フェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法
【課題】フェムト秒レーザを使用する微細加工において、反射ミラーと移動ステージの組み合わせにより、フェムト秒レーザ光をワークに頻繁且つ均等に分配照射し、ワークへの蓄熱を抑制しながら生産性を高めることが可能となる。
【解決手段】フェムト秒レーザ装置1から照射されたレーザ光Lは、ミラー回転制御用サーボモータ10により角度調整されたミラー9により高精度に反射され、レーザ光Lは図中で左右方向に自在に位置制御が可能となっている。また、この箱体7は、直交3軸の移動ステージ14と一体化しており高精度かつ自在に移動可能となっており、レーザ光はミラーにより頻繁且つ均等に分配され、各ワークに照射される。
【解決手段】フェムト秒レーザ装置1から照射されたレーザ光Lは、ミラー回転制御用サーボモータ10により角度調整されたミラー9により高精度に反射され、レーザ光Lは図中で左右方向に自在に位置制御が可能となっている。また、この箱体7は、直交3軸の移動ステージ14と一体化しており高精度かつ自在に移動可能となっており、レーザ光はミラーにより頻繁且つ均等に分配され、各ワークに照射される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムト秒レーザによる微小ワークの多数個取りの加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置による微細加工において、加工用光源にフェムト秒レーザを用いるものがあるが、1フェムト秒の単位が1000兆分の1秒であることからわかるように、極々短時間のレーザ照射を加工用ワークに打ち込むことにより、熱発生を伴う前に加工を終了させるため、熱の発生がほとんどないことを特徴とする。
また、フェムト秒レーザは、レーザを照射する際のスポット径が非常に小さいため、熱発生を伴いにくいことから、微細加工分野においては優れた加工性能を期待でき、今後各種利用が進むであろうと考えられている。
しかしながら、現在の技術ではまだ実験的な域を脱しておらず、製造業において多数のワークを効率良く加工していくための量産技術が確立できていない。
特に、産業界において大きな需要が起こると予想される、0.1mm〜1mmの金属部品の効率的な量産加工技術の開発が急がれている。
【0003】
フェムト秒レーザ光の利用については、上記で述べたように、加工対象は微細な小物ワークとするのが一般的である。
この微細な小物ワークについては、個々に箱体(チャンバー)内にセットし、フェムト秒レーザを照射してワークを加工していくこととなるが、1回の照射で加工が完了するようなことはないため、照射位置を少しずつ移動させながら何回も照射を繰り返すこととなる。
1回あたりは極々短時間の照射で熱発生を伴いにくいが、照射回数が累積したり単位時間当たりの照射回数を多くすれば必然的に加工ワークに熱が蓄積し、加工ワークの変質や発熱による精度低下、プラズマ発生等の好ましくない現象が起こってしまう。
つまり、生産性を上げようと、照射頻度を増やせば熱発生による弊害が発生し、これを避けようとフェムト秒レーザの照射間隔を長めに設定すれば加工効率が下がってしまう。
【0004】
例えば、箱体の真空チャンバー内にXY直交2軸のステージを収納し、観測用の電子顕微鏡が具備されており、2個のガルバノミラーにより光軸調整したフェムト秒レーザを、上記箱体上部のガラス窓からワークに照射している。
そして、ワークは極微小の半導体デバイスを想定している。(特許文献1)
しかしながら、上記装置で想定しているワークは極微細であり、また多数のワークを効率良く加工するための手段が全く開示されていない。
【特許文献1】特開2004−53550号公報
【0005】
上記のように、まだ未開拓なこの加工分野では、従来のMEMS技術では非効率であり、このような技術をベースとした金属部品のマイクロ加工では量産を前提とした効率的な加工を行うことができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、フェムト秒レーザにより微細ワークを加工する方法において、加工ワークへの蓄熱を防止しつつ、生産性を高めるための多数個取りの加工方法が確立されていないことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の加工ワークを移動ステージ上に配列させ、この複数の加工ワークに対し頻繁かつ均等にフェムト秒レーザ光を配分しながら照射することにより、複数個の加工ワークに対する同時加工と、上記レーザの分散照射による加工ワークの温度上昇を抑制することにより、加工の連続性を高め生産性を向上させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の多数個取りの加工方法は、フェムト秒レーザ光により複数の微小ワークを自在に加工する方法に係り、多数個の加工を同時進行させることによる段取りの手間の削減や生産性の向上と共に、個々のワークへの局所的な蓄熱を避けることによる高精度加工を実現できる利点がある。
そして、ワークの個数が多いほど、単位時間当たりの各ワークへの蓄熱を減らすことができ、熱の影響を最小限に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では、反射ミラーによりフェムト秒レーザ光を頻繁且つ均等に分配し、箱体内の移動ステージに配列させた同形状のワークに対し、同時進行で3次元加工の多数個取りを行う加工方法を実現した。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明による加工装置の基本構成を示しており、コンピュータ12のソフトウエア処理により、制御ユニット11を介して、ターミナル15で信号を分配し、信号線13から位置決めやレーザ光の調整等の操作を行う。
フェムト秒レーザ装置1から照射されたレーザ光Lは、ミラー回転制御用サーボモータ10により角度調整されたミラー9により高精度に反射されるため、レーザ光Lは図中で左右方向に自在に位置制御が可能となっている。
パルス状のフェムト秒レーザ光Lは、上記ミラーにより、各微細ワークWに頻繁且つ均等に分配照射される。
加工ワークWを載せた移動ステージ14はX、Y、Z各軸のサーボモータ3、4、5により、高精度かつ自在に移動可能となっている。
【0011】
図2は、図1で示した基本構成において気密性を考慮した実施例2の加工装置である。
ワークの置かれた箱体7は気密性があり、また箱体7の上部にはレーザ光Lが透過可能なガラス窓8を設けている。
この箱体7は、直交3軸の移動ステージ14と一体化し、高精度かつ自在に移動可能となっている。
【0012】
図3は、図2の構成において箱体内を減圧可能としたものであり、箱体7に配管18を接続し減圧ポンプ3により箱体7の内部を減圧している。
そして、この箱体7内の減圧度について気圧調整等の制御を加えたい場合は、気圧センサーSによりリアルタイムで箱体内の気圧を監視し、減圧調整用バルブV1にて適宜調整することにより箱体内は所望の気圧に維持可能となる。
【0013】
次に、箱体内を各種ガスで満たす方法を図4に示す。
まず、ガス調整用バルブV2を閉めた状態で、箱体7の内部の空気を気圧センサーSにて確認しながら所望の気圧になるまで減圧ポンプ11にて調整後、減圧調整用バルブV1を閉め、次にガス調整用バルブV2を少しづつ開くことにより、ガスボンベBから配管18を経由し箱体内にガスGが流入するので、これが所望の気圧になったところでガス調整用バルブV2を閉める。
その後は、気圧センサーSの測定値により減圧調整用バルブV1、ガス調整用V2を適宜制御し、箱体内のガス圧の安定化を図ることとなる。
【0014】
本発明は微細な加工ワークへの適用を想定しているが、1ミリ未満の大きさのワークでは目視による確認が難しい。
特に、加工実績が十分にない加工ワークの場合は、図5に示すように、マイクロスコープMにより加工ワーク及びその加工状況を確認しながら加工ワークの観察やレーザ照射の調整等を適宜行うこととなる。
マイクロスコープMは信号線13により画像処理ユニット16に接続され、ここでデジタル変換等の画像処理を行った後、パソコン12にてデータ処理の状況やワーク等の映像の表示等を行う。
【0015】
また、図6に示すように、箱体7上部のガラス窓8はパッキング17を介して密着しているので、ガラス窓8を取り外し、加工ワークの直上からマイクロスコープMにてワークを観測することも可能である。
この場合、図7に示すように、移動ステージ14の位置決めとマイクロスコープMの画像入力を合わせて行うことにより、加工前のワーク表面の検査や、多数個に配列されたワークの位置誤差の認識、また加工後のワーク検査などを自動的に行うことも可能である。
なお、ガラス窓8が加工ワークWに近ければ、ガラス窓越しにマイクロスコープMで観測可能である。
【0016】
次に、実際の加工手順に則して説明を行う。
図8に示すように、多数個の加工ワークW01、W02、・・・は加工ワーク用プレートP上に整然と並べられた状態で、移動ステージに載せられるか、もしくは箱体内に納められる。
そして、フェムト秒レーザ光は反射ミラーの可動範囲の範疇において、頻繁且つ均等に分配されるが、この配置では、W01、W02、・・・W10への照射を1サイクルとして、再度W01、W02、・・・W10を繰り返していくことにより、見かけ上同時進行で、多数個取りによる加工が進行する。
そして、W01からW10までの加工工程が終了すると、移動ステージ14により箱体が移動し、今度はW11からW20が加工対象となる。
【0017】
次に、図9にてフェムト秒レーザ光の分配方法を示す。
なお、わかりやすくするために、加工ワークの個数を2個とした場合で説明する。
まず、ミラー回転制御用サーボモータ10によりミラー9の反射角度を調整し、最初のレーザ光L1がワークW01に照射される。
次に、ミラー回転制御用サーボモータ10によりミラー9の反射角度を変更し、レーザ光L2がワークW02に照射される。
次に、ミラーの反射角度を最初にL1を照射した時の角度に戻しつつ、加工ワーク用プレートPを移動させ次の照射位置に位置決めする。
そしてレーザ光L11、L12を照射し加工ワーク用プレートPを移動させ、レーザ光L21、L22を照射し加工ワーク用プレートPを移動させるというような、フェムト秒レーザ光の分散照射と加工ワーク用プレートPの移動の繰り返しにより、多数個の加工ワークに対し加工が同時進行する。
なお、図9で示したレーザ光の照射については、通常はL1、L11、L12は同一位置に対する照射であり、L2、L12、L22も同様である。
通常使用では移動ステージによりワーク側が移動するため、光源側が固定で相対移動するのであるが、説明をわかりやすくするためこのように記載した。
【0018】
移動ステージについては、直交3軸により自在に位置決め可能である。
例えば、図10に示すように、破線枠で示したエリア21のような方向に移動ステージを動かしフェムト秒レーザを照射するようにすれば、2次元形状作成に対応できる。
【0019】
また、図11は加工ワークの断面をブロック化し簡略に示したものであるが、例えば、加工部22がフェムト秒レーザを1単位照射、加工部23が2単位照射というように、同一個所に対してレーザ光の照射回数を制御することにより加工深さの調整も可能である。
【0020】
上述したように、テーブル移動と照射回数の調整により、複数個の加工ワークに対し同時進行で3次元加工を行うことが可能となる。
特に、フェムト秒レーザ光による3次元加工の場合、照射回数が必然的に多くなるため従来方法ではワークへの蓄熱が心配されるところであるが、本発明によれば、フェムト秒レーザ光は頻繁且つ均等に分配されるため、単位時間当たりの各ワークへのレーザ照射量は低く押さえられ熱の悪影響を抑制でき、これはワークの個数がより多くなれば更に低く抑制できる。
【0021】
そして、図12に示すように、1行(または1列)のワークの加工が終了すると、破線枠25で示した次行のワークプレートに位置決めし、次の行(または次の列)のワークの加工に取りかかることとなる。
なお、ワークが非常に蓄熱しやすい場合や、ワークが非常に熱に弱い場合など、特に熱の配慮が必要な時は、W01、W02、・・・、W11、W12の順で加工することにより、単位時間当たりに各ワークへ照射されるレーザ光の量を減らし、かつワークの冷却期間を長く取ることで、レーザ光照射による熱の悪影響を抑制することが可能である。
【0022】
上記では、ミラーによるフェムト秒レーザ光の反射方法を示したが、反射ミラーの替わりにポリゴンミラー19を使用することも可能であり、これを図13に示す。
フェムト秒レーザ装置1から射出されたフェムト秒レーザ光Lは、ミラー回転制御用サーボモータ10によりポリゴンミラー19の角度を高精度かつ自在に調整し、フェムト秒レーザ光Lの位置を制御する。
【0023】
通常の反射ミラーでは反射角の揺動によりレーザ光の位置制御をするが、このような角度制御は高精度な半面、その制御速度を著しく向上させることは難しい。
しかし、複数の反射面を持つポリゴンミラー19を揺動ではなく回転させることにより更なる高速化が可能となる。
同時加工する加工ワークの数が非常に多い場合、これに見合うだけのフェムト秒レーザ光の分配能力が必要となるが、上記の方法により対応可能となる。
【0024】
また、図14に示すようにポリゴンミラー19の各反射面R1、R2、・・について、各平面にそれぞれ傾きを持たせることにより、ポリゴンミラー側で反射光を2次元的に分配する事が可能となる。
これにより、より多くの加工ワークに対して高速にフェムト秒レーザ光を分配できるようになると共に、単位時間当たりの各ワークへの蓄熱を抑制することが可能となる。
【0025】
フェムト秒レーザ光による3次元加工では、ワークWに対し打ち込むレーザ光の回数を制御することにより、加工深さを調整することが可能である。
つまり、レーザ光Lの1回あたりの照射で除去される加工量を数値管理することにより、高精度に自由形状を造り出すことができる。
【0026】
加工精度と加工時間については、図15に示すように、強度の強いレーザ光LAにより、発熱に注意しながら短時間で加工することも可能であるし、逆に図16に示すように弱レーザLBにより、精度や品質を追求するようなことも可能である。
レーザ光の強度、レーザ光のスポット径、発熱量等の条件の組み合わせにより、状況に合わせて最適な設定をすることととなる。
【0027】
レーザ光の角度については、一般的な使用ならば、反射ミラーと加工ワークとの距離に対して、ワークが微細なため、レーザ光の角度変化の影響は軽微であると考えられるが、特に照射角度による位置誤差を考慮したい場合は、移動ステージのZ方向の移動で位置補正が可能であり、それを図17から図19にて説明する。
【0028】
まず、図17に示すように、直下のワークW1にレーザ光L1を照射する場合、レーザ光の焦点20の位置は加工部に合わせて設定される。
次に、反射ミラーを回転させると、角度のついたレーザ光L2がワークW2に照射される際に、焦点20が加工したい部分より上にずれてしまう。
【0029】
これは図18に示すように、数値処理可能な問題である。
直下に照射したレーザ光L1に対し、角度θだけ変化したレーザ光L2の横方向の移動量は、(距離)×sinθで表すことができる。
そして、高さ方向Dについては、tan(θ/2)×(距離)×sinθで表すことができるため、この誤差を事前に検証し、全体的な位置誤差が許容範囲になるように移動ステージを位置決めればよい。
そうすることにより、図19(a)、図19(b)に示すように、加工ワークW1の加工の時は図19(a)、加工ワークW1の加工の時は図19(b)のように移動ステージを上記で示した分だけZ方向に補正すればよい。
このように照射角度の変化によるレーザ光の焦点位置のずれにも対応することが可能である。
【0030】
また、箱体内の気密性については、図2に示したように移動ステージ上に箱体を載せ、この中にワークを置く以外に、図20のように、移動ステージまで含めて箱体内に納めることも考えられ、ワークの大きさや個数の規模により、ワークのみの収納か、移動ステージまで含めた収納かを適宜選択できる。
【0031】
また、図21のように、フェムト秒レーザ光の反射ミラーを1個から2個に増やすことにより、加工ワークに対し、フェムト秒レーザ光を2次元的に頻繁且つ均等に分配できるようになる。
フェムト秒レーザ光は、まず1個目の反射ミラー9により2個目の反射ミラー9’に反射可能な範囲内で反射角度の制御がされ、次に、2個目の反射ミラー9’によりフェムトレーザ光が加工ワークに到達する。
各反射ミラー9、9’の設置する位置関係については、フェムト秒レーザ光の分配がしやすいように考慮する必要がある。
各反射ミラーの角度と、実際に加工ワークへ到達した際の平面座標との相関を予め調べておくことにより、これをマッピングし、各反射ミラー角度制御に反映することで対応可能であるが、このような座標変換を行うとパソコン等の処理系の演算負荷はその分高くなる。
【0032】
加工ワークの座標原点ついては、加工ワーク用プレートの基準位置に基づき加工ワークを精度良く並べた後、この加工ワーク用プレート基準位置をもとにした相対位置関係から各加工ワークの位置が定められることとなる。
この加工ワーク用プレートのそれぞれに対し、加工ワークの相対位置とそれに対応するためのレーザ光の照射パターンを予め登録しておけば、複数種類の加工ワークの切り替えに迅速に対応可能となる。
【0033】
本発明の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
フェムト秒レーザにおいて、微細ワークを効率良く大量に生産できるようになるため、マイクロマシン等の生産において多大なコストダウンをもたらすことができる。
本発明によれば、ワークの個数が多くなるほど単位時間当たりの各ワークへのレーザ照射による熱量が低くなり、量産するほどに本発明のメリットが顕著となる。
また、高出力のフェムト秒レーザ光を用いた場合の運用においても、効果的に熱を分散し、加工効率を大きく改善できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は微細ワークの加工において、フェムト秒レーザ加工の効率的な運用を目指したものであるが、光源がフェムト秒レーザ光に以外であっても、レーザ光による熱の影響を受けやすいワークを効率的に量産することが可能であり、熱発生を伴う各種光源の加工機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による加工装置の構成図である。(実施例1)
【図2】本発明による加工装置の構成図である。(実施例2)
【図3】本発明による箱体内の減圧方法を示す操作図である。
【図4】箱体内へのガス充填方法を示す操作図である。
【図5】マイクロスコープを装備した場合の構成図である。
【図6】箱体とガラス窓の構成図である。
【図7】マイクロスコープでワーク検査等を行う際の説明図である。
【図8】ワークプレート上のワークの配置を示す状態図である。
【図9】複数個の同時加工の説明図である。
【図10】二次元形状で加工する際の説明図である。
【図11】レーザ加工で深さ方向の調整する際の説明図である。
【図12】より多くのワークに対しレーザ光を分配する際の説明図である。
【図13】ポリゴンミラーによるレーザ光の反射を示す構成図である。
【図14】異なる反射面をもつポリゴンミラーの説明図である。
【図15】レーザ光の強度と加工深さを示す関係図である。
【図16】レーザ光の強度と加工深さを示す関係図である。
【図17】レーザ光の傾きによるZ方向のずれを示す説明図である。
【図18】レーザ光の傾きによるZ方向のずれを示す幾何図である。
【図19】Z方向のずれを補正するための移動ステージの動作図である。
【図20】移動ステージまで箱体に収めた場合の構成図である。
【図21】反射ミラーが2個の場合の構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1 フェムト秒レーザ装置
2 エアフィルター
3 減圧ポンプ
4 サーボモータ1(X軸)
5 サーボモータ2(Y軸)
6 サーボモータ3(Z軸)
7 箱体
8 ガラス窓
9 ミラー
10 ミラー回転制御用サーボモータ
11 制御ユニット
12 コンピュータ
13 信号線
14 移動ステージ
15 ターミナル
16 画像処理ユニット
17 パッキング
18 配管
19 ポリゴンミラー
20 レーザ光の焦点
A 空気
B ガスボンベ
G ガス
H 加工部
K 1パルス当たりの加工エリア
K1、K2 1パルス当たりの加工エリア
L レーザ光
L1、L2 レーザ光
LA、LB レーザ光(強、弱)
M マイクロスコープ
P 加工ワーク用プレート
S 気圧センサー
W 加工ワーク
W1、W2・・ 加工ワーク
W01、W02・・ 加工ワーク
V1 減圧調整用バルブ
V2 ガス調整用バルブ
θ 反射角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムト秒レーザによる微小ワークの多数個取りの加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置による微細加工において、加工用光源にフェムト秒レーザを用いるものがあるが、1フェムト秒の単位が1000兆分の1秒であることからわかるように、極々短時間のレーザ照射を加工用ワークに打ち込むことにより、熱発生を伴う前に加工を終了させるため、熱の発生がほとんどないことを特徴とする。
また、フェムト秒レーザは、レーザを照射する際のスポット径が非常に小さいため、熱発生を伴いにくいことから、微細加工分野においては優れた加工性能を期待でき、今後各種利用が進むであろうと考えられている。
しかしながら、現在の技術ではまだ実験的な域を脱しておらず、製造業において多数のワークを効率良く加工していくための量産技術が確立できていない。
特に、産業界において大きな需要が起こると予想される、0.1mm〜1mmの金属部品の効率的な量産加工技術の開発が急がれている。
【0003】
フェムト秒レーザ光の利用については、上記で述べたように、加工対象は微細な小物ワークとするのが一般的である。
この微細な小物ワークについては、個々に箱体(チャンバー)内にセットし、フェムト秒レーザを照射してワークを加工していくこととなるが、1回の照射で加工が完了するようなことはないため、照射位置を少しずつ移動させながら何回も照射を繰り返すこととなる。
1回あたりは極々短時間の照射で熱発生を伴いにくいが、照射回数が累積したり単位時間当たりの照射回数を多くすれば必然的に加工ワークに熱が蓄積し、加工ワークの変質や発熱による精度低下、プラズマ発生等の好ましくない現象が起こってしまう。
つまり、生産性を上げようと、照射頻度を増やせば熱発生による弊害が発生し、これを避けようとフェムト秒レーザの照射間隔を長めに設定すれば加工効率が下がってしまう。
【0004】
例えば、箱体の真空チャンバー内にXY直交2軸のステージを収納し、観測用の電子顕微鏡が具備されており、2個のガルバノミラーにより光軸調整したフェムト秒レーザを、上記箱体上部のガラス窓からワークに照射している。
そして、ワークは極微小の半導体デバイスを想定している。(特許文献1)
しかしながら、上記装置で想定しているワークは極微細であり、また多数のワークを効率良く加工するための手段が全く開示されていない。
【特許文献1】特開2004−53550号公報
【0005】
上記のように、まだ未開拓なこの加工分野では、従来のMEMS技術では非効率であり、このような技術をベースとした金属部品のマイクロ加工では量産を前提とした効率的な加工を行うことができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、フェムト秒レーザにより微細ワークを加工する方法において、加工ワークへの蓄熱を防止しつつ、生産性を高めるための多数個取りの加工方法が確立されていないことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の加工ワークを移動ステージ上に配列させ、この複数の加工ワークに対し頻繁かつ均等にフェムト秒レーザ光を配分しながら照射することにより、複数個の加工ワークに対する同時加工と、上記レーザの分散照射による加工ワークの温度上昇を抑制することにより、加工の連続性を高め生産性を向上させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の多数個取りの加工方法は、フェムト秒レーザ光により複数の微小ワークを自在に加工する方法に係り、多数個の加工を同時進行させることによる段取りの手間の削減や生産性の向上と共に、個々のワークへの局所的な蓄熱を避けることによる高精度加工を実現できる利点がある。
そして、ワークの個数が多いほど、単位時間当たりの各ワークへの蓄熱を減らすことができ、熱の影響を最小限に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では、反射ミラーによりフェムト秒レーザ光を頻繁且つ均等に分配し、箱体内の移動ステージに配列させた同形状のワークに対し、同時進行で3次元加工の多数個取りを行う加工方法を実現した。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明による加工装置の基本構成を示しており、コンピュータ12のソフトウエア処理により、制御ユニット11を介して、ターミナル15で信号を分配し、信号線13から位置決めやレーザ光の調整等の操作を行う。
フェムト秒レーザ装置1から照射されたレーザ光Lは、ミラー回転制御用サーボモータ10により角度調整されたミラー9により高精度に反射されるため、レーザ光Lは図中で左右方向に自在に位置制御が可能となっている。
パルス状のフェムト秒レーザ光Lは、上記ミラーにより、各微細ワークWに頻繁且つ均等に分配照射される。
加工ワークWを載せた移動ステージ14はX、Y、Z各軸のサーボモータ3、4、5により、高精度かつ自在に移動可能となっている。
【0011】
図2は、図1で示した基本構成において気密性を考慮した実施例2の加工装置である。
ワークの置かれた箱体7は気密性があり、また箱体7の上部にはレーザ光Lが透過可能なガラス窓8を設けている。
この箱体7は、直交3軸の移動ステージ14と一体化し、高精度かつ自在に移動可能となっている。
【0012】
図3は、図2の構成において箱体内を減圧可能としたものであり、箱体7に配管18を接続し減圧ポンプ3により箱体7の内部を減圧している。
そして、この箱体7内の減圧度について気圧調整等の制御を加えたい場合は、気圧センサーSによりリアルタイムで箱体内の気圧を監視し、減圧調整用バルブV1にて適宜調整することにより箱体内は所望の気圧に維持可能となる。
【0013】
次に、箱体内を各種ガスで満たす方法を図4に示す。
まず、ガス調整用バルブV2を閉めた状態で、箱体7の内部の空気を気圧センサーSにて確認しながら所望の気圧になるまで減圧ポンプ11にて調整後、減圧調整用バルブV1を閉め、次にガス調整用バルブV2を少しづつ開くことにより、ガスボンベBから配管18を経由し箱体内にガスGが流入するので、これが所望の気圧になったところでガス調整用バルブV2を閉める。
その後は、気圧センサーSの測定値により減圧調整用バルブV1、ガス調整用V2を適宜制御し、箱体内のガス圧の安定化を図ることとなる。
【0014】
本発明は微細な加工ワークへの適用を想定しているが、1ミリ未満の大きさのワークでは目視による確認が難しい。
特に、加工実績が十分にない加工ワークの場合は、図5に示すように、マイクロスコープMにより加工ワーク及びその加工状況を確認しながら加工ワークの観察やレーザ照射の調整等を適宜行うこととなる。
マイクロスコープMは信号線13により画像処理ユニット16に接続され、ここでデジタル変換等の画像処理を行った後、パソコン12にてデータ処理の状況やワーク等の映像の表示等を行う。
【0015】
また、図6に示すように、箱体7上部のガラス窓8はパッキング17を介して密着しているので、ガラス窓8を取り外し、加工ワークの直上からマイクロスコープMにてワークを観測することも可能である。
この場合、図7に示すように、移動ステージ14の位置決めとマイクロスコープMの画像入力を合わせて行うことにより、加工前のワーク表面の検査や、多数個に配列されたワークの位置誤差の認識、また加工後のワーク検査などを自動的に行うことも可能である。
なお、ガラス窓8が加工ワークWに近ければ、ガラス窓越しにマイクロスコープMで観測可能である。
【0016】
次に、実際の加工手順に則して説明を行う。
図8に示すように、多数個の加工ワークW01、W02、・・・は加工ワーク用プレートP上に整然と並べられた状態で、移動ステージに載せられるか、もしくは箱体内に納められる。
そして、フェムト秒レーザ光は反射ミラーの可動範囲の範疇において、頻繁且つ均等に分配されるが、この配置では、W01、W02、・・・W10への照射を1サイクルとして、再度W01、W02、・・・W10を繰り返していくことにより、見かけ上同時進行で、多数個取りによる加工が進行する。
そして、W01からW10までの加工工程が終了すると、移動ステージ14により箱体が移動し、今度はW11からW20が加工対象となる。
【0017】
次に、図9にてフェムト秒レーザ光の分配方法を示す。
なお、わかりやすくするために、加工ワークの個数を2個とした場合で説明する。
まず、ミラー回転制御用サーボモータ10によりミラー9の反射角度を調整し、最初のレーザ光L1がワークW01に照射される。
次に、ミラー回転制御用サーボモータ10によりミラー9の反射角度を変更し、レーザ光L2がワークW02に照射される。
次に、ミラーの反射角度を最初にL1を照射した時の角度に戻しつつ、加工ワーク用プレートPを移動させ次の照射位置に位置決めする。
そしてレーザ光L11、L12を照射し加工ワーク用プレートPを移動させ、レーザ光L21、L22を照射し加工ワーク用プレートPを移動させるというような、フェムト秒レーザ光の分散照射と加工ワーク用プレートPの移動の繰り返しにより、多数個の加工ワークに対し加工が同時進行する。
なお、図9で示したレーザ光の照射については、通常はL1、L11、L12は同一位置に対する照射であり、L2、L12、L22も同様である。
通常使用では移動ステージによりワーク側が移動するため、光源側が固定で相対移動するのであるが、説明をわかりやすくするためこのように記載した。
【0018】
移動ステージについては、直交3軸により自在に位置決め可能である。
例えば、図10に示すように、破線枠で示したエリア21のような方向に移動ステージを動かしフェムト秒レーザを照射するようにすれば、2次元形状作成に対応できる。
【0019】
また、図11は加工ワークの断面をブロック化し簡略に示したものであるが、例えば、加工部22がフェムト秒レーザを1単位照射、加工部23が2単位照射というように、同一個所に対してレーザ光の照射回数を制御することにより加工深さの調整も可能である。
【0020】
上述したように、テーブル移動と照射回数の調整により、複数個の加工ワークに対し同時進行で3次元加工を行うことが可能となる。
特に、フェムト秒レーザ光による3次元加工の場合、照射回数が必然的に多くなるため従来方法ではワークへの蓄熱が心配されるところであるが、本発明によれば、フェムト秒レーザ光は頻繁且つ均等に分配されるため、単位時間当たりの各ワークへのレーザ照射量は低く押さえられ熱の悪影響を抑制でき、これはワークの個数がより多くなれば更に低く抑制できる。
【0021】
そして、図12に示すように、1行(または1列)のワークの加工が終了すると、破線枠25で示した次行のワークプレートに位置決めし、次の行(または次の列)のワークの加工に取りかかることとなる。
なお、ワークが非常に蓄熱しやすい場合や、ワークが非常に熱に弱い場合など、特に熱の配慮が必要な時は、W01、W02、・・・、W11、W12の順で加工することにより、単位時間当たりに各ワークへ照射されるレーザ光の量を減らし、かつワークの冷却期間を長く取ることで、レーザ光照射による熱の悪影響を抑制することが可能である。
【0022】
上記では、ミラーによるフェムト秒レーザ光の反射方法を示したが、反射ミラーの替わりにポリゴンミラー19を使用することも可能であり、これを図13に示す。
フェムト秒レーザ装置1から射出されたフェムト秒レーザ光Lは、ミラー回転制御用サーボモータ10によりポリゴンミラー19の角度を高精度かつ自在に調整し、フェムト秒レーザ光Lの位置を制御する。
【0023】
通常の反射ミラーでは反射角の揺動によりレーザ光の位置制御をするが、このような角度制御は高精度な半面、その制御速度を著しく向上させることは難しい。
しかし、複数の反射面を持つポリゴンミラー19を揺動ではなく回転させることにより更なる高速化が可能となる。
同時加工する加工ワークの数が非常に多い場合、これに見合うだけのフェムト秒レーザ光の分配能力が必要となるが、上記の方法により対応可能となる。
【0024】
また、図14に示すようにポリゴンミラー19の各反射面R1、R2、・・について、各平面にそれぞれ傾きを持たせることにより、ポリゴンミラー側で反射光を2次元的に分配する事が可能となる。
これにより、より多くの加工ワークに対して高速にフェムト秒レーザ光を分配できるようになると共に、単位時間当たりの各ワークへの蓄熱を抑制することが可能となる。
【0025】
フェムト秒レーザ光による3次元加工では、ワークWに対し打ち込むレーザ光の回数を制御することにより、加工深さを調整することが可能である。
つまり、レーザ光Lの1回あたりの照射で除去される加工量を数値管理することにより、高精度に自由形状を造り出すことができる。
【0026】
加工精度と加工時間については、図15に示すように、強度の強いレーザ光LAにより、発熱に注意しながら短時間で加工することも可能であるし、逆に図16に示すように弱レーザLBにより、精度や品質を追求するようなことも可能である。
レーザ光の強度、レーザ光のスポット径、発熱量等の条件の組み合わせにより、状況に合わせて最適な設定をすることととなる。
【0027】
レーザ光の角度については、一般的な使用ならば、反射ミラーと加工ワークとの距離に対して、ワークが微細なため、レーザ光の角度変化の影響は軽微であると考えられるが、特に照射角度による位置誤差を考慮したい場合は、移動ステージのZ方向の移動で位置補正が可能であり、それを図17から図19にて説明する。
【0028】
まず、図17に示すように、直下のワークW1にレーザ光L1を照射する場合、レーザ光の焦点20の位置は加工部に合わせて設定される。
次に、反射ミラーを回転させると、角度のついたレーザ光L2がワークW2に照射される際に、焦点20が加工したい部分より上にずれてしまう。
【0029】
これは図18に示すように、数値処理可能な問題である。
直下に照射したレーザ光L1に対し、角度θだけ変化したレーザ光L2の横方向の移動量は、(距離)×sinθで表すことができる。
そして、高さ方向Dについては、tan(θ/2)×(距離)×sinθで表すことができるため、この誤差を事前に検証し、全体的な位置誤差が許容範囲になるように移動ステージを位置決めればよい。
そうすることにより、図19(a)、図19(b)に示すように、加工ワークW1の加工の時は図19(a)、加工ワークW1の加工の時は図19(b)のように移動ステージを上記で示した分だけZ方向に補正すればよい。
このように照射角度の変化によるレーザ光の焦点位置のずれにも対応することが可能である。
【0030】
また、箱体内の気密性については、図2に示したように移動ステージ上に箱体を載せ、この中にワークを置く以外に、図20のように、移動ステージまで含めて箱体内に納めることも考えられ、ワークの大きさや個数の規模により、ワークのみの収納か、移動ステージまで含めた収納かを適宜選択できる。
【0031】
また、図21のように、フェムト秒レーザ光の反射ミラーを1個から2個に増やすことにより、加工ワークに対し、フェムト秒レーザ光を2次元的に頻繁且つ均等に分配できるようになる。
フェムト秒レーザ光は、まず1個目の反射ミラー9により2個目の反射ミラー9’に反射可能な範囲内で反射角度の制御がされ、次に、2個目の反射ミラー9’によりフェムトレーザ光が加工ワークに到達する。
各反射ミラー9、9’の設置する位置関係については、フェムト秒レーザ光の分配がしやすいように考慮する必要がある。
各反射ミラーの角度と、実際に加工ワークへ到達した際の平面座標との相関を予め調べておくことにより、これをマッピングし、各反射ミラー角度制御に反映することで対応可能であるが、このような座標変換を行うとパソコン等の処理系の演算負荷はその分高くなる。
【0032】
加工ワークの座標原点ついては、加工ワーク用プレートの基準位置に基づき加工ワークを精度良く並べた後、この加工ワーク用プレート基準位置をもとにした相対位置関係から各加工ワークの位置が定められることとなる。
この加工ワーク用プレートのそれぞれに対し、加工ワークの相対位置とそれに対応するためのレーザ光の照射パターンを予め登録しておけば、複数種類の加工ワークの切り替えに迅速に対応可能となる。
【0033】
本発明の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
フェムト秒レーザにおいて、微細ワークを効率良く大量に生産できるようになるため、マイクロマシン等の生産において多大なコストダウンをもたらすことができる。
本発明によれば、ワークの個数が多くなるほど単位時間当たりの各ワークへのレーザ照射による熱量が低くなり、量産するほどに本発明のメリットが顕著となる。
また、高出力のフェムト秒レーザ光を用いた場合の運用においても、効果的に熱を分散し、加工効率を大きく改善できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は微細ワークの加工において、フェムト秒レーザ加工の効率的な運用を目指したものであるが、光源がフェムト秒レーザ光に以外であっても、レーザ光による熱の影響を受けやすいワークを効率的に量産することが可能であり、熱発生を伴う各種光源の加工機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による加工装置の構成図である。(実施例1)
【図2】本発明による加工装置の構成図である。(実施例2)
【図3】本発明による箱体内の減圧方法を示す操作図である。
【図4】箱体内へのガス充填方法を示す操作図である。
【図5】マイクロスコープを装備した場合の構成図である。
【図6】箱体とガラス窓の構成図である。
【図7】マイクロスコープでワーク検査等を行う際の説明図である。
【図8】ワークプレート上のワークの配置を示す状態図である。
【図9】複数個の同時加工の説明図である。
【図10】二次元形状で加工する際の説明図である。
【図11】レーザ加工で深さ方向の調整する際の説明図である。
【図12】より多くのワークに対しレーザ光を分配する際の説明図である。
【図13】ポリゴンミラーによるレーザ光の反射を示す構成図である。
【図14】異なる反射面をもつポリゴンミラーの説明図である。
【図15】レーザ光の強度と加工深さを示す関係図である。
【図16】レーザ光の強度と加工深さを示す関係図である。
【図17】レーザ光の傾きによるZ方向のずれを示す説明図である。
【図18】レーザ光の傾きによるZ方向のずれを示す幾何図である。
【図19】Z方向のずれを補正するための移動ステージの動作図である。
【図20】移動ステージまで箱体に収めた場合の構成図である。
【図21】反射ミラーが2個の場合の構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1 フェムト秒レーザ装置
2 エアフィルター
3 減圧ポンプ
4 サーボモータ1(X軸)
5 サーボモータ2(Y軸)
6 サーボモータ3(Z軸)
7 箱体
8 ガラス窓
9 ミラー
10 ミラー回転制御用サーボモータ
11 制御ユニット
12 コンピュータ
13 信号線
14 移動ステージ
15 ターミナル
16 画像処理ユニット
17 パッキング
18 配管
19 ポリゴンミラー
20 レーザ光の焦点
A 空気
B ガスボンベ
G ガス
H 加工部
K 1パルス当たりの加工エリア
K1、K2 1パルス当たりの加工エリア
L レーザ光
L1、L2 レーザ光
LA、LB レーザ光(強、弱)
M マイクロスコープ
P 加工ワーク用プレート
S 気圧センサー
W 加工ワーク
W1、W2・・ 加工ワーク
W01、W02・・ 加工ワーク
V1 減圧調整用バルブ
V2 ガス調整用バルブ
θ 反射角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交3軸からなる3次元移動軸を持つ移動ステージの上面に、複数の加工ワークを並べて配置し、
別設したフェムト秒レーザ装置から照射されるフェムト秒レーザ光を、サーボ制御により自在に反射角度を可変可能な反射ミラーにより反射させ、
上記フェムト秒レーザ光を上記加工ワークに照射するレーザ加工方法において、
上記反射ミラーの反射角制御により、複数の加工ワークに対し頻繁且つ均等にフェムト秒レーザ光を分配照射しつつ、移動ステージにより加工ワークを3次元移動させて、フェムト秒レーザ光の連続照射による発熱を複数の加工ワークに分散し、各加工ワークへの蓄熱を防止しつつ、複数個の加工ワークを同時に加工することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項2】
請求項1において、上記反射ミラーに替えて、多面体構造により複数の反射面を持つポリゴンミラーを使用したことを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項3】
請求項1において、移動ステージの上面に、内部に気密性を持つ箱体を接合し、
上記箱体が移動ステージと一体化して移動するようにし、
上記箱体上部にはガラス窓を設け、
上記箱体内部に複数の加工ワークを並べて配置し、
フェムト秒レーザ光を上記箱体上部のガラス窓から上記箱体内に並べて置いた加工ワークに照射するようにし、
上記箱体と減圧ポンプを配管接続し、上記箱体内を減圧状態にして加工することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項4】
請求項1において、移動ステージ及び加工ワーク全体を、気密性を持つ箱体に収納し、
上記箱体上部にはガラス窓を設け、
フェムト秒レーザ光を上記箱体上部のガラス窓から上記箱体内に並べて置いた加工ワークに照射するようにし、
上記箱体と減圧ポンプを配管接続し、上記箱体内を減圧状態にして加工することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項5】
請求項1において、反射ミラーの個数を2個にすることにより、フェムト秒レーザ光を加工ワークに対し、2次元的に頻繁且つ均等に分配することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項6】
請求項3、請求項4において、箱体内を減圧した後、
上記箱体内に窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、アルゴン、ヘリウムの任意の組み合わせから成る混合ガスを充填し、フェムト秒レーザ光により加工することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項1】
直交3軸からなる3次元移動軸を持つ移動ステージの上面に、複数の加工ワークを並べて配置し、
別設したフェムト秒レーザ装置から照射されるフェムト秒レーザ光を、サーボ制御により自在に反射角度を可変可能な反射ミラーにより反射させ、
上記フェムト秒レーザ光を上記加工ワークに照射するレーザ加工方法において、
上記反射ミラーの反射角制御により、複数の加工ワークに対し頻繁且つ均等にフェムト秒レーザ光を分配照射しつつ、移動ステージにより加工ワークを3次元移動させて、フェムト秒レーザ光の連続照射による発熱を複数の加工ワークに分散し、各加工ワークへの蓄熱を防止しつつ、複数個の加工ワークを同時に加工することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項2】
請求項1において、上記反射ミラーに替えて、多面体構造により複数の反射面を持つポリゴンミラーを使用したことを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項3】
請求項1において、移動ステージの上面に、内部に気密性を持つ箱体を接合し、
上記箱体が移動ステージと一体化して移動するようにし、
上記箱体上部にはガラス窓を設け、
上記箱体内部に複数の加工ワークを並べて配置し、
フェムト秒レーザ光を上記箱体上部のガラス窓から上記箱体内に並べて置いた加工ワークに照射するようにし、
上記箱体と減圧ポンプを配管接続し、上記箱体内を減圧状態にして加工することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項4】
請求項1において、移動ステージ及び加工ワーク全体を、気密性を持つ箱体に収納し、
上記箱体上部にはガラス窓を設け、
フェムト秒レーザ光を上記箱体上部のガラス窓から上記箱体内に並べて置いた加工ワークに照射するようにし、
上記箱体と減圧ポンプを配管接続し、上記箱体内を減圧状態にして加工することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項5】
請求項1において、反射ミラーの個数を2個にすることにより、フェムト秒レーザ光を加工ワークに対し、2次元的に頻繁且つ均等に分配することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【請求項6】
請求項3、請求項4において、箱体内を減圧した後、
上記箱体内に窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、アルゴン、ヘリウムの任意の組み合わせから成る混合ガスを充填し、フェムト秒レーザ光により加工することを特徴とするフェムト秒レーザ光のための多数個取りの加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−55880(P2006−55880A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239290(P2004−239290)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000121202)エンシュウ株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000121202)エンシュウ株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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