説明

フッ素樹脂を染色によって着色する方法

【課題】染色によって着色されたフッ素樹脂を提供する。
【解決手段】フッ素樹脂を分散染料および分散均洗剤、消泡剤などの添加された染色液中にて、180℃から200℃の温度で20分から30分間染色する。つぎに、100℃から120℃の還元洗浄浴にて還元洗浄を行い、染色によって着色されたフッ素樹脂を得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
この発明は、フッ素樹脂を染色によって、着色する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フッ素樹脂の染色は困難とされてきた。フッ素樹脂の着色には塗装による方法もあるが、塗装された塗膜ははがれ易く弱いものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これには、次のような欠点があった。
(イ)染色による着色が困難であるので、自然色(白色)しか利用できない。
(ロ)塗装は塗膜の強度が弱いためはがれ易く耐久性に欠いたものである。
本発明は、これらの欠点を除くためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
フッ素樹脂を分散染料と、分散均染剤、消泡剤などの染色助剤の添加された染色浴に浸漬し、染色浴の温度を低くて180℃、好ましくは200℃まで昇温し、20分から30分間染色する。染色後、還元剤、ソーピング剤、アルカリ剤などの添加された還元洗浄浴にて、100℃から120℃までの温度で約10分から20分間、還元洗浄を行う。
後、よく水洗し、乾燥する。
この場合のフッ素樹脂とは、四フッ化エチレン樹脂(PTFE、TFE)及び四フッ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂の種類の中でも耐熱性にすぐれたフッ素樹脂をさす。
また、分散染料とはポリエステル繊維染色用の分散染料であり、分散均洗剤とは通常アニオン性の界面活性剤であり、消泡剤とは通常シリコン系または非シリコン系の繊維染色用の染色助剤である。また、還元剤とはハイドロサルファイト、二酸化チオ尿素などの還元剤をさし、ソーピング剤は非イオンまたはアニオン系の界面活性剤であり、幾らかのアルコール類を含んだタイプのものが好ましい。また、アルカリ剤とは苛性ソーダ、ソーダ灰、アンモニア水などのアルカリ助剤をいう。
本発明は、以上のような構成よりなるフッ素樹脂の染色による着色方法である。
【作用】
【0005】
分散染料、分散均洗剤、消泡剤などが添加された染色液にフッ素樹脂を浸漬し、180℃以上好ましくは200℃まで昇温し、20分から30分間染色を行う。
分散染料が樹脂の表面から内部に拡散浸透し、フッ素樹脂は染料により染色される。
次に、100℃より120℃の還元洗浄浴にて10分から20分間還元洗浄を行い、樹脂表面に残った分散染料を分解、脱落せしめる。あと、よく水洗、乾燥する。
【実施例】
【0006】
以下、本発明の実施例について説明する。
(イ)切削加工により成形されたフッ素樹脂(PTFE)、直径12mm×長さ58mmの円筒形のもの、厚さ15mm×たて70mm×よこ35mmの形のものを、ダイヤニックス エローACE1g、及びアニオン系の分散均洗剤1g/L、消泡剤0.5g/Lを添加した300mLの染色液に浸漬し180℃まで昇温して30分間染色を行う。染色後冷却して排液する。次に、二酸化チオ尿素1g/L、非イオン界面活性剤(アルコール類を含むタイプ)2g/L、ソーダ灰1g/Lを添加した300mLの還元洗浄液にて110℃で15分間還元洗浄を行った。あと水洗、乾燥した。黄色に着色されたフッ素樹脂が得られた。
(ロ)切削加工により成形されたフッ素樹脂(PTFE)、直径12mm×長さ58mmの円筒形のものを、ダイヤニックス レットACE1g及びアニオン系の分散均洗剤1g/L、消泡剤1g/Lの添加された200mLの染色液中に浸漬せしめ200℃にて30分間染色を行う。染色後冷却して排液する。あと、二酸化チオ尿素1g/L、非イオン界面活性剤(アルコールを含むタイプ)2g/L、苛性ソーダ1g/Lを添加した還元洗浄液中にて120℃の温度で15分間還元洗浄を行う。あと、水洗、乾燥する。
赤色に着色されたフッ素樹脂が得られた。
【発明の効果】
【0007】
フッ素樹脂を180度から200度までの染色温度の染色液中に浸漬することにより、フッ素樹脂に分散染料が浸透拡散され染色によって着色される。また、還元洗浄は染色温度より低い100℃から120℃の温度で行うことでフッ素樹脂表面の分散染料を分解脱落することが出来る。
染色によって着色されたフッ素樹脂を得ることによって、従来自然色(白色)しかなかったフッ素樹脂を色分けによっての識別などに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素樹脂を染料、薬品を用いて染色し、着色されたフッ素樹脂を得る方法である。

【公開番号】特開2011−58152(P2011−58152A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230988(P2009−230988)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(598106201)
【Fターム(参考)】