説明

フェノフィブレート含有医薬組成物およびその製造方法

本発明は、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する食物作用を軽減しつつ、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症または高脂血症を処置するための薬剤の製造のための、微粉フェノフィブレートと、界面活性剤と、可溶化補助剤としての結合性セルロース誘導体とを含有するフェノフィブレート組成物であって、60重量%以上の量のフェノフィブレートを含有する組成物の使用に関する。本発明はまた、(a)中性核;(b)中性核を取り囲む活性層;および(c)外層を含んでなる顆粒の形態にあり、前記活性層が微粉フェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体を含んでなり;前記組成物の溶解特性が、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方に従い5分で10%未満、20分で80%を超えるというものである、即放性フェノフィブレート組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、食物作用(food effect)が実質的にないフェノフィブレート(fenofibrate)含有医薬組成物に関する。
【0002】
フェノフィブレートは、成人内因性高脂血症、高コレステロール血症、および高トリグリセリド血症の治療において推奨されている。一日に300〜400mgのフェノフィブレート処置により、コレステロール血を20〜25%減少させることができ、トリグリセリド血を40〜50%減少させることができる。
【0003】
フェノフィブレートの主要な血漿中代謝産物はフェノフィブリン酸である。血漿からのフェノフィブリン酸の排除の半減期は、20時間のオーダーである。血漿中でこれが最大濃度に達するのは、平均して医薬品摂取の5時間後である。血漿中平均濃度は、一日につき300mg用量のフェノフィブレートに対して15マイクログラム/mlのオーダーである。このレベルは治療を通じて一定である。
【0004】
フェノフィブレートは、極めて水溶性の低い有効成分であり、その消化管における吸収は限られている。
【0005】
その水に対する親和性の乏しさ、とその疎水性ゆえに、フェノフィブレートは、絶食条件下よりも食物摂取後のほうがはるかによく吸収される。この現象は「食物作用」と呼ばれ、特に高脂肪食条件と絶食条件でフェノフィブレートの吸収を比較する場合に重要である。
【0006】
この食物作用の主な欠点は、フェノフィブレート治療を受ける患者が食物摂取を管理しなければならないので、治療のコンプライアンスが得にくいということである。やはり、フェノフィブレートは高脂肪食条件でよく吸収されるので、通常は脂肪食の後に摂取される。従って、これらの治療条件は低脂肪食を励行しなければならない高脂血症または高コレステロール血症の治療を受けている患者には採用されない。
【0007】
このような食物作用を制限する方法として、フェノフィブレートの溶解度または可溶化速度を高め、それにより食事療法を問わずに良好な消化吸収に至らせるというものがある。
【0008】
フェノフィブレートの可溶化速度を高めるため、有効成分の微粉化、界面活性剤の添加、およびフェノフィブレートと界面活性剤との共微粉化といった種々のアプローチが探索されてきた。
【0009】
特許EP256933号はフェノフィブレート顆粒を記載しており、ここでは、バイオアベイラビリティを向上させるためにフェノフィブレートが微粉化されている。結晶性フェノフィブレート微粒子は粒径50μm未満である。用いる結合剤はポリビニルピロリドンである。この文書では、メタクリルポリマー、セルロース誘導体およびポリエチレングリコールのような別のタイプの結合剤が示唆されている。EP256933の実施例に記載されている顆粒は、有機溶媒を用いた方法によって得られる。
【0010】
特許EP330532号は、ラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤との共微粉化によりフェノフィブレートのバイオアベイラビリティを向上させることを提案している。この共微粉末は、次に、粉末の流動能力を向上するため、また、ゼラチンカプセルへの変換を容易にするために、湿式造粒法により顆粒化される。この共微粉化により、EP256933に記載のフェノフィブレートの使用に比べてバイオアベイラビリティを著しく向させることができる。EP330532に記載されている顆粒には、結合剤としてポリビニルピロリドンが含まれる。
【0011】
この特許は、界面活性剤の利用、微粉化の利用、あるいは界面活性剤と微粉フェノフィブレートを組み合わせた利用に比べて、フェノフィブレートと固体界面活性剤との共微粉化が、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティを著しく改善することを教示している。
【0012】
特許WO98/31361号は、水分散性不活性支持体微粉フェノフィブレート、親水性ポリマー、および任意の界面活性剤に付着させることにより、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティを向上させることを提案している。ポリビニルピロリドンと確認されるこの親水性ポリマーは、上記の組成物の少なくとも20重量%に相当する。
【0013】
この方法により、フェノフィブレートの溶解速度、またそのバイオアベイラビリティの向上が可能になる。しかしながら、この特許の製造方法は完全に満足できるものではなく、それは、PVPおよび他の賦形剤を相当量使用する必要があるからである。該特許出願に示された実施例は、質量比として表わされたわずか17.7%のフェノフィブレートを含んでいるに過ぎない組成物ということになる。このようにフェノフィブレート質量比が低いことから、非常に大きな最終形態となり、このため、所望量のフェノフィブレートを投与することが困難となるか、あるいは2錠の投与となる。
【発明の概要】
【0014】
本発明では、結合剤および可溶化補助剤として使用されるセルロース誘導体を、微粉フェノフィブレートおよび界面活性剤を含有する組成物に配合することにより、フェノフィブレートおよび界面活性剤の共微粉末を含む組成物よりも高いバイオアベイラビリティが得られることが見出された。さらにまた、本発明の医薬組成物により、より高い用量の微粉フェノフィブレートを含有する先行技術の処方物に匹敵するバイオアベイラビリティが得られることも判明した。
【0015】
より詳しくは、本発明の微顆粒を、液相中でフェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体をともに混合し、その後、この液相を中性核に噴霧することによって製造した場合にフェノフィブレートのバイオアベイラビリティが高まることが認められた。
【0016】
実際には、セルロース誘導体と界面活性剤を双方とも、微粉フェノフィブレートの微粒子が懸濁している液相に溶解させる。
【0017】
従って、中性核に噴霧した後に蒸発させることで懸濁液から溶媒を除去する際に、セルロース誘導体と界面活性剤双方の分子がフェノフィブレート微粒子上に直接吸着される。この現象により、極めて均一な再分離が得られ、フェノフィブレート微粒子とこれらの分子の間で極めて密接な接触が作り出され、これにより胃腸管液中でのよりよい可溶化をもたらし、フェノフィブレートの吸収がよくなり、また、上述のような食物作用の軽減に寄与する。
【0018】
よって、本発明の医薬組成物は患者に投与した場合に、先行技術の処方物よりも食物作用が少ない、すなわち、本発明の処方物は高いバイオアベイラビリティを達成するために患者内の食物の存在に対する依存性が小さいことが見出された。例えば、先行技術のフェノフィブレート処方物は、高いバイオアベイラビリティを達成するには食物とともに摂取しなければならない。本発明者らは、患者内の食物の存在にほとんど依存せずに高いバイオアベイラビリティを達成するフェノフィブレート組成物を予期せずして発見した。
【0019】
よって、本発明はまた、フェノフィブレートの取り込みの際の食物の作用の実質的軽減、すなわち、食物作用の実質的軽減をもたらすために投与することができるフェノフィブレートの医薬組成物にも関する。
【0020】
このような医薬組成物は、食物条件にほとんど依存しないという利点を提供する。このような組成物は、食事の性質に関して見られる、また、摂食条件と絶食条件との間で見られるバイオアベイラビリティの違いを実質的に軽減する、または排除する。
【0021】
実際、食物は薬物のバイオアベイラビリティを変化させ、臨床上有意な結果を有する場合がある。食物は、胃が空になるのを遅らせる、胆汁の流れを刺激する、胃腸(GI)pHを変化させる、内臓の血流を高める、薬剤物質の管腔内代謝を変化させる、および投与形または薬剤物質と物理的または化学的に相互作用することをはじめ、種々の手段によってバイオアベイラビリティを変化させることができる。バイオアベイラビリティに対する食物作用は一般に、先行技術のフェノフィブレート処方物において提案されているように、食物摂取後間もなく薬品を投与する場合に最大となる。食事の中の栄養素およびカロリー含量、食事量、および食事の温度は、薬品移行時間、管腔内での溶解、薬剤の浸透性、および全身のアベイラビリティに影響を及ぼすようなGI管での生理学的変化を引き起こし得る。一般に、総カロリーおよび脂肪含量が高い食事はGIの生理に影響を及ぼす可能性が高く、それにより、薬剤物質または薬品のバイオアベイラビリティにより大きな作用をもたらす。特に、フェノフィブレートは、高脂肪食を摂ることができない患者に対してコレステロール管理のために処方される。従って、高脂肪食とともに投与する必要のないフェノフィブレート組成物の必要性がある。本発明は、先行技術のフェノフィブレート処方物とは異なり、食物の存在とは無関係に高いバイオアベイラビリティを達成する。
【0022】
最後に、水溶性結合剤の外層を付加することで、次のような限界を持つ新たなin vivo特性が得られる:2重量%ポリソルベート80を含む水から構成される溶解媒体または0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方(the European Pharmacopoeia)に従って75rpmでの回転翼法を用いて測定した場合に5分で10%未満、20分で80%を超える。
【0023】
従って、本発明は、液相に用いる溶媒を除去した後に緊密に会合するようになった微粉フェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体を含有する医薬組成物に関する。
【0024】
本発明の目的は、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する食物作用を軽減しつつ、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症または高脂血症を治療するための薬剤の製造のための、微粉フェノフィブレートと、界面活性剤と、可溶化補助剤としての結合性セルロース誘導体とを含有するフェノフィブレート組成物であって、60重量%以上の量のフェノフィブレートを含有する組成物の使用にある。
【発明の具体的説明】
【0025】
「フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する食物作用を軽減しつつ」とは、その組成物の投与後のフェノフィブレートのバイオアベイラビリティが、患者が摂取した食物量に応じて有意に異ならないということ、特に、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する、患者が摂取した食物の作用がリパンシル(Lypanthyl)(商標)またはトリコール(Tricor)(商標)で見られるものよりも有意に低いということを意味するものと理解される。
【0026】
本発明のさらなる目的は、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティが、高脂肪含有食を摂っている患者でも絶食患者でも同等であることを特徴とする、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する食物作用を軽減しつつ、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症または高脂血症を治療するための薬剤の製造のための、微粉フェノフィブレート、界面活性剤および可溶化補助剤としての結合性セルロース誘導体を含有するフェノフィブレート組成物であって、60重量%以上の量のフェノフィブレートを含有する組成物の使用にある。
【0027】
本発明のさらなる目的は、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティが、その50%を脂肪からとする少なくとも800〜1000カロリーを摂っている患者でも絶食患者でも同等であることを特徴とする、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する食物作用を軽減しつつ、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症または高脂血症を治療するための薬剤の製造のための、微粉フェノフィブレート、界面活性剤および可溶化補助剤としての結合性セルロース誘導体を含有するフェノフィブレート組成物であって、60重量%以上の量のフェノフィブレートを含有する組成物の使用にある。
【0028】
本発明のさらなる目的は、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティが、治療的生活習慣改善食を摂っている患者でも絶食患者でも同等であることを特徴とする、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する食物作用を軽減しつつ、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症または高脂血症を治療するための薬剤の製造のための、微粉フェノフィブレート、界面活性剤および可溶化補助剤としての結合性セルロース誘導体を含有するフェノフィブレート組成物であって、60重量%以上の量のフェノフィブレートを含有する組成物の使用にある。
【0029】
本発明の組成物は顆粒を含有するゼラチンカプセルとして提供するのが有利である。これらの顆粒は、特に、界面活性剤、可溶化結合性セルロース誘導体および微粉フェノフィブレートを懸濁状態で含有する水溶液を噴霧することによる中性核上でのアセンブリ(assemly)によって製造することができる。
【0030】
例えば、本発明の医薬組成物は
(a)中性核;および
(b)中性核を取り囲む活性層
を含んでなる顆粒の形態にある組成物であって、
前記中性核がラクトース、マンニトール、スクロースとデンプンの混合物、または他のいずれかの許容される糖を含んでよく、前記活性層が微粉フェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体を含んでなる組成物を含み得る。
【0031】
あるいは例えば、本発明の医薬組成物は、(a)中性核;(b)中性核を取り囲む、活性層;および(c)外層を含み、この活性層が微粉フェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体を含んでなる即放性フェノフィブレート組成物を含み得る。
【0032】
本発明の医薬組成物は高い割合のフェノフィブレートを含むことから、先行技術の処方物よりも大きさが小さい処方物が提供でき、この本発明の組成物は投与が容易となる。さらに、本発明の医薬組成物は、より高い用量のフェノフィブレートの先行技術の処方物に匹敵するバイオアベイラビリティを提供する。よって、本発明の組成物は先行技術の処方物に優る利点を提供する。例えば、フェノフィブレートを130mgしか含まない本発明の処方物が、摂食条件および絶食条件下、単回投与または複数回投与でフェノフィブレート200mgを含有する先行技術の処方物に匹敵するバイオアベイラビリティを有する。
【0033】
フェノフィブレートの量は組成物の重量に対して60重量%以上、好ましくは70重量%以上、いっそうより好ましくは75重量%以上である。
【0034】
本発明では、フェノフィブレートを界面活性剤とともに共微粉化しない。そうではなく、それを単独で微粉化した後、界面活性剤、および可溶化補助剤である結合性セルロース誘導体と合わせる。
【0035】
界面活性剤は室温で固体または液体の、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(商標)80(ポリオキシエチレン20モノオレイン酸ソルビタン)、Montane(商標)20(モノデカン酸ソルビン)またはステアリン酸スクロースなどの界面活性剤から選択し、好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0036】
フェノフィブレート/HPMC比は好ましくは5/1〜15/1の間である。
界面活性剤はフェノフィブレートの重量に対して約1〜10%の間、好ましくは約3〜5重量%の間に相当する。
【0037】
結合性セルロース誘導体は、組成物の約2〜15重量%の間、好ましくは約5〜12重量%の間に相当する。
好ましくは、ファルマコート 603(Phamacoat 603)(商標)のような、その見かけの粘度が2.4〜18cPの間、いっそうより好ましくは約約2.4〜3.6cPの間であるヒドロキシプロピルメチルセルロースを選択する。
【0038】
フェノフィブレート粒子の平均サイズは15μm未満、好ましくは10μm、いっそうより好ましくは8μm未満である。
【0039】
本発明の組成物はまた、希釈剤、例えばラクトース、消泡剤、例えばDimethicone(商標)α−(トリメチルシリル)−γ−メチルポリ[オキシ(ジメチルシリレン)]およびSimethicone(商標)(α−(トリメチルシリル)−γ−メチルポリ[オキシ(ジメチルシリレン)]と二酸化ケイ素の混合物)、または滑沢剤、例えばタルクもしくはAerosil(商標)のようなコロイド状二酸化ケイ素などの少なくとも1種の賦形剤も含有してよい。
【0040】
消泡剤は、組成物の約0〜10重量%の間、好ましくは約0.01〜5重量%の間、いっそうより好ましくは約0.1〜0.7重量%の間に相当し得る。
滑沢剤は、組成物の約0〜10重量%の間、好ましくは約0.1〜5重量%の間、いっそうより好ましくは約0.2〜0.6重量%の間に相当し得る。
【0041】
本発明の組成物はまた、水溶性結合剤の外被または外層を含んでもよい。この外層の水溶性結合剤は、組成物の約1〜15重量%の間、好ましくは約1〜8重量%の間、いっそうより好ましくは約2〜4重量%の間に相当する。この水溶性結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、もしくはヒドロキシプロピルセルロース、またはその混合物が挙げられる。しかしながら、当業者ならば、外層中で水溶液結合剤として使用可能な他の物質が分かるであろう。
【0042】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、好ましくは、例えばファルマコート(Pharmacoat)606(商標)または粘度が異なる様々な等級の混合物など、見かけの粘度が3〜15cPの間であるものが選択される。外層におけるHPMCの量は粘度に反比例する。溶解特性において特許請求された特性を得るための水溶性結合剤の量の決定は、当業者に範囲内である。
【0043】
外層はまた、滑沢剤、例えばタルクのような1種以上の賦形剤を含んでもよい。滑沢剤は、組成物の約0〜10重量%の間、好ましくは約1〜5重量%の間、いっそうより好ましくは約1〜2重量%の間に相当し得る。
【0044】
本発明の医薬組成物は、有利には、フェノフィブレート用量50〜300mgの間、好ましくは130〜200mgの間に相当する量、より好ましくは200mg相当の顆粒からなる。
【0045】
よって、本発明のさらなる目的は、
(a)中性核;
(b)中性核を取り囲む活性層;および
(c)外層
を含んでなる顆粒の形態にある、即放性フェノフィブレート組成物であって、
前記活性層が微粉フェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体を含んでなり;前記組成物の溶解特性が、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方に従い5分で10%未満、20分で80%を超えるというものである。
【0046】
本発明のさらなる目的は、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する食物作用を軽減しつつ、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症または高脂血症を治療するための薬剤の製造のためのこの組成物の使用にある。
【0047】
「外層」としては、活性層(B)でコーティングされた中性核(A)に適用される外被を意味する。このコーティングは1層または数層からなってよい。
この外層は水溶性結合剤を含んでもよい。
【0048】
この外層の水溶性結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルセルロースを含んでもよい。しかしながら、当業者ならば、この外層において結合性セルロース誘導体として使用可能な他の物質も分かるであろう。
【0049】
この外層では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの中でも、ファルマコート603(商標)のような見かけの粘度が3cPであるもの、またはファルマコート606(商標)のような見かけの粘度が6cPであるもの、またはファルマコート615(商標)のような見かけの粘度が15cPであるヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく選択される。
【0050】
この外層はさらにタルクを含んでもよい。この場合、HPMC/タルクの質量比は、好ましくは、1/1〜5/1の間である。
【0051】
さらに、本発明は、2重量%ポリソルベート80を含む水から構成される溶解媒体または0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方に従って75rpmでの回転翼法を用いて測定した場合に5分で10%未満、20分で80%を超える新たなin vivo溶解特性を有する、フェノフィブレートを含んでなる組成物を提供する。
【0052】
本発明の組成物は、有利には、0.25Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方に従って75rpmでの回転翼法を用いて測定した場合に5分で5%未満、20分で90%を超える溶解特性を有する。
【0053】
本発明はまた、これらの顆粒を製造するための方法に関し、その組成物は上記の通りである。この方法では有機溶媒を用いない。
これらの顆粒は中性核上でのアセンブリにより製造される。
【0054】
中性核の粒子サイズは、200〜1000ミクロンの間、好ましくは400〜600ミクロンの間である。中性核は組成物の約1〜50重量%の間、好ましくは約10〜20重量%の間、いっそうより好ましくは約14〜18%の間に相当し得る。
【0055】
このアセンブリは、糖コーティングパン、有孔コーティングパンまたは流動空気床、好ましくは流動空気床で行われる。
【0056】
中性核上でのアセンブリは、界面活性剤、可溶化結合性セルロース誘導体、および微粉フェノフィブレートを懸濁状態で含む水溶液を噴霧した後、所望により、水溶性結合剤を含む水溶液を噴霧することによって行われる。
本発明を以下の実施例に、非限定例として説明する。
【実施例】
【0057】
実施例1:顆粒
1A)微顆粒(XFEN1735)
この微顆粒は、中性核上に微粉フェノフィブレートの水性懸濁液を噴霧することにより得られる。組成を下表に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
in vitro溶解は、ラウリル硫酸ナトリウム0.1Nを8ml/分の流速で用いる連続フローセル法に従って測定した。時間の関数としての溶解産物の割合%を、先行技術の処方物である15 リパンシル200Mと比較して、下表に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
処方物1Aは、リパンシル200Mよりも速く溶解する。
【0062】
1B)微顆粒(X FEN 1935)
フェノフィブレート粒子の平均サイズは、6.9±0.7ミクロンに相当する。
微顆粒は、中性核上に水性懸濁液を噴霧することにより得られる。その懸濁液は、微紛フェノフィブレート、ラウリル硫酸ナトリウムおよびHPMCを含む。アセンブリは、ハットリン(Huttlin)流動空気床(ロトプロセス)(rotpprocess)にて行う。
得られる処方を以下に示す。
【0063】
【表3】

【0064】
中性核のサイズは400〜600μmの間である。
【0065】
1C)微顆粒(Y FEN 001)のゼラチンカプセル
以下の組成を有する微顆粒を、段落1A)に記載の方法に従って製造する。
【0066】
【表4】

【0067】
得られた微顆粒を、各200mgのフェノフィブレートを含有するよう、サイズ1ゼラチンカプセルに分配する。
In vitro溶解は、ラウリル硫酸ナトリウム0.1Nを8ml/分の流速で用いる連続フローセル法に従って測定する。先行技術の処方物であるリパンシル200Mとの比較結果を下表に示す。
【0068】
【表5】

【0069】
処方物1Cは、リパンシル200Mよりも速く溶解する。
これらのゼラチンカプセルを40℃/相対湿度75%で6ヶ月間保存する。顆粒は、このような加速貯蔵条件下でも安定である。In vitro溶解試験を(ラウリル硫酸ナトリウム0.1Nを8ml/分の流速で用いる連続フローセルにおいて)行った。溶解した製品の割合%を、1、3および6ヶ月間保存したゼラチンカプセルの時間の関数として下表に示す。
【0070】
【表6】

貯蔵中の有効成分含量の性状変化を下表に示す。
【0071】
【表7】

【0072】
絶食個体で行った薬物動態研究
フェノフィブレート200mg用量の実施例1C顆粒を含有するゼラチンカプセルのin vivo放出特性を、リパンシル(商標)200Mとして市販されているゼラチンカプセルと比較する。
この研究は9個体で行う。血液サンプルを定期的に採取し、フェノフィブリン酸をアッセイする。
結果を下表及および図1に示す。
【0073】
【表8】

【0074】
本願では以下の略語を用いる。
max:血漿中の最大濃度
max:Cmaxに到達するのに必要な時間
Elim1/2:血漿半減期
AUC0−t:0〜tまでの曲線下面積
AUC0−∞:0〜∞までの曲線下面積
Ke:消失定数
【0075】
リパンシル200Mおよび実施例1Cの製品で得られた結果をそれぞれ曲線1および2として図1に示す。
これらの結果は、本発明の組成物が、絶食個体におけるリパンシル200Mの場合よりも大きいバイオアベイラビリティを有することを示す。
【0076】
摂食条件の個体で行った薬物動態研究
フェノフィブレート200mg用量の実施例1C顆粒を含有するゼラチンカプセルのin vivo放出特性を、リパンシル(商標)200Mとして市販されているゼラチンカプセルと比較する。
この研究は18個体で行う。血液サンプルを定期的に採取し、フェノフィブリン酸をアッセイする。
結果を以下の表および図2に示す。
【0077】
【表9】

【0078】
リパンシル200Mおよび実施例1Cの製品で得られた結果をそれぞれ曲線1および2として図2で示す。
これらの結果は、本発明の組成物が、摂食条件の個体におけるリパンシル200Mの場合と生物学的に同等であることを示す。
【0079】
摂食条件下の個体の薬物動態と絶食個体の薬物動態との比較
絶食条件では、予期しないことに、本発明の処方物は、薬物の平均最大濃度(Cmax)よりも100%高く、平均AUCよりもおよそ62%高いことで裏付けられるように、リパンシル(商標)のおよそ1.4倍という、統計学的に有意に高い相対的バイオアベイラビリティをもたらすことが分かった。この2つの処方物間の有意差は摂食条件下では見られなかった。
【0080】
摂食条件と絶食条件下のリパンシル(商標)のバイオアベイラビリティを比較したところ、Cmaxは有意に高く(418%)、平均AUCは152%と有意に高かった。
これに対し、摂食条件と絶食条件下の本発明の処方物のバイオアベイラビリティを比較したところ、Cmaxは170%だけ有意に高かったが、平均AUCは76%まで高まったに過ぎなかった。
本発明の処方物は、薬物の取り込みに対する食物摂取の影響がリパンシル(商標)で見られたものより有意に低いという薬物動態を示す。
【0081】
比較例2:バッチZEF001
この実施例は先行技術を示す。
これはフェノフィブレートの微粉化および界面活性剤の使用を組み合わせたものである。HPMC:アビセルPH101およびポリビニルピロリドン(PVP K30)以外のセルロース誘導体からなる結合賦形剤の混合物を使用するという点で本発明とは異なる。
それは、押出−スフェロナイゼーションによって製造される。
【0082】
理論処方
【表10】

【0083】
In vitro溶解特性
in vitro溶解は、ラウリル硫酸ナトリウム0.1Nを8ml/分の流速で用いる連続フローセル法に従って測定する。リパンシル200Mとの比較結果を下表に示す。
【0084】
【表11】

【0085】
溶解は、リパンシル200Mでみられたものよりも遅い。
【0086】
絶食個体で行った薬物動態研究
フェノフィブレート200mg用量のZEF001顆粒を含有するゼラチンカプセルのin vivo放出特性を、リパンシル(商標)200Mとして市販されているゼラチンカプセルのものと比較する。
【0087】
この研究は、単回投与を受ける5個体の絶食個体で行う。血液サンプルを定期的に採取し、フェノフィブリン酸をアッセイする。
結果を下表および図3に示す。
【0088】
【表12】

【0089】
リパンシル200Mおよび例2の製品で得られた結果をそれぞれ曲線1および2として図3に示す。
これらの結果は、先行技術に基づいたこの処方物と比較して、リパンシル200Mのバイオアベイラビリティがより大きいことを示す。
【0090】
例2は、先行技術の知識を組み合わせること(つまり、微粉化と界面活性剤の使用)によっても、フェノフィブレートの急速な溶解を得ることができないことを示す。これは、リパンシル200Mと比較して低いバイオアベイラビリティしか生じない。
本発明に従って製造した組成物は、先行技術の処方物よりも急速な溶解とバイオアベイラビリティの向上を示す。
【0091】
実施例3:外層でコーティングされた微顆粒
微顆粒は、中性核に水性懸濁液を噴霧することで製造した。
この懸濁液の組成を下表に示す。
【0092】
【表13】

【0093】
得られた微顆粒の組成を下表に示す。
【0094】
【表14】

【0095】
HPMCおよびタルク(2:1,w:w)の懸濁液からなる種々の付加的外層を得られた微顆粒に塗布した。それらは次の点で互いに異なっている:
・用いるHPMCの種類:ファルマコート(商標)603、606または615。これらのHPMC間の主な違いは粘度であり、HPMC603<HPMC606<HPMC615の順で高くなる。
・微顆粒上に塗布される(HPMC/タルク)懸濁液の量:全微顆粒に対する乾燥HPMC/タルクとして表すと、1、2、3、4、5または10%。
【0096】
溶解試験は手で充填したゼラチンカプセルで行った。カプセルに導入された微顆粒の質量は、処方中のフェノフィブレートの理論含量に従って算出した。
【0097】
装置は次のものからなった。
・ディソルテスト(例えば、SOTAX AT7型)
・直接サンプル分析が可能なポンプ
・UV分光光度計(例えば、Perkin Elmer製のラムダ12)
【0098】
使用した溶解法は、欧州薬局方に従った75rpmでの回転翼法であった。
溶解媒体は、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水からなった。温度は37.0℃±0.5℃に設定した。
【0099】
溶解特性は、微顆粒上に塗布された(HPMC/タルク)懸濁液の量の関数とした。
微顆粒上に塗布されたHPMC/タルク懸濁液の量により溶解特性に対する効果を検討した。結果は、HPMC603、606および615についてそれぞれ図4〜6にまとめてある。このようなコーティングは5分の溶解の遅れを示す。
【0100】
実施例4:(HPMC606/タルク)4%懸濁液を噴霧することにより塗布した外層によりコーティングした微顆粒
微顆粒は、実施例3に記載の通りに製造した微粉フェノフィブレートの水性懸濁液を中性核に噴霧した後、HPMCおよびタルクの外層を噴霧することにより得る。なお、これらの微顆粒の組成を下式に示す。
【0101】
【表15】

【0102】
実施例5:溶解特性
実施例4に従って製造したフェノフィブレート組成物の溶解特性は、欧州薬局方に従った75rpmでの回転翼法によって行った。溶解媒体は0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水からなった。温度は37.0℃±0.5℃に設定した。
【0103】
容器を1000mLのラウリル硫酸ナトリウム0.025Mで満たした。手で充填したカプセルをこの容器に加えた。この試験サンプルを5分間隔で取り出し(1時間の間)、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムからなるブランクに対し、2mm石英セルを通し、波長290nmで分析した。得られた結果を図7にグラフで示し(溶解の割合%を示す)、下表にも示す。
【0104】
【表16】

【0105】
これらの結果は明らかに、本発明の組成物が、5分で10%未満、20分で80%を超える溶解特性を有することを示す。
【0106】
実施例6
健常成人被験者における、絶食条件下および標準高脂肪FDA試験食を摂取した後の、実施例4に従って製造したフェノフィブレート組成物130mgとトリコール(Tricor)(商標)200mgの相対的バイオアベイラビリティの比較
【0107】
健常ボランティアに対するバイオアベイラビリティ試験を行った。次の組成物を試験した:フェノフィブレート130mgを含有する、実施例4に従って製造した微顆粒を含有するカプセルおよびフェノフィブレート200mgを含有するAbbott Laboratoriesからのトリコール(商標)。研究は32名の健常ボランティアに対し、無作為化、単回投与、オープンラベル(実験室側は盲険)、4方向交差研究にて行い、健常成人被験者における絶食条件と摂食条件下の相対的バイオアベイラビリティを判定した。絶食条件と摂食条件下での各組成物の相対的バイオアベイラビリティも評価した。治療Aに対して無作為化した被験者には、10時間の絶食後に240mLの水道水で、実施例4に従って製造したフェノフィブレート130mgの単回経口投与を行った。治療Bに対して無作為化した被験者には、標準高脂肪食の後に240mLの水道水で、同じ処方物の単回経口投与を行った。治療Cに対して無作為化した被験者には、10時間の絶食後に240mLの水道水で、トリコール(商標)(フェノフィブレート)200mg微粉カプセル1つの単回経口投与を行った。治療Dに対して無作為化した被験者には、標準高脂肪食の後に240mLの水道水で、トリコール(商標)(フェノフィブレート)200mg微粉カプセル1つの単回経口投与を行った。
【0108】
これらの実施例において、「絶食」は、10時間食物を摂取しないことに基づくが、当業者ならば、絶食条件を作り出す他の方法も知っているであろう。例えば、「絶食」は10時間以上食物を摂取しないことと理解することができる。
【0109】
標準高脂肪食は、脂肪から食事の総カロリーのおよそ50%を含む、またはカロリー含量800〜1000カロリーのうち50%が脂肪からであるというものである。標準高脂肪食の例としては、卵のバター焼き2個、ベーコン2切れ、バタートースト2枚、ハッシュブラウンポテト(バターフライ)4オンス、および全乳8オンスである。この試験食は、食事がタンパク質、炭水化物および脂肪から同量のカロリーを提供し、匹敵する食事量および粘度を有する限り、置き換え可能である。得られた結果を以下の表1および2に示す。
【0110】
【表17】

【0111】
【表18】

【0112】
表1は、本発明のフェノフィブレート130mgを投与した後のフェノフィブリン酸の吸収度(AUC)が絶食条件下でトリコール(商標)200mgカプセルに匹敵することを示す。
【0113】
さらに、表2は、本発明の最大血漿濃度(Cmax)がトリコール(商標)よりも低いことを示し、このことは食物がトリコール(商標)処方物のバイオアベイラビリティの速度に作用したことを示す。具体的には、本発明で見られる食物作用は、トリコール(商標)200mgカプセルで見られたもののおよそ1/2小さい。このことは、本発明のバイオアベイラビリティ速度が食物の存在にはほとんど依存しないことを示唆する。これに対し、トリコール(商標)のバイオアベイラビリティ速度は食物によって有意に上昇した。
【0114】
実施例7
治療的生活習慣改善食(Therapeutic Lifestyle Change Diet, TLC)時の健常成人被験者の定常状態における、実施例4に従って製造したフェノフィブレート組成物130mgとトリコール(商標)200mgカプセルの相対的バイオアベイラビリティの比較
【0115】
健常ボランティアに対するバイオアベイラビリティ試験を行った。次の組成物を試験した:フェノフィブレート130mgを含有する、実施例4に従って製造した微顆粒を含有するカプセルおよびフェノフィブレート200mgを含有するAbbott Laboratoriesからのトリコール(商標)。研究は28名の健常ボランティアに対し、無作為化、多回投与、オープンラベル(実験室側は盲険)、2方向交差研究にて行い、TLC食の摂取直後の、トリコール(商標)200mgに対する、本発明の実施例4に従って製造した処方物のバイオアベイラビリティを判定および比較した。治療Aに対して無作為化した被験者には、室温の水道水240mLで、本発明の130mgカプセルの単回経口投与を7日間行った。治療Bに対して無作為化した被験者には、室温の水道水240mLで、トリコール(商標)(フェノフィブレート)200mg微粉カプセル1つの単回経口投与を7日間行った。
【0116】
TLC食は飽和脂肪およびコレステロールの取り込みを低下させる。TLC食は、1食当たりおよそ25〜30%の脂肪を含む。TLC食の例としては、ブランシリアル1カップ、脱脂乳1カップ、オレンジジュース1カップ、小ぶりのバナナ1本、全粒粉のトースト1枚、マーガリン1さじ、ブラック、すなわちミルクぬきのコーヒーである。この試験食は、食事がタンパク質、炭水化物および脂肪から同量のカロリーを提供し、匹敵する食事量および粘度を有する限り、置き換え可能である。得られた結果を以下の表3に示す。
【0117】
【表19】

【0118】
表3の結果は、TLC食の摂取直後、多回投与後、本発明のカプセルとトリコール(商標)200mgカプセルのバイオアベイラビリティが匹敵するものであることを示す。
【0119】
実施例8
健常成人被験者における、絶食条件下および治療的生活習慣改善食の摂取後の、実施例4に従って製造したフェノフィブレート組成物130mgとトリコール(商標)200mgの相対的バイオアベイラビリティの比較
【0120】
健常ボランティアに対するバイオアベイラビリティ試験を行った。次の組成物を試験した:フェノフィブレート130mgを含有する、実施例4に従って製造した微顆粒を含有するカプセルおよびフェノフィブレート200mgを含有するAbbott Laboratoriesからのトリコール(商標)。研究は32名の健常ボランティアに対し、無作為化、単回投与、オープンラベル(実験室側は盲険)、4方向交差研究にて行い、健常成人被験者における絶食条件と摂食条件下の、実施例4に従って製造した本発明130mgとトリコール(商標)200mg経口カプセルの相対的バイオアベイラビリティを判定した。絶食条件と摂食条件下での各組成物の相対的バイオアベイラビリティも評価した。治療Aに対して無作為化した被験者には、絶食条件下で240mLの水道水で、実施例4に従って製造したフェノフィブレート130mgの単回経口投与を行った。治療Bに対して無作為化した被験者には、TLC食の後に室温の水道水240mLで、実施例4に従って製造したフェノフィブレート130mg処方物の単回経口投与を行った。治療Cに対して無作為化した被験者には、絶食条件下で240mLの水道水で、トリコール(商標)200mgカプセル1つの単回経口投与を行った。治療Dに対して無作為化した被験者には、TLC食の後に240mLの水道水で、トリコール(商標)200mgカプセル1つの単回経口投与を行った。
得られた結果を以下の表4および5に示す。
【0121】
【表20】

【0122】
【表21】

【0123】
表4の結果は、TLC食の摂取後、本発明のフェノフィブリン酸の最大血漿濃度(Cmax)および吸収度(AUC)がトリコール(商標)に匹敵するものであることを示す。同様に、絶食条件下で、本発明の吸収度(AUC)はトリコール(商標)に匹敵する。しかし、フェノフィブリン酸の最大血漿濃度(Cmax)は、トリコール(商標)処方物よりも本発明のほうが大きく、このことは本発明がより容易に吸収されることを示す。
【0124】
また、表5の結果は、TLC食の摂取が本発明およびトリコール(商標)双方に関して最大血漿濃度(Cmax)を達成したことを示す。しかし、この食物作用はトリコール(商標)に比べて本発明では1/2よりも小さい。このことは、本発明のバイオアベイラビリティ速度は食物の存在にほとんど依存しないことを示す。これに対し、トリコール(商標)のバイオアベイラビリティ速度は食物によって有意に上昇した。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】絶食個体における実施例1Cの処方物と先行技術の処方物のin vivo放出特性を表す。(曲線1:Lipanthy(商標)200M;曲線2:本発明の組成物。)
【図2】摂食条件の個体における実施例1Cの処方物と先行技術の処方物のin vivo放出特性を表す。(曲線1:Lipanthy(商標)200M;曲線2:本発明の組成物。)
【図3】摂食条件の個体における比較例2の処方物と先行技術の処方物のin vivo放出特性を表す。
【図4】微顆粒上に塗布された(HPMC603/タルク)懸濁液の量の関数としてのin vitro溶解特性を表す。
【図5】微顆粒上に塗布された(HPMC606/タルク)懸濁液の量の関数としてのin vitro溶解特性を表す。
【図6】微顆粒上に塗布された(HPMC615/タルク)懸濁液の量の関数としてのin vitro溶解特性を表す。
【図7】微顆粒上に塗布された(HPMC606/タルク)4%懸濁液の量の関数としてのin vitro溶解特性を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノフィブレートのバイオアベイラビリティに対する食物作用を軽減しつつ、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症または高脂血症を治療するための薬剤の製造のための、微粉フェノフィブレートと、界面活性剤と、可溶化補助剤としての結合性セルロース誘導体とを含有するフェノフィブレート組成物であって、60重量%以上の量のフェノフィブレートを含有する組成物の使用。
【請求項2】
フェノフィブレートのバイオアベイラビリティが、高脂肪含有食を摂っている患者でも絶食患者でも同等である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
フェノフィブレートのバイオアベイラビリティが、その50%を脂肪からとする少なくとも800〜1000カロリーを摂っている患者でも絶食患者でも同等である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
フェノフィブレートのバイオアベイラビリティが、治療的生活習慣改善食を摂っている患者でも絶食患者でも同等である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
可溶化補助剤である前記の結合性セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの見かけの粘度が約2.4〜18cPの間、好ましくは約2.4〜3.6cPの間である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記組成物が、組成物の重量に対して70重量%以上の量、好ましくは、組成物の重量に対して75重量%以上の量のフェノフィブレートを含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン20モノオレイン酸ソルビタン、モノデカン酸ソルビン、ステアリン酸スクロースおよびラウリル硫酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記界面活性剤が、フェノフィブレートの重量に対して約1〜10重量%の間、好ましくは、フェノフィブレートの重量に対して3〜5重量%の間に相当する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
フェノフィブレート/ヒドロキシプロピルメチルセルロースの質量比が5/1〜15/1の間である、請求項5または6に記載の使用。
【請求項11】
前記結合性セルロース誘導体が、組成物の約2〜15重量%の間、好ましくは、組成物の約5〜12重量%の間に相当する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記組成物が、希釈剤、例えばラクトース、消泡剤、例えばα−(トリメチルシリル)−γ−メチルポリ[オキシ(ジメチルシリレン)]またはα−(トリメチルシリル)−γ−メチルポリ[オキシ(ジメチルシリレン)]と二酸化ケイ素の混合物、または滑沢剤、例えばタルクもしくはコロイド状二酸化ケイ素などの少なくとも1種の賦形剤をさらに含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
フェノフィブレート粒子の平均サイズが、少なくとも15μm未満、好ましくは8μm未満である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記組成物が
(a)中性核;および
(b)中性核を取り囲む、活性層
を含んでなる顆粒の形態にあり、
ここで、前記中性核は、ラクトース、マンニトール、スクロースとデンプンの混合物、または他のいずれかの許容される糖を含んでよく、かつ、前記活性層が、微粉フェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体を含んでなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記顆粒が、界面活性剤、可溶化結合性セルロース誘導体および微粉フェノフィブレートを懸濁状態で含有する水性懸濁液を噴霧することによる、中性核上でのアセンブリによって得られる、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記組成物が
(a)中性核;
(b)中性核を取り囲む、活性層;および
(c)外層
を含んでなる顆粒の形態にあり、
ここで、前記活性層は微粉フェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体を含んでなり、かつ、前記処方物の溶解特性が、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方に従い5分で約10%未満、20分で約80%を超えるというものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記組成物の溶解特性が、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方に従い5分で10%未満、20分で80%を超えるというものである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記組成物が、20重量%未満の中性核、60重量%を超える微粉フェノフィブレート、20重量%未満の結合性セルロース誘導体、および3重量%を超える界面活性剤を含んでなる、請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
前記外層がヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性結合剤を含んでなる、請求項16〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、見かけの粘度が3cP、6cPもしくは15cPのヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはその混合物の中から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記外層がタルクをさらに含んでなる、請求項16〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記外層が、1/1〜5/1の間のヒドロキシプロピルメチルセルロース/タルクの質量比を含んでなる、請求項19〜21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
(a)中性核;
(b)中性核を取り囲む活性層;および
(c)外層
を含んでなる顆粒の形態にある、即放性フェノフィブレート組成物であって、
前記活性層が微粉フェノフィブレート、界面活性剤および結合性セルロース誘導体を含んでなり;前記組成物の溶解特性が、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方に従い5分で10%未満、20分で80%を超えるものである、即放性フェノフィブレート組成物。
【請求項24】
前記組成物の溶解特性が、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水から構成される溶解媒体中、欧州薬局方に従い5分で約5%未満、20分で約90%を超えるというものである、請求項23に記載の即放性組成物。
【請求項25】
20重量%未満の中性核、60重量%を超える微粉フェノフィブレート、20重量%未満の結合性セルロース誘導体、および3重量%を超える界面活性剤を含んでなる、請求項23または24に記載の即放性組成物。
【請求項26】
前記外層が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性結合剤を含んでなる、請求項23〜25のいずれか一項に記載の即放性組成物。
【請求項27】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、見かけの粘度が3cP、6cPもしくは15cPのヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはその混合物の中から選択される、請求項26に記載の即放性組成物。
【請求項28】
前記外層がタルクをさらに含んでなる、請求項23〜27のいずれか一項に記載の即放性組成物。
【請求項29】
前記外層が、1/1〜5/1の間のヒドロキシプロピルメチルセルロース/タルクの質量比を含んでなる、請求項26〜28のいずれか一項に記載の即放性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−507486(P2007−507486A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530759(P2006−530759)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003354
【国際公開番号】WO2005/032526
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(502423510)
【氏名又は名称原語表記】ETHYPHARM
【Fターム(参考)】