説明

フィルム読取方法とその方法を実施するフィルム読取装置

【課題】写真フィルムの幅方向端部に配置されているバーコードエリアに対しては写真フィルムの中央部に配置されている撮影画像エリアに比べてより低下した不均等な光量分布を与えるような照明光学系を装備していても、安定したバーコードの解読が可能となるフィルム読取技術を提供する。
【解決手段】光電変換センサによって取得された画像データを写真フィルムの撮影画像エリアに対応する撮影画像データとバーコードエリアに対応するバーコード画像データとに区分けする画像データ区分け部42と、撮影画像データに対して第1シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す第1シェーディング補正部43aと、バーコード画像データに対して第2シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す第2シェーディング補正部43bと、シェーディング補正されたバーコード画像データを用いてそのバーコードを解読するコード解読部44とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幅方向中央に撮影画像エリアを配置し、幅方向端部にコードエリア(一般にはバーコードエリア)を配置している写真フィルムを透過した光を光電変換する光電変換センサを用いて前記撮影画像エリアから撮影画像を読み取るとともに前記コードエリアからコードを読み取るフィルム読取方法、及びその方法を実施するフィルム読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像された写真フィルムには、その幅方向の中央に配置された撮影画像エリアに撮影画像が形成されているとともにその撮影画像エリアの外側にフィルム長手方向に沿って所定ピッチでパーフォレーションが設けられ、さらにそのパーフォレーションとフィルムエッジとの間のバーコードエリアには、バーコード化されたDXコードやコマ番号が形成されている。このバーコードは、写真フィルムから写真プリントを作製するいわゆる写真プリント処理においては重要な役割を果たすため、写真プリント処理にあたって予め読み取ってデコードしておく必要がある。
【0003】
最近の写真プリント装置では、写真フィルムから写真プリントを作製する際、フィルム読取装置(フィルムスキャナ)を用いて写真フィルムの撮影画像エリアから撮影画像を読み取ってデジタル画像データ化して、このデジタル画像データに基づいてデジタル露光ユニットを用いて印画紙に撮影画像を露光する、デジタル露光方式が採用されている。そのような写真プリント装置に装備されるフィルム読取装置として、写真フィルムの幅方向に沿って光電変換素子が配列されたCCDラインセンサを用いて写真フィルムの撮影画像やバーコードを読み取るために、写真フィルムの幅方向に沿って、撮影画像エリアの範囲のみならず、写真フィルムの幅方向全域に亘って写真情報を読み取ることができるように、つまり撮影画像だけではなくバーコードも含めて読み取ることができるように、CCDセンサを配置するとともに、CCDラインセンサの出力データから、まず、写真フィルムの存在しないときの受光量と、写真フィルムベース部を透過する受光量とに差を利用して写真フィルムの幅方向端(フィルムエッジ)を検出し、次にその検出された写真フィルムの幅方向端を基準として所定量内側に位置する画像データをバーコードエリアからの画像データとして、バーコードの解読に用いるものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このようにして得られたバーコード画像データはCCDラインセンサのぎりぎりの側端領域から得られたものであり、光源からの光量も中央領域の撮影画像を読み取る領域に比べ一様ではなく、端にいくほど急速に低下していることから、そのバーコード画像データはバーコードの解読に十分な品質ではなかった。この問題を解決するために光源の横方向の幅を長くすることは、光源のコスト高だけではなく装置全体の大型化を伴うため、受け入れがたいものである。
【0004】
また、別のフィルム読取装置では、先ずネガフィルムをセットしない状態でラインセンサから素通しデータを読込み、次にネガフィルムをセットした状態でラインセンサから一部の未露光エリア(バーコードエリア)のデータを読込んでその平均値を算出し、次に前記素通しデータから前記未露光エリアのデータに対応する一部のデータ(対応素通しデータ)を抽出してその平均値を算出し、次に前記対応素通しデータの平均値に対する前記未露光エリアのデータの平均値の比を算出し、前記素通しデータのそれぞれに前記比を乗算して、白補正データを作成し、この白補正データによってシェーディング補正を行っており、その際シェーディング補正された読取データ(画像データ)の内のバーコード部分に対してスレッシホルドレベル(閾値)と比較してバーコード部分の2値化も行っている(例えば、特許文献2参照。)。つまり、このフィルム読取装置では、ネガフィルムの全幅をラインセンサで読み取って得られた読取(画像)データのバーコードエリアに対応するデータから算出された白補正データを用いて読取データのシェーディング補正を施し、このシェーディング補正された読取データのバーコードエリアに対応するデータからバーコードを解読している。しかしながら、この特許文献2では、シェーディング補正において撮影画像エリアとバーコードエリアの読取データをまとめて扱っており、撮影画像エリアとバーコードエリアに同じシェーディング補正が施されることになるので、バーコードエリアに照射される光量が撮影画像エリアに照射される光量に比べて極端に異なるような光源を用いている場合、撮影画像エリアの読取データに対してはともかくも、シェーディング補正のダイナミックレンジの制限等からバーコードエリアの読取データに対する最適なシェーディング補正が施されないといった不都合が生じる問題点がある。
【0005】
【特許文献1】特開平10−093747号公報(段落番号0010−0016、0048−0049、図16)
【特許文献1】特開平06−350850号公報(段落番号0015−0022、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、写真フィルムの幅方向端部に配置されているコードエリア(一般にはバーコードエリア)に対しては写真フィルムの中央部に配置されている撮影画像エリアに比べてより低下した不均等な光量分布を与えるような照明光学系を装備していても、安定したコードの解読が可能となるフィルム読取技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、幅方向中央に撮影画像エリアを配置し、幅方向端部にコードエリアを配置している写真フィルムを透過した光を光電変換する光電変換センサを用いて前記撮影画像エリアから撮影画像を読み取るとともに前記コードエリアからコードを読み取るフィルム読取方法において、本発明では、前記光電変換センサによって前記撮影画像エリアと前記コードエリアが同時に読み取られ、前記光電変換センサによって取得された画像データが前記撮影画像エリアに対応する撮影画像データと前記コードエリアに対応するコード画像データに区分けされ、前記撮影画像データに対して第1シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正が施され、前記コード画像データに対して前記第1シェーディング補正係数から独立して設定された第2シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正が施され、シェーディング補正されたコード画像データを用いてそのコードが解読される。なお、通常の写真フィルムでは、前記コードエリアはバーコードが形成されたバーコードエリアであり、コード画像データはバーコード画像データである。
【0008】
上記方法では、写真フィルムの撮影画像エリアから読み取られた撮影画像データに対して実施されるシェーディング補正に用いられる第1シェーディング補正係数と、写真フィルムのコードエリアから読み取られたコード画像データに対して実施されるシェーディング補正に用いられる第2シェーディング補正係数はそれぞれ独立して求められており、写真フィルムの撮影画像エリアとコードエリアとから同時に読み取られた画像データは前記撮影画像エリアに対応する撮影画像データと前記コードエリアに対応する前記コード画像データに区分けされ、前記撮影画像データに対しては前記第1シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正が施され、前記コード画像データに対しては前記第2シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正が施される。このため、撮影画像データは撮影画像に最適なシェーディング補正が施され、コード画像データはコードの検出に最適なシェーディング補正が施される。一般に、撮影画像データは8ビットカラー画像データ化されるものであり、コード画像データは2ビット画像データ化(2値化)されるものであり、さらには写真フィルムの側端に位置するコードエリアに照射される光ビームの照明特性は写真フィルムの中央に位置する撮影画像エリアに照射される光ビームの照明特性に比べて劣っていることから、上述したようにそれぞれ独立したシェーディング補正が施されることは、例えばそれぞれのダイナミックレンジを大きく異ならせることも可能となり、数々の利点を生み出す。
【0009】
なお、上述したシェーディング補正係数なる語句は、シェーディング補正係数群としてのシェーディング補正曲線をも含む語句として用いられている。
【0010】
フィルムエッジでは写真フィルムを透過する光ビームと写真フィルムを全く透過しない光ビームによる画素が生成されるので、コード画像データに含まれるフィルムエッジ輪郭、つまり光電変換センサによって取得された画像データの両端領域に生じるフィルムエッジを起因とする高濃度差画素領域を、前記撮影画像データと前記コード画像データとの区分けのために利用することができる。しかしながら、一般に、写真フィルムにはフィルム搬送時の便宜などのために、前記撮影画像エリアと前記コードエリアの間にパーフォレーションと呼ばれている貫通孔が設けられているパーフォレーションエリアが配置されていることから、撮影画像エリアとコードエリアが同時に読み取られる際にパーフォレーションの存在を通じて高濃度差の画素が生じることを利用するならば、撮影画像エリアとコードエリアの間に配置されているパーフォレーションエリアに対応するパーフォレーション画像データを、撮影画像データとコード画像データとの区分けのために用いることも可能である。
【0011】
本発明では、さらに、上述したフィルム読取方法を実施する装置も対象としており、そのようなフィルム読取装置では、光電変換センサが前記撮影画像エリアと前記コードエリアとを同時に読み取るように構成され、前記光電変換センサによって取得された画像データを前記撮影画像エリアに対応する撮影画像データと前記コードエリアに対応する前記コード画像データとに区分けする画像データ区分け部と、前記撮影画像データに対して第1シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す第1シェーディング補正部と、前記コード画像データに対して前記シェーディング補正係数から独立して設定された第2シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す第2シェーディング補正部と、シェーディング補正されたコード画像データを用いてそのコードを解読するコード解読部とが備えられている。当然ながら、このようなフィルム読取装置も上述したフィルム読取方法におけるすべての作用効果を得ることができる。
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明によるフィルム読取装置を組み込んだ写真プリント装置の一例を示す外観図であり、この写真プリント装置は、印画紙200に対して露光処理と現像処理とを行う写真プリンタとしてのプリントステーション1Bと、現像済み写真フィルム100やデジタルカメラ用メモリカードMなどから取り込んだ撮影画像データを処理してプリントステーション1Bで使用されるプリントデータの生成・転送などを行う操作ステーション1Aとから構成されている。
【0013】
この写真プリント装置はデジタルミニラボとも称せられるものであり、図2からよく理解できるように、プリントステーション1Bは2つの印画紙マガジン11に納めたロール状の印画紙200を引き出してシートカッター12でプリントサイズに切断すると共に、このように切断された印画紙200に対し、バックプリント部13で色補正情報やコマ番号などのプリント処理情報を印画紙200の裏面に印字するとともに、露光部14で印画紙200の表面に撮影画像の露光を行い、この露光後の印画紙200を複数の現像処理槽を有した処理槽ユニット15に送り込んで現像処理する。乾燥の後に装置上部の横送りコンベア16からソータ17に送られた印画紙200、つまり写真プリントPは、このソータ17の複数のトレイ17aにオーダ単位で仕分けられた状態で集積される(図1参照)。
【0014】
上述した印画紙200に対する各種処理に合わせた搬送速度で印画紙200を搬送するために印画紙搬送機構18が敷設されている。印画紙搬送機構18は、印画紙搬送方向に関して露光部14の前後に配置されたチャッカー式印画紙搬送ユニット18aを含む複数の挟持搬送ローラ対から構成されている。
【0015】
露光部14には、副走査方向に搬送される印画紙200に対して、主走査方向に沿って操作ステーション1Aからのプリントデータに基づいてR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のレーザ光線の照射を行うライン露光ヘッドが設けられている。ライン露光ヘッドは、印画紙200を副走査方向に搬送しながら、この搬送速度と同期して主走査方向に沿ったライン状に露光を行うよう構成されている。尚、露光ヘッドとしては、露光仕様に応じて、レーザビーム方式、蛍光ビーム方式、液晶シャッター方式、DMD方式などの採用が可能であるが、ここではレーザビーム方式が採用されている。いずれにしても、ライン露光方式を採用しているので、プリントサイズは印画紙200の幅と副走査方向での送り長さで決定される。処理槽ユニット15は、発色現像処理液を貯留する発色現像槽15aと、漂白定着処理液を貯留する漂白定着槽15bと、安定処理液を貯留する安定槽15cを備えている。
【0016】
前記操作ステーション1Aのデスク状コンソールの上部位置には、写真フィルム100から撮影画像及びコードの一例としてのバーコードで形成されたDXコードやコマ番号などのフィルム情報を取得するフィルムスキャナ2と、デジタルカメラ等に装着される画像記録媒体Mとして用いられている各種半導体メモリやCD−Rなどから一連(1オーダ分)の撮影コマ画像データ(以下単に画像データと称す)を取得するメディアリーダ3が配置されるが、この実施形態では、メディアリーダ3は、この写真プリント装置のコントローラ4として機能する汎用パソコンに組み込まれている。このコントローラ4には、さらに各種情報を表示するモニタ4a、各種設定や調整を行う際に用いる操作入力部として利用されるキーボード4bやマウス4cなども接続されている。
【0017】
フィルムスキャナ2は、図2に模式的に示されているように、フィルム搬送ラインを構成するフィルムキャリヤユニット80と、フィルムキャリヤユニット80の上方に位置する光源20と、フィルムキャリヤユニット80に設けられたフィルム搬送機構8と、フィルムキャリヤユニット80の下方に位置する光学レンズ22と、この光学レンズ22によって結像された写真フィルムの透過光を光電変換する光電変換センサとしてのCCDラインセンサ23を備えている。なお、フィルムキャリヤユニット80の下方に光源20を、フィルムキャリヤユニット80の上方に光学レンズ22とCCDラインセンサ23を配置する構成を採用しても良い。いずれにせよ、CCDラインセンサ23はコントローラ3に装着された画像入力ボードと接続されており、CCDラインセンサ23によって変換された画像データはコントローラ4に送り込まれる。
【0018】
図3に断面図の形で図示されているフィルムキャリヤユニット80は、搬送される写真フィルム100の下側に位置するベース部材80aと搬送される写真フィルム100の上側に位置するカバー部材80b、及びフィルム搬送機構8を構成するためにベース部材80aとカバー部材80bとに分かれて配置されている複数の駆動ローラユニットを備えている。さらに、ベース部材80aには光源80から発せられ写真フィルム100を透過した光をスリット光として光学レンズ22に導く通過孔形成ブロック81が設けられている。
【0019】
余計な光がCCDラインセンサ23に入射しないように光を遮蔽する遮蔽部材として機能する通過孔形成ブロック81には、図3と図4から明らかなように、フィルム搬送方向に直角な横断方向に沿って、かつライン状の光源20からの照明光の光軸に一致するようにスリット状の通過孔81aが形成されている。この通過孔81aの幅は1mm程度で、その長さは搬送中の写真フィルム100の蛇行を考慮して写真フィルム100の幅より長く設定されており、写真フィルム100の全幅を構成する、撮影画像エリア100a及び写真フィルム100のエッジ領域に位置しているフィルムメーカ名やコマ番号等を示すバーコードが形成されているバーコードエリアの一例としてのDXコードエリア100b及び撮影画像エリア100aとDXコードエリア100bの間に位置するパーフォレーションエリア100cを透過してきた光が光学レンズ22を経てCCDラインセンサ23に到達することができる。これにより、CCDラインセンサ23は、写真フィルム100の撮影画像エリア100aだけではなくこれより外側に位置しているパーフォレーションエリア100cとDXコードエリア100bからの透過光も同時に検出することができる。
【0020】
図5から明らかなように、カールぐせを持っている写真フィルム100の先端がスキャニング搬送時に写真フィルム100の幅より長い通過孔81aに入り込まないように、通過孔81aの両端領域、特に写真フィルム100のパーフォレーションエリア100cとDXコードエリア100bに対応する箇所にこの実施形態ではガラス製の光透過性部材82が埋め込まれている。この光透過性部材82は円板状に加工されており、フィルム搬送面に円形端面を露出するように、通過孔形成ブロック81に設けられた円柱凹部にはめ込まれている。光透過性部材82の角部は面取りされており、その円形端面の一方側はフィルム搬送面のレベルに一致させられている。光透過性部材82の円形端面の他方側、つまり写真フィルム100と接しない方の面には銀又はアルミ蒸着によって減光層82aが形成されている(図3参照)。
【0021】
この光透過性部材82は写真フィルム100のパーフォレーションエリア100cとDXコードエリア100bに光軸方向で重なり合うように位置決めされているので、光透過性部材82の減光層82aは写真フィルム100のパーフォレーションPを通過した強い光量をもった光を減光し、過剰な光量の光がCCDラインセンサ23に達することを防止している。
【0022】
透過光形成ブロック81に形成された通過孔81a中心線によって定義されるスキャニングラインSLのフィルム搬送方向上流側と下流側に写真フィルム100の下面を支持するガイドローラ8bが配置されている。このガイドローラ8bは通過孔形成ブロック81に設けられた溝に埋め込まれるような形でベース部材80に対して回転可能に支持されている。
【0023】
写真フィルム100が所定のスキャン位置に位置決めされ、フィルム搬送機構8による写真フィルム100の送りによりフィルム情報の読取処理が開始されると、撮影画像エリア100aとDXコードエリア100bとパーフォレーションエリア100cを透過してきた光が光学レンズ22を経てCCDラインセンサ23に到達し、CCDラインセンサ23によって光電変換されるとともにAD変換されることで生成された読取データはコントローラ4に送り込まれる。送り込まれた読取データ、つまり画像データには、撮影画像エリア100aに対応する撮影画像データとパーフォレーションエリア100cに対応するパーフォレーション画像データ、DXコードエリア100bに対応するDXコード画像データ(バーコード画像データの一例)から構成されているので、この画像データから、撮影画像データとDXコード画像データが切り分けられ、それぞれ別々の処理が施される。
【0024】
操作ステーション1Aに搭載されているコントローラ4は、CPUを中核部材として、写真プリント出力に関する種々の動作を行うための機能部をハードウエア又はソフトウエアあるいはその両方で構築しているが、図6に示されているように、本発明によるフィルム情報の読み取りに特に関係する機能部としては、スキャナ2によって読み取られた読取データを取り込んでこの読取データを画像データとしてメモリ40に展開する画像入力ボードとして構成されている画像入力制御部41と、メモリ40に展開された画像データを撮影画像エリアに対応する撮影画像データとDXコードエリアに対応する前記DXコード画像データとに区分けする画像データ区分け部42と、区分けされた撮影画像データに対して第1シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す第1シェーディング補正部43aと同じく区分けされたDXコード画像データに対して第2シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す第2シェーディング補正部43bを含むシェーディング補正部43と、シェーディング補正されたDXコード画像データを用いてそのDXコードを解読するコード解読部44と、各種ウインドウや各種操作ボタンなどを含むグラフィック操作画面の作成やそのようなグラフィック操作画面を通じてのユーザ操作入力(キーボード4bやマウス4cなどによる)から制御コマンドを生成するグラフィックユーザインターフェース(以下GUIと略称する)を構築するGUI部45と、予め設定されたシーケンスやGUI部45から送られてきた制御コマンドに基づいてプリント出力のための画像データ処理を管理するプリント管理部46と、前記プリント管理部46からの画像処理コマンドに基づいて各コマ単位の撮影画像を表す撮影画像データに画像処理を行う画像処理部47と、撮影画像や予想仕上がりプリント画像としてのシミュレート画像及びGUI部33から送られてきたグラフィックデータをモニタ4aに表示させるためのビデオ信号を生成するビデオ制御部48と、画像処理が完了した処理済み撮影画像のための画像データに基づいてプリントステーション1Bに装備されている露光部14のライン露光ヘッドに適したプリントデータを生成するプリントデータ生成部49などが挙げられる。
【0025】
この実施形態では、画像入力制御部41は、写真プリントソースが写真フィルム100の場合プレスキャンモードと本スキャンモードの読取データを別々にメモリ40に送り込む。プレスキャンモードでは、写真フィルム100の撮影画像エリア100aからDXコードエリア100bまでのほぼ全幅領域が低解像度でスキャニングされ、本スキャンモードでは、撮影画像エリア100aに存在する撮影画像だけが高解像度でスキャニングされる。もちろん、プレスキャンモードと本スキャンモードの2回スキャニング法に代えて、高解像度で全幅領域をスキャンする1回スキャニング法を採用しても良い。
【0026】
図7に模式的に示されているように、写真フィルム100の幅方向のエリアは、撮影画像エリア100aとパーフォレーションエリア100cとDXコードエリア100bに区画されているが、これらの全エリアが同時にCCDラインセンサ23によって読み取られ、メモリ40に画像データとして展開される。CCDラインセンサ23の受光有効長さ:Lが、光学レンズ22の介在を経て、ほぼフィルム幅:Wに対応するように構成されている。実際には、フィルム100の搬送時の蛇行も考慮されており、フィルム幅以上の読取幅をCCDラインセンサ23は有している。
【0027】
CCDラインセンサ23から取得されてメモリ40に送り込まれてきた画像データに対しては、光源20から照射される光ビーム光量の主走査方向での均一性やCCDラインセンサ23を構成する各光電変換素子の感度の均一性のバラツキ等に起因する画像データのバラツキを補償するため、それ自体はよく知られたシェーディング補正が施される。
【0028】
本発明では、このシェーディング補正では、撮影画像エリア100aからの画像データである撮影画像データとDXコードエリア100bからの画像データであるDXコード画像データに対して別々のシェーディング補正が施される。このため、撮影画像データに対してシェーディング補正を施す第1シェーディング補正部43aが利用する第1シェーディング補正係数を格納している第1補正テーブル43xとDXコード画像データに対してシェーディング補正を施す第2シェーディング補正部43bが利用する第2シェーディング補正係数を格納している第2補正テーブル43yがシェーディング補正部43に用意されている。
【0029】
シェーディング補正係数を求めるためには、機械的な絞りや減光フィルタの介在あるいは光源20への供給電流の低減などによりCCDラインセンサ23に直接到達する光ビームの光量を下げる状態で光源20を点灯し、図8に一例として示されるようなCCDラインセンサ23からの読取信号を素通り画像データとしてメモリ40に展開する。図8において、パーフォレーションエリア100cとDXコードエリア100bに相当する区間は光透過性部材82に形成された減光層82aの影響で、撮影画像エリア100aに相当する区間に較べ、低い信号レベルとなっていることが理解される。
【0030】
さらに、光源20の主走査方向の幅は装置のコンパクト化のために出来る限り抑えられているため、フィルム100の幅方向端部に位置するDXコードエリア100bに達する光ビームの主走査方向均一性は撮影画像エリア100aに達する光ビームの主走査方向均一性は極めて低いものとなっているという事情を考慮して、展開された素通り画像データからフィルム100の撮影画像エリア100aに対応するCCDラインセンサ23のセグメントから読み込まれたデータ領域とDXコードエリア100bに対応するCCDラインセンサ23のセグメントから読み込まれたデータ領域に異なる強度の平均値フィルタをかけて、ノイズ成分の抑制を行う。平均化された素通り画像データから、この素通り画像データの画素値を主走査方向に関して一様な値にするシェーディング補正を行う際に用いるシェーディング補正係数を求める。その際、特に、DXコードエリア100bに達する光ビームは撮影画像エリア100aに達する光ビームに較べて低品質であると言えるのでより強い平均値フィルタをかけるとともに、主走査方向の均一性がかなり劣ることから大きなダイナミックレンジでのシェーディング補正が可能となるようにシェーディング補正係数を設定する必要がある。このように、撮影画像エリア100aとDXコードエリア100bとで異なる手法でもって異なるシェーディング補正係数、つまり第1シェーディング補正係数と第2シェーディング補正係数を求めて、第1補正テーブル43xと第2補正テーブル43yとに設定しておく。
【0031】
なお、DXコードエリア100bにはDXコードを示すバーコードが表示されていることから、その解読にあたってDXコード画像データを2値化することになるので、第2シェーディング補正係数を求める際には、その2値化処理を考慮することも重要である。
【0032】
このようにシェーディング補正係数が設定された後、実際の写真フィルム100がスキャニングされ、CCDラインセンサ23から送り出された読取データがメモリ40に画像データとして展開された状態が図9に模式的に示されている。図9は、理解しやすいように写真フィルムのイメージで示しているが、実際はCCDラインセンサ23の解像度に対応した縦方向画素数をもつ画素の集合であり、各画素は透過濃度値に対応する画素値を有している。
【0033】
このようにメモリ40に展開された画像データに対して、画像データ区分け部42は、写真フィルム100のパーフォレーションPに対応する画素の画素値がパーフォレーションPがないところに較べて際だった濃度値を有することになることから、つまり、メモリ40に展開されている画像データの画素群に対して、写真フィルム幅方向に対応するように延びた検出窓を設定し、その検出窓に含まれる画素の濃度値を閾値条件を用いてチェックすることでパーフォレーションエリア100cに対応する画素領域(パーフォレーション画像データ)を認識し、その認識結果に基づいて、それより内側領域に存在する撮影画像データとそれより外側領域に存在するDXコード画像データを区分けする。
【0034】
次に、シェーディング補正部43の第1シェーディング補正部43aが、画像データ区分け部42で区分けられた撮影画像データに対して第1補正テーブル43xから読み込んだ第1シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施し、シェーディング補正部43の第2シェーディング補正部43bが、画像データ区分け部42で区分けられたDXコード画像データに対して第2補正テーブル43yから読み込んだ第2シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す。これにより、撮影画像データだけではなく、DXコード画像データも光源20の光量バラツキが補償されたものとなる。
【0035】
シェーディング補正されたDXコード画像データは、さらに、そこからバーコード検出され、解読される。そのために、まず、コード解読部44に構築されているバーコード位置決定部44aが画像データ区分け部42によって認識されたパーフォレーション画素領域において、このパーフォレーション画素領域の中心又はエッジから所定画素数分だけ外側に移動した点又は所定画素数をもった長さ領域をバーコード検出ゾーンとして決定する。ここでの所定画素数分の値は、CCDラインセンサ23の解像度によって予め設定されている。バーコード検出ゾーンが決定されると、同様にコード解読部44に構築されているバーコードデコード部44bは、バーコード検出ゾーンを検出ウインドウとしてフィルム長手方向に沿って対象画素の画素値を取り込んで、その対象画素が複数画素からなる場合その画素値の平均値を求めて、よく知られているバーコードデコードアルゴリズムに基づいて、前設定されている閾値と比較することでバーコードパターンを認識し、そのバーコードパターンが意味するフィルムメーカ名やフィルム種別及びコマ番号を求め、プリント管理部46に与える。
【0036】
上述した実施の形態では、写真フィルム100として等ピッチの連続したパーフォレーションPを形成している135フィルムを取り上げて説明しているが、不連続で間隔が比較的あいているパーフォレーションを形成しているIX240フィルムも同様に本発明によるフィルム読取装置で取り扱うことができる。
【0037】
上述した実施の形態では、バーコードなる言葉を、一般的なバーコードや2次元バーコードだけではなくコード化された記号や数字なども含む広義の意味で使用しており、従って、上述した実施の形態では、DXコードエリアに記録された情報としてバーコード化されたDXコードを取り上げたが、バーコード化されたコマ番号はもちろん、バーコード以外のコード(例えば二次元コード)、さらには数字や文字を直接コード情報として読み取るフィルム読取装置にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明によるフィルム読取装置を組み込んだ写真プリント装置を示す外観図
【図2】写真プリント装置を構成する操作ステーションとプリントステーションの説明図
【図3】フィルムスキャナのスキャニングライン領域の概略断面図
【図4】フィルムスキャナのスキャニングライン領域の概略斜視図
【図5】図3の矢視A−Aからみたフィルムスキャナのスキャニングライン領域の概略平面図
【図6】写真プリント装置のコントローラに構築される機能を説明する機能ブロック図
【図7】写真フィルムの幅方向の各エリアとCCDラインセンサの関係を示す模式図
【図8】シェーディング補正係数を求めるための素通り光ビームの信号レベルを説明する説明図
【図9】メモリに展開された読取データにおける写真フィルムの各エリアの対応を示す模式図
【符号の説明】
【0039】
2:フィルムスキャナ
4:コントローラ
23:CCDラインセンサ(光電変換センサ)
40:メモリ
42:画像データ区分け部
43:シェーディング補正部
43a:第1シェーディング補正部
43b:第2シェーディング補正部
43x:第1補正テーブル
43y:第2補正テーブル
44:コード解読部
44a:バーコード位置決定部
44b:バーコードデコード部
46:プリント管理部
47:画像処理部
100:写真フィルム
100a:撮影画像エリア
100b:DXコードエリア(バーコードエリア、コードエリア)
100c:パーフォレーションエリア
P:パーフォレーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向中央に撮影画像エリアを配置し、幅方向端部にコードエリアを配置している写真フィルムを透過した光を光電変換する光電変換センサを用いて前記撮影画像エリアから撮影画像を読み取るとともに前記コードエリアからコードを読み取るフィルム読取方法において、
前記光電変換センサによって前記撮影画像エリアと前記コードエリアが同時に読み取られ、前記光電変換センサによって取得された画像データが前記撮影画像エリアに対応する撮影画像データと前記コードエリアに対応するコード画像データに区分けされ、前記撮影画像データに対して第1シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正が施され、前記コード画像データに対して前記第1シェーディング補正係数から独立して設定された第2シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正が施され、シェーディング補正されたコード画像データを用いてそのコードが解読されることを特徴とするフィルム読取方法。
【請求項2】
前記撮影画像エリアと前記コードエリアの間に配置されているパーフォレーションエリアに対応するパーフォレーション画像データが、前記撮影画像データと前記コード画像データとの区分けのために利用されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム読取方法
【請求項3】
幅方向中央に撮影画像エリアを幅方向端部にコードエリアを配置させている写真フィルムを透過した光を光電変換する光電変換センサを用いて前記撮影画像エリアから撮影画像を読み取るとともに前記コードエリアからコードを読み取るフィルム読取装置において、
前記光電変換センサが前記撮影画像エリアと前記コードエリアとを同時に読み取るように構成され、前記光電変換センサによって取得された画像データを前記撮影画像エリアに対応する撮影画像データと前記コードエリアに対応するコード画像データとに区分けする画像データ区分け部と、前記撮影画像データに対して第1シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す第1シェーディング補正部と、前記コード画像データに対して前記シェーディング補正係数から独立して設定された第2シェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を施す第2シェーディング補正部と、シェーディング補正されたコード画像データを用いてそのコードを解読するコード解読部とが備えられていることを特徴とするフィルム読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−5464(P2006−5464A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177160(P2004−177160)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】