説明

フィールドフロー分画装置および移動相に注入された液中の試料アリコートの大きさおよび組成がさまざまな粒子を分離および処理する方法

【課題】 注入された試料アリコート内に含有される粒子を分離するフィールドフロー分画装置。
【解決手段】 必要に応じて、上記分画装置は、そのような粒子の特定の予め規定されたクラスをその後の除去のために捕捉するために用いられてもよい。クロスフロー分画装置か非対称流フィールドフロー分画装置かに基づいて、開示される分画装置は、その分離チャンネルの長さに沿った複数の場所で、加えられた横方向流を変化させる手段を含む。複数の分離された区画は各々、別個の対応する膜支持透過性フリットセグメントの下方に横たわり、その上方の膜部分を通る局所化されたフローを制御する個々の手段を設けられている。対応する同心状区画実現例は、中空繊維分画装置と統合されると、同じタイプの区画化されたクロスフローを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願および特許
以下の特許および出願は、分離された分子および小粒子の類似したキャラクタリゼーションに関する:
P.J.ワイアット(Wyatt)およびM.ウェイダ(Weida)、米国特許第6,774,994号(2004年8月10日)「懸濁液中の粒子の絶対数密度を求めるための方法および装置(Method and apparatus for determining absolute number densities of particles in suspension)」、
P.J.ワイアット、M.H.チェン(Chen)およびD.N.ビジャルパンド(Villalpando)、2008年6月9日出願、米国特許出願連続番号第12/157,367号「非対称流フィールドフローフラクショネーションを用いて小粒子の分離を最適化するための方法および装置(Method and apparatus for optimizing the separation of small particles using Asymmetric Flow Field Flow Fractionation)」。
【背景技術】
【0002】
背景
この明細書全体を通して、用語「粒子」は、タイプおよび大きさがさまざまな分子、ナノ粒子、ウイルス様粒子、リポソーム、エマルション、バクテリア、コロイドなどであってもよい液体試料アリコートの構成成分を指す。それらの大きさの範囲は、1nm〜数千マイクロメートルに亘ってもよい。
【0003】
フィールドフローフラクショネーション(Field Flow Fractionation)すなわちFFFによる溶液中の粒子の分離は、J.C.ギディングス(Giddings)によって広範に研究および開発され、1960年代初めに始まった。こういった技術の原理は、チャンネルに拘束された試料とフローの方向に垂直に加えられる印加フィールドとの相互作用にある。目下注目されているそれらの技術の中には、チャンネル内のフロー中の試料に垂直な2次フローを導入することにより、印加フィールドが得られるクロスフローFFFがあり、対称流(Symmetric Flow)すなわちSFlFFFと呼ばれることが多い。非対称(Asymmetric Flow)FFFすなわちA4F、および中空繊維(Hollow Fiber)すなわちH4Fフロー分離を含めて、この技術には、いくつかの変形例がある。
【0004】
他のFFF技術には、重力/遠心クロス力がチャンネルフローの流れに垂直に加えられる沈降(Sedimentation)FFFすなわちSdFFF、電場がチャンネルフローに垂直に加えられる電気(Electrical)FFFすなわちEFFF、および温度勾配が横方向に(transversely)加えられる熱(Thermal)FFFすなわちThFFFが含まれる。特定のFFF技術の適用は、対応する装置によってなされるので、上記の適用をあるタイプの「フィールドフロー分画装置」と本明細書中において称する。
【0005】
これらフィールドフロー分画装置のすべてに共通するものは、流体すなわち移動相であり、この移動相の中に試料のアリコートが注入され、この試料アリコートは、クロスフィールドを加えることによって構成成分画分へと分離される。フィールドフロー分画装置の多くでは、試料アリコートがチャンネルを流れ進む間に、チャンネルフロー量および加えられるクロスフィールドの強度を制御および変化させることが可能である。これらのフィールドフロー分画装置にまた共通することは、クロスフィールドおよびチャンネルフロー量のみを、またその時は、分離が起こっている領域全体に亘ってのみを変動させてもよいことである。そのようなプログラミングは、多種多様な粒子クラスに対して効果的な分離を生じさせることができるが、このプログラミングには、関連する限界がある。
【0006】
そのような限界の例は、対称流クロスフロー分画装置による粒子の分離に関する。試料アリコートがチャンネルを移動し進みながら非立体的分離を受け始めるにつれて、より小さい粒子がより大きいものの先を行く。クロスフロー量を上げることによって、すべての種(species)の分離は続くが、より大きな画分は、それらよりも大きさが小さい道連れらに一層遅れをとり始める。クロスフローが十分にあると、より小さい粒子が既にチャンネルを渡り終えて、それらの関連するフラクショネーションをもたらしている一方で、これらのより大きな粒子は、相当減速されることがある。このときまでに、より小さい画分は、分離されてはいるものの著しく希釈されてしまっていることがあるため、それらの局所的ピークは、広幅化されており、それらの関連する濃度は低下している。チャンネルを離れると、さまざまな検出手段を用いるその後の分析は、そのような対応して非常に低濃度の画分を検出することができないことがある。まだ保持されているより大きな粒子は、チャンネルを通過し終えかつチャンネル中で分離するのに十分な時間がないことがあるが、より小さい粒子は、チャンネルを離れてから随分経ち、したがってもはやそれらの分離を続けるのに必要なクロス力を受けていないことがある。実際、たとえば500から1000nmの範囲内の相当より大きい粒子の分離は、5から10nmの範囲内の粒子を分離するのに必要かも知れないチャンネルおよびクロスフロー量と相当異なるチャンネルおよびクロスフロー量を必要とする。非常に大きなサイズ範囲に亘る大きさを有する試料の分離には、そのような試料アリコートが選択されたチャンネルを通過する間の相対チャネルおよびクロスフロー量のプログラミングにおける相当な柔軟性が必要である。1つの大きさ群のフラクショネーションが最適であっても、別の大きさ群のフラクショネーションが等価であることまたは比較し得るものであることすら確実とならない。
【0007】
そのようなFFF分離について引続き存在する問題は、これらの技術が歴史的に、チャンネル内の局所的フロー状態を変化させることができない点にある。これまでは、フラクショネーションプロセスの制御は、FFF方法を問わず、チャンネル全体を対象としていた。本明細書中に記載されるこの発明の方法およびフィールドフロー分画装置は、加えられたフローおよび力に対する局所化された制御を可能にすることを主な目的とする。これにより、フローおよび力を、分画チャンネルの全長に亘って特定の局所的領域で制御することができる。
【0008】
提示される新しいフラクショネーション方法は、クロスフローに基づいた分離の文脈で大部分例示されるであろうが、当業者には自明であるように、開示される方法は、他のフィールドフローフラクショネーションに等しく適用可能であろう。そのようなフィールドフロー分画装置のうち最も重要なクラスは、単にそれを引用する科学論文の数という点で、非対称流フィールドフローフラクショネーションすなわちA4Fと称され、カール−グスタフ・オーランド(Karl-Gustav Wahlund)によって発明されたものである。この技術を後に簡単に概説する。
【0009】
A4F分画装置は、以前に開発された対称流フィールド分画装置すなわちSFlFFFの変更例であると考えられている。この以前の装置において、クロスフローは、チャンネルに別個のポンプによって提供される。よって、各フローは、別個のポンプによって生成されることによって、クロスフロー対称性が得られる。一方A4Fでは、効果的なクロスフローは、チャンネル流出を流入に対して制限することによって確立される。この2つのフローの差は、効果的なクロスフローとなる。A4F分画装置は、従来のSFlFFF装置の2つの基本フローフィールドを単一のポンプで生成するため、対称クロスフローFFFの結果特性のうち多くは、A4Fに対しても有効であるとみなされている。これらのうち1つは、たとえばいわゆる分画力Fであり、これはクロスフローfxにクロスフローのチャンネルフローfcに対する比率の平方根を掛けた積に比例する。すなわち以下のとおりである。
【0010】
【数1】

【0011】
対称分画装置のためのクロスフロー供給源は、チャンネルフローから独立しているため、両者は変化されてもよく、チャンネル長に亘って一定であるだろう。一方A4F装置については、チャンネルフローは、チャンネルの長さに沿って常に変化し、試料がチャンネルを出る直前に最小に達する。
【0012】
チャンネルフローのこの減少を補い、かつ単位面積当りのクロスフローの関連する定常性を実現するために、さまざまな技術が採用されている。これらには、移動相流入量を変化させ、クロスフローに対するインピーダンスを変えることによってクロスフローをプログラミングすることが含まれる。出口近くでチャンネルフローをより大きく保つべく、台形および指数関数的なものを含めてさまざまなチャンネル形状が試されている。先細りになったチャンネルは、その長さに沿ってその幅が減っており、単位面積当りのチャンネルフローが、対応するクロスフローを提供するのに必要なその減少を補うのに十分に増加されることを可能にする。
【0013】
A4F分画装置には、その表面的な単純さにも拘らず、他に難しい点がある。まず、SFlFFFとA4Fとの両方に共通の問題がある。チャンネルを規定する4つの面は異なる材料からなり、それらのうち1つが理論上の予期される層流パターンから逸脱することがあることである。実際、蓄積壁のフリット支持された膜は、軟らかく多孔質であり、これは、一般的にはステンレス鋼管からなる側部であるすべての壁が滑らかであり、同じ材料からなる典型的な沈降フィールドフロー分画装置すなわちSdFFFとは非常に異なる。そのような面によって閉じ込められた層流は、壁でゼロに達する接線流を備えた予想される放物線状のフロープロファイルを生じる。しかしながら、A4FおよびSFlFFFフローの両方について、膜境界での状態はよく理解されていない。
【0014】
この発明は、A4F分画装置およびその関連する適用方法を参照することによって、異なるタイプのフリット支持構造および関連する1組のクロスフロー調整器により、より高い汎用性を有する新しいタイプの分離能力を確立することを主要な目的とする。この発明のフリット構造は、単位膜面積当りのクロスフローがチャンネルの異なる領域で可変であることを可能にするであろう。この可変性により、フラクショネーションを受ける試料のより大きな粒子成分の選択的な濾過という、この発明の別の目的が達成される。この発明の別の目的は、チャンネル内で先に分解/分離された広幅化されている、種ピークを鋭くすることである。
【0015】
この新しい、この発明のA4Fベースの分画装置のすべての目的は、関連するチャンネルに沿った不連続な領域でのクロスフィールドの外部制御を可能にするように変形し得るFFF技術の殆どのクラスに対して適用可能である。これらには、対称クロスフロー分画装置、中空繊維分画装置、およびある程度は、電気フィールドフロー分画装置が含まれる。
【0016】
この発明の方法のさらなる目的は、この方法が外れ値粒子集団を捕捉し、識別する能力の向上である。ひいてはこれを、そのような望ましくないかつ危険な可能性のある粒子の混入を受けることがある特定のクラスの溶液を浄化するために適当な状況で用いて、この溶液を必要なきれいな状態に戻してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第6,774,994号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0301942号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
SFlFFFコンセプトおよびA4Fコンセプトの基本構造に基づいた新しいタイプのフィールドフローフラクショネーションが説明され、膜支持フリットは、チャンネルフローの方向に対して横方向の(transverse)別個の領域/区画からなり、各区画は、対応して別個のプログラム可能で各区画を通るクロスフローを備えている。このセグメント化された構造は、新しいクラスの分離に基づくフラクショネーションを実現することを可能にする。たとえば、旧来のA4F装置による試料のフラクショネーションの後、この装置によって分離された画分に関連するピークは、分解はされているものの、分画されていない注入された試料アリコートのピーク幅に対して希釈され広幅化されたままである。この発明の装置では、分離されたピークをチャンネルに沿った異なる領域で再濃縮し、鋭くすることができる。
【0019】
以下本明細書中において区画化されたフィールドフローフラクショネーション(Compartmentalized Field Flow Fractionation)すなわちCFFFと称される新しい装置は、外れ値を捕捉および/または保持するためにも適用されてもよい。一旦捕捉されると、そのような粒子は、後の分析のために保持されるか、または溶液から完全に除去されてもよい。この後者の用途は、免疫抗原性の可能性がある粒子の混入を受けた医薬品をこの医薬品の以前のきれいな状態に戻すために用いられてもよい。この用途のためには、チャンネルの初期領域は、指定された大きさのしきい値を超える粒子を保持または著しく遅延させるのに十分なクロスフローを提供するようにプログラムされ、その一方で、より小さい粒子からなる画分は、A4F装置を通ってより速やかに進む。より小さい粒子のチャンネル出口ポートでの出現に続いて、遅延された粒子は、チャンネルから出現次第捕捉または除去されるために放出される。
【0020】
チャンネルの異なる領域でクロスフローを調整する能力は、試料のチャンネルを通しての輸送中に、選択的な粒子移動制限を逐次的に課すことを可能にする。よって、付随するより小さな画分は、より大きな試料構成成分に対して選択的に加速されることによって、そこから分離される。一旦そのように分離されたならば、そのような試料は、この試料がより後の領域に達したらこの試料の局所的チャンネル移動を制限することにより再濃縮されてもよい。
【0021】
多領域フリット構造は、その領域の各々が、選択可能なクロスフローをその下方の特定の区画に提供し、旧来のA4FおよびSFlFFF構造内でこれまで不可能であった多種多様な分離が可能である。実際、CFFFの機能は、装置およびその制御手段によってFFFプロセスそのものの研究および用途に対する新しい展望が切り開かれるほど幅広く広範なものである。そのような一般化されたフリット構造は、単一の注入された試料内に存在することがある複雑な粒子分布を同時に分離することを可能にする。
【0022】
セグメント化されたフリット領域に対応して、支持される膜自体もセグメント化されていて、この膜を通過する試料フラクショネーションのための選択された透過性を提供してもよく、そのとき、画分は、この膜を通して直接分流されてもよい。
【0023】
中空繊維FFFおよび電気FFFなどの他のタイプのFFFにもこの方法を適用する手段が述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】標準的なA4Fチャンネルの構造および重要な要素を示す図である。
【図2】A4Fフラクショネーションの後に多角度光散乱光度計によって90°で検出された分解されたBSA試料の従来の分離の結果を示す図である。
【図3】単位チャンネル面積当り一定のチャンネルフローを維持するために採用される先細りになったチャンネル構造を示す図である。
【図4】この発明の区画化された構造を提供するように変形された基本A4F構造を示す図である。
【図5】区画間の間隔が異なる図4の2つの重要な要素を説明する図である。
【図6】図1の従来のA4Fユニットとしての動作を可能にするように変形された図4の構造の正面、背面および上面図である。
【図7】図6の構造の同心状切欠図および側面切欠図である。
【図8】標準的な中空繊維フィールドフロー分画装置、すなわちH4Fチャンネルの構造および重要な要素を示す図である。
【図9】中空繊維分画装置のために考えられる区画化された構造を示す図である。
【図10】特定のプログラムされた1組のクロスフローから生じる、図2の試料の凝集され豊富にある画分の予期される再凝縮の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
非対称流FFFチャンネルの要素の概説から始める。図1に示されるA4Fチャンネルは、以下の要素とそれらを結びつける手段とからなる:
1) 封止Oリング3によって取囲まれた液体透過性フリット2を保持する底部アセンブリ構造1、
2) フリット2上に横たわる透過性膜4、
3) キャビティ6が切られている厚み約75μmから800μmのスペーサ5、および
4) レキサン(Lexan)(登録商標)またはガラスなどの材料からなる透明なプレート8を一般的には保持するトップアセンブリ構造7。このプレートは、実現例によっては透明である必要はない。
結果として得られるサンドイッチ構造は、ボルト13または他の手段で結び付けられている。スペーサ5にある概ね棺形状のまたは先細りになったキャビティ6は、分離が中で起こるチャンネルとして働く。トップアセンブリ構造7は通常、ポートと呼ばれる3つの孔を含み、これらの孔は、トッププレート8を貫通し、チャンネルの上方に中心決めされていて、取付具をこれらの孔に取付けることを可能にしている。これらのポートは:
1)チャンネルの始まり付近に位置し、キャリア液体いわゆる移動相がそこを通して送り込まれる移動相入口ポート9、
2)入口ポートの下流に位置し、分離される試料のアリコートがその中へチャンネルまで導入されその下で集束される試料ポート10、および
3)分画されたアリコートがそこを通ってキャビティの端部近くでチャンネルを出る出口ポート11である。
【0026】
A4Fの好ましい実施例において用いられるような単一のポンプが、移動相を入口ポート9で提供する。移動相は、以下の2つの別個のフローの供給源である:i)フリットで支持された膜を通って、注入された試料に対して横方向のクロスフローを生じるフロー、およびii)この膜に平行で分画された試料と共に出口ポート11を通ってチャンネルを出る長手方向流。出口管の直径が小さいためおよびチャンネルの下流にある検出器により生じる背圧により、試料含有チャンネルフローに対するインピーダンスは、フリットにより支持される膜およびそこを通るクロスフローによって生じるインピーダンスよりも一般的に大幅に大きい。このクロスフローは、ニードルバルブまたは遠隔制御ユニットに収容された類似のコンピュータ接続された手段によって制御される。膜4を通過するそしてそこから支持フリット2を通過する総流量は、ポート取付具12を通る流出を制御する遠隔バルブによって制御および調整される。ワイアットテクノロジー社(Wyatt Techology Corporation)によって製造され、本明細書中で明示的に検討されるものと類似するA4F装置は、コンセンサス社(ConSenxus GmbH)およびポストノバ・アナリスティック社(PastNova Analystic Inc.)によって製造されている。これらは両方とも、同じタイプの分離を行なう。
【0027】
よって移動相入口流が9で、たとえば毎分2mlであり、流出制御ニードルバルブを通るフローが12を通して0.5ml/分を提供するようにプログラムされている場合、11を通る総流量は、1.5ml/分である。よって、単一のニードルバルブコントローラが、移動相の以下の2つの成分への分裂を調整する:膜4を通り、12を通して出るいわゆるクロスフローの合計、および11を通しての残りの流出。11を通る流出は、その狭い出口および下流の検出器から生じる大きなインピーダンス/背圧を受けることを思い出されたい。支持フリットは、非常に多孔質であり、そこを通るフローに対して無視できる程度のインピーダンスを生じる。
【0028】
分離前に、試料アリコートは、試料注入ポート10で注入され、正常な移動相の流れから部分的に分裂したものにより引き起こされる逆フローが、出口ポート11を通って導入される。2つの対向するフローは、注入された試料アリコートをその注入ポート10の下の適所に留めることによって、試料アリコートを通常の長手方向チャンネルフローに対して横方向の小さな領域内に集束させる。この「停止流」モードは、アリコートが平衡することを可能にする。一旦平衡化されると、試料アリコートは、チャンネルフローを回復させることによって放出される。このようにして集束されたアリコートは、チャンネルフローによって前へ運ばれるにつれて分画し、横方向成分は、このアリコートを、フリットにより支持された膜、すなわち「蓄積壁」という用語が使われることが多い膜に向かって下流へ運ぶ働きをする。
【0029】
集束を伴う停止流技術を適用して試料アリコートが平衡することを可能にする代わりに、従来のA4F、先に開発された対称クロスフローFFFのための従来の手順は、試料が移動相に直接注入され、対称フロー分離チャンネルへの放出前の緩和を可能にするのに十分な時間、入口フリットで保持されることを規定する。
【0030】
粒子は、一旦A4Fユニットによって分離されると、一般的に、粒子に応じて異なるクラスの検出機器によって検査される。これらには、光散乱光度計、UV吸収計、示差屈折率検出器、示差粘度計およびそれらの組合せが含まれてもよい。そのような装置は、分離された粒子/分子をそれらのモル質量、固有の粘度測定法、大きさなどの点でキャラクタライズするために用いられる。
【0031】
図2には、90°光散乱信号が時間の関数として示されており、A4F装置によって分画されたウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin)すなわちBSA試料からのものである。なお、試料は、5つのピーク14、15、16、17および18、加えて他の未分解の成分19からなる。分解されたピークには、特定のいわゆるオリゴマーが含まれており、このオリゴマーは、それぞれモノマーの小さな2、3、4および5量体の凝集体である。14にある主要なピークは、モノマー画分に対応する。このタンパク質の例に多少類似する医薬品は、凝集されたモノマーの量が無視できるものであるように製造されなくてはならない。そのようなオリゴマーは一般的には、生物学的製剤の治療活性には寄与しないが、その存在は、最小限にしなくてはならない。一層より重要であるのは、免疫抗原性反応を患者に引き起こすことがある大幅により大きい凝集体である。このようにして、生物学的製剤は、患者にとって危険なものとなり、そのような寄与の可能性を取り除かれなければならない。この発明は、これがどのようにして達成され得るかを示すことを1つの目的とする。
【0032】
なお図2の溶離ピークの幅に注目されたい。たとえば、モノマーピーク14は、約16分から18.7分までの範囲、すなわち約2.7分間の合計幅に亘って溶離する。もしこのピークを、隣接するオリゴマーピーク15、16、17および18に対するこのピークの分離にプロセス中に影響を及ぼすことなく、たとえば約1.0分に相当する範囲まで狭めることができるとしたならば、減少された0.5mlの帯域内の濃度は、およそ比率2.7/1.0=2.7だけ上昇されるであろう。望ましい場合、そのような濃度の上昇を実現することは、この発明の1つの重要な目的である。そのように狭めることによってピーク濃度を上昇させるこのプロセスを、我々は「再濃縮」と称する。
【0033】
恐らくより一層重要であるのは、観察された最後のオリゴマー状態を越える、より大きな凝集成分の分離であろう。実際、28分を超えて溶離する寄与は、免疫抗原性であることがある、より大きな凝集体を含む可能性についてより詳細に検査されるべきである。この発明の別の目的は、そのような寄与を後の回収および分析のために分離し、濃縮することである。加えて、そのような免疫抗原性寄与が存在することがわかっている場合は、その製品は、販売することができず、一般的に破棄される。一方、もしこのような夾雑物を取り除くことができたならば、この製品は安全と考えられたかも知れず、そのように市販され得た。この発明のさらなる目的は、そのような混入を受けた医薬品をきれいで、安全で、市販可能な状態に戻すことができることである。
【0034】
従来のA4Fユニットのチャンネルフローは、チャンネルの長さに沿って減少する。これは、別々のポンプが一定のクロスフローおよびチャンネルフローを提供するSFlFFFシステムとは非常に異なる。よって、A4Fシステムについては、分画力は、チャンネルの長さの下方で僅かに増加することがある。しかしながら、単位面積当りのチャンネルフローのクロスフローに対する比率を一定に保つために、チャンネルは通常先細りになっている。図3には、スペーサ5に切られた長さL、初期幅2w0、最終幅2wLのそのようなチャンネル6が示されている。任意の位置xで、このチャンネルの幅は、w(x)=2w0(1−bx)によって与えられ、式中、以下のとおりである。
【0035】
【数2】

【0036】
よってそのような先細りになったチャンネルに沿った任意の位置でのチャンネルフロー量は、以下のとおりである。
【0037】
【数3】

【0038】
式中、
【0039】
【数4】

【0040】
であり、Ccrは、チャンネルによって規定される膜を通る総クロスフローであり、f0は、流入量であり、Aは、0からLまでのチャンネルの面積である。チャンネルを先細りにすることにより、局所的にクロスフローへと分流された成分を超えるチャンネルフローfは、およそその単位面積当りの流量をw0/w(x)の比率で高められ、式中、距離xでのチャンネル幅は、2w(x)である。
【0041】
A4F装置についてのチャンネルフローのクロスフローに対する比率は、チャンネルの全長を通して変化するため、チャンネルの1つの領域でこの比率を変えようとすると必然的にチャンネル全体を通してこの比率に影響が及ぶ。実際、A4F動作の特性は、試料の分離および溶離中のこれらのフローのプログラミングであった。この発明までは、より局所化された制御の可能性は可能ではなく、検討もされなかった。
【0042】
次に、図4に示される、フリットがN個の別々の領域20、Ri、i=1、…、Nに分割されたこの発明の好ましい実現例を検討する。たとえば、図4に示される最初の3つの区画(およびそれらの対応するフリット領域)は、単一のより大きい区画(および対応してより大きいフリット領域)と置換えられるかもしれない。連続する区画およびフリット領域も、結合されてもよい。各領域20の下方には、対応する区分された区画21があり、この区画の底面を出口ポート取付具12が通っている。そのような各出口ポート取付具12を通るフローは、対応するプログラム可能なニードルバルブ手段Vi、i=1、…、Nによって制御されており、このニードルバルブ手段は、その支持フリット領域を通るフローを調整する。各区画/領域に1つずつ、複数のプログラム可能な調整器が外部制御ユニットに位置している。流量計調整と組合されたニードルバルブがこの目的のために選択されることが多い。各領域を通るクロスフローは、時間を個々にプログラムされてもよいため、この発明のシステムは、広い範囲の機能を提供する。より大きな粒子を一旦より小さいその道連れらから分離したならば、より小さい粒子がチャンネルを通って進む間、特定の領域に保持してもよい。別の特徴は、この発明の広幅化され希釈されている分離された種を再濃縮する能力に関する。領域およびその関連する区画は、大きさが異なってもよく、ある状況下では、フローの方向に対して横方向でないかも知れないことを認識することが重要である。図5には、異なった区画およびフリット構成の例が示されている。
【0043】
再び図4を参照して、図中には好ましい実施例が、5つの大きさが等しい領域からなるチャンネルによって示されており、各領域は、その対応する区画を下に備えており、この実施例をその従来の形態に戻してもよい手段が容易に思い浮ぶ。図6および図7には、各区画の底面がどのように変形されてその底面にドレイン孔22を組込み得るかが示唆されている。そのような各ドレインは、下にある共通区画24に注いでいる。そのようなドレインのすべてを開き、個々のポート取付具12を通る流出を制御する各ニードルバルブを閉じることによって、共通単一区画には、単一のポート取付具12が設けられ、このポート取付具の流出は、制御ユニット内の単一の調整器によって制御される。チャンネルは、このようにして従来の動作のために元に戻されるかも知れない。そのようなドレインを同時に開き得る機械的手段を設けることが、パドル構造23によって概略的に例示されており、このパドル構造を部分的に引張り出すことによって、流体が共通区画24に流入し関連する流出ポート取付具12を通って流出するように誘導するすべてのドレイン孔22を開いてもよい。このコンセプトは、さらに拡大されて、単位面積当りのクロスフローが同じである必要があることがある選択された1組の区画に適用される区画連動を可能にしてもよい。それらの区画については、それらの調整器は、閉じられ、それらの排水バルブは、複数ドレイン孔パドル構造23に類似する個々のパドル機構によって開かれて、共通区画24への排水を可能にし、この共通区画は、この構造の左に個々の区画流出取付具に直角な平面に示されている単一のポート取付具12によって制御されるであろう。
【0044】
図6の構造は、図7aおよび図7bに示される区画化された構造を通る断面をとることによって一層詳細に示されている。各区画の流出ポート取付具12は、図6aに示されている。なお、図6aは、図4のユニットの底面に非常に類似しているが、共通区画24のために働く単一の流出ポート取付具12が追加されている。従来の動作に戻すことが、パドル要素23を変位させそれらのポート取付具12を通る個々のフローすべてを止めることでによってなされてもよいが、区画化された構造を従来のクロスフローユニットと単に置換える方が、殆どの実験要件について大幅に簡単であるだろう。図6bおよび図6cに示されるドレイン孔閉塞パドル23を再位置決めすることによってチャンネルを元に戻すことが可能であってほしいと思うかも知れない主なかつ最も重要な理由は、特定のチャンネルの性能をより詳細に調べるためであろう。そのチャンネルの寸法およびもしあるならば関連した膜の変更例などの、そのチャンネルの物理的構造は、用途に応じて変化することがある。特定の区画を変動速度で通るフローが膜の特定の局所領域に影響を与えたかも知れないため、この装置をその従来の動作モードに戻すことにより、装置がそのように動作されている間に起こったかも知れない膜の変化を速やかに調べることが可能になるであろう。
【0045】
図4には、この発明が5区画構成によって示されているが、以前に述べたように、類似のシステムは、大きさが類似するまたは異なる区画をより多くまたはより少なくさえ用いて開発されてもよいことが認識されるべきである。互いに異なる区画群を連動させる手段は、簡単に実現させることができる。よって、5区画装置において、2組の連動区画があり得、各々がその調整ニードルバルブを備えている。たとえば、最初の3つの区画および5番目の区画は、それらの流出ポート取付具12が閉じ、それらの対応する排水孔が開くことに続いて単一の調整バルブによって単一の体積へと制御されるかも知れず、一方4番目の区画は、その流出を制御する単一のバルブによって制御され得る。
【0046】
区画化コンセプトのさらなる汎用的適用を例示するために、中空繊維FFFすなわちH4F装置を参照する。図8には、多孔質中空繊維分画装置の構造および重要な要素が示されている。剛性の容器25が、この容器中にかつ入口取付具27と出口ポート取付具29との間に装填された多孔質の円筒形繊維26を取囲んでいる。移動相は、取付具27を通して導入され、試料は、注入ポート取付具28を通して注入される。繊維は多孔質であるため、その浸出物は、容器25の中に流れ、次に制御ユニットに接続された出口ポート取付具29を通るそのようなフローの調整によって外へ流れる。多孔質繊維チャンネル26を通るフローは、2つの部分からなり、多孔質繊維を通る横方向流と、長手方向流とである。よって、繊維は、A4FおよびSFlFFF分画装置の膜/フリット構造の役割を果たす。
【0047】
図9には、多孔質中空繊維分画装置すなわちH4Fが、どのように変形されてA4F実現例に類似する区分化を可能にするかも知れないかが示されている。変形された剛性容器25の内部構造は、区画21に分割されており、この区画は、そこを通されている多孔質繊維26を取囲んでいる。この繊維は、冷却されて僅かに収縮してから挿入され、、加熱されると各区画の側壁に対してぴったりと嵌ってもよい。加えて、その中で長手方向に流れている流体によって引き起こされる内部圧力は、各区画を封止するのに十分であってもよい。変形手段によって封止することができない他のタイプの多孔質中空繊維については、各々にOリングを挿入してもよい。他の実現例には、ヒンジ止めされて2つの軸方向区画になっている区画化された容器が含まれであろう。この軸方向区画は、簡単に開くことができ、各区画を適度に封止するのに必要な適切な封止とOリングとを備える。
【0048】
図10には、この発明の技術をどのように用いて図2に示される試料のより大きな凝集体19を調べるかも知れないかが示されている。この分離の目的は、存在するこれらのより大きな凝集体19を最も顕著なオリゴマー状態から単離し、濃縮することであるとする。また、区画は5つのみ存在するとする。t=t1で、図2の試料の殆どのオリゴマーピークは、溶離し、分画装置を出てしまっている。この時間の図は、残っている種の濃度をチャンネル位置の関数として示す。なお、5つの区画位置は数字でグラフの底部に示されている。殆どの試料が分画され、チャンネルを出ると、最後の区画の中のクロスフローは著しく増加されることによって、画分19のうち多くを最後の2つの区画で保持している。他のクロスフローは、分離全体を通してそのまま維持されているが、入口移動相流は、最後の2つの区画を通る追加的なフローに対応するために増加されている。t=t2までに、残っている試料は、測度を落とし、これらの終わりの2つの区画間に溜まり始め、t=t3までに、4番目の区画を通るクロスフローは、停止されており、残りの試料は、放出される直前に最後の領域で保持される。このようにして、未分解の凝集体画分19は、明確に定義されキャラクタライズされたオリゴマー構成成分からさらに分離されている。放出されると、凝集画分は、さらなる分析および研究の対象となってもよい。
【0049】
区画化された分画装置内で分離に用いられた膜は、個々のフリット要素においてそうであったように、均一な組成からなるとみなされたが、これらの構成成分は、互いに異なる組成からなる材料で構築されてもよい。たとえば、A4F分画装置の膜4およびその区画化された変更例は、領域間で融合または他の方法で接続されたセグメント化された部分から構築されてもよい。1つのセグメントは、たとえば非多孔質であることによって、そこを通過する試料にクロスフローが影響を及ぼさないようにし得る。他の膜部分は、互いに異なる多孔性を備えた部分から構成されていてもよい。支持フリットも、互いに異なる組成からなっていることによって、そこを通るフローを膨張させるまたは制限してもよい。多孔性の高い材料で構成されたフリット部分を考え、この材料は、妨げられることなくこのフリット部を通過するかも知れない広い範囲の分子/粒子の大きさに対して透過性がある。多孔性の高い対応する膜があるので、特定の時間にそこを通り過ぎる如何なる試料も、この試料がその多孔質部分に達するときに強いクロスフローを加えることによって、殆ど完全にそこを通って運ばれてもよい。異なる区画での他のクロスフローは、それに従って変形されて、分離試料の特定の画分をそこから集め除去する手段を確立してもよい。
【0050】
単純な区画化された分画装置の別の興味深い適用は、被分離試料の具体的に定義された画分を集めるように設計されたものであるだろう。最後の区画のみがこのように独立して動作され、その対応する膜部分は、そこを通過するかも知れない任意の試料画分に対してほぼ完全に透過性があると考える。分離の大部分について、クロスフローがこの部分を通過しないようにされるであろう。そこに特定の画分が達したときのみクロスフローが短い間作動され、画分がその対をなすチャンバの中に浸透するであろう。そのような分画装置チャンバは、体積が極めて小さいことがあるため、他の簡単に開発された手段が、そのような集められた試料をかなりの希釈なしに抽出するために必要となることがある。
【0051】
上述の記載は、説明のために、特定の実現例をこの発明の十分な理解をもたらすために用いた。しかしながら、当業者には、具体的な詳細はこの発明を実施するために必要ではないことが明らかであるであろう。よって、この発明の特定の実施例の前述の記載は、例示および説明のために提示されたものである。前述の記載は、網羅的であることまたはこの発明を開示された正にその形態に限定することを意図されたものではなく、明らかに、多くの変形例および変更例が上記の教示に基づいて可能である。記載された特定の実施例は、この発明の原理およびその多くの実用的用途の多くのうちいくつかを最もよく説明することによって当業者がこの発明およびさまざまな実施例を企図される特定の用途に適したようなさまざまな変形例と共に最もよく利用することを可能にするために選択されたものである。以下の特許請求の範囲およびその等価物が、この発明の範囲を規定することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールドフロー分画装置であって、チャンネル閉じ込め手段を備え、前記閉じ込められたチャンネルは、すべての側部を面によって囲まれており、
A.前記チャネルを通る移動相を提供し、調整する手段と、
B.試料アリコートを前記移動相に導入する手段と、
C.前記チャンネルに沿った複数の別個の領域の各々で単位チャンネル面積当りの別個の横方向流を前記移動相に提供し、制御する手段とを有する、フィールドフロー分画装置。
【請求項2】
前記チャンネル閉じ込め手段は、
A.ベースプレート要素を含み、前記ベースプレート要素は、上が開口しており前記ベース内に横たわるように作製された1組の分離された区画を含み、前記開口はすべて、前記ベースプレートの底面に平行な同一平面に横たわっており、
B.前記ベースプレートの前記区画開口上に横たわる透過性がありセグメント化されたフリット要素をさらに含み、各前記フリットセグメントは、その下の対応する区画を覆っており、
C.前記セグメント化されたフリット構造を覆う透過性膜と、
D.前記透過性膜上のスペーサ手段とをさらに含み、前記スペーサ手段から一部分が切り抜かれることによって、全側部を前記スペーサの残りの領域によって囲まれたチャンネル切り抜き領域が設けられており、前記切り抜き領域は、前記透過性膜の下方に横たわる前記セグメント化されたフリットに亘っており、
E.前記スペーサ手段上に横たわり、前記スペーサ手段から切り抜かれた前記チャンネル領域を封止し、前記チャンネル切り抜きの上方に適切に位置決めされた3つのポートを提供するトッププレート要素をさらに含み、前記3つのポートは順に、
i.移動相の流通と、
ii.前記試料アリコートの注入と、
iii.前記移動相流によって前記チャンネル切り抜きを通して運ばれた前記試料の流出とを可能にし、
F.前記チャンネル切り抜きに導入された流体を前記チャンネル切り抜きを通してまたは前記チャンネル切り抜きに対して横方向に前記透過性膜および前記支持フリット要素を通してその下の区画の中まで流れるように制限する封止手段をさらに含む、請求項1に記載のフィールドフロー分画装置。
【請求項3】
前記チャンネルに沿った複数の別個の領域の各々で単位チャンネル面積当りの別個の横方向流を前記移動相に提供する前記手段は、
A.各区画の底面にある出口ポートを含み、前記出口ポートは、そこに入った流体が前記透過性膜およびその上方に横たわる対応するフリットセグメントを通してそこから流出することを可能にし、
B.そのような各出口ポートから独立流体流制御手段までの流体接続手段をさらに含み、前記独立流体流制御手段によって、各対応する区画からの前記流出は制御されてもよいことによって、前記試料アリコートが前記対応する区画手段に亘って移動するときに前記試料アリコートに対する対応する横方向流の独立した制御を可能にしており、このようにして、前記チャンネルの各セグメント化された領域でクロスフローフィールドを独立して提供する、請求項2に記載のフィールドフロー分画装置。
【請求項4】
前記トッププレート要素は、透過性フリットを含み、前記透過性フリットを通して、前記チャンネルフローに垂直な移動相からなる2次流が送り込まれ、前記2次流は、前記セグメント化された領域の全クロスフロー必要量の供給源を提供する、請求項2に記載のフィールドフロー分画装置の対称流実現例。
【請求項5】
前記トッププレート要素は、前記トッププレート要素を通るフローに対して不透過性であり、すべての制御されるセグメント化された領域に必要な全クロスフロー供給源は、チャンネル流入とチャンネル流出との差がセグメント化された全領域の総クロスフローと等しいようにチャンネル流出を制限することによって提供される、請求項2に記載のフィールドフロー分画装置の非対称流実現例。
【請求項6】
前記すべての側面を囲まれたチャンネル閉込め手段は、中空透過性繊維を含む、請求項1に記載のフィールドフロー分画装置の中空繊維流実現例。
【請求項7】
前記透過性膜は、透過性が互いに異なる領域にセグメント化されている、請求項2に記載のフィールドフロー分画装置。
【請求項8】
前記中空繊維は、透過性が異なる別個のセグメントを含む、請求項6に記載のフィールドフロー分画装置。
【請求項9】
移動相に注入された液中の試料アリコートの大きさおよび組成がさまざまな粒子を分離および処理する方法であって、
A.チャンネルを設けるステップを備え、前記チャンネルは、
1)前記移動相の流入を可能にするポートと、前記試料アリコートの注入を可能にするポートと、前記移動相中の試料アリコートがそこに加わる横方向力を受けた後に前記移動相中の試料アリコートの流出を可能にするポートとを含み、
2)前記チャネルを通る前記移動相の長手方向流に対して横方向の複数の領域を含み、各前記領域は、前記試料を含む移動相に対して横方向の制御されたフローフィールドを加える独立した手段を設けられており、
B.前記試料アリコートを前記移動相への前記試料注入ポートに注入するステップと、
C.前記チャンネルの各前記領域の前記流入する移動相およびそれに対して横方向の前記フィールドを前記粒子の最適な分離および処理を提供するようにプログラミングするステップとをさらに備える、方法。
【請求項10】
前記チャンネルは、
A.ベースプレート要素を含み、前記ベースプレート要素は、上が開口しており前記ベース内に横たわるように作製された1組の分離された区画を含み、前記開口はすべて、前記ベースプレートの底面に平行な同一平面に横たわっており、
B.前記ベースプレートの前記区画開口上に横たわる透過性がありセグメント化されたフリット要素をさらに含み、各前記フリットセグメントは、その下の対応する区画を覆っており、
C.前記セグメント化されたフリット構造を覆う透過性膜と、
D.前記透過性膜上のスペーサ手段をさらに含み、前記スペーサ手段から一部分が切り抜かれることによって、全側部を前記スペーサの残りの領域によって囲まれたチャンネル切り抜き領域が設けられており、前記切り抜き領域は、前記透過性膜の下方に横たわる前記セグメント化されたフリットに亘っており、
E.前記スペーサ手段上に横たわり、前記スペーサ手段から切り抜かれた前記チャンネル領域を封止し、前記チャンネル切り抜きの上方に適切に位置決めされた3つのポートを提供するトッププレート要素をさらに含み、前記3つのポートは順に、
i.移動相の流通と、
ii.前記試料アリコートの注入と、
iii.前記移動相流によって前記チャンネル切り抜きを通して運ばれた前記試料の流出とを可能にし、
F.前記チャンネル切り抜きに導入された流体を前記チャンネル切り抜きを通してまたは前記チャンネル切り抜きに対して横方向に前記透過性膜および前記支持フリット要素を通してその下の区画の中まで流れるように制限する封止手段をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記チャンネルは、中空透過性繊維を含み、前記中空透過性繊維は、
A.一方の端部にあり、そこを通して移動相がそこを通して送り込まれてもよい手段と、
B.試料アリコートを前記移動相に注入してもよい手段と、
C.前記繊維に沿った複数の別個の領域の各々で単位繊維長当りの別個の横方向流を前記移動相に提供する手段とを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記試料アリコートは、適切なセグメント化された横方向フローフィールドを制御することによって前記試料アリコートから特定の大きさの粒子を分離するように処理される、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−247874(P2011−247874A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49765(P2011−49765)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(594035932)ワイアット テクノロジー コーポレイション (8)
【氏名又は名称原語表記】Wyatt Tecknology Corporation
【Fターム(参考)】