説明

ピラノ−ピラゾール−アミン

本発明は、シグマ(σ)受容体に対して薬理活性を有する式(I)の化合物、より詳細にはピラノ−ピラゾール−アミン、そのような化合物の製造方法、それらを含有する薬学的組成物、並びに治療及び予防における、特に精神病の治療のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シグマ(σ)受容体に対して薬理活性を有する化合物、より詳細には数種のピラノ−ピラゾール−アミン、そのような化合物の製造方法、それらを含有する薬学的組成物、並びに治療及び予防における、特に精神病の処置のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
新しい治療薬に関する研究は、近年、標的疾病に関連したタンパク質及び他の生体分子の構造をより理解することにより、大いに援助されている。これらのタンパク質の一つの重要なクラスは、中枢神経系(CNS)の細胞表面受容体であるシグマ(σ)受容体であり、該受容体は、オピオイドの不快作用、幻覚誘発作用及び心臓興奮作用に関連し得る。σ受容体の生物学及び機能の研究から、σ受容体リガンドは、精神病、例えばジストニア及び遅発性ジスキネジア等の運動障害、ハンチントン舞踏病又はトゥーレット症候群に関連した運動障害の処置、並びにパーキンソン病に有用であり得る証拠が示されている(非特許文献1)。公知のσ受容体リガンドであるリムカゾールは、精神病の処置において臨床的に効力を示すことが報告されている(非特許文献2)。σ結合部位は、例えば(+)SKF 10047、(+)シクラゾシン及び(+)ペンタゾシン等の、所定のオピエートであるベンゾモルファンの右旋性異性体に対して優先的な親和性を有し、また例えばハロペリドール等の数種の睡眠薬に対しても優先的な親和性を有す。
【0003】
σ受容体は少なくとも2個のサブタイプを有し、これらは、これらの薬理学的に活性な薬物の立体選択的異性体により区別され得る。SKF 10047はシグマ1(σ−1)部位に対するナノモル親和性を有し、シグマ(σ−2)部位に対するマイクロモル親和性を有する。ハロペリドールは、両方のサブタイプに対して同様の親和性を有する。内因性σリガンドは知られていないが、プロゲステロンがその一つであることが示唆されている。可能なσ部位−仲介による薬物の効果は、グルタメート受容体機能の調整、神経伝達物質応答、神経保護、行動及び認知を含む(非特許文献3)。殆どの研究は、σ結合部位(受容体)が、シグナル伝達カスケードの原形質膜成分であることを暗示している。選択的σリガンドとして報告されている薬物は、抗精神病薬として評価されている(非特許文献4)。CNS、免疫及び内分泌系内のσ受容体の存在は、σ受容体がこれら3個の系の間を繋げる役割を果たし得る可能性があることを示唆している。
【0004】
効力と選択性の両方を有し、良好な「薬物可能性(drugability)」の性質、即ち投与、分布、代謝及び排泄に関連した良好な薬学的性質を有する、σ受容体に対して薬理活性を有する化合物を見出す必要性が尚存在する。
【0005】
最も近い公知の技術は、キナーゼ阻害のための、特許文献1のベンゾイミダゾールを含む。カンナビノイド調整活性を示すテトラヒドロ−ピラノピラゾール化合物が、特許文献2及び特許文献3に開示されている。これらのいずれも、スピロ−ピラノ−ピラゾールの変形又は類似体を示していない。
【0006】
スピロピペリジンは、σ受容体に対する強力なリガンドとして公知である(非特許文献5及び非特許文献6)。しかしながら、それらのスピロピペリジンは、ベンゾフラン及びベンゾピラン環を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2003/035065
【特許文献2】WO2007/001939
【特許文献3】FR2875230
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Walker, J.M.ら、Pharmacological Reviews, 1990, 42, 355
【非特許文献2】Snyder, S.H., Largent, B.L. J. Neuropsychiatry 1989, 1, 7
【非特許文献3】Quirion, R.ら、Trends Pharmacol. Sci., 1992, 13:85-86
【非特許文献4】Hanner, M.ら、Proc. Natl. Acad. Sci., 1996, 93:8072-8077
【非特許文献5】Maierら、J Med Chem, 2002, 45, 438-448
【非特許文献6】Maierら、J Med Chem, 2002, 45, 4923-4930
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、σ受容体の特に選択的な阻害剤である、構造的に区別されるスピロ[ベンゾピラン]又はスピロ[ベンゾフラン]誘導体のファミリーを見出した。
【0010】
本発明は、一般式(I)
【0011】
【化1】

(式中、
nは、0、1、2又は3から選択され;
pは、0又は1から選択され;
点線・・・・・・は、二重結合又は単結合のいずれかであり;
pが1の場合、点線・・・・・・は、二重結合又は単結合のいずれかであり;
pが0の場合、点線・・・・・・は、単結合であり;
は、水素;少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリールから選択され;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;O−Rから選択され、ここでRは、H、又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基であり;
及びRは、互いに独立して、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−18−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリール;場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基;場合により少なくとも一置換されたシクロアルキル;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ヘテロ環基;又は場合により少なくとも一置換されたアルキル−シクロアルキルから選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基を形成する;)
の化合物に関し、該化合物は、
場合により立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマーの一つの形態、ラセミ体、又は立体異性体、好ましくはエナンチオマー及び/若しくはジアステレオマーの少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又はその対応する塩、又はその対応する溶媒和物であってもよい。
【0012】
本発明の文脈において、脂肪族基(group)又は脂肪族基(radical)は、アルキル、アルケニル及びアルキニルを含む。
【0013】
本発明の文脈において、アルキル基(radical)又は基(group)は、飽和の直鎖状又は分岐状の炭化水素を意味するものと理解され、これらは非置換であるか、又は一若しくは多置換されていてもよい。一方、アルケニル及びアルキニル基は、例えば−CH=CH−CH又は−CC−CHの様な基を含み、一方、飽和アルキルは、例えば−CH及び−CH−CHを包含する。これらの基において、C1−2−アルキルは、C1−又はC2−アルキル表し、C1−3−アルキルは、C1−、C2−又はC3−アルキル表し、C1−4−アルキルは、C1−、C2−、C3−又はC4−アルキル表し、C1−5−アルキルは、C1−、C2−、C3−、C4−又はC5−アルキル表し、C1−6−アルキルは、C1−、C2−、C3−、C4−、C5−又はC6−アルキルを表し、C1−7−アルキルは、C1−、C2−、C3−、C4−、C5−、C6−又はC7−アルキルを表し、C1−8−アルキルは、C1−、C2−、C3−、C4−、C5−、C6−、C7−又はC8−アルキルを表し、C1−10−アルキルは、C1−、C2−、C3−、C4−、C5−、C6−、C7−、C8−、C9−又はC10−アルキルを表し、C1−18−アルキルは、C1−、C2−、C3−、C4−、C5−、C6−、C7−、C8−、C9−、C10−、C11−、C12−、C13−、C14−、C15−、C16−、C17−又はC18−アルキルを表す。アルキル基は、メチル、エチル、ビニル(エテニル)、プロピル、アリル(2−プロペニル)、1−プロピニル、メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、1−メチルペンチルが好ましく、置換されている場合、CHF、CF又はCHOH等も好ましい。
【0014】
本発明の文脈において、シクロアルキル基(radical)又は基(group)は、飽和及び不飽和(だが芳香族ではない)の環式炭化水素(環内にヘテロ原子を有さない)を意味するものと理解され、これらは非置換であるか、又は一若しくは多置換されていてもよい。更に、C3−4−シクロアルキルは、C3−又はC4−シクロアルキルを表し、C3−5−シクロアルキルは、C3−、C4−又はC5−シクロアルキルを表し、C3−6−シクロアルキルは、C3−、C4−、C5−又はC6−シクロアルキルを表し、C3−7−シクロアルキルは、C3−、C4−、C5−、C6−又はC7−シクロアルキルを表し、C3−8−シクロアルキルは、C3−、C4−、C5−、C6−、C7−又はC8−シクロアルキルを表し、C4−5−シクロアルキルは、C4−又はC5−シクロアルキルを表し、C4−6−シクロアルキルは、C4−、C5−又はC6−シクロアルキルを表し、C4−7−シクロアルキルは、C4−、C5−、C6−又はC7−シクロアルキルを表し、C5−6−シクロアルキルは、C5−又はC6−シクロアルキルを表し、C5−7−シクロアルキルは、C5−、C6−又はC7−シクロアルキルを表す。しかしながら、シクロアルキルが芳香族系ではない限り、一又は多不飽和、好ましくは一不飽和の、シクロアルキルも特に用語シクロアルキルに含まれる。アルキル及びシクロアルキル基は、メチル、エチル、ビニル(エテニル)、プロピル、アリル(2−プロペニル)、1−プロピニル、メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、1−メチルペンチル、シクロプロピル、2−メチルシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが好ましく、またアダマンチル(adamantly)も好ましい。
【0015】
本発明の文脈において、アルキル−シクロアルキルは、シクロアルキル基(上記参照)が、C1−6−アルキル基(上記参照)を介して他の一原子に接続されている一方で、C1−6−アルキル基は常に飽和かつ非置換、かつ直鎖状又は分岐状であることを意味するものと理解される。
【0016】
アルキル又は脂肪族基に関連して、−別に定義しない限り−、用語、置換されたは、本発明の文脈において、少なくとも一つの水素基がF、Cl、Br、I、NH、SH又はOHで置き換えられていることを意味するものと理解され、「多置換された」(1回より多く置換された)基は、置き換えが異なる原子上及び同一の原子上の両方で、同一の又は異なる置換基で数回、例えばCFの場合のように同一のC原子上で、又は例えば−CH(OH)−CH=CH−CHClの場合のように異なる位置で3回、行われていることを意味すると理解される。「場合により少なくとも一置換された」は、「一置換された」、「多置換された」、又は−選択肢が満たされていない場合−「非置換」のいずれかを意味する。
【0017】
用語(CH3−6は、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−CH−CH−を意味するものと理解するべきであり、(CH1−4は、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−を意味するものと理解するべきであり、(CH4−5は、−CH−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−CH−を意味するものと理解するべき、等である。
【0018】
アリール基(radical)又は基(group)は、少なくとも一つの芳香環を有するが、ヘテロ原子は唯一つの環内にも存在しない環系を意味するものと理解される。例は、フェニル、ナフチル、フルオランテニル、フルオレニル、テトラリニル又はインダニル、特に9H−フルオレニル又はアントラセニル基であり、これらは非置換であっても又は一置換若しくは多置換されていてもよい。
【0019】
本発明の文脈において、アルキル−アリールは、アリール基(上記参照)が、C1−6−アルキル−基(上記参照)を介して他の一原子に接続されている一方で、C1−6−アルキル−基は常に飽和かつ非置換、かつ直鎖状又は分岐状であることを意味するものと理解される。
【0020】
ヘテロ環基(radical)又は基(group)は、窒素、酸素及び/又は硫黄からなる群からの一つ又はそれ以上のヘテロ原子を環内に含み、また一又は多置換されていてもよい飽和又は不飽和環である複素環系を意味するものと理解される。ヘテロアリールの群から言及し得る例は、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾール、ベンゾチアゾール、インドール、ベンゾトリアゾール、ベンゾジオキソラン、ベンゾジオキサン、カルバゾール及びキナゾリンである。
【0021】
本発明の文脈において、アルキル-ヘテロ環基は、ヘテロ環基(上記参照)が、C1−6−アルキル基(上記参照)を介して他の一原子に接続されている一方で、C1−6−アルキル−基は常に飽和かつ非置換、かつ直鎖状又は分岐状であることを意味するものと理解される。
【0022】
アリール又はアルキル−アリール、シクロアルキル又はアルキル−シクロアルキル、ヘテロ環基又はアルキル−ヘテロ環基に関連して、「置換された」は、 ― 別に定義しない限り ― アリール又はアルキル−アリール、シクロアルキル又はアルキル−シクロアルキル;ヘテロ環基又はアルキル−ヘテロ環基の環系の、OH、SH、=O、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、CN、NO、COOH;NR(ここでR及びRは、独立してH又は飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状の、置換された若しくは非置換のC1−6−アルキルのいずれかを表す);飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換のC1−6−アルキル;飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換の−O−C1−6−アルキル(アルコキシ);飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換の−S−C1−6−アルキル;飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換の−C(O)−C1−6−アルキル−基;飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換の−C(O)−O−C1−6−アルキル−基;置換された又は非置換のアリール又はアルキル−アリール;置換された又は非置換のシクロアルキル又はアルキル−シクロアルキル;置換された又は非置換のヘテロ環基又はアルキル−ヘテロ環基による置換を意味するものと理解される。「場合により少なくとも一置換された」は、「一置換された」、「多置換された」、又は−選択肢が満たされていない場合−「不飽和」のいずれかを意味する。
【0023】
用語「塩」は、本発明により使用される活性化合物がイオン形態をとり又は帯電され、そしてカウンターイオン(陽イオン若しくは陰イオン)と結合し、又は溶解した形態をとる、該化合物の任意の形態を意味するものと理解するべきである。この用語により、活性化合物と他の分子及びイオンとの複合体、特にイオン相互作用を介して複合した複合体も理解されるべきである。
【0024】
用語「生理学的に許容し得る塩」は、本発明の文脈において、治療のために適切に使用される場合、特にヒト及び/又は哺乳動物に使用又は適用される場合に、生理学的に耐用性のある(殆どの場合、毒性を有さない、特にカウンターイオンを原因とする毒性を有さないことを意味する)任意の塩を意味する。
【0025】
これら生理学的に許容し得る塩は、陽イオン又は塩基と共に形成されてもよく、本発明の文脈において、生理学的に許容し得る塩は、陰イオンとしての本発明で使用される化合物の少なくとも一つ−通常、(脱プロトン化)酸−の、特にヒト及び/又は哺乳動物に使用される場合に生理学的に耐用性のある、少なくとも一つの、好ましくは無機の陽イオンとの塩を意味するものと理解される。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩が特に好ましく、NHとの塩も好ましいが、特に(一)若しくは(二)ナトリウム、(一)若しくは(二)カリウム、マグネシウム又はカルシウム塩が好ましい。
【0026】
これらの生理学的に許容し得る塩は、陰イオン又は酸と共に形成されることもでき、本発明の文脈において、生理学的に許容し得る塩は、陽イオンとしての本発明で使用される化合物の少なくとも一つ−通常、例えば窒素上でプロトン化した−の、特にヒト及び/又は哺乳動物に使用される場合に生理学的に耐用性のある、少なくとも一つの陰イオンとの塩を意味するものと理解される。それにより特に、本発明の文脈において、生理学的に耐用性のある酸と共に形成される塩、即ち、特定の活性化合物と、特にヒト及び/又は哺乳動物に使用される場合に生理学的に耐用性のある無機酸又は有機酸との塩が理解される。特定の酸の生理学的に耐用性のある塩の例は:塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸又はクエン酸の塩である。
【0027】
本発明の化合物は、結晶形態をとり、又は遊離化合物若しくは溶媒和物のいずれかとして存在することができ、これらの形態は本発明の範囲内に含まれるものとする。溶媒和の方法は、一般に当技術分野で公知である。適切な溶媒和物は、薬学的に許容し得る溶媒和物である。本発明による用語「溶媒和物」は、本発明の活性化合物が非共有結合を介して他の一分子(殆どの場合、極性溶媒)に結合している、該化合物の任意の形態を意味するものと理解するべきであり、特に水和物及びアルコラート、例えばメタノラートを含む。
【0028】
式(I)の化合物のプロドラッグである任意の化合物は、本発明の範囲内に含まれる。用語「プロドラッグ」は、その最も広い意味にて使用され、インビボで本発明の化合物に変換されるそれらの誘導体を包含する。そのような誘導体は、当業者に容易に想起され、分子内に存在する官能基に応じて以下の本発明の化合物の誘導体を含むが、これらに限定されるわけではない:エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩スルホン酸エステル、カルバメート及びアミド。所定の作用化合物のプロドラッグの周知の製造方法の例は、当業者に知られており、例えばKrogsgaard-Larsenら「Textbook of Drug design and Discovery」 Taylor & Francis (April 2002)に見出すことができる。
【0029】
別に述べない限り、本発明の化合物は、一つ又はそれ以上の放射性原子の存在下のみで異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素が重水素又は三重水素で置き換えられている、又は炭素が13C若しくは14C炭素で置き換えられている、又は15N窒素で置き換えられていることを除いて本構造を有する化合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0030】
式(I)の化合物、又はそれらの塩若しくは溶媒和物は、薬学的に許容し得る形態又は実質的に純粋な形態であることが好ましい。薬学的に許容し得る形態とは、とりわけ、通常の医薬添加剤、例えば希釈剤及び担体、を除いて薬学的に許容し得る純度レベルを有し、かつ通常の用量レベルにて有毒と思われる材料を全く含有しないことを意味する。薬物に関する純度レベルは、好ましくは50%超、より好ましくは70%超、最も好ましくは90%超である。好ましい実施態様において、純度レベルは、95%超の式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグである。
【0031】
一般式Iによる本発明の化合物の好ましい実施態様において、Rは、水素;少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;特にRは、直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル;又は場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;より好ましくは、Rは、CH又はフェニルから選択される。
【0032】
一般式Iによる本発明の化合物の好ましい別の実施態様において、Rは、H又はORから選択され、ここでRは、H、又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基であり;特にRは、H又はORから選択され、ここでRは、H又は直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル基であり、より好ましくは、Rは、H、OH又はOCHから選択され;最も好ましくは、Rは、Hから選択される。
【0033】
一般式Iによる本発明の化合物の好ましい別の実施態様において、
は、H;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ヘテロ環基;又は場合により少なくとも一置換されたアルキル−シクロアルキルから選択されると共に;
は、H;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基を形成する。
【0034】
一般式Iによる本発明の化合物の好ましい別の実施態様において、nは、1又は2から選択される。
【0035】
本発明による化合物の好ましい別の実施態様において、化合物は、一般式Ia
【0036】
【化2】


Ia
(式中、
pは、0又は1から選択され;
nは、1又は2から選択され;
は、水素;少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリールから選択され;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基;又はORから選択され、ここでRは、H、又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基であり;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリール;場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基;場合により少なくとも一置換されたシクロアルキル;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ヘテロ環基;又は場合により少なくとも一置換されたアルキル−シクロアルキルから選択されると共に;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基を形成する)による化合物である。
【0037】
一般式Iaによる本発明の化合物の好ましい実施態様において、Rは、水素;少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;特にRは、直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル;又は場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;より好ましくは、Rは、CH又はフェニルから選択される。
【0038】
一般式Iaによる本発明の化合物の好ましい別の実施態様において、Rは、H;ORから選択され、ここでRは、H、又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基であり;特にRは、H;OH、又は直鎖状若しくは分岐状のOC1−4−アルキル基から選択され;より好ましくは、Rは、H、OH又はOCHから選択される。
【0039】
一般式Iaによる本発明の化合物の好ましい別の実施態様において、
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−アルキルから選択されると共に;
は、水素;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換された5又は6員の飽和ヘテロ環基を形成する。
【0040】
本発明による化合物の好ましい別の実施態様は、一般式Ia
【0041】
【化3】


Ia
(式中、
pは、1であり;
nは、1又は2であり;
は、直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル;又は場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;
は、H;OH、又は直鎖状若しくは分岐状のOC1−4−アルキル基から選択され;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−アルキルから選択されると共に;
は、水素;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換された5又は6員の飽和ヘテロ環基を形成する)による化合物である。
【0042】
本発明による化合物の好ましい別の実施態様は、一般式Ia
【0043】
【化4】


Ia
(式中、
pは、1であり;
nは、1又は2であり;
は、直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル;又は場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;
は、H;OH、又は直鎖状若しくは分岐状のOC1−4−アルキル基から選択され;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−アルキルから選択されると共に;
は、水素;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に
【0044】
【化5】


から選択される、場合により少なくとも一置換された5又は6員の飽和ヘテロ環基を形成し:
ここでRは、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基;又は場合により少なくとも一置換されたアリール基から選択される)による化合物である。
【0045】
本発明による化合物の好ましい別の実施態様は、一般式Ia
【0046】
【化6】


Ia
(式中、
pは、1であり;
nは、1又は2であり;
は、フェニルであり;
は、Hであり;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−アルキルから選択されると共に;
は、水素;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に
【0047】
【化7】


から選択される、場合により少なくとも一置換された5又は6員の飽和ヘテロ環基を形成し:
ここでRは、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基;又は場合により少なくとも一置換されたアリール基から選択される)による化合物である。
【0048】
上記した定義を参照し、また反復して、アルキル基の文脈において用語「置換された」は、少なくとも一つの水素基がF、Cl、Br、I、NH、SH又はOHで置き換えられていることを意味するものと理解される。「場合により少なくとも一置換された」は、「一置換された」、「多置換された」、又は−選択肢が満たされていない場合−「非置換」のいずれかを意味し、ここで「多置換された」(1回より多く置換された)は、置き換えが異なる原子上及び同一の原子上の両方で、同一の又は異なる置換基で数回、例えばCFの場合のように同一のC原子上で、又は例えば−CH(OH)−CH=CH−CHClの場合のように異なる位置で3回、行われていることを意味すると理解される。
【0049】
上記した定義を参照し、また反復して、アリール又はヘテロ環基の文脈において用語「置換された」は、アリール又はヘテロ環の環系の、OH、SH、=O、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、CN、NO、COOH;NR(ここでR及びRは、独立してH又は飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状の、置換された若しくは非置換のC1−6−アルキルのいずれかである);飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換のC1−6−アルキル;飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換の−O−C1−6−アルキル(アルコキシ);飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換の−S−C1−6−アルキル;飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換の−C(O)−C1−6−アルキル−基;飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、置換された又は非置換の−C(O)−O−C1−6−アルキル−基;置換された又は非置換のアリール又はアルキル−アリール;置換された又は非置換のシクロアルキル又はアルキル-シクロアルキル;置換された又は非置換のヘテロ環基又はアルキル-ヘテロ環基による置換を意味するものと理解される。「場合により少なくとも一置換された」は、「一置換された」、「多置換された」、又は−選択肢が満たされていない場合−「非置換」のいずれかを意味する。
【0050】
本発明による化合物の好ましい別の実施態様は、一般式Ia
【0051】
【化8】


Ia
(式中、
pは、1であり;
nは、1又は2であり;
は、フェニルであり;
は、Hであり;
及びRは、互いに独立して、直鎖状又は分岐状のC1−6−アルキルから選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に:
【0052】
【化9】


から選択される5又は6員の飽和ヘテロ環基を形成し:
ここでRは、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基;又は場合により少なくとも一置換されたアリール基から選択される)による化合物である。
【0053】
一般式Iによる本発明の化合物の好ましい別の実施態様において、化合物は、
・1−フェニル−4−(ピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
・1−フェニル−4−(4−フェニルピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−[2−(4−フェニル−ピペリジン−1−イル)−エチル]−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
・4−(モルホリン−4−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
・1−フェニル−4−(4−フェニルピペラジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−[2−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
・1−フェニル−4−(ピロリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・N,N−ジメチル−1−(1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール−4−イル)メタンアミン;又は
・ジメチル−[2−(1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール−4−イル)−エチル]−アミン;
好ましくは、
・1−フェニル−4−(ピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(4−フェニルピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−(モルホリン−4−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(4−フェニルピペラジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(ピロリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;又は
・N,N−ジメチル−1−(1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール−4−イル)メタンアミン;
から選択される化合物であり、
該化合物は、場合により立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマーの一つの形態、ラセミ体、又は立体異性体、好ましくはエナンチオマー及び/若しくはジアステレオマーの少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又はその対応する塩、又はその対応する溶媒和物であってもよい。
【0054】
用語「薬理学的ツール」は、本発明の化合物の性質を指し、該性質を介して該化合物は特にσ受容体に対する選択的リガンドであり、このことは、本発明に記載する式(I)の化合物がσリガンドとしての他の化合物、例えば置き換えられた放射性リガンドを試験するためのモデルとして使用でき、またσ受容体に関連する生理学的作用をモデリングするためにも使用できることを暗示する。
【0055】
上記した式(I)により表される本発明の化合物は、キラル中心の存在に応じてエナンチオマー、又は多重結合の存在に応じて異性体(例えばZ、E)を含み得る。単一の異性体、エナンチオマー又はジアステレオ異性体、及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0056】
一般に、製造方法は、下の実験部分に記載されている。出発物質は商業的に入手可能であり、又は従来の方法により調製することができる。
【0057】
本発明の好ましい局面は、式Ib
【0058】
【化10】


(式中、R、Rn、及びpは、上記に定義した通りであり、Xは脱離基、好ましくはハロゲンである)
による化合物の製造方法でもあり、
ここで式III
【0059】
【化11】


(式中、R、R及びpは、上記に定義した通りである)の化合物を、一般式IV
【0060】
【化12】


(式中、nは上記に定義した通りであり、Xは脱離基、好ましくはハロゲン、より好ましくはBr又はClである;)
の化合物と反応させて、式Ibの化合物を形成する。
【0061】
本発明の好ましい別の局面は、本発明の化合物の製造方法であり、ここで式Ib
【0062】
【化13】


(式中、R、Rn及びpは、上記に定義した通りであり、Xは脱離基、好ましくはハロゲン、より好ましくはBr又はClである;)の化合物を、RNH(式中、R及びRは、上記に定義した通りである)と反応させる。
【0063】
得られた反応生成物は、所望であれば、結晶化及びクロマトグラフィー等の従来の方法により精製し得る。上述した本発明の化合物の製造方法が、立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィー等の従来の技術により分離することができる。キラル中心が存在する場合、化合物はラセミ体にて調製され、又はエナンチオ選択的合成若しくは分割のいずれかにより個々のエナンチオマーを調製することができる。
【0064】
薬学的に許容し得る好ましい形態の一つは結晶形であり、これは薬学的組成物中のそのような形態も含む。塩及び溶媒和物の場合、付加的なイオン性部分及び溶媒部分も無毒である必要がある。本発明の化合物は異なる多形形態にて存在することができ、本発明はそのような形態の全部を包含することを意図する。
【0065】
本発明の別の局面は、本発明による化合物、又はその薬学的に許容し得る塩、プロドラッグ、異性体若しくは溶媒和物、及び薬学的に許容し得る担体、補助剤又は賦形剤を含有する薬学的組成物に言及する。従って、本発明は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ若しくは立体異性体を、薬学的に許容し得る担体、補助剤、又は賦形剤と共に含有する、患者に投与するための薬学的組成物を提供する。
【0066】
薬学的組成物の例は、経口、局所又は非経口投与用のための任意の固体(錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒等)又は液体(液剤、縣濁剤又は乳剤)組成物を含む。
【0067】
好ましい実施態様において、薬学的組成物は、固体又は液体のいずれかの経口形態である。経口投与用の適切な剤形は、錠剤、カプセル剤、シロップ剤又は液剤であってもよく、また当技術分野にて公知の従来の補形剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント若しくはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば乳糖、糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトール若しくはグリシン;錠剤滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;崩壊剤、例えば澱粉、ポリビニルピロリドン、ナトリウム澱粉グリコラート若しくは微結晶セルロース;又はラウリル硫酸ナトリウム等の薬学的に許容し得る湿潤剤を含有してもよい。
【0068】
固体経口組成物は、従来の混合、充填又は錠剤化方法により調製することができる。繰り返し混合操作により、活性薬剤を、大量の充填剤を用いたそれらの組成物全体に分配することができる。そのような操作は当技術分野で慣習的である。錠剤は、例えば湿式又は乾式造粒により調製され、場合により通常の薬学的実践で周知の方法に従って被覆され、特に腸溶コーティングで被覆され得る。
【0069】
薬学的組成物は、非経口投与、無菌溶液、縣濁液又は例えば適切な単位剤形の凍結乾燥製品等にも適合し得る。例えば増量剤、緩衝剤又は界面活性剤等の十分な補形剤を使用し得る。
【0070】
言及した製剤は、スペイン薬局方及び米国薬局方、並びに同様の参考文献に記載又は言及されている標準的な方法を使用して調製されるであろう。
【0071】
本発明の化合物又は組成物は、静脈内注入、経口製剤、並びに腹腔内及び静脈内投与等の任意の適切な方法により投与され得る。患者のための利便性、及び処置するべき疾病の慢性の性質により、経口投与が好ましい。
【0072】
一般に、本発明の化合物の有効な投与量は、選択される化合物の相対的な効力、処置される疾患の重篤さ、及び病人の体重に依存するであろう。しかしながら、活性化合物は、一般に1日1回又はそれ以上、例えば1日1、2、3又は4回投与され、一般的な総一日用量は、0.1〜1000mg/kg/日であろう。
【0073】
本発明の化合物及び組成物は、他の薬物と共に使用されて、組み合わせ療法を提供することができる。他の薬物は、同一の組成物の一部を形成してもよく、又は同時に若しくは異なる時間に投与するための別個の組成物として提供されてもよい。
【0074】
本発明の別の一局面は、医薬の製造における本発明の化合物の使用に言及する。
【0075】
本発明の別の局面は、σ受容体仲介による疾病又は状態の治療又は予防のための医薬の製造における本発明の化合物の使用に言及する。関連する本発明の更なる局面は、σ受容体仲介による疾病又は状態の治療又は予防のための本発明の化合物の使用に言及する。この好ましい実施態様は、疾病が下痢、リポ蛋白疾患、メタボリック症候群、高いトリグリセリドレベルの治療、カイロミクロン血症、高リポ蛋白血症;高脂血症、特に混合性高脂血症;高コレステロール血症、異常βリポ蛋白血症、孤発性及び家族性疾患(遺伝性高トリグリセリド血症)の両方を含む高トリグリセリド血症、偏頭痛、肥満、関節炎、高血圧症、不整脈、潰瘍、学習、記憶及び注意欠陥、認知疾患、神経変性疾患、脱髄性疾患、コカイン、アンフェタミン、エタノール及びニコチンを含む薬物及び化学物質に対する嗜癖、遅発性ジスキネジア、虚血性卒中、てんかん、卒中、鬱病、ストレス、精神病状態、統合失調症;炎症、自己免疫疾病又は癌である使用である。
【0076】
この好ましい実施態様は、疾病が疼痛、特に神経因性疼痛、炎症性疼痛又は他の疼痛状態、異痛症及び/又は痛覚過敏、特に機械的異痛症である使用である。
【0077】
本発明の別の局面は、薬理学的ツール又は抗不安薬若しくは免疫抑制薬としての本発明の化合物の使用に言及する。
【0078】
用語「薬理学的ツール」は、本発明の化合物の性質を指し、該性質を介して該化合物は特にσ受容体に対する選択的リガンドであり、このことは、本発明に記載する式(I)の化合物がσリガンドとしての他の化合物、例えば置き換えられた放射性リガンドを試験するためのモデルとして使用でき、またσ受容体に関連する生理学的作用をモデリングするためにも使用できることを暗示する。
【0079】
本発明の別の局面は、σ受容体仲介による疾病を治療又は予防する方法に関し、該方法は、そのような処置を必要とする患者に、治療的有効量の上記に定義した化合物、又はその薬学的組成物を投与することを含む。治療できるσ仲介による疾病には、下痢、リポ蛋白疾患、メタボリック症候群、高いトリグリセリドレベルの治療、カイロミクロン血症、高リポ蛋白血症;高脂血症、特に混合性高脂血症;高コレステロール血症、異常βリポ蛋白血症、孤発性及び家族性疾患(遺伝性高トリグリセリド血症)の両方を含む高トリグリセリド血症、偏頭痛、肥満、関節炎、高血圧症、不整脈、潰瘍、学習、記憶及び注意欠陥、認知疾患、神経変性疾患、脱髄性疾患、コカイン、アンフェタミン、エタノール及びニコチンを含む薬物及び化学物質に対する嗜癖、遅発性ジスキネジア、虚血性卒中、てんかん、卒中、鬱病、ストレス、疼痛、特に神経因性疼痛、炎症性疼痛又は他の疼痛状態、異痛症及び/又は痛覚過敏、特に機械的異痛症、精神病状態、統合失調症;炎症、自己免疫疾病又は癌;食物摂取の疾患、体重の減少、増加又は維持のため、肥満、過食症、拒食症、悪液質又はII型糖尿病、好ましくは肥満を原因とするII型糖尿病の予防及び/又は治療のための食欲の調整、が含まれる。本発明の化合物は、薬理学的ツール又は抗不安薬若しくは免疫抑制薬としても使用することができる。
【0080】
本発明の化合物は、以下に示す反応スキームAに従って合成することができる:
反応スキームA:
【0081】
【化14】

【0082】
本発明を、実施例の補助により以下に説明する。これらの説明は、単なる例を目的として与えられ、本発明の一般的な趣旨を限定するものではない。
【実施例】
【0083】
一般的な実験部分(合成及び分析の方法及び装置)
合成に使用した全溶媒は、p.a.品質であった。
【0084】
薄層クロマトグラフィーを使用した物質混合物の分離は、シリカゲルを層状に重ねたガラスプレート上で行った。該プレートの分析は、ヨウ素ガスによる処理、又はUV光の下でのDragendorff試薬を用いたインキュベーション後に行った。
【0085】
概して、合成した生成物は、フラッシュ−クロマトグラフィーを用いて精製した。
【0086】
融点は、キャピラリーを使用して測定した。時折、生成物はジアステレオマーの混合物であったため、融点は範囲として表す必要があった。
【0087】
IR−スペクトルは、ATRを伴うFT−IR−480 Plus Fourier Transform Spectrometer(Fa.Jasco)を使用して測定した。全物質は直接固体として、又は油中で測定した。
【0088】
NMR−スペクトルは、Mercury−400BB(Fa.Varian)を使用して、温度21℃で測定した。ppmにて測定したδは、溶媒(CDCl)の残余シグナル(CHCl)との比較において測定されたTMSシグナルに基づく:
H−NMR−光度法:
δ(TMS)=δ(CDCl)−7.26
13C−NMR−光度法:
δ(TMS)=δ(CDCl)−77.0
質量スペクトル(MS)は、Xcalibur Version 1.1を伴うGCQ Finnigan MAT(Fa.Finnigan)を使用して測定した。イオン化の方法は、角括弧内に示す:EI=電子イオン化(70eV);CI=化学イオン化(イソブタン又はNH、170eV)。
【0089】
元素分析は、VarioEL(Fa.Elementar)により行った。
【0090】
HPLCを使用するに先立ち、50Bio Cary Spektrophotometer(Fa.Varian)を使用して、UV/Vis−スペクトルを用いて物質の最大吸収を測定した。
【0091】
純度の測定とジアステレオマーの分離のために、UV検出器(Merck)を伴うHPLC Hitachi L6200A Intelligent Pumpを使用した。
【0092】
合成は、合成マイクロ波Discover(Fa.CEM)内で行った。
【0093】
いくつかの反応は、保護ガスを使用して行った。
【0094】
−78℃での反応は、アセトン浴内でDewar内で行った。
【0095】
実施例A:2−(1−フェニルピラゾール−5−イル)−エタノール
【0096】
【化15】


実験手順:
雰囲気下で、フェニル−ピラゾール(1.0g、6.94mmol)を無水(abs.)THF(70mL)に溶解し、−78℃に冷却した。その後、ヘキサン(1.6M、4.3mL、6.94mmol)中のn−ブチルリチウムを滴加し、次いで混合物を−78℃で2時間攪拌した。その後、無水THF(10mL)に溶解した硫酸エチレン(1.03g、8.32mmol)をゆっくり加えた。−78℃で更に1時間攪拌した後、反応混合物を室温に加熱し、更に71時間攪拌した。水(30mL)及び濃HSO(5mL)を加えた後、還流下で40時間加熱し、強力に攪拌した後、NaOH(5N、60mL)で中和し、CHClで3回抽出した。貯まった有機相をKCOで乾燥し、濾過し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(1.31g)をフラッシュ−クロマトグラフィー(φ=6cm、h=15cm、n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1、40mL、R=0.13)を使用して精製した。
【0097】
僅かに黄色の油、収量:981mg(75%)
1112O(188.3)
【0098】
【表1】

【0099】
MS(EI):m/z(rel.Int.)=189[MH、42]、188[M、52]、158[MH−CHOH、41]、157[M−CHOH、100]、77[フェニル、18]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=2.11(s 幅広、1H、CHCHOH)、2.91(t、J=6.5Hz、2H、CHCHOH)、3.79(t、J=6.7Hz、2H、CHCHOH)、6.29(d、J=1.6Hz、1H、ピラゾール−4−CH)、7.38−7.48(m、5H、フェニル−CH)、7.60(d、J=1.6Hz、1H、ピラゾール−3−CH)。
13C−NMR(CDCl):δ(ppm)=29.7(1C、ArCHCHOH)、61.4(1C、ArCHCHOH)、106.1(1C、ピラゾール−4−CH)、125.9(2C、フェニル−CH、オルト)、128.4(1C、フェニル−CH、パラ)、129.4(2C、フェニル−CH、メタ)、139.7(1C、フェニル−C、四重項(quartar))、140.2(1C、ピラゾール−3−CH)、140.5(1C、ピラゾール−5−C)。
【0100】
実施例B:4−(ブロモメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ−[4,3−c]ピラゾール
【0101】
【化16】


実験手順:
実施例A(1.0g、5.31mmol)のアセトニトリル(35mL)溶液に、ブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール(2−ブロモ−1,1−ジメトキシ−エタン)(941.9μL、7.97mmol)及びトシル酸ピリジニウム(6.7g、26.6mmol)を連続して加えた。反応混合物を還流下で74時間攪拌した。溶媒を真空中で除去した後、残留物を酢酸エチルに溶解し、これをHCl(0.5N)で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。貯まった有機相をKCOで乾燥し、濾過し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(945mg)を、フラッシュ−クロマトグラフィー(φ=6cm、h=18cm、n−ヘキサン:酢酸エチル8:2、40mL、R=0.29)を使用して精製した。
【0102】
僅かに黄色の固体、融点110℃、収量:529mg(34%)。
1313BrNO(293.2)
MS(ESI):m/z(rel.Int.)=293[79Br−M、45]、295[81Br−M、37]、316[79Br−M+Na、53]、
318[81Br−M+Na、47]、609[2×79Br−M+Na、100]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=2.68−2.77(m、1H、OCHCHAr)、2.99−3.09(m、1H、OCHCHAr)、3.57(dd、J=11.0/7.4Hz、1H、CHCHBr)、3.70(dd、J=10.8/4.1Hz、1H、CHCHBr)、3.76(ddd、J=11.5/9.6/3.7Hz、1H、OCHCHAr)、4.23(ddd、J=11.4/5.4/3.0Hz、1H、OCHCHAr)、4.98(dd、J=7.2/4.1Hz、1H、CHCHBr)、7.37(t、J=7.0Hz、1H、フェニル−CH、パラ)、7.42−7.53(m、4H、フェニル−CH)、7.60(s、1H、ピラゾール−3−CH)。
【0103】
実施例1:1−フェニル−4−(ピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
【0104】
【化17】


実験手順:
実施例B(80mg、0.27mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、KCO(301.7mg、2.18mmol)及びピペリジン(80.9μL、0.81mmol)を連続して加えた。この反応混合物を還流下で42時間攪拌した後、KCOを濾去し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(88.5mg)をフラッシュ−クロマトグラフィー(φ=3cm、h=18cm、n−ヘキサン:酢酸エチル5:5+1% N,N−ジメチルエチルアミン、20mL、R=0.11)を使用して精製した後、生成物を単離した。
【0105】
無色固体、融点:91℃、収量:47mg(58%)。
1823O(297.4)
【0106】
【表2】

【0107】
MS(ESI):m/z(rel.Int.)=298[MH、100]、617[2×M+Na、15]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=1.38−1.45(m、2H、ピペリジン−4−CH)、1.52−1.63(m、4H、ピペリジン−3,5−CH)、2.40−2.69(m、7H、ピペリジン−2,6−CH(4H)、OCHCHAr(1H)、CHCHピペリジン(2H))、2.93−3.03(m、1H、OCHCHAr)、3.61(ddd、J=11.3/10.2/3.9Hz、1H、OCHCHAr)、4.97(ddd、J=11.5/5.7/2.2Hz、1H、OCHCHAr)、4.78−4.84(m、1H、CHCHピペリジン)、7.25(t、J=7.0Hz、1H、フェニル−CH)、7.35−7.48(m、4H、フェニル−CH)、7.51(s、1H、ピラゾール−3−CH)。
13C−NMR(CDCl):δ(ppm)=24.5(1C、ピペリジン−4’−CH)、25.1(1C、OCHCHAr)、26.1(2C、ピペリジン−3’,5’−CH)、55.5(2C、ピペリジン−2’,6’−CH)、63.6(1C、OCHCHAr)、64.5(1C、CHCHピペリジン)、71.2(1C、CHCHピペリジン)、77.4(1C、ピラゾール−4−C)、122.8(2C、フェニル−CH、オルト)、127.2(1C、フェニル−CH、パラ)、129.5(2C、フェニル−CH、メタ)、136.0(1C、フェニル−C、四重項)、136.5(1C、ピラゾール−3−CH)、139.8(1C、ピラゾール−5−C)。
【0108】
実施例2:1−フェニル−4−(4−フェニルピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール
【0109】
【化18】


実験手順:
実施例B(80mg、0.27mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、KCO(301.7mg、2.18mmol)及び4−フェニルピペリジン(132.0mg、0.82mmol)を連続して加えた。この反応混合物を還流下で25時間攪拌した後、KCOを濾去し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(190mg)をフラッシュ−クロマトグラフィー(φ=3cm、h=20cm、n−ヘキサン:酢酸エチル5:5+1% N,N−ジメチルエチルアミン、20mL、R=0.25)を使用して精製した後、生成物を単離した。
【0110】
無色樹脂、収量:41mg(41%)。
2427O(373.5)
【0111】
【表3】

【0112】
MS(ESI):m/z(rel.Int.)=374[MH、100]、769[2×M+Na、47]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=1.82−1.98(m、4H、フェニルピペリジン−3’,5’−CH)、2.19−2.30(m、2H、フェニルピペリジン−2’,6’−CH)、2.50−2.59(m、1H、フェニルピペリジン−4’−CH)、2.65−2.73(m、2H、OCHCHAr(1H)、CHCHフェニルピペリジン(1H))、2.81(dd、J=13.3/8.2Hz、1H、CHCH−フェニルピペリジン)、3.02−3.11(m、1H、OCHCHAr)、3.22(t 幅広、J=10.0Hz、2H、フェニルピペリジン−2’,6’−CH)、3.70(ddd、J=11.3/10.2/3.9Hz、1H、OCHCHAr)、4.27(ddd、J=11.5/5.7/2.2Hz、1H、OCHCHAr)、4.91−4.97(m、1H、CHCHフェニルピペリジン)、7.20(t、J=7.0Hz、1H、フェニル−CH、パラ)、7.25−7.38(m、5H、フェニル−CH)、7.43−7.56(m、4H、フェニル−CH)、7.60(s、1H、ピラゾール−CH)。
13C−NMR(CDCl):δ(ppm)=25.1(1C、OCHCHAr)、33.7(2C、フェニルピペリジン−3’,5’−CH)、42.9(1C、フェニルピペリジン−4’−CH)、55.1、55.6(je 1C、フェニルピペリジン−2’,6’−CH)、63.6(1C、OCHCHAr)、64.3(1C、CHCHフェニルピペリジン)、71.3(1C、CHCHフェニルピペリジン)、77.5(1C、ピラゾール−4−C)、119.4(1C、フェニルピペリジン−C、四重項)、112.9(2C、フェニル−CH、オルト)、126.4(1C、フェニルピペリジン−CH、パラ)、127.1(2C、フェニルピペリジン−CH、オルト)、127.2(1C、フェニル−CH、パラ)、128.7(2C、フェニルピペリジン−CH、メタ)、129.5(2C、フェニル−CH、メタ)、136.1(1C、フェニル−C、四重項)、136.4(1C、ピラゾール−3−CH)、139.8(1C、ピラゾール−5−C)。
【0113】
実施例3:4−(モルホリン−4−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
【0114】
【化19】


実験手順:
実施例B(100mg、0.34mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、KCO(377mg、2.73mmol)及びモルホリン(59.7μL、0.68mmol)を連続して加えた。この反応混合物を還流下で47時間攪拌した後、KCOを濾去し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(105mg)をフラッシュ−クロマトグラフィー(φ=3cm、h=20cm、n−ヘキサン:酢酸エチル2:8、20mL、R=0.06)を使用して精製した。
【0115】
無色固体、融点115℃、収量:59mg(58%)。
1721(299.4)
【0116】
【表4】

【0117】
MS(ESI):m/z(rel.Int.)=300[MH、100]、621[2×M+Na、43]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=2.48−2.73(m、7H、モルホリン−2’,6’−CH(4H)、OCHCHAr(1H)、CHCHモルホリン(2H))、2.94−3.05(m、1H、OCHCHAr)、3.61(ddd、J=11.3/10.2/3.5Hz、1H、OCHCHAr)、3.68−3.77(m、4H、モルホリン−3’,5’−CH)、4.18(ddd、J=11.5/5.5/2.0Hz、1H、OCHCHAr)、4.81−4.89(m、1H、CHCHモルホリン)、7.28(t、J=7.2Hz、1H、フェニル−CH、パラ)、7.35−7.49(m、4H、フェニル−CH)、7.51(s、1H、ピラゾール−3−CH)。
13C−NMR(CDCl):δ(ppm)=25.4(1C、OCHCHAr)、54.9(2C、モルホリン−2’,6’−CH)、64.0(1C、OCHCHAr)、64.5(1C、CHCHモルホリン)、67.5(2C、モルホリン−3’,5’−CH)、71.2(1C、CHCHモルホリン)、77.8(1C、ピラゾール−4−C)、123.2(2C、フェニル−CH、オルト)、127.6(1C、フェニル−CH、パラ)、129.8(2C、フェニル−CH、メタ)、136.4(1C、フェニル−C、四重項)、136.6(1C、ピラゾール−3−CH)、140.0(1C、ピラゾール−5−C)。
【0118】
実施例4:1−フェニル−4−(4−フェニルピペラジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール
【0119】
【化20】


実験手順:
実施例B(80mg、0.27mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、KCO(302mg、2.18mmol)及びフェニルピペラジン(125μL、0.82mmol)を連続して加えた。この反応混合物を還流下で41時間攪拌した後、KCOを濾去し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(135mg)をフラッシュ−クロマトグラフィー(φ=3cm、h=20cm、n−ヘキサン:酢酸エチル5:5+1% N,N−ジメチルエチルアミン、20mL、R=0.18)を使用して精製し、生成物を供給した。
【0120】
無色固体、融点151℃、収量:68mg(66%)。
2326O(374.5)
【0121】
【表5】

【0122】
MS(ESI):m/z(rel.Int.)=375[MH、100]、771[2×M+Na、43]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=2.63−2.84(m、7H、OCHCHAr(1H)、CHCHフェニル−ピペラジン(2H)、フェニルピペラジン−3’,5’−CH(4H))、3.01−3.12(m、1H、OCHCHAr)、3.25−3.33(m、4H、フェニルピペラジン−2’,6’−CH)、3.70(ddd、J=11.2/10.2/3.6Hz、1H、OCHCHAr)、4.28(ddd、J=11.4/5.5/2.0Hz、1H、OCHCHAr)、4.90−5.00(m、1H、CH−CH−フェニルピペラジン)、6.84(t、J=7.2Hz、1H、フェニルピペラジン−CH、パラ)、6.95(d、J=7.8Hz、2H、フェニルピペラジン−CH、オルト)、7.22−7.30(m、2H、フェニルピペラジン−CH、メタ)、7.34(t、J=7.2Hz、1H、フェニル−CH、パラ)、7.41−7.55(m、4H、フェニル−CH)、7.59(s、1H、ピラゾール−3−CH)。
13C−NMR(CDCl):δ(ppm)=25.1(1C、OCHCHAr)、49.3(2C、フェニルピペラジン−2’,6’−CH)、54.2(2C、フェニルピペラジン−3’,5’−CH)、63.7(1C、OCHCHAr)、63.8(1C、CHCHフェニルピペラジン)、71.2(1C、CHCHフェニルピペラジン)、77.4(1C、ピラゾール−4−C)、116.3(2C、フェニルピペラジン−CH、オルト)、119.2(1C、フェニルピペラジン−C、四重項)、119.9(1C、フェニルピペラジン−CH、パラ)、122.9(2C、フェニル−CH、オルト)、127.3(1C、フェニル−CH、パラ)、129.4(2C、フェニルピペラジン−CH、メタ)、129.5(2C、フェニル−CH、メタ)、136.1(1C、フェニル−C、四重項)、136.4(1C、ピラゾール−3−CH)、139.7(1C、ピラゾール−5−C)。
【0123】
実施例5:4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール
【0124】
【化21】


実験手順:
実施例B(100mg、0.34mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、KCO(377mg、2.73mmol)及び1−メチルピペラジン(113.5μL、1.02mmol)を連続して加えた。この反応混合物を還流下で42時間攪拌した後、KCOを濾去し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(109mg)をフラッシュ−クロマトグラフィー(φ=3cm、h=18cm、酢酸エチル+5% N,N−ジメチルエチルアミン、R=0.14)を使用して精製し、生成物を供給した。
【0125】
無色固体、融点66℃、収量:42mg(40%)。
1824O(312.5)
【0126】
【表6】

【0127】
MS(ESI):m/z(rel.Int.)=313[MH、100]、647[2×M+Na、13]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=2.28(s、3H、ピペラジン−CH)、2.43−2.75(m、11H、メチルピペラジン−2’,3’,5’,6’−CH(8H)、CHCHピペラジン−CH(2H)、OCHCHAr(1H))、2.92−3.06(m、1H、OCHCHAr)、3.61(dd、J=11.2/10.1/3.7Hz、1H、OCHCHAr)、4.17(ddd、J=11.4/5.5/2.0Hz、1H、OCHCHAr)、4.80−4.87(m、1H、CHCH−ピペラジン−CH)、7.27(t、J=7.2Hz、1H、フェニル−CH、パラ)、7.35−7.48(m、4H、フェニル−CH)、7.50(s、1H、ピラゾール−3−CH)。
13C−NMR(CDCl):δ(ppm)=25.1(1C、OCHCHAr)、46.1(1C、ピペラジン−CH)、53.7、55.1(je 2C、メチルピペラジン−2’,3’,5’,6’−CH)、63.56(1C、OCHCHAr)、63.59(1C、CHCHピペラジン−CH)、71.2(1C、CHCHピペラジン−CH)、77.5(1C、ピラゾール−4−C)、122.9(2C、フェニル−CH、オルト)、127.3(1C、フェニル−CH、パラ)、129.5(2C、フェニル−CH、メタ)、136.0(1C、フェニル−C、四重項)、136.4(1C、ピラゾール−3−CH)、139.7(1C、ピラゾール−5−C)。
【0128】
実施例6:1−フェニル−4−(ピロリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
【0129】
【化22】


実験手順:
実施例B(100mg、0.34mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、KCO(377mg、2.73mmol)及びピロリジン(56.0μL、0.68mmol)を連続して加えた。この反応混合物を還流下で29時間攪拌した後、KCOを濾去し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(94mg)をフラッシュ−クロマトグラフィー(φ=3cm、h=18cm、n−ヘキサン:酢酸エチル5:5+1% N,N−ジメチルエチルアミン、20mL、R=0.06)を使用して精製し、生成物を供給した。
【0130】
無色固体、融点89℃、収量:46mg(47%)。
1721O(283.4)
【0131】
【表7】

【0132】
MS(ESI):m/z(rel.Int.)=284[MH、100]、589[2×M+Na、13]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=1.72−1.83(m、4H、ピロリジン−3,4−CH)、2.55−2.64(m、5H、ピロリジン−2,5−CH(4H)、OCHCHAr(1H))、2.73(dd、J=12.7/3.3Hz、1H、CHCHピロリジン)、2.82(dd、J=12.9/9.0Hz、1H、CHCHピロリジン)、2.92−3.03(m、1H、OCHCHAr)、3.61(ddd、J=11.2/10.3/3.7Hz、1H、OCHCHAr)、4.09(ddd、J=11.4/5.6/2.3Hz、1H、OCHCHAr)、4.77−4.84(m、1H、CHCHピロリジン)、7.27(t、J=7.2Hz、1H、フェニル−CH、パラ)、7.35−7.44(m、4H、フェニル−CH)、7.46(s、1H、ピラゾール−3−CH)。
13C−NMR(CDCl):δ(ppm)=23.8(2C、ピロリジン−3’,4’−CH)、25.1(1C、OCHCHAr)、55.1(2C、ピロリジン−2’,5’−CH)、61.6(1C、CHCHピロリジン)、63.5(1C、OCHCHAr)、72.5(1C、CHCHピロリジン)、77.4(1C、ピラゾール−4−C)、122.9(2C、フェニル−CH、オルト)、127.2(1C、フェニル−CH、パラ)、129.5(2C、フェニル−CH、メタ)、136.1(1C、フェニル−C、四重項)、136.2(1C、ピラゾール−3−CH)、139.8(1C、ピラゾール−5−C)。
【0133】
実施例7:N,N−ジメチル−1−(1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール−4−イル)メタンアミン
【0134】
【化23】


実験手順:
実施例B(100mg、0.34mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、KCO(377mg、2.73mmol)及び−24時間毎に−ジメチルアミンのTHF(2M、1.7mL、3.40mmol)溶液を加えた。この反応混合物を還流下で6時間攪拌した後、KCOを濾去し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物(95mg)をフラッシュ−クロマトグラフィー(φ=3cm、h=18cm、n−ヘキサン:酢酸エチル1:1+2% N,N−ジメチルエチルアミン、20mL、R=0.08)を使用して精製し、生成物を単離した。
【0135】
無色固体、融点103℃、収量:19mg(22%)。
1519O(257.4)
【0136】
【表8】

【0137】
MS(ESI):m/z(rel.Int.)=258[MH、100]、537[2×M+Na、5]。

H−NMR(CDCl):δ(ppm)=2.39(s、6H、N(CH)、2.57(dd、J=13.3/3.5Hz、1H、CHCHN(CH)、2.65−2.74(m、2H、CHCHN(CH(1H)、OCHCHAr(1H))、3.02−3.13(m、1H、OCHCHAr)、3.70(ddd、J=11.3/10.2/3.9Hz、1H、OCHCHAr)、4.25(ddd、J=11.4/5.7/2.2Hz、1H、OCHCHAr)、4.80−4.88(m、1H、CHCH−N(CH)、7.34(t、J=7.0Hz、1H、フェニル−CH、パラ)、7.42−7.55(m、5H、フェニル−CH(4H)、ピラゾール−3−CH(1H))。
13C−NMR(CDCl):δ(ppm)=25.1(1C、OCHCHAr)、46.4(2C、N(CH)、63.6(1C、OCHCHAr)、64.8(1C、CHCHN(CH)、71.5(1C、CHCHN(CH)、77.5(1C、ピラゾール−4−C)、122.9(2C、フェニル−CH、オルト)、127.3(1C、フェニル−CH、パラ)、129.5(2C、フェニル−CH、メタ)、136.08(1C、フェニル−C、四重項)、136.11(1C、ピラゾール−3−CH)、139.8(1C、ピラゾール−5−C)。
【0138】
加えて、本発明の更なる化合物を、反応スキームAの方法を使用して、実施例1〜7と類似した方法にて合成する。この反応及び得られる化合物(実施例8〜14)を、スキームBに記載する:
【0139】
【化24】

【0140】
ここでR及びRは:
・一緒になってピペリジン(実施例8);
・一緒になって4−フェニル−ピペリジン(実施例9);
・一緒になってモルホリン(実施例10);
・一緒になって4−フェニル−ピペラジン(実施例11);
・一緒になって4−メチル−ピペラジン(実施例12);
・一緒になってピロリジン(実施例13);又は
・両方ともメチル(実施例14)である。
【0141】
生物学的活性
A)インビトロ
本発明のいくつかの代表的な化合物を、σ(σ−1及びσ−2)阻害剤としてのそれらの活性に関して試験した。以下のプロトコールに従った:
【0142】
σ−1(バージョンA)
脳膜の調製と、σ1−受容体に関する結合アッセイを、記載されているように(DeHaven−Hudkinsら、1992)、少々変更して行った。手短には、モルモットの脳を、10容量(w/v)のTris−HCl 50mM 0.32Mショ糖、pH7.4中で、Kinematica Polytron PT 3000を使用して15000r.p.mで30秒間ホモジナイズした。ホモジネートを1000gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を収集し、48000gで15分間、4℃で再度遠心分離した。ペレットを10容量のTris−HCl緩衝液(50mM、pH7.4)中に再懸濁し、37℃で30分間インキュベートし、48000gで20分間、4℃で遠心分離した。その後、ペレットを新鮮なTris−HCl緩衝液(50mM、pH7.4)中に再懸濁し、使用迄、氷上で保管した。
【0143】
10μLの[H](+)−ペンタゾシン(最終濃度0.5nM)、900μLの組織縣濁液を含む各アッセイチューブを、最終アッセイ容量1mL、及び最終組織濃度約30mg組織正味重量/mLとした。最終濃度1μMのハロペリドールを加えることにより、非特異的結合を定義した。全チューブを37℃で150分間インキュベートした後、Schleicher&Schuell GF 3362グラスファイバーフィルター[予め0.5%ポリエチレンイミン溶液中に少なくとも1時間浸した]上での急速濾過により反応を停止させた。次に、フィルターを4mLの冷Tris−HCl緩衝液(50mM、pH7.4)で4回洗浄した。シンチレーションカクテルの添加後、サンプルを一夜平衡化した。結合した放射能の量を、Wallac Winspectral 1414液体シンチレーションカウンターを使用して、液体シンチレーション分光法により測定した。タンパク質濃度を、Lowryら(1951)の方法により測定した。
【0144】
σ1(バージョンB)
手短には、モルモット脳から、σ−受容体製剤を調製した。脳を5〜6倍の容量のショ糖溶液(0.32M)中でホモジナイズし、ホモジナイズした。ホモジネートを2900rpmで4℃で10分間)遠心分離した。上清を再度遠心分離した(23500×g、4℃、20分間)。ペレットをTris−緩衝液中に再懸濁し、室温で30分間インキュベートし、遠心分離f(23500×g、4℃、20分間)した。ペレットを冷TRIS−緩衝液中に再懸濁し、ホモジナイズした。次に、タンパク質含有率を測定し(約1.5mg/mL)、ホモジネートを後の使用のために−80℃で冷凍した。
【0145】
使用した放射性リガンドは、TRIS−緩衝液中の[H]−(+)−ペンタゾシンであった。200μLの容量にて、50μLのTRIS−緩衝液、50μLの様々な濃度の化合物溶液、50μLの放射性リガンド−溶液(8nM;アッセイ中2nMを得る)、最後に50μLの受容体製剤(約1.5mg/mL)を、フィルターを備えたマイクロプレートのウェル内に与えた。該プレートを閉鎖し、37℃にて500rpmで2.5時間攪拌した。その後、溶媒をハーベスターにより該フィルターを介して除去した。HOで濯いだ後、該フィルターをシンチレーションカウンター内で測定した([H]−プロトコール)。
【0146】
σ−2(バージョンA)
σ2−受容体に関する結合試験を、記載されているように(Radescaら、1991)、少々変更して行った。手短には、σ受容体タイプI(σ1)ノックアウトマウスからの脳を、320mMショ糖を含有する氷冷10mM Tris−HCl(Tris−ショ糖緩衝液)、pH7.4の10mL/g組織正味重量の容量で、Potter−Elvehjemホモジナイザー(500r.p.m.にて10ストローク)を使用してホモジナイズした。次に、ホモジネートを1000gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を取っておいた。ペレットを2mL/g氷冷Tris−ショ糖緩衝液中で渦攪拌することにより再懸濁し、1000gで10分間、再度遠心分離した。一緒にした1000gの上清を31000gで15分間、4℃で遠心分離した。ペレットを3mL/gの10mM Tris−HCl、pH7.4中で渦攪拌することにより再懸濁し、縣濁液を25℃で15分間保持した。31000gで15分間遠心分離した後、ペレットを穏やかなPotter Elvehjemホモジナイゼーションにより再懸濁して、10mM Tris−HCl、pH7.4中の1.53mL/gの容量とした。
【0147】
10μLの[H]−DTG(最終濃度3nM)、400μLの組織縣濁液(50mM Tris−HCl pH8.0中5.3mL/g)を含むアッセイチューブを、最終アッセイ容量0.5mLとした。最終濃度1μMのハロペリドールを加えることにより、非特異的結合を定義した。全チューブを25℃で120分間インキュベートした後、Schleicher&Schuell GF 3362グラスファイバーフィルター[予め0.5%ポリエチレンイミン溶液中に少なくとも1時間浸した]上での急速濾過により反応を停止させた。フィルターを5mL容量の冷Tris−HCl緩衝液(10mM、pH8.0)で3回洗浄した。シンチレーションカクテルの添加後、サンプルを一夜平衡化した。結合した放射能の量を、Wallac Winspectral 1414液体シンチレーションカウンターを使用して、液体シンチレーション分光法により測定した。タンパク質濃度を、Lowryら(1951)の方法により測定した。
【0148】
参考文献
DeHaven-Hudkins, D. L., L.C. Fleissner,及びF. Y. Ford-Rice, 1992, "Characterization of the binding of [3H](+) pentazocine to σ recognition sites in guinea pig brain", Eur. J. Pharmacol. 227, 371-378.
Radesca, L., W.D. Bowen,及びL. Di Paolo, B.R. de Costa, 1991, Synthesis and Receptor Binding of Enantiomeric N-Substituted cis-N-[2-(3,4-Dichlorophenyl)ethyl]-2-(1-pyrrolidinyl)cyclohexylamines as High-Affinity σ Receptor Ligands, J. Med. Chem. 34, 3065-3074.
Langa, F., Codony X., Tovar V., Lavado A., Gimenez E., Cozar P., Cantero M., Dordal A., Hernandez E., Perez R., Monroy X., Zamanillo D., Guitart X., Montoliu Ll., 2003, Generation and phenotypic analysis of sigma receptor type I (Sigma1) knockout mice, European Journal of Neuroscience, Vol. 18, 2188-2196.
Lowry, O.H., N.J. Rosebrough, A.L. Farr,及びR.J. Randall, 1951, Protein measurement with the Folin phenol reagent, J. Biol. Chem, 193, 265.
【0149】
σ2(バージョンB)
手短には、ラット肝臓からσ−受容体製剤を調製した。肝臓を5〜6倍の容量のショ糖溶液(0.32M)中でホモジナイズし、ホモジナイズした。ホモジネートを2900rpmで4℃で10分間)遠心分離した。上清を再度遠心分離した(31000×g、4℃、20分間)。ペレットをTRIS−緩衝液中に再懸濁し、攪拌しながら室温で30分間インキュベートし、遠心分離f(31000×g、4℃、20分間)した。ペレットをpH8の冷TRIS−緩衝液中に再懸濁し、ホモジナイズした。次に、タンパク質含有率を測定し(約2mg/mL)、ホモジネートを後の使用のために−80℃で冷凍した。
【0150】
使用した放射性リガンドは、TRIS−緩衝液pH8中の[H]−ジトリルグアニジンであった。σ−受容体結合部位を、TRIS−Puffer pH8中の(+)−ペンタゾシン−溶液でマスクした。
【0151】
200μLの容量にて、50μLの様々な濃度の化合物溶液、50μLの(+)−ペンタゾシン−溶液(2μM;アッセイ中500nMを得る)、50μLの放射性リガンド−溶液(12nM;アッセイにて3nMを得る)、最後に50μLの受容体製剤(約2mg/mL)を、フィルターを備えたマイクロプレートのウェル内に与えた。該プレートを閉鎖し、室温にて500rpmで2時間攪拌した。その後、溶媒をハーベスターにより該フィルターを介して除去した。HOで濯いだ後、該フィルターをシンチレーションカウンター内で測定した([H]−プロトコール)。
【0152】
(バージョンBにより)得られた結果のいくつかを、表(I)に示す。
表(I)
【0153】
【表9】

【0154】
B)インビボ
機械的異痛症発症におけるカプサイシンに対する効果
このモデルはvon−Freyフィラメントを使用し、神経因性疼痛、異痛症等の効果又は症状を試験するモデルである。
モデルの関心:
・カプサイシン1μgの実験動物に対する注射は、急性疼痛を生じ、次に痛覚過敏/異痛症を生じる。
【0155】
・カプサイシン誘導による急性疼痛及び痛覚過敏に関与する機構は、比較的良く知られている(各々、主に末梢侵害受容器の活性化、及び脊髄ニューロンの感作)。
【0156】
Freyフィラメントを使用した全試験に関する試験プロトコール:順化後、マウスを最初、試験化合物(又は対照においては溶媒)により処置した。次に、それらの足内へ1μgのカプサイシン(1%DMSO)を注射し、影響下の足に疼痛を発症させる。次に、影響下の足を機械的刺激で処理し、足が引っ込められる前の潜伏時間を測定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】


(I)
(式中、
nは、0、1、2又は3から選択され;
pは、0又は1から選択され;
点線・・・・・・は、二重結合又は単結合のいずれかであり;
pが1の場合、点線・・・・・・は、二重結合又は単結合のいずれかであり;
pが0の場合、点線・・・・・・は、単結合であり;
は、水素;少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリールから選択され;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;O−Rから選択され、ここでRは、H、又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基であり;
及びRは、互いに独立して、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−18−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリール;場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基;場合により少なくとも一置換されたシクロアルキル;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ヘテロ環基;又は場合により少なくとも一置換されたアルキル−シクロアルキルから選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基を形成する;)
の化合物であって、該化合物は、
場合により立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマーの一つの形態、ラセミ体、又は立体異性体、好ましくはエナンチオマー及び/若しくはジアステレオマーの少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又はその対応する塩、又はその対応する溶媒和物であってもよい、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、Rが、水素;少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され、特にRが、直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル;又は場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され、より好ましくはRが、CH又はフェニルから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物であって、Rが、H又はORから選択され、ここでRは、H、又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基であり;特にRが、H又はORから選択され、ここでRは、H又は直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル基であり、より好ましくは、Rが、H、OH又はOCHから選択され;最も好ましくは、Rが、Hから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物であって、Rが、H;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ヘテロ環基;又は場合により少なくとも一置換されたアルキル−シクロアルキルから選択されると共に;
が、H;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基から選択され;
又は
及びRが、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基を形成することを特徴とする化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物であって、nが、1又は2から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、一般式Ia
【化2】


Ia
(式中、
pは、0又は1から選択され;
nは、1又は2から選択され;
は、水素;少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリールから選択され;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基;又はORから選択され、ここでRは、H、又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基であり;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリール;場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基;場合により少なくとも一置換されたシクロアルキル;場合により少なくとも一置換されたアルキル−アリール;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ヘテロ環基;又は場合により少なくとも一置換されたアルキル−シクロアルキルから選択されると共に;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−脂肪族基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換されたヘテロ環基を形成する)
を有する化合物。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物であって、Rが、水素;少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−脂肪族基;場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;特にRは、直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル;又は場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;より好ましくはRが、CH又はフェニルから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の化合物であって、Rが、H;ORから選択され、ここでRは、H、又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基であり;特にRはH;OH、又は直鎖状若しくは分岐状のOC1−4−アルキル基から選択され;より好ましくは、RはH、OH又はOCHから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の化合物であって、Rが、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−アルキルから選択されると共に;
が、水素;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基から選択され;
又は
及びRが、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換された5又は6員の飽和ヘテロ環基を形成することを特徴とする化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物であって、一般式Ia
【化3】


Ia
(式中、
pは、1であり;
nは、1又は2であり;
は、直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル;又は場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;
は、H;OH、又は直鎖状若しくは分岐状のOC1−4−アルキル基から選択され;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−アルキルから選択されると共に;
は、水素;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に、場合により少なくとも一置換された5又は6員の飽和ヘテロ環基を形成する)
を有する化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物であって、一般式Ia
【化4】


Ia
(式中、
pは、1であり;
nは、1又は2であり;
は、直鎖状若しくは分岐状のC1−4−アルキル;又は場合により少なくとも一置換されたアリールから選択され;
は、H;OH、又は直鎖状若しくは分岐状のOC1−4−アルキル基から選択され;
は、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状又は分岐状のC1−6−アルキルから選択されると共に;
は、水素;又は場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基から選択され;
又は
及びRは、接続する窒素と共に
【化5】


から選択される、場合により少なくとも一置換された5又は6員の飽和ヘテロ環基を形成し:
ここでRは、水素;場合により少なくとも一置換された、直鎖状若しくは分岐状のC1−6−アルキル基;又は場合により少なくとも一置換されたアリール基から選択される)
を有する化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物であって、
・1−フェニル−4−(ピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
・1−フェニル−4−(4−フェニルピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−[2−(4−フェニル−ピペリジン−1−イル)−エチル]−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
・4−(モルホリン−4−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
・1−フェニル−4−(4−フェニルピペラジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−[2−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール
・1−フェニル−4−(ピロリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・N,N−ジメチル−1−(1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール−4−イル)メタンアミン;又は
・ジメチル−[2−(1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール−4−イル)−エチル]−アミン;
好ましくは
・1−フェニル−4−(ピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(4−フェニルピペリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−(モルホリン−4−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(4−フェニルピペラジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール;
・1−フェニル−4−(ピロリジン−1−イルメチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラノ[4,3−c]ピラゾール;又は
・N,N−ジメチル−1−(1−フェニル−1,4,6,7−テトラヒドロピラノ[4,3−c]ピラゾール−4−イル)メタンアミン;
から選択され、該化合物は、
場合により立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマーの一つの形態、ラセミ体、又は立体異性体、好ましくはエナンチオマー及び/若しくはジアステレオマーの少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又はその対応する塩、又はその対応する溶媒和物であってもよいことを特徴とする化合物。
【請求項13】
式Ib
【化6】


(式中、R、Rn及びpは、請求項1に定義した通りであり、Xは脱離基、好ましくはハロゲンである)の化合物の製造方法であって、
式III
【化7】


(式中、R、R及びpは、請求項1に定義した通りである)の化合物を、一般式IV
【化8】


(式中、nは請求項1に定義した通りであり、Xは脱離基、好ましくはハロゲン、より好ましくはBr又はClである;)の化合物と反応させて、
式Ibの化合物を形成する、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物の製造方法であって、式Ib
【化9】


(式中、R、Rn及びpは、請求項1に定義した通りであり、Xは脱離基、好ましくはハロゲンである)の化合物を、RNH(式中、R及びRは、請求項1に定義した通りである)と反応させる、方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に定義された化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは溶媒和物、及び薬学的に許容し得る担体、補助剤又は賦形剤を含有する薬学的組成物。
【請求項16】
薬剤の製造における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
シグマ受容体仲介による疾病又は状態の治療又は予防のための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
請求項17に記載の使用であって、疾病が、下痢、リポ蛋白疾患、メタボリック症候群、高いトリグリセリドレベルの治療、カイロミクロン血症、高リポ蛋白血症;高脂血症、特に混合型高脂血症;高コレステロール血症、異常βリポ蛋白血症、孤発性及び家族性疾患(遺伝性高トリグリセリド血症)の両方を含む高トリグリセリド血症、偏頭痛、肥満、関節炎、高血圧症、不整脈、潰瘍、学習、記憶及び注意欠陥、認知疾患、神経変性疾患、脱髄性疾患、コカイン、アンフェタミン、エタノール及びニコチンを含む薬物及び化学物質に対する嗜癖、遅発性ジスキネジア、虚血性卒中、てんかん、卒中、鬱病、ストレス、精神病状態、統合失調症;炎症、自己免疫疾病又は癌である使用。
【請求項19】
請求項17に記載の使用であって、疾病が、疼痛、特に神経因性疼痛、炎症性疼痛又は他の疼痛状態、異痛症及び/又は痛覚過敏、特に機械的異痛症である使用。
【請求項20】
抗不安薬又は免疫抑制薬としての、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−523728(P2010−523728A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503402(P2010−503402)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003042
【国際公開番号】WO2008/125348
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(504379198)ラボラトリオス・デル・デエレ・エステベ・エセ・ア (19)
【Fターム(参考)】