説明

フラットパネルディスプレイ検査装置

【課題】 フラットパネルディスプレイに対応した正確な座標位置を出力する。
【解決手段】 フラットパネルディスプレイの既知画像をカメラで撮像してカメラ座標での濃度値を取得し(S1)、カメラ座標をFPD座標に変換する為の座標対応表を作成する(S2)。検査画面をカメラで撮像しカメラ座標での濃度値を取得し(S3)、座標対応表を用いてFPD座標に変換する。FPD座標の各座標位置において、小数点以下の値が同じ値のものを集めて各値毎にサブピクセル座標を形成し、各サブピクセル座標別に、画像の濃度値の平均値を求め(S4)、その逆数をFPD座標の座標位置に乗算してFPD座標の座標位置が示す濃度値を変更する(S5)。このFPD座標で欠陥検査を行い、点欠陥として検出されたFPD座標位置を他の装置やモニタに出力する(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイに発生する点欠陥を検査するフラットパネルディスプレイ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを検査する際には、フラットパネルディスプレイ検査装置が用いられていた。
【0003】
このフラットパネルディスプレイ検査装置で点欠陥を検査する際には、カメラで取得した画像の一端から他端までの間を等分割して座標を算出し、この座標に基づいて点欠陥の位置座標を出力していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなフラットパネルディスプレイ検査装置にあっては、カメラのレンズに歪みがあるため、正確な座標位置を算出することは困難であった。
【0005】
これにより、一つの点欠陥に対して複数の点欠陥の位置を出力することがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、フラットパネルディスプレイに対応した正確な座標位置を出力することができるフラットパネルディスプレイ検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のフラットパネルディスプレイ検査装置にあっては、カメラで撮像したフラットパネルディスプレイの映像から点欠陥を検出し、該点欠陥の位置を、前記フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応する座標位置として出力するフラットパネルディスプレイ検査装置において、前記フラットパネルディスプレイに、表示位置の座標が既知な点状の輝点を所定の間隔をおいて表示するとともに、この表示された既知画像の映像をカメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得する撮像手段と、前記フラットパネルディスプレイの各画素位置を示すFPD座標に対応する前記カメラ座標の座標位置を各座標位置での前記濃度値に基づいて小数点以下の値まで求め、前記カメラ座標の座標位置を前記FPD座標の座標位置に変換する為の対応表を作成する対応表作成手段と、前記フラットパネルディスプレイに検査用画像を表示して該検査用画像の映像を前記カメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得する検査画像撮像手段と、該検査画像撮像手段で得られた前記カメラ座標での前記濃度値を前記対応表に基づいて前記フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応したFPD座標に変換する座標変換手段と、該座標変換手段で得られた前記FPD座標から点欠陥を検出する点欠陥検出手段と、該点欠陥検出手段にて点欠陥として検出された前記FPD座標の座標位置を欠陥座標位置として出力する欠陥座標位置出力手段と、を備えている。
【0008】
すなわち、フラットパネルディスプレイを検査する際には、前段階として、フラットパネルディスプレイに、表示位置の座標が既知な点状の輝点を所定の間隔をおいて表示するとともに、この表示された既知画像の映像をカメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得した後、前記フラットパネルディスプレイの各画素位置を示すFPD座標に対応する前記カメラ座標の座標位置を各座標位置での前記濃度値に基づいて小数点以下の値まで求め、前記カメラ座標の座標位置を前記FPD座標の座標位置に変換する為の対応表を作成する。このとき、前記既知画像においては、表示される輝点の表示位置の座標が既知なため、各輝点間の値を補間することができる。
【0009】
次に、前記フラットパネルディスプレイに検査用画像を表示して該検査用画像の映像を前記カメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得し、得られたカメラ座標での前記濃度値を前記対応表に基づいて前記フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応したFPD座標に変換する。これにより得られたFPD座標から点欠陥を検出し、点欠陥として検出された前記FPD座標の座標位置を欠陥座標位置として出力する。
【0010】
このように、前記対応表を用いることにより、カメラでのカメラ座標の座標位置がフラットパネルディスプレイでのFPD座標の座標位置に変換される。
【0011】
また、請求項2のフラットパネルディスプレイ検査装置においては、前記FPD座標に対応する前記カメラ座標の座標位置を小数点以下の値まで求めた際に、小数点以下の値が同じ値のもので構成されたサブピクセル座標を形成し、各サブピクセル座標毎に濃度値を平均化した平均化濃度値を求める濃度算出手段と、前記カメラ座標での前記濃度値を前記対応表に基づいて前記FPD座標に変換する際に、前記濃度値を、対応する前記各サブピクセル座標での平均化濃度値に基づいて濃度変換する濃度変換手段と、を備えている。
【0012】
すなわち、フラットパネルディスプレイでの画素数とカメラでの画素数が異なる場合、フラットパネルディスプレイの1画素がカメラの複数画素に跨ることがある。この場合、この部位における濃度は低下してモアレ縞が発生してしまい、点欠陥の検査ができなくなる恐れが生じる。
【0013】
しかし、FPD座標にて小数点以下の値が同じ値のもので構成されたサブピクセル座標を形成するととに、各サブピクセル座標毎に濃度値を平均化した平均化濃度値を求める。そして、カメラ座標での濃度値を対応表に基づいて前記FPD座標に変換する際に、前記濃度値を、対応する前記各サブピクセル座標での平均化濃度値に基づいて濃度変換することで、前述した濃度の低下を防止し、モアレ縞の発生が防止される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明の請求項1のフラットパネルディスプレイ検査装置にあっては、検査の前段階において輝点の座標が既知な既知画像を用いて対応表を予め形成することで、カメラでのカメラ座標の座標位置を、フラットパネルディスプレイでのFPD座標の座標位置に変換することができる。
【0015】
したがって、カメラの特性やレンズの特性によって歪みが生じても、これを前記対応表によって相殺することで、正確な座標位置を算出するができる。よって、点欠陥検出時には、フラットパネルディスプレイに対応した正確な座標位置を出力することができるとともに、一つの点欠陥に対して複数の点欠陥の位置を出力してしまうといった不具合を解消することができる。
【0016】
また、欠陥検出時には、その正確な位置を出力することができるため、フラットパネルディスプレイの修正作業が容易となる。さらに、前記対応表を予め作成しておくことで、検査時処理の簡素化を図ることができ、トータル的な検査時間の短縮を図ることができる。
【0017】
そして、請求項2のフラットパネルディスプレイ検査装置においては、カメラで取得された画像でのモアレ縞の発生を防止し、より正確な検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるフラットパネルディスプレイ検査装置1を示すブロック図であり、該フラットパネルディスプレイ検査装置1は、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ2に発生する点欠陥を検査する装置である。
【0019】
このフラットパネルディスプレイ検査装置1は、画像処理を行うコンピュータ11を中心に構成されており、該コンピュータ11には、カメラインターフェイス12を介してカメラ13が接続されている。前記コンピュータ11には、検査対象となるフラットパネルディスプレイ2が接続されており、前記コンピュータ11からの信号に応じた映像を出力できるように構成されている。
【0020】
また、前記コンピュータ11には、フィルタ装置21が接続されており、該フィルタ装置21は、前記カメラ13のレンズ22と前記フラットパネルディスプレイ2との間に配置されている。これにより、前記コンピュータ11からの制御信号によって前記フィルタ装置21を制御することによって、前記カメラ13において減光フィルタやカラーフィルタを通した映像と、各フィルタを通さない映像とが取得できるように構成されている。
【0021】
前記コンピュータ11は、記憶されたプログラムに従って動作するように構成されており、前記カメラ13で取得した画像を処理して前記フラットパネルディスプレイ2に発生した点欠陥を検出し、その位置を、他の装置やモニタに出力できるように構成されている。
【0022】
以上の構成にかかる本実施の形態の動作を、図2に示すフローチャートに従って説明する。
【0023】
すなわち、フラットパネルディスプレイ2を検査する際には、その前段階として、コンピュータ11からの出力によって前記フラットパネルディスプレイ2に、図3に示すような既知画像31を表示するとともに、その画像を固定したカメラ13で撮像する(S1)。前記既知画像31(A(i,j))としては、輝点32を中心とした格子点画像33が、図中横方向であるi方向及び図中縦方向であるj方向に4画素(又は8画素)おきに設けられた画像からなり、各格子点画像33が表示される位置座標(i,j)は、前記コンピュータ11において既知である。これにより、前記カメラ13における各画素位置に対応したカメラ座標35(B(i,j))での濃度値を取得する(一つの格子点画像のみ図示)。
【0024】
そして、前記フラットパネルディスプレイ2の各画素位置に対応するFPD座標(C(x,y))に、各FPD座標位置(x,y)に対応する前記カメラ座標35(B(i,j))の座標位置(i,j)を関連付けて座標対応表42を形成する(S2)。その一例としては、前記カメラ座標35における前記各格子点画像33上での座標を、前記濃度値に基づいて小数点以下の値まで求め、その値を前記座標対応表42の構成座標C(x,y)の各座標位置(x,y)に記憶する方法が挙げられる。ここで、前記既知画像31において、表示される輝点32の表示位置の座標は既知なため、各輝点32間の値を補間して求めることができる。これにより、前記カメラ座標35(B(i,j))の座標位置(i,j)を対応する前記FPD座標(C(x,y))のFPD座標位置(x,y)に変換する為の座標対応表42を作成する。
【0025】
次に、コンピュータ11からの出力によって前記フラットパネルディスプレイ2に、真っ白な検査画面を表示するとともに、その画像を前記カメラ13で撮像して、前記カメラ座標35(B(i,j))での濃度値を取得する(S3)。そして、このカメラ座標35(B(i,j))を前記座標対応表42を用いてFPD座標C(x,y)に座標変換する。また、このFPD座標C(x,y)の各座標位置において、小数点以下の値が同じ値のものを集めて各値毎に(例えば0.1毎に10種類)サブピクセル座標51,52,・・・を形成し、各サブピクセル座標51,52,・・・別に、画像の濃度値の平均値(Hk)を求めるとともに(S4)、その逆数をFPD座標C(x,y)の各座標位置(x,y)に乗算して前記FPD座標C(x,y)の各座標位置(x,y)が示す濃度値を変更する(S5)。
【0026】
そして、このFPD座標C(x,y)の座標位置(x,y)を二値化して、欠陥検査を行い、点欠陥として検出されたFPD座標位置(x,y)を他の装置やモニタに出力する(S6)。
【0027】
このように、前段階において輝点32の座標が既知な既知画像31を用いて対応表42を予め形成することで、カメラ13でのカメラ座標35(B(i,j))の座標位置(i,j)を、フラットパネルディスプレイ2での座標位置に変換することができる。
【0028】
したがって、カメラ13の特性やレンズ22の特性によって歪みが生じても、これを前記対応表42によって相殺することで、フラットパネルディスプレイ2上の正確な座標位置を算出するができる。よって、点欠陥検出時には、フラットパネルディスプレイ2に対応した正確な座標位置を出力することができるとともに、一つの点欠陥に対して複数の点欠陥の位置を出力してしまうといった不具合を解消することができる。
【0029】
また、欠陥検出時には、その正確な位置を出力することができるため、点欠陥があった場合フラットパネルディスプレイ2の欠陥修正作業が容易となる。さらに、前記対応表52を予め作成しておくことで、通常行われる白画面での黒点検査、黒画面での輝点欠陥検査等で共通に用いることができ、トータル的な検査時間の短縮を図ることができる。
【0030】
一方、フラットパネルディスプレイ2での画素数とカメラ13での画素数が異なる場合、フラットパネルディスプレイ2の1画素がカメラ13の複数画素に跨ることがある。この場合、この部位における濃度は低下してモアレ縞が発生してしまい、点欠陥の検査ができなくなる恐れが生じる。
【0031】
しかし、FPD座標C(x,y)にて小数点以下の値が同じ値のもので構成されたサブピクセル座標51,52,・・・を形成するととに、各サブピクセル座標51,52,・・・毎に濃度値を平均化した平均化濃度値を求めておき、カメラ座標35(B(i,j))での濃度値を座標対応表42に基づいてFPD座標C(x,y)に変換する際に、前記濃度値を、対応する前記各サブピクセル座標51,52,・・・での平均化濃度値に基づいて濃度変換することで、前述した濃度の低下を防止し、モアレ縞の発生を防止することができる。よって、より正確な検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】同実施の形態の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 フラットパネルディスプレイ検査装置
2 フラットパネルディスプレイ
11 コンピュータ
13 カメラ
31 既知画像
32 輝点
33 格子点画像
35 カメラ座標
42 座標対応表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮像したフラットパネルディスプレイの映像から点欠陥を検出し、該点欠陥の位置を、前記フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応する座標位置として出力するフラットパネルディスプレイ検査装置において、
前記フラットパネルディスプレイに、表示位置の座標が既知な点状の輝点を所定の間隔をおいて表示するとともに、この表示された既知画像の映像をカメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得する撮像手段と、
前記フラットパネルディスプレイの各画素位置を示すFPD座標に対応する前記カメラ座標の座標位置を各座標位置での前記濃度値に基づいて小数点以下の値まで求め、前記カメラ座標の座標位置を前記FPD座標の座標位置に変換する為の対応表を作成する対応表作成手段と、
前記フラットパネルディスプレイに検査用画像を表示して該検査用画像の映像を前記カメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得する検査画像撮像手段と、
該検査画像撮像手段で得られた前記カメラ座標での前記濃度値を前記対応表に基づいて前記フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応したFPD座標に変換する座標変換手段と、
該座標変換手段で得られた前記FPD座標から点欠陥を検出する点欠陥検出手段と、
該点欠陥検出手段にて点欠陥として検出された前記FPD座標の座標位置を欠陥座標位置として出力する欠陥座標位置出力手段と、
を備えたことを特徴とするフラットパネルディスプレイ検査装置。
【請求項2】
前記FPD座標に対応する前記カメラ座標の座標位置を小数点以下の値まで求めた際に、小数点以下の値が同じ値のもので構成されたサブピクセル座標を形成し、各サブピクセル座標毎に濃度値を平均化した平均化濃度値を求める濃度算出手段と、
前記カメラ座標での前記濃度値を前記対応表に基づいて前記FPD座標に変換する際に、前記濃度値を、対応する前記各サブピクセル座標での平均化濃度値に基づいて濃度変換する濃度変換手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のフラットパネルディスプレイ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−125896(P2006−125896A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311673(P2004−311673)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】