説明

フリップチップ実装用基板

【課題】エリアアレイ状のバンプを有する半導体チップのフリップチップ実装に関して、バンプが接合されるボンディングパッドの高密度化を可能とするフリップチップ実装用基板を提供すると共に、その実施過程において生じ得るはんだプリコートのばらつき等の問題点を効果的に解消する。
【解決手段】本発明に係るフリップチップ実装用基板は、ボンディングパッドと、ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位とが絶縁層もしくはソルダーレジストから露出する配線パターンを備えるフリップチップ実装用基板において、前記配線パターンの露出部分が、複数の異なる形状に形成されると共に、各々の前記露出部分は、相互に、前記ボンディングパッドの面積が実質的に等しく、且つ前記ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位の総面積が実質的に等しく形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップ実装用基板に関し、さらに詳細には、ボンディングパッドと、ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位とが絶縁層もしくはソルダーレジストから露出する配線パターンを備えるフリップチップ実装用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置における小型化・高密度化等を可能にするための重要な要素技術のひとつとしてフリップチップ実装方式がある。フリップチップ実装方式は半導体チップの回路面に突起電極(バンプ)を形成し、その回路面を下に向けて実装基板と直接接合して電気接続を行うものである。
【0003】
このフリップチップ実装方式によって、従来のワイヤボンディング実装方式等と比べて、半導体装置の小型化・高密度化等が達成された。しかし、半導体装置の高機能化が依然進んでおり、フリップチップ実装方式に対しても、さらなる狭ピッチ接続に対応できることが要請されている。
【0004】
ここで、従来のフリップチップ実装用基板の例として、特許文献1に記載のフリップチップ実装用基板100がある(図13)。これによれば、回路基板112上に、はんだを介して半導体チップに設けられたバンプがフリップチップ実装される導体パターン113A、113Bを形成してなるフリップチップ実装用基板において、導体パターン113A、113Bを配線パターン119、119A、119Bと、バンプが接合される接続パッド120とにより構成する。更に、配線パターン119、119A、119Bの幅寸法(W2、W3)に対し、接続パッド120の幅寸法(W1)を大きく(W1>W2、W1>W3)なるよう構成する。これにより、バンプ間ピッチが狭ピッチの半導体チップをフリップチップ実装用基板100にフリップチップ実装する際に、バンプが接合される接続パッド120を高密度に形成することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−77471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図13に示す従来のフリップチップ実装用基板は、ボンディングパッドがペリフェラル状に配列される場合の例であり、この技術的思想をそのままエリアアレイ状配列のフリップチップ実装用基板に適用することはできない。その理由としては、図13に示されるような細長い形状のボンディングパッドおよび引出線からなる配線パターンは、エリアアレイ状に配列させようとしても長手方向のボンディングパッド間ピッチを狭ピッチ化することができないためである。そのため、エリアアレイ状配列のフリップチップ実装用基板において、半導体装置の高機能化を図るべく、バンプが接合されるボンディングパッドの高密度化の要請が高まっている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、半導体チップをエリアアレイ状に配列するフリップチップ実装に関して、バンプが接合されるボンディングパッドの高密度化を可能とするフリップチップ実装用基板を提供すると共に、その実施過程において生じ得るはんだプリコートのばらつき等の問題点を効果的に解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係るフリップチップ実装用基板は、ボンディングパッドと、ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位とが絶縁層もしくはソルダーレジストから露出する配線パターンを備えるフリップチップ実装用基板において、前記配線パターンの露出部分が、複数の異なる形状に形成されると共に、各々の前記露出部分は、相互に、前記ボンディングパッドの面積が実質的に等しく、且つ前記ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位の総面積が実質的に等しいことを特徴とする。
【0010】
また、前記露出部分が、幅寸法よりも長さ寸法が長い配線パターンと、幅寸法と長さ寸法とが略同一である配線パターンとを備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記露出部分が、幅寸法よりも長さ寸法が長い配線パターンが、基板外縁部に、幅方向側縁部を隣接させて複数設けられ、前記露出部分が、幅寸法と長さ寸法とが略同一である配線パターンが、基板内方部に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1によれば、絶縁層もしくはソルダーレジストから露出するボンディングパッドに連続する引出線の所要部位の総面積を実質的に同一にする構成によって、はんだプリコートを行う際に当該引出線の露出部上からボンディングパッドに引き寄せられるはんだの総量を実質的に同一にすることが可能となり、さらに、ボンディングパッドの面積を実質的に同一にする構成によって、ボンディングパッド上に形成されるはんだ瘤の形状を実質的に同一にすることが可能となる。その結果、はんだ瘤の形状のばらつきをなくすことができ、半導体チップとフリップチップ実装用基板とを接合させる際に、接合強度を安定化させる効果を生じる。
【0013】
請求項2および請求項3によれば、幅方向(左右方向)および上下方向のいずれにおいてもボンディングパッド間のピッチを短くすることが可能な、絶縁層もしくはソルダーレジストからの露出部分が幅寸法と長さ寸法とが略同一である配線パターンと、特に幅方向のみに関してボンディングパッド間のピッチを短くすることが可能な、絶縁層もしくはソルダーレジストからの露出部分が幅寸法よりも長さ寸法が長い配線パターンとを併用させることによって、基板内方部および基板外縁部のそれぞれの領域において要求される配線パターンを形成する際のパッド間ピッチの制約を満足することが可能となる。その結果、フリップチップ実装用基板におけるエリアアレイ状のフリップチップ実装を高密度化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るフリップチップ実装用基板1の一例を示す概略図である。また、図2は、そのフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の構成を示す概略図である。図3は、そのフリップチップ実装用基板1にフリップチップ実装される半導体チップ5の構成を示す参考図である。図4は、そのフリップチップ実装用基板1の配線パターン2上に形成されるはんだ瘤15およびはんだ薄膜16の構成を示す概略図である。図5は、そのフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の比較図である。図6は、本発明に係るフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の第二実施例の概略図である。図7は、本発明に係るフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の第三実施例の概略図である。図8は、本発明に係るフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の第四実施例の概略図である。図9は、本発明に係るフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の第五実施例の概略図である。図10は、本発明に係るフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の第六実施例の概略図である。図11は、本発明に係るフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の第七実施例の概略図である。図12は、本発明に係るフリップチップ実装用基板1の配線パターン2の第八実施例の概略図である。なお、図面の符号に関して、符号2は符号2a・・・2yの総称として用いる(他の符号について同様)。
【0015】
図1および図2に示すように、フリップチップ実装用基板1は、実装面にボンディングパッド10、ボンディングパッドに連続する引出線11’および絶縁材であるソルダーレジスト18が形成される。ここで、ソルダーレジスト18には複数の穴12が設けられ、その穴12から、ボンディングパッド10と、ボンディングパッドに連続する引出線11’の所要部位(以下「引出線露出部11」という)とを露出させる。なお、穴12には、フリップチップ実装用基板1の表面の一部も露出する。以下、ボンディングパッド10、引出線露出部11および穴12からなる構成を配線パターン2という。このフリップチップ実装用基板1に対して、半導体チップ5をフェイスダウンさせてフリップチップ実装がなされる。
【0016】
ボンディングパッド10は、一例として銅(Cu)により形成され、半導体チップ5に設けられるバンプ6が接合される位置に設けられる。すなわち、穴12から露出するボンディングパッド10に、バンプ6が接合される構成となる。
【0017】
また、引出線11’は、ボンディングパッド10と同じ材料(一例として銅)により形成され、ボンディングパッドに連続させて設けられる。
【0018】
図3に示す半導体チップ5は、一例として金(Au)により形成されてエリアアレイ状に配列される複数のバンプ6を備える。このようなAuバンプ6を備える半導体チップ5を、フリップチップ実装用基板1の実装面にフリップチップ実装する場合、実装前に、フリップチップ実装用基板1上にはんだプリコートが行われる。より詳しくは、はんだプリコートは、穴12から露出するボンディングパッド10および引出線露出部11の上面に対して行われる。
【0019】
なお、図13に示す従来例および本願発明のいずれにおいても、絶縁層もしくはソルダーレジストから露出する配線パターンに粘着層を形成し、次いで、配線パターンにはんだ粉を被着させ、その後、はんだ粉を加熱溶融させ、溶融したはんだを表面張力によりボンディングパッド上に集中させ、ボンディングパッド上にはんだ瘤を形成する。
【0020】
次に、配線パターン2の形状について説明する。図2(a)に示す配線パターン2aは、長方形の穴12aと、長方形のボンディングパッド10aと、2本の引出線露出部11a、11aとが設けられる構成である。穴12aの長辺部を側縁部14とする。長辺部すなわち側縁部14の長さは250〜800μm程度であり、短辺部の長さは70〜120μm程度である。一方、図2(b)に示す配線パターン2bは、正方形の穴12bと、円形のボンディングパッド10bと、4本の引出線露出部11b〜11bとが設けられる構成である。穴12bの一辺の長さは100〜400μm程度である。
【0021】
ここで、配線パターン2aと配線パターン2bとは、ボンディングパッド10aの面積とボンディングパッド10bの面積とが実質的に等しくなるように形成され、且つ引出線露出部11a、11aの総面積と引出線露出部11b〜11bの総面積とが実質的に等しくなるように形成される。ここで、「実質的に」とは、物理的に完全同一の面積を有する形状を形成することは不可能であるという趣旨であるとともに、ボンディングパッド10とボンディングパッド10に連続する引出線露出部11との境界を厳密に規定することは困難であるため、ボンディングパッド10上におけるはんだ瘤の形成に関して同程度の効果が得られる面積範囲(後述)を含むという趣旨である。
【0022】
配線パターン2をフリップチップ実装用基板1の実装面にエリアアレイ状に形成する場合は、図1に示すように、配線パターン2aを基板外縁部22に、配線パターン2bを基板内方部21に設けることが好適である。
【0023】
つづいて、上記構成に基づく作用および効果について説明する。
図2(b)に示す配線パターン2bのように、穴12の形状を正方形に形成することによって、図2(a)に示す配線パターン2aと比較した場合に、図5に示すように、一定面積内に形成可能な配線パターン2の個数を多く設定することが可能となり、幅方向(左右方向)および上下方向のいずれにおいてもボンディングパッド間のピッチを短くできるという効果を生じる。ただし、幅方向のみに関しては、配線パターン2aは配線パターン2bよりもボンディングパッド間のピッチを短くすることが可能である。
【0024】
また、上記の通り、幅方向(左右方向)および上下方向のいずれにおいてもボンディングパッド間のピッチを短くできる配線パターン2bは、基板内方部21に配設することが好適である。基板内方部21においては高密度実装のために、配線パターン2を形成する際に、幅方向(左右方向)および上下方向のいずれに関してもパッド間ピッチを短くしなければならない制約があるためである。一方、幅方向のみに関して、ボンディングパッド間のピッチを短くできる配線パターン2aは、側縁部14を隣接させて基板外縁部22に配設することが好適である。基板外縁部22においては高密度実装のために、配線パターン2を形成する際に、特に幅方向(左右方向)に関してパッド間ピッチを短くしなければならない制約が大きいためである。すなわち、本発明に係るフリップチップ実装用基板1は、配線パターン2aおよび配線パターン2bを併用させることによって、基板内方部21および基板外縁部22それぞれの領域において要求される配線パターン2を形成する際の前記制約を満足することが可能となる。その結果、フリップチップ実装用基板1におけるエリアアレイ状のバンプを有する半導体チップのフリップチップ実装を高密度化することが可能となる。換言すれば、フリップチップ実装用基板1によれば、従来のエリアアレイ状のボンディングパッドを有するフリップチップ実装基板と比較して小型化を図ることが可能となる。なお、特にボンディングパッド間のピッチをいわゆる狭ピッチとする場合は、隣接する穴12aの側縁部14を連結し、図1に示すように、穴12を複数の配線パターン2が露出する帯状に形成することが好適である。
【0025】
しかしながら、単に、穴12の形状が長方形である配線パターン2aと、穴12の形状が正方形である配線パターン2bとを併設させるという技術的思想のみによって、エリアアレイ状のフリップチップ実装を行おうとすると、次のような弊害が生じ得る。その弊害とは、ボンディングパッド10と、引出線露出部11とが、形状が相違することに伴って、面積が相違することとなった場合に、はんだをプリコートする際のはんだが濡れ広がる面積が相違してしまい、ボンディングパッド10上に形成されるはんだ瘤15の形状にばらつきが生じてしまうという問題である。そのようなばらつきは、半導体チップ5とフリップチップ実装用基板1とを接合させる際に、接合強度にばらつきを生じさせる原因となる。
【0026】
ところが、穴12の形状が長方形である配線パターン2aと、穴12の形状が正方形である配線パターン2bとを併設させる際に、ボンディングパッド10aの面積とボンディングパッド10bの面積とを同一となるように構成したとしても、それのみによって、上記問題を解消することはできない。なぜならば、ボンディングパッド上に形成されるはんだ瘤15は、ボンディングパッド10に連続する引出線露出部11上のはんだを引き寄せて瘤化するため(ただし、引出線露出部11上には、はんだ薄膜16が残る。)、引出線露出部11の形状、特にその総面積が影響するためである(図4(a)〜図4(d))。
【0027】
すなわち、上記の問題に対しては、本願発明では、ボンディングパッド10の面積が実質的に等しく、且つボンディングパッド10に連続する引出線の所要部位すなわち引出線露出部11の総面積が実質的に等しく形成されるという構成を採用することにより、はじめて解決することが可能となる。より詳しくは、引出線露出部11の総面積を実質的に同一にする構成によって、ボンディングパッド10に引き寄せられるはんだの総量を実質的に同一にすることが可能となり、さらに、ボンディングパッド10の面積を実質的に同一にする構成によって、ボンディングパッド上に形成されるはんだ瘤15の形状を実質的に同一にすることが可能となるのである。その結果、はんだ瘤15の形状のばらつきをなくす効果を生じる。また、半導体チップ5とフリップチップ実装用基板1とを接合させる際に、接合強度を安定化させる効果を生じる。よって、接合不良に起因する不良品率を低下させることができるという効果が生じる。
【0028】
したがって、本願発明に係るフリップチップ実装用基板1の技術的思想に基づけば、フリップチップ実装用基板1に、はんだをプリコートする際に、ボンディングパッド10上に形成されるはんだ瘤15の形状が同程度となる、ボンディングパッド10の面積差の範囲および引出線露出部11の総面積の差の範囲を、それぞれ実質的に面積が等しい範囲であると定義する。なお、はんだ瘤15の形状が実質的に同一とは、半導体チップ5とフリップチップ実装用基板1との接合強度に影響を与えない形状差の範囲までを含む趣旨である。
【0029】
次に、配線パターン2の他の実施例について説明する。図6に、配線パターン2の第二実施例を示す。これは図2(b)に示す配線パターン2の第一実施例におけるボンディングパッド10の形状を正方形に変えたものである。つまり、配線パターン2bにおけるボンディングパッド10bを正方形のボンディングパッド10cとしたものが、配線パターン2cである。ここで、ボンディングパッド10bとボンディングパッド10cとは面積が実質的に同一に形成される。
【0030】
図7に、配線パターン2の第三実施例を示す。この第三実施例は、総じて、図2(b)に示す配線パターン2の第一実施例における穴12の形状を円形に変えたものである。第三実施例のバリエーションとして考えられるものの一部を図7(a)〜(f)に示す。図7(a)の配線パターン2dは、円形のボンディングパッド10dと、4本の引出線露出部11d〜11dとを備える。図7(b)の配線パターン2eは、円形のボンディングパッド10eと、3本の引出線露出部11e〜11eとを備える。図7(c)の配線パターン2fは、円形のボンディングパッド10fと、2本の引出線露出部11f〜11fとを備える。図7(d)の配線パターン2gは、正方形のボンディングパッド10gと、4本の引出線露出部11g〜11gとを備える。図7(e)の配線パターン2hは、正方形のボンディングパッド10hと、4本の引出線露出部11h〜11hとを備える。図7(f)の配線パターン2iは、正方形のボンディングパッド10iと、8本の引出線露出部11i〜11iとを備える。各々の配線パターン2において、相互に、ボンディングパッド10の面積が実質的に等しく、且つ引出線露出部11の総面積が実質的に等しく形成される。具体的に説明すると、例えば、図7(a)の配線パターン2dと図7(f)の配線パターン2iとを比較すると、円形のボンディングパッド10dの面積と、正方形のボンディングパッド10iの面積とが実質的に等しく、且つ4本の引出線露出部11d〜11dの総面積と、8本の引出線露出部11i〜11iの総面積とが実質的に等しく形成されるということである。なお、図7(a)〜(f)は一例に過ぎず、これらの組み合わせに限定されるものではない。
【0031】
図8に、配線パターン2の第四実施例を示す。これは図2(b)に示す配線パターン2bにおける正方形の穴12bを三角形の穴12jに代えたものである。この配線パターン2jは、円形のボンディングパッド10jと、3本の引出線露出部11j〜11jとを備える。ボンディングパッド10bの面積とボンディングパッド10jの面積とが実質的に等しく、且つ引出線露出部11b〜11bの総面積と、引出線露出部11j〜11jの総面積とが実質的に等しく形成される。
【0032】
図9に、配線パターン2の第五実施例を示す。これは図2(b)に示す配線パターン2bにおける正方形の穴12bを六角形の穴12kに代えたものである。この配線パターン2kは、円形のボンディングパッド10kと、3本の引出線露出部11k〜11kとを備える。ボンディングパッド10bの面積とボンディングパッド10kの面積とが実質的に等しく、且つ引出線露出部11b〜11bの総面積と、引出線露出部11k〜11kの総面積とが実質的に等しく形成される。
【0033】
図10に、配線パターン2の第六実施例を示す。これは図2(b)に示す配線パターン2bにおける正方形の穴12bを八角形の穴12lに代えたものである。この配線パターン2lは、円形のボンディングパッド10lと、4本の引出線露出部11l〜11lとを備える。ボンディングパッド10bの面積とボンディングパッド10lの面積とが実質的に等しく、且つ引出線露出部11b〜11bの総面積と、引出線露出部11l〜11lの総面積とが実質的に等しく形成される。
【0034】
以上のように、図6〜図10において、実施例の一部を示したが、各々の配線パターン2において、穴12の形状を正方形、円形等とすることによりエリアアレイ状に配列される配列パターン2の基板内方部21における密度を高められる効果を奏する。さらに、各々の配線パターン2において、相互に、ボンディングパッド10の面積が実質的に等しく、且つ引出線露出部11の総面積が実質的に等しく形成されることにより、ボンディングパッド10に引き寄せられるはんだの総量を実質的に同一にすることが可能となり、且つボンディングパッド上に形成されるはんだ瘤15の形状を実質的に同一にすることが可能となる。その結果、はんだ瘤15の形状のばらつきをなくして、半導体チップ5とフリップチップ実装用基板1との接合強度を安定化させる効果を生じる。なお、上記本願発明による効果を奏する形状であれば、それら図示した形状には限定されない。
【0035】
つづいて、フリップチップ実装用基板1の絶縁層上に設けられた配線パターン2が、前述のソルダーレジスト18および穴12に代えて、ダム状のソルダーレジスト(以下、「ソルダーレジストダム19」という)により区切られた構成を備える場合の実施例について説明する。その一例として、図11に、配線パターン2の第七実施例を示す。この第七実施例は、総じて、フリップチップ実装用基板1の実装面にボンディングパッド10およびボンディングパッド10に連続する引出線11’が形成され、この引出線11’が、ソルダーレジストダム19により区切られることにより、引出線露出部11が構成されるものである。
【0036】
より具体的には、図11(a)示す配線パターン2vは、図2(a)に示す配線パターン2aにおけるソルダーレジスト18および穴12aに代えてソルダーレジストダム19v、19vを設けたものである。この配線パターン2vは、長方形のボンディングパッド10vと、2本の引出線露出部11v、11vとを備える。ボンディングパッド10aの面積とボンディングパッド10vの面積とが実質的に等しく、且つ引出線露出部11a、11aの総面積と、引出線露出部11v、11vの総面積とが実質的に等しく形成される。なお、配線パターン2vの断面図を図11(c)に示す。
【0037】
また、図11(b)示す配線パターン2wは、図2(b)に示す配線パターン2bにおけるソルダーレジスト18および穴12bに代えてソルダーレジストダム19w〜19wを設けたものである。この配線パターン2wは、円形のボンディングパッド10wと、4本の引出線露出部11w〜11wとを備える。ボンディングパッド10bの面積とボンディングパッド10wの面積とが実質的に等しく、且つ引出線露出部11b〜11bの総面積と、引出線露出部11w〜11wの総面積とが実質的に等しく形成される。なお、配線パターン2wの断面図を図11(d)に示す。
【0038】
以上のように、図11において、ソルダーレジストダム19を備える場合の一実施例を示したが、配線パターン2vは前述の配線パターン2aと同様の効果を奏し、また配線パターン2wは前述の配線パターン2bと同様の効果を奏する。なお、第七実施例に関しても、前記同様にボンディングパッド10および引出線露出部11の形状等の観点から様々なバリエーションが考えられる。例えば、図6〜図10に示す配線パターンを、第七実施例に適用してもよい。
【0039】
つづいて、フリップチップ実装用基板1の絶縁層上に設けられた配線パターン2が、前述の穴12を設ける構成に代えて、穴12を設けない構成とした場合の実施例について説明する。その一例として、図12に、配線パターン2の第八実施例を示す。この第八実施例は、総じて、フリップチップ実装用基板1最表層を構成するソルダーレジスト18にボンディングパッド10および引出線露出部11の表面を露出させて構成されるものである。ここで、ソルダーレジスト18に代えてフリップチップ実装用基板1を構成する電気的絶縁層を用いて構成してもよい。
【0040】
より具体的には、図12(a)示す配線パターン2xは、図2(a)に示す配線パターン2aにおける穴12aを設ける構成に代えて、当該穴を設けない構成としたものであり、断面図を図12(c)に示す。この配線パターン2xは、長方形のボンディングパッド10xと、2本の引出線露出部11x、11xとを備える。ボンディングパッド10aの面積とボンディングパッド10xの面積とが実質的に等しく、且つ引出線露出部11a、11aの総面積と、引出線露出部11x、11xの総面積とが実質的に等しく形成される。
【0041】
また、図12(b)示す配線パターン2yは、図2(b)に示す配線パターン2bにおける穴12bを設ける構成に代えて、当該穴を設けない構成としたものであり、断面図を図12(d)に示す。この配線パターン2yは、円形のボンディングパッド10yと、4本の引出線露出部11y〜11yとを備える。ボンディングパッド10bの面積とボンディングパッド10yの面積とが実質的に等しく、且つ引出線露出部11b〜11bの総面積と、引出線露出部11y〜11yの総面積とが実質的に等しく形成される。
【0042】
以上のように、図12において、穴12を設けずに、ソルダーレジスト18にボンディングパッド10および引出線露出部11の表面を露出させて構成される場合の一実施例を示したが、配線パターン2xは前述の配線パターン2aと同様の効果を奏し、また配線パターン2yは前述の配線パターン2bと同様の効果を奏する。なお、第八実施例に関しても、前記同様にボンディングパッド10および引出線露出部11の形状等の観点から様々なバリエーションが考えられる。例えば、図6〜図10に示す配線パターンを、第八実施例に適用してもよい。
【0043】
以上の説明の通り、本願発明に係るフリップチップ実装用基板によれば、エリアアレイ状のバンプを有する半導体チップのフリップチップ実装に関して、バンプが接合されるボンディングパッドの高密度化が可能となる。その結果、狭ピッチ接続への対応を可能とし、半導体装置の高機能化を図ることができる。一方、エリアアレイ状に配列するフリップチップ実装用のボンディングパッドの高密度化を図る上で生じ得る、はんだをプリコートする際に形成されるはんだ瘤の形状のばらつきを解消することが可能となり、その結果、半導体チップとフリップチップ実装用基板との接合強度を安定化させる効果を生じ、接合不良に起因する不良品率を低下させることが可能となる。
【0044】
なお、本願発明は、半導体チップを実装基板にフリップチップ実装する場合に限定されず、パッケージのフリップチップ実装等にも適用が可能であることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係るフリップチップ実装用基板の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示すフリップチップ実装用基板の配線パターンの構成を示す概略図である。
【図3】図1に示すフリップチップ実装用基板にフリップチップ実装される半導体チップの構成を示す参考図である。
【図4】図1に示すフリップチップ実装用基板の配線パターン上に形成されるはんだ瘤およびはんだ薄膜の構成を示す概略図である。
【図5】図1に示すフリップチップ実装用基板の配線パターンの比較図である。
【図6】本発明に係るフリップチップ実装用基板の配線パターンの第二実施例の概略図である。
【図7】本発明に係るフリップチップ実装用基板の配線パターンの第三実施例の概略図である。
【図8】本発明に係るフリップチップ実装用基板の配線パターンの第四実施例の概略図である。
【図9】本発明に係るフリップチップ実装用基板の配線パターンの第五実施例の概略図である。
【図10】本発明に係るフリップチップ実装用基板の配線パターンの第六実施例の概略図である。
【図11】本発明に係るフリップチップ実装用基板の配線パターンの第七実施例の概略図である。
【図12】本発明に係るフリップチップ実装用基板の配線パターンの第八実施例の概略図である。
【図13】従来の実施の形態に係るフリップチップ実装用基板の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 フリップチップ実装用基板
2、2a〜2l、2v〜2y 配線パターン
5 半導体チップ
6 バンプ
10、10a〜10l、10v〜10y ボンディングパッド
11、11a・・・11y ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位(引出線露出部)
11’ ボンディングパッドに連続する引出線
12、12a〜12l 穴
14、14’ 側縁部
15、15a、15b、15v〜15y はんだ瘤
16、16a〜16d、16v〜16y はんだ薄膜
18 ソルダーレジスト
19、19v・・・19y ソルダーレジストダム
21 基板内方部
22 基板外縁部
L1 配線パターンの露出部分の長さ寸法
L2 配線パターンの露出部分の幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディングパッドと、ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位とが絶縁層もしくはソルダーレジストから露出する配線パターンを備えるフリップチップ実装用基板において、
前記配線パターンの露出部分が、複数の異なる形状に形成されると共に、
各々の前記露出部分は、相互に、前記ボンディングパッドの面積が実質的に等しく、且つ前記ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位の総面積が実質的に等しいこと
を特徴とするフリップチップ実装用基板。
【請求項2】
ボンディングパッドと、ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位とが絶縁層もしくはソルダーレジストから露出する配線パターンを備えるフリップチップ実装用基板において、
前記露出部分が、幅寸法よりも長さ寸法が長い配線パターンと、幅寸法と長さ寸法とが略同一である配線パターンとを備え、
各々の前記露出部分は、相互に、前記ボンディングパッドの面積が実質的に等しく、且つ前記ボンディングパッドに連続する引出線の所要部位の総面積が実質的に等しいこと
を特徴とするフリップチップ実装用基板。
【請求項3】
前記露出部分が、幅寸法よりも長さ寸法が長い配線パターンが、基板外縁部に、幅方向側縁部を隣接させて複数設けられ、
前記露出部分が、幅寸法と長さ寸法とが略同一である配線パターンが、基板内方部に設けられること
を特徴とする請求項2記載のフリップチップ実装用基板。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−153494(P2008−153494A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341043(P2006−341043)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】