説明

フィレット検査方法およびフィレット検査装置

【課題】フィレット検査において、隣接する部品の影響を受けずに、半導体素子側面に形成されたフィレットの高さを高精度に検査することを可能にする。
【解決手段】半導体素子2の上面を光らせる面光源7と、半導体素子2の側面のフィレット8部分を光らせるライン状光源6とにより、検査対象の半導体装置1を照射する。半導体装置1に対して斜めに設置されたカメラ5により、半導体素子2の側面に這い上がったフィレット8の高さを計測するための検査画像を撮像する。撮像された検査画像を用いて、半導体素子2の上面と側面との境界を基準にして、フィレット8の高さを計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィレット(Fillet)検査方法およびフィレット検査装置に係り、詳しくは、半導体装置の側面に形成されたフィレットの高さを隣接する部品の影響を受けずに、高速に検査することを可能にする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリップチップ(Flip Chip)構造は、配線基板と半導体素子の機械的接合強度を確保し、電気的接続の不良の発生を未然に防止するために、接合補強材であるアンダーフィル(Underfill)剤が配線基板と半導体素子の間隙に充填され、半導体素子の周囲にフィレットが形成された構造となる。
【0003】
近年の半導体素子の配線ルールの微細化に伴い、半導体素子自体の機械的強度が小さくなっている。そのため、フリップチップ構造の半導体装置において、半導体素子に形成されたフィレットの形状が部分的に異なった場合などには、熱などによってアンダーフィル剤の膨張などが生じ、半導体素子自体を破壊してしまう可能性がある。このため、フィレットが正常に形成されたか否かを検査する手段が求められる。
【0004】
フィレットが正常に形成されたか否かを検査するために、特許文献1には、半導体素子とパッケージなどの配線基板との間に充填されたアンダーフィル樹脂のフィレット高さを側面から観察してアンダーフィル樹脂が到達している高さを計測する計測装置を備えたものが記載されている。特許文献1では、アンダーフィル樹脂の高さの測定結果から、塗布ワークのアンダーフィル樹脂が過多,不足,適量であることを自動的に分類する。
【0005】
図11は特許文献1に記載された従来のフィレット高さ計測方法の説明図である。
【0006】
図11において、測定装置100は、塗布ワーク101を側面から観察し、一点以上の箇所でアンダーフィル樹脂102の高さを測定し、アンダーフィル樹脂102の高さ測定結果から、塗布ワーク101のアンダーフィル樹脂102の量を過多,不足,適量とのいずれかに分類する構成のものである。
【0007】
また、特許文献2には、2つの部品が間隙を置いて互いに接合され、その間隙にアンダーフィル剤が充填された電子デバイスの製造において、アンダーフィル剤によって形成されたフィレット部の幅を検出手段によって検出することにより、アンダーフィル剤の充填状態を検知する技術が記載されている。
【0008】
図12(a),(b)は特許文献2に記載された従来のフィレット検査装置における検査対象となる部分を示す図であり、図12(a)は平面図、図12(b)は断面図である。
【0009】
図12において、フィレット検査装置は、下部チップ110上の上部チップ111の4つの辺の各側端に、それぞれ形成されたフィレット部112〜115の幅L1〜L4の少なくとも1つを検出し、検出値と設定されているフィレット基準幅とを比較する構成のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−188011号公報
【特許文献2】特開2007−194403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載されたフィレット高さの計測方法によれば、検査対象となる塗布ワーク101に隣接して搭載される部品によっては、計測装置100を塗布ワーク101の側面に配置することが困難な場合がある。この場合には、塗布ワーク101におけるアンダーフィル樹脂102の高さ(フィレット高さ)を検査することができない。
【0012】
また、特許文献2に記載のアンダーフィル材の充填状態の検査方法によれば、フィレット部112〜115の高さを検出するものではなく、フィレット部112〜115の幅L1〜L4を検出しているため、フィレット部112〜115の幅L1〜L4が所定の幅であれば、フィレット部112〜115の高さが異なる場合でも不良とは判定されない。
【0013】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、特に半導体素子の表面と側面の境界を基準にフィレットが形成された高さを計測することにより、他の部品の影響を受けずにフィレット形成高さを検出することができるようにしたフィレット検査方法およびフィレット検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明のフィレット検査方法は、半導体装置に搭載された半導体素子の側面にアンダーフィル剤によって形成されるフィレットを検査するフィレット検査方法であって、前記半導体素子の上面に向けて光を照射する第1光源と前記フィレット部分に向けて光を照射する第2光源とを用いて照射し、前記半導体装置の側面を撮像して検査画像を取得する撮像工程と、前記撮像工程にて得られた検査画像に対して、前記半導体素子の上面と側面との境界である基準位置を検出する基準位置検出工程と、前記半導体素子の側面と前記フィレットの境界であるフィレット境界を特定するフィレット境界特定工程と、前記フィレット境界と前記基準位置との距離に基づいて、前記半導体素子の側面のフィレット高さを計測するフィレット高さ計測工程と、前記フィレット高さ計測値に基づきフィレット状態の良否を判定する判定工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のフィレット検査装置は、半導体装置に搭載された半導体素子の側面にアンダーフィル剤によって形成されるフィレットを検査するフィレット検査装置であって、前記半導体装置の1側面に対して斜め方向に配置され、前記半導体素子の側面においてフィレットの高さを計測するための検査画像を撮像するカメラと、前記半導体素子の上面を照射する第1光源と、前記半導体素子の側面に形成されるフィレット部分を照射する第2光源と、前記第1光源と前記第2光源で照射しながら前記カメラで撮像した前記半導体素子の側面の検査画像に対して、前記半導体素子の上面と側面との境界である基準位置を検出すると共に、前記半導体素子の側面と前記フィレットの境界であるフィレット境界を特定し、前記フィレット境界と前記基準位置との距離に基づいて、前記半導体素子の側面のフィレット高さを計測し、前記フィレット高さ計測値に基づきフィレット状態の良否を判定する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体装置外側に形成されるフィレットの半導体素子側面への這い上がり量を定量化することができ、高速かつ安定したフィレット検査を、隣接する部品の影響を受けることなく実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1におけるフィレット検査装置の構成図
【図2】実施の形態1におけるカメラの傾き角度を決定するための説明図
【図3】実施の形態1において検査画像を撮像する際の半導体装置付近の各光源からの光路を示す説明図
【図4】実施の形態1における光学系による撮像画像を示す模式図
【図5】実施の形態1における撮像画像の取得から良否判定までの手順を示すフローチャート
【図6】複数の半導体装置が基板に搭載されている構成例を示す斜視図
【図7】対向する2側面でフィレットの形成状態が異なる状態を示す半導体装置の断面図
【図8】本発明の実施の形態2におけるフィレット検査装置の構成図
【図9】実施の形態2において検査画像を撮像する際の半導体装置付近の各光源からの光路を示す説明図
【図10】本発明の実施の形態3におけるフィレット検査装置の構成図
【図11】従来のフィレット高さ計測方法の説明図
【図12】(a),(b)は従来のフィレット検査装置における検査対象となる部分を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるフィレット検査装置の構成図、図2は実施の形態1におけるカメラの傾き角度を決定するための説明図、図3は実施の形態1において検査画像を撮像する際の半導体装置付近の各光源からの光路を示す説明図、図4は実施の形態1における光学系による撮像画像を示す模式図、図5は実施の形態1における撮像画像の取得から良否判定までの手順を示すフローチャート、図6は複数の半導体装置が基板に搭載されている構成例を示す斜視図、図7は対向する2側面でフィレットの形成状態が異なる状態を示す半導体装置の断面図である。
【0020】
図1において、検査対象の半導体装置1は、半導体素子2を基板3に電気的に接続し、かつアンダーフィル剤が半導体素子2と基板3間に充填された構成であって、検査ステージ4上に設置されている。半導体装置1の半導体素子2の上面を基準として、カメラ5が角度θ傾けて設置され、半導体装置1の1辺を斜め上方より撮像できるようになっている。
【0021】
半導体装置1に対してカメラ設置側とは反対側に、照射部分がライン状をなすライン状光源6(第1光源)が、その照射方向がカメラ5の光軸と半導体素子2の上面に対して対称となる角度に配置されている。半導体素子2の上方には、面光源7(第2光源)が、半導体素子2の側面に形成されるフィレット8に対し照射部が向くように配置されている。
【0022】
ここで、このライン状光源6は、ライン状光源6の長手方向を半導体装置1における側面に対して平行に配置し、かつライン状光源6の照射方向をカメラ5の光軸と半導体素子2の上面に対して対称となる角度に設定することが好ましい。
【0023】
また、面光源7の照射面の長手方向の長さを、半導体素子2の側面の長さよりも長く、かつ面光源7の照射面の短手方向の長さを、該照射面の一端が半導体素子2の側面よりも内側で、かつ他端がフィレット8よりも外側となる長さに設定し、面光源7を、該照射面の長手方向が、半導体素子2の側面に対して平行であって、かつ該照射面の短手方向の一端が半導体装置1の側面よりも内側で、かつ他端がフィレット8よりも外側になる位置に設置することが好ましい。
【0024】
カメラ5の光軸の傾きθは、フィレットが全く形成されていない場合において、半導体素子2の側面全面が観察可能となる角度が、図2に示すように、検査対象の半導体装置1の左右に隣接して基板3に搭載された部品10,11と、半導体装置1との距離(Wr,Wl)、および高さ(Hr,Hl)を用いて、(数1)の式を満たす角度とする。カメラ5の光軸の傾きθは、高さ計測分解能を高くするために、(数1)の式を満たす角度の内、なるべく小さい角度とすることが望ましい。
(数1)
θ ≧ max(tan−1(Wr/Hr),tan−1(Wl/Hl))
例えば、図6に示す集合構造基板のように、1枚の基板3上に同一の半導体装置1が複数搭載されている場合を考える。この場合、例えば、隣接する部品の高さが0.5mmで、隣接する部品との距離が2.5mmの場合には、傾きθは、約11度以上であればよく、例えば15度として設定する。
【0025】
カメラ5によって半導体装置1の側面を観測する場合、まず、ライン状光源6と面光源7を同時に点灯させる。そして、図3に示すように、ライン状光源6から照射される光Aが半導体素子2の上面2aで反射し、カメラ5の光軸の傾きθと照射方向とが一致するようにしている。
【0026】
このため、図4の模式図に示すように、カメラ5の撮像画像では、半導体素子2の上面2aの部分が明部として観察される。さらに、照射角度が広い面光源7から照射された光はフィレット8によって反射し、その一部がカメラ5に入射するため、図4に示す撮像画像ではフィレット8の部分も明部として観察される。
【0027】
しかし、フィレット8に覆われていない半導体素子2の側面部2bの部分は、ライン状光源6から照射される光が到達せず、また面光源7から照射される光が下方向へと反射するため、図4に示す撮像画像においては、暗部として観察される。そのため、図4に示すように、半導体素子2の上面2aが明、半導体素子2の側面2bが暗、フィレット8が明となる撮像画像を得ることができる。
【0028】
このとき、フィレット8の表面に微小な凹凸があるなど、撮像画像において、フィレット8が十分明るくない場合には、光源としてスポット状光源(別の第2光源)を追加する。スポット状光源は、スポット状光源の光軸と検査対象である半導体素子2の側面とがなす角度が、カメラ5の光軸と半導体素子2の側面とがなす角度よりも小さい位置に配置するとよい。また、このスポット状光源の光軸と半導体素子2の側面とがなす角度は、カメラ5の光軸と半導体素子2の側面とがなす角度よりも小さくなるように設定されることが好ましい。なお、このスポット光源は、面光源7に追加して使用することで、よりフィレット8を明るくすることができるが、フィレット8の明るさがあまり必要でない場合などでは、スポット光源のみで面光源7を使用しない構成も可能である。
【0029】
次に、本実施の形態における半導体装置の1側面に形成されたフィレットを検査する工程について、図5のフローチャートを参照して説明する。これらの工程は、フィレット検査装置の制御部(図示せず)により行われる。
【0030】
まず、半導体装置1をフィレット検査装置に対して、相対的に位置決めした上で、ライン状光源6と面光源7を同時に点灯させ、カメラ5によって、半導体装置1の任意の1側面の検査画像を取得する(ステップS1)。この際、半導体装置1の持つ反りを矯正するため、検査ステージ4に、吸着機構を設けて基板3を吸着した上で、画像撮像するとよい。
【0031】
次に、半導体素子2の上面2aと半導体素子2の側面2bの境界を抽出し、この上面2aと側面2bの境界を基準位置(基準線)として特定する(ステップS2)。本ステップS2においては、明部から暗部へと変化する場所を、半導体素子2の側面2a全体にわたって複数抽出し、最小二乗近似などを用いて演算し、近似直線として抽出する。これにより、例えば、半導体素子2に部分的なチップ欠けなどがあっても、安定したフィレット這い上がり量の計測が可能となる。
【0032】
その後、半導体素子2の側面2bとフィレット8の境界を特定する(ステップS3)。本ステップS3の特定方法としては、ステップS2にて特定された基準位置よりも半導体素子2の側面2b側の部分を2値化する方法や、基準位置よりも半導体素子2の側面2b側の部分に対して、輝度の暗部から明部へ変化する場所を特定する方法を用いるとよい。
【0033】
次に、ステップS3にて特定された複数の半導体素子2の側面2bとフィレット8の境界点の距離と、ステップS2にて特定された基準位置との画像上の距離を算出し、あらかじめ取得された1画素あたりの長さを用いて実際の長さへと変換し、フィレット8の這い上がり量(フィレット高さ)を検出する(ステップS4)。
【0034】
ステップS4にて計測される這い上がり量は、基準位置が半導体素子2の上面2aと半導体素子2の側面2bの境界線であるため、計測値が大の場合、フィレット高さは小さく、計測値が小の場合、フィレット高さは大きい。
【0035】
また、半導体素子2の上面2aと半導体素子2の側面2bの境界を基準に、フィレット這い上がり量を計測することにより、半導体装置1がずれて位置決めされていても、安定したフィレット這い上がり量の計測が可能である。
【0036】
最後に、ステップS4で得られた複数のフィレット這い上がり量を用いて、良否の判定を行う(ステップS5)。本ステップS5においては、ステップS4で得られたフィレット這い上がり量の最大値,最小値,平均値が、あらかじめ設定されている所定の範囲にあるか否かを検定する方法や、複数のフィレット這い上がり量を用いて、部分的な凹みの有無を検定する方法、あるいはこれらの検定を組み合わせて検定する方法が考えられるが、検査対象となる半導体装置1の特性や製造方法によって適宜選択すればよい。
【0037】
さらに、前記検査処理を、半導体装置1の複数の側面に対して実施した後、それぞれの側面の最小値同士、または最大値同士を比較し、差が一定以内であることを検定することにより、図7に示すような、半導体素子2のフィレット8a,8bの高さが側面によって異なる場合を、不良品として判定することができる。このフィレット8a,8bの高さの違いが生じると、熱などによるアンダーフィル剤の膨張などによって、半導体素子2自体の破壊が懸念される。
【0038】
実施の形態1によれば、カメラ5,ライン状光源6,面光源7によって、半導体素子2の上面2aおよびフィレット8を明部とし、半導体素子2の側面2bを暗部として撮像することができる。そのため、検査画像により半導体素子2の上面2aと半導体素子2の側面2bの境界と、半導体素子2の側面2bとフィレット8の境界を検出することが可能となり、高速で安定したフィレット状態の良否の検査を実施することができる。
【0039】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2におけるフィレット検査装置の構成図、図9は実施の形態2において検査画像を撮像する際の半導体装置付近の各光源からの光路を示す説明図である。なお、以下の実施の形態における説明において、既に説明した部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0040】
図8において、一対のライン状光源6が半導体装置1の側方における相対する対称位置に設置されており、半導体装置1の上方には面光源7と直角プリズム20とが設置されている。そして、直角プリズム20の上方にカメラ5が設置され、直角プリズム20の側方にハーフミラー21とミラー22とが配置されている。この構成により、半導体装置1の対向する2側面に形成されたフィレット8が同一視野内で、例えば視野の上下に各側面の画像が撮像されるようにしている。
【0041】
各ライン状光源6は、ハーフミラー21の上方から、その照射方向が下方へ向くように設置されており、ミラー22によって反射されて半導体装置1を照射角度θで照射することが可能であるようになっており、両ライン状光源6を同時に点灯することにより、半導体素子2の上面2aが、同一画像内でそれぞれ明部として観察される。さらに面光源7の照射光は、両側のフィレット8によって反射し、その一部がカメラ5に入射するため、撮像画像において両フィレット8がそれぞれ明部として観察される。
【0042】
そのため、実施の形態2では、得られた検査画像内の両側面の検査領域に対して、それぞれ既述した実施の形態1における検査処理を行う。
【0043】
実施の形態2において、両側のライン状光源6を同時に点灯させ、かつ基板3の表面がポリイミド樹脂などの反射率が高い材質で覆われている場合や、配線などの部分的に反射率の高い材質がある場合について考える。この場合は、例えば、図9に示すように、検査画像内の右側面の検査領域において半導体素子2の上面2aを明部として得るための左側のライン状光源6からの照射光線Dが、半導体素子2の左側の基板3の表面で反射し、その反射光Eが左側の半導体素子2の側面2bを経由してカメラ5に入射してしまい、側面全体にわたって、もしくは部分的に半導体素子2の側面2bが明部として撮像される。このため安定した検査が実施できない場合もある。
【0044】
このような半導体装置1の場合には、面光源7を点灯したまま、一方のライン状光源6のみ点灯させた状態において、一方の側面2bの検査画像を得て検査を実施し、他方の側面2bの検査を行う際に、他方のライン状光源6の点灯消灯を切り替えて、他方の検査画像を得るようにする。
【0045】
実施の形態2によれば、半導体装置1の2側面に対して、それぞれ位置決めすることなく、一度の位置決めのみで2側面の検査を行うことが可能となるため、より高速なフィレット状態の検査を実施することができる。
【0046】
(実施の形態3)
図10は本発明の実施の形態3におけるフィレット検査装置の構成図である。実施の形態3では、基板3の表面がポリイミドなどの反射率が高い材質で覆われている場合や、配線などの部分的に反射率の高い材質がある場合であっても、検査対象となる半導体装置1における対向する2側面に形成されたフィレットの検査画像を同時に撮像することができるようにしている。
【0047】
図10において、偏光板30a〜30dが半導体装置1の両側の対称位置に設置され、偏光板30a,30bを各ライン状光源6と各ハーフミラー21との間に、さらに偏光板30c,30dを各ハーフミラー21と直角プリズム20との間に配置している。また、ライン状光源6とハーフミラー21との間の偏光板30a,30bは、それぞれ互いに偏光方向が直交する構成であり、ハーフミラー21と直角プリズム20との間の偏光板30c,30dは、それぞれ互いに偏光方向が直交する構成である。
【0048】
さらに、ライン状光源6とハーフミラー21との間の偏光板30a,30bと、ハーフミラー21と直角プリズム20との間の偏光板30c,30dとの偏光方向は、互いに直交する構成のものを用いている。
【0049】
そのため、両側のライン状光源6を同時に点灯させ、かつ基板3の表面がポリイミドなどの反射率が高い材質で覆われている場合や、配線などの部分的に反射率の高い材質がある場合であっても、図9に示す左側の半導体素子2の側面2bを経由した反射光Eのみ、ハーフミラー21と直角プリズム20の間の偏光板30c,30dによって遮断されるため、安定した検査を実施することが可能となる。
【0050】
実施の形態3によれば、基板3の表面がポリイミドなどの反射率が高い材質で覆われている場合や、配線などの部分的に反射率の高い材質がある場合であっても、半導体装置1の2側面に対して、一度の撮像で2側面の検査を行うことが可能となるため、より高速なフィレット状態の検査を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のフィレット検査方法およびフィレット検査装置は、検査画像に対して、半導体素子上面と半導体素子側面の境界を特定した上で、半導体素子側面とフィレットの境界を特定し、その距離を計測することにより、検査側面全面にわたって高速な検査が実現するため、各種の半導体装置の検査用途に適応できる。
【符号の説明】
【0052】
1 半導体装置
2 半導体素子
2a 半導体素子の上面
2b 半導体素子の側面
3 基板
4 検査ステージ
5 カメラ
6 ライン状光源
7 面光源
8 フィレット
20 直角プリズム
21 ハーフミラー
22 ミラー
30 偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置に搭載された半導体素子の側面にアンダーフィル剤によって形成されるフィレットを検査するフィレット検査方法であって、
前記半導体素子の上面に向けて光を照射する第1光源と前記フィレット部分に向けて光を照射する第2光源とを用いて照射し、前記半導体装置の側面を撮像して検査画像を取得する撮像工程と、
前記撮像工程にて得られた検査画像に対して、前記半導体素子の上面と側面との境界である基準位置を検出する基準位置検出工程と、
前記半導体素子の側面と前記フィレットの境界であるフィレット境界を特定するフィレット境界特定工程と、
前記フィレット境界と前記基準位置との距離に基づいて、前記半導体素子の側面のフィレット高さを計測するフィレット高さ計測工程と、
前記フィレット高さ計測値に基づきフィレット状態の良否を判定する判定工程と、を有すること
を特徴とするフィレット検査方法。
【請求項2】
前記フィレット境界特定工程において、少なくとも2箇所以上のフィレット境界を特定し、
前記フィレット高さ計測工程において、特定された前記各フィレット境界に対して前記フィレット高さを計測し、
前記判定工程において、前記各高さ計測値に基づいて前記良否判定を行うこと
を特徴とする請求項1記載のフィレット検査方法。
【請求項3】
前記基準位置検出工程から前記フィレット高さ計測工程までを、前記半導体素子の2側面以上に対して行い、前記判定工程において、各フィレット高さ計測値を比較し、前記良否判定を行うこと
を特徴とする請求項1または2記載のフィレット検査方法。
【請求項4】
前記撮像工程において、前記2組の光学系により前記検査対象の半導体装置における2側面を同一視野内に撮像し、一回の前記撮像工程によって撮像された検査画像に基づいて、前記検査処理において前記2側面に対して検査を行うこと
を特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のフィレット検査方法。
【請求項5】
前記撮像工程において、前記2組の光学系により前記検査対象の半導体装置における対向する2側面を同時に、かつ各側面ごとに照明を切り替えた上で撮像することにより、検査画像を取得すること
を特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のフィレット検査方法。
【請求項6】
半導体装置に搭載された半導体素子の側面にアンダーフィル剤によって形成されるフィレットを検査するフィレット検査装置であって、
前記半導体装置の1側面に対して斜め方向に配置され、前記半導体素子の側面においてフィレットの高さを計測するための検査画像を撮像するカメラと、
前記半導体素子の上面を照射する第1光源と、
前記半導体素子の側面に形成されるフィレット部分を照射する第2光源と、
前記第1光源と前記第2光源で照射しながら前記カメラで撮像した前記半導体素子の側面の検査画像に対して、前記半導体素子の上面と側面との境界である基準位置を検出すると共に、前記半導体素子の側面と前記フィレットの境界であるフィレット境界を特定し、前記フィレット境界と前記基準位置との距離に基づいて、前記半導体素子の側面のフィレット高さを計測し、前記フィレット高さ計測値に基づきフィレット状態の良否を判定する制御部と、を備えたこと
を特徴とするフィレット検査装置。
【請求項7】
前記第1光源として、照射部分がライン状をなすライン状光源を用い、
前記ライン状光源の長手方向を前記半導体装置における側面に対して平行に配置し、かつ前記ライン状光源の照射方向を前記カメラの光軸と前記半導体素子の上面に対して対称となる角度に設定したこと
を特徴とする請求項6記載のフィレット検査装置。
【請求項8】
前記第2光源として面光源を用い、
前記第2光源を前記半導体素子の上面より上方から照射するように設置し、
前記第2光源の照射面の長手方向の長さを、前記半導体素子の側面の長さよりも長く、かつ前記第2光源の照射面の短手方向の長さを、該照射面の一端が前記半導体素子の側面よりも内側で、かつ他端が前記フィレットよりも外側となる長さに設定し、
前記第2光源を、前記照射面の長手方向が、前記半導体素子の側面に対して平行であって、かつ前記照射面の短手方向の一端が前記半導体装置の側面よりも内側で、かつ他端が前記フィレットよりも外側になる位置に設置したこと
を特徴とする請求項6記載のフィレット検査装置。
【請求項9】
前記第2光源として、照射部分がスポット状をなすスポット光源を用い、
前記スポット状光源の光軸と前記半導体素子の側面とがなす角度を、前記カメラの光軸と前記半導体素子の側面とがなす角度よりも小さくなるように設定したこと
を特徴とする請求項6記載のフィレット検査装置。
【請求項10】
前記第2光源として、照射部分がスポット状をなすスポット状光源を用い、
前記スポット状光源を前記半導体素子の側面の両側に配置し、各スポット状光源の光軸と前記半導体素子の側面とがなす角度が、前記カメラの光軸と前記半導体素子の側面とがなす角度よりも小さくなるように設定したこと
を特徴とする請求項6記載のフィレット検査装置。
【請求項11】
前記第2光源として、請求項8に記載の面光源と請求項9または10に記載のスポット光源のどちらも用いること
を特徴とするフィレット検査装置。
【請求項12】
該光学系により前記検査対象の半導体装置における2側面を同一視野内において撮像するために、前記カメラと前記第1および第2光源からなる光学系を2組設置したこと
を特徴とする請求項6〜11いずれか1項記載のフィレット検査装置。
【請求項13】
前記第1光源として照射部分がライン状をなすライン状光源を2つ用い、かつ2つのライン光源用偏光板を、各ライン状光源の前でフィレットからの反射光経路ではない位置に、それぞれ偏光方向が直交するように配置し、さらに2つの反射光偏光板を、フィレットからの反射光のみが通過する経路上に、それぞれ偏光方向が直交するよう配置し、各光学系における前記ライン光源用偏光板と前記反射光偏光板との偏光方向が一致するように配置したこと
を特徴とする請求項12記載のフィレット検査装置。
【請求項14】
前記半導体素子の上面よりも上方から照射する前記光源の照射面の長手方向の長さを、少なくとも前記半導体素子の側面の長さよりも長く、かつ照射面の短手方向の長さを、一端が該一端部に形成されたフィレットよりも外側であって、他端が反対側のフィレットよりも外側となる長さに設定したこと
を特徴とする請求項12記載のフィレット検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−198786(P2011−198786A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60360(P2010−60360)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】