説明

フォーカス調整装置及びフォーカス調整方法

【課題】撮像装置のフォーカス調整を、簡易に且つ確実に行えるようにする。
【解決手段】認識部13は、撮像装置2が移動中の車体を撮像して得た撮像画像に対して行う、該車体に装着されているナンバープレートの文字・模様の認識を、辞書画像とのパターンマッチングにより行う。基準位置設定部15は、撮像装置2が車体を連続して撮像して得た複数枚の撮像画像に基づいて、前述の認識に最適と推定される位置を、基準位置として該撮像画像上で設定する。フォーカス補正部16は、認識部13が基準位置画像、前画像、及び後画像の各々に対して認識を行った1結果のパターンマッチング率に基づいて、フォーカスの調整の要否を判定してフォーカスの調整を行う。基準位置画像は、基準位置に文字・模様が表されている撮像画像であり、前画像及び後画像は、基準位置画像の撮像時の前後にそれぞれ撮像された撮像画像である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で議論される実施態様は、移動体の高品位な画像を獲得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外に設置した撮像設置の撮像範囲内を移動する物体(移動体)を検知し、その移動体の模様や移動体に付されている文字などを認識する画像処理システムが続々と製品化されている。このような画像処理システムに、赤外線カメラとLED(発光ダイオード)等の赤外光照明とを組み合わせた構成の撮像システムを用いて、昼夜を問わず文字・模様の認識を行えるようにした製品もある。
【0003】
また、このような画像処理システムに使用される撮像装置の多くは、例えば屋外の柱などの上部に設置されるが、この設置時にはカメラのフォーカス、ズーム等の調整が行われる。
【0004】
カメラのフォーカス調整技術に関し、オートフォーカスの技術が広く知られている。一般的に、オートフォーカスは、画像全体に亘ってフォーカスが適切となるように調整するものである。このオートフォーカス技術について、幾つかの技術が知られている。そのうちのひとつは、所定台数分の自動車の撮像画像に映っているナンバープレートの文字の認識処理により求まる認識結果と過去の認識履歴とが所定量以上異なる場合に、当該文字のボケ具合の評価結果に基づきフォーカスの調整を行うというものである。
【0005】
また、この他の背景技術として、自動車の撮像画像からナンバープレートの位置を特定する技術や、画像内の2つの領域のボケ具合の程度の差に応じてカメラの焦点をずらす方向を決定してカメラの焦点を移動体に合わせる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−235921号公報
【特許文献2】特開昭63−120399号公報
【特許文献3】特開2010−60939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像内に局在する模様、文字等の認識対象のみを認識する場合には、その認識対象周辺にフォーカスが確実に合っていることが求められる。このため、前述したようなオートフォーカス技術だけでは対応しきれず、設置現場での調整員による手動での調整が必要となる。
【0008】
また、この調整作業は屋外の路上等で通行を制限して行うような場合もあるため、現場での作業時にて確実な調整完了を求められる。しかしながら、調整作業は、個人の感性・判断に依存する面があることや、設置箇所の数に伴う複数作業グループでの調整作業の実施、作業当日の天候、通行制限の時間的制約等に起因して、その調整が最適でないままに現場作業を終了せざるを得ない場合もある。このような場合には、撮影画像や認識処理の状況を確認の上、後日現場にて改めて調整作業が必要となることもあり、道路等の許可申請や人員・機材確保等の作業が再度発生してしまうことにもなる。
【0009】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、撮像装置のフォーカス調整を、簡易に且つ確実に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で後述するフォーカス調整装置は、撮像装置のフォーカスの調整を行うものである。このフォーカス調整装置のひとつには、認識部と、基準位置設定部と、フォーカス補正部と、を有するというものがある。ここで、認識部は、撮像装置が移動中の車体を撮像して得た撮像画像に対して行う、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識を行う。なお、この文字若しくは模様の認識は、予め用意されている、辞書画像とのパターンマッチングにより行う。また、基準位置設定部は、撮像装置が車体を連続して撮像して得た複数枚の撮像画像に基づいて、ナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識に最適と推定される位置を、基準位置として該撮像画像上で設定する。そして、フォーカス補正部は、基準位置画像、前画像、及び後画像の各々に対して認識を行った結果のパターンマッチング率に基づいて、該フォーカスの調整の要否を判定し、該判定結果に従って該フォーカスの調整を行う。なお、基準位置画像とは、前述の複数の撮像画像のうち基準位置設定部が設定した基準位置に文字若しくは模様が表されている画像である。また、前画像及び後画像は、それぞれ、前述の複数の撮像画像のうち基準位置画像の撮像時の前後にそれぞれ撮像された画像である。
【0011】
また、本明細書で後述する方法のひとつに、撮像装置のフォーカスの調整を行う方法がある。この方法では、まず、撮像装置が移動中の車体を連続して撮像して得た複数枚の撮像画像に基づいて、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識に最適と推定される位置を、基準位置として該撮像画像上で設定する。次に、この複数の撮像画像のうちの基準位置画像、前画像及び後画像の各々に対し、車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識を行う。この文字若しくは模様の認識は、予め用意されている、辞書画像とのパターンマッチングにより行う。なお、ここで、基準位置画像とは、この複数の撮像画像のうち、前述の基準位置に文字若しくは模様が表されている画像である。また、前画像及び後画像は、それぞれ、基準位置画像の撮像時の前後にそれぞれ撮像された画像である。その後、この方法では、前述の基準位置画像、前画像、及び後画像の各々に対して認識を行ったことで認識結果を得たときのパターンマッチング率に基づいて、フォーカスの調整の要否を判定し、この判定結果に従って該フォーカスの調整を行う。
【発明の効果】
【0012】
本明細書で後述する装置は、撮像装置のフォーカス調整を、簡易に且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像処理装置の機能構成図を示す図である。
【図2】撮像装置2の設置例である。
【図3】図1の画像処理装置として動作させることのできるコンピュータの構成例である。
【図4】文字・模様認識処理の処理手順を図解したフローチャートである。
【図5】フォーカス調整制御処理の処理手順を図解したフローチャートである。
【図6】撮像画像の画像領域のブロックへの分割例である。
【図7】基準位置設定処理の処理手順を図解したフローチャートである。
【図8】フォーカス調整要否判定処理の処理手順を図解したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず図1について説明する。図1は画像処理装置の機能構成図である。
図1において、画像処理装置1は、撮像装置(カメラ)2により得られる撮像画像に対して各種の画像処理を行って、撮像画像から移動物体を検出すると共に、撮像画像から文字若しくは模様の認識を行うものである。また、この画像処理装置1は、撮像装置2のフォーカスの調整を行うフォーカス調整装置の機能を備えている。
【0015】
ここで図2について説明する。図2は、撮像装置2の設置例を図解したものである。
撮像装置2は、道路3を走行している移動中の車両4の車体を、その進行方向の前方のある程度離れた位置の斜め上方から、当該車体に付されているナンバープレートが映り込むような構図で連続して撮像し、得られた複数枚の撮像画像を画像処理装置1に送付する。この撮像装置2は、地面に立てられている支柱5の上部に固定されており、その撮像方向も固定されている。
【0016】
図1の説明へ戻る。画像処理装置1は、画像取込部11、移動物体検出部12、認識部13、辞書画像データベース14、基準位置設定部15、フォーカス補正部16、及びカメラ制御部17を備えている。
【0017】
画像取込部11は、画像処理装置1に送付されてくる複数枚の撮像画像を取り込んで、画像取込部11自身に備えられている画像バッファに格納する。この画像バッファはリングバッファ構成とし、1台の車両4の車体の像が部分的にでも映っている全ての撮像画像を格納するために十分な格納容量を有しているものとする。
【0018】
移動物体検出部12は、画像取込部11の画像バッファに格納されている撮像画像を1枚ずつ取り出し、取り出した画像に映っている、車両4の車体等の移動物体の像の検出を行う。この検出は、例えば、車両4等の移動物体が全く映っていない道路3の画像を、支柱5に固定されている撮像装置2で予め撮像しておく。そして、この撮像により得られた画像と画像バッファから取り出した撮像画像との差分画像を求め、この差分画像を構成する画素のうち画素値が所定値以上であるものの集合により特定される領域を当該撮像画像から抽出する。この抽出した領域に映っている画像を、移動物体の像の検出結果とする。
【0019】
認識部13は、移動物体検出部12により撮像画像から検出された移動物体の像に対し、車両4の車体に装着されているナンバープレートに付されている文字・模様の認識処理を行う。
【0020】
本実施形態においては、認識部13は、この認識処理を、ナンバープレートに付されていることがあり得る各種の文字・模様の画像である辞書画像とのパターンマッチングにより行う。辞書画像データベース14には、このパターンマッチングに用いられる辞書画像のデータが、その文字・模様の情報と対応付けられて予め蓄積されている。
【0021】
認識部13は、辞書画像データベース14に蓄積されている辞書画像と、撮像画像に映っている車両4の車体の像から抽出される、辞書画像に対応するサイズの部分画像領域とのパターンマッチングを行う。
【0022】
認識部13は、このパターンマッチングを、車両4の車体の像から抽出される全ての部分画像領域について行うと共に、辞書画像データベース14に蓄積されている全ての辞書画像についても行う。なお、このパターンマッチングを、車両4の車体の像全体から抽出される部分画像領域について行う代わりに、例えば後述の処理のようにして、車両4の車体の像から探索したナンバープレートの像から抽出される部分画像領域について行うようにしてもよい。
【0023】
次に、認識部13は、このパターンマッチングの結果として得られるパターンマッチング率(類似度)が所定値以上で最高となる辞書画像と、そのときの部分画像領域の位置とを特定する。ここで特定された位置は、その車体に装着されているナンバープレートに付されている文字・模様についての、撮像画像上での存在位置である。
【0024】
認識部13は、更に、辞書画像データベース14から、この特定された辞書画像に対応付けられている文字・模様の情報を取り出す。この取り出された情報が、認識部13による認識処理の結果として得られる情報である。
【0025】
なお、移動物体検出部12は、車両4の車体に限らず、道路3を走行しているオートバイや自転車などを移動物体として検出することもある。しかし、これらには進行方向の前方にナンバープレートに付されていないので、認識部13が認識処理を行っても文字・模様の認識結果は得られない。
【0026】
基準位置設定部15は、撮像装置2が車両4の車体を連続して撮像して得た複数枚の撮像画像に基づいて、当該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字・模様の認識に最適と推定される位置を、基準位置として当該撮像画像上で設定する。この基準位置設定部15による基準位置の設定手法の詳細は後述する。
【0027】
フォーカス補正部16は、認識部13が前述した認識結果を得たときのパターンマッチング率に基づいて、撮像装置2のフォーカスの調整の要否を判定し、この判定結果に従って、撮像装置2のフォーカスの調整を行う。
【0028】
フォーカス補正部16による、撮像装置2のフォーカスの調整の要否の判定は、より具体的には、以下のようにして行われる。
フォーカス補正部16は、まず、撮像装置2が撮像した複数の撮像画像のうちから、基準位置設定部15が設定した基準位置に文字・模様が表されている画像に対して認識を行ったことで認識部13が認識結果を得たときのパターンマッチング率を得る。ここで、この基準位置に文字・模様が表されている画像を「基準位置画像」と称することとする。
【0029】
更に、フォーカス補正部16は、当該複数の撮像画像のうちから、基準位置画像の撮像時の前及び後にそれぞれ撮像された画像の各々に対して認識を行ったことで認識部13が認識結果を得たときのパターンマッチング率を得る。なお、この基準位置画像の撮像時の前及び後にそれぞれ撮像された画像を、「前画像」及び「後画像」と称することとする。
【0030】
フォーカス補正部16は、これらの基準位置画像、前画像、及び後画像のそれぞれについてのパターンマッチング率に基づいて、撮像装置2のフォーカスの調整の要否を判定する。
【0031】
このフォーカス補正部16による、撮像装置2のフォーカスの調整の要否の判定の手法についての詳細は後述する。
カメラ制御部17は、フォーカス補正部16から指示されるフォーカスの調整内容に従って撮像装置2を制御して、撮像装置2のフォーカスの位置調整を行う。
【0032】
図1の画像処理装置1は以上の構成を備えている。なお、この画像処理装置1が行う動作を、標準的な構成のコンピュータに行わせることもできる。
ここで図3について説明する。図3には、画像処理装置1として動作させることのできるコンピュータ20の構成例が図解されている。
【0033】
このコンピュータ20は、MPU21、ROM22、RAM23、ハードディスク装置24、入力装置25、表示装置26、インタフェース装置27、及び記録媒体駆動装置28を備えている。なお、これらの構成要素はバス29を介して接続されており、MPU21の管理の下で各種のデータを相互に授受することができる。
【0034】
MPU(Micro Processing Unit)21は、このコンピュータ20全体の動作を制御する演算処理装置である。
ROM(Read Only Memory)22は、所定の基本制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリである。MPU21は、この基本制御プログラムをコンピュータ20の起動時に読み出して実行することにより、このコンピュータ20の各構成要素の動作制御が可能になる。
【0035】
RAM(Random Access Memory)23は、MPU21が各種の制御プログラムを実行する際に、必要に応じて作業用記憶領域として使用する、随時書き込み読み出し可能な半導体メモリである。
【0036】
ハードディスク装置24は、MPU21によって実行される各種の制御プログラムや各種のデータを記憶しておく記憶装置である。
MPU21は、ハードディスク装置24に記憶されている所定の制御プログラムを読み出して実行することにより、後述する制御処理を行えるようになる。
【0037】
入力装置25は、例えばキーボード装置やマウス装置であり、コンピュータ20の使用者により操作されると、その操作内容に対応付けられている使用者からの各種情報の入力を取得し、取得した入力情報をMPU21に送付する。
【0038】
表示装置26は例えば液晶ディスプレイであり、MPU21から送付される表示データに応じて各種のテキストや画像を表示する。
インタフェース装置27は、このコンピュータ20に接続される各種機器との間での各種データの授受の管理を行う。より具体的には、インタフェース装置27は、撮像装置2からから送られてくる撮像画像信号のアナログ−デジタル変換や、認識結果情報・出力画像データなどの後続機器への送信などを行う。
【0039】
記録媒体駆動装置28は、可搬型記録媒体30に記録されている各種の制御プログラムやデータの読み出しを行う装置である。MPU21は、可搬型記録媒体30に記録されている所定の制御プログラムを、記録媒体駆動装置28を介して読み出して実行することによって、後述する各種の制御処理を行うようにすることもできる。なお、可搬型記録媒体30としては、例えばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)などがある。
【0040】
このようなコンピュータ20を画像処理装置1として動作させるには、まず、画像処理装置1で行われる各種処理の処理内容をMPU21に行わせるための制御プログラムを作成する。作成された制御プログラムはハードディスク装置24若しくは可搬型記録媒体30に予め格納しておく。そして、MPU21に所定の指示を与えてこの制御プログラムを読み出させて実行させる。こうすることで、MPU21が、図1の画像処理装置1が有している各部として機能し、このコンピュータ20による画像処理装置1としての動作が可能になる。
【0041】
次に、画像処理装置1により行われる、撮像装置2のフォーカス調整の動作手順について、フローチャートを参照しながら説明する。
まず図4について説明する。図4は、文字・模様認識処理の処理手順を図解したフローチャートである。
【0042】
まず、図4のS101において、撮像画像取り込み処理が画像取込部11により行われる。この処理は、画像処理装置1に送付されてくる複数枚の撮像画像を取り込んで、画像取込部11自身に備えられている画像バッファに格納する処理である。なお、この撮像画像取り込み処理は、撮像装置2から撮像画像が送付されてくる度に実行されて、撮像画像が送付順に画像バッファに格納される。
【0043】
次に、S102において、移動物体検出処理が移動物体検出部12により行われる。この処理は、画像取込部11の画像バッファに格納されている撮像画像を1枚取り出し、取り出した画像に映っている、車両4の車体等の移動物体の像の検出を、移動物体検出部12が、前述したようにして行う処理である。
【0044】
次に、S103において、前述したS102の移動物体検出処理により撮像画像から移動物体を検出したか否かを判定する処理が移動物体検出部12により行われる。ここで、移動物体を検出したと判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS104に処理を進める。一方、移動物体を検出しなかったと判定されたとき(判定結果がNoのとき)にはS102へ処理を戻して、次の撮像画像を画像取込部11の画像バッファから1枚取り出して、取り出した撮像画像に対する移動物体検出処理が移動物体検出部12により行われる。
【0045】
次に、S104では、S102の処理により検出された移動物体の像から、車両4の車体に付されているナンバープレートを探索する処理が認識部13により行われる。この処理は、例えば、移動物体の像のエッジ抽出を行って、撮像画像の水平方向の中央付近に存在する矩形状のエッジがナンバープレートであると推定して、探索を行う。
【0046】
次に、S105では、S104の探索処理によりナンバープレートを発見したか否かを判定する処理が認識部13により行われる。ここで、ナンバープレートを発見したと判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS106に処理を進める。一方、ナンバープレートを発見しなかったと判定されたとき(判定結果がNoのとき)にはS102へ処理を戻して、次の撮像画像を画像取込部11の画像バッファから1枚取り出し、取り出した撮像画像に対する移動物体検出処理が行われる。
【0047】
次に、S106では、S104の処理により発見されたナンバープレートに含まれている文字・模様を認識する処理が、認識部13により、前述したようにして行われる。この処理による認識結果である文字・模様の情報と、認識対象であった撮像画像とは、後続の他の機器へ出力される。
【0048】
次に、S107では、S106の認識処理による認識結果である文字・模様が存在していた撮像画像上の位置(存在位置)の情報を取得する処理が認識部13により行われる。この処理により取得された文字・模様の存在位置の情報は、後述するフォーカス調整制御処理において使用される。
【0049】
このS107の処理を終えた後には、S102へ処理を戻して、次の撮像画像を画像取込部11の画像バッファから1枚取り出して、取り出した撮像画像に対する移動物体検出処理が移動物体検出部12により行われる。
【0050】
以上までの処理が文字・模様認識処理である。
次に図5について説明する。図5は、フォーカス調整制御処理の処理手順を図解したフローチャートである。
【0051】
なお、この図5の処理のうち、S201及びS202の処理は基準位置設定部15により行われ、S203からS208の処理はフォーカス補正部16により行われる。
まず、S201において、前述した文字・模様認識処理により取得した文字・模様の存在位置の分布についてのヒストグラムを作成する処理が行われる。この処理は、まず、図6に図解するように、撮像画像の画像領域を縦横に分割(図6の例では3×3)してブロック(図6の例では9個のブロック)を予め定めておく。次に、撮像画像から取得した文字・模様の存在位置が、これらのブロックのいずれに属するかを、撮像装置2が一定時間連続して撮像して得た複数枚の撮像画像について行う。そして、各ブロックに属する文字・模様の存在位置の度数をブロック毎に計数し、この計数結果を表すヒストグラムを作成する。
【0052】
なお、図6の分割例では撮像画像を縦横3×3に分割して9個のブロックとしていたが、ブロックの分割数を図6の例から変更してもよい。
次に、S202ではフォーカス調整基準位置設定処理が行われる。この処理は、S201の処理により作成したヒストグラムにおける度数が所定の条件を満たしているブロックの位置を、前述した基準位置として設定する処理である。このフォーカス調整基準位置設定処理の詳細は後述する。
【0053】
次に、S203では、S202の処理で設定された基準位置でナンバープレートの文字・模様の認識を行った車両4が映っている一連の撮像画像を、画像取込部11の画像バッファから読み出して取得する処理が行われる。実際には、この処理では、基準位置でナンバープレートの文字・模様の認識を行った撮像画像の撮像時に対して前及び後の所定時間の範囲に撮像装置2が撮像した一連の撮像画像を、画像バッファから読み出して取得する処理が行われる。この処理により取得された一連の撮像画像は、フォーカス補正部16自身が有している画像バッファメモリに一時的に蓄積される。
【0054】
次に、S204では、S203の処理で取得された一連の撮像画像に基づいて、撮像装置2のフォーカスの調整の要否を判定する処理が行われる。このフォーカス調整要否判定処理の詳細は後述する。
【0055】
次に、S205では、S204のフォーカス調整要否判定処理によって、フォーカスの調整が必要と判定されたか否かを調べる処理が行われる。ここで、フォーカスの調整が必要と判定されていたとき(判定結果がYesのとき)にはS206に処理を進め、フォーカスの調整が不要と判定されていたとき(判定結果がNoのとき)にはS207に処理を進める。
【0056】
S206では、カメラ制御部17に所定の指示を与えて、撮像装置2のフォーカスの調整を行わせる処理が行われる。なお、このフォーカスの調整手法の例については後述する。
【0057】
上述したS206の処理を終えた後はS203に処理を戻し、フォーカスの調整がなされた撮像装置2で撮像されて得られた撮像画像について、前述したS203以降の処理が改めて行われて、フォーカスの調整の要否判定が行われる。
【0058】
S207では、撮像装置2のフォーカス調整を行わずに、ひとまず今回のフォーカス調整制御処理を終了する。その後、予め定めておいた時間が経過したときに、S201へ処理を戻して、フォーカス調整制御処理の実行を改めて開始する。
以上までの処理がフォーカス調整制御処理である。
【0059】
次に図7について説明する。図7は、図6のS202の処理である、基準位置設定処理の処理手順を図解したフローチャートである。
図7において、まず、S301では、S201の処理で作成したヒストグラムにおいて、度数の大きい順に上位2個のブロックを抽出し、その2個のブロックの度数の差分を算出する処理が行われる。
【0060】
次に、S302では、S301の処理で算出した度数の差分値が、所定の閾値T1以上であるか否かを判定する処理が行われる。ここで、当該差分値が閾値T1以上であると判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS303に処理を進め、当該差分値が閾値T1未満であると判定されたとき(判定結果がNoのとき)にはS304に処理を進める。
【0061】
S302の処理結果がYesと判定される場合とは、前述したヒストグラムにおける最大の度数がその他のいずれの度数より顕著に大きいとみなせる場合である。この場合を言い換えれば、撮像装置2が一定時間連続して撮像して得た複数枚の撮像画像のうちの相当数のものについての文字・模様の存在位置が、最大の度数であるブロック内であった場合である。従って、このブロックの位置は、車両4の車体に装着されているナンバープレートに付されている文字・模様の認識に最適と推定することができる。そこで、S303では、前述したヒストグラムにおいて最大の度数であるブロックの中心位置を、フォーカス調整のための基準位置として設定する処理が行われる。
【0062】
上述したS303の処理を終えた後は、図7の基準位置設定処理が終了し、その後は図6の処理を進める。
一方、S302の処理結果がNoと判定される場合とは、前述したヒストグラムにおける最大の度数がその他のいずれの度数より顕著に大きいとみなすことはできない場合である。この場合には、文字・模様の存在位置の属する数が比較的大きい幾つかのブロックの位置の中央付近を、フォーカス調整のための基準位置として設定する。
【0063】
より具体的には、まず、S304において、前述したヒストグラムにおける最大の度数との度数の差が閾値T1未満であるブロックを全て抽出する処理が行われる。
次に、S305において、抽出された各ブロックについて、その中心位置を表す撮像画像平面上の座標の平均(平面直交座標における軸毎の座標値の加算平均)を算出する処理が行われる。
【0064】
次に、S306において、S305の処理で算出された座標の平均値が属するブロックの中心位置を、フォーカス調整のための基準位置として設定する処理が行われる。
上述したS306の処理を終えた後は、図7の基準位置設定処理が終了し、その後は図6の処理を進める。
【0065】
以上までの処理が基準位置設定処理であり、この処理を基準位置設定部15が行うことで、フォーカス調整のための前述した基準位置が、撮像装置2が車両4の車体を連続して撮像して得た複数枚の撮像画像に基づいて設定される。
【0066】
次に図8について説明する。図8は、図6のS204の処理である、フォーカス調整要否判定処理の処理手順を図解したフローチャートである。
図8において、まず、S401では、図6のS203の処理によってフォーカス補正部16の画像バッファメモリに蓄積されている複数枚の撮像画像から3枚の撮像画像を抽出する処理が行われる。この処理で抽出される撮像画像は、S202の基準位置設定処理で設定された基準位置に文字・模様が表されている、前述の基準位置画像と、この基準位置画像の撮像時の前及び後にそれぞれ撮像された、前述の前画像及び後画像とである。但し、このうちの前画像及び後画像は、複数枚の撮像画像のうちで文字・模様が当該基準位置から最も離れた位置に表されている画像である。
【0067】
図2の例のように設置されている撮像装置2で車両4を連続して撮像して得た撮像画像において、車両4に付されているナンバープレートの各撮像画像上での位置は、撮像時間の経過に従って、画像の最上部から最下部へと変化する。従って、S401の処理で抽出される撮像画像のうちで、前画像は、ナンバープレートに付されている文字・模様が画像の最上部に写っている撮像画像であり、後画像は、ナンバープレートに付されている文字・模様が画像の最下部に写っている撮像画像である。
【0068】
次に、S402では、S401の処理によって抽出された3枚の撮像画像に対し、前述したパターンマッチングによる文字・模様の認識処理を認識部13に行わせ、このパターンマッチングの結果として得られるパターンマッチング率を取得する処理が行われる。
【0069】
なお、このS402の処理において、認識処理を認識部13に改めて行わせる代わりに、前述した図4のS106の処理において撮像画像に対して行った認識処理におけるパターンマッチング率を保存しておいて用いるようにしてもよい。
【0070】
次に、S403では、基準位置画像と前画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値と、該基準位置画像と後画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値との和を算出する処理が行われる。
【0071】
次に、S404では、S403の処理により算出された値が、所定の閾値T2以上であるか否かを判定する処理が行われる。ここで、当該算出値が閾値T2以上であると判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS405に処理を進め、当該算出値が閾値T2未満であると判定されたとき(判定結果がNoのとき)にはS406に処理を進める。
【0072】
S404の判定処理がYesと判定される場合とは、S401の処理によって抽出された3枚の撮像画像の各々で、パターンマッチング率のばらつきが顕著に大きいと考えられる場合である。本実施形態では、このような場合には、パターンマッチング率のばらつきの大きさの原因が、撮像画像を撮像した撮像装置2のフォーカスのずれにあるとみなし、S405において、撮像装置2のフォーカス調整が必要との判定を下す処理が行われる。
【0073】
上述したS405の処理を終えた後は、図8のフォーカス調整要否判定処理が終了し、その後は図6の処理を進める。
一方、S404の判定処理がNoと判定される場合とは、S401の処理によって抽出された3枚の撮像画像の各々でのパターンマッチング率のばらつきはそれほど大きくはないと考えられる場合である。本実施形態では、このような場合には、撮像画像を撮像した撮像装置2のフォーカスのずれは許容範囲内にあるとみなし、S406において、撮像装置2のフォーカス調整は不要との判定を下す処理が行われる。
【0074】
上述したS406の処理を終えた後は、図8のフォーカス調整要否判定処理が終了し、その後は図6の処理を進める。
以上までの処理がフォーカス調整要否判定処理であり、この処理をフォーカス補正部16が行うことで、撮像装置2が車体を連続して撮像して得た複数枚の撮像画像に基づいて、撮像装置2のフォーカスの調整の要否が判定される。
【0075】
なお、撮像装置2のフォーカスの調整の要否の判定を、以下のようにしてフォーカス補正部16が行ってもよい。
この手法では、まず、基準位置画像に対して認識部13が行った、ある文字・模様についての認識処理において、文字・模様とのパターンマッチングに用いる辞書画像毎に求められるパターンマッチング率の最高のものと、それに続く2番目に高いものとを取得する。そして、この両者の差分を算出する。
【0076】
撮像装置2のフォーカスが基準位置に対して不適切になると、撮像画像中の文字・模様がボケる。すると、上記の2つのパターンマッチング率の差は小さくなる。そこで、上述したようにして算出したパターンマッチング率の差分値が所定の閾値以下であるか否かを判定し、当該所定の閾値以下である場合には、撮像装置2のフォーカスの調整が必要との判定を下すようにする。
【0077】
この判定手法では、前述した前画像及び後画像を用いないので、画像を蓄積しておくためのメモリの節約となる。
なお、この判定手法においては、認証対象とする文字・模様に類似性の高い文字・模様が他に存在する場合には、判定精度の低下が考えられるので、認証対象とする文字・模様を特定のもの(他に似ている文字・模様が少ないもの)に限定してもよい。
【0078】
以上のようにしてフォーカスの調整の要否の判定を行った結果、調整が必要との判定がなされた場合には、例えば以下のような手法に従って撮像装置2のフォーカスの調整を行う。
【0079】
この手法では、前述したフォーカス調整要否判定処理において算出した、基準位置画像と前画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値と、該基準位置画像と後画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値とを用いる。そして、フォーカス補正部16が、まず、この2つの絶対値の大小比較を行う。
【0080】
この大小比較において、後画像についての絶対値の方が、前画像についての絶対値よりも大きい場合には、前画像の方が後画像よりも文字・模様のボケ量が大きいと考えることができる。
【0081】
ところで、前述したように、前画像は、ナンバープレートに付されている文字・模様が画像の最上部に写っている撮像画像であり、後画像は、ナンバープレートに付されている文字・模様が画像の最下部に写っている撮像画像である。ここで、車両4は、撮像装置2に向かう方向に進行しており、撮像装置2は車両4を斜め上方から撮像している。従って、前画像を撮像したときの車両4の位置は、基準位置画像の撮像時よりも遠方に位置しており、後画像を撮像したときの車両4の位置は、基準位置画像の撮像時よりも近くに位置している。従って、前画像の方が文字・模様のボケ量が大きいということは、撮像装置2の現在のフォーカスが近い側にずれていると考えられる。
【0082】
そこで、前述した大小比較により、後画像についての絶対値の方が前画像についての絶対値よりも大きい場合には、撮像装置2のフォーカスを遠ざける方向に調整するようにする。その一方、後画像についての絶対値の方が前画像についての絶対値よりも小さい場合には、撮像装置2のフォーカスを近づける方向に調整するようにする。
【0083】
フォーカス補正部16は、そのフォーカスの調整の方向を、前述した大小比較の結果に従って決定し、決定した方向を、フォーカス調整の制御指示と共にカメラ制御部17に与える。カメラ制御部17は、フォーカス補正部16から指示されるフォーカスの調整内容に従って撮像装置2を制御して、撮像装置2のフォーカスの位置調整を行う。
【0084】
フォーカス補正部16が、撮像装置2のフォーカスの調整を行うときの調整の方向を、前画像と後画像との各々においてのフォーカスのずれの状況に基づいて以上のようにして決定して、フォーカスの調整を行うようにしてもよい。
【0085】
図1の画像処理装置1は、以上のような動作を行うことで、撮像装置2のフォーカス調整の要否を自ら判別して、そのフォーカス調整を、その判別結果に応じて自動的に行うことができる。従って、この画像処理装置1を使用することで、撮像装置2のフォーカス調整を行うための調整員による手動での調整作業が不要になる。
【0086】
なお、以上までに説明した実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
撮像装置のフォーカスの調整を行うフォーカス調整装置であって、
該撮像装置が移動中の車体を撮像して得た撮像画像に対して行う、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識を、予め用意されている、辞書画像とのパターンマッチングにより行う認識部と、
該撮像装置が該車体を連続して撮像して得た複数枚の該撮像画像に基づいて、該ナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識に最適と推定される位置を、基準位置として該撮像画像上で設定する基準位置設定部と、
該複数枚の撮像画像のうち該基準位置設定部が設定した基準位置に該文字若しくは該模様が表されている画像である基準位置画像に対して該認識を行った結果のパターンマッチング率と、該複数枚の撮像画像のうち該基準位置画像の撮像時の前後にそれぞれ撮像された画像である前画像及び後画像の各々に対して該認識を行った結果のパターンマッチング率とに基づいて、該フォーカスの調整の要否を判定し、該判定結果に従って該フォーカスの調整を行うフォーカス補正部と、
を有することを特徴とするフォーカス調整装置。
(付記2)
該基準位置設定部は、該複数枚の該撮像画像の各々について該認識部が該認識を行って得られた認識結果である該文字若しくは該模様の該撮像画像上での存在位置の分布についてのヒストグラムを求め、該ヒストグラムにおける度数が所定の条件を満たしている存在位置を、該基準位置として設定することを特徴とする付記1に記載のフォーカス調整装置。
(付記3)
該所定の条件は、該度数が該ヒストグラムにおいて最大であって、且つ、該ヒストグラムにおいて度数が二番目に大きいものとの度数の差が所定の閾値以上であることを特徴とする付記2に記載のフォーカス調整装置。
(付記4)
該基準位置設定部は、該所定の条件を満たしている存在位置が存在しない場合には、該ヒストグラムにおける度数と該ヒストグラムにおける度数の最大値との差が該閾値未満である全ての存在位置を示す座標の平均値で表される位置を、該基準位置として設定することを特徴とする付記3に記載のフォーカス調整装置。
(付記5)
該前画像及び該後画像は、該複数枚の撮像画像のうちで該文字若しくは該模様が該基準位置から最も離れた位置に表されている画像であることを特徴とする付記1乃至付記4のうちのいずれか一項に記載のフォーカス調整装置。
(付記6)
該フォーカス補正部は、該基準位置画像と該前画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値と、該基準位置画像と該後画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値との和が所定の閾値以上である場合に、該フォーカスの調整が必要との判定を下すことを特徴とする付記1乃至付記5のうちのいずれか一項に記載のフォーカス調整装置。
(付記7)
該フォーカス補正部は、該フォーカスの調整を行うときの調整の方向を、該前画像と該後画像との各々においてのフォーカスのずれの状況(傾向)に基づき決定することを特徴とする付記1乃至付記6のうちのいずれか一項に記載のフォーカス調整装置。
(付記8)
該フォーカス補正部は、該基準位置画像と該前画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値と、該基準位置画像と該後画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値との大小比較を行い、該フォーカスの調整を行うときの調整の方向を、該比較の結果に対応する方向に決定することを特徴とする付記7に記載のフォーカス調整装置。
(付記9)
撮像装置のフォーカスの調整を行う方法であって、
該撮像装置が移動中の車体を連続して撮像して得た複数枚の撮像画像に基づいて、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識に最適と推定される位置を、基準位置として該撮像画像上で設定し、
該複数枚の撮像画像のうち、該基準位置に該文字若しくは該模様が表されている画像である基準位置画像、並びに、該基準位置画像の撮像時の前後にそれぞれ撮像された画像である前画像及び後画像の各々に対して行う、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識を、予め用意されている、辞書画像とのパターンマッチングにより行い、
該基準位置画像、該前画像、及び該後画像の各々に対して該認識を行ったことで認識結果を得たときのパターンマッチング率に基づいて、該フォーカスの調整の要否を判定し、該判定結果に従って該フォーカスの調整を行う、
ことを特徴とするフォーカス調整方法。
(付記10)
該基準位置の設定においては、該複数枚の該撮像画像の各々について、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識を行い、該認識の結果として得られた該文字若しくは該模様の該撮像画像上での存在位置の分布についてのヒストグラムを求め、該ヒストグラムにおける度数が所定の条件を満たしている存在位置を、該基準位置として設定することを特徴とする付記9に記載のフォーカス調整方法。
(付記11)
該所定の条件は、該度数が該ヒストグラムにおいて最大であって、且つ、該ヒストグラムにおいて度数が二番目に大きいものとの度数の差が所定の閾値以上であることを特徴とする付記10に記載のフォーカス調整方法。
(付記12)
該基準位置の設定において、該所定の条件を満たしている存在位置が存在しない場合には、該ヒストグラムにおける度数と該ヒストグラムにおける度数の最大値との差が該閾値未満である全ての存在位置を示す座標の平均値で表される位置を、該基準位置として設定することを特徴とする付記11に記載のフォーカス調整方法。
(付記13)
該前画像及び該後画像は、該複数枚の撮像画像のうちで該文字若しくは該模様が該基準位置から最も離れた位置に表されている画像であることを特徴とする付記9乃至付記12のうちのいずれか一項に記載のフォーカス調整方法。
(付記14)
該フォーカスの調整の要否の判定においては、該基準位置画像と該前画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値と、該基準位置画像と該後画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値との和が所定の閾値以上である場合に、該フォーカスの調整が必要との判定を下すことを特徴とする付記9乃至付記13のうちのいずれか一項に記載のフォーカス調整方法。
(付記15)
該フォーカスの調整を行うときには、該フォーカスの調整を行うときの調整の方向を、該前画像と該後画像との各々においてのフォーカスのずれの状況に基づき決定することを特徴とする付記9乃至付記14のうちのいずれか一項に記載のフォーカス調整方法。
(付記16)
該フォーカスの調整を行うときの調整の方向の決定では、該基準位置画像と該前画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値と、該基準位置画像と該後画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値との大小比較を行い、該フォーカスの調整を行うときの調整の方向を、該比較の結果に対応する方向に決定することを特徴とする付記15に記載のフォーカス調整方法。
【符号の説明】
【0087】
1 画像処理装置
2 撮像装置
3 道路
4 車両
5 支柱
11 画像取込部
12 移動物体検出部
13 認識部
14 辞書画像データベース
15 基準位置設定部
16 フォーカス補正部
17 カメラ制御部
20 コンピュータ
21 MPU
22 ROM
23 RAM
24 ハードディスク装置
25 入力装置
26 表示装置
27 インタフェース装置
28 記録媒体駆動装置
29 バス
30 可搬型記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置のフォーカスの調整を行うフォーカス調整装置であって、
該撮像装置が移動中の車体を撮像して得た撮像画像に対して行う、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識を、予め用意されている、辞書画像とのパターンマッチングにより行う認識部と、
該撮像装置が該車体を連続して撮像して得た複数枚の該撮像画像に基づいて、該ナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識に最適と推定される位置を、基準位置として該撮像画像上で設定する基準位置設定部と、
該複数枚の撮像画像のうち該基準位置設定部が設定した基準位置に該文字若しくは該模様が表されている画像である基準位置画像に対して該認識を行った結果のパターンマッチング率と、該複数枚の撮像画像のうち該基準位置画像の撮像時の前後にそれぞれ撮像された画像である前画像及び後画像の各々に対して該認識を行った結果のパターンマッチング率とに基づいて、該フォーカスの調整の要否を判定し、該判定結果に従って該フォーカスの調整を行うフォーカス補正部と、
を有することを特徴とするフォーカス調整装置。
【請求項2】
該基準位置設定部は、該複数枚の該撮像画像の各々について該認識部が該認識を行って得られた認識結果である該文字若しくは該模様の該撮像画像上での存在位置の分布についてのヒストグラムを求め、該ヒストグラムにおける度数が所定の条件を満たしている存在位置を、該基準位置として設定することを特徴とする請求項1に記載のフォーカス調整装置。
【請求項3】
該前画像及び該後画像は、該複数枚の撮像画像のうちで該文字若しくは該模様が該基準位置から最も離れた位置に表されている画像であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフォーカス調整装置。
【請求項4】
該フォーカス補正部は、該フォーカスの調整を行うときの調整の方向を、該前画像と該後画像との各々においてのフォーカスのずれの状況に基づき決定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一項に記載のフォーカス調整装置。
【請求項5】
該フォーカス補正部は、該基準位置画像と該前画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値と、該基準位置画像と該後画像とについてのパターンマッチング率の差分の絶対値との大小比較を行い、該フォーカスの調整を行うときの調整の方向を、該比較の結果に対応する方向に決定することを特徴とする請求項4に記載のフォーカス調整装置。
【請求項6】
撮像装置のフォーカスの調整を行う方法であって、
該撮像装置が移動中の車体を連続して撮像して得た複数枚の撮像画像に基づいて、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識に最適と推定される位置を、基準位置として該撮像画像上で設定し、
該複数枚の撮像画像のうち、該基準位置に該文字若しくは該模様が表されている画像である基準位置画像、並びに、該基準位置画像の撮像時の前後にそれぞれ撮像された画像である前画像及び後画像の各々に対して行う、該車体に装着されているナンバープレートに付されている文字若しくは模様の認識を、予め用意されている、辞書画像とのパターンマッチングにより行い、
該基準位置画像、該前画像、及び該後画像の各々に対して該認識を行ったことで認識結果を得たときのパターンマッチング率に基づいて、該フォーカスの調整の要否を判定し、該判定結果に従って該フォーカスの調整を行う、
ことを特徴とするフォーカス調整方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−3342(P2012−3342A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135417(P2010−135417)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】