説明

フォトクロミック二色性色素としての6−(ビフェニル−エステル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン及びそれを含有する光学物品

式(I)により表されるナフトピラン化合物。[式中、n1、n2、p、m及びqが整数を示し;R1、R2及びR4が、ハロゲン、-Ra、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-NRbRc、-CO-Ra、-CO2Ra1、-OC(O)-Rd、-X-(Re)-Y(Ra、Ra1、Rb、Rc、X、Y、Rc及びRdが、上記に定義したとおりである)、直鎖若しくは分枝(C1〜C18)のペルフルオロアルキル基から選択される基を示し;Zは、CO、CS、SO、SO2、CO2、C(O)S、CS2、C(O)NH、C(O)NRa、C(S)NH、C(S)NR4及びC=NRaから選択される基を示し;R3は、ハロゲン、-Ra、直鎖若しくは分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2及び-NRaRa1から選択される基を示し;R6は、場合により置換されていてもよい-Ra、直鎖若しくは分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル、場合により置換されていてもよいシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択される基を示し;R5は、ハロゲン、-Ra、直鎖若しくは分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-CO-Ra、-O-C(O)-Ra及び-CO2Ra1から選択される基を示し;又はqが2であるとき、2個のR5置換基は更に-O-(CH2) q1-O-基(式中、q1は1及び3を含む1〜3からなる整数を示す)を一緒に示してもよい。]


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトクロミックである一群の新規の色素、及び光学物品、特に眼科用レンズ等の光学レンズにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトクロミズムは、ある部類の化合物で認められる周知の物理現象である。この現象の詳細な考察は、「Photochromism: Molecules and Systems」、Studies in Organic Chemistry 40、H. Durr及びH. Bouas-Laurent著、Elsevier、1990年中に見出すことができる。
【0003】
いくつかの置換3H-ナフト[2,1-b]ピランは、例えばWO第99/31082号、米国特許第6630597号、米国特許第5552090号、米国特許第5520853号及び米国特許第5623005号に記載されているように、可逆的フォトクロミック作用を示すことができることが知られている。しかし、これらの3H-ナフト[2,1-b]ピラン化合物のいずれも二色性を有することは報告されていない。
【0004】
受動的フォトクロミックデバイス、即ち吸光度が紫外線の有無にのみ依存するフォトクロミック色素を含有するデバイスは、通常かなり迅速な活性化(着色)を示すが、着色状態から無色状態に戻るには、一般的に数分又は数十分もかかる。この緩やかな退色は、太陽光から離れて、薄暗い状態に入るとき、視界をはっきりさせるためにメガネを外さなくてはならないフォトクロミックメガネの利用者にとって深刻な欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO第99/31082号
【特許文献2】米国特許第6630597号
【特許文献3】米国特許第5552090号
【特許文献4】米国特許第5520853号
【特許文献5】米国特許第5623005号
【特許文献6】米国特許第5936087号
【特許文献7】PCT WO第99/31082号
【特許文献8】WO第2006/013250号
【特許文献9】FR第2879757号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Photochromism: Molecules and Systems」、Studies in Organic Chemistry 40、H. Durr及びH. Bouas-Laurent著、Elsevier、1990年
【非特許文献2】M.S. Newman、V. Sankaran及びD. Olson、J. Am. Chem. Soc.、1976年、98、3237
【非特許文献3】Org Synth. Coll.、3巻、637頁
【非特許文献4】K.H. Bell及びL.F. McCaffrey、Aust. J. Chem、1993年、46、731
【非特許文献5】A. Suzuki、J. Organomet. Chem、1999年、576、147
【非特許文献6】N. Miyaura、Top. Curr. Chem、2002年、219、11
【非特許文献7】V. Percec、P. Chu及びM. Kawasumi、Macromolecules、1994年、27、4441
【非特許文献8】C.R. Hauser、F.W. Swamer及びJ.T. Adams、Org. React.、1954年、8、126
【非特許文献9】B.R. Davies及びP.J. Garratt、Comprehensive Organic Synthesis、Pergamon、Oxford、1991年、2巻、795頁
【非特許文献10】A.V. Kel' in及びY. Yu. Kozyrkov、Synthesis、1998年、729
【非特許文献11】C.D. Gabbutt、J.D. Hepworth、B.M. Heron、S.M. Partington及びD.A. Thomas、Dyes Pigm.、2001年、49、65
【非特許文献12】B. Van Gemert、Organic Photochromic and Thermochromic Compounds、1巻
【非特許文献13】Main Photochromic Families、J.C. Crano及びR. Gugglielmetti著、Plenum Press、New York、1998年、111頁
【非特許文献14】J. D. Hepworth及びB. M. Heron、Functional Dyes、S.H. Kim著、Elsevier、Amsterdam、2006年、85頁
【非特許文献15】J-H. Ryu、J. Bae及びM. Lee, Macromolecules、2005年、38、2050
【非特許文献16】D.J. Aitken、S. Faure及びS.S. Roche、Tetrahedron Lett.、2003年、44、8827
【非特許文献17】M. E. Hart等、J. Med. Chem.、2006年、49、1101
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
出願人等は、着色状態における高い吸収、速い着色速度及び退色速度等の良好なフォトクロミック特性を示すだけでなく、空間的に規則的な状態において、例えば液晶又は配向高分子ホスト材料中に組み込まれると、二色性及び直線偏光が可能となり得る、新しいフォトクロミック色素を提供することを目的として、広範な研究に着手した。
【0008】
出願人等は、現在、ナフトピラン環のC-6位でメソゲニック置換ビフェニル-エステル基(mesogenic substituted biphenyl-ester group)を有する、一群の新しいフォトクロミック性3H-ナフト[2,1-b]ピランを合成した。これらの新しい化合物は、二色性を有し、その一部は、室温で液体となり得る。これらの液体フォトクロミック色素は、本発明の特定の実施形態を示す。
【0009】
ビフェニル-エステル部の導入は、活性化状態におけるフォトクロミック色素の二色性を顕著に改善し、また室温で色素の状態に影響を与える。新しい色素は、液晶又は配向ポリマー等の異方性ホスト材料に組み込まれると、ホスト材料分子と強く連携し、着色状態において強い二色性、即ち偏光を示すであろう。
【0010】
出願人等は、本発明の新しいフォトクロミック色素は、特に、液状、メソ形(mesomorphous)若しくはゲル状のホスト媒体中で、又はホスト媒体なしでも室温で溶解されると、速い退色速度を示すことを更に認めた。該フォトクロミック色素は、短時間で、通常は5分未満で着色状態から漂白状態に戻ることができ、従来技術の多くのフォトクロミック色素より優れた重要な利点を構成する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、次式(I)により表される一群の新しいナフトピラン化合物を提供するものである。
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、
n1は、0及び5を含む0〜5からなる整数であり、
n2は、0及び5を含む0〜5からなる整数であり、
pは、0及び4を含む0〜4からなる整数であり、
mは、0及び4を含む0〜4からなる整数であり、
qは、0及び5を含む0〜5からなる整数であり、
R1、R2及びR4は、同一又は異なり、互いに独立にハロゲン、-Ra、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-NRbRc、-CO-Ra、-CO2Ra1、-OC(O)-Rd、-X-(Re)-Y、及び直鎖又は分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基から選択される基を示し、
ここで、
Raは、直鎖又は分枝の(C1〜C 18)アルキル基を示し、
Ra1は、水素及び直鎖又は分枝の(C1〜C18)アルキル基から選択される基を示し、
Rb及びRcは、
窒素原子と一緒に、かつそれと組み合わせて、O、N及びSから選択される1個の追加のヘテロ原子を場合により含み、同一若しくは異なり、ハロゲン、-Ra、-OH、-ORa、-NH2、及び-NRaRa1(式中、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)から選択される1個若しくは2個の基によって場合により置換されていてもよい、5〜7員の飽和複素環基を示すか、又は
窒素原子及び隣接するフェニル基と一緒に、かつそれらと組み合わせて、次式(A)、(B)、(C)若しくは(D)(式中、tは0及び2を含む0〜2からなる整数であり、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)の複素環基を形成し、
【0014】
【化2】

【0015】
Xは、酸素原子、-N(Ra1)-、硫黄原子、-S(O)-及び-S(O2)-(式中、Ra1は上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、
Yは、-ORa1、-NRa1Ra2及び-SRa1(式中、R a1は上記に定義したとおりであり、Ra2は水素及び直鎖又は分枝の(C1〜C18)アルキル基から選択される基を示す)から選択される基を示し、
Reは、ハロゲン、ヒドロキシル、直鎖又は分枝の(C1〜C6)アルコキシ、及びアミノから選択される基により場合により置換されていてもよい、直鎖又は分枝の(C1〜C18)アルキレン基を示し、
Rdは、ハロゲン、-Ra、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-NRbRc、-CO-Ra、-CO2Ra1(式中、Ra、Ra1、Rb、Rc、Rd、Re及びYは上記に定義したとおりである)から選択される1〜4個の基により場合により置換されている、直鎖又は分枝の(C1〜C18)アルキル基、-(Re)-Y及びアリール基から選択される基を示し、
R3は、ハロゲン、-Ra、直鎖又は分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2及び-NRaRa1(式中、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、
R6は、
ハロゲン、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-CO-Ra及び-CO2Ra1(式中、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)から選択される基によって場合により置換されていてもよい-Ra
直鎖又は分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、
ハロゲン、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-CO-Ra、-O-C(O)-Ra及び-CO2Ra1から選択される1〜4個の基により場合により置換されていてもよい、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール
から選択される基を示し、
R5は、
ハロゲン、-Ra、直鎖若しくは分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-CO-Ra、-O-C(O)-Ra及び-CO2Ra1(式中、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、又は
qが2であり、2個のR5置換基がナフト[2,1-b]ピラン基のC-7、C-8、C-9及びC-10から選択される2個の隣接する炭素原子上に位置するとき、それらは更に-O-(CH2) q1-O-基(式中、q1は1及び3を含む1〜3からなる整数を示す)を一緒に示してもよく、
Zは、CO、CS、SO、SO2、CO2、C(O)S、CS2、C(O)NH、C(O)NRa、C(S)NH、C(S)NRa及びC=NRa(式中、Raは上記に定義したとおりである)から選択される基を示す。]
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、
シクロアルキルは、単環式又は二環式であってよい、3〜12員炭素環を意味し、
ヘテロシクロアルキルは、酸素、窒素及び硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む、上記に定義したとおりのシクロアルキルを意味し、
アリールは、フェニル基又はナフチル基を意味し、
ヘテロアリールは、酸素、窒素及び硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子からなる、3〜10員の単環又は二環を意味し、
ハロゲンは、臭素、塩素、ヨウ素及びフッ素から選択される原子を意味することが理解される。
【0017】
本発明による好ましいナフトピランは、
式中、n1は、0又は1であり、R1は、フェニル基のパラ位又はオルト位に位置するハロゲン、-OH及び-ORa(式中、Raは上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、
n2は、1であり、R2は、フェニル基のパラ位に位置するハロゲン、-OH、-ORa及び-NRbRc(式中、Ra、Rb及びRcは上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、
mはゼロであり、
pはゼロであり、
qは0及び2を含む0〜2からなる整数であり、R5はナフト[2,1-b]-ピラン基のC-8及び/又はC-9に位置する-OH及び-ORaから選択される基を示し、
R6は、ハロゲン及び-ORa(式中、Raは上記に定義したとおりである)から選択される1〜4個の基により置換されていてもよい、-Ra、直鎖又は分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、アリール、ヘテロアリールから選択される基を示し、
Zは、CO及びSO2から選択される基を示す
式(I)の化合物である。
【0018】
式(I)の最も好ましい化合物の例としては、以下の式(a)〜(i)によって表される化合物がある。
【0019】
【化3A】

【0020】
【化3B】

【0021】
式(I)によって表される化合物は、以下の記述及びスキームに従って調製できる。
【0022】
必用なナフトールは、スキーム1〜4に示すように調製した。したがって、4-ブロモ-2-ナフトール(1)は、スキーム1に示すように、公開された手順(M.S. Newman、V. Sankaran及びD. Olson、J. Am. Chem. Soc.、1976年、98、3237)に従って1-ナフチルアミンを順次臭素化、ジアゾ化及び還元をすることにより調製した。1,3-ジヒドロキシナフタレンは、Meyer and Blochの手順(Org Synth. Coll.、3巻、637頁)により容易に入手でき、選択的にメチル化して、3-メトキシ-1-ナフトールを高い収率で得た(K.H. Bell及びL.F. McCaffrey、Aust. J. Chem、1993年、46、731)。次いで、無水トリフルオロメタンスルホン酸でスルホニル化して(S.C. Benson、J.Y.L. Lam、S.M. Menchen、米国特許第5936087号)、収率74%でトリフラート(2)を得た(スキーム2)。過剰な三臭化ホウ素で処理した後、(2)と4'-メトキシビフェニル-4-ボロン酸(V. Percec、P. Chu及びM. Kawasumi、Macromolecules、1994年、27、4441)とのSuzuki-Miyauraカップリング(A. Suzuki、J. Organomet. Chem.、1999年、576、147;N. Miyaura、Top. Curr. Chem.、2002年、219、11)により、(3)を得た(スキーム3)。ナフトール(4)の調製は、水素化ナトリウムを介したメチル(3,4-ジメトキシフェニル)アセテート及び4'-ブロモアセトフェノンの最初のクライゼン縮合を伴った(スキーム4)。この種の活性CH化合物のアシル化反応は総説されている(C.R. Hauser、F.W. Swamer及びJ.T. Adams、Org. React.、1954年、8、126; B.R. Davies及びP.J. Garratt、Comprehensive Organic Synthesis、Pergamon、Oxford、1991年、2巻、795頁)。1,3-ジケトン中間体の(4)への脱水環化は、酸性条件下で行われた(A.V. Kel' in及びY. Yu. Kozyrkov、Synthesis、1998年、729、J. Lin及びB. Van Gemert、PCT WO第99/31082号)。スキーム5によるリチウムトリメチルシリルアセチリド及びベンゾフェノンからの1,1-ジアリールプロプ-2-イン-1-オール(5)の調製が文書化されている(例えば、C.D. Gabbutt、J.D. Hepworth、B.M. Heron、S.M. Partington及びD.A. Thomas、Dyes Pigm.、2001年、49、65)。6置換ナフト[2,1-b]ピランの調製は、スキーム6に示すように、適当な2-ナフトール(1)、(3)又は(4)及びアルキノール誘導体(5)の酸触媒縮合によって実現される。このナフトピランへの経路が、概説されている(B. Van Gemert、Organic Photochromic and Thermochromic Compounds、1巻: Main Photochromic Families、J.C. Crano及びR. Gugglielmetti著、Plenum Press、New York、1998年、111頁; J.D. Hepworth及びB.M. Heron、Functional Dyes、S.-H. Kim著、Elsevier、Amsterdam、2006年、85頁)。ブロモナフトピラン(6)及び(8)は、適当な4'-(トリアルキル)シリルオキシ-4-ビフェニルボロン酸(例えば、J-H. Ryu、J. Bae及びM. Lee, Macromolecules、2005年、38、2050参照)及び置換4-(トリアルキル)シリルオキシフェニルボロン酸(例えば、D.J. Aitken、S. Faure及びS.S. Roche、Tetrahedron Lett.、2003年、44、8827及びM. E. Hart等、J. Med. Chem.、2006年、49、1101参照)にSuzuki-Miyauraカップリングし、シリル官能基を除去した後、6-(4'-ヒドロキシ-4-ビフェニル)ナフト[2,1-b]ピランを得ることにより更に修飾するための基材であって、前記ピランは、例えば、ピリジン中の酸ハロゲン化物でアシル化して、一般構造式(I)の6-(4'-アシルオキシ-4-ビフェニル)ナフト[2,1-b]ピランを得てもよい。或いは、ナフトピラン(7)は、実施例(a)及び(b)によって例示されているのと同様にアシル化してもよい。これらの3つの一般的なシーケンスが、スキーム7に示されている。より具体的には、4-(トリイソプロピルシリルオキシ)フェニルボロン酸をブロモナフトピラン誘導体(8)にSuzuki-Miyauraカップリングし、次いで、トリイソプロピルシリル官能基をフッ化物を介して除去することが、スキーム8に例示されている。
【0023】
【化4】

【0024】
【化5】

【0025】
【化6】

【0026】
【化7】

【0027】
【化8】

【0028】
【化9】

【0029】
【化10】

【0030】
【化11】

【0031】
本発明のフォトクロミック化合物は、単独で、本発明の他のビフェニル-エステルナフトピランと組み合わせて、及び/又は1つ若しくは複数の他の適当な相補的な有機フォトクロミック材料、即ち、約400〜700ナノメートルの間の範囲内に少なくとも1つの活性化吸収極大を有する有機化合物と組み合わせて使用してもよい。また、相容性の色素及び顔料は、例えばより高い美的結果を得るため、より中間色にするため、若しくは特定の波長の入射光を吸収するため、又は所望の色相を得るために、本発明のフォトクロミック色素と混合してもよい。
【0032】
本発明は、本発明の1つ又は複数のナフトピラン化合物(I)を含む光学物品も提供する。本発明のナフトピラン化合物(I)は、あらゆる種類の光学デバイス及び素子、例えば眼科用素子及びデバイス、表示素子及びデバイス、窓又は鏡において使用できる。眼科用素子の非限定的な例としては、分割されていても又は分割されていなくてもよい、単焦点レンズ又は多焦点レンズを含む、矯正レンズ及び非矯正レンズ、並びにそれだけに限らないが、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、及び保護レンズ、又はバイザーを含む、視力を矯正、保護、又は強化するために使用する他の素子が挙げられる。表示素子及びデバイスの非限定的な例としては、スクリーン又はモニターが挙げられる。窓の非限定的な例としては、自動車及び航空機のスライド、フィルター、シャッター及び光スイッチが挙げられる。
【0033】
本発明の光学物品は、好ましくはレンズ、より好ましくは眼科用レンズである。
【0034】
ナフトピラン化合物は光学物品中で使用する場合、例えば光学物品の高分子材料の大部分に組み込むことができる。このような高分子ホスト材料は、一般的に透明又は光学的に透明な固体材料である。好ましい高分子ホスト材料としては、例えばポリオール(アリルカーボネート)モノマー、ポリアクリレート、ポリ(トリエチレングリコールジメトアクリレート)、ポリペルフルオロアクリレート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ[ジエチレングリコールビス(アルキルカーボネート)]、及びそれらの混合物からなるポリマーがある。
【0035】
本発明のフォトクロミック物質は、当分野で記載されている様々な方法によって高分子ホスト材料中に組み込むことができる。このような方法は、重合前にフォトクロミック物質をモノマーホスト材料に加えることによって、又はフォトクロミック物質の熱溶液中にホスト材料を浸漬することでフォトクロミック物質をホスト材料中に吸収させることによって、ホスト材料内にフォトクロミック物質を溶解又は分散することを含む。
【0036】
本発明の別の好ましい実施形態では、フォトクロミック色素は、有機高分子ホスト材料の大部分には組み込まれないが、光学基材上に施された表面皮膜又はフィルムに組み込まれる。該基材は、光学的用途において汎用されているガラス又は有機ポリマー等、透明又は光学的に透明な材料であることが好ましい。
【0037】
本発明は、当然ながら、光学物品の大部分、該物品の皮膜、又は該物品上に施されるフィルムのいずれかに組み込まれる式(I)の少なくとも1種のナフトピラン化合物を有する光学物品も包含する。
【0038】
本発明の更により好ましい実施形態では、本発明のフォトクロミックナフトピラン化合物を組み込む皮膜又はフィルムは、異方性のフィルム又は皮膜である。即ち、色素分子のための配向層として機能できる層又は媒体を含む。このような配向層は、ポリビニルアルコール(PVA)等の、例えば有機層であってよい。二色性色素分子を配向する1つの一般的な方法は、PVAシート又はPVA層を加熱して軟らかくし、該シートを引き伸ばし、ポリマー鎖を配向させることを伴う。次いで、二色性色素を引き伸ばしたシートに含浸させると、色素分子がポリマー鎖を配向させる。或いは、まず、二色性色素をPVAシート中に含浸させた後、該シートを上記のように加熱し、引き伸ばして、PVAポリマー鎖及び関連する色素を配向させてもよい。この方法では、二色性色素分子を、PVAシートに配向させたポリマー鎖内に適切に配置又は構成でき、正味の直線偏光が実現できる。
【0039】
本発明の更に好ましい実施形態では、新規のナフトピラン化合物は、固体、等方性又は異方性のホスト材料中には組み込まれないが、液状、メソ形又はゲル状のホスト媒体中には組み込まれる。このような液状、メソ形若しくはゲル状のホスト媒体中に本発明のナフトピラン化合物を溶解又は分散することにより、着色速度が増加し、退色速度もより劇的に増加する。したがって、回復時間、即ち材料が吸収状態から透明な状態に戻るまでにかかる時間を、5分未満に低減できる。
【0040】
少なくとも1種のナフトピラン化合物を組み込む液状又はメソ形のホスト媒体は、有機溶媒、液晶及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される。
【0041】
本発明のナフトピラン化合物は、好ましくはホスト媒体中に溶解させる。
【0042】
有機溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、エタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、N-メチルピロリドン、2-メトキシエチルエーテル、キシレン、シクロヘキサン、3-メチルシクロヘキサノン、エチルアセテート、エチルフェニルアセテート、エチルメトキシフェニルアセテート、プロピレンカーボネート、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、テトラヒドロフラン、メタノール、メチルプロピオネート、エチレングリコール、及びそれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0043】
本発明で使用できる液晶媒体としては、それだけに限らないが、ネマチック媒体又はキラルネマチック媒体等の材料が挙げられる。或いは、高分子液晶媒体は、ホスト材料として使用してもよい。これらの液晶及び高分子液晶媒体は、有機溶媒、例えば上記の有機溶媒の1つと一般的に併用される。
【0044】
液状、メソ形又はゲル状のホスト媒体、及び本発明のナフトピラン化合物の少なくとも1つの混合物は、機械的に安定な環境に該混合物を保持するための機構を含有するデバイス中に組み込むことが好ましい。
【0045】
機械的に安定な環境に該混合物を保持するためのデバイスは、参照により本明細書に具体的に組み込まれている、WO第2006/013250号及びFR第2879757号に記載のものが好ましい。
【0046】
本発明の好ましい光学物品は、WO第2006/013250号に開示されている、その表面に平行な方向に並んだ少なくとも1つの透明なセル配列を備える光学部品を含み、各セルはしっかり閉じられ、かつ前記液状、メソ形又はゲル状のホスト媒体、及び本発明の前記少なくとも1種のナフトピラン化合物を含有している。透明なセル配列は、部品表面と垂直な高さが、100μm未満、好ましくは1μm〜50μmの間である層を形成する。
【0047】
透明なセル配列は、前記光学部品の透明な硬質基材上に直接形成してもよく、或いは透明なセル配列を組み込む透明なフィルムを、光学部品の透明な硬質基材上に施してもよい。
【0048】
セル配列は、光学部品の全表面の大部分を占めることが好ましい。光学部品の全表面に対してセルが占める全表面の割合は、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは90%〜99.5%の間、及び最も好ましくは96%〜98.5%の間である。
【0049】
セル配列は、例えば六角形又は長方形のセルで構成されていてもよく、その大きさは、
(a)好ましくは少なくとも1μm、より好ましくは5μm〜100μmの間である、光学部品の表面と平行な大きさ、
(b)好ましくは100μm未満、より好ましくは1μm〜50μmの間である、部品表面と垂直なセルの高さ、及び
(c)好ましくは0.10μm〜5.00μmの間である、しっかり閉じたセルを互いに隔てる仕切の厚さ
によって記述できる。
【実施例】
【0050】
[実施例の化合物の合成で使用した中間体化合物の合成]
(3-メトキシナフタレン-1-イルトリフルオロメタンスルホネート)
【0051】
【化12】

【0052】
無水トリフルオロメタンスルホン酸(9.35g、32.8mmol)を、ジクロロメタン(100ml)中の3-メトキシ-1-ナフトール(5.77g、32.8mmol)及びEt3N(10ml)溶液に0℃にて撹拌しながら滴下した。1時間後、得られた溶液をHCl(50ml、1M)で洗浄し、Na2CO3 (50ml)で飽和し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣をEtOAc(ヘキサン中7%)を用いてシリカ上でクロマトグラフにかけ、無色の油として表題化合物(7.45g、74%)を得た。
【0053】
(3-メトキシ-1-(4'-メトキシ-4ビフェニル)ナフタレン)
【0054】
【化13】

【0055】
PhMe(20ml)及びEtOH(20ml)中の3-メトキシナフタレン-1-イルトリフルオロメタンスルホネート(0.5g、1.7mmol)、(4'-メトキシ-4-ビフェニル)ボロン酸(0.58g、2.5mmol)、Na2CO3(0.27g、2.5mmol)及びPd(PPh3)4(40mg、2mol%)の混合物をN2下にて還流で加熱した。2時間後、該混合物を冷却し、水(100ml)中に注入し、ジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣をジクロロメタン中で溶解し、短いシリカプラグを介して濾過し、溶媒を減圧除去して、無色粉末として表題化合物(0.44g、76%)を得た。
【0056】
(4-(4'-ヒドロキシ-4-ビフェニル)-2-ナフトール)
【0057】
【化14】

【0058】
三臭化ホウ素(1.00g、3.9mmol)を、ジクロロメタン(50ml)中の3-メトキシ-1-(4'-メトキシ-4-ビフェニル)ナフタレン(0.44g、1.3mmol)溶液にN2下で0℃にて滴下した。該溶液を室温まで昇温させ、終夜撹拌を続けて、水(200ml)中に注入し、Et2O(3×50ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去し、茶色粉末として表題化合物(0.40g、100%)を得た。
【0059】
(1-(4-ブロモフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタン-1,3-ジオン)
【0060】
【化15】

【0061】
水素化ナトリウム(60%分散、3.80g、95.1mmol)を、Et2O(100ml)中のメチル-2-(3,4-ジメトキシフェニル)アセテート(10g、47.6mmol)に0℃にて少量ずつ加えた。Et2O(50ml)中の4'-ブロモアセトフェノン(9.48g、47.6mmol)溶液を1時間かけて滴下した。該混合物を還流で16時間加熱し、冷却し、氷/HCl(2M)中に注入し、Et2O(3×100ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣をMeOHから結晶化して、黄褐色粉末として表題化合物(9g、50%)を得た。
【0062】
(4-(4-ブロモフェニル)-6,7-ジメトキシ-2-ナフトール)
【0063】
【化16】

【0064】
85%リン酸中の1-(4-ブロモフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタン-1,3-ジオン(3g、8mmol)を70℃で20時間加熱した。得られた溶液を冷却し、水(150ml)中に注入し、濾過した。残渣をジクロロメタン(50ml)中に溶解し、水(50ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。溶媒を減圧除去し、茶色粉末として表題化合物(2.56g、90%)を得た。
【0065】
(6-ブロモフェニル-8,9-ジメトキシナフト[2,1-b]ピランの一般的な合成手順)
【0066】
トルエン(100ml)中の4-(4-ブロモフェニル)-6,7-ジメトキシ-2-ナフトール(9.7mmol)、1,1-ジアリールプロプ-2-イン-1-オール(9.7mmol)及び酸性アルミナ(3g)の混合物を還流加熱した。2時間後、該溶液を熱濾過し、残渣をPhMe(50ml)で洗浄した。溶媒を減圧除去し、残渣をシリカ上でクロマトグラフにかけた。溶媒を減圧除去し、残渣をMeOHで洗浄して、表題化合物を得た。これはシリカゲルからのフラッシュクロマトグラフィによって精製した。以下の化合物は、このように調製した。
【0067】
(6-(4-ブロモフェニル)-8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン:溶離液としてジクロロメタン、紫色粉末として64%)
【0068】
【化17】

【0069】
(6-(4-ブロモフェニル)-8,9-ジメトキシ-3-(4-ブトキシフェニル)-3-(9-ジュロリジニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン:溶離液としてジクロロメタン、緑色粉末として51%)
【0070】
【化18】

【0071】
(8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-6-[(4'-(トリイソプロピルシリルオキシ)-4-ビフェニル)]-3H-ナフト[2,1-b]ピラン)
【0072】
【化19】

【0073】
1,2-ジメトキシエタン(50ml)中の6-(4-ブロモフェニル)-8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン(2.4mmol)及び4-(トリイソプロピルシリルオキシ)フェニルボロン酸(3.6mmol)の混合物を、N2でパージすることにより脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5mol%)、次いで脱気水(50ml)中のNa2CO3(7.2mmol)を加えた。該混合物を100℃にて16時間加熱し、冷却し、水中に注入し、ジクロロメタン(5×50ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣は、溶離液としてジクロロメタンを用いてシリカ上でクロマトグラフにかけた。溶媒を減圧除去し、残渣を緩やかな蒸発によりアセトン-メタノールから結晶化して、無色粉末として表題化合物70%を得た。
【0074】
(8,9-ジメトキシ-6-[(4'-(ヒドロキシ)-4-ビフェニル)]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン)
【0075】
【化20】

【0076】
フッ化テトラブチルアンモニウム溶液(THF中1M)(1.26mmol)を、THF(30ml)中の8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-6-[(4'-(トリイソプロピルシリルオキシ)-4-ビフェニル)]-3H-ナフト[2,1-b]ピラン(1.26mmol)溶液に撹拌しながら加えた。5分後、HCl(3ml、1M)を加え、溶媒を減圧除去した。残渣は、溶離液としてジクロロメタン(ヘキサン中70%)を用いてシリカ上でクロマトグラフにかけた。溶媒を減圧除去し、残渣をアセトン/MeOHから結晶化して、クリーム粉末として表題化合物(57%)を得た。融点154〜155℃。
【0077】
(3-[4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-3-[(4-メチルピペリジノ)フェニル]-6-(4'-ヒドロキシ-4-ビフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン)
【0078】
【化21】

【0079】
トルエン(250ml)中の4-(4'-ヒドロキシ-4-ビフェニル)-2-ナフトール(1.60g、5.1mmol)、1-[4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-1-[4-(4-メチルピペリジン-1-イル)フェニル]プロプ-2-イン-1-オール(2.08g、5.1mmol)及びアルミナ(3g)の混合物を還流で加熱した。2時間後、該溶液を熱濾過し、溶媒を減圧除去した。残渣は、溶離液としてEtOAc(ヘキサン中10〜20%)を用いてシリカ上でクロマトグラフにかけた。溶媒を減圧除去して、残渣をAcMe/MeOHから結晶化し、青色粉末として表題化合物(1.94g、54%)を得た。
【0080】
(3-(4-フルオロフェニル)-6-(4'-ヒドロキシビフェン-4-イル)-3-フェニル-3H-ナフト[2,1-b]ピラン)
【0081】
【化22】

【0082】
トルエン(200ml)中の4-(4'-ヒドロキシ-4-ビフェニル)-2-ナフトール(16.14g、52mmol)、1-(4-フルオロフェニル)-1-フェニルプロプ-2-イン-1-オール(11.7g、52mmol)及びトルエン-4-スルホン酸(0.05g)溶液を還流で加熱した。2時間後、該混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(400ml)中に注入し、ジクロロメタン(DCM)(4×100ml)で抽出して、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣は、EtOAc(ヘキサン中10〜30%)を用いてシリカ上でクロマトグラフにかけ、3-(4-フルオロフェニル)-6-(4'-ヒドロキシビフェン-4-イル)-3-フェニル-3H-ナフト[2,1-b]ピランを得た。これを収集し、溶媒を減圧除去した。残渣は、溶離液としてDCMを用いて短いシリカプラグを介して濾過し、溶媒を減圧除去して、橙色固体として表題化合物(19.37g、72%)を得た。これは、更なる精製なしに使用した。
【0083】
(6'[4'-(ヒドロキシ)ビフェニル-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン)
【0084】
この化合物は、3-(4-フルオロフェニル)-6-(4'-ヒドロキシビフェン-4-イル)-3-フェニル-3H-ナフト[2,1-b]ピランの合成手順により、4-(4'-ヒドロキシ-4-ビフェニル)-2-ナフトール及び1-(4-ピロリジノフェニル)-1-フェニル-プロプ-2-イン-1-オールから得る。
【0085】
[実施例a:6-[4'-(4-ブトキシベンゾイルオキシ)-4-ビフェニル]-3-[4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-3-[4-(4-メチルピペリジノ)フェニル]-3H-ナフト[2,1-b]ピラン]
【0086】
【化23】

【0087】
4-ブトキシベンゾイルクロライド(0.18g、0.06mmol)を、ピリジン(0.2ml)を含有するジクロロメタン(50ml)中の3-[4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-3-[4-(4-メチルピペリジノ)フェニル]-6-(4'-ヒドロキシ-4-ビフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン(0.6g、0.86mmol)溶液に室温で滴下した。2時間撹拌した後、該溶液をHCl(2M、40ml)中に注入し、ジクロロメタン(3×30ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣は、溶離液としてEtOAc(ヘキサン中20%)を用いてシリカ上でクロマトグラフにかけた。溶媒を減圧除去して、残渣をAcMe/EtOHから結晶化し、無色のプレートとして表題化合物(0.10g、13%)を得た。融点92〜94℃。
【0088】
[実施例b:6-[4'-(4-ドデカノイルオキシ)-4-ビフェニル]-3-[4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-3-[4-(4-メチルピペリジノ)フェニル]-3H-ナフト[2,1-b]ピラン]
【0089】
【化24】

【0090】
ドデカノイルクロライドを、DCM(30ml)及びピリジン(1ml)中の3-[4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-3-[4-(4-メチルピペリジノ)フェニル]-6-(4'-ヒドロキシ-4-ビフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン(0.5g、0.7mmol)溶液に室温で滴下した。得られた溶液を1時間撹拌し、HCl(2M、100ml)中に注入し、ジクロロメタン(3×30ml)で抽出して、NaOH(2M、100ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣を、EtOAc(ヘキサン中20〜100%勾配)を用いてシリカ上でクロマトグラフにかけ、溶媒を減圧除去して、粘性の油として表題化合物(0.30g、48%)を得た。
【0091】
[実施例c:6-[4'-(ペルフルオロオクタノイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン]
【0092】
【化25】

【0093】
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-オクタノイルクロライド(0.30g、0.7mmol)を、ピリジン(2ml)を含有するDCM(30ml)中の6-[4'-(ヒドロキシ)ビフェン-4-イル)]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン(0.40g、0.7mmol)溶液に、撹拌しながらN2下で0℃にて滴下した。該混合物を室温で1時間撹拌し、HCl(2M、100ml)中に注入し、DCM(3×50ml)で抽出して、水(100ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣は溶離液としてDCM(ヘキサン中60%)を用いて短いシリカプラグを介して濾過し、溶媒は減圧除去した。残渣をEt2O中で溶解して、ヘキサンを加え、溶媒を還元した。得られた沈殿物を濾過して、無色粉末として表題化合物(0.17g、25%)を得た。融点144〜145℃。
【0094】
[実施例d:6-[4'-(ペルフルオロドデカノイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン]
【0095】
【化26】

【0096】
固体の2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12-トリコサフルオロドデカノイルクロライド(0.37g、0.58mmol)を、4-ジメチルアミノピリジン(0.05g)及びピリジン(2ml)を含有するDCM(100ml)中の6-[4'-(ヒドロキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン(0.33g、0.58mmol)溶液に、撹拌しながらN2下で加えた。該混合物を室温で3時間撹拌し、HCl(2M、100ml)中に注入し、EtOAc(3×30ml)で抽出して、水(100ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣を、DCM(溶離液としてヘキサン中60%)を用いて短いシリカプラグを介して濾過し、溶媒を減圧除去した。ヘキサンを加え、得られた固体を濾過して、無色粉末として表題化合物(0.31g、46%)を得た。融点129〜130℃。
【0097】
[実施例e:3-(4-フルオロフェニル)-6-(4'-(ヘキサノイルオキシ)ビフェン-4-イル)-3-フェニル-3H-ナフト[2,1-b]ピラン]
【0098】
【化27】

【0099】
ヘキサノイルクロライド(5.01g、37mmol)を、ピリジン(20ml)を含有するDCM(100ml)中の3-(4-フルオロフェニル)-6-(4'-ヒドロキシビフェン-4-イル)-3-フェニル-3H-ナフト[2,1-b]ピラン(19.37g、37mmol)溶液に、0℃にて滴下した。30分後、追加のヘキサノイルクロライド(5.01g、37mmol)を加えた。更にもう30分間撹拌を続けて、該溶液をHCl(2M、400ml)中に注入し、DCM(2×100ml)で分離抽出した。合わせた有機相を水飽和重炭酸ナトリウム(200ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣は、溶離液としてDCM(ヘキサン中50%)を用いて短いシリカプラグを介して濾過した。溶媒を減圧除去し、残渣をヘキサン及びメタノールで交互に2回粉砕した。残渣を真空下で乾燥して、黄色の泡として表題化合物(16.51g、72%)を得た。融点64〜65℃。
【0100】
[実施例f:8,9-ジメトキシ-6-[4'-(4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロヘプタノイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[1,2-b]ピラン]
【0101】
【化28】

【0102】
4-ジメチルアミノピリジン(0.02g)及びN,N'-ジクロヘキシルカルボジイミド(0.33g、1.6mmol)を含有するDCM(20ml)中の8,9-ジメトキシ-6-[4'-ヒドロキシビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[1,2-b]ピラン(0.95g、1.5mmol)及び4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロヘプタン酸(0.53g、1.8mmol)溶液を、N2下で室温にて1時間撹拌した。得られた混合物は、溶離液としてEtOAc(DCM中5%)を用いて短いシリカプラグを介して濾過した。溶媒は減圧除去し、残渣は溶離液としてEtOAc(トルエン中0〜25%勾配)を用いてシリカ上でクロマトグラフにかけた。溶媒を減圧除去して、残渣をトルエン/ヘキサンで洗浄し、淡紫色の粉末として表題化合物(0.69g、51%)を得た。融点218〜219℃。蒸発及びアセトンでの洗浄後、該溶液を更に0.16g(12%)得た。
【0103】
[実施例g:8,9-ジメトキシ-6-[4'-(2,4-ジフルオロベンゾイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[1,2-b]ピラン]
【0104】
【化29】

【0105】
4-ジメチルアミノピリジン(0.01g)及びN,N'-ジクロヘキシルカルボジイミド(0.11g、1.6mmol)を含有するDCM(40ml)中の8,9-ジメトキシ-6-[4'-ヒドロキシビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[1,2-b]ピラン(0.95g、0.5mmol)及び2,4-ジフルオロ安息香酸(0.09g、0.5mmol)溶液を、N2下で室温にて2時間撹拌した。得られた混合物は、溶離液としてDCMを用いて短いシリカプラグを介して濾過した。溶媒は減圧除去し、残渣は溶離液としてEtOAc(トルエン中0〜20%勾配)を用いてシリカ上で残渣をクロマトグラフにかけた。溶媒を減圧除去して、残渣をアセトンで洗浄し、淡紫色の粉末として表題化合物(0.29g、70%)を得た。融点249〜250℃。
【0106】
[実施例h:6-[4'-(ステアロイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン]
【0107】
【化30】

【0108】
ステアロイルクロライド(0.31g、1mmol)を、DCM(50ml)、4-ジメチルアミノピリジン及びピリジン(1mL)中の6-(4-ヒドロキシビフェニ-4-イル)-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)ナフタ[2,1-b]ピラン(0.6g、1mmol)溶液に、撹拌しながら0℃にて加えた。1時間撹拌を続けて、該溶液をHCl(1M、50ml)中に注入し、DCM(2×50ml)で抽出し、水(50ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣は、溶離液としてDCM(ヘキサン中70%)を用いてシリカ上でクロマトグラフにかけた。溶媒を減圧除去して、残渣をヘキサンから結晶化し、無色粉末として表題化合物(0.39g、44%)を得た。融点90〜91℃。
【0109】
[実施例i:[4'-(ペルフルオロブタンスルホニルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン]
【0110】
【化31】

【0111】
フッ化ペルフルオロブタンスルホニル(0.276g、0.8mmol)を、DCM(15ml)及びEt3N(0.5ml)中の6-(4-ヒドロキシビフェニ-4-イル)-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)ナフタ[2,1-b]ピラン(0.35g、0.6mmol)溶液に、撹拌しながら0℃にて加えた。2日間撹拌を続けて、該溶液をHCl(2M、100ml)中に注入し、DCM(3×50ml)で抽出し、水(100ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)して、溶媒を減圧除去した。残渣は、溶離液としてDCM(ヘキサン中40%)を用いて短いシリカプラグを介して濾過した。溶媒を減量し、デカントした。残渣をポンプで押し出し、乾燥させて、紫色粉末として表題化合物(0.16g、31%)を得た。融点92〜93℃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)により表されるナフトピラン化合物。
【化1】

[式中、
n1は、0及び5を含む0〜5からなる整数であり、
n2は、0及び5を含む0〜5からなる整数であり、
pは、0及び4を含む0〜4からなる整数であり、
mは、0及び4を含む0〜4からなる整数であり、
qは、0及び5を含む0〜5からなる整数であり、
R1、R2及びR4は、同一又は異なり、互いに独立にハロゲン、-Ra、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-NRbRc、-CO-Ra、-CO2Ra1、-OC(O)-Rd、-X-(Re)-Y、直鎖又は分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基から選択される基を示し、
ここで、
Raは、直鎖又は分枝の(C1〜C 18)アルキル基を示し、
Ra1は、水素及び直鎖又は分枝の(C1〜C18)アルキル基から選択される基を示し、
Rb及びRcは、
窒素原子と一緒に、かつそれと組み合わせて、O、N及びSから選択される1個の追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、同一若しくは異なり、ハロゲン、-Ra、-OH、-ORa、-NH2、及び-NRaRa1(式中、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)から選択される1個若しくは2個の基によって置換されていてもよい5〜7員の飽和複素環基を示すか、又は
窒素原子及び隣接するフェニル基と一緒に、かつそれらと組み合わせて、以下の式(A)、(B)、(C)若しくは(D)(式中、tは0及び2を含む0〜2からなる整数である)の複素環基を形成し、
【化2】

Xは、酸素原子、-N(Ra1)-、硫黄原子、-S(O)-及び-S(O2)-(式中、Ra1は上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、
Yは、-ORa1、-NRa1Ra2及び-SRa1(式中、R a1は上記に定義したとおりであり、Ra2は水素及び直鎖又は分枝の(C1〜C18)アルキル基から選択される基を示す)から選択される基を示し、
Reは、ハロゲン、ヒドロキシル、直鎖又は分枝の(C1〜C6)アルコキシ、及びアミノから選択される基により置換されていてもよい、直鎖又は分枝の(C1〜C18)アルキレン基を示し、
Rdは、ハロゲン、-Ra、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-NRbRc、-CO-Ra、-CO2Ra1(式中、Ra、Ra1、Rb、Rc、Rd、Re及びYは上記に定義したとおりである)から選択される1〜4個の基により置換されていてもよい、直鎖又は分枝の(C1〜C18)アルキル基、-(Re)-Y及びアリール基から選択される基を示し、
R3は、ハロゲン、-Ra、直鎖又は分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2及び-NRaRa1(式中、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、
R6は、
ハロゲン、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-CO-Ra及び-CO2Ra1(式中、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)から選択される基によって置換されていてもよい-Ra
直鎖又は分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、
ハロゲン、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-CO-Ra、-O-C(O)-Ra及び-CO2Ra1から選択される1〜4個の基により置換されていてもよい、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール
から選択される基を示し、
R5は、
ハロゲン、-Ra、直鎖若しくは分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、-OH、-ORa、-SH、-SRa、-NH2、-NRaRa1、-CO-Ra、-O-C(O)-Ra及び-CO2Ra1(式中、Ra及びRa1は上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、又は
qが2であり、2個のR5置換基がナフト[2,1-b]ピラン基のC-7、C-8、C-9及びC-10から選択される2個の隣接する炭素原子上に位置するとき、それらは更に-O-(CH2) q1-O-基(式中、q1は1及び3を含む1〜3からなる整数を示す)を一緒に示してもよく、
Zは、CO、CS、SO、SO2、CO2、C(O)S、CS2、C(O)NH、C(O)NRa、C(S)NH、C(S)NRa及びC=NRa(式中、Raは上記に定義したとおりである)から選択される基を示す。]
【請求項2】
n1は、0又は1であり、R1は、フェニル基のパラ位又はオルト位に位置するハロゲン、-OH及び-ORa(式中、Raは上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、
n2は、1であり、R2は、フェニル基のパラ位に位置するハロゲン、-OH、-ORa及び-NRbRc(式中、Ra、Rb及びRcは上記に定義したとおりである)から選択される基を示し、
mはゼロであり、
pはゼロであり、
qは0及び2を含む0〜2からなる整数であり、R5はナフト[2,1-b]-ピラン基のC-8及び/又はC-9に位置する-OH及び-ORaから選択される基を示し、
R6は、ハロゲン及び-ORa(式中、Raは上記に定義したとおりである)から選択される1〜4個の基により置換されていてもよい、-Ra、直鎖又は分枝の(C1〜C18)ペルフルオロアルキル基、アリール、ヘテロアリールから選択される基を示し、
Zは、CO及びSO2から選択される基を示す、
請求項1に記載のナフトピラン化合物。
【請求項3】
以下の化合物の1つから選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のナフトピラン化合物。
・ 6-[4'-(4-ブトキシベンゾイルオキシ)-4-ビフェニル]-3-[4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-3-[4-(4-メチルピペリジノ)フェニル]-3H-ナフト[2,1-b]ピラン;
・ 6-[4'-(4-ドデカノイルオキシ)-4-ビフェニル]-3-[4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-3-[4-(4-メチルピペリジノ)フェニル]-3H-ナフト[2,1-b]ピラン;
・ 6-[4'-(ペルフルオロオクタノイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン;
・ 6-[4'-(ペルフルオロドデカノイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン;
・ 3-(4-フルオロフェニル)-6-(4'-(ヘキサノイルオキシ)ビフェン-4-イル)-3-フェニル-3H-ナフト[2,1-b]ピラン;
・ 8,9-ジメトキシ-6-[4'-(4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロヘプタノイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[1,2-b]ピラン;
・ 8,9-ジメトキシ-6-[4'-(2,4-ジフルオロベンゾイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[1,2-b]ピラン;
・ 6-[4'-(ステアロイルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン。;および
・[4'-(ペルフルオロブタンスルホニルオキシ)ビフェン-4-イル]-3-フェニル-3-(4-ピロリジノフェニル)-3H-ナフト[2,1-b]ピラン。
【請求項4】
請求項1から3に記載の少なくとも1種のナフトピラン化合物を含む光学物品。
【請求項5】
高分子ホスト材料を含み、前記少なくとも1種のナフトピラン化合物が、前記高分子ホスト材料の大部分に組み込まれていることを特徴とする、請求項4に記載の光学物品。
【請求項6】
前記高分子ホスト材料が、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、ポリアクリレート、ポリ(トリエチレングリコールジメトアクリレート)、ポリペルフルオロアクリレート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ[ジエチレングリコールビス(アルキルカーボネート)]、及びそれらの混合物からなるポリマーから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の光学物品。
【請求項7】
光学基材、及び前記少なくとも1種のナフトピラン化合物を含む少なくとも1つのフィルム又は皮膜を含むことを特徴とする、請求項4に記載の光学物品。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフィルム又は皮膜が、異方性配向ポリマー層及び前記少なくとも1種のナフトピラン化合物を含む二色性のフィルム又は皮膜であることを特徴とする、請求項7に記載の光学物品。
【請求項9】
前記少なくとも1種のナフトピラン化合物を組み込む、液状、メソ形、又はゲル状のホスト媒体を含むことを特徴とする、請求項4に記載の光学物品。
【請求項10】
前記少なくとも1種のナフトピラン化合物を組み込む、前記液状又はメソ形のホスト媒体が、有機媒体、液晶、液晶ポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の光学物品。
【請求項11】
機械的に安定な環境に前記ホスト媒体及び色素の混合物を保持するための機構を含有するデバイスであることを特徴とする、請求項10に記載の光学物品。
【請求項12】
前記ホスト媒体及び本発明の前記少なくとも1つのフォトクロミック色素の混合物を収容するための隙間をその間に有する1対の対向する基材、並びに前記1対の基材を互いに隣接して保持するためのフレームを含むことを特徴とする、請求項11に記載の光学物品。
【請求項13】
その表面に平行な方向に並んだ少なくとも1つの透明なセル配列を備える光学部品を含み、各セルはしっかり閉じられ、かつ前記液状ホスト媒体及び前記少なくとも1種のナフトピラン化合物を含有していることを特徴とする、請求項11に記載の光学物品。
【請求項14】
前記透明なセル配列が、前記部品表面と垂直な高さが、100μm未満、好ましくは1μm〜50μmの間である層を形成することを特徴とする、請求項13に記載の光学物品。
【請求項15】
前記光学部品が、その上に透明なセル配列が形成される透明な硬質基材を含むことを特徴とする、請求項13に記載の光学物品。
【請求項16】
前記光学部品が、透明な硬質基材を含み、前記基材上に、前記透明なセル配列を組み込む透明なフィルムが施されることを特徴とする、請求項13に記載の光学物品。
【請求項17】
前記光学部品の全表面に対するセルが占める全表面の割合が、少なくとも90%、好ましくは90%〜99.5%の間、及び最も好ましくは96%〜98.5%の間であることを特徴とする、請求項13から16に記載の光学物品。
【請求項18】
前記セルが、光学部品の表面と並行に、少なくとも1μm、好ましくは5μm〜100μmの間の大きさを有することを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項に記載の光学物品。
【請求項19】
前記セルが、0.10μm〜5.00μmの厚さを有する仕切によって互いに隔てられていることを特徴とする、請求項13から18のいずれか一項に記載の光学物品。
【請求項20】
眼科用素子及びデバイス、表示素子及びデバイス、窓又は鏡、好ましくはレンズ、並びに最も好ましくは眼科用レンズからなる群から選択されることを特徴とする、請求項13から19のいずれか一項に記載の光学物品。

【公表番号】特表2010−502672(P2010−502672A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527136(P2009−527136)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059298
【国際公開番号】WO2008/028930
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(505425373)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラレ ドプテイク) (74)
【Fターム(参考)】