説明

フォトマスク用基板、フォトマスク及びパターン転写方法

【課題】近接露光を行う際に、保持領域の近傍におけるパターンの転写精度を向上させる。
【解決手段】第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、四角形状である第1主表面上の、転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機がフォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、保持領域は、保持領域内の平坦度指数Fsxとし、保持領域外の平坦度指数Fexとしたとき、Fsx≦Fexを満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク用基板、フォトマスク及びパターン転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや携帯端末等が備える液晶表示装置は、透光性基材上にTFT(薄膜トランジスタ)アレイを形成したTFT基板と、透光性基材上にRGBパターンを形成したカラーフィルタ(以下、CFともいう)とが貼り合わせられ、その間に液晶が封入された構造を備えている。カラーフィルタは、透光性基材の一主表面上に、色の境界部を構成するブラックマトリックス層を形成する工程と、ブラックマトリックス層に区切られた透光性基材の一主表面上へ赤フィルタ層、緑フィルタ層、青フィルタ層等のカラーフィルタ層(以下、色層或いは色版ともいう)を形成する工程とを、順次実施することで製造される。上記TFTも、カラーフィルタも、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィを適用して製造することができる。
【0003】
一方、フォトマスクを露光機にセットし、パターン転写を行う際に、フォトマスクが自重により若干撓むことから、この撓みを軽減するための露光機の支持機構が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−306832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置に求められる性能向上の期待は益々大きくなっている。特に、携帯端末など、寸法が小さく、高精細画像を必要とする表示装置は、いくつかの点で従来品を超えた性能を求められる。色彩の鮮鋭性(色濁りが無いこと)、反応速度、解像性などである。こうした要請のため、TFTやCFを製造するフォトマスクには、パターン形成の精度が従来に増して求められる。
【0006】
例えば、TFT形成用のフォトマスクにおいては、液晶表示装置の反応速度を上げるために、TFTパターンそのものが微細になったり、主TFTとともにより微細なTFTを組み合わせて用いたりするなど、フォトマスクへのパターン形成に際しては、微細寸法の線幅を精緻に形成しなければならない。また、TFTとCFとは、重ね合わせて使用されるものであるところ、フォトマスク上のそれぞれのパターンの座標精度とともに、転写時の位置決めが極めて精緻に制御されなければ、両者の間に位置ずれが生じ、液晶の動作不良が生じるリスクがある。
【0007】
他方、CF形成用のフォトマスクにおいても、以下の点でやはり難題がある。上記のとおり、ブラックマトリックス層と色層とは重ね合わせて使用されるものであるところ、マスク上のパターン形成とともに、転写時の歪みなどにより座標ずれが生じると、色濁り等の不都合が生じる。
【0008】
フォトマスクを用いて、透光性基材上にブラックマトリックス層やカラーフィルタ層を形成するには、近接(プロキシミティ)露光を適用することが最も有利である。これは、投影(プロジェクション)露光に比べて露光機の構造に複雑な光学系を必要とせず、装置コストも低いことから、生産効率が高いためである。しかしながら、近接露光を適用すると、転写の際に歪みの補正を施すことが困難であるため、投影露光に比べて転写精度が劣化しやすい。
【0009】
近接露光では、レジスト膜が形成された被転写体とフォトマスクのパターン面とを対向させて保持し、パターン面を下方に向け、フォトマスクの裏面(パターン面とは反対側の面)側から光を照射することで、レジスト膜にパターンを転写する。このとき、フォトマスクと被転写体との間には所定の微小間隔(プロキシミティギャップ)を設ける。なお、フォトマスクは、透明基板の主表面(第1主表面)に形成された遮光膜に所定のパターニングがなされてなる転写用パターンを備えている。
【0010】
一般に、フォトマスクを近接露光用露光機にセットする場合、転写用パターンが形成された主平面上であって、転写用パターンが形成された領域(パターン領域ともいう)の外側を、露光機の保持部材によって保持する。
【0011】
すなわち、フォトマスクの外周を構成する対向する二辺のそれぞれの近傍の領域を保持領域としたとき(二辺保持)、この保持領域に、露光機の保持部材が当接して、フォトマスクを保持することができる。装置によっては、フォトマスクの四辺の近傍を保持するものもある(四辺保持)。そして、パターン面を下方に向け、係る保持領域が、露光機の保持部材によってそれぞれ下方から支持されることで、フォトマスクは所定のプロキシミティギャップを保持しつつ、略水平姿勢で露光機に配置される。
【0012】
ところで、上述のとおり、フォトマスクは自身の重量によって撓むことから、これを露光機の保持機構によってある程度補正することができる。例えば、特許文献1の方法では、フォトマスクを下方から支える保持部材の支持点の外側において、マスクの上方から所定圧の力を加えることが記載されている。
【0013】
しかしながら、フォトマスクの撓みによる、パターン転写上の影響を軽減することが有用であっても、それだけでは、上記用途の精密な表示装置の製造には十分ではないことが本発明者等によって見出された。例えば、上述の近接露光を行うと、フォトマスクが備える転写用パターンの形成精度は充分に高く基準範囲内であるにも関わらず、被転写体上に形成されるパターンの座標精度が十分でない場合が発見された。特に、フォトマスクの保持領域の近傍に配置された転写用パターンの転写精度、例えば、保持領域の近傍におけるブラックマトリックス層やカラーフィルタ層パターンの形成精度が劣化し、転写後のパターンに座標ずれが生じてしまうことがあった。近年、液晶表示装置の高精細化が進むにつれ、こうした転写用パターンの転写精度の劣化が許容できなくなりつつあった。尚、露光機によってはフォトマスクの上方から吸着支持するものもあるが、これについても上記課題は解決されない。
【0014】
本発明は、フォトマスク上に形成された転写用パターンを、被転写体に転写する際の転写精度を向上させ、転写用パターン全面にわたる座標精度を高めることが可能なフォトマスク用基板、フォトマスク及びパターン転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、該保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕を平坦度指数Fsxとし、該保持領域外の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZex(μm)であるときの〔Zex/P〕を平坦度指数Fexとしたとき、Fsx≦Fexを満たす
フォトマスク用基板が提供される。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、該保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕を平坦度指数Fsxとしたとき、Fsx≦0.08を満たす
フォトマスク用基板が提供される。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、
前記保持領域は、前記第1主表面上で、前記二辺のそれぞれから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とにそれぞれ挟まれた、前記二辺に平行な帯状の領域である
第1又は2の態様に記載のフォトマスク用基板が提供される。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、
前記離間距離Pが、5≦P≦15(mm)を満たす
第1〜3のいずれかの態様に記載のフォトマスク用基板が提供される。
【0019】
本発明の第5の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、
該保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕を平坦度指数Fsxとしたとき、Fsx≦0.08を満たすとともに、
該保持領域内の2点であって、前記二辺と平行な直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsy(μm)であるときの〔Zsy/P〕を平坦度指数Fsyとしたとき、Fsy≦0.08を満たす
フォトマスク用基板が提供される。
【0020】
本発明の第6の態様によれば、
前記第1主表面が長方形であり、前記保持領域は、前記第1主表面上の、前記パターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する長辺のそれぞれの近傍に、前記長辺に平行な帯状の領域として設けられる
第1〜5のいずれかの態様に記載のフォトマスク用基板が提供される。
【0021】
本発明の第7の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の四辺のそれぞれの近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、該保持領域各々について、該保持領域内の2点であって、前記四辺のうち近傍のひとつと直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZsa(μm)であるときの〔Zsa/P〕を平坦度指数Fsaとしたとき、Fsa≦0.08を満たし、かつ、
前記保持領域の各々は、近傍の前記四辺のひとつから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、近傍の前記四辺のひとつに平行な帯状の領域である
フォトマスク用基板が提供される。
【0022】
本発明の第8の態様によれば、
前記フォトマスク用基板の厚さがT(mm)であるとき、前記第1主表面の、前記保持領域内における平坦度指数Fsxが、Fsx≦(1/T)×3.0を満たす
第1〜6のいずれかの態様に記載のフォトマスク用基板が提供される。
【0023】
本発明の第9の態様によれば、
前記保持領域内の前記2点の高低における相互関係は、前記二辺と直交する方向において前記2点の位置にかかわらず、変わらない
第2〜6のいずれかの態様に記載のフォトマスク用基板が提供される。
【0024】
本発明の第10の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
前記第1主表面の裏面にある四角形状の第2主表面上で、前記第2主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む裏面保持領域を有し、
前記裏面保持領域は、該裏面保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZbsx(μm)であるときの〔Zbsx/P〕を平坦度指数Fbsxとしたとき、Fbsx≦0.08を満たす
フォトマスク用基板が提供される。
【0025】
本発明の第11の態様によれば、
前記裏面保持領域は、前記第2主表面上で、対向する二辺のそれぞれから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、前記二辺に平行な帯状の領域である
第10の態様に記載のフォトマスク用基板が提供される。
【0026】
本発明の第12の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
前記第1主表面の裏面にある四角形状の第2主表面上で、前記第2主表面の四辺のそれぞれの近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む裏面保持領域を有し、
前記裏面保持領域は、該裏面保持領域各々について、該裏面保持領域内の2点であって、前記四辺のうち近傍のひとつと直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZbsa(μm)であるときの〔Zbsa/P〕を平坦度指数Fbsaとしたとき、Fbsa≦0.08を満たし、かつ、
前記裏面保持領域の各々は、近傍の前記四辺のひとつから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、近傍の前記四辺のひとつに平行な帯状の領域である
フォトマスク用基板が提供される。
【0027】
本発明の第13の態様によれば、
第1〜12のいずれかの態様に記載のフォトマスク用基板を用い、前記フォトマスク用基板の第1主表面に形成された光学膜に、所望のパターニングを施し、転写用パターンとなしたフォトマスクが提供される。
【0028】
本発明の第14の態様によれば、
近接露光用である第13の態様に記載のフォトマスクが提供される。
【0029】
本発明の第15の態様によれば、
カラーフィルタ製造用である第13又は14の態様に記載のフォトマスクが提供される。
【0030】
本発明の第16の態様によれば、
フォトマスクの有する転写用パターンを、プロキシミティ露光機を用いて、被転写体に転写するパターン転写方法において、
第13〜15のいずれかの態様に記載のフォトマスクを、前記プロキシミティ露光機の保持部材が前記フォトマスクの保持領域に当接するように保持し、露光する
パターン転写方法が提供される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、パターン転写の際の座標ずれを防止することができ、近接露光を行う際に、パターンの転写精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態に係るカラーフィルタの製造工程の概略を例示するフロー図である。
【図2】(a)は本実施形態に係るカラーフィルタの製造工程において近接露光を行う様子を例示する側面図であり、(b)はその平面図である。
【図3】(a)は本実施形態に係るフォトマスクの平面構成を例示する平面図であり、(b)はその変形例を例示する平面図である。
【図4】保持領域の近傍におけるパターンの転写精度が低下する様子を例示する模式図であり、(a)は露光機内にフォトマスクを配置する前の状態を、(b)は露光機内にフォトマスクを配置した状態をそれぞれ示している。
【図5】本実施形態に係るフォトマスクの製造工程を例示するフロー図である。
【図6】レーザ光を斜入射することで平坦度を測定する様子を例示する模式図である。
【図7】フォトマスクの重ね合わせと座標ずれとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
【0034】
(1)カラーフィルタの製造工程
まず、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造工程について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るカラーフィルタの製造工程の概略を例示するフロー図である。図2(a)は、本実施形態に係るカラーフィルタの製造工程において近接露光を行う様子を例示する側面図であり、図3(b)はその平面図である。図3(a)は、本実施形態に係るフォトマスクの平面構成を例示する平面図であり、図3(b)は、その変形例を例示する平面図である。
【0035】
図1に示すように、液晶表示装置用のカラーフィルタ10は、透光性基材11の主表面上へ色の境界部を構成するブラックマトリックス層12pを形成する工程(図1(a)〜(e))と、ブラックマトリックス層12pに区切られた透光性基材11の一主表面上へ赤フィルタ層14p、緑フィルタ層15p、青フィルタ層16p等の色層を形成する工程(図1(f)〜(j))とを、順次実施することで製造される。以下に、各工程について説明する。
【0036】
(ブラックマトリックス層12pの形成)
まず、透光性樹脂やガラス等からなる透光性基材11を用意し、透光性基材11の一主表面上に遮光材膜12を形成し、遮光材膜12上にレジスト膜13を形成する(図1(a))。
【0037】
そして、ブラックマトリックス形成用の第1フォトマスク100と、被転写体としての遮光材膜12及びレジスト膜13が形成された透光性基材11とを、近接露光用の露光機500内に配置する(図1(b)、図2)。
【0038】
なお、図3(a)に平面構成を例示するように、第1フォトマスク100は、透明基板101の第1主表面(図1(b)では下側の面)に形成された遮光膜が所定のパターニングをなされて形成された転写用パターン112pを備えている。転写用パターン112pの形状は、ブラックマトリックス層12pを形成するように例えば格子状とされる。また、第1フォトマスク100の透明基板101の一主表面には、転写用パターン112pが形成されたパターン領域の外側であって、透明基板101の主表面の外周を構成する対向する二辺のそれぞれの近傍に保持領域104が設けられている。保持領域104内で、露光機500の保持部材503と当接する部分が当接面103である。保持領域104には、遮光膜が形成されていてもよく、透明基板101の一主表面が露出していてもよい。
【0039】
図2(a)に示すように、当接面103が、露光機500の保持部材503によってそれぞれ下方から支持されることで、第1フォトマスク100は水平姿勢で露光機500内に配置される。そして、第1フォトマスク100が備える転写用パターン112pと、透光性基材11上に形成されたレジスト膜13とが対向し、例えば10μm以上300μm以内のプロキシミティギャップを介して配置される。
【0040】
第1フォトマスク100と、遮光材膜12及びレジスト膜13が形成された透光性基材11とが近接露光用の露光機500内に配置され、それぞれ位置合わせが完了したら、光源501及び照射系502を用い、第1フォトマスク100の裏面側(すなわち透明基板101の第2主表面側)から紫外線などの光を照射し、転写用パターン112pを介してレジスト膜13を露光して、レジスト膜13の一部を感光させる(図1(c)、図2(a))。露光にはi線、h線、g線を含む光源を用いることができる。
【0041】
そして、第1フォトマスク100と、遮光材膜12及びレジスト膜13が形成された露光後の透光性基材11と、を露光機500から取り外す。そして、レジスト膜13を現像して、遮光材膜12を部分的に覆うレジストパターン13pを形成する(図1(d))。
【0042】
そして、形成したレジストパターン13pをマスクとして遮光材膜12をエッチングし、透光性基材11の一主表面上にブラックマトリックス層12pを形成する。ブラックマトリックス層12pが形成されたら、レジストパターン13pを除去する(図1(e))。
【0043】
(赤フィルタ層の形成)
続いて、ブラックマトリックス層12pが形成された透光性基材11の一主表面上に、例えば感光性樹脂材料からなる赤レジスト膜14を形成する(図1(f))。
【0044】
そして、赤フィルタ層形成用の第2フォトマスク200と、ブラックマトリックス層12p及び赤レジスト膜14が形成された被転写体としての透光性基材11とを、近接露光用の上述の露光機500内に配置する(図1(g))。
【0045】
なお、図3(a)に平面構成を例示するように、第2フォトマスク200は、透明基板の一主表面(図1(g)では下側の面)に、遮光膜が所定の転写用パターンに加工されてなる転写用パターン212pをもつパターン領域を備えている。なお、転写用パターン212pの形状は、赤フィルタ層14pを形成するための形状とされ、第1フォトマスク100の転写用パターン112pとは異なる形状となる。また、第2フォトマスク200の透明基板201の一主表面には、転写用パターン212pが形成されたパターン領域の外側であって、透明基板201の該主表面の外周を構成する対向する二辺のそれぞれの近傍に、保持領域204が設けられている。保持領域204内において、露光機500の保持部材503が当接する部分が当接面203である。保持領域204には、遮光膜が形成されていてもよく、透明基板201の一主表面が露出していてもよい。
【0046】
図2(a)に示すように、当接面203が、露光機500の保持部材503によってそれぞれ下方から保持されることで、第2フォトマスク200は水平姿勢で露光機500内に配置される。そして、第2フォトマスク200が備える転写用パターン212pと、透光性基材11上に形成された赤レジスト膜14とが対向し、上述のプロキシミティギャップを介して配置される。
【0047】
第2フォトマスク200と、ブラックマトリックス層12p及び赤レジスト膜14が形成された透光性基材11とが近接露光用の露光機500内に配置され(図2(a))、それぞれ位置合わせが完了したら、光源501及び照射系502を用い、第2フォトマスク200の裏面側(すなわち透明基板201の第2主表面側)から紫外線などの光を照射し、転写用パターン212pを介して赤レジスト膜14を露光して、赤レジスト膜14の一部を感光させる(図2(h))。
【0048】
そして、第2フォトマスク200と、赤レジスト膜14が露光された透光性基材11と、を露光機500から取り外す。そして、赤レジスト膜14を現像して余分な赤レジスト膜14を除去し、残留している赤レジスト膜14をベークして硬化させることで赤フィルタ層14pを形成する(図1(i))。
【0049】
(緑フィルタ層及び青フィルタ層の形成)
続いて、緑フィルタ層15p及び青フィルタ層16pの形成を赤フィルタ層14pの形成と同様に行い、ブラックマトリックス層12pに区切られた透光性基材11の一主表面上へ赤フィルタ層14p、緑フィルタ層15p、青フィルタ層16p等のカラーフィルタ層を形成する工程を終了する(図1(j))。
【0050】
(ITO電極の形成)
その後、図示しないがブラックマトリックス層12p、赤フィルタ層14p、緑フィルタ層15p、青フィルタ層16p等のカラーフィルタ層の上面を覆うようにITO膜を形成して透明電極とし、カラーフィルタ10の製造を終了する。
【0051】
(2)保持領域の近傍におけるパターンの転写精度について
上述したように、従来、近接露光を行うと、当接面103,203近傍(例えば図2(b)のパターン領域105のうち、保持部材503が当接する当接面103,203を含む保持領域104に近い領域)における転写用パターン112p,212pの転写精度、すなわち、保持領域104の近傍におけるブラックマトリックス層12pやカラーフィルタ層の座標精度が、保持領域104から離れた領域(例えば図2(b)のパターン領域105の中心部)のそれに比べて異なる傾向を示し、特異な劣化傾向を示すことがあった。特に、細線化の進んだ、微細なカラーフィルタ用マスクにおいて、この座標精度のわずかな劣化傾向が問題となることが見出された。
【0052】
発明者等の鋭意研究によれば、上記転写精度の劣化は、保持領域内における透明基板の主表面(露光機500の保持部材503によって支持される面)の平坦度に関係していることが判明した。図4は、当接面103’における透明基板101’の第1主表面に凹凸が存在し、その凹凸が保持部材503と当接することによって保持部材503の形に追随し、透明基板101’の第1主表面側の形状が変化し、これによってパターンの転写精度が劣化する様子を例示する模式図である。図4(a)は露光機500内にフォトマスク100’を配置する前の状態を、図4(b)は露光機500内にフォトマスク100’を配置した状態をそれぞれ示している。
【0053】
当接面103’における透明基板101’の主表面に凹凸が存在すると、図4(b)に示すように、露光機500内にフォトマスク100’を配置した際(露光機500の保持部材503により当接面103’を下方から支持することでフォトマスク100’を水平姿勢に配置した際)、透明基板101’の当接面103’に、局所的な歪みが生じてしまう場合がある。そして、係る歪みにより、当接面103’に近いパターン領域の転写用パターンに、水平方向の座標ズレが生じ、パターンの転写精度が劣化してしまうことがある。なお、厚さがT(mm)の透明基板101’が角度θで屈曲したとき、主表面上の座標に生じる水平方向のズレ量dは、例えばd=T/2×sinθ(mm)となる。
【0054】
そこで、本発明の一実施形態では、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすための、フォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、前記保持領域内、および前記保持領域外のそれぞれの平坦度指数をFsx及びFexとしたとき、Fsx≦Fexを満たすフォトマスク用基板を用いてフォトマスクを製造することにより、パターンの転写性、座標精度を大幅に改善する。
【0055】
但しここで、平坦度指数Fsxは、該保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕である。また、平坦度指数Fexは、該保持領域外の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZex(μm)であるときの〔Zex/P〕である。
【0056】
任意の2点の高低差とは、或る規定された領域内、或る規定された直線上にある、或る規定された離間距離の、任意の2点の高低差と考えることができるが、一定の基準をこれにあてはめることができる。例えば、任意の2点の高低差Zsxについては、領域内に所定の離間距離P(たとえば10mm)間隔でXY方向に格子を描いたときの格子点を設定し、これを測定点としたとき、保持領域内全域での、上記直線上にある隣接する2点(つまり離間距離がPである2点)の高低差とすることができる。
【0057】
例えば、保持領域内全域の、上記すべての隣接する測定点の高低差Zsxを求め、それらについて常に、Fsx≦0.08が満たされるとき、「任意の2点の高低差がZsxであるときのFsxにつき、Fsx≦0.08が満たされる」ものとすることができる。後述するZex、Zsa、Zbsx、Zbsy、Zbsaについても同様に考えることができる。
【0058】
本実施形態において、フォトマスク用基板とは、フォトマスク製造のために、石英等を研磨して製造した透明ガラス基板、該透明ガラス基板に光学膜やレジストなどのいずれかを形成した、フォトマスクブランク、または、該フォトマスクに所定の転写用パターンを形成する工程における、フォトマスク中間体を含むものである。
【0059】
また、本実施形態のフォトマスク用基板は、主表面が四角形のものである。2つの主表面のうち、フォトマスクとする為に光学膜を形成し、パターニングを行う面を第1主表面とし、他方の主表面を第2主表面とよぶ。光学膜は、典型的には遮光膜であるが、露光光の透過率をある程度もつ半透光膜性の膜であっても良い。
【0060】
本実施形態において、平坦度とは、フォトマスク100を露光機にセットする際に、露光機500側の保持部材503と当接(単なる接触でも、吸着でもよい)する面に必要な性質を考慮したもので、特定の領域内の平坦度を意味する。
【0061】
一般に、第1フォトマスク100を露光機500にセットする際には、透明基板101の四角形の主平面を囲む辺のうち、対向する二辺の近傍の帯状の領域(図2(b)の符号104で示す領域に相当)内で、露光機500の保持部材503が当接することになる。保持部材503と当接する部分を当接面103とし、これを含む部分(転写用パターン112pの位置や基板サイズ、形状によって、露光機500の保持部材503が当接する位置は多少変動することを考慮し、保持部材503の有する幅寸法より大きな幅寸法として、当接面103を包含できるように設定したもの)が、保持領域104のサイズであり、好ましくは以下のようにすることができる。
【0062】
保持領域104は例えば、上記の二辺のそれぞれから所定距離(5〜15mm程度)離間した、一定の幅(30〜60mm)をもつ帯状の領域とすることができる。後述するように、本実施形態では、保持領域104として、主表面の二辺のそれぞれから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた帯状の領域を、上記二辺のそれぞれに対して有するフォトマスク用基板(透明基板101)を例示している。
【0063】
尚、第1フォトマスク100の主表面が長方形である場合には、上記の対向する二辺は、長辺とすることが好ましい(図3(a)でL1>L2のとき)。
【0064】
本実施形態では、保持領域104内と保持領域104外とについて、それぞれ平坦度を求める。例えば、保持領域104内の2点の高低差は、以下のように求めることができる。
【0065】
保持領域104内の2点は、図2(b)に示す符号M,Nに例示するように、上記の二辺に直交する直線上にあるものとすることができる。保持領域104外の2点の選択も同様に行うことができる。
【0066】
2点の離間距離Pについては以下の考慮を行うことが好ましい。上記のとおり、平坦度は第1フォトマスク100と保持部材503との当接に適した面を考慮したものであり、潜在的な凹凸のピッチによって転写性への影響度合いが異なることを考慮するべきものであるから、測定点の離間距離が大きすぎても小さすぎても好ましくない。測定点の2点の離間距離Pは、露光機500のもつ保持部材503の形状や、透明基板101への接触面積によってその数値を選択することが必要であり、最大でも保持部材503との当接幅を超えないことが好ましい。他方、離間距離が小さすぎると、保持領域104面の微小な変動であって、表面凹凸が形成する勾配が、保持部材503との当接に影響しないものを含んだ測定をする必要が生じる。発明者等の知見によると、離間距離Pが5≦P≦15(mm)を満たすことが好適である。例えばP=10mmとすることが好適であり、かつ測定の効率などからも好ましかった。
【0067】
ここで高低差(μm)は、後述するように、平面度測定機を用いて測定することができ、本実施形態の平坦度を求める場合には、装置の規定する基準面を用いて求めることができる。尚、高低差を測定する際には、透明基板101を鉛直にし、自重による撓みの影響を実質的に排除した状況で行うことが好ましい。
【0068】
2点の位置の選択は、上記の二辺と直交する直線上にあり、上記の離間距離Pをもつものであれば、保持領域104内の任意の位置で選ぶことができる。たとえば、保持領域全体を10mm幅の格子で分割したときの各格子点を測定点とし、隣接する測定点の高低差を用いて、平坦度を求めることができる。
【0069】
ところで、上記保持領域104に凹凸が生じていたとしても、その高低差によって生じる透明基板101の表面(第1主面)の変形が非常に小さなものであれば、パターン領域内にある転写用パターン112pの座標に及ぼす影響はほとんど問題とならない。しかしながら、凹凸の高低差にある基準を超える大きさがあり、かつ、この凹凸の距離が近い(当接面の幅に対して十分に大きくない)場合には、該高低差によって生じる勾配が、保持領域104に隣接する、パターン領域105の座標精度に影響を与えることが判明した。
【0070】
更に、凹凸の高低差によって決まる勾配の方向も、転写性との相関がある。すなわち、透明基板101の表面内において、上記二辺と垂直方向において、大きな高低差がある場合に、転写性への悪影響が生じる。なぜなら、この方向での高低差が、保持部材503と当接して、透明基板101の表面を変形させるとき、この表面の歪みの影響が、転写用パターン112p側に届きやすいからである。
【0071】
このため、本実施形態では、保持領域104内という局所的な部分の透明基板101の表面平坦度を、他の部分とは区別して制御することにより、転写性が大きく改善すること、及び、その平坦度の制御は、測定点の離間距離、および潜在的な凹凸による勾配の方向にも配慮したものとする。
【0072】
保持領域104が満たすべき具体的な平坦度としては、以下のものが好ましい。すなわち、該保持領域104内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕を平坦度指数Fsxとしたとき、Fsx≦0.08を満たすことが好ましい。
【0073】
尚、第1主平面の平坦度指数Fsxの範囲については、過度に大きいと、パターン転写による座標ずれが上記用途の一部装置につき許容範囲を超えることがある。また、過度に小さいと、透明基板101の表面加工に際して、加工装置の能力を超えたり、過大な加工時間を要したりすることがある。従って、0.01≦Fsx≦0.08であることが好ましい。
【0074】
また、透明基板101の厚さがT(mm)であるとき、Fsx≦(1/T)×3.0を満たすようにすることで、保持領域104の近傍におけるパターンの転写精度の低下をより確実に抑制できることを見出した。
【0075】
保持領域104における透明基板101の一主表面の平坦度指数Fsxを上述のように低くすることで、透明基板101の保持領域104に局所的な歪みが生じてしまうことを抑制でき、保持領域104に近接する転写用パターン112pの転写精度を向上できる。
【0076】
本発明の、より好ましい態様として以下のものがある。
【0077】
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすための、フォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、
該保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕を平坦度指数Fsxとしたとき、Fsx≦0.08を満たすとともに、
該保持領域内の2点であって、前記二辺と平行な直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsy(μm)であるときの〔Zsy/P〕を平坦度指数Fsyとしたとき、Fsy≦0.08を満たすフォトマスク用基板である。
【0078】
これは、上記二辺と垂直方向(X方向)のみでなく、平行方向(Y方向)についても、表面凹凸による勾配の影響を考慮したものである。上記のように、保持領域内の全域において、10mm幅の格子点を測定点とし、隣接する相互の測定点の高低差を得るようにすれば、簡便に上記を満足する基板が特定できる。
【0079】
好ましくは、0.01≦Fsy≦0.08であり、更に、透明基板の厚さがT(mm)であるとき、Fsy≦(1/T)×3.0をみたせば尚好ましい。
【0080】
(3)フォトマスクの製造方法
以下に、本実施形態に係るフォトマスクの製造方法について、図5、図6を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係るフォトマスクの製造工程を例示するフロー図である。図6は、レーザ光を入射することで平坦度を測定する様子を例示する模式図である。なお、以下の説明では、ブラックマトリックス形成用の第1フォトマスク100を製造する場合を例に挙げて説明するが、カラーフィルタ層形成用の第2〜第4フォトマスクの製造も、第1フォトマスク100の製造と同様に行うことができる。
【0081】
(透明基板の用意及び平坦度の検査)
まず、フォトマスク用基板としての透明基板101を用意する(図5(a))。なお、図3(a)にも例示したように、透明基板101は、平面視が長方形の板状であり、その寸法は、例えば長辺L1が600〜1400mm、短辺L2が500〜1300mm、厚さTが5〜13mm程度とすることができる。透明基板101は、例えば石英(SiO)ガラスや、SiO,Al,B,RO,RO等を含む低膨張ガラス等から構成することができる。透明基板101の主表面(図5(a)では上側の面)には、上述の転写用パターン112pの形成予定領域が設けられている。また、転写用パターン112pの形成予定領域の外側であって、透明基板101の外周を構成する対向する二辺(本実施形態では長辺L1)のそれぞれの近傍には、長辺L1にそれぞれ平行な一対の帯状の保持領域104が設けられている。これは、露光機500に透明基板101をセットしたときに、露光機500の保持部材503と当接する当接面103を含む領域である。例えば、保持領域104は、第1フォトマスク100の外周を構成する対向する長辺(L1)のそれぞれから10mm離間した直線と、長辺(L1)のそれぞれから50mm離間した直線とに挟まれた、長辺(L1)にそれぞれ平行な一対の幅40mmの帯状の領域として構成することができる。
【0082】
透明基板101の主表面(転写用パターン112pが形成される第1主表面、およびその裏面である第2主表面)は、研磨されるなどしてそれぞれ平坦且つ平滑に構成されている。透明基板101の第1主表面の平坦度は、上述したように、該主表面上に存在する互いに10mm離間した2点間の高低差で表すとき、保持領域104内における平坦度指数Fsxが、保持領域104外における平坦度指数Fex以下(小さいほど平坦である)であるように構成されている。また、保持領域104内における該主表面の平坦度指数Fsxが、Fsx≦0.08であることが好ましいのは上述のとおりである。更に、Fsx≦(1/T)×3.0を満たすように構成されていることが好ましい。
【0083】
また、より好ましくは、Fsy≦(1/T)×3.0を満たす透明基板101が好適に使用できる。
【0084】
また、保持領域104内の前記2点の高低における相互関係は、前記二辺と直交する方向において前記2点の位置にかかわらず、変わらない(一定である)ことが好ましい。すなわち、ひとつの保持領域104内では、前記二辺と直交する方向における勾配が、常にプラス(上り)である、または常にマイナス(下り)であることが好ましい。
【0085】
より好ましくは、対向する前記二辺の近傍にある保持領域104の勾配傾向が、互いに対照的である(一方がプラス(上り)であり、かつ、他方がマイナス(下り)である)ことが好ましい。
【0086】
本実施形態のフォトマスク用基板を得るには、合成石英等の基板の研磨工程において、研磨時間、研磨量を調整し、平坦度を制御することにより行うことができる。更には、本実施形態のフォトマスク用基板は、最終研磨工程を完了した複数のフォトマスク用基板から、本実施形態に規定する平坦度を有するものを選択して得ることができる。更には、最終研磨工程を完了した複数のフォトマスクにおいて、第1主表面及び/又は第2主表面の平坦度を測定し、本実施形態に規定する平坦度を満足する主表面を、露光機500の保持部材503と当接させる側とすることができる。
【0087】
平坦度指数Fsxが上述の要件を満たしているか否かは、例えば、図6に示すように、保持領域104内における該主表面にレーザ光を斜入射する方法等を用いて検査することができる。測定装置の例として、例えば黒田精工株式会社製の平面度測定機FFT−1500(登録商標)や、特開2007−46946号公報記載のものなどを挙げることができる。
【0088】
(遮光膜及びレジスト膜の形成)
続いて、透明基板101の第1主表面上に、例えばCrを主成分とする光学膜としての遮光膜112を形成する(図5(b))。遮光膜112は、例えばスパッタリングや真空蒸着等の手法により形成することができる。遮光膜112の厚さは、露光機500の照射光を遮るのに十分な厚さであって、例えば100〜120nm程度とすることができる。なお、遮光膜112の上面には、例えばCrO等を主成分とする反射防止層を形成することが好ましい。また、遮光膜112は、保持領域104上には形成しなくてもよい。
【0089】
そして、遮光膜112上にレジスト膜113を形成する(図5(b))。レジスト膜113は、ポジ型フォトレジスト材料或いはネガ型フォトレジスト材料により構成することが可能である。以下の説明では、レジスト膜113がポジ型フォトレジスト材料より形成されているものとする。レジスト膜113は、例えばスピンコートやスリットコート等の手法により形成することができる。なお、遮光膜112及びレジスト膜113が形成された透明基板101を、フォトマスクブランク100bとも呼ぶ。
【0090】
(パターニング工程)
続いて、レーザ描画機等によりレジスト膜113に描画露光を行い、レジスト膜113の一部を感光させる。その後、スプレー方式等の手法により現像液をレジスト膜113に供給して現像し、遮光膜112の一部を覆うレジストパターン113pを形成する(図5(c))。
【0091】
そして、形成したレジストパターン113pをマスクとして、遮光膜112の一部をエッチングする。遮光膜112のエッチングは、クロム用エッチング液をスプレー方式等の手法により遮光膜112上に供給することで行うことが可能である。その結果、透明基板101の一主表面上に、遮光膜112がパターニングされてなる転写用パターン112pが形成される(図5(d))。そして、レジストパターン113pを除去して第1フォトマスク100の製造を終了する(図5(e))。
【0092】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態による効果を以下に例示する。
【0093】
液晶表示装置のデバイスパターンは、微細化が進んでいる。カラーフィルタに使用されるブラックマトリックス(BM)にも、細線化の要望が特に強い。例えば、10μm程度で十分と見なされていたBM幅が、最近では8μm、或いは6μm程度を期待されるようになり、製造技術の難度は一層大きくなっている。
【0094】
例えば、6μm又はそれ以下のBM幅を有するBMを形成しようとする場合を考える(図7(a))。BMに色版を重ね合わせたときに、一方に(たとえばBMに。以下同様)許容される座標ずれの最大値は上記BM幅の1/2である3μmである(図7(b))。これは、色版同士(たとえばレッドとブルー)の境界が、BMの幅をはみ出すと、色濁り等の不都合が生じるからである。更に、色版自身の線幅誤差があること、およびBM自身の線幅誤差があることを考慮すると、一方の座標ずれは(3μm×1/2×1/2=)0.75μm以内としなければならない(図7(c))。
【0095】
ところで、描画装置のもつ描画再現性は0.15μm程度であるから、フォトマスク用基板側のマージンは、(0.75−0.15=)0.60μmである。これが、フォトマスク起因の座標ずれの許容値である(図7(d))。
【0096】
但し、フォトマスク用基板に起因する座標ずれの要因は、露光機500の保持部材503との当接によるものだけではない。発明者等の検討によると、複数の因子があり、有意なもの(因子として無視できないもの)として、他に第1主表面のパターン領域105の形状や、パターン領域105に対応する第2主表面の形状がある。ここで、第2主表面の形状は、転写用パターン112pの描画時に生じる座標ずれと関係することから、無視できないのである。
【0097】
従って、許容できる座標ずれ量を、上記した主要3因子に分配し(図7(e))、かつ、Cpk(工程能力指数)1.3を満たすためには、許容ずれ量が0.15μm以内(従って、2枚のフォトマスクの組み合わせによって生じるずれ量は0.3μm以内)としなければならない(図7(f))。また、上述のように、露光機500の保持部材503との当接によって生じる透明基板101の主表面の変形、そしてそれによる座標ずれの大きさには、以下の関係がある(図4(b))。
【0098】
許容される最大の座標ずれが生じるとき、
dmax(最大ずれ量)=T/2*sinθ
dmax(μm):上記最大ずれ量
Z(μm):2点の高低差、
P(mm):2点の離間距離、
T(mm):基板厚み
とすると、
dmax(0.15μm)=(T×10)/2*sinθ
=T/2*Z/P
【0099】
ここで、P=10mmとすると、
Z=3.0/T(μm)
【0100】
仮にT=8mmとすると、Z=0.375μm
T=5mmとすると、Z=0.6μm
ここで、P=12mmに変更すると、Z=0.72μm
【0101】
こうした範囲の高低差であるとき、本発明によれば、
平坦度指数F(=Z/P)≦0.08であるから、十分な転写精度を得られる。発明者等の検討によると、上記観点より、平坦度指数F(=Z/P)≦0.08であれば、転写精度として上述の用途に良好に用いることができることがわかった。尚、このようなフォトマスク用基板を製造するにあたり、研磨能力、研磨時間を考慮すると、0.01≦Fであることが好ましい。これは、後述の、Fsxのほか、Fxy、Fsa、Fbsx、Fbsy、Fbsaにも同様にあてはまる。
【0102】
上記から明らかなとおり、本実施形態によれば、透明基板101の第1主表面であって、露光機500の保持部材503が保持する保持領域104の、特定の平坦度(Fsx、Fsy、又はFsa)を制御することにより、近接露光をする際に、透明基板101の保持領域104の近傍に局所的な歪みが生じてしまうことを抑制でき、保持領域104の近傍におけるパターンの転写精度を向上させることができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、上記から明らかなとおり、透明基板101の厚さがT(mm)であるとき、Fsx≦(1/T)×3.0を満たすようにすることが好ましい。これにより、近接露光をする際に、透明基板101の保持領域104の近傍に局所的な歪みが生じてしまうことをより確実に抑制でき、転写精度をより確実に向上させることができる。より好ましくは、Fsy≦(1/T)×3.0である。
【0104】
また、保持領域104内における2点の高低関係が、保持領域104が近傍に設けられる透明基板101の外周と直交する方向(図3(a)の例では長辺L1と直交する方向)に沿って、単純増加、或いは単純減少するように構成されていることが好ましい。これにより、透明基板101の歪み、屈曲量を小さくすることができ、保持領域104の近傍におけるパターンの転写精度を向上させることができる。
【0105】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0106】
例えば、保持領域104は、上述の実施形態のように一対設けられる場合に限らず、フォトマスク100,200の周囲に沿ってより多数設けられていてもよい。すなわち、図3(b)に示すように、平面視が長方形である透明基板101,201の一主表面に、転写用パターン112pの外側であって、透明基板101,201の外周を構成する4辺(L1,L2)のそれぞれの近傍の領域内に、4つの帯状の保持領域104が設けられていてもよい。
【0107】
このときは、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすための、フォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の四辺のそれぞれの近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、該保持領域各々について、該保持領域内の2点であって、前記四辺のうち近傍のひとつと直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZsa(μm)であるときの〔Zsa/P〕を平坦度指数Fsaとしたとき、Fsa≦0.08を満たし、かつ、
前記保持領域の各々は、近傍の前記四辺のひとつから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、近傍の前記四辺のひとつに平行な帯状の領域であるフォトマスク用基板を用いる。これにより、上記と同様の効果を有するフォトマスクを得ることができる。
【0108】
この場合も、好ましくは0.01≦Fsa≦0.08である。
【0109】
例えば、4つの保持領域104は、転写用パターン112pの外側であって、第1フォトマスク100の外周を構成する4辺のそれぞれから10mm離間した直線と、4辺のそれぞれから50mm離間した直線とに挟まれた、4辺にそれぞれ平行な4つの帯状の領域として構成するとよい。このときも、4つの保持領域104内における主表面の平坦度指数Fsaが、保持領域104外の平坦度指数Fex以下であるように構成する。特に、透明基板の厚さがT(mm)であるとき、4つの保持領域104内においてそれぞれFsa≦(1/T)×3.0を満たすようにするとよい。
【0110】
<本発明の更に他の実施形態>
露光機には、フォトマスクのパターンが形成された第1主表面の裏面側となる、第2主表面に保持部材が当接し、吸着保持するなどして、フォトマスクを固定する機構を利用するものがある。このような態様に適合するためには、以下のフォトマスク用基板が有用である。
【0111】
すなわち、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすための、フォトマスク用基板であって、
前記第1主表面の裏面にある四角形状の第2主表面上で、前記第2主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む裏面保持領域を有し、
前記裏面保持領域は、該裏面保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZbsx(μm)であるときの〔Zbsx/P〕を平坦度指数Fbsxとしたとき、Fbsx≦0.08を満たすフォトマスク用基板を用いる。これにより、上記と同様の効果を有するフォトマスクを得ることができる。
【0112】
この場合、好ましくは0.01≦Fbsx≦0.08である。更に、Fbsx≦(1/T)×3.0であることが好ましい。
【0113】
更に、その場合、前記裏面保持領域は、前記第2主表面上で、対向する二辺のそれぞれから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、前記二辺に平行な帯状の領域であることが好ましい。
更に、上記直線と垂直方向において、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZbsy(μm)であるときの〔Zbsy/P〕を平坦度指数Fbsyとしたとき、0.01≦Fbsy≦0.08とすると尚好ましい。更に、Fbsy≦(1/T)×3.0であることがより好ましい。
【0114】
尚、第1主表面の保持領域について記載された上述の実施形態の各特徴を、第2主表面について満足するフォトマスク用基板を用いてフォトマスクを製造することが可能であり、有用である。
【0115】
例えば、第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
前記第1主表面の裏面にある四角形状の第2主表面上で、前記第2主表面の四辺のそれぞれの近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む裏面保持領域を有し、
前記裏面保持領域は、該裏面保持領域各々について、該裏面保持領域内の2点であって、前記四辺のうち近傍のひとつと直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZbsa(μm)であるときの〔Zbsa/P〕を平坦度指数Fbsaとしたとき、Fbsa≦0.08を満たすフォトマスク用基板を用いる。これにより、上記と同様の効果を有するフォトマスクを得ることができる。
【0116】
この場合、好ましくは、0.01≦Fbsa≦0.08である。更に好ましくは、Fbsa≦(1/T)×3.0である。
【0117】
また、前記裏面保持領域の各々は、近傍の前記四辺のひとつから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、近傍の前記四辺のひとつに平行な帯状の領域とすることが好ましい。
【0118】
本実施形態により、座標精度の優れたフォトマスクを得るにあたり、転写用パターン形成に先立って、透明基板の段階から評価することが可能となった。そして、優れた座標精度の液晶表示装置を得るためのフォトマスク用基板を、的確に製造し、又は選択することが可能となった。
【符号の説明】
【0119】
100 第1フォトマスク
101 透明基板
103 当接面
104 保持領域
105 パターン領域
112p 転写用パターン
200 第2フォトマスク
201 透明基板
203 当接面
212p 転写用パターン
500 露光機
503 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、該保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕を平坦度指数Fsxとし、該保持領域外の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZex(μm)であるときの〔Zex/P〕を平坦度指数Fexとしたとき、Fsx≦Fexを満たす
ことを特徴とするフォトマスク用基板。
【請求項2】
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、該保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕を平坦度指数Fsxとしたとき、Fsx≦0.08を満たす
ことを特徴とするフォトマスク用基板。
【請求項3】
前記保持領域は、前記第1主表面上で、前記二辺のそれぞれから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とにそれぞれ挟まれた、前記二辺に平行な帯状の領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトマスク用基板。
【請求項4】
前記離間距離Pが、5≦P≦15(mm)を満たす
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフォトマスク用基板。
【請求項5】
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する保持領域を有し、
前記保持領域は、
該保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsx(μm)であるときの〔Zsx/P〕を平坦度指数Fsxとしたとき、Fsx≦0.08を満たすとともに、
該保持領域内の2点であって、前記二辺と平行な直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZsy(μm)であるときの〔Zsy/P〕を平坦度指数Fsyとしたとき、Fsy≦0.08を満たす
ことを特徴とするフォトマスク用基板。
【請求項6】
前記第1主表面が長方形であり、前記保持領域は、前記第1主表面上の、前記パターン領域の外であって、前記第1主表面の対向する長辺のそれぞれの近傍に、前記長辺に平行な帯状の領域として設けられる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトマスク用基板。
【請求項7】
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
四角形状である前記第1主表面上の、前記転写用パターンの形成されるパターン領域の外であって、前記第1主表面の四辺のそれぞれの近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む保持領域を有し、
前記保持領域は、該保持領域各々について、該保持領域内の2点であって、前記四辺のうち近傍のひとつと直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZsa(μm)であるときの〔Zsa/P〕を平坦度指数Fsaとしたとき、Fsa≦0.08を満たし、かつ、
前記保持領域の各々は、近傍の前記四辺のひとつから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、近傍の前記四辺のひとつに平行な帯状の領域である
ことを特徴とするフォトマスク用基板。
【請求項8】
前記フォトマスク用基板の厚さがT(mm)であるとき、前記第1主表面の、前記保持領域内における平坦度指数Fsxが、Fsx≦(1/T)×3.0を満たす
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフォトマスク用基板。
【請求項9】
前記保持領域内の前記2点の高低における相互関係は、前記二辺と直交する方向において前記2点の位置にかかわらず、変わらない
ことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のフォトマスク用基板。
【請求項10】
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
前記第1主表面の裏面にある四角形状の第2主表面上で、前記第2主表面の対向する二辺の近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む裏面保持領域を有し、
前記裏面保持領域は、該裏面保持領域内の2点であって、前記二辺と直交する直線上にある、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がZbsx(μm)であるときの〔Zbsx/P〕を平坦度指数Fbsxとしたとき、Fbsx≦0.08を満たす
ことを特徴とするフォトマスク用基板。
【請求項11】
前記裏面保持領域は、前記第2主表面上で、対向する二辺のそれぞれから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、前記二辺に平行な帯状の領域であることを特徴とする請求項10に記載のフォトマスク用基板。
【請求項12】
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすためのフォトマスク用基板であって、
前記第1主表面の裏面にある四角形状の第2主表面上で、前記第2主表面の四辺のそれぞれの近傍に、露光機が前記フォトマスクを保持するときに保持部材が当接する当接面を含む裏面保持領域を有し、
前記裏面保持領域は、該裏面保持領域各々について、該裏面保持領域内の2点であって、前記四辺のうち近傍のひとつと直交する直線上にある、P(mm)離間した任意の2点の高低差がZbsa(μm)であるときの〔Zbsa/P〕を平坦度指数Fbsaとしたとき、Fbsa≦0.08を満たし、かつ、
前記裏面保持領域の各々は、近傍の前記四辺のひとつから10mm離間した直線と、50mm離間した直線とに挟まれた、近傍の前記四辺のひとつに平行な帯状の領域である
ことを特徴とするフォトマスク用基板。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のフォトマスク用基板を用い、前記フォトマスク用基板の第1主表面に形成された光学膜に、所望のパターニングを施し、転写用パターンとなした
ことを特徴とするフォトマスク。
【請求項14】
近接露光用であることを特徴とする請求項13に記載のフォトマスク。
【請求項15】
カラーフィルタ製造用であることを特徴とする請求項13又は14に記載のフォトマスク。
【請求項16】
フォトマスクの有する転写用パターンを、プロキシミティ露光機を用いて、被転写体に転写するパターン転写方法において、
請求項13〜15のいずれかに記載のフォトマスクを、前記プロキシミティ露光機の保持部材が前記フォトマスクの保持領域に当接するように保持し、露光することを特徴とするパターン転写方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−230367(P2012−230367A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89394(P2012−89394)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】