説明

ピラゾール−O−グルコシド誘導体を含有する医薬組成物

本発明は、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常および高血糖症から選択される1種または複数の状態の治療または予防に適した少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせて含有する医薬組成物に関する。さらに、本発明は、代謝異常および関連状態を予防または治療するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常、空腹時血中グルコース異常および高血糖症から選択される1種または複数の状態を治療または予防するのに適した少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせて含有する医薬組成物に関する。
【0002】
さらに、本発明は、それを必要とする患者における、
・代謝異常の進行を予防、減速するための、該代謝異常を遅延または治療するための方法;
・血糖コントロールを改善するための、ならびに/あるいは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/または糖化ヘモグロビンHbA1cを低減するための方法;
・耐糖能異常、空腹時血中グルコース異常、インスリン抵抗性からおよび/または代謝症候群から2型糖尿病への進行を予防、減速、遅延または逆転するための方法;
・糖尿病の合併症からなる群から選択される状態または障害の進行を予防、減速する、該状態または障害を遅延または治療するための方法;
・体重を低減する、または体重増加を予防する、あるいは体重低減を促進するための方法;
・膵臓β細胞の変性を予防または治療する、ならびに/あるいは膵臓β細胞の機能を改善および/または回復する、ならびに/あるいは膵臓のインスリン分泌機能を回復させるための方法;
・肝脂肪の異常蓄積に帰せられる疾患または状態を予防、減速、遅延または治療するための方法;
・インスリン感受性を維持および/または改善する、ならびに/あるいは高インスリン血症および/またはインスリン抵抗性を治療または予防するための方法
であって、後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコース誘導体を、後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法に関する。
【0003】
さらに、本発明は、前または後で説明するような方法で使用するための医薬を製造するための、後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体の使用に関する。
【0004】
さらに、本発明は、前または後で説明するような方法で使用するための医薬を製造するための、後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬の使用に関する。
【0005】
本発明は、また、前にまたは後に定義する通りの方法で使用するための医薬を製造するための、本発明による医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0006】
欧州特許出願公開第1338603号には、新規ピラゾール−O−グリコシド誘導体が記載されている。ピラゾール−O−グリコシド誘導体は、尿糖排出の誘導剤としておよび糖尿病治療の医薬として提案されている。
【0007】
欧州特許出願公開第1500403号には、腎グルコース再吸収阻害薬と血糖降下薬との組合せが記載されている。
【0008】
数ある機序の中でも、グルコースの腎濾過および再取り込みは、定常状態の血漿グルコース濃度に貢献し、それゆえ、抗糖尿病の標的として役立つことができる。濾過されたグルコースの腎上皮細胞を通る再取り込みは、近位尿細管の刷子縁膜中に局在するナトリウム依存性グルコース共輸送体(SGLT)を介してナトリウム勾配に沿って進行する(1)。それらの発現パターンおよびそれらの物理−化学的特性を異にする少なくとも3種のSGLTアイソフォームが存在する(2)。SGLT2は、もっぱら腎臓中で発現し(3)、一方、SGLT1は、さらに、腸、結腸、骨格筋および心筋のような他の組織中でも発現する(4,5)。SGLT3は、いかなる輸送機能もない腸間質細胞中のグルコースセンサーであることが見出されている(6)。潜在的には、その他の関連しているがまだ特徴付けられていない遺伝子が、さらに腎グルコース再取り込みに貢献している可能性がある。(7,8,9)。正常血糖のもとで、グルコースは、腎臓中でSGLTにより完全に再吸収され、一方、腎臓の再取り込み能力は、10mMを超えるグルコース濃度で飽和され、糖尿(「糖尿病」)をもたらす。SGLT2の阻害によって、この閾値濃度を低下させることができる。SGLT阻害薬プロリジンを用いる実験で、SGLTの阻害は、腎糸球体濾液から血中へのグルコースの再取り込みを部分的に阻害し、血中グルコース濃度の低下および糖尿につながることが示されている(10,11)
【0009】
(1)Wright,E.M.(2001)Am.J.Renal Physiol.280,F10〜F18
(2)Wright,E.M.et al.(2004)Pflugers Arch.447(5):510〜8
(3)You,G.et al.(1995)J.Biol.Chem.270(49)29365〜29371
(4)Pajor AM,Wright EM(1992)J Biol.Chem.267(6):3557〜3560
(5)Zhou,L.et al.(2003)J.Cell.Biochem.90:339〜346
(6)Diez-Sampedro,A.et al.(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100(20),11753〜11758
(7)Tabatabai,N.M.(2003)Kidney Int.64,1320〜1330
(8)Curtis,R.A.J.(2003)米国特許出願公開第2003/0054453号
(9)Bruss,M.and Bonisch,H.(2001)Cloning and functional characterization of a new human sugar transporter in kidney(Genbank Acc.No.AJ305237)
(10)Rossetti,L.ET al.(987)J.Clin.Invest.79,1510〜1515
(11)Gouvea,W.L.(1989)Kidney Int.35(4):1041〜1048
【0010】
2型糖尿病は、高頻度の合併症のため平均余命のかなりの縮小につながる、ますます広く認められつつある疾患である。糖尿病に関連する微小血管の合併症のため、2型糖尿病は、現在のところ、先進工業国における成人発症型視力喪失、腎不全、および切断の最も頻度の高い原因である。さらに、2型糖尿病の存在は、心血管疾患リスクの2〜5倍の増加と関連している。
【0011】
疾患が長く続いた後、2型糖尿病を有するほとんどの患者は、経口療法に結局失敗し、毎日の注射および1日に複数回のグルコース測定が必要なインスリン依存性となる。
【0012】
UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)は、メトフォルミン、スルホニル尿素類またはインスリンでの徹底的な治療は、血糖コントロールの限られた改善をもたらすこと(HbA1cの差分〜0.9%)だけであることを立証した。さらに、徹底的な治療アームの範囲内の患者においてさえ、血糖コントロールは、時間経過と共にかなり悪化し、このことは、β−細胞の機能悪化に帰せられた。重要なことだが、徹底的な治療は、大血管性合併症、すなわち心血管事故の有意な減少と関係がなかった。
【0013】
したがって、改善された安全性プロフィールを示すと同時に、血糖コントロールに関して、疾患修飾特性に関して、ならびに心血管の罹患率および死亡率に関して良好な効力を有する、方法、医薬および医薬組成物に対する未だ満たされていない要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、代謝異常の進行を予防、減速する、代謝異常を遅延または治療するための医薬組成物および方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、それを必要とする患者における血糖コントロールを改善するための医薬組成物および方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、インスリン抵抗性および/または代謝症候群から2型糖尿病への進行を予防、減速または遅延するための医薬組成物および方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、糖尿病の合併症からなる群から状態または障害の進行を予防、減速する、該状態または障害を遅延または治療するための医薬組成物および方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、それを必要とする患者における、体重を低減する、または体重増加を予防するための医薬組成物および方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、代謝異常、特に糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、および/または高血糖症を治療するための高い効力を有し、良好〜極めて良好な薬理学的および/または薬物動態学的および/または物理化学的特性を有する、新規医薬組成物を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、前のおよび以下の説明によって、ならびに実施例によって、当業者に明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
驚くべきことに、本発明の範囲内で、後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体、またはそのプロドラッグ、またはそれらの薬学上許容される塩を含有する医薬組成物が、代謝異常の進行を予防、減速するするために、代謝異常を遅延または治療するために、特に患者における血糖コントロールを改善する際に、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)および高血糖症から選択される1種または複数の状態を治療または予防するのに適した少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせて有利に使用できることが見出されるに至った。このことは、2型糖尿病、体重過多、肥満、糖尿病と近隣疾患状態との合併症の治療および予防における新たな治療可能性を開く。
【0022】
したがって、本発明の第1態様では、下記の化合物(1)〜(29)
(1) 4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(2) 4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(3) 4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(4) 4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(5) 1−シクロブチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(6) 1−シクロプロピルメチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(7) 1−シクロブチル−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(8) 4−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(9) 4−(2−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(10) 4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(11) 4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(12) 4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(13) 4−(3−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(14) 4−(4−エチニル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(15) 4−(3−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(16) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(17) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(18) 4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(19) 4−(2−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(20) 4−(2−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(21) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(22) 4−(4−ブロモ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(23) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−シクロブチル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(24) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−(2−フルオロ−1−フルオロメチル−エチル)−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(25) 4−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(26) 4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(27) 4−(2,3−ジフルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(28) 4−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(29) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体、またはそのβ−D−グルコピラノシル基の1つまたは複数のヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル、フェニル−(C1〜3−アルキル)−カルボニル、フェニルオキシカルボニルおよびフェニル−(C1〜3−アルキル)−オキシカルボニルから選択される基でアシル化されているそのプロドラッグ、あるいはこれらの薬学上許容される塩を、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)および高血糖症から選択される1種または複数の状態を治療または予防するのに適した少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせて含有する医薬組成物が提供される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖症、体重過多、肥満および代謝症候群からなる群から選択される代謝異常の進行を予防、減速する、該代謝異常を遅延または治療するための方法であって、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における血糖コントロールを改善するための、ならびに/あるいは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/または糖化ヘモグロビンHbA1cを低減するための方法であって、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0025】
本発明による医薬組成物は、また、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、インスリン抵抗性および/または代謝症候群に関連した疾患または状態に関して、貴重な疾患修飾特性を有する可能性がある。
【0026】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、インスリン抵抗性から、および/または代謝症候群から2型糖尿病への進行を予防、減速、遅延または逆転させる方法であって、前およびまたは後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0027】
本発明による医薬組成物を使用することによって、それを必要とする患者における血糖コントロールの改善を達成することができ、また、増大した血中グルコース濃度に関連したまたはそれによって引き起こされる状態および/または疾患を治療できる。
【0028】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における、白内障、ならびに微小および大血管性疾患、例えば腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中および末梢動脈閉塞性疾患などの糖尿病の合併症からなる群から選択される状態または障害の進行を予防、減速する、該状態または傷害を遅延または治療するための方法であって、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。用語「組織虚血」は、詳細には、糖尿病性大血管障害、糖尿病性微小血管障害、創傷治癒障害および糖尿病性潰瘍を包含する。
【0029】
本発明による医薬組成物の投与よって、およびピラゾール−O−グルコシド誘導体のSGLT2阻害活性のために、過剰な血中グルコース濃度は、脂肪のような不溶性の貯蔵形態に転換されないで、患者の尿を介して排出される。したがって結果として、体重は、増加せず、減少さえする。
【0030】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における体重を低減する、または体重増加を予防する、または体重減少を促進するための方法であって、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0031】
本発明による医薬組成物中のピラゾール−O−グルコシド誘導体の薬理学的効果は、インスリンと無関係である。したがって、血糖コントロールの改善は、膵臓β細胞に対する付加的酷使なしに可能である。本発明による医薬組成物の投与によって、例えば膵臓β細胞のアポトーシスまたはネクローシスなどのβ細胞の変性およびβ細胞の機能低下を遅延または予防することができる。さらに、膵臓細胞の機能を改善または回復することができ、膵臓β細胞の数および大きさを増加させることができる。本発明による医薬組成物で治療することによって、高血糖症によって乱された膵臓β細胞の分化状態および過形成を正常化できることを示すことがある。
【0032】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における膵臓β細胞の変性および/または膵臓β細胞の機能低下を予防、減速、遅延または治療するための、ならびに/あるいは膵臓β細胞の機能を改善および/または回復するための、ならびに/あるいは膵臓のインスリン分泌機能を回復するための方法であって、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0033】
本発明による組合せまたは医薬組成物の投与によって、肝臓における脂肪の異常蓄積を低減または阻止できる。したがって、本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における、肝脂肪の異常蓄積に帰せられる疾患または状態を予防、減速、遅延または治療するための方法であって、化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。肝脂肪の異常蓄積に帰せられる疾患または状態は、詳細には、一般的脂肪肝、非アルコール性脂肪肝(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高カロリー輸液誘発性脂肪肝、糖尿病性脂肪肝、アルコール誘発性脂肪肝または中毒性脂肪肝からなる群から選択される。
【0034】
その結果として、本発明の別の態様は、それを必要とする患者におけるインスリン感受性を維持および/または改善するための、ならびに/あるいは高インスリン血症および/またはインスリン抵抗性を治療または予防するための方法であって、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0035】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における、
・1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖症、体重過多、肥満および代謝症候群からなる群から選択される代謝異常の進行を予防、減速するための、該代謝異常を遅延または治療するための;または
・血糖コントロールを改善するための、ならびに/あるいは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/または糖化ヘモグロビンHbA1cを低減するための;または
・耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、インスリン抵抗性からおよび/または代謝症候群から2型糖尿病への進行を予防、減速、遅延または逆転するための;または
・白内障、ならびに微小および大血管性疾患、例えば腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中および末梢動脈閉塞性疾患などの糖尿病の合併症からなる群から選択される状態または障害の進行を予防、減速するための、該状態または障害を遅延または治療するための;または
・体重を低減するための、または体重増加を予防するための、または体重低減を促進するための;または
・膵臓β細胞の変性および/または膵臓β細胞の機能低下を予防、減速、遅延または治療するための、ならびに/あるいは膵臓β細胞の機能を改善および/または回復するための、ならびに/あるいは膵臓のインスリン分泌機能を回復するための;または
・肝脂肪の異常蓄積に帰せられる疾患または状態を予防、減速、遅延または治療するための;または
・インスリン感受性を維持および/または改善するための、ならびに/あるいは高インスリン血症および/またはインスリン抵抗性を治療または予防するための
医薬を製造するための、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体の使用であって、該ピラゾール−O−グルコシド誘導体を、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする使用が提供される。
【0036】
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者における、
・1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖症、体重過多、肥満および代謝症候群からなる群から選択される代謝異常の進行を予防、減速するための、該代謝異常を遅延または治療するための;または
・血糖コントロールを改善するための、ならびに/あるいは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/または糖化ヘモグロビンHbA1cを低減するための;または
・耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、インスリン抵抗性からおよび/または代謝症候群から2型糖尿病への進行を予防、減速、遅延または逆転するための;または
・白内障、ならびに微小および大血管性疾患、例えば腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中および末梢動脈閉塞性疾患などの糖尿病の合併症からなる群から選択される状態または障害の進行を予防、減速するための、該状態または障害を遅延または治療するための;または
・体重を低減するための、または体重増加を予防するための、または体重低減を促進するための;または
・膵臓β細胞の変性および/または膵臓β細胞の機能低下を予防、減速、遅延または治療するための、ならびに/あるいは膵臓β細胞の機能を改善および/または回復するための、ならびに/あるいは膵臓のインスリン分泌機能を回復するための;および
・肝脂肪の異常蓄積に帰せられる疾患または状態を予防、減速、遅延または治療するための;および
・インスリン感受性を維持および/または改善するための、ならびに/あるいは高インスリン血症および/またはインスリン抵抗性を治療または予防するための
医薬を製造するための、前および後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬の使用であって、少なくとも1種の該第2治療薬を、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グリコシド誘導体と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする使用が提供される。
【0037】
本発明の別の態様によれば、前および後で説明する通りの治療および予防方法のための医薬を製造するための、本発明による医薬組成物の使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】薬理学的実施例の結果を示す。
【図2】薬理学的実施例の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(定義)
本発明による医薬組成物に関する用語「活性成分」は、ピラゾール−O−グルコシド誘導体および/または第2の治療用成分を意味する。
【0040】
ヒト患者に関する用語「ボディマスインデックス」または「BMI」は、身長(メートル)の二乗で除した体重(kg)と定義され、その結果、BMIはkg/m2の単位を有する。
【0041】
用語「体重過多」は、個体が、25kg/m2以上30kg/m2未満のBMIを有する状態と定義される。用語「体重過多」および「プレ肥満」は、互換的に使用される。
【0042】
用語「肥満」は、個体が、30kg/m2以上のBMIを有する状態と定義される。WHOの定義によれば、用語「肥満」は、次のように類別される:用語「クラスIの肥満」は、BMIが30kg/m2以上35kg/m2未満である状態であり;用語「クラスIIの肥満」は、BMIが35kg/m2以上40kg/m2未満である状態であり;用語「クラスIIIの肥満」は、BMIが40kg/m2以上である状態である。
【0043】
用語「内臓肥満」は、男性では1.0以上、女性では0.8以上のウエスト/ヒップ比率が計測される状態と定義される。それは、インスリン抵抗性およびプレ糖尿病発症のリスクを示す。
【0044】
用語「腹部肥満」は、通常、ウエスト周囲が男性で>40インチ(102cm)、女性で>35インチ(94cm)である状態と定義される。日本の民族性または日本人患者に関して、腹部肥満は、男性で≧85cm、女性で≧90cmと定義することもできる(例えば、日本でのメタボリックシンドローム診断基準検討委員会を参照のこと)。
【0045】
用語「正常血糖」は、対象が、正常範囲内、すなわち70mg/dL(3.89ミリモル/L)を超えかつ110mg/dL(6.11ミリモル/L)未満の空腹時血中グルコース濃度を有する状態と定義される。単語「空腹時」は、医学用語としての通常の意味を有する。
【0046】
用語「高血糖症」は、対象が、正常範囲を超える、すなわち110mg/dL(6.11ミリモル/L)を超える空腹時血中グルコース濃度を有する状態として定義される。単語「空腹時」は、医学用語としての通常の意味を有する。
【0047】
用語「低血糖症」は、典型的には、対象が、低血糖症によって引き起こされることが知られている症状、すなわち、症状が発生した時点での低い血中グルコース濃度、および血中グルコース濃度を正常に戻した場合の症状または問題の反転または改善を有する状態と定義される。典型的には、70mg/dL(3.9ミリモル/L)未満、特に60mg/dL(3.3ミリモル/L)未満の血漿グルコース濃度が、低血糖性と見なされる。
【0048】
用語「食後高血糖症」は、対象が、200mg/dL(11.11ミリモル/L)を超える2時間後の食後血中グルコースまたは血清グルコース濃度を有する状態と定義される。
【0049】
用語「空腹時血中グルコース異常」または「IFG」は、対象が、110mg/dLを超えかつ126mg/dL(7.00ミリモル/L)未満の空腹時血中グルコース濃度または空腹時血清グルコース濃度を有する状態と定義される。
【0050】
用語「耐糖能異常」または「IGT」は、対象が、140mg/dL(7.78ミリモル/L)を超えかつ200mg/dL(11.11ミリモル/L)未満の2時間後の食後血中グルコースまたは血清グルコース濃度を有する状態と定義される。耐糖能異常、すなわち2時間後の食後血中グルコースまたは血清グルコース濃度は、絶食後に75gのグルコースを摂取して2時間後の血漿中の血糖濃度(mgグルコース/dL)として測定できる。
【0051】
用語「高インスリン血症」は、対象が、正常血糖であるか否かにかかわらず、インスリン抵抗性を有し、空腹時または食後の血清または血漿中のインスリン濃度が、ウエスト/ヒップ比率<1.0(男性の場合)または<0.8(女性の場合)を有しインスリン抵抗性のない標準的で痩せた個体のそれを超えて高められる状態と定義される。
【0052】
用語「インスリンの増感」、「インスリン抵抗性の改善」または「インスリン抵抗性の低下」は、同義であり互換的に使用される。
【0053】
用語「インスリン抵抗性」は、正常血糖状態を維持するのに、グルコース負荷に対する正常な応答を超える循環インスリン濃度が必要とされる状態と定義される(Ford ES,et al.JAMA.(2002)287:356〜9)。インスリン抵抗性の測定方法が、正常血糖−高インスリン血クランプ試験である。インスリン/グルコースの比率が、併合インスリン−グルコース点滴技術の範囲内で測定される。グルコース吸収が、調査した背景集団の百分位で25番目未満であるならインスリン抵抗性であると見なされる(WHOの定義)。クランプ試験よりむしろ困難でないのでミニマルモデルと呼ばれ、静脈内耐糖能試験の際に、血中のインスリンおよびグルコース濃度を固定された時間間隔で測定し、これらの濃度からインスリン抵抗性を計算する。この方法では、肝と末梢のインスリン抵抗性を区別することができない。
【0054】
さらに、インスリン抵抗性、インスリン抵抗性を有する患者の療法に対する応答、インスリン感受性および高インスリン血症は、インスリン抵抗性の信頼できる指標である「インスリン抵抗性に関する恒常性モデル評価(HOMA−IR)」評点を評価することによって定量化できる(Katsuki A,et al.Diabetes Care 2001;24:362〜5)。さらに、インスリン感受性に関するHOMA−指数(Matthews et al.,Diabetologia 1985,28:412〜19)、無傷のプロインスリン/インスリンの比率(Forst et al.,Diabetes 2003,52(Suppl.1):A459)の測定方法、および正常血糖クランプ研究が参照される。さらに、血漿アジポネクチン濃度を、インスリン感受性の潜在的代用として監視できる。恒常性評価モデル(HOMA)−IR評点によるインスリン抵抗性の見積値は、次式を用いて計算される(Galvin P,et al.Diabet Med 1992;9:921〜8):
HOMA−IR=[空腹時血清インスリン(μU/mL)]×[空腹時血漿グルコース(ミリモル/L)/22.5]。
【0055】
通常、日常の臨床実践では、他のパラメーターを使用してインスリン抵抗性を評価する。トリグリセリド濃度の増加がインスリン抵抗性の存在と有意に相関しているので、好ましくは、例えば、患者のトリグリセリド濃度を使用する。
【0056】
IGT、IFG、または2型糖尿病の発症への素因を有する患者は、高インスリン血症を伴う正常血糖を有する患者であり、定義によりインスリン抵抗性である。インスリン抵抗性を有する典型的な患者は、通常、体重過多または肥満である。インスリン抵抗性を検出できるなら、それは、前糖尿病状態が存在することの特に有力な徴候である。したがって、グルコースの恒常性を維持するために、人は、他の人の2〜3倍多いインスリンを必要とする可能性があり、これがなければ、何らかの直接的な病理学的意義を有する可能性がある。
【0057】
膵臓β細胞の機能を調べる方法は、インスリン感受性、高インスリン血症またはインスリン抵抗性についての上記方法に類似している:すなわち、β細胞機能の改善は、例えば、β細胞機能に関するHOMA−指数(Matthews et al.,Diabetologia 1985,28:412〜19)、無傷のプロインスリン/インスリンの比率(Forst et al.,Diabetes 2003,52(Suppl.1):A459)、経口グルコース負荷試験または食事負荷試験の後のインスリン/C−ペプチド分泌を測定することによって、あるいは高血糖クランプ研究および/または頻繁にサンプリングした静脈内グルコース負荷試験の後のミニマルモデル化を採用することによって(Stumvoll et al.,Eur J Clin Invest 2001,31:380〜81)測定できる。
【0058】
用語「前糖尿病状態」は、個体が2型糖尿病を発症しやすい状態である。前糖尿病状態は、耐糖能異常の定義を、100mg/dL以上の正常高値範囲内の空腹時血中グルコース(J.B.Meigs,et al.Diabetes 2003;52:1475〜1484)、および空腹時高インスリン血症(高められた血漿インスリン濃度)を有する個体を含むように拡張する。重大な健康上の脅威としての前糖尿病状態を識別するための科学的および医学的基礎は、米国糖尿病学会と米国糖尿病・消化・腎疾患研究所とが共同で発表した「2型糖尿病の予防または遅延(The Prevention or Delay of Type 2 Diabetes)」と題する見解声明中に述べられている(Diabetes Care 2002;25:742〜749)。
【0059】
インスリン抵抗性を有する可能性のある個体は、次の属性:1)体重過多または肥満、2)高血圧、3)高脂血症、4)IGT、IFGまたは2型糖尿病と診断された1人または複数の一等親血縁者の2つ以上を有する者である。これらの個体で、インスリン抵抗性は、HOMA−IR評点を計算することによって確認できる。本発明の目的の場合、インスリン抵抗性は、個体が4.0を超えるHOMA−IRを、またはグルコースおよびインスリンのアッセイを実施する実験室について規定される通りの正常の上限を超えるHOMA−IRを有する臨床状態と定義される。
【0060】
用語「2型糖尿病」は、対象が、125mg/dL(6.94ミリモル/L)を超える空腹時血中グルコースまたは血清グルコース濃度を有する状態と定義される。血中グルコース値の測定は、定型的医療分析における標準的処置である。グルコース負荷試験を実施すると、糖尿病患者の血糖濃度は、空腹の胃に75gのグルコースを摂取して2時間後に、血漿dL当たりグルコースが200mgを超える。グルコース負荷試験では、75gのグルコースを、絶食10〜12時間後の被試験患者に経口で投与し、血糖濃度を、グルコース摂取の直前、および摂取後1および2時間後に記録する。健常対象で、グルコース摂取前の血糖濃度は、血漿dL当たり60〜110mg、グルコース摂取1時間後にdL当たり200mg未満、2時間後にdL当たり140mg未満である。2時間後に値が140〜200mgであるなら、耐糖能異常と見なされる。
【0061】
用語「後期2型糖尿病」には、二次薬の失敗、インスリン療法の適応症、および微小および大血管性合併症、例えば、糖尿病性腎障害、冠動脈性心疾患(CHD)への進行を伴う患者が含まれる。
【0062】
用語「HbA1c」は、ヘモグロビンB鎖の非酵素的糖化の産生物を指す。その測定は、当業者に周知である。糖尿病治療の監視において、HbA1c値は、特別な重要性を有する。その産生は、本質的には血糖濃度および赤血球の寿命に左右されるので、HbA1cは、「血糖記録」の意味で、4〜6週間前の平均血糖濃度を反映している。徹底的な糖尿病治療によってHbA1c値が一貫して十分に(すなわち、検体中の総ヘモグロビンの6.5%未満に)調節されている糖尿病患者は、糖尿病性微小血管障害からかなり良好に保護される。例えば、メトフォルミンは、単独で、糖尿病患者のHbA1cを平均で1.0〜1.5%程度改善する。HbA1c値のこの低下は、すべての糖尿病患者が6.5%未満、好ましくは6%未満であるHbA1cの望ましい目標範囲を達成するのに十分ではない。
【0063】
「代謝症候群」は、症候群Xとも呼ばれ(代謝異常に関連して使用される場合)、「代謝不全症候群」とも呼ばれ、主な特徴がインスリン抵抗性である複合症候群である(Laaksonen DE,et al.Am J Epidemiol 2002;156:1070〜7)。ATP III/NCEPのガイドライン(成人における高コレステロール血の検出、評価および治療に関する米国コレステロール教育プログラム(NCEP)第3次報告の実行要旨(成人治療パネルIII)JAMA:Journal of the American Medical Association(2001)285:2486〜2497)によれば、代謝症候群の診断は、次の危険因子の3つまたはそれ以上が存在する場合になされる:
1.男性で40インチ(102cm)を超える、女性で35インチ(94cm)を超えるウエスト周囲と定義される、あるいは日本民族または日本人患者に関して男性では85cm以上、女性では90cm以上のウエスト周囲と定義される腹部肥満;
2.トリグリセリド:≧150mg/dL
3.HDL−コレステロール<40mg/dL(男性)
4.血圧≧130/85mmHg(SBP≧130またはDBP≧85)
5.空腹時血中グルコース≧110mg/dL。
【0064】
NCEPの定義は、検証されている(Laaksonen DE,et al.Am J Epidemiol.(2002)156:1070〜7)。血中トリグリセリドおよびHDLコレステロールは、医学分析の標準的方法で測定することができ、例えば、Thomas L(編者)の「Labor und Diagnose」TH-Books Verlagsgesellschaft mbH,Frankfurt/Main,2000中に記載されている。
【0065】
一般的に使用される定義によれば、収縮期血圧(SBP)が140mmHgの値を超え、かつ拡張期血圧(DBP)が90mmHgの値を超える場合に、高血圧症と診断される。患者が明白な糖尿病に罹患しているなら、今のところ、収縮期血圧を130mmHg未満のレベルまで低下させ、かつ拡張期血圧を80mmHg未満まで低下させることが推奨される。
【0066】
用語「予防的治療」および「予防」は互換的に使用される。
【0067】
本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、前にまたは後に定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体、そのプロドラッグ、またはその薬学上許容される塩に関連している。
【0068】
好ましくは、β−D−グルコピラノシル基のすべてのヒドロキシル基が置換されていないか、あるいは6位の炭素原子に連結されたヒドロキシル基のみが、定義された通りに置換されている。好ましい置換基は、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルカルボニルの中から選択される。さらにより好ましい置換基は、アセチル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルの中、特にエトキシカルボニルから選択される。
【0069】
好ましいプロドラッグは、次の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩からなる群から選択される:
(30a) 4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(30b) 4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(31a) 4−(3−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(31b) 4−(3−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(32a) 4−(3−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(32b) 4−(3−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(33a) 4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(33b) 4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(34a) 4−(2−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(34b) 4−(2−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(35a) 4−(2−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(35b) 4−(2−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(36a) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(36b) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(37a) 4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(37b) 4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(38a) 4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(38b) 4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(39a) 1−シクロブチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(39b) 1−シクロブチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(40a) 1−シクロプロピルメチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(6−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(40b) 1−シクロプロピルメチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(6−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(41a) 1−シクロブチル−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(41b) 1−シクロブチル−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(42a) 4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(42b) 4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(43a) 4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(43b) 4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(44a) 4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(44b) 4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(45a) 4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(45b) 4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール。
【0070】
加えて、さらに好ましいプロドラッグは、次の化合物(46)〜(63)、または前および後に定義する通りのそれらの薬学上許容される塩からなる群から選択される:
(46) 4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(47) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(48) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−イソブチルオキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(49) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−ヘクス−1−イルオキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(50) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−フェノキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(51) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−ベンジルオキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(52) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(53) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−プロピルカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(54) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−イソプロピルカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(55) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−ベンジルカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(56) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(57) 4−(4−ブロモ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(58) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−シクロブチル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(59) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−(2−フルオロ−1−フルオロメチル−エチル)−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(60) 4−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(61) 4−(4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(62) 4−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(63) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール。
【0071】
そのうえさらに好ましいプロドラッグは、次の化合物(64)〜(73)、またはそれらの薬学上許容される塩からなる群から選択される:
(64) 4−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(65) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(66) 4−(4−ブロモ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(67) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−シクロブチル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(68) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−(2−フルオロ−1−フルオロメチル−エチル)−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(69) 4−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(70) 4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(71) 4−(4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(72) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール;
(73) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール。
【0072】
第1の好ましい実施形態によれば、本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、

あるいはそのβ−D−グルコピラノシル基の6位の炭素原子に連結されたヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルカルボニルの中から選択される、特にアセチル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルの中から選択される置換基で置換されているプロドラッグ;例えば化合物(30a)および(30b)に関する。
【0073】
第2の好ましい実施形態によれば、本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、

あるいはそのβ−D−グルコピラノシル基の6位の炭素原子に連結されたヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルカルボニルの中から選択される、特にアセチル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルの中から選択される置換基で置換されているプロドラッグ;例えば化合物(43a)および(43b)に関する。
【0074】
第3の好ましい実施形態によれば、本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、

あるいはそのβ−D−グルコピラノシル基の6位の炭素原子に連結されたヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルカルボニルの中から選択される、特にアセチル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルの中から選択される置換基で置換されているプロドラッグ;例えば化合物(45a)および(45b)に関する。
【0075】
第4の好ましい実施形態によれば、本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、

あるいはそのβ−D−グルコピラノシル基の6位の炭素原子に連結されたヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルカルボニルの中から選択される、特にアセチル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルの中から選択される置換基で置換されているプロドラッグ;例えば化合物(47)および(72)に関する。
【0076】
第5の好ましい実施形態によれば、本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、

あるいはそのβ−D−グルコピラノシル基の6位の炭素原子に連結されたヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルカルボニルの中から選択される、特にアセチル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルの中から選択される置換基で置換されているプロドラッグ;例えば化合物(35a)および(35b)に関する。
【0077】
第6の好ましい実施形態によれば、本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、

あるいはそのβ−D−グルコピラノシル基の6位の炭素原子に連結されたヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルカルボニルの中から選択される、特にアセチル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルの中から選択される置換基で置換されているプロドラッグ;例えば化合物(46)および(70)に関する。
【0078】
第7の好ましい実施形態によれば、本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、

あるいはそのβ−D−グルコピラノシル基の6位の炭素原子に連結されたヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルカルボニルの中から選択される、特にアセチル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルの中から選択される置換基で置換されているプロドラッグ;例えば化合物(62)および(64)に関する。
【0079】
本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)および高血糖症から選択される1種または複数の状態を治療または予防するのに適した少なくとも1種の治療薬に関する。
【0080】
好ましくは、少なくとも1種の第2治療薬は、次のものからなる群a)〜k)から選択さる:
a)ビグアニド類、
b)スルホニル尿素類、
c)メチグリニド類
d)チアゾリジンジオン類、
e)α−グルコシダーゼ阻害薬、
f)インスリンおよびインスリン類似体、
g)GLP1およびGLP1類似体、
h)PPARγ−修飾因子、
i)PPARγ/α修飾因子、
j)グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド作用薬、
k)β−3作用薬、および
l)ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬(DPP IV阻害薬)。
【0081】
より好ましくは、少なくとも1種の第2治療薬は、前または後で説明する通りの群a)〜f)から選択される。
【0082】
ビグアニド類の例が、メトフォルミン、フェンフォルミンおよびブフォルミンである。ピラゾール−O−グルコシドは、ビグアニドと、例えばメトフォルミンと組み合わせて、血糖コントロールを改善することができ、ビグアニドと相乗的に作用し、例えば、2型糖尿病に一般に付随している代謝症候群に対して全般的に有益な効果を有する体重を低減することができる。
【0083】
スルホニル尿素類の例が、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリド、グリブリドおよびグリクラジドである。スルホニル尿素類の効力は治療過程の間に徐々に低下するので、ピラゾール−O−グルコシドをスルホニル尿素と組み合わせることは、より良好な血糖コントロールによって患者にさらなる利益を提供できる。また、スルホニル尿素類での治療には、通常、治療過程の間の緩やかな体重増加が付随し、ピラゾール−O−グルコシドの体重低減能力は、スルホニル尿素での治療のこの副作用を最小化し、代謝症候群を改善できる。この組合せは、また、スルホニル尿素類の望ましくない副作用であるそれほど重要ではない低血糖症に至る可能性のあるフルホニル尿素の投与量を低減することを可能にする。
【0084】
メグリチニド類の例が、ナテグリニド、レパグリニドおよびミチグリニドである。スルホニル尿素類の効力は治療過程の間に徐々に低下するので、ピラゾール−O−グルコシドをメグリチニドと組み合わせることは、より良好な血糖コントロールによって患者にさらなる利益を提供できる。また、メグリチニドでの治療には、通常、治療過程の間の緩やかな体重増加が付随し、ピラゾール−O−グルコシドの体重低減能力は、メグリチニドでの治療のこの副作用を最小化し、代謝症候群を改善できる。この組合せは、また、メグリチニドの望ましくない副作用であるそれほど重要ではない低血糖症に至る可能性のあるメグリチニドの投与量を低減することを可能にする。
【0085】
チアゾリジンジオン類の例が、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾンおよびシグリタゾンである。ピラゾール−O−グルコシドとチアゾリジンジオンとの組合せに由来するさらなる利益は、血中グルコースの相乗的低減、血糖コントロールの改善、チアゾリジンジオン類によって引き起こされる体液貯留の改善、およびチアゾリジンジオン類の使用に付随する体重増加を低減または零化することに関連付けることができる。
【0086】
α−グルコシダーゼ遮断薬(α−グルコシダーゼ阻害薬)の例が、ミグリトール、アカルボースおよびボグリボースである。ピラゾール−O−グルコシドとα−グルコシダーゼ阻害薬との組合せは、それらの血中グルコース低下効果を増し、かつ不快な胃腸副作用が通常的に付随するα−グルコシダーゼ阻害薬の投与量を低減することを可能にし、それによって該阻害薬をより耐容性とし、治療に対する患者の応諾性を改善することができる。
【0087】
インスリン類およびインスリン類似体の例が、インスリンリスプロ(Humalog(登録商標))、インスリンアスパルテート(Novorapid(登録商標))、インスリングルリシン(Apidra(登録商標))、レギュラーインスリンのような短時間作用型インスリン;NPH−インスリン類のような中間作用型インスリン;およびレンテおよびウルトラレンテインスリン、インスリングラルジン(Lantus(登録商標))、インスリンデテミル(Levemir(登録商標))のような長時間作用型インスリンである。用語「インスリン」には、組換えインスリンが含まれる。インスリンの使用には、一般に、インスリンの同化効果および体液貯留の結果としての体重増加が付随する。ピラゾール−O−グルコシドをインスリンまたはインスリン類似体と組み合わせると、より少ないインスリンの投与でより良好な血糖コントロールが達成される。ピラゾール−O−グルコシドの作用機序を考慮すれば、このような組合せが、インスリンの使用に付随する体液貯留および浮腫を改善するのであろう。
【0088】
GLP1およびGLP1類似体の例が、エキセンジン−4(エキセナチド)である。ピラゾール−O−グルコシドをGLP1類似体と組み合わせることは、血糖コントロールを改善し、GLP1類似体の体重低減効果を増すと期待される。
【0089】
PPARγ修飾因子の例が、メタグリダセンである。ピラゾール−O−グリコシドをPPARγ修飾因子と組み合わせることは、血糖コントロールを改善すると期待される。
【0090】
PPARγ/α修飾因子の例が、テサグリタザール、ムラグリタザールおよびKRP297である。ピラゾール−O−グリコシドをPPARγ/α修飾因子と組み合わせることは、血糖コントロールを改善すると期待される。
【0091】
グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド作用薬の例が、プラムリンチドおよびアミリン(amlyin)である。このような第2治療薬との組合せは、血糖コントロールを改善すると期待される。
【0092】
β−3作用薬の例が、リトベグロン、YM178、ソラベグロン、タリベグロン、N−5984、GRC−1087、ラファベグロンおよびFMP825である。ピラゾール−O−グルコシドをβ−3作用薬と組み合わせることは、血糖コントロールを改善すると期待される。
【0093】
DPP IV阻害薬の例が、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチンおよびアログリプチンである。
【0094】
さらにより好ましくは、少なくとも1種の第2治療薬は、メトフォルミン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリド、グリクラジド、ナテグリニド、レパグリニド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ミグリトール、ボグリボース、アカルボース、インスリンおよびインスリン類似体、特に短時間および長時間作用型インスリン、メタグリダセンおよびプラムリンチドからなる群から選択される。
【0095】
最も好ましくは、少なくとも1種の第2治療薬は、メトフォルミン、グリメピリド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ミグリトール、ボグリボース、アカルボース、インスリンおよびインスリン類似体、特に短時間および長時間作用型インスリンからなる群から選択される。
【0096】
本発明によれば、前に挙げた第2治療薬の定義は、それらの薬学上許容される塩、ならびにそれらの水和物、溶媒和物および多形体をも含むと解されるべきである。
【0097】
最も好ましくは、ピラゾール−O−グルコシドは、前に説明した通りの第1、2、3、4、5または6の実施形態により選択され、第2治療薬は、前に説明した通りの好ましい薬剤からなる群から選択される。
【0098】
したがって、本発明による医薬組成物、方法および使用は、最も好ましくは、表1から選択される組合せに関する。
【0099】
【表1】

【0100】

【0101】
本発明が、治療または予防を必要とする患者について言及する場合、本発明は、主として、ヒトでの治療および予防に関するものであるが、その医薬組成物は、結果的に哺乳動物に対する獣医薬でも使用できる。
【0102】
前に説明したように、本発明による医薬組成物の投与によって、特にその中のピラゾール−O−グルコシド誘導体のSGLT2阻害薬活性から考えて、過剰な血中グルコースは、患者の尿を介して排出され、その結果、体重は増加せず、減少する可能性さえある。したがって、本発明による治療または予防は、体重過多、クラスIの肥満、クラスIIの肥満、クラスIIIの肥満、内臓肥満および腹部肥満からなる群から選択される1種または複数の状態と診断された、そのような治療または予防を必要とする患者において、または体重増加が禁忌である個体のために有利に適している。
【0103】
本発明による医薬組成物、特にその中のピラゾール−O−グルコシド誘導体は、血糖コントロールに関して、特に空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/または糖化ヘモグロビン(HbA1c)の低減に関して極めて良好な効力を示す。本発明による医薬組成物を投与することによって、HbA1cの好ましくは0.5%以上、さらにより好ましくは1.0%以上の低減を達成することができ、その低減は、詳細には1.0%〜1.5%である。
【0104】
さらに、本発明による方法および/または使用は、次の状態の1つ、2つまたはそれよいも多くを示す患者において有利に適用できる:
(a)110mg/dLを超える、特に125mg/dLを超える空腹時血中グルコースまたは血清グルコース濃度;
(b)140mg/dL以上の食後血漿グルコース;
(c)6.5%以上、特に8.0%以上のHbA1c値。
【0105】
本発明は、また、2型糖尿病を有する、または前糖尿病状態の最初の症候を示す患者における血糖コントロールを改善するための、医薬組成物の使用を開示する。したがって、本発明には糖尿病の予防も含まれる。それゆえ、前糖尿病状態の上に挙げた徴候の1つが存在すると直ぐに、本発明による医薬組成物を血糖コントロールの改善のために使用すると、明白な2型糖尿病の開始を遅延または予防することができる。
【0106】
さらに、本発明による医薬組成物は、インスリン依存性を有する患者、すなわちインスリンまたはインスリン誘導体、インスリン代替物、あるいはインスリン、またはその誘導体もしくは代替物を含有する製剤で治療されている、治療されるであろうまたは治療を必要とする患者での治療に特に適している。これらの患者には、2型糖尿病を有する患者、および1型糖尿病を有する患者が含まれる。
【0107】
本発明による医薬組成物、またはそのプロドラッグ、あるいは医薬として許容される塩を使用することによって、特に抗糖尿病薬での治療にもかかわらず、例えばメトフォルミンまたはスルホニル尿素類の抗糖尿病薬での最大耐容投与量の経口単剤療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者においてさえ、血糖コントロールの改善を達成することができる。メトフォルミンに関する最大耐容投与量は、例えば、850mgを1日3回、またはその任意の等価量である。本発明の範囲内で、用語「不十分な血糖コントロール」は、患者が、6.5を超える、特に8%を超えるHbA1c値を示す状態を意味する。
【0108】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)と診断され、インスリン抵抗性を有し、代謝症候群を有しかつ/または2型もしくは1型糖尿病を有する、それを必要とする患者における、血糖コントロールを改善するための、ならびに/あるいは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/または等価ヘモグロビンHbA1cを低減するための方法であって、前および後で定義する通りの化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、前または後で定義する通りの少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0109】
本発明によるピラゾール−O−グルコシド誘導体、あるいはそのプロドラッグまたは薬学上許容される塩を投与することによって血中グルコース濃度を低下させることは、インスリンに無関係である。したがって、本発明による医薬組成物は、次の状態の1つまたは複数を有すると診断された患者を治療するのに特に適している:
・インスリン抵抗性、
・高インスリン血症、
・前糖尿病状態、
・特に後期2型糖尿病を有する2型糖尿病、
・1型糖尿病。
【0110】
さらに、本発明による医薬組成物は、次の状態の1つまたは複数を有すると診断された患者を治療するのに特に適している:
(a)肥満(クラスI、IIおよび/またはIIIの肥満を含む)、内臓肥満および/または腹部肥満、
(b)血中トリグリセリド濃度≧150mg/dL、
(c)血中HDL−コレステロール濃度が女性患者で<40mg/dL、男性患者で<50mg/dL、
(d)収縮期血圧≧130mmHg、かつ拡張期血圧≧85mmHg、
(e)空腹時血中グルコース濃度≧110mg/dL。
【0111】
耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)と診断され、インスリン抵抗性および/または代謝症候群を有する患者では、例えば、心筋梗塞、冠状動脈性心疾患、心不全、血栓塞栓症などの心血管疾患を発症する危険が増大する傾向がある。本発明による血糖コントロールは、心血管リスクの低減をもたらすことができる。
【0112】
本発明による医薬組成物は、特にその中のピラゾール−O−グルコシドにより、良好な安全性プロフィールを示す。したがって、本発明による治療または予防は、例えば、メトフォルミンなどの別の抗糖尿病薬での単剤療法が禁忌である、および/または治療的投与量でこのような薬剤に対して不耐性を有する患者において有利であり得る。特に、本発明による治療または予防は、次の障害:腎不全または腎疾患、心疾患、心不全、肝疾患、肺疾患、異化状態および/または乳酸血症の危険の1つまたは複数に対する増大したリスクを示すまたは有する患者において、あるいは妊娠しているまたは授乳中の女性患者において有利であり得る。
【0113】
さらに、SGLT−2阻害の結果としての尿中へのグルコース排出が、軽度の利尿を引き起こすことができること(先天性SGLT−2欠損を有する個体で見られるような)を考慮すると、ピラゾール−O−グルコシド誘導体を、体液貯留を引き起こすことが知られている前および後で定義する通りの第2治療薬、例えば、インスリン、インスリン類似体および/またはチアゾリジンジオンと組み合わせて使用することは、特に重要である。この潜在的特性は、心筋梗塞の急性期における2型糖尿病の管理で特に重要である。このような患者は、治療ガイドライン中でこれらの患者に対して現在推奨されているインスリン療法の結果としての体液貯留に続発する急性心不全にかかりやすい。したがって、本発明の別の態様は、心筋梗塞の急性期にある患者における、本発明によるピラゾール−O−グルコシド誘導体を本発明による少なくとも1種の第2治療薬、特にピオグリタゾン、リソグリタゾン、トログリタゾンまたはシグリタゾンなどのチアソリジンジオンと、あるいはインスリンまたはインスリン類似体と組み合わせてまたは交互に投与することによる2型糖尿病の治療方法に関する。
【0114】
さらに、本発明による医薬組成物の投与は、低血糖症のリスクをもたらさないか、あるいはリスクがあっても低い。したがって、本発明による治療または予防は、低血糖症に対するリスクの増大を示すまたは有する患者にも有利であり得る。
【0115】
本発明による医薬組成物は、前および後で説明する通りの疾患および/または状態の長期の治療または予防で、特に2型糖尿病を有する患者での長期血糖コントロールで特に適している。
【0116】
用語「長期」は、前および後で使用される場合、12週間を超える、好ましくは25週間を超える、さらにより好ましくは1年を超える期間内での患者の治療または患者への投与を指す。
【0117】
したがって、本発明の特に好ましい実施形態は、2型糖尿病を有する患者、特に後期2型糖尿病を有する患者、特に体重過多、肥満(クラスI、クラスIIおよび/またはクラスIIIの肥満を含む)、内臓肥満および/または腹部肥満と加えて診断された患者における血糖コントロールの改善、特に長期改善のための療法、好ましくは経口療法を提供する。
【0118】
本発明によるピラゾール−O−グルコシド誘導体の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせた投与は、相加的な、または相加的を超える効果を有し、通常方法の単剤療法において使用される単独でのピラゾール−O−グルコシド誘導体または単独での第2治療薬に比較した場合に、投与量の低減、副作用の低減および/または間隔延長を提供することができる。上述の効果は、ピラゾール−O−グルコシド誘導体と第2治療薬とを組み合わせて、例えば同時に投与する場合、およびそれらを交互に、例えば別個の製剤で逐次的に投与する場合の双方で観察される。第2治療薬が注射可能である、特に生物薬である場合、ピラゾール−O−グルコシド誘導体との組合せのその他の利益は、例えば、間隔および/または投与量の低減による費用低減として認められる。
【0119】
本発明による治療または予防で使用するのに必要とされ、患者に投与されるべき本発明による医薬組成物の量は、投与経路、治療または予防を必要とする状態の本質および重症度、患者の年齢、体重および状態、併用医薬によって異なり、結局、診察医師の裁量しだいであることが認識される。しかし、一般に、本発明によるピラゾール−O−グルコシド誘導体、あるいはそのプロドラッグまたは薬学上許容される塩、および少なくとも1種の第2治療薬は、医薬組成物または剤形中に、それらの組合せまたは交互的な投与によって治療すべき患者の血糖コントロールを改善する十分な量で含められる。
【0120】
次いで、本発明による医薬組成物、方法および使用で採用すべきピラゾール−O−グルコシド誘導体および第2治療薬の量の好ましい範囲について説明する。これらの範囲は、成人患者に対して1日につき投与すべき量を指し、1日に2、3、4回またはそれ以上の投与に関して、他の投与経路に関して、および患者の年齢に関して適宜、適合させることができる。
【0121】
本発明の範囲内で、医薬組成物(インスリンを除いて)は、好ましくは経口で投与される。他の投与形態も可能であるが、後で説明する。好ましくは、ピラゾール−O−グルコシドを含有する剤形は、経口で投与される。第2治療薬の投与経路は、通常、十分に知られている。
【0122】
一般に、本発明による医薬組成物および方法におけるピラゾール−O−グルコシド誘導体の量は、該ピラゾール−O−グルコシド誘導体を使用する単剤療法に対して通常的に推奨される量の好ましくは1/5〜1/1の範囲である。有利には、本発明による併用療法は、単剤療法で使用される、または通常的療法で使用される単独でのピラゾール−O−誘導体または単剤での第2治療薬のより低投与量を利用し、かくして、それらの薬剤を単剤療法として使用する場合に招く可能性のある毒性および有害副作用を回避し得る。
【0123】
ピラゾール−O−グルコシド誘導体の量は、好ましくは、1日につき1mg〜1000mgまたは10〜2000mg、さらにより好ましくは10〜500mgまたは50〜800mg、最も好ましくは50〜500mgの範囲である。経口投与が好ましい。したがって、医薬組成物は、1日に1回の投与では、前述の量、1日に2回の投与では0.5mg〜500mg、さらにより好ましくは5〜250mgまたは25〜400mg、最も好ましくは25〜250mgを含有する。一例が、200mgまたは400mgの量の、前に説明した通りの第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の実施形態によるピラゾール−O−グルコシドである。
【0124】
一般に、本発明による医薬組成物および方法における第2治療薬の量は、該第2治療薬を使用する単剤療法に通常的に推奨される量の好ましくは1/5〜1/1の範囲である。
【0125】
メトフォルミンの好ましい投与量範囲は、1日につき100〜3000mg、特に200〜2000mg、最も好ましくは500〜1000mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量の範囲は、それぞれ、100〜3000mg、50〜1500mg、35〜1000mgである。例を挙げれば、500または850mgを1日に1、2または3回、1000mgを1日に1または2回、あるいは2000mgを1日に1回である。
【0126】
ピオグリタゾンの好ましい投与量範囲は、1日につき5〜50mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、5〜50mg、2〜25mg、および2〜20mgである。例を挙げれば、15、30または45mgを1日に1回である。
【0127】
ロシグリタゾンの好ましい投与量範囲は、1日につき1〜10mgである。1日に1または2回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、4〜8mg、および4mgである。
【0128】
チアゾリジンジオン(上記のピオグリタゾンまたはロシグリタゾン以外)の好ましい投与量範囲は、1日につき2〜100mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、2〜100mg、1〜50mg、および1〜33mgである。
【0129】
ミグリトールの好ましい投与量範囲は、1日につき10〜300mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、10〜300mg、5〜150mg、および3〜100mgである。例を挙げれば、50または100mgを1日に1、2または3回である。
【0130】
グリベンクラミドの好ましい投与量範囲は、1日につき1〜20mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、1〜20mg、0.5〜10mg、および0.5〜7mgである。
【0131】
トルブタミドの好ましい投与量範囲は、1日につき100〜3000mg、好ましくは500〜3000mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、100〜3000mg、50〜1500mg、および35〜1000mgである。
【0132】
グリメピリドの好ましい投与量範囲は、1日につき0.5〜10mg、特に1〜6mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、0.5〜10mg、0.25〜5mg、および0.2〜3mgである。
【0133】
グリピジドの好ましい投与量範囲は、1日につき1〜50mg、特に2.5〜40mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、1〜50mg、0.5〜25mg、および0.3〜17mgである。
【0134】
グリキドンの好ましい投与量範囲は、1日につき10〜150mg、特に30〜120mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、10〜150mg、5〜75mg、および3〜50mgである。
【0135】
グリボルヌリドの好ましい投与量範囲は、1日につき5〜75mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、5〜75mg、3〜40mg、および2〜25mgである。
【0136】
グリクラジドの好ましい投与量範囲は、1日につき25〜320mg、特に80〜160mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、25〜320mg、12〜160mg、および10〜80mgである。
【0137】
ナテグリニドの好ましい投与量範囲は、1日につき15〜540mg、特に60〜360mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、15〜360mg、7〜180mg、および5〜120mgである。
【0138】
レパグリニドの好ましい投与量範囲は、1日につき0.1〜16mg、特に0.5〜12mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、0.1〜16mg、0.05〜8mg、および0.03〜5mgである。
【0139】
メタグリダセンの好ましい投与量範囲は、1日につき40〜600mg、特に200〜600mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、40〜600mg、20〜300mg、および15〜200mgである。
【0140】
PPARγ/α修飾因子の好ましい投与量範囲は、1日につき0.5〜10mg、特に2.5〜5mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、0.5〜10mg、0.2〜5mg、および0.1〜3mgである。
【0141】
プラムリンチドの好ましい投与量範囲は、1日につき15μg〜120μgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、15〜120μg、8〜60μg、および5〜40μgである。
【0142】
αグルコシダーゼ阻害薬の好ましい投与量範囲は、1日につき0.1〜500mgである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、0.1〜500mg、0.05〜250mg、および0.03〜133mgである。
【0143】
ボグリボースの好ましい投与量範囲は、1日につき0.1〜2.0mg、特に0.2〜1.0mgである。1日に2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、0.1〜0.5mg、および0.1〜0.3mgである。
【0144】
アカルボースの好ましい投与量範囲は、1日につき50〜300mg、特に150〜300mgである。1日に2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、100〜150mg、および50〜100mgである。例を挙げれば、1日に50または100mgを2回または3回である。
【0145】
インスリンの好ましい投与量範囲は、1日につき1〜250IUである。1日に1、2または3回投与するための医薬組成物中の好ましい量範囲は、それぞれ、1〜250IU、0.5〜125IU、および0.3〜90IUである。用語「IU」は、国際単位を意味する。
【0146】
本発明による組成物中のピラゾール−O−グルコシドおよび第2治療薬の量は、前に提示した通りのそれぞれの投与量範囲に対応する。例えば、医薬組成物は、10〜500mg量のピラゾール−O−グルコシド、および50〜1500mg量のメトフォルミンを含有する。
【0147】
本発明による方法および使用において、ピラゾール−O−グルコシド誘導体および少なくとも1種の第2治療成分は、組み合わせてまたは交互に投与される。用語、「組合せ投与」は、双方の活性成分を同時に、すなわち同時に、または本質的に同時に投与することを意味する。用語「交互的投与」は、最初に第1活性成分を投与し、ある期間後に第2活性成分を投与すること、すなわち双方の活性成分が逐次的に投与されることを意味する。その期間は、30分〜12時間の範囲でよい。組合せまたは交互的である投与は、1日に1、2、3または4回でよい。
【0148】
少なくとも1種の第2治療成分と組み合わせたピラゾール−O−グルコシド誘導体の投与に関して、双方の活性成分は、単一剤形中に、例えば、1つの錠剤またはカプセル中に存在することができるか、あるいは各活性成分は、別個の剤形中に、例えば2つの異なるまたは同一の剤形で存在できる。
【0149】
それらの交互的投与に関して、それぞれの活性成分は、別個の剤形中に、例えば2つの異なるまたは同一の剤形で存在する。
【0150】
したがって、本発明による医薬組成物は、ピラゾール−O−グルコシド誘導体および少なくとも1種の第2治療成分の双方を含有する単一剤形として、ならびに一方の剤形がピラゾール−O−グルコシド誘導体を含有し、他方の剤形が少なくとも1種の第2治療成分を含有する別個の剤形として存在できる。
【0151】
一方の活性成分を、例えば1日に1回の投与を必要とする他方の活性成分よりもより多くの頻度で、例えば1日に2回投与しなければならない事例が発生する可能性もある。したがって、用語「組合せまたは交互的投与」には、最初に双方の活性成分を組み合わせてまたは交互的に投与し、ある期間後に一方の活性成分のみを再度投与する投与計画、またはその逆も含まれる。
【0152】
したがって、本発明には、一方の剤形がピラゾール−O−グルコシド誘導体および第2治療薬を含有し、他方の剤形がピラゾール−O−グルコシド誘導体または少なくとも1種の第2治療薬のどちらかを含有する別個の剤形として存在する医薬組成物も含まれる。
【0153】
別個のまたは複数の剤形として、好ましくは部分要素からなるキットとして存在する医薬組成物は、患者の個々の治療需要に柔軟に適応するための併用療法において有用である。
【0154】
部分要素からなる好ましいキットは、
(a)ピラゾール−O−グルコシドおよび少なくとも1種の薬学上許容される担体を含有する剤形を含む第1収容部、および
(b)少なくとも1種の第2治療薬および少なくとも1種の薬学上許容される担体を含有する剤形を含む第2収容部、を含む。
【0155】
本発明のさらなる態様は、本発明による別個の剤形として存在する医薬組成物、ならびに該別個の剤形は、組み合わせてまたは交互に投与すべきであるとの説明を包含するラベルまたは包装内封入物を含む製造物である。
【0156】
本発明のよりさらなる態様は、本発明によるピラゾール−O−グルコシド誘導体を含有する医薬、ならびに該医薬は、本発明による少なくとも1種の第2治療薬を含有する医薬と組み合わせてまたは交互に投与できるまたは投与すべきであるとの説明を包含するラベルまたは包装内封入物を含む製造物である。
【0157】
本発明の別のさらなる態様は、本発明による少なくとも1種の第2治療薬を含有する医薬、ならびに該医薬は、本発明によるピラゾール−O−グルコシド誘導体を含有する医薬と組み合わせてまたは交互に投与できるまたは投与すべきであるとの説明を包含するラベルまたは包装内封入物を含む製造物である。
【0158】
本発明による医薬組成物の望ましい投与量は、好都合には、1日に1回で、または適切な間隔で投与される分割投与として、例えば1日に2、3回またはそれ以上として提供できる。
【0159】
医薬組成物は、経口、直腸、鼻腔、局所(口内および舌下を含む)、経皮、膣または非経口(筋内、皮下および静脈内を含む)投与に向けて、液体または固体の形態で、あるいは吸入または吹込みに適した形態で製剤化できる。経口投与が好ましい。製剤は、適切なら、好都合には、別個の投与単位で提供することができ、製薬の技術分野で周知の任意の方法で調製できる。すべての方法は、活性成分を、液体担体もしくは微粉砕固体担体、またはその双方のような1種または複数の薬学上許容される担体と一緒にするステップ、次いで、必要なら、製品を成型して所望の製剤にするステップを含む。
【0160】
医薬組成物は、錠剤、顆粒、微細顆粒、粉末、カプセル、キャプレット、軟質カプセル、ピル、経口溶液、シロップ、ドライシロップ、咀嚼錠剤、トローチ、発泡錠剤、ドロップ、懸濁液、急速溶解錠剤、経口急速分散錠剤などの形態で製剤化できる。
【0161】
医薬組成物および剤形は、好ましくは、1種または複数の薬学上許容される担体を含有し、該担体は、製剤中の他の成分と適合性があるという意味で「許容され」、かつその受容者に対して有害であってはならない。
【0162】
経口投与に適した医薬組成物は、好都合には、それぞれが所定量の活性成分を含有するカプセル(軟質ゼラチンカプセルを含む)、カシェ剤または錠剤などの別個の単位として;粉末または顆粒として;溶液、懸濁液として;またはエマルジョンとして、例えば、シロップ、エレキシルまたは自己乳化性送達システム(SEDDS)として提供できる。活性成分は、ボーラス、舐剤またはペーストとしても提供できる。経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、増量剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの通常の賦形剤を含むことができる。錠剤は、当技術分野で周知の方法により被覆できる。経口液体調合物は、例えば、水性または油性の懸濁液、溶液、乳液、シロップまたはエレキシルの形態でよく、あるいは使用前に水または他の適切なビヒクルを用いて構成するための乾燥製品として提供できる。このような液体調合物は、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含むことができる)、または保存剤などの通常の添加剤を含むことができる。
【0163】
本発明による医薬組成物は、非経口投与(例えば、注射、例えばボーラス注射または連続点滴による)用に製剤化することもでき、アンプル、プレフィルドシリンジ、小容積点滴の単位用量の形態で、または保存剤を添加した多回投与容器で提供できる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳液としてこのような形態を取ることができ、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの製剤用薬剤を含むことができる。別法として、活性成分は、滅菌固体の無菌単離によって、または溶液からの凍結乾燥によって得られる、使用前に適切なビヒクル、例えば滅菌されパイロジェンフリーの水で構成するための粉末形態でよい。
【0164】
その担体が固体である直腸投与に適した医薬組成物は、最も好ましくは単位用量の坐剤として提供される。適切な担体には、カカオバター、および当技術分野で一般的に使用されるその他の材料が含まれ、坐剤は、好都合には、活性化合物(群)を軟化または溶融した担体(群)と混合すること、続いて型の中で冷却して成形することによって形成できる。
【0165】
本発明による医薬組成物および方法は、双方の活性成分の一方のみを含む医薬組成物および方法と較べて、前に説明した通りの疾患および状態の治療および予防で有利な効果を示す。有利な効果は、例えば、効力、投与強度、投与頻度、薬力学的特性、薬物動態学的特性、有害効果などに関して認められる。
【0166】
本発明の範囲内での任意の上述の組合せは、当技術分野で周知の動物モデルによって試験することができる。次に、本発明による医薬組成物および方法の薬理学的関連特性を評価するのに適したインビボ実験について説明する。
【0167】
本発明による医薬組成物および方法は、db/dbマウス、ob/obマウス、ズッカー肥満(fa/fa)ラットまたはズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラットのように遺伝的に高インスリン血性の、または糖尿病性の動物で試験することができる。さらに、それらは、ストレプトゾトシンで前処置されたハンウィスターまたはスプラーグドーリーラットのように実験的に誘発された糖尿病を有する動物で試験することができる。
【0168】
本発明による組合せの血糖コントロール効果は、前記動物モデルにおいてピラゾール−O−グルコシド誘導体および第2治療薬を単独でまたは組み合わせて単回または複数回投与した後に、給餌状態で、または一夜絶食した動物における経口グルコース投与後のどちらかでの血中グルコースの時間経過を追跡することによって試験することができる。本発明による組合せは、各単剤療法に比較して、グルコースのAUCまたはグルコースのピーク濃度を有意に低減する。さらに、前記動物モデルにおいてピラゾール−O−グルコシド誘導体および第2治療薬を単独でまたは組み合わせて複数回投与した後に、血糖コントロールに対する効果を、血中のHbA1c値を測定することによって判定できる。本発明による組合せは、各単剤療法に比較してHbA1cを有意に低減する。
【0169】
ピラゾール−O−グリコシド誘導体または第2治療薬のどちらか、あるいは双方の活性成分の投与量を削減できる可能性は、前記動物モデルにおいて、より少ない投与量の組合せおよび単剤療法の血糖コントロールに対する効果によって試験することができる。より少ない投与量での本発明による組合せは、プラセボ治療に比較して血糖コントロールを有意に改善し、一方、より少ない投与量の単剤療法では改善されなかった。
【0170】
薬学上許容される担体の例は、当業者に周知である。
【0171】
本発明によるピラゾール−O−グリコシド誘導体およびそのプロドラッグの製造方法は、当業者に周知である。有利には、本発明による化合物は、特に欧州特許出願公開第1338603号、欧州特許出願公開第1389621号、国際公開第04/014932号、国際公開第04/018491号、国際公開第04/019958号、国際公開第04/031203号、国際公開第04/050122号および国際公開第03/020737号中に記載のような、文献記載の合成方法を使用して調製できる。本発明による化合物の好ましい調製方法は、実施例中で説明される。
【0172】
第2治療薬の合成方法は、科学文献および/または公開特許文献中に記載されている。
【0173】
ピラゾール−O−グルコシドおよび/または第2治療薬は、薬学上許容される塩の形態で存在できる。薬学上許容される塩には、塩酸、硫酸およびリン酸のような無機酸の塩;シュウ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸およびグルタミン酸のような有機カルボン酸の塩;およびメタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸のような有機スルホン酸の塩などが含まれる。塩は、化合物と酸を、適切な量および比率で、溶媒および分解剤中で混合することによって形成できる。それらの塩は、他の塩の形態からカチオンまたはアニオン交換により得ることもできる。
【0174】
ピラゾール−O−グルコシドおよび/または第2治療薬、またはそれらの薬学上許容される塩は、水和物またはアルコール付加物などの溶媒和物の形態で提供できる。
【0175】
ピラゾール−O−グルコシド誘導体の生物学的特性は、特に、腎臓刷子縁膜のグルコース取り込みに対する阻害活性、およびラットの糖尿排出に対する活性に関して、例えば欧州特許出願公開第1338603号に記載されているように調べることができる。さらに、国際公開第05/021566号に記載のような試験を適用できる。
【0176】
前記のおよび以下の文中で、ヒドロキシル基のH原子は、構造式中、すべての場合に明示されない。以下に続く実施例は、本発明を例示することを意図したものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0177】
薬理学的実施例
次の実施例は、本発明によるピラゾール−O−グルコシドとメトフォルミンとの組合せの血糖コントロールに対する有益な効果を、それぞれの単剤療法に比較して示す。実験動物の使用に関するすべての実験プロトコールは、連邦倫理委員会によって審理され、政府当局によって承認されている。12週齢の雄性ズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラット(ZDF/Crl−Leprfa)を、ピラゾール−O−グルコシド(16)、すなわち1日2回、朝および夕方に投与される10mg/kgの投与量の4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾールで、または1日1回、朝に投与される200mg/kgのメトフォルミンで、または同一投与計画でのピラゾール−O−グルコシドとメトフォルミンとの組合せで5週間治療する。投与のためのビヒクルは、0.015%のポリソルベート80を含む0.5%水性ヒドロキシエチルセルロースである。対照動物には、ビヒクル単独を1日に2回投与する。血液検体は、尾部採血で得られる。血中グルコースはグルコメーターで測定し、HbA1cは自動分析計(Cobas Integra 400、Roche)で測定する。治療を開始するに先立って、動物を血中グルコースおよびHbA1cについてランダム化する(n=10/群)。
【0178】
治療20日目に、投与前、投与の0.5、1.5、3および7時間後に尾部血で血中グルコ−スを測定する。血中グルコースを、0〜7時間の総グルコースAUCを計算することによって定量化する。データを平均±SEMとして示す。対照群と活性群との統計的比較のため、両側独立スチューデントt検定を使用する。
【0179】
結果を後の図1に示す。化合物Aは、1日1回、200mg/kgの投与量のメトフォルミンである。化合物Bは、1日に2回投与される10mg/kgの投与量のピラゾール−O−グルコシド(16)である。組合せA+Bは、同一投与計画のピラゾール−O−グルコシドとメトフォルミンとの組合せである。対照に対するP−値を、棒上の記号によって示す。単剤療法に対する組合せのP−値を、図の下に示す(*、p<0.05;***、p<0.001)。メトフォルミンは、グルコースのAUCを11%ほど低減し、ピラゾール−O−グリコシドはグルコースのAUCを38%ほど低減する。組合せは、グルコースのAUCを54%ほど低減し、グルコースのAUCにおけるこの低減は、各単剤療法に対して統計的に有意である。
【0180】
治療37日目に、HbA1cを、投与前に、一夜絶食した動物から得られる尾部血液で測定する。データを平均±SEMとして示す。対照群と活性群との統計的比較のため、両側独立スチューデントt検定を使用する。
【0181】
結果を後の図2に示す。化合物Aは、1日1回、200mg/kgの投与量のメトフォルミンである。化合物Bは、1日に2回投与される10mg/kgの投与量のピラゾール−O−グルコシド(16)である。組合せA+Bは、同一投与計画のピラゾール−O−グルコシドとメトフォルミンとの組合せである。対照に対するP−値を、棒上の記号によって示す。単剤療法に対する組合せのP−値を、図の下に示す(**、p<0.01;***、p<0.001)。メトフォルミンは、NbA1cを数値的に0.3%ほど低減し、ピラゾール−O−グリコシドはHbA1cを数値的に2.1%ほど低減する。組合せは、HbA1cを数値的に3.1%ほど低減し、HbA1cのこの低減は、各単剤療法に対して統計的に有意である。
【0182】
ピラゾール−O−グルコシドを製造するための実施例
前でおよび以後、次の省略形が使用される:
Bn ベンジル
Bu ブチル
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
iPr イソプロピル
i.vac. 真空で
Me メチル
Ph フェニル
RT 周囲温度(ほぼ20℃)
THF テトラヒドロフラン
【0183】
出発原料の調製
(実施例I)
2−フルオロ−4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド
【化1】

−70℃の、2−フルオロ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド(19.1g、120ミリモル)のCH2Cl2(100mL)溶液に、三臭化ホウ素/CH2Cl2(1M、160mL、160ミリモル)を添加した。反応溶液を−68℃で45分間撹拌した後、冷却浴を除去し、溶液を室温で一夜さらに撹拌した。反応溶液を氷水中に注ぎ、30分間撹拌した。生じた沈殿物を、分離し、CH2Cl2で洗浄し、EtOAcに溶解した。生じたEtOAc相を、水で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残留物を、小量のCH2Cl2で洗浄し、真空で乾燥してベージュ色の固体として生成物を得た。
収量:14.5g(86%)。
ESI-MS: m/z = 139 [M-H]-
【0184】
(実施例II)
4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−ベンズアルデヒド
【化2】

4−ヒドロキシ−3−フルオロ−ベンズアルデヒド(10.0g、70ミリモル)と炭酸カリウム(10.2g、74ミリモル)とのDMF(60mL)懸濁液に、臭化ベンジル(8.7mL、74ミリモル)を滴加した。混合物を周囲温度で48時間撹拌し、続いて氷水で反応を止めた。混合物を水でさらに希釈し、沈殿物を濾過して分離した。沈殿物を、水で洗浄し、酢酸エチルに溶解した。有機溶液を、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を真空で除去した。
収量:16.0g(99%)。
ESI-MS: m/z = 231 [M+H]+
【0185】
類似の方法で次の化合物を得ることができる。
(1)4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−ベンズアルデヒド
【化3】

ESI-MS: m/z = 253 [M+Na]+
【0186】
(2)2−クロロ−4−メトキシ−1−メチル−ベンゼン
【化4】

求電子試薬として臭化ベンジルに代わってヨウ化メチルを採用したこと以外は上記方法に従った。
ESI-MS: m/z = 156/158 [M]+ (塩素)
【0187】
(実施例III)
2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド
【化5】

−65℃の、1−ブロモ−2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンゼン(25.0g、0.11モル)のTHF(150mL)とEt2O(250mL)との溶液に、Ar下でn−BuLi/へキサン(1.6M、70mL、0.11モル)を滴加した。溶液を−65℃で45分間撹拌した後、DMF(10mL、0.13モル)を徐々に添加した。溶液を、冷却浴中で一夜にわたって室温まで戻し、次いでEt2O(500mL)で希釈した。生じた有機溶液を、食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、溶媒を真空で除去した。残留物をiPr2Oで再結晶して、黄色結晶として生成物を得た。
収量:6.7g(35%)。
f0.63(シリカゲル、石油エーテル/EtOAc 1:1)
【0188】
類似の方法で次の化合物を得ることができる:
(1)2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド
【化6】

ESI-MS: m/z = 173 [M+H]+
【0189】
(2)3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−安息香酸
【化7】

DMFの代わりに破砕ドライアイス(CO2)を用いてアリールリチウム化合物を失活させること以外は上記方法に従った。
ESI-MS: m/z = 187 [M-H]-
【0190】
(実施例IV)
(4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−フェニル)−メタノール
【化8】

水素化ホウ素ナトリウム(3.4g、90ミリモル)のTHF(60mL)懸濁液に、4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−ベンズアルデヒド(16.1g、70ミリモル)のTHF(60mL)溶液を添加した。周囲温度で一夜撹拌した後、反応混合物に氷水を添加して反応を止めた。混合物を、HCl水(4M)で酸性とし、Et2Oで抽出した。合わせた有機相を、NaHCO3水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を除去した後に生成物を得た。
収量:16.2g(100%)
ESI-MS: m/z = 215 [M-OH]+
【0191】
類似の方法で次の化合物を調製できる:
(1)(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル)−メタノール
【化9】

ESI-MS: m/z = 215 [M-OH]+
【0192】
(2)(4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−フェニル)−メタノール
【化10】

ESI-MS: m/z = 232 [M]+
【0193】
(3)(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−メタノール
【化11】

ESI-MS: m/z = 139 [M-OH]+
【0194】
(4)(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル)−メタノール
【化12】

ESI-MS: m/z = 157 [M-OH+H]+
【0195】
(実施例V)
(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル)−メタノール
【化13】

20℃の、水素化リチウムアルミニウム(0.57g、15ミリモル)のTHF(50mL)とトルエン(30mL)との懸濁液に、3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−安息香酸(2.9g、15ミリモル)のTHF(20mL)溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で一夜撹拌した後、氷水を添加し、生じた溶液を2N硫酸で酸性とした。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を、NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去した後、残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc 2:1)で精製した。
収量:1.6g(60%)。
f0.7(シリカゲル、石油エーテル/EtOAc 1:1)
【0196】
(実施例VI)
1−ベンジルオキシ−4−ブロモメチル−2−フルオロ−ベンゼン
【化14】

氷冷した、(4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−フェニル)−メタノール(16.7g、72ミリモル)のジエチルエーテル(130mL)溶液に、三臭化リン(2.8mL、30ミリモル)を、溶液温度が8℃を超えないような速度で添加した。室温で2時間撹拌した後、反応混合物を、氷浴中で冷却し、氷水、酢酸エチルおよびEt2Oを添加して反応を止めた。有機層を、分離し、NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄した。溶媒を蒸発させた後に生成物を得た。
収量:20.5g(97%)。
ESI-MS: m/z = 294/296 [M]+ (臭素)
【0197】
類似の方法で次の化合物を調製した:
(1)1−ブロモメチル−2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンゼン
【化15】

ESI-MS: m/z = 236/238 [M]+ (臭素)
【0198】
(2)4−ベンジルオキシ−1−ブロモメチル−2−フルオロ−ベンゼン
【化16】

ESI-MS: m/z = 294/296 [M]+ (臭素)
【0199】
(3)1−ブロモメチル−2−フルオロ−4−メトキシ−ベンゼン
【化17】

f0.8(シリカゲル、石油エーテル/EtOAc 1:1)
【0200】
(4)2−ブロモメチル−1,3−ジフルオロ−5−メトキシ−ベンゼン
【化18】

ESI-MS: m/z = 236/238 [M]+ (臭素)
【0201】
(5)5−ブロモメチル−1,3−ジフルオロ−2−メトキシ−ベンゼン
【化19】

ESI-MS: m/z = 236/238 [M]+ (臭素)
【0202】
(実施例VII)
2,3−ジフルオロ−1−メトキシ−4−メチル−ベンゼン
【化20】

20℃の、水酸化ナトリウム(14.4g、0.36モル)と2,3−ジフルオロ−4−メチル−フェノール(50.0g、0.35モル)との水(160mL)溶液に、硫酸ジメチル(34mL、0.36モル)を滴加した。室温で一夜撹拌した後、反応溶液をEt2Oで抽出した。エーテル相を、2N NaOH、水および食塩水で洗浄し、続いてMgSO4上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去した後、生成物を無色のオイルとして得た。
収量:49.0g(89%)。
ESI-MS: m/z = 158 [M]+
【0203】
(実施例VIII)
1−ブロモメチル−2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンゼン
【化21】

2,3−ジフルオロ−1−メトキシ−4−メチル−ベンゼン(39.5g、0.25モル)、N−ブロモコハク酸イミド(44.5g、0.25モル)、およびアゾビスイソブチロニトリル(0.41g、2.5ミリモル)のCCl4(300mL)溶液を、還流下で3.5時間撹拌した。次いで、生じたコハク酸イミドを濾過して除去し、濾液を真空で濃縮した。残留物を、Et2O(200mL)に溶解し、約100mLまで濃縮した。氷浴中で冷却した後、生じた沈殿物を、濾取し、冷Et2Oで洗浄し、真空で乾燥し、白色固体として生成物を得た。
収量:36.0g(61%)。
f0.3(シリカゲル、石油エーテル/EtOAc 20:1)
【0204】
上記方法との類似により次の化合物を得ることができる:
(1)4−ブロモメチル−2−クロロ−1−メトキシ−ベンゼン
【化22】

f0.4(シリカゲル、石油エーテル/EtOAc 20:1)
【0205】
(2)1−ブロモメチル−2−クロロ−4−メトキシ−ベンゼン
【化23】

f0.5(シリカゲル、石油エーテル/EtOAc 20:1)。
【0206】
(実施例IX)
2−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化24】

氷冷した、水素化ナトリウム(4.8g、120ミリモル、60%/ミネラルオイル、ペンタンでオイルを除去)のTHF(140mL)懸濁液に、3−オキソ−酪酸エチルエステル(17.2g、132ミリモル)/THF(50mL)を添加した。氷浴を除去し、溶液を室温で0.5時間撹拌した後、1−メトキシ−4−ブロモメチル−2,3−ジフルオロ−ベンゼン(28.4g、120ミリモル)のTHF(60mL)溶液を滴加した。反応混合物を還流下で一夜撹拌した後、溶媒を真空で除去し、残留物をEt2O(300mL)と共に磨り潰した。エーテル相を、水および食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させた後に、生成物を黄色オイルとして得た。
収量:35.5g(純度 約80%)。
ESI-MS: m/z = 285 [M-H]-
【0207】
類似の方法で次の化合物を得ることができる:
(1)2−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化25】

ESI-MS: m/z = 345 [M+H]+
【0208】
(2)2−(4−ヨード−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化26】

ESI-MS: m/z = 345 [M-H]-
【0209】
(3)2−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化27】

f0.27(シリカゲル、石油エーテル/EtOAc 4:1)
【0210】
(4)2−(4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化28】

ESI-MS: m/z = 343 [M-H]-
【0211】
(5)2−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化29】

ESI-MS: m/z = 287 [M+H]+
【0212】
(6)2−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化30】

ESI-MS: m/z = 287 [M+H]+
【0213】
(7)2−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化31】

ESI-MS: m/z = 253 [M+H]+
【0214】
(8)2−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化32】

ESI-MS: m/z = 269 [M+H]+
【0215】
(9)2−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化33】

ESI-MS: m/z = 283/285 [M-H]- (塩素)
【0216】
(10)2−(2−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化34】

ESI-MS: m/z = 285/287 [M+H]+ (塩素)
【0217】
(11)4,4,4−トリフルオロ−2−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化35】

ESI-MS: m/z = 321 [M-H]-
【0218】
(実施例X)
2−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化36】

氷冷した、3−オキソ−酪酸エチルエステル(4.17g、32.1ミリモル)とヨウ化ナトリウム(23.9g、160ミリモル)とのアセトニトリル(220mL)溶液に、Ar下で、トリメチルシリルクロリド(20.2mL、160ミリモル)を3分に渡って、続いて2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンズアルデヒド(5.0g、32.1ミリモル)を添加した。氷浴を除去し、反応混合物を、室温で8時間、続いて60℃で15時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物をEtOAc(300mL)と水(200mL)との混合物中に注いだ。有機相を、分離し、Na223水溶液および食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 1:6)で精製して、無色のオイルとして生成物を得た。
収量:8.4g(97%)
f0.35(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 5:1)
【0219】
類似の方法で次の化合物を得ることができる:
(1)2−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化37】

【0220】
(2)2−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化38】

f0.42(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 4:1)
【0221】
(3)2−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル
【化39】

【0222】
(実施例XI)
4,4,4−トリフルオロ−2−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−メトキシ−ブテ−2−エン酸エチルエステル
【化40】

20℃の、DMF(50mL)中の4,4,4−トリフルオロ−2−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル(6.35g、19.7ミリモル)と炭酸セシウム(9.5g、28.9ミリモル)との混合物に、トルエン−4−スルホン酸メチルエステル(4.5g、23.7ミリモル)のDMF(20mL)溶液を滴下した。反応混合物を、室温で一夜、続いて60℃で1.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、希釈したリン酸を添加し、生じた溶液をEt2Oで抽出した。合わせた有機相を、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を除去した後、残留物を酸化アルミニウムでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 99:1→70:30)で精製した。
収量:6.6g(100%)
ESI-MS: m/z = 337 [M+H]+
【0223】
(実施例XII)
4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化41】

2−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−オキソ−酪酸エチルエステル(33.0g、0.115モル)とヒドラジン水和物(80%、8.0g、128ミリモル)とのEtOH(300mL)溶液を還流下で2時間撹拌した。氷浴中で冷却した後、沈殿物を、捕集し、冷EtOHで洗浄し、真空で乾燥して白色固体として生成物を得た。
収量:22.5g(70%)
ESI-MS: m/z = 255 [M+H]+
【0224】
適宜、次の化合物を得ることができる。
(1)4−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化42】

ESI-MS: m/z = 313 [M+H]+
【0225】
(2)4−(4−ヨード−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化43】

ESI-MS: m/z = 315 [M+H]+
【0226】
(3)4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化44】

ESI-MS: m/z = 255 [M+H]+
【0227】
(4)4−(4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化45】

ESI-MS: m/z = 313 [M+H]+
【0228】
(5)4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化46】

ESI-MS: m/z = 255 [M+H]+
【0229】
(6)4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化47】

ESI-MS: m/z = 255 [M+H]+
【0230】
(7)4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化48】

ESI-MS: m/z = 221 [M+H]+
【0231】
(8)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化49】

ESI-MS: m/z = 237 [M+H]+
【0232】
(9)4−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化50】

ESI-MS: m/z = 253/255 [M+H]+ (塩素)
【0233】
(10)4−(2−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化51】

ESI-MS: m/z = 253/255 [M+H]+ (塩素)
【0234】
(11)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化52】

この生成物は、4,4,4−トリフルオロ−2−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−3−メトキシ−ブテ−2−エン酸エチルエステルから出発し、前記方法に従って調製された。
ESI-MS: m/z = 289 [M-H]-
【0235】
(12)4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化53】

【0236】
(13)4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化54】

f0.05(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 5:1)
【0237】
(14)4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化55】

f0.15(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 1:1)
【0238】
(15)4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化56】

f0.11(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 1:1)
【0239】
(実施例XIII)
3−(tert−ブチル−ジメチル−シリルオキシ)−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール
【化57】

4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−3−オール(0.21g、0.72ミリモル)とイミダゾール(8.0g、128ミリモル)とのDMF(2mL)溶液に、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(0.13g、0.86ミリモル)を添加した。室温で4時間撹拌した後、溶液を、EtOAcで希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機相を乾燥し、溶媒を除去した。
収量:0.34g(純度 約80%)
ESI-MS: m/z = 405 [M+H]+
【0240】
(実施例XIV)
3−(tert−ブチル−ジメチル−シリルオキシ)−4(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール
【化58】

3−(tert−ブチル−ジメチル−シリルオキシ)−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール(0.27g、0.67ミリモル)とPh3P(0.20g、0.76ミリモル)とのイソプロパノール(2mL)懸濁液に、アゾジカルボン酸ジエチル/トルエン(40%、0.35mL、0.76ミリモル)を添加した。溶液を、室温で1時間撹拌し、次いで、Et2Oで希釈した。生じた溶液を、水およびNaOH水溶液(2N)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、溶媒を除去した。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 99:1→4:1)で精製し、無色のオイルとして生成物を得た。
収量:0.14g(47%)
ESI-MS: m/z = 447 [M+H]+
【0241】
(実施例XV)
4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−3−オール
【化59】

3−(tert−ブチル−ジメチル−シリルオキシ)−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール(0.27g、0.67ミリモル)、HCl水(1N、1mL、1ミリモル)、MeOH(0.5mL)およびTHF(12mL)からなる溶液を60℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、溶液を、EtOAcで希釈し、水および食塩水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥し、溶媒を真空で除去した後に、白色固体として生成物を得た。
収量:0.10g(100%)
ESI-MS: m/z = 333 [M+H]+
【0242】
(実施例XVI)
4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化60】

0℃の、4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール(2.14g、8.4ミリモル)、2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコ−ピラノース(4.54g、8.4ミリモル)、およびPPh3(2.20g、8.4ミリモル)の無水THF(80mL)溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル/トルエン(40%、3.85mL、8.4ミリモル)を、溶液を2〜6℃に維持するような速度で添加した。10分後に冷却浴を除去し、反応溶液を室温で一夜撹拌した。次いで、溶液を減圧下に40℃で濃縮し、残留物をEt2O(50mL)で処理した。エーテル溶液を−18℃まで冷却し、生じた沈殿物を分離し、冷Et2Oで洗浄した。濾液を、Et2Oで希釈し、NaOH水溶液(2N)、水および食塩水で洗浄した。MgSO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させた後、残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 2:1→1:6)で精製した。精製した生成物をiPr2Oで再結晶して、白色固体として生成物を得た(αアノマー<5%)。
収量:3.10g(48%)
ESI-MS: m/z = 777 [M+H]+
【0243】
適宜、次の化合物を得ることができる:
(1)4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化61】

ESI-MS: m/z = 777 [M+H]+
【0244】
(2)4−(2−フルオロ−4−ベンジルオキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化62】

ESI-MS: m/z = 835 [M+H]+
【0245】
(3)4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化63】

ESI-MS: m/z = 777 [M+H]+
【0246】
(4)4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−O−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化64】

ESI-MS: m/z = 777 [M+H]+
【0247】
(5)4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化65】

Ph3Pおよびアゾジカルボン酸ジエチルの代わりにBu3Pおよび1,1'−(アゾジカルボニル)−ジピペリジンを使用した。
ESI-MS: m/z = 743 [M+H]+
【0248】
(6)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化66】

Ph3Pおよびアゾジカルボン酸ジエチルの代わりにBu3Pおよび1,1'−(アゾジカルボニル)−ジピペリジンを使用した。
ESI-MS: m/z = 759 [M+H]+
【0249】
(7)4−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化67】

Ph3Pおよびアゾジカルボン酸ジエチルの代わりにBu3Pおよび1,1'−(アゾジカルボニル)−ジピペリジンを使用した。
ESI-MS: m/z = 775/777 [M+H]+ (塩素)
【0250】
(8)4−(2−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化68】

Ph3Pおよびアゾジカルボン酸ジエチルの代わりにBu3Pおよび1,1'−(アゾジカルボニル)−ジピペリジンを使用した。
ESI-MS: m/z = 775/777 [M+H]+ (塩素)
【0251】
(9)4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化69】

【0252】
(10)4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化70】

f0.24(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 1:1)
【0253】
(11)4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化71】

f0.48(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 1:1)
【0254】
(実施例XVII)
4−(4−ヨード−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化72】

4−(4−ヨード−ベンジル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−オール(0.70g、2.23ミリモル)の無水THF(80mL)溶液に、Ag2CO3(0.65g、2.36ミリモル)を、続いて2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルブロミド(1.00g、2.43ミリモル)を添加した。反応混合物を、還流下に暗所で一夜撹拌し、その後、さらなる部分のAg2CO3(0.75g、2.72ミリモル)および2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルブロミド(1.10g、2.68ミリモル)を添加した。反応混合物を、還流下にもう一夜撹拌し、次いで、室温まで冷却した。混合物を濾過し、濾液を真空で濃縮した。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 1:0→10:1)で精製し、白色固体として生成物を得た。
収量:0.40g(28%)
ESI-MS: m/z = 645 [M+H]+
【0255】
適宜、次の化合物を得ることができる:
(1)4−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化73】

ESI-MS: m/z = 643 [M+H]+
【0256】
(2)4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化74】

Rf0.46(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 1:1)
【0257】
(実施例XVIII)
4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−トリフルオロメチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化75】

4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−3−オール(1.84g、5.54ミリモル)、K2CO3(7.5g、54.3ミリモル)、およびnBu3BnNCl(0.25g、0.8ミリモル)の水(5mL)とCH2Cl2(25mL)との溶液に、2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルブロミド(3.80g、8.78ミリモル)を添加した。反応混合物を、暗所下に室温で一夜激しく撹拌した。次いで、CH2Cl2を添加し、有機層を分離した。水および1Mリン酸で洗浄した後、有機相をNa2SO4上で乾燥し、溶媒を除去した。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 3:2→0:1)で精製した。
収量2.42g(純度 約50%)
ESI-MS: m/z = 663 [M+H]+
【0258】
(実施例XIX)
4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化76】

20℃の、DMF(56mL)中の4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール(2.90g、3.7ミリモル)とCs2CO3(12.30g、37.8ミリモル)との混合物に、ヨウ化イソプロピル(1.90mL、18,9ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で2.5時間撹拌した。次いで、反応混合物を水(300mL)中に注ぎ、生じた溶液をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出液を、水および食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。有機溶液を減圧下に40℃で濃縮し、残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 6:1→1:1)で精製した。
収量:2.10g(69%)
ESI-MS: m/z = 459 [M+H]+
【0259】
適宜、次の化合物を得ることができる:
(1)4−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化77】

ESI-MS: m/z = 685 [M+H]+
【0260】
(2)4−(4−ヨード−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化78】

ESI-MS: m/z = 687 [M+H]+
【0261】
(3)4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化79】

ESI-MS: m/z = 819 [M+H]+
【0262】
(4)4−(2−フルオロ−4−ベンジルオキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化80】

ESI-MS: m/z = 877 [M+H]+
【0263】
(5)4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化81】

ESI-MS: m/z = 819 [M+H]+
【0264】
(6)4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化82】

ESI-MS: m/z = 819 [M+H]+
【0265】
(7)1−シクロブチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化83】

求電子試薬としてヨウ化イソプロピルの代わりにブロモ−シクロブタンを使用した。
ESI-MS: m/z = 797 [M+H]+
【0266】
(8)1−シクロプロピルメチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化84】

実施例XVIII(7)の調製での副生物として得られた。
ESI-MS: m/z = 797 [M+H]+
【0267】
(9)1−シクロブチル−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化85】

求電子試薬としてヨウ化イソプロピルの代わりにブロモ−シクロブタンを使用した。
ESI-MS: m/z = 813 [M+H]+
【0268】
(10)4−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化86】

この反応は、トルエンとTHFとの中で塩基としてヘキサメチルジシラジドカリウムを使用して実施するのが好ましい。
ESI-MS: m/z = 817/819 [M+H]+ (塩素)
【0269】
(11)4−(2−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化87】

この反応は、トルエンとTHFとの中で塩基としてヘキサメチルジシラジドカリウムを使用して実施するのが好ましい。
ESI-MS: m/z = 817/819 [M+H]+ (塩素)
【0270】
(12)4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化88】

【0271】
(13)4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化89】

f0.65(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 1:1)
【0272】
(14)4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化90】

f0.50(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 1:1)
【0273】
(15)4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化91】

f0.53(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc 4:1)
【0274】
(実施例XX)
4−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化92】

4−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール(0.26g、0.38ミリモル)と10%Pd/炭素(0.05g)との混合物を、EtOAc(10mL)中で水素雰囲気(3バール)下に室温で撹拌した。3時間後、触媒を濾過して分離し、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、Et2Oに溶解し、Celite(登録商標)上で濾過し、真空で濃縮した。
収量:0.22g(97%)
ESI-MS: m/z = 595 [M+H]+
【0275】
(実施例XXI)
4−(3−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化93】

4−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール(0.22g、0.37ミリモル)と炭酸セシウム(0.31g、0.40ミリモル)とのDMF(3mL)懸濁液に、臭化エチル(30μL、0.40ミリモル)を添加した。周囲温度で5時間撹拌した後、混合物を、EtOAcとリン酸(0.1M)との混合物中に注いだ。有機相を、分離し、NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。有機溶液を濃縮し、残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc 1:1)で精製した。
収量:0.18g(78%)
ESI-MS: m/z = 623 [M+H]+
【0276】
適宜、次の化合物を得ることができる:
(1)4−(3−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化94】

ESI-MS: m/z = 637 [M+H]+
【0277】
(実施例XXII)
4−(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化95】

4−(2−フルオロ−4−ベンジルオキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール(2.0g、2.3ミリモル)と20%Pd/炭素(1.0g)との混合物を、EtOH(70mL)中、水素雰囲気(50psi)下に室温で撹拌した。2時間後、触媒を濾過して除去し、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 10:1→3:1)で精製した。
収量:0.69g(71%)
ESI-MS: m/z = 427 [M+H]+
【0278】
(実施例XXIII)
4−(4−トリメチルシリルエチニル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化96】

脱気した、4−(4−ヨード−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール(0.31g、0.45ミリモル)のDMF(5mL)溶液に、Ar下に、NEt3(0.2mL、1.43ミリモル)、CuI(0.02g、0.11ミリモル)、(Ph3P)2PdCl2(0.05g、0.07ミリモル)、およびトリメチルシリルアセチレン(0.10mL、0.69ミリモル)をこの順序で添加した。反応混合物を90℃で3.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、EtOAcを添加し、生じた溶液を、NaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 9:1→1:1)で精製して黄色オイルとして生成物を得た。
収量:0.18g(64%)
ESI-MS: m/z = 657 [M+H]+
【0279】
(製品の調製)
(実施例1)
(1)4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化97】

4−(2、3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール(1.80g、2.2ミリモル)と20%Pd/炭素(1g)との混合物を、EtOH(50mL)中、水素雰囲気(50psi)下に室温で撹拌した。2.5時間後、触媒を濾過して除去し、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH 1:0→4:1)で精製して白色固体として生成物を得た。
収量:0.48g(48%)
ESI-MS: m/z = 459 [M+H]+
【0280】
適宜、次の化合物を得ることができる:
(2)4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化98】

ESI-MS: m/z = 459 [M+H]+
【0281】
(3)4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化99】

ESI-MS: m/z = 459 [M+H]+
【0282】
(4)4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化100】

ESI-MS: m/z = 459 [M+H]+
【0283】
(5)1−シクロブチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化101】

ESI-MS: m/z = 437 [M+H]+
【0284】
(6)1−シクロプロピルメチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化102】

ESI-MS: m/z = 437 [M+H]+
【0285】
(7)1−シクロブチル−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化103】

ESI-MS: m/z = 453 [M+H]+
【0286】
(8)4−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化104】

ESI-MS: m/z = 457/459 [M+H]+ (塩素)
【0287】
(9)4−(2−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化105】

ESI-MS: m/z = 457/459 [M+H]+ (塩素)
【0288】
(10)4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化106】

【0289】
(11)4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化107】

f0.24(シリカゲル、CHCl3/MeOH 9:1)
【0290】
(12)4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化108】

f0.24(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH 9:1)
【0291】
(実施例2)
(13)4−(3−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化109】

氷冷した、4−(4−エトキシ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール(0.17g、0.27ミリモル)のMeOH(1mL)とTHF(1.5mL)との溶液に、LiOH水溶液(1M、1.25mL)を添加した。溶液を氷浴中で1時間撹拌し、次いでEtOAcおよび水で希釈した。有機相を、分離し、水および食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を除去し、残留物を真空で乾燥して、生成物を白色泡状物として得た。
収量:0.12g(95%)
ESI-MS: m/z = 455 [M+H]+
【0292】
適宜、次の化合物を得ることができる:
(14)4−(4−エチニル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化110】

4−(4−トリメチルシリル−エチニル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾールを、上記の反応条件にかけた。
ESI-MS: m/z = 417 [M+H]+
【0293】
(15)4−(3−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化111】

ESI-MS: m/z = 469 [M+H]+
【0294】
(16)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化112】

【0295】
(17)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化113】

ESI-MS: m/z = 495 [M+H]+
【0296】
(18)4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化114】

f0.29(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH 9:1)
【0297】
(実施例3)
(19)4−(2−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化115】

4−(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール(0.20g、0.47ミリモル)と炭酸セシウム(0.16g、0.50ミリモル)とのDMF(3.5mL)懸濁液に、ヨウ化イソプロピル(52μL、0.50ミリモル)を添加した。混合物を周囲温度で一夜撹拌した後、さらなる部分の炭酸セシウム(0.10g)およびヨウ化イソプロピル(30μL)を添加した。室温でさらに24時間撹拌した後、混合物を、EtOAc、リン酸(0.1M)、および食塩水で希釈した。有機相を、分離し、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。有機溶液を濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH 10:1)で精製して白色泡状物として生成物を得た。
収量:0.16g(73%)
ESI-MS: m/z = 469 [M+H]+
【0298】
適宜、次の化合物を得ることができる:
(20)4−(2−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール
【化116】

ESI-MS: m/z = 455 [M+H]+
【0299】
化合物(21)〜(29)は、本出願中または文献中に記載されるような方法で得ることができる。
【0300】
(実施例4)
(30a)4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化117】

氷冷した、4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール(0.23g、0.50ミリモル)の2,4,6−トリメチルピリジン(0.7mL)溶液に、クロロギ酸メチル(42μL、0.55ミリモル)を添加した。反応溶液を、氷浴中で室温まで戻し、一夜撹拌した。次いで、溶液を、Et2Oで希釈し、HCl水(1M)および食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH 25:1→3:1)で精製して、白色固体として生成物を得た。
収量:0.15g(56%)
ESI-MS: m/z = 517 [M+H]+
【0301】
適宜、次の化合物を得ることができる。
(31a)4−(3−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化118】

ESI-MS: m/z = 513 [M+H]+
【0302】
(32a)4−(3−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化119】

ESI-MS: m/z = 527 [M+H]+
【0303】
(33a)4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化120】

ESI-MS: m/z = 517 [M+H]+
【0304】
(34a)4−(2−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化121】

ESI-MS: m/z = 527 [M+H]+
【0305】
(35a)4−(2−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化122】

ESI-MS: m/z = 513 [M+H]+
【0306】
(36a)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化123】

ESI-MS: m/z = 553 [M+H]+
【0307】
(37a)4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化124】

ESI-MS: m/z = 517 [M+H]+
【0308】
(38a)4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化125】

ESI-MS: m/z = 517 [M+H]+
【0309】
(39a)1−シクロブチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化126】

ESI-MS: m/z = 495 [M+H]+
【0310】
(40a)1−シクロプロピルメチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−(6−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化127】

ESI-MS: m/z = 495 [M+H]+
【0311】
(41a)1−シクロブチル−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化128】

ESI-MS: m/z = 511 [M+H]+
【0312】
(42a)4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化129】

【0313】
(43a)4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化130】

f0.49(シリカゲル、CHCl3/MeOH 10:1)
【0314】
(44a)4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化131】

f0.39(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH 19:1)
【0315】
(45a)4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化132】

f0.62(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH 9:1)
【0316】
化合物(30b)、(31b)、(32b)、(33b)、(34b)、(35b)、(36b)、(37b)、(38b)、(39b)、(40b)、(41b)、(42b)、(43b)、(44b)および(45b)も同様に得られる。
【0317】
(実施例5)
(46)4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化133】

氷冷した、4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール(0.30g、0.70ミリモル)の2,4,6−トリメチルピリジン(1mL)溶液に、クロロギ酸メチル(76μL、0.80ミリモル)を添加した。反応溶液を、氷浴中で室温まで戻し、一夜撹拌した。次いで、溶液を、Et2Oで希釈し、HCl水(1M)および食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH 25:1→3:1)で精製して、白色固体として生成物を得た。
収量:0.23g(66%)
ESI-MS: m/z = 497 [M+H]+
【0318】
上記の方法との類似で次の化合物を得ることができる:
(47)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化134】

ESI-MS: m/z = 513 [M+H]+
【0319】
(48)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−イソブチルオキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化135】

ESI-MS: m/z = 541 [M+H]+
【0320】
(49)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−ヘキシ−1−イルオキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化136】

ESI-MS: m/z = 569 [M+H]+
【0321】
(50)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−フェノキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化137】

ESI-MS: m/z = 561 [M+H]+
【0322】
(51)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−ベンジルオキシカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化138】

ESI-MS: m/z = 575 [M+H]+
【0323】
(52)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化139】

ESI-MS: m/z = 483 [M+H]+
【0324】
(53)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−プロピルカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化140】

ESI-MS: m/z = 511 [M+H]+
【0325】
(54)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−イソプロピルカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化141】

ESI-MS: m/z = 511 [M+H]+
【0326】
(55)4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(6−O−ベンジルカルボニル−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ)−1H−ピラゾール
【化142】

ESI-MS: m/z = 559 [M+H]+
【0327】
上記方法との類似で化合物(56)〜(63)を得ることができる。
【0328】
製剤の実施例
当技術分野で周知の方法と同様にして得ることのできる次の製剤実施例は、これらの実施例の内容に限定されることなしに、本発明をより完全に例示するのに役立つ。用語「活性物質」は、本発明による1種または複数の化合物を意味する、すなわち本発明によるピラゾール−O−グルコシド誘導体または本発明による第2治療薬、あるいは、例えば、表1に挙げるような組合せ1a〜7hから選択される前記ピラゾール−O−グルコシド誘導体と前記第2治療薬との組合せを意味する。第2治療薬のためのさらなる適切な製剤は、市販の製剤、または例えば、「Rote Liste(登録商標)」(Editio Cantor Verlag Aulendorf、ドイツ)または「Physician's Desk Reference」の最新版に開示されているような文献記載の製剤でよい。
【0329】
(実施例1):10mLにつき75mgの活性物質を含有するドライアンプル
組成:
活性物質 75.0mg
マンニトール 50.0mg
注射用水 10.0mLまで
調製:
活性物質およびマンニトールを水に溶解する。容器に詰めた後、該溶液を凍結乾燥する。即時使用のための溶液を作るには、該製品を注射用水に溶解する。
【0330】
(実施例2):2mLにつき35mgの活性物質を含有するドライアンプル
組成:
活性物質 35.0mg
マンニトール 100.0mg
注射用水 2.0mLまで
調製:
活性物質およびマンニトールを水に溶解する。容器に詰めた後、該溶液を凍結乾燥する。即時使用のための溶液を作るには、該製品を注射用水に溶解する。
【0331】
(実施例3):50mgの活性物質を含有する錠剤
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)乳糖 98.0mg
(3)トウモロコシデンプン 50.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 15.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
215.0mg
調製:
(1)、(2)および(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液を用いて顆粒化する。顆粒化し乾燥した材料に(5)を添加する。この混合物から、両側に二平面があり片方の側に分割切込みを有する錠剤を圧縮する。
錠剤の直径:9mm
【0332】
(実施例4):350mgの活性物質を含有する錠剤
調製:
(1)活性物質 350.0mg
(2)乳糖 136.0mg
(3)トウモロコシデンプン 80.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 30.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
600.0mg
(1)、(2)および(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液を用いて顆粒化する。顆粒化し乾燥した材料に(5)を添加する。この混合物から、両側に二平面があり片方の側に分割切込みを有する錠剤を圧縮する。
錠剤の直径:12mm
【0333】
(実施例5):50mgの活性物質を含有するカプセル
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)乾燥トウモロコシデンプン 58.0mg
(3)粉末乳糖 50.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
160.0mg
調製:
(1)を(3)と共に粉砕する。この粉砕物を(2)と(4)との混合物に激しく混合しながら添加する。この粉末混合物を、カプセル充填機中の大きさ3番の硬質ゼラチンカプセルに詰める。
【0334】
(実施例6):350mgの活性物質を含有するカプセル
組成:
(1)活性物質 350.0mg
(2)乾燥トウモロコシデンプン 46.0mg
(3)粉末乳糖 30.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
430.0mg
調製:
(1)を(3)と共に粉砕する。この粉砕物を(2)と(4)との混合物に激しく混合しながら添加する。この粉末混合物を、カプセル充填機中の大きさ0番の硬質ゼラチンカプセルに詰める。
【0335】
(実施例7):100mgの活性物質を含有する坐薬
組成:
活性物質 100.0mg
ポリエチレングリコール(M.W.1500) 600.0mg
ポリエチレングリコール(M.W.6000) 460.0mg
モノステアリン酸ポリエチレンソルビタン 840.0mg
2000.0mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化合物(1)〜(29)
(1) 4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(2) 4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(3) 4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(4) 4−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(5) 1−シクロブチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(6) 1−シクロプロピルメチル−4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(7) 1−シクロブチル−4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(8) 4−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(9) 4−(2−クロロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(10) 4−(4−ブロモ−3−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(11) 4−(2,3−ジフルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(12) 4−(2−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(13) 4−(3−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(14) 4−(4−エチニル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(15) 4−(3−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(16) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(17) 4−(2−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(18) 4−(4−ブロモ−2−フルオロ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(19) 4−(2−フルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(20) 4−(2−フルオロ−4−エトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(21) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(22) 4−(4−ブロモ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(23) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−シクロブチル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(24) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−(2−フルオロ−1−フルオロメチル−エチル)−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(25) 4−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−トリフルオロメチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(26) 4−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(27) 4−(2,3−ジフルオロ−4−イソプロポキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(28) 4−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
(29) 4−(4−エチル−ベンジル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−β−D−グルコピラノース−1−イルオキシ−1H−ピラゾール;
からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体、あるいはそのβ−D−グルコピラノシル基の1つまたは複数のヒドロキシル基が、(C1〜3−アルキル)カルボニル、(C1〜6−アルキル)−オキシカルボニル、フェニルカルボニル、フェニル−(C1〜3−アルキル)−カルボニル、フェニルオキシカルボニル、およびフェニル−(C1〜3−アルキル)−オキシカルボニルから選択される基でアシル化されているプロドラッグ、あるいはこれらの薬学上許容される塩を、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、および高血糖症から選択される1種または複数の状態を治療または予防するのに適した少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせて含有する医薬組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の第2治療薬が、
a)ビグアニド類、
b)スルホニル尿素類、
c)メチグリニド類、
d)チアゾリジンジオン類、
e)α−グルコシダーゼ阻害薬、
f)インスリンおよびインスリン類似体、
g)GLP1およびGLP1類似体、
h)PPARγ修飾因子、
i)PPARγ/α修飾因子、
j)グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド作用薬、
k)β−3作用薬、および
l)ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の第2治療薬が、
a)メトフォルミン、フェンフォルミン、ブフォルミン;
b)グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリド、グリブリド、グリクラジド、ナテグリニド、レパグリニド;
c)ナテグリニド、レパグリニド;
d)ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン;
e)ミグリトール、アカルボース、ボグリボース;
f)ヒトインスリン、インスリンリスプロ、インスリングルシリン、組換えインスリン、インスリンアスパルト、NPHインスリン、インスリンデテミル、インスリン亜鉛懸濁液、およびインスリングラルジン;
g)エキセンジン−4;
h)メタグリダセン;
i)テサグリタザール、ムラグリタザール、KRP297;
j)プラムリンチド、アミリン;
k)リトベグロン、YM178、ソラベグロン、タリベグロン、N−5984、GRC−1087、ラファベグロン、FMP825;
l)シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチンおよびアログリプチン
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の第2治療薬が、メトフォルミンまたはインスリンであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の第2治療薬が、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の第2治療薬が、グリメピリド、ミグリトール、ボグリボースまたはアカルボースであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ピラゾール−O−グルコシド誘導体と少なくとも1種の第2治療薬との併用、または同時使用または逐次使用に適していることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ピラゾール−O−グルコシド誘導体および少なくとも1種の第2治療薬が、単一剤形中に存在することを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ピラゾール−O−グルコシド誘導体および少なくとも1種の第2治療薬が、それぞれ別個の剤形中に存在することを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
それを必要とする患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常、空腹時血中グルコース異常、高血糖症、食後高血糖症、体重過多、肥満および代謝症候群からなる群から選択される代謝異常の進行を予防、減速するための、該代謝異常を遅延または治療するための方法であって、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法。
【請求項11】
それを必要とする患者における、血糖コントロールを改善するための、ならびに/あるいは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/または糖化ヘモグロビンHbA1cを低減するための方法であって、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法。
【請求項12】
それを必要とする患者における、耐糖能異常、空腹時血中グルコース異常、インスリン抵抗性からおよび/または代謝症候群から2型糖尿病への進行を予防、減速、遅延または逆転するための方法であって、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法。
【請求項13】
それを必要とする患者における、白内障、ならびに微小および大血管性疾患、例えば腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中および末梢動脈閉塞性疾患などの糖尿病の合併症からなる群から選択される状態または障害の進行を予防、減速するための、該状態または障害を遅延または治療するための方法であって、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法。
【請求項14】
それを必要とする患者における、体重を低減するための、または体重増加を予防するための、または体重低減を促進するための方法であって、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法。
【請求項15】
それを必要とする患者における、膵臓β細胞の変性および/または膵臓β細胞の機能低下を予防、減速、遅延または治療するための、ならびに/あるいは膵臓β細胞の機能を改善および/または回復するための、ならびに/あるいは膵臓のインスリン分泌機能を回復するための方法であって、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法。
【請求項16】
それを必要とする患者における、肝脂肪の異常蓄積に帰せられる疾患または状態を予防、減速、遅延または治療するための方法であって、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法。
【請求項17】
それを必要とする患者における、インスリン感受性を維持および/または改善するための、ならびに/あるいは高インスリン血症および/またはインスリン抵抗性を治療または予防するための方法であって、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体を、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬と組み合わせてまたは交互に投与することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項10、11、12、13、14、15、16または17に記載の方法で使用するための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物(1)〜(29)からなる群から選択されるピラゾール−O−グルコシド誘導体の使用。
【請求項19】
請求項10、11、12、13、14、15、16または17に記載の方法で使用するための医薬を製造するための、請求項1、2、3、4、5または6に記載の少なくとも1種の第2治療薬の使用。
【請求項20】
請求項1から9のいずれか1項に記載の医薬組成物の、それを必要とする患者における、
・1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常、空腹時血中グルコース異常、高血糖症、食後高血糖症、体重過多、肥満および代謝症候群からなる群から選択される代謝異常の進行を予防、減速するための、該代謝異常を遅延または治療するための;または
・血糖コントロールを改善するための、ならびに/あるいは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/または糖化ヘモグロビンHbA1cを低減するための;または
・耐糖能異常、インスリン抵抗性からおよび/または代謝症候群から2型糖尿病への進行を予防、減速、遅延または逆転するための;または
・白内障、ならびに微小および大血管性疾患、例えば腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中および末梢動脈閉塞性疾患などの糖尿病合併症からなる群から選択される状態または障害の進行を予防、減速するための、該状態または障害を遅延または治療するための;または
・体重を低減するための、または体重増加を予防するための、または体重の低減を促進するための;または
・膵臓β細胞の変性および/または膵臓β細胞の機能低下を予防、減速、遅延または治療するための、ならびに/あるいは膵臓β細胞の機能を改善および/または回復するための、ならびに/あるいは膵臓のインスリン分泌機能を回復するための;または
・肝脂肪の異常蓄積に帰せられる疾患または状態を予防、減速、遅延または治療するための;または
・インスリン感受性を維持および/または改善するための、ならびに/あるいは高インスリン血症および/またはインスリン抵抗性を治療または予防するための
医薬を製造するための使用。
【請求項21】
患者が、体重過多、肥満、内臓肥満および腹部肥満からなる群から選択される1種または複数の状態と診断された個体である、請求項10から17のいずれか1項に記載の方法、または請求項18から20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
患者が、次の状態:
(a)110mg/dLを超える、特に125mg/dLを超える空腹時血中グルコースまたは血清グルコース濃度;
(b)140mg/dL以上の食後血漿グルコース;
(c)6.5%以上、特に8.0%以上のHbA1c値
の1つ、2つまたはそれ以上を示す個体である、請求項10から17のいずれか1項に記載の方法、または請求項18から20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
患者が、次の状態:
(a)肥満、内臓肥満および/または腹部肥満、
(b)トリグリセリド血中濃度≧150mg/dL、
(c)HDL−コレステロール血中濃度が女性患者で<40mg/dL、男性患者で<50mg/dL、
(d)収縮期血圧≧130mmHg、かつ拡張期血圧≧85mmHg、
(e)空腹時血中グルコース濃度≧110mg/dL
の1つ、2つ、3つまたはそれ以上が存在する個体である、請求項10から17のいずれか1項に記載の方法、または請求項18から20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
患者が、メトフォルミンでの単剤療法が禁忌で、かつ/または治療的投与量でメトフォルミンに対して不耐性を有する個体である、請求項10から17のいずれか1項に記載の方法、または請求項18から20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
患者が、請求項2または3に記載の群a)〜k)から選択される1種または複数の抗糖尿病薬での治療にもかかわらず血糖コントロールが不十分な個体である、請求項10から17のいずれか1項に記載の方法、または請求項18から20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
少なくとも1種の第2治療薬が、メトフォルミンまたはインスリンである、請求項10から25のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項27】
少なくとも1種の第2治療薬が、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンである、請求項10から25のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項28】
少なくとも1種の第2治療薬が、ミグリトール、グリメピリド、ボグリボースまたはアカルボースである、請求項10から25のいずれか1項に記載の方法または使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−516655(P2010−516655A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545933(P2009−545933)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050533
【国際公開番号】WO2008/087198
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】