フィルムコーティングされたおよび/または粒状化されたカルシウム含有化合物ならびに医薬組成物におけるそれらの使用
カルシウム含有化合物が、水溶性物質および水溶性ポリマー物質で少なくとも部分的にフィルムコーティングされおよび/または粒状化されており、医薬組成物におけるそのようなコーティングされた化合物の使用を有する。少なくとも部分的にフィルムコーティングされおよび/または粒状化されたカルシウム含有化合物は、カルシウム元素の非常に高い装填量および都合よく小さいサイズを有する錠剤の製造に適していることが判明した。十分な機械的性質と官能性を有する本発明の錠剤において、約96%以上の薬物の装填が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性物質およびポリマー物質で少なくとも部分的にフィルムコーティングされたおよび/または粒状化されたカルシウム含有化合物ならびに医薬組成物におけるそのようなコーティングされた化合物の使用に関する。少なくとも部分的にフィルムコーティングされたおよび/または粒状化されたカルシウム含有化合物は、元素カルシウムの非常に高い装填量および都合よく小さいサイズを有する錠剤の製造に適していることが判明した。
【背景技術】
【0002】
経口的に摂取される栄養補助剤または医薬特製品としてのカルシウムの現在の投与は、消費者による不評に加えて、多くの不都合または劣った技術的性質でしばしば特徴付けられる。
【0003】
カルシウムは、その塩が高いカルシウム装填を含むので、炭酸カルシウムとして非常にしばしば投与される。通常、炭酸カルシウムの1250 mgに相当するCa2+ 500 mgが1回投与量で投与される。飲み込まれる錠剤中へ炭酸カルシウム1250 mgを組み込むことは、錠剤が嵩高く、容易に飲み込めないので、良好な投与形態を示さない。
【0004】
その剤形が患者により口当たりのよい選択を提供するので、ますます用いられる炭酸カルシウムを含む剤形は、「チュアブル錠製剤」である。さらなる改良は、タブレット溶融(melt)製剤であり、それは咀嚼の助けなしに口の中ですばやく分散する。
【0005】
しかしながら、チュアブル錠およびタブレット溶融製剤は、多くの理由ために、劣った技術的性質および消費者による不評に関する問題を得ている。
【0006】
炭酸カルシウムの望まれる高い含量のために、粒状物を生じるための満足のいく凝集および続く錠剤を形成するための満足のいく圧縮を達成するために、かなりの量の賦形剤を組み込むことがしばしば必要である。可溶性の充填物質のような賦形剤のかなり高い割合を組み込むもう1つの理由は、口の中ですばやく分散し、かつ歯にくっ付かない口当たりのよい剤形を達成するためにも行なわれる。このことがかなり大きな錠剤を生じ、患者または需要者がそれを摂取することに困難を感じるであろう。
【0007】
現在のチュアブル錠が有するもう1つの欠点は、それらがかなり吸湿性である可溶性の充填物質を非常にしばしば含むことである。したがって、この錠剤は、湿度の高い状態で保管されるとき、安定性の問題を示す。この問題は、湿気から錠剤を保護するために無用な包装の必要性を要求し、それが製品のコストに拍車をかける。
【0008】
さらに、患者に錠剤の投与に関する選択肢を与える、剤形を製造するための必要性がある。
年配および若い人々は、水に容易に分散し、それゆえ、飲用可能になる剤形をしばしば好む。したがって、咀嚼され得るか、水に分散され得るか、または口の中で直ぐに溶ける、「多機能」剤形の必要性ある。
【0009】
費用のかかる賦形剤の使用または費用のかかる包装材料の使用を要求しない、多機能性を有する小さくて小型の剤形を製造するための、合理的でかつ工業的な製造方法の必要性もある。
【0010】
粒状物または顆粒状物質は、高速混合、乾燥造粒または圧縮(compaction)、押出成形、噴霧乾燥および流動床法を含む、医薬の製造における種々の製造方法で製造され得る。医薬の製造における最も一般的な造粒化の方法は、高速混合または高剪断混合および続く流動床で湿った粒状物の乾燥による方法である。この方法は、高密度を有する小さな錠剤を作るのに適する濃密度の粒状物を生じる。流動床造粒は、投資、方法の妥当性(process validation)および運転費に関して、より複雑な方法であり、より費用がかかるので、用いられることがずっと少ない。流動床造粒法は、飲み込まれる通常の錠剤が製造されるときに望ましくない、より濃密さの小さい粒状物を生じる。
【0011】
カルシウムチュアブル製品の成功した製剤は、非常に特殊な原材料および最も重要な、非常に繊細な製造法を要求する。カルシウムチュアブル錠に対して、原材料の重要な特性を注意深く選択された製造法と共に組み合わせることの重要性が、番号1128815で公開されたNycomed Pharma ASの欧州特許出願に示されている。
【0012】
この文献は、炭酸カルシウムを含むチュアブル錠の望ましくない大きな塊を減少させる方法を記載している。減少した錠剤のサイズは、炭酸カルシウム源の物理的性質ならびに流動床造粒および乾燥法の注意深い選択により成し遂げられている。平均粒子径および比表面積に対する最適なウインドー(window)は、好ましい炭酸カルシウム品質に対して、それぞれ、3〜40 μmおよび0.1〜1.2 m2/gであることが見出された。粒子径の範囲の選択が、口の中で満足のいく咀嚼性と分散性を達成するために特に重要であったのに対して、比表面積は、流動床での造粒および乾燥相の間に効果的または短い工程時間を成し遂げるために重要であった。流動床造粒工程は、結合剤の非常に均一な分布をもたらしており、それは言い換えると、咀嚼されるときに錠剤の迅速な分散をもたらすが、錠剤化工程の間での非常に良好な連結性ももたらす。この最後の性質は、高速タブレット成形機が、最大の生産高と錠剤設備の清掃および維持のための最小の要求を保証するために非常に重要である。
【0013】
しかしながら、流動床造粒および乾燥の使用は、未解決のいくつかの問題を引き起こす。これらの問題は、流動床粒状物の組成の自由度およびバッチ製法遂行の間の加工問題の両方に関する。
【0014】
配合および加工の問題は、次の項に示される:
・賦形剤の量を減少してより小型のカルシウムチュアブル製剤を作ろうとすることは、余りにも微細過ぎる物質を含んだ粒状物をもたらす不満足な凝集のために困難であることが判った。同様に、続く打錠成型は、破砕性に対する不満足な高いパーセントを有する、非粘着性の錠剤をもたらす不十分な錠剤化の性質のために困難であることが判った。
【0015】
・賦形剤のレベルを減少することは、需要者または患者承認の減少をもたらす、チュアブル錠製剤の官能的な特性も減少した。
【0016】
・定期的な加工での問題は、流動床装置の内部、噴霧ノズルおよびエアフィルタへの粉末または粒状物の付着である。もう1つの問題は、吸気が流動床に入るより低いプレナム(lower plenum)中の生成物スクリーンの下に微細粉末粒子が留まることである。膨張室中の粉末層の段階的沈積に加えて、このことは定期的な清掃の必要性を引き起こす。
【0017】
・カルシウム粒状物のバッチ製法の過程の間に、造粒工程の最後と乾燥工程の始めの間に、満足な流動化を保証することに問題があった。特に、脱湿能力がその限界にある夏季の間、生成物容器(product container)中の不十分な乾燥および塊の形成についての問題があった。このことは、高過ぎる湿度に関して仕様に従わない、粒状物バッチの重要な問題を引き起こす。
【0018】
Warner Lambert CompanyによるUS特許5,939,091:「速く溶ける錠剤を作るための方法」は、炭酸カルシウムを含む、速く崩壊しかつ速く溶ける錠剤を製造するための組成物および方法を開示している。
【0019】
該特許は、噴霧乾燥または圧縮後の品質として、0.3 g/ml〜約0.55 g/mlの範囲の密度を有する低密度のアルカリ金属の使用は、低密度を有し、かつ口腔内での素早い崩壊および滑らかな口当たりを示す錠剤に圧縮することができることを明記している。より濃密な品質の0.85 g/mlに基づく炭酸カルシウムを用いて製造された錠剤は、許容される口当たりをもたらさないことが記載されている。
【0020】
しかしながら、US 5,939,091は、炭酸カルシウムの高い装填で速い崩壊を与える組成物を記載していなし、したがって、素早い崩壊と良好な官能性を有する、小さくかつ濃密な錠剤を製造することに関しての解決を生じない。
【0021】
Purdue Research Foundationによる、WO 2004/047810 A1:「マンノースベースの速く溶解する錠剤」は、速い溶解、速い崩壊または速く溶ける錠剤を作るための本技術および特許に概説を与える。速く溶解する錠剤の製造に用いられる技術に対するそれを次の表に示す。
【0022】
利点 不利点
1. 凍結乾燥 数秒以内に溶解 高脆性、高価
2. 鋳型法 錠剤製造のために低圧力 乏しい機械的強度
3. 昇華 錠剤製造のために無圧力 揮発性物質の使用
4. 直接圧縮 高い機械的強度、低費用 遅い崩壊
【0023】
WO 2004/047810 A1は、非常に低い機械的強度を有する錠剤を生じるためにマンノースと薬物との粉末混合物を最初に圧縮し、次にこの脆い錠剤を、液体架橋(liquid bridges)を確立するために水蒸気または高湿度に曝し、そこで、続いて錠剤は乾燥され、増加した機械的強度の40ニュートンを有する錠剤を生じることを含む、マンノースを有する速く崩壊する錠剤を製造するための骨の折れる方法を開示している。
【0024】
Merck Patent Gesellschaftによる、US 6,149,941:「活性な医薬成分の味」は、1以上の活性な成分を含む固形製剤の味を改善するための方法を開示している。その方法は、活性物を少なくとも1つのポリオールと一緒に共噴霧乾燥することを含み、ここで、噴霧乾燥装置または流動床装置のいずれかで噴霧乾燥を始める前に、活性物とポリオールは、水相に溶解または分散される。
【0025】
該特許は、更に、マンニトール、ラクチトール、イソマルトールおよびキシリトールのようなポリオールの錠剤化挙動は、低い錠剤硬度、錠剤の度合を外れた(scale-off)かつひどい破砕性をもたらすことを開示している。一方、ソルビトールは、非常に良好な錠剤硬度および格別になめらかな表面を有する錠剤を与えることが見出された。特許の実施例から、味および咀嚼性に関する改善された官能性を有する錠剤を与える、組成物中のソルビトールの使用は、10〜33%の範囲であった。
【0026】
したがって、先行技術は、炭酸カルシウムを含む濃密な錠剤は、口腔内での素早い崩壊および許容される口当たりを有する錠剤を生じないことを提案している。先行技術は、チュアブル錠に製剤化するとき、良好な成形性を有するソルビトールのようなポリオールを選択することが重要であることも示している。
【0027】
さらに、通常の医薬加工装置を用いることができない、速く崩壊するまたは速く溶ける性質を有する錠剤を製造する技術および方法は、非常にしばしば骨がおれかつ費用がかかることが述べられ得る。速く溶ける製剤は、吸湿性であり、非常に砕けやすくかつ湿気に不安定である、賦形剤の高い割合を用いなければならないような好ましくない特性も非常にしばしば示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
したがって、次の性質を有するカルシウム化合物を含む、改善された固形でかつ経口の剤形を製造する必要がある:
・小さくかつ濃密な錠剤を製造するためにカルシウムの高装填
・速く崩壊するかまたは速く溶ける性質
・良好な官能性
・錠剤を口の中で咀嚼できるか、溶かすことができるか、または液体の投与形態として摂取するためにグラス1杯の水に溶解することができる、多機能性
・高度な機械的強度を有する錠剤を生じるための良好な錠剤圧縮特性
・環境からの通常の水分の攻撃に耐えることができる強固な錠剤製剤
・標準的な医薬装置および短い加工時間の使用。
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の概要
本発明は、そのような改善された組成物を提供する。本発明は、水溶性物質およびポリマー物質を含む水溶性フィルムが、カルシウム含有化合物に少なくとも部分的に適用されるとき、前記のような好適な性質を有する、例えば錠剤を製造するために、ごく少量の賦形剤を必要とすることの発見に基づく。さらに、比較的小さいサイズでかつ96重量%以上のカルシウム含有化合物を含む錠剤を得ることができる;特に、カルシウム含有化合物の含量約97重量%を作ることができる。
【0030】
このようにして、優れた官能性を有するカルシウムチュアブル錠製剤が、錠剤重量の凡そ2〜16.6%のレベルまで減少した賦形剤の量で製造された。1250 mgの炭酸カルシウムに相当する500 mg Ca2+を含む咀嚼可能でかつ溶ける製剤は、1290〜1500 mgの錠剤重量および 13〜15 mmの錠剤直径を有する。
【0031】
このことは、微細な物質の減じられた量での速い凝集に導くこと、および続く錠剤化工程において、低い錠剤化圧力(tabletting pressure)で製造される非常に良好な粘着性を有する錠剤をもたらすことを起こす、驚くべき相乗効果により達成された。相乗効果は、カルシウム含有化合物上に少なくとも部分的に水溶性フィルムを得るために、水溶性物質とポリマー物質とを含む組成物をカルシウム含有化合物に適用することにより達成される。理論にとらわれず、良好な粘着性を保証するために、続く錠剤化工程で可塑性も重要となり得る。さらに、組成物中に含まれる固体成分は、水溶性でなければならない、すなわち、ポリマー物質も水溶性でなければならない。
【0032】
したがって、別個の観点において、本発明は、カルシウム含有化合物が、少なくとも部分的に結合性を有する可溶性のフィルムコーティングで提供される粒子および/または結晶の形態にある、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物に関する。
【0033】
本発明は、1以上の水溶性物質と1以上のポリマー物質とを含むコーティング組成物をカルシウム含有化合物に適用することを含む、少なくとも一部がフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の製造方法にも関する。
【0034】
さらに、本発明は、多くの組成物、とりわけ、1以上、好ましくは前記で挙げた性質全てを有する錠剤組成物に関する。
【0035】
したがって、さらなる観点において、本発明は、本明細書に記載される少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と1以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む組成物に関する。さらに、本発明は、1以上の医薬的に許容される賦形剤と少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物とを含む、そのような組成物の製造方法に関する。
【0036】
なお、さらなる観点において、本発明は、本明細書で定義される少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物を得るために、1以上の水溶性物質とポリマー物質とを含むフィルムコーティングを、粒子および/または結晶の形態のカルシウム含有化合物に適用することを含む、カルシウム含有化合物の味を改善するための方法に関する。
【0037】
製造方法に依存して、いくつかの場合、カルシウム含有化合物上のコーティングの程度を判断することは困難であり得る。しかしながら、コーティング工程は造粒工程でもあり、したがって、もう1つの観点において、本発明は、水溶性物質とポリマー物質とを含む造粒組成物で造粒された、粒状のカルシウム含有化合物に関する。
【0038】
コーティングは、流動床噴霧造粒機でのコーティングの開始および凝集工程で起こる、炭酸カルシウム結晶の表面の完全または部分的に完全な被覆を意味する。この組み合わされたポリマー結合剤と可溶性の充填剤との完全または部分的に完全な被覆は、素早い凝集または造粒を引き起こす。次いで、それに続く造粒およびコーティング液の適用は、顆粒の表面がより広いコーティングを受けるであろう、さらなるコーティングを主に引き起こすであろう。しかしながら、初期の顆粒の表面への微粉および微細な粒子のさらなる結合が同時にも起こるであろう。したがって、本製造方法は、最初の粒子または結晶が完全または部分的なコーティングを受け、次いで、コーティングされた粒子が凝集され、次いでその顆粒がさらにコーティングされる、凝集とコーティング工程が組み合わされた方法である。このことは、本発明のカルシウム溶融タブレットが水性環境に曝されるとき、最初の粒子の非常に素早い分散により明らかである。
【0039】
コーティングの観点に関して記載された全ての詳細および細目は、必要な変更を加えて、粒状物の観点にあてはまる添付の特許請求の範囲を参照。
【0040】
具体的な態様において、本発明は、低い賦形剤レベルで口の中で非常に素早く分散し、チュアブル錠;飲み込まれる錠剤;溶融タブレット製剤および水性分散製剤を含む多機能性を有する、小型の咀嚼可能なカルシウム組成物を提供する。具体的な態様において、本組成物は、次の成分:
(a) 0.1〜1.5 m2/gの表面積を有するカルシウム含有化合物(CC)
(b) 水溶性物質と結合性を有するポリマー物質との組み合わせ
を含み、
本組成物は、
(c) 造粒およびコーティング液を作るために、組み合わされた水溶性物質とポリマー物質とを溶解すること、
(d) その造粒およびコーティング液を、流動床装置内で、カルシウム含有化合物の流動床上に適用すること、および
(e) 任意に、得られた粒状物を他の賦形剤と混合し、それをチュアブル錠または溶融タブレットに圧縮すること
により製造される。
【0041】
流動床造粒工程は、顆粒の形成またはカルシウム含有化合物の個々にコーティングされた粒子もしくは結晶の凝集物をもたらした。コーティング層は、個々の粒子または結晶を囲むフィルムの中にカルシウム含有化合物の微細物質フラクションを含むかまたは定着し得ることも観察された。
【0042】
好ましい態様において、得られたチュアブル錠は次の性質により特徴付けられる。
・1.4〜1.9 g/cm3の範囲の見掛けの錠剤密度を有する密な錠剤。
・咀嚼され得るか、咀嚼することなく口の中で60秒以内に素早く分散され得るか、グラス1杯の水道水に180秒以内に分散され得るか、または飲み込まれ得る、多機能な速い溶融タブレット。本明細書の実施例に示される具体的な態様において、咀嚼することなく口の中で30秒以内に素早く分散し、グラス1杯の水道水に60秒以内に分散する溶融タブレットは、流動床技術を用いて製造され得る。
【0043】
・該錠剤は、錠剤重量の96%または97%までの活性成分の高い装填を含む。
・該錠剤は6〜46 kNの低い錠剤化圧力で製造される。具体的な態様において、錠剤化圧力は6〜20-25 kNほど低いか、またはさらに6〜16 kNに低くされ得る。印加される圧力は、用いられる錠剤機およびそれが製造規模かまたは試験的な規模かどうかにも依存する。
【0044】
・該錠剤は、2%未満の破砕性を有して強固であり、通常の包装機械に耐え得る。
・該錠剤は、高価な費用の特別な賦形剤を必要としない。
・該錠剤は、既存でかつ通常の製造設備および包装設備で製造され得る。
・該錠剤は非吸湿性である。
・該錠剤は、特別な包装保護を必要とされない。
・加工時間は短く、該錠剤は低い費用で製造され得る。
【0045】
水溶性物質と結合性を有するポリマー物質とを組み合わせることの新しい製剤原理は、より短い加工時間、微粉のより少ない発生、生成物容器および膨張室の内部への微細粉末の付着の減少ならびにおそらくより速い凝集速度によるより低いプレナム中での微細粉末の蓄積の減少を含む、流動床工程の間の加工利点ももたらした。
【0046】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の平均粒子径は、造粒工程の間に用いられる、ポリマー物質の含量および造粒液の量を注意深く制御することにより、幅広い粒子径の範囲で効果的に変化させることができることも驚くべきことに見出された。
【0047】
さらに、この新しい製剤原理は、加工困難性および湿度の変化、ならびに比表面積、粒子径/分布および粒子の形状のような異なる物理的特徴を有するカルシウムの異なる供給源が用いられるときにその粒状物の粒子径/分布に影響されることが非常に少ないことが驚くべきことに見出された。
【0048】
発明の詳細な説明
前記のように、それらをより小さく、より口当たりよくするため、およびまたその剤形の摂取に関して柔軟性を導入するために、カルシウム含有化合物を含む剤形を改良することの必要性がある。合理的で、費用節減で、標準的な医薬の加工設備を利用する製造方法を確立する必要性もある。
【0049】
本発明は、水溶性物質とポリマー物質との組み合わせでカルシウム含有化合物を少なくとも部分的にコーティングすることが可能であることの発見に基づく。そのようなコーティングは、より乏しい官能性を有する製品に導くことなく、通常用いられる充填剤および最終製品の製造において用いられる味改善剤の量を減少することができるような方法でカルシウム含有化合物を少なくとも部分的にカプセル化するので、非常に有利であるように思える。
【0050】
少なくとも部分的にコーティングされたカルシウム含有化合物またはカルシウム含有配合物もしくは組成物
したがって、1つの観点において、本発明は、カルシウム含有化合物が、水溶性フィルムコーティングで少なくとも部分的に提供される粒子および/または結晶の形態にある、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物に関する。
【0051】
所望の効果を得るため、すなわち、少なくとも6人のプロの風味パネルにより試験されたとき、許容される官能性を得るため、および/またはカルシウムの非常に高い装填と都合のよい小さいサイズを有する錠剤を得るために、カルシウム含有化合物の利用可能な全表面をコーティングすることは必ずしも必要ではないことが考えられている。
【0052】
所望の効果を得るために、カルシウム含有化合物の表面積の、例えば少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または100%のような、少なくとも50%がフィルムコーティングで被覆されていることが認識される。
【0053】
カルシウム含有化合物を被覆するフィルムは、連続したフィルム、すなわちカルシウム含有化合物の外側表面を実質的に被覆するフィルムであり得る。
【0054】
カルシウム含有化合物の表面のどれくらいの範囲がフィルムコートでコーティングされているかを判断するために、コーティングされた化合物のSEM像を調べることが可能である。ESEM(環境制御型走査電子顕微鏡検査法)、X線光電子分光法、TOF-SIMS(飛行時間形2次イオン質量分析計)等のようなその他の方法も用いられ得る。
【0055】
前記のように、特定の目的のために、コーティングの範囲が十分であることが重要である。したがって、コーティングが十分な範囲に適用されているかどうかを評価するために、次の試験が用いられ得る。
【0056】
錠剤を、
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって作り、得られた錠剤を、本明細書に記載された「ハンギング錠剤(Hanging Tablet)」法に付し、その観察されるスリップ(slip)タイムが、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分であるべきである。
【0057】
上記の試験は、最終製品が溶融タブレットまたは咀嚼錠であるときに特に関連する。
さらに、上記の試験は、フィルムコーティングが流動床装置中で行なわれたときの使用に特に適している。
【0058】
あるいは、錠剤を、
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と、例えばキシリトールのような糖アルコールおよび例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の濃度が少なくとも80重量%であり、糖アルコールの濃度が最大で19.5重量%であり、滑沢剤の濃度が最大で2%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって作り、得られた錠剤を、プロの試験パネルによる官能試験に付し、錠剤の許容される官能性が見出されなけれならない。
【0059】
しかしながら、実際、コーティング工程は、コーティングと凝集工程の組み合わせであり、すなわち、カルシウム含有化合物が、良好な結合性および/または錠剤固化性を有する高い可溶性フィルムで、コ−ティングされ、凝集される。したがって、例えば5〜40 μmの範囲の小さいサイズを有する、個々の結晶または粒子にコーティングおよび凝集を適用することができる医薬的な工程が、本発明の関係において用いられ得る。したがって、例えばその他の湿潤もしくは溶融造粒法または噴霧コーティングもしくは溶融コーティングのようなその他のコーティング法のような、その他の造粒またはコーティング法が等しく適している(本明細書の実施例参照)。凝集およびコーティング装置は、バッチおよびGlatt, Aeromatic and Heinenからのシステムのような上端部、底部または接線噴霧を有する連続的な流動床、FielderまたはDiosnaのような水平および垂直な高強度な撹拌機、HosokawaからのSchugiのような連続撹拌機、2軸スクリュー押出機のような押出機または例えばNiroまたはAnhydroからの内部または2次流動床ユニットと結合した噴霧乾燥装置を含む。
【0060】
造粒とも称される凝集は、粒子がより大きな集合体、いわゆる、元の粒子がまだ区別できる凝集物または顆粒に寄せ集められる工程である。湿潤凝集において、この工程は、造粒液によって促進される。液体は湿潤状態での毛管力および粘性力の組み合わせで粒子を結合する。より長く持続する結合は、続く乾燥の間に形成される。凝集の目的は、粉末の流れおよび取扱を改善すること、粉塵の減少、混合物の固定およびそれによりAPI(活性成分)の分離を予防することである。
【0061】
凝集物の強さは、乾燥の間に形成される結合に依存する。結合の強さは、造粒液にポリマーを加えることにより改善され、それは、改善された錠剤化の性質にも導き得る。しかしながら、造粒液にポリマーを加えることは、延長された崩壊時間、錠剤の硬化、溶融特性の減少等をもたらし得る。
【0062】
湿潤凝集は、例えば高剪断混合機、Schugi Flex-O-Mix凝集機、およびその他の装置の中の流動床を用いて行われ得る。
【0063】
流動床:
流動床造粒および乾燥は、造粒される粉末混合物の流動化のために、生成物容器および膨張室からなる流動床噴霧造粒機で行なわれる。粉末混合物は、生成物容器の底の生成物スクリーンに留まっており、流動床噴霧造粒機の出口側の排気フィルターにより、膨張室を抜け出ることを制限されている。粉末の流動化に必要な気流は、ユニットの上端部に取付けられた吸出し扇風機により発生される。流動化に用いられる空気は、装置の空気入口部に配置された空気加熱機により所望の温度まで加熱される。粉末混合物は、十分な空気量で流動化され、造粒液は、複数のバイナリ(binary)ノズルからなるスプレーヘッドにより微細な噴霧として霧状にされる。スプレーヘッドは、脈打つ粒子へ「トップスプレー」を意味する向流または脈打つ床に「ボトムスプレー」を意味する並流の造粒液の噴霧スプレーを追加し得る。湿った粒子は、粒子-粒子の接触により凝集または造粒を受ける。適当な造粒が達成されたあと、スプレー操作は停止され、物質が乾燥され、ユニットから排出される。重大な製剤特性および流動床工程に対する工程パラメータを調整することによって、粉末状の混合物中の個々の粒子を凝集、インスタンタイズ(instantize)、またはコーティングすることができる。
【0064】
高剪断混合機:
このタイプの装置において、粒子は高速で回転する羽根車による運動の中に置かれる。それは、大きな集合体を壊すチョッパーも含む。結合剤液が、上端部から注ぐか、ポンプで注入するかまたは噴霧することにより添加される。高剪断混合機中の湿った凝集物は、典型的には5〜6段階を含む:最初、原料が乾燥混合され、その後、液体が混合の間に加えられる。次いで、湿り気のある(moist)塊が湿った塊(wet massed)になる。その後、顆粒が、(湿って篩にかけられ(wet sieved))、乾燥され、そして再度篩にかけられる。
【0065】
Schugi:
典型的なSchugi Flex-O-Mix凝集機の操作は次の一般的な工程を含む。乾燥供給物が、重力式で(by gravity)、付着されたナイフを有する回転インナー・シャフト(約1000〜4400 RPM)を含む、円筒チャンバーの上端に供給される。乾燥供給物がチャンバーに入った時点で、造粒液が霧状で該粉末に添加される。乾燥供給粉末および造粒液が、粒子の衝突および続く粒子の成長を招くように、激しくかつ完全に混合される。Schugi円筒チャンバーの側面は、粉末を除去することを強めるように、操作の間、機構(device)が、チャンバーを定期的に押しつぶすことができるように柔軟な物質で作られる。次いで、粒子は、過剰の水分を除くために、速やかに乾燥機に送り込まれる。
【0066】
フィルムは、水溶性物質およびポリマー物質、特に水溶性ポリマー物質を含む。通常、ポリマー物質は結合性を有し、それは、コーティング工程が、粒状物を与えるための凝集物の形成も可能にするので、役に立つ。ポリマー物質の水溶解度は、例えば約25 mg/ml以上、約50 mg/ml以上、約75 mg/ml以上、約100 mg/ml以上、約150 mg/ml以上、約200 mg/ml以上、約250 mg/ml以上、または約300 mg/ml以上のような、約10 mg/ml以上である。
【0067】
コーティングにおける水溶性物質は、それが被膜に水に対する溶解性を与え、本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物に基づく錠剤に対して観察される、速い崩壊および/または溶解に寄与するので、重要である。1以上の水溶性物質の水に対する溶解度は、例えば約25 mg/ml以上、約50 mg/ml以上、約75 mg/ml以上または約100 mg/ml以上のような、約10 mg/ml以上である。
【0068】
次の表に、本発明の使用のための水溶性物質(水溶性充填剤物質も意味される)に対する水溶解性を示す。
【表1】
【0069】
通常、可溶性充填剤物質は、1 g/100 mlより大きな溶解度を有するべきである。
本発明の使用に適した水溶性物質の例は、ポリオールおよび炭水化物、ならびにそれらの混合物である。
【0070】
適した水溶性物質のその他の例は、有機酸、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩を含む有機酸の医薬的に許容される塩(炭酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩等;クエン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの例で例示される)、アミノ酸(例えばグリシン)、塩化ナトリウム等を含む無機塩である。
【0071】
典型的には、ポリオールは糖アルコールである。具体的な態様において、糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イノシトール、イソマルト、イソマルチュロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0072】
水溶性物質は、モノ-、ジサッカライド、オリゴサッカライド、ポリサッカライド、およびそれらの混合物からなる群から選択される炭水化物でもあり得る。
【0073】
本発明の使用に適したモノサッカライドの例は、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、およびそれらの混合物である。本発明の使用に適したジサッカライドの例は、乳糖、マルトース、ショ糖、トレハロース、タガトース、およびそれらの混合物;ならびに本発明の使用に適したオリゴサッカライドおよびポリサッカライドの例は、デキストロース、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、およびそれらの混合物である。
【0074】
通常、水溶性物質は、例えば0.5重量%〜約50重量%、0.75重量%〜約50重量、約1重量%〜約40重量%、約1.5重量%〜約30重量%、または約2重量%〜約20重量%のような、0.1重量%〜約50重量%の濃度で、少なくとも部分的にコーティングされたカルシウム含有化合物中に存在する。
【0075】
具体的な態様において、少なくとも部分的にコーティングされたカルシウム含有化合物中の水溶性物質の濃度は、例えば約0.5重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%、または約2重量%〜約5重量%のような、約0.1重量%〜約10重量%のようなより低濃度の範囲であり得る。
【0076】
上記のように、カルシウム含有化合物のコーティングに用いられるポリマー物質は、良好な結合性および/または錠剤固化性を有しなければならない。そのような性質は、得られる少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物のさらなる製造において、特に錠剤の製造において重要である。良好な結合性および/または錠剤固化性は、可塑性でもあり得る。そのような性質は、フィルムコートの破損またはそれ以外の破壊の実質的な回避を可能にする。したがって、フィルムコーティングによって得られる性質は、最終製品にも存在する。
【0077】
さらに、もしポリマー物質が結合性を有し、それにより、カルシウム含有化合物の(任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤と一緒の)凝集を可能にすれば、それは好都合である。結合性を有するそのようなポリマー物質の例は、医薬的に許容される結合剤中に見出される。したがって、具体的な態様において、ポリマー物質は、医薬的に許容される結合剤である。
【0078】
ポリマー物質は、ポビドン、コポビドン、セルロースタイプのポリマー、イヌリンおよびオリゴサッカライド、高分子量のポリサッカライドおよび澱粉の異なるタイプから選択され得る。具体的な例は、表題「医薬的に許容される賦形剤」下および本明細書の実施例中に見出すことができる。
【0079】
本発明の使用に適する医薬的に許容される結合剤の例は、K-90、K-30、K-25、K-17およびK-12を含むポビドン;コポビドン;ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコール(例えばKollicoat IR);寒天;ゼラチン;アラビアゴム;アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコールを含むアルギナート;馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉を含む澱粉または化工澱粉;イヌリン、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリンを含む炭水化物;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微晶質セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体を含むセルロースおよびセルロース誘導体、ならびにそれらの混合物である。
【0080】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物中に用いられるポリマー物質の濃度は、用いられる特定のポリマー物質に依存して変化し得る。一般的に、その濃度は、約0.2重量%〜約10重量% w/w、約0.5〜約5重量%のような、約0.09重量%〜約10重量%の範囲である。
【0081】
カルシウム含有化合物は、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスグリシノ カルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0082】
具体的な態様において、カルシウム含有化合物は、炭酸カルシウムもしくはリン酸カルシウム(リン酸二カルシウムおよびリン酸三カルシウムを含む)、またはそれらの混合物である。炭酸カルシウムが特に興味がある。
【0083】
用いられるカルシウム含有化合物の比表面積は、流動床造粒が製造工程に含まれる場合に特に興味がある。したがって、そのような場合、例えば炭酸カルシウムのようなカルシウム含有化合物の比表面積は、例えば約0.1〜約2.75 m2/g、約0.1〜約2.5 m2/g、約0.1〜約2 m2/g、約0.1〜約1.8 m2/g、約0.1〜約1.5 m2/g、約0.1〜約1.6 m2/g、約0.1〜約1.4 m2/gまたは約0.1〜約1.3 m2/gのような、約0.1〜約3 m2/gである。
炭酸カルシウムに関して、通常、比表面積は約0.1〜約1.2 m2/gである。
【0084】
本明細書の前記のように、カルシウム含有化合物の粒子径が最終製品の官能性にとって重要であることが一般的に認識される。したがって、具体的な態様において、例えば炭酸カルシウムのようなカルシウム含有化合物の平均粒子径は、約0.1 μm 〜約80 μm、約0.5 μm〜約60 μm、約1 μm〜約50 μmまたは約2 μm〜約40 μmのような、約0.1 μm〜約100 μmである。
さらなる態様において、炭酸カルシウムの平均粒子径は約3〜約40 μmである。
【0085】
本明細書の実施例は、水溶性物質がキシリトールであり、ポリマー物質がポビドンもしくはコ-ポビドン、またはそれらの混合物であるときに、特に適したコーティング物が得られることを示している。
さらに、具体的な態様において、コーティングは、本質的に水溶性物質、特に糖アルコール、およびポリマー物質、特にポリビニルピロリドンを含む。
【0086】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物は、例えば医薬的に活性な物質および/または栄養剤のような1以上の活性な物質と組み合わされ得る。
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物が、例えばビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの混合物のようなビタミンとの組み合わせで存在する組成物が、特に興味がある。
【0087】
本発明のもう1つの観点において、フィルムコートは、カルシウム含有化合物および1以上のさらなる物質との配合物に適用される。1以上のさらなる物質は、前記のようなもう1つの活性物質であり得るか、または、それは1以上の医薬的に許容される賦形剤もしくは添加剤であり得る。本明細書の実施例から判るように、本発明の具体的な態様は、本明細書の前記のような、カルシウム含有化合物と1以上のポリオールとを含む、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた組成物である。着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、酸味剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料の1以上のような添加剤は、少なくとも部分的にフィルムコーティングで提供される組成物中にも存在し得る。
【0088】
一般的に、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた組成物中に存在するそのようなさらなる物質の濃度は、例えば最大で約15重量%、最大で約10重量%、最大で約7.5重量%、最大で約5重量%または約0.5〜約5重量%の範囲のような、最大で約20重量%である。人工甘味料に関して、通常、その濃度は、最大で約1重量%または最大で約0.01重量%のようなさらにより低い濃度である。
言い換えれば、通常、カルシウム含有化合物は、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた組成物の全重量の、少なくとも85重量%または少なくとも約90重量%のような、少なくとも80重量%を構成する。
【0089】
具体的な態様において、本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物は、1以上の医薬的に許容される賦形剤をさらに含む。
さらに、前記の物質とカルシウム含有化合物とを一緒に含む組成物が、少なくとも部分的にフィルムコーティングで提供され得る可能性は、そのような物質をコーティング組成物に加えることも可能にする。そのような場合、フィルムコーティングは、そのような物質も含むであろう。この目的を達成するために、例えば流動床におけるコーティング工程以前に、(造粒液と同じである)フィルムコーティング組成物中に溶解されたショ糖が、本明細書のいくつかの実施例において、強力甘味料の例として用いられている。造粒およびコーティング液に加えられ得るその他の賦形剤は、着色剤、着香剤、酸味剤、界面活性剤および乳化剤である。
【0090】
典型的に、コーティング組成物(例えば溶液)中の乾燥物質の割合は、40〜70重量%の範囲であった。流動床が用いられる場合、予備加熱/混合、コーティング/造粒、乾燥および冷却を含めて、コーティングおよび造粒工程時間は、10〜20分の範囲のような、6〜20分の範囲で典型的に短い。
【0091】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物を含む、組成物、特に医薬組成物
前述のように、前記の、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物は、医薬組成物の製造において特に適している。したがって、別個の観点において、本発明は、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と1以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む組成物に関する。
【0092】
本発明の組成物は、医薬組成物または栄養剤組成物の製造において用いられ得る。
該組成物は、例えば粉末、顆粒、粒状、ビーズレット(beadlets)、ペレット等のような粒子の形状にあるようなあらゆる好適な形態を有し得るか、または例えば錠剤、カプセル剤、サシェット(sachets)等のような投与形態であり得る。該組成物は、液体の形態であってもよいか、または摂取前に適当な媒体に分散させることを意図した乾燥形態で存在してもよい。
【0093】
本発明の特に興味のある態様において、該組成物は、錠剤、特に溶融タブレットまたは咀嚼錠の形態にある。
前述のように、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物は、高装填のカルシウム製品の製造における使用に、特に適している。したがって、1つの態様において、組成物(医薬組成物)中のカルシウム含有化合物の濃度は、例えば55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上または85重量%以上のような、50重量%以上である。特に、該組成物が錠剤の形態にあり、非コーティング形態にあるカルシウム含有化合物の濃度は、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、または97重量%以上である。
【0094】
錠剤の密度および多孔度
見掛けの錠剤密度の高い値は、低い錠剤体積を有する小型でかつ小さい錠剤を生じるので、錠剤の密度が、その開発において重要なパラメータであることが判った。同時に、口の中に存在する水相中またはグラス1杯の水中での錠剤の分散を容易にするために、錠剤が十分な多孔度を有することが等しく重要である。本明細書の実施例において、錠剤の密度および多孔度は、錠剤の真密度および同じ錠剤の体積を、両方MicromereticsからのAccuPyc 1330装置およびGeoPyc 1360装置でそれぞれ測定することにより計算された。
【0095】
開発の仕事の焦点は、より小さくかつ小型の錠剤を作ることでもあった。本明細書の実施例から判るように、このことが適切に達成された。したがって、本発明は、錠剤が、例えば最大で約2.0 g/cm3、最大で約1.8 g/cm3、または約1.4 g/cm3〜約2.2 g/cm3の範囲のような、最大で約2.2 g/cm3の見掛け密度を有する少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物を含む錠剤も提供する。より具体的な態様において、錠剤は、例えば約1.5 g/cm3以上または約1.4 g/cm3〜約1.9 g/cm3もしくは約1.5 g/cm3〜約1.7 g/cm3の範囲のような、1.4 g/cm3以上の見掛け密度を有する。これらの密度の間隔は、カルシウム含有化合物としての炭酸カルシウムに基づいていることを強調しなければならない。その他のカルシウム塩またはカルシウム塩の配合物は、それらの化合物の真密度および見掛け密度における差に基づいたその他の密度の間隔を作るであろう。
【0096】
いくつかの実施例中に記載されたチュアブル錠および溶融タブレット製剤は、1.4〜1.9 g/cm3の範囲の錠剤密度を有する。典型的には、本発明のカルシウムチュアブルおよびメルト製剤は、1.5〜1.7 g/cm3の錠剤密度を有するであろう。この密度を有する本発明の錠剤は、錠剤多孔度に対して、32〜36%の典型的な値を有する30〜40%の範囲の満足のいく高値を同時に有する。
【0097】
小さい錠剤を得ることの可能性は、好適な多孔度、すなわち、錠剤が溶融タブレットまたは咀嚼錠であるときに重要である多孔度を維持することの可能性に影響を及ぼさない。したがって、該錠剤は、例えば約15〜約40%または約20〜約40%のような、約10〜約50%の多孔度を有し得る。具体的な態様において、該錠剤は約30〜約40%の多孔度を有する。
【0098】
小さい錠剤のもう1つの尺度は、本発明の錠剤中に含まれるカルシウム元素500 mg当りの錠剤の体積である。しがって、本発明の錠剤の体積は、通常、錠剤中に含まれるカルシウム元素500 mg当り、例えば最大で約1.25 cm3、最大で約1 cm3、最大で約0.8 cm3、最大で約0.7 cm3または最大で約0.65 cm3のような、最大で1.5 cm3である。
【0099】
錠剤の崩壊および分散
錠剤の崩壊および分散が、この重要な性質を特徴付けるために、3つの異なる方法で詳細に調べられた。
【0100】
初めに、ヨーロッパ薬局方(Ph.Eur.)バージョン5.02による崩壊試験が、全ての製剤に対して行なわれた。ヨーロッパ薬局方は、チュアブル錠は、該試験に従う必要はないことを述べているが、本発明の記載に関連する3つのその他の剤形を定義もしている:ソルブルタブレット(soluble tablets)は、適用前に水に溶解されることを意図した錠剤であり;ディスパーシブルタブレット(dispersible tablets)は、投与前に水に分散させることを意図した錠剤であり、そしてオロディスパーシブルタブレット(orodispersible tablets)は飲み込まれる以前にそれらが分散する口の中に置かれることを意図された錠剤である。ヨーロッパ薬局方によるソルブル、ディスパーシブルおよびオロディスパーシブルタブレットに対する崩壊時間に関する要件は、これらの剤形が3分以内に崩壊すべきことである。
【0101】
通常、本発明の錠剤は、ヨーロッパ薬局方に従った測定で、最大で約20分、最大で約15分、最大で約10分、最大で約5分、最大で約4分または最大で約3分のような、最大で約30分の崩壊時間を有する。
具体的な態様において、本発明の錠剤はヨーロッパ薬局方に従う。典型的には、本発明のカルシウム溶融タブレットは60〜90秒以内に崩壊するであろう。
【0102】
本発明者らは、口の中の状況をシミュレートするのに特に適したもう1つの方法を開発した。その方法は「ハンギング錠剤」法と呼ばれる。この方法において、錠剤の真中にドリルで穴が開けられ、ナイロン糸が錠剤に縛り付けられる。次いで、錠剤を水のタンクの中に落とし、糸の助けで、37℃の水中に吊るし続けられた。錠剤が吊るされた糸から離れるのに要する時間と共に、水媒体中での錠剤の視覚的崩壊/分散が記録された。同封された図2の写真が本方法を最もよく説明する。
【0103】
ヨーロッパ薬局方崩壊時間は、口の中での崩壊時間を測定することに関して、「ハンギング錠剤」法に比べて、少しより非特異的である。たとえ錠剤が十分に分散されたとしても、崩壊装置中のスクリーン上に留まる錠剤物質の塊がなお存在し得る。錠剤が十分に分散されたとき、主要な炭酸カルシウム粒子の全ては、完全に湿らされ、互いに引き離される。
【0104】
「ハンギング錠剤」法で糸から吊り下げられる錠剤は、錠剤が十分に湿らされるか、または錠剤の内部構造の結果としての崩壊で分散させられるとき、糸から離れる。したがって、もし、マットリックスの中に引き込まれ、炭酸カルシウムの主要な粒子を分散するのに十分な量の唾液があるなら、この方法は、口の中で起こるであろうことにより似ている。
【0105】
通常、本発明の錠剤は、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法での測定で、最大で約150秒、最大で約100秒、最大で約60秒、最大で約45秒または最大で約30秒のような、最大で約180秒のスリップタイム(または分散時間)を有する。
【0106】
具体的な態様において、本発明の組成物に対する、「ハンギング錠剤」法による分散時間は、典型的には、30秒未満である。さらに、この分散時間は、以下に記載の口の中で実際に認められる分散時間とうまく相関する。
【0107】
例えば溶融タブレットのような錠剤の口の中での分散
6人の選択された査定者の官能パネルが、口の中での溶融分散時間を測定するために用いられた。錠剤が口の中で溶ける平均時間および飲み込まれる容積(contents)が、本発明の選択された製剤について記録された。統計的な差が、平均間の差異を見分けるために、95%信頼水準でのANOVAおよび5%の有意水準でのTukey's HSD検定を用いて検出された。
【0108】
本発明の2つの組成物が、Nycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815のカルシウムチュアブル錠に基づいた参考例に対して試験された。本発明の両製剤は、参考錠剤と比較したとき、有意により短い溶融分散時間を有していた。最も優れた溶融性を有する製剤は、52秒後に分散した。その結果を図6に示している。
【0109】
溶出速度
本明細書の実施例から明らかなように、錠剤製造のための本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物は、カルシウム含有化合物を非常に素早く放出する錠剤をもたらすことができる。したがって、ヨーロッパ薬局方/米国薬局方(USP)(パドル、50 rpm 溶出媒体:0.04%セトリミドを含む0.1 M HCl 1000 ml、37℃)によるインビトロ溶出試験での測定で、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が30分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が30分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が30分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が20分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が20分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が20分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が10分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が10分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が10分以内に錠剤から放出される。
【0110】
本明細書の実施例において、溶出装置2(パドル装置)を用いるヨーロッパ薬局方/米国薬局方により、50 rpmのパドル速度で溶出測定が行われた。溶出媒体は、カチオン性界面活性剤セトリミド、0.04%(w/v)の添加を有する0.1 M HClであった。0.1 N HCl中の0.04%(w/v)セトリミドの濃度レベルは、臨界ミセル濃度を規定する。セトリミドは、表面張力を減少するために加えられる。
【0111】
本発明の実施例1および2に対する溶出速度は、典型的に非常に速く、約90%が10分後に既に溶出した。対照的に、2つの参考例の溶出速度は、全く遅く、10分後に17〜42重量%だけが溶出した。
【0112】
本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物を含む、組成物中のその他の成分
前記のように、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物以外の他の成分が、本発明の組成物中に組み込まれ得る。したがって、例えば治療的に活性な物質および/または栄養剤のような、1以上の活性な物質が存在してもよく、それらは、例えばビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体のようなビタミンを含む。
【0113】
さらに、1以上の医薬的に許容される賦形剤(好適な例が次に記載される)または添加剤が組み込まれてもよい。本発明の組成物中に、1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、酸味剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料も存在し得る。
【0114】
本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物、ならびにそのようなカルシウム含有化合物、配合物および組成物を含む医薬組成物の製造
本発明は、本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の製造方法、カルシウム含有化合物に1以上の水溶性物質および1以上のポリマー物質を含むコーティング組成物を適用することを含む方法も提供する。このために、満足のいく結果を得るために、用いられるコーティング組成物および/または造粒液は、2つの成分の混合物または溶液を含むことに注目することが重要である。全く同一のコーティング組成物または造粒液で適用されるとき、相乗効果が達成され、このことは、好適な性質を有する非常に小さいCa含有錠剤の製造を可能にする。本明細書の前で述べたように、2つの成分は、水溶性フィルムを与えるために特に水溶性であり、適用前に、通常、水性媒体、特に水に溶解される。本明細書の実施例から判るように、コーティング組成物または造粒液は、例えば人工甘味料のようなその他の物質も含み得る。
【0115】
通常、水溶性物質およびポリマー物質は、水性溶媒または有機溶媒のような溶媒中に分散または溶解される。具体的な態様において、溶媒は水性溶媒である。
本明細書の前で述べたように、1以上の活性物質、1以上の医薬的に許容される賦形剤および/または1以上の添加剤がコーティング組成物中に含まれ得る。1つの態様において、強力甘味料を含む甘味料、着色剤、芳香剤、酸味剤、着香剤等が溶媒に添加される。
【0116】
一般的に、コーティング組成物の適用は、流動床、噴霧乾燥、溶融造粒、押出成型、高剪断混合、または回転法の使用による、噴霧、溶融または噴霧乾燥により行なわれる。
【0117】
流動床法に関する態様
本明細書の実施例で示されるように、具体的な態様は、コーティング組成物が流動床の使用で適用される方法に関する。
この目的を達成するために、次のことが認められた:
本発明の組成物は、加工パラメータに対して次のような一般的な設定値:
バッチサイズ:3〜5 kg (3〜3.5 kg)
造粒入口温度:45〜90℃ (45および80℃)
造粒液量:200〜800グラム (200〜400グラム)
スプレー速度:40〜120 g/分 (40〜100 g/分)
スプレー噴霧圧力:1.5バール
乾燥入口温度:80〜90℃ (80℃)
最終温度乾燥:45℃
最終温度冷却:42℃
を有する、Glatt GPCG 3試験的スケールモデルでの上端スプレー流動床コーティングおよび凝集によって作られる。
【0118】
別に記載されていなければ、フランス, Scora Watrigant SAからのスコラライト(Scoralite) 1Bが、全ての試験で用いられた。
流動床での加工以前に、乾燥カルシウム含有化合物に可溶性充填剤(水溶性物質)が添加される場合、ポリオールまたは炭水化物は210 μm (70メッシュ)で篩にかけられた。あるいは、可溶性充填剤は、塊および凝集物を破砕するために製粉機にかけられ得る。炭酸カルシウムおよびキシリトールの粉末ブレンドが、GPCG 3流動床に移される前に、混合強度4で、2分間、Kenwood Major中で混合された。
【0119】
流動床加工後に、流動床粒状物は1.4 mm (12メッシュ)で選別され、その後、着香粒状物およびステアリン酸マグネシウムとブレンドし、最後に、14 mmの普通の凹面パンチで錠剤化された。
【0120】
別に特定されていなければ、全ての試験で用いられた炭酸カルシウムの品質は、スコラライト 1Bまたはスコラライト 1B主流であった。この品質は、それが、5〜20μmの範囲の粒子径で0.2〜0.6 g/m2の範囲の比表面積の低値を有する、立方体形または擬似立方体形の個々の結晶からなるので、流動床造粒およびコーティングに適している。具体的な例は、表題「炭酸カルシウム」下および本明細書の実施例に見出され得る。
【0121】
本発明は、カルシウム含有化合物の粒子または結晶のコーティングおよび凝集を含む。コーティングは、図1に示されるように、カルシウム含有化合物の表面を少なくとも部分的に被覆する高可溶性フィルムからなる。図1Aは、本発明の実施例1による少なくとも部分的にフィルムコーティングされて凝集された炭酸カルシウム結晶を示す。あらゆる添加される充填剤の賦形剤のない炭酸カルシウムのみが、コポビドン(例えばPVP VA64)およびキシリトールからなるコーティング溶液で、コーティングされて凝集されている。倍率1500×での写真は、炭酸カルシウム結晶上の少なくとも部分的なコーティングを示している。
【0122】
粒状物は非常に微細な粉末を含んでおり、写真から400μmまでのサイズの顆粒が見られ得る。サブミクロン粒子が、炭酸カルシウムの結晶または粒子の表面に埋め込まれているかまたは固定化されていることが見られ得る。埋め込まれたサブミクロン粒子の化学は、SEM写真撮影の間に、エネルギー分散型分光法によってチェックされた。その分析は、サブミクロン粒子が、サブミクロン粒子間の表面を含むより大きな表面積から読み取る平均と比較して、より大きな炭素密度を有することを示した。サブミクロン粒子は、顕微鏡中での電子線から発せられる熱により、より高い倍率で融解することも見られた。図7AおよびBは、1500および5000×の倍率のSEM写真を示す。
【0123】
図1Bは、試験的スケールのGlatt GPCG 3流動床での造粒工程の間にコポビドンの28%溶液が用いられた、炭酸カルシウム(74.5%)、ソルビトール(23.3%)およびコポビドン(2.2%)からなるNycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815による粒状物を示す。結合メカニズムが、炭酸カルシウム結晶を共に結合する、PVP VA64からなる細かいネットワークまたはメッシュの形態で見られ得る。炭酸カルシウムからの微細な物質のかなりの量が、より大きな不規則なソルビトール粒子と共に見られ得る。
【0124】
したがって、造粒液中にコポビドンだけを用いることは、流動床造粒工程の間に起こるコーティング効果の証拠のない、顆粒中での異なる結合メカニズムをもたらす。炭酸カルシウムの結晶表面に埋め込まれたサブミクロン粒子の証拠もない。
【0125】
本明細書の前で述べられているように、製剤の仕事の焦点は、非常に良好な官能性を有する、より小さくかつより小型のチュアブル錠または好ましくは溶融製剤を作ることであった。該製剤は、うまく凝集し、低錠剤化圧力でうまく圧縮し、2%より低い破砕性の値を有する錠剤を生じるべきである。
1250 mgの炭酸カルシウム含み、14 mmの錠剤直径を有する、約1400 mgの錠剤重量が目指された。
【0126】
流動床造粒試験は、満足のいく凝集を達成するため、および2%より低い破砕性の値を示す、低錠剤化圧力での錠剤の圧縮も容易にするための両方で、造粒液の組成(すなわちコーティング組成)が重要であることを示した。いかなる賦形剤を用いな炭酸カルシウムのみが、コポビドンの28%溶液またはキシリトールの50%溶液で造粒されたとき、不成功な凝集の結果であった。同様に、錠剤がこれらの粒状物から作られたとき、不成功な錠剤圧縮の結果であった。
【0127】
驚くべきことに、造粒液(すなわちコーティング組成物)中、(結合性を有する)ポリマー物質の例としてのポビドンK30またはコポビドンが、水溶性物質(すなわち可溶性充填材)の例としてのキシリトールと組み合わされたとき、相乗効果が2つのレベルで見られることが見出された。1つは、流動床造粒工程において、非常に素早い凝集が、非常に小さく微細な物質および次のような:
D (v, 0.1) = 30〜90μm
D (v, 0.5) = 130〜350μm
D (v, 0.9) = 280〜800μm
の狭い粒子径分布で達成された。
粒子径測定は、D(v, 0.1)、D(v, 0.5)およびD(v, 0.9)が、粒子の10容積%、50容積%および90容積%が任意の値より低いサイズを有する粒子径を示す、Malvern Mastersizer S ロングベンチ(long bench)装置で行なわれた。
【0128】
限定された(entailed)実施例で達成された狭い粒子径分布は、2.0より低いスパン値により特徴付けられた。スパン値は、[D(v, 0.9) - D(v, 0.1)]/D(v, 0.5)として計算される。錠剤中にビタミンDを組み込むことが望まれる場合に、ビタミンD3の平均粒子径および粒子径分布と一致する狭いサイズ分布と平均粒子径が、2次粒状物または錠剤化最終混合物中でのビタミンD3の満足のいく均質性を保証するために重要であることが見出された。
【0129】
2つ目は、造粒液中でのポリマー結合剤および可溶性充填剤の組み合わせに基づく粒状物が、錠剤に圧縮される時に相乗効果が見られた。その成分の1つのみが造粒液中で用いられた製剤と対照的に、非常に良好な圧縮曲線が達成された。
【0130】
圧縮曲線
圧縮曲線は、錠剤化圧力を測定するために、圧縮力モニターを備え付けられた回転錠剤化マシン(Manesty B3B)で行なわれた。錠剤圧縮曲線は、キロニュートン(kN)での対応する錠剤化圧力に対して、ニュートン(N)での粉砕強度をプロットして描かれた。5つの錠剤からの平均粉砕強度が、10、14、18、22および26 kNの錠剤化圧力で測定された。
【0131】
満足のいく圧縮曲線は、錠剤化圧力の全範囲での直線および満足のいく粉砕強度と破砕性を有する錠剤が低錠剤化圧力で製造され得ることで特徴付けられた。限定された実施例に記載されている多くの製剤は、6〜14 kNの低錠剤化圧力で製造された錠剤に対して、30〜60 Nの範囲の粉砕強度および2%より低い破砕性値を有してこれを達成した。
【0132】
カルシウム錠剤製剤の官能評価
官能パネルは7人の選ばれた査定官からなり、レモン臭の強度、口の中での錠剤の溶解性および歯への錠剤残渣の接着性または粘着性に関して、チュアブル錠製剤および溶融タブレット製剤の差異を調べるために用いられた。各官能(attitude)の強度が、目に見える類似のスケールでの点数をプロットすることにより特徴付けられた。試験は制御された環境の官能実験室で行なわれた。特定の試料の各評価は各査定官で2回行なわれた。
【0133】
統計的な差が、平均間の差異を見分けるために、95%信頼水準でのANOVAおよび5%の有意水準でのTukey's HSD検定を用いて検出された。データの登録および統計的分析は、それぞれ、Compusense 4.0およびStatgraphics 4.0を用いて行なわれた。
【0134】
本発明の2つの組成物が、2つの参考例または比較例に対して、3つの全てのパラメータで試験された。2つの参考例は、チュアブル錠中に組み入れられたたときに、官能性を改善したことをクレームしている直接圧縮可能な炭酸カルシウムの2つの市販品質に基づいた。その結果を図5に示しており、それは本発明の実施例3および4ならびに参考例3および4の官能分析からの結果を示す。
【0135】
本発明の2つの実施例は、増加するレンモン臭強度、口の中でより溶解性でかつ減少した接着性に関して、2つの参考例と比較したときに統計的有意差が明らかとなった。
【0136】
本明細書中での選択された用語の使用の定義
「コーティングされた」の用語は、コーティングおよび凝集工程に付される個々の粒子または結晶を少なくとも部分的に被覆する均質な層を意味することが意図される。コーティングされて凝集された炭酸カルシウム結晶の目に見える描写は、図1Aに示される。
【0137】
「粒子物質」の用語は、粒状物質または単純な粒状物と同じ意味であることを意図している。
「製剤化された」の用語は、前記の組成物を用いる医薬の製造における、賦形剤、担体、媒体(vehicles)、助溶媒、保存剤、着色剤、着香剤等々の選択に関することを意図している。
【0138】
本文脈において、「医薬的に許容される賦形剤」の用語は、それ自体があらゆる治療的および/または予防的効果を実質的に有しない意味で不活性である、あらゆる物質を意味することを意図している。医薬的に許容される賦形剤は、許容可能な技術的性質を有する医薬製剤を得ることを可能にする目的で、活性薬物に加えられ得る。
本文脈において、インビトロ溶出試験に関して言及するとき、「放出される」の用語は、溶出されることを意味する。
【0139】
カルシウム含有化合物
本発明により作られる粒状物質中に含まれるカルシウム含有化合物は、治療的および/または予防的に活性な、生理学的に忍容可能なカルシウム含有化合物である。
カルシウムは、イオン化カルシウムおよびカルシウム複合体の両方として、身体の多くの重要な機能に必須である(Campell AK.Clin Sci 1987; 72:1-10)。細胞の挙動および成長はカルシウムにより調節される。トロポニンと共同して、カルシウムは筋収縮および弛緩を制御する(Ebashi S. Proc R Soc Lond 1980; 207:259-86)。
【0140】
カルシウム選択チャンネルは、細胞膜の一般的な特徴であり、神経組織の電気活性および神経分泌顆粒の放電は、細胞内外のカルシウムレベルのバランス機能である(Burgoyne RD. Biochim Biophys Acta 1984;779:201-16)。ホルモンの分泌ならびに重要な酵素および蛋白質の活性は、カルシウムに依存する。最後に、リン酸カルシウム複合体としてカルシウムは、骨格の硬さおよび強さを与える(Boskey AL. Springer, 1988:171-26)。骨は、全身カルシウムの99%以上を含むので、骨格のカルシウムは、主な長期的カルシウム貯留所としても働く。
【0141】
例えば、炭酸カルシウムのようなカルシウム塩は、特に骨粗鬆症を患っているかまたはその恐れのある患者のカルシウム源として用いられる。さらに、炭酸カルシウムは、制酸錠中の酸中和剤として用いられる。
【0142】
前記のように、カルシウムは、哺乳類の体内、特にヒトにおいて多くの重要な機能を有する。さらに、多くの動物モデルにおいて、慢性の低カルシウム摂取はオステオペニアを生じる。オステオペニアは、皮質骨より海綿骨に影響を及ぼし、カルシウムの補充で完全に可逆的になり得えない。もし、その動物が成長していけば、減じられたカルシウムの摂取は発育阻害を招く。早産新生児において、高いカルシウムの摂取は、骨格のカルシウム付着の増加を大きくし、もし十分高ければ、在胎のカルシウム保持と等しくできる。成長の間に慢性的なカルシウムの不足はくる病を引き起こす。思春期前および後の両方の健康な子供におけるカルシウムの補給は、骨の質量の増加に導く。思春期において、カルシウムの摂取が高いほど、初潮直後に生じる一番高い保持をもって、カルシウムの保持が大きくなる。
【0143】
総合すれば、これらのデータは、子供および思春期において、カルシウムの適切な摂取が考慮されれば、骨質量のピークを、カルシウムで食生活を補完することにより、最適にすることができることを提案する。成長の間に骨格中のカルシウムの沈着を最適にすることに関与するメカニズムは知られていない。それらは、多分、もしカルシウムの供給が高ければ、類骨の最適な石灰化を保証するミネラル化工程の先天的な性質である。カルシウム欠乏の状態での成長の発育阻害に応答する因子も知られていないが、骨格の大きさを調節する成長因子を明らかに含む。
【0144】
大人において、カルシウムの補給は、年齢に関する骨損失の速度を減少させる(Dawson-Hughes B. Am J Clin Nut 1991;54:S274-80)。カルシウムの補給は、食物から最適なカルシウム摂取を達成することができないか、またはできないであろう個体にとって重要である。さらに、カルシウムの補給は、骨粗鬆症等の予防および治療において重要である。
【0145】
その上、カルシウムは、大腸内で抗癌作用を有し得る。いくつかの予備的な研究は、高カルシウム食またはカルシウム補充の摂取は、大腸・直腸癌の減少に関係することを示している。アセチルサリチル酸(ASA)および他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)と組み合わせたカルシウムが直腸結腸癌の危険性を減少させる証拠が増えている。
【0146】
最近の調査研究は、カルシウムが月経前症候群(PMS)を緩和し得ることを提案している。いくらかの研究者は、カルシウム調節の乱れが、PMS症状の進展における根本的な要因であると信じている。ある研究において、米国全体の閉経前の女性の446人グループの半分が三回の月経周期について追跡され、周期を通して毎日1200 mgのカルシウム補給物が与えられた。最終結果は、プラセボを摂取した女性の48%がPMS関連症状を示した。カルシウム錠剤を摂取した人では30%のみだった。
【0147】
例えば、炭酸カルシウムのようなカルシウム塩は錠剤で用いられ、高用量のカルシウムを必要とするため、そのような錠剤は、たいてい、チュアブル錠の形態である。チョーク(chalk)の独特の優勢な味またはフィーリングなしに、快適な味と許容可能なマウスフィーリングを有するカルシウム塩を含むチュアブル錠に製剤化することは難問である。
【0148】
本発明による使用のためのカルシウム含有化合物は、例えばビスグリシノカルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リンゴ酸カルシウム、カルシウムコーネート(calcium cornate)、フッ化カルシウム、カルシウムグルビオネート(calcium glubionate)、グルコン酸カルシウム、カルシウムグリセロホスフェート、リン酸水素カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、乳酸カルシウム、カルシウムラクトビオネート(calcium lactobionate)、カルシウムラクトグルコネート、リン酸カルシウム、カルシウムピドレート(calcium pidolate)、ステアリン酸カルシウムおよびリン酸三カルシウム、またはそれらの混合物であり得る。
【0149】
その他のカルシウム源は、水溶性カルシウム塩、または例えばアルギン酸カルシウム、カルシウム-EDTA等のような複合体、または例えば有機リン酸カルシウムのようなカルシウムを含む有機化合物であり得る。骨粉、ドロマイトおよびその他の粗製カルシウム源の使用は、それら供給源が鉛およびその他の毒性汚染物質を含み得るので、思いとどまらされる。しかしながら、そのような供給源は、もしそれらが所望の度合に精製されれば、適切であり得る。
【0150】
カルシウム含有化合物は、単独またはその他のカルシウム含有化合物と組み合わせて用いられ得る。
ビスグリシノカルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リンゴ酸カルシウム、カルシウムコーネート、フッ化カルシウム、カルシウムグルビオネート、グルコン酸カルシウム、カルシウムグリセロホスフェート、リン酸水素カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、乳酸カルシウム、カルシウムラクトビオネート、カルシウムラクトグルコネート、リン酸カルシウム、カルシウムピドレート、ステアリン酸カルシウムおよびリン酸三カルシウムが特に興味がある。異なるカルシウム含有化合物の混合物も用いられ得る。本明細書の実施例から明らかなように、炭酸カルシウムが、カルシウム含有化合物としての使用に特に適しており、炭酸カルシウムは高いカルシウム含有量を有する。
【0151】
炭酸カルシウムが特に興味がある。
通常、本発明により製造される錠剤は、例えば約150〜約800 mg、約200〜約700 mg、約200〜約600 mgまたは約200〜約500 mg Caのような、約100〜約1000 mg Caに相当する量のカルシウム含有化合物を含む。
【0152】
炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは三つの異なる結晶構造:カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトで存在し得る。鉱物学的に、これらは、結晶構造中のカルシウム、炭素および酸素原子の明確な配列に関する特異なミネラルの様相である。これらの明確な様相は、結晶形の形状および対称性に影響を及ぼす。
【0153】
例えば、カルサイトは四つの異なる形状:偏三角面体状、プリズム状、球状および菱面体状で入手可能であり、アラゴナイト結晶は、例えば別々かまたは房になった針状形として得られる。例えば立方体形(Scoraからのスコラライト 1A+B)のような他の形状も入手可能である。
【0154】
本明細書の実施例に示されるように、炭酸カルシウムの特に適した品質は、例えば50 μm以下または40 μm以下のような、60 μm以下の平均粒子径を有する炭酸カルシウムである。
さらに、炭酸カルシウムの興味ある品質は、2 g/mLより小さい嵩密度を有する。
【0155】
10〜30 μmの平均粒子径、0.4〜0.7 g/mLの見掛け嵩密度、および0.3 m2/gの比表面積を有する、炭酸カルシウム2064 Merck(ドイツ、ダルムシュタット、メルクより入手可能);
約3.9 μmの平均粒子径および0.4〜0.7 g/mLの見掛け嵩密度を有する、炭酸カルシウム2069 Merck(ドイツ、ダルムシュタット、メルクより入手可能);
【0156】
スコラライト 1A(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、5〜20 μmの平均粒子径、0.7〜1.0 g/mLの見掛け嵩密度、および0.6 m2/gの比表面積を有する;
スコラライト 1B(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、10〜25 μmの平均粒子径、0.9〜1.2 g/mLの見掛け嵩密度、および0.4〜0.6 m2/gの比表面積を有する;
スコラライト 1A+1B(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、7〜25 μmの平均粒子径、0.7〜1.2 g/mLの見掛け嵩密度、および0.35〜0.8 m2/gの比表面積を有する;
【0157】
ファーマカルブ(Pharmacarb) LL(Mahawah New Jersie、Chr. Hansenから入手可能)Lは、12〜16 μmの平均粒子径、1.0〜1.5 g/mLの見掛け嵩密度、および0.7 m2/gの比表面積を有する;
スターカル(Sturcal) Hは、約4 μmの平均粒子径、0.48〜0.61 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
スターカル Fは、約2.5 μmの平均粒子径、0.32〜0.43 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
スターカル Mは、7 μmの平均粒子径、0.7〜1.0 g/mLの見掛け嵩密度、および1.5 m2/gの比表面積を有する;
【0158】
ミクハート(Mikhart) 10、SPL、15、40および65 (フランス、Provencale、Provencaleから入手可能);
ミクハート 10は10 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート SPLは20 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート 15は17 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート 40は30 μmの平均粒子径、1.1〜1.5 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
ミクハート 65は60 μmの平均粒子径、1.25〜1.7 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
【0159】
フバーカル エリート(Hubercal Elite) 500(アメリカ、J.M.Huber Corpより入手可能)は、5.8 μmの平均粒子径および1.8 m2/gの比表面積を有する;
フバーカル エリート 500(アメリカ、J.M.Huber Corpより入手可能)は、8.2 μmの平均粒子径および1.3 m2/gの比表面積を有する;
【0160】
オムヤピュア(Omyapure) 35(フランス、パリ、Omya S.A.Sから入手可能)は、5〜30 μmの平均粒子径、および2.9 m2/gの比表面積を有する;
ソーカル(Socal) P2PHV(ベルギー、ブリュッセル、Solvayから入手可能)は、1.5 μmの平均粒子径、0.28 g/mLの見掛け嵩密度、および7.0 m2/gの比表面積を有する;
【0161】
10〜30 μmの平均粒子径、0.9〜1.2 g/mlの見掛け嵩密度、および0.7 m2/gの比表面積を有する、カルシ ピュア(Calci Pure) 250 Heavy、カルシ ピュア 250 Extra Heavyおよびカルシ ピュア GCC HD 212(セントルイス モンタナ、Particle Dynamic Inc.から入手可能)。
【0162】
本発明により製造される錠剤中のカルシウム含有化合物の含量は、例えば約45重量%〜約98重量%、約50重量%〜約95重量%、約55重量%〜約90重量%または少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%もしくは少なくとも約85重量%のような、約40重量%〜約100重量%の範囲である。
【0163】
通常、治療的または予防的目的のためのカルシウムの用量は、1日、約350 mg(例えば新生児)〜約1200 mg(授乳婦)である。錠剤中のカルシウム含有化合物の量は、錠剤が1日、1〜4回、好ましくは1日、1回か2回の投与に適するように調整され得る。
【0164】
前で述べたように、本発明の方法により得られる粒状物は、そのままで用いてもよいが、それは、例えば錠剤、カプセル剤またはサシェットのような固体の剤形にさらに製造されるのに非常に適してもいる。
当業者は、所望のカルシウム含有製品を得るために、その組成および種々の工程パラメータの調整の仕方を知るであろう。
【0165】
本発明の一つの態様において、本方法により得られる粒状物は、錠剤に製造されることを意図している。しばしば、得られる粒状物の付着を避け、そして/または流動性を増加するために、1以上の医薬的に許容される賦形剤(例えば滑沢剤)を加えることが必要である。したがって、本方法は、得られる粒状物と1以上の医薬的に許容される賦形剤とを混合する工程も含み得る。
【0166】
カルシウム含有化合物以外の活性な物質を含むことが望まれる場合、本方法は、得られる粒状物に1以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質を加える工程も含み得る。
そのような物質は、例えば、1以上のビタミンまたはミネラルのような、1以上の栄養剤を含む。具体的な態様において、さらなる活性な物質は、例えばビタミンD3、ビタミンD2またはそれらの誘導体のようなビタミンDである。
【0167】
ビタミンDまたはその他の活性物質
本発明により得られる粒子物質ならびに錠剤は、さらなる医薬的および/または予防的に活性な物質を含み得る。1以上のビタミン化合物に特に興味がある。非限定の例は、ロシュ(Roche)から入手可能な乾燥ビタミンD3、100 CWSおよびBASFから入手可能な乾燥ビタミンD3 100 GFPである。
【0168】
本発明により製造される粒子物質または錠剤は、さらなる医薬的および/または予防的に活性な物質を含み得るか、または例えば1以上のビタミンまたはミネラルのような1以上の栄養剤を含み得る。例えばビタミンB、ビタミンC、ビタミンDおよび/またはビタミンK、およびそれらの誘導体、ならびに例えば亜鉛、マグネシウム、セレン等のようなミネラルが特に興味がある。
【0169】
例えばビタミンD2(エルゴカルシフェロール)ならびにロシュから入手可能な乾燥ビタミンD3、100 CWSおよびBASFから入手可能な乾燥ビタミンD3 100 GFPを含むビタミンD3(コレカルシフェロール)のような、1以上のビタミンD化合物が特に興味がある。
【0170】
カルシウムおよび骨格の恒常性への作用に加えて、ビタミンDは、身体のいくつかの主なシステムの調節に関与する。ビタミンDの作用は、主に腎臓で作られる1,25-(OH)2 ビタミンDとビタミンD受容体(VDR)とで形成される複合体によりゲノムでメディケート(medicated)される。ビタミンD受容体は多くのセルタイプ中に広く分布している。1,25-(OH)2 ビタミンD/VDR複合体は、細胞分化および免疫系において重要な調節の役割を有している。これらの作用のいくつかは、多分、腎臓よりも他のある組織の、局所的に1,25-(OH)2 ビタミンDを作り、傍分泌として作用する能力に依存する(Adams JSら、Endocrinology 1996;137:4514-7)。
【0171】
ヒトにおいて、ビタミンDの欠乏は、小児においてくる病および大人において骨軟化症をもたらす。基本的な異常は、石灰化は骨芽細胞により行なわれるので、類骨から離れる石灰化速度の遅れである(Peacock M. London Livingstone, 1993:83-118)。この遅れが、骨芽細胞における、1,25-(OH)2 ビタミンD-依存メカニズムの破綻によるか、もしくは吸収不良の次のカルシウムおよびホスフェートの供給の減少によるか、または二つの組み合わせによるかどうかは明らかではない。石灰化の遅れに伴い、カルシウムおよびホスフェートの供給減少、低カルシウム血症および低リン酸塩血症を伴う重篤な二次性上皮小体機能亢進症および骨交替(turnover)の増加がある。
【0172】
ビタミンDの不足、ビタミンD欠乏の前臨床段階も、欠乏で見られるより緩和な度合ではあるが、カルシウム供給の減少および二次性上皮小体機能亢進症を引き起こす。もし、この状態が慢性になれば、オステオペニアを生じる。このカルシウムの不足状態の根底にある生化学的プロセスは、多分、その基質の25-OHDの還元による1,25-(OH)2 ビタミンDの不適切なレベルである(Francis RMら、Eur J Clin Invest 1983; 13:391-6)。
【0173】
ビタミンD不足の状態は、高齢者において、最も一般的に見られる。年齢に伴い、日光曝露の減少および起こり得る皮膚合成の減少により、血清25-OH ビタミンDが減少する。さらに、高齢者において、カルシウム取り込みの減少および逆説的なカルシウム吸収の減少により、この状態は悪化させられる。腎の1,25-(OH)2 ビタミンD産生の減少を生じる、年齢に伴う腎機能の減少が要因となり得る。
【0174】
高齢者の骨損失における、ビタミンD補給の効果の多くの研究がある。あるヒトはカルシウムの補給なしに、他のヒトはカルシウムの補給を伴う。その研究から、ビタミンD補給は欠乏および不足を覆すのに必要ではあるが、主な骨格の異常はカルシウム欠乏であるので、骨格に関する限りは、カルシウムを補給することがましてやなおさら重要であることが分かる。
【0175】
臨床試験に基づく文献において、最近の発見は、高齢の患者に対して、より高用量のビタミンDの必要性の傾向を提案している(Compston JE. BMJ 1998;317:1466-67)。ビタミンD 150.000〜300.000 IUの毎年の注射(約400〜800 IU/日に相当)のオープン準ランダム研究は、治療患者において、体全体の骨折率の有意な減少を示したが、股関節骨折の率には有意な減少を示さなかった(Heikinheimo RJら、Calcif Tissue Int 1992; 51:105-110)。
【0176】
前記から分かるように、カルシウムとビタミンDの組み合わせに興味がある。カルシウムとビタミンD3の推奨される一日許容量(recommended Daily Allowance (RDA))は次のとおりである(欧州委員会、欧州共同体中の骨粗鬆症の報告、予防のための処置、欧州共同体の公報局、ルクセンブルグ 1988):
【0177】
グループ年齢(歳) カルシウム(mg)* ビタミンD3 (μg)
新生児 0-0.5 400 10-25
0.5-1.0 360-400 10-25
小児 1.0-3.0 400-600 10
4.0-7.0 450-600 0-10
8.0-10 550-700 0-10
【0178】
男性 11-17 900-1000 0-10
18-24 900-1000 0-15
25-65 700-800 0-10
65+ 700-800 10
女性 11-17 900-1000 0-15
18-24 900-1000 0-10
25-50 700-800 0-10
51-65 800 0-10
65+ 700-800 10
妊婦 700-900 10
授乳婦 1200 10
* カルシウムのRDAは、国によって変わり、多くの国で再評価中である。
【0179】
ビタミンDは湿気に非常に感受性であり、分解される。それゆえ、ビタミンDは保護マトリックスの状態でしばしば投与される。したがって、ビタミンDを含んで錠剤が製造されるとき、錠剤化工程の間に適用される圧縮力が、マトリックスの保護効果を減少せず、それによりビタミンDの安定性を損なわないことが、最も重要である。
【0180】
このために、本発明により製造される粒状物または錠剤中の種々の成分の組み合わせは、錠剤化の間に比較的低い圧縮力を用い、適当な機械的強度(粉砕強度、破砕性等)を有する錠剤をそれでも達成することができるので、ビタミンDもその組成物中に組み込まれる場合に、非常に適していることが証明された。
【0181】
具体的な態様において、本発明は、
i) 活性物質としてカルシウム含有化合物、
ii) ビタミンD、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤(actives)
を含む錠剤を提供する。
【0182】
より具体的には、本錠剤は、
i) 少なくとも200 mgのカルシウム含有化合物(通常の範囲200〜1500 mg)、
ii) 少なくとも5 μgのビタミンD(通常の範囲5〜100 μg - 1 μg=40 IU)、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤
を含み得る。
【0183】
具体的な態様において、本発明は、成分の全量が約100重量%に相当する条件で、
i) 約50重量%〜約90重量%のカルシウム含有化合物、
ii) 約0.00029重量%〜約0.0122重量%のビタミンD、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤および活性剤
を含む錠剤を提供する。
【0184】
特に、本錠剤は、成分の全量が約100重量%に相当する条件で、
i) 約50重量%〜約90重量%のカルシウム含有化合物、
ii) 約5〜40重量%の甘味剤
iii) 約0.12重量%〜約4.9重量%の保護マトリックスを含むビタミンD、
iv) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤
を含み得る。
【0185】
その他の活性成分
例は、イソフラボン、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンB6ならびにイヌリンおよびオリゴフルクトースのようなオリゴサッカライドを含む。イソフラボンは弱いエストロゲン効果を示し、したがって、閉経後の女性の骨密度を増加させることができる。イソフラボンは、アメリカ、イリノイ州、ADM Nutraceuticalから商品名Novasoy 400で入手可能である。Novasoy 400は、イソフラボン40%を含み、典型的には、25〜100 mg イソフラボン/用量を提供するのに十分な量で用いられるであろう。イソフラボンは、第2の粒状物中に含まれ得るが、しかしながら、Novasoy 400は比較的粘着性の粉末であるので、それが均等に分布されることを保証するために、第1の粒状物中に含まれることが好ましい。
【0186】
ビタミンK(特にビタミンK1)は、骨形成および骨密度の生化学的マーカーを改善し得るし、ビタミンKの低濃度は、低い骨ミネラル密度および骨折と関連している。ビタミンKは、ロシュからDry Vitamin K、5% SD、ビタミンK1 5%を含む乾燥物質として入手可能である。典型的に、ビタミンKは、0.05〜5 mg ビタミンKj/用量を与えるのに十分な量で用いられるだろう。ビタミンCおよびビタミンB6 (ロシュ、その他からはタケダおよびBASFから入手可能)は、骨の有機マトリックスの主な成分のコラーゲンの形成におけるコ-ファクターとして機能する。ビタミンCおよびビタミンB6は、典型的には、それぞれ、60〜200 mg ビタミンC/用量および1.6〜4.8 mg ビタミンB6/用量を与えるのに十分な量で用いられるであろう。
【0187】
オリゴサッカライドは、カルシウムの吸収を促進し、増加することが示されており、典型的には、0.3〜5 g オリゴサッカライド/用量を与えるのに十分な量で用いられ得る。一般的に、カルシウムの取り込みを促進し、全生物的(prebiotic)効果を得るために、少なくとも合計5 gのオリゴサッカライドが1日に投与されることが望ましい。
【0188】
例えばビタミンDのような全体の粒状物のマイナーな部分を形成する、活性成分が用いられる場合、そのような成分と粒状物のプレミックス(premix)を製造した後、そのプレミックスと粒状物の残りの必要な量とを混合することが、一般的に好ましい。これは、粒状物中のマイナー成分の均等な分布を保証する。
【0189】
医薬的に許容される賦形剤
本文脈において、「医薬的に許容される賦形剤」の用語は、それ自体があらゆる治療的および/または予防的効果を実質的に有しない意味で不活性である、あらゆる物質を意味することを意図している。医薬的に許容される賦形剤は、許容可能な技術的性質を有する医薬組成物を得ることを可能にする目的で、活性薬物に加えられ得る。
【0190】
通常、カルシウム含有化合物は、錠剤への圧縮前に、1以上の医薬的に許容される賦形剤と混合される。そのような賦形剤は、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤のような固形剤の製剤化に通常用いられるものを含み、甘味料、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤等を含む。
【0191】
本発明による錠剤における使用に適した賦形剤の例は次のとおりである。
【表2】
【0192】
甘味剤
好適な甘味料の例は、デキストロース、エリトリトール、フルクトース、グリセリン、グルコース、イノシトール、イソマルト、イソマルチュロース、ラクチトール、乳糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、タガトース、トレハロース、キシリトール等を含む。ソルビトール、例えば、ネオソルブ(Neosorb) P100T、ソルビデクス(Sorbidex) P166B0およびソルボゲム ファイン クリスタリン ソルビトール(Sorbogem Fines Crystalline Sorbitol)は、Roquette Freres, CerestarおよびSPI Polyols Inc.からそれぞれ入手可能である。マルチソルブ(Maltisorb) P90(マルチトール)はRoquette Freresから入手可能、キシリトール(Xylitol) CM50、フルクトフィン(Fructofin) CM(フルクトース)およびラクチトール(Lactitol) CM50はDanisco Sweetenersから入手可能、イソマルト(Iaomalt) ST-PFおよびパラチノース(イソマルチュロース)、ガイオ タガトース(Gaio Tagatose)およびマンニトール(Manitol)はPalatinit, Arla FoodsおよびRoquette, Freresからそれぞれ入手可能である。
【0193】
ソルビトールは(ショ糖と比較して)0.55の甘味効果を有し;マルチトールは≦1の甘味効果を有し;キシリトールは1の甘味効果を有し;イソマルトは<0.5の甘味効果等を有する。甘味効果は、個々の甘味剤の選択と関連して価値があり得る。したがって、もし錠剤の減少した重量と容量を望むなら、高い甘味効果を有する甘味剤を選択することが好適である。
【0194】
人工甘味料
アセスルファムカリウム、アリテーム、アスパルテーム、シクラミン酸、シクラミン酸塩(例えばシクラミン酸カルシウム、シクラミン酸ナトリウム)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ネオヘスペリジン塩酸塩、サッカリン、サッカリン塩(例えばサッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウム、サッカリンカリウム、サッカリンナトリウム)、スクラロース(sucralose)、タウマチンおよびそれらの混合物。
【0195】
着香剤
アプリコット、レモン、レモン/ライム、ライム、オレンジ、マンダリン、例えば、Firmenich, Kerpen, Germanyから入手可能なアプリコット501.110 AP0551、レモン501.051 TP0551、レモン501.162 AP0551、レモン/ライム501.053 TP0551、ライム501.054 TP0551、オレンジ501.071 AP0551、オレンジTP0551、オレンジ501.434 P0551、マンダリン501.AP0551、レモン デュラローム(Durarome)501.282 TDI1091、またはTasteTech, Bristol, Englandから入手可能なジューシー レモン フレバリング(Juicy Lemon Flavouring)T3602、またはGivaudan Schweiz AG, Kemptthal, Schweizから入手可能なレモン ライム フレーバー パームシール(Lemon Lime Flavour Permseal)11029-31、レモン フレーバー パーマシール(Lemon Flavour Permaseal)12028-31、レモン フレーバー ウルトラドシール(Lemon Flavour Ultradseal)96918-71、またはFrey + Lau Gmbh, Henstedt-Ulzburg, Germanyから入手可能なレモン フレーバー パウダー(Lemon Flavour Powder)605786、レモン フレーバー パウダー605897。
【0196】
崩壊剤
アルギン酸−アルギネート、カルボキシメチルセルロース カルシウム、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越化学から入手可能なLH11、LH20、LH21、LH22、LH30、LH31、LH32)のようなセルロース誘導体および微結晶質セルロース、ポラクリリン カリウムまたはナトリウム、ポリアクリル酸、ポリカーボフィル、ポリエチレングリコール、ポリビニル酢酸、ポリビニルピロリドン(例えばポリビドン(Polyvidon)(登録商標)CL、ポリビドン(登録商標)CL-M、コリジング(Colliding)(登録商標)CL、ポリプラスドン(Polyplasdone)(登録商標)XL、ポリプラスドン(登録商標)XL-10);カルボキシメチル澱粉ナトリウム(例えばプリモゲル(Primogel)(登録商標)およびエクスプロタブ(Explotab)(登録商標))、クロスカルメロース ナトリウム(すなわち、架橋したカルボキシメチルセルロース ナトリウム塩、例えばアク-ジ-ソル(Ac-Di-Sol)(登録商標))、ナトリウム澱粉グリコレート、澱粉(例えば馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉)、α化澱粉。
【0197】
当業者は、圧縮性錠剤が30分以内、より望ましくは15以内、最も望ましくは5分以内に崩壊することが望ましいことを理解するであろう。それゆえ、好ましくは、用いられる崩壊剤は、30分以内、より好ましくは15分以内、最も好ましくは5分以内に錠剤の崩壊をもたらす。
【0198】
発泡剤(例えば炭酸水素ナトリウム(炭酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属)とクエン酸(酒石酸、フマル酸等)との混合物)。
【0199】
グリダント(Glidant)および滑沢剤
ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、タルク、高融点を有するワックスおよびグリセリド、水素化植物油、コロイドシリカ、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコールおよびアルキルサルフェートのようなグリダントおよび滑沢剤が組み込まれ得る。
好適な滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油等を含む。好ましくは、ステアリン酸マグネシウムが用いられる。
【0200】
充填剤/希釈剤/結合剤
デキストリン、マルトデキストリン(例えばロデクス(Lodex)(登録商標)5およびロデクス(登録商標)10)、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、エリトリトール、イソマルト、ラクチトール、乳糖(例えば噴霧乾燥乳糖、α-乳糖、β-乳糖、タブレトース(Tabletose)(登録商標)、種々のグレードのファーマトース(Pharmatose)(登録商標)、ミクロトース(Microtose)またはファースト-フロク(Fast-Floc)(登録商標))、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、タガトース、トレハロース、キシリトール、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(例えば信越化学から入手可能なLH11、LH20、LH21、LH22、LH30、LH31、LH32)、微結晶質セルロース(例えば、アビセル(Avicel)(登録商標)PH101、アビセル(登録商標)PH102またはアビセル(登録商標)PH105のような種々のアビセル(登録商標)、エルセマ(Elcema)(登録商標)P100、エムコセル(Emcocel)(登録商標)、ビバセル(Vivacel)(登録商標)、ミン タイ(Ming Tai)(登録商標)およびソルカ-フロク(Solka-Floc)(登録商標))、澱粉または加工澱粉(例えば馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉)、ポリビニルピロリドン(例えばBASFからのコリドン(Kollidon)25、30および90F、ならびにISPからのプラスドン(Plasdone)K-12、K17、K-25、K-30およびK-90)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーであるコポビドン(例えばBASFからのPVP VA64およびISPからのプラスドンS-630)、寒天(例えばアルギン酸ナトリウム)、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム(例えば、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム)、硫酸カルシウム、カルボキシアルキルセルロース、デキストレート、二塩基性リン酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド(例えばデキストラン、大豆ポリサッカライド)、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム。
【0201】
上記の物質のいくつかは、本発明の使用に適したポリマー物質のグループにも属する(以下の段落も参照)。特に、このことは、澱粉または加工澱粉(例えば馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉)、ポリビニルピロリドン、コポビドンまたはポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、寒天(例えばアルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコール)、カルボキシアルキルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリサッカライド(例えばイヌリン、デキストラン、大豆ポリサッカライド)に当てはまる。
【0202】
界面活性剤/エンハンサー
次のような界面活性剤が用いられ得る:
非イオン性(例えばポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ポリソルベート120、ソルビタン モノイソステアレート、ソルビタン モノラウレート、ソルビタン モノパルミテート、ソルビタン モノステアレート、ソルビタン モノオレエート、ソルビタン セスキオレエート、ソルビタン トリオレエート、グリセリル モノオレエートおよびポリビニルアルコール)、
【0203】
アニオン性(例えばドキュセートナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウム)
カチオン性(例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびセトリミド)
脂肪酸、脂肪アルコールおよび脂肪エステル、例えば:
オレイン酸エチル、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸、ラウリル酸メチル、オレイン酸、カプリン酸ナトリウム
【0204】
ジオクチル カルシウム スルホスクシネート、ジオクチル カリウム スルホスクシネート、ドデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド、トリメチルテトラデシルアンモニウム ブロマイド、ポリオキシエチレン エーテル(ポリオキシエチレン-9-ラウリル エーテル)、ドデシル硫酸ナトリウム、ナトリウム ジオクチル スルホスクシネート、ラウリル酸ナトリウム、5-メトキシサリチル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム;
【0205】
胆汁酸塩、例えば:
デオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸、コール酸ナトリウム、コール酸、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム;
細胞粘着剤、例えば:
レクチン(例えばトマト凝集素(Lycopersicon Esculentum Agglutinin)、小麦胚凝集素(Wheat Germ Agglutinin)、ウルチカ ジオイカ凝集素(Urtica Dioica Agglutinin))。
【0206】
N-アシル化アミノ酸(特に、N-[8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ)ベンゾイル]アミノカプリル酸(4-MOAC)、4-[4-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]酪酸、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]-カプリル酸ナトリウム);
【0207】
リン脂質、例えば:
ヘキサデシルホスホコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、1,2-ジ(2,4-オクタデカジエノイル)-sn-グリセロール-3-ホスホリルコリンおよびホスファチジルコリン(例えばジデカノイル-L-ホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン)、リゾホスファチジルコリンが特に興味がある;
【0208】
シクロデキストリン、例えば:
β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル β-シクロデキストリン、メチル シクロデキストリン;特に、ジメチル-β-シクロデキストリンが特に興味がある;
フシジン酸誘導体、例えば:
タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、ホスフェート-ジヒドロフシジン酸ナトリウム;特に、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウムが特に興味がある。
【0209】
その他:
例えばグリシルリジン酸、カプリン酸のナトリウム塩、アルカン(例えばアザシクロアルカン)、アミンおよびアミド(例えばN-メチル-ピロリドン、アゾン(Azone))、アミノ酸および修飾アミノ酸化合物(例えばアセチル-L-システイン)、ポリオール(例えばプロピレングリコール、ヒドロゲル)、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド)、テルペン(例えばカルボン)、アンモニウム グリシルリジネート(ammonium glycyrrizinate)、ヒアルロン酸、イソプロピル ミリステート、n-ラウリル-β-D-マルトピラノシド、サポニン、DL-オクタノイルカルニチン クロライド、パルミトイル-DL-カルニチン クロライド、DL-ステアロイルカルニチン クロライド、アシルカルニチン、エチレンジアミンジヒドロ-クロライド、ホスフェート-ジヒドロフシデート、ナトリウム CAP);特に、n-ラウリル-β-D-マルトピラノシドが特に興味がある、α 1000 ペプチド、少なくとも6モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸を含むMW<1000 ペプチド、分解されたロイヤルゼリー、プレビオチカ(prebiotica)、ブチレート、酪酸、ビタミンD2、ビタミンD3、ヒドロキシ-ビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD3、スピルリナ、プロテオグリカン、大豆加水分解物、リジン、乳酸、ジ-フルクトース-無水物、ビリトール(vylitol)Ca-(ラクテート)、カゼインの加水分解物、特にカゼイノグリコマクロペプチド、CaCO3の陰イオン化(negative ionization)、アセチルサリチル酸、ビタミンK、クレアチン。
【0210】
フィルム形成剤(ポリマー物質)
親水性フィルム形成剤、例えばポリビニルピロリドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えばHPMC E5、HPMC E15)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリデキストロースおよびマルトデキストリン、Seppic S.A.から入手可能なセピフィルム(Sepifilm)(商標)およびセピフィルム(商標)LP、信越化学から入手可能なファーマコート(Pharmacoat)(登録商標)。
【0211】
フィルム添加剤
アセチル化モノグリセリド、アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、ステアリン酸カルシウム、ひまし油、セタノール、クロレブタノール、コロイドシリカ、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、グリセロールトリブチレート、グリセロールトリアセテート、グリセリル ベハネート、モノステアリン酸グリセリル、水素化植物油、レシチン、ロイシン、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレン グリコール、プロピレン グリコール、ポリソルベート、シリコーン、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ステアリン酸亜鉛、ワックス。
【実施例】
【0212】
次の非限定的な実施例は、本発明を説明することを意図している。
実施例
本実施例は、本発明の必要とされる(entailed)詳細な説明に従って処理された。
流動床造粒および乾燥は、造粒される粉末混合物の流動化のために、生成物容器および膨張室からなる流動床噴霧造粒機で行なわれる。設定に関する詳細は、本明細書の前で述べられている。粉末混合物は、生成物容器の底の生成物スクリーンに留まっており、流動床噴霧造粒機の出口側の排気フィルターにより、膨張室を抜け出ることを制限されている。粉末の流動化に必要な気流は、ユニットの上端部に取付けられた吸出し扇風機により発生される。流動化に用いられる空気は、装置の空気入口部に配置された空気加熱機により所望の温度まで加熱される。粉末混合物は、十分な空気量で流動化され、造粒液は、複数のバイナリノズルからなるスプレーヘッドにより微細な噴霧として霧状にされる。スプレーヘッドは、脈打つ粒子へ「トップスプレー」を意味する向流または脈打つ床に「ボトムスプレー」を意味する並流の造粒液の噴霧スプレーを追加し得る。湿った粒子は、粒子-粒子の接触により凝集または造粒を受ける。適当な造粒が達成されたあと、スプレー操作は停止され、物質が乾燥され、ユニットから排出される。重大な製剤特性および流動床工程に対して工程パラメータを調整することによって、粉末状の混合物中の個々の粒子を凝集、インスタンタイズ、またはコーティングすることができる。
【0213】
別に特定されていなければ、組成物は、製剤間の比較を容易にするために、錠剤重量、強力甘味料の濃度およびタイプ、着香剤の量およびタイプ、ステアリン酸マグネシウムの量ならびに用いられる錠剤化圧力で規格化された。錠剤化圧力は、2%より低い破砕性の満足な値を得るために、各々の場合で調整された。
【0214】
錠剤圧縮曲線は、例えば炭酸カルシウム結晶のコーティング層中のポリマー物質および水溶性物質のタイプと量のような製剤化の変数の関数として、圧縮挙動を調べるため、大多数の製剤に対して行なわれた。
【0215】
キシリトールならびにその他のポリオールおよび炭水化物のような水溶性物質は、大多数の製剤において、それぞれ流動床凝集およびコーティング前の造粒液および乾燥粉末混合物に対して2つの量に分けられた。
【0216】
粒状物および錠剤は、嵩密度、粒子径および分布、錠剤化圧力、粉砕強度、破砕性、錠剤の密度、錠剤の多孔性、崩壊性および溶出性に関して、特徴付けられた。崩壊性および溶出性の両方は、前の本文に記載されているようにヨーロッパ薬局方に従って行なわれた。溶出試験は、実施例1、2、3、4、参考例3および参考例4に対してのみ行なわれた。
【0217】
【表3−1】
【表3−2】
【0218】
参考例1は、流動床造粒および乾燥中に、コポビドンの28%溶液が造粒液として用いられた製剤を示す。該製剤は、満足に凝集せず、余りにも微細な物質および平均粒子径の低値を有する粒状物を生じた。該粒状物を18 kNの高い錠剤化圧力で錠剤に圧縮することは困難であることが判明し、低すぎる粉砕強度を有する錠剤および破砕性の高すぎる値を有する非常に脆い錠剤を生じた。
【0219】
参考例2におけるキシリトールの50%溶液での造粒は、全然圧縮せずかつ100%の破砕性値を有する非常に不満足な粒状物を生じた。
本発明の実施例1は、あらゆる追加の充填材なしで、コポビドン28%とキシリトール19.7%とからなる造粒液を用いてに造粒された炭酸カルシウムである。驚くべきことに、造粒液中で、ポリマー結合材と可溶性の充填剤との組み合わせは、D10が82μmの高値で、粒状物の平均粒子径が219μmである非常に良好な凝集を生じた。
【0220】
本発明の実施例2は、流動床造粒およびコーティングの前に少量のキシリトールの粉末混合物への添加およびコポビドン28%とキシリトール29.7%とからなる造粒液が用いられた炭酸カルシウムを示す。ほとんど微細な物質を有せず、平均粒子径225μmを有するさらさらした粒状物が得られた。
【0221】
図3に示されるように、実施例1および2に対して、非常に良好な錠剤圧縮曲線が得られたことは、同様に驚くべきことである。2つの実施例に対して、10〜14 kNの範囲の低錠剤化圧力で、2%より低い満足な破砕性値を有する、直線の圧縮曲線が見られ得る。
錠剤実施例1および2は、小さい錠剤を生じる低値の錠剤密度でさらに特徴付けられ、その場合、錠剤の多孔性に対しては満足な高値が維持されていた。
3分の非常に短い崩壊時間、60秒の短いハンギング錠剤スリップタイムおよび10分後に90重量%が溶出する速い溶出速度は、2つの製剤が錠剤溶融性(tablet melt characteristics)を有することを示している。
【0222】
実施例3、4、参考例3および4
市販の顆粒品質の炭酸カルシウムに基づく2つの参考例(参考例3および4)が、本発明の製剤に対して、これらの製剤を基準とするために用いられた。
【0223】
【表4−1】
【表4−2】
【0224】
本発明の実施例3および4ならびに参考例3および4は、錠剤の特性と官能性に関して、これらを比較するために同じ量の着香剤、強力甘味料および錠剤化滑沢剤で製造された。
【0225】
本発明の実施例3および4は、小さい錠剤の形成を容易にする、1.5〜1.7 g/cm3の範囲の見掛け錠剤密度を有する密な錠剤として特徴付けられる。該錠剤は、30〜38%の範囲にある多孔性の十分な高値により特徴付けられる。実施例3および4は、9〜10 kNの低い錠剤化圧力で、それぞれ40〜50 Nおよび0.5〜1.2%の満足な粉砕強度と破砕性を有する錠剤を生産することも見られ得る。該錠剤は、1〜3分の速い崩壊時間と10分後に90重量%が溶出する素早い溶出速度でさらに特徴付けられる。実施例4に対するハンギング錠剤スリップタイムはわずか24秒であり、この製剤の優れた溶融性を証明する。
【0226】
参考例3は、Roquette Freresからのリカタブ ミネラル(Lycatab Mineral) CC 190に基づく錠剤である。この品質は、10%トウモロコシ澱粉で造粒された、Scora Watrigant SA, Franceからのスコラライト品質に基づくものである。
この品質は、密度の濃い錠剤を生産するが、その崩壊時間は30分を超え、カルシウムの溶出性は、カルシウム含有溶融タブレットに対するインビトロでの要件を満たさない、10分後にわずか17重量%である。
【0227】
参考例4は、噴霧乾燥法によって製造された、70%の炭酸カルシウムからなる、Merck KgaA, Germanyからのフォルマックス(Formaxx) CaCO3に基づく錠剤である。この粒状物だけで70%の炭酸カルシウムを含むので、1420 mgの錠剤重量を達成するために、980 mgだけの炭酸カルシウムがこの錠剤に組み込まれ得る。噴霧乾燥物質の高い多孔性のために、それはあまり密度の濃くない錠剤でもある。参考例4は、本発明の実施例と比較したとき、崩壊速度および溶出速度に関して劣った性質を示す。両参考例は、これらの製剤が溶融性を有しないことを示す、ハンギング錠剤スリップタイムに対して高い値を有する。
【0228】
4つの製剤は、本明細書の詳細な説明下に記載された官能性分析により互いに比較された。その製剤中のソルビトールのより高い含量のために実施例4中の甘味料のレベル以外は、4つの製剤は、着香剤、強力甘味料および錠剤化滑沢剤の同じ量およびタイプを含んだ。図5は、4つの製剤を用いて行なわれた官能性分析の結果を視覚化する。
【0229】
実施例3および4は、両実施例が、図5で2つのアスタリクスで印が付けられた2つの参考例から95%の信頼性のレベルで3つの全ての官能に統計的差がある、1つのアスタリスクで印が付けられている。
【0230】
本発明の実施例3および4は、4つの製剤が同じ量の着香剤を含むけれども、レモン臭に関して一番良い結果となった。この理由は、実施例3および4に対する口の中での改善された崩壊性/分散性および香り放出による。
【0231】
本発明の実施例3および4は、Nycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815によるカルシウムチュアブル錠に基づく参考品に対して試験された。本発明の両製剤は、参考錠剤に対して比較されたとき、有意により短い溶融分散を有する結果となった。実施例4は、52秒の溶融分散時間を有する一番良好な溶融特性を有した。溶融分散時間に関して、実施例3および4との間にも統計的差があった。その結果が図6に示されている。
【0232】
したがって、本発明の組成物は、チュアブル錠においての使用が推奨される市販の炭酸カルシウム品質との比較で、優れた錠剤の特性を与え、官能性を改善することが示された。本発明のカルシウム溶融製剤は、Nycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815に基づくカルシウム錠と比較されたとき、有意により短い溶融分散時間を有することがさらに示された。これらの優れた性質は、錠剤の密度が濃いとの事実にも拘わらず達成されており、したがって、減少された錠剤容積および錠剤サイズ/直径も提供する。
【0233】
実施例5、6、7、8および9
一連の実施例は、ポリマー物質(結合剤材料も意味する)および水溶性物質(可溶性充填剤も意味する)との間の割合を変えるために行なわれた。造粒液中に50重量%の一定の乾燥物質含量を有するように、キシリトールの量が調整された造粒液に、ポリマー性の結合剤材料(この場合ポビドンK-30であった)が、3.8、9.8、15.8、21.8および27.9重量%の濃度で加えられた。
【0234】
【表5−1】
【表5−2】
【0235】
平均粒子径は、粒状物中の結合剤の濃度が増加するにつれて増加することが見られ得る。粒状物は、狭い粒子径分布を示す、スパン値に対する低い値でさらに特徴付けられる。該錠剤から、錠剤重量当り0.5%ぐらい少量のポビドンK-30は、許容される粉砕強度および破砕性を有する錠剤を産生することが見られ得る。粒状物中の結合剤の濃度が増加するにつれて、粉砕強度は増加し、破砕性値は減少する。
【0236】
錠剤中の結合剤含量が増加するにつれて、崩壊性およびハンギング錠剤スリップタイムが増加することも見られ得る。このことは、わずかな程度に水の進入を減少する、炭酸カルシウム結晶の回りのより粘性なフィルムの存在に起因する。上記の一連の実施例に対する最も良好な溶融性は、錠剤製剤中の結合剤の0.4〜1.8重量%と等価である、結合剤(ポビドンK-30)の6〜26 mgの含量で見られる。
【0237】
実施例10、11、12、13、14および15
炭酸カルシウム結晶のコーティング中の充填剤材料のタイプの柔軟性が次の実施例で詳細に調べられた。
【表6−1】
【表6−2】
【0238】
該結果から、多くの充填剤材料を、炭酸カルシウム結晶のコーティング中の成分として用いることができることが理解され得る。満足な凝集は、200〜307 μmの範囲の平均粒子径および狭い粒子径分布を示す低いスパン値で達成される。
該配合は、1.57〜1.66 g/cm3の範囲の密度が濃く、かつ多孔性において32〜36%の範囲の十分に高い値を有する錠剤を産生することが理解され得る。崩壊時間およびハンギング錠剤スリップタイムに対する値は、キシリトールが炭酸カルシウム結晶を被覆するフィルム中の好ましい充填剤材料の1つであることを示す、キシリトールに対して得られるものよりもわずかに高い。
【0239】
70〜117 Nの比較的高い粉砕強度および0.1〜0.4%の非常に低い破砕性値は、8〜10 kNの低い錠剤化圧力で達成される。
【0240】
実施例16、17、18および19
炭酸カルシウムの異なる品質および炭酸カルシウム結晶のコーティング中の湿った結合剤材料の異なるタイプが、次の実施例で詳細に調べられた。
【0241】
【表7−1】
【表7−2】
【0242】
該結果から、炭酸カルシウム結晶のコーティング成分として異なる結合剤材料を用いることができることが理解され得る。
実施例17は、錠剤中に0.09%の濃度でだけ存在するアルギン酸プロピレングリコールを含む。しかしながら、それは、ハンギング錠剤スリップタイムに対する高い値を説明する、低濃度で非常に粘性な結合剤である。
実施例18および19は、1.5 m2/gまでの比表面積を有する異なる品質の炭酸カルシウムが、粒状物および錠剤の特性に良好な結果を持って用いられ得ることを示す。
【0243】
実施例20、21、22、23および24
一連の実施例が、水溶性物質(可溶性充填剤も意味する)の量を変化するために、行なわれた。ポリマー結合剤の量が、錠剤当りそれぞれ16および26 mgの2つのレベルに保たれた錠剤に、可溶性の充填剤が、4.2、2.2、1.1および0.6重量%の量で加えられた。
【0244】
【表8−1】
【表8−2】
【0245】
粒状物は、狭い粒子径分布を示すスパン値の低い値でさらに特徴付けられる。該錠剤から、錠剤当り7.5 mgまたは0.6%ほどの少ないキシリトールは、許容される粉砕強度および破砕性を有する錠剤を産生することが理解され得る。錠剤製剤が、錠剤中の可溶性の充填剤材料の低いレベルによる高い錠剤密度で特徴付けられることがさらに理解され得る。したがって、カルシウム含有化合物をコーティングまたは部分的にコーティングするために水溶性物質とポリマー物質との組み合わせの使用は、Ca化合物の驚くべき高含量を有する錠剤の製造を可能にする。本実施例において、錠剤はチュアブル錠として設計されるが、それは、通常の経口投与、すなわち錠剤を飲み込むことによる投与も可能な特性を有している。そのような場合、飲み込み可能な錠剤のために香りは除外されうる事実により、Ca含量は、さらに高く(97重量%)なるであろう。
【0246】
錠剤溶融特性は、それぞれ、57〜123秒および25〜65秒の範囲の崩壊時間およびハンギング錠剤スリップタイムを有して、全一連の製剤に対して達成される。
錠剤溶融機能特性が、活性成分が96%を超える量で存在する(実施例24)、これらの低い賦形剤レベルで保持されることは、驚くべきことである。
【0247】
実施例25、26および27
その他のカルシウム塩および特に有機酸に基づくカルシウム塩を使用するために、一連の実施例が行われた。炭酸カルシウムと乳酸カルシウムおよびクエン酸カルシウムとの組み合わせが、各錠剤中に十分な量のカルシウムを有するために、また製剤化された。実施例25、26および27は、錠剤当りそれぞれ350、400および200 mgのカルシウムを含む。
【0248】
【表9−1】
【表9−2】
【0249】
上記の錠剤から、低錠剤化圧力で許容される破砕性と粉砕強度を有するタブレット溶融錠剤が得られることが理解される。タブレット溶融特性は、それぞれ50〜92秒および35〜95秒の崩壊時間およびハンギング錠剤スリップタイムで明らかである。
【0250】
錠剤密度は、有機カルシウム塩に基づく錠剤が、主に炭酸カルシウムに基づく錠剤より密度が濃くない場合において、用いられる特定のカルシウム塩またはカルシウム塩の組み合わせに依存することが理解され得る。
【0251】
実施例28
高剪断混合機中での湿式造粒
28A. 設計
この実験で試験される組成物は次のとおりである:
【0252】
【表10】
【0253】
炭酸カルシウムは、可溶性充填剤の一部と混合される。
混合物は、その溶液/懸濁液がノズルの使用により粉末混合物にスプレーされる、水溶性物質の残りおよび結合性を有するポリマー物質の溶液/懸濁液で湿らされた。スプレーすることの目的は、実質的にフィルムでコーティングされた炭酸カルシウムの粒子および/または結晶を得るためである。
【0254】
湿らされた粉末マス(mass)が、1〜10分の間に湿った塊にされる。
粒状化された粉末マスは、1.0%より低い水分含量まで乾燥される、流動床乾燥機に移される。
乾燥粒状物は、1.5 mmのスクリーンを通され、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0255】
28B. 試験スケールの実験
その他の造粒法が本発明のタブレット溶融製剤を製造するために使用され得ることを示すために、1つの実施例が試験スケールの高速混合機中で行なわれた。
造粒は、6 kgのバッチサイズでFielder PMA 25中で行なわれた。主要部のインペラーとナイフは、それぞれ400 RPMおよび3000 RPMの混合速度に設定された。60%の乾燥物含量を有する造粒液300 gが、80 g/分のスプレー速度および1.5バールのスプレー噴霧圧力で、粉末混合物に適用された。
【0256】
次に、湿った粒状化生成物は、12メッシュのスクリーンを通され、3 kgが乾燥のために試験スケールの流動床(Glatt GPCG 3)に移された。
生成物は、最終水分含量0.1%まで80℃で乾燥された。次いで、乾燥粒状物は、着香剤粒状物およびステアリン酸マグネシウムと混合され、14 mmの普通の中高(convex)錠が製造された。
【0257】
【表11】
【0258】
上記実施例は、カルシウム溶融錠が流動床以外の造粒法で用いられ得ることを示している。カルシウム溶融錠は、38 kNの錠剤化圧力で、破砕性に対する低値および許容される粉砕強度を有して得られた。タブレット溶融特性は、83秒の崩壊時間および50秒のハンギング錠剤スリップタイムで明らかとなった。
【0259】
高剪断造粒に基づく錠剤製剤は、1.72 g/cm3の高密度および30.1%の多孔率を有する。本発明の流動床造粒/コーティングに基づく製剤と比較して、該密度は高く、該多孔率は幾分低い。これは、高剪断混合機は、混合機中、高剪断速度で湿った塊になる間により密度の濃い粒状物を形成するという事実によると予想される。
【0260】
実施例29
炭酸カルシウム含有粒状物の製造スケールの製造
次の間隔内で単位投与量当りの組成を有する粒状物が製造された:
【0261】
【表12】
【0262】
造粒試験が、複数のヘッドノズル(2.3 mm)を用いるGlatt流動床造粒機で行なわれた。バッチサイズは250 kgであった。
炭酸カルシウムが生成物容器に移され、キシリトール、ポビドン30および人工甘味料が水に溶解された。
【0263】
粉末床が、造粒を開始する前に、35〜40℃の温度に加熱された。入口空気温度は、冷却工程までの試験全体の間80℃に維持された。生成物温度は、凡そ4.5バールの噴霧空気圧が、造粒液を霧状にするために用いられる造粒工程の間、35〜40℃に維持された。乾燥の間、生成物温度は50〜52℃に上げられ、その後、入口空気温度が20℃に下げられ、冷却工程を開始した。生成物温度が40〜45℃に達したとき、冷却を止め、粒状物を流動床から排出した。
【0264】
6回の試験が行なわれた。試験1〜4は、キシリトール/ポビドン30レベルおよびスプレー速度(造粒液)が独立変数である、22 要因計画(factorial design)に設定された。試験5において、要因計画のものと比較して、キシリトールのレベルは増加され、ポビドン30のレベルは減少された。試験6において、要因計画のものと比較して、キシリトールのレベルは減少され、ポビドン30のレベルは増加された。
【0265】
【表13】
【0266】
炭酸カルシウム結晶の被覆(コーティング)の度合を測定するため、造粒液中の固体、製造された粒状物中の固体により、XPS(X線光電子分光法)測定が試験1、2および4になされた。
粒状物の表面が被覆されていることを示す結果が次に示される:
【0267】
【表14】
【0268】
より均一な分布をもたらすべきである長い造粒時間でさえ、結合剤(ポビドン30)および水溶性充填剤(キシリトール)による炭酸カルシウムの完全な被覆を保証しない。
【0269】
【表15】
【0270】
【表16】
【0271】
要因計画の一部である試験の統計分析は、スプレー速度に対して有意な統計学的効果を示す。スプレー速度の増加は、D50およびD10における増加をもたらす。
分析は、低いキシリトールの量に対して有意な統計学的効果を示し、嵩密度の増加をもたらす。このことは、キシリトールの低い量と高いスプレー速度との組み合わせにも当てはまる。
【0272】
実施例30
炭酸カルシウム含有錠剤の製造
最終粒状物は、実施例29で得られた粒状物にデュラローム(登録商標)着香剤粒状物およびステアリン酸マグネシウムを混合することにより製造され、特別な顆粒(extra-granule)の賦形剤が加えられた。
【0273】
【表17】
【0274】
錠剤は最終粒状物から製造された。
錠剤は、14 mmの普通の中低の(concave)パンチおよび次の圧縮力:0.6トン、1.0トン、1.4トン、1.8トンおよび2.2トンを用いて、16点(station)B3B (Manesty)上で圧縮された。粉砕強度−圧縮力プロファイルが得られた;図8参照、ならびに崩壊時間、錠剤多孔率(1トンの圧縮力)が得られた。
【0275】
【表18】
【0276】
22要因計画を挿入するバッチ1〜4の統計分析は、非常に確固たる錠剤化法を示す有意な効果を示さない。
このことは、錠剤技術データおよび図8の粉砕強度−圧縮力プロファイルによっても説明される。
【0277】
試験5および6は、要因計画の部分ではないが、実際的見地から、この2つの試験に対する崩壊時間も錠剤多孔率も、計画の結果から有意に逸脱しない。
図8から、試験6の粉砕強度レベルは、残りの試験に対する傾きより低いことが理解される。これは、おそらく、その製剤中のキシリトールのより少ない量により引き起こされる(実施例29参照)。
【0278】
実施例31
代わりのポリマー化合物の試験
次の設計による、異なる濃度での寒天およびコリコート(Kollicoat) IRが試験された:
【表19】
【0279】
炭酸カルシウムが、上端スプレー構成を有するGPCG 3 流動床(Glatt)中の生成物容器に移され、キシリトールとポリマー化合物が水に溶解された。炭酸カルシウムが、次の工程パラメータを用いて造粒された:
造粒液流速: 120 g/分
造粒入口空気温度: 80℃
乾燥入口温度: 80℃
乾燥終点温度: 45℃
冷却終点温度: 42℃。
【0280】
冷却後、サイズを超えたあらゆる粒子を除くために、粒状物は1400 μmのスクリーンを通された。最終粒状物を得るために、ステアリン酸マグネシウムと混合された。該粒状物は、2分されたラインで、14 mmの平らなはす縁(flat beveled edged)パンチを用いて、錠剤に圧縮された。試験の結果は、結果の表で理解され得る。
【0281】
【表20】
【0282】
一般的に、それがハンギング錠剤に対するスリップタイムに対する場合でも同様に、ポリマー濃度の増加に対して粉砕強度が増加することが示された。満足な生成物を得るために、工程および製剤のパラメータを注意深く選択することが必要であるが、結果の表からも理解され得る。
【0283】
実施例32
代わりの可溶性化合物の試験
次の設計により、クエン酸、グリシン、塩化ナトリウムおよびアスコルビン酸ナトリウムが試験された:
【0284】
【表21】
【0285】
炭酸カルシウムが、上端スプレー構成を有するGPCG 3流動床(Glatt)中の生成物容器に移され、可溶性化合物およびポビドン30が水に溶解された。次に示されるパラメータを用いて造粒された:
造粒液流速: 120 g/分
造粒入口空気温度: 80℃
乾燥入口温度: 80℃
乾燥終点温度: 45℃
冷却終点温度: 42℃。
【0286】
冷却後、粒状物は、サイズを超えたあらゆる粒子を除くために、1400 μmのスクリーンを通された。最終粒状物は、スクリーニングされた粒状物にステアリン酸マグネシウムを混合することにより得られた:
【0287】
【表22】
【0288】
結果の表から、ポリマーと組み合わせての可溶性化合物の使用は、溶融性を有する錠剤をもたらすことが理解され得る。
【0289】
結果
【表23】
【0290】
満足な生成物を得るために、工程および製剤パラメータを注意深く選択することが必要である。もし適当な工程パラメータが選択されるならば、実施例31および32からの製剤パラメータを組み合わせることによっても、満足な生成物を得ることが可能であろう。
【0291】
実施例33
Schugiフレキソミックス(flexomix)システムでの湿式造粒
33A. 設計
この実験で試験される組成は次のとおりである:
【表24】
【0292】
炭酸カルシウムが、可溶性充填剤の一部と混合され、100 kg/時間〜5000 kg/時間の間の速度で、Flexomixシステムを通された。
混合物は、4 kg/時間〜700 kg/時間のスプレー速度でのノズルの使用により、水溶性物質の残りと結合性を有するポリマー物質との溶液/懸濁液で湿らされた。混合ブレードのRPMは1000〜4500の間に設定される。
【0293】
粒状化された粉末マスは、連続流動床乾燥機に移され、そこで、1.0%より低い水分含量まで乾燥される。
乾燥された粒状物は、1.5 mmのスクリーンを通され、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物は、チュアブル錠に圧縮される。
【0294】
33B. Schugi Flexomix中での造粒、可溶性物質、ポリマーの量の試験およびSchugi変数:
粒状物の製造
炭酸カルシウム粉末が、ホッパーに移された。水および賦形剤からなる造粒液が、ジャケット付き容器中で製造された(組成に対する設計表を参照)。
造粒は、凡そ30 kgのバッチサイズおよび+2のナイフの位置で、Schugi Flexomix FX-160中で行なわれた。混合シャフトの回転速度は、3500 rpm〜4500 rpmの間に変えられた。粉末の供給は、撹拌機を有するK-トロン T-65 プレ-供給機およびK-トロン 一定重量供給機WF300の使用により制御された。造粒液は2つのノズルによる噴霧によって、粉末に添加された。
湿った粒状物は、水平流動床乾燥機に移され、規定の最終物温度に乾燥された。
【0295】
設計:
【表25】
【0296】
粒状物は、Erweka回転混合機の使用により、27 rpmで5分間、凡そ5 kgのバッチサイズで、着香剤粒状物および0.50パーセントのステアリン酸マグネシウムと混合された。
錠剤は、輪転機および14 mmの丸型の平らなはす縁パンチを備えたKorsch PH106の使用により製造された。錠剤マスの対象(target)は、錠剤当り1250 mgの炭酸カルシウム量を与えるように調整された。圧縮力は、粉砕強度/圧縮力プロファイルを得るために、各粒状物に対して凡そ40 N、70 Nおよび100 Nの粉砕強度に対して調整された。
【0297】
【表26】
【0298】
該錠剤は、粉砕強度、崩壊性、ハンギング錠剤のスリップタイムで特徴付けられる。
上記の設計の、粉砕強度への影響を図9に、図10にハンギング錠剤のスリップタイムへの影響、図11に崩壊時間への影響が示される。該製剤の健全性(robustness)は、反復(試験4〜6)とキシリトールおよびPVP(錠剤の組成物)の量ならびに液体流速およびrpm(実際の設計)における変動、試験1〜3との比較により説明される。
試験1〜6の粉砕強度、スリップタイムおよび崩壊時間における際立った差がないことは、Schugi-Flex-O-Mix技術に基づく錠剤の健全性を強調する。
【0299】
33C. 製剤中のポリマーを除いたSchugi Flexomixでの造粒
次の試験設計と組成を有する錠剤の製造および特徴付けが、実施例33Cに記載されたように行なわれた:
【0300】
【表27】
【0301】
【表28】
【0302】
圧縮実験は、キャッピング(capping)または錠剤が軟らかすぎるために、許容される品質の錠剤を得ることができなかったを示した。
【0303】
実施例34
造粒液中、可溶性化合物としてキシリトールおよびポリマーとしてPVP30を用いて、造粒されたカルシウム含有化合物のコーティングされたおよびコーティングされていない表面の実例
実施例29により製造された粒状物をXPSにより試験した、結果に対しては実施例29を参照。粒状物中のカルシウム含有化合物の見えている面の20.9 %〜26.9 %が、造粒液の乾燥物成分によってコーティングされないことが記録される。これらのコーティングされない表面の外観を詳細に調べるために、ESEM(環境制御型走査電子顕微鏡検査法)が用いられた。
【0304】
図12a〜12cにおいて、指定された矢印Aは、カルシウム含有化合物のコーティングされていない表面積の領域を示している。これらの領域は、しばしばとがったもしくはかなり大きな平たい領域または表面上の直線様の模様によって特徴付けられる。指定された矢印Bは、コーティングされた領域を示している。これらの領域は、丸い表面または波のような模様もしくはでこぼこの領域によって特徴付けられる。
【0305】
実施例29の結果を考慮して、これらの結果は、コーティング組成物または造粒液中の成分によるCa含有化合物の100%のコーティングまたは被覆は必ずしも必要でないことを示している。
【0306】
次の実施例に、さらなる計画された検討を記載する。
実施例35
2軸スクリュー押出機中での湿式造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0307】
【表29】
【0308】
炭酸カルシウムを水溶性物質の一部と混合し、Leistritz 2軸スクリュー押出機 MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した。
水溶性物質の残りと結合性を有するポリマー物質との溶液/懸濁液を押出機に加えることによって、混合物を湿らせる。
粉末供給は100 g/分に、スクリュー速度100 rpmに設定される。
ダイプレートは必要とされない。
【0309】
粒状化された粉末マスを流動床乾燥機に移し、そこで1.0 %より低い水分含量に乾燥される。
乾燥された粒状物は1.5 mmのスクリーンに通され、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物は、チュアブル錠に圧縮される。
【0310】
実施例36
2軸スクリュー押出機中でのホットメルト(hot melt)造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0311】
【表30】
【0312】
水溶性物質と結合性を有するポリマー物質との混合物を、次のように調整された温度プロファイルを有する、Leistritz 2軸スクリュー押出機MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した:
【0313】
【表31】
【0314】
粉末供給は、実際の製剤に合うように調整され、スクリュー速度は100 rpmに固定される。
炭酸カルシウムを、セクション3で2軸スクリュー押出機に移す。
粉末供給は100 g/分に設定される。
ダイプレートは用いられない。
【0315】
粒状化された粉末マスを冷却し、その後、粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0316】
実施例37
2軸スクリュー押出機中でのホットメルト造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0317】
【表32】
【0318】
可溶性充填剤、結合性ポリマーおよび炭酸カルシウムの混合物を、次のように調整された温度プロファイルを有する、Leistritz 2軸スクリュー押出機MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した:
【0319】
【表33】
【0320】
粉末供給は、実際の製剤に合うように調整され、スクリュー速度は100 rpmに固定される。ダイプレートは必要とされない。
【0321】
粒状化された粉末マスを冷却し、その後、粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0322】
実施例38
2軸スクリュー押出機中でのホットメルト造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0323】
【表34】
【0324】
水溶性物質と結合性を有するポリマー物質との混合物を水で湿らせ、次いで、次のように調整された温度プロファイルを有する、Leistritz 2軸スクリュー押出機MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した:
【0325】
【表35】
【0326】
粉末供給は、実際の製剤に合うように調整され、スクリュー速度は100 rpmに固定される。
炭酸カルシウムを、セクション3で2軸スクリュー押出機に移す。
粉末供給は100 g/分に設定される。
ダイプレートは必要とされない。
【0327】
粒状化された粉末マスを冷却し、その後、粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0328】
実施例39
2軸スクリュー押出機中でのホットメルト造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0329】
【表36】
【0330】
水溶性物質と結合性を有するポリマー物質の水で湿らせた混合物を、炭酸カルシウムと混合し、次いで、次のように調整された温度プロファイルを有する、Leistritz 2軸スクリュー押出機MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した:
【0331】
【表37】
【0332】
粉末供給は、実際の製剤に合うように調整され、スクリュー速度は100 rpmに固定される。
ダイプレートは必要とされない。
【0333】
粒状化された粉末マスを冷却し、その後、粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0334】
実施例40
スプレー乾燥機中での造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【表38】
【0335】
水溶性物質を溶媒中に溶解し、該溶液に結合性を有するポリマー物質を溶解/分散し、最後に、該溶液/分散液に炭酸カルシウムを分散する。スラリー中の固体の最終含量は10%〜90%である。120℃〜300℃の間の温度を有する空気の乾燥気流中に導入されたノズルを用いて、スプレーを行なう。
【0336】
得られた粒状物を、任意に流動床を使用して、1.0%より低い水分含量に乾燥する。
乾燥された粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合する。
最終粒状物はチュアブル錠に圧縮される。
【図面の簡単な説明】
【0337】
【図1】図1Aは、本発明の実施例1の少なくとも部分的にフィルムコーティングおよび凝集された炭酸カルシウム結晶を示した図であり、図1Bは、Nycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815による粒状物を示した図である。
【図2】ハンギング錠剤法を示した図である。
【図3】実施例1および2に対する錠剤圧縮曲線を示した図である。
【図4】実施例3および4ならびに参考例3および4の溶出速度を示した図である。
【図5】4つの製剤を用いて行なわれた官能性分析の結果を視覚化した図である。
【図6】本発明の製剤および参考錠剤の口の中での溶融分散時間を示した図である。
【図7】本発明の実施例1の少なくとも部分的にフィルムコーティングおよび凝集された炭酸カルシウム結晶の、図7Aは1500×および図7Bは5000×の倍率のSEM写真を示す。
【図8】粉砕強度−圧縮力プロファイルを示した図である。
【図9】実施例33の錠剤の圧縮力に対する破砕強度を示した図である。
【図10】実施例33の錠剤の圧縮力に対するハンギング錠剤のスリップタイムを示した図である。
【図11】実施例33の錠剤の圧縮力に対する崩壊時間を示した図である。
【図12】実施例29で製造された粒状物の環境制御型走査電子顕微鏡写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性物質およびポリマー物質で少なくとも部分的にフィルムコーティングされたおよび/または粒状化されたカルシウム含有化合物ならびに医薬組成物におけるそのようなコーティングされた化合物の使用に関する。少なくとも部分的にフィルムコーティングされたおよび/または粒状化されたカルシウム含有化合物は、元素カルシウムの非常に高い装填量および都合よく小さいサイズを有する錠剤の製造に適していることが判明した。
【背景技術】
【0002】
経口的に摂取される栄養補助剤または医薬特製品としてのカルシウムの現在の投与は、消費者による不評に加えて、多くの不都合または劣った技術的性質でしばしば特徴付けられる。
【0003】
カルシウムは、その塩が高いカルシウム装填を含むので、炭酸カルシウムとして非常にしばしば投与される。通常、炭酸カルシウムの1250 mgに相当するCa2+ 500 mgが1回投与量で投与される。飲み込まれる錠剤中へ炭酸カルシウム1250 mgを組み込むことは、錠剤が嵩高く、容易に飲み込めないので、良好な投与形態を示さない。
【0004】
その剤形が患者により口当たりのよい選択を提供するので、ますます用いられる炭酸カルシウムを含む剤形は、「チュアブル錠製剤」である。さらなる改良は、タブレット溶融(melt)製剤であり、それは咀嚼の助けなしに口の中ですばやく分散する。
【0005】
しかしながら、チュアブル錠およびタブレット溶融製剤は、多くの理由ために、劣った技術的性質および消費者による不評に関する問題を得ている。
【0006】
炭酸カルシウムの望まれる高い含量のために、粒状物を生じるための満足のいく凝集および続く錠剤を形成するための満足のいく圧縮を達成するために、かなりの量の賦形剤を組み込むことがしばしば必要である。可溶性の充填物質のような賦形剤のかなり高い割合を組み込むもう1つの理由は、口の中ですばやく分散し、かつ歯にくっ付かない口当たりのよい剤形を達成するためにも行なわれる。このことがかなり大きな錠剤を生じ、患者または需要者がそれを摂取することに困難を感じるであろう。
【0007】
現在のチュアブル錠が有するもう1つの欠点は、それらがかなり吸湿性である可溶性の充填物質を非常にしばしば含むことである。したがって、この錠剤は、湿度の高い状態で保管されるとき、安定性の問題を示す。この問題は、湿気から錠剤を保護するために無用な包装の必要性を要求し、それが製品のコストに拍車をかける。
【0008】
さらに、患者に錠剤の投与に関する選択肢を与える、剤形を製造するための必要性がある。
年配および若い人々は、水に容易に分散し、それゆえ、飲用可能になる剤形をしばしば好む。したがって、咀嚼され得るか、水に分散され得るか、または口の中で直ぐに溶ける、「多機能」剤形の必要性ある。
【0009】
費用のかかる賦形剤の使用または費用のかかる包装材料の使用を要求しない、多機能性を有する小さくて小型の剤形を製造するための、合理的でかつ工業的な製造方法の必要性もある。
【0010】
粒状物または顆粒状物質は、高速混合、乾燥造粒または圧縮(compaction)、押出成形、噴霧乾燥および流動床法を含む、医薬の製造における種々の製造方法で製造され得る。医薬の製造における最も一般的な造粒化の方法は、高速混合または高剪断混合および続く流動床で湿った粒状物の乾燥による方法である。この方法は、高密度を有する小さな錠剤を作るのに適する濃密度の粒状物を生じる。流動床造粒は、投資、方法の妥当性(process validation)および運転費に関して、より複雑な方法であり、より費用がかかるので、用いられることがずっと少ない。流動床造粒法は、飲み込まれる通常の錠剤が製造されるときに望ましくない、より濃密さの小さい粒状物を生じる。
【0011】
カルシウムチュアブル製品の成功した製剤は、非常に特殊な原材料および最も重要な、非常に繊細な製造法を要求する。カルシウムチュアブル錠に対して、原材料の重要な特性を注意深く選択された製造法と共に組み合わせることの重要性が、番号1128815で公開されたNycomed Pharma ASの欧州特許出願に示されている。
【0012】
この文献は、炭酸カルシウムを含むチュアブル錠の望ましくない大きな塊を減少させる方法を記載している。減少した錠剤のサイズは、炭酸カルシウム源の物理的性質ならびに流動床造粒および乾燥法の注意深い選択により成し遂げられている。平均粒子径および比表面積に対する最適なウインドー(window)は、好ましい炭酸カルシウム品質に対して、それぞれ、3〜40 μmおよび0.1〜1.2 m2/gであることが見出された。粒子径の範囲の選択が、口の中で満足のいく咀嚼性と分散性を達成するために特に重要であったのに対して、比表面積は、流動床での造粒および乾燥相の間に効果的または短い工程時間を成し遂げるために重要であった。流動床造粒工程は、結合剤の非常に均一な分布をもたらしており、それは言い換えると、咀嚼されるときに錠剤の迅速な分散をもたらすが、錠剤化工程の間での非常に良好な連結性ももたらす。この最後の性質は、高速タブレット成形機が、最大の生産高と錠剤設備の清掃および維持のための最小の要求を保証するために非常に重要である。
【0013】
しかしながら、流動床造粒および乾燥の使用は、未解決のいくつかの問題を引き起こす。これらの問題は、流動床粒状物の組成の自由度およびバッチ製法遂行の間の加工問題の両方に関する。
【0014】
配合および加工の問題は、次の項に示される:
・賦形剤の量を減少してより小型のカルシウムチュアブル製剤を作ろうとすることは、余りにも微細過ぎる物質を含んだ粒状物をもたらす不満足な凝集のために困難であることが判った。同様に、続く打錠成型は、破砕性に対する不満足な高いパーセントを有する、非粘着性の錠剤をもたらす不十分な錠剤化の性質のために困難であることが判った。
【0015】
・賦形剤のレベルを減少することは、需要者または患者承認の減少をもたらす、チュアブル錠製剤の官能的な特性も減少した。
【0016】
・定期的な加工での問題は、流動床装置の内部、噴霧ノズルおよびエアフィルタへの粉末または粒状物の付着である。もう1つの問題は、吸気が流動床に入るより低いプレナム(lower plenum)中の生成物スクリーンの下に微細粉末粒子が留まることである。膨張室中の粉末層の段階的沈積に加えて、このことは定期的な清掃の必要性を引き起こす。
【0017】
・カルシウム粒状物のバッチ製法の過程の間に、造粒工程の最後と乾燥工程の始めの間に、満足な流動化を保証することに問題があった。特に、脱湿能力がその限界にある夏季の間、生成物容器(product container)中の不十分な乾燥および塊の形成についての問題があった。このことは、高過ぎる湿度に関して仕様に従わない、粒状物バッチの重要な問題を引き起こす。
【0018】
Warner Lambert CompanyによるUS特許5,939,091:「速く溶ける錠剤を作るための方法」は、炭酸カルシウムを含む、速く崩壊しかつ速く溶ける錠剤を製造するための組成物および方法を開示している。
【0019】
該特許は、噴霧乾燥または圧縮後の品質として、0.3 g/ml〜約0.55 g/mlの範囲の密度を有する低密度のアルカリ金属の使用は、低密度を有し、かつ口腔内での素早い崩壊および滑らかな口当たりを示す錠剤に圧縮することができることを明記している。より濃密な品質の0.85 g/mlに基づく炭酸カルシウムを用いて製造された錠剤は、許容される口当たりをもたらさないことが記載されている。
【0020】
しかしながら、US 5,939,091は、炭酸カルシウムの高い装填で速い崩壊を与える組成物を記載していなし、したがって、素早い崩壊と良好な官能性を有する、小さくかつ濃密な錠剤を製造することに関しての解決を生じない。
【0021】
Purdue Research Foundationによる、WO 2004/047810 A1:「マンノースベースの速く溶解する錠剤」は、速い溶解、速い崩壊または速く溶ける錠剤を作るための本技術および特許に概説を与える。速く溶解する錠剤の製造に用いられる技術に対するそれを次の表に示す。
【0022】
利点 不利点
1. 凍結乾燥 数秒以内に溶解 高脆性、高価
2. 鋳型法 錠剤製造のために低圧力 乏しい機械的強度
3. 昇華 錠剤製造のために無圧力 揮発性物質の使用
4. 直接圧縮 高い機械的強度、低費用 遅い崩壊
【0023】
WO 2004/047810 A1は、非常に低い機械的強度を有する錠剤を生じるためにマンノースと薬物との粉末混合物を最初に圧縮し、次にこの脆い錠剤を、液体架橋(liquid bridges)を確立するために水蒸気または高湿度に曝し、そこで、続いて錠剤は乾燥され、増加した機械的強度の40ニュートンを有する錠剤を生じることを含む、マンノースを有する速く崩壊する錠剤を製造するための骨の折れる方法を開示している。
【0024】
Merck Patent Gesellschaftによる、US 6,149,941:「活性な医薬成分の味」は、1以上の活性な成分を含む固形製剤の味を改善するための方法を開示している。その方法は、活性物を少なくとも1つのポリオールと一緒に共噴霧乾燥することを含み、ここで、噴霧乾燥装置または流動床装置のいずれかで噴霧乾燥を始める前に、活性物とポリオールは、水相に溶解または分散される。
【0025】
該特許は、更に、マンニトール、ラクチトール、イソマルトールおよびキシリトールのようなポリオールの錠剤化挙動は、低い錠剤硬度、錠剤の度合を外れた(scale-off)かつひどい破砕性をもたらすことを開示している。一方、ソルビトールは、非常に良好な錠剤硬度および格別になめらかな表面を有する錠剤を与えることが見出された。特許の実施例から、味および咀嚼性に関する改善された官能性を有する錠剤を与える、組成物中のソルビトールの使用は、10〜33%の範囲であった。
【0026】
したがって、先行技術は、炭酸カルシウムを含む濃密な錠剤は、口腔内での素早い崩壊および許容される口当たりを有する錠剤を生じないことを提案している。先行技術は、チュアブル錠に製剤化するとき、良好な成形性を有するソルビトールのようなポリオールを選択することが重要であることも示している。
【0027】
さらに、通常の医薬加工装置を用いることができない、速く崩壊するまたは速く溶ける性質を有する錠剤を製造する技術および方法は、非常にしばしば骨がおれかつ費用がかかることが述べられ得る。速く溶ける製剤は、吸湿性であり、非常に砕けやすくかつ湿気に不安定である、賦形剤の高い割合を用いなければならないような好ましくない特性も非常にしばしば示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
したがって、次の性質を有するカルシウム化合物を含む、改善された固形でかつ経口の剤形を製造する必要がある:
・小さくかつ濃密な錠剤を製造するためにカルシウムの高装填
・速く崩壊するかまたは速く溶ける性質
・良好な官能性
・錠剤を口の中で咀嚼できるか、溶かすことができるか、または液体の投与形態として摂取するためにグラス1杯の水に溶解することができる、多機能性
・高度な機械的強度を有する錠剤を生じるための良好な錠剤圧縮特性
・環境からの通常の水分の攻撃に耐えることができる強固な錠剤製剤
・標準的な医薬装置および短い加工時間の使用。
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の概要
本発明は、そのような改善された組成物を提供する。本発明は、水溶性物質およびポリマー物質を含む水溶性フィルムが、カルシウム含有化合物に少なくとも部分的に適用されるとき、前記のような好適な性質を有する、例えば錠剤を製造するために、ごく少量の賦形剤を必要とすることの発見に基づく。さらに、比較的小さいサイズでかつ96重量%以上のカルシウム含有化合物を含む錠剤を得ることができる;特に、カルシウム含有化合物の含量約97重量%を作ることができる。
【0030】
このようにして、優れた官能性を有するカルシウムチュアブル錠製剤が、錠剤重量の凡そ2〜16.6%のレベルまで減少した賦形剤の量で製造された。1250 mgの炭酸カルシウムに相当する500 mg Ca2+を含む咀嚼可能でかつ溶ける製剤は、1290〜1500 mgの錠剤重量および 13〜15 mmの錠剤直径を有する。
【0031】
このことは、微細な物質の減じられた量での速い凝集に導くこと、および続く錠剤化工程において、低い錠剤化圧力(tabletting pressure)で製造される非常に良好な粘着性を有する錠剤をもたらすことを起こす、驚くべき相乗効果により達成された。相乗効果は、カルシウム含有化合物上に少なくとも部分的に水溶性フィルムを得るために、水溶性物質とポリマー物質とを含む組成物をカルシウム含有化合物に適用することにより達成される。理論にとらわれず、良好な粘着性を保証するために、続く錠剤化工程で可塑性も重要となり得る。さらに、組成物中に含まれる固体成分は、水溶性でなければならない、すなわち、ポリマー物質も水溶性でなければならない。
【0032】
したがって、別個の観点において、本発明は、カルシウム含有化合物が、少なくとも部分的に結合性を有する可溶性のフィルムコーティングで提供される粒子および/または結晶の形態にある、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物に関する。
【0033】
本発明は、1以上の水溶性物質と1以上のポリマー物質とを含むコーティング組成物をカルシウム含有化合物に適用することを含む、少なくとも一部がフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の製造方法にも関する。
【0034】
さらに、本発明は、多くの組成物、とりわけ、1以上、好ましくは前記で挙げた性質全てを有する錠剤組成物に関する。
【0035】
したがって、さらなる観点において、本発明は、本明細書に記載される少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と1以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む組成物に関する。さらに、本発明は、1以上の医薬的に許容される賦形剤と少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物とを含む、そのような組成物の製造方法に関する。
【0036】
なお、さらなる観点において、本発明は、本明細書で定義される少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物を得るために、1以上の水溶性物質とポリマー物質とを含むフィルムコーティングを、粒子および/または結晶の形態のカルシウム含有化合物に適用することを含む、カルシウム含有化合物の味を改善するための方法に関する。
【0037】
製造方法に依存して、いくつかの場合、カルシウム含有化合物上のコーティングの程度を判断することは困難であり得る。しかしながら、コーティング工程は造粒工程でもあり、したがって、もう1つの観点において、本発明は、水溶性物質とポリマー物質とを含む造粒組成物で造粒された、粒状のカルシウム含有化合物に関する。
【0038】
コーティングは、流動床噴霧造粒機でのコーティングの開始および凝集工程で起こる、炭酸カルシウム結晶の表面の完全または部分的に完全な被覆を意味する。この組み合わされたポリマー結合剤と可溶性の充填剤との完全または部分的に完全な被覆は、素早い凝集または造粒を引き起こす。次いで、それに続く造粒およびコーティング液の適用は、顆粒の表面がより広いコーティングを受けるであろう、さらなるコーティングを主に引き起こすであろう。しかしながら、初期の顆粒の表面への微粉および微細な粒子のさらなる結合が同時にも起こるであろう。したがって、本製造方法は、最初の粒子または結晶が完全または部分的なコーティングを受け、次いで、コーティングされた粒子が凝集され、次いでその顆粒がさらにコーティングされる、凝集とコーティング工程が組み合わされた方法である。このことは、本発明のカルシウム溶融タブレットが水性環境に曝されるとき、最初の粒子の非常に素早い分散により明らかである。
【0039】
コーティングの観点に関して記載された全ての詳細および細目は、必要な変更を加えて、粒状物の観点にあてはまる添付の特許請求の範囲を参照。
【0040】
具体的な態様において、本発明は、低い賦形剤レベルで口の中で非常に素早く分散し、チュアブル錠;飲み込まれる錠剤;溶融タブレット製剤および水性分散製剤を含む多機能性を有する、小型の咀嚼可能なカルシウム組成物を提供する。具体的な態様において、本組成物は、次の成分:
(a) 0.1〜1.5 m2/gの表面積を有するカルシウム含有化合物(CC)
(b) 水溶性物質と結合性を有するポリマー物質との組み合わせ
を含み、
本組成物は、
(c) 造粒およびコーティング液を作るために、組み合わされた水溶性物質とポリマー物質とを溶解すること、
(d) その造粒およびコーティング液を、流動床装置内で、カルシウム含有化合物の流動床上に適用すること、および
(e) 任意に、得られた粒状物を他の賦形剤と混合し、それをチュアブル錠または溶融タブレットに圧縮すること
により製造される。
【0041】
流動床造粒工程は、顆粒の形成またはカルシウム含有化合物の個々にコーティングされた粒子もしくは結晶の凝集物をもたらした。コーティング層は、個々の粒子または結晶を囲むフィルムの中にカルシウム含有化合物の微細物質フラクションを含むかまたは定着し得ることも観察された。
【0042】
好ましい態様において、得られたチュアブル錠は次の性質により特徴付けられる。
・1.4〜1.9 g/cm3の範囲の見掛けの錠剤密度を有する密な錠剤。
・咀嚼され得るか、咀嚼することなく口の中で60秒以内に素早く分散され得るか、グラス1杯の水道水に180秒以内に分散され得るか、または飲み込まれ得る、多機能な速い溶融タブレット。本明細書の実施例に示される具体的な態様において、咀嚼することなく口の中で30秒以内に素早く分散し、グラス1杯の水道水に60秒以内に分散する溶融タブレットは、流動床技術を用いて製造され得る。
【0043】
・該錠剤は、錠剤重量の96%または97%までの活性成分の高い装填を含む。
・該錠剤は6〜46 kNの低い錠剤化圧力で製造される。具体的な態様において、錠剤化圧力は6〜20-25 kNほど低いか、またはさらに6〜16 kNに低くされ得る。印加される圧力は、用いられる錠剤機およびそれが製造規模かまたは試験的な規模かどうかにも依存する。
【0044】
・該錠剤は、2%未満の破砕性を有して強固であり、通常の包装機械に耐え得る。
・該錠剤は、高価な費用の特別な賦形剤を必要としない。
・該錠剤は、既存でかつ通常の製造設備および包装設備で製造され得る。
・該錠剤は非吸湿性である。
・該錠剤は、特別な包装保護を必要とされない。
・加工時間は短く、該錠剤は低い費用で製造され得る。
【0045】
水溶性物質と結合性を有するポリマー物質とを組み合わせることの新しい製剤原理は、より短い加工時間、微粉のより少ない発生、生成物容器および膨張室の内部への微細粉末の付着の減少ならびにおそらくより速い凝集速度によるより低いプレナム中での微細粉末の蓄積の減少を含む、流動床工程の間の加工利点ももたらした。
【0046】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の平均粒子径は、造粒工程の間に用いられる、ポリマー物質の含量および造粒液の量を注意深く制御することにより、幅広い粒子径の範囲で効果的に変化させることができることも驚くべきことに見出された。
【0047】
さらに、この新しい製剤原理は、加工困難性および湿度の変化、ならびに比表面積、粒子径/分布および粒子の形状のような異なる物理的特徴を有するカルシウムの異なる供給源が用いられるときにその粒状物の粒子径/分布に影響されることが非常に少ないことが驚くべきことに見出された。
【0048】
発明の詳細な説明
前記のように、それらをより小さく、より口当たりよくするため、およびまたその剤形の摂取に関して柔軟性を導入するために、カルシウム含有化合物を含む剤形を改良することの必要性がある。合理的で、費用節減で、標準的な医薬の加工設備を利用する製造方法を確立する必要性もある。
【0049】
本発明は、水溶性物質とポリマー物質との組み合わせでカルシウム含有化合物を少なくとも部分的にコーティングすることが可能であることの発見に基づく。そのようなコーティングは、より乏しい官能性を有する製品に導くことなく、通常用いられる充填剤および最終製品の製造において用いられる味改善剤の量を減少することができるような方法でカルシウム含有化合物を少なくとも部分的にカプセル化するので、非常に有利であるように思える。
【0050】
少なくとも部分的にコーティングされたカルシウム含有化合物またはカルシウム含有配合物もしくは組成物
したがって、1つの観点において、本発明は、カルシウム含有化合物が、水溶性フィルムコーティングで少なくとも部分的に提供される粒子および/または結晶の形態にある、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物に関する。
【0051】
所望の効果を得るため、すなわち、少なくとも6人のプロの風味パネルにより試験されたとき、許容される官能性を得るため、および/またはカルシウムの非常に高い装填と都合のよい小さいサイズを有する錠剤を得るために、カルシウム含有化合物の利用可能な全表面をコーティングすることは必ずしも必要ではないことが考えられている。
【0052】
所望の効果を得るために、カルシウム含有化合物の表面積の、例えば少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または100%のような、少なくとも50%がフィルムコーティングで被覆されていることが認識される。
【0053】
カルシウム含有化合物を被覆するフィルムは、連続したフィルム、すなわちカルシウム含有化合物の外側表面を実質的に被覆するフィルムであり得る。
【0054】
カルシウム含有化合物の表面のどれくらいの範囲がフィルムコートでコーティングされているかを判断するために、コーティングされた化合物のSEM像を調べることが可能である。ESEM(環境制御型走査電子顕微鏡検査法)、X線光電子分光法、TOF-SIMS(飛行時間形2次イオン質量分析計)等のようなその他の方法も用いられ得る。
【0055】
前記のように、特定の目的のために、コーティングの範囲が十分であることが重要である。したがって、コーティングが十分な範囲に適用されているかどうかを評価するために、次の試験が用いられ得る。
【0056】
錠剤を、
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって作り、得られた錠剤を、本明細書に記載された「ハンギング錠剤(Hanging Tablet)」法に付し、その観察されるスリップ(slip)タイムが、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分であるべきである。
【0057】
上記の試験は、最終製品が溶融タブレットまたは咀嚼錠であるときに特に関連する。
さらに、上記の試験は、フィルムコーティングが流動床装置中で行なわれたときの使用に特に適している。
【0058】
あるいは、錠剤を、
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と、例えばキシリトールのような糖アルコールおよび例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の濃度が少なくとも80重量%であり、糖アルコールの濃度が最大で19.5重量%であり、滑沢剤の濃度が最大で2%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって作り、得られた錠剤を、プロの試験パネルによる官能試験に付し、錠剤の許容される官能性が見出されなけれならない。
【0059】
しかしながら、実際、コーティング工程は、コーティングと凝集工程の組み合わせであり、すなわち、カルシウム含有化合物が、良好な結合性および/または錠剤固化性を有する高い可溶性フィルムで、コ−ティングされ、凝集される。したがって、例えば5〜40 μmの範囲の小さいサイズを有する、個々の結晶または粒子にコーティングおよび凝集を適用することができる医薬的な工程が、本発明の関係において用いられ得る。したがって、例えばその他の湿潤もしくは溶融造粒法または噴霧コーティングもしくは溶融コーティングのようなその他のコーティング法のような、その他の造粒またはコーティング法が等しく適している(本明細書の実施例参照)。凝集およびコーティング装置は、バッチおよびGlatt, Aeromatic and Heinenからのシステムのような上端部、底部または接線噴霧を有する連続的な流動床、FielderまたはDiosnaのような水平および垂直な高強度な撹拌機、HosokawaからのSchugiのような連続撹拌機、2軸スクリュー押出機のような押出機または例えばNiroまたはAnhydroからの内部または2次流動床ユニットと結合した噴霧乾燥装置を含む。
【0060】
造粒とも称される凝集は、粒子がより大きな集合体、いわゆる、元の粒子がまだ区別できる凝集物または顆粒に寄せ集められる工程である。湿潤凝集において、この工程は、造粒液によって促進される。液体は湿潤状態での毛管力および粘性力の組み合わせで粒子を結合する。より長く持続する結合は、続く乾燥の間に形成される。凝集の目的は、粉末の流れおよび取扱を改善すること、粉塵の減少、混合物の固定およびそれによりAPI(活性成分)の分離を予防することである。
【0061】
凝集物の強さは、乾燥の間に形成される結合に依存する。結合の強さは、造粒液にポリマーを加えることにより改善され、それは、改善された錠剤化の性質にも導き得る。しかしながら、造粒液にポリマーを加えることは、延長された崩壊時間、錠剤の硬化、溶融特性の減少等をもたらし得る。
【0062】
湿潤凝集は、例えば高剪断混合機、Schugi Flex-O-Mix凝集機、およびその他の装置の中の流動床を用いて行われ得る。
【0063】
流動床:
流動床造粒および乾燥は、造粒される粉末混合物の流動化のために、生成物容器および膨張室からなる流動床噴霧造粒機で行なわれる。粉末混合物は、生成物容器の底の生成物スクリーンに留まっており、流動床噴霧造粒機の出口側の排気フィルターにより、膨張室を抜け出ることを制限されている。粉末の流動化に必要な気流は、ユニットの上端部に取付けられた吸出し扇風機により発生される。流動化に用いられる空気は、装置の空気入口部に配置された空気加熱機により所望の温度まで加熱される。粉末混合物は、十分な空気量で流動化され、造粒液は、複数のバイナリ(binary)ノズルからなるスプレーヘッドにより微細な噴霧として霧状にされる。スプレーヘッドは、脈打つ粒子へ「トップスプレー」を意味する向流または脈打つ床に「ボトムスプレー」を意味する並流の造粒液の噴霧スプレーを追加し得る。湿った粒子は、粒子-粒子の接触により凝集または造粒を受ける。適当な造粒が達成されたあと、スプレー操作は停止され、物質が乾燥され、ユニットから排出される。重大な製剤特性および流動床工程に対する工程パラメータを調整することによって、粉末状の混合物中の個々の粒子を凝集、インスタンタイズ(instantize)、またはコーティングすることができる。
【0064】
高剪断混合機:
このタイプの装置において、粒子は高速で回転する羽根車による運動の中に置かれる。それは、大きな集合体を壊すチョッパーも含む。結合剤液が、上端部から注ぐか、ポンプで注入するかまたは噴霧することにより添加される。高剪断混合機中の湿った凝集物は、典型的には5〜6段階を含む:最初、原料が乾燥混合され、その後、液体が混合の間に加えられる。次いで、湿り気のある(moist)塊が湿った塊(wet massed)になる。その後、顆粒が、(湿って篩にかけられ(wet sieved))、乾燥され、そして再度篩にかけられる。
【0065】
Schugi:
典型的なSchugi Flex-O-Mix凝集機の操作は次の一般的な工程を含む。乾燥供給物が、重力式で(by gravity)、付着されたナイフを有する回転インナー・シャフト(約1000〜4400 RPM)を含む、円筒チャンバーの上端に供給される。乾燥供給物がチャンバーに入った時点で、造粒液が霧状で該粉末に添加される。乾燥供給粉末および造粒液が、粒子の衝突および続く粒子の成長を招くように、激しくかつ完全に混合される。Schugi円筒チャンバーの側面は、粉末を除去することを強めるように、操作の間、機構(device)が、チャンバーを定期的に押しつぶすことができるように柔軟な物質で作られる。次いで、粒子は、過剰の水分を除くために、速やかに乾燥機に送り込まれる。
【0066】
フィルムは、水溶性物質およびポリマー物質、特に水溶性ポリマー物質を含む。通常、ポリマー物質は結合性を有し、それは、コーティング工程が、粒状物を与えるための凝集物の形成も可能にするので、役に立つ。ポリマー物質の水溶解度は、例えば約25 mg/ml以上、約50 mg/ml以上、約75 mg/ml以上、約100 mg/ml以上、約150 mg/ml以上、約200 mg/ml以上、約250 mg/ml以上、または約300 mg/ml以上のような、約10 mg/ml以上である。
【0067】
コーティングにおける水溶性物質は、それが被膜に水に対する溶解性を与え、本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物に基づく錠剤に対して観察される、速い崩壊および/または溶解に寄与するので、重要である。1以上の水溶性物質の水に対する溶解度は、例えば約25 mg/ml以上、約50 mg/ml以上、約75 mg/ml以上または約100 mg/ml以上のような、約10 mg/ml以上である。
【0068】
次の表に、本発明の使用のための水溶性物質(水溶性充填剤物質も意味される)に対する水溶解性を示す。
【表1】
【0069】
通常、可溶性充填剤物質は、1 g/100 mlより大きな溶解度を有するべきである。
本発明の使用に適した水溶性物質の例は、ポリオールおよび炭水化物、ならびにそれらの混合物である。
【0070】
適した水溶性物質のその他の例は、有機酸、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩を含む有機酸の医薬的に許容される塩(炭酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩等;クエン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの例で例示される)、アミノ酸(例えばグリシン)、塩化ナトリウム等を含む無機塩である。
【0071】
典型的には、ポリオールは糖アルコールである。具体的な態様において、糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イノシトール、イソマルト、イソマルチュロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0072】
水溶性物質は、モノ-、ジサッカライド、オリゴサッカライド、ポリサッカライド、およびそれらの混合物からなる群から選択される炭水化物でもあり得る。
【0073】
本発明の使用に適したモノサッカライドの例は、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、およびそれらの混合物である。本発明の使用に適したジサッカライドの例は、乳糖、マルトース、ショ糖、トレハロース、タガトース、およびそれらの混合物;ならびに本発明の使用に適したオリゴサッカライドおよびポリサッカライドの例は、デキストロース、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、およびそれらの混合物である。
【0074】
通常、水溶性物質は、例えば0.5重量%〜約50重量%、0.75重量%〜約50重量、約1重量%〜約40重量%、約1.5重量%〜約30重量%、または約2重量%〜約20重量%のような、0.1重量%〜約50重量%の濃度で、少なくとも部分的にコーティングされたカルシウム含有化合物中に存在する。
【0075】
具体的な態様において、少なくとも部分的にコーティングされたカルシウム含有化合物中の水溶性物質の濃度は、例えば約0.5重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%、または約2重量%〜約5重量%のような、約0.1重量%〜約10重量%のようなより低濃度の範囲であり得る。
【0076】
上記のように、カルシウム含有化合物のコーティングに用いられるポリマー物質は、良好な結合性および/または錠剤固化性を有しなければならない。そのような性質は、得られる少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物のさらなる製造において、特に錠剤の製造において重要である。良好な結合性および/または錠剤固化性は、可塑性でもあり得る。そのような性質は、フィルムコートの破損またはそれ以外の破壊の実質的な回避を可能にする。したがって、フィルムコーティングによって得られる性質は、最終製品にも存在する。
【0077】
さらに、もしポリマー物質が結合性を有し、それにより、カルシウム含有化合物の(任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤と一緒の)凝集を可能にすれば、それは好都合である。結合性を有するそのようなポリマー物質の例は、医薬的に許容される結合剤中に見出される。したがって、具体的な態様において、ポリマー物質は、医薬的に許容される結合剤である。
【0078】
ポリマー物質は、ポビドン、コポビドン、セルロースタイプのポリマー、イヌリンおよびオリゴサッカライド、高分子量のポリサッカライドおよび澱粉の異なるタイプから選択され得る。具体的な例は、表題「医薬的に許容される賦形剤」下および本明細書の実施例中に見出すことができる。
【0079】
本発明の使用に適する医薬的に許容される結合剤の例は、K-90、K-30、K-25、K-17およびK-12を含むポビドン;コポビドン;ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコール(例えばKollicoat IR);寒天;ゼラチン;アラビアゴム;アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコールを含むアルギナート;馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉を含む澱粉または化工澱粉;イヌリン、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリンを含む炭水化物;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微晶質セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体を含むセルロースおよびセルロース誘導体、ならびにそれらの混合物である。
【0080】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物中に用いられるポリマー物質の濃度は、用いられる特定のポリマー物質に依存して変化し得る。一般的に、その濃度は、約0.2重量%〜約10重量% w/w、約0.5〜約5重量%のような、約0.09重量%〜約10重量%の範囲である。
【0081】
カルシウム含有化合物は、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスグリシノ カルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0082】
具体的な態様において、カルシウム含有化合物は、炭酸カルシウムもしくはリン酸カルシウム(リン酸二カルシウムおよびリン酸三カルシウムを含む)、またはそれらの混合物である。炭酸カルシウムが特に興味がある。
【0083】
用いられるカルシウム含有化合物の比表面積は、流動床造粒が製造工程に含まれる場合に特に興味がある。したがって、そのような場合、例えば炭酸カルシウムのようなカルシウム含有化合物の比表面積は、例えば約0.1〜約2.75 m2/g、約0.1〜約2.5 m2/g、約0.1〜約2 m2/g、約0.1〜約1.8 m2/g、約0.1〜約1.5 m2/g、約0.1〜約1.6 m2/g、約0.1〜約1.4 m2/gまたは約0.1〜約1.3 m2/gのような、約0.1〜約3 m2/gである。
炭酸カルシウムに関して、通常、比表面積は約0.1〜約1.2 m2/gである。
【0084】
本明細書の前記のように、カルシウム含有化合物の粒子径が最終製品の官能性にとって重要であることが一般的に認識される。したがって、具体的な態様において、例えば炭酸カルシウムのようなカルシウム含有化合物の平均粒子径は、約0.1 μm 〜約80 μm、約0.5 μm〜約60 μm、約1 μm〜約50 μmまたは約2 μm〜約40 μmのような、約0.1 μm〜約100 μmである。
さらなる態様において、炭酸カルシウムの平均粒子径は約3〜約40 μmである。
【0085】
本明細書の実施例は、水溶性物質がキシリトールであり、ポリマー物質がポビドンもしくはコ-ポビドン、またはそれらの混合物であるときに、特に適したコーティング物が得られることを示している。
さらに、具体的な態様において、コーティングは、本質的に水溶性物質、特に糖アルコール、およびポリマー物質、特にポリビニルピロリドンを含む。
【0086】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物は、例えば医薬的に活性な物質および/または栄養剤のような1以上の活性な物質と組み合わされ得る。
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物が、例えばビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの混合物のようなビタミンとの組み合わせで存在する組成物が、特に興味がある。
【0087】
本発明のもう1つの観点において、フィルムコートは、カルシウム含有化合物および1以上のさらなる物質との配合物に適用される。1以上のさらなる物質は、前記のようなもう1つの活性物質であり得るか、または、それは1以上の医薬的に許容される賦形剤もしくは添加剤であり得る。本明細書の実施例から判るように、本発明の具体的な態様は、本明細書の前記のような、カルシウム含有化合物と1以上のポリオールとを含む、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた組成物である。着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、酸味剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料の1以上のような添加剤は、少なくとも部分的にフィルムコーティングで提供される組成物中にも存在し得る。
【0088】
一般的に、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた組成物中に存在するそのようなさらなる物質の濃度は、例えば最大で約15重量%、最大で約10重量%、最大で約7.5重量%、最大で約5重量%または約0.5〜約5重量%の範囲のような、最大で約20重量%である。人工甘味料に関して、通常、その濃度は、最大で約1重量%または最大で約0.01重量%のようなさらにより低い濃度である。
言い換えれば、通常、カルシウム含有化合物は、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた組成物の全重量の、少なくとも85重量%または少なくとも約90重量%のような、少なくとも80重量%を構成する。
【0089】
具体的な態様において、本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物は、1以上の医薬的に許容される賦形剤をさらに含む。
さらに、前記の物質とカルシウム含有化合物とを一緒に含む組成物が、少なくとも部分的にフィルムコーティングで提供され得る可能性は、そのような物質をコーティング組成物に加えることも可能にする。そのような場合、フィルムコーティングは、そのような物質も含むであろう。この目的を達成するために、例えば流動床におけるコーティング工程以前に、(造粒液と同じである)フィルムコーティング組成物中に溶解されたショ糖が、本明細書のいくつかの実施例において、強力甘味料の例として用いられている。造粒およびコーティング液に加えられ得るその他の賦形剤は、着色剤、着香剤、酸味剤、界面活性剤および乳化剤である。
【0090】
典型的に、コーティング組成物(例えば溶液)中の乾燥物質の割合は、40〜70重量%の範囲であった。流動床が用いられる場合、予備加熱/混合、コーティング/造粒、乾燥および冷却を含めて、コーティングおよび造粒工程時間は、10〜20分の範囲のような、6〜20分の範囲で典型的に短い。
【0091】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物を含む、組成物、特に医薬組成物
前述のように、前記の、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物は、医薬組成物の製造において特に適している。したがって、別個の観点において、本発明は、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と1以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む組成物に関する。
【0092】
本発明の組成物は、医薬組成物または栄養剤組成物の製造において用いられ得る。
該組成物は、例えば粉末、顆粒、粒状、ビーズレット(beadlets)、ペレット等のような粒子の形状にあるようなあらゆる好適な形態を有し得るか、または例えば錠剤、カプセル剤、サシェット(sachets)等のような投与形態であり得る。該組成物は、液体の形態であってもよいか、または摂取前に適当な媒体に分散させることを意図した乾燥形態で存在してもよい。
【0093】
本発明の特に興味のある態様において、該組成物は、錠剤、特に溶融タブレットまたは咀嚼錠の形態にある。
前述のように、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物は、高装填のカルシウム製品の製造における使用に、特に適している。したがって、1つの態様において、組成物(医薬組成物)中のカルシウム含有化合物の濃度は、例えば55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上または85重量%以上のような、50重量%以上である。特に、該組成物が錠剤の形態にあり、非コーティング形態にあるカルシウム含有化合物の濃度は、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、または97重量%以上である。
【0094】
錠剤の密度および多孔度
見掛けの錠剤密度の高い値は、低い錠剤体積を有する小型でかつ小さい錠剤を生じるので、錠剤の密度が、その開発において重要なパラメータであることが判った。同時に、口の中に存在する水相中またはグラス1杯の水中での錠剤の分散を容易にするために、錠剤が十分な多孔度を有することが等しく重要である。本明細書の実施例において、錠剤の密度および多孔度は、錠剤の真密度および同じ錠剤の体積を、両方MicromereticsからのAccuPyc 1330装置およびGeoPyc 1360装置でそれぞれ測定することにより計算された。
【0095】
開発の仕事の焦点は、より小さくかつ小型の錠剤を作ることでもあった。本明細書の実施例から判るように、このことが適切に達成された。したがって、本発明は、錠剤が、例えば最大で約2.0 g/cm3、最大で約1.8 g/cm3、または約1.4 g/cm3〜約2.2 g/cm3の範囲のような、最大で約2.2 g/cm3の見掛け密度を有する少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物を含む錠剤も提供する。より具体的な態様において、錠剤は、例えば約1.5 g/cm3以上または約1.4 g/cm3〜約1.9 g/cm3もしくは約1.5 g/cm3〜約1.7 g/cm3の範囲のような、1.4 g/cm3以上の見掛け密度を有する。これらの密度の間隔は、カルシウム含有化合物としての炭酸カルシウムに基づいていることを強調しなければならない。その他のカルシウム塩またはカルシウム塩の配合物は、それらの化合物の真密度および見掛け密度における差に基づいたその他の密度の間隔を作るであろう。
【0096】
いくつかの実施例中に記載されたチュアブル錠および溶融タブレット製剤は、1.4〜1.9 g/cm3の範囲の錠剤密度を有する。典型的には、本発明のカルシウムチュアブルおよびメルト製剤は、1.5〜1.7 g/cm3の錠剤密度を有するであろう。この密度を有する本発明の錠剤は、錠剤多孔度に対して、32〜36%の典型的な値を有する30〜40%の範囲の満足のいく高値を同時に有する。
【0097】
小さい錠剤を得ることの可能性は、好適な多孔度、すなわち、錠剤が溶融タブレットまたは咀嚼錠であるときに重要である多孔度を維持することの可能性に影響を及ぼさない。したがって、該錠剤は、例えば約15〜約40%または約20〜約40%のような、約10〜約50%の多孔度を有し得る。具体的な態様において、該錠剤は約30〜約40%の多孔度を有する。
【0098】
小さい錠剤のもう1つの尺度は、本発明の錠剤中に含まれるカルシウム元素500 mg当りの錠剤の体積である。しがって、本発明の錠剤の体積は、通常、錠剤中に含まれるカルシウム元素500 mg当り、例えば最大で約1.25 cm3、最大で約1 cm3、最大で約0.8 cm3、最大で約0.7 cm3または最大で約0.65 cm3のような、最大で1.5 cm3である。
【0099】
錠剤の崩壊および分散
錠剤の崩壊および分散が、この重要な性質を特徴付けるために、3つの異なる方法で詳細に調べられた。
【0100】
初めに、ヨーロッパ薬局方(Ph.Eur.)バージョン5.02による崩壊試験が、全ての製剤に対して行なわれた。ヨーロッパ薬局方は、チュアブル錠は、該試験に従う必要はないことを述べているが、本発明の記載に関連する3つのその他の剤形を定義もしている:ソルブルタブレット(soluble tablets)は、適用前に水に溶解されることを意図した錠剤であり;ディスパーシブルタブレット(dispersible tablets)は、投与前に水に分散させることを意図した錠剤であり、そしてオロディスパーシブルタブレット(orodispersible tablets)は飲み込まれる以前にそれらが分散する口の中に置かれることを意図された錠剤である。ヨーロッパ薬局方によるソルブル、ディスパーシブルおよびオロディスパーシブルタブレットに対する崩壊時間に関する要件は、これらの剤形が3分以内に崩壊すべきことである。
【0101】
通常、本発明の錠剤は、ヨーロッパ薬局方に従った測定で、最大で約20分、最大で約15分、最大で約10分、最大で約5分、最大で約4分または最大で約3分のような、最大で約30分の崩壊時間を有する。
具体的な態様において、本発明の錠剤はヨーロッパ薬局方に従う。典型的には、本発明のカルシウム溶融タブレットは60〜90秒以内に崩壊するであろう。
【0102】
本発明者らは、口の中の状況をシミュレートするのに特に適したもう1つの方法を開発した。その方法は「ハンギング錠剤」法と呼ばれる。この方法において、錠剤の真中にドリルで穴が開けられ、ナイロン糸が錠剤に縛り付けられる。次いで、錠剤を水のタンクの中に落とし、糸の助けで、37℃の水中に吊るし続けられた。錠剤が吊るされた糸から離れるのに要する時間と共に、水媒体中での錠剤の視覚的崩壊/分散が記録された。同封された図2の写真が本方法を最もよく説明する。
【0103】
ヨーロッパ薬局方崩壊時間は、口の中での崩壊時間を測定することに関して、「ハンギング錠剤」法に比べて、少しより非特異的である。たとえ錠剤が十分に分散されたとしても、崩壊装置中のスクリーン上に留まる錠剤物質の塊がなお存在し得る。錠剤が十分に分散されたとき、主要な炭酸カルシウム粒子の全ては、完全に湿らされ、互いに引き離される。
【0104】
「ハンギング錠剤」法で糸から吊り下げられる錠剤は、錠剤が十分に湿らされるか、または錠剤の内部構造の結果としての崩壊で分散させられるとき、糸から離れる。したがって、もし、マットリックスの中に引き込まれ、炭酸カルシウムの主要な粒子を分散するのに十分な量の唾液があるなら、この方法は、口の中で起こるであろうことにより似ている。
【0105】
通常、本発明の錠剤は、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法での測定で、最大で約150秒、最大で約100秒、最大で約60秒、最大で約45秒または最大で約30秒のような、最大で約180秒のスリップタイム(または分散時間)を有する。
【0106】
具体的な態様において、本発明の組成物に対する、「ハンギング錠剤」法による分散時間は、典型的には、30秒未満である。さらに、この分散時間は、以下に記載の口の中で実際に認められる分散時間とうまく相関する。
【0107】
例えば溶融タブレットのような錠剤の口の中での分散
6人の選択された査定者の官能パネルが、口の中での溶融分散時間を測定するために用いられた。錠剤が口の中で溶ける平均時間および飲み込まれる容積(contents)が、本発明の選択された製剤について記録された。統計的な差が、平均間の差異を見分けるために、95%信頼水準でのANOVAおよび5%の有意水準でのTukey's HSD検定を用いて検出された。
【0108】
本発明の2つの組成物が、Nycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815のカルシウムチュアブル錠に基づいた参考例に対して試験された。本発明の両製剤は、参考錠剤と比較したとき、有意により短い溶融分散時間を有していた。最も優れた溶融性を有する製剤は、52秒後に分散した。その結果を図6に示している。
【0109】
溶出速度
本明細書の実施例から明らかなように、錠剤製造のための本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物は、カルシウム含有化合物を非常に素早く放出する錠剤をもたらすことができる。したがって、ヨーロッパ薬局方/米国薬局方(USP)(パドル、50 rpm 溶出媒体:0.04%セトリミドを含む0.1 M HCl 1000 ml、37℃)によるインビトロ溶出試験での測定で、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が30分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が30分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が30分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が20分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が20分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が20分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が10分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が10分以内に錠剤から放出され、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が10分以内に錠剤から放出される。
【0110】
本明細書の実施例において、溶出装置2(パドル装置)を用いるヨーロッパ薬局方/米国薬局方により、50 rpmのパドル速度で溶出測定が行われた。溶出媒体は、カチオン性界面活性剤セトリミド、0.04%(w/v)の添加を有する0.1 M HClであった。0.1 N HCl中の0.04%(w/v)セトリミドの濃度レベルは、臨界ミセル濃度を規定する。セトリミドは、表面張力を減少するために加えられる。
【0111】
本発明の実施例1および2に対する溶出速度は、典型的に非常に速く、約90%が10分後に既に溶出した。対照的に、2つの参考例の溶出速度は、全く遅く、10分後に17〜42重量%だけが溶出した。
【0112】
本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物を含む、組成物中のその他の成分
前記のように、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物以外の他の成分が、本発明の組成物中に組み込まれ得る。したがって、例えば治療的に活性な物質および/または栄養剤のような、1以上の活性な物質が存在してもよく、それらは、例えばビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体のようなビタミンを含む。
【0113】
さらに、1以上の医薬的に許容される賦形剤(好適な例が次に記載される)または添加剤が組み込まれてもよい。本発明の組成物中に、1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、酸味剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料も存在し得る。
【0114】
本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物、配合物または組成物、ならびにそのようなカルシウム含有化合物、配合物および組成物を含む医薬組成物の製造
本発明は、本発明の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の製造方法、カルシウム含有化合物に1以上の水溶性物質および1以上のポリマー物質を含むコーティング組成物を適用することを含む方法も提供する。このために、満足のいく結果を得るために、用いられるコーティング組成物および/または造粒液は、2つの成分の混合物または溶液を含むことに注目することが重要である。全く同一のコーティング組成物または造粒液で適用されるとき、相乗効果が達成され、このことは、好適な性質を有する非常に小さいCa含有錠剤の製造を可能にする。本明細書の前で述べたように、2つの成分は、水溶性フィルムを与えるために特に水溶性であり、適用前に、通常、水性媒体、特に水に溶解される。本明細書の実施例から判るように、コーティング組成物または造粒液は、例えば人工甘味料のようなその他の物質も含み得る。
【0115】
通常、水溶性物質およびポリマー物質は、水性溶媒または有機溶媒のような溶媒中に分散または溶解される。具体的な態様において、溶媒は水性溶媒である。
本明細書の前で述べたように、1以上の活性物質、1以上の医薬的に許容される賦形剤および/または1以上の添加剤がコーティング組成物中に含まれ得る。1つの態様において、強力甘味料を含む甘味料、着色剤、芳香剤、酸味剤、着香剤等が溶媒に添加される。
【0116】
一般的に、コーティング組成物の適用は、流動床、噴霧乾燥、溶融造粒、押出成型、高剪断混合、または回転法の使用による、噴霧、溶融または噴霧乾燥により行なわれる。
【0117】
流動床法に関する態様
本明細書の実施例で示されるように、具体的な態様は、コーティング組成物が流動床の使用で適用される方法に関する。
この目的を達成するために、次のことが認められた:
本発明の組成物は、加工パラメータに対して次のような一般的な設定値:
バッチサイズ:3〜5 kg (3〜3.5 kg)
造粒入口温度:45〜90℃ (45および80℃)
造粒液量:200〜800グラム (200〜400グラム)
スプレー速度:40〜120 g/分 (40〜100 g/分)
スプレー噴霧圧力:1.5バール
乾燥入口温度:80〜90℃ (80℃)
最終温度乾燥:45℃
最終温度冷却:42℃
を有する、Glatt GPCG 3試験的スケールモデルでの上端スプレー流動床コーティングおよび凝集によって作られる。
【0118】
別に記載されていなければ、フランス, Scora Watrigant SAからのスコラライト(Scoralite) 1Bが、全ての試験で用いられた。
流動床での加工以前に、乾燥カルシウム含有化合物に可溶性充填剤(水溶性物質)が添加される場合、ポリオールまたは炭水化物は210 μm (70メッシュ)で篩にかけられた。あるいは、可溶性充填剤は、塊および凝集物を破砕するために製粉機にかけられ得る。炭酸カルシウムおよびキシリトールの粉末ブレンドが、GPCG 3流動床に移される前に、混合強度4で、2分間、Kenwood Major中で混合された。
【0119】
流動床加工後に、流動床粒状物は1.4 mm (12メッシュ)で選別され、その後、着香粒状物およびステアリン酸マグネシウムとブレンドし、最後に、14 mmの普通の凹面パンチで錠剤化された。
【0120】
別に特定されていなければ、全ての試験で用いられた炭酸カルシウムの品質は、スコラライト 1Bまたはスコラライト 1B主流であった。この品質は、それが、5〜20μmの範囲の粒子径で0.2〜0.6 g/m2の範囲の比表面積の低値を有する、立方体形または擬似立方体形の個々の結晶からなるので、流動床造粒およびコーティングに適している。具体的な例は、表題「炭酸カルシウム」下および本明細書の実施例に見出され得る。
【0121】
本発明は、カルシウム含有化合物の粒子または結晶のコーティングおよび凝集を含む。コーティングは、図1に示されるように、カルシウム含有化合物の表面を少なくとも部分的に被覆する高可溶性フィルムからなる。図1Aは、本発明の実施例1による少なくとも部分的にフィルムコーティングされて凝集された炭酸カルシウム結晶を示す。あらゆる添加される充填剤の賦形剤のない炭酸カルシウムのみが、コポビドン(例えばPVP VA64)およびキシリトールからなるコーティング溶液で、コーティングされて凝集されている。倍率1500×での写真は、炭酸カルシウム結晶上の少なくとも部分的なコーティングを示している。
【0122】
粒状物は非常に微細な粉末を含んでおり、写真から400μmまでのサイズの顆粒が見られ得る。サブミクロン粒子が、炭酸カルシウムの結晶または粒子の表面に埋め込まれているかまたは固定化されていることが見られ得る。埋め込まれたサブミクロン粒子の化学は、SEM写真撮影の間に、エネルギー分散型分光法によってチェックされた。その分析は、サブミクロン粒子が、サブミクロン粒子間の表面を含むより大きな表面積から読み取る平均と比較して、より大きな炭素密度を有することを示した。サブミクロン粒子は、顕微鏡中での電子線から発せられる熱により、より高い倍率で融解することも見られた。図7AおよびBは、1500および5000×の倍率のSEM写真を示す。
【0123】
図1Bは、試験的スケールのGlatt GPCG 3流動床での造粒工程の間にコポビドンの28%溶液が用いられた、炭酸カルシウム(74.5%)、ソルビトール(23.3%)およびコポビドン(2.2%)からなるNycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815による粒状物を示す。結合メカニズムが、炭酸カルシウム結晶を共に結合する、PVP VA64からなる細かいネットワークまたはメッシュの形態で見られ得る。炭酸カルシウムからの微細な物質のかなりの量が、より大きな不規則なソルビトール粒子と共に見られ得る。
【0124】
したがって、造粒液中にコポビドンだけを用いることは、流動床造粒工程の間に起こるコーティング効果の証拠のない、顆粒中での異なる結合メカニズムをもたらす。炭酸カルシウムの結晶表面に埋め込まれたサブミクロン粒子の証拠もない。
【0125】
本明細書の前で述べられているように、製剤の仕事の焦点は、非常に良好な官能性を有する、より小さくかつより小型のチュアブル錠または好ましくは溶融製剤を作ることであった。該製剤は、うまく凝集し、低錠剤化圧力でうまく圧縮し、2%より低い破砕性の値を有する錠剤を生じるべきである。
1250 mgの炭酸カルシウム含み、14 mmの錠剤直径を有する、約1400 mgの錠剤重量が目指された。
【0126】
流動床造粒試験は、満足のいく凝集を達成するため、および2%より低い破砕性の値を示す、低錠剤化圧力での錠剤の圧縮も容易にするための両方で、造粒液の組成(すなわちコーティング組成)が重要であることを示した。いかなる賦形剤を用いな炭酸カルシウムのみが、コポビドンの28%溶液またはキシリトールの50%溶液で造粒されたとき、不成功な凝集の結果であった。同様に、錠剤がこれらの粒状物から作られたとき、不成功な錠剤圧縮の結果であった。
【0127】
驚くべきことに、造粒液(すなわちコーティング組成物)中、(結合性を有する)ポリマー物質の例としてのポビドンK30またはコポビドンが、水溶性物質(すなわち可溶性充填材)の例としてのキシリトールと組み合わされたとき、相乗効果が2つのレベルで見られることが見出された。1つは、流動床造粒工程において、非常に素早い凝集が、非常に小さく微細な物質および次のような:
D (v, 0.1) = 30〜90μm
D (v, 0.5) = 130〜350μm
D (v, 0.9) = 280〜800μm
の狭い粒子径分布で達成された。
粒子径測定は、D(v, 0.1)、D(v, 0.5)およびD(v, 0.9)が、粒子の10容積%、50容積%および90容積%が任意の値より低いサイズを有する粒子径を示す、Malvern Mastersizer S ロングベンチ(long bench)装置で行なわれた。
【0128】
限定された(entailed)実施例で達成された狭い粒子径分布は、2.0より低いスパン値により特徴付けられた。スパン値は、[D(v, 0.9) - D(v, 0.1)]/D(v, 0.5)として計算される。錠剤中にビタミンDを組み込むことが望まれる場合に、ビタミンD3の平均粒子径および粒子径分布と一致する狭いサイズ分布と平均粒子径が、2次粒状物または錠剤化最終混合物中でのビタミンD3の満足のいく均質性を保証するために重要であることが見出された。
【0129】
2つ目は、造粒液中でのポリマー結合剤および可溶性充填剤の組み合わせに基づく粒状物が、錠剤に圧縮される時に相乗効果が見られた。その成分の1つのみが造粒液中で用いられた製剤と対照的に、非常に良好な圧縮曲線が達成された。
【0130】
圧縮曲線
圧縮曲線は、錠剤化圧力を測定するために、圧縮力モニターを備え付けられた回転錠剤化マシン(Manesty B3B)で行なわれた。錠剤圧縮曲線は、キロニュートン(kN)での対応する錠剤化圧力に対して、ニュートン(N)での粉砕強度をプロットして描かれた。5つの錠剤からの平均粉砕強度が、10、14、18、22および26 kNの錠剤化圧力で測定された。
【0131】
満足のいく圧縮曲線は、錠剤化圧力の全範囲での直線および満足のいく粉砕強度と破砕性を有する錠剤が低錠剤化圧力で製造され得ることで特徴付けられた。限定された実施例に記載されている多くの製剤は、6〜14 kNの低錠剤化圧力で製造された錠剤に対して、30〜60 Nの範囲の粉砕強度および2%より低い破砕性値を有してこれを達成した。
【0132】
カルシウム錠剤製剤の官能評価
官能パネルは7人の選ばれた査定官からなり、レモン臭の強度、口の中での錠剤の溶解性および歯への錠剤残渣の接着性または粘着性に関して、チュアブル錠製剤および溶融タブレット製剤の差異を調べるために用いられた。各官能(attitude)の強度が、目に見える類似のスケールでの点数をプロットすることにより特徴付けられた。試験は制御された環境の官能実験室で行なわれた。特定の試料の各評価は各査定官で2回行なわれた。
【0133】
統計的な差が、平均間の差異を見分けるために、95%信頼水準でのANOVAおよび5%の有意水準でのTukey's HSD検定を用いて検出された。データの登録および統計的分析は、それぞれ、Compusense 4.0およびStatgraphics 4.0を用いて行なわれた。
【0134】
本発明の2つの組成物が、2つの参考例または比較例に対して、3つの全てのパラメータで試験された。2つの参考例は、チュアブル錠中に組み入れられたたときに、官能性を改善したことをクレームしている直接圧縮可能な炭酸カルシウムの2つの市販品質に基づいた。その結果を図5に示しており、それは本発明の実施例3および4ならびに参考例3および4の官能分析からの結果を示す。
【0135】
本発明の2つの実施例は、増加するレンモン臭強度、口の中でより溶解性でかつ減少した接着性に関して、2つの参考例と比較したときに統計的有意差が明らかとなった。
【0136】
本明細書中での選択された用語の使用の定義
「コーティングされた」の用語は、コーティングおよび凝集工程に付される個々の粒子または結晶を少なくとも部分的に被覆する均質な層を意味することが意図される。コーティングされて凝集された炭酸カルシウム結晶の目に見える描写は、図1Aに示される。
【0137】
「粒子物質」の用語は、粒状物質または単純な粒状物と同じ意味であることを意図している。
「製剤化された」の用語は、前記の組成物を用いる医薬の製造における、賦形剤、担体、媒体(vehicles)、助溶媒、保存剤、着色剤、着香剤等々の選択に関することを意図している。
【0138】
本文脈において、「医薬的に許容される賦形剤」の用語は、それ自体があらゆる治療的および/または予防的効果を実質的に有しない意味で不活性である、あらゆる物質を意味することを意図している。医薬的に許容される賦形剤は、許容可能な技術的性質を有する医薬製剤を得ることを可能にする目的で、活性薬物に加えられ得る。
本文脈において、インビトロ溶出試験に関して言及するとき、「放出される」の用語は、溶出されることを意味する。
【0139】
カルシウム含有化合物
本発明により作られる粒状物質中に含まれるカルシウム含有化合物は、治療的および/または予防的に活性な、生理学的に忍容可能なカルシウム含有化合物である。
カルシウムは、イオン化カルシウムおよびカルシウム複合体の両方として、身体の多くの重要な機能に必須である(Campell AK.Clin Sci 1987; 72:1-10)。細胞の挙動および成長はカルシウムにより調節される。トロポニンと共同して、カルシウムは筋収縮および弛緩を制御する(Ebashi S. Proc R Soc Lond 1980; 207:259-86)。
【0140】
カルシウム選択チャンネルは、細胞膜の一般的な特徴であり、神経組織の電気活性および神経分泌顆粒の放電は、細胞内外のカルシウムレベルのバランス機能である(Burgoyne RD. Biochim Biophys Acta 1984;779:201-16)。ホルモンの分泌ならびに重要な酵素および蛋白質の活性は、カルシウムに依存する。最後に、リン酸カルシウム複合体としてカルシウムは、骨格の硬さおよび強さを与える(Boskey AL. Springer, 1988:171-26)。骨は、全身カルシウムの99%以上を含むので、骨格のカルシウムは、主な長期的カルシウム貯留所としても働く。
【0141】
例えば、炭酸カルシウムのようなカルシウム塩は、特に骨粗鬆症を患っているかまたはその恐れのある患者のカルシウム源として用いられる。さらに、炭酸カルシウムは、制酸錠中の酸中和剤として用いられる。
【0142】
前記のように、カルシウムは、哺乳類の体内、特にヒトにおいて多くの重要な機能を有する。さらに、多くの動物モデルにおいて、慢性の低カルシウム摂取はオステオペニアを生じる。オステオペニアは、皮質骨より海綿骨に影響を及ぼし、カルシウムの補充で完全に可逆的になり得えない。もし、その動物が成長していけば、減じられたカルシウムの摂取は発育阻害を招く。早産新生児において、高いカルシウムの摂取は、骨格のカルシウム付着の増加を大きくし、もし十分高ければ、在胎のカルシウム保持と等しくできる。成長の間に慢性的なカルシウムの不足はくる病を引き起こす。思春期前および後の両方の健康な子供におけるカルシウムの補給は、骨の質量の増加に導く。思春期において、カルシウムの摂取が高いほど、初潮直後に生じる一番高い保持をもって、カルシウムの保持が大きくなる。
【0143】
総合すれば、これらのデータは、子供および思春期において、カルシウムの適切な摂取が考慮されれば、骨質量のピークを、カルシウムで食生活を補完することにより、最適にすることができることを提案する。成長の間に骨格中のカルシウムの沈着を最適にすることに関与するメカニズムは知られていない。それらは、多分、もしカルシウムの供給が高ければ、類骨の最適な石灰化を保証するミネラル化工程の先天的な性質である。カルシウム欠乏の状態での成長の発育阻害に応答する因子も知られていないが、骨格の大きさを調節する成長因子を明らかに含む。
【0144】
大人において、カルシウムの補給は、年齢に関する骨損失の速度を減少させる(Dawson-Hughes B. Am J Clin Nut 1991;54:S274-80)。カルシウムの補給は、食物から最適なカルシウム摂取を達成することができないか、またはできないであろう個体にとって重要である。さらに、カルシウムの補給は、骨粗鬆症等の予防および治療において重要である。
【0145】
その上、カルシウムは、大腸内で抗癌作用を有し得る。いくつかの予備的な研究は、高カルシウム食またはカルシウム補充の摂取は、大腸・直腸癌の減少に関係することを示している。アセチルサリチル酸(ASA)および他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)と組み合わせたカルシウムが直腸結腸癌の危険性を減少させる証拠が増えている。
【0146】
最近の調査研究は、カルシウムが月経前症候群(PMS)を緩和し得ることを提案している。いくらかの研究者は、カルシウム調節の乱れが、PMS症状の進展における根本的な要因であると信じている。ある研究において、米国全体の閉経前の女性の446人グループの半分が三回の月経周期について追跡され、周期を通して毎日1200 mgのカルシウム補給物が与えられた。最終結果は、プラセボを摂取した女性の48%がPMS関連症状を示した。カルシウム錠剤を摂取した人では30%のみだった。
【0147】
例えば、炭酸カルシウムのようなカルシウム塩は錠剤で用いられ、高用量のカルシウムを必要とするため、そのような錠剤は、たいてい、チュアブル錠の形態である。チョーク(chalk)の独特の優勢な味またはフィーリングなしに、快適な味と許容可能なマウスフィーリングを有するカルシウム塩を含むチュアブル錠に製剤化することは難問である。
【0148】
本発明による使用のためのカルシウム含有化合物は、例えばビスグリシノカルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リンゴ酸カルシウム、カルシウムコーネート(calcium cornate)、フッ化カルシウム、カルシウムグルビオネート(calcium glubionate)、グルコン酸カルシウム、カルシウムグリセロホスフェート、リン酸水素カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、乳酸カルシウム、カルシウムラクトビオネート(calcium lactobionate)、カルシウムラクトグルコネート、リン酸カルシウム、カルシウムピドレート(calcium pidolate)、ステアリン酸カルシウムおよびリン酸三カルシウム、またはそれらの混合物であり得る。
【0149】
その他のカルシウム源は、水溶性カルシウム塩、または例えばアルギン酸カルシウム、カルシウム-EDTA等のような複合体、または例えば有機リン酸カルシウムのようなカルシウムを含む有機化合物であり得る。骨粉、ドロマイトおよびその他の粗製カルシウム源の使用は、それら供給源が鉛およびその他の毒性汚染物質を含み得るので、思いとどまらされる。しかしながら、そのような供給源は、もしそれらが所望の度合に精製されれば、適切であり得る。
【0150】
カルシウム含有化合物は、単独またはその他のカルシウム含有化合物と組み合わせて用いられ得る。
ビスグリシノカルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リンゴ酸カルシウム、カルシウムコーネート、フッ化カルシウム、カルシウムグルビオネート、グルコン酸カルシウム、カルシウムグリセロホスフェート、リン酸水素カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、乳酸カルシウム、カルシウムラクトビオネート、カルシウムラクトグルコネート、リン酸カルシウム、カルシウムピドレート、ステアリン酸カルシウムおよびリン酸三カルシウムが特に興味がある。異なるカルシウム含有化合物の混合物も用いられ得る。本明細書の実施例から明らかなように、炭酸カルシウムが、カルシウム含有化合物としての使用に特に適しており、炭酸カルシウムは高いカルシウム含有量を有する。
【0151】
炭酸カルシウムが特に興味がある。
通常、本発明により製造される錠剤は、例えば約150〜約800 mg、約200〜約700 mg、約200〜約600 mgまたは約200〜約500 mg Caのような、約100〜約1000 mg Caに相当する量のカルシウム含有化合物を含む。
【0152】
炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは三つの異なる結晶構造:カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトで存在し得る。鉱物学的に、これらは、結晶構造中のカルシウム、炭素および酸素原子の明確な配列に関する特異なミネラルの様相である。これらの明確な様相は、結晶形の形状および対称性に影響を及ぼす。
【0153】
例えば、カルサイトは四つの異なる形状:偏三角面体状、プリズム状、球状および菱面体状で入手可能であり、アラゴナイト結晶は、例えば別々かまたは房になった針状形として得られる。例えば立方体形(Scoraからのスコラライト 1A+B)のような他の形状も入手可能である。
【0154】
本明細書の実施例に示されるように、炭酸カルシウムの特に適した品質は、例えば50 μm以下または40 μm以下のような、60 μm以下の平均粒子径を有する炭酸カルシウムである。
さらに、炭酸カルシウムの興味ある品質は、2 g/mLより小さい嵩密度を有する。
【0155】
10〜30 μmの平均粒子径、0.4〜0.7 g/mLの見掛け嵩密度、および0.3 m2/gの比表面積を有する、炭酸カルシウム2064 Merck(ドイツ、ダルムシュタット、メルクより入手可能);
約3.9 μmの平均粒子径および0.4〜0.7 g/mLの見掛け嵩密度を有する、炭酸カルシウム2069 Merck(ドイツ、ダルムシュタット、メルクより入手可能);
【0156】
スコラライト 1A(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、5〜20 μmの平均粒子径、0.7〜1.0 g/mLの見掛け嵩密度、および0.6 m2/gの比表面積を有する;
スコラライト 1B(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、10〜25 μmの平均粒子径、0.9〜1.2 g/mLの見掛け嵩密度、および0.4〜0.6 m2/gの比表面積を有する;
スコラライト 1A+1B(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、7〜25 μmの平均粒子径、0.7〜1.2 g/mLの見掛け嵩密度、および0.35〜0.8 m2/gの比表面積を有する;
【0157】
ファーマカルブ(Pharmacarb) LL(Mahawah New Jersie、Chr. Hansenから入手可能)Lは、12〜16 μmの平均粒子径、1.0〜1.5 g/mLの見掛け嵩密度、および0.7 m2/gの比表面積を有する;
スターカル(Sturcal) Hは、約4 μmの平均粒子径、0.48〜0.61 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
スターカル Fは、約2.5 μmの平均粒子径、0.32〜0.43 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
スターカル Mは、7 μmの平均粒子径、0.7〜1.0 g/mLの見掛け嵩密度、および1.5 m2/gの比表面積を有する;
【0158】
ミクハート(Mikhart) 10、SPL、15、40および65 (フランス、Provencale、Provencaleから入手可能);
ミクハート 10は10 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート SPLは20 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート 15は17 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート 40は30 μmの平均粒子径、1.1〜1.5 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
ミクハート 65は60 μmの平均粒子径、1.25〜1.7 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
【0159】
フバーカル エリート(Hubercal Elite) 500(アメリカ、J.M.Huber Corpより入手可能)は、5.8 μmの平均粒子径および1.8 m2/gの比表面積を有する;
フバーカル エリート 500(アメリカ、J.M.Huber Corpより入手可能)は、8.2 μmの平均粒子径および1.3 m2/gの比表面積を有する;
【0160】
オムヤピュア(Omyapure) 35(フランス、パリ、Omya S.A.Sから入手可能)は、5〜30 μmの平均粒子径、および2.9 m2/gの比表面積を有する;
ソーカル(Socal) P2PHV(ベルギー、ブリュッセル、Solvayから入手可能)は、1.5 μmの平均粒子径、0.28 g/mLの見掛け嵩密度、および7.0 m2/gの比表面積を有する;
【0161】
10〜30 μmの平均粒子径、0.9〜1.2 g/mlの見掛け嵩密度、および0.7 m2/gの比表面積を有する、カルシ ピュア(Calci Pure) 250 Heavy、カルシ ピュア 250 Extra Heavyおよびカルシ ピュア GCC HD 212(セントルイス モンタナ、Particle Dynamic Inc.から入手可能)。
【0162】
本発明により製造される錠剤中のカルシウム含有化合物の含量は、例えば約45重量%〜約98重量%、約50重量%〜約95重量%、約55重量%〜約90重量%または少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%もしくは少なくとも約85重量%のような、約40重量%〜約100重量%の範囲である。
【0163】
通常、治療的または予防的目的のためのカルシウムの用量は、1日、約350 mg(例えば新生児)〜約1200 mg(授乳婦)である。錠剤中のカルシウム含有化合物の量は、錠剤が1日、1〜4回、好ましくは1日、1回か2回の投与に適するように調整され得る。
【0164】
前で述べたように、本発明の方法により得られる粒状物は、そのままで用いてもよいが、それは、例えば錠剤、カプセル剤またはサシェットのような固体の剤形にさらに製造されるのに非常に適してもいる。
当業者は、所望のカルシウム含有製品を得るために、その組成および種々の工程パラメータの調整の仕方を知るであろう。
【0165】
本発明の一つの態様において、本方法により得られる粒状物は、錠剤に製造されることを意図している。しばしば、得られる粒状物の付着を避け、そして/または流動性を増加するために、1以上の医薬的に許容される賦形剤(例えば滑沢剤)を加えることが必要である。したがって、本方法は、得られる粒状物と1以上の医薬的に許容される賦形剤とを混合する工程も含み得る。
【0166】
カルシウム含有化合物以外の活性な物質を含むことが望まれる場合、本方法は、得られる粒状物に1以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質を加える工程も含み得る。
そのような物質は、例えば、1以上のビタミンまたはミネラルのような、1以上の栄養剤を含む。具体的な態様において、さらなる活性な物質は、例えばビタミンD3、ビタミンD2またはそれらの誘導体のようなビタミンDである。
【0167】
ビタミンDまたはその他の活性物質
本発明により得られる粒子物質ならびに錠剤は、さらなる医薬的および/または予防的に活性な物質を含み得る。1以上のビタミン化合物に特に興味がある。非限定の例は、ロシュ(Roche)から入手可能な乾燥ビタミンD3、100 CWSおよびBASFから入手可能な乾燥ビタミンD3 100 GFPである。
【0168】
本発明により製造される粒子物質または錠剤は、さらなる医薬的および/または予防的に活性な物質を含み得るか、または例えば1以上のビタミンまたはミネラルのような1以上の栄養剤を含み得る。例えばビタミンB、ビタミンC、ビタミンDおよび/またはビタミンK、およびそれらの誘導体、ならびに例えば亜鉛、マグネシウム、セレン等のようなミネラルが特に興味がある。
【0169】
例えばビタミンD2(エルゴカルシフェロール)ならびにロシュから入手可能な乾燥ビタミンD3、100 CWSおよびBASFから入手可能な乾燥ビタミンD3 100 GFPを含むビタミンD3(コレカルシフェロール)のような、1以上のビタミンD化合物が特に興味がある。
【0170】
カルシウムおよび骨格の恒常性への作用に加えて、ビタミンDは、身体のいくつかの主なシステムの調節に関与する。ビタミンDの作用は、主に腎臓で作られる1,25-(OH)2 ビタミンDとビタミンD受容体(VDR)とで形成される複合体によりゲノムでメディケート(medicated)される。ビタミンD受容体は多くのセルタイプ中に広く分布している。1,25-(OH)2 ビタミンD/VDR複合体は、細胞分化および免疫系において重要な調節の役割を有している。これらの作用のいくつかは、多分、腎臓よりも他のある組織の、局所的に1,25-(OH)2 ビタミンDを作り、傍分泌として作用する能力に依存する(Adams JSら、Endocrinology 1996;137:4514-7)。
【0171】
ヒトにおいて、ビタミンDの欠乏は、小児においてくる病および大人において骨軟化症をもたらす。基本的な異常は、石灰化は骨芽細胞により行なわれるので、類骨から離れる石灰化速度の遅れである(Peacock M. London Livingstone, 1993:83-118)。この遅れが、骨芽細胞における、1,25-(OH)2 ビタミンD-依存メカニズムの破綻によるか、もしくは吸収不良の次のカルシウムおよびホスフェートの供給の減少によるか、または二つの組み合わせによるかどうかは明らかではない。石灰化の遅れに伴い、カルシウムおよびホスフェートの供給減少、低カルシウム血症および低リン酸塩血症を伴う重篤な二次性上皮小体機能亢進症および骨交替(turnover)の増加がある。
【0172】
ビタミンDの不足、ビタミンD欠乏の前臨床段階も、欠乏で見られるより緩和な度合ではあるが、カルシウム供給の減少および二次性上皮小体機能亢進症を引き起こす。もし、この状態が慢性になれば、オステオペニアを生じる。このカルシウムの不足状態の根底にある生化学的プロセスは、多分、その基質の25-OHDの還元による1,25-(OH)2 ビタミンDの不適切なレベルである(Francis RMら、Eur J Clin Invest 1983; 13:391-6)。
【0173】
ビタミンD不足の状態は、高齢者において、最も一般的に見られる。年齢に伴い、日光曝露の減少および起こり得る皮膚合成の減少により、血清25-OH ビタミンDが減少する。さらに、高齢者において、カルシウム取り込みの減少および逆説的なカルシウム吸収の減少により、この状態は悪化させられる。腎の1,25-(OH)2 ビタミンD産生の減少を生じる、年齢に伴う腎機能の減少が要因となり得る。
【0174】
高齢者の骨損失における、ビタミンD補給の効果の多くの研究がある。あるヒトはカルシウムの補給なしに、他のヒトはカルシウムの補給を伴う。その研究から、ビタミンD補給は欠乏および不足を覆すのに必要ではあるが、主な骨格の異常はカルシウム欠乏であるので、骨格に関する限りは、カルシウムを補給することがましてやなおさら重要であることが分かる。
【0175】
臨床試験に基づく文献において、最近の発見は、高齢の患者に対して、より高用量のビタミンDの必要性の傾向を提案している(Compston JE. BMJ 1998;317:1466-67)。ビタミンD 150.000〜300.000 IUの毎年の注射(約400〜800 IU/日に相当)のオープン準ランダム研究は、治療患者において、体全体の骨折率の有意な減少を示したが、股関節骨折の率には有意な減少を示さなかった(Heikinheimo RJら、Calcif Tissue Int 1992; 51:105-110)。
【0176】
前記から分かるように、カルシウムとビタミンDの組み合わせに興味がある。カルシウムとビタミンD3の推奨される一日許容量(recommended Daily Allowance (RDA))は次のとおりである(欧州委員会、欧州共同体中の骨粗鬆症の報告、予防のための処置、欧州共同体の公報局、ルクセンブルグ 1988):
【0177】
グループ年齢(歳) カルシウム(mg)* ビタミンD3 (μg)
新生児 0-0.5 400 10-25
0.5-1.0 360-400 10-25
小児 1.0-3.0 400-600 10
4.0-7.0 450-600 0-10
8.0-10 550-700 0-10
【0178】
男性 11-17 900-1000 0-10
18-24 900-1000 0-15
25-65 700-800 0-10
65+ 700-800 10
女性 11-17 900-1000 0-15
18-24 900-1000 0-10
25-50 700-800 0-10
51-65 800 0-10
65+ 700-800 10
妊婦 700-900 10
授乳婦 1200 10
* カルシウムのRDAは、国によって変わり、多くの国で再評価中である。
【0179】
ビタミンDは湿気に非常に感受性であり、分解される。それゆえ、ビタミンDは保護マトリックスの状態でしばしば投与される。したがって、ビタミンDを含んで錠剤が製造されるとき、錠剤化工程の間に適用される圧縮力が、マトリックスの保護効果を減少せず、それによりビタミンDの安定性を損なわないことが、最も重要である。
【0180】
このために、本発明により製造される粒状物または錠剤中の種々の成分の組み合わせは、錠剤化の間に比較的低い圧縮力を用い、適当な機械的強度(粉砕強度、破砕性等)を有する錠剤をそれでも達成することができるので、ビタミンDもその組成物中に組み込まれる場合に、非常に適していることが証明された。
【0181】
具体的な態様において、本発明は、
i) 活性物質としてカルシウム含有化合物、
ii) ビタミンD、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤(actives)
を含む錠剤を提供する。
【0182】
より具体的には、本錠剤は、
i) 少なくとも200 mgのカルシウム含有化合物(通常の範囲200〜1500 mg)、
ii) 少なくとも5 μgのビタミンD(通常の範囲5〜100 μg - 1 μg=40 IU)、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤
を含み得る。
【0183】
具体的な態様において、本発明は、成分の全量が約100重量%に相当する条件で、
i) 約50重量%〜約90重量%のカルシウム含有化合物、
ii) 約0.00029重量%〜約0.0122重量%のビタミンD、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤および活性剤
を含む錠剤を提供する。
【0184】
特に、本錠剤は、成分の全量が約100重量%に相当する条件で、
i) 約50重量%〜約90重量%のカルシウム含有化合物、
ii) 約5〜40重量%の甘味剤
iii) 約0.12重量%〜約4.9重量%の保護マトリックスを含むビタミンD、
iv) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤
を含み得る。
【0185】
その他の活性成分
例は、イソフラボン、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンB6ならびにイヌリンおよびオリゴフルクトースのようなオリゴサッカライドを含む。イソフラボンは弱いエストロゲン効果を示し、したがって、閉経後の女性の骨密度を増加させることができる。イソフラボンは、アメリカ、イリノイ州、ADM Nutraceuticalから商品名Novasoy 400で入手可能である。Novasoy 400は、イソフラボン40%を含み、典型的には、25〜100 mg イソフラボン/用量を提供するのに十分な量で用いられるであろう。イソフラボンは、第2の粒状物中に含まれ得るが、しかしながら、Novasoy 400は比較的粘着性の粉末であるので、それが均等に分布されることを保証するために、第1の粒状物中に含まれることが好ましい。
【0186】
ビタミンK(特にビタミンK1)は、骨形成および骨密度の生化学的マーカーを改善し得るし、ビタミンKの低濃度は、低い骨ミネラル密度および骨折と関連している。ビタミンKは、ロシュからDry Vitamin K、5% SD、ビタミンK1 5%を含む乾燥物質として入手可能である。典型的に、ビタミンKは、0.05〜5 mg ビタミンKj/用量を与えるのに十分な量で用いられるだろう。ビタミンCおよびビタミンB6 (ロシュ、その他からはタケダおよびBASFから入手可能)は、骨の有機マトリックスの主な成分のコラーゲンの形成におけるコ-ファクターとして機能する。ビタミンCおよびビタミンB6は、典型的には、それぞれ、60〜200 mg ビタミンC/用量および1.6〜4.8 mg ビタミンB6/用量を与えるのに十分な量で用いられるであろう。
【0187】
オリゴサッカライドは、カルシウムの吸収を促進し、増加することが示されており、典型的には、0.3〜5 g オリゴサッカライド/用量を与えるのに十分な量で用いられ得る。一般的に、カルシウムの取り込みを促進し、全生物的(prebiotic)効果を得るために、少なくとも合計5 gのオリゴサッカライドが1日に投与されることが望ましい。
【0188】
例えばビタミンDのような全体の粒状物のマイナーな部分を形成する、活性成分が用いられる場合、そのような成分と粒状物のプレミックス(premix)を製造した後、そのプレミックスと粒状物の残りの必要な量とを混合することが、一般的に好ましい。これは、粒状物中のマイナー成分の均等な分布を保証する。
【0189】
医薬的に許容される賦形剤
本文脈において、「医薬的に許容される賦形剤」の用語は、それ自体があらゆる治療的および/または予防的効果を実質的に有しない意味で不活性である、あらゆる物質を意味することを意図している。医薬的に許容される賦形剤は、許容可能な技術的性質を有する医薬組成物を得ることを可能にする目的で、活性薬物に加えられ得る。
【0190】
通常、カルシウム含有化合物は、錠剤への圧縮前に、1以上の医薬的に許容される賦形剤と混合される。そのような賦形剤は、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤のような固形剤の製剤化に通常用いられるものを含み、甘味料、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤等を含む。
【0191】
本発明による錠剤における使用に適した賦形剤の例は次のとおりである。
【表2】
【0192】
甘味剤
好適な甘味料の例は、デキストロース、エリトリトール、フルクトース、グリセリン、グルコース、イノシトール、イソマルト、イソマルチュロース、ラクチトール、乳糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、タガトース、トレハロース、キシリトール等を含む。ソルビトール、例えば、ネオソルブ(Neosorb) P100T、ソルビデクス(Sorbidex) P166B0およびソルボゲム ファイン クリスタリン ソルビトール(Sorbogem Fines Crystalline Sorbitol)は、Roquette Freres, CerestarおよびSPI Polyols Inc.からそれぞれ入手可能である。マルチソルブ(Maltisorb) P90(マルチトール)はRoquette Freresから入手可能、キシリトール(Xylitol) CM50、フルクトフィン(Fructofin) CM(フルクトース)およびラクチトール(Lactitol) CM50はDanisco Sweetenersから入手可能、イソマルト(Iaomalt) ST-PFおよびパラチノース(イソマルチュロース)、ガイオ タガトース(Gaio Tagatose)およびマンニトール(Manitol)はPalatinit, Arla FoodsおよびRoquette, Freresからそれぞれ入手可能である。
【0193】
ソルビトールは(ショ糖と比較して)0.55の甘味効果を有し;マルチトールは≦1の甘味効果を有し;キシリトールは1の甘味効果を有し;イソマルトは<0.5の甘味効果等を有する。甘味効果は、個々の甘味剤の選択と関連して価値があり得る。したがって、もし錠剤の減少した重量と容量を望むなら、高い甘味効果を有する甘味剤を選択することが好適である。
【0194】
人工甘味料
アセスルファムカリウム、アリテーム、アスパルテーム、シクラミン酸、シクラミン酸塩(例えばシクラミン酸カルシウム、シクラミン酸ナトリウム)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ネオヘスペリジン塩酸塩、サッカリン、サッカリン塩(例えばサッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウム、サッカリンカリウム、サッカリンナトリウム)、スクラロース(sucralose)、タウマチンおよびそれらの混合物。
【0195】
着香剤
アプリコット、レモン、レモン/ライム、ライム、オレンジ、マンダリン、例えば、Firmenich, Kerpen, Germanyから入手可能なアプリコット501.110 AP0551、レモン501.051 TP0551、レモン501.162 AP0551、レモン/ライム501.053 TP0551、ライム501.054 TP0551、オレンジ501.071 AP0551、オレンジTP0551、オレンジ501.434 P0551、マンダリン501.AP0551、レモン デュラローム(Durarome)501.282 TDI1091、またはTasteTech, Bristol, Englandから入手可能なジューシー レモン フレバリング(Juicy Lemon Flavouring)T3602、またはGivaudan Schweiz AG, Kemptthal, Schweizから入手可能なレモン ライム フレーバー パームシール(Lemon Lime Flavour Permseal)11029-31、レモン フレーバー パーマシール(Lemon Flavour Permaseal)12028-31、レモン フレーバー ウルトラドシール(Lemon Flavour Ultradseal)96918-71、またはFrey + Lau Gmbh, Henstedt-Ulzburg, Germanyから入手可能なレモン フレーバー パウダー(Lemon Flavour Powder)605786、レモン フレーバー パウダー605897。
【0196】
崩壊剤
アルギン酸−アルギネート、カルボキシメチルセルロース カルシウム、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越化学から入手可能なLH11、LH20、LH21、LH22、LH30、LH31、LH32)のようなセルロース誘導体および微結晶質セルロース、ポラクリリン カリウムまたはナトリウム、ポリアクリル酸、ポリカーボフィル、ポリエチレングリコール、ポリビニル酢酸、ポリビニルピロリドン(例えばポリビドン(Polyvidon)(登録商標)CL、ポリビドン(登録商標)CL-M、コリジング(Colliding)(登録商標)CL、ポリプラスドン(Polyplasdone)(登録商標)XL、ポリプラスドン(登録商標)XL-10);カルボキシメチル澱粉ナトリウム(例えばプリモゲル(Primogel)(登録商標)およびエクスプロタブ(Explotab)(登録商標))、クロスカルメロース ナトリウム(すなわち、架橋したカルボキシメチルセルロース ナトリウム塩、例えばアク-ジ-ソル(Ac-Di-Sol)(登録商標))、ナトリウム澱粉グリコレート、澱粉(例えば馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉)、α化澱粉。
【0197】
当業者は、圧縮性錠剤が30分以内、より望ましくは15以内、最も望ましくは5分以内に崩壊することが望ましいことを理解するであろう。それゆえ、好ましくは、用いられる崩壊剤は、30分以内、より好ましくは15分以内、最も好ましくは5分以内に錠剤の崩壊をもたらす。
【0198】
発泡剤(例えば炭酸水素ナトリウム(炭酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属)とクエン酸(酒石酸、フマル酸等)との混合物)。
【0199】
グリダント(Glidant)および滑沢剤
ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、タルク、高融点を有するワックスおよびグリセリド、水素化植物油、コロイドシリカ、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコールおよびアルキルサルフェートのようなグリダントおよび滑沢剤が組み込まれ得る。
好適な滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油等を含む。好ましくは、ステアリン酸マグネシウムが用いられる。
【0200】
充填剤/希釈剤/結合剤
デキストリン、マルトデキストリン(例えばロデクス(Lodex)(登録商標)5およびロデクス(登録商標)10)、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、エリトリトール、イソマルト、ラクチトール、乳糖(例えば噴霧乾燥乳糖、α-乳糖、β-乳糖、タブレトース(Tabletose)(登録商標)、種々のグレードのファーマトース(Pharmatose)(登録商標)、ミクロトース(Microtose)またはファースト-フロク(Fast-Floc)(登録商標))、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、タガトース、トレハロース、キシリトール、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(例えば信越化学から入手可能なLH11、LH20、LH21、LH22、LH30、LH31、LH32)、微結晶質セルロース(例えば、アビセル(Avicel)(登録商標)PH101、アビセル(登録商標)PH102またはアビセル(登録商標)PH105のような種々のアビセル(登録商標)、エルセマ(Elcema)(登録商標)P100、エムコセル(Emcocel)(登録商標)、ビバセル(Vivacel)(登録商標)、ミン タイ(Ming Tai)(登録商標)およびソルカ-フロク(Solka-Floc)(登録商標))、澱粉または加工澱粉(例えば馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉)、ポリビニルピロリドン(例えばBASFからのコリドン(Kollidon)25、30および90F、ならびにISPからのプラスドン(Plasdone)K-12、K17、K-25、K-30およびK-90)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーであるコポビドン(例えばBASFからのPVP VA64およびISPからのプラスドンS-630)、寒天(例えばアルギン酸ナトリウム)、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム(例えば、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム)、硫酸カルシウム、カルボキシアルキルセルロース、デキストレート、二塩基性リン酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド(例えばデキストラン、大豆ポリサッカライド)、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム。
【0201】
上記の物質のいくつかは、本発明の使用に適したポリマー物質のグループにも属する(以下の段落も参照)。特に、このことは、澱粉または加工澱粉(例えば馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉)、ポリビニルピロリドン、コポビドンまたはポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、寒天(例えばアルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコール)、カルボキシアルキルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリサッカライド(例えばイヌリン、デキストラン、大豆ポリサッカライド)に当てはまる。
【0202】
界面活性剤/エンハンサー
次のような界面活性剤が用いられ得る:
非イオン性(例えばポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ポリソルベート120、ソルビタン モノイソステアレート、ソルビタン モノラウレート、ソルビタン モノパルミテート、ソルビタン モノステアレート、ソルビタン モノオレエート、ソルビタン セスキオレエート、ソルビタン トリオレエート、グリセリル モノオレエートおよびポリビニルアルコール)、
【0203】
アニオン性(例えばドキュセートナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウム)
カチオン性(例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびセトリミド)
脂肪酸、脂肪アルコールおよび脂肪エステル、例えば:
オレイン酸エチル、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸、ラウリル酸メチル、オレイン酸、カプリン酸ナトリウム
【0204】
ジオクチル カルシウム スルホスクシネート、ジオクチル カリウム スルホスクシネート、ドデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド、トリメチルテトラデシルアンモニウム ブロマイド、ポリオキシエチレン エーテル(ポリオキシエチレン-9-ラウリル エーテル)、ドデシル硫酸ナトリウム、ナトリウム ジオクチル スルホスクシネート、ラウリル酸ナトリウム、5-メトキシサリチル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム;
【0205】
胆汁酸塩、例えば:
デオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸、コール酸ナトリウム、コール酸、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム;
細胞粘着剤、例えば:
レクチン(例えばトマト凝集素(Lycopersicon Esculentum Agglutinin)、小麦胚凝集素(Wheat Germ Agglutinin)、ウルチカ ジオイカ凝集素(Urtica Dioica Agglutinin))。
【0206】
N-アシル化アミノ酸(特に、N-[8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ)ベンゾイル]アミノカプリル酸(4-MOAC)、4-[4-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]酪酸、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]-カプリル酸ナトリウム);
【0207】
リン脂質、例えば:
ヘキサデシルホスホコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、1,2-ジ(2,4-オクタデカジエノイル)-sn-グリセロール-3-ホスホリルコリンおよびホスファチジルコリン(例えばジデカノイル-L-ホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン)、リゾホスファチジルコリンが特に興味がある;
【0208】
シクロデキストリン、例えば:
β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル β-シクロデキストリン、メチル シクロデキストリン;特に、ジメチル-β-シクロデキストリンが特に興味がある;
フシジン酸誘導体、例えば:
タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、ホスフェート-ジヒドロフシジン酸ナトリウム;特に、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウムが特に興味がある。
【0209】
その他:
例えばグリシルリジン酸、カプリン酸のナトリウム塩、アルカン(例えばアザシクロアルカン)、アミンおよびアミド(例えばN-メチル-ピロリドン、アゾン(Azone))、アミノ酸および修飾アミノ酸化合物(例えばアセチル-L-システイン)、ポリオール(例えばプロピレングリコール、ヒドロゲル)、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド)、テルペン(例えばカルボン)、アンモニウム グリシルリジネート(ammonium glycyrrizinate)、ヒアルロン酸、イソプロピル ミリステート、n-ラウリル-β-D-マルトピラノシド、サポニン、DL-オクタノイルカルニチン クロライド、パルミトイル-DL-カルニチン クロライド、DL-ステアロイルカルニチン クロライド、アシルカルニチン、エチレンジアミンジヒドロ-クロライド、ホスフェート-ジヒドロフシデート、ナトリウム CAP);特に、n-ラウリル-β-D-マルトピラノシドが特に興味がある、α 1000 ペプチド、少なくとも6モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸を含むMW<1000 ペプチド、分解されたロイヤルゼリー、プレビオチカ(prebiotica)、ブチレート、酪酸、ビタミンD2、ビタミンD3、ヒドロキシ-ビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD3、スピルリナ、プロテオグリカン、大豆加水分解物、リジン、乳酸、ジ-フルクトース-無水物、ビリトール(vylitol)Ca-(ラクテート)、カゼインの加水分解物、特にカゼイノグリコマクロペプチド、CaCO3の陰イオン化(negative ionization)、アセチルサリチル酸、ビタミンK、クレアチン。
【0210】
フィルム形成剤(ポリマー物質)
親水性フィルム形成剤、例えばポリビニルピロリドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えばHPMC E5、HPMC E15)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリデキストロースおよびマルトデキストリン、Seppic S.A.から入手可能なセピフィルム(Sepifilm)(商標)およびセピフィルム(商標)LP、信越化学から入手可能なファーマコート(Pharmacoat)(登録商標)。
【0211】
フィルム添加剤
アセチル化モノグリセリド、アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、ステアリン酸カルシウム、ひまし油、セタノール、クロレブタノール、コロイドシリカ、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、グリセロールトリブチレート、グリセロールトリアセテート、グリセリル ベハネート、モノステアリン酸グリセリル、水素化植物油、レシチン、ロイシン、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレン グリコール、プロピレン グリコール、ポリソルベート、シリコーン、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ステアリン酸亜鉛、ワックス。
【実施例】
【0212】
次の非限定的な実施例は、本発明を説明することを意図している。
実施例
本実施例は、本発明の必要とされる(entailed)詳細な説明に従って処理された。
流動床造粒および乾燥は、造粒される粉末混合物の流動化のために、生成物容器および膨張室からなる流動床噴霧造粒機で行なわれる。設定に関する詳細は、本明細書の前で述べられている。粉末混合物は、生成物容器の底の生成物スクリーンに留まっており、流動床噴霧造粒機の出口側の排気フィルターにより、膨張室を抜け出ることを制限されている。粉末の流動化に必要な気流は、ユニットの上端部に取付けられた吸出し扇風機により発生される。流動化に用いられる空気は、装置の空気入口部に配置された空気加熱機により所望の温度まで加熱される。粉末混合物は、十分な空気量で流動化され、造粒液は、複数のバイナリノズルからなるスプレーヘッドにより微細な噴霧として霧状にされる。スプレーヘッドは、脈打つ粒子へ「トップスプレー」を意味する向流または脈打つ床に「ボトムスプレー」を意味する並流の造粒液の噴霧スプレーを追加し得る。湿った粒子は、粒子-粒子の接触により凝集または造粒を受ける。適当な造粒が達成されたあと、スプレー操作は停止され、物質が乾燥され、ユニットから排出される。重大な製剤特性および流動床工程に対して工程パラメータを調整することによって、粉末状の混合物中の個々の粒子を凝集、インスタンタイズ、またはコーティングすることができる。
【0213】
別に特定されていなければ、組成物は、製剤間の比較を容易にするために、錠剤重量、強力甘味料の濃度およびタイプ、着香剤の量およびタイプ、ステアリン酸マグネシウムの量ならびに用いられる錠剤化圧力で規格化された。錠剤化圧力は、2%より低い破砕性の満足な値を得るために、各々の場合で調整された。
【0214】
錠剤圧縮曲線は、例えば炭酸カルシウム結晶のコーティング層中のポリマー物質および水溶性物質のタイプと量のような製剤化の変数の関数として、圧縮挙動を調べるため、大多数の製剤に対して行なわれた。
【0215】
キシリトールならびにその他のポリオールおよび炭水化物のような水溶性物質は、大多数の製剤において、それぞれ流動床凝集およびコーティング前の造粒液および乾燥粉末混合物に対して2つの量に分けられた。
【0216】
粒状物および錠剤は、嵩密度、粒子径および分布、錠剤化圧力、粉砕強度、破砕性、錠剤の密度、錠剤の多孔性、崩壊性および溶出性に関して、特徴付けられた。崩壊性および溶出性の両方は、前の本文に記載されているようにヨーロッパ薬局方に従って行なわれた。溶出試験は、実施例1、2、3、4、参考例3および参考例4に対してのみ行なわれた。
【0217】
【表3−1】
【表3−2】
【0218】
参考例1は、流動床造粒および乾燥中に、コポビドンの28%溶液が造粒液として用いられた製剤を示す。該製剤は、満足に凝集せず、余りにも微細な物質および平均粒子径の低値を有する粒状物を生じた。該粒状物を18 kNの高い錠剤化圧力で錠剤に圧縮することは困難であることが判明し、低すぎる粉砕強度を有する錠剤および破砕性の高すぎる値を有する非常に脆い錠剤を生じた。
【0219】
参考例2におけるキシリトールの50%溶液での造粒は、全然圧縮せずかつ100%の破砕性値を有する非常に不満足な粒状物を生じた。
本発明の実施例1は、あらゆる追加の充填材なしで、コポビドン28%とキシリトール19.7%とからなる造粒液を用いてに造粒された炭酸カルシウムである。驚くべきことに、造粒液中で、ポリマー結合材と可溶性の充填剤との組み合わせは、D10が82μmの高値で、粒状物の平均粒子径が219μmである非常に良好な凝集を生じた。
【0220】
本発明の実施例2は、流動床造粒およびコーティングの前に少量のキシリトールの粉末混合物への添加およびコポビドン28%とキシリトール29.7%とからなる造粒液が用いられた炭酸カルシウムを示す。ほとんど微細な物質を有せず、平均粒子径225μmを有するさらさらした粒状物が得られた。
【0221】
図3に示されるように、実施例1および2に対して、非常に良好な錠剤圧縮曲線が得られたことは、同様に驚くべきことである。2つの実施例に対して、10〜14 kNの範囲の低錠剤化圧力で、2%より低い満足な破砕性値を有する、直線の圧縮曲線が見られ得る。
錠剤実施例1および2は、小さい錠剤を生じる低値の錠剤密度でさらに特徴付けられ、その場合、錠剤の多孔性に対しては満足な高値が維持されていた。
3分の非常に短い崩壊時間、60秒の短いハンギング錠剤スリップタイムおよび10分後に90重量%が溶出する速い溶出速度は、2つの製剤が錠剤溶融性(tablet melt characteristics)を有することを示している。
【0222】
実施例3、4、参考例3および4
市販の顆粒品質の炭酸カルシウムに基づく2つの参考例(参考例3および4)が、本発明の製剤に対して、これらの製剤を基準とするために用いられた。
【0223】
【表4−1】
【表4−2】
【0224】
本発明の実施例3および4ならびに参考例3および4は、錠剤の特性と官能性に関して、これらを比較するために同じ量の着香剤、強力甘味料および錠剤化滑沢剤で製造された。
【0225】
本発明の実施例3および4は、小さい錠剤の形成を容易にする、1.5〜1.7 g/cm3の範囲の見掛け錠剤密度を有する密な錠剤として特徴付けられる。該錠剤は、30〜38%の範囲にある多孔性の十分な高値により特徴付けられる。実施例3および4は、9〜10 kNの低い錠剤化圧力で、それぞれ40〜50 Nおよび0.5〜1.2%の満足な粉砕強度と破砕性を有する錠剤を生産することも見られ得る。該錠剤は、1〜3分の速い崩壊時間と10分後に90重量%が溶出する素早い溶出速度でさらに特徴付けられる。実施例4に対するハンギング錠剤スリップタイムはわずか24秒であり、この製剤の優れた溶融性を証明する。
【0226】
参考例3は、Roquette Freresからのリカタブ ミネラル(Lycatab Mineral) CC 190に基づく錠剤である。この品質は、10%トウモロコシ澱粉で造粒された、Scora Watrigant SA, Franceからのスコラライト品質に基づくものである。
この品質は、密度の濃い錠剤を生産するが、その崩壊時間は30分を超え、カルシウムの溶出性は、カルシウム含有溶融タブレットに対するインビトロでの要件を満たさない、10分後にわずか17重量%である。
【0227】
参考例4は、噴霧乾燥法によって製造された、70%の炭酸カルシウムからなる、Merck KgaA, Germanyからのフォルマックス(Formaxx) CaCO3に基づく錠剤である。この粒状物だけで70%の炭酸カルシウムを含むので、1420 mgの錠剤重量を達成するために、980 mgだけの炭酸カルシウムがこの錠剤に組み込まれ得る。噴霧乾燥物質の高い多孔性のために、それはあまり密度の濃くない錠剤でもある。参考例4は、本発明の実施例と比較したとき、崩壊速度および溶出速度に関して劣った性質を示す。両参考例は、これらの製剤が溶融性を有しないことを示す、ハンギング錠剤スリップタイムに対して高い値を有する。
【0228】
4つの製剤は、本明細書の詳細な説明下に記載された官能性分析により互いに比較された。その製剤中のソルビトールのより高い含量のために実施例4中の甘味料のレベル以外は、4つの製剤は、着香剤、強力甘味料および錠剤化滑沢剤の同じ量およびタイプを含んだ。図5は、4つの製剤を用いて行なわれた官能性分析の結果を視覚化する。
【0229】
実施例3および4は、両実施例が、図5で2つのアスタリクスで印が付けられた2つの参考例から95%の信頼性のレベルで3つの全ての官能に統計的差がある、1つのアスタリスクで印が付けられている。
【0230】
本発明の実施例3および4は、4つの製剤が同じ量の着香剤を含むけれども、レモン臭に関して一番良い結果となった。この理由は、実施例3および4に対する口の中での改善された崩壊性/分散性および香り放出による。
【0231】
本発明の実施例3および4は、Nycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815によるカルシウムチュアブル錠に基づく参考品に対して試験された。本発明の両製剤は、参考錠剤に対して比較されたとき、有意により短い溶融分散を有する結果となった。実施例4は、52秒の溶融分散時間を有する一番良好な溶融特性を有した。溶融分散時間に関して、実施例3および4との間にも統計的差があった。その結果が図6に示されている。
【0232】
したがって、本発明の組成物は、チュアブル錠においての使用が推奨される市販の炭酸カルシウム品質との比較で、優れた錠剤の特性を与え、官能性を改善することが示された。本発明のカルシウム溶融製剤は、Nycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815に基づくカルシウム錠と比較されたとき、有意により短い溶融分散時間を有することがさらに示された。これらの優れた性質は、錠剤の密度が濃いとの事実にも拘わらず達成されており、したがって、減少された錠剤容積および錠剤サイズ/直径も提供する。
【0233】
実施例5、6、7、8および9
一連の実施例は、ポリマー物質(結合剤材料も意味する)および水溶性物質(可溶性充填剤も意味する)との間の割合を変えるために行なわれた。造粒液中に50重量%の一定の乾燥物質含量を有するように、キシリトールの量が調整された造粒液に、ポリマー性の結合剤材料(この場合ポビドンK-30であった)が、3.8、9.8、15.8、21.8および27.9重量%の濃度で加えられた。
【0234】
【表5−1】
【表5−2】
【0235】
平均粒子径は、粒状物中の結合剤の濃度が増加するにつれて増加することが見られ得る。粒状物は、狭い粒子径分布を示す、スパン値に対する低い値でさらに特徴付けられる。該錠剤から、錠剤重量当り0.5%ぐらい少量のポビドンK-30は、許容される粉砕強度および破砕性を有する錠剤を産生することが見られ得る。粒状物中の結合剤の濃度が増加するにつれて、粉砕強度は増加し、破砕性値は減少する。
【0236】
錠剤中の結合剤含量が増加するにつれて、崩壊性およびハンギング錠剤スリップタイムが増加することも見られ得る。このことは、わずかな程度に水の進入を減少する、炭酸カルシウム結晶の回りのより粘性なフィルムの存在に起因する。上記の一連の実施例に対する最も良好な溶融性は、錠剤製剤中の結合剤の0.4〜1.8重量%と等価である、結合剤(ポビドンK-30)の6〜26 mgの含量で見られる。
【0237】
実施例10、11、12、13、14および15
炭酸カルシウム結晶のコーティング中の充填剤材料のタイプの柔軟性が次の実施例で詳細に調べられた。
【表6−1】
【表6−2】
【0238】
該結果から、多くの充填剤材料を、炭酸カルシウム結晶のコーティング中の成分として用いることができることが理解され得る。満足な凝集は、200〜307 μmの範囲の平均粒子径および狭い粒子径分布を示す低いスパン値で達成される。
該配合は、1.57〜1.66 g/cm3の範囲の密度が濃く、かつ多孔性において32〜36%の範囲の十分に高い値を有する錠剤を産生することが理解され得る。崩壊時間およびハンギング錠剤スリップタイムに対する値は、キシリトールが炭酸カルシウム結晶を被覆するフィルム中の好ましい充填剤材料の1つであることを示す、キシリトールに対して得られるものよりもわずかに高い。
【0239】
70〜117 Nの比較的高い粉砕強度および0.1〜0.4%の非常に低い破砕性値は、8〜10 kNの低い錠剤化圧力で達成される。
【0240】
実施例16、17、18および19
炭酸カルシウムの異なる品質および炭酸カルシウム結晶のコーティング中の湿った結合剤材料の異なるタイプが、次の実施例で詳細に調べられた。
【0241】
【表7−1】
【表7−2】
【0242】
該結果から、炭酸カルシウム結晶のコーティング成分として異なる結合剤材料を用いることができることが理解され得る。
実施例17は、錠剤中に0.09%の濃度でだけ存在するアルギン酸プロピレングリコールを含む。しかしながら、それは、ハンギング錠剤スリップタイムに対する高い値を説明する、低濃度で非常に粘性な結合剤である。
実施例18および19は、1.5 m2/gまでの比表面積を有する異なる品質の炭酸カルシウムが、粒状物および錠剤の特性に良好な結果を持って用いられ得ることを示す。
【0243】
実施例20、21、22、23および24
一連の実施例が、水溶性物質(可溶性充填剤も意味する)の量を変化するために、行なわれた。ポリマー結合剤の量が、錠剤当りそれぞれ16および26 mgの2つのレベルに保たれた錠剤に、可溶性の充填剤が、4.2、2.2、1.1および0.6重量%の量で加えられた。
【0244】
【表8−1】
【表8−2】
【0245】
粒状物は、狭い粒子径分布を示すスパン値の低い値でさらに特徴付けられる。該錠剤から、錠剤当り7.5 mgまたは0.6%ほどの少ないキシリトールは、許容される粉砕強度および破砕性を有する錠剤を産生することが理解され得る。錠剤製剤が、錠剤中の可溶性の充填剤材料の低いレベルによる高い錠剤密度で特徴付けられることがさらに理解され得る。したがって、カルシウム含有化合物をコーティングまたは部分的にコーティングするために水溶性物質とポリマー物質との組み合わせの使用は、Ca化合物の驚くべき高含量を有する錠剤の製造を可能にする。本実施例において、錠剤はチュアブル錠として設計されるが、それは、通常の経口投与、すなわち錠剤を飲み込むことによる投与も可能な特性を有している。そのような場合、飲み込み可能な錠剤のために香りは除外されうる事実により、Ca含量は、さらに高く(97重量%)なるであろう。
【0246】
錠剤溶融特性は、それぞれ、57〜123秒および25〜65秒の範囲の崩壊時間およびハンギング錠剤スリップタイムを有して、全一連の製剤に対して達成される。
錠剤溶融機能特性が、活性成分が96%を超える量で存在する(実施例24)、これらの低い賦形剤レベルで保持されることは、驚くべきことである。
【0247】
実施例25、26および27
その他のカルシウム塩および特に有機酸に基づくカルシウム塩を使用するために、一連の実施例が行われた。炭酸カルシウムと乳酸カルシウムおよびクエン酸カルシウムとの組み合わせが、各錠剤中に十分な量のカルシウムを有するために、また製剤化された。実施例25、26および27は、錠剤当りそれぞれ350、400および200 mgのカルシウムを含む。
【0248】
【表9−1】
【表9−2】
【0249】
上記の錠剤から、低錠剤化圧力で許容される破砕性と粉砕強度を有するタブレット溶融錠剤が得られることが理解される。タブレット溶融特性は、それぞれ50〜92秒および35〜95秒の崩壊時間およびハンギング錠剤スリップタイムで明らかである。
【0250】
錠剤密度は、有機カルシウム塩に基づく錠剤が、主に炭酸カルシウムに基づく錠剤より密度が濃くない場合において、用いられる特定のカルシウム塩またはカルシウム塩の組み合わせに依存することが理解され得る。
【0251】
実施例28
高剪断混合機中での湿式造粒
28A. 設計
この実験で試験される組成物は次のとおりである:
【0252】
【表10】
【0253】
炭酸カルシウムは、可溶性充填剤の一部と混合される。
混合物は、その溶液/懸濁液がノズルの使用により粉末混合物にスプレーされる、水溶性物質の残りおよび結合性を有するポリマー物質の溶液/懸濁液で湿らされた。スプレーすることの目的は、実質的にフィルムでコーティングされた炭酸カルシウムの粒子および/または結晶を得るためである。
【0254】
湿らされた粉末マス(mass)が、1〜10分の間に湿った塊にされる。
粒状化された粉末マスは、1.0%より低い水分含量まで乾燥される、流動床乾燥機に移される。
乾燥粒状物は、1.5 mmのスクリーンを通され、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0255】
28B. 試験スケールの実験
その他の造粒法が本発明のタブレット溶融製剤を製造するために使用され得ることを示すために、1つの実施例が試験スケールの高速混合機中で行なわれた。
造粒は、6 kgのバッチサイズでFielder PMA 25中で行なわれた。主要部のインペラーとナイフは、それぞれ400 RPMおよび3000 RPMの混合速度に設定された。60%の乾燥物含量を有する造粒液300 gが、80 g/分のスプレー速度および1.5バールのスプレー噴霧圧力で、粉末混合物に適用された。
【0256】
次に、湿った粒状化生成物は、12メッシュのスクリーンを通され、3 kgが乾燥のために試験スケールの流動床(Glatt GPCG 3)に移された。
生成物は、最終水分含量0.1%まで80℃で乾燥された。次いで、乾燥粒状物は、着香剤粒状物およびステアリン酸マグネシウムと混合され、14 mmの普通の中高(convex)錠が製造された。
【0257】
【表11】
【0258】
上記実施例は、カルシウム溶融錠が流動床以外の造粒法で用いられ得ることを示している。カルシウム溶融錠は、38 kNの錠剤化圧力で、破砕性に対する低値および許容される粉砕強度を有して得られた。タブレット溶融特性は、83秒の崩壊時間および50秒のハンギング錠剤スリップタイムで明らかとなった。
【0259】
高剪断造粒に基づく錠剤製剤は、1.72 g/cm3の高密度および30.1%の多孔率を有する。本発明の流動床造粒/コーティングに基づく製剤と比較して、該密度は高く、該多孔率は幾分低い。これは、高剪断混合機は、混合機中、高剪断速度で湿った塊になる間により密度の濃い粒状物を形成するという事実によると予想される。
【0260】
実施例29
炭酸カルシウム含有粒状物の製造スケールの製造
次の間隔内で単位投与量当りの組成を有する粒状物が製造された:
【0261】
【表12】
【0262】
造粒試験が、複数のヘッドノズル(2.3 mm)を用いるGlatt流動床造粒機で行なわれた。バッチサイズは250 kgであった。
炭酸カルシウムが生成物容器に移され、キシリトール、ポビドン30および人工甘味料が水に溶解された。
【0263】
粉末床が、造粒を開始する前に、35〜40℃の温度に加熱された。入口空気温度は、冷却工程までの試験全体の間80℃に維持された。生成物温度は、凡そ4.5バールの噴霧空気圧が、造粒液を霧状にするために用いられる造粒工程の間、35〜40℃に維持された。乾燥の間、生成物温度は50〜52℃に上げられ、その後、入口空気温度が20℃に下げられ、冷却工程を開始した。生成物温度が40〜45℃に達したとき、冷却を止め、粒状物を流動床から排出した。
【0264】
6回の試験が行なわれた。試験1〜4は、キシリトール/ポビドン30レベルおよびスプレー速度(造粒液)が独立変数である、22 要因計画(factorial design)に設定された。試験5において、要因計画のものと比較して、キシリトールのレベルは増加され、ポビドン30のレベルは減少された。試験6において、要因計画のものと比較して、キシリトールのレベルは減少され、ポビドン30のレベルは増加された。
【0265】
【表13】
【0266】
炭酸カルシウム結晶の被覆(コーティング)の度合を測定するため、造粒液中の固体、製造された粒状物中の固体により、XPS(X線光電子分光法)測定が試験1、2および4になされた。
粒状物の表面が被覆されていることを示す結果が次に示される:
【0267】
【表14】
【0268】
より均一な分布をもたらすべきである長い造粒時間でさえ、結合剤(ポビドン30)および水溶性充填剤(キシリトール)による炭酸カルシウムの完全な被覆を保証しない。
【0269】
【表15】
【0270】
【表16】
【0271】
要因計画の一部である試験の統計分析は、スプレー速度に対して有意な統計学的効果を示す。スプレー速度の増加は、D50およびD10における増加をもたらす。
分析は、低いキシリトールの量に対して有意な統計学的効果を示し、嵩密度の増加をもたらす。このことは、キシリトールの低い量と高いスプレー速度との組み合わせにも当てはまる。
【0272】
実施例30
炭酸カルシウム含有錠剤の製造
最終粒状物は、実施例29で得られた粒状物にデュラローム(登録商標)着香剤粒状物およびステアリン酸マグネシウムを混合することにより製造され、特別な顆粒(extra-granule)の賦形剤が加えられた。
【0273】
【表17】
【0274】
錠剤は最終粒状物から製造された。
錠剤は、14 mmの普通の中低の(concave)パンチおよび次の圧縮力:0.6トン、1.0トン、1.4トン、1.8トンおよび2.2トンを用いて、16点(station)B3B (Manesty)上で圧縮された。粉砕強度−圧縮力プロファイルが得られた;図8参照、ならびに崩壊時間、錠剤多孔率(1トンの圧縮力)が得られた。
【0275】
【表18】
【0276】
22要因計画を挿入するバッチ1〜4の統計分析は、非常に確固たる錠剤化法を示す有意な効果を示さない。
このことは、錠剤技術データおよび図8の粉砕強度−圧縮力プロファイルによっても説明される。
【0277】
試験5および6は、要因計画の部分ではないが、実際的見地から、この2つの試験に対する崩壊時間も錠剤多孔率も、計画の結果から有意に逸脱しない。
図8から、試験6の粉砕強度レベルは、残りの試験に対する傾きより低いことが理解される。これは、おそらく、その製剤中のキシリトールのより少ない量により引き起こされる(実施例29参照)。
【0278】
実施例31
代わりのポリマー化合物の試験
次の設計による、異なる濃度での寒天およびコリコート(Kollicoat) IRが試験された:
【表19】
【0279】
炭酸カルシウムが、上端スプレー構成を有するGPCG 3 流動床(Glatt)中の生成物容器に移され、キシリトールとポリマー化合物が水に溶解された。炭酸カルシウムが、次の工程パラメータを用いて造粒された:
造粒液流速: 120 g/分
造粒入口空気温度: 80℃
乾燥入口温度: 80℃
乾燥終点温度: 45℃
冷却終点温度: 42℃。
【0280】
冷却後、サイズを超えたあらゆる粒子を除くために、粒状物は1400 μmのスクリーンを通された。最終粒状物を得るために、ステアリン酸マグネシウムと混合された。該粒状物は、2分されたラインで、14 mmの平らなはす縁(flat beveled edged)パンチを用いて、錠剤に圧縮された。試験の結果は、結果の表で理解され得る。
【0281】
【表20】
【0282】
一般的に、それがハンギング錠剤に対するスリップタイムに対する場合でも同様に、ポリマー濃度の増加に対して粉砕強度が増加することが示された。満足な生成物を得るために、工程および製剤のパラメータを注意深く選択することが必要であるが、結果の表からも理解され得る。
【0283】
実施例32
代わりの可溶性化合物の試験
次の設計により、クエン酸、グリシン、塩化ナトリウムおよびアスコルビン酸ナトリウムが試験された:
【0284】
【表21】
【0285】
炭酸カルシウムが、上端スプレー構成を有するGPCG 3流動床(Glatt)中の生成物容器に移され、可溶性化合物およびポビドン30が水に溶解された。次に示されるパラメータを用いて造粒された:
造粒液流速: 120 g/分
造粒入口空気温度: 80℃
乾燥入口温度: 80℃
乾燥終点温度: 45℃
冷却終点温度: 42℃。
【0286】
冷却後、粒状物は、サイズを超えたあらゆる粒子を除くために、1400 μmのスクリーンを通された。最終粒状物は、スクリーニングされた粒状物にステアリン酸マグネシウムを混合することにより得られた:
【0287】
【表22】
【0288】
結果の表から、ポリマーと組み合わせての可溶性化合物の使用は、溶融性を有する錠剤をもたらすことが理解され得る。
【0289】
結果
【表23】
【0290】
満足な生成物を得るために、工程および製剤パラメータを注意深く選択することが必要である。もし適当な工程パラメータが選択されるならば、実施例31および32からの製剤パラメータを組み合わせることによっても、満足な生成物を得ることが可能であろう。
【0291】
実施例33
Schugiフレキソミックス(flexomix)システムでの湿式造粒
33A. 設計
この実験で試験される組成は次のとおりである:
【表24】
【0292】
炭酸カルシウムが、可溶性充填剤の一部と混合され、100 kg/時間〜5000 kg/時間の間の速度で、Flexomixシステムを通された。
混合物は、4 kg/時間〜700 kg/時間のスプレー速度でのノズルの使用により、水溶性物質の残りと結合性を有するポリマー物質との溶液/懸濁液で湿らされた。混合ブレードのRPMは1000〜4500の間に設定される。
【0293】
粒状化された粉末マスは、連続流動床乾燥機に移され、そこで、1.0%より低い水分含量まで乾燥される。
乾燥された粒状物は、1.5 mmのスクリーンを通され、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物は、チュアブル錠に圧縮される。
【0294】
33B. Schugi Flexomix中での造粒、可溶性物質、ポリマーの量の試験およびSchugi変数:
粒状物の製造
炭酸カルシウム粉末が、ホッパーに移された。水および賦形剤からなる造粒液が、ジャケット付き容器中で製造された(組成に対する設計表を参照)。
造粒は、凡そ30 kgのバッチサイズおよび+2のナイフの位置で、Schugi Flexomix FX-160中で行なわれた。混合シャフトの回転速度は、3500 rpm〜4500 rpmの間に変えられた。粉末の供給は、撹拌機を有するK-トロン T-65 プレ-供給機およびK-トロン 一定重量供給機WF300の使用により制御された。造粒液は2つのノズルによる噴霧によって、粉末に添加された。
湿った粒状物は、水平流動床乾燥機に移され、規定の最終物温度に乾燥された。
【0295】
設計:
【表25】
【0296】
粒状物は、Erweka回転混合機の使用により、27 rpmで5分間、凡そ5 kgのバッチサイズで、着香剤粒状物および0.50パーセントのステアリン酸マグネシウムと混合された。
錠剤は、輪転機および14 mmの丸型の平らなはす縁パンチを備えたKorsch PH106の使用により製造された。錠剤マスの対象(target)は、錠剤当り1250 mgの炭酸カルシウム量を与えるように調整された。圧縮力は、粉砕強度/圧縮力プロファイルを得るために、各粒状物に対して凡そ40 N、70 Nおよび100 Nの粉砕強度に対して調整された。
【0297】
【表26】
【0298】
該錠剤は、粉砕強度、崩壊性、ハンギング錠剤のスリップタイムで特徴付けられる。
上記の設計の、粉砕強度への影響を図9に、図10にハンギング錠剤のスリップタイムへの影響、図11に崩壊時間への影響が示される。該製剤の健全性(robustness)は、反復(試験4〜6)とキシリトールおよびPVP(錠剤の組成物)の量ならびに液体流速およびrpm(実際の設計)における変動、試験1〜3との比較により説明される。
試験1〜6の粉砕強度、スリップタイムおよび崩壊時間における際立った差がないことは、Schugi-Flex-O-Mix技術に基づく錠剤の健全性を強調する。
【0299】
33C. 製剤中のポリマーを除いたSchugi Flexomixでの造粒
次の試験設計と組成を有する錠剤の製造および特徴付けが、実施例33Cに記載されたように行なわれた:
【0300】
【表27】
【0301】
【表28】
【0302】
圧縮実験は、キャッピング(capping)または錠剤が軟らかすぎるために、許容される品質の錠剤を得ることができなかったを示した。
【0303】
実施例34
造粒液中、可溶性化合物としてキシリトールおよびポリマーとしてPVP30を用いて、造粒されたカルシウム含有化合物のコーティングされたおよびコーティングされていない表面の実例
実施例29により製造された粒状物をXPSにより試験した、結果に対しては実施例29を参照。粒状物中のカルシウム含有化合物の見えている面の20.9 %〜26.9 %が、造粒液の乾燥物成分によってコーティングされないことが記録される。これらのコーティングされない表面の外観を詳細に調べるために、ESEM(環境制御型走査電子顕微鏡検査法)が用いられた。
【0304】
図12a〜12cにおいて、指定された矢印Aは、カルシウム含有化合物のコーティングされていない表面積の領域を示している。これらの領域は、しばしばとがったもしくはかなり大きな平たい領域または表面上の直線様の模様によって特徴付けられる。指定された矢印Bは、コーティングされた領域を示している。これらの領域は、丸い表面または波のような模様もしくはでこぼこの領域によって特徴付けられる。
【0305】
実施例29の結果を考慮して、これらの結果は、コーティング組成物または造粒液中の成分によるCa含有化合物の100%のコーティングまたは被覆は必ずしも必要でないことを示している。
【0306】
次の実施例に、さらなる計画された検討を記載する。
実施例35
2軸スクリュー押出機中での湿式造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0307】
【表29】
【0308】
炭酸カルシウムを水溶性物質の一部と混合し、Leistritz 2軸スクリュー押出機 MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した。
水溶性物質の残りと結合性を有するポリマー物質との溶液/懸濁液を押出機に加えることによって、混合物を湿らせる。
粉末供給は100 g/分に、スクリュー速度100 rpmに設定される。
ダイプレートは必要とされない。
【0309】
粒状化された粉末マスを流動床乾燥機に移し、そこで1.0 %より低い水分含量に乾燥される。
乾燥された粒状物は1.5 mmのスクリーンに通され、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物は、チュアブル錠に圧縮される。
【0310】
実施例36
2軸スクリュー押出機中でのホットメルト(hot melt)造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0311】
【表30】
【0312】
水溶性物質と結合性を有するポリマー物質との混合物を、次のように調整された温度プロファイルを有する、Leistritz 2軸スクリュー押出機MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した:
【0313】
【表31】
【0314】
粉末供給は、実際の製剤に合うように調整され、スクリュー速度は100 rpmに固定される。
炭酸カルシウムを、セクション3で2軸スクリュー押出機に移す。
粉末供給は100 g/分に設定される。
ダイプレートは用いられない。
【0315】
粒状化された粉末マスを冷却し、その後、粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0316】
実施例37
2軸スクリュー押出機中でのホットメルト造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0317】
【表32】
【0318】
可溶性充填剤、結合性ポリマーおよび炭酸カルシウムの混合物を、次のように調整された温度プロファイルを有する、Leistritz 2軸スクリュー押出機MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した:
【0319】
【表33】
【0320】
粉末供給は、実際の製剤に合うように調整され、スクリュー速度は100 rpmに固定される。ダイプレートは必要とされない。
【0321】
粒状化された粉末マスを冷却し、その後、粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0322】
実施例38
2軸スクリュー押出機中でのホットメルト造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0323】
【表34】
【0324】
水溶性物質と結合性を有するポリマー物質との混合物を水で湿らせ、次いで、次のように調整された温度プロファイルを有する、Leistritz 2軸スクリュー押出機MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した:
【0325】
【表35】
【0326】
粉末供給は、実際の製剤に合うように調整され、スクリュー速度は100 rpmに固定される。
炭酸カルシウムを、セクション3で2軸スクリュー押出機に移す。
粉末供給は100 g/分に設定される。
ダイプレートは必要とされない。
【0327】
粒状化された粉末マスを冷却し、その後、粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0328】
実施例39
2軸スクリュー押出機中でのホットメルト造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【0329】
【表36】
【0330】
水溶性物質と結合性を有するポリマー物質の水で湿らせた混合物を、炭酸カルシウムと混合し、次いで、次のように調整された温度プロファイルを有する、Leistritz 2軸スクリュー押出機MIC 27GL/28D、8.4 kWの開始セクションに移した:
【0331】
【表37】
【0332】
粉末供給は、実際の製剤に合うように調整され、スクリュー速度は100 rpmに固定される。
ダイプレートは必要とされない。
【0333】
粒状化された粉末マスを冷却し、その後、粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合される。
最終粒状物はチュアブル錠へ圧縮される。
【0334】
実施例40
スプレー乾燥機中での造粒
この実験で試験された組成物は次のとおりである:
【表38】
【0335】
水溶性物質を溶媒中に溶解し、該溶液に結合性を有するポリマー物質を溶解/分散し、最後に、該溶液/分散液に炭酸カルシウムを分散する。スラリー中の固体の最終含量は10%〜90%である。120℃〜300℃の間の温度を有する空気の乾燥気流中に導入されたノズルを用いて、スプレーを行なう。
【0336】
得られた粒状物を、任意に流動床を使用して、1.0%より低い水分含量に乾燥する。
乾燥された粒状物を1.5 mmのスクリーンに通し、最終粒状物へと残りの賦形剤と混合する。
最終粒状物はチュアブル錠に圧縮される。
【図面の簡単な説明】
【0337】
【図1】図1Aは、本発明の実施例1の少なくとも部分的にフィルムコーティングおよび凝集された炭酸カルシウム結晶を示した図であり、図1Bは、Nycomed Pharmaの欧州出願EP-A-1128815による粒状物を示した図である。
【図2】ハンギング錠剤法を示した図である。
【図3】実施例1および2に対する錠剤圧縮曲線を示した図である。
【図4】実施例3および4ならびに参考例3および4の溶出速度を示した図である。
【図5】4つの製剤を用いて行なわれた官能性分析の結果を視覚化した図である。
【図6】本発明の製剤および参考錠剤の口の中での溶融分散時間を示した図である。
【図7】本発明の実施例1の少なくとも部分的にフィルムコーティングおよび凝集された炭酸カルシウム結晶の、図7Aは1500×および図7Bは5000×の倍率のSEM写真を示す。
【図8】粉砕強度−圧縮力プロファイルを示した図である。
【図9】実施例33の錠剤の圧縮力に対する破砕強度を示した図である。
【図10】実施例33の錠剤の圧縮力に対するハンギング錠剤のスリップタイムを示した図である。
【図11】実施例33の錠剤の圧縮力に対する崩壊時間を示した図である。
【図12】実施例29で製造された粒状物の環境制御型走査電子顕微鏡写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性物質およびポリマー物質を含む水溶性のフィルムコーティングを少なくとも部分的に備えた粒子および/または結晶の形態にある、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項2】
カルシウム含有化合物の表面積の、例えば少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%もしくは100%のような、少なくとも50%がフィルムコーティングで覆われている、請求項1に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項3】
フィルムが連続したフィルムである、請求項2に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項4】
ポリマー物質が結合性を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項5】
ポリマー物質が水溶性である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項6】
1以上の水溶性物質が、例えば約25 mg/ml、約50 mg/ml以上、約75 mg/ml以上または約100 mg/ml以上のような、約10 mg/ml以上の水に対する溶解度を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項7】
1以上の水溶性物質が、ポリオールおよび炭水化物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項8】
ポリオールが糖アルコールである、請求項7に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項9】
糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イノシトール、イソマルト、イソマルチュロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項10】
炭水化物が、モノ-、ジサッカライド、オリゴサッカライド、ポリサッカライド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項11】
炭水化物が、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノサッカライドである、請求項10に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項12】
炭水化物が、乳糖、マルトース、ショ糖、トレハロース、タガトース、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジサッカライドである、請求項10に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項13】
炭水化物が、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるオリゴサッカライドまたはポリサッカライドである、請求項10に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項14】
水溶性物質が、アミノ酸、炭酸、クエン酸、酢酸、フマル酸等を含む有機酸、炭酸、クエン酸、酢酸、フマル酸等のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を含む有機酸の医薬的に許容される塩、塩酸、硫酸、硝酸等のアルカリ金属塩を含む無機酸の塩からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項15】
水溶性物質が、例えば0.3重量%〜約50重量%、約0.5重量%〜約50重量%、約0.6重量%〜約50重量%、1重量%〜約50重量%の範囲のような、例えば約0.5%〜約40重量%、約1重量%〜約40重量%、約0.5%〜約30重量%、約1重量%〜約30重量%、約1.5重量%〜約30重量%、約0.5%〜約20重量%、約1重量%〜約20重量%または約2%〜約20重量%のような、少なくとも約0.1重量%の濃度で存在する、請求項1〜14のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項16】
水溶性物質が、例えば約0.5重量%〜約5重量%、約1重量%〜約5重量%または約2重量%〜約5重量%のような、約0.5重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%の濃度で存在する、請求項1〜15のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項17】
ポリマー物質が医薬的に許容される結合剤である、請求項1〜16のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項18】
ポリマー物質が、K-90、K-30、K-25、K-17およびK-12を含むポビドン;コポビドン;ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコール;寒天;ゼラチン;アラビアゴム;アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸プロピレングリコールを含むアルギナート;馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉を含む澱粉または化工澱粉;イヌリン、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリンを含む炭水化物;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微晶質セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体を含むセルロースおよびセルロース誘導体、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜17のいずれか1つ記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項19】
カルシウム含有化合物が、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスグリシノカルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項20】
カルシウム含有化合物が炭酸カルシウムである、請求項1〜19のいずれか一つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項21】
炭酸カルシウムの比表面積が、例えば約0.1〜約2.75 m2/g、約0.1〜約2.5 m2/g、約0.1〜約2 m2/g、約0.1〜約1.8 m2/g、約0.1〜約1.6 m2/g、約0.1〜約1.4 m2/gまたは約0.1〜約1.3 m2/gのような、約0.1〜約3 m2/gである、請求項20に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項22】
炭酸カルシウムの比表面積が約0.1〜約1.2 m2/gである、請求項21に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項23】
炭酸カルシウムの平均粒子径が、約0.1 μm〜約80 μm、約0.5 μm〜約60 μm、約1 μm〜約50 μmまたは約2 μm〜約40 μmのような、約0.1 μm〜約100 μmである、請求項20〜22のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項24】
炭酸カルシウムの平均粒子径が約3〜約40 μmである、請求項23に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項25】
水溶性物質がキシリトールであり、ポリマー物質がポビドンもしくはコポビドン、またはそれらの混合物である、請求項1〜24のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項26】
1以上の活性物質と組み合わさっている、請求項1〜25のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項27】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項26に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項28】
活性物質がビタミンである、請求項26または27に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項29】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項28に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項30】
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって錠剤が作られるとき、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分のスリップタイムが、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法を用いて得られるような程度に、カルシウム含有化合物がフィルムコーティングを備えている、請求項1〜29のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項31】
配合物が、少なくとも部分的に可溶性のフィルムコーティングを備えている、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と活性物質との配合物。
【請求項32】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項31に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項33】
活性物質がビタミンである、請求項32に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項34】
ビタミンがビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項33に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項35】
配合物が、1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料をさらに含む、請求項31〜34のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項36】
カルシウム含有化合物が、コーティングされた組成物の全量の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%または少なくとも97重量%のような、少なくとも80重量%を構成する、請求項31〜35のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項37】
配合物が、1以上の医薬的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項31〜36のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項38】
カルシウム含有化合物およびフィルムコーティングが請求項1〜30のいずれか1つで定義されたとおりである、請求項31〜37のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項39】
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって錠剤が作られるとき、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分のスリップタイムが、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法を用いて得られるような程度に、配合物がフィルムコーティングを備えている、請求項31〜38のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項40】
請求項1〜30のいずれか1つおよび請求項31〜39のいずれか1つでそれぞれ定義された、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物または配合物を含む組成物。
【請求項41】
粒子の形態にある、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
医薬組成物または栄養剤組成物の製造に用いられるための、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
医薬組成物または栄養剤組成物が、錠剤、カプセル剤、ペレット、ビーズレット、顆粒剤、粒剤、粉末等の形態にある、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
錠剤の形態にある、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
カルシウム含有化合物の濃度が、例えば55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上または85重量%以上のような、50重量%以上である、請求項40〜44のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項46】
組成物が錠剤の形態にあり、カルシウム含有化合物の濃度が80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上または95重量%以上である、請求項44または45に記載の組成物。
【請求項47】
錠剤が、例えば最大で約2.0 g/cm3、最大で約1.8 g/cm3または約1.4 g/cm3〜約2.2 g/cm3の範囲のような、最大で約2.2 g/cm3の見掛け密度を有する、請求項44〜46のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項48】
錠剤が、例えば約1.5 g/cm3以上または約1.4 g/cm3〜約1.9 g/cm3もしくは約1.5 g/cm3〜約1.7 g/cm3の範囲のような、1.4 g/cm3以上の見掛け密度を有する、請求項44〜47のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項49】
錠剤が、例えば約5〜約45%、約5〜約40%、約10〜約40%、約15〜約40%または約20〜約40%のような、約5〜約50%の多孔率を有する、請求項44〜48のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項50】
錠剤が約30〜約40%の多孔率を有する、請求項44〜49のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項51】
錠剤が、ヨーロッパ薬局方による測定で、最大で約20分、最大で約15分、最大で約10分、最大で約5分、最大で約4分または最大で約3分のような、最大で30分の崩壊時間を有する、請求項44〜50のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項52】
ヨーロッパ薬局方/米国薬局方 (パドル、50 rpm 溶出媒体:0.04%セトリミドを含む0.1 M HCl 1000 ml、37℃)によるインビトロ溶出試験による測定で、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が30分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が30分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が30分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が20分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が20分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が20分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が10分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が10分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が10分以内に錠剤から放出される、請求項44〜51のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項53】
錠剤が、本明細書に記載された「ハンギング錠剤法」による測定で、最大で約45秒または最大で約30秒のような、最大で約60秒のスリップタイムを有する、請求項44〜52のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項54】
錠剤の体積が、錠剤に含まれるカルシウム元素500 mg当り、例えば最大で約1.25 cm3、最大で約1 cm3、最大で約0.8 cm3、最大で約0.7cm3 または最大で約0.65 cm3のような、最大で1.5 cm3である、請求項44〜52のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項55】
活性物質をさらに含む、請求項40〜54のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項56】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
活性物質がビタミンである、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、酸味剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料をさらに含む、請求項40〜58のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項60】
カルシウム含有化合物に1以上の水溶性物質および1以上のポリマー物質を含むコーティング組成物を適用することを含む、請求項1〜30のいずれか1つで定義された少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の製造方法。
【請求項61】
水溶性物質およびポリマー物質が溶媒中に分散または溶解している、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
溶媒が水性溶媒または有機溶媒である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
溶媒が水性溶媒である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
溶媒に、強力甘味料を含む甘味料、着色料、芳香剤、酸味剤、着香剤等の1以上が加えられる、請求項60〜63のいずれか1つに記載の方法。
【請求項65】
コーティング組成物の適用が、噴霧、溶融または噴霧乾燥により行なわれる、請求項60〜64のいずれか1つに記載の方法。
【請求項66】
コーティング組成物が、流動床造粒、噴霧乾燥、溶融造粒、押出成形、高剪断混合、または回転法の使用により適用される、請求項60〜65のいずれか1つに記載の方法。
【請求項67】
コーティング組成物が流動床の使用により適用される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
1以上の医薬的に許容される賦形剤と少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物とを混合することを含む、請求項40〜59のいずれか1つで定義された組成物の製造方法。
【請求項69】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物に、1以上の医薬的に許容される賦形剤および任意に1以上の着香剤または味改善剤を混合すること、ならびに得られた混合物を錠剤に圧縮することを含む、請求項44〜59のいずれか1つで定義された錠剤の製造方法。
【請求項70】
1以上の医薬的に許容される賦形剤が、1以上の滑沢剤またはグリダントである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
粒子および/または結晶の形態にあるカルシウム含有化合物に1以上の水溶性物質およびポリマー物質を含むフィルムコーティングを適用して、請求項1〜38のいずれか1つで定義された少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物または配合物を得ることを含む、カルシウム含有化合物の官能性を改善する方法。
【請求項72】
カルシウム含有化合物が、水溶性物質およびポリマー物質を含む造粒組成物で造粒される粒子および/または結晶の形態にある、粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項73】
カルシウム含有化合物が、造粒組成物により形成されるフィルムに少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項72に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項74】
カルシウム含有化合物の表面の少なくとも一部が、造粒組成物により形成されるフィルムを備えている、請求項72または73に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項75】
カルシウム含有化合物の表面積の、例えば少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または100%のような、少なくとも約50%が造粒組成物により形成されるフィルムで覆われている、請求項74に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項76】
フィルムが連続したフィルムである、請求項74に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項77】
ポリマー物質が結合性を有する、請求項75に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項78】
ポリマー物質が水溶性である、請求項74に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項79】
1以上の水溶性物質が、例えば約25 mg/ml以上、約50 mg/ml以上、約75 mg/ml以上または約100 mg/ml以上のような、10 mg/ml以上の水に対する溶解度を有する、請求項72〜78のいずれか1つに記載の粒状のフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項80】
1以上の水溶性物質が、ポリオールおよび炭水化物からなる群から選択される、請求項72〜79のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項81】
ポリオールが糖アルコールである、請求項80に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項82】
糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イノシトール、イソマルト、イソマルチュロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項81に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項83】
炭水化物が、モノ-、ジサッカライド、オリゴサッカライド、ポリサッカライド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項80に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項84】
炭水化物が、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノサッカライドである、請求項83に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項85】
炭水化物が、乳糖、マルトース、ショ糖、トレハロース、タガトース、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジサッカライドである、請求項83に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項86】
炭水化物が、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるオリゴサッカライドまたはポリサッカライドである、請求項83に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項87】
水溶性物質が、アミノ酸、炭酸、クエン酸、酢酸、フマル酸等を含む有機酸、炭酸、クエン酸、酢酸、フマル酸等のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を含む有機酸の医薬的に許容される塩、塩酸、硫酸、硝酸等のアルカリ金属塩を含む無機酸の塩からなる群から選択される、請求項72〜79のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項88】
水溶性物質が、例えば0.3重量%〜約50重量%、約0.5重量%〜約50重量%、約0.6重量%〜約50重量%、1重量%〜約50重量%の範囲のような、例えば約0.5%〜約40重量%、約1重量%〜約40重量%、約0.5%〜約30重量%、約1重量%〜約30重量%、約1.5重量%〜約30重量%、約0.5%〜約20重量%、約1重量%〜約20重量%または約2%〜約20重量%のような、少なくとも約0.1重量%の濃度で存在する、粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項89】
水溶性物質が、例えば約0.5重量%〜約5重量%、約1重量%〜約5重量%または約2重量%〜約5重量%のような、約0.5重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%の濃度で存在する、請求項72〜88のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項90】
ポリマー物質が医薬的に許容される結合剤である、請求項72〜89のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項91】
ポリマー物質が、K-90、K-30、K-25、K-17およびK-12を含むポビドン;コポビドン;ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコール;寒天;ゼラチン;アラビアゴム;アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコールを含むアルギナート;馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉を含む澱粉または化工澱粉;イヌリン、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリンを含む炭水化物;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微晶質セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体を含むセルロースおよびセルロース誘導体、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項72〜90のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項92】
カルシウム含有化合物が、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスクリシノ カルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項72〜91のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項93】
カルシウム含有化合物が炭酸カルシウムである、請求項72〜92のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項94】
炭酸カルシウムの比表面積が、例えば約0.1〜約2.75 m2/g、約0.1〜約2.5 m2/g、約0.1〜約2 m2/g、約0.1〜約1.8 m2/g、約0.1〜約1.6 m2/g、約0.1〜約1.4 m2/gまたは約0.1〜約1.3 m2/gのような、約0.1〜約3 m2/gである、請求項93に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項95】
炭酸カルシウムの比表面積が約0.1〜約1.2 m2/gである、請求項94に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項96】
炭酸カルシウムの平均粒子径が、約0.1 μm〜約80 μm、約0.5 μm〜約60 μm、約1 μm〜約50 μmまたは約2 μm〜約40 μmのような、約0.1 μm〜約100 μmである、請求項93〜95のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項97】
炭酸カルシウムの平均粒子径が約3〜約40 μmである、請求項96に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項98】
水溶性物質がキシリトールであり、ポリマー物質がポビドンもしくはコ-ポビドン、またはそれらの混合物である、請求項72〜97のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項99】
1以上の活性物質との配合物である、請求項72〜98のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項100】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項99に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項101】
活性物質がビタミンである、請求項99または100に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項102】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項101に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項103】
i) 粒状のカルシウム含有化合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって錠剤が作られるとき、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分のスリップタイムが、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法を用いて得られる、請求項72〜102のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項104】
配合物が、請求項1〜30のいずれか1つで定義された水溶性物質およびポリマー物質を含む水溶性のフィルムコーティングを少なくとも部分的に備えている、カルシウム含有化合物と活性物質との粒状の配合物。
【請求項105】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項104に記載の粒状の配合物。
【請求項106】
活性物質がビタミンである、請求項105に記載の粒状の配合物。
【請求項107】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項106に記載の粒状の配合物。
【請求項108】
配合物が、1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、酸味剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料をさらに含む、請求項104〜107のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項109】
カルシウム含有化合物が、コーティングされた組成物の全重量の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%のような、少なくとも80重量%を構成する、請求項104〜108のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項110】
配合物が1以上の医薬的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項104〜109のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項111】
カルシウム含有化合物および造粒液が請求項72〜103のいずれか1つで定義されたとおりである、請求項104〜111のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項112】
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって錠剤が作られるとき、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分のスリップタイムが、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法を用いて得られる、請求項104〜111のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項113】
請求項72〜103のいずれか1つおよび請求項104〜112のいずれか1つでそれぞれ定義された粒状のカルシウム含有化合物または配合物、および1以上の医薬的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項114】
粒子の形態にある、請求項113の組成物。
【請求項115】
医薬組成物または栄養剤組成物の製造に用いるための、請求項114に記載の組成物。
【請求項116】
医薬組成物または栄養剤組成物が、錠剤、カプセル剤、ペレット、ビーズレット、顆粒剤、粒剤、粉末等の形態にある、請求項115に記載の組成物。
【請求項117】
錠剤の形態にある、請求項116に記載の組成物。
【請求項118】
カルシウム含有化合物の濃度が、例えば55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、96重量%以上または97重量%のような、50重量%以上である、請求項113〜117のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項119】
組成物が錠剤の形態にあり、カルシウム含有化合物の濃度が、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上または96重量%以上である、請求項117または118に記載の組成物。
【請求項120】
錠剤が、例えば最大で約2.0 g/cm3、最大で約1.8 g/cm3、または約1.4 g/cm3〜約2.2 g/cm3の範囲のような、最大で約2.2 g/cm3の見掛け密度を有する、請求項117〜119のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項121】
錠剤が、例えば約1.5 g/cm3以上または約1.4 g/cm3〜約1.9 g/cm3もしくは約1.5 g/cm3〜約1.7 g/cm3の範囲のような、1.4 g/cm3以上の見掛け密度を有する、請求項117〜120のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項122】
錠剤が、例えば約5〜約45%、約5〜約40%、約10〜約40%、約15〜約40%または約20〜約40%のような、約5〜約50%の多孔率を有する、請求項117〜121のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項123】
錠剤が約30〜約40%の多孔率を有する、請求項117〜121のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項124】
錠剤が、ヨーロッパ薬局方に従って測定され、最大で約20分、最大で約15分、最大で約10分、最大で約5分、最大で約4分または最大で約3分のような、最大で約30分の崩壊時間を有する、請求項113〜123のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項125】
ヨーロッパ薬局方/米国薬局方 (パドル、50 rpm 溶出媒体:0.04%セトリミドを含む0.1 M HCl 1000 ml、37°C)によるインビトロ溶出試験による測定で、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が錠剤から30分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が錠剤から30分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が錠剤から30分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が錠剤から20分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が錠剤から20分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が錠剤から20分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が錠剤から10分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が錠剤から10分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が錠剤から10分以内に放出される、請求項113〜124のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項126】
錠剤が、本明細書に記載された「ハンギング錠剤法」による測定で、最大で約45秒または最大で約30秒のような、最大で約60秒のスリップタイムを有する、請求項117〜125のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項127】
錠剤の体積が、錠剤に含まれるカルシウム元素500 mg当り、例えば最大で約1.25 cm3、最大で約1 cm3、最大で約0.8 cm3、最大で約0.7cm3または最大で約0.65 cm3のような、最大で1.5 cm3である、請求項117〜126のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項128】
活性物質をさらに含む、請求項113〜127のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項129】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項128に記載の組成物。
【請求項130】
活性物質がビタミンである、請求項129に記載の組成物。
【請求項131】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項130に記載の組成物。
【請求項132】
1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料をさらに含む、請求項113〜131のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項133】
1以上の水溶性物質および1以上のポリマー物質を含む造粒組成物をカルシウム含有化合物に適用することを含む、請求項72〜103のいずれか1つで定義された粒状のカルシウム含有化合物の製造方法。
【請求項134】
水溶性物質およびポリマー物質が溶媒に分散または溶解している、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
溶媒が水性溶媒または有機溶媒である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
溶媒が水性溶媒である、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
強力甘味料を含む甘味料、着色剤、芳香剤、酸味剤、着香剤等の1以上が溶媒に加えられる、請求項133〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項138】
造粒組成物の適用が、噴霧、溶融または噴霧乾燥によって行なわれる、請求項133〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項139】
造粒組成物が、流動床、噴霧乾燥、溶融造粒、押出成形、高剪断混合、または回転法の使用によって適用される、請求項133〜138のいずれか1つに記載の方法。
【請求項140】
造粒組成物が流動床の使用によって適用される、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
1以上の医薬的に許容される賦形剤と粒状のカルシウム含有化合物とを混合することを含む、請求項113〜132のいずれか1つで定義された組成物の製造方法。
【請求項142】
粒状のカルシウム含有化合物に、1以上の医薬的に許容される賦形剤および任意に1以上の着香剤または味改善剤を混合すること、ならびに得られた混合物を錠剤に圧縮することを含む、請求項117〜132のいずれか1つで定義された錠剤の製造方法。
【請求項143】
1以上の医薬的に許容される賦形剤が、1以上の滑沢剤またはグリダントである、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
カルシウム含有化合物を1以上の水溶性物質およびポリマー物質を含む造粒組成物で造粒化して、請求項72〜112のいずれか1つで定義された粒状のカルシウム含有化合物または配合物を得ることを含む、カルシウム含有化合物の官能性を改善する方法。
【請求項1】
水溶性物質およびポリマー物質を含む水溶性のフィルムコーティングを少なくとも部分的に備えた粒子および/または結晶の形態にある、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項2】
カルシウム含有化合物の表面積の、例えば少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%もしくは100%のような、少なくとも50%がフィルムコーティングで覆われている、請求項1に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項3】
フィルムが連続したフィルムである、請求項2に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項4】
ポリマー物質が結合性を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項5】
ポリマー物質が水溶性である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項6】
1以上の水溶性物質が、例えば約25 mg/ml、約50 mg/ml以上、約75 mg/ml以上または約100 mg/ml以上のような、約10 mg/ml以上の水に対する溶解度を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項7】
1以上の水溶性物質が、ポリオールおよび炭水化物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項8】
ポリオールが糖アルコールである、請求項7に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項9】
糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イノシトール、イソマルト、イソマルチュロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項10】
炭水化物が、モノ-、ジサッカライド、オリゴサッカライド、ポリサッカライド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項11】
炭水化物が、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノサッカライドである、請求項10に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項12】
炭水化物が、乳糖、マルトース、ショ糖、トレハロース、タガトース、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジサッカライドである、請求項10に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項13】
炭水化物が、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるオリゴサッカライドまたはポリサッカライドである、請求項10に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項14】
水溶性物質が、アミノ酸、炭酸、クエン酸、酢酸、フマル酸等を含む有機酸、炭酸、クエン酸、酢酸、フマル酸等のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を含む有機酸の医薬的に許容される塩、塩酸、硫酸、硝酸等のアルカリ金属塩を含む無機酸の塩からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項15】
水溶性物質が、例えば0.3重量%〜約50重量%、約0.5重量%〜約50重量%、約0.6重量%〜約50重量%、1重量%〜約50重量%の範囲のような、例えば約0.5%〜約40重量%、約1重量%〜約40重量%、約0.5%〜約30重量%、約1重量%〜約30重量%、約1.5重量%〜約30重量%、約0.5%〜約20重量%、約1重量%〜約20重量%または約2%〜約20重量%のような、少なくとも約0.1重量%の濃度で存在する、請求項1〜14のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項16】
水溶性物質が、例えば約0.5重量%〜約5重量%、約1重量%〜約5重量%または約2重量%〜約5重量%のような、約0.5重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%の濃度で存在する、請求項1〜15のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項17】
ポリマー物質が医薬的に許容される結合剤である、請求項1〜16のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項18】
ポリマー物質が、K-90、K-30、K-25、K-17およびK-12を含むポビドン;コポビドン;ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコール;寒天;ゼラチン;アラビアゴム;アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸プロピレングリコールを含むアルギナート;馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉を含む澱粉または化工澱粉;イヌリン、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリンを含む炭水化物;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微晶質セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体を含むセルロースおよびセルロース誘導体、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜17のいずれか1つ記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項19】
カルシウム含有化合物が、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスグリシノカルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項20】
カルシウム含有化合物が炭酸カルシウムである、請求項1〜19のいずれか一つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項21】
炭酸カルシウムの比表面積が、例えば約0.1〜約2.75 m2/g、約0.1〜約2.5 m2/g、約0.1〜約2 m2/g、約0.1〜約1.8 m2/g、約0.1〜約1.6 m2/g、約0.1〜約1.4 m2/gまたは約0.1〜約1.3 m2/gのような、約0.1〜約3 m2/gである、請求項20に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項22】
炭酸カルシウムの比表面積が約0.1〜約1.2 m2/gである、請求項21に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項23】
炭酸カルシウムの平均粒子径が、約0.1 μm〜約80 μm、約0.5 μm〜約60 μm、約1 μm〜約50 μmまたは約2 μm〜約40 μmのような、約0.1 μm〜約100 μmである、請求項20〜22のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項24】
炭酸カルシウムの平均粒子径が約3〜約40 μmである、請求項23に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項25】
水溶性物質がキシリトールであり、ポリマー物質がポビドンもしくはコポビドン、またはそれらの混合物である、請求項1〜24のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項26】
1以上の活性物質と組み合わさっている、請求項1〜25のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項27】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項26に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項28】
活性物質がビタミンである、請求項26または27に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項29】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項28に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項30】
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって錠剤が作られるとき、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分のスリップタイムが、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法を用いて得られるような程度に、カルシウム含有化合物がフィルムコーティングを備えている、請求項1〜29のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項31】
配合物が、少なくとも部分的に可溶性のフィルムコーティングを備えている、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物と活性物質との配合物。
【請求項32】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項31に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項33】
活性物質がビタミンである、請求項32に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項34】
ビタミンがビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項33に記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項35】
配合物が、1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料をさらに含む、請求項31〜34のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項36】
カルシウム含有化合物が、コーティングされた組成物の全量の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%または少なくとも97重量%のような、少なくとも80重量%を構成する、請求項31〜35のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項37】
配合物が、1以上の医薬的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項31〜36のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項38】
カルシウム含有化合物およびフィルムコーティングが請求項1〜30のいずれか1つで定義されたとおりである、請求項31〜37のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項39】
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって錠剤が作られるとき、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分のスリップタイムが、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法を用いて得られるような程度に、配合物がフィルムコーティングを備えている、請求項31〜38のいずれか1つに記載の少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物。
【請求項40】
請求項1〜30のいずれか1つおよび請求項31〜39のいずれか1つでそれぞれ定義された、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物または配合物を含む組成物。
【請求項41】
粒子の形態にある、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
医薬組成物または栄養剤組成物の製造に用いられるための、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
医薬組成物または栄養剤組成物が、錠剤、カプセル剤、ペレット、ビーズレット、顆粒剤、粒剤、粉末等の形態にある、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
錠剤の形態にある、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
カルシウム含有化合物の濃度が、例えば55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上または85重量%以上のような、50重量%以上である、請求項40〜44のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項46】
組成物が錠剤の形態にあり、カルシウム含有化合物の濃度が80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上または95重量%以上である、請求項44または45に記載の組成物。
【請求項47】
錠剤が、例えば最大で約2.0 g/cm3、最大で約1.8 g/cm3または約1.4 g/cm3〜約2.2 g/cm3の範囲のような、最大で約2.2 g/cm3の見掛け密度を有する、請求項44〜46のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項48】
錠剤が、例えば約1.5 g/cm3以上または約1.4 g/cm3〜約1.9 g/cm3もしくは約1.5 g/cm3〜約1.7 g/cm3の範囲のような、1.4 g/cm3以上の見掛け密度を有する、請求項44〜47のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項49】
錠剤が、例えば約5〜約45%、約5〜約40%、約10〜約40%、約15〜約40%または約20〜約40%のような、約5〜約50%の多孔率を有する、請求項44〜48のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項50】
錠剤が約30〜約40%の多孔率を有する、請求項44〜49のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項51】
錠剤が、ヨーロッパ薬局方による測定で、最大で約20分、最大で約15分、最大で約10分、最大で約5分、最大で約4分または最大で約3分のような、最大で30分の崩壊時間を有する、請求項44〜50のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項52】
ヨーロッパ薬局方/米国薬局方 (パドル、50 rpm 溶出媒体:0.04%セトリミドを含む0.1 M HCl 1000 ml、37℃)によるインビトロ溶出試験による測定で、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が30分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が30分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が30分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が20分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が20分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が20分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が10分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が10分以内に錠剤から放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が10分以内に錠剤から放出される、請求項44〜51のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項53】
錠剤が、本明細書に記載された「ハンギング錠剤法」による測定で、最大で約45秒または最大で約30秒のような、最大で約60秒のスリップタイムを有する、請求項44〜52のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項54】
錠剤の体積が、錠剤に含まれるカルシウム元素500 mg当り、例えば最大で約1.25 cm3、最大で約1 cm3、最大で約0.8 cm3、最大で約0.7cm3 または最大で約0.65 cm3のような、最大で1.5 cm3である、請求項44〜52のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項55】
活性物質をさらに含む、請求項40〜54のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項56】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
活性物質がビタミンである、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、酸味剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料をさらに含む、請求項40〜58のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項60】
カルシウム含有化合物に1以上の水溶性物質および1以上のポリマー物質を含むコーティング組成物を適用することを含む、請求項1〜30のいずれか1つで定義された少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の製造方法。
【請求項61】
水溶性物質およびポリマー物質が溶媒中に分散または溶解している、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
溶媒が水性溶媒または有機溶媒である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
溶媒が水性溶媒である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
溶媒に、強力甘味料を含む甘味料、着色料、芳香剤、酸味剤、着香剤等の1以上が加えられる、請求項60〜63のいずれか1つに記載の方法。
【請求項65】
コーティング組成物の適用が、噴霧、溶融または噴霧乾燥により行なわれる、請求項60〜64のいずれか1つに記載の方法。
【請求項66】
コーティング組成物が、流動床造粒、噴霧乾燥、溶融造粒、押出成形、高剪断混合、または回転法の使用により適用される、請求項60〜65のいずれか1つに記載の方法。
【請求項67】
コーティング組成物が流動床の使用により適用される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
1以上の医薬的に許容される賦形剤と少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物とを混合することを含む、請求項40〜59のいずれか1つで定義された組成物の製造方法。
【請求項69】
少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物に、1以上の医薬的に許容される賦形剤および任意に1以上の着香剤または味改善剤を混合すること、ならびに得られた混合物を錠剤に圧縮することを含む、請求項44〜59のいずれか1つで定義された錠剤の製造方法。
【請求項70】
1以上の医薬的に許容される賦形剤が、1以上の滑沢剤またはグリダントである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
粒子および/または結晶の形態にあるカルシウム含有化合物に1以上の水溶性物質およびポリマー物質を含むフィルムコーティングを適用して、請求項1〜38のいずれか1つで定義された少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物または配合物を得ることを含む、カルシウム含有化合物の官能性を改善する方法。
【請求項72】
カルシウム含有化合物が、水溶性物質およびポリマー物質を含む造粒組成物で造粒される粒子および/または結晶の形態にある、粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項73】
カルシウム含有化合物が、造粒組成物により形成されるフィルムに少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項72に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項74】
カルシウム含有化合物の表面の少なくとも一部が、造粒組成物により形成されるフィルムを備えている、請求項72または73に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項75】
カルシウム含有化合物の表面積の、例えば少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または100%のような、少なくとも約50%が造粒組成物により形成されるフィルムで覆われている、請求項74に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項76】
フィルムが連続したフィルムである、請求項74に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項77】
ポリマー物質が結合性を有する、請求項75に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項78】
ポリマー物質が水溶性である、請求項74に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項79】
1以上の水溶性物質が、例えば約25 mg/ml以上、約50 mg/ml以上、約75 mg/ml以上または約100 mg/ml以上のような、10 mg/ml以上の水に対する溶解度を有する、請求項72〜78のいずれか1つに記載の粒状のフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物。
【請求項80】
1以上の水溶性物質が、ポリオールおよび炭水化物からなる群から選択される、請求項72〜79のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項81】
ポリオールが糖アルコールである、請求項80に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項82】
糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イノシトール、イソマルト、イソマルチュロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項81に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項83】
炭水化物が、モノ-、ジサッカライド、オリゴサッカライド、ポリサッカライド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項80に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項84】
炭水化物が、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノサッカライドである、請求項83に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項85】
炭水化物が、乳糖、マルトース、ショ糖、トレハロース、タガトース、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジサッカライドである、請求項83に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項86】
炭水化物が、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるオリゴサッカライドまたはポリサッカライドである、請求項83に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項87】
水溶性物質が、アミノ酸、炭酸、クエン酸、酢酸、フマル酸等を含む有機酸、炭酸、クエン酸、酢酸、フマル酸等のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を含む有機酸の医薬的に許容される塩、塩酸、硫酸、硝酸等のアルカリ金属塩を含む無機酸の塩からなる群から選択される、請求項72〜79のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項88】
水溶性物質が、例えば0.3重量%〜約50重量%、約0.5重量%〜約50重量%、約0.6重量%〜約50重量%、1重量%〜約50重量%の範囲のような、例えば約0.5%〜約40重量%、約1重量%〜約40重量%、約0.5%〜約30重量%、約1重量%〜約30重量%、約1.5重量%〜約30重量%、約0.5%〜約20重量%、約1重量%〜約20重量%または約2%〜約20重量%のような、少なくとも約0.1重量%の濃度で存在する、粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項89】
水溶性物質が、例えば約0.5重量%〜約5重量%、約1重量%〜約5重量%または約2重量%〜約5重量%のような、約0.5重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%の濃度で存在する、請求項72〜88のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項90】
ポリマー物質が医薬的に許容される結合剤である、請求項72〜89のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項91】
ポリマー物質が、K-90、K-30、K-25、K-17およびK-12を含むポビドン;コポビドン;ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコール;寒天;ゼラチン;アラビアゴム;アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコールを含むアルギナート;馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、コメ澱粉、α化澱粉を含む澱粉または化工澱粉;イヌリン、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリンを含む炭水化物;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微晶質セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体を含むセルロースおよびセルロース誘導体、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項72〜90のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項92】
カルシウム含有化合物が、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスクリシノ カルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項72〜91のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項93】
カルシウム含有化合物が炭酸カルシウムである、請求項72〜92のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項94】
炭酸カルシウムの比表面積が、例えば約0.1〜約2.75 m2/g、約0.1〜約2.5 m2/g、約0.1〜約2 m2/g、約0.1〜約1.8 m2/g、約0.1〜約1.6 m2/g、約0.1〜約1.4 m2/gまたは約0.1〜約1.3 m2/gのような、約0.1〜約3 m2/gである、請求項93に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項95】
炭酸カルシウムの比表面積が約0.1〜約1.2 m2/gである、請求項94に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項96】
炭酸カルシウムの平均粒子径が、約0.1 μm〜約80 μm、約0.5 μm〜約60 μm、約1 μm〜約50 μmまたは約2 μm〜約40 μmのような、約0.1 μm〜約100 μmである、請求項93〜95のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項97】
炭酸カルシウムの平均粒子径が約3〜約40 μmである、請求項96に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項98】
水溶性物質がキシリトールであり、ポリマー物質がポビドンもしくはコ-ポビドン、またはそれらの混合物である、請求項72〜97のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項99】
1以上の活性物質との配合物である、請求項72〜98のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項100】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項99に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項101】
活性物質がビタミンである、請求項99または100に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項102】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項101に記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項103】
i) 粒状のカルシウム含有化合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされたカルシウム含有化合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって錠剤が作られるとき、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分のスリップタイムが、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法を用いて得られる、請求項72〜102のいずれか1つに記載の粒状のカルシウム含有化合物。
【請求項104】
配合物が、請求項1〜30のいずれか1つで定義された水溶性物質およびポリマー物質を含む水溶性のフィルムコーティングを少なくとも部分的に備えている、カルシウム含有化合物と活性物質との粒状の配合物。
【請求項105】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項104に記載の粒状の配合物。
【請求項106】
活性物質がビタミンである、請求項105に記載の粒状の配合物。
【請求項107】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項106に記載の粒状の配合物。
【請求項108】
配合物が、1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、酸味剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料をさらに含む、請求項104〜107のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項109】
カルシウム含有化合物が、コーティングされた組成物の全重量の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%のような、少なくとも80重量%を構成する、請求項104〜108のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項110】
配合物が1以上の医薬的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項104〜109のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項111】
カルシウム含有化合物および造粒液が請求項72〜103のいずれか1つで定義されたとおりである、請求項104〜111のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項112】
i) 少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物と、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とを混合して、少なくとも部分的にフィルムコーティングされた配合物の濃度が99.5重量%である混合物を得ること、および
ii) そのようにして得られた混合物を錠剤に圧縮すること
によって錠剤が作られるとき、最大で2分、最大で1分、最大で45秒または最大で30秒のような、最大で3分のスリップタイムが、本明細書に記載された「ハンギング錠剤」法を用いて得られる、請求項104〜111のいずれか1つに記載の粒状の配合物。
【請求項113】
請求項72〜103のいずれか1つおよび請求項104〜112のいずれか1つでそれぞれ定義された粒状のカルシウム含有化合物または配合物、および1以上の医薬的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項114】
粒子の形態にある、請求項113の組成物。
【請求項115】
医薬組成物または栄養剤組成物の製造に用いるための、請求項114に記載の組成物。
【請求項116】
医薬組成物または栄養剤組成物が、錠剤、カプセル剤、ペレット、ビーズレット、顆粒剤、粒剤、粉末等の形態にある、請求項115に記載の組成物。
【請求項117】
錠剤の形態にある、請求項116に記載の組成物。
【請求項118】
カルシウム含有化合物の濃度が、例えば55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、96重量%以上または97重量%のような、50重量%以上である、請求項113〜117のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項119】
組成物が錠剤の形態にあり、カルシウム含有化合物の濃度が、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上または96重量%以上である、請求項117または118に記載の組成物。
【請求項120】
錠剤が、例えば最大で約2.0 g/cm3、最大で約1.8 g/cm3、または約1.4 g/cm3〜約2.2 g/cm3の範囲のような、最大で約2.2 g/cm3の見掛け密度を有する、請求項117〜119のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項121】
錠剤が、例えば約1.5 g/cm3以上または約1.4 g/cm3〜約1.9 g/cm3もしくは約1.5 g/cm3〜約1.7 g/cm3の範囲のような、1.4 g/cm3以上の見掛け密度を有する、請求項117〜120のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項122】
錠剤が、例えば約5〜約45%、約5〜約40%、約10〜約40%、約15〜約40%または約20〜約40%のような、約5〜約50%の多孔率を有する、請求項117〜121のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項123】
錠剤が約30〜約40%の多孔率を有する、請求項117〜121のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項124】
錠剤が、ヨーロッパ薬局方に従って測定され、最大で約20分、最大で約15分、最大で約10分、最大で約5分、最大で約4分または最大で約3分のような、最大で約30分の崩壊時間を有する、請求項113〜123のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項125】
ヨーロッパ薬局方/米国薬局方 (パドル、50 rpm 溶出媒体:0.04%セトリミドを含む0.1 M HCl 1000 ml、37°C)によるインビトロ溶出試験による測定で、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が錠剤から30分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が錠剤から30分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が錠剤から30分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が錠剤から20分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が錠剤から20分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が錠剤から20分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも60%が錠剤から10分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも70%が錠剤から10分以内に放出される、カルシウム含有化合物の少なくとも80%が錠剤から10分以内に放出される、請求項113〜124のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項126】
錠剤が、本明細書に記載された「ハンギング錠剤法」による測定で、最大で約45秒または最大で約30秒のような、最大で約60秒のスリップタイムを有する、請求項117〜125のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項127】
錠剤の体積が、錠剤に含まれるカルシウム元素500 mg当り、例えば最大で約1.25 cm3、最大で約1 cm3、最大で約0.8 cm3、最大で約0.7cm3または最大で約0.65 cm3のような、最大で1.5 cm3である、請求項117〜126のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項128】
活性物質をさらに含む、請求項113〜127のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項129】
活性物質が治療的に活性な物質および/または栄養剤である、請求項128に記載の組成物。
【請求項130】
活性物質がビタミンである、請求項129に記載の組成物。
【請求項131】
ビタミンが、ビタミンD2およびD3を含むビタミンD、ビタミンBまたはビタミンK、ならびにそれらの誘導体である、請求項130に記載の組成物。
【請求項132】
1以上の着香剤、味マスキング剤、官能性改善剤、人工甘味料および強力甘味料を含む甘味料をさらに含む、請求項113〜131のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項133】
1以上の水溶性物質および1以上のポリマー物質を含む造粒組成物をカルシウム含有化合物に適用することを含む、請求項72〜103のいずれか1つで定義された粒状のカルシウム含有化合物の製造方法。
【請求項134】
水溶性物質およびポリマー物質が溶媒に分散または溶解している、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
溶媒が水性溶媒または有機溶媒である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
溶媒が水性溶媒である、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
強力甘味料を含む甘味料、着色剤、芳香剤、酸味剤、着香剤等の1以上が溶媒に加えられる、請求項133〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項138】
造粒組成物の適用が、噴霧、溶融または噴霧乾燥によって行なわれる、請求項133〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項139】
造粒組成物が、流動床、噴霧乾燥、溶融造粒、押出成形、高剪断混合、または回転法の使用によって適用される、請求項133〜138のいずれか1つに記載の方法。
【請求項140】
造粒組成物が流動床の使用によって適用される、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
1以上の医薬的に許容される賦形剤と粒状のカルシウム含有化合物とを混合することを含む、請求項113〜132のいずれか1つで定義された組成物の製造方法。
【請求項142】
粒状のカルシウム含有化合物に、1以上の医薬的に許容される賦形剤および任意に1以上の着香剤または味改善剤を混合すること、ならびに得られた混合物を錠剤に圧縮することを含む、請求項117〜132のいずれか1つで定義された錠剤の製造方法。
【請求項143】
1以上の医薬的に許容される賦形剤が、1以上の滑沢剤またはグリダントである、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
カルシウム含有化合物を1以上の水溶性物質およびポリマー物質を含む造粒組成物で造粒化して、請求項72〜112のいずれか1つで定義された粒状のカルシウム含有化合物または配合物を得ることを含む、カルシウム含有化合物の官能性を改善する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【公表番号】特表2009−518322(P2009−518322A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543661(P2008−543661)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000696
【国際公開番号】WO2007/065441
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506390753)ニコメド ファーマ エイエス (9)
【氏名又は名称原語表記】NYCOMED PHARMA AS
【住所又は居所原語表記】Drammensveien 852,NO−1385 Asker,Norway
【出願人】(505164003)
【氏名又は名称原語表記】NYCOMED DANMARK APS
【住所又は居所原語表記】Langebjerg 1,DK−4000 Roskilde,DENMARK
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000696
【国際公開番号】WO2007/065441
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506390753)ニコメド ファーマ エイエス (9)
【氏名又は名称原語表記】NYCOMED PHARMA AS
【住所又は居所原語表記】Drammensveien 852,NO−1385 Asker,Norway
【出願人】(505164003)
【氏名又は名称原語表記】NYCOMED DANMARK APS
【住所又は居所原語表記】Langebjerg 1,DK−4000 Roskilde,DENMARK
【Fターム(参考)】
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