説明

フィルムの裏側に設けられる深い谷部を有するマルチ仕上げ成型品

自動車内装の一部分にはボタンやレンズなどが設けられており、これらは自動車内装の保護カバーに組み込まれている。ボタンやレンズなどを自動車内装の保護カバーに組み込むことにより、所望の機能を行うために一般的に必要な追加の部品を取り除くことができる。追加部品を取り除くことによってコストが低下し、組立に必要な工程の数が減る。また、追加部品を取り除くことによって保護カバーに形成される開口の数が減り、追加部品に関連した構成要素の破損や製造時の不具合の生じる可能性が低くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2007年1月5日出願の米国仮出願番号第60/883,701に基づいて優先権を主張するものであり、この出願を参照することにより本明細書に完全に援用する。
【0002】
本発明は一般にフィルム(薄膜)とフィルムの裏側に設けられるよう成形されたプラスチック基板に関する。プラスチック基板には、ランプ電源、Homelink(登録商標)及び他の電気的機能など、自動車の内装(インテリア)に種々の機能のスイッチを作動させるのに使用可能なボタン、レンズ、ベゼルなどの種々の特徴をフィルムに組み込むことができるリリーフエリアが設けられている。
【背景技術】
【0003】
オーバーヘッドコンソールを含む自動車の内装は概して多様な保護カバーを含む。一般に、これらの保護カバーは自動車のユーザに可視である露出表面の一部又は全部を構成する。このため、保護カバーは自動車の内装に存在する埃やくずの影響を受けやすい。
【0004】
一般に、これらの保護カバーには開口が形成されており、1つ以上のボタン、レンズなどが開口に嵌められて開口を通過するように延び、ユーザが利用できるようになっている。このボタンを使用してスイッチを作動させることができる。このボタンは、スタンピングや射出成形を含む多様な製造プロセスによって形成することができる。ボタン、レンズなどのために用いられる開口により、自動車内装の保護カバーの下や、保護カバーとボタン、レンズなどとの間に埃やくずが集まる場合がある。また、保護カバーとは別体のボタン、レンズなどを組み込むことにより、既存の設計は組立に多数の部品や工程を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常保護カバーに形成されている開口を制限したり除去したりすることによって埃やくずを自動車内装(品)(インテリア)の外側表面に保持することができ、埃やくずはより簡単に掃除され、及び/又は取り除かれる。また、自動車内装の部品の数とこれらの部品の組立に必要な工程を減らすことにより、自動車内装、従って車両全体の製造コストを削減することができる。更に、部品の数を減らすことにより、追加部品に関連した構成要素の破損や製造時の不具合の生じる可能性を低くすることができる。また、このことによって自動車内装の機能性を向上させ、カスタマイズ可能な特徴を改良することができる。
【0006】
自動車内装の部品の数とこれらの部品の組立に必要な工程は、自動車内装の保護カバーの機能領域として設けられるレンズ、ベゼル(表縁)及びボタンなどの特徴を自動車内装に設けることによって減らすことができる。部品と部品の組立に必要な工程をこのように減らすことで、自動車内装の資本や関連コスト、そして組立に関わるコストが低減される。また、レンズ、ベゼル及びボタンなどの機能的特徴を自動車内装の保護カバーの部分として提供することにより、保護カバーに必要な開口の数を減らすこともできる。このように保護カバーの開口の数を減らすことによって自動車内装の密閉性がより優れたものになり、掃除がより簡単になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は保護外層を含む自動車内装(品)(インテリア)又は自動車内装(品)の一部に関する。保護外層はフィルム層を含み、プラスチック基板がフィルム層の裏側に設けられている。フィルム層は少なくとも1つの機能領域を含む。ある実施形態では、プラスチック基板の開口は各機能領域とほぼ位置合わせされている。
【0008】
機能領域とは、あるデザイン及び/又は保護外層の機能的な外観特徴(アスペクト)を構成し(frames)、取り囲み又は覆うフィルム層の下にある機械的制御デバイス、電気的制御デバイスあるいは他のタイプの制御デバイスとの相互作用あるいはこのデバイスを用いた操作を可能にし、及び/又は保護外層を介して光などを透過させるフィルム層の領域である。例えば、機能領域は、フィルム層の裏側に位置し、プラスチック基板の開口及びフィルム層の機能領域とほぼ位置合わせされた押しボタンスイッチのプランジャとの相互作用を可能にする。同様に、機能領域は、フィルム層の裏側に位置し、プラスチック基板の開口及び機能領域とほぼ位置合わせされたコンデンサスイッチとの相互作用を可能にすることができる。機能領域は、保護カバーの特徴を取り囲み、これを構成するか又は覆うベゼル又はレンズであってもよく、例えばトグルスイッチ又は他のスイッチ、天井灯、マップライト、読書灯又は他の室内灯などが可能である。
【0009】
機能領域はフィルム層の一部であり、フィルム層の製造時にフィルム層に形成されるか又はフィルム層に設けられることを理解されたい。いくつかの実施形態では、追加の部品や材料をフィルム層のモールド(金型)に挿入して機能領域を作ることができる。しかし、フィルム層が成形された後、機能領域の製造に必要な追加の部品や材料はいずれもフィルム層の一部となる。
【0010】
更に、本発明は保護外層を含む自動車内装又は自動車内装の一部に関する。保護外層は、裏側にプラスチック基板が成形されたフィルム層を含む。フィルム層は、少なくとも第1のベゼルか又はベゼルの外観を呈するフィルムの領域を含む。
【0011】
更に、本発明は保護外層を含む自動車内装又は自動車内装の一部に関する。保護外層は、裏側にプラスチック基板が成形されたフィルム層を含む。フィルム層は、少なくとも第1のレンズか又はレンズの外観を呈するフィルムの領域を含む。
【0012】
本発明による構造及び方法の種々の例示的な実施形態のこれらの特徴及び利点ならびに他の特徴及び利点は、本発明による種々のデバイス、構造及び/又は方法の種々の例示的な実施形態に関する下記の詳細な説明に記されているか、又はこの説明から明らかである。
【0013】
下記の図面を参照しながら、本発明による構造及び方法の種々の例示的な実施形態を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による例示的なフィルム層の一実施形態を含むオーバーヘッドコンソールアセンブリの図である。
【図2】本発明による例示的なフィルム層の一部分の断面図である。
【図3】例示的なフィルム設計の一部分の平面図である。
【図4】本発明による例示的なフィルム層の一部分の断面図である。
【図5】本発明による例示的なフィルム層の一部分の平面図である。
【図6】本発明による第2の例示的なフィルム層の一部分の断面図である。
【図7】本発明による第3及び第4の例示的なフィルム層の一部分の断面図を含む。
【図8】本発明による例示的なフィルム層の一部分の斜視図である。
【図9】本発明による例示的なフィルム層の一部分の断面図である。
【図10】従来のオーバーヘッドコンソールの分解図である。
【図11】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的なオーバーヘッドコンソールの分解図である。
【図12】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的なオーバーヘッドコンソールの分解図である。
【図13】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的なオーバーヘッドコンソールの分解図である。
【図14】第2の従来のオーバーヘッドコンソールの分解図である。
【図15】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的なオーバーヘッドコンソールアセンブリの斜視図を含む。
【図16】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的なオーバーヘッドコンソールアセンブリの斜視図を含む。
【図17】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的な照明アセンブリの分解図である。
【図18】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的な照明アセンブリの斜視図である。
【図19】本発明による例示的なフィルム層を含むルーフアセンブリの例示的な部分の斜視図である。
【図20】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的なオーバーヘッドコンソールアセンブリと、本発明による種々の例示的なフィルム層に関連して用いることのできる種々の例示的なグラフィックスの斜視図である。
【図21】本発明による例示的なフィルム層を含む例示的なコンソールアセンブリと、本発明による種々の例示的なフィルム層に関連して用いることのできる種々の例示的なグラフィックスの一部分の図を含む。
【図22】種々の例示的なグラフィックスと、本発明による例示的なフィルム層を含む例示的なオーバーヘッドコンソールの例示的なグラフィックレイアウトの表現を含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面は必ずしも原寸に比例していないことを理解されたい。場合によっては、本発明の理解に必要ではない詳細や、他の詳細の理解を困難にする詳細を省略した。もちろん、本発明は、本明細書に示す特定の実施形態に必ずしも限定されるわけではないことを理解されたい。
【0016】
図1は、オーバーヘッドコンソールアセンブリに用いることのできるオーバーヘッドコンソールカバー100の1つの例示的な実施形態を示している。図1に示すように、オーバーヘッドコンソールカバー100はフィルム110を含む。図2に示すように、フィルム110は支持基板150を覆うように設けられている。図1及び図2に示す例示的な実施形態では、フィルム110は機能領域120の少なくとも1つの例示的な実施形態を含む。図1に示すように、機能領域120としては1つのボタン、ボタン領域あるいはボタン形状(profile)、又は一連のボタン、ボタン領域あるいはボタン形状を用いることができる。機能領域120によって実施されるボタン、ボタン領域又はボタン形状を使用して、ランプ電源、Homelink(登録商標)のような車両の所望の機能、ならびに/又は他の機械的機能及び/あるいは電気的機能を作動させることができる。フィルム110は、剛性、成形性及び/又は柔軟性など所望の特性を有し、所望の機能の実行又は作動を可能にする任意の材料で構成することができる。
【0017】
図2は、フィルム110と機能領域120の1つの例示的な実施形態とを含むオーバーヘッドコンソールカバー100の一部分の断面図を示している。図2に示すように、種々の例示的な実施形態では、機能領域120は、フィルム110のボタン領域122と、トレーサ160のリブ即ち延長部162とを含む。種々の例示的な実施形態では、トレーサ160をフィルム110と一体化したり、フィルム110に組み込んだり、フィルム110に挿入したり、フィルム110を通過させてもよい。種々の例示的な実施形態では、トレーサ160を、ゴム、シリコーン、他の合成及び/又はゴム状の材料などから形成することができる。例えば、トレーサ160をサントプレン(Santoprene)(登録商標)で形成することができる。種々の例示的な実施形態では、支持基板150を形成するプラスチック又は成形物には1つ以上の開口又は凹部など152が設けられている。種々の例示的な実施形態では、各機能領域120及びこれに対応するいずれのトレーサ160も開口又は凹部など152とほぼ位置合わせされている。
【0018】
更に図2に示すように、1つ以上のスイッチ又はラッチなど130が支持基板150の裏側又は支持基板150内に設けられ、開口又は凹部など152及びトレーサ160と位置合わせされている。種々の例示的な実施形態では、トレーサ160をフィルムダイのモールド(金型)に組み込んだり挿入したりすることができる。種々の例示的な実施形態では、少なくとも1つのトレーサ160がフィルム110に可撓的に結合されている。ボタン領域122は、スイッチ130のプランジャ132を押し下げるように使用可能なものとして図2に示されているが、スイッチ130をコンデンサスイッチや近接スイッチなどの好適な電気制御装置に取り替えられることを理解されたい。
【0019】
図2から図5に示すように、種々の例示的な実施形態では、フィルム110は少なくとも1つの機能領域120を含み、これは少なくとも1つのスロット(溝・間隙)124によって他の機能領域120及び/又はフィルム110の他の領域から隔てられているため、柔軟性などの機能特性又は形状の追加が可能になる。例えば、図3に示すように、機能領域120はボタン領域122を有し、このボタン領域122はヒンジ線170に沿って又はヒンジ線170の周りでフィルム110の残りの部分に結合されており、他の辺は全てスロット124によってフィルム110から分離されている。ヒンジ線170付近の支持基板150の少なくとも一部分、ボタン領域122の一部分及び/又はフィルム110の厚さを薄くすることにより、機能領域120のボタン領域122のヒンジ線170に沿った又はヒンジ線170の周りの柔軟性(可撓性)を向上できることを理解されたい。図3に示すように、種々の例示的な実施形態では、スロット124の第1及び第2の端部は回転軸即ちヒンジ線170を形成する助けとなり、これにより、隆起した端部即ち固定端がフィルム110のヒンジ線170上で又はこの周りで固定された状態で機能領域120の表面が片持ち梁のように機能する。
【0020】
スタンピング、エッチング、切削、成形又はキャスティングを含むいずれの材料除去工程又は製造工程でもスロット124を形成することができる。スロット124はいずれの好適なサイズ及び構成からなっていてもよい。1つの実施形態では、スロット124の幅をほぼ3mmにすることができる。機能領域120のボタン領域122も、いずれの好適なサイズ及び構成からなっていてもよい。1つの実施形態では、ボタン領域122の幅を約25mmにすることができる。
【0021】
リブ162がスロット124を通過して延びるようにトレーサ160をスロット124に挿入することができる。本発明の種々の例示的な実施形態では、トレーサ160はフィルム110のモールドキャビティに挿入される。図4に示すように、1つの実施形態では、機能領域120のボタン領域122の縁の一部分の輪郭を示すトレーサ160はフィルム110のモールドキャビティに挿入され、リブ即ち突起162はある角度で形成されて隆起する。
【0022】
特に、触覚表面をもたらすようにトレーサ160を利用することができる。図4に示すように、トレーサ160をフィルム110の表面から隆起させることができる。例えば、トレーサ160をフィルム110の表面よりもほぼ0.8mm高くすることができる。フィルム110の表面に関するトレーサ160のリブ162の隆起した性質は、ユーザへの触覚フィードバックを可能にし、機能領域120のボタン領域122のエッジを定めるのに役立つ。しかし、他の実施形態では、トレーサ160の少なくとも一部分をフィルム110の表面よりも低く設定して凹部にすることができる。この場合も先と同様に、トレーサ160とフィルム110の表面との間の高さの変化は触覚フィードバックをユーザにもたらし、機能領域120のボタン領域122のエッジを定める助けとなる。
【0023】
機能領域120のボタン領域122のエッジを定めるように触覚フィードバックをもたらすことで、トレーサ160は機能領域120の有用性を高め、トレーサ160によってユーザは、光がわずかであるか又は全くない状態において、またユーザが機能領域120を直接見ていない場合でも機能領域120を操作できることを理解されたい。トレーサ160は、好適な材料を用いて形成が可能である。種々の例示的な実施形態では、トレーサ160はゴム又はゴムタイプの材料を用いて形成される。種々の例示的な実施形態では、トレーサ160は手触りの柔らかい材料を用いて形成される。図5に示すように、単一のスロット124、及び/又はスロット124を通過して延びる単一のトレーサ160を用いて単一の機能領域120又は複数の機能領域120を定めることができる。
【0024】
機能領域120の触覚フィードバック及びエッジ画定を改善する別の構造を図6から図9に示す。図6から図9に示すように、フィルム110及び少なくとも1つの機能領域120はほぼ平面である必要はない。図6に示すように、種々の例示的な実施形態では、少なくとも1つの機能領域120を定める助けとなるように少なくとも1つの谷部、即ち深い凹部140をフィルム110に設けることができる。種々の例示的な実施形態では、機能領域120の形状の画定に少なくともある程度は役立つように、複数の機能領域120を多数の谷部即ち深い凹部140によって隔てることができる。トレーサ160やプラスチックキャップなどを機能領域120とスイッチ130との間に設けてもよいことを理解されたい。図6に示す例示的な実施形態では、トレーサ160やプラスチックキャップなどは省略されている。
【0025】
図7に示すように、種々の例示的な実施形態では、機能領域120はフィルム110に形成された波部(popple)126を含むことができる。波部126はいずれの好適なサイズ及び形状からなっていてもよい。図8に示すように、1つの実施形態では、波部126は一辺が20乃至25mmの矩形サイズの正方形又は長方形であり、他の部分では平面であるフィルム110の表面から0.25乃至0.5mm高くすることができる。図9に示すように、本発明の1つの実施形態では、フィルム110は複数の波部126を含むことができる。波部126同士の間隔を比較的狭くすることができる。例えば、本発明の1つの実施形態では、波部126同士を1mm以下の間隔であけることができる。
【0026】
図7に戻ると、波部126の使用は、高さを変えてボタン領域122を定めることに限定されない。よって、フィルム110は図7から図9に示す隆起した波部126を含む必要はない。むしろ、フィルム110は、休止状態にあるとき、即ちユーザによって押し下げられていないときにほぼ平坦で、滑らかで、及び/又はフィルム110の表面と面一の1つ以上の波部128を含むことができる。このような例示的な実施形態では、機能領域120のエッジを定め、及び/又は触覚フィードバックをもたらすのに使用可能な他の構造を用いることができる。
【0027】
本明細書中に概説した本発明の種々の例示的な実施形態の他の変形物を用いてもよい。例えば、フィルム110はコンデンサスイッチ又は近接センサなどを用いることができる。
【0028】
図1から図9を参照すると、種々の例示的な実施形態では、少なくとも1つの機能領域120を含むフィルム110は単一シート状の材料からなる。材料としては、好適な剛性及び柔軟性の特性を有するいずれの材料を用いてもよい。種々の例示的な実施形態では、フィルム110はシリコーンのような弾力材である。また、他のエラストマー材料を用いてフィルム110を形成することもできる。種々の例示的な実施形態では、フィルム110を形成する材料の少なくとも一部分は、放射又はバックライティングを可能にするように透明又は半透明である(透光性を有する)。このような例示的な実施形態では、透明又は半透明なフィルム110の部分は、フィルム110の残りの部分を形成する同一の材料を薄くした部分としてもよい。種々の例示的な実施形態では、フィルム110を形成する材料はほぼ不透明であってもよい。また、少なくとも1つの機能領域120を含むフィルム110はいずれの好適な厚さでもよい。例えば、フィルム110の厚さは0.005乃至0.030インチの範囲にわたることができる。種々の例示的な実施形態では、フィルム110の厚さはほぼ0.010インチである。
【0029】
また、支持基板150の形成に用いられるプラスチック又は成形材も、いずれの好適な材料からなることが可能である。種々の例示的な実施形態では、プラスチック又は成形材はポリカーボネート材を含むことができる。支持基板150もいずれの好適なサイズ、形状又は構成からなることが可能である。
【0030】
図10から図18に示すように、ボタン領域、レンズ及び/又はベゼルなど1つ以上の機能領域をフィルムに形成するか又は設けることにより、コスト及び組立の複雑さが低減される。例えば、図10から図14に示すように、本発明の種々の実施形態は、工具細工(tooling)の減少、資本(資源)の減少及び部品数の減少などを含む多数の利点を提供する。例えば、図10は従来のオーバーヘッドコンソールユニットの分解図を示している。オーバーヘッドコンソールを含む自動車コンソールは一般に開口を有する保護カバー200を含み、これらの開口を通って又は開口の中に少なくとも1つのボタン、ベゼル及び/又はレンズ202が嵌まり、ユーザが利用できるようになる。ボタンは、スタンピング及び/又は射出成形を含む多様な製造工程によって形成されることが可能である。保護カバー200とは別個の独立したボタン、レンズ及び/又はベゼル212を組み込むことにより、従来技術の設計は、ボタン、レンズ及び/又はベゼル202を保護カバー200と組み合わせるために多数の部品及び多数の組立工程を必要とする。
【0031】
ここで図11から図13を参照すると、第1の例示的なフィルム210により、レンズ、ベゼル及びボタンなど種々の機能領域即ち特徴220をフィルム210の部分として提供することができる。具体的に、図11は少なくとも1つの機能領域220を有する例示的なフィルム210を示しており、この機能領域は少なくとも1つのベゼル又はベゼルの外観221をフィルム210の一部として含む。
【0032】
図12を参照すると、第2の例示的なフィルム210も少なくとも1つの機能領域220を有し、この機能領域220は少なくとも1つのレンズ又はレンズの外観222をフィルム210の一部として含む。図13を参照すると、第3の例示的なフィルム210は少なくとも1つの機能領域220を有し、この機能領域220は少なくとも1つのベゼル又はベゼルの外観221、少なくとも1つのレンズ又はレンズの外観222及び少なくとも1つのボタン224をフィルム210の一部として含む。これに対し、図10及び図14に示す従来のオーバーヘッドコンソールユニットはより多くの部品を必要とし、追加の部品を製造し組み立てるための関連コストが生じる。
【0033】
また、ボタン及び/あるいはボタン領域224、ベゼル及び/あるいはベゼル外観221、ならびに/又はレンズ及び/あるいはレンズ外観222をフィルム210とは別個の要素としてではなくフィルム210の一部として設けることで、液体、くず及び他の望まれない物質がスイッチ間のスペースから入ってしまうことを防ぐことができないときでも一般にこれを低減し、コンソール及びこのようなスイッチを組み込んだ他のアセンブリの掃除が簡単になる。
【0034】
また、図15及び図16に示すように、フィルム110及び/又は210の使用によって多数の仕上げ及びグラフィックスを種々のコンソール及び自動車の構成要素に用いることができる。種々の例示的な実施形態では、ダイ(型)は、メタリック仕上げ、動物の皮革のしぼ仕上げ、及び他の好適な仕上げなど、所望の表面仕上げで予熱される。種々の例示的な実施形態では、フィルム110あるいは210の上、及び/又はフィルム110あるいは210の中に少なくとも1つの所望の表面仕上げをプリントすることができる。高光沢、低光沢、皮革、クロム、質感(textures)、パターン、ならびに他の仕上げ及びグラフィックスをいくつでも、本発明によるフィルム110又は210の種々の実施形態に関連付けて使用することができる。ある例示的な実施形態では、ボタン及び/あるいはボタン領域224、ベゼル及び/あるいはベゼル外観220、ならびに/又はレンズ及び/あるいはレンズ外観222などの機能領域120のうちのいくつか又は全ての上又は中に、特定の機能性を示すグラフィックス及び/又は機能領域120に関連する他の情報を提供するグラフィックスが形成されている。いくつかのこのような実施形態では、ボタン及び/あるいはボタン領域224、ベゼル及び/あるいはベゼル外観220、ならびに/又はレンズ及び/あるいはレンズ外観222のような機能領域120の上又は中に形成されたグラフィックスは背面から照らされる。
【0035】
図17から図22は、オーバーヘッド内部照明アセンブリ240及びルーフアセンブリ250又はルーフアセンブリ250の一部を含む多様な内部機能(特徴)及びコンソールに例示的なフィルム110を組み込むことのできる種々の方法を示している。図17に示すように、オーバーヘッド照明アセンブリ240は、オーバーヘッド照明アセンブリ240の照明機能の制御及び/又は作動に使用可能な多数の機能領域120を有するフィルム110を組み込むことができる。例えば、上記実施形態のいずれか、及び/又は個々の実施形態に従って設計された機能領域120をオーバーヘッド照明アセンブリ240の一部に組み込み、少なくとも1つのオーバーヘッドライトの制御及び/又は作動を行うことができる。図18に示すように、オーバーヘッド照明アセンブリ240はいずれの所望の形状をとることができ、一体成形品であることも含め、個々の部品又は層をいくつでも含むことができる。
【0036】
図19に示すように、多数の機能領域120を有するフィルム110の例示的な実施形態をルーフアセンブリ250又はルーフアセンブリ250の一部に組み込むことができる。前述の実施形態のいずれか、及び/又は個々の実施形態に従ってフィルム110及び機能領域120を設計することができる。例示的なフィルム110を用いることにより、バニティミラー、制御盤及び/又は表示画面260のような他の特徴のために更なるスペースをルーフアセンブリ250において利用することができる。図20に示すように、ルーフアセンブリ250は機能領域120を識別するバックライトデザイン及び/又はしるし(indicia)を有することができる。図21に示すように、機能領域120は表示画面260の外観(aspects)及び/又は表示画面260に表示される媒体を制御することができる。前述のように、照明制御、Homelink(登録商標)の制御、媒体制御、パワーウィンドウ制御、ならびに/又は自動車のあらゆる他の所望の電気的制御及び/あるいは機械的特徴などあらゆる所望のアスペクトを、機能領域120を用いて制御できることを理解されたい。図22に示すように、背面から照らされた及び/又はプリントされたグラフィックス又はしるし121によって機能領域120の画定及び/又は識別を行うことができる。
【0037】
本明細書及び図面に示される例示的な寸法は全て例示にすぎず、限定を意図するものではない。また、本発明を前述の例示的な実施形態に関連して説明したが、種々の代替物、変更物、変形物、改良物及び/又は実質的な同等物は、公知であろうと目下予測されていようと、又は目下予測される可能性があろうと、当該技術分野において少なくとも通常の技術を有する者には明らかになりうる。従って、上記のような本発明の例示的な実施形態は例示にすぎず、限定を意図するものではない。本発明の趣意又は範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができる。従って、本発明は、公知の又は先に開発された代替物、変更物、変形物、改良物及び/又は実質的な同等物を全て包含するよう意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車内装の一部分のための制御アセンブリであって、
少なくとも1つの機能領域を有するフィルム層と、
前記フィルム層の少なくとも一部分の裏側に設けられた基板と、
前記フィルム層の裏側に設けられ、前記フィルム層の前記少なくとも1つの機能的特徴領域のうち対応するものと相互作用することによって車両の乗員と係ることが可能な少なくとも1つの制御可能要素と、
を含む制御アセンブリ。
【請求項2】
前記基板に設けられ、前記フィルム層の前記少なくとも1つの機能領域のうち対応するものとほぼ位置合わせされた少なくとも1つの開口を更に含む、請求項1に記載の制御。
【請求項3】
前記自動車内装の一部分がオーバーヘッドコンソールである、請求項1に記載の制御。
【請求項4】
前記少なくとも1つの機能領域の少なくとも1つのエッジが前記フィルム層に設けられた溝によって定められる、請求項1に記載の制御。
【請求項5】
前記溝に設けられ、前記フィルム層の外側表面を越えて突出するリブを更に含む、請求項4に記載の制御。
【請求項6】
前記少なくとも1つの機能領域の前記少なくとも1つのエッジが前記フィルム層のくぼみによって定められる、請求項1に記載の制御。
【請求項7】
前記少なくとも1つの機能領域が前記フィルム層に設けられた波部を含む、請求項1に記載の制御。
【請求項8】
オーバーヘッドコンソールアセンブリの製造方法であって、
前記オーバーヘッドコンソールのフィルム層に少なくとも1つの機能領域を形成することと、
前記フィルム層の少なくとも一部分の裏側に支持基板を設けることと、
前記フィルム層の前記少なくとも1つの機能的特徴領域のうち対応するものと相互作用することによって車両の乗員と係ることが可能な少なくとも1つの制御可能要素を前記フィルム層の裏側に設けることと、
を含む前記方法。
【請求項9】
前記フィルム層の前記少なくとも1つの機能領域のうち対応するものとほぼ位置合わせされた少なくとも1つの開口を前記支持基板に設けることを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの機能領域を形成することが、前記少なくとも1つの機能領域の少なくとも1つの少なくとも第1のエッジに沿って前記フィルム層に溝を設けることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
溝が設けられた前記少なくとも1つの機能領域に対し、前記機能領域の少なくとも第2のエッジに沿ってヒンジ線を設けることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒンジ線を設けることが、前記ヒンジ線に対応する前記フィルム層及び前記支持基板のうちの少なくとも1つにおいて材料を薄くすることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの機能領域を形成することが、前記フィルム層の前記少なくとも1つの機能的特徴領域の少なくとも第1のエッジ上に少なくとも第1の谷部を設けることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの機能的特徴領域を形成することが、前記フィルム層に少なくとも1つの波部を設けることを含む、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−515613(P2010−515613A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544995(P2009−544995)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/050287
【国際公開番号】WO2008/086215
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(508205992)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (7)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【住所又は居所原語表記】912 East 32nd Street Holland, MI 49423 USA
【出願人】(509188768)
【Fターム(参考)】