説明

フライホイール緊急停止装置及びフライホイール蓄電装置

【課題】機械的なストレスを与えることなく安全にフライホイールを緊急停止させることができるフライホイール緊急停止装置、及び当該装置を備えるフライホイール蓄電装置を提供する。
【解決手段】フライホイール緊急停止装置4は、フライホイール蓄電装置1に蓄電された電力を消費させる冷却水Wを収容する収容タンク4aと、フライホイール蓄電装置に蓄電された電力の供給先を、収容タンク4a内の冷却水W及び系統負荷の何れかに切り替える負荷切替リレー4bと、フライホイール1aを緊急停止させる場合に、フライホイール蓄電装置1を制御して蓄電された電力を出力させるとともに、負荷切替リレー4bを制御してフライホイール蓄電装置1からの電力の供給先を収容タンク4a内の冷却水Wに切り替えるコントローラ4cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転しているフライホイールを緊急停止させるフライホイール緊急停止装置、及び当該装置を備えるフライホイール蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フライホイール蓄電装置は、ローターに設けられたフライホイールと、ローターに取り付けられたモータ/発電機と、ローターを支持する軸受部と、これらを収容する容器とを備えており、電力エネルギーをフライホイールの回転エネルギーに変換することによって蓄電する。フライホイール蓄電装置は、蓄電時のフライホイール及びモータ/発電機の回転を阻害する空気抵抗及び軸受部の摩擦をできるだけ低減する必要がある。このため、モータ/発電機及びフライホイールを収容する容器の内部は真空にされており、また、ローターを支持する軸受部には磁気軸受等が採用されている。
【0003】
以上の構成のフライホイール蓄電装置は、例えば地震等の異常が発生した場合に安全性を確保するためフライホイールを緊急停止させる必要がある。フライホイールを停止させる従来の方法としては、例えば以下の(1)〜(3)に示す方法が挙げられる。
(1)永久磁石を使用した制動機構により停止させる方法
(2)容器内に水等の液体を注入し、水の抵抗により停止させる方法
(3)蓄積された電力をフライホイール蓄電装置の制御装置で消費して停止させる方法
【0004】
以下の特許文献1には、上記(2)の方法によってフライホイールを緊急停止させる技術が開示されている。具体的には、ローターの複数段に亘って装着されたフライホイールを個々のケーシングにそれぞれ収容し、水等の液体を注入する注入口を最下段のケーシングに設けるとともに、気化した気体又は昇温した液体を排出する排出口を最上段に設けた構成にすることで、摩擦熱で生じる装置の損傷を防止しつつ、フライホイールを緊急停止させることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−247183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した(1)の方法は、フライホイールに対して永久磁石の磁界を作用させて渦電流を発生させ、この渦電流によって生ずる制動トルクによりフライホイールを停止させる方法である。この方法は、流れる渦電流によってフライホイール及びローターの温度が急激に上昇するため、発生した熱を効率良く外部に放出する必要がある。しかしながら、前述の通り、軸受部は摩擦をできるだけ低減する必要があり、軸受部に磁気軸受等が採用されている場合には、ローターと軸受とが非接触であるため、熱の放出を効率的に行うことができないという問題がある。
【0007】
また、上述した(2)の方法は、フライホイールに対して液体を直接供給しているため、フライホイールの重量が小さい場合には液体の抵抗が大き過ぎる状態になり、機械的なストレスの高まりによりフライホイール蓄電装置が破壊される虞が考えられる。更に、上述した(3)の方法は、蓄電された電力を制御装置で消費することによってフライホイールを停止させているため、停止までに要する時間が必然的に長くなり、フライホイールを緊急停止させることは困難である。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、機械的なストレスを与えることなく安全にフライホイールを緊急停止させることができるフライホイール緊急停止装置、及び当該装置を備えるフライホイール蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のフライホイール緊急停止装置は、フライホイール蓄電装置(1)が備えるフライホイール(1a)を緊急停止させるフライホイール緊急停止装置(4)であって、前記フライホイール蓄電装置に蓄電された電力を消費させる液体負荷(W)を収容する電力消費用液槽(4a)と、前記フライホイール蓄電装置に蓄電された電力の供給先を、前記電力消費用液槽内の前記液体負荷及び系統負荷の何れかに切り替える切替部(4b)と、前記フライホイールを緊急停止させる場合に、前記フライホイール蓄電装置を制御して蓄電された電力を出力させるとともに、前記切替部を制御して前記フライホイール蓄電装置からの電力の供給先を前記電力消費用液槽内の前記液体負荷に切り替える制御部(4c)とを備えることを特徴としている。
また、本発明のフライホイール緊急停止装置は、前記電力消費用液槽には、前記液体負荷を前記電力消費用液槽に供給する配管(4d)が導かれており、前記制御部は、前記フライホイールを緊急停止させる場合に、前記配管に設けられた弁(4e)を開状態にすることにより前記液体負荷を前記電力消費用液槽に供給する制御を行うことを特徴としている。
また、本発明のフライホイール緊急停止装置は、前記電力消費用液槽には、前記フライホイール蓄電装置からの電力が供給される電極(11a,11b)と、前記電力消費用液槽内における前記液体負荷の液面を検出するセンサ(12)とが設けられており、前記制御部は、前記センサの検出結果に基づいて前記配管に設けられた弁の開閉を制御することを特徴としている。
また、本発明のフライホイール緊急停止装置は、前記液体負荷が、前記フライホイール蓄電装置を冷却するために用いられる冷媒であることを特徴としている。
本発明のフライホイール蓄電装置は、電力エネルギーをフライホイール(1a)の回転エネルギーに変換することによって蓄電するフライホイール蓄電装置(1)において、前記フライホイールを緊急停止させる上記の何れかに記載のフライホイール緊急停止装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フライホイールを緊急停止させる場合に、フライホイール蓄電装置を制御して蓄電された電力を出力させるとともに、フライホイール蓄電装置からの電力の供給先を電力消費用液槽内の液体負荷に切り替え、フライホイール蓄電装置を制御して蓄電された電力を液体負荷で消費させることによってフライホイールを緊急停止させている。このため、機械的なストレスを与えることなく安全にフライホイールを緊急停止させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるフライホイール蓄電装置の外観の概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるフライホイール緊急停止装置及びフライホイール蓄電装置の構成をより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるフライホイール緊急停止装置及びフライホイール蓄電装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるフライホイール蓄電装置の外観の概要を示す図である。図1に示す通り、フライホイール蓄電装置1は、円筒形状の胴部2aと、胴部2a上に設けられた半球形状の頭部2bとを有するフライホイールチャンバ2内に、フライホイール、モータ/発電機等の各種内部機構を収容した構成であり、外部から供給される電力をフライホイールの回転エネルギーに変換して蓄電する。尚、フライホイールチャンバ2内に収容されるフライホイール及びモータ/発電機等の詳細については後述する。
【0013】
このフライホイール蓄電装置1は、内部で発生する熱による温度上昇を防止すべく、フライホイール蓄電装置1を冷却する冷却装置3を備えている。冷却装置3は、冷却水タンク3a、ポンプ3b、冷却水配管3c、及びバルブ3dからなる。冷却水タンク3aは、フライホイール蓄電装置1を冷却するための冷却水(冷媒)を冷却しつつ収容するタンクである。尚、冷却水タンク3aは、冷却水を数百リットル程度収容可能である。ポンプ3bは、冷却水タンク3aに収容された冷却水を吸い込み、冷却水配管3c内を循環させるために冷却水配管3cに向けて加圧して送り出す。
【0014】
冷却水配管3cは、フライホイールチャンバ2の胴部2aの側面に螺旋状に取り付けられた配管であり、ポンプ3bによって加圧された冷却水を胴部2aの側面の周りで循環させるものである。冷却水が胴部2aの側面を循環することにより、胴部2aに蓄熱される熱が冷却水に吸収され、これによってフライホイール式蓄電装置1が冷却される。尚、冷却水配管3cを介した冷却水は冷却水タンク3aに回収される。バルブ3dは、ポンプ3bと冷却水配管3cとの間に設けられており、開状態又は閉状態になることでポンプ3bと冷却水配管3cとの間の流路を開放又は遮断する。
【0015】
また、フライホイール蓄電装置1は、地震等の異常が発生した場合にフライホイールを緊急停止させるフライホイール緊急停止装置4を備える。このフライホイール緊急停止装置4は、冷却装置3で用いられる冷却水を収容する収容タンク4a(電力消費用液槽)を備えており、フライホイールを緊急停止させる場合に、冷却水を収容タンク4aに供給するとともに、フライホイール蓄電装置1で蓄電された電力を収容タンク4aに収容された冷却水W(液体負荷)に供給して消費させるものである。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態によるフライホイール緊急停止装置及びフライホイール蓄電装置の構成をより詳細に示す図である。図2に示す通り、フライホイール緊急停止装置4は、収容タンク4a(電力消費用液槽)、負荷切替リレー4b(切替部)、コントローラ4c(制御部)、配管4d、及びバルブ4e(弁)を備えており、フライホイール蓄電装置1が備えるフライホイールを緊急停止させる。尚、フライホイールを緊急停止させるのに要する時間は、フライホイール蓄電装置1の容量及び収容タンク4aに収容された冷却水Wの抵抗に依存するが、例えば数秒〜数十秒程度の時間である。
【0017】
収容タンク4aは、上述の通り、冷却装置3で用いられる冷却水を収容し、フライホイール蓄電装置1で蓄電された電力を消費するために用いられるタンクであり、例えば200リットル程度の冷却水を収容可能である。収容タンク4aは、フライホイール蓄電装置1で蓄電された電力の消費に用いられるため、絶縁性を有する素材(例えば、セラミック等)で形成されているのが望ましい。
【0018】
この収容タンク4a内には、フライホイール蓄電装置1からの電力(図2に示す例では、R相とS相の電力)が供給される一対の電極11a,11bと、収容タンク4a内における冷却水Wの液面を検出するセンサ12とが設けられている。電極11a,11bは、フライホイール蓄電装置1で蓄電された電力を消費するために必要となる冷却水Wの抵抗の大きさを考慮した距離だけ互いに離間して配置されるとともに、収容タンク4aの内壁から絶縁性が確保できる距離だけ離間した位置に配置される。
【0019】
センサ12は、収容タンク4aに収容された冷却水Wの液面が、予め設定された所定の位置よりも上方であるか否かを検出する。ここで、センサ12によって検出される冷却水Wの液面は、少なくとも電極11a,11bの下端よりも上方である必要がある。これは、フライホイール蓄電装置1で蓄電された電力を、冷却水Wを液体負荷として消費させるためには、電極11a,11bの少なくとも一部が冷却水Wに浸っている必要があるからである。尚、センサ12によって検出される冷却水Wの液面は、少なくとも電極11a,11bの下端よりも上方の位置であれば任意の位置に設定することができる。
【0020】
また、収容タンク4aには、冷却装置3が備えるポンプ3bとバルブ3dとの間の配管に一端が接続されており、冷却装置3で用いられる冷却水を他端から収容タンク4a内に供給する配管4dが導かれている。この配管4dには、開状態又は閉状態になることで配管4dの流路を開放又は遮断するバルブ3dが設けられている。
【0021】
負荷切替リレー4bは、コントローラ4cの制御の下で、フライホイール蓄電装置1が備えるインバータ1cの接続先を、系統負荷のR相及びS相にするのか、又は収容タンク4a内に設けられた電極11a,11bにするのかを切り替える。尚、フライホイール蓄電装置1が備えるインバータ1cは、通常運転時には系統負荷のR相及びS相に接続され、緊急停止時にはコントローラ4cの制御によって電極11a,11bへの接続に切り替えられる。
【0022】
コントローラ4cは、フライホイール蓄電装置1が備えるフライホイールを緊急停止させる場合の各種制御を行う。具体的に、コントローラ4cは、フライホイール蓄電装置1が備えるインバータ1cに対して制御信号C0を出力し、フライホイール蓄電装置1に蓄電された電力を出力させる制御(回生制御)を行う。また、負荷切替リレー4bに対して制御信号C1を出力し、フライホイール蓄電装置1が備えるインバータ1cの接続先を電極11a,11bに切り替える制御を行う。
【0023】
更に、制御信号C2,C3を出力して、冷却装置3が備えるバルブ3dとバルブ4eとの開閉制御、及び冷却装置3が備えるポンプ3bの駆動制御を行う。ここで、コントローラ4cは、フライホイールを緊急停止させる場合には、収容タンク4aに設けられたセンサ12の検出結果に基づいてバルブ4eの開閉制御を行う。これは、収容タンク4a内における冷却水Wの液面を予め設定された所定の位置にするためである。
【0024】
ここで、図2に示す通り、フライホイール蓄電装置1は、フライホイールチャンバ2内に、フライホイール1a、モータ/発電機1b、及びインバータ1cを備えており、系統負荷の二次電源として活用される。つまり、図中の系統負荷には主電源(図示省略)から電力が供給されているが、例えば主電源からの電力が不足した場合にフライホイール蓄電装置1が系統負荷に電力を供給する。尚、フライホイール蓄電装置1の出力は、例えば200kW〜数GW程度である。
【0025】
フライホイール1aは、モータ/発電機1bと同心に誘導回転する円盤である。このフライホイール1aは、モータ/発電機1bの回転駆動によって回転し、モータ/発電機1bによる回転駆動が停止しても慣性によって回転し続ける。モータ/発電機1bは、インバータ1cから供給される交流の駆動電力によってモータとしてフライホイール1aを回転駆動する。また、慣性によって回転するフライホイール1aの回転速度を減速させることによって回転エネルギーを電気エネルギーへ変換する発電機として機能する。尚、フライホイール1a及びモータ/発電機1bを収容するフライホイールチャンバ2は、これらの動作を妨げる空気抵抗を低減するためにその内部が真空にされている。
【0026】
インバータ1cは、不図示の主電源から系統負荷に供給される交流電力をモータ/発電機1bの駆動に適した電圧を有する交流電力に変換し、変換した交流電力によってモータ/発電機1bをモータとして駆動する。また、モータ/発電機1bから供給される交流電力を系統負荷の電圧に等しい電圧を有する交流電力に変換して負荷切替リレー4bに出力する。
【0027】
次に、フライホイール蓄電装置1が備えるフライホイール1aを緊急停止させる場合の動作について説明する。まず、通常運転時には、負荷切替リレー4bによってフライホイール蓄電装置1のインバータ1cが系統負荷に接続されており、不図示の主電源から系統負荷に供給される交流電力がフライホイール蓄電装置1に蓄電されている。また、冷却装置3dのバルブ3dが開状態、フライホイール緊急停止装置4のバルブ4eが閉状態にされており、ポンプ3bの駆動により冷却水が胴部2aの側面の周りで循環されている。尚、収容タンク4aは、その内部には冷却水Wが供給されておらず空の状態である。
【0028】
次に、フライホイール1aを緊急停止させる場合には、コントローラ4cからインバータ1cに対して制御信号C0が出力されるとともに、コントローラ4cから負荷切替リレー4bに対して制御信号C1が出力される。加えて、コントローラ4cからバルブ4eに対して制御信号C2が出力される。
【0029】
コントローラ4cからインバータ1cに対して制御信号C0が出力されると回生制御が行われる。かかる制御によって、モータ/発電機1bが発電機として機能し、慣性によって回転するフライホイール1aによってモータ/発電機1bが駆動されることによってフライホイール1aの回転エネルギーが電気エネルギーに変換されて交流電力がインバータ1cから出力される。また、コントローラ4cから負荷切替リレー4bに対して制御信号C1が出力されると、フライホイール蓄電装置1が備えるインバータ1cの接続先が電極11a,11bに切り替えられる。これにより、フライホイール蓄電装置1のインバータ1cから出力される交流電力が電極11a,11bに供給される。
【0030】
コントローラ4cからバルブ4eに対して制御信号C2が出力されるとバルブ4eが開状態になる。すると、冷却装置3のポンプ3bによって加圧された冷却水が配管4dを介して収容タンク4a内に供給される。尚、コントローラ4cは、センサ12の検出結果に基づいてバルブ4eの開閉制御をしており、収容タンク4aに収容された冷却水Wの液面が予め設定された所定の位置に達するとコントローラ4cの制御によってバルブ4eは閉状態にされる。
【0031】
以上の制御によって、収容タンク4a内に設けられた電極11a,11bは、収容タンク4aに収容された冷却水Wに浸った状態になる。すると、電極11a,11bの間を交流電流が流れ、これにより電極11a,11bの間に存在する冷却水Wの抵抗R(液体抵抗)によって電力が消費される。このようにして、フライホイール蓄電装置1に蓄電された電力が効率的に消費され、その結果としてフライホイール1aを緊急停止させることができる
【0032】
ここで、冷却水Wによって電力が消費されることにより冷却水Wの温度が上昇するが、収容タンク4a内に冷却水Wが液体として存在する限り冷却水Wの温度が100℃を超えることがない。このため、安全に大電力を消費することが可能である。また、本実施形態では、フライホイール蓄電装置1に蓄電された電力を収容タンク4aに収容された冷却水Wで消費しているだけであるため、機械的なストレスを与えることなく安全にフライホイール1aを停止させることができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態によるフライホイール緊急停止装置及びフライホイール蓄電装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、フライホイール蓄電装置1を冷却する冷却装置3で用いられる冷却水を収容タンク4aに収容して電力消費に用いていたが、冷却装置3で用いられる冷却水と電力消費に用いる専用の水とを分けて用いても良い。
【0034】
また、上記実施形態では、フライホイール1aを緊急停止させる場合に収容タンク4aに冷却水Wを供給していたが、水が収容タンク4aに常時収容されていてもよい。更に、上記実施形態では、電力消費のために用いる液体負荷として水(冷却水)を用いる例について説明したが、水以外の液体を用いることも可能である。例えば、電気が流れることによる変性や電気分解が起こりにくく、水の沸点と同程度の沸点が低い液体が望ましい。
【符号の説明】
【0035】
1 フライホイール蓄電装置
1a フライホイール
4 フライホイール緊急停止装置
4a 収容タンク
4b 負荷切替リレー
4c コントローラ
4d 配管
4e バルブ
11a,11b 電極
12 センサ
W 冷却水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライホイール蓄電装置が備えるフライホイールを緊急停止させるフライホイール緊急停止装置であって、
前記フライホイール蓄電装置に蓄電された電力を消費させる液体負荷を収容する電力消費用液槽と、
前記フライホイール蓄電装置に蓄電された電力の供給先を、前記電力消費用液槽内の前記液体負荷及び系統負荷の何れかに切り替える切替部と、
前記フライホイールを緊急停止させる場合に、前記フライホイール蓄電装置を制御して蓄電された電力を出力させるとともに、前記切替部を制御して前記フライホイール蓄電装置からの電力の供給先を前記電力消費用液槽内の前記液体負荷に切り替える制御部と
を備えることを特徴とするフライホイール緊急停止装置。
【請求項2】
前記電力消費用液槽には、前記液体負荷を前記電力消費用液槽に供給する配管が導かれており、
前記制御部は、前記フライホイールを緊急停止させる場合に、前記配管に設けられた弁を開状態にすることにより前記液体負荷を前記電力消費用液槽に供給する制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載のフライホイール緊急停止装置。
【請求項3】
前記電力消費用液槽には、前記フライホイール蓄電装置からの電力が供給される電極と、前記電力消費用液槽内における前記液体負荷の液面を検出するセンサとが設けられており、
前記制御部は、前記センサの検出結果に基づいて前記配管に設けられた弁の開閉を制御する
ことを特徴とする請求項2記載のフライホイール緊急停止装置。
【請求項4】
前記液体負荷は、前記フライホイール蓄電装置を冷却するために用いられる冷媒であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のフライホイール緊急停止装置。
【請求項5】
電力エネルギーをフライホイールの回転エネルギーに変換することによって蓄電するフライホイール蓄電装置において、
前記フライホイールを緊急停止させる請求項1から請求項4の何れか一項に記載のフライホイール緊急停止装置を備えることを特徴とするフライホイール蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−151947(P2011−151947A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10831(P2010−10831)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】