説明

ビタミンD受容体調節物質としてのフェニルフラン化合物

本発明は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3より、高カルシウム血性の低い、ビタミンD受容体(VDR)調節活性を有する、新規な、非セコステロイド性の、フェニル−フラン化合物に関する。これらの化合物は、骨の病気や乾癬を治療するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の背景)
ビタミンD3受容体(VDR)は、核ホルモン受容体のスーパーファミリーに属するリガンド依存性転写因子の一つである。VDRタンパク質は、427アミノ酸であり、約50kDaの分子量を有する。VDRのリガンドである、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(ビタミンDのホルモン様活性形態)は、ビタミンD受容体(“VDR”)として知られる核受容体との相互作用によって仲介される作用を有する。VDRリガンドである1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(1α,25(OH)23)は、カルシウムとリン酸のホメオスタシスに関連する、また関連しない、両方の幅広い様々な組織と細胞に作用する。
【0002】
1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(1α,25(OH)23)の様々な系における活性は、幅広い臨床上の応用を示唆する。しかしながら、従来のVDRリガンドの使用は、それらに付属する毒性、すなわち抗カルシウム血症(血清カルシウムの上昇)によって、妨げられる。現在、ロカルトロール(登録商標)という名の医薬(ホフマン−ラ ロシュの製品)として市場に売り出されている1α,25(OH)23は、低カルシウム血症を治療するために、慢性的に腎臓透析を受けている腎臓疾患の患者に対して、および結果的に代謝性骨疾患となった患者に対して投与されている。カルシポトリオール(登録商標)(1α,25(OH)23の合成アナログ)のような他の治療薬は、VDRへの結合親和性と、高カルシウム活性との分離の増大を示す。
【0003】
近年、1α,25(OH)23の化学修飾が、カルシウム流動化効果を減少させるアナログを生産した(R.Bouillon et al.,Endocrine Rev.1995,16,200−257)。そのようなアナログの一つ、ドボネックス(登録商標)医薬(ブリストル−マイヤーズ スキッブ社の製品)は、軽度から中程度の乾癬のための原則的な治療として、ヨーロッパやアメリカにおいて、現在使われている(K.Kragballe et al.,Br.J.Dermatol.1988,119,223−230)。
【0004】
他のビタミンD3模倣体は、Nagpal,S.;Lu,J.;Boehm,M.F.,Curr.Med.Chem.2001,8,1661−1679による、ビタミンDアナログ:治療への応用の作用のメカニズム、という文献に記載されている。
【背景技術】
【0005】
有益な作用とカルシウム上昇(カルシウム血)効果との間の、ある程度の分離は、これらのVDRリガンドとともにもたらされているが、現在までに、その分離は、骨粗鬆症、ガン、白血病、および酷い乾癬などの状況を治療するための、経口投与を可能にするには不十分である。
【0006】
高カルシウム血症がない場合に、VDRを介した生物学的効果の恩恵を受けることができる病気の主要なクラスの一つの例は、骨粗鬆症である。骨粗鬆症は、骨量の減少、骨のもろさを導く骨組織の微小構造的な変性、および腰、背骨、手首の骨折の感受性の増加、などによって特徴づけられる、全身性の病気である(世界保健機関 WHO 1994)。骨粗鬆症は、アメリカ、ヨーロッパおよび日本において、推定7,500万人の人々に影響している。
【0007】
過去2、3年以内に、いくつかの再吸収抑制治療が導入された。これらは、ビスフォスフォネート、ホルモン補充療法(HRT)、選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)、およびカルシトニンを含む。これらの治療は、骨の再吸収、骨の形成を減らし、骨密度を増やす。しかしながら、これらの治療の中で、真に骨の量を増加させ、または失った骨構造を回復させるものはない。
【0008】
高カルシウム血性を減少させる能力を持つ、合成ビタミンD受容体(VDR)リガンドが合成された。例えば、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3を模倣する、提示されたビスフェニル化合物のクラスが、アメリカ特許番号6,218,430と、Marcus F.Boehm,et al.,Chemistry & Biology 1999,Vol 6,No.5,pgs.265−275による論文;“新規非セコステロイド性ビタミンD模倣体は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3よりカルシウム流動化が少ないVDR調節活性を発揮する”に記載されている。
【0009】
骨形成を刺激し、骨の質を回復し、高カルシウム血症の結果として伴う不利のない他の病気の治療のための、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3を模倣する、別の、または改良された医薬を用いる、改良された治療法の必要性が依然としてある。
【0010】
(発明の要旨)
式“(A)”の核を有する新規化合物が、ビタミンD受容体(VDR)調節物質として効果的であることが見出された。
【化1】

【0011】
VDR調節活性を有する本発明化合物は、式(I)によって表される。
【化2】

【0012】
ここで、変更可能なR、R’、RP、RP’、L1、L2、L3、ZP、RF、LFおよびZFは、下記の通りに定義される。発明者は、ここに記載された化合物が、減少したカルシウム流動性(高カルシウム血性)効果とともに、1α,25(OH)23の価値のある細胞分化、および抗増殖性効果を示すことを発見した。
【0013】
別の側面では、本発明は、医薬的に許容できる担体および/または補助的な試薬と組んで、単独でまたは組み合わせて、医薬的に効果的な量の式Iの化合物、または医薬的に許容できる塩またはプロドラッグを含む、医薬的組成物を目的としている。
【0014】
本発明のもう一つの側面は、式Iの化合物を調製するために適切な、新規な化学的中間体である。
【0015】
本発明のもう一つの側面は、ビタミンD受容体リガンドに対して応答性である病気の状態を治療する、または妨げるための、本発明化合物の使用である。
【0016】
本発明のもう一つの側面は、医薬的に効果的な量の式Iの化合物を、それを必要とするほ乳類へ投与することにより、にきび、光線性角化症、脱毛症、アルツハイマー病、良性前立腺肥大症、膀胱ガン、無重力状態での骨の維持、骨折の治療、乳ガン、ガンの化学予防、クローン病、結腸ガン、I型糖尿病、拒絶反応、高カルシウム血症、II型糖尿病、白血病、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、不十分な皮脂分泌、骨軟化症、骨粗鬆症、不十分な真皮の堅さ、不十分な真皮の加湿、乾癬性関節炎、前立腺ガン、乾癬、腎性骨ジストロフィー、リウマチ様関節炎、強皮症、皮膚ガン、全身性エリテマトーデス、マスタード発疱薬による皮膚細胞の損傷、潰瘍性大腸炎、白斑、または皺などの予防および治療である。
【0017】
本発明のもう一つの側面は、ビタミンD受容体によって仲介される病気の状態を治療または予防するための、式Iの化合物の使用である。
【0018】
(発明の詳細な記載)
I.定義
“接着”という用語は、炎症のプロセスの結果として生じる、新たな繊維状の組織の形成による、通常は分離した表面の異常な結合を意味する。
【0019】
“膿瘍”という用語は、被包性の細菌、リンパ球、マクロファージなどに由来する膿瘍形成に対して、宿主に感染しやすくさせる、外科、外傷、または病気にしばしば関連する合併症を意味する。
【0020】
“アルケニル”という用語は、例えば、ビニル、1−プロペニル、および1−シクロヘキセニルなどの、結合の位置が炭素−炭素二重結合のところにある脂肪族官能基を意味する。アルケニル基は、直鎖、分枝鎖、環状、またはその組み合わせでもよく、および所望により置換されていてもよい。適切なアルケニル基は、2から約20の炭素原子を有する。
【0021】
“アルコキシ”という用語は、Rが所望により置換されていてもよい脂肪族または芳香族官能基である、−ORを意味する。メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびフェノキシなどが、アルコキシ基の例である。
【0022】
“アルキル”という用語は、直鎖、分枝鎖、環状、およびそのいずれかの組み合わせを含む、飽和脂肪族官能基を意味する。アルキル基は、さらに“一級”、“二級”、および“三級”アルキル基に分けられる。一級アルキル基では、結合の炭素原子が、ゼロ(メチル)または1つの有機ラジカルで置換されている。二級アルキル基では、結合の炭素原子が2つの有機ラジカルで置換されている。三級アルキル基では、結合の炭素原子が3つの有機ラジカルで置換されている。
【0023】
“シクロアルキル”という用語は、シクロプロパニル、シクロブタニル、およびシクロペンチルなどの有機ラジカルを含む。
【0024】
“シクロアルケニル”という用語は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルなどの有機ラジカルを含む。
【0025】
“C1−C5フルオロアルキル”という用語は、フッ素を含むアルキル基を意味し、−CF3、−CHF2、−CH2F、−CF2CF3、−CHFCF3、−CH2CF3、−CH2CHF2、−CH2CH2Fなどの有機ラジカルを含み、−CF3がより好ましい。
【0026】
“活性成分”という用語は、(i)式I、II、III、IV、(ii)本発明に提示されたいずれかの例の生成物、または(iii)Table 1、2、3、または4のいずれかの列によって同定される化合物;または塩または先の化合物のプロドラッグ誘導体、のいずれかによって代表される本発明化合物を意味する。
【0027】
“カルボキサミド”という用語は、以下の式:
【化3】

(ここで、R4とR5は、それぞれ独立して、水素、C1−C4アルキル、−O−C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニル、C1−C4ハロアルキル、−NH(C1−C4アルキル)、またはシクロプロピルであり、但しR4またはR5のうちの1つのみが水素であってよい)
で示される基を意味する。
【0028】
略語“Me”はメチルを意味する。
【0029】
略語“Et”はエチルを意味する。
【0030】
略語“iPr”は1−メチルエチルを意味する。
【0031】
略語“tBu”は1,1−ジメチルエチルを意味する。
【0032】
符号“−(CH2)2−”は、−CH2−CH2−と同意義である。
【0033】
いずれかの構造式中の1価の符号“−O”は、ヒドロキシル基(−OH)である。
【0034】
“C1-3アルキル”という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピルから選択されるアルキル基を意味する。
【0035】
“分枝したC3−C5アルキル”という用語は、1−メチルエチル;1−メチルプロピル;2−メチルプロピル;1,1−ジメチルエチル;1,1−ジメチルプロピル;1,2−ジメチルプロピル;または2,2−ジメチルプロピルから選択されるアルキル基である。好ましい分枝したC3―C5アルキル基は、2−メチルプロピル、および1,1−ジメチルエチルであり、1,1−ジメチルエチル基が最も好ましい。
【0036】
“アルケニル”という用語は、結合の位置が炭素−炭素二重結合、例えばビニル、1−プロペニル、および1−シクロヘキセニルである、脂肪族官能基を意味する。アルケニル基は、直鎖、分枝鎖、環状、またはその組み合わせであり、および所望により置換されていてもよい。適切なアルケニル基は、2から約20の炭素原子を有する。
【0037】
“C1−C5アルキル”という用語は、直鎖、分枝鎖、および環状、およびそのいずれかの組み合わせを含む、飽和の脂肪族官能基を意味する。アルキル基は、さらに“一級”、“二級”および“三級”アルキル基に分けられる。一級アルキル基では、結合の炭素原子が、ゼロ(メチル)または1つの有機ラジカルで置換されている。二級アルキル基では、結合の炭素原子が、2つの有機ラジカルで置換されている。三級アルキル基では、結合の炭素原子が3つの有機ラジカルで置換されている。C1−C5アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル;n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル;1,1−ジメチルエチル;n−アミル、1,1−ジメチルプロピル;1,2−ジメチルプロピル;および2,2−ジメチルプロピルである。
【0038】
“シクロアルキル”という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルなどの有機ラジカルを含む。
【0039】
“シクロアルケニル”という用語は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルなどの有機ラジカルを含む。
【0040】
“C1−C5フルオロアルキル”という用語は、フッ素を含むアルキル基を意味し、−CF3、−CHF2、−CH2F、−CF2CF3、−CHFCF3、−CH2CF3、−CH2CHF2、−CH2CH2Fなどの有機ラジカルを含み、−CF3がより好ましい。
【0041】
略語“Me”はメチルを意味する。
【0042】
略語“Et”はエチルを意味する。
【0043】
略語“iPr”は1−メチルエチルを意味する。
【0044】
略語“tBu”は1,1−ジメチルエチルを意味する。
【0045】
“末端ヒドロキシアルキル”という用語は、
3−メチル−3−ヒドロキシペンチル、
3−メチル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−メチル−3−ヒドロキシペンチニル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンチル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンチニル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンテニル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチニル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンチル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンチニル、
1−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルエチル)プロピル、
1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル、
1−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチルプロピル、
1−ヒドロキシシクロアルケニル、および
1−ヒドロキシシクロアルキル、
から選択される官能基を意味する。
【0046】
“3−メチル−3−ヒドロキシペンチル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化4】

【0047】
“3−メチル−3−ヒドロキシペンテニル”という用語は、下記の構造式を持つラジカル(シスとトランス異性体両方)を意味する:
【化5】

【0048】
“3−メチル−3−ヒドロキシペンチニル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化6】

【0049】
“3−エチル−3−ヒドロキシペンチル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化7】

【0050】
“3−エチル−3−ヒドロキシペンテニル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化8】

【0051】
“3−エチル−3−ヒドロキシペンチニル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化9】

【0052】
“3−プロピル−3−ヒドロキシペンチル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化10】

【0053】
“3−プロピル−3−ヒドロキシペンテニル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化11】

【0054】
“3−プロピル−3−ヒドロキシペンチニル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化12】

【0055】
“3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化13】

【0056】
“3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンテニル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化14】

【0057】
“3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチニル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化15】

【0058】
“1−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルエチル)プロピル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化16】

【0059】
“1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化17】

【0060】
“1−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチルプロピル”という用語は、下記の構造式を持つラジカルを意味する:
【化18】

【0061】
“1−ヒドロキシシクロアルケニル”という用語は、1−ヒドロキシシクロペンテニル、1−ヒドロキシシクロヘキセニル、1−ヒドロキシシクロヘプテニル、または1−ヒドロキシシクロオクテニルから選択されるラジカルを意味する。
【0062】
“ヒドロキシシクロアルキル”という用語は、下記の一般的な構造式を持つラジカルを意味する:
【化19】

ここで、wは1から6の整数であり、ヒドロキシラジカルが環のいずれかの炭素原子上に置換されている。
【0063】
“1−ヒドロキシシクロアルキル”という用語は、下記の一般的な構造式を持つラジカルを意味する:
【化20】

1−ヒドロキシシクロアルキルラジカルの例は、1−ヒドロキシシクロプロピル、1−ヒドロキシシクロブチル、1−ヒドロキシシクロペンチル、1−ヒドロキシシクロヘキシル、1−ヒドロキシシクロヘプチル、1−ヒドロキシシクロオクチル、である。
【0064】
略語“Me”はメチルを意味する。
【0065】
略語“Et”はエチルを意味する。
【0066】
略語“iPr”は1−メチルエチルを意味する。
【0067】
略語“nPr”はn−プロピルを意味する。
【0068】
略語“3Me3OH−Pentyl”は3−メチル−3−ヒドロキシペンチルを意味する。
【0069】
略語“3Me3OH−Pentenyl”は3−メチル−3−ヒドロキシペンテニルを意味する。
【0070】
略語“3Me3OH−Pentynyl”は3−メチル−3−ヒドロキシペンチニルを意味する。
【0071】
略語“3Et3OH−Pentyl”は3−エチル−3−ヒドロキシペンチルを意味する。
【0072】
略語“3Et3OH−Pentenyl”は3−エチル−3−ヒドロキシペンテニルを意味する。
【0073】
略語“3Et3OH−Pentynyl”は3−エチル−3−ヒドロキシペンチニルを意味する。
【0074】
略語“3Pr3OH−Pentyl”は3−プロピル−3−ヒドロキシペンチルを意味する。
【0075】
略語“3Pr3OH−Pentenyl”は3−プロピル−3−ヒドロキシペンテニルを意味する。
【0076】
略語“3Pr3OH−Pentynyl”は3−プロピル−3−ヒドロキシペンチニルを意味する。
【0077】
略語“3Et3OH4Me−Pentyl”は3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチルを意味する。
【0078】
略語“3Et3OH4Me−Pentenyl”は3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンテニルを意味する。
【0079】
略語“3Et3OH4Me−Pentynyl”は3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチニルを意味する。
【0080】
略語“1OH2Me1MeEt−Propyl”は1−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルエチル)プロピルを意味する。
【0081】
“C1−C5アルキル”という用語は、以下のものから成る官能基から選択されるアルキル置換基を意味する:メチル;エチル;プロピル;1−メチルエチル;1−メチルプロピル;2−メチルプロピル;1,1−ジメチルエチル;1,1−ジメチルプロピル;1,2−ジメチルプロピル;および2,2−ジメチルプロピル。好ましい官能基は、2−メチルプロピルと1,1−ジメチルエチルであり、1,1−ジメチルエチル基が最も好ましい。
【0082】
結合を表している実線に交差している点線記号
【化21】

は、その記号の付いた結合が、他の構造との結合の位置であることを意味している。
【0083】
“ほ乳類”という用語は、人間を含んでいる。
【0084】
“ハロ”という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を意味する。
【0085】
“製薬的に許容可能な塩”という用語は、例えばナトリウムやカリウムなどの、治療用の化合物に従来から使われた、無毒な陰イオンまたは陽イオンを意味する。
【0086】
本発明化合物:
本発明化合物は、式I:
【化22】

[ここで、
RとR’は、独立にC1−C4アルキル、C1−C4フルオロアルキル、またはRとR’一緒に3から8の炭素原子を有する置換または非置換の飽和または不飽和の炭素環を形成し;
P、RP’およびRFは独立に、水素、ハロ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニル、C1−C4フルオロアルキル、−O−C1−C4アルキル、−S−C1−C4アルキル、−O−C1−C4フルオロアルキル、−CN、−NO2、アセチル、−S−C1−C4フルオロアルキル、C2−C4アルケニル、C3−C4シクロアルキル、およびC3−C4シクロアルケニルから成るグループから選択され;
(L1)、(L2)、(L3)、および(LF)は、
【化23】

から成るグループから独立に選択される二価の結合基であり、ここで、R40はそれぞれ独立に、水素、C1−C5アルキル、またはC1−C5フルオロアルキルであり;
X1は、O、CH2、または[H,OH]であり;
Fは、
【化24】

(ここで、R4とR5は、独立に、水素、C1−C4アルキル、−O−C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニル、C1−C4ハロアルキル、−NH(C1−C4アルキル)、またはシクロプロピルであり、R4またはR5の1つのみが水素であってもよい)であり;
Pは、
メチル、
エチル、
n−プロピル、
1−メチルエチル、
1−メチルプロピル、
2−メチルプロピル、
1,1−ジメチルエチル、
1,1−ジメチルプロピル、
1,2−ジメチルプロピル、
2,2−ジメチルプロピル、
1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル、
1−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチルプロピル、
2−ヒドロキシ−2−メチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−2−エチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−2−エチル−3−メチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−2−メチル−3−メチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−1,3,3−トリメチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−1−エチル−3,3−ジメチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−1,2−ジエチルブトキシ
2−ヒドロキシ−2−エチル−1−メチルブトキシ、
3−メチル−3−ヒドロキシペンチル、
3−メチル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−メチル−3−ヒドロキシペンチニル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンチル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンチニル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンテニル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチニル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンチル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンチニル、
1−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルエチル)プロピル、
1−ヒドロキシシクロペンテニル、
1−ヒドロキシシクロヘキセニル、
1−ヒドロキシシクロヘプテニル、
1−ヒドロキシシクロオクテニル、
1−ヒドロキシシクロプロピル、
1−ヒドロキシシクロブチル、
1−ヒドロキシシクロペンチル、
1−ヒドロキシシクロヘキシル、
1−ヒドロキシシクロヘプチル、または
1−ヒドロキシシクロオクチルである]
で表されるビタミンD受容体調節物質またはその製薬的に許容し得る塩またはプロドラッグ誘導体である。
【0087】
本発明の好ましい化合物は、ZPが、1,1−ジメチルエチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル、および1−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチルプロピルであって、(L1)、(L2)、(L3)が全て結合である(すなわち、ZPが、核となる構造のフェニル環に直接結合している)ものである。
【0088】
好ましい化合物は、
−C(O)NHMe、
−C(O)NHEt、
−C(O)NH(iPr)、
−C(O)NH(tBu)、
−C(O)NH(CF3)、
−C(O)N(Me)2
−C(O)NMeEt、
−C(O)NMe(iPr)、
−C(O)NMe(tBu)、
−C(O)NMe(CF3)、
−C(O)N(Me)F、
−C(O)N(Et)F、
−C(O)N(iPr)F、
−C(O)N(tBu)F、
−C(O)N(Et)2
−C(O)NEt(iPr)または、
−C(O)NEt(tBu)から選択されたZFを有するものである。
【0089】
他の好ましい化合物は、
−C(O)NHMe、
−C(O)NHEt、
−C(O)NH(iPr)、
−C(O)NH(tBu)、
−C(O)N(Me)2
−C(O)NMeEt、
−C(O)NMe(iPr)、
−C(O)NMe(tBu)、
−C(O)N(Et)2
−C(O)NEt(iPr)または、
−C(O)NEt(tBu)から選択されたZFを有するものである。
【0090】
好ましいカルボキサミド基ZFは、
【化25】

である。
【0091】
本発明の好ましい化合物は、以下の式A〜Kによって表される:
【化26】

【化27】

【化28】

【0092】
(実施例)
一般的な実験条件:
出発原料/中間体は、別に示していなければ、先行する実験の中間体に由来する化合物である。
【0093】
全ての反応は、別に示していなければ、窒素/アルゴン雰囲気下で、反応容器内で撹拌し、室温にて行った。
【0094】
濃縮は、室温から約70℃までで、真空下(0.05から1mmHg)で行った。
【0095】
別に示していなければ、MgSO4/Na2SO4で乾燥した有機層を、5から15mの乾燥剤とともに溶液を撹拌し、濾過することによって乾燥剤を除き、無水の濾液が得られたものと定義する。
【0096】
類似の多段階の反応手順については、収量は、最終段階のものか、示した多段階の全体のものとして与えられる。
【0097】
溶液を、25から75℃の範囲で、減圧下で“濃縮”した。in vacuo−25−75℃;0.05から1mm
【0098】
別に示していなければ、“残留物はクロマトグラフィーに付した”とは、混合産物の10から100の比率のシリカゲルを使用して、中程度の窒素圧力(フラッシュクロマトグラフィー)、または中圧クロマトグラフィーシステムを用いた、残留物のシリカゲルクロマトグラフィーとして定義する。
【0099】
薄層クロマトグラフィーは、シリカゲルプレートで、UVおよび/または適切な染色液を用いて行った。
【0100】
NMRスペクトルは、300または400MHzの分光器を用いて得られた。
【0101】
NMR−NMRスペクトルが同定した構造と一致していることを示す。
【0102】
HRMS−高分解能マススペクトル
【0103】
ES−MS−エレクトロスプレーマススペクトル
【0104】
略語:
Aq−水溶性
d−日
eq−当量
h−時間
m−分
satd−飽和した
disp−分散
quant−定量的な
rtは保持時間を表す(RTとの混同を最小化するために両方とも小文字にする)
RT−室温
【0105】
化学的定義:
BnBr−臭化ベンジル
CH2Cl2−ジクロロメタン
CH3CN−アセトニトリル
DIBAlH−水素化ジイソブチルアルミニウム
DMAP−4−(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF−N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO−ジメチルスルホキシド
DPPB−1,4−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン
DPPF−ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン
EDCI−3−エチル−1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド塩酸塩
Et3N−トリエチルアミン
EtMgBr−エチル臭化マグネシウム
EtOAc−酢酸エチル
EtOH−エタノール
H2NCH2CO2Me−メチルグリシン
Hept−ヘプタン
Hex−ヘキサン
HN(OMe)Me−N−メチル−O−メチルヒドロキシルアミン
HNMe2−ジメチルアミン
HATU−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム
HOAT−7−アザ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HOBT−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
K2CO3−炭酸カリウム
KOH−水酸化カリウム
LAH−水素化リチウムアルミニウム
LIHMDS−リチウムヘキサメチルジシラジド
mCPBA−メタクロロ過安息香酸
MeI−臭化メチル
MeOH−メタノール
NaBH4−水素化ホウ素ナトリウム
MgSO4−硫酸マグネシウム
NaH−水素化ナトリウム
NaHCO3−炭酸水素ナトリウム
NaI−臭化ナトリウム
Na2SO4−硫酸ナトリウム
NH4Cl−塩化アンモニウム
NMO−4−メチルモルフォリン N−オキシド
NMP−N−メチルピロリジン−2−オン
Na−S−R3−アルキルメルカプチドナトリウム
PBr3−三臭化リン
Pd(DPPF)−ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム
Pd(OAc)2−酢酸(II)パラジウム
Pd(TPP)4−テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム
Pd−C−パラジウム炭素
(PhO)2P(O)N3−ジフェニルリンアジド
pTSA−パラトルエンスルホン酸
Pyr−ピリジン
Red−Al−水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム
R2MgBr−アルキル臭化マグネシウム
R3MgBr−アルキル臭化マグネシウム
R5MgBr−アルキル臭化マグネシウム
R2S(O)2NH2−アルキルスルホンアミド
TBAF−フッ化テトラブチルアンモニウム
TBSCl−塩化tert−ブチルジメチルシリル
tBuC(O)CH2Br−1−ブロモピナコロン
Tf2O−トリフルオルメタンスルホン酸無水物
TFA−トリフルオロ酢酸
THF−テトラヒドロフラン
TPAP−過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム
Zn(OTf)2−トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛
【0106】
本発明化合物−塩、立体異性体、およびプロドラッグ
式Iによって表された化合物の塩は、本発明のさらなる側面である。熟練した当業者はまた、式Iの化合物のファミリーが酸性または塩基性の要素を含んでいて、および本発明が、それの製薬的に許容可能な塩を含んでいるということを正しく評価するだろう。
【0107】
本発明化合物が酸性または塩基性の官能基を持つというそれらの実例において、様々な塩が、より水に溶けやすく、および元の化合物より生理的に適切であるものを形成するかもしれない。代表的な製薬的に許容可能な塩は、以下を含むがこれに限定されない、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、などといった、アルカリ、およびアルカリ土類の塩である。ナトリウムとカリウムの塩は、特に好ましい。塩は、酸を塩基とともに溶液中で処理することによって、または酸をイオン交換樹脂にさらすことによって、遊離型の酸から便利に調製される。例えば、式Iの化合物上のカルボキシル酸置換は、−CO2Hとして選択され、および塩は、相当するナトリウムおよびカリウム塩をもたらすために、適切な塩基(例えば、NaOH、KOH)との反応によって形成することができる。
【0108】
製薬的に許容可能な塩の定義のうちに含まれるのは、本発明化合物と塩を形成するのに十分な塩基性を持つ窒素を含んだ塩基に由来する、例えば、アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンなどの、相対的に無毒で、本発明化合物に無機または有機の塩基を添加してできた塩である(例えば、S.M.Berge,et al.,“Pharmaceutical Salts,”J.Phar.Sci.,66:1−19(1997)を参照)。さらに、本発明化合物の塩基性官能基は、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、コリン塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、塩化物、クロロプロカイン塩、コリン塩、ジエタノールアミン塩、二塩酸塩、ビスフォスフォネート塩、エデテート、エジシレート、エストレート、エシレート、エチレンジアミン塩、フッ化物、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリラサニレート、ヘキシレソルシネート、ヒドラバミン塩、臭化物、塩化物、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオ酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マルセート、マンデル酸塩、メグルミン塩、メシル酸塩、メシビエート、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムケート、ナプシレート、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクトロネート、プロカイン塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、および吉草酸塩などの塩を形成するために、適切な有機または無機の酸と反応するかもしれない。
【0109】
本発明の一部の化合物は、一つまたはそれ以上の不斉中心を持ち、およびしたがって光学活性体が存在するかもしれない。同様に、化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含む場合は、化合物のシスとトランス異性体の可能性が存在する。ラセミ混合物と同様にシスとトランス異性体の混合物も含めて、R−とS−の異性体およびその混合物を、本発明によって熟慮される。さらなる不斉炭素原子が、アルキル基などの置換基に存在しうる。全てのそうした異性体は、その混合物も同様に、本発明に含まれることを目的としている。もし特定の異性体が望まれるのであれば、不斉中心を含み、既に分割された出発原料を用いた立体特異的な反応を使うことによる、またはもう一つの方法として、立体異性体の混合物へと導き、およびその後で既知の方法によって分割するという方法による、よく知られた技術の方法によって調製できる。例えば、キラルカラムが、そのような場合に使われるかもしれない。キラルカラムは、ダイセル化学工業より、以下の商標で同定されるものとして売られている:CHIRALPAK AD、CHIRALPAK AS、CHIRALPAK OD、CHIRALPAK OJ、CHIRALPAK OA、CHIRALPAK OB、CHIRALPAK OC、CHIRALPAK OF、CHIRALPAK OG、CHIRALPAK OK、およびCHIRALPAK CA−1。
【0110】
別の従来型の方法によって、ラセミ混合物を、ある他の化合物の単一なエナンチオマーと反応させてもよい。これは、ラセミ型をジアステレオマーの混合物へと変える。これらのジアステレオマーは、異なった融点、沸点、および溶解性を持つので、結晶化などの従来型の方法によって分離できる。
【0111】
本発明はまた、式Iの化合物の混合物においても具体化する。
【0112】
プロドラッグは、化学的に、または代謝的に切断されやすい官能基を持ち、加溶媒分解によって、または生理的条件下で、in vivoで医薬的に活性な本発明化合物になるような、本発明化合物の誘導体である。本発明化合物の誘導体は、その酸性および塩基性の誘導体の型の両方において活性を有するが、酸性の誘導体は、しばしば溶解性、組織適合性、またはほ乳類体内の遅れた放出などにおいて有利点を得る(Bundgard,H.,Design of Prodrugs,pp.7−9,21−24,Elsevier,Amsterdam 1985を参照)。プロドラッグが酸誘導体を含むことは、当業者にはよく知られていて、例えば、元の酸性化合物と適切なアルコールとの反応によって調製されるエステル、または元の酸性化合物と適切なアミンとの反応によって調製されるアミドなどがある。
【0113】
本発明の新規化合物を含む医薬製剤
本発明の医薬製剤は、本発明化合物(式Iの化合物)の治療上効果的な量を、製薬的に許容可能な担体または希釈剤と合わせる(例えば、混合する)ことによって調製した。この医薬製剤は、よく知られ、かつすぐに利用可能な材料を用いて、既知の手法によって調製される。
【0114】
本発明の配合を作るにあたって、式Iの化合物は、たいてい担体と混合されるか、担体によって希釈されるか、または、カプセルか、袋状か、紙か、または他の入れ物の形で担体内に入れられる。担体が希釈剤としての役割を果たす場合、それは運び手として作用する、固体、半固体、または液体の素材であるだろうし、または錠剤、丸薬、粉末、トローチ、エリクシル、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ剤、エアロゾル(固体または液体媒体中のものとして)、または、例えば化合物の重量の10%までを含む軟膏、などの形態でありうる。本発明化合物は、好ましくは、投与の前に製剤化する。
【0115】
本発明化合物はまた、経皮貼布に含まれた適切な製剤によっても、供給することができる。もう一つの方法として、本発明化合物は、舌下投与によって患者に供給することができる。
【0116】
医薬製剤のために、過去の研究で知られている、いずれかの適切な担体が使われうる。そのような製剤において、担体は、固体、液体、または固体と液体の混合物であるかもしれない。固体の製剤は、粉末、錠剤、およびカプセルを含む。固体の担体は、人工香味料、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、結合剤、錠剤崩壊剤、およびカプセルに包む素材などとしても働く、一つまたはそれ以上の物質である。
【0117】
経口投与のための錠剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、などの適切な賦形剤と一緒に、トウモロコシ、デンプン、またはアルギン酸などの崩壊剤、および/または、例えば、ゼラチン、またはアカシアといった結合剤、およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクといった潤滑剤を含むかもしれない。
【0118】
粉末においては、担体は、きれいに分かれた活性成分と混合剤の中で、きれいに分かれた固体である。錠剤においては、式Iの化合物は、適切な割合において必要な結合性能を持ち望みの形や大きさに詰まった担体と、混合される。粉末と錠剤は、好ましくは、本発明の新規化合物の約1から約99重量パーセントを含む。適切な固体担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、およびココアバターである。
【0119】
無菌の液体の製剤は、懸濁液、乳濁液、シロップ剤、およびエリクシルを含む。
【0120】
活性成分は、滅菌水、無菌有機溶媒、または両方の混合物などの、製薬的に許容可能な担体に溶解、または懸濁することができる。化合物は、しばしば適切な有機溶媒、例えば水性プロピレングリコールに溶解する。他の成分は、水性デンプン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液、または適切な油状物中に、本発明化合物をきれいに分けて分散させることによって、作ることができる。
【0121】
本発明化合物を使うための方法
多くの病気の状態が、式Iの化合物を用いた治療によって恩恵を受ける。それは以下の病気の状態を含み、しかしそれに限定されない:
異常なカルシウム調節によって特徴づけられる病気の状態
異常な細胞増殖によって特徴づけられる病気の状態
異常な細胞分化によって特徴づけられる病気の状態
異常な免疫応答によって特徴づけられる病気の状態
異常なに外皮の状況よって特徴づけられる病気の状態
神経変性の状況よって特徴づけられる病気の状態
ビタミンDへの感受性によって特徴づけられる病気の状態
過剰増殖性の障害によって特徴づけられる病気の状態。
【0122】
式IとIIの化合物の治療によって恩恵を受ける特異的な病気の状態、それは以下のものを含む、しかしそれに限定されない:
にきび
光線性角化症
脱毛症
アルツハイマー病
良性前立腺肥大症
膀胱ガン
無重力状態での骨の維持
骨折の治療
乳ガン
ガンの化学予防
クローン病
結腸ガン
I型糖尿病
拒絶反応
高カルシウム血症
II型糖尿病
白血病
多発性硬化症
骨髄異形成症候群
不十分な皮脂分泌
骨軟化症
骨粗鬆症
不十分な真皮の堅さ
不十分な真皮の加湿
乾癬性関節炎
前立腺ガン
乾癬
腎性骨ジストロフィー
リウマチ様関節炎
強皮症
皮膚ガン
全身性エリテマトーデス
マスタード発疱薬による皮膚細胞の損傷
潰瘍性大腸炎
白斑

【0123】
特に好ましいのは、式Iの化合物の治療上効果的な量のほ乳類(人間を含む)への投与による、乾癬や骨粗鬆症の治療である。“医薬的に効果的な量”による、とは、人間を含むほ乳類における病気の状態の有害な効果を、予防、除去、または減少する、式Iに相当する医薬の量を意味する。
【0124】
治療上の、または予防上の効果を得るために、本発明によって投与される化合物の特異的な量は、もちろん、例えば、投与された化合物、投与の経路、および治療される条件などを含めた、その状況を取り巻く特異的な環境によって決定することができる。典型的な一日の投与量は、本発明の活性化合物の体重あたりの、典型的に約0.0001mg/kg/dayから約50mg/kg/dayの範囲の、医薬的に効果的な量を含みうる。好ましくは、本発明化合物の量は、体重あたりの0.0001から5mg/kg/dayであるだろう。
【0125】
本発明の好ましい化合物(例えば、式Iによる)、またはこれらの化合物を含む医薬製剤は、ほ乳類への投与のための、単位剤形中にある。単位剤形は、カプセルまたは錠剤それ自身、またはこれらのいずれかの適切な数量である。組成物の単位投与量中の活性成分の量は、特に関連する治療によっては、約0.0001から約1000ミリグラムまたはそれ以上で変化し、または調整することができる。患者の年齢や状況に依存して、投与量に対して日常的な変動をさせる必要があることは、好ましい。投与量はまた、投与の経路にも依存するだろう。本発明化合物は、経口、エアロゾル、直腸、経皮、舌下、皮下、静脈、筋肉内、および鼻腔内などを含む、様々な経路によって投与することができる。特に好ましいのは、本発明化合物を含む、軟膏型の製剤を用いた、乾癬の治療である。軟膏製剤は、必要に応じて、典型的には一日1から6回適用される。
【0126】
乾癬の治療は、好ましくは、治療上効果的な量の本発明化合物を含む、クリーム、油状物、乳濁液、ペースト、または軟膏の形態の製剤による局所適用とともに行われる。膏薬療法の製剤は、活性成分の、0.5から0.00005重量パーセント、好ましくは0.05から0.0005重量パーセント、および最も好ましくは0.025から0.001を含む。
【0127】
例えば、乾癬の治療と予防におけるVDR調節物質の運び手として有用な、2つの半個体の局所用の調合薬は、以下の通りである:
ポリエチレングリコール軟膏 アメリカ薬局方(p.2495)
以下のようにポリエチレングリコール軟膏を調製すること:
ポリエチレングリコール3350 400g
ポリエチレングリコール400 600g
計 1000g
2つの成分を水浴上で65℃に加熱する。冷却し、凝固するまで撹拌する。もし、より堅い調製が望まれるならば、ポリエチレングリコール400の100gまでを、等量のポリエチレングリコール3350と交換する。
親水性軟膏 アメリカ薬局方(p.1216)
以下のように親水性軟膏を調製すること:
メチルパラベン 0.25g
プロピルパラベン 0.15g
ラウリル硫酸ナトリウム 10g
プロピレングリコール 120g
ステアリルアルコール 250g
白色ワセリン 250g
精製水 370g
計 約1000g
【0128】
ステアリルアルコールと白色ワセリンは、蒸気浴上で溶解し、約75℃まで加熱する。他の成分は、予め水に溶解しておいて加え、75℃に加熱し、その混合物を凝固するまで撹拌する。
【0129】
上記の活性成分製剤のそれぞれについて、全体の軟膏の重量の、0.5から0.00005重量パーセント、好ましくは0.05から0.0005重量パーセント、および最も好ましくは0.025から0.001重量パーセント、の量を、加熱の工程の間に加える(情報源:アメリカ薬局方24、アメリカ薬局方会議1999)。
【0130】
骨粗鬆症の従来の治療法は、(I)エストロゲン、(II)アンドロゲン、(III)カルシウムサプリメント、(Iv)ビタミンD代謝物、(v)チアジド利尿薬、(vI)カルシトニン、(vII)ビスフォスフォネート、(vIII)選択的エストロゲン受容体調節物質(SERMs)、および(Ix)フッ化物、を含んでいる(McGraw Hill Publ.によって出版された、ハリソンのPrinciples of Internal Medicine、13th Edition,1994,ISBN0−07−032370−4,pgs.2172−77;参考文献によってその中に盛りこまれているものの中の開示、を参照)。これらの従来型の治療法のいずれかの組み合わせは、ここに教示された式Iの化合物を用いた治療の方法と、組み合わせて使用することができる。例えば、骨粗鬆症の治療の方法において、本発明のビタミンD受容体調節化合物(例えば、式Iによって定義したような)は、従来型の治療法とともに、別々にまたは同時に投与することができる。また別の方法として、本発明のビタミンD受容体調節化合物は、下記に示すような骨粗鬆症の治療のための製剤中に、従来型の治療薬と組み合わせることができる。
【0131】
下記のものから構成される骨粗鬆症を治療するための製剤:
成分(A1):
式(I)によって表されたビタミンD受容体調節物質、またはそれの製薬的に許容可能な塩またはそれのプロドラッグ誘導体;
成分(B1):
下記のグループから選択される骨粗鬆症治療のための従来型の、1以上の共薬剤
a.エストロゲン、
b.アンドロゲン、
c.カルシウムサプリメント、
d.ビタミンD代謝物、
e.チアジド利尿薬、
f.カルシトニン、
g.ビスフォスフォネート、
h.SERM、および
I.フッ化物;および
成分(C1):所望により、担体または希釈剤。
典型的に、有用な製剤は、(A1)と(B1)の重量比が10:1から1:1000、および好ましくは1:1から1:100であるものである。
【0132】
乾癬のための組み合わせ治療法
乾癬のための従来型の治療法は、局所的なグルココルチコイド、サリチル酸、未加工のコールタール、紫外線、およびメトトレキセートを含む(McGraw Hill Publ.によって出版された、ハリソンのPrinciples of Internal Medicine、13th Edition,1994,ISBN0−07−032370−4,pgs.2172−77を参照)。これらの従来型の治療法のいずれか1つまたはその組み合わせが、ここで教示されている式Iの化合物を用いた治療の方法と組み合わせて使用することができる。例えば、骨粗鬆症を治療する方法においては、本発明のビタミンD受容体調節化合物(例えば、式Iによって定義したような)は、従来型の治療法と別々に、または同時に、局所的に投与することができる。別の方法としては、本発明のビタミンD受容体調節化合物は、下記に示すような、骨粗鬆症の治療のために局所的に適用された製剤における、従来型の治療薬と組み合わせることができる。
【0133】
下記のものから構成される乾癬を治療するための製剤:
成分(A2):式(I)に表されたビタミンD受容体調節物質、またはそれの医薬的に適用可能な塩、またはそれのプロドラッグ誘導体;
成分(B2):下記のグループから選択される乾癬治療のための従来型の、1以上の共薬剤
a.局所的なグルココルチコイド、
b.サリチル酸、または
c.未加工のコールタール。
成分(C2):所望により、担体または希釈剤。
典型的に、有用な製剤は、(A2)と(B2)の重量比が1:10から1:100000、および好ましくは1:100から1:10000であるものである。
【0134】
一般的な手順
【化29】

【0135】
【化30】

【0136】
【化31】

【0137】
【化32】

【0138】
一般的な手順
スキームI.フラン−2−カルボン酸に対して、窒素雰囲気下、ジエチルエーテルまたはTHF中で、−80から0℃の間で、リチウムジイソプロピルアミン(2から2.5当量)が加える。置換されたケトンを加え、混合物を、1から48時間の間、室温にする。この混合物を、エーテルと水で処理してカルビノールAを得る。カルビノールAは、オルト置換フェノール(0.9から5当量)とルイス酸、例えば、三フッ化ホウ素・エチルエ−テル錯塩(0.01から10当量)と、0℃から室温にて、30分から48時間反応させる。反応は、エーテルと水で処理し、真空下で過剰のフェノールを除去し、ジアリルメタンBを得る。ジアリルメタンBは、アルキルクロロホルメートやトリアルキルアミンなどの塩基とともに活性化し、続いて置換された一級または二級アミンの処理によって、アミドCを得る。アミドCは、極性な非プロトン性溶媒中、水酸化ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基の存在下、α−ハロケトンでアルキル化し、アミドDを得る。アミドDの、低分子量アルコール中での、ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムまたは水素化シアノリチウムによる還元は、二級のカルビノールEを、ラセミ体として得る。ラセミ体は、もちろん、例えばChiralPak ADカラム上のキラルクロマトグラフィーによって、エナンチオマーへと分割することができる。
【0139】
スキームII.別の方法として、ジアリルメタンBのエステルは、一般的に、以下のようにして調製できる:フラニルカルボン酸は、アルキル臭素化マグネシウムまたはアルキルリチウム(2.0から2.5当量)と、0℃から室温にて、エーテルまたはTHF溶媒中で、30分から48時間反応させ、tert−カルビノールFを得る。tert−カルビノールFは、アルキルリチウム試薬(1.9から2.5当量)との、―80℃から0℃での、10分以上の時間から2時間までの反応で脱プロトン化し、それから過剰量の二酸化炭素ガスを混合物に吹き込み、混合物を30分から48時間の間、室温になるまで放置される。混合物を水とエーテルによって反応終了とされ、カルボン酸Aを得る。カルボン酸Aは、同時に、脱水され、塩化水素、塩化臭素といったハロゲン化水素と飽和アルコールとともに加熱し、Z/E−オレフィンGを得る。オレフィンGは、カルビノールAのように、ルイス酸、例えば三フッ化ホウ素・エチルエ−テル錯塩(0.01から5当量)の存在下、オルト置換フェノールによってアルキル化して、Bのエステルを得、それは、ナトリウム、カリウム、またはリチウムとともにアルコール中で、室温から還流下で水酸化物Bへとケン化する。
【0140】
スキームIII.4−ヒドロキシ−3−アルキル安息香酸エステルに対して、アルキルハロゲン化マグネシウムを、スキームIIの生成物Fの反応と同様の条件で加え、tert−カルビノールHを得る。フェノール性H中間体は、α−ハロケトンまたはα−ハロエステルと、スキームIの生成物Dの反応と同様の条件で反応させ、中間体Iを得る。Iを、三フッ化ホウ素・エチルエ−テル錯塩のようなルイス酸の存在下、置換または無置換のフランと、室温にて30分から60時間反応させることにより、ジアリルメタンJを得る。ジアリルメタンJは、過剰量のグリニヤール試薬と、スキームIIの生成物Fの反応と同様にして反応させると、中間体tert−カルビノールKが得られる。カルビノールKの、スキームIIの生成物Aと同様の反応による、アルキルリチウムでの処理により、酸Lを得る。酸Lは、DMFなどの極性非プロトン性溶媒中で、EDCI/HOATなどの結合試薬の存在下、一級または二級アミンと結合させることによって、アミドMを得る。
【0141】
スキームIV:炭素が結合したアクチレンカルビノールSの合成はまた、スキームIVに記載されている。出発原料Nは、スキームIIIの中間体Hと置換または無置換のフランから、ルイス酸の存在下、スキームIIIの生成物Jの合成と同様に製造する。フランNは、クロロカーボン溶媒とトリアルキルアミン塩基中、30分以上48時間まで、トリフルオルメタンスルホン酸無水物と反応させ、トリフラートOを得る。そのトリフラートOは、フッ化セシウムまたはトリアルキルアミンのような塩基の存在下、DMFまたはアセトニトリル/水溶媒中、30分以上48時間まで、室温から110℃までの間、パラジウムとともにTMS−アセチレンと結合させ、アセチレンPを製造する。アセチレンPは、脱プロトン化し、ジアルキルケトンまたはアルデヒドと反応させ、二級またはteert−カルビノールQを製造する。カルビノールQは、スキームIIIの酸LとアミドMの場合と同様の反応を用いて、中間体R、およびアミドSを製造する。
【0142】
スキームV.ビスピナコロンTは、ヨウ化カリウム(0.01から0.10当量)、炭酸カリウム(4から5当量)、およびシアノメタンの存在下、ジアリルBと塩化t−ブチルカルボニル(2.0から2.5当量)を、還流で約2から約6時間反応させることによって形成する。ビスピナコロンTは、メタノール/水混合物のような適切な溶媒の存在下、水酸化ナトリウム(4から6当量)のような適切な塩基で脱アルキル化して、ピナコロン酸Uを得る。N−アルキルアミドVは、ピリジンのような適切な塩基の存在下、ピナコロン酸Uを塩化チオニルで活性化させ、続いて、適切な有機溶媒中で適切なアルキルアミンと反応させることによって、調製することができる。
【0143】
実施例1
3’−[4−(2−オキソ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−2−フラニル]ペンタンの調製。
【化33】

【0144】
A.3’−[5−カルボキシ−2−フラニル]−3’−ヒドロキシペンタン
【化34】

THF(980mL)中、イソプロピルアミン(44.8mL,0.32mol)の溶液に対して、ヘキサン中、1.6Mのn−ブチルリチウム(200mL,0.32mol)を、−15から−8℃で撹拌しながら加える。この混合物を、THF(640mL)で希釈し、−74℃に冷却する。THF(320mL)中の2−フランカルボン酸(17.92g,0.16mol)を、温度を−70から−77℃で維持するように加える。30分の冷却後、THF(20mL)中、3−ペンタノン(15.15g,0.176mol)を、温度を−70℃より低く保ちつつ、滴加し、それから反応混合物を室温にまで昇温させる。混合物を、水を用いて反応停止し、THFのほとんどを真空下の蒸発によって除去する。水性残留物はジエチルエーテル(2x200mL)で抽出し、5N HClで酸性にする。生成物はジエチルエーテル(3x600mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、表題の化合物を油状物として(31.3g,99%未精製物)得、それをそのまま使用する。
【0145】
B.3’−[4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル]−3’−[5−カルボキシ−2−フラニル]ペンタン
【化35】

3’−[5−カルボキシ−2−フラニル]−3’−ヒドロキシペンタン(5.94g,30mmol)と、オルト−クレゾール(19.44g,180mmol)の塩化メチレン(30mL)溶液に対して、室温にて、窒素雰囲気下、三フッ化ホウ素・エチルエ−テル錯塩(1.5mL,12mmol)を加える。この混合物を、5時間撹拌し、ジエチルエーテル(100mL)と飽和炭酸ナトリウム(100mL)の間で分配する。水層をもう一度ジエチルエーテル(100mL)で洗浄する。合わせたエーテル層を、飽和炭酸ナトリウム(2x30mL)で2回抽出し、合わせた水層を、5N HClでpH〜2まで酸性にする前に、ジエチルエーテル(2x50mL)で洗浄した。生成物は、ジエチルエーテル(2x100mL)中で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で蒸発させて油状物を得る。残留物は、酢酸エチルとイソオクタンから結晶化し、表題の生成物を白色結晶(5.33g,62%)として得る。
1H NMR(重クロロホルム) δ 9.12(s,1H),7.13(d,1H,J=3.6Hz),6.80(s,1H),6.75(d,1H,J=8.2Hz),6.68(d,1H,J=8.2Hz),6.36(d,1H,J=3.6Hz),2.06(s,3H),1.97(q,4H,J=7.0),0.60(t,6H,J=7.0Hz).
ES/MS:289.0(M+1)。
【0146】
C.3’−[4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミンカルボニル−2−フラニル]ペンタン
【化36】

THF(50mL)中の3’−[4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル]−3’−[5−カルボキシ−2−フラニル]ペンタン(0.75g,2.6mmol)に対して、トリ−n−ブチルアミン(0.67mL,2.86mmol)を加え、混合物を氷浴中で冷却する。その冷却した溶液に対して、クロロギ酸イソブチル(0.372mL,2.86mmol)を滴加し、5分間撹拌する。その混合物に対して、2.0Mのジメチルアミンのメタノール溶液(7.8mL,15.6mmol)を加え、反応物を室温にまで上げ、30分間撹拌する。この混合物を、真空下で蒸発させ、残留物を、水(100mL)とジエチルエーテル(100mL)との間に分配する。有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム(2x30mL);飽和食塩水(30mL);0.3N HCl(3x30mL);および飽和食塩水(10mL)で順次洗浄する。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で蒸発させて、表題の生成物を油状物として(538mg,66%)得る。
【0147】
D.3’−[4−(2−オキソ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−2−フラニル]ペンタン
アセトニトリル(15mL)中の3’−[4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミンカルボニル−2−フラニル]ペンタン(0.53g,1.7mmol)に対して、1−クロロピナコロン(0.23mL,1.76mmol)、炭酸カリウム(1.16g,8.4mmol)、および触媒ヨウ化カリウム(14mg,0.08mmol)を加える。この混合物を、還流で45分間加熱し;室温にまで冷却し;および真空下で蒸発させる。残留物を、塩化メチレンと水の間で分配し、水層をもう一度塩化メチレンで抽出する。合わせた有機層を、無水の硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、油状物を得る。残留物をヘキサンから結晶化して、表題の化合物(0.41g,59%)を得る。
1H NMR(重クロロホルム) δ 6.92(m,2H),6.84(d,1H,J=8.0Hz),6.62(d,1H,J=8.0Hz),6.41(d,1H,J=3.0Hz),5.07(s,2H),2.92(s,6H),2.15(s,3H),2.00(q,4H,J=7.6Hz),1.16(s,9H),0.61(t,6H,J=7.6Hz).
ES/MS:414.2(M+1)。
【0148】
実施例2
3’−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−2−フラニル]ペンタンの調製。
【化37】

3’−[4−(2−オキソ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−2−フラニル]ペンタン(0.32g,0.79mmol)と、水素化ホウ素ナトリウム(30mg,0.79mmol)を、室温にてメタノール(30mL)中で混合し、室温にて一晩撹拌する。アセトン(1mL)を加え、混合物を真空下で蒸発させる。残留物を、塩化メチレンと水で分配し、水層を塩化メチレンでさらに2回抽出する。合わせた有機抽出液は、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させ、表題の生成物を無色の油状物(0.325g,99%)として得る。
1H NMR(重クロロホルム) δ 7.01(d,1H,J=3.3Hz),6.92(m,2H),6.73(d,1H,J=8.3Hz),6.26(d,1H,J=3.6Hz),5.30(s,1H),4.08(d,1H,J=7.2Hz),3.86(t,1H,J=7.2Hz),3.84(d,1H,J=7.2Hz),3.04(s,6H),2.20(s,3H),2.04(m,4H),1.03(s,9H),0.72(t,6H,J=7.0Hz).
ES/MS:416.2(M+1)。
【0149】
実施例3および実施例4
3’−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−2−フラニル]ペンタンのエナンチオマーの調製。
【化38】

3’−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−2−フラニル]ペンタンのラセミ混合物(実施例2(300mg))を、40:60のイソプロピルアルコール/ヘキサンの溶媒を用いて、ChiralPak ADカラム上でクロマトグラフィーに付し、エナンチオマー1(実施例3(110mg,37%))とエナンチオマー2(実施例4(110mg,37%))を得る。
【0150】
エナンチオマー1、実施例3
HPLC:ChiralPak AD(4.6X250 mm); 0.1% TFA/40% IPA/60% heptane; 1ml/m(流速); Rt=5.6m
NMRは実施例2のものに等しい。
【0151】
エナンチオマー2、実施例4
HPLC:ChiralPak AD(4.6X250 mm); 0.1% TFA/40% IPA/60% heptane; 1ml/m(流速); Rt=8.6m
【0152】
実施例5
3’−[4−(2−オキソ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−(2−ブチル)フェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−フラン−2−イル]ペンタンの調製。
【化39】

【0153】
A.3−(2−フラニル)ペンタン−3−オール
【化40】

フラン酸2−メチル(10.0g,79mmol)を、窒素雰囲気下でTHF(100mL)に溶解する。エチル臭素化マグネシウム(エーテル中3.0M,55mL,166mmol)を、最初に室温にて加える。反応物を−30℃まで冷却し、残っているエチルグリニヤールを加える。混合物を、室温にて一晩撹拌する。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を、撹拌している溶液に加え、続いてジエチルエーテル(100mL)と水(50mL)を加える。有機層を分離し、水で洗浄する。エーテル層を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、10.7gの油状物を得、これはさらなる精製をしないで使用する。
1H NMR (重クロロホルム) δ 7.37(s,1H),6.31(d,1H),6.18(d,1H),1.83(m,4H),0.88(t,6H)。
【0154】
B.3−(5−カルボキシ−2−フラニル)ペンタン−3−オール
【化41】

3−(2−フラニル)ペンタン−3−オール(3.0g,19mmol)を、窒素雰囲気下でTHF(20mL)に加える。その溶液を撹拌し、−78℃に冷却する。Sec−ブチルリチウム(シクロヘキサン31mL中1.3M,41mmol)を、温度を−55℃より低く調整しながら滴加する。添加を完了したら、氷浴を取り外し、溶液を、18時間撹拌しながら、ゆっくりと室温にまで暖める。この混合物を−48℃に冷却し、CO2ガスを溶液に吹き込む。高粘度の黄色ペーストが生じ、温度は−10℃へと上げられる。水(50mL)を加え、その溶液を室温にて30分間撹拌する。酢酸エチルを加え、続いて水を加え、pHを1N HClで1に調節する。有機層を分離し、水層を捨てた。有機層を1N NaOHに加え、抽出する。水層のpHは、1N HClで1に調節し、続いてEtOAcを添加する。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて2.7グラムの油状物を得る。
1H NMR (重クロロホルム) δ 8.5−10.0(br,1H),7.22(d,1H),6.40(d,1H),1.88(m,5H),1.80(t,6H)。
【0155】
C.Z/E−3−(5−メトキシカルボニル−2−フラニル)ペント−2−エン
【化42】

3−(5−カルボキシ−2−フラニル)ペンタン−3−オール(200mg,1.1mmol)をメタノール(20mL)に溶解する。HCl(ガス)を30秒間、溶液中に吹き込む。その反応物を、室温にて20分間、反応しないで、撹拌する。その溶液を60℃で2時間加熱する。溶液を濃縮し、水を加え、続いて固体のNaHCO3をpHが塩基性になるまで加える。酢酸エチルを加え、溶液を抽出する。有機層を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過する。濾液は213mgのオレンジ色の油状物へと濃縮し、それをそのまま使用する。
1H NMR(重クロロホルム) δ 6.35(q,0.95H,J=6.8Hz,E−Isomer),5.72(q,0.05H,J=6.8Hz,Z−Isomer)。主要な異性体のメチル二重線(1.83ppm)の照射は、主要な異性体のメチレン四重線(2.40ppm)と同様に、主要な異性体のビニルプロトン(6.35ppm)にも、明らかな核オーバーハウザー効果を生み出したことから、主要な異性体はEであると確認した。
【0156】
D.3’−[4−ヒドロキシ−3−(2−ブチル)フェニル]−3’−[5−メトキシカルボニル−フラン−2−イル]ペンタン
【化43】

2−(2−ブチル)フェノール(3.75g,25mmol)中の、Z/E−3−(5−メトキシカルボニル−2−フラニル)ペント−2−エン(0.97g,5mmol)に対して、塩化メチレン(0.5mL)に溶解した三フッ化ホウ素・エチルエ−テル錯塩(213mg,1.5mmol)を加え、混合物を室温にて9日間撹拌する。混合物をジエチルエーテルと水との間に分配し、有機層をさらに二回水で洗浄し、一回飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒は真空下で蒸発させ、残留物を、ヘキサン中4%の酢酸エチルから、ヘキサン中6%の酢酸エチルの段階グラジエントとともに、12gのシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、表題の化合物(1.12g,65%)を得る。
1H NMR (重クロロホルム) δ 7.10(d,1H,J=3.6Hz),6.93(s,1H),6.82(d,1H,J=8.4Hz),6.22(d,1H,J=3.6Hz),4.56(s,1H),3.82(s,3H),2.91(m,1H),1.97−2.19(m,4H),1.59(m,2H),1.19(d,3H,J=6.8Hz),0.82(t,3H,J=7.2Hz),0.69(t,6H,J=7.4Hz).
ES/MS:345.3(M+1),343.3(M−1)。
【0157】
E.3’−[4−ヒドロキシ−3−(2−ブチル)フェニル]−3’−[5−カルボキシル−フラン−2−イル]ペンタン
【化44】

メタノール(5mL)中の、3’−[4−ヒドロキシ−3−(2−ブチル)フェニル]−3’−[5−メトキシカルボニル−フラン−2−イル]ペンタン(0.2g,0.6mmol)に対して、5N NaOH(232uL,11.2mmol)を加え、混合物を、蓋のないフラスコ中で、70℃で1.5時間加熱する。水を蒸発したメタノールの代わりに、断続的に加える。混合物を室温にまで冷却し、5N HClを用いて、pH試験紙で酸性になるのを確認する。生成物を、塩化メチレンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、表題の化合物(0.165g,87%)を得る。
1H NMR (重クロロホルム) δ 6.93(d,1H,J=2.4Hz),6.82(d,1H,J=8.4Hz),6.64(d,1H,J=8.4Hz),6.26(d,1H,J=3.6Hz),4.56(s,1H),2.91(m,1H),1.97−2.19(m,4H),1.59(m,2H),1.18(d,3H,J=6.8Hz),0.82(t,3H,J=7.2Hz),0.69(t,6H,J=7.2Hz)。
精密分子量:331.192,C20H27O4についての計算値:331.1909。
【0158】
F.3’−[4−ヒドロキシ−3−(2−ブチル)フェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−フラン−2−イル]ペンタン
【化45】

DMF(0.5mL)中の、3’−[4−ヒドロキシ−3−(2−ブチル)フェニル]−3’−[5−カルボキシル−フラン−2−イル]ペンタン(0.164g,0.5mmol)に対して、EDCI(120mg,0.6mmol)、DMFに溶解した0.5M HOAt(1.24mL,0.6mmol)、トリエチルアミン(250mg,2.5mmol)、およびジメチルアミン塩酸塩(50mg,0.6mmol)を加える。この混合物を室温にて64時間撹拌し、塩化メチレンと飽和炭酸水素ナトリウムの間で分配する。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。残留物を、ヘキサン中20%酢酸エチルから、ヘキサン中25%酢酸エチルの段階グラジエントを用いた、4gのシリカゲル上でのクロマトグラフィーに付し、表題の化合物(80mg,45%)を得る。
1H NMR(400mHz,重クロロホルム) δ 7.01(d,1H,J=3.6Hz),6.92(s,1H),6.79(d,1H,J=8.4Hz),6.63(d,1H,J=8.4Hz),6.24(d,1H,J=3.6Hz),4.91(s,1H),3.03(s,6H),2.92(m,1H),1.97−2.05(m,4H),1.52−1.63(m,2H),1.18(d,3H,J=7.2Hz),0.82(t,3H,J=7.2Hz),0.70(t,6H,J=7.2Hz)。
LC/MS:358.3(M+1),356.3(M−1)。
【0159】
G.3’−[4−(2−オキソ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−(2−ブチル)フェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−フラン−2−イル]ペンタン
実施例1Dと同様の手順を用いて、3’−[4−ヒドロキシ−3−(2−ブチル)フェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−フラン−2−イル]ペンタン(80mg,0.22mmol)は、1−クロロピナコロンと反応させ、表題の化合物(90mg,90%)を油状物として得、最終的に表題の化合物(80mg,45%)を得る。
1H NMR(400mHz,重クロロホルム) δ 7.01(d,J=3.6Hz,1H),6.97(s,1H),6.84(d,J=8.4Hz,1H),6.25(d,J=3.6Hz,1H),4.82(s,2H),3.03(s,6H),3.14(m,1H),1.98−2.12(m,4H),1.48−1.64(m,2H),1.25(s,9H),1.17(d,J=7.2Hz,3H),0.81(t,J=7.2Hz,3H),0.70(t,J=7.2Hz,6H)。
ES/MS:456.3(M+1)。
【0160】
上記と同様の手順により、以下の実施例の製造を行った:
【化46】

【表1】

【表2】

【表3】

【0161】
実施例14
3’−[4−(2−ヒドロキシ−2−エチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−2−フラニル]ペンタンの調製。
【化47】

【0162】
A.3’−(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)−3’−ペンタノール
【化48】

200mLのTHF中の、4−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸メチル(21.8g,0.13mol)に対して、窒素雰囲気下、室温にて、1.0Mのエチル臭素化マグネシウム(433mL,0.43mol)を滴加する。この混合物を、64時間撹拌し、希炭酸水素ナトリウム溶液で反応を止める。混合物を、ジエチルエーテルで5回(5x)トリチュレーションし、合わせた有機層を、希炭酸水素ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で乾燥させて、表題の化合物(27g,99%)を得る。
1H NMR(400mHz,重クロロホルム) δ 7.29(s,1H),7.04(d,J=8.4Hz,1H),5.72(d,J=8.4Hz,1H),4.74(s,1H),3.75(s,1H),2.26(s,3H),1.82(m,4H),0.76(t,J=7.6Hz,6H)。
ES/MS:193.2(M−1)。
【0163】
B.3’−(4−メトキシカルボニルメトキシ−3−メチル−フェニル)−3’−ペンタノール
【化49】

20mLのアセトニトリル中の、3’−(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)−3’−ペンタノール(1.5g,7.7mmol)に対して、臭素化酢酸メチル(0.73mL,7.7mmol)、炭酸カリウム(4.26g,31mmol)、および触媒ヨウ化カリウム(〜0.1g)を加える。この混合物を、80℃で6時間加熱する。混合物を冷却し、溶媒を真空下で蒸発させる。残留物を、ジエチルエーテルと水の間で分配する。有機層を、水で4回(4x)洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させて、表題の化合物(2.06g,99%)を得る。
1H NMR(400mHz,重クロロホルム) δ 7.14(s,1H),7.11(d,J=8.4Hz,1H),6.64(d,J=8.4Hz,1H),4.64(s,2H),3.80(s,3H),2.30(s,3H),1.80(m,4H),0.76(t,J=7.4Hz,6H)。
【0164】
C.3’−(4−メトキシカルボニルメトキシ−3−メチル−フェニル)−3’−(2−フラニル)ペンタン
【化50】

フラン(25mL)中の、3’−(4−メトキシカルボニルメトキシ−3−メチル−フェニル)−3’−ペンタノール(2.0g,7.7mmol)に対して、室温にて窒素雰囲気下、三フッ化ホウ素・エチルエ−テル錯塩(0.39mL,0.3mmol)を加える。この混合物を4時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液によって反応を止める。生成物をジエチルエーテルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させる。残留物を、ヘキサン中0から10%の酢酸エチルのグラジエントで、40gのシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、表題の化合物を含む画分(1.3g,53%)を得る。
1H NMR(400mHz,重クロロホルム) δ 7.28(s,1H),6.95(s,1H),6.90(d,J=8.0Hz,1H),6.59(d,J=8.0Hz,1H),4.61(s,2H),3.79(s,3H),2.24(s,3H),1.96−2.12(m,4H),0.67(t,J=7.4Hz)。
ES/MS:317.1(M+1)。
【0165】
D.3’−[4−(2−ヒドロキシ−2−エチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[2−フラニル]ペンタン
【化51】

10mLのジエチルエーテル中の、3’−(4−メトキシカルボニルメトキシ−3−メチル−フェニル)−3’−(2−フラニル)ペンタン(1.3g,4.1mmol)に対して、1Mのエチル臭素化マグネシウム(10.2mL,10.2mmol)を滴加し、混合物を一晩撹拌する。この混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液によって反応を止め、ジエチルエーテルで5回(5x)トリチュレーションする。合わせた有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて表題の化合物(1.33g,94%)を得る。
1H NMR(400mHz,重クロロホルム) δ 7.29(s,1H),6.93(m,2H),6.72(d,J=8.0Hz),6.29(s,1H),6.18(s,1H),3.79(s,2H),2.20(s,3H),1.16−2.12(m,4H),1.66(m,4H),0.93(t,J=7.4Hz,6H),0.67(t,J=7.6Hz,6H)。
ES/MS:345.3(M+1),362.3(M+NH4)。
【0166】
E.3’−[4−(2−ヒドロキシ−2−エチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−カルボキシ−2−フラニル]ペンタン
【化52】

10mLのシクロヘキサンと2mLのジエチルエーテル中、0から5℃で窒素雰囲気下の、3’−[4−(2−ヒドロキシ−2−エチルブトキシ)−3−メチル−フェニル]−3’−[2−フラニル]ペンタン(1.3g,3.8mmol)に対して、1.3Mのsec−ブチルリチウム(6.5mL,8.5mmol)を加える。5分後、過剰量の二酸化炭素ガスを吹き込み、混合物を2時間撹拌する。混合物をジエチルエーテルと水の間で分配する。水層を6N HClで酸性にし、生成物をジエチルエーテルへと抽出する。エーテル層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、表題の化合物(0.66g,44%)を得、それをそのまま使用する。
ES/MS:387.3 M−1),406.3(M+NH4)。
【0167】
F.3’−[4−(2−ヒドロキシ−2−エチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−ジメチルアミノカルボニル−2−フラニル]ペンタン
DMF(2mL)中で、3’−[4−(2−ヒドロキシ−2−エチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[5−カルボキシ−2−フラニル]ペンタン(0.66g,1.7mmol)に対して、EDCI(0.38g,2.0mmol)、0.5M HOATのDMF溶液(3.4mL,1.7mmol)、および2MジメチルアミンのTHF溶液(1.7mL,3.4mmol)を加える。混合物を室温にて2時間撹拌し、ジエチルエーテルと飽和炭酸水素ナトリウムとの間に分配する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させる。残留物を、ヘキサン中、5から30%の酢酸エチルのグラジエントで、10gのシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、表題の化合物を含む画分(0.16g,23%)を得る。
1H NMR(400mHz,重クロロホルム) δ 7.00(d,J=3.6Hz,1H),6.93(d,J=8.2Hz,1H),6.90(s,1H),6.70(d,J=8.2Hz,1H),6.25(d,J=3.6Hz,1H),3.79(s,2H),3.04(s,6H),2.19(s,3H),2.06(m,4H),1.67(m,4H),0.93(t,J=7.4Hz,6H),0.70(t,J=7.4Hz,6H)。
ES/MS:416.3(M+1),433.3(M+NH4)。
【0168】
【表4】

【0169】
【表5】

【0170】
【表6】

【0171】
【表7】

【0172】
表1、2、3、および4の説明
試験化合物番号とは、対応する実施例の番号の生成物を意味する。
【0173】
表のセル中の数字の間のスラッシュマーク“/”は、異なった実験結果が得られた場合に別記している。
【0174】
対照実験は、以下に定義した2文字の符号を付けた化合物を用いて行った。
【0175】
“AA”=1α,25−ジヒドロキシビタミンD3
【0176】
“BB”=3−(4−{1−エチル−1−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−2−メチル−フェノキシ)−プロパン−1,2−ジオール
【0177】
“CC”=1−(4−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソ−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−シクロヘキシル}−2−メチル−フェノキシ)−3,3−ジメチル−ブタン−2−オン
【0178】
“DD”=下記の式によって表される化合物:
【化53】

【0179】
“EE”=下記の式によって表される化合物:
【化54】

【0180】
“FF”=カルシポトリオール(下記の構造式によって表される):
【化55】

【0181】
2.RXR−VDRヘテロ二量体化(SaOS−2細胞)試験は、下記の“検定”部分に記載されている。
【0182】
3.VDR CTF(Caco−2細胞)試験は、下記の“検定”部分に記載されている。
【0183】
4.OCNプロモーター試験は、下記の“検定”部分に記載されている。
【0184】
5.マウス高カルシウム血症試験は、下記の“検定”部分に記載されている。
【0185】
6.ケラチン生成細胞増殖検定は、下記の“検定”部分に記載されている。
【0186】
7.IL−10検定は、下記の“検定”部分に記載されている。
【0187】
検定方法
検定方法の使用:
骨粗鬆症や他の関連疾病のための、本発明の新規な化合物の評価は、試験結果の複数を用いて行った。複数の検定の使用は、(I)ビタミンD受容体に対する高い活性、および(II)高カルシウム血症の予防をまた本発明の側面である病気の治療の方法の有用性を完成させるに違いない、という2つの特性を合わせたものであるから、必要とされる。下記の試験のいくつかは、他の試験と関連していると信じられ、化合物の関連する特性を評価する。その結果として、化合物を、もし、全部ではないを上記の試験の容認基準のほとんどにかなうのであれば、本発明の実用における有用性があると考えられるかもしれない。
【0188】
乾癬のための本発明の新規な化合物の評価は、ケラチン生成細胞増殖検定と、末梢血単核細胞(PBMCs)におけるIL−2生産の阻害やIL−10生産の刺激などを測定する他の検定と組み合わせて用い、行った。
【0189】
検定方法の簡単な説明、使用、および合否基準
1.RXR−VDRヘテロ二量体化検定:
この検定は、試験化合物のVDR活性を提供する。この検定では、低いEC50値を持つ化合物が望ましい。EC50値が低いほど、化合物がVDRアゴニストとしてより活性であろう。望ましい検定結果は、EC50値を600nMと同じか、それより低い値である。好ましい検定結果は、250nMより小さく、最も好ましくは150nMより小さい。
【0190】
2.Caco−2細胞同時トランスフェクション検定
Caco−2細胞検定は、高カルシウム血症の望ましくない状況の指標である。この同時トランスフェクション検定は、VDRリガンドのin vivoの高カルシウム血症活性の代理検定である。この検定では、試験化合物が高いEC50値を持つのが望ましい。化合物のEC50値が高いほど、in vivoでの高カルシウム血性は低くなるだろう。望ましい検定結果は、EC50値が300nMと同じか、それより大きい値である。好ましい検定結果は、1000nMより大きい値である。
【0191】
3.OCN(オステオカルシン)プロモーター検定
OCNプロモーター検定は、骨粗鬆症のための指標でありマーカーである。望ましい検定結果は、EC50値が325nMと同じか、それより小さい値である。好ましい検定結果は、50nMより小さい値である。
【0192】
4.マウス高カルシウム血症検定
マウス高カルシウム血症検定は、毒性と選択性のための6日間の高カルシウム血症試験である。許容可能な試験結果は、300μg/kg/dayより大きいレベルである。好ましい検定結果は、1000μg/kg/dayより大きいレベルである。
【0193】
5.ケラチン生成細胞増殖検定
この検定は、乾癬の治療を指示するものである。許容可能な試験結果は、IC50値が300nMと同じか、それより小さい値である。好ましい検定結果は、IC50値が100nMより小さい値である。
【0194】
6.IL−10誘導検定
これは、乾癬、膿瘍、および接着のための、in vitroの効果的な検定である。乾癬は、ケラチン生成細胞と免疫細胞の両方に関連している。IL−10は、抗炎症性かつ免疫抑制性であるから、ユニークなサイトカインである。この検定は、VDRMをPBMCs(末梢血単核細胞)におけるアゴニストとして機能することができるか否かを教えてくれる。より小さいEC50値を持つ化合物を、PBMCsにおけるより良いアゴニストになるだろうから、より小さいEC50値がこの検定では望ましい。許容可能な試験結果は、EC50値が200nMより小さい値である。好ましい検定結果は、EC50値が100nMより小さい値である。
【0195】
7.他の化合物検定の標準
別の骨粗鬆症の治療のための、本発明化合物の効果の測定法は、以下のように計算される実数比である:
(高カルシウム血症を誘導するのに必要なしきい値の量)÷(骨の効果に必要なしきい値の量)
【0196】
別の乾癬の治療のための、本発明化合物の効果の測定法は、以下のように計算される実数比である:
(高カルシウム血症を誘導するのに必要なしきい値の量)÷(ケラチン生成細胞の増殖を誘導するのに必要なしきい値の量)
上記の比において、しきい値の量は、用量反応曲線のデータから決定される。
【0197】
8.CaT1(カルシウムトランスポーター1)検定
CaT1検定は、高カルシウム血症の望ましくない状況の指標である。化合物のEC50値が高いほど、in vivoでの高カルシウム血性が低いだろう。望ましい検定結果は、EC50値が500nMと同じか、それより大きい値である。好ましい検定結果は、1000nMより大きい値である。
【0198】
検定方法の詳細
(1)RXR−VDRヘテロ二量体化検定のための材料と方法
トランスフェクション方法:
・FuGENE 6 トランスフェクション試薬(ロシュ カタログ番号1814443)
生育培地:
・D−MEM高グルコース(ギブコBRL カタログ番号11054−020)、10%FBS、1%抗生物質−抗カビ物質(Ab−Am)
加熱不活性化FBS(ギブコBRL カタログ番号10092−147)
Ab−Am(ギブコBRL カタログ番号15240−062)
細胞:
・生育培地中、T−152cm2培養フラスコ内でSaOs−2細胞を生育させる。
・密度を5から6x105細胞/mlに維持する
・一週間に二度、1:3で細胞を継代する
・トリプシンEDTA(ギブコBRL カタログ番号25300−020)を加え、培養する
・平板培地に細胞を再懸濁し、生育培地に移す。
洗浄培地:
・HBSS低グルコース、フェノールレッドなし(ギブコBRL カタログ番号14175−095)、1%Ab−Am
平板培地:
・D−MEM低グルコース、フェノールレッドなし(ギブコBRL カタログ番号11054−020)、1%Ab−Am
D−MEM
タンパク除去したFBS(ハイクローン カタログ番号SH30068.03 ロット番号AHM9371)
Ab−AM
トランスフェクション/処理培地:
・D−MEM低グルコース、フェノールレッドなし、のみ
T−152cm2培養フラスコ:
・細胞生育のためにCorning Coaster T−152cm2培養フラスコ(カタログ番号430825)を使用
平板ウェルプレート:
・細胞をプレーティングするのに、ウェルプレートを使用
・処理培地を無菌的に作るのに、深いウェルプレートを使用。

ルシフェラーゼ検定試薬:
・プロメガ製Steady−Gloルシフェラーゼ試薬(カタログ番号E2550)を使用、それは以下のものから成る:
a.E2533検定基質、凍結乾燥産物、および
b.E2543検定バッファー。
・室温にて解凍する
・保存する
【0199】
1日目:細胞のプレーティング
細胞の収穫
培養フラスコから培地を吸引し、細胞をHBSSで洗い、および吸引する。
トリプシンを加え、培養する。
細胞が分離したように見えたら、生育培地中で細胞を再懸濁する。
細胞を継代するために、新しい生育培地とともに、新しいフラスコに移す。
ウェルプレートにプレーティングし、さらに2つのプレートにプレーティングする。
A.細胞の計数
細胞懸濁物を、ピペットを使って混合する。
細胞を計数するのに、血球計数器を使う。
血球計数器のチャンバー上に細胞懸濁物を乗せる。
細胞を数える。
プレート接種:
D−MEM低グルコース中10%タンパクを除去したFBS、フェノールレッドなし、1%Ab−Amからなるプレーティング培地を使う。
14枚のプレートに、165μl/ウェルでプレーティング。
無菌のフラスコ中で、プレーティング培地に細胞懸濁液を加える。
混合する。
細胞をウェルごとに加える。
細胞を培養器中に置く。
細胞は、トランスフェクションの前に、約75%集密的であるべきである。
【0200】
2日目:トランスフェクション
工程1:DNAと培地
DNAを混合するために、単純なDMEM培地を試験管に加える。
レポーター遺伝子pFR−LUCを加える。
Gal4−RXR−DEFとVP16−VDR−LBDを加える。
工程2:FuGENEと培地
FuGENEを混合するために、単瞬なDMEM培地を地検感に準備する。
FuGENE 6トランスフェクション試薬を加える。
インキュベートする。
工程3:FuGENE、DNAおよび培地の複合体
工程2のFuGENE培地複合体を、工程1のDNA培地複合体に加える。
インキュベートする。
工程4:FuGENE、DNA、および培地複合体をウェルプレートへ
工程3のFuGENE−DNA−培地複合体を、それぞれのプレートに加える。
インキュベートする。
【0201】
3日目:投薬
処理の準備
トランスフェクションの時間の間、放置しておく。
DMSO中の化合物のストック溶液を作る。
全ての化合物が溶解するまでボルテックスする。
D−MEM(低グルコース−フェノールレッドなし)中に、さらに希釈する。
全ての化合物について、4連で、最終体積を得るように加える。
インキュベートする。
【0202】
4日目:ルシフェラーゼ検定
薬剤処理の後でプレートを読む
全てのウェルから培地の部分を除去し、残り物をそのままにしておく。
Steady−Gloルシフェラーゼ試薬混合物を、ウェルごとに加える。
インキュベートする。
それぞれのウェルを、発光カウンター、パッカード製のTop Count NXTを使って計数する。バックグラウンドを減らすために、プレート間の遅れを設定する。
【0203】
(2)Caco−2細胞検定のための材料と方法:
10%のチャーコール処理FBS(ハイクローン、ローガン、ユタ州)を含むフェノールレッドなしのDMEM(インビトロジェン、カールスバッド、カリフォルニア州)中で生育したCaco−2細胞は、Fugene 6試薬(ロシュ ダイアグノスティクス、インディアナポリス、インディアナ州)を用いて、トランスフェクションした。細胞(5000/ウェル)は、96ウェルプレート中に、トランスフェクションの18時間前にプレーティングした。細胞は、Gal−4応答性レポーターpFRLuc(150ng,ストラタジーン、ラホーヤ、カリフォルニア州)と受容体発現ベクターpGal4−VDR−LBD(10ng)とで、Fugene 6試薬(0.2μl/well)とともに、トランスフェクションした。DNA−Fugene複合体は、その混合物を室温にて30分間インキュベートすることによって形成した。細胞は、5時間にわたって、3連でトランスフェクションされ、トランスフェクションの18時間後に、様々な濃度のVDRリガンド(0.01から10,000nMの濃度範囲)で処理した。ルシフェラーゼ活性は、Steady−Glo試薬キット(プロメガ、マジソン、ウィスコンシン州)を使って、製造者の仕様書に従って、定量した。
【0204】
(3)OCNプロモーター検定の材料と方法
VDRリガンドによるオステオカルシンの活性化は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子
と融合させた、ラットのオステオカルシンプロモーターを安定して発現している、ラット骨芽細胞様細胞株RG−15(ROS 17/2.8)において評価した。安定な細胞株は、以前に報告された通りに確立した(Activation of Osteocalcin Transcription Involves Interaction of protein kinase A− and Protein kinase C−dependent pathways.Boguslawski,G.,Hale,L.V.,Yu,X.−P.,Miles,R.R.,Onyia,J.E.,Santerre,R.F.,Chandrasekhar,S.J Biol.Chem. 275,999−1006,2000)。集密的なRG−15細胞は、5%FBS、300μg/mlのG418を含むDMEM/F−12培地(3:1)中で維持され、37℃で、5%CO2/95%空気の雰囲気下でトリプシン処理(0.25%トリプシン)され、および白色不透明の96−ウェル細胞培養プレートにプレーティングした(25000細胞/ウェル)。24時間後、細胞(DMEM/F−12培地+2%FBS中)は、DMSOに溶解した、様々な濃度の化合物で処理した。最終のDMSO濃度は、0.01%(v/v)であった。48時間の処理の後、培地を除去し、細胞は50μlの溶解バッファー(ルシフェラーゼレポーター検定システム、ロシュ ダイアグノスティクス、インディアナポリス、インディアナ州)で溶解され、およびべーリンガーマンハイムのルシフェラーゼレポーター遺伝子検定キットを使って、製造者の仕様書に従って、ルシフェラーゼ活性が検定した。
【0205】
(4)マウス高カルシウム血症検定のための材料と方法
離乳したばかりの、ウィルス−抗体を持たない、生後5から6週間のメスのDBFマウス(ハーラン、インディアナポリス、インディアナ州)を全ての実験において使用する。動物を、実験の飼育器の条件に2日間順応させる。マウスは、自由に食べ物(1.2%Caと0.9%Pを加えたTD5001、テクラッド、マジソン、ウィスコンシン州)と水にアクセスでき、12時間の明/暗サイクル中、22℃で維持する。動物を、グループあたり4から5匹のマウスのグループに分ける。10%エタノールと90%ゴマ油中に調製した、異なった量の試験化合物をチューブによる栄養補給を介して6日間、経口的にマウスに対して投与する。さらに、1α−25(OH)23 0.5μg/kg/dを、ポジティヴコントロールとして、一つグループのマウスに与えた。血清中のイオン化したカルシウムを、Ciba−Corning Ca++/PH分析器(モデル634、キロン ダイアグノスティクス社、東ウォルポール、マサチューセッツ州)により、イソフルラン麻酔の下、最後の投与から6時間後に評価する。グループごとに異なる生データは、有意レベルがP<0.05であるような、フィッシャーの保護最小有意差(PLSD)を用いた、分散分析(ANOVA)によって評価する。
【0206】
(5)ケラチン生成細胞増殖検定:
KERtr細胞(ATCCより入手した、レトロウイルスベクターで形質転換したヒトの皮膚のケラチン生成細胞)を、EGF(ライフ テクノロジーズ、ロックビル、メリーランド州)不在下、ウシ下垂体抽出物を添加したケラチン生成細胞無血清培地100μl中において、96ウェルの平底プレートにプレーティングし(3000細胞/ウェル)、37℃で2日間培養した。細胞は、様々な濃度のVDRリガンド(3連の、10,000nMから0.1nMまでの2倍の連続希釈)で処理し、EGF不在下100μl中のウシ下垂体抽出物を添加したケラチン生成細胞無血清培地に溶解し、37℃で72時間インキュベートした。BrdU(5−ブロモ−2’−デオキシウリジン)取り込みをDNA複製の測定(細胞増殖ELISAキット、ロシュ ダイアグノスティクス、インディアナポリス、インディアナ州)として分析し、吸光度405nmで測定した。効力値(IC50値)は、最大半量の応答を導き出す化合物の濃度(nM)として決定した。
【0207】
(6)ヒトIL−10誘導検定の材料と方法
末梢血単核細胞(PBMCs)の単離:
A.ヒトの血液50mLを回収し、培地、RPMI−1640で希釈する。
B.フィコールで滅菌して遠心管を準備する。
C.遠心管に希釈した血液を加える。
D.遠心する。
E.最上層を捨て、中間層から細胞を回収する。
F.全ての細胞を4本の遠心管に分け、培地を加える。
G.遠心する。
H.培地を吸引除去し、再懸濁する。
I.全ての細胞を回収する。
J.1200rpmで10分間遠心する。
K.2%FBSを加えたRPMI−1640中に再懸濁し、細胞を数える。
PBMCの刺激:
L.DMSOに溶かしたTPAを準備する。
M.PHAを水に溶解する。
N.TPA/PHA処理したPBMCsをウェルプレートにプレーティングする。
O.インキュベートする。
処理:
P.単純なRPMI−1640培地に希釈した全ての化合物を調製する。
Q.希釈した化合物を加える。
R.インキュベートする。
サンプル回収と検定:
S.遠心により全ての細胞を除去し、免疫学的検定法によって、IL−10について上清を検定する。
T.抗ヒトIL−10抗体で覆われたビーズを使い、製造者(リンコ リサーチ社、セント・チャールズ、ミズーリ州)による記述のとおりに、IL−10検定を行う。
【0208】
(7)CaT1検定
10%ウシ胎仔血清(インビトロジェン、カールスバッド、カリフォルニア州)を添加したDMEM(高グルコース、25mM Hepesバッファー添加、インビトロジェン、カールスバッド、カリフォルニア州)中に維持した、ヒト結腸ガン細胞株である、Caco−2細胞を全体積100μl/ウェルで96ウェルプレート中に、1ウェルあたり5500細胞でプレーティングする。細胞は、カルシウムトランスポーター、CaT1を発現する小さな腸細胞へと分化するように、6日間96ウェルプレート中に保持する。プレーティング後3日目に、古い培地を除去し、新しい培地(150μl/ウェル)に置き換える。6日目に、古い培地を除去し、細胞は、DMEM(低グルコース、フェノールレッド非添加;インビトロジェン、カールスバッド、カリフォルニア州)中、10%のチャーコール処理ウシ胎仔血清(ハイクローン、ローガン、ユタ州)を含む処理培地(180μl/ウェル)の中に保持する。細胞は、処理培地(20μl/ウェル)中に調製した、様々な濃度のVDRリガンド(0.01nMから10,000nMの濃度範囲)で処理する。処理の24時間後、全RNAを製造者(キアゲン、バレンシア、カリフォルニア州)によって記載した通りのRNeasy 96法によって調製する。RNAを逆転写し、製造者(アプライド バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア州)の使用説明書に従って、ABI PRISM 7900HT 配列検出システムを用いた定量的RT−PCRによって、ヒトCaT1とGAPDH(対照)のメッセージについて増幅する。最適化したプライマーのペアと、ヒトCaT1とGAPDH遺伝子のプローブは、市販のもの(アプライド バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア州)を購入する。384ウェルTaqman PCRプレート中の、それぞれの20μlの定量的RT−PCRの反応液は、順方向と逆方向のプライマー(900nM)、Taqmanプローブ(200nM)、全RNA(96ウェル培養プレートのそれぞれのウェルからの4μl)、および10μlのTaqmanユニバーサルPCRマスターミックス(ロシュ ダイアグノスティクス、インディアナポリス、インディアナ州)から成る。反応液は、48℃で30分間インキュベートし、つづいて95℃で10分、および40サイクルのPCR(95℃で15秒間、その後60℃で1分間)へと移行する。GAPDHは、内部標準として使用し、そのプライマーとプローブのセットは市販のもの(アプライド バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア州)を購入する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[ここで、
RとR’は、独立にC1−C4アルキル、C1−C4フルオロアルキル、またはRとR’一緒に3から8の炭素原子を有する置換または非置換の飽和または不飽和の炭素環を形成し;
P、RP’およびRFは独立に、水素、ハロ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニル、C1−C4フルオロアルキル、−O−C1−C4アルキル、−S−C1−C4アルキル、−O−C1−C4フルオロアルキル、−CN、−NO2、アセチル、−S−C1−C4フルオロアルキル、C2−C4アルケニル、C3−C4シクロアルキル、およびC3−C4シクロアルケニルから成るグループから選択され;
(L1)、(L2)、(L3)、および(LF)は、
【化2】

から成るグループから独立に選択される二価の結合基であり、ここで、R40はそれぞれ独立に、水素、C1−C5アルキル、またはC1−C5フルオロアルキルであり;
X1は、O、CH2、または[H,OH]であり;
Fは、
【化3】

(ここで、R4とR5は、独立に、水素、C1−C4アルキル、−O−C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニル、C1−C4ハロアルキル、−NH(C1−C4アルキル)、またはシクロプロピルであり、R4またはR5の1つのみが水素であってもよい)であり;
Pは、
メチル、
エチル、
n−プロピル、
1−メチルエチル、
1−メチルプロピル、
2−メチルプロピル、
1,1−ジメチルエチル、
1,1−ジメチルプロピル、
1,2−ジメチルプロピル、
2,2−ジメチルプロピル、
1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル、
1−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチルプロピル、
2−ヒドロキシ−2−メチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−2−エチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−2−エチル−3−メチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−2−メチル−3−メチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−1,3,3−トリメチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−1−エチル−3,3−ジメチルブトキシ、
2−ヒドロキシ−1,2−ジエチルブトキシ
2−ヒドロキシ−2−エチル−1−メチルブトキシ、
3−メチル−3−ヒドロキシペンチル、
3−メチル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−メチル−3−ヒドロキシペンチニル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンチル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−エチル−3−ヒドロキシペンチニル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンテニル、
3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチニル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンチル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンテニル、
3−プロピル−3−ヒドロキシペンチニル、
1−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルエチル)プロピル、
1−ヒドロキシシクロペンテニル、
1−ヒドロキシシクロヘキセニル、
1−ヒドロキシシクロヘプテニル、
1−ヒドロキシシクロオクテニル、
1−ヒドロキシシクロプロピル、
1−ヒドロキシシクロブチル、
1−ヒドロキシシクロペンチル、
1−ヒドロキシシクロヘキシル、
1−ヒドロキシシクロヘプチル、または
1−ヒドロキシシクロオクチルである]
で表される化合物、またはその製薬的に許容可能な塩誘導体。
【請求項2】
Pが、1,1−ジメチルエチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル、または1−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチルプロピルであって、(L1)、(L2)、(L3)が全て結合であり;
Fが、
−C(O)NHMe、
−C(O)NHEt、
−C(O)NH(iPr)、
−C(O)NH(tBu)、
−C(O)NH(CF3)、
−C(O)N(Me)2
−C(O)NMeEt、
−C(O)NMe(iPr)、
−C(O)NMe(tBu)、
−C(O)NMe(CF3)、
−C(O)N(Me)F、
−C(O)N(Et)F、
−C(O)N(iPr)F、
−C(O)N(tBu)F、
−C(O)N(Et)2、または
−C(O)NEt(iPr)から選択され;
Fが、
【化4】

である化合物、またはその製薬的に許容可能な塩またはプロドラッグである、請求項1の化合物。
【請求項3】
Fが、
−C(O)NHMe、
−C(O)NHEt、
−C(O)NH(iPr)、
−C(O)NH(tBu)、
−C(O)N(Me)2
−C(O)NMeEt、
−C(O)NMe(iPr)、
−C(O)NMe(tBu)、
−C(O)N(Et)2、または
−C(O)NEt(iPr)から選択される化合物、またはその製薬的に許容可能な塩またはプロドラッグである、請求項2の化合物。
【請求項4】
以下の式A〜J
【化5】

【化6】

【化7】

によって表される化合物、またはその製薬的に許容可能な塩またはエステルプロドラッグ誘導体。
【請求項5】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の塩。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1つの化合物と、製薬的に許容可能な担体または希釈剤を含有して成る医薬製剤。
【請求項7】
成分(A1):請求項1〜4のビタミンD受容体調節物質;
成分(B1):以下のものから成るグループから選択される、1以上の共薬剤:
a.エストロゲン、
b.アンドロゲン、
c.カルシウムサプリメント、
d.ビタミンD代謝物、
e.チアジド利尿薬、
f.カルシトニン、
g.ビスフォスフォネート、
h.SERMS、および
I.フッ化物;および
成分(C1):所望により、担体または希釈剤、
を含む、骨粗鬆症治療のための製剤。
【請求項8】
(A1)対(B1)の重量比が10:1〜1:1000である、請求項7の製剤。
【請求項9】
成分(A2):請求項1〜4のビタミンD受容体調節物質;
成分(B2):以下のものから成るグループから選択される、乾癬の治療のための1以上の慣用の共薬剤:
a.局所用グルココルチコイド、
b.サリチル酸、
c.未精製コールタール;および、
成分(C2):所望により、担体または希釈剤
を含む、乾癬治療のための製剤。
【請求項10】
(A2)対(B2)の重量比が、1:10〜1:100000である、請求項9の製剤。
【請求項11】
請求項1または2または3に記載の少なくとも1つの化合物の医薬的に効果的な量を投与することを含む、にきび、光線性角化症、脱毛症、アルツハイマー病、無重力状態での骨の維持、骨折の治療、乳ガン、ガンの化学予防、クローン病、結腸ガン、I型糖尿病、拒絶反応、高カルシウム血症、II型糖尿病、白血病、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、不十分な皮脂分泌、骨軟化症、骨粗鬆症、不十分な真皮の堅さ、不十分な真皮の加湿、乾癬性関節炎、前立腺ガン、乾癬、腎性骨ジストロフィー、リウマチ様関節炎、強皮症、皮膚ガン、全身性エリテマトーデス、マスタード発疱薬による皮膚細胞の損傷、潰瘍性大腸炎、白斑、または皺の病理学的な影響を軽減しまたは予防するための、ほ乳類を処置する方法。
【請求項12】
乾癬の治療のための請求項11の方法。
【請求項13】
骨粗鬆症の治療のための請求項11の方法。
【請求項14】
マスタード発疱薬による皮膚細胞の損傷を予防または軽減するためにほ乳類を治療する請求項11の方法。
【請求項15】
請求項1〜4のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物の医薬的に効果的な量を投与することを含む、良性前立腺肥大症または膀胱ガンの病理学的な影響を軽減しまたは予防するための、ほ乳類を治療する方法。
【請求項16】
請求項1〜4に記載の化合物の医薬的に効果的な量を、それを必要とするほ乳類に投与する、ビタミンD受容体によって仲介される病的状態を治療または予防する方法。
【請求項17】
にきび、光線性角化症、脱毛症、アルツハイマー病、無重力状態での骨の維持、骨折の治療、乳ガン、ガンの化学予防、クローン病、結腸ガン、I型糖尿病、拒絶反応、高カルシウム血症、II型糖尿病、白血病、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、不十分な皮脂分泌、骨軟化症、骨粗鬆症、不十分な真皮の堅さ、不十分な真皮の加湿、乾癬性関節炎、前立腺ガン、乾癬、腎性骨ジストロフィー、リウマチ様関節炎、強皮症、皮膚ガン、全身性エリテマトーデス、マスタード発疱薬による皮膚細胞の損傷、潰瘍性大腸炎、白斑、または皺の病理学的な影響を予防または軽減するためのほ乳類を処置において使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
良性前立腺肥大症または膀胱ガンの病理学的な影響を予防または軽減するためのほ乳類の処置において使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
ビタミンD受容体によって仲介される病的状態の治療または予防に使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
実施例のいずれかを参照して明細書中に実質的に記載された、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
実施例のいずれかを参照して明細書中に実質的に記載された、請求項1記載の化合物の製造方法。
【請求項22】
分析法および表のいずれかを参照して明細書中に実質的に記載された、ビタミンD受容体を仲介するための請求項1記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−512326(P2007−512326A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541190(P2006−541190)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/035527
【国際公開番号】WO2005/051936
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】