説明

フッ素系溶剤含有溶液の精製方法及び精製装置ならびに洗浄装置

【課題】蒸留装置を用いることなく、フッ素系溶剤を比較的に小さい設備で高純度に得ることができる精製方法を提供する。
【解決手段】フッ素系溶剤、水溶性有機溶剤、有機汚染物及びイオン汚染物を含む混合溶液からフッ素系溶剤を精製する方法であって、工程(1):混合溶液を水洗して、水溶性有機溶剤汚染物の濃度を0.01wt%以下に低減した第一処理液を得ること、工程(2):前記第一処理液を活性炭で処理して、有機汚染物の濃度を20ppb以下とした第二処理液を得ること、工程(3):前記第二処理液を活性アルミナで処理して、フッ素イオン汚染物を10ppb以下とした第三処理液を得ること、及び、工程(4):前記第三処理液をパーティクル除去フィルターで処理して、0.1μm以上のパーティクル数を10個/mL以下のフッ素系溶剤を得ること、を含む、フッ素系溶剤を含有する混合溶液の精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロフルオロカーボンエーテル(HFE)などのフッ素系溶剤を含有する混合溶液の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素系溶剤は従来より電子部品や半導体ウエハーなどのワークの洗浄に使用されている。ワークを洗浄しながら、使用済みの洗浄液をインラインで精製することが、一般的に好適に行われている。たとえば、特許文献1(特開2003−47802号公報)及び特許文献2(特開2001−129302号公報)はフッ素系溶剤の蒸留再生機を記載している。しかし、近年では、部品の微細化や高精度化が進んでいるために、洗浄液を蒸留により再生ことには以下のような問題が生じている。
第一に、通常の洗浄装置に設置されるサイズの蒸留器では十分なレベルの液純度を得ることが困難である。特に沸点が近い溶液が混合されている場合、それらの分離を蒸留器で行うことは非常に困難である。
第二に、通常の洗浄装置に設置しているレベルのパーティクル除去フィルターでは、求められるもしくは必要なレベルまで液中パーティクル数を減らすことが困難であった。
第三に、ヒドロフルオロカーボンエーテル(HFE)のようなフッ素系溶剤をを蒸留再生することで、HFEに熱がかかるので、液中のフッ素イオン量が増加する。
第四に、大量の溶剤を再生する場合、大きな設備が必要であり、再生処理時間として長時間を要した。
第五に、求められるもしくは必要なとする純度の液が得られない場合は新しい液を追加する、もしくは古い液を新しい液で置き換えなければならない。これには通常、大量の液体が必要とされる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−47802号公報
【特許文献2】特開2001−129302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ヒドロフルオロカーボンエーテル(HFE)などのフッ素系溶剤を比較的に小さい設備で、かつ蒸留装置を用いることなく高純度に得ることができる精製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を含む。
(i)ヒドロフルオロカーボンエーテル(HFE) および/またはヒドロフルオロカーボン(HFC)などのフッ素系溶剤、水溶性有機溶剤汚染物、有機汚染物及びイオン汚染物を含む混合溶液からフッ素系溶剤を精製する方法であって、
工程(1):混合溶液を水洗して、水溶性有機溶剤汚染物の濃度を0.01wt%以下に低減した第一処理液を得ること、
工程(2):前記第一処理液を活性炭で処理して、有機汚染物の濃度を20ppbw以下とした第二処理液を得ること、
工程(3):前記第二処理液を活性アルミナで処理して、フッ素イオン汚染物を10ppb以下とした第三処理液を得ること、及び、
工程(4):前記第三処理液をパーティクル除去フィルターで処理して、0.1μm以上のパーティクル数を10個/mL以下のフッ素系溶剤を得ること、
を含む、フッ素系溶剤を含有する混合溶液の精製方法。
【0006】
(ii)ヒドロフルオロカーボンエーテル(HFE)および/またはヒドロフルオロカーボン(HFC)などのフッ素系溶剤、水溶性有機溶剤汚染物、有機汚染物及びイオン汚染物を含む混合溶液からフッ素系溶剤を精製する方法であって、
工程(1):混合溶液を水洗して、水溶性有機溶剤汚染物の濃度を0.01wt%以下に低減した第一処理液を得ること、
工程(3):前記第一処理液を活性アルミナで処理して、フッ素イオン汚染物を10ppb以下とした第二処理液を得ること、
工程(2):前記第二処理液を活性炭で処理して、有機汚染物の濃度を20ppb以下とした第三処理液を得ること、及び、
工程(4):前記第三処理液をパーティクル除去フィルターで処理して、0.1μm以上のパーティクル数を10個/mL以下のフッ素系溶剤を得ること、
を含む、フッ素系溶剤を含有する混合溶液の精製方法。
【0007】
(iii)前記フッ素系溶剤が分離型(segregated)ヒドロフルオロカーボンエーテル(HFE)、非分離型(non-segregated)HFE,ヒドロフルオロポリエーテル、ヒドロフルオロカーボンもしくはヒドロクロロフルオロカーボンである、上記(i)又は(ii)記載のフッ素系溶剤を含有する溶液の精製方法。
【0008】
(iv)前記工程(1)において、水洗槽及び水分除去装置を含む水溶性有機溶剤除去装置において、前記混合溶液を前記水洗槽で水洗して水溶性有機溶剤汚染物の除去を行い、次いで、前記水分除去装置によって水分除去する、上記(i)〜(iii)のいずれか1項記載の精製方法。
【0009】
(v)前記工程(1)が、前記水洗槽及び前記水分除去装置を含む前記水溶性有機溶剤除去装置に2回以上通して、水溶性有機溶剤除去を行う、上記(iv)記載の精製方法。
【0010】
(vi)前記混合溶液が一度以上洗浄に使用された使用済み洗浄液であり、前記精製方法によって使用済み洗浄液を再生する、上記(i)〜(v)いずれか1項記載の精製方法。
【0011】
(vii)前記洗浄液は電気・電子部品の精密洗浄用の洗浄液又は半導体ウエハ洗浄用の洗浄液である、上記(vi)記載の精製方法。
【0012】
(viii)上記(i)〜(vii)のいずれか1項記載の精製方法に使用される溶液の精製装置であって、
前記工程(1)を行うための水溶性有機溶剤除去装置、
前記工程(2)を行うための活性炭フィルター、
前記工程(3)を行うための活性アルミナフィルター、及び、
前記工程(4)を行うためのパーティクル除去フィルター、
を含む、精製装置。
【0013】
(ix)電気・電子部品又は半導体ウエハを洗浄するための洗浄装置とともに、上記(viii)記載の精製装置を含む、電気・電子部品の精密洗浄用の洗浄装置又は半導体ウエハ洗浄用の洗浄装置。
【0014】
(x)上記フッ素系溶剤が0.1から10wt%のイソプロピルアルコールを含むC4F9OCH3である上記(iii)記載の精製方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、上述の工程を組み合わせることで、小さい設備で、短時間に高純度のヒドロフルオロカーボンエーテルなどのフッ素系溶剤を得ることができる。また、蒸留再生を用いていないので、再生プロセスの間にイオン汚染物を発生することがない。
従来、使用された洗浄液を精製して半導体部品の洗浄に用いるために十分に高純度のフッ素系溶剤を得ることが困難であったが、本発明では、この用途に対応できるフッ素系溶剤を得ることができる。
本明細書において高純度フッ素系溶剤とは以下の条件に合致するものを言う:
フッ素系溶剤中の水溶性有機溶剤汚染物の濃度が0.01wt%以下であること、
フッ素系溶剤中の有機汚染物の濃度が20ppb以下であること、
フッ素系溶剤中のフッ素イオン汚染物が10ppb以下であること、及び、
フッ素系溶剤中の0.1μm以上のパーティクル数を10個/mL以下であること。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を好適な実施形態にしたがって説明する。ただし、本発明はこれらに限定されないことは当業者ならば容易に想到される。
図1は、本発明に使用可能な精製装置の概略図を示す。精製装置100は水溶性有機溶剤除去装置1、活性炭フィルター2、活性アルミナフィルター3及びパーティクル除去フィルター(パティキュレートフィルター)4を主な構成装置として含む。ここで、活性炭フィルター2及び活性アルミナフィルター3は、別々のカラム中に存在することができるが、図1に示すように同一のカラム中に存在してもよい。更に活性炭フィルター2および活性アルミナフィルター3の配列順番は本発明の精神を保ちながら入れ替えることができる(すなわち、活性アルミナフィルター3を活性炭フィルターの前に配置しても良い)。また、精製装置100は、必要に応じて、混合溶液(使用済み洗浄液)供給タンク11、供給ポンプ12、循環ポンプ13、サーキュレーションライン14、送液ポンプ15などの補助装置を有することができる。
【0017】
図1を参照すると、水溶性有機溶剤除去装置1は水洗槽5及び水分除去装置6を含む。混合溶液(使用済み洗浄液)供給タンク11中の使用済み洗浄液(U)を供給ポンプ12によって水洗槽5に導入する。水洗槽5中には予め、ある量の水が入っている。水洗槽5中に導入された使用済み洗浄液(U)はスプレー7などの分散手段によって、霧状もしくは比較的小さな液滴としてで水中に導入される。このように導入すると洗浄剤の表面積が増大するため、水との接触面積が増えて効率的に水溶性有機溶剤汚染物を除去できる。水中に導入された使用済み洗浄液(U)に含まれる水溶性有機溶剤汚染物は水中に溶解し、一方、フッ素系溶剤(HFE)は水とは別個の相として分離する。すなわち、この水洗工程では、フッ素系溶剤の水に対する低い溶解度と、水溶性有機溶剤の水に対する高い溶解度との差に基づいて、両者を分離している。このため、精製されるべきフッ素系溶剤は非水溶性であることが好ましい。たとえフッ素系溶剤が水溶性であっても、依然本発明の方法によってフッ素系溶剤を精製できる。しかしフッ素系溶剤が水に対して相溶性でなく、水溶性有機溶剤汚染物よりもフッ素系溶剤の水に対する溶解度が低くなければならない。フッ素系溶剤のうち水に溶解しなかった部分のみが精製可能である。本発明の方法によって水に溶解したフッ素系溶剤を抽出するのは困難なため、水に溶解したフッ素系溶剤は回収されない。それゆえ、フッ素系溶剤と水との溶解度の差が大きいほど、フッ素系溶剤から水溶性有機溶剤汚染物を抽出するのが容易になる。水溶性有機溶剤汚染物としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの水溶性アルコール、又は、アセトン等の低級ケトン類が挙げられる。分離されたフッ素系溶剤は、好ましくは、飽和量の水分、微量の有機溶剤汚染物(0.01wt%以下)、微量のイオン成分(1ppm以下、好ましくは30ppb以下)を含むのみであるが、通常、遊離水が少量で同伴される。このため、フッ素系溶剤は、さらに水分除去装置6で処理され、フッ素系溶剤含有液(HFE Liq.1)と、水溶性有機溶剤汚染物を含む排水(WW)とに分離される。水分除去装置6としては、たとえば、旭化成製(日本国東京都)のユーテックフィルターなどの油水分離フィルターを用いることができる。この段階で、フッ素系溶剤含有液(HFE Liq.1)中の水溶性有機溶剤汚染物の濃度が0.01wt%以下でありそして水分が飽和水分以下であれば、フッ素系溶剤含有液を活性炭フィルター2に送る。フッ素系溶剤含有液に十分な液圧がない場合には、循環ポンプ13又は/および送液ポンプ15によって水分除去装置6又は活性炭フィルター2以降の工程に必要な液圧を得ることもできる。フッ素系溶剤含有液(HFE Liq.1)中の水溶性有機溶剤汚染物の濃度が0.01wt%以上であれば、サーキュレーションライン14を通して水溶性有機溶剤除去装置1に戻すこともできる。今回、水溶性有機溶剤除去装置1に対して再循環して2回以上処理することで、より小さい水洗槽5を用いても、水溶性有機溶剤汚染物の濃度を容易に上記規定濃度に低減することができることが判った。また、循環させる代わりに、水溶性有機溶剤除去装置1を直列に2つ以上連結することで、同様の効果を得ることができる。
同一の水溶性有機溶剤除去装置1を循環させるか又は2つの水溶性有機溶剤除去装置1を直列に配置した場合の1つの水洗槽5の大きさは、好ましくは、フッ素系溶剤と水との体積比を1:1とした場合に、1リットル/分のフィード当たり6リットル(L)以上、すなわち、滞留時間3分以上である。
なお、フッ素系溶剤含有液中の水溶性有機溶剤汚染物の濃度はサンプルのガスクロマトグラフィー(GC)測定によって測定できる。
【0018】
上述のとおり、水溶性有機溶剤汚染物の含有濃度を約0.01wt%以下に低減したフッ素系溶剤含有液(HFE Liq.1)は第一処理液として得らる。この第一処理液は活性炭フィルター2に送られる。活性炭フィルター2は、有機汚染物を除去する。活性炭フィルター2を通過する前に、水溶性有機溶剤除去装置1を通した水洗によって水溶性有機溶剤汚染物はほとんど除去されているので、活性炭フィルター2に対する負荷は低減されている。有機汚染物としては、炭化水素類、エステル類、シリコーン類などが挙げられる。活性炭フィルター2中の活性炭の種類は同伴される有機汚染物の成分によって適宜選択することができる。実施例においては1〜2mmの粒度の粒状活性炭を用いているが、粉末状活性炭、繊維状活性炭を用いることもできる。粉末状の活性炭は発塵する可能性があり、注意して使用する必要である。使用可能な市販の活性炭としては、クラレケミカル社(日本国大阪府)製の液相用活性炭クラレコール、日本エンバイロケミカルズ社(日本国大阪府)製の白鷺、三菱化学カルゴン社(日本国東京都)製のカルゴンやダイアホープなどを使用することができる。活性炭は使用に際して円柱状カラムなどの適切なカラムに充填することができる。
活性炭フィルター2の大きさは、処理速度、フッ素系溶剤含有液(HFE Liq.1)中の有機汚染物の濃度によって適宜決められる。数百ppbの有機汚染物を含むフッ素系溶剤含有液を処理する場合には、フィード1リットル/分当たりに、10リットルの活性炭フィルター、すなわち、滞留時間10分であれば、10ppb以下の有機汚染物濃度に低減することが可能である。なお、フーリエ変換赤外分光計(FT-IR)によって有機汚染物濃度を測定することができる。
【0019】
活性炭フィルター2を通過したフッ素系溶剤含有液(HFE Liq.1)は第二処理液として得られ、それは、活性アルミナフィルター3に送られる。水洗浄によりフッ素系溶剤中のイオン成分の大半を除去している為活性アルミナの負荷を減らしている。活性アルミナフィルター3はフッ素系溶剤含有液中のイオン汚染物を除去する。活性アルミナの大きさとしては特に限定されることはないが、粒径1〜2mm以上の粒状アルミナであれば使用しやすい。粉末状のものは発塵の可能性があるので注意が必要である。具体的な製品としては、住友化学(日本国東京都)製KHシリーズや昭和電工(日本国東京都)製の活性アルミナが使用できる。活性アルミナフィルター3の大きさは、処理速度、フッ素系溶剤含有液中のイオン汚染物の濃度によって適宜決められる。数十ppbのイオン汚染物を含むフッ素系溶剤含有液を処理する場合には、フィード1リットル/分当たりに、5リットルの活性アルミナフィルター、すなわち、滞留時間5分であれば、1ppb以下のイオン汚染物濃度に低減することが可能である。なお、フッ素イオン濃度はイオンメーター及びフッ素イオン電極を用いて測定することができる。
【0020】
活性アルミナフィルター3を通過したフッ素系溶剤含有液は第三処理液として得られ、それはパーティクル除去フィルター4に送られる。パーティクル除去フィルター4では、フッ素系溶剤含有液が、約0.1μm以上のパーティクル数を10個/mL以下となるまで処理されて、最終的に再生済み洗浄液(R)を得ることができる。パーティクル除去フィルター4は、ポリマーメンブレンをろ材とするフィルターであることができ、たとえば、メンブレンがポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、ハウジングがテトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)であるフィルターであるポール社(米国ニューヨーク州イーストヒル)製ウルチクリーンフィルター(0.05μm〜0.2μm用)をパーティクル除去フィルター4として使用することができる。また、この他のフィルターでも目的とするパーティクルサイズを除去できるフィルターであれば使用できる。ただし、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)製のフィルターを用いた場合は種類や製造業者によってはフィルターからの汚染発生がおきる可能性もあるのでポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなるフィルターを使用することが望ましい。
パーティクル除去フィルター4の大きさは、4インチ(101.6mm)、10インチ(254mm)、20インチ(508mm)、30インチ(762mm)長さ等が一般的であるが、所望の流量に合わせて適宜選択できる。また、ディスポーザブルタイプのフィルターも使用できる。液中のパーティクル数は、通常の液中パーティクルカウンターによって測定できる。
【0021】
第一処理液中の水分除去には、上述のとおり、旭化成製のユーテックフィルターのほか、ユニオン昭和株式会社(日本国東京都)製のモレキュラーシーブやイオン交換樹脂も有効であるので、要求特性により使い分けることが望ましい。また、上記の活性炭フィルターや活性アルミナフィルターも水分除去能力があるが、それらの負荷を低減するためには、追加の水分除去装置6を設置することが望ましい。
【0022】
上述の装置をつなぐ配管や、パッキン類は、汚染発生を避ける為に、材質としてはステンレススチール(SUS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いることが望ましい。また、フッ素系樹脂でなくとも可塑剤溶出が起きない材質(可塑剤不使用のエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、日本バルカー(日本国東京都)製アーキュリー等)であれば使用可能である。
【0023】
以上、本発明の方法を以下の順での操作手順に基づいて説明してきた:水溶性有機溶剤除去装置1を用いた水溶性有機溶剤汚染物除去工程(工程(1))、活性炭フィルター2を用いた有機汚染物除去工程(工程(2))、活性アルミナフィルター3を用いたイオン汚染物除去工程(工程(3))及びパーティクル除去フィルター(パティキュレートフィルター)4を用いたパーティクル除去工程(工程(4))。活性炭や活性アルミナコラムの寿命を延ばすために、工程(1)は工程(2)及び(3)に先立って行われるべきである。水溶性有機溶剤汚染物は、除去されていないと、工程(2)と(3)の活性炭や活性アルミナで吸着され、それゆえコラム寿命を減少させる恐れがあるためである。工程(2)及び(3)は順序を入れ替えることに問題は見出されていない。さらに、工程(2)及び(3)によって生じるかもしれない塵分をも除去するため、工程(4)は工程(2)及び(3)の後に行うべきである。
【0024】
本発明の精製方法は単独の精製装置で実施されても、洗浄装置と一体化してインラインの精製装置において実施してもよい。洗浄装置の一部として組み込む場合には精製装置の小型化が可能となるので好ましい。
【0025】
電気・電子部品の精密洗浄や、半導体ウエハの洗浄においては、配線の微細化などによって、洗浄液中に残留する微量の有機不純物、イオン汚染物などが導体不良などの不良原因となる。したがって、これらの汚染物を十分に除去することができる本発明の方法によって再生された洗浄液は、これらの洗浄に有利に使用することができる。また、本発明を実施するための装置を洗浄装置と組み合わせて、洗浄装置への洗浄液再生工程のインライン化を行うことが可能であるから、常に高純度のフッ素系溶剤を洗浄装置に提供することができる。
本発明に使用されるフッ素系溶剤には、分離型ヒドロフルオロカーボンエーテル(HFE)、非分離型HFE、ヒドロフルオロポリエーテル、ヒドロフルオロカーボンもしくはヒドロクロロフルオロカーボンなどが含まれる。なお、分離型HFEはエーテル結合アルキルまたはアルキレンなどのHFEのセグメントは過フッ素化されているか(例えば、パーフルオロカーボン)またはフッ素化されていないか(例えば、炭化水素)のいずれかであって、部分的なフッ素化はされていない。また、非分離型HFEはエーテル結合したセグメントの少なくとも1つは過フッ素化されておらずフッ素非含有でもなく、部分的にフッ素化されている(すなわち、フッ素原子および水素原子の混合物を含有する)。また本発明の精製方法に使用されるフッ素系溶剤として、イソプロピルアルコールを0.1〜10wt%含む3M<ノベック>7100が含まれる。さらには、本発明の精製方法に使用されるフッ素系溶剤として、フッ素系溶剤に少なくともメタノール、エタノール、プロパノールもしくはイソプロパノールを含むことが出来る。
より具体的は、本発明のフッ素系溶剤には以下の構造ものが含まれる。
分離型HFEとして
c-C6F11CF2OC2H5,
c-C6F11CF2OCH3, 4-CF3-c-C6F10CF2OCH3,
【化1】

C4F9OCH3, c-C6F11OCH3, (CF3)2CFCF2OCH3, (CF3)2CFCF2OC2H5, C8F17OCH3, C2F5CF(OCH3)CF(CF3)2, CF3CF(OCH3)CF(CF3)2, C5F11OCH3, C5F11OC2H5, C3F7OCH3, 非分離型HFEとして、 C8F17-O-C2F4H, C7F15-O-C2F4H, C6F13-O-C2F4-O-CF2H,
C4F9-O-C2F4H, HCF2CF2-O-CF2CF2-O-CF2CF2H, C4F9-O-(CF2)5H, C5F11-O-(CF2)5H, C8F17-O-(CF2)5H, C4F9-O-CF2C(CF3)2CF2H,
H(CF2)4-O-(CF2)4H, Cl(CF2)4-O-(CF2)4H, C6F13-O-C2F4H,
C4F9-O-(CF2)4-O-(CF2)3H,
(C2F5)2CFCF2-O-C2F4H, c-C6F11CF2-O-C2F4H, C4F9-O-C2F4-O-C3F6H,
C6F13-O-C4F8H, C6F13-O-C3F6H, C5F11-O-(CF2)4H, C4F9-O-C3F6H,
C8F17OCF2OC3F6H, HC3F6OC3F6H,
【化2】

C5F11OCF2C(CF3)2CF2H,
(C4F9O)2CFCF2H,
CF3O(CF2)9H,
(iso-C3F7)2CFOC2F4H。
CF3CFHCFHC2F5, CF3CH2CF2CH3, CF3CF2CHCl2 および CClF2CF2CHClF, 2- クロロ-1,1,12-トリフルオロエチルメチルエーテル, テトラフルオロエチルメチルエーテル、テトラフルオロエチルエチルエーテル。
【実施例】
【0026】
以下において、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は記載された実施例によって限定されるものでない。実施例においては、以下に示すとおりの装置、測定方法及び材料を用いた。
【0027】
装置
水洗槽5:ドラム体積60リットル、
水分除去装置6:旭化成製のユーテックフィルターTHシリーズ
活性炭フィルター2:WH2C(粒度8〜32mesh、比表面積1200m2/gの活性炭、武田薬品工業(日本国大阪府)製)を2600cm3充填したステンレス(SUS)製の円柱状カラム
活性アルミナフィルター3:KHO−12(粒径1〜2mm、比表面積140〜190m2/gのアルミナ、住友化学社(日本国東京都)製)を1300cm3充填したステンレススチール(SUS)製の円柱状カラム
パーティクル除去フィルター4:ポール社(米国ニューヨーク州イーストヒルズ)製ウルチクリーンフィルター(0.05μm用および0.1μm用)。例4ではEmflonおよびIonKleen-SL(ともにポール社製)も使用した。
【0028】
測定方法
アルコール濃度測定方法
ヒューレットパッカード(HEWLETT PACKARD)製ガスクロマトグラフィーHP6890を用いて、フッ素系溶剤中のアルコール濃度を測定した。なお、ガスクロマトグラフィーより得られた濃度を重量濃度に換算するために、フッ素系溶剤とアルコールの混合溶剤を用いて作成した検量線を使用した。使用したアルコールは精製する溶液に加えたものと同じものを使用した。実施例においてはフッ素系溶剤中のアルコール濃度に関するデータのみ記載したが、実際には分離した水中のアルコール濃度も同様に測定した。
【0029】
有機汚染物測定方法
清浄なビーカーに一定量のサンプルを採取し、50℃オーブンを用いて溶剤成分を揮発させる。残渣物の重量を測定し重量残渣(Residue)とした。次に、この残渣物を一定量の分析用四塩化炭素溶液(純度99.5%以上、和光純薬工業社(日本国大阪府)製)に溶かし、パーキンエルマー社(米国マサチューセッツ州ウェルズリー)製フーリエ変換赤外分光計(FT-IR)に供する。その後、スクワラン(純度98%以上)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)(純度97%以上)、ともに和光純薬工業社製及びシリコーンオイルKF-96(信越化学社(日本国東京都)製)を用いて作成した検量線を用いて、抽出された炭化水素、エステル及びシリコーンの量をそれぞれ定量換算した。
【0030】
各種イオン濃度測定方法(イオンクロマトグラフィー)
サンプルを清浄な高密度ポリエチレン(HDPE)製プラスチックビンに入れた後、同重量の超純水(日本ミリポア社(日本国東京都)製Milli-Q超純水精製システムで精製)を入れ振とう機を用いて2時間振とうすることで、フッ素系溶剤中のイオンを水層に抽出させる。その後、水層(上層)中の水をダイオネクス(カリフォルニア州サニービル)製イオンクロマトグラフDX320に供し液中イオン量を測定した。測定に使用した超純水由来のイオン濃度を補償するため、超純水中のイオン濃度をサンプルのイオン濃度から差し引いた。イオンクロマトグラフの検出限界はおよそ0.01ppbである。
【0031】
pH測定方法
サンプルを清浄なプラスチックビンに入れた後、同重量の超純水を入れ振とう機を用いて2時間振とうする。その後、水層(上層)のPHを測定した。なお、測定にはオリオン(リサーチ社(マサチューセッツ州ボストン)製920A型pHメーターを用いた。
【0032】
液中パーティクル数測定方法
溶液を清浄な容器に移し、リオン社(日本国東京都)製液中パーティクルカウンターKS-40Aを用いて液中のパーティクル数を測定した。測定したパーティクル数は、mL当りのパーティクル数に換算した。
【0033】
水分量測定方法
三菱化学社(日本国東京都)製カールフィッシャー型水分測定装置CA−21を用いて、サンプル中の水分量を測定した。
【0034】
使用材料
3M<ノベック>7100ヒドロフルオロカーボンエーテル、住友スリーエム製(日本国東京都)
旭硝子製AE-3000ヒドロフルオロカーボンエーテル: HFE-347pc-f (CHF2CF2OCH2CF3)
IPA: イソプロピルアルコール(和光純薬工業社製、純度99.5%以上)
EtOH: エタノール(和光純薬工業社製、純度99.5%以上)
【0035】
各装置の性能確認試験を行った。
例1(水溶性有機溶剤汚染物除去工程)
試験1
擬似汚染させたフッ素系溶剤含有洗浄液を、3M<ノベック>7100に様々な濃度のIPAを加えて作成した。上述の水洗槽及び水分除去装置からなる水溶性有機溶剤除去装置を用いて、擬似汚染させた洗浄溶液からなる洗浄液からIPAを除去した。処理後のIPAの濃度を下記の表1に示す。処理後のIPA濃度は、上述のアルコール濃度測定方法
記載の方法でガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
【0036】
【表1】

【0037】
試験2
次に、様々なIPA濃度にまで処理された溶液を再度、水洗槽及び水分除去装置を処理時間を変えながら通してIPA除去を行った。この2回目の処理結果を下記の表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
試験3
3M<ノベック>7100と5wt%のIPAを含む別の擬似汚染させたフッ素系洗浄液を作製した。擬似汚染させたフッ素系溶剤洗浄液を水洗槽と水除去装置に通した。様々な処理時間で処理し、それぞれのIPA濃度を測定した。結果を下記の表3に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
試験4
3M<ノベック>7100と10wt%のIPAを含むさらに別の擬似汚染させたフッ素系洗浄液を使用して、擬似汚染させたフッ素系洗浄溶液を水洗槽と水分除去装置を通してIPAを除去した。様々な処理時間と処理回数で行った。得られた溶液のIPA濃度を測定し、結果を下記の表4に示す。
【0042】
【表4】

【0043】
例2(活性炭フィルターを使用した有機汚染物除去工程)
試験1
炭化水素とエステルで汚染させた3M<ノベック>7100を用いて本試験を行った。2つの異なる供給元からの活性炭を用いて、有機汚染物除去試験に使用した活性炭フィルターを構成した。表5のNo.1はクラレケミカル社(日本国大阪府)製の液相用活性炭クラレコールであり、No.2は日本エンバイロケミカルズ社(日本国大阪府)製の白鷺である。有機汚染物(炭化水素とエステル)の濃度は、上述の「有機汚染物測定方法」によって測定した。結果を下記の表5に示す。
【0044】
【表5】

【0045】
試験2
次に、No.2の活性炭(白鷺)を用いて、ヒドロフルオロカーボンエーテル溶液をコラムに通して有機汚染物を除去した。予め規定した量の活性炭を清浄なコラムに詰めた。3M<ノベック>7100を使用後の状態を模擬するために汚染させた。擬似汚染させた3M<ノベック>7100溶液をコラムに注入し、活性炭に5分間接触させた。注入した溶液と活性炭の体積比(V/V)を変化させた。結果を下記の表6に示す。
【0046】
【表6】

【0047】
例3(活性アルミナフィルターを使用したイオン汚染物除去工程)
擬似汚染させた3M<ノベック>7100溶液を上述の活性アルミナフィルターに通した。2種類の異なる実験を、最初の試行を比表面積156m2/gの、2番目の試行は比表面積190 m2/gの活性炭アルミナを用いて行った。イオン汚染物濃度は「各種イオン濃度測定方法」により測定した。1回目と2回目の試行には異なる容器からの汚染させた溶液を使用したため、それぞれの試験前のFイオン濃度レベルは異なっている。、結果を下記の表7に示す。
【0048】
【表7】

【0049】
例4(パーティクル除去フィルターを用いたパーティクル除去工程)
試験1
パーティクルフィルターが追加の汚染物をフッ素系溶剤洗浄液に導入しないことを確認するため、HFE溶液を様々なパーティクルフィルターに通し、有機汚染物を「有機汚染物測定方法」によってフーリエ変換赤外分光計(FT-IR)にて測定した。各フィルターを、サンプルの有機汚染物測定のためにフィルタリングする前に3M<ノベック>7100で洗浄した。結果を下記の表8に示す。各フィルターについて2回試行を行った。表8に使用したフィルター材料を併せて示す。
【0050】
【表8】

【0051】
試験2
次に、ウルチクリーン(UltiKleen)フィルターについて、3M<ノベック>7100中のパーティクル除去試験を行った。3M<ノベック>7100溶液を9つに等分し、1つはフィルタリングせず、残りの8つはウルチクリーンフィルターでフィルタリングした。そしてそれぞれの分割された溶液を「液中パーティクル数測定方法」によって測定した。試験の結果を下記の表9に示す。
【0052】
【表9】

【0053】
さらに、上述の様に3M<ノベック>7100を処理して得られた3ロットのHFE溶液を「有機汚染物測定方法」によって測定した。結果を下記の表10に示す。
【0054】
【表10】

【0055】
表10の結果と例4の実験1におけるフィルタリングしていないHFEの汚染物レベルとの比較から、フィルターからの有機残渣による有機汚染を受けることなく、パーティクルを除去できることが判る。
【0056】
例5
上述の構成の装置を用いて、約5wt%のイソプロピルアルコール(IPA)を含む擬似汚染させたフッ素系溶剤含有洗浄液の再生を行った。使用したHFEは3M社製の<ノベック> 7100であった。
【0057】
水洗槽中の液の組成は水:(HFE/IPA)=1:1(質量比)であり、バッチ処理で2回の処理を行った。一回目の処理時間は5分であり、その後に、新しい水に交換し、追加の処理を1分間行った。試験を5回繰り返し工程ばらつきを観測した。それぞれの処理後の溶液について「アルコール濃度測定方法」によりIPA濃度を測定した。これらのサンプルについても、イオン汚染物、水分含有量、pHについても上述に記載したとおりの方法で測定した。結果を下記の表11に示す。
【0058】
【表11】

【0059】
次に、水分除去装置を通過した「試行3」のサンプルのストリームを水分除去装置から活性炭フィルターを通し、次いで、活性アルミナフィルターを通過させ、最後に、パーティクルフィルターを通過させた。処理後のIPA濃度、有機汚染物及びパーティクル数について上述の方法によって測定した。結果を下記の表12に示す。表中の接触時間は活性炭と活性アルミナを含むコラムにおける接触時間を意味している。
【0060】
【表12】

【0061】
例6
10wt%のエタノールを含むHFE−347−pcf(CHF2CF2OCH2CF3)を用いて試験を行った。フッ素系溶剤とエタノールを含む溶剤を5分間水洗浄し、その後更に5分間洗浄した。2度目の5分間洗浄の前に、水洗槽の水を清浄な水と交換した。表13に示す時間経過時に水洗槽から溶液の一部を取り出し分析した。
【0062】
条件
液;10wt%のエタノールを含むHFE-347-pcf
水洗浄槽の条件; 水:HFE/エタノール混合液=1:1 (質量比)
処理時間:1工程目 1〜5分 、2工程目 1〜5分 (2工程目の前に水は新しい物に交換)
各サンプルについてエタノール濃度を測定した。結果を下記の表13に示す。
【0063】
【表13】

【0064】
洗浄後のサンプル8のストリームを活性炭フィルターを通し、活性アルミナフィルターを通過させ、最後に、パーティクルフィルターを通過させた。処理後の有機汚染物及びパーティクル数について上述の方法によって測定した。結果を下記の表14に示す。
【0065】
【表14】

【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に使用可能な精製装置の概略図を示す。
【符号の説明】
【0067】
100 精製装置
1 水溶性有機溶剤除去装置
2 活性炭フィルター
3 活性アルミナフィルター
4 パーティクル除去フィルター(パティキュレートフィルター)
5 水洗槽
6 水分除去装置
11 混合溶液(使用済み洗浄液)供給タンク
12 供給ポンプ
13 循環ポンプ
14 サーキュレーションライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素系溶剤、水溶性有機溶剤汚染物、有機汚染物及びイオン汚染物を含む混合溶液からフッ素系溶剤を精製する方法であって、
工程(1):混合溶液を水洗して、水溶性有機溶剤汚染物の濃度を0.01wt%以下に低減した第一処理液を得ること、
工程(2):前記第一処理液を活性炭で処理して、有機汚染物の濃度を20ppb以下とした第二処理液を得ること、
工程(3):前記第二処理液を活性アルミナで処理して、フッ素イオン汚染物を10ppb以下とした第三処理液を得ること、及び、
工程(4):前記第三処理液をパーティクル除去フィルターで処理して、0.1μm以上のパーティクル数を10個/mL以下のフッ素系溶剤を得ること、
を含む、フッ素系溶剤を含有する混合溶液の精製方法。
【請求項2】
フッ素系溶剤、水溶性有機溶剤汚染物、有機汚染物及びイオン汚染物を含む混合溶液からフッ素系溶剤を精製する方法であって、
工程(1):混合溶液を水洗して、水溶性有機溶剤汚染物の濃度を0.01wt%以下に低減した第一処理液を得ること、
工程(3):前記第一処理液を活性アルミナで処理して、フッ素イオン汚染物を10ppb以下とした第二処理液を得ること、
工程(2):前記第二処理液を活性炭で処理して、有機汚染物の濃度を20ppb以下とした第三処理液を得ること、及び、
工程(4):前記第三処理液をパーティクル除去フィルターで処理して、0.1μm以上のパーティクル数を10個/mL以下のフッ素系溶剤を得ること、
を含む、フッ素系溶剤を含有する混合溶液の精製方法。
【請求項3】
前記フッ素系溶剤が分離型ヒドロフルオロカーボンエーテル(HFE)、非分離型HFE、ヒドロフルオロポリエーテル、ヒドロフルオロカーボンもしくはヒドロクロロフルオロカーボンである、請求項1又は2記載のフッ素系溶剤を含有する溶液の精製方法。
【請求項4】
前記工程(1)において、水洗槽及び水分除去装置を含む水溶性有機溶剤除去装置において、前記混合溶液を前記水洗槽で水洗して水溶性有機溶剤汚染物の除去を行い、次いで、前記水分除去装置によって水分除去する、請求項1〜3のいずれか1項記載の精製方法。
【請求項5】
前記工程(1)が、前記水洗槽及び前記水分除去装置を含む前記水溶性有機溶剤除去装置に2回以上通して、水溶性有機溶剤汚染物除去を行う、請求項4記載の精製方法。
【請求項6】
前記混合溶液が一度以上洗浄に使用された使用済み洗浄液であり、前記精製方法によって使用済み洗浄液を再生する、請求項1〜5のいずれか1項記載の精製方法。
【請求項7】
前記洗浄液は電気・電子部品の精密洗浄用の洗浄液又は半導体ウエハ洗浄用の洗浄液である、請求項6項記載の精製方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の精製方法に使用される溶液の精製装置であって、
前記工程(1)を行うための水溶性有機溶剤除去装置、
前記工程(2)を行うための活性炭フィルター、
前記工程(3)を行うための活性アルミナフィルター、及び、
前記工程(4)を行うためのパーティクル除去フィルター、
を含む、精製装置。
【請求項9】
電気・電子部品又は半導体ウエハを洗浄するための洗浄装置とともに、請求項8記載の精製装置を含む、電気・電子部品の精密洗浄用の洗浄装置又は半導体ウエハ洗浄用の洗浄装置。
【請求項10】
前記フッ素系溶剤が0.1から10%w/wのイソプロピルアルコールを含むC4F9OCH3である請求項3記載の精製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−208048(P2008−208048A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44315(P2007−44315)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】