説明

フラッシュメモリ素子およびその製造方法

【課題】半導体素子の信頼性を向上させ、かつ集積度を向上させるフラッシュメモリ素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】メモリセル領域Aとペリ領域Cとの境界部分にゲートライン12が通るか否かによって、ゲートライン12が通る場合には、その境界部分を素子分離膜11aで構成し、ゲートライン12が通らない場合には、ダミーアクティブ(dummy active)で構成することにより素子の信頼性を改善し、ウェルピックアップ(well pick up)領域を上記ダミーアクティブ内に構成することで集積度を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に半導体素子の信頼性を改善して集積度を向上させるためのフラッシュメモリ素子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナンド型フラッシュ(NAND flash)の技術分野がナノ技術で進展するに伴い、素子分離トレンチのピッチも次第に小さくなっており、これにより素子分離トレンチにHDP(
High Density plasma)酸化膜ギャップフィル時にステップカバレッジ(step coverage)が不良化する問題がある。
【0003】
特に、ペリ(per)領域に比べて素子分離トレンチのピッチが小さいメモリセル領域でのステップカバレッジの不良が深刻である。ステップカバレッジの不良によりメモリセル領域の素子分離膜にボイド(void)が発生する場合に、メモリセルの工程及び信頼性に問題が生じ得るため、ボイドの問題を必ず解決しなければならない。このため、メモリセル領域の素子分離トレンチの深さを2000Å未満に下げてステップカバレッジを改善している。
【0004】
一方、テクノロジーが減少しても、セルの動作には常に同一な電圧が要求されるため、ペリ領域に形成されるトランジスタは20ボルト(V)以上の高電圧に耐えられるように素子分離トレンチを深く形成する必要がある。
【0005】
その結果、メモリセル領域の素子分離トレンチよりペリ領域の素子分離トレンチの深さを深く形成するデュアルトレンチ構造が導入された。
【0006】
このようなメモリセル領域とペリ領域の素子分離トレンチの深さ、即ち、素子分離膜の厚差により境界部分が生じるが、境界部分を構成する方法にはアクティブで構成する方法と素子分離膜で構成する方法がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、メモリセル領域とペリ領域の境界部分をアクティブで構成する場合、境界部分のアクティブエッジでゲート酸化膜シニング(thinning)現象が発生する。ナンドフラッシュの動作時、ゲートラインに20(V)程度の高電圧が印加されるため、ゲートラインが上記境界部分を通る場合、ゲート酸化膜シニング部分でブレークダウンが発生して素子動作にフェイルが誘発される。その結果、収率及び素子信頼性が低下する。
【0008】
以上から、本発明の主たる目的は、半導体素子の信頼性を向上させるフラッシュメモリ素子およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、半導体素子の集積度を向上させるフラッシュメモリ素子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のフラッシュメモリ素子は、メモリセル領域及びペリ領域が定義された半導体基板と上記半導体基板上に形成されるゲートラインを含む半導体素子において、ゲートラインが通るメモリセル領域とペリ領域の境界部分に形成された素子分離膜と、ゲートラインが通らないメモリセル領域とペリ領域の境界部分に形成されたダミーアクティブを含む。
【0011】
このような構造を有するフラッシュメモリ素子の製造方法は、メモリセル領域とペリ領域が定義された半導体基板と上記半導体基板上に形成されるゲートラインを含む半導体素子の製造方法において、ゲートラインが通るメモリセル領域とペリ領域の境界部分には素子分離膜を形成し、ゲートラインが通らないメモリセル領域とペリ領域の境界部分にはダミーアクティブを形成する段階と、上記素子分離膜が形成されたメモリセル領域とペリ領域の境界部分を通るゲートラインを形成する段階を含む。
【発明の効果】
【0012】
上述した通り、本発明は次のような効果がある。第一に、メモリセル領域とペリ領域の境界部分にゲートラインが通る場合に、該当境界部分を素子分離膜で構成してゲート酸化膜シニング部分でブレークダウンの発生を防止することができるため、収率及び素子信頼性を向上させることができる。
【0013】
第二に、メモリセル領域とペリ領域の境界部分にゲートラインが通らない場合に、該当境界部分をダミーアクティブで構成して後続の熱工程により半導体基板にディフェクトまたはダメージが発生する問題を根本的に防止することができる。
【0014】
第三に、ウェルピックアップ領域をダミーアクティブ内に構成し、ウェルピックアップ領域を構成するのに別途の領域を割り当てらなくても良いため、素子の集積度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明によるフラッシュメモリ素子およびその製造方法について、それぞれ好適な実施形態を図に基づいて詳述する。
【0016】
本実施形態の根本的な考え方は、メモリセル領域とペリ領域の境界部分にゲートラインが通過しているか否かによって、通過している場合はブレークダウンを防止することである。図1は、メモリセル領域Aとペリ領域Cの境界部分にゲートライン12が通過している場合の半導体素子の実施形態として、フラッシュメモリ素子を示す。
【0017】
背景技術として述べたように、メモリセル領域とペリ領域の境界をアクティブに構成する場合、アクティブエッジでのゲート酸化膜シニング現象が発生する。それによってメモリセル領域とペリ領域の境界部分を通るゲートラインに高電圧が印加されると、ゲート酸化膜シニング部分でブレークダウンが発生して素子フェイルが誘発される。
【0018】
それを踏まえ、本実施形態においては、メモリセル領域Aとペリ領域Cの境界部分にゲートライン12が通過する半導体素子において、図1に示すように、その境界部分に素子分離膜11bが形成されている。すなわち、半導体基板10上にメモリセル領域Aとペリ領域Bが形成され、それら両領域の境界部分にゲートライン12が通過し、その境界部分にはメモリセル領域Aの素子分離膜11aが形成され、またペリ領域Cにはウェルピックアップ領域13が形成されている。後述するように、このウェルピックアップ領域13はフラッシュメモリ素子の消去動作時にバイアスを均一に分布させるために形成するものである。
【0019】
ところで、メモリセル領域Aとペリ領域Cに素子分離トレンチのエッチング時に上記境界部分が二重エッチングされるため、V字状の滑らかでない境界面が形成されて後続の熱工程時に半導体基板10にディフェクトまたはダメージが発生する可能性が非常に高い。
【0020】
また、メモリセル領域Aとウェルピックアップ領域13との間の距離が遠くなり、素子分離膜11aの平坦化工程時にその素子分離膜11aにディッシング(dishing)が発生する確率が高くなる。結果、自己整列フローティングゲート(Self Aligned Floating Gate)工程適用時にポリ残留物(poly residue)発生の原因になる。自己整列フローティングゲート工程においてそうしたポリ残留物を減らすためには、メモリセル領域Aとウェルピックアップ領域13との間の距離を短縮することが課題となる。
【0021】
それに対し、メモリセル領域Aとペリ領域Cの境界部分にゲートライン12が通過せず、ブレークダウンによる素子フェイル発生の懸念がない場合、境界部分にはダミーアクティブ(dummy active)を形成する。素子分離膜11aとダミーアクティブは同時に形成される。すなわち、ゲートライン12が通るか否かによって、ゲートライン12が通過しておれば、メモリセル領域Aとペリ領域Cとの境界部分に素子分離膜11aを形成する。それによって、ゲートライン12が通過しない場合のメモリセル領域Aとペリ領域Cの境界部分に自動的にダミーアクティブが形成されることになる。
【0022】
つぎに、上記ダミーアクティブ領域内にウェルピックアップ領域13を形成する。ウェルピックアップ領域13は、フラッシュメモリ素子の消去動作時にバイアスを均一に分布させるために形成され、半導体基板10上に形成されているウェル領域と同一の不純物の注入を通じて形成し、ウェル領域より高濃度のドーズ量で不純物を注入する。そこで、ウェルピックアップ領域13としては、B+あるいはBF2+の不純物を5E14〜5E15ions/cmのドーズ量で不純物を注入して形成される。
【0023】
従来、かかるダミーアクティブとウェルピックアップ領域は別途に形成された。ダミーアクティブとウェルピックアップ領域を別途に形成する場合、素子サイズ増加の要因として作用するところ、ウェルピックアップ領域をダミーアクティブ内に形成する。
【0024】
そこで、素子分離膜11aが形成されたメモリセル領域Aとペリ領域Cとの境界部分を通るゲートライン12が形成される。
【0025】
図2は、メモリセル領域Aとペリ領域Cの境界部分にゲートライン12が通らない場合、本実施形態によるフラッシュメモリ素子を示す。その場合、メモリセル領域Aとペリ領域Cとの境界部分Bにゲートラインが通らない場合は、境界部分Bをダミーアクティブで構成する。
【0026】
従来技術では、ダミーアクティブとウェルピックアップ領域を別途に置き、ダミーアクティブとウェルピックアップ領域との間に2μm程度の距離を置いた。しかし、ダミーアクティブとウェルピックアップ領域を別途に形成する場合、素子サイズ増加の要因として作用するところ、本発明ではウェルピックアップ領域13をダミーアクティブ内に構成する。
【0027】
このような本発明は、ワードラインコーディング(word line coding)の環境により異なって適用されるが、具体的に詳察すれば、次の通りである。
【0028】
図3(A)は、1サイドワードラインコーディング(1-side W/L coding)の構造を示した図面であり、図3(B)は、1サイドワードラインコーディング構造において本発明によるセルアレイエッジ部分の構成を示した図面である。図4(A)は、2サイドワードラインコーディング(2-sideW/L coding)の構造を示した図面であり、図4(B)は、2サイドワードラインコーディング構造において本発明によるセルアレイエッジ部分の構成を示した図面である。
【0029】
1サイドワードラインコーディングの構造では、図3(A)に示すように、セルアレイの一方の面にのみX−デコーダが位置する。
【0030】
上記セルアレイが形成された部分はメモリセル領域に該当し、上記X-デコーダが形成された部分はペリ領域に該当する。一方、上記X−デコーダと隣接するセルアレイのエッジ面にはゲートラインが通ることになり、残りの3つのエッジ面にはゲートラインが通らない。
【0031】
したがって、図3(B)に示すように、X−デコーダと隣接するセルアレイのエッジ面の1面は素子分離膜で構成し、残りの3つのエッジ面はダミーアクティブで構成し、ウェルピックアップ領域を上記ダミーアクティブ内に構成する。
【0032】
一方、2サイドワードラインコーディングの構造では、図4(A)に示すように、セルアレイの一方の面にのみX−デコーダが位置する。
【0033】
上記セルアレイが形成された部分はメモリセル領域に該当し、上記X-デコーダが形成された部分はペリ領域に該当する。一方、上記X−デコーダと隣接するセルアレイのエッジ面にはゲートラインが通ることになり、残りの2つのエッジ面にはゲートラインが通らない。
【0034】
したがって、図3(B)に示すように、X−デコーダと隣接するセルアレイのエッジ面の2面は素子分離膜で構成し、残りの2つのエッジ面はダミーアクティブで構成し、ウェルピックアップ領域を上記ダミーアクティブ内に構成する。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、互いに異なる多様な形態で具現されることができ、本発明の範囲が上記実施形態に限定されるものではない。単に本実施形態は、本発明の開示が完全であるようにし、通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明の範囲は本願の特許請求の範囲により理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】メモリセル領域とペリ領域の境界部分にゲートラインが通る場合に本実施形態によるフラッシュメモリ素子を示した図。
【図2】メモリセル領域とペリ領域の境界部分にゲートラインが通らない場合に本実施形態によるフラッシュメモリ素子を示した図。
【図3A】1サイドワードラインコーディング構造を示した図。
【図3B】1サイドワードラインコーディング構造において本実施形態によるセルアレイエッジ部分構成を示した図。
【図4A】2サイドワードラインコーディング構造を示した図。
【図4B】2サイドワードラインコーディング構造において本実施形態によるセルアレイエッジ部分構成を示した図。
【符号の説明】
【0037】
10 半導体基板
11a メモリセル領域の素子分離膜
11b 素子分離膜
12 ゲートライン
13 ウェルピックアップ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセル領域およびペリ領域を有する半導体基板にゲートラインが形成された半導体素子において、
前記ゲートラインが通る前記境界部分に素子分離膜が形成され、前記ゲートラインが通らない境界部分にダミーアクティブが形成されることを特徴とするフラッシュメモリ素子。
【請求項2】
前記ダミーアクティブ領域内に形成されたウェルピックアップ領域を含むことを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリ素子。
【請求項3】
前記半導体基板内に形成されるウェル領域を含み、前記ウェルピックアップ領域が前記ウェル領域より高濃度を有することを特徴とする請求項2に記載のフラッシュメモリ素子。
【請求項4】
半導体基板上に形成されたメモリセル領域およびペリ領域間の境界部分にゲートラインが通る半導体素子の製造方法において、
前記ゲートラインが通る前記境界部分に素子分離膜を形成し、前記ゲートラインが通らない境界部分にダミーアクティブを形成する工程と、
前記記素子分離膜が形成された前記メモリセル領域と前記ペリ領域との間の境界部分を通るゲートラインを形成する工程と、
を含むことを特徴とするフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項5】
前記素子分離膜および前記ダミーアクティブを形成後、前記ダミーアクティブ内にウェルピックアップ領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項6】
前記ウェルピックアップ領域は、前記半導体基板内に形成されているウェル領域と同一の不純物で形成されることを特徴とする請求項5に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項7】
前記ウェルピックアップ領域が前記ウェル領域に比べて高濃度の不純物注入を通じて形成されることを特徴とする請求項6に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項8】
前記不純物は、B+あるいはBF+イオンであることを特徴とする請求項6に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。
【請求項9】
前記不純物は、5E14〜5E15ions/cmのドーズ量で注入されることを特徴とする請求項6に記載のフラッシュメモリ素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2007−49119(P2007−49119A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138672(P2006−138672)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】