説明

フライドチャンク食品組成物

本発明は、(1)約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを製造するために、約110〜205℃の温度の油で揚げられた食品チャンクと、(2)フライド食品チャンクに施される約5%〜約35%の可塑剤とを含み、可塑剤を施したフライド食品チャンクが、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する、フライドチャンク食品組成物を提供する。組成物は、保存料を使用せずに製造され、望ましいテクスチャー及び魅力的な肉様外観を有し、貯蔵安定性であり、したがって不要な微生物増殖により腐敗しない。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2009年1月2日出願の米国特許仮出願第61/204190号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本明細書に援用される。
【発明の背景】
【0002】
発明の分野:
[0002]本発明は、概して食品組成物、特にフライドチャンク食品組成物に関する。
【0003】
関連技術の説明:
[0003]フライドチャンク食品組成物は、約110〜205℃の温度の油で食品チャンクを加熱することにより通常製造される。フライド食品チャンクを腐敗させる不要な微生物増殖の影響を受けにくいチャンク(即ち、貯蔵安定性食品チャンク)を製造するには、食品チャンクが約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有するまで、それを揚げる必要がある。問題は、望ましい水分含量及びAwを得るために食品チャンクを十分揚げることにより、望ましくないテクスチャー及び魅力のない外観の食品チャンクが製造されること、例えば、食品チャンクは硬く、鋭端を有し、肉様外観を有さない(チャンクは本物のような肉に類似していない)ことである。これらの問題を克服するための現在の技法は、フライド食品チャンクに水を加えることを伴う。加えた水により、テクスチャーが変化し、より魅力的な食品チャンクが製造される。例えば、柔らかさが増し(硬さが軽減され)、鋭端が減り、食品チャンクがより本物のような肉のように見える。しかし、この解決策は、新たな一連の問題をもたらす。水を加えたフライド食品チャンクは、より高い水分含量及びより高いAw、通常約16%の水分含量及び約0.7のAwを有する。水分含量及びAwのこの増加は、食品チャンクを腐敗させる望ましくない微生物増殖の可能性を高める。不要な微生物増殖及び腐敗の可能性を低減するために、保存料がフライド食品チャンクに通常加えられる。このような保存料は、フライドチャンク食品組成物の望ましくない成分とみなされ得る。したがって、水及び保存料を使用せずに望ましいテクスチャー及び外観を保持する新たなフライドチャンク食品組成物、並びにこのような組成物を製造する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]そこで、本発明は、新たなフライドチャンク食品組成物を提供することを目的とする。
【0005】
[0005]本発明はまた、新たなフライドチャンク食品組成物を製造する新たな方法を提供することを目的とする。
【0006】
[0006]本発明はまた、フライドチャンク食品組成物及び少なくとも1種の他の可食成分を含むブレンド食品組成物を提供することを目的とする。
【0007】
[0007]これらの又は他の目的の少なくとも1つは、(1)約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを製造するために、約110〜205℃の温度の油で揚げられた食品チャンクと、(2)フライド食品チャンクに施される約5%〜約35%の可塑剤とを含み、可塑剤を施したフライド食品チャンクが、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する、新規なフライドチャンク食品組成物を用いて達成される。新規なフライドチャンク食品組成物は、(1)約110〜205℃の温度の油で食品チャンクを揚げて、約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを得るステップと、(2)約5%〜約35%の可塑剤をフライド食品チャンクに施して、約12%以下の水分含量及び0.65以下のAwを有する、フライドチャンク食品組成物を得るステップと、により製造される。フライドチャンク食品組成物を、少なくとも1種の可食成分と混合するか、さもなければそれと合わせて、ブレンド食品組成物を製造する。
【0008】
[0008]本発明の更なる目的、特徴及び利点は当業者には明らかであろう。
【発明の詳細な説明】
【0009】
定義:
[0009]「動物」という語は、ヒト、トリ、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、オオカミ、ネズミ、ヒツジ又はブタの各動物を含む、本発明の食品組成物の消費から恩恵を受けることができるか、又はそれを享受できる任意の動物を意味する。
【0010】
[0010]「コンパニオンアニマル」という語は、例えばネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタ等の家畜を意味する。
【0011】
[0011]「食品組成物」という語は、動物による摂取を対象とする製品又は組成物を意味する。
【0012】
[0012]「貯蔵安定性」という語は、12カ月のシェルフライフを依然として有しながら、室温にて密閉容器中で安全に貯蔵し、販売できる製品を意味する。
【0013】
[0013]「Aw」は水分活性を意味する。
【0014】
[0014]本明細書において、パーセント値は、特に断らない限り、組成物の全重量に対する重量である。
【0015】
[0015]本明細書において、範囲内の1つ1つの値を列挙及び記載することを避けるため、範囲は簡略に記す。範囲の上限値、下限値又は端値として、必要に応じて範囲内の任意の適切な値を選択することができる。
【0016】
[0016]本明細書では、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合でない限り、単語の単数形は複数形を含み、逆もまた同様である。したがって、“a”、“an”及び“the”は一般にその語の複数形を含む。例えば、“a supplement”、“a method”又は“a food”は、その複数形の“supplements”、“methods”又は“foods”を含む。同様に、“comprise”、“comprises”及び“comprising”は、排他的ではなく包含的に解釈されるべきである。同様に、“include”、“including”及び“or”は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合でない限り包含的に解釈されるべきである。同様に、“examples”という語は、特に用語の列挙が後に続く場合は、例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は包括的なものとみなされるべきではない。
【0017】
[0017]ここに開示される方法、組成物及び他の提案は、本明細書に記載の特定の方法、手順及び試薬に限定されるものではない。なぜならば、当業者には理解されるように、それらは変わり得るものだからである。さらに、本明細書で使用される用語は、専ら特定の実施形態を記載するためのものであり、開示又は請求の範囲を限定するものではない。
【0018】
[0018]特に断らない限り、本明細書で使用される全ての技術的・科学的用語、当技術分野の用語、及び頭字語は、本発明の分野又は当該用語が使用される分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の全ての組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料は本発明の実施に際して使用することができるが、本明細書には、好ましい組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料が記載されている。
【0019】
[0019]本明細書で引用又は参照された全ての特許、特許出願、出版物、技術的及び/又は学術的論文及び他の文献は、ここで参照されることにより、法律で許容される範囲でその全体が本明細書に組み込まれる。これらの文献についての議論は、単にその主張内容を要約することを意図したものである。そのような特許、特許出願、出版物又は文献又はそれらの任意の一部が関連技術又は先行技術であることを認めるものではない。そのような特許、特許出願、出版物及び他の文献が関連技術又は先行技術であるとのいかなる主張に関しても、その正確性及び妥当性について異議を申し立てる権利は特に留保されている。
【0020】
発明:
[0020]一態様において、本発明はフライドチャンク食品組成物を提供する。該組成物は、(1)約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを製造するために、約110〜205℃の温度の油で揚げられた食品チャンクと、(2)フライド食品チャンクに施される約5%〜約35%の可塑剤とを含み、可塑剤を施したフライド食品チャンクは、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する。様々な実施形態において、フライド食品チャンクは、約6%〜約12%の水分含量及び約0.4〜約0.65のAwを有する。
【0021】
[0021]本発明は、(1)食品チャンクが約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するまで、それを揚げることにより、食品チャンクが約12%の水分含量及び約0.65のAwを有するまで、それを揚げる場合に生じる問題(例えば、硬さ、鋭端及び望ましくない外観)が回避され、(2)約12%以下の最終水分含量及び約0.65以下のAwを得るのに十分な量で、可塑剤をフライド食品チャンクに加えることにより、不要な微生物増殖による腐敗の影響を受けにくいフライド食品チャンクが製造されるという発見に基づくものである。また、フライド食品チャンクは、望ましいテクスチャーを有し、魅力的な肉様外観を有し、貯蔵安定性である。更に、フライド食品チャンクは、テクスチャーを変化させる(例えば、柔らかさを増す)ための任意の追加の水又は不要な微生物増殖を防止するための保存料を必要としない。
【0022】
[0022]チャンクは、当業者に公知の任意の適切なチャンクであってよい。任意の本物のような肉チャンク(牛、豚、鶏、鴨、ウサギ、マトン、魚又は任意の他の種類の肉)、肉類似物チャンク、植物性チャンク又はそれらの組合せは本発明で有用である。チャンクは肉、肉副産物、穀物、植物性タンパク質抽出物等を含有できる。チャンク組成物、及び本発明で有用なチャンクを製造する方法は、米国特許第4781939号、米国特許第6649206号、米国特許第6767573号、米国特許第5132137号、米国特許第5567466号、米国特許第6436463号(欧州特許第1294237号)、米国特許第6379738号及び米国特許第7344745号に記載されている。本発明で有用なチャンクの配合例を、表1、2及び3に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
[0023]以前は、これらの食品チャンクは、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する食品チャンクを製造するために、油で揚げられていた。一般に、水分含量及びAwが比較的低いこれらのチャンクは、貯蔵安定性であり、不要な微生物増殖の影響を受けにくかった。しかし、これらのチャンクは、比較的硬く、鋭端を有し、本物のような肉様外観を有していなかった。この問題を解決するために、水が、通常ほぼ最大約8%、一般に約2%〜約6%の量で加えられた。残念なことに、追加した水により、チャンクが不要な微生物増殖を有する可能性、即ち、チャンクが貯蔵安定性ではなく、早期に腐敗する可能性が高まった。腐敗を回避するために、保存料が加えられた。
【0027】
[0024]通常、ソルベート及びプロピオネート等の防カビ剤が、組成物を貯蔵安定性にするのに必要な量で加えられた。保存料、例えばブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エトキシキン、トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)、クエン酸及びローズマリーも、組成物を貯蔵安定性にするのに必要な量で加えられた。化合物は、組成物の貯蔵安定性を維持するのに必要な量、一般に最大2%、通常約0.1%〜約1.5%の量で加えられた。同様に、(リン酸等の任意の食品用の酸を用いて)pH約4〜4.8に酸性化することを用いて、不要な微生物増殖が制御された。
【0028】
[0025]対照的に、本発明のフライドチャンク食品組成物は、約16%の水分含量及び約0.7のAwを有する食品チャンクを製造するために油で揚げられる。このチャンクは、比較的柔らかく、鋭端を有さず、本物のような肉様外観を有する。次いで、少なくとも1種の可塑剤が、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する食品チャンクを製造するのに十分な量でフライドチャンクに加えられる。水は加えられない。保存料は不要である。組成物は、望ましいテクスチャー及び魅力的な肉様外観を有する。得られたチャンクは貯蔵安定性であり、したがって不要な微生物増殖により腐敗しない。
【0029】
[0026]チャンクは、ベークトリート、押出トリート又は他の食品組成物とブレンドしたとき、動物の種類、年齢、健康又は大きさ等、製品を消費する動物に応じて、及び組成物の意図される使用に応じて大きさが異なる。例えば、イヌに適したチャンクの大きさは、通常、最も長い側面で約10〜80ミリメートル(mm)、好ましくは20〜40mmの範囲である。ネコ用のチャンクの大きさは、通常、最も長い側面で3〜30mm、好ましくは8〜20mmの範囲である。チャンクがブレンドされずに単独で使用される場合、チャンクは意図される使用又は動物に適した任意の大きさであってよい。該大きさは、美観、消費者アピール、利便性等だけに限定されない。
【0030】
[0027]可塑剤は、湿潤性を有し、食品チャンクと相容性である、任意の可塑剤であってよい。一実施形態において、可塑剤はポリオールである。好適な実施形態において、可塑剤はグリセロール(グリセリン)、ソルビトール、プロピレングリコール、ブチレングリコール又はポリデキストロースである。
【0031】
[0028]可塑剤は、約5%〜約35%、好ましくは約10%〜約30%、より好ましくは約12%〜約20%の量で食品チャンクに施される。
【0032】
[0029]油は、食品チャンクを揚げるのに適した任意の油であってよい。有用な油としては、動物性又は植物性のフライ用油脂又は油が挙げられる。一実施形態において、牛脂を油として使用する。他の動物性油脂及び油としては、ラード、精製加工豚脂、鶏脂、羊脂、水素化魚油、部分水素化魚油又はそれらの組合せが挙げられる。植物性油及び油脂としては、水素化植物性油又は部分水素化植物性油由来の植物性ショートニング(クリスコ(Crisco)(登録商標))が挙げられる。植物性油及び油脂としては、綿実、大豆、アマニ、ココナッツ、パーム、パーム核、菜種、ヒマワリ、紅花、トウモロコシ、落花生、ゴマ、オリーブ、胡桃、ヘーゼルナッツ、アーモンド又はそれらの組合せ由来の油も挙げられる。
【0033】
[0030]別の態様において、本発明は、フライドチャンク食品組成物を製造する方法を提供する。該方法は、(1)約110〜205℃の温度の油で食品チャンクを揚げて、約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを得るステップと、(2)約5%〜約35%の可塑剤をフライド食品チャンクに施して、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する、フライドチャンク食品組成物を得るステップと、を含む。
【0034】
[0031]様々な実施形態において、フライドチャンク食品組成物は、約6%〜約12%の水分含量及び約0.4〜約0.65のAwを有する。
【0035】
[0032]様々な実施形態において、食品チャンクは、約110〜205℃、好ましくは150〜195℃、より好ましくは175〜185℃の温度を有する油で揚げられる。
【0036】
[0033]可塑剤は、当業者に公知の任意の方法を用いてフライド食品チャンクに施される。一実施形態において、可塑剤は、通常、必要量をチャンクにスプレーすることによりフライドチャンクの表面に施される。別の実施形態において、可塑剤は、チャンクを可塑剤に浸漬することによりフライド食品チャンクに施される。通常、フライド食品チャンクを最大30分間浸漬し、次いで過剰な可塑剤を取り除く。フライドチャンク食品組成物における可塑剤の量は、チャンクを浸漬する時間で制御される。
【0037】
[0034]チャンクは、所望の水分含量及びAwを得るのに十分な時間揚げられる。通常、チャンクは、約10秒〜約3分間揚げられる。時間は、チャンクの大きさ及び初期油温に依存する場合が多い。例えば、片が大きければ大きいほど、且つ初期油温が低ければ低いほど、揚げ時間が長くなる。
【0038】
[0035]好適な実施形態において、フライヤーからの熱いチャンクを、可塑剤、好ましくは加熱した可塑剤、最も好ましくは約75℃の温度を有する加熱した可塑剤で被覆する。被覆したチャンクを、周囲の室温、例えば約20〜約25℃まで冷却させ、密閉容器内で更に平衡化させる。柔らかい肉様感触を有し、貯蔵安定性であるチャンクは、表4に示すように通常の分析値を有する。
【0039】
【表4】

【0040】
[0036]様々な実施形態において、チャンクの食味、安定性及び/又は知覚的魅力は、更なる風味(例えば、ペットフード用ダイジェストを加えることによる)、色、芳香等により高めることができる。例えば、幾つかの製品、例えば、ある種の魚チャンクは、暗い外観を有する場合があり、したがって非現実的な肉の印象を有する場合がある。二酸化チタン等の白色着色剤を加えて、白い魚の印象を生み出すか、又はその印象を高めることができる。他の色は、例えば、サケはピンク等の所望の魚の印象に応じて使用できる。
【0041】
[0037]別の態様において、本発明は、ブレンド食品組成物を提供する。ブレンド食品組成物は、(A)少なくとも1種のフライドチャンク食品組成物と、(B)フライドチャンク食品組成物と相容性である少なくとも1種の可食成分とを含み、少なくとも1種のフライドチャンク食品組成物は、(1)約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを製造するために、約110〜205℃の温度の油で揚げられた食品チャンクと、(2)フライド食品チャンクに施される約5%〜約35%の可塑剤とを含み、可塑剤を施したフライド食品チャンクは、約12%以下の水分含量又は約0.65以下のAwを有する。
【0042】
[0038]様々な実施形態において、フライドチャンク食品組成物と相容性の成分は、フライドチャンク食品組成物と同様のAwを有し、通常、Awは、フライドチャンク食品組成物のAwの約+又は−0.05の範囲内である。同様のAwにより、フライドチャンク食品組成物と相容性の成分は、ブレンド食品組成物の貯蔵安定性又は美的特性に影響を与えることなく、任意の望ましい比率でブレンドできる。
【0043】
[0039]様々な実施形態において、可食成分は肉、果物、野菜又はそれらの組合せを含む。好適な実施形態において、該成分を加工して、所望のAwを有する成分を製造した。幾つかの実施形態において、可食成分は、キブル及びトリートを含む、押出食品組成物を含む。他の実施形態において、可食成分は、キブル及びトリートを含む、ベーク食品組成物を含む。
【0044】
[0040]様々な実施形態において、ブレンド成分及びフライド食品チャンクは、約6%〜約12%の水分含量及び約0.4〜約0.65のAwを有する。好適な実施形態において、ブレンド成分及びフライド食品チャンクは、約10%〜約12%の水分含量及び約0.55〜約0.65のAwを有する。
【0045】
[0041]一実施形態において、フライドチャンク食品組成物は、Association of American Feed Control Officials(「AAFCO」)により確立された基準に従って、動物、好ましくはコンパニオンアニマルに「完全でバランスの取れた」栄養を提供するように配合される。別の実施形態において、食品組成物はペットフード組成物である。
【0046】
[0042]様々な実施形態において、動物はコンパニオンアニマル、好ましくはイヌ又はネコ、最も好ましくはイヌである。他の実施形態において、動物はヒトである。動物がヒトである場合、食品用の肉を含む食品用の成分を使用しなくてはならない。
【0047】
[0043]様々な実施形態において、フライドチャンク食品組成物は、追加の成分、例えば、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、核酸、充填剤、食味向上剤、結合化剤、香味料、安定剤、乳化剤、甘味料、着色剤、バッファー、塩、被覆剤、香辛料、保存料及び当業者に公知のものを含む。補助ミネラルの非限定的な例としては、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレン等が挙げられる。補助ビタミンの非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンB(のいずれか)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンK、並びにそれらの種々の塩、エステル又は他の誘導体が挙げられる。追加の栄養補助食品としては、例えば、任意の形態のナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸等、並びにそれらの塩及び誘導体も挙げることができる。安定剤としては、組成物のシェルフライフを増加させる傾向にある物質、例えば、保存料、共力剤及び金属イオン封鎖剤、パッケージングガス、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤及び可塑剤が挙げられる。乳化剤及び/又は増粘剤の例としては、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル及び変性デンプンが挙げられる。成分及びその量の選択は、当業者に公知である。各追加成分の特定量は、組成物に含まれる成分;動物種;動物の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌;動物の消費速度;食品組成物が動物に投与されている目的等の様々な要因に依存するであろう。したがって、成分量は、広範に変化し得、本明細書に記載の好ましい比率から逸脱し得る。
【0048】
[0044]別の態様において、本発明は、(1)本発明のフライドチャンク食品組成物の独特のテクスチャー及び外観、(2)フライドチャンク食品組成物中の保存料の欠如、(3)フライドチャンク食品組成物の腐敗性及び貯蔵安定性、(4)フライドチャンク食品組成物又はブレンド食品組成物を動物に供給するための指示、(5)消費者が食品組成物又はその使用について質問がある場合の連絡先、及び(6)フライドチャンク食品組成物の栄養情報、の少なくとも1つについての情報又は指示を伝達する手段を提供する。有用な指示としては、供給量及び供給回数が挙げられる。伝達手段は、本発明を使用する利点を伝え、食品組成物を動物に供給するための承認された方法を伝達するのに有用である。該手段は、上記情報又は指示を含む物理的若しくは電子的文書、デジタル記憶媒体、光学式記憶媒体、オーディオプレゼンテーション、オーディオビジュアル表示又はビジュアル表示の少なくとも1つを含む。好ましくは、該手段は、表示されたウェブサイト、ビジュアル表示キオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、印刷物、公示、オーディオテープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピューター可読チップ、コンピューター可読カード、コンピューター可読ディスク、USBデバイス、ファイヤーワイヤーデバイス、コンピューターメモリー及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0049】
[0045]別の態様において、本発明は、本発明のフライドチャンク食品組成物を含むパッケージであって、貯蔵安定性、所望のテクスチャー、所望の外観及び保存料の欠如等の有益な特性を有するフライドチャンク食品組成物がパッケージ内に含まれることを示す言葉、写真、デザイン、頭字語、スローガン、フレーズ又は他の手段又はそれらの組合せを備えるラベルが添付されたパッケージを提供する。通常、そのような手段は、パッケージ上に印刷された形で、「保存料を含有しない」、「確かな柔らかさ」、「貯蔵安定性」、「水無添加」という文言又は同等の表現を備える。上記組成物を入れるのに適した任意のパッケージ又はパッケージング材料(例えば、紙、プラスチック、ホイル、金属等から製造される袋、箱、ボトル、缶、パウチ等)は本発明において有用である。好適な実施形態において、パッケージはラベルに応じて、ヒト、イヌ、ネコ等の特定の動物に適した食品組成物、好ましくはイヌ又はネコのためのコンパニオンアニマル食品組成物を含む。好適な実施形態において、パッケージは、本発明のフライドチャンク食品組成物を含むレトルト缶又はレトルトパウチである。
【実施例】
【0050】
[0046]本発明は、以下の実施例で更に例示され得るが、これらの実施例は、別段の明確な指示がない限り、単に例示の目的のために含まれ、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0051】
実施例1:
[0047]牛品種については、表1に示す成分を有するフライドチャンクを、以下の方法で製造した。肉及び肉副産物全体の内、50%が、機械的に骨抜きした牛肉(MDB)であった。このMDB、並びに残りの肉及び肉副産物をグラインダーに通して、肉材料を実質的に均一な大きさの片状にした。グラインダーは、1cm以下の粉砕プレートを備えていた。粉砕前に、冷凍肉材料を片状に予め粉砕するか、又は切断して、グラインダーに入る片の大きさを縮小した。粉砕後、肉片の混合物を混合タンクに移し、肉が均一になるまで混合した。次いで、粉砕した肉片の均一な混合物を高せん断エマルジョンミルに通すことにより粉砕した。乳化中の肉混合物の温度を、タンパク質の変性を最小限に抑えるために約49℃未満で維持した。
【0052】
[0048]次いで、乾燥タンパク質材料を含む残りの乾燥成分(表1)を、ミキサーで乳化した肉と混合し、粘性の肉エマルジョンを形成した。次いで、この粘性の肉エマルジョンを乳化し、保持チューブに押し出した。温度を、圧力下(40〜500psi)で水の沸点超(132〜154℃)に上昇させた。これらの条件下で、タンパク質は熱硬化性であり、スラブはチューブを出るように20〜30mmの長さの片状にダイスカットされた。次いでこれらを篩(開口部0.25インチ)にかけ、細粒を除去した。
【0053】
[0049]次いで、ダイスカットされた熱いチャンクを、バッチフライヤー中の牛脂で揚げた。牛脂の温度は、プロセス中175〜185℃で維持された。90秒で、チャンクの水分は、水分約16%及びAw0.7まで減少した。Decagon Aqualab水分活性テスター(±0.0003)を使用してAwを決定した。グリセロール濃度が高いため、Aqualab Volatile Sensorインサートを使用した。チャンクをフライヤーから除去し、過剰な油脂を排出した。
【0054】
[0050]次いで、依然として熱いチャンク(75〜95℃)に、回転コーター中で15%加熱グリセリン(約75℃)をスプレーした。チャンクを更に3分間回転させ、次いで保持タンクに移し、60分間放置させた。片の大きさに応じて30〜60分の間に、全ての遊離グリセリンがチャンクに吸収された。
【0055】
[0051]次いで、可塑化したチャンクを、コーター中で回転させながら、0.5%リン酸をスプレーし、0.5%乾燥ダイジェストを振りかけることにより風味を付けた。次いで、風味を付けたチャンクを冷却し、水分バリア袋に密封した。完成品は11.5%の水分及び0.63のAwを有していた。製品は、5本の指で押しつぶしたとき、柔軟性があり、柔らかかった。Awが0.65未満であるため、カビの繁殖は予想されなかった。数か月貯蔵した貯蔵品でも見られなかった。
【0056】
実施例2:
[0052]鶏品種については、表2に示す成分を有するフライドチャンクを、以下の方法で製造した。肉及び肉副産物全体の内、50%が機械的に分離した鶏肉であった。チャンクを、実施例1に記載の手順を用いて製造し、揚げて、風味を付け、梱包した。風味を付けたチャンクの水分は11.1%、Awは0.62であった。柔らかさ及びカビ安定性は、実施例1の牛肉チャンクと同じであった。
【0057】
実施例3:
[0053]実施例1で製造したフライドチャンク食品組成物を、約0.6のAwを有するビスケットトリートとブレンドした。牛肉チャンク20%をタンブラー中で80%アルポ(Alpo)(登録商標)ブランドのSnap Treatと約2分間ブレンドし、均一な製品を得た。ブレンドは、新たな二重構造の組成物である。ブレンドは、美的魅力及びオーナーアピールが改善されていることが観察された。
【0058】
実施例4:
[0054]実施例1及び2からのフライドチャンク食品組成物を、市場で入手できる貯蔵安定性のあるベークビスケット及び押出ビスケットと比較した。一対比較において、フライドチャンク食品組成物及びビスケットを、20匹の無作為に混合した小型/中型犬に与えた。結果を表5に示す。
【0059】
【表5】

【0060】
[0055]表5を参照すると、フライドチャンク食品組成物は、現在入手可能なベークビスケット又は押出ビスケットよりも有意に口当たりが良いことが判明した。
【0061】
[0056]本明細書では、本発明の代表的な好適な実施形態が開示されている。特定の用語が使用されているが、それらは単に一般的かつ説明的な意味で使用したものであり、限定を意図したものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲に記載の通りである。上述の教示内容を踏まえると、本発明の多くの修正及び改変が可能であることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、特に記載されている以外の形態でも実施可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを製造するために、約110℃〜205℃の温度の油で揚げられた食品チャンクと、
(2)前記フライド食品チャンクに施される約5%〜約35%の可塑剤と、
を含み、前記可塑剤を施したフライド食品チャンクが、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する、フライドチャンク食品組成物。
【請求項2】
前記フライド食品チャンクが、約6%〜約12%の水分含量及び約0.4〜約0.65のAwを有する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項3】
前記フライド食品チャンクが、約10%〜約12%の水分含量及び約0.55〜約0.65のAwを有する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項4】
完全でバランスの取れた栄養を動物に与えるように配合された、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項5】
前記動物がコンパニオンアニマルである、請求項4に記載の食品組成物。
【請求項6】
前記動物がイヌ又はネコである、請求項5に記載の食品組成物。
【請求項7】
(1)約110〜205℃の温度の油で食品チャンクを揚げて、約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを得るステップと、
(2)約5%〜約35%の可塑剤を前記フライド食品チャンクに施して、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する、フライドチャンク食品組成物を得るステップと、
を含む、フライドチャンク食品組成物の製造方法。
【請求項8】
前記食品組成物が、約6%〜約12%の水分含量及び約0.4〜約0.65のAwを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記食品組成物が、約10%〜約12%の水分含量及び約0.55〜約0.65のAwを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記食品組成物が、完全でバランスの取れた栄養を動物に与えるように配合される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記動物がコンパニオンアニマルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動物がイヌ又はネコである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(A)(1)約16%の水分含量及び約0.7のAwを有するフライド食品チャンクを製造するために、約110〜205℃の温度の油で食品チャンクを揚げることにより製造されたフライド食品チャンクと、(2)前記フライド食品チャンクに施される約5%〜約35%の可塑剤と、を含み、前記可塑剤を施したフライド食品チャンクが、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する、少なくとも1種のフライドチャンク食品組成物と、(B)前記フライドチャンク食品組成物と相容性である少なくとも1種の可食成分と、を含むブレンド食品組成物。
【請求項14】
前記可食成分が、約12%以下の水分含量及び約0.65以下のAwを有する、請求項13に記載のブレンド食品組成物。
【請求項15】
前記可食成分が、押出キブル、ベークキブル、押出トリート及びベークトリートからなる群から選択される、請求項13に記載のブレンド食品組成物。
【請求項16】
前記可食成分及び前記フライドチャンク食品組成物が、約12%未満の水分含量及び約0.65未満の水分活性を有する、請求項13に記載のブレンド食品組成物。
【請求項17】
(1)本発明のフライドチャンク食品組成物のテクスチャー及び外観、(2)前記フライドチャンク食品組成物中の保存料の欠如、(3)前記フライドチャンク食品組成物の腐敗性及び貯蔵安定性、(4)前記フライドチャンク食品組成物又はブレンド食品組成物を動物に供給するための指示、(5)消費者が前記食品組成物又はその使用について質問がある場合の連絡先、及び(6)前記フライドチャンク食品組成物の栄養情報、の少なくとも1つについての情報又は指示を伝達する手段。
【請求項18】
表示されたウェブサイト、ビジュアル表示キオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、印刷物、公示、オーディオテープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピューター可読チップ、コンピューター可読カード、コンピューター可読ディスク、USBデバイス、ファイヤーワイヤーデバイス、コンピューターメモリー及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の手段。
【請求項19】
請求項1に記載のフライドチャンク食品組成物を含むパッケージであって、
有益な特性を有するフライドチャンク食品組成物が該パッケージ内に含まれることを示す言葉、写真、デザイン、頭字語、スローガン、フレーズ又は他の手段又はそれらの組合せを備えるラベルが添付されたパッケージ。
【請求項20】
前記有益な特性が、チャンクの流通、糞便の質及び稠度の改善、消化率の改善又は食味の改善でもある、請求項19に記載のパッケージ。


【公表番号】特表2012−514456(P2012−514456A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544413(P2011−544413)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/006748
【国際公開番号】WO2010/077357
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】