカラムリアクター4と、反応後の溶液を貯蔵するための貯蔵槽5とから構成されている。
カラムリアクターの材質は、耐食性であって、本反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えば、SUSが好適である。また、カラムの大きさは適宜選択することが可能であるが、例えば、内径が3〜10mmであり、長さが200〜1000mmである。
カラムリアクターは所定の反応温度に加熱されるが、加熱手段としては、公知のものを使用することができ、例えば、リボンヒーターやオイルバス等が例示される。
予備加熱部としては、原料溶液を所定の反応温度に加熱できれば特に限定されないが、例えば、SUS製の配管を使用することができ、また上記と同様の加熱手段を採用することができる。なお、予備加熱部及びカラムリアクターには、温度制御するための温度センサーを設置することが好ましい。
【0050】
フロー式合成装置を用いたビアリール化合物の製造手順は、例えば、次のとおりである。まず、合成装置内を水で置換する。次いで、予備加熱部及びカラムリアクターを所定の反応温度に加熱する。次いで、予備加熱部及びカラムリアクターの温度が安定したら、所定濃度に調製した原料溶液を送液ポンプにより予備加熱部に送給し、更にカラムリアクターに送給してカラムリアクター内で第1の芳香族化合物と第2の芳香族化合物をクリスカップリング反応させる。なお、原料溶液の送液速度は、原料化合物の濃度や触媒量等により適宜設定することが可能であるが、例えば、原料溶液中で第1の芳香族化合物の濃度が0.2〜0.3mmol/Lであり、パラジウム触媒として5% Pd/C (50%wet) 3.5g使用した場合に0.01〜10mL/min、特に0.5〜1.5mL/minであることが好ましい。そして、反応後の溶液は貯蔵槽5に送出される。その際、得られた反応液をサンプリングして反応状態をTLC等により分析することが好ましい。
なお、反応後の溶液の後処理は、上記において説明したとおりである。
【0051】
このような連続フロー式合成法を採用することで、パラジウム触媒と反応物との分離操作が不要になるため、より一層効率的に、かつ大量にビフェノール化合物を製造することができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
Biphenyl-4-carboxylic acid の合成
Phenylboronic acid 5.0g (41.01mmol)、4-bromo-benzoic acid 8.00g (39.78mmol, 0.97eq.)に26%Me4N・OH水溶液 32.35g (92.27mmol, 2.25eq.)を加え室温下攪拌溶解した。溶解後、水道水 150mL (30v/w)と5% Pd/C STD type 125mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水30mLで洗浄した。ろ液を0.5M HCl水溶液 131mL (65.50mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-4-carboxylic acid (7.73g, 98%)を得た。
【0054】
(実施例2)
Biphenyl-4-carboxylic acid の合成
Phenylboronic acid 1.0g (8.20mmol)、4-iodo-benzoic acid 2.03g (8.20mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 6.47g (18.45mmol, 2.25eq.)を加え室温下攪拌した。室温攪拌下、水道水 30mL (30v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で2時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水6mLで洗浄した。ろ液を1M HCl水溶液 14mL (14.00mmol, 1.7eq)で中和し晶析させた。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-4-carboxylic acid (1.60g, 98%)を得た。
【0055】
(実施例3)
Biphenyl-4-carboxylic acid の合成
Phenylboronic acid 226mg (1.85mmol)、4-trifluoromethanesulfonyloxy-benzoic acid 500mg (1.85mmol, 1.0eq.)、5% Pd/C STD type 6mg (0.025w/w)に水道水 6.8mL (30v/w)を加え室温下攪拌した。室温攪拌下、26%Me4N・OH水溶液 1.46g (4.16mmol, 2.25eq.)を加えAr置換下、外温80℃で4時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水1.4mLで洗浄した。ろ液を1M HCl水溶液 3.2mL (3.15mmol, 1.7eq)で中和し晶析させた。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-4-carboxylic acid (206mg, 56%)を得た。
【0056】
(実施例4)
Biphenyl-4-carboxylic acid の合成
Trimethoxyphenylsilane 1.0g (5.04mmol)、4-iodo-benzoic acid 0.63g (2.52mmol, 0.50eq.)に26%Me4N・OH水溶液 3.98g (11.34mmol, 2.25eq.)を加え室温下攪拌を開始した。攪拌下、水道水 25mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、46時間加熱還流した。室温冷却後,Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水6mLで洗浄した。ろ液を0.5M HCl水溶液 21mL (10.5mmol, 2.1eq)で中和し晶析させた。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-4-carboxylic acid(415mg, 83%)を得た。
【0057】
(実施例5)
Biphenyl-3-carboxylic acid の合成
Phenylboronic acid 1.0g (8.20mmol)、3-bromo-benzoic acid 1.65g (8.20mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 6.47g (18.45mmol, 2.25eq.)を加え室温下攪拌した。室温攪拌下、水道水 25mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水6mLで洗浄した。ろ液を0.5M HCl水溶液 26mL (13.0mmol, 1.6eq)で中和し中和晶析させた。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-3-carboxylic acid (1.58g, 97%)を得た。
【0058】
(実施例6)
3-Fluoro-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
Phenylboronic acid 1.0g (8.20mmol)、4-bromo-2-fluoro-benzoic acid 1.80g (8.20mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 6.47g (18.45mmol, 2.25eq.)を加え外温50℃で攪拌溶解した。溶解後、水道水 25mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液に6M HCl水溶液 2.2mL (13.12mmol, 1.6eq)を滴下して中和晶析した後、水道水10mLを追加して30分間攪拌した。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥して3-fluoro-biphenyl-4-carboxylic acid (1.67g, 94%)を得た。
【0059】
(実施例7)
4'-Fluoro-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
4-Fluoro-phenylboronic acid 500mg (3.57mmol)、4-bromo-benzoic acid 718mg (3.57mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 2.50g (7.14mmol, 2.0eq.)、水道水 17mL (34v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 12.5mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1時間反応した。室温冷却後,Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水5mLで洗浄した。ろ液を1M HCl水溶液 4mL (4mmol, 1.12eq)で中和し晶析させた。晶析液に水道水10mLを加え5分間攪拌した後、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-fluoro-biphenyl-4-carboxylic acid (0.73g, 94%)を得た。
【0060】
(実施例8)
4'-Chloro-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
4-Chloro-phenylboronic acid 1.0g (6.40mmol)、4-bromo-benzoic acid 1.29g (6.40mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 5.05g (14.40mmol, 2.25eq.)、水道水 25mL (25v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で2時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 1.7mL (10.20mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析液に水道水30mLを加えた後、氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-chloro-biphenyl-4-carboxylic acid (1.48g, 99%)を得た。
【0061】
(実施例9)
4'-Methoxy-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
4-Methoxy-phenylboronic acid 1.0g (6.58mmol)、4-bromo-benzoic acid 1.32g (6.58mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 5.19g (14.81mmol, 2.25eq.)、水道水 25mL (25v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 1.75mL (10.53mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析液に水道水15mLを加えた後、氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-methoxy-biphenyl-4-carboxylic acid (1.29g, 86%)を得た。
【0062】
(実施例10)
4'-Trifluoromethyl-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
4-Trifluoromethyl-phenylboronic acid 1.0g (5.27mmol)、4-bromo-benzoic acid 1.06g (5.27mmol, 1.0eq.) に26%Me4N・OH水溶液 4.16g (11.86mmol, 2.25eq.)を加え外温50℃で攪拌溶解した。溶解後、水道水 10mL (10v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 1.7mL (8.40mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥して4'-trifluoromethyl-biphenyl-4-carboxylic acid (1.25g, 89%)を得た。
【0063】
(実施例11)
4'-Methyl-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
4-Methyl-phenylboronic acid 3.0g (22.07mmol)、4-bromo-benzoic acid 4.44g (22.07mmol, 1.0eq.) に26%Me4N・OH水溶液 17.41g (49.66mmol, 2.25eq.)を加え外温50℃で攪拌溶解した。溶解後、5% Pd/C STD type 75mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水30mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 5.9mL (35.40mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析液に水道水30mLを加えた後、氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-methyl-biphenyl-4-carboxylic acid (4.56g, 97%)を得た。
【0064】
(実施例12)
2'-Methyl-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
2-Methyl-phenylboronic acid 1.0g (7.36mmol)、4-bromo-benzoic acid 1.48g (7.36mmol, 1.0eq.) に26%Me4N・OH水溶液 5.81g (16.56mmol, 2.25eq.)を加え外温80℃で攪拌溶解した。溶解後、水道水 25mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 2.0mL (12.00mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析液に水道水10mLを加えた後、氷冷下1.5時間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して2'-methyl-biphenyl-4-carboxylic acid (1.49g, 95%)を得た。
【0065】
(実施例13)
4'-Ethyl-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
4-Ethyl-phenylboronic acid 3.0g (20.00mmol)、4-bromo-benzoic acid 4.02g (20.00mmol, 1.0eq.) に26%Me4N・OH水溶液 15.78g (45.00mmol, 2.25eq.)を加え外温60℃で攪拌した。加温攪拌下、水道水 75mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 75mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で2.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水15mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 5.3mL (31.80mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析液に水道水45mLを加えた後、室温下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-ethyl-biphenyl-4-carboxylic acid (4.48g, 99%)を得た。
【0066】
(実施例14)
4'-Octyl-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
4-Octyl-phenylboronic acid 200mg (0.85mmol)、4-bromo-benzoic acid 166mg (0.83mmol, 0.97eq.)に26%Me4N・OH水溶液 673mg (1.92mmol, 2.25eq.)、水道水 5mL (25v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 5mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温100℃で2時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水2mLで洗浄した。ろ液を1M HCl水溶液 1.4mL (1.40mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。室温下1時間攪拌し、析出した結晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-octyl-biphenyl-4-carboxylic acid (254mg, 99%)を得た。
【0067】
(実施例15)
4'-Hydroxy-biphenyl-4-carboxylic acid の合成
4-Bromo-benzoic acid 1.27g (6.30mmol, 0.87eq.)に26%Me4N・OH水溶液 5.72g (16.31mmol, 2.25eq.)を加え室温下、攪拌溶解した。溶解後、5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)および4-hydroxy-phenylboronic acid 1.0g (7.25mmol)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 1.93mL (11.58mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析液に水道水25mLを加えた後、氷冷下30分間攪拌し、析出した結晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-hydroxy-biphenyl-4-carboxylic acid (1.30g, 96%)を得た。
【0068】
(実施例16)
4-Naphthalen-1-yl-benzoic acid の合成
1-Naphthaleneboronic acid 1.0g (5.81mmol)、4-bromo-benzoic acid 1.06g (5.28mmol, 0.9eq.)に26%Me4N・OH水溶液 4.58g (13.07mmol, 2.25eq.)、水道水 25mL (25v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。反応終了後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 1.41mL (8.46mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析液に水道水10mLを加えた後、氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4-naphthalen-1-yl-benzoic acid (1.20g, 92%)を得た。
【0069】
(実施例17)
4-Naphthalen-2-yl-benzoic acid の合成
2-Naphthaleneboronic acid 1.0g (5.81mmol)、4-bromo-benzoic acid 1.17g (5.81mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 4.58g (13.07mmol, 2.25eq.)、水道水 30mL (30v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1時間反応した。反応後、Pd/Cを熱時吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 1.9mL (11.4mmol, 2.0eq)で中和し晶析させた。氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4-naphthalen-2-yl-benzoic acid (1.19g, 83%)を得た。
【0070】
(実施例18)
4-Furan-2-yl-benzoic acid の合成
2-Furanboronic acid 1.20g (10.72mmol)、4-iodo-benzoic acid 1.77g (7.15mmol, 0.67eq.)に26%Me4N・OH水溶液 7.06g (20.14mmol, 1.88eq.)、水道水 25mL (21v/w)を加え攪拌溶解した後、5% Pd/C STD type 25mg (0.021w/w)を加えAr置換下、外温45℃で6時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 2.4mL (14.4mmol, 1.34eq)で中和し晶析させた。室温下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4-Furan-2-yl-benzoic acid (1.23g, 91%)を得た。
【0071】
(実施例19)
4-Furan-3-yl-benzoic acid の合成
3-Furanboronic acid 525mg (4.69mmol)、4-iodo-benzoic acid 942mg (3.80mmol, 0.81eq.)に26%Me4N・OH水溶液 3.53g (10.06mmol, 2.14eq.)、水道水 12.5mL (24v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 12.5mg (0.024w/w)を加えAr置換下、外温45℃で5.5時間反応した。反応後、Pd/Cを熱時吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水30mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 1.2mL (7.20mmol, 1.54eq)で中和し晶析させた。氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4-Furan-3-yl-benzoic acid (680mg, 95%)を得た。
【0072】
(実施例20)
4-Thiophen-3-yl-benzoic acid の合成
3-Thiopheneboronic acid 1.0g (7.81mmol)、4-iodo-benzoic acid 1.94g (7.81mmol, 1.0eq.) に26%Me4N・OH水溶液 6.16g (17.57mmol, 2.25eq.)を加え外温45℃で攪拌溶解した。溶解後、水道水 25mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温45℃で3.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 2.1mL (12.60mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4-Thiophen-3-yl-benzoic acid (1.49g, 93%)を得た。
【0073】
(実施例21)
Biphenyl-4-sulfonic acid sodium saltの合成
Phenylboronic acid 478mg (3.92mmol)、4-bromobenzenesulfonic acid monohydrate 1.0g (3.92mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 3.09g (8.82mmol, 2.25eq.)を加え攪拌した。攪拌下、水道水 14mL (30v/w)と5% Pd/C STD type 12mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水5mLで洗浄した。ろ液に1M NaOH水溶液 7mL (7.0mmol, 1.8eq)を滴下し目的物のNa塩を析出させた。氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-4-sulfonic acid sodium salt (711mg, 71%)を得た。
【0074】
(実施例22)
4'-Methyl-biphenyl-4-sulfonic acid sodium saltの合成
4-Methyl-phenylboronic acid 1.0g (7.36mmol)、4-bromobenzenesulfonic acid monohydrate 1.88g (7.36mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 5.81g (16.56mmol, 2.25eq.)を加え攪拌溶解した。溶解後、水道水 25mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液に2M NaOH水溶液 7.5mL (15.0mmol, 2.0eq)を滴下し目的物のNa塩を析出させた。氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-Methyl-biphenyl-4-sulfonic acid sodium salt (1.73g, 87%)を得た。
【0075】
(実施例23)
2'-Methyl-biphenyl-4-sulfonic acid sodium saltの合成
2-Methyl-phenylboronic acid 300mg (2.21mmol)、4-bromobenzenesulfonic acid monohydrate 563mg (2.21mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 1.74g (4.97mmol, 2.25eq.)、水道水 7.5mL (25v/w) を加えた後、5% Pd/C STD type 7.5mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で3時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水1.5mLで洗浄した。ろ液に2M NaOH水溶液 5mL (10.0mmol, 4.5eq)を滴下し目的物のNa塩を析出させた。氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して2'-Methyl-biphenyl-4-sulfonic acid sodium salt (458mg, 76%)を得た。
【0076】
(実施例24)
4'-Chloro-biphenyl-4-sulfonic acid sodium saltの合成
4-Chloro-phenylboronic acid 300mg (1.92mmol)、4-bromobenzenesulfonic acid monohydrate 490mg (1.92mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 1.51g (4.32mmol, 2.25eq.)、水道水 7.5mL (25v/w) を加えた後、5% Pd/C STD type 7.5mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で4時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水1.5mLで洗浄した。ろ液に2M NaOH水溶液 2.7mL (5.40mmol, 2.8eq)を滴下し目的物のNa塩を析出させた。氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-Chloro-biphenyl-4-sulfonic acid sodium salt (500mg, 90%)を得た。
【0077】
(実施例25)
4'-n-Butyl-biphenyl-4-sulfonic acid sodium salt の合成
4-n-Butylbenzeneboronic acid 500mg (2.81mmol)、4-bromobenzenesulfonic acid monohydrate 717mg (2.81mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 2.22g (6.32mmol, 2.25eq.)、水道水 12.5mL (25v/w) を加えた後、5% Pd/C STD type 12.5mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水2.5mLで洗浄した。ろ液に2M NaOH水溶液 2.5mL (5.06mmol, 1.8eq)を滴下し目的物のNa塩を析出させた。氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して4'-n-Butyl-biphenyl-4-sulfonic acid sodium salt (839mg, 96%)を得た。
【0078】
(実施例26)
Biphenyl-4-yl-acetic acid の合成
Phenylboronic acid 1.0g (8.20mmol)、(4-Bromo-phenyl)-acetic acid 1.76g (8.20mmol, 1.0eq.) に26%Me4N・OH水溶液 6.47g (18.45mmol, 2.25eq.)を加え外温50℃で攪拌溶解した。溶解後、水道水25mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を0.6M HCl水溶液 22mL (13.20mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析後、氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-4-yl-acetic acid (1.64g, 94%)を得た。
【0079】
(実施例27)
(4'-Methyl-biphenyl-4-yl)-acetic acid の合成
4-Methyl-phenylboronic acid 1.0g (7.36mmol)、(4-Bromo-phenyl)-acetic acid 1.58g (7.36mmol, 1.0eq.) に26%Me4N・OH水溶液 5.81g (16.56mmol, 2.25eq.)を加え攪拌した。攪拌下、水道水25mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を1M HCl水溶液 12mL (12.00mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析後、氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して(4'-Methyl-biphenyl-4-yl)-acetic acid (1.60g, 96%)を得た。
【0080】
(実施例28)
5-25. (2'-Methyl-biphenyl-4-yl)-acetic acid の合成 (P. 6, Table 1, Run 25)
2-Methyl-phenylboronic acid 0.50g (3.68mmol)、(4-Bromo-phenyl)-acetic acid 0.79g (3.68mmol, 1.0eq.) に26%Me4N・OH水溶液 2.90g (8.28mmol, 2.25eq.)を加え攪拌した。攪拌下、水道水12.5mL (25v/w)と5% Pd/C STD type 12.5mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温80℃で1.5時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を6M HCl水溶液 0.98mL (5.88mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。晶析後、氷冷下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して(2'-Methyl-biphenyl-4-yl)-acetic acid (0.72g, 87%)を得た。
【0081】
(実施例29)
回収Pd/Cを用いたBiphenyl-4-carboxylic acid の合成
実施例2で使用し回収したPd/Cを用いて実施例2と同様の方法により反応を行った。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水30mLで洗浄した。ろ液を0.5M HCl水溶液 131mL (65.50mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-4-carboxylic acid (7.72g, 98%)を得た。
【0082】
(実施例30)
回収Pd/Cを用いたBiphenyl-4-carboxylic acid の合成
実施例30で使用し回収したPd/Cを用いて実施例2と同様の方法により反応を行った。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水30mLで洗浄した。ろ液を0.5M HCl水溶液 131mL (65.50mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、水道水で結晶を洗浄した後、減圧乾燥してbiphenyl-4-carboxylic acid (7.74g, 98%)を得た。
【0083】
(実施例31)
4-Chloro-phenylboronic acid 1.0g (6.40mmol)、 5-Bromo-furan-2-carboxylic acid 1.22g (6.40mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 5.05g (14.40mmol, 2.25eq.)、水道水 30mL (30v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下,外温100℃で30分間反応し、次いで4-Chloro-phenylboronic acid 0.4g (2.56mmol, 0.4eq.)を追加し更に1時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を1M HCl水溶液 10mL (10.00mmol, 1.6eq)で中和し晶析させた。室温下30分間攪拌し、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して5-(4-Chloro-phenyl)-furan-2-carboxylic acid (1.12g, 77%)を得た。
【0084】
(実施例32)
5-Bromo-thiophene-2-carboxylic acid 1.70g (8.20mmol) に26%Me4N・OH水溶液 6.47g (18.45mmol, 2.25eq.)、水道水 30mL (30v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下、外温100℃で攪拌溶解させ、Phenylboronic acid 1.0g (8.20mmol)を反応液に添加した。反応2.5時間後、Phenylboronic acid 0.4g (3.28mmol, 0.4eq.)を反応液に追加し更に2時間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を1M HCl水溶液 13mL (13.00mmol, 1.6eq)で中和晶析させ、室温下30分間攪拌後、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥して5-Phenyl-thiophene-2-carboxylic acid (1.40g, 84%)を得た。
【0085】
(実施例33)
Phenylboronic acid 1.0g (8.20mmol)、 (4-Bromo-phenyl)-hydroxy-acetic acid 1.89g (8.20mmol, 1.0eq.)に26%Me4N・OH水溶液 6.47g (18.45mmol, 2.25eq.)、水道水 25mL (25v/w)を加えた後、5% Pd/C STD type 25mg (0.025w/w)を加えAr置換下,外温80℃で40分間反応した。室温冷却後、Pd/Cを吸引ろ過にて除去し、残渣を水道水10mLで洗浄した。ろ液を1M HCl水溶液 13mL (13.00mmol, 1.6eq)で中和晶析させ、室温下30分間攪拌後、析出晶を吸引ろ過にてろ別した。ろ別した結晶を水道水で洗浄した後、減圧乾燥してBiphenyl-4-yl-hydroxy-acetic acid (1.80g, 96%)を得た。
【0086】
(実施例34)
Biphenyl-4-carboxylic acid の連続フロー式合成
PB 3.0g (24.6mmol)、4-BBA 4.8g (23.9mmol, 0.99eq)、 26% (CH3)4NOH 19.4g (55.4mmol, 2.25eq)を蒸留水 90mL (30v/w)に室温で溶解し原料溶液を調製した。図1と同様の構成の合成装置に送液ポンプにより水を供給し装置内を水で置換した。次いで、予備加熱部及びカラムリアクターを80〜90℃に加熱し温度が安定後、送液ポンプにより流速1.0mL/minで試原料溶液を予備加熱部及びカラムリアクターへ送液した。カラムリアクターから送出された反応後の溶液をTLC分析し、原料化合物の消失し副生成物のなく定量的に反応が進行したことを確認した。なお、カラムリアクターとして、SUS製カラム(φ4.6mm×250mm)に5% Pd/C (NX type, 50%wet) 3.5gを、蒸留水を用いて充填したものを使用した。
【0087】
(比較例1)
フラスコに4-Fluoro-phenylboronic acid 500mg (3.57mmol)、4-bromo-benzoic acid 718mg (3.57mmol, 1.0eq.)、水道水 20mL (40v/w)、 K2CO3 2.47g (17.85mmol, 5.0eq)、 5% Pd/C STD type 50mg (0.1w/w)を順次添加し、Ar置換下、外温40℃で1.5時間反応した。TLCで反応終了を確認したが、反応液中に目的物の塩が大量に析出した。外温を110℃とし加熱還流したが目的物の塩が溶解する事はなかった。
【0088】
(比較例2)
フラスコに4-Fluoro-phenylboronic acid 500mg (3.57mmol)、 4-bromo-benzoic acid 718mg (3.57mmol, 1.0eq.)、 水道水 20mL (40v/w)、 NaOH 714mg (17.85mmol, 5.0eq)、 5% Pd/C STD type 50mg (0.1w/w)を順次添加し、Ar置換下、外温40℃で2時間反応した。TLCで反応終了を確認したが、反応液中に目的物の塩が大量に析出した。外温を110℃とし加熱還流したが目的物の塩が溶解する事はなかった。
【0089】
(比較例3)
フラスコに4-Fluoro-phenylboronic acid 500mg (3.57mmol)、 4-bromo-benzoic acid 718mg (3.57mmol, 1.0eq.)、 水道水 20mL (40v/w)、 KOH 1000mg (17.85mmol, 5.0eq)、 5% Pd/C STD type 50mg (0.1w/w)を順次添加し、Ar置換下、外温40℃で2時間反応した。TLCで反応終了を確認したが、反応液中に目的物の塩が大量に析出した。外温を110℃とし加熱還流したが目的物の塩が溶解する事はなかった。
【0090】
(比較例4)
フラスコに4-Fluoro-phenylboronic acid 500mg (3.57mmol)、 4-bromo-benzoic acid 718mg (3.57mmol, 1.0eq.)、 水道水 20mL (40v/w)、 K3PO4 3.79g (17.85mmol, 5.0eq)、 5% Pd/C STD type 50mg (0.1w/w)を順次添加し、Ar置換下、外温40℃で2時間反応した。TLCで反応終了を確認したが、反応液中に目的物の塩が大量に析出した。外温を110℃とし加熱還流したが目的物の塩が溶解する事はなかった。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】フロー式合成装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0092】
1 原料溶液
2 送液ポンプ
3 予備加熱部
4 カラムリアクター
5 貯蔵槽
10 フロー式合成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1);
【化1】

(式中、
環Aは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を示し、
Xはボロン酸若しくはそのエステルの残基又は3置換シリル基を示し、
1はそれぞれ独立に置換又は非置換の1価の基を示し、
mは0〜9の整数を示す。)
で表される第1の芳香族化合物と、下記一般式(2);
【化2】

[式中、
環Bは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を示し、
Yは−COOH、−R−COOH(Rは炭素数1〜6の置換又は非置換の2価の炭化水素基)又は−SO3Hを示し、
Zはアニオン性脱離基を示し、
2はそれぞれ独立に置換又は非置換の1価の基を示し、
nは0〜9の整数を示す。]
で表される第2の芳香族化合物とを、パラジウム触媒、有機第4級アンモニウム塩及び水の共存下にクロスカップリング反応させる、下記一般式(3);
【化3】

(式中、環A、環B、Y、R1、R2、m及びnは前記と同義である。)
で表されるビアリール化合物の製造方法。
【請求項2】
第1の芳香族化合物が下記一般式(4);
【化4】

[式中、
1は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、−CH2=CH2−又は下記式(5);
【化5】

(式中、R4はそれぞれ独立に置換若しくは非置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、ニトロ基、チオール基、シアノ基、アミノ基又は水酸基を示し、bは0〜4の整数を示す。)
で表される2価の芳香族炭化水素基を示し、
Xは−B(OR02(R0は水素原子、アルキル基、又は2つのR0が一緒になってそれぞれ隣接する酸素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を示す。)又は3置換シリル基を示し、
3はそれぞれ独立に置換又は非置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、ニトロ基、チオール基、シアノ基、アミノ基又は水酸基を示し、
aは0〜5の整数を示す。]
で表されるものであり、
第2の芳香族化合物が下記一般式(6);
【化6】

[式中、
1は前記と同義であり、
Yは−COOH、−R−COOH(Rは炭素数1〜6の置換又は非置換の2価の炭化水素基)又は−SO3Hを示し、
Zはアニオン性脱離基を示し、
5はそれぞれ独立に置換若しくは非置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、ニトロ基、チオール基、シアノ基、アミノ基又は水酸基を示し、
cは0〜4の整数を示す。)
で表されるものである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
ビアリール化合物が下記一般式(7);
【化7】

(式中、Q1、Y、R3、R5、a及びcは前記と同義である。)
で表されるものである、請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
パラジウム触媒がパラジウム−炭素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
有機第4級アンモニウム塩が有機第4級アンモニウムヒドロキシドである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
有機第4級アンモニウム塩の使用量が第1の芳香族化合物に対して1.5当量以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
パラジウム触媒の使用量が第1の芳香族化合物の質量に対して0.5質量%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
水の使用量が第1の芳香族化合物の質量に対する容量比で4倍量(v/w)以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
第2の芳香族化合物の使用量が第1の芳香族化合物に対して0.5〜2当量である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
反応温度が30〜100℃である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
第1の芳香族化合物と、第2の芳香族化合物と、有機第4級アンモニウム塩と、水を含む溶液を、パラジウム触媒を充填したカラムリアクターに通過させて連続的に反応させる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
Zが−SO3Hであるとき、クロスカップリング反応後において−SO3Hをアルカリ金属塩に処理する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−298727(P2009−298727A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155059(P2008−155059)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000234605)白鳥製薬株式会社 (17)
【Fターム(参考)】